説明

選別コンベヤへの青果物供給装置

【課題】比較的傷つきやすいサクランボ等の青果物を選別コンベヤに供給する作業において、作業者の負担を軽減し供給ミスを抑制することができる供給装置を実現する。
【解決手段】供給用コンベヤ20は、青果物Sを1個搬送するための単位領域を搬送方向に沿って1列状に有し、且つ単位領域30の移動が、選別コンベヤにおける青果物Sを1個載置する載置部の移動と同期するように設けられている。供給用コンベヤへ青果物Sを供給するホッパー40の出口部41は、連続する所定数の前記単位領域に対して、それぞれ個別に青果物を供給できるように形成されていて、出口部41を閉じるシャッター42は、出口部41に対応する位置に、青果物が供給されている単位領域30に続いて前記所定数の空の単位領域30が移動してきたときに、開くように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青果物を選別するための選別コンベヤを備えた装置に、青果物を供給するための供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、青果物の中でも、サクランボ、梅、枇杷等の青果物は、取り扱いに際して比較的傷付きやすいが、選別しないものよりも、選別して粒を揃えたものの方が高値で売れること等の理由により、選別が行われている(特許文献1等)。そのため、これらの青果物を選別装置で選別する際には、コンベヤで搬送されるトレイに、作業者が手作業で1個ずつ載せる等して傷付きの防止を図っていた。
【特許文献1】実用新案登録第2542354号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、収穫期には、選別すべき青果物の数量が非常に多くなり、選別のスピードアップが求められる。そのため、選別コンベヤのスピードに合わせて作業者がトレイへの供給作業を行っていると、作業者の疲労度が著しく大きくなり、トレイに青果物を供給し損なう作業ミスが発生することもあった。
【0004】
本発明は、上記問題を解決するものであり、比較的傷つき易いサクランボ等の青果物を選別コンベヤに供給する作業において、選別の速度を落とすことなく、作業者の負担を軽減し供給ミスを抑制することができる供給装置の実現を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明における選別コンベヤへの青果物供給装置は、青果物を順次搬送する選別コンベヤにおける移し替え部に接続される供給用コンベヤを備え、前記供給用コンベヤから前記選別コンベヤに前記青果物を移し替えるように構成された供給装置であって、前記供給用コンベヤは、青果物を1個搬送するための単位領域を搬送方向に沿って1列状に有し、且つ前記単位領域の移動が、前記選別コンベヤにおける青果物を1個載置する載置部の移動と同期するように設けられ、前記供給用コンベヤの搬送方向上流側には、当該供給用コンベヤへ青果物を供給するホッパーと、前記ホッパーの出口部を開閉するシャッターとが備えられ、前記ホッパーの出口部は、連続する所定数の前記単位領域に対して、それぞれ個別に青果物を供給できるように形成されていて、前記ホッパーの出口部を閉じるシャッターは、前記出口部に対応する位置に、青果物が供給されている前記単位領域に続いて前記所定数の空の単位領域が移動してきたときに、開くように構成されていることを特徴とするものである。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の選別コンベヤへの青果物供給装置において、前記供給用コンベヤにおける前記単位領域の移動方向の配置間隔は、前記選別コンベヤにおける前記載置部の移動方向の配置間隔よりも短く設定されていることを特徴とするものである。
【0007】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の選別コンベヤへの青果物供給装置において、前記ホッパーの少なくとも前記出口部は、前記単位領域の前記所定数と同数に区画されていることを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の選別コンベヤへの青果物供給装置において、前記供給用コンベヤには、前後に隣接する前記単位領域の間に仕切片が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の選別コンベヤへの青果物供給装置において、前記供給用コンベヤは青果物の下面を支持するように設けられ、前記供給用コンベヤには、その上面側に側方から前記仕切片を突出させ且つ当該供給用コンベアと等速で移動する仕切用