説明

道路曲率見積もりシステムおよび自動車目標状態見積もりシステム

【課題】道路の曲率を見積もる。
【解決手段】第一のカルマンフィルター(52)は、ヨーレートおよび速さの測定値をホスト車両内のそれぞれのセンサー(16、18)の測定値から見積もり、第二のカルマンフィルター(54)はそれらから道路曲率のクロソイドモデルのパラメータを見積もる。レーダーシステム(14)からのレンジ、レンジレートおよびアジマス角の測定値は、目標車両36の状態の非束縛の見積もりを提供するために拡張されたカルマンフィルター(56)によって処理される。関連する道路に束縛された目標の状態の見積もりは一または二以上の道路のレーンについて発生され、独立でまたは組み合わせで非束縛の見積もりと比較される。もし束縛された目標の状態の見積もりが非束縛の見積もりに対応しているなら、目標車両の状態は非束縛及び束縛の見積もりの統合で発生され、そうでないならば、非束縛の見積もりのみで与えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
態様の説明
図1を参照すると、予測的衝突検出システム10はホスト車両12に組み込まれ、ホスト車両12の外部にある物体を検出するレーダーシステム14、および、例えばジャイロスコープセンサーなどのヨーレートセンサー16、ホスト車両12の運動を検出するためのスピードセンサー18などのセンサー群を含む。ヨーレートセンサー16とスピードセンサー18はそれぞれホスト車両12のヨーレートとスピードの測定値を与える。例えばドップラーレーダーシステムなどのレーダーシステム14は、アンテナ20およびレーダープロセッサー22を含み、レーダープロセッサー22はアンテナ20から送信され、その視野角内の物体に反射するRF信号を発生する。レーダープロセッサー22は、反射し、アンテナ20で受信された関連するRF信号を復調し、アンテナ20から送信されたRF信号を照射された一または二以上の物体に応答する信号を検知する。例えば、レーダーシステム14は、ホスト車両12に固定された座標における目標のレンジ、レンジレート、およびアジマス角の測定値を提供する。図2を参照すると、アンテナ20は、ビームコントロール部24に応答して、例えば電気的あるいは機械的に、例えば±50度などの±γのアジマス角にわたってスキャンするRFエネルギーのレーダービーム23を発生するように適合し、レーダービーム23は、予想される事故を避けあるいはそれによる損害あるいは負傷を緩和するためにホスト車両12が採る有力な行動を緩和することができるように、ホスト車両12との予想される衝突の前十分遠くで目標を検出できるように、例えば100メートルのなどの十分に遠い距離範囲を持っている。レーダープロセッサー22、ヨーレートセンサー16、およびスピードセンサー18は、例えば目標車両36(図3に図示)などの物体との衝突が起こりそうか否かを決定し、もし起こりそうであれば、加えて例えば一または二以上の関連する警告システム28または安全システム30(例えばエアバッグ)の作動または予測される事故を避け、またはその帰結を軽減するために回避行動をとるための車両制御システム32(例えば関連するブレーキまたはステアリングシステム)の使用などの採るべき行動を決定する関連する予測的衝突アルゴリズムに従って動作するシグナルプロセッサー26に動作可能に連結している。
【0002】
図3を参照すると、ホスト車両12はレーンが複数ある直線またはカーブの道路34を走行しており、目標車両36は逆方向、すなわちホスト車両12に向かって走行していることが示されている。一般的に、それぞれホスト車両12と同じ方向または逆方向に走行している目標車両36は、道路34上であれば、何台でも良い。目標車両36はホストレーン38にいても良いし、隣接レーン40にいてもよく、隣接レーン40はホストレーン38と近接していてもよいし分離していても良いが、一般的にはそれと平行である。解析する目的のために、ホスト車両12はレーン38のセンターライン41に沿ってレーン内でふらつくことなく走行していると仮定し、全ての平行レーン38、40の曲率は等しいと仮定する。ホスト車両12と検出可能な全ての目標車両36の進行角度(heading angle)の差が15度以下となるように、道路曲率は小さいと仮定する。
【0003】
図4を参照すると、予測的衝突検出システム10は、ホストに固定した座標における各測定時のそれぞれの目標車両の二次元的な位置、速度、加速度
【数1】

を見積もるために、好ましくは誤差を可能な限り小さくして、
そのスピードセンサー18およびヨーレートセンサー16それぞれからのホスト車両12の速さUおよびヨーレートω
ホスト車両12に装着されたレーダーシステム14から得られる、全ての目標車両36のレンジr、レンジレート
【数2】

およびアジマス角η;
の測定値を、全ての測定値の誤差共分散行列との対応に従って用いる。予測的衝突検出システム10は、(1)ホスト車両の運動センサー、換言すればヨーレートセンサー16とスピードセンサー18からの測定値を用いた、道路34の曲率を見積もるための道路曲率見積もりサブシステム42、(2)レーダービーム23によって照らされ、レーダープロセッサー22によって検出された目標車両の状態を見積もるための非束縛目標状態見積もりサブシステム44、(3)目標が道路34のホストレーン38か隣接レーン40のいずれか可能なレーンに束縛されていると仮定し、目標の束縛の状態を見積もるための束縛目標状態見積もりサブシステム46、(4)非束縛目標状態といずれかの束縛に束縛された目標の状態のいずれが目標の状態として最適かを決定する目標状態決定サブシステム48、および、(5)統合された目標の状態を発生するために、非束縛目標状態を目標状態決定サブシステム48によって特定された適切な束縛と統合するための目標状態統合サブシステム50、を含む。ホスト車両12が目標と衝突する危険があるのか否かを決定し、もしあるなら、例えば警告システム28、安全システム30または車両制御システム32のいずれかまたはこれらの組み合わせの行動によって、衝突の結果を和らげるために最適な行動を決定し、生じさせるために、最良の見積もり(非束縛目標状態か統合された目標の状態のいずれか)は決定または制御サブシステムに用いられる。可能な場合には、道路34の幾何学的構造を目標の運動に対する束縛として使用することは、より正確な目標の状態の見積もりを提供し、それに応じて採られる行動の信頼性を向上させる。
【0004】
図5を参照すると、ホスト車両12の視野角内の目標の状態、換言すれば運動学的変数を検出する方法500が示されており、そのステップは例えばシグナルプロセッサー26で実行される。ステップ502および504では、道路34に対するホスト車両12の速さUとヨーレートωがそれぞれスピードセンサー18およびヨーレートセンサー16からそれぞれ読み込まれる。その後、ステップ506で、道路34の曲率パラメータとそれに関連する共分散が、それぞれホスト車両12の状態(換言すれば、ホスト車両12の運動状態変数)とそれに関連する共分散を見積もりその後道路34の曲率パラメータとそれに関連する共分散を見積もる第一のカルマンフィルター52と第二のカルマンフィルター54を用いて、見積もられる。ここで、後文に説明するとおり、道路34の曲率パラメータおよびその共分散は、次いで、予測的に目標車両36が存在する有力な位置における関連する束縛を発生するために、束縛目標状態見積もりサブシステム46に用いられる。
【0005】
良くデザインされ、構成されている道路34は、曲率を含む一組のパラメータで記述することができ、ここで、道路34のある弧の曲率は、
【数3】

