説明

遺伝子操作によるデキストランスクラーゼDSR−Sの新規変異体の構築

本発明は、酵素活性および/またはα−1,6結合の合成における特異性を保持しながらトランケートおよび/または突然変異したデキストランスクラーゼを生成するための組換えプロセスに関する。より正確には、本発明は、トランケートおよび/または突然変異したデキストランスクラーゼの核酸配列、該核酸配列を含むベクターならびにトランケートおよび/または突然変異したデキストランスクラーゼをコードする配列によって形質転換された宿主細胞に関する。さらなる態様では、本発明は、酵素活性を保持、および/またはα−1,6結合の合成において特異性を保持するが、同じ条件下で未変性酵素により得られるデキストラン、ならびにモル質量およびデキストランが制御されたイソマルト−オリゴ糖の特性と比較して、レオロジー特性が改変された高モル質量のデキストランをサッカロースから生成できる、トランケートおよび/または突然変異したデキストランスクラーゼを組換え方式で生成する方法に関する。本発明のデキストランおよびIMOは、すなわちテクスチャー剤またはプレバイオティクスとして使用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素活性を保持しながら、および/またはα−1,6結合の合成に対する特異性を保存しながらトランケートおよび/または突然変異したデキストランスクラーゼを生成するための組換えプロセスに関する。より正確には、本発明は、トランケートまたは突然変異したデキストランスクラーゼの核酸配列、該核酸配列を含むベクターおよびトランケートまたは突然変異したデキストランスクラーゼをコードする配列によって形質転換された宿主細胞に関する。さらなる態様では、本発明は、最終生成物で酵素活性を保持する、および/またはα−1,6結合の合成に対する特異性を保持するトランケートおよび/または突然変異したデキストランスクラーゼを組換え方式で生成する方法、ならびにモル質量が制御された単一工程でのデキストランまたはイソマルト−オリゴ糖および特に未変性酵素で得られたデキストランの特性と比較してレオロジー特性が改変されたデキストランを生成する方法に関する。
【0002】
発明の分野
デキストランは、主要鎖ならびにα−1,2、α−1,3および/またはα−1,4分岐において50%以上がα−1,6結合を有する隣接グリコシル単位を含む多様な構造のα−D−グルカンである[1]。このようなデキストランをスクロースから生成する酵素はデキストランスクラーゼと称し、グリコシド加水分解酵素ファミリー70に属する[2]。反応中、スクロース由来フルクトースが放出し、他の場所でアップグレードする可能性がある。デキストランスクラーゼはロイコノストック(Leuconostoc)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属およびラクトバチルス(Lactobacillus)属の乳酸菌により生成される[1]。
【0003】
ロイコノストック・メゼンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)NRRL B−512F由来のデキストランスクラーゼ(DSR−S)は、1,527個のアミノ酸を含む[3]。この酵素は、95%を超えるα−1,6結合によりグルコースホモポリマーの合成を触媒する。デキストランの生成は、好適なアクセプターを反応混合物に添加することにより、オリゴ糖またはグリコシル化抱合体の生成に再度方向づけられるかもしれない[4]。
【0004】
デキストランおよびデキストラン誘導体に対する工業的応用は、特に特定のサイズを有するデキストランでは増加の一途にある。70,000〜100,000Daの範囲のサイズを有するデキストランは、例えば、血漿代用薬として使用される[5、31]。さらに、40,000Daのデキストランを使用し、血液粘度を低下させ、赤血球凝集を阻害することでほぼ確実に血流を改善することができる[6、8]。硫酸化後、約10,000ダルトンのより小さいデキストランは、例えば鉄のトランスポーター[7]または抗凝固薬[8]として使用する。これらの化合物は抗ウイルス特性を有する可能性がある[9、10]。
【0005】
さらに、架橋したデキストラン誘導体は分子分離の分野で長い間使用されており;商標名Sephadex(登録商標)としてクロマトグラフィー担体は1961年から販売されている[6]。
【0006】
さらに、欧州連合は近年、デキストランが95%を超えるα−1,6結合を含み、2×10Daを超えるモル質量を有する場合、ベーカリー製品の食品成分としての使用を承認している[15]。
【0007】
デキストランスクラーゼはアクセプター反応を介してイソマルト−オリゴ糖(IMO)を生成してもよい。グルカンスクラーゼにより行われるアクセプター反応は、スクロース由来のグリコシル残基を、反応培地に添加した他の分子へと移行させることからなる。特に、イソマルト−オリゴ糖の需要が年間約15,000トンである日本で商業的関心が高まっている[11]。このような小さいIMO(DP2〜6)はベーカリー製品、飲料では日本酒、調味料、製菓に、また抗齲蝕原性甘味料として使用する。該IMOは腸内および/または膣内細菌叢に関して有用なプレバイオティクス特性を有することも示されている[12、13]。これらの特性はIMOのサイズにより可変であるらしく、高い重合度が有利に働く[14]。
【0008】
デキストランの唯一の商業的供給源および通常の源はL.メゼンテロイデスNRRL B−512Fをスクロースとともに培養することからなり、約10Daの高モル質量ポリマーが形成される。10,000〜100,000Daのより小さいデキストランの直接的合成は現在では不可能である。現在、デキストランは、高モル質量未変性ポリマーを酸加水分解し、その後有機溶媒を使用して分画することにより、慣用的に生成する。しかしこの第2工程は収率が低いことで名高い[19]。
【0009】
商業的観点から、DPが2〜6であるIMOは、デキストランスクラーゼDSR−Sおよびグルコースとのアクセプター反応によっては、その低い反応収率のために生成されないが、デンプン加水分解物およびα−アミラーゼとグルコシダーゼとの混合物からは生成される[11]。
【0010】
Monchoisら[16]は、ロイコノストック・メゼンテロイデスNRRL B−512Fのデキストランスクラーゼからのカルボキシ末端の欠失を記述しており、C末端ドメインの役割は活性部位をこえてデキストランおよびオリゴ糖の移行を促進することであると結論づけている。
【0011】
米国特許US−A−5,229,277は、均一にモル質量が低いデキストランポリマーを生成するプロセスを記述しており、このプロセスはロイコノストック・メゼンテロイデスと、デキストランのα−1,6結合の加水分解のための特定の酵素デキストラナーゼの活性を有する酵母であるリポマイセス・スターケイ(Lypomyces starkeyi)ATCC74054の突然変異微生物とを使用している。該方法は特定の培養条件、ならびにデキストラナーゼ活性がデキストランのモル質量を減少させるように正確に調節された持続時間および温度を必要とする。該方法で生成されたデキストランポリマーのモル質量は40,000〜150,000Daの範囲にある。
【0012】
前記で、酸加水分解も分画も特に必要としない収率が良好である迅速な方法を使用してモル質量が約10,000〜100,000Daであるデキストランの生成が必要であることが示されている。
【0013】
本発明は、酵素活性を保持しつつ、および/またはα−1,6結合の合成に対する特異性を保存しつつもトランケートおよび/または突然変異した、組換え方式で生成したデキストランスクラーゼ、あるいはモル質量を制御したデキストランを生成するデキストランスクラーゼのトランケート変異体に関する。より正確には、それらは未変性DSR−Sの結合特異性を保存し、および/またはα−1,6結合を合成する特異性を保存し、スクロースを出発物質として、興味深いテクスチャー特性を有する高モル質量デキストランおよび/またはモル質量を制御したデキストランとIMOを生成する。
【0014】
本発明はまた、トランケートおよび/または突然変異したデキストランスクラーゼの核酸配列、ベクターおよび前記ベクターによって形質転換された宿主細胞、ならびにトランケートおよび/または突然変異したデキストランスクラーゼのアミノ酸配列を提供することにも関する。
【0015】
特に、実施例から明らかになるように、ある種のデキストランスクラーゼは興味深いテクスチャー特性、すなわち未変性酵素により生成したポリマーの特性よりも実質的に優れている特性を有するポリマーを生成し;他の種はモル質量が制御されたデキストランおよびイソマルト−オリゴ糖を生成する。イソマルトースは少なくとも1つのトランケートおよび突然変異したデキストランスクラーゼにより生成される。
