説明

遮水層の構築工法

【課題】 廃棄物処分場を区画するために、矢板を立設して遮水壁を構築するに際して、矢板の継手部にアスファルトマスチックを主体とする遮水材を充填して、施工性と、遮水層の信頼性を向上させる。
【解決手段】
ケーソン等の構造物を用いて区画した処分場の内側に、矢板を立設して矢板壁を構築するが、矢板を鋼管矢板21を使用し、継手部22には、P−T形式の継手を設ける。また、その継手部の海側には、それぞれの矢板に設けた小径のパイプ31、33に対して、シール板35を組合せてたものを海側遮水層として設け、各パイプの内部には、アスファルトマスチックを主体とする遮水材を注入して、遮水性を確保させるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理型廃棄物埋立処分場を区画する仕切り護岸を、矢板を1列状に立設して構築するに際して、隣接する矢板に一対となる構成の継手部材をそれぞれ設けて、前記継手部に遮水材を充満させて、遮水性能を良好に維持させ得るようにする遮水層の構築工法に関する。
【背景技術】
【0002】
都市部等で大量に発生する廃棄物を処分するために、護岸を構築して海域を区切り、管理型廃棄物埋立処分場を設けることが行われている。前記処分場を護岸により区画して構築するために、構築箇所の海底地盤を強化する地盤改良工事を施工してから、基礎マウンドを所定の高さに構築して基礎を構築する。次いで、その基礎マウンドの上を均した状態で、ケーソン等を1列に並べるように立設して仕切を構築し、各ケーソンの間に遮水処理を行って、護岸の内外で水が流通しないようにする処理が施される。また、前記構造物を支持する地盤または、基礎マウンドに対してもアスファルトマットや、その他の遮水シートを敷き込むことや、アスファルトマスチックの層を構築する等の遮水手段を施工し、処分場に積み重ねられた廃棄物に触れて、有害成分に汚染された水が、外海に流れ出さないように封止している。
【0003】
前記構造物により区画する処分場としては、矢板を1列または2列に打設して、矢板による区画壁を構築する方法も用いられている。その他に、前記ケーソンの列に平行に矢板の列を設けて、二重の区画壁を構築する手段を用い、区画壁の信頼性を向上させることも行われている。前述したように、種々の構成を有する遮水壁において、その遮水性の信頼性を向上させるために、ケーソンの間や矢板の接続部で施工する遮水層に対して、遮水の性能をより信頼性の高いものとすることが要求されている。
【0004】
前述したような仕切護岸に対する信頼性を向上させるために、例えば、参考文献として例示する特開2004−204581号公報等に示されているように、2種類の遮水壁を構築して、仕切護岸を構築する手段を用いることが知られている。この従来例では、ケーソンのような構造物を立設した護岸に対して、その内海側に矢板を列状に打設して、2重の遮水壁を構築している。そして、前記矢板列を設けて構築する遮水壁においては、その矢板間の継手部の隙間を塞ぐために遮水材を充填する遮水手段を設けている。
【特許文献1】特開2004−204581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記矢板壁において、矢板の間を接続する継手部に遮水材を充填するに際して、その充填した遮水材が、継手部のパイプに設けている縦のスリットの隙間から、漏れ出さないように保護することが求められている。そのために、布やネット、シートやフィルム等で構成した細長い袋を、遮水材を充填する部分に挿入してから、遮水材を袋の中に充満させる等の手段を用いている。そして、そのようにして袋を用いて遮水材を充填することで、比較的流動性の大きい柔らかい遮水材であっても、充填部の隙間から漏れ出させて無駄に消耗することがなく、遮水壁を効率良く構成できるとされる。
【0006】
なお、前記矢板の継手部に関しては、本発明の実施例の説明で使用する例としての、パイプとT状の継手部材を組合せて構成する、いわゆるP−T形式の継手(以下、P−T形式の継手と呼ぶ)が用いられている。その他に、横部分に縦のスリットを設けたパイプを互いに入り込ませるように組合せる、いわゆるP−P形式の継手(以下、P−P形式の継手と呼ぶ)も用いられる。このP−P形式の継手においては、矢板の本体に設けた縦の小径のパイプに縦のスリットを設けておき、隣接させて打設した矢板に取り付けている小径パイプのスリットを介して、他方のパイプの一部を挿入する状態で組合せて、両パイプの各々に形成される隙間に遮水材を充満させるようにする。
【0007】
