説明

選果施設

【課題】
本発明は、荷受時に基準値以上の残留農薬を検出したときに迅速に当該果実を除去すると共に、出荷されないようにすることを課題とする。
【解決手段】
荷受用コンベア(1)の搬送途中には荷受用容器(k)内の果実の残留農薬を検出する残留農薬検出器(2)と、荷受用容器(k)に取り付けている果実の荷口(A)情報の記録媒体を読み取る読取装置(4)と、荷受用コンベア(1)で搬送中の荷受用容器(k)を荷受用コンベア(1)から排除する荷受用容器排除装置(5)とを設け、残留農薬検出器(2)が荷受用容器(k)内の果実から基準値以上の残留農薬を検出すると、当該荷口(A)分の荷受用容器(k)を荷受用容器排除装置(5)の作動により荷受用コンベア(1)から排除するよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷受した果実を選別して出荷する選果施設に関する。
【背景技術】
【0002】
荷受した果実を適した残量農薬除去方法で除去処理し、次いで、残留農薬検査工程で検査し、その検査結果に基づいて出荷停止する技術が記載されている。
【特許文献1】特開2004−275023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1においては、基準値以上の残留農薬の検査結果によって出荷停止と記載されているが、実際の選果施設でどのような処理をするのかについて開示されていない。
本発明は、荷受時に基準値以上の残留農薬を検出したときに迅速に当該果実を除去して出荷されないようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、果実を収容した荷受用容器(k)を搬送する荷受用コンベア(1)と、荷受した果実を等級や階級毎に選別する選別部(11)と、選別部(11)で選別された果実を出荷用容器(h)に収容する収容部(14)と、収容部(14)で果実を収容された出荷用容器(h)を搬送する出荷用コンベア(15)とを設け、荷受用コンベア(1)の搬送途中には荷受用容器(k)内の果実の残留農薬を検出する残留農薬検出器(2)と、荷受用容器(k)に取り付けている果実の荷口(A)情報の記録媒体を読み取る読取装置(4)と、荷受用コンベア(1)で搬送中の荷受用容器(k)を荷受用コンベア(1)から排除する荷受用容器排除装置(5)とを設け、残留農薬検出器(2)が荷受用容器(k)内の果実から基準値以上の残留農薬を検出すると、読取装置(4)が次の荷口(B)情報の荷受用容器(k)を読み取るまで、それ以降の当該荷口(A)分の荷受用容器(k)を荷受用容器排除装置(5)の作動により荷受用コンベア(1)から排除するよう制御することを特徴とする選果施設とする。
【0005】
また、請求項2記載の発明は、出荷用コンベア(15)で搬送中の出荷用容器(h)を出荷用コンベア(15)から排除する出荷用容器排除装置(17)を設け、残留農薬検出器(2)が荷受用容器(k)内の果実から基準値以上の残留農薬を検出すると、それ以前に残留農薬検出器(2)を通過した当該荷口(A)の果実を選別して収容した出荷用容器(h)を、出荷用容器排除装置(17)の作動により出荷用コンベア(15)から排除するよう制御することを特徴とする請求項1記載の選果施設とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によると、荷受した果実が出荷できない基準値以上の残留農薬を検出すると、荷受時点で当該荷口Aを排除することができるため、無用な選別工程を行なわなくてもよく、選果施設全体の選別処理を迅速に行なうことができる。
【0007】
請求項2記載の発明によると、荷口Aの途中の果実から基準値以降の残留農薬を検出した場合において、それ以前に荷受用コンベア1を通過して選別部11で選別されて出荷用箱hに箱詰めされた荷受Aの果実も出荷の前段階で回収できるため、安全な果実を出荷することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
