説明

過熱蒸気を用いた加熱調理機および加熱調理方法

【課題】連続して生成する過熱蒸気を用いて複数の温度域の加熱を実行する加熱調理機を提供する。
【解決手段】貯水タンク10に連通管14を通して接続された湯気発生装置20と、湯気発生装置に接続された過熱蒸気発生装置30と、過熱蒸気が導入される加熱釜40とを備えた加熱調理機100である。湯気発生装置20は、第1電熱ヒータ22と、第1ハウジング24とから構成され、第1ハウジング24と貯水タンク10とは連通管14で互いに接続されることによって、第1ハウジング24内の水位WL2と、貯水タンク10内の水位WL1が一致している。過熱蒸気発生装置30は、第2電熱ヒータ32と、第2ハウジング34とから構成され、第2電熱ヒータ32及び第2ハウジング34の一部は、加熱釜40の内部40aに位置している。第2ハウジング34には、開通孔35が形成されており、加熱釜40の一部には、加熱釜40の内部と通じた第1調理容器50が取り付けられ、第1調理容器50は、貯水タンク10に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過熱蒸気を用いた加熱調理機および加熱調理方法に関する。特に、過熱蒸気を用いて複数の温度域の加熱を実行する加熱調理機(多目的加熱調理機)に関する。
【背景技術】
【0002】
過熱水蒸気は、水蒸気を定圧で100℃を超える温度に加熱した蒸気である。この過熱水蒸気(または過熱蒸気)は、水蒸気や高圧高温水蒸気と異なり、食品の加熱に好適な遠赤外線の放射性を持った熱放射性気体で、その雰囲気中では酸素が遮断されて酸化を防止することができる等の利点を有している。そして、過熱水蒸気を用いることにより、肉、魚等を味良く焼成等することができるとされている(参考;特許文献1など)。
【0003】
過熱水蒸気によって肉、魚等の食品を焼成等する装置としては、例えば、特許文献2(特許文献1の図8に対応)などが知られている。特許文献2に記載された装置を図11に示す。
【0004】
図11に示すように、この装置は、ボイラー(不図示)と、ボイラーと配管dにより接続した吐出孔bを有する過熱蒸気発生装置aと、食品を載置して移送するコンベアcとから構成されている。この装置では、ボイラーから水蒸気を発生させて、その水蒸気を配管dを介して過熱蒸気発生装置aに設けた加熱管a1に送り、そして、加熱管a1を通る水蒸気を、過熱蒸気発生装置aに設けたバーナーa2によって加熱することにより過熱蒸気にする。その過熱蒸気を吐出孔bから出して、コンベアcに載置した食品に吹きかけるようにして焼成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−190410号公報
【特許文献2】特開平3−183547号公報
【特許文献3】特開2002−83673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
過熱蒸気を発生させる方法は、上述したように、ガスや石油等の燃料を用いてバーナーで水蒸気を燃焼させるものが一般的である。しかしながら、そのようなバーナーを用いた方式では、排煙設備を含めて設備がとても大がかりなものとなり、設備投資が増大する。加えて、環境汚染対策などの付加的な設備も必要となる。さらに、この方式が一般的であるからさほど気づかないが、過熱蒸気を発生させる上でのエネルギー効率はそれほど良いものではない。また、電磁誘導式の加熱手段を用いたものも存在するが、これらもエネルギー効率はそれほどよいものではない。
【0007】
電磁誘導式の加熱手段を用いたものとして、特許文献3を挙げることができる。電磁誘導コイルを用いたタイプのものは、小型のものでも、90kW(キロワット)程度の電力が必要であり、業務用の大型冷蔵庫がせいぜい75kWのレベルとすると、とんでもなく大電力を消耗する。一方、電子レンジとほぼ同じ大きさの家庭用の過熱蒸気調理器も存在するが、そのタイプは、毎回、水を沸かして水蒸気にし、それを過熱蒸気にして使用するので、水蒸気にするための時間が必要であり使用勝手が悪く、そして、水蒸気にするための水がなくなるたびに補給しないといけないので、業務用レベルでの連続使用には用いることが難しいという問題もある。また、家庭用のものを、業務量レベルで使用すると、処理単位が違いすぎるので、熱量が足りず、加熱処理を満足に行うことができないという問題も発生し得る。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、連続して生成する過熱蒸気を用いた新規な加熱調理機(多目的加熱調理機)および加熱調理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る加熱調理機は、過熱蒸気を用いて複数の温度域の加熱を実行する加熱調理機であり、液体が蓄えられる貯水タンクと、前記貯水タンクに連通管を通して接続され、前記貯水タンクから供給される液体を加熱することによって湯気を発生させる湯気発生装置と、前記湯気発生装置に接続され、当該湯気発生装置で発生した前記湯気を加熱することによって過熱蒸気を発生させる過熱蒸気発生装置と、前記過熱蒸気発生装置で発生した前記過熱蒸気が導入され、食品を加熱する加熱釜とを備え、前記湯気発生装置は、前記液体を加熱する第1電熱ヒータと、前記第1電熱ヒータを収納し、前記液体を保持する第1ハウジングとから構成されており、前記第1ハウジングと前記貯水タンクとは前記連通管で互いに接続され、それによって、前記第1ハウジング内の前記液体の水位と、前記貯水タンク内の前記液体の水位は一致しており、前記過熱蒸気発生装置は、前記湯気を加熱する第2電熱ヒータと、前記第2電熱ヒータを収納し、前記湯気を保持する第2ハウジングとから構成されており、前記第2電熱ヒータの一部および前記第2ハウジングの一部は、前記加熱釜の内部に位置しており、前記加熱釜の内部に位置している前記第2ハウジングには、前記加熱釜の内部に前記過熱蒸気を導入するための開通孔が形成されており、前記加熱釜の一部には、前記加熱釜の内部と通じた第1調理容器が取り付けられており、前記第1調理容器は、前記貯水タンクに接続されている。
ある好適な実施形態において、さらに、第1調理容器に循環用配管を介して接続された第2調理容器を備えており、前記第2調理容器は、前記貯水タンクに接続されている。
ある好適な実施形態において、前記第1調理容器は、高温用容器部と、低温用容器部とからなり、前記高温用容器部は、前記低温用容器部よりも上方の位置で前記加熱釜に取り付けられている。
ある好適な実施形態において、前記高温用容器部は、前記加熱釜の最上部に取り付けられている。
ある好適な実施形態において、前記加熱釜は、貯水加熱用配管を通して、前記貯水タンクに接続されている。
ある好適な実施形態において、前記貯水加熱用配管は、前記貯水タンクの内部に、前記加熱釜の内部からの過熱蒸気を噴き出すスパージ部を有している。
ある好適な実施形態において、前記第1ハウジングと前記貯水タンクとを接続する前記連通管は、前記貯水タンク側に少なくとも2つの接続端を有している。
ある好適な実施形態において、前記貯水タンクには、当該貯水タンクに前記液体を補給する補給タンクが接続されている。
ある好適な実施形態において、前記貯水タンクには、前記液体を補給する水道口が接続されている。
ある好適な実施形態において、前記第2電熱ヒータおよび前記第2ハウジングは、前記加熱釜の内部に半分以上の長さ位置している。
ある好適な実施形態において、前記第1電熱ヒータには、フィンが設けられている。
ある好適な実施形態において、前記第2電熱ヒータには、フィンが設けられている。
ある好適な実施形態において、さらに、前記第1電熱ヒータおよび前記第2電熱ヒータに接続され、それらの加熱を制御する制御装置を備えている。