【0016】
本発明のさらなる態様は以下の記述および実施例または好ましい実施から明らかになる。
【0017】
発明の要旨
第一の態様では、本発明は、図1に記載のヌクレオチド配列(配列番号1)、図2に記載のヌクレオチド配列(配列番号2)、図3に記載のヌクレオチド配列(配列番号3)、図4に記載のヌクレオチド配列(配列番号4)、図5に記載のヌクレオチド配列(配列番号5)、配列番号1、2、3、4もしくは5を有する配列の1つとの相補的配列、またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号1、2、3、4もしくは5を含む配列とハイブリダイズする配列であって、ただしデキストランスクラーゼ酵素活性を保持している配列から本質的になる、またはそれからなるヌクレオチド配列に関する。
【0018】
さらなる態様では、本発明は、配列番号1の位置373〜位置4269にあるフラグメント(配列番号17)、配列番号2の配列の位置373〜位置4005にあるフラグメント(配列番号18)、配列番号3の配列の位置373〜位置3408にあるフラグメント(配列番号19)、配列番号4の配列の位置373〜位置3018にあるフラグメント(配列番号20)および配列番号5の配列の位置373〜位置4269にあるフラグメント(配列番号21)から選択されたヌクレオチド配列から本質的になる、あるいはそれからなるデキストランスクラーゼのヌクレオチド配列に関する。
【0019】
本発明はまた、配列番号1の位置373〜位置4269のヌクレオチドにあるフラグメントの相補的ヌクレオチド配列、配列番号2の位置373〜位置4005のヌクレオチドにあるフラグメントの相補的ヌクレオチド配列、配列番号3の位置373〜位置3408のヌクレオチドにあるフラグメントの相補的ヌクレオチド配列、配列番号4の位置373〜位置3018のヌクレオチドにあるフラグメントの相補的ヌクレオチド配列、および配列番号5の位置373〜位置4269のヌクレオチドにあるフラグメントの相補的ヌクレオチド配列から選択されるヌクレオチド配列から本質的になる、あるいはそれからなるヌクレオチド配列に関する。
【0020】
本発明はまた、配列番号1の配列の位置373〜位置4269にあるフラグメント、配列番号2の配列の位置373〜位置4005にあるフラグメント、配列番号3の位置373〜位置3408にある配列のフラグメント、配列番号4の配列の位置373〜位置3018にあるフラグメント、および配列番号5の配列の位置373〜位置4269にあるフラグメントから選択されるヌクレオチド配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列であって、ただしその配列はデキストランスクラーゼ酵素活性を保持し、それとハイブリダイズする該ヌクレオチド配列は同数のヌクレオチドを有し、フラグメントの全長にわたってハイブリダイズするヌクレオチド配列に関する。
【0021】
さらに別の態様では、本発明は、配列番号6〜10もしくは22〜26のいずれか1つの連続的アミノ酸配列から本質的になる、またはそれからなるタンパク質をコードするヌクレオチド配列に関する。
【0022】
一層さらなる態様では、本発明は、ベクター、例えばプラスミド、ならびに前記ベクターによって形質転換され、トランケートおよび/または突然変異したデキストランスクラーゼ、特に実施例の変異体由来の核酸の該配列を含む宿主細胞に関する。
【0023】
本発明の一層さらなる態様では、本発明は、配列番号6の位置125のアミノ酸〜位置1423のアミノ酸にあるフラグメント(配列番号22)、配列番号7の位置125のアミノ酸〜位置1335のアミノ酸にあるフラグメント(配列番号23)、配列番号8の位置125のアミノ酸〜位置1136のアミノ酸にあるフラグメント(配列番号24)、配列番号9の位置125のアミノ酸〜位置1006のアミノ酸にあるフラグメント(配列番号25)、および配列番号10の位置125のアミノ酸〜位置1423のアミノ酸にあるフラグメント(配列番号26)から選択される前記トランケートおよび/または突然変異したデキストランスクラーゼヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質に関する。
【0024】
さらに本発明は、特に、配列番号6の位置125のアミノ酸〜位置1423のアミノ酸にあるフラグメント(配列番号22)、配列番号7の位置125のアミノ酸〜位置1335のアミノ酸にあるフラグメント(配列番号23)、配列番号8の位置125のアミノ酸〜位置1136のアミノ酸にあるフラグメント(配列番号24)、配列番号9の位置125のアミノ酸〜位置1006のアミノ酸にあるフラグメント(配列番号25)、および配列番号10の位置125のアミノ酸〜位置1423のアミノ酸にあるフラグメント(配列番号26)から選択される本明細書に記載の配列の1つから本質的になる、あるいはそれからなるトランケートおよび/または突然変異したデキストランスクラーゼに関する。
【0025】
さらなる態様では、本発明は、デキストランスクラーゼを発現させる条件下でトランケートおよび/または突然変異したデキストランスクラーゼを含む宿主細胞を培養し、培地から該デキストランスクラーゼを単離することによる突然変異および/またはトランケートしたデキストランスクラーゼの調製に関する。
【0026】
本発明はまた、本発明の突然変異および/またはトランケートしたデキストランスクラーゼとスクロース、場合によりアクセプターとを反応させて、モル質量が制御されたデキストランおよび/またはイソマルト−オリゴ糖(IMO)を生成し、イソマルトースを含む、モル質量が制御された該デキストランまたはIMOを得る方法に関する。
【0027】
本質的にスクロース由来のIMOを直接的に生成する方法はまた、本発明の態様を構成する。本明細書で使用する用語「本質的に」は、アクセプターが必ずしも反応に使用される必要がないことを意味している。
【0028】
本発明の高モル質量デキストランは、未変性酵素、特に非ニュートン性、繊維性の特性および/またはゲル化特性により合成されたデキストランの特性と比較してレオロジー特性が改変されている。
【0029】
最終的に、本発明は前記デキストランスクラーゼを使用して得られるデキストラン含有組成物、ならびに342〜10Daの範囲でモル質量を制御したデキストランおよびイソマルト−オリゴ糖を生成するための該デキストランスクラーゼの使用に関する。より正確には、本発明は(i)イソマルトース(342Da)、(ii)342〜5,000Daのイソマルト−オリゴ糖、(iii)1,300〜52,000Da、より正確には5,000〜22,000Da、中間がおよそ10,000Daであるようにサイズが制御されたデキストラン、(iv)7,000〜1.7×10Da、より正確には22,000〜70,000Da、中間がおよそ40,000Daであるようにサイズが制御されたデキストランを生成する。
【0030】
好ましい実施態様の詳細な説明
本明細書で使用した用語「デキストランスクラーゼ酵素活性を有する酵素」は、α−1,6結合で結合し、342〜10Daの範囲のサイズであるグリコシル単位を、50%を越えて含むオリゴシドおよびポリオシドへと、より詳しくは、α−1,6結合が95%を超えるデキストランおよびイソマルト−オリゴ糖へとスクロースを変換することを触媒する酵素を意味する。この変換はマルトース、グルコース、イソマルトースまたはフルクトースまたはイソマルト−オリゴ糖などの外部アクセプターの存在下または非存在で行ってもよい。マルトース、イソマルトースおよびグルコースは本発明の好ましいアクセプターである。本発明のデキストランスクラーゼの酵素活性は実施例で記述したとおりに測定してよい。
【0031】
本明細書に使用する用語「ヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド」、「核酸」および「オリゴヌクレオチド」は同義であり、単鎖または二重鎖の形態の2種以上のヌクレオチドを有するRNA、DNA、DNA/RNA配列を含むがこれらに限定されない。本発明のポリヌクレオチド配列は、限定されないが任意の組換え合成法および任意のエクスビボ産生法、かつそれらの方法の組み合わせなどの任意の公知の方法で調製してよい。
【0032】
本明細書で使用する用語「トランケートされた」はアミノ酸配列または核酸配列のNまたはC末端の少なくとも1つを短くしたことを意味する。短縮は制限酵素、タンパク質分解酵素を使用して、またはヌクレオチド配列の特異的増幅、特にPCRなど合成的に行ってよい。
【0033】
本明細書で使用する用語「精製デキストランスクラーゼ」は、その調製においてデキストランスクラーゼ活性形態を1つしか持たず、タンパク質純度は少なくとも70%または85%または95%であるデキストランスクラーゼを意味する。
【0034】