1は荷受用コンベアで、生産者が持参した多数の果実を収容したコンテナkを搬送する。荷受用コンベア1の搬送途中にはコンテナk内の果実の内の任意の果実の残留農薬を検出する残留農薬検出器2と、コンテナkに取り付けている生産者等の情報が記録されているバーコード等の記録媒体(図示せず)の情報を読み取るコンテナ用読取装置4とを設けている。そして、残留農薬検出器2とコンテナ用読取装置4の後工程には荷受用コンベア1で搬送中のコンテナkを荷受用コンベア1から排除する伸縮シリンダからなるコンテナ排除装置5と、コンテナ排除装置5で排除されたコンテナkを搬送するコンテナ排除コンベア6を設けている。
【0009】
なお、本実施の形態の残留農薬検出器2は、例えば赤外分光光度計等を利用して、非破壊検査により青果物の表面における残留農薬濃度を測定する装置を想定しているが、コンテナ内の任意のサンプル果実の残留農薬を測定できる構成であれば他の構成でもよい。
【0010】
荷受用コンベア1の搬送終端部にはコンテナkを反転して果実を取り出す反転装置7を設けている。この反転装置7の具体構成は例えば特開2003‐237949号公報に記載されているような構成である。
【0011】
反転装置7の後工程には、コンテナkから取り出された果実を作業者の居る作業台8まで搬送する取り出しコンベア9を設け、取り出しコンベア9に隣接して作業者が果実の状態を目視で優・秀・良等を判断しながら等級毎に載置するカップ(図示せず)を多数設ける選別コンベア11の搬送始端部を設けている。図示はしないが、この実施の形態の選別コンベア11は搬送方向に設定間隔で多数のカップを搬送方向に2列に配列したものである。
【0012】
選別コンベア11の搬送途中部には果実を画像処理して階級の判定をする検査画像装置12を設けている。選別コンベア11の搬送終端側には果実を等級又は階級別に収容する果実受容器13を設けており、作業者が載置した場所及び検査画像装置12の検査結果の情報に基づき対象となる果実受容器13の位置に到達するとカップ(図示せず)が傾き果実がカップから転がって当該果実受容器13内に供給される構成である。選別コンベア11の搬送終端部の果実受容器を後述する残留農薬が基準値以上と判断された荷口の果実を供給する残留農薬専用受容器13aとしている。
【0013】
果実受容器13に並行して果実受容器13内の果実を出荷用箱hに箱詰めする箱詰め台14と、箱詰めされた出荷用の箱を搬送する出荷用コンベア15とを設けている。本実施の形態では、箱詰め台14と出荷用コンベア15は選別コンベア11の搬送方向左右両側にそれぞれ設け、2本の出荷用コンベア15は途中で合流する構成としている。
【0014】
出荷用コンベア15の搬送終端部には出荷用箱hを梱包する梱包機19と、出荷用箱hに取り付けている品種等の情報が記録されているバーコード等の記録媒体(図示せず)の記録情報を読み取る箱用読取装置16を設けている。
【0015】
箱用読取装置16の後工程には出荷用コンベア15で搬送中の出荷用箱hを排除する伸縮シリンダからなる箱排除装置17を設け、箱排除装置17で排除された出荷用箱hを搬送する箱排除コンベア18を設けている。
【0016】
なお、20は反転して果実を取り出して空になったコンテナkを搬送する空コンテナ用コンベアで、21は作業者が規格外と判断した果実を除去する不良果実用コンベアである。
【0017】
また符合は特に付さないが図2に示すように制御部を設け、各種装置を駆動制御している。
次に本実施の形態の選果施設の荷受から出荷までの作業の基本的な流れについて説明する。
【0018】
生産者が持参した果実を収容したコンテナk群を1個ずつ順次荷受コンベア1で搬送していく。なお、ここでは生産者が一度に持参したコンテナk群を荷口Aと呼び、次に別の生産者が持参して荷受け部で待機しているコンテナk群を荷口Bと呼ぶ。そして、荷口Aのコンテナkを全て荷受用コンベア1に載置して搬送したら、次に荷口Bのコンテナkを順次載置して荷口Aのコンテナに続いて搬送していく。
【0019】
