説明

遠心分離装置及び遠心分離システム

【課題】高い脱液能力を有する遠心分離装置を提供する。
【解決手段】円錐形状であり原材料に含まれた液体を通過させる複数の穴を有したスクリーン48と、スクリーン48の内周面に対向して複数の羽根部材39を備えたスクリュー体31と、スクリーン48とスクリュー体31を互いに異なる速度で回転させる回転駆動装置24,14と、スクリュー体31の内部へ原材料を供給する材料搬送管36と、材料搬送管36の外周領域から高温の空気を供給する空気搬送管37とを有する遠心分離装置1である。スクリュー体31は、スクリーン48の小径端に対応する側に内壁32を有し、内壁32からスクリーン48の大径端側へ延びる側壁38を有し、羽根部材39は側壁38に設けられ、側壁38の内壁32に近い部分には原材料を通過させる材料用開口42が設けられ、材料用開口42より外側部分の側壁38に空気用開口46が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原材料に含まれている液体成分を原材料から分離するための遠心分離装置及びその遠心分離装置を用いた遠心分離システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような遠心分離装置は種々の産業分野において用いられている。例えば、鉱山においては、固形物である鉱物が液体である水と混在した状態で原材料として採掘され、この原材料から水を分離(すなわち、脱水)させた後の鉱物を製品として取り出している。
【0003】
鉱物及び水を含む原材料を脱水する装置として、従来、回転するバスケット胴を用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、バスケット胴に脱水用の孔を設け、そのバスケット胴を回転させた上でそのバスケット胴内に原材料を投入し、原材料に含まれる水を遠心力によって脱水用孔を通して原材料から分離する、という処理が行われる。
【0004】
また、鉱山設備ではないが、固形物としての厨芥及び液体としての水を含む原材料から水を分離する装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。この装置においては、頂部の無い円錐型、いわゆるコーン型の脱水用カゴの側面に脱水用スリットを複数個設け、その脱水用カゴを回転させた上でその脱水用カゴ内に原材料を投入し、原材料に含まれる水を遠心力によって脱水用スリットを通して原材料から脱離する、という処理が行われる。
【0005】
また、コーン型のバスケット胴を横型に配置して用いる構成の遠心分離機が知られている(例えば、特許文献3参照)。この装置では、スクリーン(すなわち、ふるい)を備えたバスケット胴を横方向に配置した上で回転させ、そのバスケット胴内にスラリーを投入し、遠心力の作用によってスクリーンを通してスラリーから水を分離している。
【0006】
【特許文献1】特開平9−187678号公報(第3頁、図1)
【特許文献2】特開平5−208146号公報(第2頁、図1)
【特許文献3】実願昭56−131263号(実開昭58−035944号)のマイクロフィルム(第3頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1から上記特許文献3に開示された従来の遠心分離装置においては、遠心力をどんなに大きくしても脱水能力に限界があった。例えば、直径3mmから10mm程度の石灰石を含む泥水、すなわちスラリーが原材料である場合には0.7重量%程度の含水率までに脱水することが限界であった。また、直径3mm以下の石灰石に関しては1.1重量%程度の含水率までに脱水することが限界であった。近年では、脱水処理後の石灰石の含水率がより一層低くなることが望まれている。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みて成されたものであって、遠心力を受けながらスクリーンに沿って移動する原材料に効果的に高温空気流を供給できるようにすることにより、高い脱液能力を実現した遠心分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る遠心分離装置は、小径端と大径端との間で円錐形状であり、原材料に含まれた液体を通過させる複数の穴を有したスクリーンと、前記スクリーンの内部に設けられたスクリュー体と、前記スクリーンと前記スクリュー体とを互いに異なる速度で回転させる回転駆動手段と、前記スクリュー体の内部へ原材料を供給する材料搬送管と、前記スクリュー体の内部の原材料が供給される領域の外周領域へ高温の空気を供給する空気搬送管とを有し、前記スクリュー体は、前記スクリーンの小径端に対応する側に内壁を有し、該内壁から前記スクリーンの大径端側へ延びる側壁を有し、該側壁に設けられていて前記スクリーンの内周面に対向する羽根部材を有し、前記側壁の前記内壁に近い部分に設けられていて原材料を通過させる材料用開口を有し、該材料用開口よりも前記スクリーンの大径端側に近い位置の前記側壁に設けられていて空気を通過させる空気用開口を有することを特徴とする。
【0010】
本発明において、スクリーンに設ける複数の穴は、(1)スクリーンの小径端から大径端にわたって連続して(すなわち、中断することなく)直線状に(すなわち、曲がることなく)延びると共に大径端が外部に開放したスリット(例えば図7、図15.図17)や、(2)外部へ開放しない閉鎖形状のスリットや、(3)円形、楕円形、矩形のような長くない形状の穴等とすることができる。円錐形状のスクリーンは横向き配置(回転軸線が水平方向に延びる配置)及び縦向き配置(回転軸線が鉛直方向に延びる配置)のいずれであっても良い。場合によっては、回転軸線が斜めに延びる斜め配置であっても良い。
【0011】
スクリュー体に設ける材料用開口及び空気用開口の形状は円形、楕円形、長円形、矩形、その他の不定形等、任意に設定できる。原材料に広い面積で均一に空気流を供給できるようにするためには、複数の空気用開口をスクリュー体の周面内に均一に分布配置することが望ましい。
【0012】
回転駆動手段はスクリーンとスクリュー体とを相対回転させる。両者は、通常は、同じ方向へ回転する。スクリーンとスクリュー体のどちらを早く回転させるかについては、特別な限定は無い。しかしながら、スクリーン内面に付着する原材料を掻き出すことを考えるときには、スクリュー体の方がスクリーンよりも高速回転する方が有利である。
【0013】
本発明に係る遠心分離装置によれば、材料搬送管によってスクリュー体の内部に供給された原材料は、まず、スクリーンの小径端部分において遠心力によって半径方向へ移動して、スクリュー体の材料用開口を通過してスクリーンの内周面に遠心力によって付着する。そして、スクリュー体の羽根部材の回転によって掻き出されてスクリーンの内周面上を移動する。遠心力及びスクリュー体の作用により原材料がスクリーンの面上で上記のように移動する間、原材料内の液体成分、例えば水分が、スクリーンに設けた複数の穴を通って半径方向の外部へ排出され、1次的な脱液(例えば脱水)が行われる。
【0014】
さらに、原材料がスクリーンの面上を移動する間、スクリュー体の側壁に設けた空気用開口を通過した高温の空気流が原材料に吹き付けられるので、乾燥による2次的な脱水が行われる。この乾燥は、予め遠心力による脱水処理を受けた後の原材料に対して行われるので、遠心力による脱水処理を受ける前又は遠心力による脱水処理と同時に乾燥処理を受ける場合に比べて、より高い乾燥効率を得ることができ、それ故、高い脱液効率を得ることができる。
【0015】
本発明に係る遠心分離装置において、材料搬送管はスクリュー体の内壁の中心部分に向けて原材料を供給し、空気搬送管は該中心部分の周囲の環状領域に高温の空気を供給することが望ましい。この構成により、円錐状のスクリーンの内周面上を移動する原材料の全面に高温の空気流を均一に供給することができる。
【0016】