本明細書で使用する用語「興味深い独自のテクスチャー特性」は、同じ条件下で未変性酵素により合成したデキストランと比較して、例えば非ニュートン性挙動、特にゲルまたは繊維型挙動を示す本発明のデキストランのレオロジー特性を意味する。「ゲル型ポリマー」は本明細書では、エネルギー保持(G’)およびエネルギー散逸(G”)率を検出する力学的モードのレオロジー測定で特徴づけする。ゲルでは、研究した周波数全域にわたってG’はG”より高く、このことは実施例5で明らかになる。繊維性特性は裸眼で同定可能である。実施例5でもわかるように、剪断応力の第2系列を付与した後に、本発明の繊維性デキストランは溶液型挙動からゲル型挙動へと変化する。
【0035】
本明細書で使用する以下の略称は以下の意味を有する:DSR−SはL.メゼンテロイデスNRRL B−512F由来のデキストランスクラーゼ;DPは重合度;HMWは「高モル質量」、IMWは「中間モル質量」、IMWポリマーは、濃度が低いことからHPSECによる分離が困難である、サイズが1,000〜10Daの範囲の高度多分散ポリマーである。LMWポリマー(低モル質量)は、本発明にしたがって、750〜70,000Daで中間がおよそ10,000Da、または2,000〜1.7×10Daで中間がおよそ40,000Daの範囲で、はるかに高度かつ容易に検出される集団である。
【0036】
本明細書で使用する用語「10,000Daデキストラン」は、サイズが1,300〜52,000Daの範囲にあり、より正確には5,000〜22,000Daであり、中間が約10,000Daのピーク最高値であるデキストランの集団を意味する。特徴づけの際、ゲル透過で得られた溶出ピークの塩基は1,300〜52,000Daの範囲であり、溶出ピークの半分の高さで推定したモル質量の範囲は5,000〜22,000Daの範囲であり、ピークは中間にあり、そのピーク高はおよその質量で10,000Daであった。モル質量がピークの半分の高さで表された場合、デキストラン集団のうち少なくとも50%が指示範囲内に収まっていた。
【0037】
本明細書で使用する用語「40,000Daデキストラン」は、サイズが7,000〜1.7×10Daの範囲にあり、より正確には22,000〜70,000Daであり、中間が約40,000Daのピーク最高値であるデキストランの集団を意味する。特徴づけの際、ゲル透過で得られた溶出ピークの塩基は7,000〜1.7×10Daの範囲であり、溶出ピークの半分の高さで推定したモル質量の範囲は22,000〜70,000Daの範囲であり、ピークは中間にあり、約40,000Daの質量であった。モル質量がピークの半分の高さで表された場合、デキストラン集団のうち少なくとも50%が指示範囲内に収まっていた。
【0038】
IMOはイソマルト−オリゴ糖を意味する。
【0039】
本明細書で使用し、核酸またはアミノ酸に関連して使用する場合の用語「本質的に〜からなる」は、他の主要でない成分または分子がアミノ酸配列または核酸配列とともに存在する可能性があることを意味する。核酸配列は配列識別番号で示されたものと全く同じ長さであるが、NおよびC末端で3〜12個分のヌクレオチドが過剰にある場合がある。同様に、アミノ酸配列は配列識別番号で示されたものと全く同じ長さであるが、NまたはC末端で1〜4個分のアミノ酸が過剰に付加されている場合がある。これらの過剰なアミノ酸は酵素活性に全く影響を及ぼさない。
【0040】
より具体的には、本発明はトランケートしたデキストランスクラーゼもしくは突然変異したデキストランスクラーゼをコードする核酸、その配列のすべてもしくは一部と相補的な配列、またはデキストランスクラーゼ酵素活性が保持されるのであれば上記の配列の1つと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列に関する。当然のことながら、それにハイブリダイズするヌクレオチド配列が同数のヌクレオチドを有し、フラグメントの全長にわたってハイブリダイズする。
【0041】
本明細書で使用する用語「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、Sambrookら、Molecular Cloning Manual, 3rd edition (2001)に記述する条件を意味し、すなわち、以下の条件を一例として挙げる:ハイブリダイゼーションバッファー:2×SSC、10×デンハルト溶液(Ficoll 400&PEG&BSA、割合1:1:1)、0.1%のSDS、5mMのEDTA、50mMのNaHPO、250μg/mlのニシン精子DNA、50μg/mlのt−RNAまたは0.25MのpH7.2のリン酸ナトリウムバッファー、1mMのEDTA、7%のSDS;
ハイブリダイゼーション温度:60℃;
洗浄バッファー:2×SSC、0.1%SDS;
洗浄温度:60℃。
【0042】
ストリンジェントな条件下で本発明の核酸とハイブリダイズする核酸分子は、原則として細菌、グラム陽性細菌、および本発明の1つの態様ではロイコノストック属、ストレプトコッカス属またはラクトバチルス属などの任意の微生物由来のデキストランスクラーゼをコードする可能性がある。
【0043】
本発明は、配列番号1〜配列番号5および配列番号17〜21の配列と少なくとも70%または80%または90%の配列同一性を有するデキストランスクラーゼタンパク質をコードする核酸であって、但し、該配列によってコードされるタンパク質がデキストランスクラーゼ酵素活性を有する核酸に関する。
【0044】
別の態様では、本発明は、配列番号6〜10または22〜26のいずれか1つの連続的なアミノ酸配列から本質的になる、またはそれからなるタンパク質をコードするヌクレオチド配列に関する。
【0045】
本発明のさらなる態様では、本発明の配列に相補的な配列、またはストリンジェントな条件下で該配列とハイブリダイズする配列であって、ただしデキストランスクラーゼ酵素活性が維持されている配列、も本発明に包含される。
【0046】
基本的なヌクレオチド配列(配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4または配列番号5)からの誘導であり、ここでは該配列は、配列番号1の配列の位置373〜位置4269にあるフラグメント、配列番号2の配列の位置373〜位置4005にあるフラグメント、配列番号3の配列の位置373〜位置3408にあるフラグメント、配列番号4の配列の位置373〜位置3018にあるフラグメント、および配列番号5の配列の位置373〜位置4269にあるヌクレオチドのフラグメントから選択され、該配列に相補的な配列、またはストリンジェントな条件下で該配列とハイブリダイズする配列であって、ただしデキストランスクラーゼ酵素活性が維持されている配列は、欠失、置換、挿入または組換えにより、例えば;当技術分野で周知であり、例えば前記Sambrookらが記述している前記工程および形質転換により生成してよい。
【0047】
本明細書において当然のことながら、上述の配列のいずれかに任意に欠失、置換、挿入または組換えが起こっても、配列によってコードされたタンパク質はそのデキストランスクラーゼ酵素活性を維持しなければならない。したがって1〜132、好ましくは2〜60個のヌクレオチド、より好ましくは15〜36個のヌクレオチド、さらにより好ましくは12〜27個のヌクレオチドを、例えば欠失、置換、挿入または組換えによって修飾してもよい。本発明によると、ヌクレオチドの90%、好ましくは95%が変化しないままで存在する。
【0048】
デキストランスクラーゼ酵素活性は本出願の方法の項および実施例に記述したとおり、測定することが可能である。
【0049】
プローブまたはプライマーとして使用してよいオリゴヌクレオチドは、例えば配列番号1〜配列番号5であり、あるいは配列番号1の配列の位置373〜位置4269にあるフラグメント、配列番号2の配列の位置373〜位置4005にあるフラグメント、配列番号3の配列の位置373〜位置3408にあるフラグメント、配列番号4の配列の位置373〜位置3018にあるフラグメント、および配列番号5の配列の位置373〜位置4269にあるヌクレオチドのフラグメント、から選択されたヌクレオチド配列である。
【0050】
プローブおよびプライマーの長さはその用途により可変である。一般に、それらは少なくとも25個のヌクレオチドを必ず有しており、記述したデキストランスクラーゼ配列のすべて、3,869個のヌクレオチドなどを含んでいる場合がある。長さは例えば25〜150個のヌクレオチド、25〜800個のヌクレオチドまたは25〜3000個のヌクレオチドの範囲でも可変である。
【0051】
プライマーの長さは概して18〜25個のヌクレオチドであるが、想定した用途によってはさらに長くなる可能性もある。本発明に使用可能なプライマーの例としては以下が挙げられる:
【表1】

