遠隔に配された受信コイルを用いる磁気共鳴信号検出
【課題】磁気共鳴信号を検出するボリュームコイルであって、既存の市販のフェーズドアレイ頭部コイルに匹敵し、非常に優れた画像均一性と高いSNRを提供する。
【解決手段】受信コイル構造は、受信したMR信号を最大化するように、撮像される一部に隣接した内部の局所用ボリュームコイルと、ケーブルによって信号処理システムに接続された、磁石の内蔵式全身用コイルである外部コイルとを含む。両方のコイルが共通の共振周波数に個々に同調され、局所用ボリュームコイルは送信段階の間に内部の電流を止めるための構造を有する。局所用ボリュームコイルにはケーブルがなく、外部コイルへの誘導結合によって、外部コイルを介して信号処理システムに内部のMR信号を伝えるように配される。ループの同調への干渉による、および、誘導結合における固有の損失にもかかわらず、これによって、MR信号が増加し、局所的なボリュームコイルをワイヤレスにする。
【解決手段】受信コイル構造は、受信したMR信号を最大化するように、撮像される一部に隣接した内部の局所用ボリュームコイルと、ケーブルによって信号処理システムに接続された、磁石の内蔵式全身用コイルである外部コイルとを含む。両方のコイルが共通の共振周波数に個々に同調され、局所用ボリュームコイルは送信段階の間に内部の電流を止めるための構造を有する。局所用ボリュームコイルにはケーブルがなく、外部コイルへの誘導結合によって、外部コイルを介して信号処理システムに内部のMR信号を伝えるように配される。ループの同調への干渉による、および、誘導結合における固有の損失にもかかわらず、これによって、MR信号が増加し、局所的なボリュームコイルをワイヤレスにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はMR撮像のためのRF受信コイル組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、MR撮像は、内蔵式全身用コイルなどのようなRF送信コイルによって生成される被験体の選択された体積の励起に応じて、試験下の被験体によって発せられる信号を受信するRF受信コイルを使用する。したがって、傾斜磁場コイルは、主要な磁場(B0)の制御された変動を発生させることによって、選択された空間の励起体積を生成し、その選択された体積によって発せられる信号は、受信コイル構造によって拾い上げられ、信号処理システムへと送信される。
【0003】
受信コイル構造は、単一のコイルループまたは素子を含むか、あるいは、撮像される被験体の一部のまわりに、あるパターンで配された一連のループを含むことができる。
【0004】
MRシステムは、磁石構造の内蔵式全身用コイルを提供し、これは、送信コイルおよび受信コイルの両方として作動することができる。
【0005】
しかしながら、場合によっては、全身用コイルは、要件を満たすのに十分な質の画像を提供しないため、従って、局所コイルが使用されなければならない。これらは、典型的には、MR信号を受信するとともに複数の接続導体を含むように、被験体の関心領域を少なくとも部分的にまたは完全に囲むように構成されるボリュームコイルである。
【0006】
いくつかの現行のボリュームコイルは、コイルループ、フェーズドアレイ、バードケージ、TEMからなり、これらはすべて、単一周波コイルまたは二重周波コイルであってもよい。これらは、整合するネットワーク、プリアンプ、デカップリングネットワーク、ケーブル、および、コネクタを必要とする。
【0007】
現行基準のボリュームコイル設計に係る多くの課題がある:
a)チャネルの数がシステム中のレシーバの数に限定される。
b)18の同軸ケーブルと少なくとも25の制御ワイヤを含む18のチャネルケーブルを必要とする、18のチャネルフェーズドアレイコイルなどの大きな直径のケーブル束は大きすぎて、ケーブル内で従来のケーブルトラップを構築することができない。
c)回路ボードのバラン(baluns)およびプリアンプのような電気部品は、複雑で、熟練して経験を積んだ技能者でも組み立てるのには時間がかかるため、構築するのは難しい。これらの部品は、高品質画像を生成し、かつ、部品間のクロストークを減らすために、設計および構築中に甚大な努力を要求する。
d)長尺ケーブル、ケーブルトラップ、および、コネクタインタフェースなどの必要とされる機械部品は、コイルの全体的なサイズと重量も増加させる。
e)コイルのサイズが大きく重量が重いと、顧客のワークフローの複雑さとワークフロー設計の複雑さが増す。
f)長尺ケーブルは重くて、置くのが厄介である。
g)現行の設計は柔軟性がなく、外科手術の要件は絶え間なく変わり、そして、医師の好みもあるため、患者の位置付けと外科的なアクセスにかかる諸問題がある。
h)コイルケーブルには皮膚とケーブルの接触に起因する患者のやけどの可能性があり、結果として、ケーブル、磁石ボア、および、患者との間の空間が増える。
このことは、走査の前に患者を適切に位置決めするために、看護職員のための患者空間の減少をもたらす。
i)手術中の部屋では、コイルのプラグを抜き忘れる手術室のスタッフと、患者の安全性チェックポイントの追加による手術室のワークフローの増加に関連する安全性の問題がある。
【0008】
通常、MRIの受信コイル構造の個々のループまたは複数のループは、プリアンプおよびケーブルを有する他の部品を介して、信号処理システムの単一のレシーバに接続される。
【0009】
したがって、このような受信コイル構造は、ケーブルによって信号処理システムに接続される受信コイルとして磁石上で支持される、いわゆる「内蔵式全身用コイル」を用いることができる。この場合、「内蔵式全身用コイル」は、送信コイルとしても使用される。
【0010】
したがって、このような受信コイル構造は、単一ワイヤによって信号処理システムの単一チャネルに接続される単一ループを含むことができる。この場合、システムは、送信コイルとして磁石上で支持される、いわゆる「内蔵式全身用コイル」を使用することができる。その後、この信号のループ受信コイルは、被験体、とりわけ、横たわった患者のまわりで集められた受信信号を供給し、当業者に周知の従来のシステムを用いて、処理のための単一のチャネルに信号を伝える。
【0011】
ゆえに、このような受信コイル構造は、各々がそれぞれのワイヤによって信号処理システムの複数のチャネルの個別の1つに接続される、いわゆるループの「フェーズドアレイ」を含む多重ループ構造を含むことができる。
【0012】
この場合、システムは、典型的には患者の身体の一部に巻きつくように配された携帯用のコイル組立体を用いるが、各々のループは、それ自体の処理部品と、処理のために別のチャネルに信号を接続するそれ自体のワイヤを有していなければならない。
【0013】
しかしながら、依然として広くは採用されていない最近の進歩において、受信コイル構造として磁石上で支持される「内蔵式全身用コイル」は、別々のチャネルに別々の信号を供給するために、個々のループ部品に分離される。
【0014】
様々な計算および外挿法を行なうために別々のチャネルからの信号を使用することによって、画像空間中またはK−空間中の各々の位置で画像結果を得る必要性を回避することによって、患者の一部の完全なスキャンを得るのに必要な時間を減らすための並列画像処理技術(parallel imaging techniques)が存在することは周知である。これらの並列画像処理技術のうちのいくつかは、SMASHおよびSENSEおよびGRAPPAとして知られている。
【0015】
優れた画像を得るために、プリアンプは、可能な限りコイル素子に近づけて配される。MRプリアンプの大きさは今日著しく縮小しているが、それは依然としてアレイコイル全体の多くの空間を占めている。加えて、プリアンプにおけるコイル筐体の領域は剛体でなければならない。
【0016】
コイルケーブルは周知のように、マルチ同軸ケーブルおよび信号制御ワイヤおよび外部シールドからなる。共通モード電流またはシールド電流は、送信コイルによって生じる高RF磁場により、送信段階中にシールドの外側表面上で生成される。患者がシールド電流によって危険なまでに過剰に加熱されるのを防ぐために、ケーブルトラップがコイルケーブル組立体に必要である。より多くのケーブルトラップを備えた長尺ケーブルが、動いている磁気システム上での手術中のMR撮像などといった臨床的な用途に必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、まず、MR撮像装置で使用するためのMR受信コイル装置に関し、ここで、撮像装置は、
被験体に適用される変動磁場を生成するように動作可能な傾斜磁場コイルを備えたMR磁石;
被験体が適用された磁場とRFパルスに反応して受信段階でMR信号を生成するように、撮像される被験体に適用される送信段階のRFパルスを生成するためのRF送信コイル構造;
画像を生成する信号処理を実行するために、MR信号を受信するための信号処理システム;および、
MR信号に反応するための、かつ、信号通信ケーブル構造を通じて信号処理システムにMR信号を伝えるように配されたコイル構造を含み、
MR受信コイル装置は、
MR信号を受信するために、被験体に隣接するように配された少なくとも1つのループを含み、
前記少なくとも1つのループは、前記MR信号を受信するために、個々に共振周波数に同調するように配された同調部品を含み、
前記少なくとも1つのループは、前記少なくとも1つのループの存在が送信段階中にRFパルスに干渉するのを防ぐために、送信段階中に共振周波数で内部の電流の流れを止めるための構造を内部に有し、
前記少なくとも1つのループには、信号処理システムにMR信号を運ぶワイヤーケーブルがなく、
前記少なくとも1つのループは、前記コイル構造にMR信号を誘導することによって、前記コイル構造を介して信号処理システムに内部のMR信号を伝えるように配される。
【0018】
好ましくは、ループは、被験体に物理的に可能な限り近づけて配される。
【0019】
好ましくは、被験体は患者の一部を含み、ループは患者の身体の内部に位置付けられるように配される。
【0020】
好ましくは、少なくとも1つのさらなるループが設けられ、このさらなるループは、前記少なくとも1つのループでMR信号を誘導することによって前記少なくとも1つのループを介して、および、その後、前記コイル構造にMR信号を誘導することによって前記コイル構造を介して、信号処理システムに内部のMR信号を伝えるように配される。
【0021】
好ましくは、1つのループは、患者の身体の内部に位置付けられるように配され、他方のループは患者の身体のすぐ外側に位置付けられるように配される。
【0022】
好ましくは、ループは、内部の電流の流れを止めるために遠隔で操作可能なアドレス可能なスイッチを含む。
【0023】
好ましくは、ループ内の電流の流れを止めるための構造は、共振周波数からループを一時的に離調するための構造を含む。
【0024】
好ましくは、ループはボリュームコイルを含む。
【0025】
好ましくは、ボリュームコイルはバードケージ型共振コイルを含む。
【0026】
好ましくは、ボリュームコイルは、パッシブデカップリング部品を含む受動部品のみを包含する。
【0027】
好ましくは、ボリュームコイルには、プリアンプ、ケーブル、ケーブルトラップ、バラン、または、コネクタがない。
【0028】
本発明にしたがって、被験体を撮像するための装置も設けられ、該装置は、
被験体に適用される変動磁場を生成するように動作可能な傾斜磁場コイルを備えたMR磁石;
被験体が、適用された磁場とRFパルスに反応してMR信号を生成するように、撮像される被験体に適用される送信段階のRFパルスを生成するためのRF送信構造;
受信段階のMR信号を得るための受信コイル構造;および、
画像を生成する信号処理を実行するためにMR信号を受信するための信号処理システムを含み、
受信コイル構造は、
MR信号を受信するために被験体を少なくとも部分的に囲むように構成されたボリュームコイル;
前記ボリュームコイルに隣接するように配された少なくとも1つの受信コイルを含み、
前記少なくとも1つの受信コイルは、信号処理システムに内部のMR信号を転送するために、信号処理システムに接続される少なくとも1つの信号通信ケーブルを有し、
前記少なくとも1つの受信コイルと前記ボリュームコイルは、前記MR信号を受信するために、共通の共振周波数に個々に同調され、
受信段階でのみ動作し、かつ、送信段階では適用されたRFパルスを転送しない、前記ボリュームコイルと前記少なくとも1つの受信コイルのすべてのコイルループは、前記全てのコイルループの存在が送信段階でRFパルスに干渉するのを防ぐように、送信段階中に共振周波数で内部の電流の流れを止めるために、パッシブデカップリングブロック回路などの構造を内部に有し、
前記ボリュームコイルは、誘導結合を介して前記少なくとも1つの受信コイルにMR信号を誘導することによって、前記少なくとも1つの受信コイルを介して信号処理システムに内部のMR信号を伝えるために配される。
【0029】
好ましくは、ボリュームコイルには、したがって、信号処理システムにMR信号を運ぶワイヤーケーブルが全くない。
【0030】
好ましくは、ボリュームコイルは、被験体に物理的に可能な限り近づけて配される。
【0031】
1つの構造では、ボリュームコイルは、被験体を形成する患者の身体の内部に位置付けられるように配される。
【0032】
好ましくは、第一に、前記少なくとも1つの受信コイル上のMR信号が前記ボリュームコイルの不在下で発生するであろうMR信号よりも大きくなるような十分な相互誘導効率で、前記ボリュームコイルからの信号が前記少なくとも1つの受信コイル上で誘導されるように、かつ、第2に、前記ボリュームコイルと前記少なくとも1つの受信コイルとの間の相互インダクタンスは、前記ボリュームコイルの不在下で発生するであろうMR信号よりも小さな値まで、前記少なくとも1つの受信コイルでのMR信号を減らすのに十分なボリュームコイルと受信コイルの同調された共通の共振周波数を変更するには不十分であるように、少なくとも1つの受信コイルが前記ボリュームコイルから離間して位置付けられる。
【0033】
すなわち、ボリュームコイルによって受信される被験体のMR信号が相互インダクタンスを介して受信コイルに送信され、かつ、この空間が、ボリュームコイルと受信コイルの両方を著しく離調しないようには十分に大きくもあり、したがって、いずれのコイルの性能にも影響を与えないように、受信コイルはボリュームコイルから十分に離れて置かれなければならない。
【0034】
好ましくは、ボリュームコイルは複数のループを含み、各々のループは、順に駆動可能となるように、ループ内の電流の流れを止めるために遠隔で操作可能なアドレス可能なスイッチを含む。これはアクティブデカップリング(active decoupling)と呼ばれ、コイルのスイッチの入切を行うための制御信号を必要とする。
【0035】
好ましくは、ボリュームコイルは複数のループを含み、ループはそれぞれ、送信段階の間にループ内の電流を止めるために、かつ、受信段階の間に自動的に駆動されるために、パッシブデカップリング回路を含む。これはパッシブデカップリングと呼ばれ、制御信号を必要とせず、全身用コイルによって自動的にスイッチの切り替えが可能である。全身用コイルが送信する際、ボリュームコイルはオフであり、全身用コイルが受信する際、ボリュームコイルはオンである。
【0036】
好ましくは、信号処理システムは、個別のMR信号の個々の処理のために複数のチャネルを含み、ここで、前記少なくとも1つの受信コイル上で誘導された信号から、別のチャネルのための別のMR信号を生成するための構造が提供される。
【0037】
この目的のために、ボリュームコイルは複数の別々の第1のループを含むことができ、ここで、各々の第1のループは、順に駆動可能なように第1のループ内の電流の流れを止めるために遠隔で操作可能なアドレス可能なスイッチを含み、受信コイルは単一の第2のループを含む。その後、単一の第2のループから信号を受信するように、かつ、単一の第2のループ上で誘導された信号から別のチャネルの別のMR信号を計算するように配された信号分離システムが提供される。
【0038】
あるいは、受信コイルは、各々がチャネルのそれぞれ1つに信号を提供する、複数の別のループを含む。
【0039】
好ましくは、ループ内の電流の流れを止める構造は、共振周波数からループを一時的に離調する構造を含む。
【0040】
磁石システムが内蔵式全身用コイルを含む本発明の第2の態様によれば、被験体のMR撮像のための装置が提供され、該装置は、
被験体を囲むためにボアを定義する円筒状のMR磁石構造物を含み、
磁石は、被験体に適用される変動磁場を生成するために動作可能な傾斜磁場コイルを含み、
該装置はさらに、
被験体が、適用された磁場とRFパルスに反応してMR信号を生成するように、撮像される被験体に適用される送信段階のRFパルスを生成するためのRF送信構造、
送信段階でRFパルスを送信するために、および、受信段階でMR信号を得るために、被験体を囲むように磁石構造物に内蔵された全身用コイル構造、および、