本発明に係る遠心分離装置は、スクリュー体の側壁の内面上であって材料用開口と空気用開口との間に取り付けられた仕切り部材を有することが望ましく、該仕切り部材はスクリーンの円錐傾斜と逆向きの円錐傾斜を有することが望ましい。そして、材料搬送管は材料仕切り部材の内部へ原材料を供給し、空気搬送管は材料仕切り部材の外部へ空気を供給することが望ましい。この構成により、原材料に対する遠心力の作用と空気流の作用とを互いに影響を与えることなく独立して行うことが可能となり、遠心力による脱水と高温空気を用いた乾燥による脱水とをそれぞれに最良の状態で行うことができる。
【0017】
本発明に係る遠心分離装置において、スクリーン及びスクリュー体はそれらの中心軸線を中心として回転駆動される。この中心軸線は水平方向に配置されることもあるし、垂直方向に配置されることもあるし、斜めに配置されることもある。スクリーン等の中心軸線が水平方向に配置された遠心分離装置は横型の遠心分離装置と呼ばれることがある。また、スクリーン等の中心軸線が垂直方向に配置された遠心分離装置は縦型の遠心分離装置と呼ばれることがある。本発明は、横型、縦型、斜め型のいずれの遠心分離装置にも適用可能である。
【0018】
本発明に係る遠心分離装置において、スクリーンに設けられた複数の穴は該スクリーンの小径端から大径端へ直線的に連続して延びるスリットであり、これらのスリットはスクリーンの周方向に並べて設けられ、これらのスリットは大径端において外部へ開放していることが望ましい。このように、原材料のうちの分離対象成分を通過させる穴を、小径端から大径端にわたって連続する直線状のスリットによって形成し、さらにそのスリットの大径端を開放端としたことにより、原材料の成分がスリットに目詰まりすることを防止でき、長期間にわたって高い分離効率を維持できる。
【0019】
本発明に係る遠心分離装置において、分離成分を通過させるためのスリットの周方向の幅は、スクリーンの小径端から大径端へ向けて徐々に広くなることが望ましい。こうすれば、原材料によるスリットの目詰まりを有効に防止できる。
【0020】
本発明に係る遠心分離装置は、材料搬送管に水を供給する加水手段をさらに有することが望ましい。従来の遠心分離装置においては、遠心分離処理に供される原材料に水を加えるということは無かった。その理由は、原材料に加えられた水を遠心分離処理によって十分に脱離させることができず、遠心分離処理後の製品材料に多量の水が残ってしまうからである。これに対し、遠心力及び乾燥の両方によって脱液処理を行うことにした本発明によれば、処理前の原材料に水を加えたとしても脱液処理によって十分量の液体を脱離できるので支障が無い。そして、脱液処理前の原材料に水を加えることにすれば、その加水によって原材料を洗浄することが可能となるので、遠心分離処理に先立って原材料を前処理によって洗浄することが不要となり、工程数及び経費を大きく節約できる。
【0021】
他方、スクリーン又はスクリュー体の内部に原材料が投入される際、その原材料はスクリュー体等の内部の片寄った位置で塊状となって回転移動する傾向にあり、回転するスクリーン及びスクリュー体のバランスが崩れて振動が発生するおそれがあり、その結果、部品の破損や分離精度の低下が生じるおそれがある。これに対し、脱液処理前の原材料に水を加えることにすれば、スクリュー体等の内部での原材料の流動を促すことができ、原材料をスクリュー体等の内部で片寄ることを防止して満遍なく行き渡すことができ、回転するスクリュー体等のバランスが崩れること及び振動が発生することを防止でき、その結果、部品の破損や分離精度の低下を防止できる。
【0022】
次に、本発明に係る第1の遠心分離システムは、以上に記載した構成の遠心分離装置と、前記材料搬送管へ原材料を供給する材料供給手段と、前記空気搬送管へ高温の空気を供給する熱風供給手段と、前記回転駆動手段、前記材料供給手段、及び前記熱風供給手段の動作を制御する制御手段とを有し、前記回転駆動手段は、前記スクリーン及び前記スクリュー体を回転可能に支持した枠体を有し、該枠体の振動の大きさに対応した信号を出力する振動検出手段をさらに有し、前記制御手段は、前記振動検出手段の出力信号に基づいて前記枠体の振動の大きさを判定し、振動が基準値以上となったと判定したときに、前記回転駆動手段、前記材料供給手段、及び前記熱風供給手段の動作を停止することを特徴とする。
この遠心分離システムは、遠心分離処理を受ける原材料に水を加える加水手段を持たないシステムである。
【0023】
遠心分離装置内のスクリーン及びスクリュー体に供給された原材料は、それらが回転する間にそれらの内部を移動しながら遠心分離処理を受ける。この場合、原材料が回転系の隙間に入り込んで抜け出られなくなると、その回転系に大きな負荷がかかり、場合によっては、その回転系が破損するおそれがある。このことに関連して、本発明に係る遠心分離システムにおいては、回転系に大きな負荷がかかったことを振動検出手段によって枠体の異常振動として検出する。そして、その異常振動が検出されたときには、遠心分離システム内の各構成要素機器の動作を制御手段によって停止させる。これにより、各構成要素機器の破損を未然に防ぐことができる。
【0024】
本発明に係る第1の遠心分離システムは、材料搬送管に水を供給する加水手段をさらに有することができる。この場合、前記制御手段は加水手段の動作も制御することができる。そして、この場合、前記制御手段は、前記枠体の振動が基準値以上となったと判定したときに、前記加水手段の動作も停止することが望ましい。この構成によれば、遠心分離システム内に加水手段を設置した場合にも、システムの安全な運行を確保できる。
【0025】
次に、本発明に係る第2の遠心分離システムは、以上に記載した構成の遠心分離装置と、前記材料搬送管へ原材料を供給する材料供給手段と、前記空気搬送管へ高温の空気を供給する熱風供給手段と、前記回転駆動手段、前記材料供給手段、及び前記熱風供給手段の動作を制御する制御手段とを有し、前記回転駆動手段は、前記スクリーン及び前記スクリュー体を回転可能に支持した軸受けを有し、該軸受の温度に対応した信号を出力する温度検出手段をさらに有し、前記制御手段は、前記温度検出手段の出力信号に基づいて前記軸受の温度を判定し、その温度が基準値以上となったと判定したときに、前記回転駆動手段、前記材料供給手段、及び前記熱風供給手段の動作を停止することを特徴とする。
この遠心分離システムは、遠心分離処理を受ける原材料に水を加える加水手段を持たないシステムである。
【0026】
本発明に係る遠心分離システムの全体の寿命は、その中核の構成要素である遠心分離装置によって寿命が決まることが多い。そして、その遠心分離装置の寿命は、高速で回転するアウタロータ及びインナロータを支持する軸受によって左右されることが多い。本発明に係る第2の遠心分離システムによれば、軸受の温度を監視することにより軸受の寿命又は故障を判定し、寿命又は故障と判断したときには、システム内の各構成要素機器の動作を停止することにより、システム全体の破損を未然に防止できる。
【0027】
本発明に係る第2の遠心分離システムは、材料搬送管に水を供給する加水手段をさらに有することができる。この場合、前記制御手段は加水手段の動作も制御することができる。そして、この場合、前記制御手段は、前記軸受の温度が基準値以上となったと判定したときに、前記加水手段の動作も停止することが望ましい。この構成によれば、遠心分離システム内に加水手段を設置した場合にも、システムの安全な運行を確保できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る遠心分離装置及び遠心分離システムによれば、材料搬送管によってスクリュー体の内部に供給された原材料は、まず、スクリーンの小径端部分において遠心力によって半径方向へ移動して、スクリュー体の材料用開口を通過してスクリーンの内周面に遠心力によって付着する。そして、スクリュー体の羽根部材の回転によって掻き出されてスクリーンの内周面上を移動する。遠心力及びスクリュー体の作用により原材料がスクリーンの面上で上記のように移動する間、原材料内の液体成分、例えば水分が、スクリーンに設けた複数の穴を通って半径方向の外部へ排出され、1次的な脱液(例えば脱水)が行われる。
【0029】