ある好適な実施形態において、前記貯水タンクおよび前記加熱釜の内部には、温度センサが取り付けられており、前記温度センサは、前記制御装置に接続されている。
ある好適な実施形態において、前記湯気発生装置で発生した前記湯気は、ゲージ圧力0.1MPa以下の微圧力である。
ある好適な実施形態において、前記第1電熱ヒータおよび前記第2電熱ヒータでは、動作時において1.2気圧以下の内部圧力で加熱が実行される。
ある好適な実施形態において、前記加熱釜では、動作時において1.2気圧以下の内部圧力で加熱が実行される。
ある好適な実施形態において、前記加熱釜に導入される前記過熱蒸気は、飽和水蒸気である。
ある好適な実施形態において、前記食品は、水産物、肉類、パンおよび米からなる群から選択される少なくとも一つである。
ある好適な実施形態において、前記貯水タンク、前記湯気発生装置、前記加熱釜、前記第1調理容器は、一体型のカバーで覆われており、前記加熱釜の取り出し扉、および、前記第1調理容器の上部が、前記一体型のカバーから露出している。
本発明に係る加熱調理方法は、過熱蒸気を用いた加熱調理方法であり、液体が蓄えられる貯水タンクから、連通管を通して、湯気発生装置に液体を導入する工程と、前記湯気発生装置で発生した湯気を加熱することによって、過熱蒸気を発生させる工程と、前記過熱蒸気発生装置で発生した前記過熱蒸気を、加熱釜に導入する工程と、前記加熱釜に充満している過熱蒸気を、前記加熱釜の内部に繋がっている第1調理容器に導入する工程と、前記第1調理容器において使用された蒸気を、当該第1調理容器に接続された第2調理容器に導入するとともに、前記貯水タンクに導入する工程と、前記加熱釜に充満している前記過熱蒸気を、前記貯水タンクに導入する工程とを含み、前記加熱釜で食品が加熱されるとともに、前記第1調理容器および前記第2調理容器で食品が加熱され、前記加熱釜の加熱温度が、前記第1調理容器の加熱温度よりも高く、前記第1調理容器の加熱温度が、前記第2調理容器の加熱温度よりも高いことを特徴とする。
ある好適な実施形態では、前記加熱釜で食品が加熱される際、前記加熱釜の内部は、大気よりも酸素が少ない状態である。
ある好適な実施形態において、前記加熱釜に導入される前記過熱蒸気は、飽和水蒸気である。
ある好適な実施形態において、前記加熱釜の加熱調理は過熱蒸気によって行われ、前記第1および前記第2調理容器の加熱調理は過熱蒸気または蒸気によって行われ、前記加熱釜の加熱調理ならびに前記第1および前記第2調理容器の加熱調理において火を用いないことを特徴とする。
ある好適な実施形態において、前記加熱釜の加熱温度は、300℃以上である。
ある好適な実施形態において、前記食品は、水産物、肉類、パンおよび米からなる群から選択される少なくとも一つである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、貯水タンクに連通管を通して接続された湯気発生装置からの湯気を加熱することによって過熱蒸気を発生させる過熱蒸気発生装置と、過熱蒸気が導入される加熱釜とを備えており、加熱釜の一部には、加熱釜の内部と通じた第1調理容器が取り付けられているので、バーナーを用いることなく、連続して生成する過熱蒸気を用いて複数の温度域の加熱を実行する加熱調理機を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る加熱調理機100の構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る加熱調理機100の構成の一例を側面から見た図である。
【図3】本発明の実施形態に係る加熱調理機100の構成の一例を前方斜めから見た斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る加熱調理機100の構成の一例を後方斜めから見た斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係る加熱釜40の内部構造の一例を説明するための斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る加熱釜40に高温用容器部50aを取り付けた斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係る加熱調理機100の改変例(一体型カバー85付き)を示す斜視図である。
【図8】未解凍の冷凍魚(冷凍サバ)を表す図面代用写真である。
【図9】本発明の実施形態に係る加熱調理機100の加熱釜40内で加熱調理している様子を示す図面代用写真である。
【図10】加熱後の焼き魚(焼きサバ)を示す図面代用写真である。
【図11】従来の過熱水蒸気によって肉、魚等の食品を焼成する装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
食品製造における加熱工程は、おいしい、良い製品をつくる上において最も重要なポイントである。通常は、バーナーによる加熱、温水による加熱、油による加熱が主によく使用され、それに比べると、スチーム加熱は、バーナー、温水等の加熱と比べて総熱量が少ないなどの関係から、実際にはあまり利用されていない。本願発明者は、温水等の加熱に変えて、スチーム加熱の可能性を鋭意探究した結果、過熱蒸気(過熱水蒸気)を用いた加熱方法に辿り着き、その開発を進めた。
【0013】
本願発明者は、微圧蒸気(湯気)を加熱して過熱蒸気として、その過熱蒸気を食品に当てて加熱を行う手法を開発し、そしてそれを特願2007−522303号明細書に開示した。なお、過熱蒸気を用いる加熱調理装置として、特開2004−236991号公報に開示された技術があるが、この技術は、大気圧動作のものではなく、熱交換器内の内部圧力を高圧(5.0〜5.2kgf/cm)にするものであり、本願発明者が特願2007−522303号明細書に開示した技術とは基本的に技術的思想が異なる。
【0014】
本願発明者が開発した技術(特願2007−522303号明細書に開示の技術)は素晴らしいものであるが、本願発明者の検討によれば、過熱蒸気の回収・再利用、装置の小型化、熱利用効率またはエネルギー利用効率の改善の点で更なる進歩をすることができる余地があった。加えて、本願発明者が開発した技術(特願2007−522303号明細書に開示の技術)では、過熱蒸気を用いて複数の温度域の加熱を実行する加熱調理機を実現するには、煩雑な構成をとる必要があり、その点でも改善する余地があった。
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る加熱調理機100の構成を示している。本実施形態の加熱調理機100は、過熱蒸気を用いて複数の温度域の加熱を実行する加熱調理機(多目的加熱調理機)である。
【0017】
図1に示すとおり、加熱調理機100は、液体11が蓄えられる貯水タンク10と、貯水タンク10から供給される液体11を加熱することによって湯気を発生させる湯気発生装置20と、その湯気を加熱することによって過熱蒸気を発生させる過熱蒸気発生装置30とから構成されている。貯水タンク10と、湯気発生装置20とは、連通管14を通して互いに接続されている。また、湯気発生装置20と、過熱蒸気発生装置30とは、配管28を通して互いに接続されている。
【0018】
過熱蒸気発生装置30は、食品を加熱する加熱釜40に挿入されて配置されており、過熱蒸気発生装置30からの過熱蒸気が、加熱釜40に導入される。加熱釜40の内部には、食品を配置することが可能であるとともに、加熱釜40は、扉部42によって密閉可能な構造となっている。加熱釜40の本体部44および扉部42は、金属(例えば、ステンレス)から構成されている。加熱釜40(または本体部44)の形状は、略円筒形状であるが、これに限定されるものではない。