画像を生成する信号処理を実行するためにMR信号を受信するための信号処理システムを含み、
前記全身用コイルは、信号処理システムに内部のMR信号を転送するために、信号処理システムに接続された複数の信号通信ケーブルを有し、
該装置はさらに、
MR信号を受信するために被験体を少なくとも部分的に囲むように構成されたボリュームコイルを含み、
ボリュームコイルは複数の接続導体を含み、
前記全身用コイルと前記ボリュームコイルは、MR信号を受信するために、共通の共振周波数に個々に同調され、
前記ボリュームコイルは、前記ボリュームコイルの存在が送信段階の間にRFパルスに干渉するのを防ぐように、送信段階の間に共振周波数で内部の電流の流れを止めるための構造を有し、
前記ボリュームコイルは、前記全身用コイル上にMR信号を誘導することによって、前記全身用コイルを介して信号処理システムに内部のMR信号を伝えるように配される。
【0041】
本発明の第3の態様によれば、被験体のMR撮像のための装置が提供され、該装置は、
被験体に適用される変動磁場を生成するように動作可能な傾斜磁場コイルを備えたMR磁石、
被験体が、適用された磁場とRFパルスに反応してMR信号を生成するように、撮像される被験体に適用される送信段階のRFパルスを生成するためのRF送信コイル構造、
受信段階でMR信号を得るための受信コイル構造、および、
画像を生成する信号処理を実行するためにMR信号を受信するための信号処理システムを含み、
受信コイル構造は、
MR信号を受信するために、被験体に隣接するように配された少なくとも1つの第1のループ、
前記少なくとも1つの第1のループに隣接するように配された少なくとも1つの第2のループを含み、
前記少なくとも1つの第2のループは、信号処理システムに内部のMR信号を転送するために、信号処理システムに接続される信号通信ケーブルを有し、
前記少なくとも1つの第2のループと前記少なくとも1つの第1のループは、前記MR信号を受信するために、共通の共振周波数に個々に同調され、
受信段階でのみ動作し、かつ、送信段階で適用されたRFパルスを送信しない、前記少なくとも1つの第1のループと前記少なくとも1つの第2のループのすべてのコイルループは、前記すべてのコイルループの存在が送信段階中にRFパルスに干渉するのを防ぐように、送信段階の間、共振周波数で内部の電流の流れを止めるための構造を内部に有し、
前記少なくとも1つの第1のループは、前記少なくとも1つの第2のループ上にMR信号を誘導することによって、前記少なくとも1つの第2のループを介して信号処理システムに内部のMR信号を伝えるように配される。
【0042】
ボリュームコイルは、複数の接続導体に加えて、デカップリングブロック回路のためのコンデンサ、PINダイオード、インダクタといった他の部品を含んでもよい。
【0043】
送信段階中に共振周波数で内部の電流の流れを止める構造は、アクティブかつパッシブの両方であってもよく、または、アクティブのみ、あるいは、パッシブのみであってもよい。
【0044】
本明細書の「ループ」という用語は、複雑な受信コイル構造の1つの部品または素子に使用され、この用語は、この用語によって定義される個々の素子の形状または構造を制限することを意図してはいない。典型的に、各々のループは、電流が信号に反応してループのまわりを流れるように、導電性ワイヤまたは他の導電材料を備えた単一ループである。様々な材料が導電材料に使用されてもよく、確かに、本明細書に使用されるこの用語は、使用可能な特定の材料に限定されない。
【0045】
例えば、このような「ループ」は、撮像される一部分を囲む複雑なボリュームコイルによって形成することができる。
【0046】
上記の構造での目的は、前記第1のコイルには信号処理システムにMR信号を運ぶワイヤーケーブルがないということである。このことは多くの顕著な利点を提供することができる。
【0047】
したがって、本明細書で提供される構造は、ケーブルのないボリュームコイルからなり、このボリュームコイルは、MR磁石の内蔵式全身用コイルと連結することによって動作する。このボリュームコイルは従来のMR撮像コイルほど多くの部品を有していない。設計はバードケージ型共振器によって定義可能であり、体積測定コイルとして使用される。
【0048】
この構造は、以下の特徴および利点の1つ以上を提供することができる:
a)市販のフェーズドアレイボリュームコイルと比較して、誘導式のボリュームコイルは、等しいかより優れた画像を得ることができる。本明細書のコイルは、優れたSNR番号の非常に均一な画像を提供することができる。
b)システム内のレシーバの数にかかわらず、チャネルの数に制限がない。
c)コイルをシステムに接続するために、外部ケーブルトラップを備えたケーブルは必要ない。
d)コイルは受動素子のみを含んでいるため、構築するのがとても容易である。
e)内部のバラン、プリアンプ、接続ケーブル、ケーブルトラップ、または、外部コネクタブロック、あるいは、延長ケーブルの必要性がない。
f)コイルは、類似する(同じ視野)フェーズドアレイボリュームコイルと比較して物理的な寸法(大きさ、重量)が小さい。
g)ケーブルのないボリュームコイルは病院のワークフロー改善することができる。
h)患者の位置付けと外科的アクセスが著しく改善される。
j)患者の皮膚がコイルケーブルに接触することに起因する患者のやけどの可能性が完全に除去される。
k)患者の安全性の増大
l)パッシブデカップリングは、送信段階中に内蔵式全身用コイルに対して、誘導式ワイヤレスコイル間のクロストークを除去するために提供される。したがって、B1歪み、コイル熱、および、B1歪みによって引き起こされる画像の非均一性は除去される。B1は内蔵式全身用コイルによって生成されるRF磁場である。
【0049】
ケーブルのないボリュームコイルの多くの様々な構造が提供可能である。これらは次のものを含む。
―標準タイプのバードケージは、高域通過、低域通過、および、帯域通過のボリュームコイルを含む。
―バードケージ型ボリュームコイルの半分(Half birdcage volume coil)、上部半分、下部半分、または、その両方の半分が一緒に作動する
―螺旋状のバードケージ
―分割したタイプのボリュームコイル
―頭部および頸部の組み合わせコイル
―放射線半透過性ボリュームコイル
―1.5Tまたは3Tのいずれかの二重周波数、および、多核画像分光法
―iPATタイプの高速撮像
【0050】
1.5Tと3Tの双方のコイル撮像は、既存の市販のフェーズドアレイ頭部コイルに匹敵し、非常に優れた画像均一性および高いSNRを提供する。
【0051】
多くの可能な構造がこの広範な定義内で使用可能である。
【0052】
第一に、第2のコイルは磁石上で支持された内蔵式全身用コイルであってもよい。このような全身用コイルは、一般的に磁石システムで利用可能である。
【0053】
第2のコイルまたは全身用コイルは送信コイルとして作動するか、あるいは、別の専用コイルが別々に使用可能である。
【0054】
プロセッサーに信号を転送するためには、誘導結合を用いる2つのコイルのみがあればよく、あるいは、3つまたはそれ以上のコイルの束があればよい。
【0055】
この構造では、第1のコイルは、患者の体内に位置付けられ、第2のコイルは患者の体外に配される。この構造では一般的に、第2のコイルを患者の外部にできるだけ近づけ、こうして、患者のまわりで全身用コイル(または、他のコイル)に順に誘導的に通信する。
【0056】
第1のコイルは、被験体に可能な限り物理的に近づけて位置づけられ、第2のコイルは、信号を誘導的に受信し、かつ、その信号を処理装置に転送するように、第1のコイルよりももっと被験体から間隔を置いた位置に位置付けられるように配される。
【0057】
本明細書のこの構造は、撮像される部分にできるだけ近づけて第1のコイルを提供すること、および、できるだけ小さな体積を覆うことにより、該部分から間隔をおいて位置付けられる第2のコイルよりも著しく大きな信号対雑音比を有する信号が生成されるという発見に基づく。その後、第1のコイルによって拾い上げられた信号は、たとえその際に著しく減少したとしても、第2のコイルに誘導的に伝えられる。第1のコイルからの信号は、第2のコイル上のMR信号が、第1のコイルの不在下で生成されるであろうMR信号よりも多くなるような十分な誘導効率(100%未満)で、前記少なくとも第2のループ上で誘導されることが分かった。これは、表面コイルに対する信号を増加させるカテーテルコイルが使用される可能性を含む。すなわち、被験体の近くに第1のコイルを提供することと、その後、誘導結合の損失にもかかわらず、第2のコイルに信号を伝えることによって、効果が増す。
【0058】
生じる別の問題は、MR信号を承認しがたいほど減らすために、コイル間の相互インダクタンスがループの同調された共通の共振周波数を変更することができるということである。典型的に、したがって、同調された周波数を変更する相互インダクタンスの問題は少なくとも平衡を保ち、かつ、追加の第1のコイルを提供することによって得られる利点に勝るものであろう。しかしながら、これがそうでないことがわかった。もし、MR信号が前記少なくとも1つの第1のループの不在下で発生するであろうMR信号よりも少ない値であるような状況への同調に対して有害な作用を与えることなく、どんな距離が有意な利点を提供するのかを測定する実験によって距離が注意深く管理されれば、有意な利点が得られる。
【0059】
本明細書で発生し、記載される1つの問題は、SENSEまたはSMASHまたは他の最新技術などの並列チャネルを用いることによって得られる高速撮像の利点を利用するために、信号処理ユニットの別々のチャネルの別々の信号を生成する方法に係る問題である。好ましくは、各々のループは、順に駆動されるように、電流の流れを止めるために遠隔で操作可能なアドレス可能なスイッチを含む。
【0060】
この困難を克服する第1の実施形態では、第1のコイルは、複数の別々のループを含み、第2のコイル上に誘導された信号から別のチャネルの別のMR信号を生成するための構造が提供される。
【0061】
1つの構造では、各々の第1のループは、第1のループ内の電流の流れを止めるために遠隔で操作可能なアドレス可能なスイッチを含む。このように、各々の第1のループを順に駆動させることができる。従来のMRI機器を使用するこの構造では、全身用コイルは単一の出力部を有する。この構造では、並列撮像を行なうために、個々の素子感度特性(element sensitivity profiles)を得ることができる。信号処理システムは単一チャネルから信号を受信するように配され、感度特性によって、スキャナーによる処理のために、組み合わせた単一のチャネルをその個々の素子へと分離する。コイルからの個々の信号は、別々のチャネルの個別の信号を測定するためにこのような因子を用いて、コイルの感度特性および雑音相関マトリックス(Noise Correlation Matrix)として知られているものを測定することによって、決定することができる。この構造では、単一の第2のコイルの感度特性と潜在的には雑音相関マトリックスは、第1のコイルの各々のスイッチを切るようにスイッチを操作することによって、測定されることができる。このように測定された後、第1のループの各々の感度特性および雑音相関マトリックスは、他のもののスイッチを切っておいて各々1つだけを駆動させることによって、かつ、その後、単一の第2のコイルと第1のループの駆動させた1つとによって得られた全ての信号から、単一の第2のコイルから得られた信号を減算することによって測定可能である。その後、感度特性と潜在的には雑音相関マトリックスは、処理システムの別のチャネルに必要な所望の個々の信号を、単一の第2の受信コイルの単一の出力から測定するために使用される。並列撮像については、ベース画像はRF全身用コイルのみを用いて得られる。個々のループの切り替えを利用することで、誘導ループの各々の画像は、連続して、かつ、その任意の可能な組み合わせで得られる。したがって、全身用コイルベース画像からの画像の差分によって、コイル間の感度視野および相関マトリックスの写真が得られる。一旦この構造が得られると、並列撮像中の下位サンプリング(an under sampling)を広げることができる。この技術は、GRAPPAのような方法を用いてもうまくいくように、空間および時間範囲に拡大伸張可能である。
【0062】
別のループを別のチャネルに接続させる全身用コイルを備えた構造に適用可能な第2の構造では、全身用コイルの構造はチャネルの各々のそれぞれ1つに必要な信号を提供することが分かっている。
【0063】
本発明の別の重要な態様によれば、コイルには、一定の時間後にコイルのスイッチを切るように作動するスイッチが提供される。したがって、第1の駆動後の一定の時間が経過した場合、スイッチは回路を開くように移動することができる。このようにして、コイルの活動的な期間を制御することができる。これは、コイルが1回限りの使用製品であるように、例えば、長時間に限定可能である。こうして、スイッチは第1のRFパルスの受信後に起動され、コイル組立体のさらなる使用(ruse)を防いで回路を開くようにスイッチを操作するためにタイムアウトするタイミング回路を有する。別の構造では、スイッチは、回路を開くために移動する前に特定の数の滅菌作用を許可するように、滅菌に応じて動作する。さらに別の構造では、コイルの許容可能な総耐用年数は、メーカーによって予め決められ、その後、耐用年数を超えてその製品を使用しようとするユーザー向けに積極的に強化される。この構造は、コイルを、一度使用した後に廃棄する必要がある1回限りの使用製品とすることができ、この規約は、それを無視しようとするユーザーに対して十分に強化される。
【0064】
製品を使い捨てにするために、トランジスターおよび可変素子のようなコストの高い部品の使用を回避するループの操作を制御する部品が提供される。これは、コイルがRF信号に応答する必要がない際に、コイルを切り替えるためにコイルの離調を使用することにより達成することができる。したがって、RF周波数とは十分に異なる共振周波数へのコイルの離調は、等価であるか、または、ループを切り替えて回路を開けた際と同じ結果を達成する。これは多くの方法で達成可能であり、とりわけ、同調を変更するためにコイルに近い位置に、協働コイル(a cooperating coil)を移動させることによって達成することができる。
【0065】
共振する同調に干渉しないように別々のループを確実にデカップリングするために、ループの幾何学的構造、容量デカップリング、誘導デカップリング(inductive decoupling)、および、2つの別々のループ間のデカップリングを提供するのに必要な動作を取り消す必要な電流を提供するために、別々のループの2つの間で誘導結合するように動作する別の追加ループの使用を含む、従来のデカップリング技術を使用することができる。これらの技術はすべて当業者に知られている。
【0066】
(内蔵式プリアンプを備えた)コイル大きさおよびケーブルは、コイルの性能、ワークフロー、滅菌、および、安全性に影響を与える主要な問題である。本明細書に記載のこの新しい設計は、これらの部品のいずれも含んでいないため、コイルの性能、ワークフロー、滅菌、および、安全性を著しく改善することができる。
【0067】
第1のコイルが複数の別々のループを含むフェーズドアレイである構造において、フェーズドアレイコイルの1以上のループにはプリアンプがなく、かつ、ケーブルもなく、スキャナーへの物理的な接続もなく、したがって、いわゆる「ワイヤレスコイル」を提供する。これらのワイヤレスコイル素子は共振器であり、MRスキャナー動作周波数に同調される。これらのワイヤレスコイル素子またはループは、コイルループの重複による従来の技術、共有導体を含む誘導技術、誘導方法、および、幾何学的(直角位相のような)方法を用いて、互いからデカップリングされる。これらのワイヤレスコイル素子は、ケーブルとプリアンプを含まない現行の技術を使用することによって、コイル素子間の優れたデカップリングを備えた、横電磁波(TEM)コイルおよび受信専用コイルであってもよい。
【0068】
これらのワイヤレスコイル素子は、受信段階で、内蔵式RF全身用コイルに誘導結合される。追加コイルを用いる多重システムでは、これらのワイヤレスコイルは、結果として内蔵式RF全身用コイルに結合する大きなおよび/小さなコイルに、互いに連続して結合することができる。これらのコイルは、送信段階中にTX/RX全身用RFコイルまたは他の送信コイルの送信部分から受動的に離調される。
【0069】
動作周波数はRFの全スペクトルをカバーする。ワイヤレスコイル素子の組み合わせは、磁石軸または軸外に沿って誘導結合した多重ループであってもよい。
【0070】
コイル素子は、送信段階中に送信コイルからパッシブデカップリングされる。送信コイルはMRスキャナー内の内蔵式全身用コイルであるか、または、局所的な送信コイル、あるいは、送信フェーズドアレイであってもよい。あるいは、トランシーバーコイルは、多重送信機システムで作動することができる。ワイヤレスコイル素子の大きさは、頭部コイルまたは全身用コイルと同じくらい大きく、心臓内コイルほど小さくてもよい(直径<10mm)。
