説明

適所における作用物質送出の選択的な調節を行うための埋め込み可能な医療装置及び方法

本発明は、埋め込み可能な医療装置(10)と、当該装置を用いるシステムと、当該装置を用いる方法とを提供する。埋め込み可能な医療装置は、装置本体から患者内の埋め込み部位に送出されるように配置される有益な作用物質を収容する装置本体を含む。有益な作用物質は、患者内への埋め込み後に、活性化/不活性化手段(200)により選択的に調節されるように構成される。さらに、装置本体の第1の領域にある有益な作用物質は、装置本体の第2の領域にある有益な作用物質とは異なる作用物質送出プロファイルをもたらすように、活性化/不活性化手段により調節され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、患者内の或る場所に作用物質を送出する埋め込み可能な医療装置及び方法に関し、より詳細には、当該埋め込み可能な医療装置からの作用物質送出の選択的な調節に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2003年3月23日に出願された「Medical Device and Method for In Situ Selective Modulation of Agent Deivery」と題する米国仮特許出願第60/458,906号に対する、米国特許法第119条の下で優先権を主張する。
【0003】
[関連技術の説明]
埋め込み可能な医療装置は、薬剤等の有益な作用物質を体内の器官又は組織に、長期間に渡って制御された送出速度で送出するのに用いられることが多い。これらの装置は、多種多様な身体の系に作用物質を送出して、多種多様な治療を行うことができる。
【0004】
有益な作用物質の局所的な送出に用いられてきた多くの埋め込み可能な医療装置の1つは、血管ステントである。血管ステントは、通常、経皮的に導入され、所望の場所に位置決めされるまで経管的に移送される。次いで、これらの装置は、機械的に、例えば装置内に位置決めされたマンドレル又はバルーンの拡張等によって拡張されるか、又は体内で作動して蓄積したエネルギーを放出することによって自ら拡張する。ステントと呼ばれるこれらの装置は、管腔内で拡張すると、体組織内に封入され、永久的に埋め込まれたまま残る。
【0005】
既知のステントの設計には、モノフィラメントワイヤのコイルステント(米国特許第4,969,458号明細書)、溶接金属ケージ(米国特許第4,733,665号明細書、第4,776,337号明細書)、及び最も有名なものとして、円周に軸方向のスロットが形成された薄肉金属シリンダ(米国特許4,733,665号明細書、第4,739,762号明細書、第4,776,337号明細書)が含まれる。ステントに用いられることが知られている構成材料としては、ポリマー、有機織物、及び生体適合性金属、例えば、ステンレス鋼、金、銀、タンタル、チタン、コバルト系合金、及びニチノール(Nitinol)等の形状記憶合金が挙げられる。
【0006】
有益な作用物質のステントベースの局所的な送出によって対処し得る多くの問題の内、最も重要なものの1つは再狭窄である。再狭窄は、血管形成術及びステントの埋め込み等の血管介入に伴って発生し得る主な合併症である。簡単に定義すれば、再狭窄は、細胞外マトリックスの沈着、新生内膜過形成、及び血管平滑筋細胞増殖によって血管管腔の直径を縮小させ、最終的には、管腔の狭小化、さらには再閉塞を招く場合がある、創傷治癒プロセスである。改善された外科技法、装置、及び医薬品の導入にもかかわらず、全体的な再狭窄率は、依然として、血管形成処置後6〜12か月以内に25%〜50%の範囲にあると報告されている。この状況に対処するために、さらなる血管再生処置がしばしば必要となり、その結果患者への外傷及び危険が増大する。
【0007】
再狭窄の問題に対処するために開発下にある技法の1つは、ステント内又はステント上における種々の有益な作用物質の使用である。例えば、米国特許第5,716,981号明細書は、ポリマーキャリア及びパクリタキセル(癌性腫瘍の治療において一般に使用される既知の化合物)を含む組成物で表面が被覆されるステントを開示している。当該特許は、噴霧及び浸漬等、ステント表面を被覆する具体的な方法、及び被覆自体の所望の特性を詳細に説明している。その被覆は、「ステントを平滑且つ均一に被覆し、」「均一性で予測可能な、抗血管新生因子の長期放出を可能にする」べきである。しかしながら、表面の被覆は、有益な作用物質の放出動力学(release kinetics)に対する実際の制御をほとんど提供することができない。これらの被覆は、通常は、5〜8ミクロンの厚さと非常に薄くする必要がある。これと比較して、ステントの表面積は、非常に大きいため、有益な作用物質の全体積が周囲の組織に放出される拡散経路は、非常に短いものとなる。
【0008】
表面被覆の厚さを増加させることには、薬剤の放出を制御し、且つ薬剤の充填量(loading)を増加させる能力を含む薬剤の放出動力学を改善する有益な効果がある。しかしながら、被覆の厚さを増加させると、ステント壁の全厚が増加する。これは、埋め込み中の血管壁の外傷が増加すること、埋め込み後に管腔の流れ断面が縮小すること、及び、拡張及び埋め込み中に被覆が機械的故障又は損傷をさらに受け易くなることを含む、多くの理由のために望ましくない。被覆の厚さは、有益な作用物質の放出動力学に影響するいくつかの要因の内の1つであるため、厚さを制限することにより、放出速度、薬剤の送出の持続時間等の、達成可能な範囲が制限される。
【0009】
最適ではない(sub-optimal)放出プロファイルに加えて、表面被覆を施したステントには、さらなる問題がある。装置の被覆においてよく用いられる固定マトリッスポリマーキャリア(fixed matrix polymer carriers)は、被覆中に有益な作用物質の約30%〜80%を無期限に保持する。これらの有益な作用物質は、多くの場合、細胞毒性が高いため、慢性の炎症、晩期血栓症、及び遅いか又は不完全な血管壁の治癒等、亜急性及び慢性疾患の問題が生じ得る。さらに、ポリマーキャリア自体が、多くの場合、血管壁の組織に対して高い炎症性を有する。他方では、ステント表面で生体適合性のポリマーキャリアを用いることにより、ポリマーキャリアが分解した後に、ステントと血管壁の組織との間に「仮想空間」すなわち空隙が生成される場合があり、これはステントと隣接する組織との間での差動運動を可能にする。これにより生じる問題としては、微細な摩滅及び炎症、ステントの横滑り(drift)、並びに血管壁の再内皮化の不全(failure to reendothelialize)が挙げられる。
【0010】
ステント内又はステント上に薬剤が施された既知のステントの1つの欠点は、埋め込まれた装置に隣接して存在する組織構造への薬剤送出を調整できないことである。薬剤送出ステントから送出される薬剤は、罹患組織(病巣(legion))及び隣接する比較的健康な組織の両方を含む、ステントにより支持される組織総てに送出される。治療すべき組織に加えて、比較的健康な組織への抗再狭窄薬又は他の薬剤の送出は、場合によっては、この比較的健康な組織に損傷を与える可能性がある。例えば、血管の一部の、ステントにより支持されており、且つ病巣が見られない血管壁、すなわち、罹患組織付近の比較的健康な組織において、動脈瘤の形成が観察されているが、同様の動脈瘤は、罹患組織において観察されていない。しかしながら、不正確なステント配置と、罹患組織部位全体を支持する必要性とが相まって、ステントは、罹患組織及び一部の比較的健康な組織の両方を支持しなければならない。他の多くの理由から、可変量の薬剤を異なる組織に送出することが望ましい場合もある。
【0011】
従って、埋め込み可能な医療装置であって、薬剤等の作用物質を患者に送出し、且つ、埋め込み後に作用物質送出を選択的に調節、活性化又は不活性化して、当該拡張可能な医療装置に隣接する標的組織領域に作用物質を供給する、埋め込み可能な医療装置を提供することが望まれる。
【0012】
[発明の概要]
本発明は、埋め込み可能な医療装置、当該装置を用いるシステム、及び当該装置を用いる方法を提供する。
【0013】