ところが、前記矢板の間の継手部に対して、袋のような補助手段を挿入して、その中に遮水材を充填する例では、遮水材が充填されるにつれて、その袋が継手部のパイプの中等を降下する。その袋が下降する時に、壁とこすられて破れることがあり、信頼性に問題が残る。また、前記継手部の下端部にまで袋を挿入してから、モルタル等を注入手段を用いて充填する方式を用いることがあるが、袋が破損した箇所からモルタルが漏れ出したりする事故の発生頻度が高いという問題がある。その他に、前記遮水材としてモルタルを使用する場合に、それが漏れ出したりすると、セメント成分が水に分散して、海を汚す等の問題が発生する原因となることがある。
【0008】
前述したような問題に対して、矢板の継手部に充填する遮水材を選択することで、充填時に漏れ出しが発生しないように管理することや、使用する遮水材の性質をより良いものとすること等が考えられている。そのために、矢板の継手部の構造を改良して、接続機能と遮水性との双方の条件を、十分に満足させ得るようにすること等も考えられている。しかしながら、実際には、遮水材の特性を改良して、より遮水効率を良好に発揮できることや、施工性を良好に発揮可能とすること等の、条件に対処させるという点で、実現性が高いものである。
【0009】
本発明は、管理型廃棄物埋立処分場を区画する仕切り護岸を、矢板を1列状に立設して構築する際に、継手部に充填する遮水材を、パイプの隙間から漏れ出すことを少なくし、施工後の遮水壁の信頼性を向上させ得て、信頼性を向上させた遮水層の構築工法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、廃棄物海面埋立て処分場を区画するために、矢板を列状に立設して構築し、前記隣接する矢板にそれぞれ設けた継手部材を組合せて継手部を構成し、
前記矢板の継手部に遮水材を充満させて、前記接続部での遮水性を発揮させる手段を設けてなる遮水層の構築工法に関する。
本発明の請求項1の発明は、前記隣接する矢板の間に各々設けた継手部では、一方の矢板に設けた受け部材と、他方の矢板に設けた挿入部材とを組合せて構成し、
前記受け部材と挿入部材とを組合せた継手部では、その内部に生じる空間に遮水材を充満させ、前記遮水材として、注入時には流動性を有し、所定の時間が経過した後では弾性を有するが、流動性が小さくなる性質を有するアスファルト混合物を用いることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、前記矢板の間の継手部に充満させる遮水材として、常温型2液反応固化アスファルトマスチックを用い、前記遮水材を継手部の上の開口部から自由落下させて流し込み、充填することを特徴とする。
請求項3の発明は、前記常温型2液反応固化アスファルトマスチックは、液状のゴムアスファルト主材と、液状の硬化材とを重量比で約20:1の比率で混合して作成するものであることを特徴とする。
【0012】
前述したような性質を有する遮水材を用いて、矢板の継手部に充填する手法を用いることで、注入時には比較的狭い空間でも流下する作用は良好に行わせ得て、遮水材の層の中に隙間が生じないような遮水層を形成できる。そして、所定の時間が経過すると、遮水材の流動性は非常に小さい値となって、ほぼ固化した状態で空間を塞ぎ、遮水作用を長期間に亘って確保することができる。
【0013】
請求項4の発明は、前記常温型2液反応固化アスファルトマスチックに対して、砕石を重量比で略50%混入して充填用の遮水材を構成し、前記継手部に前記充填用の遮水材を注入するに際して、継手部の隙間を前記採石が塞ぎ、アスファルト成分が漏れ出すことを阻止する性質を持たせたことを特徴とする。
請求項5の発明は、前記常温型2液反応固化アスファルトマスチックの比重γ=1.3のものを用い、砕石を混合して構成した充填用の遮水材では、その比重が1.8〜2.2であることを特徴とする。
【0014】
前記充填用の遮水材として、アスファルトマスチックに対して、砕石を所定の比率で混合したものを用い、パイプと挿入部材との間に隙間があっても、その隙間に砕石が詰まって遮水材の漏れ出しを阻止できる。また、前記マスチックに砕石を混合することで、遮水材の比重を大きい値とすることが可能となり、パイプの中の狭い空間を流下させる作用を良好に維持させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図示する例にしたがって、本発明の遮水層の構築工法を説明する。図1に示す例では、海底地盤の地層の状態を、不透水性の地層2の上に砂地のような透水整地層3があるものとして説明してる。この図示する海底地盤1において、その透水性地層3の上面から所定の深さの部分まで、廃棄物を投棄する部分に対して置換え砂層4を施工している。また、前記置換え砂層4を必要に応じて構築するとともに、地盤を強化する処理を所定の幅と深さに施工してから、その強化処理した地盤の上に、所定の範囲に亘って捨石基礎5を構築している。