と定義される。ここで、Rはその弧の半径である。一般的に、なめらかな道路34では、曲率の変動は、いわゆるクロソイドモデル、換言すれば、
【数4】

によって、道路34に沿った距離lの関数として記述できる。ここで、C=1/Aであり、Aはクロソイドパラメータと呼ばれる。
【0006】
図6を参照すると、進行方向を定義する進行角度θは、
【数5】

により得られる。等式(2)を等式(3)に代入すると、
【数6】

が得られる。
【0007】
図6を参照すると、x-y座標での道路34の等式は、
【数7】

および
【数8】

で与えられる。
進行角度θが15度以下である、すなわち
【数9】

と仮定すると、等式(5)および(6)はおよそ、
【数10】

【数11】

とすることができる。
【0008】
従って、道路34は、付加的な曲率の係数CとCによってモデル化される。この付加的な道路の等式は広範囲の道路の形状を以下のごとく記述する;(1)直線の道路34では、C=0かつC=0;(2)円状の道路34では、C=0;(3)進行角度θが15度以下であって任意の形状を持つ一般的な道路34では、C>0である。
道路曲率パラメータCとCは、ホスト車両12が道路34のセンターライン41または関連するホストレーン38に沿って動いているとの仮定の下、ホスト車両12内の運動センサー(ヨーレートセンサー16とスピードセンサー18)からのデータを用いて見積もられる。
【0009】
道路曲率パラメータCとCは、ホスト車両12の運動センサーから手に入るホスト車両12のヨーレートωと速さUに応答する
【数12】

のデータから計算できる。しかしながら、一般的にヨーレートセンサー16とスピードセンサー18からそれぞれえられる、ヨーレートωと速さUの測定値はノイズが多い。関連するノイズの多いヨーレートωと速さUの測定値から
【数13】

の見積もりを発生するために、第一のカルマンフィルター52によって実行されるホスト状態フィルターが有益である。その後、曲率パラメータCとCの平滑化した見積もりを発生するために、第二のカルマンフィルター54によって実行される曲率フィルターが用いられる。ホスト状態フィルターのためのホスト車両12の力学は、以下に与えられる所定の運動学的等式(この場合は一定の速度)に従う:
【0010】
【数14】

【数15】

ここで、
【数16】

であり、Tはサンプリング周期であり、上付の(・)はこのフィルターがホストフィルターであることを示し、Uとωはホスト車両12の速さとヨーレートの測定値である。第一のカルマンフィルター52は、図4に示されるとおり、ホスト状態
【数17】

とその誤差共分散
【数18】

を見積もるために実行される。
【0011】
第一のカルマンフィルター52、すなわちホスト状態フィルターからのホスト状態の見積もりは、その後第二のカルマンフィルター54、すなわち曲率係数フィルターにインプットされる統合的な測定値(synthetic measurement)を発生するために用いられる。ここで、関連するカルマンフィルター52と54は、後掲の付録にて全体を説明するカルマンフィルタリングプロセスに従って動作する。道路曲率パラメータCとCとホスト状態変数
【数19】

との関係は以下の通りである。
【0012】
図7に示されるように、等式(4)から道路の半径Rは一般的に道路に沿った距離lの関数R(l)として表される。等式(4)の両辺の時間微分をとると、次の等式が得られる。
【数20】

ここで、
【数21】

すなわちホスト車両12のヨーレートであり、
【数22】

すなわちホスト車両12の速さであることに注目すべきである。そして、クロソイドモデルの等式(2)を等式(12)に代入すると、以下の式が得られる。
【0013】
【数23】

または、
【数24】

クロソイドパラメータCは、l=0の地点における曲率の値Cまたは
【数25】

として与えられる。
【0014】
等式(14)の両辺の微分をとると、
【数26】

となる。
等式(2)からCの定義を用いると、Cはホスト状態に関して以下のように表される。
【数27】

【0015】
曲率の見積もり
【数28】

を発生する、第二のカルマンフィルター54、すなわち曲率フィルターのシステム方程式(system equation)は、
【数29】

【数30】

によって与えられる。ここで、
【数31】

であり、Δtは第二のカルマンフィルター54の更新周期であり、測定値ベクトル
【数32】

の要素の値は曲率フィルターの状態変数に対応する値−−すなわちクロソイドパラメータCとC−−によって与えられる。
【0016】
測定値
【数33】

は見積もられた状態
【数34】

から以下のように変換される。
【数35】

そして、測定値の関連する共分散は、
【数36】

で与えられる。ここで、
【数37】

である。
【0017】
道路34の曲率パラメータを見積もる他のシステムおよび方法が、上述の道路曲率見積もりサブシステム42と置換されても良いということが理解されるべきである。例えば、道路曲率パラメータは、関連するセンサーから得られる速さUとヨーレートωの測定値を基にした上述のシステムの代わりに、またはこれと協働で、道路34の画像から視覚システムによって見積もっても良い。さらに、ヨーレートは様々な方法によりまたは様々な手段を用いて測定または決定することができることが理解されるべきである。これに限定されるものではないが、例えば、ヨージャイロセンサー(yaw gyro sensor)、ステアリング角センサー、微分式車輪速度センサー(differential wheel speed sensor)、またはGPSを基にしたセンサーやこれらの組み合わせ、またはこれらの測定値の関数(例えば、特に、ステアリング角比率)を用いることができる。
【0018】
再び図5を参照すると、ステップ508において、目標のレンジr、レンジレート
【数38】

およびアジマス角ηがレーダープロセッサー22から読み込まれ、それはその後拡張されたカルマンフィルター56、すなわちメインフィルターの入力として利用される。メインフィルターは、ステップ510で非束縛目標状態、すなわち目標の運動学的な状態の変数を見積もるものであり、その見積もり値はホスト車両12と共に動くローカル座標系(すなわちホストに固定された座標)における相対的な値である。束縛目標状態の見積もりを発生するために後述する関連する束縛での等式の中で使う場合に、道路に束縛される等式が由来し関連する曲率パラメータが一定であると仮定される絶対座標系と一致するように、ステップ512で非束縛目標状態、すなわち目標の速度および加速度は図3に示されるようにその瞬間のホスト車両12に固定された絶対座標系の絶対座標に変換される。絶対座標系はその瞬間の空間における移動座標系を重ね、そのため、ステップ512での変換は、x方向、y方向の両方で、ホスト車両12の速度および加速度を応答する目標の見積もりに加算することで実現される。
【0019】
ステップ512での拡張されたカルマンフィルター56の出力の座標変換の結果は、ホスト車両12に対する目標車両36の相対的なxとyのそれぞれの位置に対応して、以下のような部分に分配される。ここで上付の1は目標車両36の非束縛目標状態であることをしめす。
【数39】