【0019】
湯気発生装置20は、液体11を加熱する第1電熱ヒータ22と、第1ハウジング24とから構成されている。第1ハウジング24は、第1電熱ヒータ22を収納することができるとともに、連通管14を通して導入された液体11を保持することができる。また、第1ハウジング24と、貯水タンク10とは連通管14で互いに接続されていることから、大気圧によって、第1ハウジング24内の液体の水位(WL2)と、貯水タンク10内の液体11の水位(WL1)は一致した状態となっている。
【0020】
過熱蒸気発生装置30は、湯気を加熱する第2電熱ヒータ32と、第2ハウジング34とから構成されている。第2ハウジング34は、第2電熱ヒータ32を収納することができるとともに、湯気発生装置20からの湯気を保持することができる。図1に示すように、第2電熱ヒータ32の一部および第2ハウジング34の一部は、加熱釜40の内部40aに位置している。また、加熱釜40の内部40aに位置している部位の第2ハウジング34には、開通孔35が形成されており、過熱蒸気発生装置30で発生した過熱蒸気は、開通孔35通して、加熱釜40の内部40aに導入される。
【0021】
さらに、加熱釜40の一部には、加熱釜40の内部40aと通じた第1調理容器50が取り付けられている。したがって、加熱釜40の内部40aに充満した過熱蒸気の一部は、第1調理容器50に導入される。そして、第1調理容器50は、貯水タンク10に接続されており、第1調理容器50で使用された後の蒸気(使用済みの過熱蒸気)は、貯水タンク10に廃棄されることになる。
【0022】
また、第1調理容器50には、配管(循環用配管)51(51a、51b)を介して接続された第2調理容器52が設けられている。したがって、第1調理容器50で使用された後の蒸気(使用済みの過熱蒸気)は、第2調理容器52にも導入される。そして、第2調理容器52は、配管54を介して貯水タンク10に接続されている。本実施形態の構成では、第1調理容器50から延びた循環用配管51が、配管54の一部に接続されて、それによって、第1調理容器50と第2調理容器52とが接続されている。
【0023】
さらに、本実施形態の構成では、第1調理容器50は、高温用容器部50aと、低温用容器部50bとからなっている。ここで、高温用容器部50aは、低温用容器部50bよりも上方の位置で加熱釜40に取り付けられている。すなわち、加熱釜40における高温用容器部50aの蒸気取り出し位置は、低温用容器部50bの蒸気取り出し位置よりも高い位置にあり、これによって、高温用容器部50aに導入される過熱蒸気の温度は、低温用容器部50bに導入される過熱蒸気の温度よりも高くなっている。高温用容器部50aの加熱温度を高くしたい場合には、加熱釜40の最上部に高温用容器部50aを取り付けることが好ましい。なお、高温用容器部50aには循環用配管51aが接続され、そして、低温用容器部50bには循環用配管51bが接続されている。
【0024】
また、加熱釜40は、貯水加熱用配管48を通して、貯水タンク10に接続されている。すなわち、加熱釜40の一部には、開口部45が形成されており、その開口部45には貯水加熱用配管48が接続されており、貯水加熱用配管48の一部(48a)は、貯水タンク10に達して、貯水タンク10内に加熱釜40からの過熱蒸気を放出する。本実施形態の貯水加熱用配管48の先端には、過熱蒸気を噴き出すスパージ部49が設けられている。スパージ部49は、貯水タンク10内の液体(水)11の中に位置するように設けられており、それによって、加熱釜40からの過熱蒸気は、貯水タンク10内の液体11の中に放出される。
【0025】
本実施形態の構成では、加熱釜40および第1調理容器50で使用された過熱蒸気(使用済みの過熱蒸気)は、貯水タンク10で回収される。したがって、本実施形態の加熱調理機100では、使用済みの過熱蒸気が外に放出されることがない。それゆえに、加熱調理機100の周囲が蒸気で曇ったりすることを抑制することができる。また、使用済みの過熱蒸気(温度が下がると蒸気)を回収することができることから、使用する液体11の量を節約することができる。
【0026】
加えて、使用済みの蒸気を貯水タンク10内の液体11に導入することができるので、貯水タンク10内の液体11の温度を上げることができる。貯水タンク10内の液体11の温度を上げることができれば、貯水タンク10から湯気発生装置20に導入される液体11の温度も高くなるため、湯気発生装置20において液体11から湯気を発生させるエネルギー量を、液体11の温度が低い場合(例えば、水道水の温度の場合)と比較して、節約することができる。さらには、使用済みの蒸気によって貯水タンク10内の液体11の温度が比較的高温(例えば、70℃以上)になる場合には、貯水タンク10内の液体11の熱によって、第2調理容器52を加熱することができる。
【0027】
貯水タンク10には、液体11を補給する補給タンク12が配管13を介して接続されている。貯水タンク10の液体11が消費されると、適宜、補給タンク12から液体11が補給される(矢印69参照)。本実施形態の構成では、貯水タンク10には、液体11の水位(WL1)を示す水位表示器(例えば、浮き球)17が設けられている。したがって、この水位表示器17を利用して、水位表示器17で示された水位(WL1)に応じて、補給タンク12から液体11を補給することができる構成にすることが可能である。また、補給タンク12に水道口(不図示)を接続して、補給タンク12に水道水を導入することも可能である。なお、補給タンク12を用いずに、貯水タンク10に水道口を接続して、水道口から液体11を補給することも可能である。
【0028】
次に、本発明の加熱調理機100の動作について説明する。
【0029】
本実施形態の貯水タンク10には、液体11として水が貯蔵されている。貯水タンク10の液体11は、連通管14a(14)を通して、湯気発生装置20の第1ハウジング24内に導入される(矢印61)。
【0030】
第1ハウジング24内に導入された液体11は、第1ハウジング24内に収納されている電熱ヒータ22によって加熱されて、湯気になる。本実施形態において「湯気」とは、微圧蒸気のことを意味する。換言すると、本実施形態の「湯気」は、高温高圧のスチーム蒸気と異なり、微圧力の蒸気(例えば、ゲージ圧力0.1MPa以下の蒸気)である。なお、ここでの「湯気」は微圧力の蒸気であることを特徴としており、湯から立ち上る蒸気(水蒸気)であればよく、その蒸気が小さな水滴となって白く煙になるような状態であることまで限定されるものではない。すなわち、湯気は、白い煙のような状態であってもよいし、透明の状態であってもよい。
【0031】
湯気発生装置20において安定して湯気(微圧蒸気)を発生させるには、湯気発生装置20内の水位(液面)WL2を一定に揃えておくことが、制御し易くて好ましい。本実施形態では、貯水タンク10と第1ハウジング24とが連通管14によって接続されているので、貯水タンク10の水位(WL1)と第1ハウジング24の水位(WL2)が一致している。したがって、本実施形態の構成によれば、大気圧を利用して簡便に水位(液面レベル)WL2の制御を行うことが可能となる。
【0032】
また、本実施形態の構成では、連通管14は、貯水タンク10側に少なくとも2つの接続端15を有している。本実施形態の連通管14は、2本の構成からなり、第1の連通管14aの一端は、貯水タンク10の接続端15に接続されており、他端は第1ハウジング24の接続端25に接続されている。第2の連通管14bの一端は、貯水タンク10の接続端15に接続されており、他端は第1の連通管14aの一部に接続されている。あるいは、本実施形態の連通管14は、二股の構成となっており、連通管14の一端は、貯水タンク10の接続端15に接続されており、他端は第1ハウジング24の接続端25に接続されている。