装置の一態様では、本発明は、埋め込み可能な医療装置であって、患者内の埋め込み部位に送出されるように配置される有益な作用物質を含む装置本体を含む、埋め込み可能な医療装置を提供する。有益な作用物質は、患者内への埋め込み後に、活性化/不活性化手段により選択的に調節されるように構成される。さらに、装置本体の第1の領域にある有益な作用物質は、装置本体の第2の領域にある有益な作用物質とは異なる送出プロファイルをもたらすように、活性化/不活性化手段により調節することができる。
【0014】
有益な作用物質送出システムの一態様では、本発明は、埋め込み可能な医療装置及び選択的調節カテーテルを提供する。埋め込み可能な医療装置は、患者内の埋め込み部位に送出されるように配置される有益な作用物質を含み、有益な作用物質は、患者内への埋め込み後に、活性化/不活性化手段により調節されるように構成される。選択的調節カテーテルは、医療装置の第1の領域にある有益な作用物質を、医療装置の第2の領域にある有益な作用物質とは異なる送出プロファイルをもたらすように活性化又は不活性化するように構成される、活性化/不活性化手段を有する。
【0015】
有益な作用物質送出システムの別の態様では、本発明は、拡張可能且つ埋め込み可能なステントと、当該ステントに付加される有益な作用物質と、活性化/不活性化手段とを提供する。有益な作用物質は、患者内へのステントの埋め込み後に活性化/不活性化手段により調節することができる、初期作用物質放出プロファイルを有する。これにより、初期作用物質放出プロファイルとは異なる作用物質放出プロファイルがもたらされる。
【0016】
方法の一態様では、本発明は、有益な作用物質の送出を選択的に調節することにより、有益な作用物質を送出する方法を提供する。本方法は、少なくとも以下のステップ、1)患者内に、有益な作用物質を含む埋め込み可能な医療装置を埋め込むステップと、2)埋め込まれた医療装置の或る場所に活性化手段を送出するステップと、3)埋め込まれた医療装置の第2の領域から送出される有益な作用物質の量を調節せずに、活性化/不活性化手段により、埋め込まれた医療装置の第1の領域から送出される有益な作用物質の量を調節するステップとを含む。
【0017】
方法の別の態様では、本発明は、ステントから有益な作用物質を送出する方法を提供する。本方法は、少なくとも以下のステップ、1)管腔内に、第1の有益な作用物質及び第2の有益な作用物質を含むステントを埋め込むステップと、2)ステントから第1の有益な作用物質を送出するステップと、3)第2の有益な作用物質を送出すべきか否かを判断するステップと、4)ステントに活性化手段を送出するステップと、5)ステントから送出される第2の有益な作用物質の量を、活性化手段により調節するステップとを含む。
【0018】
方法のさらなる態様では、本発明は、ステントから有益な作用物質を送出する方法を提供する。本方法は、少なくとも以下のステップ、1)第1の有益な作用物質を含むステントを埋め込むステップと、2)ステントから第1の有益な作用物質を送出するステップと、3)第1の有益な作用物質の送出を終了すべき時を判断するステップと、4)ステントに不活性化手段を送出するステップと、5)ステントから送出される第2の有益な作用物質の量を、不活性化手段により実質的に終了させるステップとを含む。
【0019】
次に、本発明を、添付図面に示される好ましい実施形態を参照してより詳細に説明する。添付図面において、同じ要素は同じ参照符号を有する。
【0020】
[発明の詳細な説明]
本発明の装置は、ステントと、ステント内又はステント上の薬剤送出材料とを備え、ステントの或る領域から送出される薬剤の量を、ステントの別の領域から送出される量に対して調節することができるようになっており、この差分調節(differential modulation)は、哺乳動物にステントを配置した後で指定される。
【0021】
図1は、血管100内に埋め込まれた埋め込み可能な医療装置10を示す。図1に示すように、血管100は、医療装置10を拡張することにより拡張される病巣110を含む。拡張可能な医療装置10は、病巣110又は他の病変組織を支持するのに加えて、比較的健康な血管組織120の1つ又は複数の領域も支持する。図示の例では、比較的健康な組織120は、医療装置10の端部領域に隣接している。
【0022】
拡張可能な医療装置10は、組織に送出すべき有益な作用物質を収容する複数の開口20を含む。開口20の幾つかは、病巣110に隣接しており、開口のいくつかは、比較的健康な組織120に隣接している。本発明は、カテーテル200の形態の活性化/不活性化装置を提供し、これは、埋め込み後にガイドワイヤ300を介して医療装置10のルーメン内に送出され、開口20内の有益な作用物質(複数可)を活性化及び/又は不活性化して、有益な作用物質の送出を目標通りに調節し、埋め込まれた医療装置10の表面から特定の領域すなわち場所に有益な作用物質を送出するように構成される。
【0023】
最終的には管腔の狭小化、さらには再閉塞を招く場合がある、細胞外マトリックスの沈着、新生内膜過形成、及び血管平滑筋細胞増殖を低減させるのに有用な有益な作用物質の場合、有益な作用物質を病巣110に隣接して活性化するか、又は比較的健康な組織120に隣接して不活性化して、有益な作用物質の大部分、好ましくは治療有効量の有益な作用物質を、標的組織に送出することができる。
【0024】
「調節」という用語は、有益な作用物質の送出量又は有益な作用物質の送出速度を、活性化又は不活性化により調整することを指す。薬剤の送出量は、ステントの指定領域に収容される薬剤の送出ゼロから、或る領域からの薬剤の一部の送出、指定領域に収容される全薬剤の送出までの範囲を含むと考えられる。
【0025】
「活性化及び不活性化」という用語は、有益な作用物質の活性化若しくは放出、又は有益な作用物質の不活性化、遮断、若しくは除去を指す。「活性化及び不活性化」は、有益な作用物質の特性を変えて、活性又は不活性にすることを含んでもよい。また、「活性化及び不活性化」は、有益な作用物質の周囲の材料を変えて、有益な作用物質の放出を増減又は阻止することを含んでもよい。「活性化及び不活性化」は、さらに、バリア層又はマトリックス層中の化合物を分解又は除去して、有益な作用物質の送出を可能にするか、又は血流中の作用物質を洗い流すこと等による有益な作用物質の除去を可能にすることを含んでもよい。概して、活性化により、治療有効量の治療薬が治療上有効な放出速度で送出される。概して、不活性化により、治療上無効な量(therapeutically ineffective amount)の送出又は治療上無効な放出速度での送出が行われる。概して、活性化により、活性化前の送出速度と比較して標的組織への作用物質の送出速度が上昇し、概して、不活性化により、不活性化前の送出速度と比較して標的組織への作用物質の送出速度が低下する。
【0026】
「有益な作用物質」という用語は、本明細書で用いる場合、可能な限り広義に解釈されることが意図され、治療薬又は薬剤、及びバリア層、キャリア層、治療層、又は保護層等の不活性作用物質を含むように用いられる。有益な作用物質は、薬剤のみから成ってもよく、ステント内又はステント上に含まれる薬剤を保持するマトリックス又はバインダーとして作用し、且つ/又はステントの或る領域からの薬剤の放出を調節する、非薬剤材料をさらに含んでもよい。
【0027】
「薬剤」及び「治療薬」という用語は、生物の組織に送出されて、所望の、通常は有益な作用をもたらす、任意の治療上活性な物質を指すために交換可能に用いられる。本発明は、抗腫瘍剤、血管新生因子、免疫抑制剤、及びパクリタキセル及びラパマイシン等の抗増殖剤(抗再狭窄薬)、並びに抗トロンビン剤の送出に特に適している。
【0028】
「マトリックス」又は「生体適合性マトリックス」という用語は、被験体に埋め込まれると、マトリックスの拒絶に至るのに十分な有害反応を誘発しない、媒質又は材料を指すために交換可能に用いられる。マトリックスは通常、治療反応自体を全く提供しないが、本明細書で定義される、治療薬、治療薬、活性化剤、又は不活性化剤を含むか、又はそれらを取り囲むことができる。マトリックスは、支持、構造的完全性、又は構造的バリアを単に提供することができる媒質でもある。マトリックスは、ポリマー性、非ポリマー性、疎水性、親水性、新油性、両親媒性等であり得る。