【0071】
ワイヤレスコイル素子の感度は、離調、挿入インピーダンス、および、コイルクロストークを除去し、かつ、信号対雑音比を最適化する他の方法によって、調節することができる。
【0072】
ワイヤレスコイル素子とピックアップコイル(pickup coil)の間の距離は、離調を防ぐために相互インダクタンスを減らし、かつ、信号伝達効率を最大限にするという、相反する条件を心に留めながら、最適化したSNRに調節可能である。
【0073】
ワイヤレスコイル素子と撮像される被験体との間の距離は、負荷を減らし、かつ、Q因子を各々のコイル素子よりも高く保つことで、その結果、各々のコイル素子が撮像される被験体から最大のMR信号を得ることができるようになるという相反する条件を心に留めながら、最適化したSNRに調節可能である。
【0074】
本明細書に記載の構造は、以下の利点または特徴の1つ以上を有する:
ワイヤレスコイル素子は、剛性でも、軟性でも、または、任意の組み合わせであってもよい。ワイヤレスコイル素子は、殺菌可能であり、再利用可能であり、限定的に再利用可能であり、使い捨てであってもよい。
ワイヤレスコイルは、コイルの必要とされた位置に開口部を有するような所望の操作に一致するように形作られることができる。
使い捨てできるように非常に安く製造することができる。
手術中の脳神経外科のような処置全体の間に適所に置くことができるようにワイヤを有していない。
非常に柔軟であるため、患者の身体により正確に一致させることができる。
【0075】
これらのワイヤレスコイル素子は、アルミニウムコイル材料、および、金および銀めっきを含む/含まない原子番号Z≦30の材料などの技術を用いて、X線または放射線治療で使用するために放射線半透過性で製造可能である。
【0076】
これらのワイヤレスコイル素子の幾何学は、任意の形状であってもよい。該形状は以下のものを含むがこれらに限定されない:円形、長方形、蝶形、マイクロストリップベースのコイル、または、マイクロストリップ伝送線路(MTLコイル)、バードケージ形、半バードケージ形、および、他のボリュームコイル。
【0077】
磁石が手術手順のために移動可能な構造において、ケーブルがないため、第1のコイルを適所に残すことができる。
【0078】
このような構造では、ケーブルは非常に長いため、ケーブルがまったく存在しないことは利点を増やすことになる。
【0079】
第1のコイルをはるかに小さくすることができるため、コイルの体積内で発生する雑音の量に依存する信号対雑音比はかなり少なくなる。
【0080】
第2のコイルが被験体からの直接的な信号に依然として反応するため、第1の近接コイルともっと離れた第2のコイルによって生じた信号は、第2のコイルで加えられる。多くの場合、これは大きな効果ではないと判明してきたが、それでも結果として生じる信号の質を加えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0081】
本発明の1つの実施形態は、添付の図面とともにこれから記載される。
【0082】
【図1】本発明の第1の実施形態を含む、MRIシステムの概略図である。
【図2】本発明の第2の実施形態を含む、MRIシステムの概略図である。
【図3】線3−3に沿った図2の頭部コイルの概略図である。
【図4】図2の頭部コイルの上部の可撓性部分の基本構想図である。
【図5】本発明の第3の実施形態を含む、MRIシステムの概略図である。
【図6】本発明の第4の実施形態を含む、MRIシステムの概略図である。
【図7】本発明の第5の実施形態を含む、MRIシステムの概略図である。
【図8】本発明の第6の実施形態を含む、MRIシステムの概略図である。
【図9】図1の構造物で使用するためのボリュームコイルの第1の構造の概略図であり、ボリュームコイルは高域通過バードケージコイル(high pass birdcage coil)を含む。
【図10】図1の構造物で使用するためのボリュームコイルの構造の概略図であり、ボリュームコイルは低域通過バードケージコイル(low pass birdcage coil)を含む。
【図11】図1の構造物で使用するためのボリュームコイルの第1の構造の概略図であり、ボリュームコイルは帯域通過バードケージコイル(band pass birdcage coil)を含む。
【図12】図1の構造物で使用するためのボリュームコイルの第1の構造の概略図であり、ボリュームコイルは、二重周波数のために構築された高域通過バードケージコイルを含む。
【図13】図1の構造物で使用するためのボリュームコイルの第1の構造の概略図であり、ボリュームコイルは、コンデンサ間に二重の横木を備えた高域通過バードケージコイルを含む。
【図14】図1の構造物で使用するためのボリュームコイルの第1の構造の概略図であり、ボリュームコイルは、Litzcage型の高域通過バードケージコイルを含む。
【図15】図1の構造物で使用するためのボリュームコイルの第1の構造の概略図であり、ボリュームコイルは、患者の頭部および頸部で使用するために設計された高域通過バードケージコイルを含む。
【図16】図1の構造物で使用するためのボリュームコイルの第1の構造の概略図であり、ボリュームコイルは、半バードケージコイルを含む。
【図17】図1の構造物で使用するためのボリュームコイルの第1の構造の概略図であり、ボリュームコイルは、分割された2つの半割部分によって形成されるタイプのバードケージコイルを含む。
【図18】図1の構造物で使用するためのボリュームコイルの第1の構造の概略図であり、ボリュームコイルは、Alderman−Grantのバードケージコイルを含む。
【0083】
図において、参照の類似する特徴は異なる図の対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0084】
被験体のMR撮像のための装置は、被験体に適用される変動磁場を生成するために磁場制御システムによって操作可能な従来の円筒状のMR磁石(10)を含む。
【0085】
MRシステムは、撮像される被験体に適用される送信段階のRFパルスを生成するためのRF送信構造(12)、および、画像を生成する信号処理を実行するためにMR信号を受信するための信号処理システム(13)によって受信段階のMR信号を得るための受信構造を含む。周知のように、被験体は、適用された磁場とRF信号に反応してMR信号を生成し、これは検知され、処理されることによって画像を生成する。この構造は周知であり、適切なシステムはSiemensから入手可能である。
【0086】
典型的に、磁石(10)は、患者を囲むように円筒形の磁石筐体に取り付けられる全身用コイル(14)として知られているRFコイルを支持する。これは通常、送信コイルとして使用される。しかしながら、別の送信コイルも使用することができる。全身用コイルは受信コイルとしても作動することができる。しかしながら、再び別の受信コイルを使用することができる。送信または受信コイルは同じコイルであってもよく、または、別のコイルによって提供可能である。
【0087】
図1に示される第1の実施形態では、送信コイルは全身用コイル(14)によって定義される。受信コイル構造は、患者の身体の内部に位置付けられる最も内側のコイルループ(15)を含む。これは、患者の内部、例えば、撮像される心臓または他の器官内の必要とされる位置にコイル(15)を移動させる適切な支持部(15A)によって挿入される。受信コイル構造は、最も内側のコイル(15)に隣接するが、身体の外部に位置付けられる第1の外部コイル(16)をさらに含む。コイル(16)は、単一のループによって、より好ましくは、フェーズドアレイのループによって、形成可能である。受信コイル構造は、コイル(16)を囲む全身用コイル(14)によって定義される第2の外部コイルをさらに含む。他の構造では、別のコイルが第2の外部コイルに使用可能である。いずれの場合も、第2の外部コイルは、信号処理システム(13)に内部のMR信号を転送するために、信号処理システム(13)に接続される信号通信ケーブル(14A)を有する。
【0088】
図4では、コイル(16)上の平面図が提供され、この構造において、コイルは、フェーズドアレイのループ(16A、16B、16Cなど)によって形成される。コイル(15、16、および、14)のすべてのループは、当業者に周知の従来の同調デバイスを用いて前記MR信号を受信するために、(17)で概略的に示されたコンデンサのような同調部品によって、共通の共振周波数に個々に同調される。
【0089】
受信段階でのみ動作し、かつ、送信段階で適用されたRFパルスを送信しないコイル(15および16)のすべてのコイルループは、前記すべてのコイルループの存在が送信段階の間にRFパルスに干渉するのを防ぐように、送信段階の間、内部の電流の流れを止めるために、コンデンサ、誘導体、および、ピンダイオードを備えたパッシブブロック回路のような、(18)で概略的に示される構造を内部に有する。この種類のデバイスは知られているため、操作の説明は必要ない。
【0090】
最も内側のコイル(15)のループは、コイル(15)上にMR信号を誘導し、そこからコイル(14)上にMR信号を誘導することによって、第1の外部コイル(16)のループを介して、および、第2の外部コイル(14)を介して、信号処理システムに内部のMR信号を伝えるように配される。上記の構造における目的は、前記コイル(15)および(16)には、信号処理システムにMR信号を運ぶワイヤーケーブルがないということである。
【0091】
一般的に、この構造では、コイル(16)は患者の外部に可能な限り近づき、このコイルは順に患者のまわりで全身用コイル(または他のコイル)に誘導的に通信する。
【0092】
したがって、コイル(16)は被験体に物理的に可能な限り近づけて位置付けられるように配され、第2のコイルまたは全身用コイル(14)は、誘導的に信号を受信し、その信号を処理ユニットに転送するように、コイル(16)よりももっと被験体から間隔を置いた位置に位置付けられる。
【0093】
信号は組織を通過する際に急速に減少するということを心に留めておく必要があるが、コイル(15)は撮像される部分にできるだけ近く、できるだけ小さな体積から雑音を受信するように、かつ、できるだけ多くの信号を受信するように、できるだけ小さな体積を覆うかまたは囲む。したがって、これは、その部分からさらに間隔をおいて位置付けられた第2のコイルよりも著しく大きな信号対雑音比を有する信号を生成する。その後、たとえ誘導通信に著しい減少があっても、コイル(15)によって拾い上げられた信号は、コイル(16)に誘導的に伝えられる。コイル(15)からの信号は、誘導効率(100%未満)であるが、コイル(16)上のMR信号が、コイル(15)の不在下でコイル(16)上で生成されるであろうMR信号よりも多くなるような十分な誘導効率で、コイル(16)上で誘導される。すなわち、被験体の近くにコイル(15)を提供すること、および、その後、誘導結合の損失にもかかわらずコイル(16)に信号を伝えることによって効果が増す。同じ効果がコイル(16)とコイル(14)の間の第2の誘導段階で起こる。
【0094】
当然のことながら、コイル(16および14)は、撮像されている部分からも直接信号を受信し、この信号は誘導的に通信された信号に加えられる。しかしながら、各々の場合において、誘導結合した信号は直接検知された信号よりもはるかに多い。
【0095】
発生する別の問題は、MR信号を承諾しがたいほど少なくするために、コイル(14、16、および、15)の間の相互インダクタンスが、ループの同調した共通の共振周波数を変更することができるということである。したがって、相互インダクタンスの量が、信号の獲得が低下するレベルまでの同調に干渉するのに十分な同調周波数を変更しないように、それらの間の間隔は十分なものでなければならない。
これはもちろんトレードオフ(trade off )であり、特定の実施形態の特定のコイル間の実際の距離間隔は、最良の信号対雑音比を有する最良の信号を得るために、所定の位置までコイルを移動させる単純な実験によって、測定されなければならない。
【0096】
図2に示される第2の実施形態では、全身用コイル(14)とコイル(16)によって定義される2つのコイルのみがある。したがって、信号は主にコイル(16)によって得られ、信号処理システム(13)へのケーブル伝送のためにコイル(14)に誘導的に転送される。
【0097】
この実施形態では、コイル(16)は、頭部の下に下部部分(16X)を、頭部の上に上部部分(16Y)を含む頭部コイルである。各々が単に担体基板(16Z)と電導ループによって形成されるため、一方または両方の部分は柔軟であってもよい。この実施形態6ではループ(16A乃至16F)が示されるが、異なる数字を使用することができる。各々のループは、同調部品(17)とスイッチ(18)を定義する回路素子を含む。
【0098】
図5では、全身用コイルがないか使用されないさらなる実施形態が示され、別の送信コイル(20)があり、コイル(23)はケーブル(13A)によって信号処理システムに接続されている。
【0099】
ここで図6に示される実施形態に目を向けると、全身用コイル(14)がケーブル(14A)上で単一のMR信号(多重信号を生成する多重チャネルアレイコイルと比較する)を生成する単一チャネルコイルである構造が示されている。SENSまたはSMASHまたは他の最新技術などの並列チャネルを用いることによって得ることができる高速撮像を利用するために、信号処理ユニット(13)の別々のチャネル(13B乃至13G)の別々の信号を生成することが必要である。
【0100】
この実施形態では、コイル(16)は、複数の別々のループ(16A乃至16F)を含む。図4に示されるように、ループ(16A乃至16F)の各々の回路は、各々のループが順に稼働させることができるように、ループ中の電流の流れを止めるために遠隔で操作可能なアドレス可能なスイッチ(19)を含む。
【0101】
一般的に、第2のコイル(16)の別々のループ(16A乃至16F)上に誘導された信号から別々のチャネルの別々のMR信号を生成するために、信号分離システム(21)によって定義された構造がこの実施形態で提供される。
【0102】
この構造では、各々のループは、ループ内の電流の流れを止めるために、(22)で概略的に示されたワイヤまたはワイヤレス起動システムによって遠隔で操作可能なアドレス可能なスイッチを含む。このようにして、他のループをオフにしたまま、各々のループを順に稼働することができる。信号分離システム(21)は、全身用コイル(14)から信号を受信し、かつ、別々のMR信号を計算するように配され、全身用コイル(14)上で誘導された信号から別々のチャネルの多重チャネル信号(13A)をエミュレートする。
【0103】
より具体的には、信号分離システムは、各々受信したMRループ信号の感度特性と、潜在的には雑音相関マトリックスとを測定するように、第1のループの各々の個々の効果を測定するために、アドレス可能なスイッチ(22)を使用すべく、画像処理キャリブレーションシーケンスに配される。キャリブレーションシーケンスは、感度特性を得るために各々のループを個々に選択する。一旦個々の感度特性が知られると、システムは、組み合わせたMR信号(14A)上で処理を行い、標準的な多重チャネルフェーズドアレイコイルをエミュレートする別の出力(13B乃至13G)を提供する。ここで図7に目を向けると、全身用コイル(14)が、単一の信号処理システム(13)の別々のチャネル(13B乃至13G)に接続された別々のループ(24B乃至24G)を有する多重チャネル送信および受信コイル(24)に置き換えられている。コイル(16)は、以前に記載されたように複数のループ、つまり、送信および受信双方のコイルに用いられるフェーズドアレイ全身用コイルによって形成されたコイルでもある。コイル(16)からコイル(14)への誘導的な信号の通信は、チャネルの各々のそれぞれ1つに必要とされる別の信号を提供し、かつ、標準的な並列画像処理方法によって画像を生成するために信号処理システム(13)に別の信号を伝える。
【0104】
ここで図8に示される実施形態に目を向けると、全身用コイル(14)が直角位相のバードケージコイルである構造が示されており、該コイルは、撮像される被験体へのRFパルスを生成し、送信コイルにのみ使用される。SENSEまたはSMASHまたは他の最新技術などの並列チャネルを用いることによって得られる高速撮像を利用するために、可能な限り全身用コイルに近づく、磁石中のフェーズドアレイ受信専用コイルを加えることが必要であり、フェーズドアレイコイル(25)が、信号処理システム(13)の別のチャネル(13B乃至13G)に接続した別々のループ(25B乃至25G)を有する構造が示されている。コイル(16)は、コイル(16)からコイル(25)に信号を誘導結合する。コイル(25)は、チャネルの各々のそれぞれ1つに必要とされる別の信号を提供し、かつ、標準的な並列画像処理方法によって画像を生成するために信号処理システム(13)に別の信号を伝える。