さらに、原材料がスクリーンの面上を移動する間、スクリュー体の側壁に設けた空気用開口を通過した高温の空気流が原材料に吹き付けられるので、乾燥による2次的な脱水が行われる。この乾燥は、予め遠心力による脱水処理を受けた後の原材料に対して行われるので、遠心力による脱水処理を受ける前又は遠心力による脱水処理と同時に乾燥処理を受ける場合に比べて、より高い乾燥効率を得ることができ、それ故、高い脱液効率を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明に係る遠心分離装置及び遠心分離システムを実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、これ以降の説明では図面を参照するが、その図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
【0031】
図1は本発明に係る遠心分離装置及び遠心分離システムの一実施形態を示している。同図において、遠心分離システムは、遠心分離装置1と、材料供給装置2と、熱風供給装置3と、加水装置4と、製品搬送装置6と、制御装置10とを有する。遠心分離装置1は、概ね、図2に示す外観形状を有している。図2において、符号7は遠心分離部であり、符号8は動力部である。なお、以下で説明される構造要素は、特に指摘がない場合には、ステンレス、構造用鋼、等といった金属によって形成される。
【0032】
遠心分離部7の頂部には原材料を投入するための原材料供給口9が設けられている。本実施形態では、鉱山から採石された鉱石の一種である石灰石が泥水に含まれた状態であるスラリ−が原材料として投入されるものとする。なお、本実施形態では、直径20mm以下の石灰石がスラリー状態で投入され、この石灰石が脱水された状態で製品として取り出されるものとする。原材料供給口9に図1に示すホッパ13が装備される。遠心分離部7の下部に排液管としての排水管11が設けられている。この排水管11は、遠心分離処理によってスラリーから分離された水を外部へ排出するものである。遠心分離部7の底部に製品排出口12が設けられている。この製品排出口12は、遠心分離処理によって水分が脱離(すなわち脱水)された状態の製品としての石灰石を外部へ排出するものである。
【0033】
図3は遠心分離装置1の正面断面構造を示している。図4は図2及び図3における矢印Aに従った遠心分離装置1の側面外観構造を示している。図3において、動力部8の内部に減速機14が設けられている。減速機14は、アウタロータ16及びその内部に設けられたインナロータ17を有している。それらのロータの回転軸線は一致している。つまり、アウタロータ16とインナロータ17は同軸回転構造となっている。アウタロータ16は2つの軸受18,18によって機枠19に回転自在に支持されている。インナロータ17は軸受21によってアウタロータ16に回転自在に支持され、軸受22によって機枠19に回転自在に支持されている。以上の構成により、アウタロータ16とインナロータ17とは、互いに独立して回転自在となっている。
【0034】
アウタロータ16の左端部にプーリ23が設けられている。機枠19の外部に電動モータ24が設けられ、そのモータの出力軸にプーリ26が設けられている。プーリ23とプーリ26との間にベルト27が掛け渡されている。モータ24が作動してその出力軸が回転すると、その回転がベルト27によって伝動されてアウタロータ16が回転する。例えば、500〜1800rpmの高速で回転する。電動モータ24は外部からの制御信号P1に基づいて始動及び停止する。
【0035】
アウタロータ16とインナロータ17との間には任意の減速機構が設けられており、このため、インナロータ17はアウタロータ16よりも高速度で同じ方向へ回転する。例えば、アウタロータ16の回転速度の1/59の数値だけ高い速度、すなわち508〜1831rpmの高速で回転する。このように、アウタロータ16とインナロータ17との間で回転速度に差を持たせているのは、遠心分離部7内で行われる遠心分離処理の際の原材料の動きを安定且つ滑らかにするためであるが、詳しくは後述する。
【0036】
インナロータ17をアウタロータ16よりも所定の速度だけ速く回転させるための減速機構としては、従来から知られている各種の減速機構を採用できる。例えば、遊星歯車減速機構、ハーモニックドライブ減速機構、サイクロ減速機構、RV減速機構、ボール減速機構、その他任意の減速機構を採用できる。本実施形態では、サイクロ減速機構を用いるものとする。このサイクロ減速機構は、例えば、遊星歯車機構と円弧系歯車との組合せによって構成できる。
【0037】
アウタロータ16の先端は遠心分離部7の内部に突出し、その突出部分にフランジ28が固着されている。そしてこのフランジ28にバスケット29が固着されている。インナロータ17の先端は遠心分離部7の内部においてアウタロータ16の外部へ突出している。そして、その突出部にスクリュー体31のボス32が袋ナット33によって締め付けられて固着されている。アウタロータ16の先端に固着されたフランジ28の外周面と、インナロータ17の先端に固着されたボス32の内周面との間にはわずかの隙間が形成されており、このため、フランジ28とボス32は互いに他の回転を拘束することなく独自に回転できる。
【0038】
バスケット29の下部には半円筒形状の排水路34が設けられ、図4においてその排水路34の先端に排水管11が連続して設けられている。図3においてバスケット29の右側の空間はバスケット29から放出される脱水処理後の石灰石が飛び出る空間であり、この空間の下部に製品排出口12が開口として開けられている。
【0039】
遠心分離部7の上部に設けられた原材料供給口9の下部に材料搬送管36が設けられている。材料搬送管36の下側先端の開口36aはスクリュー体31の内部まで延びている。また、スクリュー体31の右側に水平方向に延びる空気搬送管37が設けられている。空気搬送管37の外部側の開口37aは図4に示すように遠心分離部7の外部へ開口している。材料搬送管36は空気搬送管37の側壁を貫通してスクリュー体31の内部まで延びている。
【0040】
図5(a)はスクリュー体31の側面断面構造を示している。図5(b)は図5(a)の矢印Bに従ったスクリュー体31の正面構造を示している。図5(a)において、スクリュー体31は、インナロータ17の先端に固着される既述のボス32と、このボス32の外周面に固着された截頭円錐(頂部を欠いた円錐)形状の側壁38と、その側壁38の外周面に設けられた複数個、実施形態では6個の羽根部材39とを有する。ボス32はスクリュー体31の内壁として機能する。側壁38がボス32に固着される部分には半径方向へ突出する遮蔽用フランジ41が設けられている。側壁38の小径端は内壁であるボス32に固着され、大径端が開放端となっている。ボス32は円錐形状すなわち山形形状となっている。
【0041】
側壁38のボス32に取り付けられている部分の近傍には、原材料を内部から外部へ通過させるための材料用開口42が側壁38の円周方向に沿って適宜の大きさで複数、設けられている。また、材料用開口42よりもボス32から遠い側の側壁38の内周面上に仕切り部材43が固定されている。この仕切り部材43は円錐形状の傾斜方向が側壁38の円錐傾斜方向と逆向きである円錐形状に形成されている。図3の材料搬送管36の開口36aの近傍は仕切り部材43の先端開口にはまり込んでおり、開口36aは仕切り部材43の内部領域に臨み出ている。
【0042】
ボス32から見て仕切り部材43よりも遠い側の側壁38の内周面上に複数、本実施形態では2つの気流仕切り部材44a及び44bが互いに間隔をおいて固定されている。これらの仕切り部材44a,44bは、いずれも、仕切り部材43と同じ円錐傾斜方向の円錐形状に形成されている。空気搬送管37の先端開口近傍は外から見て奥側の気流仕切り部材44aの内部に入り込んでいる。仕切り部材43と気流仕切り部材44aとの間の側壁38、及び気流仕切り部材44a,44b同士の間の側壁38に複数の空気用開口46が設けられている。外部側の気流仕切り部材44bの開放端は、空気搬送管37に設けられていて半径方向へ突出するフランジ45によって塞がれている。
【0043】