【0020】
再び図5を参照すると、ステップ506と512に続く、後文でより全体を説明するステップ514から524では、目標車両36が有力な束縛に従って運動していると考えられるかどうかを決定するために、目標車両36の有力な軌道の様々な束縛が適用されテストされる。例えば、束縛条件はホストレーン38および有力な隣接レーン40を含むレーンの組を形成すると仮定され、また、有力な束縛条件に従って運動すると考えられる目標車両36はホストレーン38または有力な隣接レーン40の内の一つのいずれかの上を運動していると考えられるであろう。ステップ524では、目標車両36はホストレーン38または有力な隣接レーン40の内の一つのいずれかの上を運動しているという仮説はそれぞれの有力なレーンについてテストされる。もし、有力なレーンの一つについてその仮説が満足しないのであれば、ステップ526で目標の状態は非束縛目標状態であると仮定され、それは次の予測的衝突検出解析およびそれに応答する制御に用いられる。そうでなければ、ステップ524から、ステップ528で目標の状態は目標状態統合サブシステム50によって、非束縛目標状態とステップ524で最も適当であると特定された関連する束縛の状態との統合として計算される。
【0021】
目標が束縛条件に束縛されていると考えられるかどうかを決定し、もしそうなら何が最も適当な束縛条件かを決定するステップ514から524のプロセスについて議論する前に、非束縛目標状態と束縛状態との統合のプロセスを、目標車両36がホスト車両12と同じレーンを動いている場合においてまず説明する。束縛条件はy方向のみアクティブであると仮定され、ホスト車両12はレーン38のセンターライン41に沿ってレーン内をふらつくことなく安定走行し、かつ平行レーン38、40の曲率は等しいとの仮定と一致し、また絶対座標系はその瞬間のホスト車両12に固定されていることから与えられる。ステップ514で、目標車両36がホスト車両12と同じレーン38を走行していると仮定し、見積もられた係数と共に道路の束縛の等式を用いるので、束縛の状態の変数は横方向の運動学的変数に関して以下のように与えられる。
【0022】
【数40】

および
【数41】

ここで、
【数42】

であり、また、
【数43】

である。
【0023】
ステップ528で、一つはメインフィルターからで他方は道路の束縛条件からの二つのy座標の見積もりは以下の通り統合される。
【数44】

【数45】

最終的に作られた目標の状態の見積もりは、
【数46】

および
【数47】

であり、ここで、
【数48】

である。
【0024】
もしステップ514から524において目標車両36がホストレーン38を走行していると決定されたならば、ステップ530でこの作られた見積もりが目標の状態の見積もりとして出力される。
【0025】
目標が束縛に束縛されていると考えられるかどうかを決定し、もしそうなら何が最も適当な束縛条件かを決定するステップ514から524のプロセスに戻る。目標は同じ道路34に従っているという仮定に従うと、もし目標車両36が特定のレーン内を走行していると分かったならば、そのレーンの見積もられた道路のパラメータを目標の運動を見積もるメインフィルター内の束縛条件として使うことが望まれるであろう。しかしながら、現在目標車両36が走行しているレーンの知識は、一般的に得ることができず、特に目標が曲がった道路34を走行しているときは得られない。道路の等式(8)はホストを中心とした座標内のホストレーン38についてのみの式であるから、束縛のフィルタリングは目標がどちらのレーンにいるかが分かっていることを必要とするであろうし、また異なったレーンには異なった束縛の等式が必要であろう。これらの平行レーン間の曲率を無視する、すなわちそれぞれのレーンの曲率が等しいと仮定すると、任意のレーンについての道路の等式は
【数49】

と書ける。ここで、Bはレーンの幅であり、mは記述すべきレーンを表す(m=0はホストレーン38に対応し、m=1は右の隣接レーン40に対応し、m=−1は左の隣接レーン40に対応し、以下は同様である。)。目標のレーン位置についての事前知識なしに、複数束縛系(multiple constraint system)(いわゆる複数モデル系(multiple model system)と似ている)を構成する複数の束縛は、もしあれば、どの束縛がアクティブであるかを決定するためにテストされる。複数束縛(MC:multipul constraint)系は、一つの有限の数Nに従う。いずれの与えられた時間においても一つの束縛のみが有効である。このようなシステムはハイブリッドと呼ばれ、不連続な数の束縛と同様に連続的(ノイズ)な状態変数を持つ。
【0026】
以下の定義およびモデリング仮定はこの問題の解決を促進する。
束縛の等式:
【数50】

ここで、
【数51】

はtで終了するサンプリング周期の間有効な、時間tにおける束縛条件を意味する。
【0027】
可能なNの束縛条件の間の束縛条件:
【数52】

【数53】

:束縛条件
【数54】

を用いた時間tにおける状態の見積もり
【数55】

:束縛条件
【数56】

下での時間tにおける共分散行列
【数57】

:時間tk−1において目標が束縛条件jに従っている確率
【0028】
束縛条件のジャンププロセス(constraint jump process)は既知の遷移確率を用いたマルコフチェーンである:
【数58】

一以上の有力な束縛の状態を有する系にマルコフモデルを導入するために、それぞれのスキャン時間に目標が束縛の状態iからjへと遷移する確率が存在すると仮定する。これらの確率は事前に分かっており、以下に示す確率遷移行列として表すことができると仮定する。
【数59】

【数60】

が正しい(
【数61】

が有効)という事前の確率は
【数62】

であり、ここで、Zは事前の情報であり、正しい束縛条件は仮定されたNの束縛条件の中にあるので、
【数63】

である。
【0029】
束縛目標状態見積もりサブシステム46は、目標の状態が有力な束縛の状態に対応するかどうかの決定を提供し、もしそうであれば、最も適切な束縛の状態の決定を提供する。
【0030】
これを決定する方法の一つは、バーシャローム(Bar-Shalom)によって提案された複数モデルフィルタリングアルゴリズム(multiple model filtering algorithm)であり、ここではNの並列フィルターが同時に実行される。
【0031】
他の方法では、複数束縛(MC)見積もりアルゴリズムは、それぞれの束縛の状態に関する尤度関数および確率の計算に伴う尺度として非束縛の状態の見積もり
【数64】

を用いることで、Nの束縛された状態の見積もりを調和させ、更新する。複数束縛(MC)見積もりアルゴリズムの一つの実施態様では、束縛の状態の見積もりの出力は全ての束縛された状態の見積もりの組み合わせからなる。もしこの束縛された状態が有効であれば、すなわちもし束縛の状態の見積もりが非束縛の状態の見積もりに応答していれば、目標状態は束縛の状態と非束縛の状態の見積もりの統合から得られる。そうでなければ、目標状態は非束縛の状態の見積もりから得られる。この複数束縛(MC)見積もりアルゴリズムの実施態様は以下のステップを含む。
【0032】
1.複数束縛からの状態変数の見積もり
ステップ514では、等式(24)の第一行を置き換えるために複数レーン道路の等式(33)を用いるので、複数束縛の状態の見積もりは、
【数65】