【0029】
「生分解性」という用語は、生体吸収性であり、且つ/又は、生理学的環境と相互作用すると化学的プロセス又は物理的プロセスにより分解され得る、本明細書で定義されるマトリックスを指す。生分解性マトリックスは、数分から数年、好ましくは1年未満の期間にわたり代謝可能又は排出可能である成分に分解されるとともに、この期間の間、必要ないかなる構造的完全性も維持する。
【0030】
本発明は、本明細書では、管腔の壁に有益な作用物質を送出するために孔内に有益な作用物質を収容するステントの例に関して説明しているが、他の装置を用いてもよく、それらの装置は他の組織構造を治療するのに用いてもよいことを理解されたい。例えば、薬剤送出装置は、拡張可能な血管ステント、尿道ステント、胆管ステント、シャント、又は別の埋め込み可能な装置であってもよい。埋め込み可能な医療装置からの有益な作用物質は、任意の2つの異なるタイプの組織又は組織構造に個別に送出することができ、例えば、異なる組織又は組織構造としては、異なるタイプのプラーク、健康な組織、癌組織、損傷組織、及び分岐等の種々の構造に隣接した組織が挙げられ得る。
【0031】
「ポリマー」という用語は、モノマーと呼ばれる2つ以上の繰り返し単位の化学結合から形成される分子を指す。従って、「ポリマー」という用語には、例えば、ダイマー、トリマー、及びオリゴマーが含まれ得る。ポリマーは、合成、天然、又は半合成であり得る。好ましい形態では、「ポリマー」という用語は、通常、約3,000を超える、好ましくは約10,000を超えるMを有する分子、及び約1,000万未満、好ましくは約100万未満、より好ましくは約200,000未満のMを有する分子を指す。ポリマーの例としては、ポリ−α−ヒドロキシ酸エステル、例えば、ポリ乳酸(PLLA又はDLPLA)、ポリグリコール酸、乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)、乳酸カプロラクトン共重合体、ポリ(ブロック−エチレンオキシド−ブロック−ラクチド−co−グリコリド)ポリマー(PEO−ブロック−PLGA及びPEO−ブロック−PLGA−ブロック−PEO)、ポリエチレングリコール及びポリエチレンオキシド、ポリ(ブロック−エチレンオキシド−ブロック−プロピレンオキシド−ブロック−エチレンオキシド);ポリビニルピロリドン;ポリオルトエステル;多糖類及び多糖類誘導体、例えば、ポリヒアルロン酸、ポリ(グルコース)、ポリアルギン酸、キチン、キトサン、キトサン誘導体、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、シクロデキストリン、及び置換シクロデキストリン、例えば、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン;ポリペプチド及びタンパク質、例えば、ポリリジン、ポリグルタミン酸、アルブミン;ポリ無水物;ポリヒドロキシアルカノエート(alkonoates)、例えば、ポリヒドロキシバレレート、ポリヒドロキシブチレート等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
各領域に含まれる様々な量の薬剤を送出する、ステント上に形成される領域のパターンは、医療装置及び薬剤又は治療薬により治療されている管腔又は他の組織の領域の生理学的状態(physiology)及び病理学的状態(pathology)に基づいて指定されると考えられる。さらに、これらの領域は、ステントの壁側及び管腔側の両方の領域を含むと考えられる。
【0033】
一実施形態では、ステントは、最初にステント内に空間的に均一に配置される有益な作用物質を含み、その後、ステントの配置後に領域特定的なパターンの作用物質量が送出されるように、ステントの特定の領域が活性化/不活性化手段により個別に処理されることが考えられる。さらに、有益な作用物質は、プロドラッグ又は遮断薬(blocked drug)を最初に含んでいてもよく、これは、その後の処理により治療上不活性な形態から活性薬剤に変換されて、その特定の領域から送出される。このプロセスを、概して薬剤の活性化と呼ぶ。
【0034】
これとは反対に、内部に有益な作用物質が均一に分布したステントが最初にある場合、活性薬剤を放出する領域と、活性薬剤を放出しないか又は限られた量しか放出しない領域との不均一なパターンを、ステントの特定の領域に含まれる薬剤を選択的に分解するか又は他の方法で治療上不活性にすることにより、形成することが考えられる。このプロセスを、概して薬剤の不活性化と呼ぶ。
【0035】
さらに、薬剤送出材料の非薬剤成分を選択的に処理して修飾を行い、薬剤放出量を調節することにより、特定の領域における薬剤含有材料がその領域に収容される薬剤を放出できる量を増減することが考えられる。このプロセスは、一般に、マトリックスの修飾による活性化又は不活性化と呼ばれる。
【0036】
また、有益な作用物質以外の構造を選択的に処理して修飾することにより、特定の領域における有益な作用物質の、その領域で放出できる量を増減させることも考えられる。例えば、バリア層をより透過性の高いものか又は低いものにすることにより、薬剤の送出を可能にするか、薬剤の送出を実質的に阻止するか、又は薬剤を送出してから血流及び他の手段により洗い流すことを可能にすることができる。
【0037】
エネルギー及び化学物質を含む種々の活性化/不活性化手段が、薬剤又はプロドラッグの修飾、又は薬剤送出材料のマトリックス又はバインダー成分の修飾、又はバリア層等の別の構造の修飾を様々な形で行うことにより、ステント上の特定の薬剤収容領域の薬剤送出能力を調節することが考えられる。
【0038】
図1に示す実施形態では、ステント10の開口20により、送出すべきエネルギー又は化学物質の形態の活性化/不活性化手段が、有益な作用物質に容易にアクセスできる。開口がなければ、一部のタイプのエネルギー(光を含む)及び化学物質をステントのルーメン内の活性化/不活性化手段からステントの壁側に送出して活性化又は不活性化を行うことが困難であり得る。
【0039】
最初の有益な作用物質において活性形態ではない、医療装置の特定の領域における薬剤は、薬剤を処理して周囲のpH値を変えることにより、又は薬剤に対するアンタゴニストを分解することにより、又は金属塩若しくは酵素等、薬剤を活性形態に変換する活性化補助因子を加えることにより、活性化することができると考えられる。薬剤は、最初は遮断された形態で存在していてもよく、酸、塩基、また塩等の脱遮断薬(de-blocking agent)で処理することにより活性化されてもよい。薬剤は、最初はプロドラッグとして有益な作用物質中に存在してもよく、この場合、薬剤は、不安定な結合を介して別の部分又はポリマーに結合されるが、その場合、不安定な結合がペプチド結合を含む場合等には酵素剤での様々な処理によるか、又は、結合がα,β−ジカルボニル又はαヒドロキシル又はアルコキシルカルボニル結合のような光感受性(photo-labile)結合である場合には光等の化学線での処理による以外では、活性薬剤として放出されることができない。
【0040】
それとは反対に、薬剤の分布がステントに沿って均一であるように有益な作用物質が最初に存在するシステムでは、ステント上の特定の領域の局所的な処理によって一部の領域の薬剤を分解するか又は他の方法で治療上不活性にすることにより、薬剤放出領域及び非薬剤放出領域のパターンが形成され得ると考えられる。薬剤に結合してその薬剤を不活性化する化学的作用物質が加えられてもよく、又は、治療薬を化学修飾する酸化剤又は還元剤が加えられてもよい。局所的な領域における薬剤の化学的不活性化を行う種は、酸化種を生成する化学線の作用等により、適所で生成することができる。
【0041】
さらに、光のみ、特に、薬剤の最大吸光度の波長と一致する波長を有する光での局所的領域の処理は、転位、切断、又は活性配座から不活性配座への変化のプロセスにより、薬剤の不活性化を様々な形でもたらし得ると考えられる。さらに、薬剤送出材料に含まれる薬剤のための安定剤を分解するための、化学的作用物質又は光等のエネルギー源の適用は、その領域から活性薬剤を送出する能力を低下させるか又はなくす方法として考えられる。