荷受用搬送コンベア1で搬送されるコンテナkが残留農薬検出器2の設置位置に到達すると、残留農薬検出器2によりコンテナk内のいくつかの果実をサンプル果実としてその残留農薬を検出する。そして、残留農薬が基準値以内の場合にはそのまま荷受用コンベア1の搬送終端部まで搬送される。
【0020】
荷受用搬送コンベア1から反転装置7に移送されたコンテナkは、反転装置7で反転してコンテナkから果実が取り出される。そして、取り出された果実は二股に分かれて2本の取り出しコンベア9でそれぞれ作業場8に搬送される。空となったコンテナkは作業者により取り出されて空コンテナ用コンベア20に載置され、次いで搬送される。
【0021】
作業場8の作業者は取り出しコンベア9を搬送される果実を取り出して目視で果実の等級を判定して選別コンベア11の等級に応じたカップ(図示せず)に載置する。カップに載置されて搬送される果実は途中で検査画像装置12で階級を判定され、等級と階級の情報から収容する果実受容器13が判定され、当該果実受容器13の位置まで到達するとカップが果実受容器13側に傾き、果実は転がって果実受容器13の中に収容される。
【0022】
果実収容器13の近傍に居る作業者は果実受容器13の果実を取り出して、箱詰め台14で出荷用箱hに収容し、所定個数収容した出荷用箱hを出荷用コンベア15に載置する。そして、出荷用箱hは出荷用コンベア15で搬送終端部まで搬送され、梱包機19で梱包されて順次出荷される。
【0023】
次に、荷口Aのコンテナのサンプル果実から基準値以上の残留農薬が検出された場合の荷受用コンベア1でのコンテナkの排除処理について図3に基づいて説明する。
荷口Aの先頭のコンテナのサンプル果実から基準値以上の残留農薬が検出された場合(S1)には、コンテナ排除装置5が作動し(S2)、荷口Aのコンテナkは順次荷受用コンベア1からコンテナ排除コンベア6に順次押し出される。コンテナ排除コンベア6は常時若しくはコンテナkが入るたびに設定時間作動する構成とし、コンテナkを搬送そして一次貯留する。荷口Aのコンテナkの排除が終了し、コンテナ用読取装置4が次の荷口Bのコンテナkを検出し、荷口Bのコンテナkの果実が基準値以上の残留農薬を検出しなかった場合にはコンテナ排除装置5は作動せず、荷口Bのコンテナkは次の反転装置7に搬送される。
【0024】
荷口Aの途中のコンテナkのサンプル果実から基準値以上の残留農薬が検出された場合(S3)には、その時点からコンテナ排除装置5が作動し(S4)、それ以降のコンテナkを前述と同様にコンテナ排除コンベア6に排除する(S5)。荷口Aのコンテナkの排除が終了し、コンテナ用読取装置4が次の荷口Bのコンテナkを検出し、荷口Bのコンテナkの果実が基準値以上の残留農薬を検出しなかった場合にはコンテナ排除装置5は作動せず、荷口Bは次の反転装置7に搬送される。
【0025】
次に荷口Aの途中のコンテナkのサンプル果実から基準値以上の残留農薬が検出された場合に、それまでに通過した荷口Aのコンテナkの果実の処理について図4に基づいて説明する。
【0026】
荷口Aの途中のコンテナkのサンプル果実から基準値以上の残留農薬が検出された場合に、それまでにコンテナ用排除装置5を通過してそれ以降の工程に搬送された果実は、既に選別コンベア11での選別を経て出荷用箱hに収容された場合には、箱用読取装置16が出荷用箱hに付けている記録媒体(図示せず)を読み込み、荷口Aの果実を収容した出荷用箱hを読み取ると、箱排除装置が作動し(S6)荷口Aの出荷用箱hを出荷用コンベア15から箱排除コンベア18に押し出して排除する(S7)。
【0027】
また、当該果実が選別コンベア11上を搬送している場合には、作業者の目視による等級情報及び検査画像装置12による階級情報を無視して残留農薬専用受容器13aに収容される(S8)。
【0028】
本実施の形態による効果について以下説明する。
残留農薬検出器2を荷受用コンベア1の搬送途中に設け、コンテナk内の果実の内、いくつかのサンプル果実の残留農薬を順次検出する構成のため、コンテナ毎に迅速に荷受け及び残留農薬検出作業を行なうことができる。また、荷口のコンテナ群の内一つでも果実から基準値以上の残留農薬を検出すると、その荷口全ての果実を出荷させずに回収する構成にすることで、安全な果実を出荷することができる。