【0033】
湯気発生装置20の第1ハウジング24の水位(WL2)を、貯水タンク10の水位(WL1)と一致させて制御するのであれば、連通管14は一本だけで十分である。ただし、図1に示した例のように、連通管14を複数本または分岐した構成にすると、次のような効果を得ることができる。
【0034】
湯気発生装置20が湯気を発生していくと、第1ハウジング24内の液体11の量は減っていく。すると、第1ハウジング24の水位(WL2)と貯水タンク10の水位(WL1)とは常に一致しようとするので、連通管14の中に位置する液体11が第1ハウジング24内に流入しようとする(矢印61参照)。ここで、連通管14が一本のときは、連通管14が分岐している場合(14a、14b)と比較すると、間欠な流入になりやすく、そのときは、第1ハウジング24内の液体11の液面が一時的に揺れてしまうことが発生する。
【0035】
一方、連通管14a及び14bのように分岐させると、間欠な流入を抑えることができる。その結果、連通管14から第1ハウジング24内への液体11のスムーズな流入を達成することができる。したがって、第1ハウジング24内の液体11の液面が揺れることを抑えることができるので、湯気発生装置20内の液面を安定させることが容易となる。すなわち、この構成においては、連通管14bを間欠防止用の配管として使用している(矢印62参照)。
【0036】
湯気発生装置20の第1ハウジング24には、電熱ヒータ22(例えば、プラグヒータ、フランジヒータなど)が挿入されており、電熱ヒータ22が液体11を加熱することによって、液体11から湯気が生成される。湯気発生装置20では、動作時に実質的に大気圧と同じ内部圧力(例えば、1.2気圧以下の内部圧力)で加熱が実行される。
【0037】
本実施形態の第1ハウジング24は、金属(例えば、ステンレスなど)から構成されている。第1ハウジング24の後方部から電熱ヒータ22は差し込まれている。本実施形態の第1電熱ヒータ22には、電熱面積を大きくするためのフィン23が取り付けられている。本実施形態では、第1電熱ヒータ22に複数のフィン23が取り付けられている。
【0038】
湯気発生装置20で発生した湯気は、第1ハウジング24に設けられた開口部26を通して、配管28に進み(矢印63参照)、過熱蒸気発生装置30に導入される。湯気は、微圧力の蒸気(例えば、ゲージ圧力0.1MPa以下の蒸気)であるので、高温高圧のスチーム蒸気と異なり、配管28内をゆっくりと進んで、過熱蒸気発生装置30の第2ハウジング34内に到達する。
【0039】
過熱蒸気発生装置30に導入された湯気は、第2ハウジング34の内部で保持され、第2電熱ヒータ32によって加熱されて、過熱蒸気(過熱水蒸気)になる。湯気発生装置20で発生した湯気の温度が例えば95℃〜110℃程度とすると、過熱蒸気発生装置30内の第2電熱ヒータ32で加熱されて、150℃以上、好ましくは180℃以上(あるいは、300℃〜400℃またはそれ以上)の過熱蒸気(スーパーヒートベイパー)が発生する。
【0040】
過熱蒸気発生装置30の第2電熱ヒータ32は、半分以上(例えば、2/3以上)、加熱釜40の内部40aに位置しており、そして、第2ハウジング34に形成された開通孔35から、第2電熱ヒータ32で加熱されて発生した過熱蒸気が加熱釜40の内部40aに導入される。本実施形態の第2ハウジング34は、金属(例えば、ステンレスなど)から構成されており、第2ハウジング34の後方部から第2電熱ヒータ32は差し込まれている。第2電熱ヒータ32は、例えば、数キロワット程度の電熱ヒータ(例えば、プラグヒータ、フランジヒータなど)である。
【0041】
第2電熱ヒータ32には、電熱面積を大きくするためのフィン33が取り付けられている。本実施形態では、第2電熱ヒータ32に、複数のフィン33が取り付けられている。ここで、第2電熱ヒータ32に取り付けられるフィン33は、電熱面積の拡大の機能の他に、第2ハウジング34内に存在する湯気および過熱蒸気を対流させることによって、第2電熱ヒータ32の加熱効率を高める機能も有している。すなわち、フィン33が存在しない場合には、微圧蒸気である湯気およびその湯気から生じた過熱蒸気は第2ハウジング34内をゆっくりと移動するのであるが、第2ハウジング34内にフィン33を設けて、湯気および過熱蒸気の流れの障害を作ると、フィン33の効果によって第2ハウジング34内で対流が生じる。すると、対流が生じていなかった場合の第2電熱ヒータ32の周囲に位置する湯気・過熱蒸気を直接伝熱で加熱していたことに加えて、フィン33によって生じた対流で、加熱の度合いが小さい湯気・過熱蒸気が第2電熱ヒータ32及びフィン33を接触させやすくなり、それによって、過熱蒸気生成のための加熱効率が向上することになる。
【0042】
過熱蒸気発生装置30で発生した過熱蒸気が導入される加熱釜40の内部40aには、被加熱物である食品を配置することができる。具体的には、加熱釜40の扉部42を開けて、加熱釜40の内部40aに食品を置き、その後で、扉部42を閉めて、加熱釜40を密閉状態にする。なお、本実施形態の加熱釜40を密閉にしても、加熱釜40の内部40aは実質的に大気圧であるので、過熱蒸気で食品を加熱した後、加熱調理機100を動作させたまま、加熱後の食品の取り出しを行うことができるし、次いで、次の食品を導入することもできる。したがって、加熱釜40を大気圧に戻して、加熱釜40から食品の出し入れをするものに比較して、作業効率を顕著に高めることができる。
【0043】
また、過熱蒸気発生装置30に導入される湯気は、飽和蒸気(飽和水蒸気)であるので、過熱蒸気発生装置30で発生した過熱蒸気は、高温でありながらも、水分を多く含む気体である。したがって、湯気(飽和蒸気)を加熱して生成された過熱蒸気で食品を加熱すると、食品から必要以上に水分が取り出されてしまってパサパサになることを抑制することができる。この点、湯気を加熱して高温にした過熱蒸気と、高温高圧のスチーム蒸気を加熱して高温にした過熱蒸気(スチーム蒸からの過熱蒸気)とは異なる。
【0044】
さらに、過熱蒸気は、次のような利点を有している。まず、過熱蒸気の伝熱は、対流伝熱の他に、放射伝熱が加わるため、熱効率が非常に高いという特長を有している。魚や肉の焼き上がりは、直火・ガスと同様以上であり、さらに、水蒸気なので対流伝達も早く、空気に比べて約10倍以上も対流伝達が早い。また、過熱蒸気は低温の物質に触れると凝縮し、その時に物質に熱を与えて温度(芯温)を上げるという水蒸気本来の性質と、加熱空気のように物質を加熱する性質を持っているので、短時間で焼成ができる。
【0045】
加えて、製品の芯温を短時間で上昇させるので、冷凍魚・肉・パンなどの冷凍食品で解凍と焼きの2工程を一度に短時間で実行することができる。さらに、ある一定の温度以上になると、乾燥空気中よりも水蒸気中の方が乾燥が早くなることが知られているので、蒸しと乾燥とを同時に行うことができる。また、ポーラス状態に仕上げることもできるので、インスタントラーメンや、製茶にも好適に用いることができる。
【0046】
さらには、過熱蒸気中は無酸素状態(あるいは、大気圧の酸素濃度よりも低い状態)なので、油脂の酸化・ビタミンの破壊などを抑制することができ、製品の保存を向上させることもできる。また、食品の退色防止にも役に立つ。そして、水は蒸発する時に油分を抱え込む性質があり、この性質は、脱油効果として利用することができる。
【0047】
このような特性を有する過熱蒸気による調理は、食材の水分を取り過ぎず表面の硬化を防ぎ(例えば、歩留まり85%以上)、素材の旨味を引き出すことができる可能性を持っている。