【0042】
薬剤送出材料のマトリックス又はバインダー成分に施される種々の処理は、ステントの或る領域からの薬剤の送出を局所的に制御する方法として考えられる。一実施形態では、マトリックスを架橋し、且つ架橋試薬又はエネルギーによって薬剤をよりしっかりと保持することが可能な反応基を含む、ポリマーマトリックスの処理は、そのように処理された領域から送出することができる薬剤の量を減らす方法と考えられる。これとは反対に、化学的又は光化学的に不安定な結合を含むポリマーマトリックスは、薬剤を効果的に保持することができないマトリックスとなる可能性があり、これらの領域における薬剤は尚早に放出されるため、治療的処置を施すべき場所で薬剤が枯渇した領域を作り出すことになる。
【0043】
さらに、薬剤送出材料内のリポソーム、固体脂質のナノ粒子、ミセル、固形エマルジョン、篭包接錯体(cage clathrate complex)、又は微粒子等の構築物に、単独で、又はマトリックス又はバインダー成分内で、薬剤を最初に閉じ込めることが考えられる。ステントにおいてこのような薬剤含有構築物を収容する特定の局所的領域は、構築物を破壊して血管の管腔内に薬剤を尚早に放出させるように、局所的エネルギーで処理することができる。このような薬剤は、消失して、治療活性を目的としてその領域から薬剤をなくすため、或る形態の不活性化とみなすことができる。これとは反対に、疎水性薬剤が親水性シェル材料の核内に入れられている、すなわち隔離されている場合等に、治療的処置の期間内に薬剤又は治療薬を放出させない構築物内に、薬剤を封入してもよい。構築物からの薬剤の放出に対する処理を行わない場合、ステントのその領域から薬剤がほとんど又は全く放出されなくなる。しかしながら、薬剤は、構築物から薬剤送出材料に選択的に移送させることができ、その場合、ステントの特定の領域にエネルギーを局所的に印加して構築物のシェルを破壊し、ステントからさらに放出されることができる形態で、薬剤送出材料に薬剤を入れることにより、将来的に組織に送出することが可能となる。構築物の閉じ込め用外側シェル又は膜を破壊すること等により、構築物から薬剤送出マトリックスに薬剤を放出させるエネルギーは、高周波(RF)エネルギーの形態の熱エネルギー、又は電気抵抗加熱(resistive electrical heating)による熱エネルギー等、超音波又は熱エネルギーであることが好ましいと考えられる。より好ましくは、エネルギーは超音波(US)エネルギーである。さらに、薬剤は二重シェル構築物の核内に入れられ、シェル層間の距離が、印加される超音波エネルギーの特定の共振周波数で二重シェル構築物を破壊させるようにすることが考えられる。
【0044】
薬剤送出材料は、種々の構成で、例えば、ステントにより画定される体積内に、孔又は凹面等に、薬剤のリザーバとして、ステント構造の表面の全体又は一部の被覆として、装置材料自体内に、装置上に配置される材料のスリーブとして、装置に編み込まれた作用物質の糸として、又は任意の他の構成で、ステントの表面上に配置され得ると考えられる。
【0045】
薬剤送出材料がステントのストラット(strut)構造にある孔内に配置される場合、孔は、部分的又は完全に材料で満たすことができる。さらに、孔内の薬剤送出材料の組成は、複数の個々の層から成ってもよく、層はそれぞれ、薬剤の量と、薬剤送出材料を構成するマトリックス又は結合材料の量とに対して同じ組成又は異なる組成を有する。上述の、ステントの特定の部位又は領域にある材料の活性化又は不活性化にあたり、薬剤含有材料は、ステントの或る領域に或る薬剤を、第1の領域とは異なる領域に別の薬剤を含むことができ、2つ以上の薬剤が、2つ以上の薬剤又は治療薬を同時送出又は順次送出するための独立した領域特定パターンを提供するように別々に処理されることができることが、さらに考えられる。2つ以上の有益な作用物質を、交互の、又は散在した孔に供給して、ステント表面にわたって2つ以上の有益な作用物質を最初に均一に配置させることができ、この場合、或る作用物質は活性化されずに送出され、或る作用物質は活性化を必要とする。代替的に、2つ以上の有益な作用物質を、同じか又は異なる活性化/不活性化手段により同時に又は順次に活性化又は不活性化させることができる。
【0046】
バリア層の多孔率を変化させ、且つ/又はバリア層又は大量の有益な作用物質キャリアの生分解速度を変化させる可能性がある作用物質により活性化されるように、バリア層を配合することもできる。いずれの場合も、有益な作用物質の放出は、医師が随意に作用物質を送出させることにより活性化することができる。
【0047】
さらに、ステントの配置後に、上述の領域特定的な薬剤活性化又は不活性化処理を行うことが可能な装置が考えられる。このような活性化/不活性化装置は、本体の内部又は外部に配置することができる。一例によると、この装置は、ステントのルーメン内にカテーテルの活性化/不活性化部分を位置決めするための経皮経管配置が可能なカテーテルベースの装置であり、それにより、有益な作用物質の活性化又は不活性化処理が、活性化/不活性化装置の遠位部の操作により、ステントのルーメン表面から行われるようになる。
【0048】
カテーテルベースの処理装置は、薬剤送出ステントを配置するのに用いられるバルーンを先端に設けたカテーテルと同様に、配置された薬剤送出ステントに移動させることが好ましい。有益な作用物質中の薬剤の活性化又は不活性化を行う装置の設計は、処理の性質に左右されると考えられる。可視光又は紫外線等の化学線(レーザ光を含む)を送出する場合、送出装置は、放射エネルギーをステントの処理すべき領域に送るための光ファイバー又はファイバー束と、ファイバーの遠位端に、光ビームを所望の処理場所に操向するための光学装置とを含む。図1に示すように、装置の遠位端において抵抗素子に接続される導電ワイヤを含む同様の装置が、熱エネルギー又は高周波エネルギーを送出すると考えられる。
【0049】
別のカテーテルベースの処理装置としては、超音波を用いて組織をマッピングする、静脈内超音波(IVUS)カテーテルが挙げられる。IVUSカテーテルは、可視化手段及び活性化/不活性化手段の両方を含むことができる。例えば、IVUSカテーテルは、超音波マッピング用の超音波エネルギーの第1の周波数と、薬剤送出の活性化/不活性化用の超音波エネルギーの第2の周波数とを含み得る。IVUSカテーテルは、同じカテーテル又は異なるカテーテルにおいて、本明細書で説明する他の活性化/不活性化手段のいずれかと組み合わせて用いることもできる。
【0050】
化学的又は生物学的な活性化/不活性化手段を用いる活性化/不活性化カテーテルの一例としては、活性化/不活性化作用物質が含浸された、又は活性化/不活性化作用物質で被覆されたバルーンカテーテルが挙げられる。活性化/不活性化作用物質は、上述の方法の1つで、膨張したバルーンの内部からエネルギーを選択的に印加することにより、バルーンから放出されることができる。動作時には、活性化/不活性化バルーンカテーテルがステントに挿入されて膨張させられることにより、治療上不活性な形態の化学的作用物質が、バルーン上でステントの内面に直接隣接するようになる。化学的作用物質は、放出されるまで、化学的に不活性であるか、又はマトリックス、バリア、若しくは他の材料により隔離されることができる。続いて、化学的作用物質は、バルーン内の制御可能なエネルギー源からの超音波又は他のエネルギーの印加等により、選択された領域(複数可)において活性化される。バルーンから放出される化学的作用物質は、有益な作用物質、薬剤、バリア層、マトリックス、又はバインダーに作用して、上述の方法のいずれか1つで薬剤送出を活性化/不活性化する。
【0051】
代替的に、その表面に複数の個別の抵抗電気回路が刻まれているバルーンが、熱エネルギーにより局所的領域を個別に処理する方法を提供すると考えられる。バルーンカテーテルベースの活性化/不活性化手段の使用は、活性化/不活性化の間にその部位から血液を除去するというさらなる利点を有し、これにより可視性及び精度を高めることができる。
【0052】