【0029】
また、荷口Aの先頭のコンテナkの果実から基準値以上の残留農薬を検出したときには、当該荷口Aの全てのコンテナkをコンテナ排除コンベア6に排除してまとめて一時貯留することで、当該荷口Aの生産者に通報して排除したコンテナkを引き取ってもらう措置を行なうと共に、次の荷口Bの荷受作業を継続して行なうことができ、円滑な荷受け出荷作業を行なうことができる。
【0030】
また、荷口の途中のコンテナkの果実から基準値以上の残留農薬を検出したときには、それ以降のコンテナkをコンテナ排除コンベア6に排除することができると共に、それまでに通過したコンテナkの果実も箱排除装置17で箱排除コンベア18に排除するか、選別コンベア11から残留農薬受容器13aに収容することができる。すなわち、果実1個1個を作業者が拾い集めるのではなく、まとめて回収できる。
【0031】
例えば取り出しコンベア9に当該基準値以上の残留農薬を検出した果実が残っている場合は、作業者がランダムに選別コンベア11のカップに果実を載置することで残留農薬専用受容器13aに収容されることができるので、当該果実を回収し易くする事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】選果施設全体の平面図
【図2】ブロック図
【図3】フローチャート
【図4】フローチャート
【符号の説明】
【0033】
1 荷受用コンベア
2 残留農薬検出器
4 コンテナ用読取装置
5 コンテナ排除装置
6 コンテナ排除コンベア
11 選別コンベア
12 検査画像装置
14 箱詰め台
15 出荷用コンベア
16 箱用読取装置
17 箱排除装置
18 箱排除コンベア
k 荷受用容器
h 出荷用箱
A 荷口
B 荷口(Aの次の順番)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
果実を収容した荷受用容器(k)を搬送する荷受用コンベア(1)と、荷受した果実を等級や階級毎に選別する選別部(11)と、選別部(11)で選別された果実を出荷用容器(h)に収容する収容部(14)と、収容部(14)で果実を収容された出荷用容器(h)を搬送する出荷用コンベア(15)とを設け、
荷受用コンベア(1)の搬送途中には荷受用容器(k)内の果実の残留農薬を検出する残留農薬検出器(2)と、荷受用容器(k)に取り付けている果実の荷口(A)情報の記録媒体を読み取る読取装置(4)と、荷受用コンベア(1)で搬送中の荷受用容器(k)を荷受用コンベア(1)から排除する荷受用容器排除装置(5)とを設け、
残留農薬検出器(2)が荷受用容器(k)内の果実から基準値以上の残留農薬を検出すると、読取装置(4)が次の荷口(B)情報の荷受用容器(k)を読み取るまで、それ以降の当該荷口(A)分の荷受用容器(k)を荷受用容器排除装置(5)の作動により荷受用コンベア(1)から排除するよう制御することを特徴とする選果施設。
【請求項2】
出荷用コンベア(15)で搬送中の出荷用容器(h)を出荷用コンベア(15)から排除する出荷用容器排除装置(17)を設け、残留農薬検出器(2)が荷受用容器(k)内の果実から基準値以上の残留農薬を検出すると、それ以前に残留農薬検出器(2)を通過した当該荷口(A)の果実を選別して収容した出荷用容器(h)を、出荷用容器排除装置(17)の作動により出荷用コンベア(15)から排除するよう制御することを特徴とする請求項1記載の選果施設。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−51881(P2010−51881A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218442(P2008−218442)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】