【0052】
ヌクレオチドの5’および3’末端位置にあるプライマーはデキストランスクラーゼ(配列番号11〜15)および突然変異配列の5’および3’部位(配列番号16)をコードすることは留意されたい。しかし当業者はこれらの配列をそれぞれ使用し、連続的なヌクレオチドを用いてプライマーまたはプローブを生成することができる。さらに、プローブとして使用されるこれらのヌクレオチド配列は、特に放射活性、酵素標識、蛍光標識によりタグ化してよい。
【0053】
原核または真核細胞を遺伝子操作するために、本出願の核酸または本出願の核酸の一部をヌクレオチド配列の組換えにより配列の突然変異または修飾を可能にするプラスミドに導入してよい。これらの技術を使用する標準法は当業者に公知であり、特に、上述のSambrookらに報告されている。またDNAフラグメントは互いにアダプターまたは連結部位により結合可能で、好適な制限酵素を使用して特定のDNA配列を除去することが可能である。突然変異誘発、プライマー復元後の制限法または結紮法などの方法を使用し、適切な挿入、欠失、または必要なもしくは所望の置換により目的の配列を得ることが可能である。
【0054】
さらに、核酸をコードする明確なタグを本発明の核酸配列のNまたはC末端に付着させてよい。それらはポリHis、c−mycエピトープもしくはHAタグなどのペプチド、または細菌性GST、MBP(マルトース結合タンパク質)、チオレドキシン、β−ガラクトシダーゼ、VSV−糖タンパク質等の小さいタンパク質であってよい。
【0055】
他のタンパク質タグをコードする特定の核酸はHis−タグ、T7タグ、S−タグ、「フラッグ」ペプチド、trpE、アビジン/ストレプトアビジン、ブドウ球菌AまたはGタンパク質、ジヒドロ葉酸還元酵素、セルロース結合ドメイン、ポリシステイン、ポリフェニルアラニン等であり、本発明で使用してもよい。
【0056】
本発明の一態様にしたがって、チオレドキシンをコードする核酸をN末端核酸配列に融合させる。6×Hisタグをコードする核酸を核酸配列の3’末端に融合させる。
【0057】
本発明の核酸は、(1)プロモーターや増幅因子などの遺伝子発現調節子、(2)mRNAに転写され、対応するタンパク質に翻訳されるコード配列または構造配列、および(3)適切な開始および終止シグナル、を含む転写単位に連結してよい。
【0058】
多数の好適な発現制御配列が当技術分野で公知である。組換えタンパク質を発現する一般法も公知であり、R Kaufman, Methods in Enzymology 185, 537-566 (1990)の文書が例として挙げられる[17]。
【0059】
本発明のベクターに使用可能なプロモーター領域には、lacL、lacZ、T3、T7、gpt、ラムダPR、treおよびaraが挙げられる。
【0060】
本発明はまた、ベクター、特にプラスミド、コスミド、ウイルス、バクテリオファージ、ならびに遺伝子工学分野で公知であり、本発明の一態様では本出願の核酸配列を含み、プラスミドであり、DSR−S vardel Δ4N、DSR−S vardel Δ3、DSR−S vardel Core、DSR−S Core ΔAおよびDSR−S vardel Δ4N SEV663YDAから選択された、他のベクターに関する。
【0061】
本発明の核酸は原核または真核細胞で発現させてよい。引用される可能性のある該細胞の非限定的例として、VERO細胞、ATCC No CCL3などのHELA細胞、ATCC CCL61などのCHO細胞系、COS−7などのCOS細胞およびATCC No CR細胞:1650、W138、BHK、HepG2、ATCC No CRL6361、A549、PC12、K562、293細胞などの3T3、ATCC No CRL 1711などのSf9細胞、ATCC No CCL70などのCv1細胞ならびにATCC Tib152などのJRKAT細胞が挙げられる。
【0062】
本出願で使用可能な非限定的細胞には、大腸菌(Eschierichia coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)またはシュードモナス(Pseudomonas)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属およびブドウ球菌(Staphylococcus)属の株などの原核宿主細胞の株、もしくは寄生生物アピコンプレクサ(Apicomplexan)(マラリア原虫(Plasmodia)、トキソプラズマ(Toxoplasma)、クリプトスポリジウム(Cryptosporidia))、リーシュマニア(Leishmania)またはトリパノソーマ(Trypanosoma)などの真核宿主細胞の株が挙げられる。
【0063】
他の適切な細胞を本発明に使用してもよく、特にサッカロマイセス(Saccharomyces)、例えばサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)またはサッカロマイセス・ポンベ(Saccharomyces pombe)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)などの酵母細胞および真核細胞(植物細胞、CHO細胞等)が挙げられる。
【0064】
さらなる態様では、本発明の核酸を発現するのに使用する細胞は大腸菌および、例えばJM109、BL21(DE3)pLysS、TOP10またはPir1から選択される株である。サッカロマイセス・セレビシエのINVsc株を使用してもよい。
【0065】
本発明は、上述の核酸配列または上述のベクターで形質転換した宿主細胞、および形質転換細胞由来であり本明細書に記載のベクターまたは核酸配列を含む細胞に関する。
【0066】
引用してもよいこのような宿主細胞の例として、トランケートおよび/または突然変異したデキストランスクラーゼが生成される可能性がある大腸菌が挙げられる。このような宿主細胞の調製は当技術分野で公知である。
【0067】
本発明の核酸分子によってコードされる、タンパク質および該タンパク質と突然変異タンパク質の生物活性的フラグメント、ならびにこれらの調製法も本発明の範囲内にある。
【0068】
よって本発明は突然変異および/またはトランケートしたデキストランスクラーゼの調製法であって、以下の工程:
(a)上述の核酸配列または上述のベクターにより、デキストランスクラーゼの発現を可能にする条件下で形質転換した宿主細胞を培養する工程;および
(b)培地から該デキストランスクラーゼを単離する工程
を含む方法に関する。
【0069】
より具体的には、核酸配列は、配列番号1の位置373〜位置4269、配列番号2の配列の位置373〜位置4005にあるフラグメント、配列番号3の配列の位置373〜位置3408にあるフラグメント、配列番号4の配列の前駆体373〜位置3018にあるフラグメント、および配列番号5の配列の位置373〜位置4269にあるフラグメント、該配列の相補的配列、およびストリンジェントな条件下で該配列とハイブリダイズする配列であって、ただしデキストランスクラーゼ酵素活性が保持されている配列、から選択してよい。
【0070】
単離後に本発明のデキストランスクラーゼを精製してもよい。この点において、通常の精製法を使用してよく、沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、疎水性交換型クロマトグラフィー、ゲルろ過、逆相HPLC、相偏析等が挙げられる。本発明の一態様では、本発明の突然変異またはトランケートしたデキストランスクラーゼは、チオレドキシンおよび6×Hisタグの存在を考慮して、ニッケルを充填した樹脂を使用して精製してよい。
【0071】
本発明の別の態様は、配列番号6〜10から選択されるアミノ酸配列、または配列番号6の位置125のアミノ酸〜位置1423のアミノ酸にあるフラグメント、配列番号7の位置125のアミノ酸〜位置1335のアミノ酸にあるフラグメント、配列番号8の位置125のアミノ酸〜位置1136のアミノ酸にあるフラグメント、配列番号9の位置125のアミノ酸〜位置1006のアミノ酸にあるフラグメント、および配列番号10の位置125のアミノ酸〜位置1423のアミノ酸にあるフラグメント、から選択されるアミノ酸配列から本質的になる、あるいはそれからなるデキストランスクラーゼタンパク質に関する。
【0072】
上記で説明した配列番号1〜配列番号5のヌクレオチド配列または該配列のフラグメントの1つによってコードされたタンパク質は、本発明の別の実施態様である。
【0073】
相同アミノ酸配列、すなわち上記で定義した配列との類似度が酵素活性を維持するに十分である配列もまた、本願の対象に含まれる。よって、BlastおよびFastaプログラムを使用して類似性を調査してもよい。酵素活性を維持しながらデキストランスクラーゼのNおよびC末端をトランケートできることが本明細書で明らかになったことから、単一完全配列のみならずトランケート配列に対しても配列類似性を考えることはできない。よって本発明は、完全配列と80%、90%または98%の配列類似性がある任意の配列、ならびにトランケート配列の1つと80%、90%または98%の配列類似性がある配列であって、ただし酵素活性が維持されている配列に関する。
【0074】
より具体的には、本発明は、配列番号6〜10と、90%、95%または98%オーダーの類似度を有する配列、または配列番号6の位置125のアミノ酸〜位置1423のアミノ酸、配列番号7の位置125のアミノ酸〜位置1335のアミノ酸、配列番号8の位置125のアミノ酸〜位置1136のアミノ酸、配列番号9の位置125のアミノ酸〜位置1006のアミノ酸、および配列番号10の位置125のアミノ酸〜位置1423のアミノ酸のフラグメントから選択されるアミノ酸配列に関しており、但しこれらのタンパク質は該デキストランスクラーゼの酵素活性を有している。明らかに、上記で定義した特異的同一性を有するアミノ酸配列は大多数が保存的にアミノ酸置換されている。
【0075】
保存的アミノ酸置換は同じ種類のアミノ酸置換を含む。これらの種類は例えば、Asn、Gln、Ser、ThrまたはTyrなどの非荷電極性側鎖を有するアミノ酸;His、LysまたはArgなどの塩基性側鎖を含むアミノ酸;GluまたはAspなどの酸性側鎖を含むアミノ酸、およびAla、Gly、Leu、Val、Ile、Phe、CysまたはTrpなどの非極性側鎖を含むアミノ酸を含む。
【0076】