によって与えられ、ここで、
【数66】

であり、Bはレーンの幅である。別に述べたように、束縛の状態の見積もりは、目標車両36が位置することができるそれぞれの有力なレーンのセンターラインのy座標に応答する。
関連する共分散は
【数67】

で与えられる。ここで、
【数68】

は等式(26)と(27)によって与えられ、
【数69】

は等式(23)から、
【数70】

は曲率フィルターから得られる。
【0033】
2.束縛された状態の更新
ステップ516では、有効な束縛の状態にある状態の見積もりと共分散は、尤度関数と同様に、
【数71】

のそれぞれの束縛の状態について更新される。束縛の状態jに対応する更新された状態の見積もりと共分散は尺度
【数72】

を用いることで以下のように得られる。
【数73】

【数74】

【数75】

【0034】
3.尤度計算
ステップ518では、束縛の状態jに対応する尤度関数は、尺度が
【数76】

のそれぞれの束縛の状態における束縛された状態の見積もりの周囲にガウス分布すると仮定して、非束縛目標状態の見積もりの値
【数77】

において以下のように評価される。
【数78】

ここで、ガウス分布N( ; , )は平均値
【数79】

と関連する共分散
【数80】

を持つ。
【0035】
4.束縛確率評価
ステップ520では、
【数81】

のそれぞれの束縛の状態において、更新された束縛確率が以下のように計算される。
【数82】

ここで、
【数83】

は束縛jが有効である遷移の後の確率であり、
【数84】

により与えられ、規格化定数は
【数85】

である。
【0036】
5.全体的な状態見積もりと共分散
ステップ522では、最新の束縛の状態の見積もりと共分散の組み合わせが、
【数86】

【数87】

【数88】

によって与えられる。
【0037】
上記のアルゴリズム内のステップ522からの見積もり器の出力は、等式(28)と(29)で表される統合プロセスの束縛された見積もりとして用いられ、等式(32)の結果の代わりに等式(51)の結果が等式(31)に用いられる。
目標車両36が道路34に従っていないとき、またはレーンを変更しているときには、運動学的状態変数に道路の束縛を課すことは、関連した非束縛の見積もりを用いるよりも悪いであろう間違った見積もりに終わるであろう。しかしながら、ノイズに関連した見積もりの誤差は、正しい道路の束縛条件を無効であると思わせる原因となりうる。従って、
有効な場合、すなわち目標車両36が特定のレーンにいる場合、に束縛を有効であるように保ち、無効である場合、すなわち、目標車両36がレーンを離れている場合にそれを即座に引き上げる手段を導入することは有益である。独立した目標の状態の見積もりを提供するので、非束縛目標状態は道路の束縛変数にとって重要な役割を担う。
【0038】
一つのやり方は、非束縛目標状態は道路の束縛の等式を満足するという仮説、または同様に束縛の状態の見積もりと非束縛の状態の見積もりはそれぞれ同じ目標に対応しているという仮説を検証することである。最善の検証はこれまでの時間tにおける全ての入手可能な目標状態の見積もりを使用することを要求するであろうし、これは一般的に実用的ではない。実用的なやり方は、最も新しい状態の見積もりのみに基づいて実行される逐次仮説検証である。上文で使用した表記法に従って、束縛と非束縛の目標状態の見積もり(y方向のみ)は、
【数89】

で示され、これは、
【数90】

の見積もりとしてのものである。ここで、
【数91】

は実際の目標状態で、
【数92】

は道路34(またはレーン)に沿って動く目標の実際の状態である。ステップ524では、「同じ目標」仮説が検証される。すなわち、
【数93】


【数94】

である。
【0039】
メインフィルター誤差
【数95】

は束縛から生じる誤差
【数96】

から独立であると仮定される。差
【数97】

の共分散は仮定Hの下、
【数98】

で与えられる。
見積もりの誤差がガウシアンであると仮定すると、H対Hの検証は、以下のようになる。
【数99】

閾値は、
【数100】

のように選ばれ、ここで、αは所定の許容誤差値である。
【0040】
ここで、上述のガウシアン誤差仮説に基づくと、
【数101】

は自由度nのカイ二乗分布をもつことに留意すべきである。この閾値の選択は重要な設計要素であり、特定の用途における必要性に基づくべきである。道路での車両衝突予測では、ホストレーン38内の目標は衝突するコースにいるとみなされ、隣接レーン40の一つにいる目標よりも危険であると判断される。それ故、束縛フィルタリングは、「レーン変更」操作中にそのような目標はホスト車両に衝突する恐れを生じさせないという正確な目標の状態の見積もりを提供できるので、ホストレーン38内にいる目標に対して高い閾値(低い許容誤差値)が望ましい。一方で、隣接レーン40にいる目標は通常は通り過ぎる車両であると考えられる。束縛フィルタリングは誤った警報の割合を下げるであろうが、目標の「レーン変更」操作(ホストレーン38に入ってくる)は実際にホスト車両12に衝突する危険を生じさせうる。それ故、もし誤った警報の割合が十分に低いのであれば、隣接レーン内の目標に対しては低い閾値(高い許容誤差値)が望ましい。
【0041】
上述の解析に基づくと、仮説の検証スキームは、現在目標がどちらのレーン内にいるのが最も有力かについての知識を提供する複数束縛フィルタリングアルゴリズムとともに、効率的には異なったレーンの目標に対しては異なった閾値を用いる。道路34にはNの有力なレーンがありそれぞれのレーンは束縛の等式で記述されると仮定するので、最も高い確率
【数102】