コンベヤが付設されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の選別コンベヤへの青果物供給装置において、前記供給用コンベヤの搬送方向下流側の端部には、青果物の向きを整える向き調整手段が付設されていて、前記移し替え部では、青果物が、前記供給用コンベヤの前記端部から前記向き調節手段を介して前記選別コンベヤに移し替えられるように構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の選別コンベヤへの青果物供給装置において、前記向き調整手段は、青果物を通過可能で且つ青果物の長手寸法よりも短い内径を有する筒体を備え、前記供給用コンベヤの前記端部から放出された青果物を、前記筒体の内側を通過させて前記選別コンベヤに落下させるように構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、ホッパーから供給用コンベヤに青果物を供給し、この青果物を供給用コンベヤによって搬送して、移し替え部で選別コンベヤに移し替えて搬送する。供給用コンベヤには、青果物を1個搬送するための単位領域が搬送方向に沿って1列状に形成されていて、ホッパーの出口部は、連続する所定数の単位領域に対して、それぞれ個別に青果物を供給できるように形成されている。そして、ホッパーの出口部を閉じるシャッターは、出口部に対応する位置に、青果物が供給されている単位領域に続いて前記所定数の空の単位領域が移動してきたときに、開くように構成している。
【0013】
つまり、シャッターの開くタイミングを上述のように設定しているから、供給用コンベヤの単位領域に必ず連続して青果物が載置される、換言すれば、単位領域に2重投入が生じたり空の単位領域が生じたりしないようにホッパーから青果物を供給している。そのため、供給用コンベヤから、選別コンベヤの各載置部に確実に1個ずつ青果物を移し替えることができる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明によれば、供給用コンベヤにおける単位領域の移動方向の配置間隔は、選別コンベヤにおける載置部の移動方向の配置間隔よりも短く設定されている。請求項1に記載したように、単位領域の移動は、載置部の移動に同期しているから、供給用コンベヤの移動速度を、選別コンベヤの移動速度よりも遅くできる。そのため、ホッパーから供給用コンベヤに青果物を供給するときに作業者が補助する場合には、作業者は選別コンベヤの速度を気にすることなく、ゆっくり動く供給コンベヤに対して作業することができ、その疲労や負担が軽減される。
【0015】
また、請求項3に記載の発明によれば、ホッパーの少なくとも出口部は、単位領域の前記所定数と同数に区画されているから、出口部にその区画に応じて青果物を充填させて待機させておけば、シャッターが開いたときに、所定数の単位領域のそれぞれに青果物を速やかに供給することができる。
【0016】
また、請求項4に記載の発明によれば、供給用コンベヤには、前後に隣接する単位領域の間に仕切片が設けられているから、供給用コンベヤで搬送される青果物は、その前後のピッチが乱れることなく維持されて、同期している選別コンベヤの載置部に確実に移し替えることができる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明によれば、仕切片は、青果物の下面を支持する供給用コンベヤとは別の仕切用コンベヤに設けられている。従って、供給用コンベヤの移動に支障を来たさない範囲であれば、仕切片の形状等を任意に設定することが可能になる。
【0018】
また、請求項6に記載の発明によれば、供給用コンベヤの搬送方向下流側の端部には、青果物の向きを整える向き調整手段が付設されていて、移し替え部では、青果物が、供給用コンベヤの前記端部から向き調節手段を介して選別コンベヤに移し替えられる。青果物が長物や軸などを有した物である場合には、選別コンベヤに載置されたときの向きによっては、安定して搬送できない虞がある。従って、選別コンベヤに移し替える前に、青果物の向きを整えることで、搬送の安定性を向上させることができる。
【0019】
また、請求項7に記載の発明によれば、向き調整手段は、青果物を通過可能で且つ青果物の長手寸法よりも短い内径を有する筒体を備えているから、青果物が筒体の内側を通過するときにその内壁と接触することで、青果物の長手方向が筒体の延びる方向に沿うように向きを調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明を具体化した実施形態を、図1〜図6を用いて説明する。図1は、青果物を供給する供給装置1が接続された選別装置2の側面図である。なお、本発明は、比較的傷付きやすく小型の青果物に好適で、このような青果物として、サクランボ、梅、枇杷、イチゴ等がある。この実施形態では、サクランボを例示して説明する。