薬剤含有層中の薬剤を活性化又は不活性化する化学的作用物質を送出するために、遠位端に有孔バルーンを有するカテーテルを用いることが考えられ、このバルーンの個々の孔又は孔領域には、その薬剤の送出を制御することができる個別の管が接続される。さらに、或るパターンで一部の領域は有孔であり他の領域は無孔であることにより、ステント上の所望のパターンの薬剤活性化及び不活性化に一致する表面を有するバルーンが考えられる。
【0053】
本発明の方法は、概して、有益な作用物質を有する埋め込み可能な医療装置を既知の手順で埋め込むことを含む。例えば、蛍光透視法による可視化を用いてガイドワイヤを介して経管的に送出されるバルーンカテーテルにより、ステントを配置して拡張させることができる。医療装置を埋め込むと、活性化/不活性化手段を用いて、埋め込まれた装置の選択された領域における薬剤送出を選択的に活性化/不活性化する。例えば、カテーテルの端にある活性化/不活性化装置を、埋め込まれたステントの場所までガイドワイヤを介して挿入することができ、ステントの有益な作用物質は、外科医が蛍光透視法による可視化を用いてエネルギー又は化学物質を送出することによってカテーテルで「ペイントする」ことにより、複数の領域で活性化/不活性化することができる。
【0054】
代替的に、活性化/不活性化のステップは、固定されたままであり、且つ特定の領域において体外から活性化される活性化/不活性化カテーテルにより行われてもよい。例えば、複数の個別の活性化可能な電気回路、光ファイバー、又は化学物質送出口を含むバルーンカテーテルが、外科医がインプラントの周囲の組織のコンピュータ画像を描くことにより選択されるパターンに従って、活性化/不活性化エネルギー又は化学物質を送出してもよい。
【0055】
本明細書で説明するように、有益な作用物質は、ポリマーマトリックス中又はゲル中等、固体形態又は非流動性形態で埋め込み可能な医療装置のリザーバに供給されることが好ましい。活性化/不活性化手段は、埋め込み可能な装置内に回路部(circuitry)又は電源を必要とせずに、リザーバ内の作用物質を活性化又は不活性化することが可能である。
【0056】
別の実施形態では、ステント又は他の装置のほぼ全体からの作用物質の送出を、埋め込み後に活性化又は不活性化して、埋め込み後に必要であると判断される治療を開始又は終了させてもよい。例えば、抗再狭窄薬と、血管新生薬等の第2の作用物質とを収容するステントを送出して、ステントが最初に抗再狭窄薬を主に放出するようにしてもよい。後日、患者の状態が第2の作用物質を必要としていると判断されると、第2の作用物質の送出を活性化手段により開始させることができる。例えば、心臓組織が第2の作用物質が有用であると思われる望ましくない虚血レベルに達したと判断されると、血管新生薬を放出させることができる。第2の作用物質は、種々の状態を治療することができ、例えば、第2の作用物質としては、血管拡張薬、血管新生薬、又は血管新生薬、インスリン等の組み合わせを挙げることができる。活性化は、上述の手段のいずれかにより達成することができる。さらに、全身投与される(systemically applied)作用物質による化学的活性化を用いて、ステントのほぼ全体にある第2の薬剤を活性化してもよい。
【0057】
例示的な実施形態では、ステント又は他の装置のほぼ全体から送出される作用物質は、患者の状態がその薬剤の送出をそれ以上必要としないと医師が判断すると、不活性化することができる。この不活性化は、上述の方法のいずれかで、又は化学的不活性化手段の全身投与により行うことができる。
【0058】
本発明と共に用いられる治療薬は、例えば、小分子、ペプチド、リポタンパク質、ポリペプチド、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、脂質、タンパク質薬剤、タンパク質共役型薬剤(protein conjugate drugs)、酵素、オリゴヌクレオチド及びその誘導体、リボザイム、他の遺伝物質、細胞、アンチセンスオリゴヌクレオチド、モノクローナル抗体、血小板、プリオン、ウィルス、細菌、真核細胞、例えば、内皮細胞、幹細胞、ACE阻害剤、単球/マクロファージ、及び血管平滑筋細胞の形態をとることができる。このような作用物質は、単独で用いられてもよく、又は互いに様々な組み合わせで用いられてもよい。例えば、消炎剤を抗増殖剤と組み合わせて用いて、抗増殖剤に対する組織の反応を軽減することができる。治療薬は、宿主に投与されると所望の薬剤に代謝されるプロドラッグであってもよい。さらに、治療薬は、マトリックスに組み込まれる前に、マイクロカプセル、微小球、微小気泡、リポソーム、ニオソーム、エマルジョン、分散液等として予備配合してもよい。治療薬は、光又は超音波エネルギー等の他の何らかの形態のエネルギーにより、又は全身投与することができる他の循環分子により活性化される、放射性同位元素又は作用物質であってもよい。
【0059】
治療薬の例示的な種類としては、抗増殖剤、抗トロンビン剤(すなわち血栓溶解剤)、免疫抑制剤、抗脂質薬、抗炎症薬、抗腫瘍剤、例えば、代謝拮抗剤、抗血小板剤、血管新生薬、抗血管新生薬、ビタミン、抗有糸分裂剤、メタロプロテイナーゼ阻害剤、NO供与体、酸化窒素放出刺激剤(release stimulator)、抗硬化薬、血管作用薬、内皮増殖因子、β遮断剤、ホルモン、スタチン、インスリン成長因子、抗酸化剤、膜安定化薬、カルシウム拮抗剤(すなわち、カルシウムチャネル拮抗剤)、レチノイド、抗マクロファージ物質、抗リンパ球剤、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、免疫調整薬、アンギオテンシン転換酵素(ACE)阻害剤、抗白血球剤、高密度リポタンパク質(HDL)及び誘導体、インスリンに対する細胞増感剤、プロスタグランジン及び誘導体、抗TNF化合物、血圧降下剤、プロテインキナーゼ、アンチセンスオリゴヌクレオチド、心臓保護剤、ペチドース(petidose)阻害剤(blycolitic代謝を増加させる)、エンドセリン受容体アンタゴニスト、インターロイキン6アンタゴニスト、抗再狭窄薬、及び他の多様な化合物が挙げられる。
【0060】
抗増殖剤としては、シロリムス、パクリタキセル、アクチノマイシンD、ラパマイシン、及びサイクロスポリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
抗トロンビン剤としては、ヘパリン、プラスミノゲン、α−抗プラスミン、ストレプトキナーゼ、ビバリルジン、及び組織プラスミノゲンアクチベータ(t−PA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
免疫抑制剤としては、サイクロスポリン、ラパマイシン及びタクロリムス(FK−506)、シロリムス(sirolumus)、エベロリムス、エトポシド、及びミトキサントロンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
抗脂質薬としては、HMG CoA還元酵素阻害剤、ニコチン酸、プロブコール、及びフィブリン酸誘導体(例えば、クロフィブラート、ゲムフィブロジル、ゲムフィブロジル、フェノフィブラート、シプロフィブラート、及びベザフィブラート)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
抗炎症薬としては、サリチル酸誘導体(例えば、アスピリン、インスリン、サリチル酸ナトリウム、コリンマグネシウム三サリチル酸、サルサラート、ジフルニサル(dflunisal)、サリチルサリチル酸、スルファサラジン、及びオルサラジン)、パラアミノフェノール誘導体(例えば、アセトアミノフェン)、インドール酢酸及びインデン酢酸(例えば、インドメタシン、スリンダク、及びエトドラク)、ヘテロアリール酢酸(例えば、トルメチン、ジクロフェナク、およびケトロラク)、アリールプロピオン酸(例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、及びオキサプロジン)、アントラニル酸(例えば、メフェナム酸及びメクロフェナム酸)、エノール酸(例えば、ピロキシカム、テノキシカム、フェニルブタゾン、及びオキシフェンタトラゾン(oxyphenthatrazone))、アルカノン(例えば、ナブメトン)、グルココルチコイド(例えば、デキサメタゾン(dexamethaxone)、プレドニゾロン、及びトリアムシノロン)、ピルフェニドン、及びトラニラストが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