【0105】
ここで図9乃至18に目を向けると、本明細書で提供される構造は、したがって、内蔵式全身用コイルとの結合によって作動するケーブルのないボリュームコイルからなる。内蔵式全身用コイル(14)との誘導結合は、他の局所用ボリュームコイルと同程度のSNRおよび画像均一性を提供する。このコイルにはプリアンプ、ケーブル、ケーブルトラップ、バラン、または、コネクタがない。この実施形態では、設計はバードケージ型共振器によって定義可能であり、体積測定コイルとして使用される。
【0106】
図9では、ボリュームコイル(16)は、高域通過バードケージコイルを含む。これは、一連の並列導体(163)によって接続された2つの末端リング(161および162)を備えた従来のバードケージ形状である。コイルは円筒状であってもよく、その場合には、末端リング(161および162)は同じ直径であってもよい。コイルは円錐形であってもよく、その場合には、末端リング(161)は末端リング(162)よりも大きい。コイルは樽形状であってもよく、その場合には、末端リング(161および162)は同じ直径であり、導体(163)はアーチ状である。
【0107】
各々の導体(163)と次の導体の間の末端リング(161および162)には、上に記載された部品(17および18)の機能を実行するように作動する回路部品(17/18)が設けられる。したがって、2つの並列導体(163)とともに末端リング(161および162)の一部によって形成される各々の個々のループは、その構造で、および、上記の機能のために、(便宜性のために、部品が位置付けられた導体間の間隙として単に記載された)回路素子(17/18)によって個々に切り替えられる。
【0108】
この構造では、市販のフェーズドアレイボリュームコイルと比較して、誘導性のボリュームコイル(16)は等しいかより優れた画像を達成することができる。本明細書のコイルは、任意のプリアンプおよびケーブルを含むことなく、優れたSNR数の非常に均一な画像を供給することができる。システム内のレシーバの数にかかわらず、チャネルの数には制限がない。いかなるケーブルも、システムにコイル(16)を接続するためには使用されない。コイルは、回路部品(17/18)によって定義された受動素子のみを包含している。誘導型ボリュームコイル(inductive volume coil)(16)は、バラン、プリアンプ、ケーブル、ケーブルトラップ、コネクタブロック、または、延長ケーブルを含んでいない。バードケージコイルは、類似の(同じ視野の)フェーズドアレイボリュームコイルと比較して、より小さな物理的寸法(大きさ、重量)を有する。
【0109】
患者の位置付けと外科的アクセスは、長い接続ケーブルの欠如とコネクタの位置によって著しく改善される。ケーブルの長さとコネクタの位置は、患者と撮像に適合するためにコイルの角度および/または配向を制限することが往々にしてある。ワイヤレスコイルの大きさおよび重量が小さいと、より多くの自由が与えられることで患者の位置付けを助ける。コイルが従来のコイルより物理的に小さく、従来のコイルケーブルが通常外科的アクセスを制限するかまたは阻むため、外科的アクセスも改善される。ケーブルがなく、患者の皮膚がコイルケーブルに接触することに起因する患者のやけどの可能性が完全に除去されるため、患者の安全性が改善される。
【0110】
回路部品(17/18)は同調とパッシブデカップリングを提供する。パッシブデカップリングは、送信段階中に内蔵式全身用コイルと誘導型ワイヤレスコイルとの間のクロストークを除去する。したがって、B1歪み、コイル熱、および、B1歪みによって引き起こされる画像の非均一性は除去される。
B1はRF磁場である。内蔵式全身用コイルからデカップリングされていない場合の局所コイルは、所望の領域で局所的なB1磁場を発生させ、同時に、内蔵式全身用コイルからのB1磁場は同じ時間、同じ領域に存在している。これらのB1磁場は両方とも組み合わせることで、歪みのある有効なB1磁場を作り、したがって、歪み画像を引き起こす。
【0111】
図10では、ボリュームコイル(16)は、ボリュームコイルは低域通過バードケージコイルを含む。高域通過バードケージコイルの同調およびデカップリング部品(17/18)はすべて、末端リング(161および162)にあり、低域通過バードケージコイル上の同調およびデカップリング部品は横木にある。高域通過または低域通過のコイルの選択は、磁場の強度、コイルの大きさ、患者の負荷、および、最良の撮像性能のためのコイルの使用目的などの様々な因子に依存する。
【0112】
図11では、ボリュームコイル(16)は、帯域通過バードケージコイルを含む。帯域通過バードケージコイルの同調およびデカップリング部品(17/18)はすべて、末端リング(161および162)にあり、横木にもある。帯域通過コイルの選択は、磁場の強度、コイルの大きさ、患者の負荷、および、最良の撮像性能のためのコイルの使用目的などの様々な因子に依存する。
【0113】
図12において、ボリュームコイル(16)は、高域通過二重周波バードケージコイル(high pass dual frequency birdcage coil)を含み、該コイルは、1つの筐体で適切な間隔によって分離された2つの個々のコイル(16Aと16B)からなり、例えば、プロトン(1H)およびリン(31P)の画像といった二重の核で使用するためなどの二重周波数のために、または、二重の磁場の強度(例えば、1.5テスラおよび3テスラの画像システム)のために構築される。この構造では、末端リング(161および162)は、二重周波数の別々の周波数に同調させた別の末端リング部品(165、166、および、167、168)に各々分けられ、その各々は部品(17/18)を含む。
【0114】
図13において、ボリュームコイル(16)は、二重の横木型の高域通過バードケージコイルを含む。この構造では、通常のバードケージコイル中の各部分の各々の横木は、二重の並列横木(163Aおよび163B)に置き換えられており、すべての横木は、均一なRF磁場を提供するように等しく間隔を置かれる。末端リング(161および162)は、送信段階の間のコイルの同調と全身用コイルからのデカップリングのための部品(17/18)をさらに含む。
【0115】
図14では、全身用コイル(16)は、Litzcageタイプの高域通過バードケージコイルを含む。この構造では、通常のバードケージコイル中の各部分の各々の横木(163)は、中心に絶縁性のまたぎ継ぎ手(crossover)(163E)を備えた2つの並列の横木(163C、163D)に置き換えられており、すべての横木は、均一なRF磁場を提供するように等しく間隔を置かれる。末端リング(161および162)は、送信段階の間のコイルの同調と全身用コイルからのデカップリングのための部品(17/18)をさらに含む。
【0116】
図15では、ボリュームコイル(16)は、頭部と頸部に使用されるタイプのバードケージコイルを含む。これは図9の方法で構築されるが、末端リング(162)は、接続用横木(163)のいくつかが他のものより長くなるような長さまでコイルの軸に沿って長手方向に伸張する丸い突起部(lobe)(171および172)を形成するために形作られる。伸張した突起部は、頭部と上位頸部領域の両方のための撮像を提供する。
【0117】
図16において、ボリュームコイル(16)は、バードケージコイルの半分を含む。高域通過バードケージコイルの同調およびデカップリング部品(17/18)はすべて、末端リング(161および162)にある。このタイプのコイルは、位置付けの際の柔軟性と優れた外科的アクセスの増加をもたらす。
【0118】
図17では、ボリュームコイル(16)は、分割した2つの半割部分によって形成されるタイプのバードケージコイルを含む。2つの半割部分は、均一なB1 RF磁場を生成することができる周波数で共振するように誘導結合している。分割したバードケージコイルは、患者の位置付けの際の柔軟性を増やし、上部コイルは完全に取り除くことができるとともに、手術中に底部コイルを適所に残すこともできる。底部コイルと連動するように上部コイルを戻すことができる。
【0119】
図18では、ボリュームコイル(16)は、Alderman−Grantのタイプのボリュームコイルを含む。この構造では、2つの横木が2つの末端リングで二層に接続された固体要素から形成される。2つの内部のシールドリングはボリュームコイルの末端リングに位置し、連続的であるが、外部の横木および両方の末端リングから絶縁される。外部の横木は両方の末端リングに接続された2つの別々の大きな横木からなる。末端リングは、送信段階の間のコイルの同調と全身用コイルからのデカップリングのため部品(17/18)を含む。
【0120】
したがって、上に示されるように、ケーブルのないボリュームコイルの多くの様々な構造が提供可能である。これらは次のものを含む:
―標準タイプのバードケージは、高域通過、低域通過、および、帯域通過のボリュームコイルを含む。
―1.5Tまたは3Tのいずれかの二重周波高域通過バードケージコイル、および、二重核画像分光法
―高域通過の二重の横木を備えるバードケージコイル
―Litzcage高域通過ボリュームコイル
―高域通過の頭部および頸部の組み合わせコイル
―半バードケージ型ボリュームコイル
―分割した高域通過バードケージタイプ
―X線/MRおよびMRガイド放射線治療などのための、CT/MRIハイブリッドシステムに使用される放射線半透過性のボリュームコイル
―誘導コイルによるiPAT型の高速撮像
【0121】
1.5Tと3Tの両方のコイル撮像は、既存の市販のフェーズドアレイ頭部コイルに匹敵し、非常に優れた画像均一性と高いSNRを提供する。
【技術分野】
【0001】
本発明はMR撮像のためのRF受信コイル組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、MR撮像は、内蔵式全身用コイルなどのようなRF送信コイルによって生成される被験体の選択された体積の励起に応じて、試験下の被験体によって発せられる信号を受信するRF受信コイルを使用する。したがって、傾斜磁場コイルは、主要な磁場(B0)の制御された変動を発生させることによって、選択された空間の励起体積を生成し、その選択された体積によって発せられる信号は、受信コイル構造によって拾い上げられ、信号処理システムへと送信される。
【0003】
受信コイル構造は、単一のコイルループまたは素子を含むか、あるいは、撮像される被験体の一部のまわりに、あるパターンで配された一連のループを含むことができる。
【0004】
MRシステムは、磁石構造の内蔵式全身用コイルを提供し、これは、送信コイルおよび受信コイルの両方として作動することができる。
【0005】
しかしながら、場合によっては、全身用コイルは、要件を満たすのに十分な質の画像を提供しないため、従って、局所コイルが使用されなければならない。これらは、典型的には、MR信号を受信するとともに複数の接続導体を含むように、被験体の関心領域を少なくとも部分的にまたは完全に囲むように構成されるボリュームコイルである。
【0006】
いくつかの現行のボリュームコイルは、コイルループ、フェーズドアレイ、バードケージ、TEMからなり、これらはすべて、単一周波コイルまたは二重周波コイルであってもよい。これらは、整合するネットワーク、プリアンプ、デカップリングネットワーク、ケーブル、および、コネクタを必要とする。
【0007】
現行基準のボリュームコイル設計に係る多くの課題がある:
a)チャネルの数がシステム中のレシーバの数に限定される。
b)18の同軸ケーブルと少なくとも25の制御ワイヤを含む18のチャネルケーブルを必要とする、18のチャネルフェーズドアレイコイルなどの大きな直径のケーブル束は大きすぎて、ケーブル内で従来のケーブルトラップを構築することができない。
c)回路ボードのバラン(baluns)およびプリアンプのような電気部品は、複雑で、熟練して経験を積んだ技能者でも組み立てるのには時間がかかるため、構築するのは難しい。これらの部品は、高品質画像を生成し、かつ、部品間のクロストークを減らすために、設計および構築中に甚大な努力を要求する。
d)長尺ケーブル、ケーブルトラップ、および、コネクタインタフェースなどの必要とされる機械部品は、コイルの全体的なサイズと重量も増加させる。
e)コイルのサイズが大きく重量が重いと、顧客のワークフローの複雑さとワークフロー設計の複雑さが増す。
f)長尺ケーブルは重くて、置くのが厄介である。
g)現行の設計は柔軟性がなく、外科手術の要件は絶え間なく変わり、そして、医師の好みもあるため、患者の位置付けと外科的なアクセスにかかる諸問題がある。
h)コイルケーブルには皮膚とケーブルの接触に起因する患者のやけどの可能性があり、結果として、ケーブル、磁石ボア、および、患者との間の空間が増える。
このことは、走査の前に患者を適切に位置決めするために、看護職員のための患者空間の減少をもたらす。
i)手術中の部屋では、コイルのプラグを抜き忘れる手術室のスタッフと、患者の安全性チェックポイントの追加による手術室のワークフローの増加に関連する安全性の問題がある。
【0008】
通常、MRIの受信コイル構造の個々のループまたは複数のループは、プリアンプおよびケーブルを有する他の部品を介して、信号処理システムの単一のレシーバに接続される。
【0009】
したがって、このような受信コイル構造は、ケーブルによって信号処理システムに接続される受信コイルとして磁石上で支持される、いわゆる「内蔵式全身用コイル」を用いることができる。この場合、「内蔵式全身用コイル」は、送信コイルとしても使用される。
【0010】
したがって、このような受信コイル構造は、単一ワイヤによって信号処理システムの単一チャネルに接続される単一ループを含むことができる。この場合、システムは、送信コイルとして磁石上で支持される、いわゆる「内蔵式全身用コイル」を使用することができる。その後、この信号のループ受信コイルは、被験体、とりわけ、横たわった患者のまわりで集められた受信信号を供給し、当業者に周知の従来のシステムを用いて、処理のための単一のチャネルに信号を伝える。
【0011】
ゆえに、このような受信コイル構造は、各々がそれぞれのワイヤによって信号処理システムの複数のチャネルの個別の1つに接続される、いわゆるループの「フェーズドアレイ」を含む多重ループ構造を含むことができる。
【0012】
この場合、システムは、典型的には患者の身体の一部に巻きつくように配された携帯用のコイル組立体を用いるが、各々のループは、それ自体の処理部品と、処理のために別のチャネルに信号を接続するそれ自体のワイヤを有していなければならない。
【0013】
しかしながら、依然として広くは採用されていない最近の進歩において、受信コイル構造として磁石上で支持される「内蔵式全身用コイル」は、別々のチャネルに別々の信号を供給するために、個々のループ部品に分離される。
【0014】
様々な計算および外挿法を行なうために別々のチャネルからの信号を使用することによって、画像空間中またはK−空間中の各々の位置で画像結果を得る必要性を回避することによって、患者の一部の完全なスキャンを得るのに必要な時間を減らすための並列画像処理技術(parallel imaging techniques)が存在することは周知である。これらの並列画像処理技術のうちのいくつかは、SMASHおよびSENSEおよびGRAPPAとして知られている。
【0015】
優れた画像を得るために、プリアンプは、可能な限りコイル素子に近づけて配される。MRプリアンプの大きさは今日著しく縮小しているが、それは依然としてアレイコイル全体の多くの空間を占めている。加えて、プリアンプにおけるコイル筐体の領域は剛体でなければならない。
【0016】
コイルケーブルは周知のように、マルチ同軸ケーブルおよび信号制御ワイヤおよび外部シールドからなる。共通モード電流またはシールド電流は、送信コイルによって生じる高RF磁場により、送信段階中にシールドの外側表面上で生成される。患者がシールド電流によって危険なまでに過剰に加熱されるのを防ぐために、ケーブルトラップがコイルケーブル組立体に必要である。より多くのケーブルトラップを備えた長尺ケーブルが、動いている磁気システム上での手術中のMR撮像などといった臨床的な用途に必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、まず、MR撮像装置で使用するためのMR受信コイル装置に関し、ここで、撮像装置は、
被験体に適用される変動磁場を生成するように動作可能な傾斜磁場コイルを備えたMR磁石;
被験体が適用された磁場とRFパルスに反応して受信段階でMR信号を生成するように、撮像される被験体に適用される送信段階のRFパルスを生成するためのRF送信コイル構造;
画像を生成する信号処理を実行するために、MR信号を受信するための信号処理システム;および、