【0016】
そして、前記捨石基礎5の上にケーソン12のような構造物を立設して、従来より公知の一般の護岸と同様な構造を有する、護岸本体11を構築している。なお、前記ケーソン12の海側では、捨石基礎5の上と、その基礎の支持層の所定の範囲に亘って、波浪による洗掘の影響を受けないように保護するためと、ケーソンの海側の地盤を安定させるため等の目的で、被覆石層6を構築している。しかし、この海側の地盤の保護構造は、特に本発明の目的ではないからその詳細な説明は省く。
【実施例】
【0017】
前記海底地盤を強化する工事を施工して、捨石基礎5の上に護岸本体11を載置して安定させた状態で保持させる構成は、一般的な護岸に用いられている工法ではある。図1に説明する管理型護岸10においては、前記護岸本体11の廃棄物を収容する内水面側に、所定の間隔をおいて、矢板壁15を1列に立設して、垂直な遮水壁を設けている。なお、前記矢板壁15の上端部分には、所定の大きさのものとして構成したコンクリート構造物等を載置して、廃棄物埋立て処分場8を区画している。前記護岸本体11と矢板壁15の間には、砂や砂利、コンクリートを砕いたもの等を用いた中詰め層7を構築しているが、この2つの構造物の間には、廃棄物側と外海のいずれからも、水が入り込むことがないように区画されている。
【0018】
前記管理型護岸10の外海側に構築される護岸本体11においては、透水性地層3の表面(上)側では、捨石基礎5とケーソンとの間に遮水層を設けることや、ケーソン12の内海側の部分では、ケーソンの下面と廃棄物投棄場との間には、遮水層を設ける等の、遮水処理が行われることが一般的である。前記遮水処理のためには、例えば、遮水性を発揮可能なシートやマットを敷設して、護岸本体11の内外で水が互いに流通することがないように、各部分に封じ込める作用を持たせるようにする。なお、前記遮水手段を設けることに関しては、従来公知のマットやシートを敷設して構築できるものであるから、その具体的な遮水構造に関しては、説明を省略する。
【0019】
前記護岸本体11の処分場側(廃棄物埋立地側をいう)に、所定の間隔をおいて構築する矢板壁15は、図示されるように、地盤の透水性地層3を貫通して、不透水性地層2の中に、所定の深さまで貫通させるように打設して設ける。前記矢板壁15は、垂直な遮水壁として立設されるもので、図2に説明するように、列状に打設した鋼管の間を、継手部22により接続する状態で構成しているものである。前記継手部22として構築するP−T形式の継手部においては、接続手段に対して遮水手段とを組合せて設け、矢板壁15においても、それ自体で独立した遮水壁としての機能を維持できるようにする。
【0020】
図2に示す例において、管理型護岸矢板壁15として構築する護岸を、以下に、鋼管矢板壁20と呼んで説明しているが、前記鋼管矢板壁20においては、大径の鋼管21、21a、21b……を継手部22を介して接続している。前記継手部22は、矢板本体21の中心を通る直線上に、接続パイプ25と挿入部材としてのT字板27とをそれぞれ突出させて設け、隣接する矢板本体21、21aの間では、接続パイプ25に設けたスリット26に対して、隣接する矢板本体のT字板27の基部を通す状態で組合せている。また、前記中央部の接続パイプ25による接続部に対して、矢板本体21の海側の面には、前記矢板本体21……の表面端部を接続するような位置に、シール板35を連接する状態の壁を設けている。
【0021】
前記鋼管矢板壁20の海側に設けるシール板35……の壁は、図示するように、接続パイプ31、33を矢板本体21の外側にそれぞれ固定して設けており、前記2つの接続パイプ31、33の外面側にスリット32、34を夫々設けている。前記隣接する矢板本体21……の間で対向して位置する接続パイプ31、33に対して、略U字状に構成されたシール板35を取付けて、鋼管矢板壁20の外側での遮水壁を構成している。前記鋼管矢板壁20において、矢板本体21の間で遮水性を持たせて構築する継手部22では、中央部での接続パイプ25とT字板27の組み合わせと、海側遮水層30におけるシール板35を用いた接続部とは、図3、4にそれぞれ拡大して説明するように構成される。
【0022】