を用いた目標についての束縛の等式は、時間t(現在の時間)において目標がいるとして最も有力なレーンに対応する。この最も有力なレーンをlと表すと、
【数103】

となる。
【0042】
非束縛の状態の見積もりとレーンlの束縛の状態の見積もり(y方向のみ)の間の差は、
【数104】

で示され、これは、
【数105】

の見積もりである。ここで、
【数106】

は実際の目標状態で、
【数107】

はレーンlに沿って動く目標の実際の状態である。「同じ目標」仮説の検証は、
【数108】


【数109】

で与えられる。
【0043】
束縛の状態の見積もりの誤差は、
【数110】

で与えられる。
見積もりの誤差は独立でありガウシアンであると仮定するので、H対Hの検証は、以下のようになる。
【数111】

ここで、
【数112】

であり、閾値は
【数113】

である。ここで、
【数114】

である。
【0044】
束縛フィルタリングによって見積もりの正確さは大幅に改善しているが、このようなレーンに適応した仮説の検証スキームは、目標車両36が現在のレーンを離れた場合に目標状態の見積もりの出力のプロンプトスイッチを非束縛の状態に提供する。
【0045】
複数束縛(MC)見積もりアルゴリズムのための他の態様では、仮説の検証に用いられる束縛の状態の見積もりは、全ての束縛された目標状態の見積もりからなる組み合わせではなく、最も有力な個々の目標状態の見積もり(すなわち「勝者総獲得」戦略)である。もしこの最も有力な束縛の状態の見積もりが有効であれば、すなわちその最も有力な束縛の状態の見積もりが非束縛の状態の見積もりに対応していれば、目標の状態は最も有力な束縛の状態の見積もりと非束縛の状態の見積もりとの統合から得られ、そうでなければ目標の状態は非束縛の状態の見積もりから得られる。
【0046】
複数束縛(MC)見積もりアルゴリズムのためのさらにその他の態様では、仮説の検証はそれぞれの束縛の状態の見積もりに対して行われる。もし満足する仮説がなかったら、目標の状態は非束縛の状態の見積もりから得られる。もしただ一つの仮説が満足するのであれば、目標の状態は対応する束縛の状態の見積もりと非束縛の状態の見積もりとの統合から得られる。もし複数の仮説が満足するのであれば、複数の試みからの投票結果または異なった閾値での再度の仮説検証により、最も有力な束縛の状態が特定される。
【0047】
一般的に、ホスト車両12の環境の変化に対応するように、関連するパラメータと共に束縛条件の数(すなわち道路のレーンの数)は時間に応じて変化しうる。例えば、1レーンの道路、反対車線がある2レーンの道路、中央に右左折レーンがある3レーンの道路、反対車線が2レーンある4レーンの道路、または複数のレーンが分離されている高速道路を、ホスト車両12は一回のドライブで走ることができる。
【0048】
束縛および非束縛フィルタリングを用いた道路車両追跡シミュレーションが4つのシナリオについて実行された。全てのシナリオにおいて、ホスト車両12は15.5m/sで走行しており、目標車両36は同じ道路34上を15.5m/sで接近している。目標の最初の位置はホストからx方向に125メートル離れており、全てのレーンの幅を3.6メートルと仮定した。車両スピードセンサーの測定の分散は0.02m/sであり、ジャイロスコープヨーレート測定の分散は0.0063rad/sであった。レーダーレンジ、レンジレート、およびアジマス角の測定の分散はそれぞれ、0.5m、1m/s、1.5度であった。シミュレーションの結果は、関連する追跡フィルターの100回のモンテカルロの実行によって生成された。
【0049】
第一のシナリオでは、ホスト車両12と目標車両36は直線道路34(C=0かつC=0)を走行しており、目標車両36は同じレーンをホスト車両12に向かって走行している。図8a〜dは、非束縛および束縛のフィルタリングスキームにおける、目標の状態の見積もりと道路曲率の見積もりの結果を示し、図9a〜bは、非束縛および束縛のフィルタリングスキームにおける、目標車両36の横方向の位置、速度、および加速度のRMS誤差の平均を示している。束縛フィルタリングからの見積もりの誤差は実質的に減少している。目標車両36がホスト車両12から65メートル以上離れている48回目のレーダースキャンの前、束縛フィルタリングは、目標の横方向速度の見積もりでは誤差が40パーセント以上減少し、横方向加速度の見積もりでは誤差が60パーセント以上減少する結果を得た。目標車両36がホスト車両12から65メートル以内にいるときには、より適切な状況であり、束縛フィルタリングによって、横方向位置の見積もりでは誤差が50パーセント以上、横方向速度の見積もりおよび加速度の見積もりでは誤差が90パーセント以上減少した。
【0050】
第二のシナリオでは、ホスト車両12と目標車両36は曲がった道路34(C=−10−5かつC=−3×10−5)を走行しており、目標車両36は同じレーンをホスト車両12に向かって走行している。図10a〜dは非束縛および束縛のフィルタリングスキームにおける、目標の状態の見積もりと道路曲率の見積もりの結果を示し、図11a〜bは、非束縛および束縛のフィルタリングスキームにおける、目標車両36の横方向位置、速度、および加速度のRMS誤差の平均を示している。束縛フィルタリングからの見積もりの誤差は、目標車両36がホスト車両12から65メートル以内にいるときである48回目のレーダースキャン以降、実質的に減少している。目標車両36がホスト車両12からおよそ100メートル離れているときである20回目のレーダースキャン以前は、束縛フィルタリングと非束縛フィルタリングの見積もりの誤差は同じである。目標車両36がホスト車両12から65メートル〜100メートルの間に位置している間では束縛フィルタリングは、横方向速度および加速度の見積もりで誤差がおよそ30パーセント減少する結果となり、目標車両36がホスト車両12から65メートル以内の時には束縛フィルタリングによって、横方向位置の見積もりでは誤差が50パーセント以上、横方向速度の見積もりおよび加速度の見積もりでは誤差が90パーセント以上減少した。目標車両36が遠くにあるときの束縛フィルタリングの改善の欠如は、束縛の誤差がホスト車両12と目標車両36の間の距離に比例する原因である道路曲率パラメータの見積もり誤差に起因する。これは、曲率の見積もり誤差は大きくなりそれがレーン位置の曖昧さを大きくする原因となる曲がった道路34の場合により明らかである。
【0051】
第三のシナリオでは、ホスト車両12と目標車両36は直線道路34(C=0かつC=0)を走行しており、目標車両36は最初左の隣接レーン内にいて接近しきている。t=2.2秒(55回目のレーダースキャン)のとき、目標車両36はそのレーンをそれてホストレーン38の方へと向きを変え、t=4秒(100回目のレーダースキャン)のとき衝突する結果となる。図12a〜dは、非束縛および束縛フィルタリングスキームにおける、目標状態の見積もりの結果と横方向位置および速度のRMS誤差を示している。束縛妥当性仮説検証(等式(69))における誤差許容レベルは、ホストレーン38については
【数115】

、全ての隣接レーン40についてはα=0.5と選んだ。検証なしの束縛フィルタリングは目標車両36が向きを変えるまでは実質的に低い見積もり誤差を生じるが、目標車両36がそのレーン(左の隣接レーン)から向きを変え始めた後は、関連する目標の状態の見積もりは正しくなく、RMS誤差も非束縛フィルタリングのそれよりもはるかに大きい。これは、目標車両36がそのレーンをそれ始めた後は無効になる道路の束縛条件は、即座に引き上げられないということを暗示している。一方で、検証を用いる束縛フィルタリングは、目標車両36が向きを変えるまではやや小さい見積もり誤差を生じ、目標車両36が向きを変えた後は目標の状態の見積もりおよびRMS誤差で非束縛フィルタリングと同じであることを示しており、束縛フィルタリングの性能は非束縛フィルタリングのそれに迫っている。これは、目標車両36がそのレーンをそれ始めると即座に道路の束縛条件が引き上げられるということを暗示している。
【0052】
第四のシナリオは第三のシナリオに似ており、唯一の違いは、車両が直線道路ではなく曲がった道路34
【数116】

