説明

選択的グリコシダーゼ阻害剤およびその使用

本発明は、グリコシダーゼを選択的に阻害する式(I)の化合物、その化合物のプロドラッグ、およびその化合物またはその化合物のプロドラッグを含む医薬組成物を提供する。本発明はまた、O-GlcNAcアーゼの欠乏または過剰発現、O-GlcNAcの蓄積または欠乏に関連する疾患および障害を処置する方法も提供する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩:
【化1】

(I)
[式中、
R1はそれぞれ独立して非妨害性の置換基であり;
R2はアルキル、アリール、ヘテロアリール、OR4、NR42およびNR4OR4であり、それぞれ必要に応じて非妨害性の置換基により置換されていてもよく;
R3はOR4、N3またはNR42であり;
R4はそれぞれ独立して非妨害性の置換基であり、
ただし、それぞれのR1がHであってR3がOHである場合、R2はCH3、CH2CH3、(CH2)2CH3、(CH2)3CH3、(CH2)4CH3、(CH2)6CH3、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、NH(フェニル)、NH(4-メトキシフェニル)、N(CH3)2、(CH2)2P(O)(OH)(OCH3)および(CH2)2P(O)(OH)(O(CH2)7CH3)を除くものであり;
また、それぞれのR1がCOCH3であってR3がOC(O)CH3である場合、R2はCH3、CH2CH3、(CH2)2CH3、(CH2)3CH3、(CH2)4CH3、(CH2)6CH3、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、NH(フェニル)、NH(4-メトキシフェニル)、N(CH3)2、(CH2)2P(O)(OH)(OCH3)および(CH2)2P(O)(OH)(O(CH2)7CH3)、NHCH3、NH(CH2)2CH3、NHCH(CH3)2、NH(CH2)3CH3、NH(シクロヘキシル)、NH(ベンジル)、CH2Br、CHBr2、CH2P(O)(OCH2CH3)2、(CH2)2P(O)(OCH3)(O(CH2)7CH3)、(CH2)2P(O)(OCH3)2、(CH2)2P(O)(OCH3)2、N(COCH3)(フェニル)およびN(COCH3)(4-メトキシフェニル)を除くものであり;
また、式(I)は表2に記載の化合物74〜85を除くものである]。
【請求項2】
それぞれのR1が連結してさらなる環構造を形成してもよい、請求項1の化合物。
【請求項3】
R3がOR4であり、R4がいずれかのR1と連結してさらなる環構造を形成してもよい、請求項1または2の化合物。
【請求項4】
非妨害性の置換基がアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニルおよびアリールアルキニルからなる群の1以上から選択される、請求項1〜3のいずれかの化合物。
【請求項5】
非妨害性の置換基が、P、O、SおよびNから選択される1以上のヘテロ原子を含む、請求項1〜4のいずれかの化合物。
【請求項6】
非妨害性の置換基が必要に応じて置換されている、請求項1〜4のいずれかの化合物。
【請求項7】
R1がHまたはC(O)CH3である、請求項1〜3のいずれかの化合物。
【請求項8】
R2が、CH2F、CHF2、CF3、(CH2)2CH=CH2、(CH2)2CH=CHCH3、CH2OCH3、(CH2)2CF3、シクロプロピルメチル、フェニル、ベンジル、NH2、NHCH3、NHCH2CH3、NH(CH2)2CH3、NH(CH2)3CH3、NHCH2CH=CH2、NHシクロプロピル、NHCH2CH2F、NHCH2CHF2、NHCH2CF3、NHCH2CH2OH、NHCH2CH2OC(O)CH3、N(CH3)2、N(CH3)(CH2CH3)、NHOCH3、OCH3または(CH2)2CH3である、請求項1〜3のいずれかの化合物。
【請求項9】
R3がOH、OC(O)CH3、N3またはNH2である、請求項1〜3のいずれかの化合物。
【請求項10】
化合物が表1に記載の化合物である、請求項1の化合物。
【請求項11】
表2または表3に記載の1以上の化合物を除くことを条件とする、請求項1の化合物。
【請求項12】
プロドラッグである、請求項1の化合物。
【請求項13】
O-グリコプロテイン2-アセトアミド-2-デオキシ-β-D-グルコピラノシダーゼ(O-GlcNAcアーゼ)を選択的に阻害する、請求項1〜12のいずれかの化合物。
【請求項14】
O-GlcNAcアーゼに選択的に結合する、請求項1〜13のいずれかの化合物。
【請求項15】
2-アセトアミド-2-デオキシ-β-D-グルコピラノシド(O-GlcNAc)の切断を選択的に阻害する、請求項1〜14のいずれかの化合物。
【請求項16】
O-GlcNAcアーゼが哺乳類O-GlcNAcアーゼである、請求項13の化合物。
【請求項17】
哺乳類β-ヘキソサミニダーゼを実質的に阻害しない、請求項1〜16のいずれかの化合物。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれかの化合物を医薬上許容される担体と組み合わせて含む、医薬組成物。
【請求項19】
必要とする対象においてO-GlcNAcアーゼを選択的に阻害する方法であって、有効量の式(I)の化合物もしくはその医薬上許容される塩を対象に投与することを含む方法:
【化2】