図3に示す例は、接続パイプ25とT字板27とを組合せて、継手部を構成している例を示しているもので、一方の矢板本体21aに設けたT字状断面を有する挿入部材を、他方の矢板本体の側部に設けた接続パイプに対して接続している。前記T字板27と呼ぶ部材は、その上部の直交する板状の部分を、対向する矢板本体21に取付けた接続パイプ25の中に、縦に設けたスリット26を通して挿入する状態で組合せているものである。そして、前記接続パイプ25の内部には、後述するように、遮水材を注入して水密構造を形成するようにしている。
【0023】
また、前記接続パイプ25を組み合わせて構成する遮水部とは別に、海側に配置する海側遮水層30においては、シール板35の端部を直角に折り曲げて設けた折り曲げ部35aを、接続パイプ31の中に挿入する状態で組み合わせている。前記シール板35を用いた接続機構においては、両側の矢板本体21、21aの各々に取り付けている接続パイプに設けた、縦に形成しているスリット32、34に対して、シール板35の直線状の板部を挿入して、接続パイプ31、33の中には、図2に示しているように、両端の折曲げ部35a、35bをそれぞれ位置させた状態で、内部に生じる空間部には、遮水材を注入して、水密構造を構成する。
【0024】
前述したような構成要件を有する護岸本体において、図5で説明しているように、海底地盤1の地表面近傍に設けた置換え砂層4と、透水層3を貫通して、不透水層2に所定の深さまで貫通させるようにして立設する。前記矢板本体21の不透水層中に貫入させる深さLは、深い程良いものとなるが、可能であれば、10m程度の深さにまで、不透水層の中に入り込ませて打設すれば、十分に信頼性を確保できるものとなる。なお、前記図5に示す例において、継手部22と海側遮水層30の下端部は、ほぼ矢板本体の下端部の近傍にまで設けて、遮水性を発揮させるような構造のものとして設けられる。
【0025】
前記矢板本体21を列状に立設して鋼管矢板壁20を構築するに際して、廃棄物側の継手部22でのパイプの内部に充填する遮水材と、海側の海側遮水層30の接続パイプの中に充填する遮水材とは、比較的狭い空間部を流下させるようにして充填することになる。また、前記3つのパイプ25、31、33と、シール板35に囲まれた中央部の空間37に充填する遮水材38と、前記パイプの中に充填するものとは、その材料の性質に対する制約条件が緩やかなものである。
【0026】
前記遮水材に関して、さらに詳細に述べると、パイプの中の狭い空間に充填する遮水材では、前記パイプの内径が150mm程度のものであると、そのパイプ中を流下させるためには、比較的流動性の良い材料を用いることが必要である。ところが、流動性の良い遮水材として柔らかい遮水材をパイプ中に流下させて充填すると、それが固化する前に、スリットの部分の狭い隙間から、外に漏れ出してしまうという問題が発生する。そこで、前記遮水材としてアスファルトマスチックを主成分とした材料を用いる場合には、その流動性と固化するに要する時間等を考慮して、それに、狭い隙間から漏れ出さないような性質を持たせるという、別の要件をも含めて遮水材を作成することが必要とされる。
【0027】
前述したような要件を満たすために、常温型2液反応固化ゴムアスファルトマスチック(以下「ゴムASマスチック」と呼ぶ)を用いて、そのマスチックの性質を改良し、要求に合致させるようにして用いる。前記ゴムASマスチックは、商品名「ネオファルト」と呼ばれているものであり、次のような性質を有する。
・製法: 液状のゴムアスファルト主材と、液状の硬化材とを重量比で100:2〜7を常温でミキサ等を用いて練り混ぜて構成する。
・反応硬化時間: 約8〜20時間
・比重: γ=1.3
・硬化後の性状: ゴム弾性に近い性状
・未硬化時の水質汚染: なし
【0028】
実際には、前記ゴムASマスチックのみでは、硬化する前の段階でパイプのスリットの狭い隙間から、漏れ出すことを完全に防止することは困難である。そこで、前記ゴムASマスチックに対して、砕石(2.5〜13.0mm)を重量比で略50%程度混入して、隙間を採石が塞ぐような状態でパイ中に充填する方法を用いている。
前述したように砕石を混入したゴムASマスチックは、比重γ=1.8〜2.2となるもので、継手部を構成する細いパイプの中でも、途中に引っ掛かることなしに、自由に落下して充満させることができるものとなる。
【0029】