MR信号に反応するための、かつ、信号通信ケーブル構造を通じて信号処理システムにMR信号を伝えるように配されたコイル構造を含み、
MR受信コイル装置は、
MR信号を受信するために、被験体に隣接するように配された少なくとも1つのループを含み、
前記少なくとも1つのループは、前記MR信号を受信するために、個々に共振周波数に同調するように配された同調部品を含み、
前記少なくとも1つのループは、前記少なくとも1つのループの存在が送信段階中にRFパルスに干渉するのを防ぐために、送信段階中に共振周波数で内部の電流の流れを止めるための構造を内部に有し、
前記少なくとも1つのループには、信号処理システムにMR信号を運ぶワイヤーケーブルがなく、
前記少なくとも1つのループは、前記コイル構造にMR信号を誘導することによって、前記コイル構造を介して信号処理システムに内部のMR信号を伝えるように配される。
【0018】
好ましくは、ループは、被験体に物理的に可能な限り近づけて配される。
【0019】
好ましくは、被験体は患者の一部を含み、ループは患者の身体の内部に位置付けられるように配される。
【0020】
好ましくは、少なくとも1つのさらなるループが設けられ、このさらなるループは、前記少なくとも1つのループでMR信号を誘導することによって前記少なくとも1つのループを介して、および、その後、前記コイル構造にMR信号を誘導することによって前記コイル構造を介して、信号処理システムに内部のMR信号を伝えるように配される。
【0021】
好ましくは、1つのループは、患者の身体の内部に位置付けられるように配され、他方のループは患者の身体のすぐ外側に位置付けられるように配される。
【0022】
好ましくは、ループは、内部の電流の流れを止めるために遠隔で操作可能なアドレス可能なスイッチを含む。
【0023】
好ましくは、ループ内の電流の流れを止めるための構造は、共振周波数からループを一時的に離調するための構造を含む。
【0024】
好ましくは、ループはボリュームコイルを含む。
【0025】
好ましくは、ボリュームコイルはバードケージ型共振コイルを含む。
【0026】
好ましくは、ボリュームコイルは、パッシブデカップリング部品を含む受動部品のみを包含する。
【0027】
好ましくは、ボリュームコイルには、プリアンプ、ケーブル、ケーブルトラップ、バラン、または、コネクタがない。
【0028】
本発明にしたがって、被験体を撮像するための装置も設けられ、該装置は、
被験体に適用される変動磁場を生成するように動作可能な傾斜磁場コイルを備えたMR磁石;
被験体が、適用された磁場とRFパルスに反応してMR信号を生成するように、撮像される被験体に適用される送信段階のRFパルスを生成するためのRF送信構造;
受信段階のMR信号を得るための受信コイル構造;および、
画像を生成する信号処理を実行するためにMR信号を受信するための信号処理システムを含み、
受信コイル構造は、
MR信号を受信するために被験体を少なくとも部分的に囲むように構成されたボリュームコイル;
前記ボリュームコイルに隣接するように配された少なくとも1つの受信コイルを含み、
前記少なくとも1つの受信コイルは、信号処理システムに内部のMR信号を転送するために、信号処理システムに接続される少なくとも1つの信号通信ケーブルを有し、
前記少なくとも1つの受信コイルと前記ボリュームコイルは、前記MR信号を受信するために、共通の共振周波数に個々に同調され、
受信段階でのみ動作し、かつ、送信段階では適用されたRFパルスを転送しない、前記ボリュームコイルと前記少なくとも1つの受信コイルのすべてのコイルループは、前記全てのコイルループの存在が送信段階でRFパルスに干渉するのを防ぐように、送信段階中に共振周波数で内部の電流の流れを止めるために、パッシブデカップリングブロック回路などの構造を内部に有し、
前記ボリュームコイルは、誘導結合を介して前記少なくとも1つの受信コイルにMR信号を誘導することによって、前記少なくとも1つの受信コイルを介して信号処理システムに内部のMR信号を伝えるために配される。
【0029】
好ましくは、ボリュームコイルには、したがって、信号処理システムにMR信号を運ぶワイヤーケーブルが全くない。
【0030】
好ましくは、ボリュームコイルは、被験体に物理的に可能な限り近づけて配される。
【0031】
1つの構造では、ボリュームコイルは、被験体を形成する患者の身体の内部に位置付けられるように配される。
【0032】
好ましくは、第一に、前記少なくとも1つの受信コイル上のMR信号が前記ボリュームコイルの不在下で発生するであろうMR信号よりも大きくなるような十分な相互誘導効率で、前記ボリュームコイルからの信号が前記少なくとも1つの受信コイル上で誘導されるように、かつ、第2に、前記ボリュームコイルと前記少なくとも1つの受信コイルとの間の相互インダクタンスは、前記ボリュームコイルの不在下で発生するであろうMR信号よりも小さな値まで、前記少なくとも1つの受信コイルでのMR信号を減らすのに十分なボリュームコイルと受信コイルの同調された共通の共振周波数を変更するには不十分であるように、少なくとも1つの受信コイルが前記ボリュームコイルから離間して位置付けられる。
【0033】
すなわち、ボリュームコイルによって受信される被験体のMR信号が相互インダクタンスを介して受信コイルに送信され、かつ、この空間が、ボリュームコイルと受信コイルの両方を著しく離調しないようには十分に大きくもあり、したがって、いずれのコイルの性能にも影響を与えないように、受信コイルはボリュームコイルから十分に離れて置かれなければならない。
【0034】
好ましくは、ボリュームコイルは複数のループを含み、各々のループは、順に駆動可能となるように、ループ内の電流の流れを止めるために遠隔で操作可能なアドレス可能なスイッチを含む。これはアクティブデカップリング(active decoupling)と呼ばれ、コイルのスイッチの入切を行うための制御信号を必要とする。
【0035】
好ましくは、ボリュームコイルは複数のループを含み、ループはそれぞれ、送信段階の間にループ内の電流を止めるために、かつ、受信段階の間に自動的に駆動されるために、パッシブデカップリング回路を含む。これはパッシブデカップリングと呼ばれ、制御信号を必要とせず、全身用コイルによって自動的にスイッチの切り替えが可能である。全身用コイルが送信する際、ボリュームコイルはオフであり、全身用コイルが受信する際、ボリュームコイルはオンである。
【0036】
好ましくは、信号処理システムは、個別のMR信号の個々の処理のために複数のチャネルを含み、ここで、前記少なくとも1つの受信コイル上で誘導された信号から、別のチャネルのための別のMR信号を生成するための構造が提供される。
【0037】
この目的のために、ボリュームコイルは複数の別々の第1のループを含むことができ、ここで、各々の第1のループは、順に駆動可能なように第1のループ内の電流の流れを止めるために遠隔で操作可能なアドレス可能なスイッチを含み、受信コイルは単一の第2のループを含む。その後、単一の第2のループから信号を受信するように、かつ、単一の第2のループ上で誘導された信号から別のチャネルの別のMR信号を計算するように配された信号分離システムが提供される。
【0038】
あるいは、受信コイルは、各々がチャネルのそれぞれ1つに信号を提供する、複数の別のループを含む。
【0039】
好ましくは、ループ内の電流の流れを止める構造は、共振周波数からループを一時的に離調する構造を含む。
【0040】
磁石システムが内蔵式全身用コイルを含む本発明の第2の態様によれば、被験体のMR撮像のための装置が提供され、該装置は、
被験体を囲むためにボアを定義する円筒状のMR磁石構造物を含み、
磁石は、被験体に適用される変動磁場を生成するために動作可能な傾斜磁場コイルを含み、
該装置はさらに、
被験体が、適用された磁場とRFパルスに反応してMR信号を生成するように、撮像される被験体に適用される送信段階のRFパルスを生成するためのRF送信構造、
送信段階でRFパルスを送信するために、および、受信段階でMR信号を得るために、被験体を囲むように磁石構造物に内蔵された全身用コイル構造、および、
画像を生成する信号処理を実行するためにMR信号を受信するための信号処理システムを含み、
前記全身用コイルは、信号処理システムに内部のMR信号を転送するために、信号処理システムに接続された複数の信号通信ケーブルを有し、
該装置はさらに、
MR信号を受信するために被験体を少なくとも部分的に囲むように構成されたボリュームコイルを含み、
ボリュームコイルは複数の接続導体を含み、
前記全身用コイルと前記ボリュームコイルは、MR信号を受信するために、共通の共振周波数に個々に同調され、
前記ボリュームコイルは、前記ボリュームコイルの存在が送信段階の間にRFパルスに干渉するのを防ぐように、送信段階の間に共振周波数で内部の電流の流れを止めるための構造を有し、
前記ボリュームコイルは、前記全身用コイル上にMR信号を誘導することによって、前記全身用コイルを介して信号処理システムに内部のMR信号を伝えるように配される。
【0041】
本発明の第3の態様によれば、被験体のMR撮像のための装置が提供され、該装置は、
被験体に適用される変動磁場を生成するように動作可能な傾斜磁場コイルを備えたMR磁石、
被験体が、適用された磁場とRFパルスに反応してMR信号を生成するように、撮像される被験体に適用される送信段階のRFパルスを生成するためのRF送信コイル構造、
受信段階でMR信号を得るための受信コイル構造、および、
画像を生成する信号処理を実行するためにMR信号を受信するための信号処理システムを含み、
受信コイル構造は、
MR信号を受信するために、被験体に隣接するように配された少なくとも1つの第1のループ、
前記少なくとも1つの第1のループに隣接するように配された少なくとも1つの第2のループを含み、
前記少なくとも1つの第2のループは、信号処理システムに内部のMR信号を転送するために、信号処理システムに接続される信号通信ケーブルを有し、
前記少なくとも1つの第2のループと前記少なくとも1つの第1のループは、前記MR信号を受信するために、共通の共振周波数に個々に同調され、
受信段階でのみ動作し、かつ、送信段階で適用されたRFパルスを送信しない、前記少なくとも1つの第1のループと前記少なくとも1つの第2のループのすべてのコイルループは、前記すべてのコイルループの存在が送信段階中にRFパルスに干渉するのを防ぐように、送信段階の間、共振周波数で内部の電流の流れを止めるための構造を内部に有し、
前記少なくとも1つの第1のループは、前記少なくとも1つの第2のループ上にMR信号を誘導することによって、前記少なくとも1つの第2のループを介して信号処理システムに内部のMR信号を伝えるように配される。
【0042】
ボリュームコイルは、複数の接続導体に加えて、デカップリングブロック回路のためのコンデンサ、PINダイオード、インダクタといった他の部品を含んでもよい。
【0043】
送信段階中に共振周波数で内部の電流の流れを止める構造は、アクティブかつパッシブの両方であってもよく、または、アクティブのみ、あるいは、パッシブのみであってもよい。
【0044】
本明細書の「ループ」という用語は、複雑な受信コイル構造の1つの部品または素子に使用され、この用語は、この用語によって定義される個々の素子の形状または構造を制限することを意図してはいない。典型的に、各々のループは、電流が信号に反応してループのまわりを流れるように、導電性ワイヤまたは他の導電材料を備えた単一ループである。様々な材料が導電材料に使用されてもよく、確かに、本明細書に使用されるこの用語は、使用可能な特定の材料に限定されない。
【0045】
例えば、このような「ループ」は、撮像される一部分を囲む複雑なボリュームコイルによって形成することができる。
【0046】
上記の構造での目的は、前記第1のコイルには信号処理システムにMR信号を運ぶワイヤーケーブルがないということである。このことは多くの顕著な利点を提供することができる。
【0047】
したがって、本明細書で提供される構造は、ケーブルのないボリュームコイルからなり、このボリュームコイルは、MR磁石の内蔵式全身用コイルと連結することによって動作する。このボリュームコイルは従来のMR撮像コイルほど多くの部品を有していない。設計はバードケージ型共振器によって定義可能であり、体積測定コイルとして使用される。
【0048】
この構造は、以下の特徴および利点の1つ以上を提供することができる:
a)市販のフェーズドアレイボリュームコイルと比較して、誘導式のボリュームコイルは、等しいかより優れた画像を得ることができる。本明細書のコイルは、優れたSNR番号の非常に均一な画像を提供することができる。
b)システム内のレシーバの数にかかわらず、チャネルの数に制限がない。
c)コイルをシステムに接続するために、外部ケーブルトラップを備えたケーブルは必要ない。
d)コイルは受動素子のみを含んでいるため、構築するのがとても容易である。
e)内部のバラン、プリアンプ、接続ケーブル、ケーブルトラップ、または、外部コネクタブロック、あるいは、延長ケーブルの必要性がない。
f)コイルは、類似する(同じ視野)フェーズドアレイボリュームコイルと比較して物理的な寸法(大きさ、重量)が小さい。
g)ケーブルのないボリュームコイルは病院のワークフロー改善することができる。
h)患者の位置付けと外科的アクセスが著しく改善される。
j)患者の皮膚がコイルケーブルに接触することに起因する患者のやけどの可能性が完全に除去される。
k)患者の安全性の増大
l)パッシブデカップリングは、送信段階中に内蔵式全身用コイルに対して、誘導式ワイヤレスコイル間のクロストークを除去するために提供される。したがって、B1歪み、コイル熱、および、B1歪みによって引き起こされる画像の非均一性は除去される。B1は内蔵式全身用コイルによって生成されるRF磁場である。
【0049】
ケーブルのないボリュームコイルの多くの様々な構造が提供可能である。これらは次のものを含む。
―標準タイプのバードケージは、高域通過、低域通過、および、帯域通過のボリュームコイルを含む。
―バードケージ型ボリュームコイルの半分(Half birdcage volume coil)、上部半分、下部半分、または、その両方の半分が一緒に作動する
―螺旋状のバードケージ
―分割したタイプのボリュームコイル
―頭部および頸部の組み合わせコイル
―放射線半透過性ボリュームコイル
―1.5Tまたは3Tのいずれかの二重周波数、および、多核画像分光法
―iPATタイプの高速撮像
【0050】
1.5Tと3Tの双方のコイル撮像は、既存の市販のフェーズドアレイ頭部コイルに匹敵し、非常に優れた画像均一性および高いSNRを提供する。
【0051】
多くの可能な構造がこの広範な定義内で使用可能である。
【0052】
第一に、第2のコイルは磁石上で支持された内蔵式全身用コイルであってもよい。このような全身用コイルは、一般的に磁石システムで利用可能である。
【0053】
第2のコイルまたは全身用コイルは送信コイルとして作動するか、あるいは、別の専用コイルが別々に使用可能である。
【0054】
プロセッサーに信号を転送するためには、誘導結合を用いる2つのコイルのみがあればよく、あるいは、3つまたはそれ以上のコイルの束があればよい。
【0055】
この構造では、第1のコイルは、患者の体内に位置付けられ、第2のコイルは患者の体外に配される。この構造では一般的に、第2のコイルを患者の外部にできるだけ近づけ、こうして、患者のまわりで全身用コイル(または、他のコイル)に順に誘導的に通信する。
【0056】
第1のコイルは、被験体に可能な限り物理的に近づけて位置づけられ、第2のコイルは、信号を誘導的に受信し、かつ、その信号を処理装置に転送するように、第1のコイルよりももっと被験体から間隔を置いた位置に位置付けられるように配される。
【0057】
本明細書のこの構造は、撮像される部分にできるだけ近づけて第1のコイルを提供すること、および、できるだけ小さな体積を覆うことにより、該部分から間隔をおいて位置付けられる第2のコイルよりも著しく大きな信号対雑音比を有する信号が生成されるという発見に基づく。その後、第1のコイルによって拾い上げられた信号は、たとえその際に著しく減少したとしても、第2のコイルに誘導的に伝えられる。第1のコイルからの信号は、第2のコイル上のMR信号が、第1のコイルの不在下で生成されるであろうMR信号よりも多くなるような十分な誘導効率(100%未満)で、前記少なくとも第2のループ上で誘導されることが分かった。これは、表面コイルに対する信号を増加させるカテーテルコイルが使用される可能性を含む。すなわち、被験体の近くに第1のコイルを提供することと、その後、誘導結合の損失にもかかわらず、第2のコイルに信号を伝えることによって、効果が増す。
【0058】