にいるということである。目標車両36はt=2.2秒のときそれはじめて、t=4秒のとき衝突する結果となる。図13a〜dは、非束縛および束縛フィルタリングスキームにおける、目標状態の見積もりの結果と横方向位置および速度のRMS誤差を示している。誤差許容レベルは第三のシナリオと同じで、結果および観測結果も第三のシナリオのそれと類似していた。提案された束縛の検証によって、目標車両36がそのレーンをそれ始めた後即座に、道路の束縛条件は引き上げられた。一般的に、目標車両36の横方向の運動の見積もりの正確さにおける束縛フィルタリングによる全体的な改善は、実質的に、目標車両36の横方向の運動の見積もりの正確さはしばしばレーダーの角度分解能の低さによって制限されるという事実によって与えられる。
【0053】
従って、直線および曲線の道路34における道路車両追跡のシミュレーション結果は、予測的衝突検出システム10は、目標車両36がホストレーン38にいるときに、目標車両36の横方向の運動の見積もりの誤差を実質的に減らすことができることを示している。目標車両36が隣接レーンからホストレーン38へ入る操作をするとき、予測的衝突検出システム10は即座にこの操作を検出し、誤った束縛の状態の結果を避けるために道路の束縛を引き上げる。レーダーの角度分解能の低さが横方向の運動の見積もりを悪くするという事実を考慮して、予測的衝突検出システム10は、目標車両36の横方向の運動の見積もりの正確さに実質的な改善を提供し、これは早くかつ信頼の置ける道路車両衝突予測に有益である。
【0054】
特定の実施態様が上述の詳細な説明で詳細に説明され、貼付の図面に図示されたが、当業者は、本明細書による教示の全体に照らしてその細部について多種の改変および代替を加えうることを認識するであろう。したがって、本明細書に開示される特定の構成は説明することのみを目的とし、本発明の範囲について限定を加えるものではなく、本発明の範囲は、貼付の請求の範囲の全範囲およびその均等物に対して与えられる。
【0055】
付録:カルマンフィルタリングの説明
ノイズの多い測定の組から、ノイズを前提として、状態と関連する動的システムの測定値を見積もるためにカルマンフィルターが用いられる。
システム力学は
【数117】

と定義される。ここで、
【数118】

は系の状態ベクトルであり、Fは系の行列であり、
【数119】

はそれぞれの状態変数に対応するノイズ変数であり、それぞれのノイズ変数は平均値0と関連する分散ベクトルQの対応する要素によって与えられる分散を有する。
【0056】
関連する系の測定の力学は
【数120】

によって与えられる。ここで、
【数121】

は系の測定のベクトルであり、Hは系の測定の行列であり、
【数122】

はそれぞれの測定変数に対応するノイズ変数であり、それぞれのノイズ変数は平均値0と関連する分散ベクトルRの対応する要素によって与えられる分散を有する。関連する分散ベクトルRの要素の値は、関連する典型的な動作環境の組における関連する系の典型的な測定の解析から事前に決めることができる。関連する分散ベクトルQの要素の値は、モデリング誤差からなる。一般的に、関連する行列
【数123】

