説明

選局装置

【課題】
RF回路の接続を簡易化して接続誤りの発生を抑制することのできる選局装置を提供する。
【解決手段】
TV信号を伝送する信号線毎に備えた複数のRF入力端子21,22と、前記信号線を介して伝送されるTV信号の変調方式にそれぞれ対応して構成された複数のチューナ12,13,14と、前記複数のRF入力端子と複数のチューナとを選択して接続するRFスイッチ11と、伝送されるTV信号の変調方式を表す信号を前記TV信号に多重化して送信されたパイロット信号を検出するパイロット信号検出部20を備え、パイロット信号検出部が検出したパイロット信号をもとにRFスイッチを切り換えて、RF入力端子をその入力信号に対応したチューナに接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選局装置に係り、特に放送信号を伝送する複数の信号線と複数の放送信号入力端子間での接続の簡易化を図ることのできる選局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、選局装置を備えた従来のTV受信機を説明する図である。図において、1はTV受信機、12はアナログ放送信号を選局するチューナ、13はOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)放送信号を選局するチューナ、14はQAM(Quadrature Amplitude Modulation)放送信号を選局するチューナである。15はアナログチューナの選局出力に復調等の処理を施すアナログ信号処理部、16はOFDMチューナの選局出力に復調等の処理を施すOFDM信号処理部、17はQAMチューナの選局出力に復調等の処理を施すQAM信号処理部、18は各信号処理部の出力を表示する表示部等を備えた信号出力部である。
【0003】
21はRF入力端子であり、この端子には、例えば地上波の放送信号であるアナログ放送信号あるいはOFDM放送信号を受信するアンテナからの信号線L1を接続する。22はRF入力端子であり、この端子には、例えばケーブルテレビの放送信号であるアナログ放送信号あるいはQAM放送信号を受信する信号線L2を接続する。19は受信機1全体を制御する制御部である。51はRFスイッチであり、制御部19からの選局信号に基づき信号線L1またはL2からの入力RF信号の何れかをアナログチューナ12に伝達する。
【0004】
この受信機では、地上波のOFDM放送信号を受信する場合はOFDMチューナ13及びOFDM信号処理部16を用い、ケーブルテレビの放送信号であるQAM放送信号を受信する場合はQAMチューナ14及びQAM信号処理部17を用い、地上波の放送信号であるアナログ放送信号あるいはケーブルテレビの放送信号であるアナログ放送信号を受信する場合はRFスイッチを介してアナログチューナ12及びアナログ信号処理部15を用いることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来技術によれば、地上波の放送信号であるアナログ放送信号及びOFDM放送信号、並びにケーブルテレビの放送信号であるアナログ放送信号及びQAM放送信号を受信して、視聴することはできる。しかしながら、地上波の放送信号であるアナログ放送信号あるいはOFDM放送信号を受信するアンテナからの信号線L1はRF入力端子21に接続し、ケーブルテレビの放送信号であるアナログ放送信号あるいはQAM放送信号を受信する信号線L2はRF入力端子22にそれぞれ正しく接続しなければOFDM放送信号及びQAM放送信号を視聴することはできない。
【0006】
図5では、地上波の放送信号であるアナログ放送信号あるいはOFDM放送信号を受信するアンテナからの信号線L1及びケーブルテレビの放送信号であるアナログ放送信号あるいはQAM放送信号を受信する信号線L2からなる2つの信号線が存在する場合を例に説明したが、今後、放送の経路あるいは変調方式が増加するに伴って、入力する信号線の数及びRF入力端子数の増加が見込まれる。このような場合、ユーザは、どの信号線をどのRF入力端子に接続すればよいかが分かり難くなる。このため、接続誤り(各信号線のRF入力端子に対する挿入誤り)が増加することになる。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、RF回路の接続を簡易化して接続誤りの発生を抑制することのできる選局装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するため、次のような手段を採用した。
【0009】