【0048】
また、加熱釜40の内部40aに導入する過熱蒸気の温度は、180℃以上であることが好ましい。これは、湯気(飽和蒸気)を加熱してなる過熱蒸気は、180℃前後でその性質が変化し、食材などの加熱処理に適したものになるからである。さらに説明すると、飽和蒸気を加熱した過熱蒸気は、非常に軽く、囲われた空間内の隅々まで充満しやすく、その体積膨張率が高く、含有酸素量も少なく、熱伝達速度も速くなるという特長を有しており、このような過熱蒸気を用いて食材を加熱した場合には、食材の表層部を焦がすことができ、外層部に浸透して、食材の内部温度を上げ、表層部の水分のみを最も多く蒸発させることができるので、表面がこんがりとして内部がジューシーな焼き上がりを実現することができる。過熱蒸気は、わずかな熱量の変化で急速に温度変化するという性質を持っているので、120℃程度の比較的不安定な過熱蒸気よりも、180℃以上の過熱蒸気を発生させて、加熱釜40の内部40aに導入することが、食品の加熱処理においては好ましい。
【0049】
本実施形態の加熱調理機100では、加熱釜40に導入して使用した過熱蒸気をそのまま廃棄せずに、第1調理容器50(50a、50b)および第2調理容器52にも使用するので、加熱釜40に導入する過熱蒸気の温度が高いほど、第1調理容器50および第2調理容器52の温度の選択範囲を広げることができる。
【0050】
本実施形態の加熱釜40の内部40aに導入される過熱蒸気40の温度の一例は、300℃〜400℃である(典型的な一例は、400℃±10℃)である。加熱釜40の内部40aを400℃にすると、例えば、未解凍の冷凍魚(冷凍サバなど)を数分で、解凍だけでなく焼き工程も完了させることができる。通例、加熱調理器で未解凍の冷凍魚を加熱する場合には、解凍だけでかなりの時間(数十分以上)がかかるとともに、解凍時に冷凍魚からエキスがドリップした後に、解凍された魚を焼くことになる。したがって、本実施形態の加熱調理機100による加熱とは顕著に異なる。
【0051】
本実施形態の過熱蒸気発生装置30は、例えば300℃〜400℃またはそれ以上の過熱蒸気を発生させることができるのにもかかわらず、実質的に1気圧の内部圧力で動作を行っている。具体的には、せいぜい1.2気圧またはそれ以下の内部圧力で動作をしている。なお、ボイラーを用いて、300℃〜400℃またはそれ以上の高温加熱を行おうとすれば、当然、数気圧以上の動作圧力が要求されることになる。
【0052】
過熱蒸気発生装置30が実質的に1気圧での動作を行うことができるのは、微圧蒸気である湯気を加熱して、高温の過熱蒸気を発生することができるからによる。技術常識に従えば、高温の気体を発生させるには高圧が必須となるが、例えば高温高圧のボイラー蒸気を加熱する場合、ボイラー蒸気の流速が速いために実際には上手く加熱することが難しいか、加熱することができるとしても膨大なエネルギーを要し非効率となる。一方、本実施形態の構成では、微圧蒸気である湯気は、第2ハウジング34内をゆっくり漂うので、その間、第2電熱ヒータ32で加熱することができ、大気圧で高温(例えば300℃以上)の過熱蒸気を生成させることができる。第2電熱ヒータ32にフィン33を設けると、加熱効率が向上することは上述した通りである。
【0053】
また、本実施形態の構成では、第2電熱ヒータ32は、加熱釜40の外に配置されているのではなく、加熱釜40の中に配置されており、その特徴も、加熱調理機100(または加熱釜40)の加熱効率を向上させる上で寄与している。すなわち、動作中の第2電熱ヒータ32は高温であるので、その熱で加熱釜40を加熱することができる。また、加熱調理機100の動作を停止した後も、第2電熱ヒータ32の発熱はすぐ停止するわけではないので、第2電熱ヒータ32が加熱釜40の中に位置していることによって、第2電熱ヒータ32の予熱(および加熱釜40内に残っている過熱蒸気)によっても、食品の加熱を行うことができ、エネルギー効率を向上させることができる。
【0054】
なお、加熱釜40の一部(ここでは、底面)には、開口部45が形成されており、加熱釜40内の過熱蒸気の一部は、開口部45から貯水タンク10に移動する(矢印64参照)。ここで、技術常識からすれば、加熱釜40から過熱蒸気の一部が逃げると、加熱釜40における加熱の効率が低下すると想像される。しかしながら、加熱釜40のうち低い位置(例えば、底面)に開口部45を設けて、そこから過熱蒸気を逃がすと、加熱釜40の内部40aに存在する過熱蒸気のうち、より低温の過熱蒸気が加熱釜40の外に逃げていくことになる。加熱釜40の外に逃げていった分は、過熱蒸気発生装置30から、より高温な過熱蒸気が導入されるので、逆に、加熱釜40の加熱は良好なものになる。加えて、加熱釜40から過熱蒸気の一部が逃げすことにより、加熱釜40内の圧力上昇を防ぐことができるので、取り出し・取り入れなどの際の取り扱いも安全になる。
【0055】
さらには、加熱釜40の過熱蒸気の一部が外に逃げることによって、加熱釜40内に自然に対流が生じることになる。加熱釜40の中で対流が少ない場合(または、ほとんど対流がない場合)には、過熱蒸気から食品への加熱は、食品の周囲に位置している過熱蒸気と当該食品との接触によるものが主となる。一方で、加熱釜40の中で対流が生じれば、食品の周囲に位置している過熱蒸気とともに、対流によって当該食品の周囲に来る過熱蒸気の加熱が行われるので、加熱効率が向上する。
【0056】
加えて、加熱釜40の過熱蒸気のうち低温のものを加熱釜40の外へ逃がしながらも、それを大気中に廃棄するのではなく、貯水タンク10の液体11中に散布(循環的な形で散布)する。したがって、液体11の再利用を図ることができるとともに、加熱調理機100の周囲がスチームだらけになることを抑制することができる。また、過熱蒸気を貯水タンク10の液体11中に散布することによって、過熱蒸気の熱を利用して、貯水タンク10の液体11の温度を上昇させることができる。貯水タンク10の液体11の温度を高めることができれば、湯気発生装置20に導入する液体11の温度も高くなるので、湯気発生装置20で湯気を発生させるエネルギー効率も良好になる。
【0057】
また、加熱釜40の過熱蒸気の一部は、第1調理容器50(50a、50b)に導入され、そして、第1調理容器50に導入された過熱蒸気の熱を利用して、第1調理容器50で調理することができる。図1に示した例では、第1調理容器50は、高温用容器部50aと、低温用容器部50bの2種類ある。高温用容器部50aは、加熱釜40の頂点からの過熱蒸気(最高温)を導入し、低温用容器部50bは、加熱釜40の頂点よりも低い位置からの過熱蒸気(最高温よりも低温)を導入している。高温用容器部50aと加熱釜40との間には流量調整弁46aが設けられており、そして、低温用容器部50bと加熱釜40との間には流量調整弁46bが設けられており、それぞれ、導入する過熱蒸気の量を流量調整弁46で調整することができる。
【0058】
本実施形態の高温用容器部50aでは、高温の過熱蒸気を利用して、温水による加熱調理(煮る、茹でる、など)、蒸気の加熱調理(蒸すなど)に加えて、油による加熱調理(揚げる、など)を行うことができる。また、低温用容器部50bでは、少し低めの温度の過熱蒸気を利用して、温水による加熱調理(煮る、茹でる、など)、蒸気の加熱調理(蒸すなど)を行うことができる。
【0059】
第1調理容器50で使用した過熱蒸気(使用済み過熱蒸気)は、続いて、第2調理容器52に送られる(矢印65〜67参照)。第2調理容器52では、第1調理容器50よりも低温の加熱調理を行うことができ、例えば、蒸気の加熱調理(蒸すなど)を行うことができる。貯水タンク10の液体11の温度が高い場合(例えば、液体11である湯が沸騰している場合)には、貯水タンク10からの蒸気(湯気)を利用して(矢印68参照)、第2調理容器52での加熱調理を行うことができる。最後に、第2調理容器52で使用された過熱蒸気(100℃以下の場合は蒸気)も、配管54を通して、貯水タンク10で回収される。