さらに、アミノ酸が置換されたデキストランスクラーゼの酵素活性に関し、これは実施例に示したとおりに試験することが可能であるが、活性もHPLC分析により、あるいはアミノ酸変化がタンパク質機能に影響を与える方式について通常通りに予測して、評価することが可能である。
【0077】
さらなる態様では、アミノ酸配列を本明細書に示していることから、タンパク質はR B Merrifieldの方法、1963[20]を使用して合成してよい。この理由で、合成したデキストランスクラーゼタンパク質は本発明の別の態様を構成する。
【0078】
本発明はまた、位置663、664および665にあるセリン、グルタミン酸およびバリンがそれぞれチロシン、アスパラギン酸およびアラニンへと改変されたDSR−S vardel Δ4Nの突然変異体SEV663YDAという突然変異デキストランスクラーゼに関する。
【0079】
グルコースなどのアクセプターを反応培地に添加した場合に得られるものと同等の収率で、基質としてのみスクロースを使用して、スクロースからイソマルトースを合成するためにこの突然変異体を使用してよい。
【0080】
この理由で、本発明はスクロースから直接イソマルトースを生成する方法で、配列番号10を有する突然変異体デキストランスクラーゼとスクロースとを反応させ、イソマルトースを生成する工程を含む該方法に関する。
【0081】
前述したタンパク質タグを含む融合タンパク質はまた本発明の一部を形成する。この点では、本発明の突然変異および/またはトランケートしたタンパク質は少なくとも1つのタンパク質タグと融合してよい。
【0082】
本発明のトランケートしたデキストランスクラーゼを使用してL.メゼンテロイデスNRRL B−512Fの未変性DSR−Sにより合成したデキストランと比較してレオロジー特性が改変された、高モル質量(約10〜10Da)デキストランの調製は本発明の別の態様である。
【0083】
より具体的には、デキストランスクラーゼを分泌する微生物または細胞内方式でデキストランスクラーゼを生成する微生物の細胞抽出物はスクロース含有培地で培養し、または使用してよく、結果としてイソマルトース(342Da)、(ii)342〜5,000Daのイソマルト−オリゴ糖、(iii)サイズが1,300〜5,200Daに制御され、中間がおよそ10,000Daであるデキストラン、(iv)サイズが7,000〜1.7×10Daに制御され、中間がおよそ40,000Daであるデキストラン、および(v)2×10Da〜10Daの高モル質量であるデキストランが合成される。これらの化合物は、限外ろ過、ナノろ過、アルコール沈殿、液体クロマトグラフィー等の従来法による培地から単離してよい。
【0084】
あるいは、本発明に記載のトランケートおよび/または突然変異したデキストランスクラーゼを精製し、モル質量を制御したデキストランの生成法に使用してよい。
【0085】
よって、本発明は、モル質量を制御したデキストランおよび/またはイソマルト−オリゴ糖を生成する方法に関するものであり、この方法は、上記で定義した配列番号6〜配列番号10のヌクレオチド配列より選択した配列から本質的になる、あるいはそれからなる突然変異および/またはトランケートしたデキストランスクラーゼを少なくともスクロース、および場合によりアクセプターと反応させる工程を含む。
【0086】
本発明はまた、イソマルトースの生成法、本質的に配列番号10の配列を有する突然変異および/またはトランケートしたデキストランスクラーゼをスクロースと反応させる工程を含む方法に関する。本発明はまた、興味深いテクスチャー特性を有するデキストランの生成法、突然変異および/またはトランケートしたデキストランスクラーゼを配列番号6の配列と反応させる工程を含む方法に関する。
【0087】
本発明は本明細書に記述した方法で得られる可能性のある本出願で定義した特徴を有するデキストランおよびイソマルト−オリゴ糖に関する。これらの特徴的な特性には、高モル質量デキストランが非ニュートン性挙動、およびゲル特性または繊維特性の性質を有し、剪断応力の第2系列を付与した後に溶液型挙動からゲル型挙動に変化するという特性を有するという事実が含まれる。
【0088】
実施例で明らかになるように、好都合にも異なるレオロジー特性は、酵素が精製してあるか否かによって得られる可能性がある。
【0089】
本発明の酵素的に生成したデキストランは、医薬産業における補助剤として、血漿代用薬、布地または塗料の添加剤として、化粧品に、肥料産業に、ならびにテクスチャー剤として、例えばアラビアゴムまたはゲル化剤の代用物として使用してよい。本発明はまた、本発明のデキストランおよびIMOを含む組成物に関する。
【0090】
本出願のデキストランおよびイソマルト−オリゴ糖の1つの重要な用途はプレバイオティクスとしての使用である。これらの生成物は完全には代謝されず、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacteria)および乳酸桿菌(Lactobacilli)などの適切な細菌種により結腸内で選択的に発酵する。
【0091】
オリゴ糖は、ヒトもしくは動物の食料用に、医薬産業で、化粧品産業で、または甘味料、安定剤もしくは充填剤として従来から使用されてきた[21]。この15年間、特定の非消化分子のプレバイオティクス特性に対して活性の新たな分野が開発されている[23]。プレバイオティクスとしてオリゴ糖は、消化酵素による攻撃に耐性を有し、腸内のビフィドバクテリウム属および乳酸桿菌を主として「健康に良い」細菌の増殖を促進するという能力に関して興味深い。この考えは、急速に人気を博している市販のプレバイオティクス製品が出現したことにより刺激された。フルクト−オリゴ糖、ラクチュロース、ガラクト−オリゴ糖、キシロ−オリゴ糖、大豆抽出オリゴ糖、または生物学的プロセスにより、もしくは植物からの抽出により通常得られるイソマルト−オリゴ糖などのオリゴマーも有望である。現在この分野の研究は、第2世代プレバイオティクスと称する新規のオリゴ糖構造を生成することを中心に行われており、これは新規の物理化学的特性および、より特異的な生物活性を有するはずである[18]。
【0092】
さらなる態様では、本発明は、本発明のデキストランスクラーゼから得たデキストランを含む組成物および医薬的に許容され得るビヒクルまたは食品品質ビヒクルに関する。
【0093】
許容され得るビヒクルは、例えばアジュバント、塩等から選択してよく、アジュバントはムラミルペプチド、ミョウバン、モンタニド等から選択してよい。突然変異および/またはトランケートしたデキストランスクラーゼは、精製タンパク質、組換え法で生成したタンパク質または合成的に生成したタンパク質であってよい。
【0094】
デキストランおよび/またはIMOの生成法に関し、使用の際の好ましいアクセプターはグルコース、イソマルトース、マルトースおよびイソマルト−オリゴ糖である。
【0095】
モル質量を制御したイソマルト−オリゴ糖を生成する方法には、本質的に配列番号7、8、9または10の配列からなる突然変異および/またはトランケートしたデキストランスクラーゼをスクロースと反応させる工程が含まれることが好ましい。よって重合度は2〜60グルコシル単位(DP2〜DP60)の範囲で変化する。
【0096】
生成反応は4℃〜80℃、好ましくは4℃〜40℃の範囲の温度で起こる。
【0097】
配列が配列番号7、配列番号8または配列番号9である場合、温度は4℃〜15℃、好ましくは8℃〜12℃であることが好ましく、サイズを制御してデキストランを生成するため、温度は10℃オーダーであることがより好ましい。さらに、この配列のために、温度は約8℃〜約25℃の範囲であることが好ましく、IMOを合成するためには20℃オーダーであることがより好ましい。
【0098】
さらに、配列が配列番号6または配列番号10である場合、温度は15℃〜45℃、好ましくは17℃〜30℃であることが好ましく、20℃〜25℃オーダーであることがより好ましい。
【0099】
さらに、スクロース濃度は10〜600g/l、好ましくは75〜400g/l、より好ましくは90〜280g/lである。
【0100】
配列が配列番号7、配列番号8または配列番号9である場合、培地におけるスクロースの濃度は250g/lオーダーが好ましい。
【0101】
さらに、配列が配列番号6または配列番号10である場合、スクロースの濃度は100g/lオーダーでよい。
【0102】
さらに必要に応じて、スクロース/アクセプター重量比はおよそ0.5〜12、好ましくは1〜4、より好ましくは約2オーダーでよい。
【0103】
本発明の方法では、デキストランスクラーゼは遊離形態であるか、あるいは支持体に固定している。前記固定は、例えば吸着、封入または共有結合によって行われる可能性がある。
【0104】
最終的に、本方法を実行するため、pHは3.0〜10.0、好ましくは4.0〜7.0、より好ましくは4.5〜6.0、さらにより好ましくは約5.2の範囲である。
【0105】
本発明の他の態様は以下の実施例の研究から明らかになる可能性がある。
【0106】
実施例1:変異体の構築
L−アラビノースプロモーターの制御下でトランケートおよび/または突然変異したdsrS遺伝子をクローン化および発現するために、pBad/TOPO Thiofusionベクター(Invitrogen)を使用した。それにより遺伝子はC末端で6×Hisタグに、およびN末端でチオレドキシンタグに融合する。
【0107】
マトリックスとして使用するため、L.メゼンテロイデスNRRL B−512F由来ゲノムDNAを「Blood and Cell culture DNA maxi」キット(Qiagen)を使用して抽出した。株はNCAUR collection, Peoria, IL, USAから入手する。
【0108】
トランケートおよび/または突然変異したdsrS遺伝子を発現するために、One Shot TOP10細胞(Invitrogen)を使用した。制限酵素をNew England Biolabsから購入し、メーカーの取扱説明書にしたがって使用した。DNAをQiagenの「QIAquick」(PCRおよびゲル抽出による精製)および「QIAprep」(プラスミド精製)キットを用いて精製した。
【0109】
L.メゼンテロイデスNRRL B−512F由来ゲノムDNAからDSR−S遺伝子をPCR増幅させ、変異体を「Expand High fidelity」ポリメラーゼ(Roche)および以下のプライマー(5’→3’方向)を使用して構築した:
1 pBadおよびDSR−S vardelプライマー:
【表2】