TV信号を伝送する信号線毎に備えた複数のRF入力端子と、前記信号線を介して伝送されるTV信号の変調方式にそれぞれ対応して構成された複数のチューナと、前記複数のRF入力端子と複数のチューナとを選択して接続するRFスイッチと、伝送されるTV信号の変調方式を表す信号を前記TV信号に多重化して送信されたパイロット信号を検出するパイロット信号検出部を備え、パイロット信号検出部が検出したパイロット信号をもとにRFスイッチを切り換えて、RF入力端子をその入力信号に対応したチューナに接続する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以上の構成を備えるため、RF回路の接続を簡易化して接続誤りの発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、最良の実施形態を添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る選局装置を説明する図である。なお、図において図5に示される部分と同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。図1において、31,32はそれぞれパイロット信号付加部であり、伝搬する放送信号の種類(例えば、地上波放送信号であるかCATV放送信号であるか)を特定するためのパイロット信号を放送信号に付加する。
【0012】
図の例の場合では、地上波放送の放送信号C1に該信号が地上波放送信号であることを表すパイロット信号1を付加する。なお、この場合、パイロット信号1は同時に、伝搬する放送信号の変調方式(アナログ放送及びOFDM放送)の組み合わせを示すことになる。
【0013】
また、CATV放送の放送信号C2に該信号がCATV放送信号であることを表すパイロット信号2を付加する。なお、この場合、パイロット信号2は同時に、伝搬する放送信号の変調方式(アナログ放送あるいはQAM放送)の組み合わせを示すことになる。
【0014】
20はパイロット信号検出部であり、信号線L1及びL2を伝搬するパイロット信号を検出し、信号線L1及びL2を伝搬する放送信号の種類を特定する。11はRFスイッチであり、入力端子a、b及び出力端子c,d,eを有する。制御部19はパイロット信号検出部20が検出した信号をもとにRFスイッチ切り換えて、受信した放送信号を最適なチューナに供給する。この例の場合には入力端子aは出力端子cまたはdに接続し、入力端子bは出力端子cまたはeに接続する。なお、このときユーザが入力した選局情報に基づき選局すべきチャンネルの変調方式が明らかな場合、例えば地上波のOFDM信号を受信する場合には入力端子aと出力端子dのみを接続してもよい。
【0015】
このように、パイロット信号をもとに信号線L1及びL2を伝搬する放送信号を特定し、この特定結果をもとにRFスイッチを切り換えるので、信号線L1及びL2とRF入力端子21及び22は任意の組み合わせで接続することが可能となる。すなわち、信号線L1,L2の挿入誤りはなくなると共に、ユーザが接続時に迷うこともなくなる。
【0016】
図2は、放送信号にパイロット信号を放送局側で付加する処理を説明する図である。なお、図において図1、図5に示される部分と同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。図2において、4は地上波の放送信号を送信する地上波放送局、41はアナログ放送信号を送信するアナログ放送送信機、42はOFDM放送信号を送信するOFDM放送送信機、44はアナログ放送送信機の出力、OFDM放送送信機の出力、及びパイロット信号1付加部の出力であるパイロット信号1を合成する合波器であり、合波器44の出力は地上波放送信号として送信される。
【0017】
5はCATV放送局、51はアナログ放送信号を送信するアナログ放送送信機、52はQAM放送信号を送信するQAM放送送信機、54はアナログ放送送信機の出力、QAM放送送信機の出力、及びパイロット信号2付加部の出力であるパイロット信号2を合成する合波器であり、合波器54の出力はCATV放送信号として送信される。
【0018】
このように、地上波放送局4から送信する放送信号に該信号が地上波放送信号であることを表すパイロット信号1を付加して送信する。また、CATV放送局4から送信する放送信号に該信号がCATV放送信号であることを表すパイロット信号2を付加して送信することができる。この場合、受信機1のパイロット信号検出部20は、放送信号に含まれるパイロット信号がパイロット信号1及びパイロット信号2のいずれであるかを判定するのみで、RF入力端子に入力した放送信号の種類(地上波放送信号であるかCATV放送信号であるか)を判定することができる。また、変調方式の組み合わせを判定することもできる。
【0019】
図3は、放送信号にパイロット信号を共同受信設備側で付加する処理を説明する図である。なお、図において図1,2,5に示される部分と同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。図において44aは合波器であり、アナログ放送送信機の出力、およびOFDM放送送信機の出力を合成して地上波の放送信号C1を生成する。54aは合波器であり、アナログ放送送信機の出力、及びQAM放送送信機の出力を合成して、CATV放送の放送信号C2を形成する。
【0020】
また、31はパイロット信号1付加部であり、生成したパイロット信号1を放送信号C1に付加する。32はパイロット信号2付加部であり、生成したパイロット信号2を放送信号C2に付加する。51,52はそれぞれ分配器であり、放送信号C1,C2を分配して各世帯の受信機1に供給する。