【0021】
選別装置2は、4本の脚3で支えられるコンベヤフレーム4を有していて、コンベヤフレーム4の長手方向に離間して配置された駆動スプロケット5と従動スプロケット6とに無端帯の選別コンベヤ7が巻き掛けられている。選別コンベヤ7の搬送方向をX軸方向とする。
【0022】
この選別コンベヤ7の表面には、サクランボSを1個載せるための載置部としてトレイ10が一定のピッチで1列に取り付けられている。トレイ10の搬送方向(X軸方向)の長さ寸法L1を有し、トレイ10同士の間には、僅かに隙間ΔL1が設けられている(図2参照)。従って、トレイ10の前後の配置間隔、換言すればサクランボSの配置間隔(ピッチ)は、(L1+ΔL1)となる。駆動スプロケット5は、コンベヤフレーム4の下方に取り付けられた駆動モータ8に連結されていて、選別コンベヤ7は図1において時計回りに移動する。
【0023】
駆動モータ8の駆動力は、図示していない駆動力伝達手段(ギア、チェーン等)によって、後述する供給用コンベヤ20(仕切り用コンベヤ23)に伝達できるようにしている。駆動モータ8の回転速度は制御部9で変更することができ、選別コンベヤ7の搬送速度と供給用コンベヤ20(仕切り用コンベヤ23)の搬送速度とを調節できるようにしている。
【0024】
トレイ10は、その下部が選別コンベヤ7に取り付けられていて、上部の受け部10aは搬送方向に直交する方向(左右)に傾倒可能に設けられている。受け部10aは、図6に示すように、プラスチック素材で、その平面視の中央部にはサクランボSを安定的に搬送するための窪み10bが形成されていて、周囲部から中央部に向かって下り傾斜になるように、全体として略角錐状またはすり鉢状に形成されている。これにより、サクランボSは、トレイ10の中心部を外れて落下しても、中心部の窪み10bに自重で移動することができる。各トレイ10の一方の外側面には、これを識別するためのIDチップ10cが埋め込まれている(図2参照)。
【0025】
選別装置2の選別コンベヤ7における搬送方向上流(送り始端)側には、供給装置1からサクランボSを移し替えるための移し替え部13を設けている。供給装置1は、図示しない支持体によって立設されていて、サクランボSを搬送するための供給用コンベヤ20を備えており、この供給用コンベヤ20は、選別コンベヤ7より短くX軸方向に延びるように設けられている。移し替え部13では、サクランボSが、供給用コンベヤ20の搬送方向下流側の端部(搬送の終端)からトレイ10に落下して移し替えられるため、選別コンベヤ7のトレイ10の上方に供給用コンベヤ20の搬送の終端が配置されている。
【0026】
供給用コンベヤ20は、図1に示すように、無端帯のタイミングベルトであって、X軸方向に離間して配置されている駆動スプロケット21と従動スプロケット22とに掛け渡されていて、図1において時計回りに移動する。駆動スプロケット21の駆動は、選別装置1の選別コンベヤ7の駆動に連動するように制御部9で制御されている。また、制御部9は、供給用コンベヤ20の移動量を、図示していないエンコーダにより計測していて、供給用コンベヤ20の移動量(移動位置)に基づいて、所定のタイミングでシャッターを開閉する制御も行っている。
【0027】
選別コンベヤ7の中途部であって、移し替え部13よりも搬送方向下流側には、測定部14が設けられている。測定部14は箱状のケースの内部に、サクランボSの果肉部の大きさや糖度を測定する手段として、近赤外線などをサクランボSに照射する光源や、その透過光を受光する受光部などが設けられている。そして、大きさ及び糖度の測定データに基づき、サクランボSの分類を判別している。
【0028】
この実施形態では、基準値以上の糖度を有するサクランボSを、さらにサイズによって4種類(S、M、L、2L)に分類するようにしている。なお、測定データは、測定対象となったサクランボSのトレイ10のIDチップ10cの識別情報と関連づけて、管理コンピュータとしてのコントローラ11に記憶される。
【0029】
測定部14と移し替え部13との間には、サクランボSがトレイ10に載っているか否かを検出するための有無検出センサ12が設けられている。有無検出センサ12は、フォトリフレクタ式のセンサであって、サクランボSに照射する発光部と、サクランボSからの反射光を受光する受光部とを有している。トレイ10の配置間隔(L1+ΔL1)と略等しい間隔でサクランボSからの反射光が受光されない場合には、トレイ10にサクランボSが載っていないと判断して、エラーを発信(音や光等で報知)するようにしている。有無検出センサ12の方式は、上述のものに限定するものではなく、フォトインタラプタ式のセンサや、その他の方式を採用してもよい。