側壁38の外周面上に設けられた個々の羽根部材39は螺旋状に形成されている。羽根部材39の螺旋形状は、側壁38のボス32への付け根部分(すなわち遮蔽用フランジ41が設けられた部分)の近傍から始まって、側壁38の大径端(すなわち開放端)で終わっている。1つの羽根部材39の螺旋形状は側壁38の外周の1周分の長さよりも短くなっている。この螺旋形状は、スクリュー体31が予め決められた矢印B方向から見て正反いずれかの時計方向へ回転したときに側壁38の外周面上に存在する原材料をボス32側の小径端から大径端へ向けて搬送するような螺旋形状となっている。
【0044】
図3においてスクリュー体31を覆うように設けられたバスケット29は、図6に示すように、円錐形状で骨組み構造であるフレーム47の内部にスクリーン48を組み付けて固定することによって形成されている。スクリーン48は、図7に示すように、小径端48aから大径端48bにかけて広がる截頭円錐形状に形成されている。小径端48a及び大径端48bはいずれも開放端となっている。スクリーン48は、多数のウェッジワイヤ49及び多数の間隔部材51を複数(本実施形態では3つ)のリング部材52a,52b,52cで支持することによって形成されている。
なお、リング部材52a,52b,52cの数は3個に限られず、使用するウェッジワイヤ49及び間隔部材51の材質、それらの長さ、それらの数、スリット56の幅の寸法、並びに原材料の材質等に応じて、所望の分離性能を達成できるように、適宜に選定する。本実施形態の場合は、リング部材の数を7個とした場合にも良い結果が得られた。
【0045】
1本のウェッジワイヤ49は、図8(a)及びそのa−a断面である図8(a−1)に示すように、断面形状が楔(ウェッジ)形状で、その断面形状が長さ方向で一定である直線状の線状部材によって形成されている。楔断面の最大幅wは例えば1.5mmであり、厚さtは例えば3mmであり、ワイヤ49の全長Lは例えば310mmである。
【0046】
1本の間隔部材51は、図8(b)及びそのb−b断面である図8(b−1)に示すように、断面形状が矩形状で、その断面の幅wxが最小値w0から最大値w1まで連続的且つ均一な割合で変化する形状、すなわち細長い楔形状に形成されている。間隔部材51の図8(b−1)で示す断面形状はb−b断面を長手方向のどの点にとるかによって、縦長の長方形であったり、正方形であったり、横長の長方形であったりする。間隔部材51の全長Lはワイヤ49と同じで例えば310mmであり、断面幅の最小値w0は例えば2.22mmであり、断面幅の最大値w1は例えば11.3mmであり、断面の厚さtは4mmである。
【0047】
図7のリング部材52a,52b,52cは互いに直径が異なっているが、それらの構造は同じであり、図9に示す通りである。図9は代表して中間のリング部材52bを示している。リング部材52bの外周面は均一な平面である。リング部材52bの内周面の全周には、部分拡大図に示すように、複数の矩形凹部53と複数の楔状凹部54とが交互に連続して形成されている。本実施形態の場合、隣接する矩形凹部53の間に7個の楔状凹部54が形成されている。隣接する矩形凹部53の間の楔状凹部54の数は、脱水処理の対象である原材料の状態に応じて7個以外の適宜の数を選定することができる。
【0048】
図7の小径端側のリング部材52a及び大径端側のリング部材52cに関しては、楔状凹部54の形状及び数は中間のリング部材52bと同じである。また、小径端側のリング部材52a及び大径端側のリング部材52cのそれぞれの矩形凹部53の数は、中間リング部材52bと同じである。しかしながら、平面形状が細長い楔形状である間隔部材51を受けることができるようにするために、小径端側のリング部材52aの矩形凹部53の幅w2は、中間リング部材52bの矩形凹部53の幅w2よりも狭くなっており、さらに、大径端側のリング部材52cの矩形凹部53の幅w2は中間リング部材52bの矩形凹部53の幅w2よりも広くなっている。
【0049】
図7に示すスクリーン48を作製する際には、図7のリング部材52a,52b,52cの楔状凹部54に、図8(a)のウェッジワイヤ49の先端鋭角部をはめ込み、さらに溶接、接着等によって固着する。そしてさらに、リング部材52a,52b,52cの矩形凹部53に、図8(b)の間隔部材51をはめ込み、さらに溶接、接着等によって固着する。これらの作業をリング部材52a,52b,52cの楔状凹部54及び矩形状凹部53の全てについて行うことにより、図7のスクリーン48が作製される。
【0050】
図10は図7のスクリーン48を矢印C方向から見た正面構造を示している。図10の部分拡大図に示すように、隣接する一対の間隔部材51の間に7本のウェッジワイヤ49が設けられている。そして、互いに隣接するウェッジワイヤ49の間にスリット(すなわち線状の貫通隙間)56が形成されている。これらの多数のスリット56が原材料のうちの製品成分(本実施形態では所定の大きさの石灰石)の通過を禁止し、原材料のうちの分離すべき成分(本実施形態では水分)の通過を許容する穴として機能する。
【0051】
図11は図7のスクリーン48を矢印D方向から見た側面構造を示している。図11に示すように、スクリーン48の円錐形状の円錐傾斜角度αは約20°に設定される。この角度αは、リング部材52a,52b,52cの相互間隔及び内径を調節することによって所望の値に設定できる。なお、スクリーン48の周面の軸線方向の長さLはウェッジワイヤ49及び間隔部材51の長さLそのものであり、本実施形態では310mmである。ウェッジワイヤ49の間に形成されるスリット56の幅は小径端48a側が狭く、大径端48b側が広くなるように間隔部材51のテーパ形状(すなわち楔形状)が設定されている。具体的には、小径端側のスリット幅WS1が約0.2mmで、大径側のスリット幅WS2が約0.8mmとなるように設定されている。なお、間隔部材51の楔形状の開き角度βを調節することにより、ウェッジワイヤ49間のスリット56の開き角度を調節できる。具体的には、間隔部材51の開き角度βを大きくすれば、スリット56の開き角度を小さくでき、逆に、間隔部材51の開き角度βを小さくすれば、スリット56の開き角度を大きくできる。
【0052】
図12は、フレーム47にスクリーン48を装着してバスケット29を作製する過程を模式的に示している。図13は、フレーム47に対するスクリーン48の装着が完了してバスケット29が完成した状態を示している。図12において、フレーム47を構成する複数のリブ57のうち、小径側のもの、中央のもの、大径側のものの3つの大径側の面には座ぐり面である凹部58が設けられており、スクリーン48の各リング部材52a,52b,52cがそれぞれの凹部58にはめ込まれ、さらにボルト止めされることにより、スクリーン48がフレーム47に固着されて両者が一体になっている。リング部材52a〜52cの数が増えた場合には、それに応じて凹部58を設けるリブ57の数も増える。
【0053】
図1において、遠心分離装置1の適所に軸受温度検出装置67が設けられている。軸受温度検出装置67は図3においてアウタロータ16を支持する軸受18,18又はインナロータ17を支持する軸受21,22のいずれかの温度に対応した信号S1を出力する。軸受温度検出装置67は周知の温度検出素子を用いて構成できるので、その内部構成の詳しい説明は省略する。また、遠心分離装置1の適所に振動検出装置68が設けられている。振動検出装置68は機枠19の振動の大きさに対応した信号S2を出力する。振動検出装置68は周知の振動検出素子を用いて構成できるので、その内部構成の詳しい説明は省略する。
【0054】
遠心分離装置1の上部に設けられた材料供給装置2は、材料搬送機構59と選別用スクリーン61とを有する。材料搬送機構59は、電動モータ62、動力伝動チェーン63、及び搬送ベルト64を有する。電動モータ62の回転出力はチェーン63によって搬送ベルト64へ伝えられ、搬送ベルト64が周回移動する。この搬送ベルト64の移動により原材料である石灰石スラリーが選別用スクリーン61まで運ばれる。電動モータ62は外部信号P2に基づいて始動及び停止する。
【0055】
選別用スクリーン61は所定サイズの穴又は網目を備えたスクリーン(ふるい)を有しており、スラリーに含まれる直径20mmより大きい石灰石は除去されて管66を通して外部へ排出される。選別スクリーン61によって選別された直径20mm以下の石灰石を含むスラリーはホッパ13内へ供給される。