【0021】
このように、パイロット信号を放送局側で放送信号C1,C2に付加して放送していない場合は、パイロット信号付加部31,32を例えば集合住宅6の共同受信設備側に付加して、生成したパイロット信号を放送信号C1,C2に付加するようにしてもよい。
【0022】
この場合も、受信機1のパイロット信号検出部20は、放送信号に含まれるパイロット信号がパイロット信号1及びパイロット信号2のいずれであるかを判定するのみで、RF入力端子に入力した放送信号の種類(地上波放送信号であるかCATV放送信号であるか)を判定することができる。また、変調方式の組み合わせを判定することができる。
【0023】
図4は、パイロット信号の周波数配置の例を説明する図である。図4(a)は地上波の放送信号の周波数配置を説明する図であり、高域側にOFDM放送信号を、低域側にアナログ放送信号を配置し、更にその低域側にパイロット信号1を配置する。図4(b)はCATV放送信号の周波数配置を説明する図であり、高域側にQAM放送信号を、低域側にアナログ放送信号を配置し、更にその低域側にパイロット信号2を配置する。なお、パイロット信号1とパイロット信号2はそれぞれ異なる周波数に設定されている。
【0024】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、TV信号を伝送する信号線毎に固有の周波数のパイロット信号を付加する装置を追加する。また、受信機側では、RF入力端子とチューナ部との間にパイロット信号検出装置を備え、あらかじめ設定されたパイロット信号に従って各RF入力端子に入力されたRF信号を各チューナに分配する。このように異なる信号線を伝送するRF信号にはそれぞれ異なる周波数のパイロット信号を付加することにより、受信機はそれぞれのRF信号を最適なチューナに分配することが可能となる。これにより、RFケーブルの誤挿入がなくなるとともに、ユーザが接続時に迷うこともなくなり、接続を容易に行うことができる。なお、前記制御部等の処理は、プログラムあるいはハードウエアで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る選局装置を説明する図である。
【図2】放送信号にパイロット信号を放送局側で付加する処理を説明する図である。
【図3】放送信号にパイロット信号を共同受信設備側で付加する処理を説明する図である。
【図4】パイロット信号の周波数配置の例を説明する図であるプラント監視制御装置を説明する図である。
【図5】選局装置を備えた従来のTV受信機を説明する図である。
【符号の説明】
【0026】
1 受信機
4 地上波放送局
5 CATV放送局
11 RFスイッチ
12 アナログチューナ
13 OFDMチューナ
14 QAMチューナ
15 アナログ信号処理部
16 OFDM信号処理部
17 QAM信号処理部
18 出力部
19 制御部
20 パイロット信号検出部
21、22 RF入力端子
31 パイロット信号1付加部
32 パイロット信号2付加部
41、51 アナログ放送送信機
42 OFDM信号送信機
52 QAM信号送信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送信号を伝送する信号線毎に備えた複数の放送信号入力端子と、
前記信号線を介して伝送される放送信号の変調方式にそれぞれ対応して構成された複数の受信部と、
前記複数の放送信号入力端子と複数の受信部とを選択して接続する放送信号切り換え部と、
放送信号に多重化されて前記信号線を伝送する放送信号の変調方式を表すパイロット信号を検出するパイロット信号検出部を備え、
パイロット信号検出部は、検出したパイロット信号をもとに放送信号切り換え部を切り換えて、放送信号入力端子をその入力信号に対応した受信部に接続することを特徴とする選局装置。
【請求項2】
請求項1記載の選局装置において、
パイロット信号検出部は、検出したパイロット信号およびユーザが入力した選局情報をもとに放送信号切り換え部を切り換えて、選局した放送に対応した放送信号入力端子を、選局した放送に対応した受信部に接続することを特徴とする選局装置。
【請求項3】
請求項1記載の選局装置において、
パイロット信号は、放送信号を伝送する放送局において放送信号に多重化することを特徴とする選局装置。
【請求項4】
請求項1記載の選局装置において、
パイロット信号は、放送信号を共同で受信する共同受信設備において放送信号に多重化することを特徴とする選局装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−109064(P2006−109064A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−292627(P2004−292627)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】