抗腫瘍剤としては、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、及びクロラムブシル)、メチルニトロソウレア(例えば、ストレプトゾシン)、2−クロロエチルニトロソウレア(例えば、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、及びクロロゾトシン)、アルカンスルホン酸(例えば、ブスルファン)、エチレンイミン及びメチルメラミン(例えば、トリエチレンメラミン、チオテパ、及びアルトレタミン)、トリアジン(例えば、ダカルバジン)、葉酸アナログ(例えば、メトトレキセート)、ピリミジンアナログ(5−フルオロウラシル、5−フルオロデオキシウリジン、5−フルオロデオキシウリジンモノホスフェート、シトシンアラビノシド、5−アザシチジン、及び2',2'−ジフルオロデオキシシチジン)、プリンアナログ(例えば、本発明とともに用いるためのメルカプトは、例えば、小分子、ペプチド、リポタンパク質、ポリペプチド、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、脂質、タンパク質薬剤、タンパク質共役型薬剤、酵素、オリゴヌクレオチド及びその誘導体、ルビシン、イダルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン、及びミトマイシン)、フェノクソディオール、エトポシド、及び白金配位錯体(例えば、シスプラチン及びカルボプラチン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
抗血小板薬としては、インスリン、ジピリダモール、チロフィバン、エプチフィバチド、アブシキシマブ、及びチクロピジンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
血管新生剤としては、リン脂質、セラミド、セレブロシド、中性脂肪、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリドレシチン、スフィンゴシド(sphingosides)、アンギオテンシンフラグメント、ニコチン、ピルビン酸チオールエステル、グリセロール−ピルビン酸エステル、ジヒドロキシアセトン−ピルビン酸エステル、及びモノブチリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
抗血管新生薬としては、エンドスタチン、アンギオスタチン、フマギリン、及びオバリシンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
ビタミンとしては、水溶性ビタミン(例えば、チアミン、ニコチン酸、ピリドキシン、及びアスコルビン酸)及び脂溶性ビタミン(例えば、レチナール、レチノイン酸、レチナールデヒド、フィトナジオン、メナキノン、メナジオン、及びαトコフェロール)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
抗有糸分裂剤としては、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、エピポドフィロトキシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン、及びミトマイシンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
メタロプロテイナーゼ阻害剤としては、TIMP−1、TIMP−2、TIMP−3、及びSmaPIが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
NO供与体としては、L−アルギニン、亜硝酸アミル、三硝酸グリセリル、ニトロプルシドナトリウム、モルシドミン、ジアゼニウムジオレオート、S−ニトロソチオール、及びメソイオンオキサトリアゾール(mesoionic oxatriazole)誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
NO放出刺激剤としては、アデノシンが挙げられるが、これに限定されない。
【0074】
抗硬化薬としては、コラゲナーゼ及びハロフジノンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
血管作用薬としては、酸化窒素、アデノシン、ニトログリセリン、ニトロプルシドナトリウム、ヒドララジン、フェントラミン、メトキサミン、メタラミノール、エフェドリン、トラパジル(trapadil)、ジピリダモール、血管作用性腸ポリペプチド(VIP)、アルギニン、及びバソプレシンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
内皮増殖因子としては、VEGF−121及びVEG−165を含むVEGF(血管内皮増殖因子)、FGF−1及びFGF−2を含むFGF(繊維芽細胞増殖因子)、HGF(肝細胞増殖因子)、及びAng1(アンジオポエチン1)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
β遮断剤としては、プロプラノロール、ナドロール、チモロール、ピンドロール、ラベタロール、メトプロロール、アテノロール、エスモロール、及びアセブトロールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
ホルモンとしては、プロゲスチン、インスリン、エストロゲン、及びエストラジオール(例えば、エストラジオール、吉草酸エストラジオール、エストラジオールシピオネート、エチニルエストラジオール、メストラノール、キネストロール(quinestrol)、エストロンド(estrond)、エストロンサルフェート、及びエキリン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
スタチンとしては、メバスタチン、ロバスタチン、シムバスタチン、プラバスタチン、アトルバスタチン、及びフルバスタチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
インスリン成長因子としては、IGF−1及びIGF−2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
抗酸化剤としては、ビタミンA、カロテノイド、及びビタミンEが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
膜安定化剤としては、プロプラノロール、アセブトロール、ラベタロール、オクスプレノロール、ピンドロール、及びアルプレノロール等の特定のβ遮断剤が上げられるが、これらに限定されない。
【0083】
カルシウム拮抗剤としては、アムロジピン、ベプリジル、ジルチアゼム、フェロジピン、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、及びベラパミルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
レチノイドとしては、オール−trans−レチノール、オール−trans−14−ヒドロキシレトロレチノール、オール−trans−レチナールデヒド、オール−trans−レチノイン酸、オール−trans−3,4−ジデヒドロレチノイン酸、9−cis−レチノイン酸、11−cis−レチナール、13−cis−レチナール、及び13−cis−レチノイン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
抗マクロファージ物質としては、NO供与体が挙げられるが、これに限定されない。
【0086】