【0056】
加水装置4は水タンク69を有しており、この水タンク69の排水口69aからホッパ13へ至る水搬送管71の途中に、ポンプ72、電磁弁73、流量計74が設けられている。ポンプ72は外部信号P3に基づいて始動及び停止する。動作状態にあるポンプ72は水タンク69内の水76を吸い出して水搬送管71内へ送り出す。電磁弁73は外部信号P4に基づいてオン/オフし、オン状態のときに通水を行い、オフ状態のときに通水を遮断する。流量計74は水搬送路71内を流れる水の流量を測定し、流量に対応した信号S3を出力する。
【0057】
遠心分離装置1の側部に設けられた熱風供給装置3は、発熱源であるヒータ77、送風手段であるファン78、空気搬送管37につながった空気搬送管79を有している。ファン78は外部信号P5に基づいて始動及び停止する。ヒータ77及びファン78が動作すると、空気搬送管79及び空気搬送管37を介して、高温の空気が熱風としてスクリュー体31の内部へ供給される。空気搬送管79の途中には温度計81が設けられており、この温度計81によって熱風の温度が計測され、電気信号S4として出力される。
【0058】
遠心分離装置1の遠心分離部7の下部に設けられた排水管11には水搬送管82が接続されており、脱水された水をこの水搬送管82によって離れた適所まで運ぶようになっている。水搬送管82の途中には流量計83が設けられ、排水の流量を測定している。遠心分離部7の底部に設けられた製品排出口12の下方位置に製品搬送ベルト84が設けられている。図14(a)は、図2及び図3の矢印Aに従って遠心分離装置1を側方から見た状態を示しているが、製品搬送ベルト84は、排水管11によって排水が行われる前面側から奥側へ向かって張設されており、正時計方向に周回移動することにより、製品としての脱水処理後の石灰石85を所定の場所まで搬送する。図1において搬送ベルト84の上方位置に水分測定器86が設置されている。この水分測定器86は、石灰石85に含まれる水分量を例えば赤外線を用いて非接触方式で測定し、水分量に応じた信号S5を出力する。水分測定器86の具体的な構造は赤外線を用いた構造に限定されるものではない。
【0059】
本実施形態の遠心分離システムは上述した各機器の動作を制御するための制御装置10を有している。制御装置10はコンピュータを用いて構成されており、バスライン92によって接続されたCPU(Central Processing Unit)88、内部メモリ89、記憶媒体としての外部メモリ93 を有している。外部メモリ93は、例えばハードディスク等といった機械式メモリによって構成されている。外部メモリ93には、上述した各機器の動作を制御して遠心脱水処理を実現するためのプログラムソフトや、処理中に得られた各種のデータを記憶するためのファイルが格納されている。内部メモリ89はROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等によって構成されている。ROMにはCPU88を動作させるための基礎的なプログラムソフトが格納されている。RAMはCPU88による演算処理の際にテンポラリファイルとして用いられる。
【0060】
バスライン92には送受信回路94が接続されている。軸受温度検出装置67から出力される軸受温度信号S1、振動検出装置68から出力される振動信号S2、加水装置4内の流量計74から出力される流量信号S3、熱風供給装置3内の温度計81から出力される熱風温度信号S4、そして水分測定器86から出力される水分量信号S5の各信号が、無線あるいは信号線を介して送受信回路94の入力端子に伝送される。また、遠心分離装置1の動力部8の電動モータ24の制御信号P1、材料供給装置2内の電動モータ62の制御信号P2、加水装置4内のポンプ72の制御信号P3、そして加水装置4内の電磁弁73の制御信号P4の各信号が、無線あるいは信号線を介して通信回路94の出力端子から出力される。さらに、映像表示手段としてのディスプレイ96、印字手段としてのプリンタ97、入力手段としてのキーボード98がバスライン92に接続されている。なお、制御装置10は、コンピュータを用いることなく、リレー回路を用いたシーケンス制御装置として構成することもできる。
【0061】
以下、上記構成の遠心分離システムの動作を説明する。
まず、図1の制御装置10内のCPU88がメモリ89内の脱水処理プログラムに従って演算制御を開始し、制御信号P1〜P4が対応する各機器へ伝送されて各機器が作動を開始する。具体的には、図1の材料供給装置2において、遠心分離処理(すなわち遠心脱水処理)の対象である原材料が搬送ベルト64によって選別用スクリーン61へ搬送される。原材料は鉱山で採掘された石灰石が泥水の中に含まれている状態である。この原材料の水分量は、通常、3〜11重量%である。選別用スクリーン61は石灰石のうち大きさが直径20mm以下のものを通過させてホッパ13へ供給し、大きさが直径20mmを越えるものの通過を阻止して、それを管66を介して外部へ排出する。つまり、ホッパ13には直径20mm以下の石灰石を含む泥水が原材料として供給される。この石灰石の選別処理により、遠心分離装置1の内部構造を損傷から保護できる。
【0062】
加水装置4において、ポンプ72が作動し、電磁弁73がオン状態になると、水タンク69内の水76が水搬送管71内へ送り出され、そしてホッパ13内へ供給される。ホッパ13内へ供給された水は、材料供給装置2によってホッパ13内へ供給された原材料と混ざり合う。一般に、原材料内の石灰石の表面には泥膜がこびり付いているが、加水装置4によってホッパ13内に水を供給することにより、個々の石灰石を洗浄できる。本実施形態の遠心分離装置1は非常に高効率で水を分離(すなわち脱水)できるので、このように原材料に水を加えたとしても、最終的に得られる製品としての石灰石の水分量を所望の値以下に抑えることができる。
【0063】
遠心分離装置1において電動モータ24が作動すると、その出力軸が回転し、図3においてベルト27によってその回転が減速機14へ伝えられてアウタロータ16が回転する。この回転の方向は矢印A方向から見て正時計方向及び反時計方向のいずれであっても良い。また、この回転の回転数は、例えば500〜1800rpmの範囲内の適宜の値である。アウタロータ16の回転は減速機14内の減速機構(本実施形態ではサイクロ減速機構)の働きによってインナロータ17へ伝えられてインナロータ17が回転する。この回転の方向はアウタロータ16と同じであり、回転数はアウタロータ17の回転数の1/59だけ増速した値、すなわち508〜1851rpmの範囲内の値である。なお、アウタロータ16に対するインナロータ17の増速比は実際の脱水状況を調べた上で適宜に設定する。
【0064】
アウタロータ16の先端に固着されたバスケット29はアウタロータ16と一体に中心軸線を中心として回転する。一方、インナロータ17の先端に固着されたスクリュー体31はインナロータ17と一体に中心軸線を中心として、バスケット29よりも高速度で回転する。つまり、バスケット29とスクリュー体31は異なる速度で相対回転する。材料搬送管36の内部を流れた原材料(石灰石及び水)は、開口36aからスクリュー体31の内部、特に仕切り部材43の内部に放出される。放出された原材料は内壁であるボス32に衝突し、さらに遠心力の作用により半径方向へ移動し、側壁38の根元部分に設けられた材料用開口42を通って、バスケット29の内周面(すなわちスクリーン48)とスクリュー体31の外周面との間の円錐状の環状空間(すなわち脱水領域)内へ供給される。
【0065】
脱水領域に入った原材料はバスケット29の高速回転の作用により遠心力を受けてスクリーン48に付着する。さらに、原材料は、バスケット29に対して相対回転するスクリュー体31の外周に設けられた羽根部材39によって掻き出されて、スクリーン48に付着しながら大径の開放端方向へ螺旋状に移動する。原材料がこのようにしてスクリーン48上を移動する間、図11において複数のウェッジワイヤ49の間に形成された複数のスリット56を通して原材料内の水が外部へ放出されて、原材料が脱水される。一般的には、この脱水により、直径10〜3mmの石灰石は0.7重量%程度の含水率まで脱水され、直径3mm以下の石灰石は1.1重量%程度の含水率まで脱水される。なお、内壁であるボス32は中心部が高い円錐形状、すなわち山形形状に形成されているので、材料搬送管36の開口36aから放出された原材料はボス32の頂部から裾部へ向けて均一に分散される。これにより、材料用開口42付近での原材料の詰まりを防止でき、原材料の安定した流れを実現できる。