(I)
[式中、
R1はそれぞれ独立して非妨害性の置換基であり;
R2はアルキル、アリール、ヘテロアリール、OR4、NR42およびNR4OR4であり、それぞれ必要に応じて非妨害性の置換基によって置換されていてもよく;
R3はOR4、N3またはNR42であり;
R4はそれぞれ独立して非妨害性の置換基であり、
ただし、それぞれのR1がHであってR3がOHである場合、R2はCH2CH3、(CH2)2CH3、(CH2)3CH3、(CH2)4CH3、CH(CH3)2およびCH2CH(CH3)2を除くものであり;
また、それぞれのR1がCOCH3であってR3がOC(O)CH3である場合、R2はCH2CH3、(CH2)2CH3、(CH2)3CH3、(CH2)4CH3、CH(CH3)2およびCH2CH(CH3)2を除くものである]。
【請求項20】
必要とする対象においてO-GlcNAcレベルを上昇させる方法であって、有効量の式(I)の化合物もしくはその医薬上許容される塩を対象に投与することを含む方法:
【化3】

(I)
[式中、
R1はそれぞれ独立して非妨害性の置換基であり;
R2はアルキル、アリール、ヘテロアリール、OR4、NR42およびNR4OR4であり、それぞれ必要に応じて非妨害性の置換基によって置換されていてもよく;
R3はOR4、N3またはNR42であり;
R4はそれぞれ独立して非妨害性の置換基であり、
ただし、それぞれのR1がHであってR3がOHである場合、R2はCH2CH3、(CH2)2CH3、(CH2)3CH3、(CH2)4CH3、CH(CH3)2およびCH2CH(CH3)2を除くものであり;
また、それぞれのR1がCOCH3であってR3がOC(O)CH3である場合、R2はCH2CH3、(CH2)2CH3、(CH2)3CH3、(CH2)4CH3、CH(CH3)2およびCH2CH(CH3)2を除くものである]。
【請求項21】
必要とする対象において、神経変性疾患、タウオパチー、癌またはストレスを除く、O-GlcNAcアーゼにより変調される症状を処置する方法であって、有効量の式(I)の化合物もしくはその医薬上許容される塩を対象に投与することを含む方法:
【化4】

(I)
[式中、
R1はそれぞれ独立して非妨害性の置換基であり;
R2はアルキル、アリール、ヘテロアリール、OR4、NR42およびNR4OR4であり、それぞれ必要に応じて非妨害性の置換基により置換されていてもよく;
R3はOR4、N3またはNR42であり;
R4はそれぞれ独立して非妨害性の置換基である]。
【請求項22】
症状が、炎症性疾患、アレルギー、喘息、アレルギー性鼻炎、過敏性肺疾患、過敏性肺炎、好酸球性肺炎、遅延型過敏症、アテロ−ム性動脈硬化症、間質性肺疾患(ILD)、特発性肺線維症、関節リウマチを伴うILD、全身性エリテマトーデス、強直性脊椎炎、全身性硬化症、シェーグレン症候群、多発性筋炎または皮膚筋炎、全身性アナフィラキシーまたは過敏性反応、薬物アレルギー、昆虫刺傷アレルギー、自己免疫疾患、関節リウマチ、乾癬性関節炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎、移植片拒絶反応、同種移植片拒絶反応、移植片対宿主病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、脊椎関節症、強皮症、乾癬、T細胞媒介性乾癬、炎症性皮膚疾患、皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触性皮膚炎、じん麻疹、血管炎、壊死性、皮膚性および過敏性血管炎、好酸球性筋炎、好酸球性筋膜炎、臓器移植拒絶反応、心臓移植拒絶反応、肺移植拒絶反応、肝臓移植拒絶反応、腎臓移植拒絶反応、膵臓移植拒絶反応、腎臓同種移植片、肺同種移植片、てんかん、痛み、卒中、神経保護からなる群の1以上から選択される、請求項21の方法。
【請求項23】
必要とする対象において神経変性疾患、タウオパチー、癌およびストレスからなる群から選択される症状を処置する方法であって、有効量の式(I)の化合物もしくはその医薬上許容される塩を対象に投与することを含む方法:
【化5】