生じる別の問題は、MR信号を承認しがたいほど減らすために、コイル間の相互インダクタンスがループの同調された共通の共振周波数を変更することができるということである。典型的に、したがって、同調された周波数を変更する相互インダクタンスの問題は少なくとも平衡を保ち、かつ、追加の第1のコイルを提供することによって得られる利点に勝るものであろう。しかしながら、これがそうでないことがわかった。もし、MR信号が前記少なくとも1つの第1のループの不在下で発生するであろうMR信号よりも少ない値であるような状況への同調に対して有害な作用を与えることなく、どんな距離が有意な利点を提供するのかを測定する実験によって距離が注意深く管理されれば、有意な利点が得られる。
【0059】
本明細書で発生し、記載される1つの問題は、SENSEまたはSMASHまたは他の最新技術などの並列チャネルを用いることによって得られる高速撮像の利点を利用するために、信号処理ユニットの別々のチャネルの別々の信号を生成する方法に係る問題である。好ましくは、各々のループは、順に駆動されるように、電流の流れを止めるために遠隔で操作可能なアドレス可能なスイッチを含む。
【0060】
この困難を克服する第1の実施形態では、第1のコイルは、複数の別々のループを含み、第2のコイル上に誘導された信号から別のチャネルの別のMR信号を生成するための構造が提供される。
【0061】
1つの構造では、各々の第1のループは、第1のループ内の電流の流れを止めるために遠隔で操作可能なアドレス可能なスイッチを含む。このように、各々の第1のループを順に駆動させることができる。従来のMRI機器を使用するこの構造では、全身用コイルは単一の出力部を有する。この構造では、並列撮像を行なうために、個々の素子感度特性(element sensitivity profiles)を得ることができる。信号処理システムは単一チャネルから信号を受信するように配され、感度特性によって、スキャナーによる処理のために、組み合わせた単一のチャネルをその個々の素子へと分離する。コイルからの個々の信号は、別々のチャネルの個別の信号を測定するためにこのような因子を用いて、コイルの感度特性および雑音相関マトリックス(Noise Correlation Matrix)として知られているものを測定することによって、決定することができる。この構造では、単一の第2のコイルの感度特性と潜在的には雑音相関マトリックスは、第1のコイルの各々のスイッチを切るようにスイッチを操作することによって、測定されることができる。このように測定された後、第1のループの各々の感度特性および雑音相関マトリックスは、他のもののスイッチを切っておいて各々1つだけを駆動させることによって、かつ、その後、単一の第2のコイルと第1のループの駆動させた1つとによって得られた全ての信号から、単一の第2のコイルから得られた信号を減算することによって測定可能である。その後、感度特性と潜在的には雑音相関マトリックスは、処理システムの別のチャネルに必要な所望の個々の信号を、単一の第2の受信コイルの単一の出力から測定するために使用される。並列撮像については、ベース画像はRF全身用コイルのみを用いて得られる。個々のループの切り替えを利用することで、誘導ループの各々の画像は、連続して、かつ、その任意の可能な組み合わせで得られる。したがって、全身用コイルベース画像からの画像の差分によって、コイル間の感度視野および相関マトリックスの写真が得られる。一旦この構造が得られると、並列撮像中の下位サンプリング(an under sampling)を広げることができる。この技術は、GRAPPAのような方法を用いてもうまくいくように、空間および時間範囲に拡大伸張可能である。
【0062】
別のループを別のチャネルに接続させる全身用コイルを備えた構造に適用可能な第2の構造では、全身用コイルの構造はチャネルの各々のそれぞれ1つに必要な信号を提供することが分かっている。
【0063】
本発明の別の重要な態様によれば、コイルには、一定の時間後にコイルのスイッチを切るように作動するスイッチが提供される。したがって、第1の駆動後の一定の時間が経過した場合、スイッチは回路を開くように移動することができる。このようにして、コイルの活動的な期間を制御することができる。これは、コイルが1回限りの使用製品であるように、例えば、長時間に限定可能である。こうして、スイッチは第1のRFパルスの受信後に起動され、コイル組立体のさらなる使用(ruse)を防いで回路を開くようにスイッチを操作するためにタイムアウトするタイミング回路を有する。別の構造では、スイッチは、回路を開くために移動する前に特定の数の滅菌作用を許可するように、滅菌に応じて動作する。さらに別の構造では、コイルの許容可能な総耐用年数は、メーカーによって予め決められ、その後、耐用年数を超えてその製品を使用しようとするユーザー向けに積極的に強化される。この構造は、コイルを、一度使用した後に廃棄する必要がある1回限りの使用製品とすることができ、この規約は、それを無視しようとするユーザーに対して十分に強化される。
【0064】
製品を使い捨てにするために、トランジスターおよび可変素子のようなコストの高い部品の使用を回避するループの操作を制御する部品が提供される。これは、コイルがRF信号に応答する必要がない際に、コイルを切り替えるためにコイルの離調を使用することにより達成することができる。したがって、RF周波数とは十分に異なる共振周波数へのコイルの離調は、等価であるか、または、ループを切り替えて回路を開けた際と同じ結果を達成する。これは多くの方法で達成可能であり、とりわけ、同調を変更するためにコイルに近い位置に、協働コイル(a cooperating coil)を移動させることによって達成することができる。
【0065】
共振する同調に干渉しないように別々のループを確実にデカップリングするために、ループの幾何学的構造、容量デカップリング、誘導デカップリング(inductive decoupling)、および、2つの別々のループ間のデカップリングを提供するのに必要な動作を取り消す必要な電流を提供するために、別々のループの2つの間で誘導結合するように動作する別の追加ループの使用を含む、従来のデカップリング技術を使用することができる。これらの技術はすべて当業者に知られている。
【0066】
(内蔵式プリアンプを備えた)コイル大きさおよびケーブルは、コイルの性能、ワークフロー、滅菌、および、安全性に影響を与える主要な問題である。本明細書に記載のこの新しい設計は、これらの部品のいずれも含んでいないため、コイルの性能、ワークフロー、滅菌、および、安全性を著しく改善することができる。
【0067】
第1のコイルが複数の別々のループを含むフェーズドアレイである構造において、フェーズドアレイコイルの1以上のループにはプリアンプがなく、かつ、ケーブルもなく、スキャナーへの物理的な接続もなく、したがって、いわゆる「ワイヤレスコイル」を提供する。これらのワイヤレスコイル素子は共振器であり、MRスキャナー動作周波数に同調される。これらのワイヤレスコイル素子またはループは、コイルループの重複による従来の技術、共有導体を含む誘導技術、誘導方法、および、幾何学的(直角位相のような)方法を用いて、互いからデカップリングされる。これらのワイヤレスコイル素子は、ケーブルとプリアンプを含まない現行の技術を使用することによって、コイル素子間の優れたデカップリングを備えた、横電磁波(TEM)コイルおよび受信専用コイルであってもよい。
【0068】
これらのワイヤレスコイル素子は、受信段階で、内蔵式RF全身用コイルに誘導結合される。追加コイルを用いる多重システムでは、これらのワイヤレスコイルは、結果として内蔵式RF全身用コイルに結合する大きなおよび/小さなコイルに、互いに連続して結合することができる。これらのコイルは、送信段階中にTX/RX全身用RFコイルまたは他の送信コイルの送信部分から受動的に離調される。
【0069】
動作周波数はRFの全スペクトルをカバーする。ワイヤレスコイル素子の組み合わせは、磁石軸または軸外に沿って誘導結合した多重ループであってもよい。
【0070】
コイル素子は、送信段階中に送信コイルからパッシブデカップリングされる。送信コイルはMRスキャナー内の内蔵式全身用コイルであるか、または、局所的な送信コイル、あるいは、送信フェーズドアレイであってもよい。あるいは、トランシーバーコイルは、多重送信機システムで作動することができる。ワイヤレスコイル素子の大きさは、頭部コイルまたは全身用コイルと同じくらい大きく、心臓内コイルほど小さくてもよい(直径<10mm)。
【0071】
ワイヤレスコイル素子の感度は、離調、挿入インピーダンス、および、コイルクロストークを除去し、かつ、信号対雑音比を最適化する他の方法によって、調節することができる。
【0072】
ワイヤレスコイル素子とピックアップコイル(pickup coil)の間の距離は、離調を防ぐために相互インダクタンスを減らし、かつ、信号伝達効率を最大限にするという、相反する条件を心に留めながら、最適化したSNRに調節可能である。
【0073】
ワイヤレスコイル素子と撮像される被験体との間の距離は、負荷を減らし、かつ、Q因子を各々のコイル素子よりも高く保つことで、その結果、各々のコイル素子が撮像される被験体から最大のMR信号を得ることができるようになるという相反する条件を心に留めながら、最適化したSNRに調節可能である。
【0074】
本明細書に記載の構造は、以下の利点または特徴の1つ以上を有する:
ワイヤレスコイル素子は、剛性でも、軟性でも、または、任意の組み合わせであってもよい。ワイヤレスコイル素子は、殺菌可能であり、再利用可能であり、限定的に再利用可能であり、使い捨てであってもよい。
ワイヤレスコイルは、コイルの必要とされた位置に開口部を有するような所望の操作に一致するように形作られることができる。
使い捨てできるように非常に安く製造することができる。
手術中の脳神経外科のような処置全体の間に適所に置くことができるようにワイヤを有していない。
非常に柔軟であるため、患者の身体により正確に一致させることができる。
【0075】
これらのワイヤレスコイル素子は、アルミニウムコイル材料、および、金および銀めっきを含む/含まない原子番号Z≦30の材料などの技術を用いて、X線または放射線治療で使用するために放射線半透過性で製造可能である。
【0076】
これらのワイヤレスコイル素子の幾何学は、任意の形状であってもよい。該形状は以下のものを含むがこれらに限定されない:円形、長方形、蝶形、マイクロストリップベースのコイル、または、マイクロストリップ伝送線路(MTLコイル)、バードケージ形、半バードケージ形、および、他のボリュームコイル。
【0077】
磁石が手術手順のために移動可能な構造において、ケーブルがないため、第1のコイルを適所に残すことができる。
【0078】
このような構造では、ケーブルは非常に長いため、ケーブルがまったく存在しないことは利点を増やすことになる。
【0079】
第1のコイルをはるかに小さくすることができるため、コイルの体積内で発生する雑音の量に依存する信号対雑音比はかなり少なくなる。
【0080】
第2のコイルが被験体からの直接的な信号に依然として反応するため、第1の近接コイルともっと離れた第2のコイルによって生じた信号は、第2のコイルで加えられる。多くの場合、これは大きな効果ではないと判明してきたが、それでも結果として生じる信号の質を加えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0081】
本発明の1つの実施形態は、添付の図面とともにこれから記載される。
【0082】
【図1】本発明の第1の実施形態を含む、MRIシステムの概略図である。
【図2】本発明の第2の実施形態を含む、MRIシステムの概略図である。
【図3】線3−3に沿った図2の頭部コイルの概略図である。
【図4】図2の頭部コイルの上部の可撓性部分の基本構想図である。
【図5】本発明の第3の実施形態を含む、MRIシステムの概略図である。
【図6】本発明の第4の実施形態を含む、MRIシステムの概略図である。
【図7】本発明の第5の実施形態を含む、MRIシステムの概略図である。
【図8】本発明の第6の実施形態を含む、MRIシステムの概略図である。
【図9】図1の構造物で使用するためのボリュームコイルの第1の構造の概略図であり、ボリュームコイルは高域通過バードケージコイル(high pass birdcage coil)を含む。
【図10】図1の構造物で使用するためのボリュームコイルの構造の概略図であり、ボリュームコイルは低域通過バードケージコイル(low pass birdcage coil)を含む。
【図11】図1の構造物で使用するためのボリュームコイルの第1の構造の概略図であり、ボリュームコイルは帯域通過バードケージコイル(band pass birdcage coil)を含む。
【図12】図1の構造物で使用するためのボリュームコイルの第1の構造の概略図であり、ボリュームコイルは、二重周波数のために構築された高域通過バードケージコイルを含む。
【図13】図1の構造物で使用するためのボリュームコイルの第1の構造の概略図であり、ボリュームコイルは、コンデンサ間に二重の横木を備えた高域通過バードケージコイルを含む。
【図14】図1の構造物で使用するためのボリュームコイルの第1の構造の概略図であり、ボリュームコイルは、Litzcage型の高域通過バードケージコイルを含む。
【図15】図1の構造物で使用するためのボリュームコイルの第1の構造の概略図であり、ボリュームコイルは、患者の頭部および頸部で使用するために設計された高域通過バードケージコイルを含む。
【図16】図1の構造物で使用するためのボリュームコイルの第1の構造の概略図であり、ボリュームコイルは、半バードケージコイルを含む。
【図17】図1の構造物で使用するためのボリュームコイルの第1の構造の概略図であり、ボリュームコイルは、分割された2つの半割部分によって形成されるタイプのバードケージコイルを含む。
【図18】図1の構造物で使用するためのボリュームコイルの第1の構造の概略図であり、ボリュームコイルは、Alderman−Grantのバードケージコイルを含む。
【0083】
図において、参照の類似する特徴は異なる図の対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0084】
被験体のMR撮像のための装置は、被験体に適用される変動磁場を生成するために磁場制御システムによって操作可能な従来の円筒状のMR磁石(10)を含む。
【0085】
MRシステムは、撮像される被験体に適用される送信段階のRFパルスを生成するためのRF送信構造(12)、および、画像を生成する信号処理を実行するためにMR信号を受信するための信号処理システム(13)によって受信段階のMR信号を得るための受信構造を含む。周知のように、被験体は、適用された磁場とRF信号に反応してMR信号を生成し、これは検知され、処理されることによって画像を生成する。この構造は周知であり、適切なシステムはSiemensから入手可能である。
【0086】
典型的に、磁石(10)は、患者を囲むように円筒形の磁石筐体に取り付けられる全身用コイル(14)として知られているRFコイルを支持する。これは通常、送信コイルとして使用される。しかしながら、別の送信コイルも使用することができる。全身用コイルは受信コイルとしても作動することができる。しかしながら、再び別の受信コイルを使用することができる。送信または受信コイルは同じコイルであってもよく、または、別のコイルによって提供可能である。
【0087】
図1に示される第1の実施形態では、送信コイルは全身用コイル(14)によって定義される。受信コイル構造は、患者の身体の内部に位置付けられる最も内側のコイルループ(15)を含む。これは、患者の内部、例えば、撮像される心臓または他の器官内の必要とされる位置にコイル(15)を移動させる適切な支持部(15A)によって挿入される。受信コイル構造は、最も内側のコイル(15)に隣接するが、身体の外部に位置付けられる第1の外部コイル(16)をさらに含む。コイル(16)は、単一のループによって、より好ましくは、フェーズドアレイのループによって、形成可能である。受信コイル構造は、コイル(16)を囲む全身用コイル(14)によって定義される第2の外部コイルをさらに含む。他の構造では、別のコイルが第2の外部コイルに使用可能である。いずれの場合も、第2の外部コイルは、信号処理システム(13)に内部のMR信号を転送するために、信号処理システム(13)に接続される信号通信ケーブル(14A)を有する。
【0088】
図4では、コイル(16)上の平面図が提供され、この構造において、コイルは、フェーズドアレイのループ(16A、16B、16Cなど)によって形成される。コイル(15、16、および、14)のすべてのループは、当業者に周知の従来の同調デバイスを用いて前記MR信号を受信するために、(17)で概略的に示されたコンデンサのような同調部品によって、共通の共振周波数に個々に同調される。
【0089】