は時間と共に変化できる。
【0057】
時間kにおける測定値
【数124】

および時間k−1における状態の値
【数125】


【数126】

を与えられて、カルマンフィルターは、時間kにおける関連する状態
【数127】

と関連する共分散
【数128】

を見積もるために用いられる。
【0058】
フィルタリングプロセスの最初のステップは、時間k−1の見積もりに基づいて、時間kにおける状態
【数129】

および関連する共分散
【数130】

を以下のように見積もる。
【数131】

【数132】

【0059】
次のステップは、時間kにおける尺度
【数133】

および関連する共分散行列Sを以下のように予測する。
【数134】

【数135】

【0060】
次のステップは、状態ベクトル
【数136】

および関連する共分散行列
【数137】

を更新するために用いるゲイン行列Gを、以下のように計算する。
【数138】

【0061】
最後に、時間kにおける状態ベクトル
【数139】

および関連する共分散行列
【数140】

が、関連する尺度
【数141】

に応答して以下のように見積もられる。
【数142】

【数143】

【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】予測的衝突検出システムに関するハードウェアのブロック図である。
【図2】予測的衝突検出システムで使用されるレーダービームの捕捉範囲のパターンである。
【図3】予測的衝突検出システムの動作を説明するための運転シナリオである。
【図4】予測的衝突検出システムのハードウェアおよび関連する信号処理アルゴリズムのブロック図である。
【0063】
【図5】予測的衝突検出システムの関連する信号処理アルゴリズムのフローチャートである。
【図6】道路曲率パラメータを決定するために使用する幾何学である。
【図7】円弧の幾何学である。
【0064】
【図8a】直線道路における目標の位置、横向きの速度、および道路曲率パラメータの見積もりの例である。
【図8b】直線道路における目標の位置、横向きの速度、および道路曲率パラメータの見積もりの例である。
【図8c】直線道路における目標の位置、横向きの速度、および道路曲率パラメータの見積もりの例である。
【図8d】直線道路における目標の位置、横向きの速度、および道路曲率パラメータの見積もりの例である。
【0065】
【図9a】図8a〜dに対応する、直線道路における非束縛フィルタリングおよび束縛フィルタリングからのRMS誤差である。
【図9b】図8a〜dに対応する、直線道路における非束縛フィルタリングおよび束縛フィルタリングからのRMS誤差である。
【0066】
【図10a】曲がった道路における目標の位置、横向きの速度、および道路曲率パラメータの見積もりの例である。
【図10b】曲がった道路における目標の位置、横向きの速度、および道路曲率パラメータの見積もりの例である。
【図10c】曲がった道路における目標の位置、横向きの速度、および道路曲率パラメータの見積もりの例である。
【図10d】曲がった道路における目標の位置、横向きの速度、および道路曲率パラメータの見積もりの例である。
【0067】
【図11a】図10a〜dに対応する、曲がった道路における非束縛フィルタリングおよび束縛フィルタリングからのRMS誤差である。
【図11b】図10a〜dに対応する、曲がった道路における非束縛フィルタリングおよび束縛フィルタリングからのRMS誤差である。
【0068】
【図12a】レーン変更を含む場合の、直線道路における目標の位置、横向きの速度、道路曲率パラメータおよび関連するRMS誤差の見積もりの例である。
【図12b】レーン変更を含む場合の、直線道路における目標の位置、横向きの速度、道路曲率パラメータおよび関連するRMS誤差の見積もりの例である。
【図12c】レーン変更を含む場合の、直線道路における目標の位置、横向きの速度、道路曲率パラメータおよび関連するRMS誤差の見積もりの例である。
【図12d】レーン変更を含む場合の、直線道路における目標の位置、横向きの速度、道路曲率パラメータおよび関連するRMS誤差の見積もりの例である。
【0069】
【図13a】レーン変更を含む場合の、曲がった道路における目標の位置、横向きの速度、道路曲率パラメータおよびそのRMS誤差の見積もりの例である。
【図13b】レーン変更を含む場合の、曲がった道路における目標の位置、横向きの速度、道路曲率パラメータおよびそのRMS誤差の見積もりの例である。
【図13c】レーン変更を含む場合の、曲がった道路における目標の位置、横向きの速度、道路曲率パラメータおよびそのRMS誤差の見積もりの例である。
【図13d】レーン変更を含む場合の、曲がった道路における目標の位置、横向きの速度、道路曲率パラメータおよびそのRMS誤差の見積もりの例である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路曲率を見積もる方法であって:
a.道路を走行中のホスト車両の縦方向速さを測定することにより速さの測定値を発生すること;
b.前記ホスト車両のヨーレートを測定または決定することによりヨーレートの測定値を発生すること;および
c.少なくとも一つの曲率パラメータを見積もること、
を含み、
ここで、前記少なくとも一つの曲率バラメータは道路曲率を表現し、前記少なくとも一つの曲率パラメータの見積もりの操作は前記速さの測定値および前記ヨーレートの測定値に応答する、前記方法。
【請求項2】
少なくとも一つの曲率パラメータは少なくとも一つの曲率のクロソイドモデルのパラメータを含み、前記曲率のクロソイドモデルは前記ホスト車両の座標系に関する、請求項1に記載の道路曲率を見積もる方法。
【請求項3】
少なくとも一つの曲率パラメータは第一及び第二のクロソイドモデルのパラメータを含み、ここで、前記第一のパラメータは定数であって、前記第二のパラメータは道路に沿った距離に対する曲率の感度である、請求項2に記載の道路曲率を見積もる方法。
【請求項4】
少なくとも一つの曲率パラメータの見積もりの操作は速さと角速度の測定値を少なくとも一つのカルマンフィルターで処理することを含む、請求項1に記載の道路曲率を見積もる方法。
【請求項5】
少なくとも一つのカルマンフィルターは第一及び第二のカルマンフィルターを含み、前記第一のカルマンフィルターは速さの測定値及びヨーレートの測定値から状態変数の第一の組を見積もるように適合し、前記第二のカルマンフィルターは前記状態変数の前記第一の組の見積もりから少なくとも一つの曲率パラメータを見積もるように適合する、請求項1に記載の道路曲率を見積もる方法。
【請求項6】
状態変数の第一の組は、車両速度、車両加速度、車両ヨーレートおよび車両ヨー加速度を含む、請求項5に記載の道路曲率を見積もる方法。
【請求項7】
道路上の目標車両の状態を見積もる方法であって:
a.道路曲率の見積もりを発生すること;
b.目標車両の非束縛の状態とその関連する共分散を見積もること;
c.前記道路曲率の見積もりに応答する、少なくとも一つの将来の目標車両の束縛を構築すること;
d.少なくとも一つの将来の目標車両の束縛に対応する、目標車両の少なくとも一つの束縛の状態及びその関連する共分散を見積もること;
e.目標車両の非束縛の状態および少なくとも一つの目標車両の束縛の状態から選ばれる、最も有力な目標車両の状態を決定すること;および
f.もし前記少なくとも一つの目標車両の束縛の状態が最も有力な状態であれば、非束縛の目標車両の状態およびその共分散を、関連する前記最も有力な状態の束縛の状態およびその共分散と統合し、目標車両の統合された状態およびその関連する統合された共分散の少なくとも一つを目標の見積もられた状態または共分散として出力し;そうでなければ、目標の非束縛の状態またはその関連する非束縛の共分散の少なくとも一つを、目標の見積もられた状態または共分散として出力すること
を含む、前記方法。
【請求項8】
道路曲率を見積もる操作が;
a.道路を走行中のホスト車両の縦方向速さを測定することにより速さの測定値を発生すること;
b.ホスト車両のヨーレートを測定または決定することによりヨーレートの測定値を発生すること;および
c.少なくとも一つの曲率パラメータを見積もること、
を含み、
ここで、少なくとも一つの曲率パラメータは道路曲率を表現し、前記少なくとも一つの曲率パラメータの見積もりの操作は前記速さの測定値および前記ヨーレートの測定値に応答する、請求項7に記載の道路上の目標車両の状態を見積もる方法。
【請求項9】
少なくとも一つの曲率パラメータは少なくとも一つの曲率のクロソイドモデルのパラメータを含み、前記曲率のクロソイドモデルは前記ホスト車両の座標系に関する、請求項8に記載の道路上の目標車両の状態を見積もる方法。
【請求項10】
少なくとも一つの曲率パラメータは第一及び第二のクロソイドモデルのパラメータを含み、ここで、前記第一のパラメータは定数であって、前記第二のパラメータは道路に沿った距離に対する曲率の感度である、請求項9に記載の道路上の目標車両の状態を見積もる方法。
【請求項11】
少なくとも一つの曲率パラメータ見積もりの操作は速さと角速度の測定値を少なくとも一つのカルマンフィルターで処理することを含む、請求項8に記載の道路上の目標車両の状態を見積もる方法。
【請求項12】
少なくとも一つのカルマンフィルターは第一及び第二のカルマンフィルターを含み、前記第一のカルマンフィルターは速さの測定値及びヨーレートの測定値から状態変数の第一の組を見積もるように適合し、前記第二のカルマンフィルターは前記状態変数の前記第一の組の見積もりから少なくとも一つの曲率パラメータを見積もるように適合する、請求項11に記載の道路上の目標車両の状態を見積もる方法。
【請求項13】
状態変数の第一の組は、車両速度、車両加速度、車両ヨーレートおよび車両ヨー加速度を含む、請求項12に記載の道路上の目標車両の状態を見積もる方法。
【請求項14】
目標車両の非束縛の状態および関連する共分散を見積もる操作が;
a.ホスト車両対して相対的なレンジ、レンジレート、アジマス角を測定すること;および