【0030】
測定部14の搬送方向下流側には、サクランボSを分類毎に仕分けるための仕分部15が、分類数(ここでは4種類)に応じて搬送方向に沿って並設されている。各仕分部15には、トレイ10の受け部10aを傾倒させるためのトレイ傾倒手段16と、傾倒したトレイ10から落下したサクランボSを容器17に転動(摺動)させるためのシュータ18とを備えている。
【0031】
トレイ傾倒手段16は、例えば、測定部14のコントローラ11に接続されているソレノイド16aにアーム16bを連結した構造に形成されている。また、各トレイ傾倒手段16の搬送方向上流側の側面(側方)には、各トレイ10のIDチップ10cを読み取るための検出センサ19がそれぞれ設けられていて、検出センサ19はコントローラ11に接続されている。検出センサ19には赤外線センサ等が好適である。
【0032】
測定部14から出て搬送されるトレイ10のIDチップ10cを検出センサ19で検出すると、この検出情報に基づいて、コントローラ11はトレイ傾倒手段16に動作の指示を出す。つまり、トレイ10に載置されているサクランボSは、測定部14を通過した後には、その分類(S、M、L、2L)が個別に決定されているが、トレイ10が該当する分類の仕分部15に到達したことを当該仕分部15の検出センサ19が検出すると、その仕分部15のトレイ傾倒手段16が動作してトレイ10を傾倒させる。これにより、トレイ10から落下したサクランボSが、シュータ18を通って対応する容器17に収容される。
【0033】
また、選別コンベヤ7の搬送方向の終端には、前記4種類の分類の何れにも属さない不適切なサクランボSを落下投入するための回収容器17aが設けられている。
【0034】
次に、供給装置1について説明する。供給用コンベヤ20はベルトの広幅面が水平状に移動していてサクランボSの下面を支持するが、図3及び図4に示すように、供給用コンベヤ20の上面には1個のサクランボSを搬送するための単位領域30が、供給用コンベヤ20の移動方向(サクランボSの搬送方向)に沿って1列状に形成される。供給用コンベヤ20には、前後に隣接する単位領域30間を仕切るための仕切片24を有する仕切用コンベヤ23が付設されていて、仕切用コンベヤ23は供給用コンベヤ20と同じ速度で移動するように設定されている。
【0035】
つまり、この実施形態では、供給用コンベヤ20の上面を仕切用コンベヤ23の仕切片24で区画することで、単位領域30を形成し、供給用コンベヤ20と仕切用コンベヤ23とが同じ速度で移動することで、単位領域30(単位領域30に載置されたサクランボS)がX軸方向に移動することになる。
【0036】
仕切用コンベヤ23は、無端帯のタイミングベルトであって、X軸方向に離間して配置されている駆動スプロケット25と従動スプロケット26とに掛け渡されていて、駆動スプロケット25の駆動は制御部9で制御されている。
【0037】
駆動及び従動スプロケット25,26はいずれも回転軸が上下に延びるように配置されていて、仕切用コンベヤ23は、図3及び図5に示すように、ベルトの広幅面が垂直状に配置されて平面視で時計回りに移動する。仕切用コンベヤ23の広幅面の表面には外方に向かって突出する仕切片24が一定間隔で多数設けられていて、この仕切片24が、供給用コンベヤ20の上面に側方から突出するように、仕切用コンベヤ23は配置されている。仕切片24は、サクランボSを傷付けないようにゴム状の素材を用いているが、サクランボSと当接したときにこれを支持できる程度の剛性を備えることが望ましい。仕切片24は仕切用コンベヤ23と一体でも別体でもいずれの構成でもよい。
【0038】
単位領域30の前後の配置間隔は、仕切片24の配置間隔によって規定されるが、前述したように、単位領域30の移動と、トレイ10の移動は同期している。従って、単位領域30の前後の配置間隔L2を、選別コンベヤ7のトレイ10の前後の配置間隔(L1+ΔL1)よりも小さく設定することで、選別コンベヤ7よりも供給用コンベヤ20の移動速度を遅くすることができる。つまり、(L1+ΔL1)に対してL2を小さくするほど、供給用コンベヤ20の速度を選別コンベヤ7に比べて遅くすることができる。
【0039】