抗リンパ球剤としては、2−CdA、IL−1阻害剤、抗CD116/CD18モノクローナル抗体、VCAMに対するモノクローナル抗体、ICAMに対するモノクローナル抗体、及び亜鉛プロトポルフィリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
シクロオキシゲナーゼ阻害剤としては、Cox−1阻害剤及びCox−2阻害剤(例えば、CELEBREX(登録商標)及びVIOXX(登録商標))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
免疫調整薬としては、免疫抑制剤(上記を参照)及び免疫刺激剤(例えば、レバミゾール、イソプリノシン、インターフェロンα、及びインターロイキン−2)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
ACE阻害剤としては、ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリルナトリウム、リシノプリル、キナプリル、ラミプリル、及びスピラプリルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
インスリンに対する細胞増感剤としては、グリタゾン、PPAR(P par)アゴニスト及びメトフォルミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
アンチセンスオリゴヌクレオチドとしては、Resten(resten)−NGが挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
心臓保護剤としては、VIP、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド(PACAP)、apoA−Iミラノ、アムロジピン、ニコランジル、シロスタキソン(cilostaxone)、及びチエノピリジンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
ペチドース阻害剤としては、オムニパトリラート(omnipatrilat)が挙げられるが、これに限定されない。
【0094】
抗再狭窄薬としては、ビンクリスチン、ビンブラスチン、アクチノマイシン、エポチロン、パクリタキセル、及びパクリタキセル誘導体(例えば、ドセタキセル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
多様な化合物としては、アディポネクチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
本発明を、その好ましい実施形態を参照して詳細に説明してきたが、本発明から逸脱せずに、種々の変更及び変形を行うことができ、且つ種々の等価物を用いることができることは、当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の一例による、埋め込み可能な有益な作用物質送出装置及び活性化/不活性化手段の側部断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込み可能な医療装置であって、
患者内の埋め込み部位に送出されるように配置される有益な作用物質を含む装置本体を備え、
前記有益な作用物質は、前記患者内への埋め込み後に、活性化/不活性化手段により選択的に調節されるように構成され、
前記装置本体の第1の領域にある前記有益な作用物質は、前記装置本体の第2の領域にある前記有益な作用物質とは異なる送出プロファイルをもたらすように、前記活性化/不活性化手段により調節することができる埋め込み可能な医療装置。
【請求項2】
前記有益な作用物質は、前記患者内への埋め込み後に、エネルギー放出カテーテルの形態の前記活性化/不活性化手段により調節されるように構成される請求項1に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項3】
前記有益な作用物質は、前記患者内への埋め込み後に、化学的作用物質の形態の前記活性化/不活性化手段により調節されるように構成される請求項1に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項4】
前記有益な作用物質は、前記装置本体にほぼ均一に分布する請求項1に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項5】
前記活性化/不活性化手段の作用を受けて、前記第1の領域又は前記第2の領域にある前記有益な作用物質を放出又は保持するように構成されるバリア層を備える請求項1に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項6】
前記有益な作用物質は、前記活性化/不活性化手段の作用を受けて、前記第1の領域又は前記第2の領域にある前記有益な作用物質を放出又は保持するように構成されるマトリックス又はバインダーに含まれる請求項1に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項7】
前記装置本体は、円筒形の拡張可能な医療装置である請求項1に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項8】
ステントである請求項7に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項9】
前記有益な作用物質は、該埋め込み可能な医療装置の複数の凹部内に収容される請求項7に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項10】
前記有益な作用物質は、該埋め込み可能な医療装置の複数の貫通孔に収容される請求項7に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項11】
前記有益な作用物質は、血管疾患を治療するために選択される請求項1に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項12】
前記有益な作用物質は、前記装置本体の複数の開口に入れられる請求項1に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項13】
有益な作用物質送出システムであって、
患者内の埋め込み部位に送出されるように配置される有益な作用物質を含む、埋め込み可能な医療装置であって、前記有益な作用物質は、前記患者内への埋め込み後に、活性化/不活性化手段により調節されるように構成される、埋め込み可能な医療装置と、
該埋め込み可能な医療装置の第1の領域にある前記有益な作用物質を、前記埋め込み可能な医療装置の第2の領域にある前記有益な作用物質とは異なる送出プロファイルをもたらすように活性化又は不活性化するように構成される活性化/不活性化手段を有する、選択的調節カテーテルと、を備える有益な作用物質送出システム。
【請求項14】
前記選択的調節カテーテルは、送出期間を延長することにより、前記埋め込み可能な医療装置の前記第1の領域にある前記有益な作用物質を不活性化する請求項13に記載の有益な作用物質送出システム。
【請求項15】
前記選択的調節カテーテルは、前記有益な作用物質の送出を遮断することにより、前記埋め込み可能な医療装置の前記第1の領域にある前記有益な作用物質を不活性化する請求項13に記載の有益な作用物質送出システム。
【請求項16】
前記選択的調節カテーテルは、前記有益な作用物質を不活性化することにより、前記埋め込み可能な医療装置の前記第1の領域にある前記有益な作用物質を不活性化する請求項13に記載の有益な作用物質送出システム。
【請求項17】
前記選択的調節カテーテルは、前記送出期間を調節することにより、前記埋め込み可能な医療装置の前記第1の領域にある前記有益な作用物質を活性化する請求項13に記載の有益な作用物質送出システム。
【請求項18】
前記選択的調節カテーテルは、前記有益な作用物質を放出することにより、前記埋め込み可能な医療装置の前記第1の領域にある前記有益な作用物質を活性化する請求項13に記載の有益な作用物質送出システム。
【請求項19】