およびPBad Δ4N:
【表3】


を使用してDSR−S vardel Δ4Nを構築した。それにはDSR−Sのアミノ酸T152〜S1450が含まれていた。
2 pBadおよびDSR−S vardelプライマー:
【表4】


およびPBad Δ3:
【表5】


を使用してDSR−S vardelΔ3を構築した。それにはDSR−Sのアミノ酸T152〜G1362が含まれていた。
3 PBadおよびDSR−S vardelプライマー:
【表6】


およびPBad Core:
【表7】


を使用してDSR−S vardel Coreを構築した。それにはDSR−Sのアミノ酸T152〜G1162が含まれていた。
4 PBad DSR−S catプライマー:
【表8】


およびPBad Core:
【表9】


を使用してDSR−S Core ΔAを構築した。それにはDSR−Sのアミノ酸G282〜G1162が含まれていた。
5 「mega primer」技術[33、21]およびDNAポリメラーゼPfu(Strategene)を使用する定方向突然変異誘発により、突然変異体DSR−S vardel Δ4N SEV663YDAを構築した。DSR−S vardel Δ4NプラスミドマトリックスおよびSEV663YDAプライマーペア:
【表10】


およびBstBI制限部位(下線部)を含むrev:
【表11】


を使用して第一のPCR反応を行った。その後、SpeI制限部位を含むforwプライマー:
【表12】


による第二のPCRにおいて、逆メガプライマーとしてPCR産物を使用した。その後,メーカーの条件(New England Biolabs)にしたがって第二PCR産物を2つの制限酵素SpeIおよびBstBIで消化し、同じ酵素であらかじめ消化したpBad DSR−S vardel Δ4Nベクターへクローン化した。陽性クローン(この場合、SacI部位)を選択するために、単一制限部位を導入するようにSEV663YDAプライマーを設計した。
【0110】
変異体DSR−S vardel Δ4N、DSR−S vardel Δ3、DSR−S vardel CoreおよびDSR−S Core ΔAの各々の一次構造は図6で図式的に示す。
【0111】
実施例2:大腸菌における変異体の生成
DSR−Sはアルカリ性pH条件下では不安定であることが知られており[3]、100mNのTris−HClでpHを6.4に緩衝した2×YT培地で、バッフル付エルレンマイヤーフラスコ中で培養を行った。
【0112】
培地2×YTの組成物:
バクトトリプトン 16g/l
酵母エキス 10g/l
NaCl 5g/l
Tris 12.1g/l
【0113】
pBad DSR−S vardel Δ4NおよびpBad DSR−S vardel Δ4N SEV663YDAプラスミドを有する大腸菌TOP10細胞を23℃で培養した。細胞が増殖し、OD600nmが0.2で誘導因子が0.002%(w/v)になったときにLアラビノース誘導を行った。細胞溶解段階の開始に先だって細胞増殖がプラトー(OD600nmは約3〜3.5)に到達したときに培養を停止した。
【0114】
pBad DSR−S vardel Δ3、pBad DSR−S vardel CoreおよびpBad DSR−S CoreΔAプラスミドを有する大腸菌TOP10細胞の温度を16℃にした。OD600nmが0.2になり、LアラビノースがDSR−S vardel Δ3の場合0.005%(w/v)、DSR−S vardel CoreおよびDSR−S Core ΔAの場合0.02%(w/v)になったときに誘導を行った。細胞溶解段階の開始に先だって細胞増殖がプラトー(OD600nmは約2.5)に到達したときに培養を停止した。
【0115】
培養後、細胞を遠心分離(8,000×g、10分、4℃)で回収し、再懸濁し、酢酸ナトリウムバッファー50mM、pH5.2中でOD600nmが80になるように濃縮し、0.05g/lの1mMCaClおよびフッ化フェニルメタンスルホニル(PMSF)を添加した。超音波処理で細胞を破壊した。その後、再度標本を1回遠心分離(20,000×g、30分、4℃)し、細胞砕片を排除し、超音波処理の上清のみを回収した。
【0116】
SumnerおよびHowell, 1935[22]のジニトロサリチル酸(DNS)法により、抽出物の酵素活性を測定した。酵素ユニットは、所与の温度(場合により4℃〜40℃、より正確には20℃または30℃)で、0.05g/lのCaClおよび100g/lのスクロースを含む酢酸ナトリウムバッファー(50mM)、pH5.2中で、1分間当たり1μモルのフルクトースの形成を触媒する酵素の量として定義する。
【0117】
実施例3:DSR−S vardel Δ4N変異体の精製
DSR−S vardel Δ4Nの様々な酵素型を、大腸菌TOP10の培養中に生成した:大多数の完全型およびC末端における様々な分解型(図7)。これらの分解の原因は不明である。実施例2での生成量は、超音波処理の上清中で約5500U/l培養物に達した(30℃でアッセイした活性)。
【0118】
抽出物中の活性酵素型の数を測定するため、未変性条件または変性条件下で電気泳動ゲルを作成した。ゲル復元後に、100g/lのスクロースを補足した50mMの酢酸ナトリウムバッファー、pH5.2中で一晩、25℃でインキュベートした。次いで活性酵素型はゲル内で移行する先の領域でポリマーを合成した。活性デキストランスクラーゼに合成されたポリマーを特異的に着色する試薬(シッフ試薬)を、過ヨウ素酸ポリマーの一次アルコール機能が酸化した後に使用し、ゲルをこの試薬で染色した。このタイプのゲルはザイモグラムと称する。DSR−S vardel Δ4Nまたはその突然変異体SEV663YDAの場合、2つの高モル質量型のみ活性であることが分かった(結果は示されていない)。しかし完全型のみがチオレドキシンタグも6×Hisタグも有していた。
【0119】
DSR−S vardel Δ4Nの完全型においてのみ存在する6×Hisタグを利用し、ニッケル樹脂(Probond Ni-NTA, Invitrogen)での親和性クロマトグラフィーにより酵素を精製した。
【0120】
精製を4℃で行った。すべてのバッファーには、50mM濃度の酢酸ナトリウム、400mMのNaCl、異なる濃度のイミダゾールが含まれており、pHは7.5に調整した。樹脂を、40mM濃度のイミダゾールを含む8容量のバッファーで平衡化した。20mMのイミダゾールを補足した7容量の酵素抽出物で固定を2時間行い、pHを7.5に調整した。次いで、樹脂を40容量の40mMイミダゾールバッファーで、8容量の60mMで、そして4容量の100mMで洗浄した。最後に、250mM濃度のイミダゾールを含む7容量のバッファーでタンパク質を溶出した。
【0121】
溶出した融合タンパク質を含有する画分を混合し、50mM濃度の酢酸ナトリウム、pH5.2および0.05g/lのCaClを含有するバッファーに対して4℃で一晩透析した。スタンダードとしてBSA(ウシ血清アルブミン)を使用し、マイクロブラッドフォード法(Biorad Laboratories)でタンパク質濃度を測定した。
【0122】
操作の最後に標本の純度を約90%と推定した(図8)。精製したDSR−S vardel Δ4Nタンパク質は非常に強い凝集傾向を示し、白色沈殿が形成され、操作の最後に得られる収率が制限された(表1)。しかし標本の特異的活性は584U/mgのタンパク質と推定され、これは最良と称されている組換えデキストランスクラーゼの特異的活性に相当する。比較により、(L.メゼンテロイデスNRRL B−512Fに発現された)未変性DSR−Sの特異的活性は約170U/mgと推定した[24]。
【0123】
【表13】