【0066】
図1の熱風供給装置3から送り出された熱風、すなわち高温空気は、図3において空気搬送管37によってスクリュー体31の内部、特に仕切り部材43の外側領域へ供給される。熱風の温度は、例えば110℃〜130℃の範囲内の適宜の値を目標として設定されている。この熱風は、スクリュー体31の内部に設けた気流仕切り部材44a,44bに沿って側壁38へ向けて流れ、されに側壁38に設けた複数の空気用開口46を通ってスクリーン48の広い面積へ均等に吹き付けられ、スリット56を通して外部へ流れる。スクリーン48の内周面に沿って移動する原材料はその高温空気流によって乾燥され、この結果、原材料が脱水される。このように、本実施形態では、遠心力による脱水と高温空気流を用いた乾燥による脱水との協働により、きわめて高効率の脱水を行うことができ、石灰石を0.3重量%程度の含水率まで脱水できる。
【0067】
脱水処理によって石灰石から分離した水は、排水路34によって排水管11へ集められて外部の所定箇所へ排出される。脱水処理によって高効率で脱水された製品としての石灰石は図1において製品搬送ベルト84の上に落下し、図14(a)に示すように、搬送ベルト84の上部走行体に載って所定の箇所まで搬送される。
【0068】
以上のように、本実施形態では、スクリーン48を備えたバスケット29の回転による遠心力だけによって原材料を脱水するのではなく、その脱水処理を行っている最中に高温空気流による空気攪拌及び乾燥による脱水を行うことにしたので、極めて高い脱水率を実現できた。しかも、本実施形態では、遠心力による脱水を行う領域と熱風を用いた乾燥による脱水を行う領域とを仕切り部材43によって明確に分けると共に、最初に遠心力による脱水を行い、次に乾燥による脱水を行うことにし、しかも乾燥を行うための熱風はスクリーン48の全面に均等に分散されるようにしたので、極めて高い脱水率を得ることが可能となった。
【0069】
本実施形態では、図11に示したように、スクリーン48のスリット56が大径端(すなわち開放側、あるいは原材料の投入側の反対側、あるいは原材料の排出側)において外部へ向けて開放状態となっている。仮に、スリット56の大径側が開放端ではなく塞がっていると、石灰石及びそれから出る粉によってスリット56に目詰まりが発生し、脱水率が低下するおそれがある。これに対し、スリット56の大径端が開放端となっていれば、スリット56に目詰まりが発生することを防止でき、高い脱水率を長期間にわたって維持できる。
【0070】
また、本実施形態では、スリット56の小径側(すなわち原材料の投入側)が狭く、大径側が広くなっているので、仮にスリット56の中に石灰石又はその粉が入ったとしてもそれらは直ぐにスリット56の外部へ放出され、それ故、目詰まりの発生を防止できる。
【0071】
また、本実施形態では、図3において、材料搬送管36から供給される原材料と空気搬送管37から供給される熱風とを仕切り板43によって区分けしているので、熱風の効力を低下させることがなく、しかも、遠心力による脱水を行った後に熱風による脱水を行うことができ、熱風による脱水を効率良く行うことができ、最終的に非常に高い脱水率を達成できる。また、熱風はスクリュー体31の内部に設けた気流仕切り部材44a,44bによって振り分けられて均等になるので、効果的な乾燥脱水処理を達成できる。
【0072】
以上の脱水処理、すなわち脱液処理、すなわち分離処理が行われている間、図1において、遠心分離装置1内の軸受温度検出装置67は、減速機14のアウタロータ16を支持する軸受18,18及びインナロータ17を支持する軸受21,22のいずれかの温度を検出して温度の高低を表す軸受温度信号S1を制御装置10へ伝送する。また、振動計68は機枠19の振動を検出して振動の大きさを表す振動信号S2を制御装置10へ伝送する。また、加水装置4内の流量計74は、水搬送管71を流れる水の流量を測定して流量の多少を表す流量信号S3を制御装置10へ伝送する。また、熱風供給装置3内の温度計81は空気搬送管79を流れる高温空気流の温度を測定し、温度の高低を表す熱風温度信号S4を制御装置10へ伝送する。また、製品搬送装置6内の水分測定器86は、製品搬送ベルト84によって搬送される石灰石に含有される水分量を測定し、水分量の多少を表す水分信号S5を制御装置10へ伝送する。
【0073】
制御装置10内のCPU88は受信した各信号S1〜S5が予め決めてある基準値以内に収まっているか、あるいは基準値を超えたかを判断し、少なくとも1つの信号が基準値を越えたときには、各機器のための制御信号P1〜P4として動作の停止信号を出力する。これにより、図1の各機器が動作を停止する。各信号S1〜S5が基準値を越えるというのは各機器に過剰な負荷が加わったことを示すものであり、このときに各機器の動作を停止すれば、各機器の損傷を防止できる。
【0074】
上記のように異常時にシステム内の各機器の動作を停止した場合、製品搬送装置6においては、図14(a)に示すように、製品搬送ベルト84の周回移動が停止するので、遠心分離装置1の製品排出口12の下方位置に製品石灰石85が静止した状態となる。この状態になると、遠心分離装置1内に存在する水分99が落下して、静止している石灰石85に混入して、当該石灰石85に含まれる水分量が増大する。この状態のままで遠心分離システムの全体の動作が再開されて搬送ベルト84が再始動すると、水分量の大きい石灰石85が製品として所定位置に運ばれてしまうおそれがある。この現象を回避するため、本実施形態のCPU88は次のような制御を行う。
【0075】
すなわち、CPU88が遠心分離システム全体の動作を再開する際には、システム内の各機器の動作を一斉に開始する前に、図14(b)に示すように、搬送ベルト84を通常の周回移動方向である正時計方向の反対方向(すなわち反時計方向)へ所定時間だけ周回移動させる。こうすると、機器の停止中に水分を多量に含んだ石灰石85が搬送ベルト84の前方側(図の左側)に排出され、正規の製品から除外される。これにより、製品石灰石の脱水率が悪くなることを防止できる。
【0076】
(スクリーンの変形例)
上記の実施形態では図7に示すスクリーン48を用いた。このスクリーン48は、断面楔形状である複数のウェッジワイヤ49と細長い平面楔形状である複数の間隔部材51とを用いて形成した。しかしながら、スクリーンはこの構成に限定されるものではなく、例えば図15に示すスクリーン108を用いることができる。このスクリーン108は、図8(b)の間隔部材51を用いることなく、図8(a)に示すウェッジワイヤ49だけを複数本、リング部材52a,52b,52cに組み付けることによって形成されている。
【0077】
図16(a)は図15の矢印Eで示す大径端の一部分を正面方向から見た状態を拡大して示しており、リング部材52cが円弧状に現れている。また、図16(b)は矢印Fで示す大径端の一部分を側面方向から見た状態を拡大して示しており、リング部材52cが直線状に現れている。本実施形態においては、ウェッジワイヤ49の幅が小径端から大径端にわたって均一であるので、ウェッジワイヤ49間に形成される個々のスリット56の小径端から大径端にわたっての開き角度が、図7に示す実施形態の場合におけるスリットの開き角度に比べて大きくなっている。
【0078】
図17はスクリーンの他の変形例を示している。図18(a)は図17の矢印Gで示す大径端の一部分を正面方向から見た状態を拡大して示しており、リング部材52cが円弧状に現れている。また、図18(b)は矢印Hで示す大径端の一部分を側面方向から見た状態を拡大して示しており、リング部材52cが直線状に現れている。このスクリーン118は、図8(a)のウェッジワイヤ49を用いることなく、図8(b)に示す間隔部材51だけを複数本、リング部材52a,52b,52cに組み付けることによって形成されている。間隔部材51の断面形状は楔形状ではなく、長方形状又は正方形状の矩形状である。間隔部材51の広がり角度βを適宜に調節すれば、隣接する間隔部材51によって形成されるスリットの幅を小径端から大径端にかけて一定にすることができる。