b.ホスト車両に対して相対的なレンジ、レンジレート、アジマス角の前記測定値から目標車両の前記非束縛の状態を見積もること
を含む、請求項7に記載の道路上の目標車両の状態を見積もる方法。
【請求項15】
目標車両の前記非束縛の状態を、道路曲率の見積もりに対応する座標系に変換する操作をさらに含む、請求項7に記載の道路上の目標車両の状態を見積もる方法。
【請求項16】
少なくとも一つの将来の目標車両の束縛は目標車両の横方向位置に適用され、目標車両の縦方向位置は非束縛である、請求項7に記載の道路上の目標車両の状態を見積もる方法。
【請求項17】
少なくとも一つの将来の目標車両の束縛は、複数の将来の束縛を含み、道路の異なったレーンに対応する少なくとも二つの異なった将来の束縛を含む、請求項7に記載の道路上の目標車両の状態を見積もる方法。
【請求項18】
最も有力な目標車両の状態を決定する操作は;
a.アクティブな少なくとも一つの将来の目標車両の束縛に対応し、目標車両の非束縛の状態に対応する値において評価される対応する少なくとも一つの分布関数に応答する、少なくとも一つの有力な値を決定すること;
b.前記少なくとも一つの有力な値に応答する、目標車両の第一の束縛の状態の確率を決定すること;
c.少なくとも一つの、目標車両の前記非束縛の状態は前記第一の束縛の状態に対応するという仮説を検証すること;および
d.前記少なくとも一つの仮説の検証の操作に応答して最も有力な目標車両の状態を識別すること
を含む、請求項7に記載の道路上の目標車両の状態を見積もる方法。
【請求項19】
最も有力な目標車両の状態を決定する操作は、目標車両が第一の状態から第二の状態に遷移する少なくとも一つの事前の確率を構築することを含み、
ここで、前記第一の状態と第二の状態は同じ状態であっても異なった状態であっても良く、前記目標車両の第一の束縛の状態の確率は、前記少なくとも一つの事前の確率に応答する、
請求項18に記載の道路上の目標車両の状態を見積もる方法。
【請求項20】
少なくとも一つの分布関数は目標車両の特定の束縛の状態の共分散に応答する、請求項18に記載の道路上の目標車両の状態を見積もる方法。
【請求項21】
少なくとも一つの束縛の状態は、複数の束縛の状態を含み、第一の束縛の状態は前記複数の束縛の状態の組み合わせである、請求項18に記載の道路上の目標車両の状態を見積もる方法。
【請求項22】
第一の束縛の状態は、目標車両の少なくとも一つの束縛の状態の最も有力な状態を含む、請求項18に記載の道路上の目標車両の状態を見積もる方法。
【請求項23】
第一の束縛の状態は、目標車両の少なくとも一つの束縛の状態の一つを含む、請求項18に記載の道路上の目標車両の状態を見積もる方法。
【請求項24】
少なくとも一つの仮説の検証の操作は目標車両の状態の最新の見積もりに応答する、請求項18に記載の道路上の目標車両の状態を見積もる方法。
【請求項25】
少なくとも一つの仮説の検証の操作は、
目標車両の最も有力な少なくとも一つの束縛の状態に対応する目標車両の特定の束縛の状態を識別すること、
非束縛の状態と前記特定の束縛の状態の差に応答する関数の値を計算すること、および
前記関数の値と閾値とを比較すること、
を含み、
前記仮説は、前記関数の値が前記閾値よりも低い場合に満足する、請求項18に記載の道路上の目標車両の状態を見積もる方法。
【請求項26】
閾値は、目標車両の特定の束縛の状態に関連する特定の束縛に応答する、請求項25に記載の道路上の目標車両の状態を見積もる方法。
【請求項27】
閾値は、目標車両によるホスト車両に対する危険が増加することに対応する特定の束縛の状態に対して相対的に小さくなる、請求項26に記載の道路上の目標車両の状態を見積もる方法。
【請求項28】
目標車両によるホスト車両に対する危険が増加することに対応する特定の束縛の状態は、ホスト車両と同じレーンを走行している目標車両、およびホスト車両と同じレーンにレーン変更をする目標車両、から選択される、請求項27に記載の道路上の目標車両の状態を見積もる方法。
【請求項29】
道路曲率を見積もるシステムであって:
a.道路上の車両の縦方向速さを測定するように適合したスピードセンサー;
b.前記車両のヨーレートを測定するように適合したヨーレートセンサー;および
c.前記スピードセンサーと前記ヨーレートセンサーに動作可能に連結したプロセッサー
を含み、
ここで、前記プロセッサーは、前記スピードセンサーおよび前記ヨーレートセンサーからの測定値に応答して道路曲率を見積もるように適合する、前記システム。
【請求項30】
プロセッサーは少なくとも一つのカルマンフィルターを含み、前記少なくとも一つのカルマンフィルターは、縦方向速さ及びヨーレートの測定値に応答して少なくとも一つの曲率パラメータの見積もりを生成するように適合し、ここで、前記少なくとも一つの曲率パラメータは道路曲率を表現する、請求項29に記載の道路曲率を見積もるシステム。
【請求項31】
少なくとも一つのカルマンフィルターは、第一および第二のカルマンフィルターを含み、前記第一のカルマンフィルターは、縦方向速さ及びヨーレートの測定値に応答する、ヨーレート、ヨー加速度、縦方向速さおよび縦方向加速度の見積もりを含む出力を発生するように適合し;前記第二のカルマンフィルターは、前記第一のカルマンフィルターの出力に応答する、少なくとも一つの曲率パラメータの見積もりを発生するように適合する、請求項30に記載の道路曲率を見積もるシステム。
【請求項32】
道路上の目標車両の状態を見積もるシステムであって:
a.ホスト車両が走行している道路曲率を見積もるための道路曲率見積もりサブシステム;
b.動作可能に前記ホスト車両に連結し、道路上の目標車両を追跡するように適合した目標状態見積もりサブシステム;および
c.前記道路曲率見積もりサブシステムおよび前記目標状態見積もりサブシステムに動作可能に連結するか、またはその一部である、少なくとも一つのプロセッサー
を含み、
ここで、前記プロセッサーは、前記道路曲率見積もりサブシステムによって見積もられた前記曲率および前記目標状態見積もりサブシステムからの目標の運動の測定値に対応して、目標車両が道路の特定のレーンを走行していると考えられるかどうかを決定するように適合する、前記システム。
【請求項33】
道路曲率を見積もるための道路曲率見積もりサブシステムが:
a.道路上のホスト車両の縦方向速さを測定するように適合したスピードセンサー;および
b.前記道路上のホスト車両のヨーレートを測定するように適合したヨーレートセンサー
を含み、
ここで、少なくとも一つのプロセッサーは前記スピードセンサーおよび前記ヨーレートセンサーに動作可能に連結し、前記プロセッサーは前記スピードセンサーおよび前記ヨーレートセンサーからの測定値に応答して道路曲率を見積もるように適合する、請求項32に記載の道路上の目標車両の状態を見積もるシステム。
【請求項34】
目標状態見積もりサブシステムはホスト車両に動作可能に連結したレーダーシステムを含む、請求項32に記載の道路上の目標車両の状態を見積もるシステム。
【請求項35】
プロセッサーが、前記目標状態見積もりサブシステムのレンジ、レンジレートおよびアジマス角に応答する目標の運動の測定値を見積もるように適合した拡張されたカルマンフィルターを含む、請求項32に記載の道路上の目標車両の状態を見積もるシステム。
【請求項36】
目標の運動の測定値はホスト車両の座標に関する目標の位置の測定値を含む、請求項35に記載の道路上の目標車両の状態を見積もるシステム。
【請求項37】
目標の運動の測定値は、ホスト車両の座標に関する目標の速度の測定値をさらに含む、請求項36に記載の道路上の目標車両の状態を見積もるシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図8d】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図10d】
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【図11a】
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【図11b】
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【図12a】
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【図12b】
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【図12c】
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【図12d】
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【図13a】
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【図13b】
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【図13c】
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【図13d】
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【公開番号】特開2010−280378(P2010−280378A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136483(P2010−136483)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【分割の表示】特願2004−521888(P2004−521888)の分割
【原出願日】平成15年7月15日(2003.7.15)
【出願人】(399042247)オートモーティブ システムズ ラボラトリー インコーポレーテッド (28)
【Fターム(参考)】