【0124】
実施例4:ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列
構築物を配列決定し、対応する配列を図1〜5に示す。
【0125】
実施例5:DSR−S vardel Δ4Nによるデキストランの合成、L.メゼンテロイデスNRRL B−512F由来DSR−Sとの比較
L.メゼンテロイデスNRRL B−512F由来未変性DSR−S、完全組換えDSR−S(超音波処理の上清)およびDSR−S vardel Δ4N(超音波処理の上清および精製した酵素)からデキストランを合成した。
【0126】
合成条件および生成物の分析
実施例1に記述した変異体と同様の原理で、全遺伝子の増幅に適したプライマーを用いて完全組換えDSR−Sを構築した。pBad DSR−Sプラスミドを有する大腸菌TOP10細胞を、DSR−S vardel Δ4N用のプロトコール(実施例2)を使用して培養した。上清には3つの酵素型が含まれ、このうち2つは高活性のモル質量を有していた。
【0127】
サイズが最も大きい型は全体的にDSR−Sを含み;2つの他の型はそのN末端位置で分解した(データなし)。
【0128】
各酵素標本の活性を30℃で測定した。
【0129】
0.05g/lのCaClを含む50mMの酢酸ナトリウムバッファー中の100g/lスクロース溶液と、1単位/mlの酵素とを出発物質として、デキストランを25℃で合成した。スクロース消耗が進行していることがHPAEC−PAD分析によりモニターされ(以下参照)、完全に消費された後、95℃で5分間加熱して(前述のデキストランスクラーゼの完全な変性)、反応を停止した。
【0130】
単糖、二糖およびオリゴ糖に関してはHPAEC−PAD(パルスアンペロメトリック検出法を用いた高性能陰イオン交換クロマトグラフィー)により、また多糖に関してはHPSEC(高性能サイズ排除クロマトグラフィー)により、生成物を分析した。
【0131】
HPAEC−PAD系には、Dionex「Carbopack PA100」4x250mmカラムが装備されていた。150mMの水酸化ナトリウム溶液中での6〜300mM酢酸ナトリウムの28分間の勾配を、流速1ml/分で適用した。金電極およびAg/AgCl pH参照電極を有するDionex ED40モジュールを使用してアンペロメトリーにより検出を行った。
【0132】
溶媒として0.45Mの硝酸ナトリウム+1%(v/v)のエチレングリコールを使用して、0.3ml/分で、Shodex OH-Pack SB-805およびSB-802.5カラムの2つを連続的に使用し、HPSEC系を構成した。カラムおよびプレカラムを70℃に維持し、注入に先だって試料を0.45μmフィルター(Sartorius)でろ過した。検出は屈折率タイプであり、光拡散検出器(Wyatt)と組み合わせてデキストラン質量を測定した。
【0133】
グルコース、フルクトースおよびロイクロース(スクロース異性体)の重量濃度をHPAEC−PAD分析で測定した。グリコシル残基のパーセンテージを、グルコースおよびロイクロースに組み込まれたスクロースから以下の式を使用して計算した:
%Gグルコース=[グルコースtf]/([スクロースt0]x(180/342))
および
%Gロイクロース=[ロイクロースtf]/[スクロースt0
式中、[グルコースtf]および[ロイクロースtf]は反応の最後のグルコースおよびロイクロースの終濃度であり、[スクロースt0]は開始基質の濃度(g/l)である。
【0134】
HMWポリマーに組み込まれたグリコシル残基のパーセンテージをHPSEC分析により以下の式を使用して判定した:
%Gデキストラン=表面面積デキストラン−tf/(表面面積スクロース−t0/(162/342))
式中、表面面積デキストラン−tfは反応の最後にHPSECクロマトグラムを使用して測定したデキストランのピークの表面面積であり、表面面積スクロース−t0は開始基質のピークの表面面積である。所与の濃度では、屈折率測定法で求められた表面は糖の別なく同一である。
【0135】
HPAEC−PADまたはHPSECで濃度が直接に定量化できないIMWポリマーまたはオリゴ糖に組み込まれたグリコシル単位の割合を以下の式を使用して判定した:
%GIMW=100−%Gグルコース−tf−%Gロイクロース−tf−%Gデキストラン−tf
【0136】
HPSECにより得られた4種のデキストランの溶出プロファイルを図9に示す。異なる集団を区別することが可能である:38分時点での第一溶出ピークは高モル質量ポリマー(HMW)に相当し、75分時点での第二ピークは、重合度(DP)が7未満で、系により分離されず、または非常に低い濃度であるフルクトース、グルコース、ロイクロース(5−O−α−Dグルコシルフルクトース)および他のオリゴ糖に相当する。これら2種の主要なピーク間では、ベースラインの摂動で示されたとおり、中間サイズの生成物(IMWデキストラン)も存在した。1000〜10Da間でサイズが変化するこれらの化合物は高度に多分散しており、非常に低い濃度であり、このことはクロマトグラムでの強度が低いことを示している。しかしHPAEC−PAD分析によりそれらの存在を確認した(結果は示されていない)。
【0137】
スクロース由来であり異なる生成物に組み込まれたグルコシル単位の相対量を以下の表2に一覧にする。HMWデキストランの合成収率は、各標本でのグルコシル単位の約60%である。水(グルコース)またはフルクトース(ロイクロース)へのグルコシル単位の移行は8%未満であり、一方、中間サイズのデキストラン(IMW)の合成物は移行したグルコシル単位の25%〜32%を占めていた。DSR−Sの組換え型すべては、中間サイズデキストランをより多く合成する傾向にあった。またHPSECの分析により、組換え酵素が1つの集団だけを合成することと対照的に未変性酵素は2つの異なるデキストラン集団を合成することが明らかになった。HMWデキストランのモル質量を光拡散により測定し、すべての試料で10g/モルを超えると推定した(使用したカラムの排除限界)。
【0138】
【表14】

【0139】
形成されたデキストランの構造
DSR−S vardel Δ4Nにより(精製またはその他の方法で)生成されたデキストランの構造を、完全組換えDSR−Sおよび未変性DSR−Sから合成したデキストランの構造と比較した。これらの構造は、85℃で300.13MHzの周波数捕捉で、Brucker AC300を使用し、核磁気共鳴(H NMR)により判定した。捕捉時間は3秒で32〜64周期であった。1容量の無水エタノールで3回沈殿させて共生成したフルクトースからデキストランを最初に分離し、遠心分離により回収し、蒸留水で洗浄し、凍結乾燥させた。試料を6mg/mlの濃度になるまでDOに溶解した。
【0140】
NMRスペクトルを図10に示す。α−1,6結合のみ検出した。精製DSR−S vardel Δ4Nに合成されたデキストランで炭素13のNMR分析も行った。得られたスペクトルは、L.メゼンテロイデスNRRL B−512Fおよび完全DSR−S由来デキストランに関する刊行物[3]と一致した。
【0141】
これらのポリマーも、ケトミウム・グラシル(Chaetomium gracile)由来エンドデキストラナーゼにより、16時間37℃で、合成培地1ml当たり3酵素ユニットで消化した。消化生成物をHPAEC−PADで分析した(図11)。得られた消化プロファイルは、分析した4種のデキストランと一致し、そのすべてが少なくとも95%のα−1,6結合を有していることが確認された。
【0142】
したがってDSR−S vardel Δ4N変異体を構築するDSR−SのNおよびC末端位置で欠失が生じても、DSR−Sの最初の活性、またはHMWデキストラン合成物に組み込まれたスクロース由来グルコシル単位の割合、多糖のサイズまたは構造にはさほど影響が及ぶことはない。
【0143】
形成されたデキストランのレオロジー挙動
角度が3.59度の4cm径の円錐体を備え、速度が0.01〜100s-1の範囲にあるコーンプレート装置(AR 1000, TA Instruments)を使用して4種のデキストランのレオロジー挙動を分析した。測定を25℃で行った。0〜10Pa間で、直線ドメイン内で力学実験を行ったところ、L.メゼンテロイデスNRRL B−512F由来未変性DSR−Sに合成されたデキストラン(対照)では変形は8%であり、完全組換えDSR−Sに合成されたデキストランでは3%であり、DSR−S vardel Δ4Nの非精製抽出物に合成されたデキストランでは5%であり、精製DSR−S vardel Δ4Nにより合成されたデキストランでは0.4%であった。複素剛性モジュールを以下の関係で定義する:
(ω)=G’(ω)+iG”(ω)。
【0144】
試料が主に弾性で高度に構造化されている場合、エネルギー保存モジュールG’(ω)はより大きい。喪失モジールG”(ω)は、変形している間に散逸したエネルギーを表している。主として粘性のある試料のG”(ω)は高い。
【0145】
これらのレオロジー分析により、全く独自の結果が得られた(図12)。文献に記述されているとおり、未変性DSR−Sはニュートン性挙動を有するデキストランを合成した[25]。
【0146】
完全組換えDSR−S抽出物および非精製DSR−S vardel Δ4N抽出物は同一の挙動を有する粘性溶液を生成した(粘度は未変性酵素により生成したデキストランのものより約10倍高い)。裸眼で観察する場合、それらはかなり明確な繊維性挙動も示した。さらに、新たに剪断応力を付与した後、前記ポリマーの挙動は溶液タイプからゲルタイプへと変化した。ゲルタイプはこのタイプの生体高分子で同定された新規の特性である。対照として、未変性酵素により生成したデキストランは線維性ではなく、その挙動は応力の第2系列を付与した後に完全に可逆的であった(図12A)。
【0147】
精製酵素は、10℃〜70℃の濃度範囲にわたってその性質を維持しながら、高度に構造化されたゲル(図12B、モジュールG’はG”よりかなり高い)の特性を有するポリマーを直接合成した(結果は示していない)。この挙動は未変性酵素のものとは完全に異なっている。
【0148】
精製DSR−S vardel Δ4Nの標本のみが、抽出物中に活性デキストランスクラーゼを1種だけ含有していた。未変性DSR−Sはタンパク質溶解分解の問題を抱えやすいことが公知であり[26]、開発した精製技術ではその問題を解決できない[27、28、29]。試験に使用した完全組換えDSR−Sには、精製前のDSR−S vardel Δ4N標本のような、少なくとも2つの活性酵素型が含まれていた。しかし、未変性DSR−S、完全組換えDSR−SおよびDSR−S vardel Δ4Nの分解型は完全に異なっている。培地中のこれらの異なる活性酵素型間の共同作用はデキストラン鎖への改変の起源となり、挙動に差異を引き起こすということが現在推測されている。
【0149】
実施例6:スクロースからのイソマルトースの合成
高モル質量デキストランが喪失するまでスクロースからイソマルトースだけを合成する突然変異体DSR−S vardelΔ4N SEV663YDAの能力を検討した。
【0150】
実施例3でDSR−S vardel Δ4Nについて記述された手技を使用して親和性クロマトグラフィーにより突然変異体を精製した。
【0151】
活性を30℃でアッセイした。
【0152】
わずか9U/mgの特異性活性により、SEV663YDA突然変異体はDSR−Sの活性に重大な影響を及ぼす(最初のスクロース消費割合の98%が喪失)。しかしその特異的活性は、その潜在的な用途のために広く研究されているN.ポリサッカレア(N. polysaccharea)[32]由来の組換えアミロスクラーゼのものと同等である。
【0153】
特徴づけを行い、この突然変異体DSR−Sによりイソマルトース生成が実行可能になること、一方、野生型酵素により高モル質量デキストランのみが生成されることが明らかになった。50mM濃度の酢酸ナトリウムpH5.2、0.05g/lのCaCl、1U/mlの精製酵素を含むバッファー中、単に基質としてのスクロースを100g/l使用して、あるいは100g/lのスクロースおよび50g/lのグルコースを出発物質とするアクセプター反応により、25℃で合成を行った。スクロースの消耗をHPAEC−PAD分析でモニターし(分析条件は実施例4を参照)、完全に消費した後に反応を中断した。
【0154】
このようにして、イソマルトース生成量は、単に基質としてのスクロースを使用した場合、収率47%に達し(表3および図13)、これはアクセプター反応で得られたものと同等の収率であった。したがって外因性アクセプターの添加は必要ではなかった。DPが7未満であり、既知の構造の他のオリゴ糖の存在とともに、イソマルトトリオース、マルトースまたはニゲロース(系では分離されない)の軌跡も確認した(図13)。
【0155】
【表15】