単位領域30は、前述した構成により前後の仕切片24と仕切用コンベヤ20の広幅面とで3方を囲まれた部屋状に区画されている。この実施形態では、前後の仕切片24にサクランボSの果肉部が当接してこれを保持する程度に配置間隔L2を小さく設定しており、この実施形態では、図3及び図4に示すように、供給用コンベヤ20の上面に、単位領域30が8つ程度形成される形態を採用している。仕切片24にサクランボSを当接させて支持させる方が、供給用コンベヤ11での搬送時の安定性が向上するが、配置間隔L2をサクランボSの果肉部の直径よりも確実に大きくして、部屋状に区画された単位領域30の内側に、サクランボSが完全に入り込むように設定してもよい。
【0040】
また、単位領域30の構成は、供給用コンベヤ20と仕切用コンベヤ23との組み合わせによる形態に限定するものではなく、例えば、供給用コンベヤ20の上面にリブ状の突起を設けて、単位領域30の前後を区画してもよい。
【0041】
供給用コンベヤ20の搬送方向上流側には、サクランボSを供給用コンベヤ20に供給するためのホッパー40と、ホッパー40の出口部41を開閉するシャッター42とが備えられている。ホッパー40は、供給用コンベヤ20における、仕切用コンベヤ23が配置された側方の反対側の側方に配置されていて、サクランボSを転動または摺動させるように斜め下向きに傾斜し且つ上面が開放された通路43を備えている。通路43の出口部41の近傍は、リブ45によって複数(この実施形態では4つ)の整列通路44に区画されている。
【0042】
各整列通路44は、サクランボSが1個入る大きさに形成されていて、隣接する整列通路44の配置間隔は、単位領域30の配置間隔と同じL2に設定されている。そのため、出口部41から放出された4つのサクランボSは、配置間隔を変えなくてもそのまま4つの単位領域30に移行させることができる。
【0043】
シャッター42は、上下動可能に設けられていて、上方に位置しているときに、ホッパー40の出口部41を塞いでサクランボSを待機させ、下方に位置しているときに、整列通路44からサクランボSを供給用コンベヤ20へ放出することができる。シャッター42の開閉のタイミングは、単位領域30に移動に合わせて自動的に行うように制御部9でコントロールしている。
【0044】
サクランボSは果肉から軸が長く突出しているため、選別コンベヤ7のトレイ10で搬送するときに、軸が下向きや横向きになって載置されていると、安定感も悪く、引っ掛かったり、測定部14で測定ミスが生じたりする虞もある。従って、供給用コンベヤ20の搬送方向下流側の端部には、サクランボSの向きを調整するための向き調整手段50を付設し、トレイ10にサクランボSを供給する際に、サクランボSの軸が上方に向けて延びるように調整している。
【0045】
この実施形態では、向き調整手段50は、サクランボSを通過させることができ且つサクランボSの長手寸法(軸が延びる方向の寸法)よりも短い内径を有する筒体51を備えている。図6に示すように、搬送方向下流側の端部から落下したサクランボSが、筒体51の内側を通ってからトレイ10に載るように、筒体51は、供給装置2の図示しない支持体に取り付けられている。もちろん、向き調整手段50が供給用コンベヤ20及び仕切用コンベヤ23の移動に干渉することはない。
【0046】
この実施形態では、図4及び図5に示すように、筒体51を平面視半円状に形成し、且つ、筒体51の上面を、供給用コンベヤ20から遠い側が近い側よりも上方に高く突出する傾斜状にしている。このように構成することで、サクランボSが供給用コンベヤ20から落下するときに、筒体51の内側に誘導する確実性を高めることができる。もちろん、筒体51は角筒形でも円筒形でもよく、またその上面が水平状になっていてもよい。
【0047】
次に、上記構成の供給装置1の動作について説明する。供給装置1のホッパー40には多数のサクランボSが載せられて収容されているが、通路43が傾斜しているので、サクランボSの転動(摺動)や作業者の介助によって、4つの整列通路44にそれぞれ容易にサクランボSを充填させることができる。シャッター42が上方に位置して出口部41を閉じているときには、4つのサクランボSは出口部41からの放出が阻止されて、各整列通路44に保持されている(図3及び図4(a)参照)。
【0048】
一方、供給用コンベヤ20及び仕切用コンベヤ23は一体的に移動していて、先にホッパー40から供給されたサクランボSが、単位領域30に載置されて搬送されている。そして、あらかじめ、シャッター40を開放するタイミングとして、図3に示すように、サクランボSが載置された単位領域30に続いて、空の4つの単位領域30が、ホッパー40の出口部41に対応する位置に移動したときに、シャッター42を開放するように設定している。もちろん、供給用コンベヤ20(仕切用コンベヤ23)は、遅いとはいえ常に移動しているため、シャッター42を開放するタイミングは、供給用コンベヤ20(仕切用コンベヤ23)の移動速度と、サクランボSが出口部41から供給用コンベヤ20に落下する時間とを考慮して設定している。