前記選択的調節カテーテルは、前記有益な作用物質又は前記埋め込み可能な医療装置に作用するエネルギーエミッタを含む請求項13に記載の有益な作用物質送出システム。
【請求項20】
前記エネルギーエミッタは、光、超音波エネルギー、又は放射線を放出する請求項19に記載の有益な作用物質送出システム。
【請求項21】
前記選択的調節カテーテルは、前記有益な作用物質又は前記埋め込み可能な医療装置に作用する化学的作用物質を送出する手段を含む請求項13に記載の有益な作用物質送出システム。
【請求項22】
前記埋め込み可能な医療装置は、ステントである請求項13に記載の有益な作用物質送出システム。
【請求項23】
前記有益な作用物質は、前記埋め込み可能な医療装置の複数の開口に入れられる請求項13に記載の有益な作用物質送出システム。
【請求項24】
有益な作用物質の送出を選択的に調節することにより、有益な作用物質を送出する方法であって、
患者内に、有益な作用物質を含む埋め込み可能な医療装置を埋め込む段階と、
埋め込まれた前記埋め込み可能な医療装置の或る場所に活性化/不活性化手段を送出する段階と、及び
前記埋め込まれた埋め込み可能な医療装置の第2の領域から送出される有益な作用物質の量を調節せずに、前記活性化/不活性化手段により、前記埋め込まれた埋め込み可能な医療装置の第1の領域から送出される有益な作用物質の量を調節する段階と、を含む有益な作用物質の送出を選択的に調節することにより有益な作用物質を送出する方法。
【請求項25】
前記有益な作用物質は、血管疾患を治療するために選択される請求項24に記載の有益な作用物質の送出を選択的に調節することにより有益な作用物質を送出する方法。
【請求項26】
前記作用物質の量を調節する段階は、前記埋め込まれた埋め込み可能な医療装置の前記第1の領域にエネルギーを選択的に送出することにより行われる請求項24に記載の有益な作用物質の送出を選択的に調節することにより有益な作用物質を送出する方法。
【請求項27】
前記作用物質の量を調節する段階は、前記埋め込まれた埋め込み可能な医療装置の前記第1の領域に化学物質を選択的に送出することにより行われる請求項24に記載の有益な作用物質の送出を選択的に調節することにより有益な作用物質を送出する方法。
【請求項28】
前記活性化/不活性化手段を送出する段階は、前記埋め込まれた埋め込み可能な医療装置の前記場所に、前記活性化/不活性化手段を収容するカテーテルを送出することを含む請求項24に記載の有益な作用物質の送出を選択的に調節することにより有益な作用物質を送出する方法。
【請求項29】
前記埋め込み可能な医療装置は、ステントである請求項24に記載の有益な作用物質の送出を選択的に調節することにより有益な作用物質を送出する方法。
【請求項30】
有益な作用物質送出システムであって、
拡張可能且つ埋め込み可能なステントと、
該拡張可能且つ埋め込み可能なステントに付加される、初期作用物質放出プロファイルを有する有益な作用物質と、
活性化/不活性化手段であって、患者内への前記拡張可能且つ埋め込み可能なステントの埋め込み後に、前記有益な作用物質の放出プロファイルを調節して、前記初期作用物質放出プロファイルとは異なる作用物質放出プロファイルをもたらすことができる、活性化/不活性化手段と、を備える有益な作用物質送出システム。
【請求項31】
前記有益な作用物質は、前記患者内への埋め込み後に、エネルギー放出カテーテルの形態の前記活性化/不活性化手段により調節されるように構成される請求項30に記載の有益な作用物質送出システム。
【請求項32】
前記有益な作用物質は、前記患者内への埋め込み後に、化学的作用物質の形態の前記活性化/不活性化手段により調節されるように構成される請求項30に記載の有益な作用物質送出システム。
【請求項33】
前記有益な作用物質は、前記装置本体にほぼ均一に分布する請求項30に記載の有益な作用物質送出システム。
【請求項34】
前記活性化/不活性化手段の作用を受けて、異なる作用物質放出プロファイルをもたらすように構成されるバリア層を備える請求項30に記載の有益な作用物質送出システム。
【請求項35】
前記有益な作用物質は、前記活性化/不活性化手段の作用を受けて、前記第1の領域又は前記第2の領域にある前記有益な作用物質を放出又は保持するように構成されるマトリックス又はバインダーに含まれる請求項30に記載の有益な作用物質送出システム。
【請求項36】
前記有益な作用物質は、前記ステントの複数の凹部内に収容される請求項30に記載の有益な作用物質送出システム。
【請求項37】
前記有益な作用物質は、前記ステントの複数の貫通孔に収容される請求項30に記載の有益な作用物質送出システム。
【請求項38】
前記有益な作用物質は、血管疾患を治療するために選択される請求項30に記載の有益な作用物質送出システム。
【請求項39】
前記有益な作用物質は、前記活性化/不活性化手段により調節されるまで、実質的に放出されないように構成される請求項30に記載の有益な作用物質送出システム。
【請求項40】
前記ステントに付加されると共に、活性化されずに放出されるように構成される、さらなる有益な作用物質をさらに備える請求項30に記載の有益な作用物質送出システム。
【請求項41】
ステントから有益な作用物質を送出する方法であって、
管腔内に、第1の有益な作用物質及び第2の有益な作用物質を含むステントを埋め込む段階と、
前記ステントから前記第1の有益な作用物質を送出する段階と、
前記第2の有益な作用物質を送出すべきか否かを判断する段階と、
前記ステントに活性化手段を送出する段階と、及び
前記活性化手段により、前記ステントから送出される前記第2の有益な作用物質の量を調節する段階と、を含むステントから有益な作用物質を送出する方法。
【請求項42】
前記活性化/不活性化手段を送出する段階は、前記ステントから送出される前記第1の有益な作用物質の量を実質的に調節しない請求項41に記載のステントから有益な作用物質を送出する方法。
【請求項43】
前記作用物質の量を調節するステップは、前記ステントにエネルギーを送出することにより行われる請求項41に記載のステントから有益な作用物質を送出する方法。
【請求項44】
前記作用物質の量を調節するステップは、前記ステントに化学物質を送出することにより行われる請求項41に記載のステントから有益な作用物質を送出する方法。
【請求項45】
ステントから有益な作用物質を送出する方法であって、
第1の有益な作用物質を含むステントを埋め込む段階と、
前記ステントから前記第1の有益な作用物質を送出する段階と、
前記第1の有益な作用物質の送出を終了すべき時を判断する段階と、
前記ステントに不活性化手段を送出する段階と、及び
前記不活性化手段により、前記ステントから送出される第2の有益な作用物質の量を実質的に終了させること、を含むステントから有益な作用物質を送出する方法。
【請求項46】
前記作用物質の量を終了させる段階は、前記ステントにエネルギーを送出することにより行われる請求項45に記載のステントから有益な作用物質を送出する方法。
【請求項47】
前記作用物質の量を終了させる段階は、前記ステントに化学物質を送出することにより行われる、請求項45に記載のステントから有益な作用物質を送出する方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−523132(P2006−523132A)
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509441(P2006−509441)
【出願日】平成16年3月29日(2004.3.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/009604
【国際公開番号】WO2004/087251
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(500449400)コナー メドシステムズ, インコーポレイテッド (17)
【氏名又は名称原語表記】CONOR MEDSYSTEMS, INC.
【住所又は居所原語表記】1360 Hamilton Court,Menlo Park,CA 94025 U.S.A.
【Fターム(参考)】