(I)
[式中、
R1はそれぞれ独立して非妨害性の置換基であり;
R2はアルキル、アリール、ヘテロアリール、OR4、NR42およびNR4OR4であり、それぞれ必要に応じて非妨害性の置換基によって置換されていてもよく;
R3はOR4、N3またはNR42であり;
R4はそれぞれ独立して非妨害性の置換基であり、
ただし、それぞれのR1がHであってR3がOHである場合、R2はCH2CH3、(CH2)2CH3、(CH2)3CH3、(CH2)4CH3、CH(CH3)2およびCH2CH(CH3)2を除くものであり;
また、それぞれのR1がCOCH3であってR3がOC(O)CH3である場合、R2はCH2CH3、(CH2)2CH3、(CH2)3CH3、(CH2)4CH3、CH(CH3)2およびCH2CH(CH3)2を除くものである]。
【請求項24】
症状が、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、認知障害を伴う筋萎縮性側索硬化症(ALSci)、嗜銀顆粒性認知症、Bluit病、大脳皮質基底核変異症(CBD)、拳闘家認知症、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、ダウン症候群、家族性英国型認知症、家族性デンマーク型認知症、17番染色体に連鎖しパーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症(FTDP-17)、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病、グアダループ人パーキンソニズム、ハラーホルデン・スパッツ病(脳の鉄沈着を伴う神経変性1型)、多系統萎縮症、筋緊張性ジストロフィー、ニーマン・ピック病(C型)、淡蒼球・橋・黒質の変性、グアムのパーキンソン認知症複合、ピック病(PiD)、脳炎後パーキソニズム(PEP)、プリオン病(クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)、致死性家族性不眠症およびクールー病を含む)、進行性超皮質性グリオーシス、進行性核上性麻痺(PSP)、リチャードソン症候群、亜急性硬化性全脳炎、神経原線維型認知症、ハンチントン病およびパーキンソン病からなる群の1以上から選択される、請求項23の方法。
【請求項25】
ストレスが心障害である、請求項23の方法。
【請求項26】
心障害が、虚血;出血;血液量減少性ショック;心筋梗塞;心血管インターベンション処置;心臓バイパス術;線溶療法;血管形成術;およびステント留置からなる群の1以上から選択される、請求項25の方法。
【請求項27】
R1がHまたはC(O)CH3である、請求項19〜26のいずれかの方法。
【請求項28】
R2が、CH2F、CHF2、CF3、(CH2)2CH=CH2、(CH2)2CH=CHCH3、CH2OCH3、(CH2)2CF3、シクロプロピルメチル、フェニル、ベンジル、NH2、NHCH3、NHCH2CH3、NH(CH2)2CH3、NH(CH2)3CH3、NHCH2CH=CH2、NHシクロプロピル、NHCH2CH2F、NHCH2CHF2、NHCH2CF3、NHCH2CH2OH、NHCH2CH2OC(O)CH3、N(CH3)2、N(CH3)(CH2CH3)、NHOCH3、OCH3または(CH2)2CH3である、請求項19〜27のいずれかの方法。
【請求項29】
R3がOH、OC(O)CH3、N3またはNH2である、請求項19〜28のいずれかの方法。
【請求項30】
化合物が表2および表3に記載の1以上の化合物からなる群から選択される、請求項19〜26のいずれかの方法。
【請求項31】
投与により対象におけるO-GlcNAcレベルが増大する、請求項19〜30のいずれかの方法。
【請求項32】
対象がヒトである、請求項19〜31のいずれかの方法。
【請求項33】
医薬の調製における、表2および3に記載の化合物を除く、有効量の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩の使用:
【化6】

(I)
[式中、
R1はそれぞれ独立して非妨害性の置換基であり;
R2はアルキル、アリール、ヘテロアリール、OR4、NR42およびNR4OR4であり、それぞれ必要に応じて非妨害性の置換基により置換されていてもよく;
R3はOR4、N3またはNR42であり;
R4はそれぞれ独立して非妨害性の置換基である]。
【請求項34】
医薬が、O-GlcNAcアーゼを選択的に阻害するため、O-GlcNAcレベルを増加させるため、O-GlcNAcアーゼにより変調する症状を処置するため、神経変性疾患、タウオパチー、癌またはストレスを処置するためのものである、請求項33の使用。
【請求項35】
O-GlcNAcアーゼの選択的阻害剤をスクリーニングする方法であって、以下の工程を含む方法:
a) 第1のサンプルを試験化合物と接触させる;
b) 第2のサンプルを式(I)の化合物と接触させる:
【化7】

(I)
[式中、
R1はそれぞれ独立して非妨害性の置換基であり;
R2はアルキル、アリール、ヘテロアリール、OR4、NR42およびNR4OR4であり、それぞれ必要に応じて非妨害性の置換基により置換されていてもよく;
R3はOR4、N3またはNR42であり;
R4はそれぞれ独立して非妨害性の置換基である];
c) 第1および第2のサンプルにおいてO-GlcNAcアーゼの阻害レベルを測定する、
ここで、試験化合物が式(I)の化合物と比較して同等またはより強くO-GlcNAcアーゼの阻害を示す場合、その試験化合物はO-GlcNAcアーゼの選択的阻害剤である。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−501598(P2010−501598A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525881(P2009−525881)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【国際出願番号】PCT/CA2007/001554
【国際公開番号】WO2008/025170
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(509059594)サイモン・フレーザー・ユニバーシティ (1)
【氏名又は名称原語表記】Simon Fraser University
【Fターム(参考)】