【0049】
そして、シャッター42が、下方に移動して出口部41を開放すると、図4に示すように、整列通路44に充填されていた4つのサクランボSが、それぞれの対向する位置にある単位領域30に一度に移動する。整列通路44の配置間隔は、単位領域30の配置間隔と同じL2に設定しているため、ホッパー40から放出されたサクランボSは、そのまま速やかに単位領域30に落下移動させることができる(図5(b)参照)。
【0050】
サクランボSの、ホッパー40から供給用コンベヤ20への放出が終わると、シャッター42は直ちに上昇し、次に整列通路44に充填された4つのサクランボSの落下を抑止する。そして、単位領域30に載置されたサクランボSは、順次搬送方向下流側の端部に到達して落下する。
【0051】
供給用コンベヤ20から落下したサクランボSは、向き調整手段50の筒体51を通って、トレイ10に載置される。供給用コンベヤ20で搬送されているときに、サクランボSの軸が多少横向きになっていても、筒体51を通るときにその内側と接触して、上向きに整えられる。そのため、トレイ10には、サクランボSを果肉部側が下になる安定した姿勢で載置させることができる。
【0052】
そして、サクランボSが載置された単位領域30に続いて、空の4つの単位領域30が、ホッパー40の出口部41に対応する位置に移動してくると、シャッター42を開放して、ホッパー40から4つのサクランボSを、4つの単位領域30に一度に供給する。
【0053】
本実施形態では、上述したようにシャッター42の開閉のタイミングを設定しているので、作業者が1つずつ単位領域30にサクランボSを載置する場合に比べて、単位領域30に対する2重投入や投入抜け等の供給ミスを確実に防止することができ、その結果、供給用コンベヤ20から選別コンベヤ7の各トレイ10に確実に1個ずつサクランボSを移し替えることができる。
【0054】
また、作業者は、選別コンベヤ7のトレイ10あるいは供給用コンベヤ20の単位領域30に1個ずつサクランボSを供給する必要はなく、ホッパー40から供給されたサクランボSの姿勢を整える程度の軽度な介助作業のみを行えばよい。この介助作業は、単位領域30に載置されたサクランボSの軸の向きが下向きになっている場合や、単位領域30にサクランボがきっちりと載置されなかったりした場合には、作業者が手で補ってサクランボSの位置を修正する作業である。
【0055】
また、選別コンベヤ7の移動速度を遅くしなくても、供給用コンベヤ20(仕切用コンベヤ23)の移動速度を選別コンベヤ7に比べて遅く設定することができるので、サクランボSの選別のスピードを落とすことなく、サクランボSに触れる作業者の疲労や負担を軽減することができる。
【0056】
また、ここでは、整列通路44を所定数(この実施形態では4つ)設けて、ホッパー40から同時に所定数(4個)のサクランボSを供給用コンベヤ20に移動させている。この所定数は、適度に少ない数に設定することで、作業者が一度手を添えるだけで(何回も手を動かさなくてもよい)、所定数のサクランボSの全部の姿勢を同時に修正することができる。また、所定数は、適度に多い数に設定することで、シャッター42が開く間隔を長くすることができるので、作業者が手を添えて作業する間隔を長くあけることができる。従って、前記所定数を例えば3〜10程度の範囲内に設定すると、作業者の負担や疲労に対する軽減効果が総合的に高められる。
【0057】
ホッパー40の通路43は上面が開放されているから、整列通路44に充填されたサクランボSや、単位領域30に載置されたサクランボSの姿勢を整えるときに、作業者はサクランボSに触れ易い。また、図5(a)に示すように、仕切片24の側面視形状としては、ホッパー40に近い側の辺が、上方に向かうほどホッパー40から離れる方向に傾斜している(上方側が斜めにカットされている)方が望ましい。このような形状に仕切片24を形成すると、上方から手を添える作業者がサクランボSに触れやすくなる効果を奏する。なお、これと同様の効果は、側面視長方形の仕切片24を有する仕切用コンベヤ23を僅かに上向きに傾斜させて、供給用コンベヤ20の上面側に突出するよう組み付けても得ることができる。
【0058】