前記本発明の説明は、鋼管矢板を立設して構築する矢板壁において、継手部での遮水処理に関するものであるが、本発明の継手部の遮水構造は、通常の矢板を用いて構成する矢板壁でも、その継手部がP−P形式、またはP−T形式のものであれば、その継手のパイプの中に、マスチックを直接注入して構築することができる。また、前記図示する実施例においても、矢板本体間での継手部22の他に、海側のシール板35による遮水層でも、そのシール板の端部を挿入する相手側のパイプ31、33に対しても、前記マスチックを注入して形成する遮水手段を適用することが可能となる。
【0030】
さらに、前記矢板壁20において、遮水性を有する接続部22、30の間では、広い空間部に対して遮水材37を充填して、中央部での遮水処理を施している。前記遮水材としては、ストレートアスファルトを主体としたものを、加熱した状態(120〜220℃)で、流動性のあるアスファルトマスチックとして使用する。
【0031】
前記遮水材38の広い空間部に遮水材を充填する場合には、前記ゴムASマスチックを主体として、それに大量の砕石を混入して、流動性を適度に調整したマスチックを用いることも可能である。つまり、アスファルトマスチックに対して、径の大きい砕石等を大きな比率で混入することで、アスファルト成分の使用比率を少なくして、安価なものとして構成することで、断面積の広い空間を塞ぐ作用を良好に行わせ得る。そして、前記高弾性のゴムASマスチックに比較してコストの上昇を防ぎ、作業性を良好に維持できる遮水材を構成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】処分場の仕切護岸の構成を示す説明図である。
【図2】矢板壁の平面図である。
【図3】矢板壁に設ける継手部の構成の説明図である。
【図4】海側に設ける遮水部の構成を示す説明図である。
【図5】遮水壁の構成を説明する正面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 海底地盤、 2 不透水層、 3 透水層、 5 捨石基礎、
8 廃棄物投棄層、 10 管理型護岸、 11 護岸本体、
12 ケーソン、 15・20 矢板壁、 21 矢板本体、
22 継手部、 25 接続パイプ、 26 スリット、 27 T字板、
30 海側遮水壁、 31・33 パイプ、 35 シール板、
29・38・39 遮水材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物海面埋立て処分場を区画するために、矢板を列状に立設して構築し、前記隣接する矢板にそれぞれ設けた継手部材を組合せて継手部を構成し、
前記矢板の継手部に遮水材を充満させて、前記接続部での遮水性を発揮させる手段を設けてなる遮水層において、
前記隣接する矢板の間に各々設けた継手部では、一方の矢板に設けた受け部材と、他方の矢板に設けた挿入部材とを組合せて構成し、
前記受け部材と挿入部材とを組合せた継手部では、その内部に生じる空間に遮水材を充満させ、
前記遮水材として、注入時には流動性を有し、所定の時間が経過した後では弾性を有するが、流動性が小さくなる性質を有するアスファルト混合物を用いることを特徴とする遮水層の構築工法。
【請求項2】
前記矢板の間の継手部に充満させる遮水材として、常温型2液反応固化アスファルトマスチックを用い、
前記遮水材を継手部の上の開口部から自由落下させて流し込み、充填することを特徴とする請求項1に記載の遮水層の構築工法。
【請求項3】
前記常温型2液反応固化アスファルトマスチックは、液状のゴムアスファルト主材と、液状の硬化材とを重量比で約20:1の比率で混合して作成するものであることを特徴とする請求項2に記載の遮水層の構築工法。
【請求項4】
前記常温型2液反応固化アスファルトマスチックに対して、砕石を重量比で略50%混入して充填用の遮水材を構成し、
前記継手部に前記充填用の遮水材を注入するに際して、継手部の隙間を前記採石が塞ぎ、アスファルト成分が漏れ出すことを阻止する性質を持たせたことを特徴とする請求項2または3に記載の遮水層の構築工法。
【請求項5】
前記常温型2液反応固化アスファルトマスチックの比重γ=1.3のものを用い、
砕石を混合して構成した充填用の遮水材では、その比重が1.8〜2.2であることを特徴とする請求項3または4に記載の遮水層の構築工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−50818(P2008−50818A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−227273(P2006−227273)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(000230711)日本海上工事株式会社 (25)
【Fターム(参考)】