受信段階でのみ動作し、かつ、送信段階で適用されたRFパルスを送信しないコイル(15および16)のすべてのコイルループは、前記すべてのコイルループの存在が送信段階の間にRFパルスに干渉するのを防ぐように、送信段階の間、内部の電流の流れを止めるために、コンデンサ、誘導体、および、ピンダイオードを備えたパッシブブロック回路のような、(18)で概略的に示される構造を内部に有する。この種類のデバイスは知られているため、操作の説明は必要ない。
【0090】
最も内側のコイル(15)のループは、コイル(15)上にMR信号を誘導し、そこからコイル(14)上にMR信号を誘導することによって、第1の外部コイル(16)のループを介して、および、第2の外部コイル(14)を介して、信号処理システムに内部のMR信号を伝えるように配される。上記の構造における目的は、前記コイル(15)および(16)には、信号処理システムにMR信号を運ぶワイヤーケーブルがないということである。
【0091】
一般的に、この構造では、コイル(16)は患者の外部に可能な限り近づき、このコイルは順に患者のまわりで全身用コイル(または他のコイル)に誘導的に通信する。
【0092】
したがって、コイル(16)は被験体に物理的に可能な限り近づけて位置付けられるように配され、第2のコイルまたは全身用コイル(14)は、誘導的に信号を受信し、その信号を処理ユニットに転送するように、コイル(16)よりももっと被験体から間隔を置いた位置に位置付けられる。
【0093】
信号は組織を通過する際に急速に減少するということを心に留めておく必要があるが、コイル(15)は撮像される部分にできるだけ近く、できるだけ小さな体積から雑音を受信するように、かつ、できるだけ多くの信号を受信するように、できるだけ小さな体積を覆うかまたは囲む。したがって、これは、その部分からさらに間隔をおいて位置付けられた第2のコイルよりも著しく大きな信号対雑音比を有する信号を生成する。その後、たとえ誘導通信に著しい減少があっても、コイル(15)によって拾い上げられた信号は、コイル(16)に誘導的に伝えられる。コイル(15)からの信号は、誘導効率(100%未満)であるが、コイル(16)上のMR信号が、コイル(15)の不在下でコイル(16)上で生成されるであろうMR信号よりも多くなるような十分な誘導効率で、コイル(16)上で誘導される。すなわち、被験体の近くにコイル(15)を提供すること、および、その後、誘導結合の損失にもかかわらずコイル(16)に信号を伝えることによって効果が増す。同じ効果がコイル(16)とコイル(14)の間の第2の誘導段階で起こる。
【0094】
当然のことながら、コイル(16および14)は、撮像されている部分からも直接信号を受信し、この信号は誘導的に通信された信号に加えられる。しかしながら、各々の場合において、誘導結合した信号は直接検知された信号よりもはるかに多い。
【0095】
発生する別の問題は、MR信号を承諾しがたいほど少なくするために、コイル(14、16、および、15)の間の相互インダクタンスが、ループの同調した共通の共振周波数を変更することができるということである。したがって、相互インダクタンスの量が、信号の獲得が低下するレベルまでの同調に干渉するのに十分な同調周波数を変更しないように、それらの間の間隔は十分なものでなければならない。
これはもちろんトレードオフ(trade off )であり、特定の実施形態の特定のコイル間の実際の距離間隔は、最良の信号対雑音比を有する最良の信号を得るために、所定の位置までコイルを移動させる単純な実験によって、測定されなければならない。
【0096】
図2に示される第2の実施形態では、全身用コイル(14)とコイル(16)によって定義される2つのコイルのみがある。したがって、信号は主にコイル(16)によって得られ、信号処理システム(13)へのケーブル伝送のためにコイル(14)に誘導的に転送される。
【0097】
この実施形態では、コイル(16)は、頭部の下に下部部分(16X)を、頭部の上に上部部分(16Y)を含む頭部コイルである。各々が単に担体基板(16Z)と電導ループによって形成されるため、一方または両方の部分は柔軟であってもよい。この実施形態6ではループ(16A乃至16F)が示されるが、異なる数字を使用することができる。各々のループは、同調部品(17)とスイッチ(18)を定義する回路素子を含む。
【0098】
図5では、全身用コイルがないか使用されないさらなる実施形態が示され、別の送信コイル(20)があり、コイル(23)はケーブル(13A)によって信号処理システムに接続されている。
【0099】
ここで図6に示される実施形態に目を向けると、全身用コイル(14)がケーブル(14A)上で単一のMR信号(多重信号を生成する多重チャネルアレイコイルと比較する)を生成する単一チャネルコイルである構造が示されている。SENSまたはSMASHまたは他の最新技術などの並列チャネルを用いることによって得ることができる高速撮像を利用するために、信号処理ユニット(13)の別々のチャネル(13B乃至13G)の別々の信号を生成することが必要である。
【0100】
この実施形態では、コイル(16)は、複数の別々のループ(16A乃至16F)を含む。図4に示されるように、ループ(16A乃至16F)の各々の回路は、各々のループが順に稼働させることができるように、ループ中の電流の流れを止めるために遠隔で操作可能なアドレス可能なスイッチ(19)を含む。
【0101】
一般的に、第2のコイル(16)の別々のループ(16A乃至16F)上に誘導された信号から別々のチャネルの別々のMR信号を生成するために、信号分離システム(21)によって定義された構造がこの実施形態で提供される。
【0102】
この構造では、各々のループは、ループ内の電流の流れを止めるために、(22)で概略的に示されたワイヤまたはワイヤレス起動システムによって遠隔で操作可能なアドレス可能なスイッチを含む。このようにして、他のループをオフにしたまま、各々のループを順に稼働することができる。信号分離システム(21)は、全身用コイル(14)から信号を受信し、かつ、別々のMR信号を計算するように配され、全身用コイル(14)上で誘導された信号から別々のチャネルの多重チャネル信号(13A)をエミュレートする。
【0103】
より具体的には、信号分離システムは、各々受信したMRループ信号の感度特性と、潜在的には雑音相関マトリックスとを測定するように、第1のループの各々の個々の効果を測定するために、アドレス可能なスイッチ(22)を使用すべく、画像処理キャリブレーションシーケンスに配される。キャリブレーションシーケンスは、感度特性を得るために各々のループを個々に選択する。一旦個々の感度特性が知られると、システムは、組み合わせたMR信号(14A)上で処理を行い、標準的な多重チャネルフェーズドアレイコイルをエミュレートする別の出力(13B乃至13G)を提供する。ここで図7に目を向けると、全身用コイル(14)が、単一の信号処理システム(13)の別々のチャネル(13B乃至13G)に接続された別々のループ(24B乃至24G)を有する多重チャネル送信および受信コイル(24)に置き換えられている。コイル(16)は、以前に記載されたように複数のループ、つまり、送信および受信双方のコイルに用いられるフェーズドアレイ全身用コイルによって形成されたコイルでもある。コイル(16)からコイル(14)への誘導的な信号の通信は、チャネルの各々のそれぞれ1つに必要とされる別の信号を提供し、かつ、標準的な並列画像処理方法によって画像を生成するために信号処理システム(13)に別の信号を伝える。
【0104】
ここで図8に示される実施形態に目を向けると、全身用コイル(14)が直角位相のバードケージコイルである構造が示されており、該コイルは、撮像される被験体へのRFパルスを生成し、送信コイルにのみ使用される。SENSEまたはSMASHまたは他の最新技術などの並列チャネルを用いることによって得られる高速撮像を利用するために、可能な限り全身用コイルに近づく、磁石中のフェーズドアレイ受信専用コイルを加えることが必要であり、フェーズドアレイコイル(25)が、信号処理システム(13)の別のチャネル(13B乃至13G)に接続した別々のループ(25B乃至25G)を有する構造が示されている。コイル(16)は、コイル(16)からコイル(25)に信号を誘導結合する。コイル(25)は、チャネルの各々のそれぞれ1つに必要とされる別の信号を提供し、かつ、標準的な並列画像処理方法によって画像を生成するために信号処理システム(13)に別の信号を伝える。
【0105】
ここで図9乃至18に目を向けると、本明細書で提供される構造は、したがって、内蔵式全身用コイルとの結合によって作動するケーブルのないボリュームコイルからなる。内蔵式全身用コイル(14)との誘導結合は、他の局所用ボリュームコイルと同程度のSNRおよび画像均一性を提供する。このコイルにはプリアンプ、ケーブル、ケーブルトラップ、バラン、または、コネクタがない。この実施形態では、設計はバードケージ型共振器によって定義可能であり、体積測定コイルとして使用される。
【0106】
図9では、ボリュームコイル(16)は、高域通過バードケージコイルを含む。これは、一連の並列導体(163)によって接続された2つの末端リング(161および162)を備えた従来のバードケージ形状である。コイルは円筒状であってもよく、その場合には、末端リング(161および162)は同じ直径であってもよい。コイルは円錐形であってもよく、その場合には、末端リング(161)は末端リング(162)よりも大きい。コイルは樽形状であってもよく、その場合には、末端リング(161および162)は同じ直径であり、導体(163)はアーチ状である。
【0107】
各々の導体(163)と次の導体の間の末端リング(161および162)には、上に記載された部品(17および18)の機能を実行するように作動する回路部品(17/18)が設けられる。したがって、2つの並列導体(163)とともに末端リング(161および162)の一部によって形成される各々の個々のループは、その構造で、および、上記の機能のために、(便宜性のために、部品が位置付けられた導体間の間隙として単に記載された)回路素子(17/18)によって個々に切り替えられる。
【0108】
この構造では、市販のフェーズドアレイボリュームコイルと比較して、誘導性のボリュームコイル(16)は等しいかより優れた画像を達成することができる。本明細書のコイルは、任意のプリアンプおよびケーブルを含むことなく、優れたSNR数の非常に均一な画像を供給することができる。システム内のレシーバの数にかかわらず、チャネルの数には制限がない。いかなるケーブルも、システムにコイル(16)を接続するためには使用されない。コイルは、回路部品(17/18)によって定義された受動素子のみを包含している。誘導型ボリュームコイル(inductive volume coil)(16)は、バラン、プリアンプ、ケーブル、ケーブルトラップ、コネクタブロック、または、延長ケーブルを含んでいない。バードケージコイルは、類似の(同じ視野の)フェーズドアレイボリュームコイルと比較して、より小さな物理的寸法(大きさ、重量)を有する。
【0109】
患者の位置付けと外科的アクセスは、長い接続ケーブルの欠如とコネクタの位置によって著しく改善される。ケーブルの長さとコネクタの位置は、患者と撮像に適合するためにコイルの角度および/または配向を制限することが往々にしてある。ワイヤレスコイルの大きさおよび重量が小さいと、より多くの自由が与えられることで患者の位置付けを助ける。コイルが従来のコイルより物理的に小さく、従来のコイルケーブルが通常外科的アクセスを制限するかまたは阻むため、外科的アクセスも改善される。ケーブルがなく、患者の皮膚がコイルケーブルに接触することに起因する患者のやけどの可能性が完全に除去されるため、患者の安全性が改善される。
【0110】
回路部品(17/18)は同調とパッシブデカップリングを提供する。パッシブデカップリングは、送信段階中に内蔵式全身用コイルと誘導型ワイヤレスコイルとの間のクロストークを除去する。したがって、B1歪み、コイル熱、および、B1歪みによって引き起こされる画像の非均一性は除去される。
B1はRF磁場である。内蔵式全身用コイルからデカップリングされていない場合の局所コイルは、所望の領域で局所的なB1磁場を発生させ、同時に、内蔵式全身用コイルからのB1磁場は同じ時間、同じ領域に存在している。これらのB1磁場は両方とも組み合わせることで、歪みのある有効なB1磁場を作り、したがって、歪み画像を引き起こす。
【0111】
図10では、ボリュームコイル(16)は、ボリュームコイルは低域通過バードケージコイルを含む。高域通過バードケージコイルの同調およびデカップリング部品(17/18)はすべて、末端リング(161および162)にあり、低域通過バードケージコイル上の同調およびデカップリング部品は横木にある。高域通過または低域通過のコイルの選択は、磁場の強度、コイルの大きさ、患者の負荷、および、最良の撮像性能のためのコイルの使用目的などの様々な因子に依存する。
【0112】
図11では、ボリュームコイル(16)は、帯域通過バードケージコイルを含む。帯域通過バードケージコイルの同調およびデカップリング部品(17/18)はすべて、末端リング(161および162)にあり、横木にもある。帯域通過コイルの選択は、磁場の強度、コイルの大きさ、患者の負荷、および、最良の撮像性能のためのコイルの使用目的などの様々な因子に依存する。
【0113】
図12において、ボリュームコイル(16)は、高域通過二重周波バードケージコイル(high pass dual frequency birdcage coil)を含み、該コイルは、1つの筐体で適切な間隔によって分離された2つの個々のコイル(16Aと16B)からなり、例えば、プロトン(1H)およびリン(31P)の画像といった二重の核で使用するためなどの二重周波数のために、または、二重の磁場の強度(例えば、1.5テスラおよび3テスラの画像システム)のために構築される。この構造では、末端リング(161および162)は、二重周波数の別々の周波数に同調させた別の末端リング部品(165、166、および、167、168)に各々分けられ、その各々は部品(17/18)を含む。
【0114】
図13において、ボリュームコイル(16)は、二重の横木型の高域通過バードケージコイルを含む。この構造では、通常のバードケージコイル中の各部分の各々の横木は、二重の並列横木(163Aおよび163B)に置き換えられており、すべての横木は、均一なRF磁場を提供するように等しく間隔を置かれる。末端リング(161および162)は、送信段階の間のコイルの同調と全身用コイルからのデカップリングのための部品(17/18)をさらに含む。
【0115】
図14では、全身用コイル(16)は、Litzcageタイプの高域通過バードケージコイルを含む。この構造では、通常のバードケージコイル中の各部分の各々の横木(163)は、中心に絶縁性のまたぎ継ぎ手(crossover)(163E)を備えた2つの並列の横木(163C、163D)に置き換えられており、すべての横木は、均一なRF磁場を提供するように等しく間隔を置かれる。末端リング(161および162)は、送信段階の間のコイルの同調と全身用コイルからのデカップリングのための部品(17/18)をさらに含む。
【0116】
図15では、ボリュームコイル(16)は、頭部と頸部に使用されるタイプのバードケージコイルを含む。これは図9の方法で構築されるが、末端リング(162)は、接続用横木(163)のいくつかが他のものより長くなるような長さまでコイルの軸に沿って長手方向に伸張する丸い突起部(lobe)(171および172)を形成するために形作られる。伸張した突起部は、頭部と上位頸部領域の両方のための撮像を提供する。
【0117】
図16において、ボリュームコイル(16)は、バードケージコイルの半分を含む。高域通過バードケージコイルの同調およびデカップリング部品(17/18)はすべて、末端リング(161および162)にある。このタイプのコイルは、位置付けの際の柔軟性と優れた外科的アクセスの増加をもたらす。
【0118】
図17では、ボリュームコイル(16)は、分割した2つの半割部分によって形成されるタイプのバードケージコイルを含む。2つの半割部分は、均一なB1 RF磁場を生成することができる周波数で共振するように誘導結合している。分割したバードケージコイルは、患者の位置付けの際の柔軟性を増やし、上部コイルは完全に取り除くことができるとともに、手術中に底部コイルを適所に残すこともできる。底部コイルと連動するように上部コイルを戻すことができる。
【0119】
図18では、ボリュームコイル(16)は、Alderman−Grantのタイプのボリュームコイルを含む。この構造では、2つの横木が2つの末端リングで二層に接続された固体要素から形成される。2つの内部のシールドリングはボリュームコイルの末端リングに位置し、連続的であるが、外部の横木および両方の末端リングから絶縁される。外部の横木は両方の末端リングに接続された2つの別々の大きな横木からなる。末端リングは、送信段階の間のコイルの同調と全身用コイルからのデカップリングのため部品(17/18)を含む。
【0120】