なお、供給用コンベヤ20における、仕切用コンベヤ23が配置された側と反対側の側方に、サクランボSの落下防止用に、壁部を設置してもよい。また、上記実施形態は、供給コンベヤ20を移し替え部13から、選別コンベヤ7と同じX軸方向に延びる形態を説明したが、供給コンベヤ20の延びる方向に特に限定はなく、X軸方向に直交するY軸方向に延びるように設定しても、X軸方向に90度以下の角度で交差するように設定してもよい。さらに、青果物の形状によっては、向き調整手段50を省略することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】実施形態の供給装置が接続された選別装置の側面図である。
【図2】実施形態の供給装置が接続された選別装置の平面図である
【図3】供給装置においてシャッターが閉じた状態を示す要部拡大平面図である。
【図4】供給装置においてシャッターが開いた状態を示す要部拡大平面図である。
【図5】(a)は図3のVa−Va線矢視断面図、(b)は単位領域にサクランボが載置された状態の(a)に相当する図である。
【図6】向き調整手段を説明する側断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 供給装置
2 選別装置
7 選別コンベヤ
10 トレイ
13 移し替え部
14 測定部
15 仕分部
20 供給用コンベヤ
23 仕切用コンベヤ
24 仕切片
30 単位領域
40 ホッパー
41 出口部
42 シャッター
43 通路
44 整列通路
50 向き調整手段
51 筒体
S サクランボ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
青果物を順次搬送する選別コンベヤにおける移し替え部に接続される供給用コンベヤを備え、前記供給用コンベヤから前記選別コンベヤに前記青果物を移し替えるように構成された供給装置であって、
前記供給用コンベヤは、青果物を1個搬送するための単位領域を搬送方向に沿って1列状に有し、且つ前記単位領域の移動が、前記選別コンベヤにおける青果物を1個載置する載置部の移動と同期するように設けられ、
前記供給用コンベヤの搬送方向上流側には、当該供給用コンベヤへ青果物を供給するホッパーと、前記ホッパーの出口部を開閉するシャッターとが備えられ、
前記ホッパーの出口部は、連続する所定数の前記単位領域に対して、それぞれ個別に青果物を供給できるように形成されていて、
前記ホッパーの出口部を閉じるシャッターは、前記出口部に対応する位置に、青果物が供給されている前記単位領域に続いて前記所定数の空の単位領域が移動してきたときに、開くように構成されていることを特徴とする選別コンベヤへの青果物供給装置。
【請求項2】
前記供給用コンベヤにおける前記単位領域の移動方向の配置間隔は、前記選別コンベヤにおける前記載置部の移動方向の配置間隔よりも短く設定されていることを特徴とする請求項1に記載の選別コンベヤへの青果物供給装置。
【請求項3】
前記ホッパーの少なくとも前記出口部は、前記単位領域の前記所定数と同数に区画されていることを特徴とする請求項1または2に記載の選別コンベヤへの青果物供給装置。
【請求項4】
前記供給用コンベヤには、前後に隣接する前記単位領域の間に仕切片が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の選別コンベヤへの青果物供給装置。
【請求項5】
前記供給用コンベヤは青果物の下面を支持するように設けられ、前記供給用コンベヤには、その上面側に側方から前記仕切片を突出させ且つ当該供給用コンベアと等速で移動する仕切用コンベヤが付設されていることを特徴とする請求項4に記載の選別コンベヤへの青果物供給装置。
【請求項6】
前記供給用コンベヤの搬送方向下流側の端部には、青果物の向きを整える向き調整手段が付設されていて、
前記移し替え部では、青果物が、前記供給用コンベヤの前記端部から前記向き調節手段を介して前記選別コンベヤに移し替えられるように構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の選別コンベヤへの青果物供給装置。
【請求項7】
前記向き調整手段は、青果物を通過可能で且つ青果物の長手寸法よりも短い内径を有する筒体を備え、前記供給用コンベヤの前記端部から放出された青果物を、前記筒体の内側を通過させて前記選別コンベヤに落下させるように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の選別コンベヤへの青果物供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−143650(P2009−143650A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320733(P2007−320733)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】