【0060】
このように、本実施形態の加熱調理機100は、貯水タンク10に連通管14を通して接続された湯気発生装置20からの湯気を加熱することによって過熱蒸気を発生させる過熱蒸気発生装置30と、過熱蒸気が導入される加熱釜40とを備えている。加熱釜40の一部には、加熱釜40の内部40aと通じた第1調理容器50(50a、50b)が取り付けられているので、過熱蒸気を用いて複数の温度域の加熱を実行することができる。
【0061】
本実施形態の加熱調理機100では、加熱装置(昇温装置)として、湯気発生装置20の第1電熱ヒータ22と、過熱蒸気発生装置30の第2電熱ヒータ32とを使用しており、バーナ(ガスバーナ)を使用していない。したがって、加熱調理機100は、電源さえあれば(例えば、200V電源など)動作させることができ、非常に便利であるとともに、火を使用しないので安全である。また、加熱調理機100は大気圧動作をしているので、安全の観点からはその点でも利点がある。加えて、加熱調理機100では、液体11を循環させているので、液体11の消費量を低減することができるとともに、過熱蒸気が加熱調理機100の外に出ないので、周囲の環境を良好にすることができる。具体的には、必要以上の結露の発生の防止を図ることができ、あるいは、外に出る蒸気を吸い込むためのダクトの設備投資を抑えることができる。
【0062】
また、加熱装置(昇温装置)として第1電熱ヒータ22と第2電熱ヒータ32とを使用するので、加熱調理機100をコンパクトな構成にすることができる。すなわち、過熱蒸気を発生させるための火力の大きい大型バーナーの設置は不要であるし、また、スチーム加熱に通常使用されるボイラー蒸気のためのボイラーの設置も不要である。加熱調理機100をコンパクトな構成にできることから、食品加工用の工場に配置できるだけでなく、レストラン、ホテル厨房、コンビニエンスストアの一角などに設置することも可能である。
【0063】
図1に示した構成では、湯気発生装置20の第1電熱ヒータ22と、過熱蒸気発生装置30の第2電熱ヒータ32とは、それらの加熱を制御する制御装置(不図示)に接続されている。また、貯水タンク10には温度センサ19が、加熱釜40には温度センサ47が取り付けられており、温度センサ19および温度センサ47は、制御装置に接続されている。制御装置は、温度センサ19及び47の数値および加熱プログラムに基づいて、第1電熱ヒータ22と第2電熱ヒータ32とを制御して、加熱調理機100を動作させる。
【0064】
本実施形態の加熱釜40に配置される被加熱物は、食品であり、例えば、水産物(魚類、甲殻類、軟体動物、貝類、海草類など)や、肉類(牛肉、豚肉、鶏肉など)、野菜、果物などである。被加熱物として、パンを挙げることもできる。また、加熱調理機100における過熱蒸気で炊飯を行うこともできる。本願発明者の検討ないし実験結果により、通常の炊飯方法(例えば、はじめ弱火で、次に、強火で蓋を取らない炊飯方法)にとらわれず、過熱蒸気によりたっぷりの水分を米に吸わして加熱すれば、短時間で、しかも美味しいご飯が炊けることが実証された。さらに説明すると、120℃〜400℃程度の過熱蒸気で炊き上げると米や水が早く沸点に到達し(これは、無酸素状態や、周囲全てが高温状態によることに基づく)、水分をたっぷり吸った米が炊き上がる。また、激しい水の対流で米が立った状態で炊飯をすることができる。通常の炊飯では釜の底面(又は側面も含む場合あり)だけにある電熱によって加熱するため熱伝導が遅くなり、早くしようとすれば高温を使わざるを得ず、そうすると焦げ付いてしまう。
【0065】
過熱蒸気による加熱処理は、例えば、食材が魚の場合、乾燥させずに焼き上がるのでジューシーで美味であり、また殺菌も施される。肉の場合は、柔らかく仕上がり、旨味が増すとともに、脂っこさもとれる。天ぷらを調理する場合、衣に粉末油脂またはごく少量の油脂を加えるだけで、油低含有天ぷらができる。パンの場合、表面は薄くパリッと、中はもちっとした食感のものを得ることができる。野菜、卵でも、過熱蒸気の特性を利用して美味しいものを調理することができる。なお、過熱蒸気の加熱は、コーヒーや茶葉の焙煎に用いることもできる。
【0066】
次に、図2から図5を参照しながら、本実施形態の加熱調理機100の一例を説明する。図示した加熱調理機100は、例示にすぎず、その構造に限定されるものではない。具体的には、使用する条件・用途、温度設定などによって、適宜好適な構造を採用することが可能である。
【0067】
図2は、本実施形態の加熱調理機100の側面図を示している。図3は、加熱調理機100の正面を示す斜視図であり、そして、図4は、加熱調理機100の後方斜めを示す斜視図である。
【0068】
加熱調理機100は、貯水タンク10に連通管を通して接続された湯気発生装置20と、湯気を加熱することによって過熱蒸気を発生させる過熱蒸気発生装置30と、過熱蒸気が導入される加熱釜40とから構成されている。加熱釜40は、フレーム80の上に載置されている。フレーム80は、移動可能な構成となっており、フレーム80の下部にはタイヤ82が設けられている。
【0069】
加熱釜40の下方には、湯気発生装置20の第1ハウジング24が配置されており、第1ハウジング24は、フレーム80内に位置している。フレーム80内には、貯水タンク10および制御装置(制御板)70が配置されている。制御装置70は、配線71を通して、第1電熱ヒータ22および第2電熱ヒータ32に接続されている。制御装置70は、温度センサ19及び47に接続されており、そして、制御装置70には、それらの温度を表示する表示部73(73a、73b)を設けることができる。なお、表示部73では、温度表示以外に、運転・停止その他の表示をさせても構わない。
【0070】
加熱釜40には、第1調理容器50として、低温用容器部50bが取付け口46b’(46’)に取り付けられている。この例では、高温用容器部50aが取り付けられておらず、高温用容器部50aの取付け口46a’(46’)が図3及び図4に示されている。貯水タンク10には、第2調理容器52が配管54を介して取り付けられている。第1調理容器50および第2調理容器52には、それぞれ、蓋55が設けられている。また、図3に示すように、加熱釜40は、配管48を介して貯水タンク10に接続されている。なお、配管48bは、排気用の配管である。
【0071】
図5は、加熱釜40の内部構造を示す斜視図である。加熱釜40の内部40aには、被加熱物の食品を載せることができる配置板(例えば、網)81を設けることができる。加熱釜40の内部40aには、過熱蒸気発生装置30の第2ハウジング34が延びている。なお、加熱釜40の内面の底部には、外部へ通じる開口部45が形成されている。
【0072】
図6は、加熱釜40に高温用容器部50aを取り付けた斜視図である。この例の高温用容器部50aは、天ぷら用容器である。天ぷら用容器50a内に油を注いだ後、加熱釜40からの過熱蒸気の加熱によって、天ぷら用容器50aで天ぷらを調理することができる。
【0073】
図7は、本実施形態の加熱調理機100の改変例を示す斜視図である。図7に示した加熱調理機100は、カバー(例えば、アルミニウムカバー)85によって覆われており、厨房用加熱調理装置として一体化の構成となっている。具体的には、貯水タンク10、湯気発生装置20、加熱釜40、第1調理容器50、第2調理容器52は、一体型のカバー85で覆われている。
【0074】