したがって、上に示されるように、ケーブルのないボリュームコイルの多くの様々な構造が提供可能である。これらは次のものを含む:
―標準タイプのバードケージは、高域通過、低域通過、および、帯域通過のボリュームコイルを含む。
―1.5Tまたは3Tのいずれかの二重周波高域通過バードケージコイル、および、二重核画像分光法
―高域通過の二重の横木を備えるバードケージコイル
―Litzcage高域通過ボリュームコイル
―高域通過の頭部および頸部の組み合わせコイル
―半バードケージ型ボリュームコイル
―分割した高域通過バードケージタイプ
―X線/MRおよびMRガイド放射線治療などのための、CT/MRIハイブリッドシステムに使用される放射線半透過性のボリュームコイル
―誘導コイルによるiPAT型の高速撮像
【0121】
1.5Tと3Tの両方のコイル撮像は、既存の市販のフェーズドアレイ頭部コイルに匹敵し、非常に優れた画像均一性と高いSNRを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MR撮像装置で使用するためのMR受信コイル装置であって、
前記装置は、
被験体に適用される変動磁場を生成するように動作可能な傾斜磁場コイルを備えたMR磁石、
被験体が適用された磁場とRFパルスに反応して受信段階でMR信号を生成するように、撮像される被験体に適用される送信段階のRFパルスを生成するためのRF送信コイル構造、
画像を生成する信号処理を実行するために、MR信号を受信するための信号処理システム、および、
MR信号に反応するための、かつ、信号通信ケーブル構造を通じて信号処理システムにMR信号を伝えるように配されたコイル構造を含み、
MR受信コイル装置は、
MR信号を受信するために、被験体に隣接するように配された少なくとも1つのループを含み、
前記少なくとも1つのループは、前記MR信号を受信するために、個々に共振周波数に同調するように配された同調部品を含み、
前記少なくとも1つのループは、前記少なくとも1つのループの存在が送信段階中にRFパルスに干渉するのを防ぐために、送信段階中に共振周波数で内部の電流の流れを止めるための構造を内部に有し、
前記少なくとも1つのループには、信号処理システムにMR信号を運ぶワイヤーケーブルがなく、
前記少なくとも1つのループは、前記コイル構造にMR信号を誘導することによって、前記コイル構造を介して信号処理システムに内部のMR信号を伝えるために配されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのループは、被験体に物理的に可能な限り近づけて配されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記被験体は患者の一部を含み、
前記少なくとも1つのループは患者の身体の内部に位置付けられるように配されることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも1つのさらなるループを含み、
前記少なくとも1つのさらなるループは、前記少なくとも1つのループでMR信号を誘導することによって前記少なくとも1つのループを介して、および、その後、前記コイル構造にMR信号を誘導することによって前記コイル構造を介して、信号処理システムに内部のMR信号を伝えるように配されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の装置。
【請求項5】
少なくとも1つのさらなるループを含み、
前記少なくとも1つのさらなるループは、前記少なくとも1つのループでMR信号を誘導することによって前記少なくとも1つのループを介して、および、その後、前記コイル構造にMR信号を誘導することによって前記コイル構造を介して、信号処理システムに内部のMR信号を伝えるように配され、
前記被験体は患者の身体を含み、および、
前記少なくとも1つのループは患者の身体の内部に位置付けられるように配されることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのループは、内部の電流の流れを止めるために遠隔で操作可能なアドレス可能なスイッチを含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つのループ内の電流の流れを止めるための前記構造は、共振周波数から前記少なくとも1つのループを一時的に離調するための構造を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのループはボリュームコイルを含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載の装置。
【請求項9】
前記ボリュームコイルはバードケージ型共振コイルを含むことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ボリュームコイルは、パッシブデカップリング部品を含む受動部品のみを包含することを特徴とする請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
前記ボリュームコイルには、プリアンプ、ケーブル、ケーブルトラップ、バラン、または、コネクタがないことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1つに記載の装置。
【請求項12】
MR撮像装置であって、
前記装置は、
被験体に適用される変動磁場を生成するように動作可能な傾斜磁場コイルを備えたMR磁石、
被験体が、適用された磁場とRFパルスに反応して受信段階でMR信号を生成するように、撮像される被験体に適用される送信段階のRFパルスを生成するためのRF送信構造、
画像を生成する信号処理を実行するためにMR信号を受信するための信号処理システム、
MR信号に反応するための、かつ、信号通信ケーブル構造を介して信号処理システムにMR信号を伝えるように配されたコイル構造、および、
請求項1乃至11のいずれか1つに記載のMR受信コイル装置を含み、
前記コイル構造と前記少なくとも1つのループは、共通の周波数に同調するように配されることを特徴とする装置。
【請求項13】
前記コイル構造が磁石上で支持される内蔵式全身用コイルであることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記コイル構造が前記少なくとも1つのループよりももっと被験体から間隔を置いた位置に位置付けられることを特徴とする請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
前記コイル構造が、
前記コイル構造上のMR信号が前記少なくとも1つのループの不在下で発生するであろうMR信号よりも大きくなるような十分な誘導効率で、前記少なくとも1つのループからの信号が前記コイル構造上で誘導され、および、
前記少なくとも1つのループの不在下で発生するであろうMR信号よりも小さな値まで、前記コイル構造でMR信号を減らすのに十分なほど、同調された共通の共振周波数を変更するには、前記少なくとも1つのループと前記コイル構造との間の相互インダクタンスが不十分であるように、
前記少なくとも1つのループから離間して位置付けられることを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1つに記載の装置。
【請求項16】
信号処理システムは、個別のMR信号の個々の処理のために複数のチャネルを含み、
前記少なくとも1つの受信コイル上で誘導された信号から、別のチャネルのための別のMR信号を生成するための構造が提供されることを特徴とする請求項12乃至15のいずれか1つに記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つのループは複数の別々のループを含み、
前記別々のループの各々は、各々のループが順に駆動可能となるように内部の電流の流れを止めるために遠隔で操作可能なアドレス可能なスイッチを含み、
前記コイル構造は単一のループを含み、
単一のループから信号を受信するように、かつ、前記コイル構造上で誘導された信号から別のチャネルの別のMR信号を計算するように配された信号分離システムが提供されることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記コイル構造は、各々がチャネルのそれぞれ1つに信号を提供する、複数の別のループを含むことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項1】
MR撮像装置で使用するためのMR受信コイル装置であって、
前記装置は、
被験体に適用される変動磁場を生成するように動作可能な傾斜磁場コイルを備えたMR磁石、
被験体が適用された磁場とRFパルスに反応して受信段階でMR信号を生成するように、撮像される被験体に適用される送信段階のRFパルスを生成するためのRF送信コイル構造、
画像を生成する信号処理を実行するために、MR信号を受信するための信号処理システム、および、
MR信号に反応するための、かつ、信号通信ケーブル構造を通じて信号処理システムにMR信号を伝えるように配されたコイル構造を含み、
MR受信コイル装置は、
MR信号を受信するために、被験体に隣接するように配された少なくとも1つのループを含み、
前記少なくとも1つのループは、前記MR信号を受信するために、個々に共振周波数に同調するように配された同調部品を含み、
前記少なくとも1つのループは、前記少なくとも1つのループの存在が送信段階中にRFパルスに干渉するのを防ぐために、送信段階中に共振周波数で内部の電流の流れを止めるための構造を内部に有し、
前記少なくとも1つのループには、信号処理システムにMR信号を運ぶワイヤーケーブルがなく、
前記少なくとも1つのループは、前記コイル構造にMR信号を誘導することによって、前記コイル構造を介して信号処理システムに内部のMR信号を伝えるために配されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのループは、被験体に物理的に可能な限り近づけて配されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記被験体は患者の一部を含み、
前記少なくとも1つのループは患者の身体の内部に位置付けられるように配されることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも1つのさらなるループを含み、
前記少なくとも1つのさらなるループは、前記少なくとも1つのループでMR信号を誘導することによって前記少なくとも1つのループを介して、および、その後、前記コイル構造にMR信号を誘導することによって前記コイル構造を介して、信号処理システムに内部のMR信号を伝えるように配されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の装置。
【請求項5】
少なくとも1つのさらなるループを含み、
前記少なくとも1つのさらなるループは、前記少なくとも1つのループでMR信号を誘導することによって前記少なくとも1つのループを介して、および、その後、前記コイル構造にMR信号を誘導することによって前記コイル構造を介して、信号処理システムに内部のMR信号を伝えるように配され、
前記被験体は患者の身体を含み、および、
前記少なくとも1つのループは患者の身体の内部に位置付けられるように配されることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのループは、内部の電流の流れを止めるために遠隔で操作可能なアドレス可能なスイッチを含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つのループ内の電流の流れを止めるための前記構造は、共振周波数から前記少なくとも1つのループを一時的に離調するための構造を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのループはボリュームコイルを含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載の装置。
【請求項9】
前記ボリュームコイルはバードケージ型共振コイルを含むことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ボリュームコイルは、パッシブデカップリング部品を含む受動部品のみを包含することを特徴とする請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
前記ボリュームコイルには、プリアンプ、ケーブル、ケーブルトラップ、バラン、または、コネクタがないことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1つに記載の装置。
【請求項12】
MR撮像装置であって、
前記装置は、
被験体に適用される変動磁場を生成するように動作可能な傾斜磁場コイルを備えたMR磁石、
被験体が、適用された磁場とRFパルスに反応して受信段階でMR信号を生成するように、撮像される被験体に適用される送信段階のRFパルスを生成するためのRF送信構造、
画像を生成する信号処理を実行するためにMR信号を受信するための信号処理システム、
MR信号に反応するための、かつ、信号通信ケーブル構造を介して信号処理システムにMR信号を伝えるように配されたコイル構造、および、
請求項1乃至11のいずれか1つに記載のMR受信コイル装置を含み、
前記コイル構造と前記少なくとも1つのループは、共通の周波数に同調するように配されることを特徴とする装置。
【請求項13】
前記コイル構造が磁石上で支持される内蔵式全身用コイルであることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記コイル構造が前記少なくとも1つのループよりももっと被験体から間隔を置いた位置に位置付けられることを特徴とする請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
前記コイル構造が、
前記コイル構造上のMR信号が前記少なくとも1つのループの不在下で発生するであろうMR信号よりも大きくなるような十分な誘導効率で、前記少なくとも1つのループからの信号が前記コイル構造上で誘導され、および、
前記少なくとも1つのループの不在下で発生するであろうMR信号よりも小さな値まで、前記コイル構造でMR信号を減らすのに十分なほど、同調された共通の共振周波数を変更するには、前記少なくとも1つのループと前記コイル構造との間の相互インダクタンスが不十分であるように、
前記少なくとも1つのループから離間して位置付けられることを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1つに記載の装置。
【請求項16】
信号処理システムは、個別のMR信号の個々の処理のために複数のチャネルを含み、
前記少なくとも1つの受信コイル上で誘導された信号から、別のチャネルのための別のMR信号を生成するための構造が提供されることを特徴とする請求項12乃至15のいずれか1つに記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つのループは複数の別々のループを含み、
前記別々のループの各々は、各々のループが順に駆動可能となるように内部の電流の流れを止めるために遠隔で操作可能なアドレス可能なスイッチを含み、
前記コイル構造は単一のループを含み、
単一のループから信号を受信するように、かつ、前記コイル構造上で誘導された信号から別のチャネルの別のMR信号を計算するように配された信号分離システムが提供されることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記コイル構造は、各々がチャネルのそれぞれ1つに信号を提供する、複数の別のループを含むことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図16】
【図17】
【図18】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図16】
【図17】
【図18】
【図15】
【公開番号】特開2012−223580(P2012−223580A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−92485(P2012−92485)
【出願日】平成24年4月13日(2012.4.13)
【出願人】(511261097)イムリス インク. (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月13日(2012.4.13)
【出願人】(511261097)イムリス インク. (10)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]