【0079】
(その他の実施形態)
本発明は以上の実施形態に限定されるものでなく、種々に改変できる。
例えば、図1の加水装置4は必ずしも用いなくても良い。図3の減速機14はサイクロ減速機以外の任意の構造の減速機を採用できる。図11においてスクリーン48の円錐傾斜角度αは20°以外の角度とすることができる。図11に示すスクリーン48では隣接する間隔部材51の間に7本のウェッジワイヤ49を設けたが、一対の間隔部材51の間により多くの、あるいはより少ない数のウェッジワイヤ49を設けても良い。これらの場合には、間隔部材51の広がり角度βを適宜に調整する。リング部材52a,52b,52cの数は3個以外の任意の数、例えば7個とすることもできる。
【0080】
以上の実施形態ではスクリーンの周面に設ける水通過用の穴をスリットとしたが、これに代えて、複数の円形の穴を水通過用の穴とすることができる。また、以上の実施形態ではスリットの大径端を外部に開放させたが、大径端が外部に開放しない形状のスリットを採用することもできる。
【0081】
以上の実施形態では、図8(a−1)に示したように、断面が三角形の楔状の線状部材、いわゆるウェッジワイヤ49を用いて図7のスクリーン48を構成したが、このようなウェッジワイヤに代えて、図8(a−2)に示すような断面が五角形の楔状の線状部材であるウェッジワイヤや、図8(a−3)に示すような断面が長方形状の線状部材を用いてスクリーンを構成することもできる。また、断面が正方形状やその他の断面形状の線状部材を用いることも可能である。
【0082】
以上の実施形態では、バスケット29の回転軸線を水平方向に設定した。この構造の遠心分離装置は横型の遠心分離装置と呼ばれることがある。遠心分離装置の中には、バスケット29の回転軸線が垂直方向に設定されるものや、斜めに設定されるものがある。垂直構造のもの及び斜め構造のものは、それぞれ、縦型の遠心分離装置及び斜め型の遠心分離装置と呼ばれることがある。本発明は横型の遠心分離装置に限られず、縦型や斜め型の遠心分離装置にも、もちろん、適用可能である。
【0083】
以上の実施形態では、石灰石が泥水に含まれている状態の材料を原材料と考えた。しかしながら、本発明の遠心分離装置においては、任意の固形物が水その他の液体に含まれた状態の材料も原材料となり得るものである。
【実施例1】
【0084】
図1に示す遠心分離システムを用いて表1、表2、及び表3に示す3種類の遠心脱水処理を行った。
(1)表1に示す処理の条件は次の通りであった。
(1)天候:晴れ、夜、
(2)外気温:25℃、
(3)湿度:56%、
(4)使用原料:直径10〜3mm、
(5)原料水分:7%、
(6)原料温度:24℃、
(7)加水温度:10℃、
(8)Sセット:1〜1.5mm、
(9)スリット幅:0.2(小径端)〜0.8mm(大径端)、
Sセットとは、図3において、バスケット29のスクリーン48の内周面と、スクリュー体31の羽根部材39の最外周との間の間隔のことである。
【0085】
(2)表2に示す処理の条件は次の通りであった。
(1)天候:晴れ、夜、
(2)外気温:22℃、
(3)湿度:64%、
(4)使用原料:直径10〜3mm、
(5)原料水分:7%、
(6)原料温度:24℃、
(7)加水温度:10℃、
(8)Sセット:1〜1.5mm、
(9)スリット幅:0.2(小径端)〜0.8mm(大径端)、
【0086】
(3)表3に示す処理の条件は次の通りであった。
(1)天候:晴れ、
(2)外気温:14.5℃、6.0℃、
(3)湿度:18.0%、64.0%、
(4)使用原料:直径5〜3mm、
(5)原料水分:2.03%、
(6)原料温度:7℃、
(7)加水温度:8℃、
(8)Sセット:1mm、
(9)スリット幅:0.2(小径端)〜0.8mm(大径端)、
【0087】
表1及び表3の結果をグラフで表すと、図19のようになる。また、表2の結果をグラフで表すと、図20のようになる。また、図21、図22、図23の各図は、表1、表2及び表3における同じ加速度の場合のヒータ・オンのデータとヒータ・オフのデータとを同じグラフで表示したものである。
【0088】
図19のグラフから、脱水の目標値であるフィード量5(t/h)、製品水分0.3%以下は、加速度251G以上で達成できることが分かる。加速度と製品水分との関係は、251〜767Gの範囲でほぼ同性能である。1000G以上で0.05%程度の改善が見られた。ヒータによる効果は、製品水分0.2〜0.25%と一律である。
【0089】
図19から明らかなように、遠心力に基づいた脱水に加えて熱風による乾燥脱水を行うと、製品水分量を0.40重量%以下、望ましくは0.30重量%以下まで低減できて、高品質の石灰石製品が得られた。また、図21、図22及び図23から明らかなように、熱風による乾燥脱水を行うと(ヒータON)、熱風による乾燥脱水を行わない場合(ヒータOFF)に比べて、脱水効率を著しく向上させることができる。
【0090】
【表1】


【0091】
【表2】

【0092】
【表3】

【実施例2】
【0093】
次に、図1に示す本発明に係る遠心分離装置を用いた処理と、ドライヤー装置と呼ばれる従来の乾燥装置を用いた処理との比較を説明する。ドライヤー装置とは、重油を燃焼させる装置及びファン(送風装置)によって熱風を生成し、この熱風を原材料に当てることにより、原材料から脱水された物質を得る装置である。具体的には、粉砕によって得られたスラリー状の石灰石を図1の遠心分離装置を用いて脱水処理を行って所定の水分含有量以下の粒状のタンカル(CaCO3)を得た場合と、同じ原材料を従来のドライヤー装置を用いて脱水した場合とを比較した。比較の結果は、表4に示す通りであった。
【0094】
表4における「燃料原単位」は、ドライヤー装置については1トンの原材料を処理するのに必要となる再生重油量(リットル)であり、遠心分離装置については1トンの原材料を処理するのに必要となる電力消費量(キロワット)である。この電力消費は主に図1のシステムにおいて減速機、ヒータ、ポンプ等を駆動することに割り当てられるものである。「燃料原単価」は、ドライヤー装置については再生重油の単価であり、遠心分離装置については電力の単価である。
【0095】
表4から次のことが分かる。
(1)操業方数が1方(いちかた)増えるが、この1方(すなわち8時間)は機械の自動運転でまかなわれるため、人件費が増えることは無い。
(2)製品水分は0.4%増加するが、これはドライヤー装置を用いた場合の脱水率が過剰なだけであり、0.4%の数値は実用上全く問題ない値である。
(3)本発明に係る遠心分離装置を用いれば燃料原単価を著しく低減でき、経費の節減に大きく貢献できる。
(4)装置の本体価格が著しく低減できる。
【0096】
【表4】

(備考)
(1)「操業方数(かたすう)」:8時間の操業が1方、16時間の操業が2方、24時間の操業が3方である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明に係る遠心分離装置及び遠心分離システムの一実施形態の全体を示す図である。
【図2】遠心分離装置の全体の外観を示す斜視図である。
【図3】遠心分離装置の正面断面図である。
【図4】遠心分離装置の側面図である。
【図5】スクリュー体を示しており、(a)は側面断面図、(b)は正面図である。
【図6】バスケットの斜視図である。
【図7】スクリーンの斜視図である。
【図8】スクリーンの構成要素を示しており、(a)はウェッジワイヤ、(b)は間隔部材である。
【図9】スクリーンの構成要素であるリング部材を示す図である。
【図10】図7のスクリーンの正面図である。
【図11】図7のスクリーンの側面図である。
【図12】図6のバスケットの分解側面図である。
【図13】図6のバスケットの側面断面図である。
【図14】図1の遠心分離システムの動作制御の一形態を示す図である。
【図15】スクリーンの変形例を示す斜視図である。
【図16】図15のスクリーンの部分拡大図である。
【図17】スクリーンの他の変形例を示す斜視図である。