加熱釜40の取り出し扉42は、一体型のカバー85から露出している。また、第1調理容器50の上部は、カバー85から露出している。ここで、第1調理容器50(50a、50b)の上部は、ガスコンロのような形態(実際には、スチームコンロ)をしており、第1調理容器50の上部に、鍋などの調理器具57を載せて、そこで調理することができる。また、第2調理容器52の上部も、カバー85から露出しており、ガスコンロのような形態(実際には、スチームコンロ)をしている。図7に示した例では、高温用容器部50aの上部に、調理器具(鍋)57が載せられており、低温用容器部50bおよび第2調理容器52の上部には蓋部55が載せられている。
【0075】
この例での加熱調理機100を用いると、加熱釜40で最も高温(例えば400℃)の加熱調理(例えば、未解凍の冷凍魚からの焼き魚の調理など)をし、高温用容器部50aで次に高温の調理(例えば、油揚げなど)をし、次いで、低温用容器部50bでその次に高温の調理(例えば、煮る)を同時に行うことができる。さらには、第2調理容器52では、それらよりも低い温度の調理(例えば、蒸し)を行うことができる。
【0076】
また、この加熱調理機100は、カバー85で一体型な構成となっているので、厨房用加熱調理装置として使いやすいものとなっている。加えて、電源さえあれば、過熱蒸気による調理を実行できるので、極めて便利である。すなわち、バーナー(ガスバーナー)などの火を使う必要がなく、したがって、安全であるとともに、バーナーを動作させるための設備が不要であるので、同じ温度帯の調理を実行する場合の調理装置と比べて、設備コストを低くすることができる。
【0077】
また、ボイラー蒸気から過熱蒸気を発生させて過熱蒸気による調理を行う場合にはボイラーが必要であるが、本実施形態の加熱調理機100ではそのようなボイラーを設ける必要はなく、電源があれば過熱蒸気による調理を実行でき、それゆえに、大型な構成になることを抑えて、コンパクトな加熱調理機を実現することができている。したがって、通例使用されるキッチンシステムの代替として、この加熱調理機100を設置することが容易である。図7に示した加熱調理機100の幅Wは、例えば2m以下であり、好ましくは1m以下(一例では、65cm)である。なお、加熱調理機100の寸法・具体的な構造などは、求められる条件(加熱温度帯)、様式(レストラン用、ホテル用など)に応じて、適宜好適なものが採用されるので、図7に示したものに限定されるものではない。また、本実施形態の加熱調理機100には、バーナ(ガスによる加熱)は不要であるが、加熱調理機100に付属的にガスコンロを併設することは構わないし、電磁調理機を併設することも構わない。
【0078】
次に、図8から図10を参照しながら、本願発明者が行った過熱蒸気による加熱調理の実験例を説明する。図8は、未解凍の冷凍魚(冷凍サバ)を表す写真である。図9は、加熱調理機100の加熱釜40内で加熱調理している様子を示す写真である。図10は、加熱後の焼き魚(焼きサバ)を示す写真である。
【0079】
まず、図8に示すように、冷凍庫から出してきた冷凍魚を用意して、トレー(網)の上に配置する。次に、図9に示すように、その冷凍魚をトレーごと加熱釜40の中に入れて、加熱調理を行う。ここでの加熱釜40の内部温度は355℃〜400℃であり、加熱時間はわずか4分である。すると、図10に示すように、未解凍の冷凍魚から、焼き魚が出来上がる(調理時間4分)。図10からわかるとおり、焼き魚は、単に解凍されただけでなく、芯まで火が通り、表面には美味しそうな焦げ目がついている。
【0080】
当業界の常識から考えると、わずか4分で、未解凍の冷凍魚から焼き魚ができるということは驚異的な出来事である。また、過熱蒸気による加熱の効果で、この焼き魚には、ぱさついた感じはなく、味も非常に美味しいものに仕上がった。
【0081】
なお、図9に示した写真で、扉を開放状態にできるのは、加熱釜40の内部が大気圧で動作しているからである。さらに、図9に示した写真において、加熱釜40の内部が透明で、釜の奥まで見えるのは(煙のようなもやがかかっていなく)、過熱蒸気の温度が300℃以上の高温(355℃〜400℃)であるため、水蒸気の粒子が非常に細かくなっており、すなわち、湯気のような凝集状態となっておらず、それゆえに、透明となっている。
【0082】
また、加熱釜40の中は、大気よりも酸素が少ない状態であり、図9に示したものでは、実質的に無酸素状態(中に、ろうそくの炎を入れると消える状態)となっている。実質的に無酸素状態にできるのは、過熱蒸気によって加熱釜40内の酸素(空気)を追い出すことができるからであり、また、空気には断熱効果があるので、空気が追い出されていることによって、過熱蒸気による加熱の効率は向上している。なお、図9に示した状態において、冷凍魚が解凍して発生する水分は、周囲の温度(400℃程度)によって加熱されて、過熱蒸気となるので、その水分までも利用することが可能である。
【0083】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
【0084】
例えば、本実施形態の技術で、加熱釜40において炊飯を行うには、約150℃前後の過熱蒸気のものを用いるのが良い。加水率を従来の120%から150%に高めることが可能であり、炊飯時間を半分近く短縮できるとともに、美味しさを向上させることができる。また、本実施形態の技術は、水産物の蒸し工程や焼き工程に好適に使用できるだけでなく、パン、お茶、餅米を利用する菓子類、あるいは、洋菓子、肉類の加熱調理、野菜や芋類の蒸し料理などに積極的に使用することができる。さらに、過熱蒸気の特性を利用して、骨まで食せる魚の加工にも、適用することができる。加えて、過熱蒸気は、親子丼などの丼ものの加熱調理にも適している。
【0085】
また、例えば、過熱蒸気の元となる液体としては、水だけでなく、他のものを用いることもでき、調味料を添加した液体の蒸気(過熱蒸気)を用いて、それにて食材を調理することも可能である。ただし、過熱蒸気は、循環して使用されるので、その点で問題が生じないように対応すること(例えば、不純物の除去工程)が望ましい。
【0086】
さらに、油調加熱に替わるスチームフライを加熱釜40内において実現することができる。具体的には、高温(超高温)の過熱蒸気を用いて、フライを作ることにより、油の無い(又は少ない)ヘルシーなフライを実現することができる。また、これにより、油調に伴う工場環境の悪化や廃油の環境問題を解決することができる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明によれば、連続して生成する過熱蒸気を用いた新規な加熱調理機(多目的加熱調理機)および加熱調理方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0088】
10 貯水タンク
11 液体
12 補給タンク
13 配管
14 連通管
15 接続端
17 水位表示器
19 温度センサ
20 湯気発生装置
20 湯気発生装置
22 第1電熱ヒータ
23 フィン
24 第1ハウジング
25 接続端
26 開口部
28 配管
30 過熱蒸気発生装置
32 第2電熱ヒータ
33 フィン
34 第2ハウジング
35 開通孔
40 加熱釜
42 扉部
44 本体部
45 開口部
46 流量調整弁
46’ 取り付け口
47 温度センサ
48 貯水加熱用配管
49 スパージ部
50 調理容器
50a 高温用容器部
50b 低温用容器部
51 循環用配管
52 調理容器
54 配管
55 蓋部
57 調理器具
70 制御装置
71 配線
73 表示部
80 フレーム
82 タイヤ
85 カバー
100 加熱調理機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過熱蒸気を用いて複数の温度域の加熱を実行する加熱調理機であって、