【図18】図17のスクリーンの部分拡大図である。
【図19】図1の遠心分離システムを用いて行った実験の結果のグラフである。
【図20】図1の遠心分離システムを用いて行った実験の結果の他のグラフである。
【図21】図19及び図20のグラフから導き出されたグラフである。
【図22】図19及び図20のグラフから導き出された他のグラフである。
【図23】図19及び図20のグラフから導き出されたさらに他のグラフである。
【符号の説明】
【0098】
1.遠心分離装置、2.材料供給装置、3.熱風供給装置、4.加水装置、
6.製品搬送装置、7.遠心分離部、8.動力部、9.原材料供給口、10.制御装置、
11.排水管(排液管)、12.製品排出口、13.ホッパ、14.減速機、
16.アウタロータ、17.インナロータ、18.軸受、19.機枠、21.軸受、
22.軸受、23.プーリ、24.電動モータ、26.プーリ、27.ベルト、
28.フランジ、29.バスケット、31.スクリュー体、32.ボス、
33.袋ナット、34.排水路、36.材料搬送管、36a.開口、37.空気搬送管、
38.側壁、39.羽根部材、41.遮蔽用フランジ、42.材料用開口、
43.仕切り部材、44a,44b.気流仕切り部材、45.フランジ、
46.空気用開口、47.フレーム、48.スクリーン、48a.小径端、
48b.大径端、49.ウェッジワイヤ、51.間隔部材、
52a,52b,52c.リング部材、53.矩形凹部、54.楔状凹部、
56.スリット、57.リブ、58.凹部、59.材料搬送機構、
61.選別用スクリーン、62.電動モータ、63.動力伝動チェーン、
64.搬送ベルト、66.管、67.軸受温度検出装置、68.振動検出装置、
69.水タンク、69a.排水口、71.水搬送管、72.ポンプ、73.電磁弁、
74.流量計、76.水、77.ヒータ、78.ファン、79.空気搬送管、
81.温度計、82.水搬送管、83.流量計、84.製品搬送ベルト、
85.石灰石(製品)86.水分測定器、92.バスライン、99.水分、
108,118.スクリーン、L:スクリーン長さ、P1〜P4:制御信号、S1〜S5:出力信号、w,w0,w1,wx,w2:幅、WS1:小径側スリット幅、
WS2:大径側スリット幅、α:円錐傾斜角度、β:間隔部材の広がり角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小径端と大径端との間で円錐形状であり、原材料に含まれた液体を通過させる複数の穴を有したスクリーンと、
前記スクリーンの内部に設けられたスクリュー体と、
前記スクリーンと前記スクリュー体とを互いに異なる速度で回転させる回転駆動手段と、
前記スクリュー体の内部へ原材料を供給する材料搬送管と、
前記スクリュー体の内部の原材料が供給される領域の外周領域へ高温の空気を供給する空気搬送管と、を有し、
前記スクリュー体は、
前記スクリーンの小径端に対応する側に内壁を有し、
該内壁から前記スクリーンの大径端側へ延びる側壁を有し、
該側壁に設けられていて前記スクリーンの内周面に対向する羽根部材を有し、
前記側壁の前記内壁に近い部分に設けられていて原材料を通過させる材料用開口を有し、
該材料用開口よりも前記スクリーンの大径端側に近い位置の前記側壁に設けられていて空気を通過させる空気用開口を有する、
ことを特徴とする遠心分離装置。
【請求項2】
請求項1記載の遠心分離装置において、前記材料搬送管は前記スクリュー体の内壁の中心部分に向けて原材料を供給し、前記空気搬送管は該中心部分の周囲の環状領域に高温の空気を供給することを特徴とする遠心分離装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の遠心分離装置において、
前記スクリュー体の側壁の内面上であって前記材料用開口と前記空気用開口との間に取り付けられた仕切り部材をさらに有し、
該仕切り部材は前記スクリーンの円錐傾斜と逆向きの円錐傾斜を有しており、
前記材料搬送管は前記材料仕切り部材の内部へ原材料を供給し、前記空気搬送管は前記材料仕切り部材の外部へ空気を供給する
ことを特徴とする遠心分離装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の遠心分離装置において、前記スクリーンの複数の穴は該スクリーンの小径端から大径端へ直線的に連続して延びるスリットであり、これらのスリットは前記スクリーンの周方向に並べて設けられ、これらのスリットは大径端において外部へ開放していることを特徴とする遠心分離装置。
【請求項5】
請求項4記載の遠心分離装置において、前記スリットの周方向の幅は前記スクリーンの小径端から大径端へ向けて徐々に広くなることを特徴とする遠心分離装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の遠心分離装置において、
前記材料搬送管に水を供給する加水手段をさらに有することを特徴とする遠心分離装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の遠心分離装置と、
前記材料搬送管へ原材料を供給する材料供給手段と、
前記空気搬送管へ高温の空気を供給する熱風供給手段と、
前記回転駆動手段、前記材料供給手段、及び前記熱風供給手段の動作を制御する制御手段と、を有し、
前記回転駆動手段は、前記スクリーン及び前記スクリュー体を回転可能に支持した枠体を有し、
該枠体の振動の大きさに対応した信号を出力する振動検出手段がさらに設けられ、
前記制御手段は、前記振動検出手段の出力信号に基づいて前記枠体の振動の大きさを判定し、振動が基準値以上となったと判定したときに、前記回転駆動手段、前記材料供給手段、及び前記熱風供給手段の動作を停止する
ことを特徴とする遠心分離システム。
【請求項8】
請求項7記載の遠心分離システムにおいて、
前記材料搬送管に水を供給する加水手段がさらに設けられ、
前記制御手段は前記加水手段の動作も制御し、
前記制御手段は、前記枠体の振動が基準値以上となったと判定したときに、前記加水手段の動作も停止する
ことを特徴とする遠心分離システム。
【請求項9】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の遠心分離装置と、
前記材料搬送管へ原材料を供給する材料供給手段と、
前記空気搬送管へ高温の空気を供給する熱風供給手段と、
前記回転駆動手段、前記材料供給手段、及び前記熱風供給手段の動作を制御する制御手段と、を有し、
前記回転駆動手段は、前記スクリーン及び前記スクリュー体を回転可能に支持した軸受けを有し、
該軸受の温度に対応した信号を出力する温度検出手段がさらに設けられ、
前記制御手段は、前記温度検出手段の出力信号に基づいて前記軸受の温度を判定し、その温度が基準値以上となったと判定したときに、前記回転駆動手段、前記材料供給手段、及び前記熱風供給手段の動作を停止する
ことを特徴とする遠心分離システム。
【請求項10】
請求項9記載の遠心分離システムにおいて、
前記材料搬送管に水を供給する加水手段がさらに設けられ、
前記制御手段は前記加水手段の動作も制御し、
前記制御手段は、前記軸受の温度が基準値以上となったと判定したときに、前記加水手段の動作も停止する
ことを特徴とする遠心分離システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−148725(P2009−148725A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−330553(P2007−330553)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【特許番号】特許第4100577号(P4100577)
【特許公報発行日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ハーモニックドライブ
2.サイクロ減速機
【出願人】(000227250)日鉄鉱業株式会社 (82)
【出願人】(000105626)コトブキ技研工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】