液体が蓄えられる貯水タンクと、
前記貯水タンクに連通管を通して接続され、前記貯水タンクから供給される液体を加熱することによって湯気を発生させる湯気発生装置と、
前記湯気発生装置に接続され、当該湯気発生装置で発生した前記湯気を加熱することによって過熱蒸気を発生させる過熱蒸気発生装置と、
前記過熱蒸気発生装置で発生した前記過熱蒸気が導入され、食品を加熱する加熱釜と
を備え、
前記湯気発生装置は、
前記液体を加熱する第1電熱ヒータと、
前記第1電熱ヒータを収納し、前記液体を保持する第1ハウジングと
から構成されており、
前記第1ハウジングと前記貯水タンクとは前記連通管で互いに接続され、それによって、前記第1ハウジング内の前記液体の水位と、前記貯水タンク内の前記液体の水位は一致しており、
前記過熱蒸気発生装置は、
前記湯気を加熱する第2電熱ヒータと、
前記第2電熱ヒータを収納し、前記湯気を保持する第2ハウジングと
から構成されており、
前記第2電熱ヒータの一部および前記第2ハウジングの一部は、前記加熱釜の内部に位置しており、
前記加熱釜の内部に位置している前記第2ハウジングには、前記加熱釜の内部に前記過熱蒸気を導入するための開通孔が形成されており、
前記加熱釜の一部には、前記加熱釜の内部と通じた第1調理容器が取り付けられており、
前記第1調理容器は、前記貯水タンクに接続されている、加熱調理機。
【請求項2】
さらに、第1調理容器に循環用配管を介して接続された第2調理容器を備えており、
前記第2調理容器は、前記貯水タンクに接続されている、請求項1に記載の加熱調理機。
【請求項3】
前記第1調理容器は、高温用容器部と、低温用容器部とからなり、
前記高温用容器部は、前記低温用容器部よりも上方の位置で前記加熱釜に取り付けられている、請求項1または2に記載の加熱調理機。
【請求項4】
前記高温用容器部は、前記加熱釜の最上部に取り付けられている、請求項3に記載の加熱調理機。
【請求項5】
前記加熱釜は、貯水加熱用配管を通して、前記貯水タンクに接続されている、請求項1から4の何れか一つに記載の加熱調理機。
【請求項6】
前記貯水加熱用配管は、前記貯水タンクの内部に、前記加熱釜の内部からの過熱蒸気を噴き出すスパージ部を有している、請求項5に記載の加熱調理機。
【請求項7】
前記第1ハウジングと前記貯水タンクとを接続する前記連通管は、前記貯水タンク側に少なくとも2つの接続端を有している、請求項1から6の何れか一つに記載の加熱調理機。
【請求項8】
前記貯水タンクには、当該貯水タンクに前記液体を補給する補給タンクが接続されている、請求項1から7の何れか一つに記載の加熱調理機。
【請求項9】
前記貯水タンクには、前記液体を補給する水道口が接続されている、請求項1から7の何れか一つに記載の加熱調理機。
【請求項10】
前記第2電熱ヒータおよび前記第2ハウジングは、前記加熱釜の内部に半分以上の長さ位置している、請求項1から9の何れか一つに加熱調理機。
【請求項11】
前記第1電熱ヒータには、フィンが設けられている、請求項1から10の何れか一つに記載の加熱調理機。
【請求項12】
前記第2電熱ヒータには、フィンが設けられている、請求項1から11の何れか一つに記載の加熱調理機。
【請求項13】
さらに、前記第1電熱ヒータおよび前記第2電熱ヒータに接続され、それらの加熱を制御する制御装置を備えている、請求項1から12の何れか一つに記載の加熱調理機。
【請求項14】
前記貯水タンクおよび前記加熱釜の内部には、温度センサが取り付けられており、
前記温度センサは、前記制御装置に接続されている、請求項13に記載の加熱調理機。
【請求項15】
前記湯気発生装置で発生した前記湯気は、ゲージ圧力0.1MPa以下の微圧力である、請求項1から14の何れか一つに記載の加熱調理機。
【請求項16】
前記第1電熱ヒータおよび前記第2電熱ヒータでは、動作時において1.2気圧以下の内部圧力で加熱が実行される、請求項15に記載の加熱調理機。
【請求項17】
前記加熱釜では、動作時において1.2気圧以下の内部圧力で加熱が実行される、請求項15または16に記載の加熱調理機。
【請求項18】
前記加熱釜に導入される前記過熱蒸気は、飽和水蒸気である、請求項1から17の何れか一つに記載の加熱調理機。
【請求項19】
前記食品は、水産物、肉類、パンおよび米からなる群から選択される少なくとも一つである、請求項1から18の何れか一つに記載の加熱調理機。
【請求項20】
前記貯水タンク、前記湯気発生装置、前記加熱釜、前記第1調理容器は、一体型のカバーで覆われており、
前記加熱釜の取り出し扉、および、前記第1調理容器の上部が、前記一体型のカバーから露出している、請求項1から19の何れか一つに記載の加熱調理機。
【請求項21】
過熱蒸気を用いた加熱調理方法であって、
液体が蓄えられる貯水タンクから、連通管を通して、湯気発生装置に液体を導入する工程と、
前記湯気発生装置で発生した湯気を加熱することによって、過熱蒸気を発生させる工程と、
前記過熱蒸気発生装置で発生した前記過熱蒸気を、加熱釜に導入する工程と、
前記加熱釜に充満している過熱蒸気を、前記加熱釜の内部に繋がっている第1調理容器に導入する工程と、
前記第1調理容器において使用された蒸気を、当該第1調理容器に接続された第2調理容器に導入するとともに、前記貯水タンクに導入する工程と、
前記加熱釜に充満している前記過熱蒸気を、前記貯水タンクに導入する工程と
を含み、
前記加熱釜で食品が加熱されるとともに、前記第1調理容器および前記第2調理容器で食品が加熱され、
前記加熱釜の加熱温度が、前記第1調理容器の加熱温度よりも高く、
前記第1調理容器の加熱温度が、前記第2調理容器の加熱温度よりも高いことを特徴とする、加熱調理方法。
【請求項22】
前記加熱釜で食品が加熱される際、前記加熱釜の内部は、大気よりも酸素が少ない状態である、請求項21に記載の加熱調理方法。
【請求項23】
前記加熱釜に導入される前記過熱蒸気は、飽和水蒸気である、請求項21または22に記載の加熱調理方法。
【請求項24】
前記加熱釜の加熱調理は過熱蒸気によって行われ、前記第1および前記第2調理容器の加熱調理は過熱蒸気または蒸気によって行われ、前記加熱釜の加熱調理ならびに前記第1および前記第2調理容器の加熱調理において火を用いないことを特徴とする、請求項21から23の何れか一つに記載の加熱調理方法。
【請求項25】
前記加熱釜の加熱温度は、300℃以上である、請求項21から24の何れか一つに記載の加熱調理方法。
【請求項26】
前記食品は、水産物、肉類、パンおよび米からなる群から選択される少なくとも一つである、請求項21から25の何れか一つに記載の加熱調理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図11】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−21839(P2011−21839A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−168206(P2009−168206)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【特許番号】特許第4427090号(P4427090)
【特許公報発行日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(399054572)友田セーリング株式会社 (3)
【出願人】(505227157)友田水産株式会社 (3)
【出願人】(505227179)株式会社 豊祥 (3)
【出願人】(505227180)和汽産業有限会社 (3)
【Fターム(参考)】