【0156】
したがって本実施例では、イソマルトース生成量は47%の収率に到達した。現在、これはスクロースからイソマルトースを合成する単一の酵素が関与する最初の方法であり;先行の研究はすべてα−アミラーゼおよびグリコシダーゼの混合物によるデンプンの分解[11]に、またはデキストランスクラーゼおよびデキストラナーゼの連結作用[30]に関連している。さらに、スクロースは安価で入手範囲の広い基質であり、合成の際に放出されたフルクトースは、個別に利用可能な価値を有する共生成物を構成する。
【0157】
実施例7:DSR−S vardel Δ3によるデキストランの合成
大腸菌TOP10の培養中にDSR−S vardel Δ3の異なる酵素型が生成された。しかし、完全型は非常に多数を占めており、得られたザイモグラム(実施例3を参照)から完全型のみが活性であることが分かった。
【0158】
この変異体に最適な活性温度は20℃であった。よってこの温度で活性アッセイを行った。実施例2にしたがってDSR−S vardel Δ3の生成量は約320U/l培養液となった。
【0159】
50mMの酢酸ナトリウム、pH5.2、0.05g/lのCaCl、100g/lのスクロースおよび1U/mlの非精製DSR−S vardel Δ3抽出物を含むバッファー中で20℃でデキストランを合成した。DSR−S vardel Δ3抽出物は、実施例3のDSR−S vardel Δ4Nについて記述したプロトコールを使用して、ニッケル樹脂での親和性クロマトグラフィーにより精製できた。しかし超音波処理の上清にはデキストランスクラーゼの単一酵素型のみが含まれ、大腸菌はスクロースを消費できる別の酵素を生成しなかったことから、変異体の精製はその特性の厳密な特徴づけのための必須条件にはならなかった。比較として、(非精製)DSR−S vardel Δ4Nと同じ条件下でデキストランを合成した。スクロースの消失をHPAEC−PAD分析でモニターし、完全枯渇した後、反応を停止した(5分、95℃)。
【0160】
合成産物を、実施例4に記述した条件で、HPAEC−PADおよびHPSECにより分析し、定量した。HPSEC分析では、サイズが2×10、503×10、70,000、10,000Daである市販のデキストラン、マルトヘプタオースおよびグルコース(Sigma)を使用してデキストランのサイズを推定した。
【0161】
図13で分かるように、20℃でDSR−S vardel Δ3変異体は2つのポリマー集団;約39%のスクロース由来グルコシル残基である、サイズが2×10DaのHMWデキストランの主要集団(表4)、および1,300〜52,000Daで、中間がおよそ10,000Daの最高ピーク値である第二集団(約25%グルコシル残基)を合成した。HPSECクロマトグラムに鮮明に見えるデキストランの第二集団を、DSR−S変異体について観察したことはこれが初めてである。
【0162】
生成物のプロファイルに対する温度の影響
温度10℃で、50mMの酢酸ナトリウム、pH5.2、0.05g/lのCaCl、および1U/mlの酵素を含むバッファーをまた使用し、デキストランをまた合成した(20℃での活性アッセイ)。HPAEC−PAD分析によりスクロース枯渇をモニターし、完全に消費された後に反応を停止した(5分、95℃)。
【0163】
図14で分かるように、10℃でDSR−S vardel Δ3変異体は、20℃で生成されたものと全く異なるデキストラン集団を合成した。その温度で形成された主要なポリマー(約44%)のモル質量は7,000〜1.7×10Daであり、中間がおよそ40,000Daのピークにあった。
【0164】
【表16】

【0165】
スクロース濃度の影響
20℃および10℃でDSR−S vardel Δ3(1U/ml)により行ったデキストラン合成に関し、4段階に濃度を増加させた(100、150、200および250g/l)スクロースを試験した。スクロースの全体消費をHPAEC−PAD分析によりモニターし、完全に消費された(48時間未満)後に合成を停止した。
【0166】
2つの温度では、基質の初期の濃度上昇は低モル質量デキストランの合成を促進した。よって20℃で、10,000Daデキストランの合成は、初期スクロースが100g/lから250g/lへ変化するにつれて、収率は25%から48%へと変化した。10℃で250g/lから始めると、HMWデキストラン合成は完全に停止し、中間がおよそ40,000Daにあるモル質量の主要集団でのデキストランの合成では、首尾よく収率が69%に達した。
【0167】
10℃および20℃で、スクロース100〜250g/lから始めてDSR−S vardel Δ3により合成されたデキストランすべてでは、エンドデキストラナーゼ消化プロファイル(実施例5を参照)により、DSR−Sの結合特異性は変化しないことが確認された(DSR−S vardel Δ4Nと同様の、HPAEC−PADに検出されたオリゴ糖プロファイル、すなわち少なくとも95%のα−1,6結合)。
【0168】
実施例8:DSR−S vardel CoreおよびDSR−S Core ΔAによるデキストランの合成
実施例2で記述した条件下での大腸菌TOPによる発現の際、DSR−S vardel CoreおよびDSR−S Core ΔA変異体もやや分解された。しかし、DSR−S vardel Δ3変異体の場合のように、ザイモグラムによると大多数の完全型のみが活性であった(結果は示されていない)。
【0169】
これらの変異体に最適な活性温度も20℃であった。このようにして生成量はDSR−S vardel CoreおよびDSR−S Core ΔAの培養物中、それぞれ38および180U/Lに達した。
【0170】
50mMの酢酸ナトリウム、pH5.2、0.05g/lのCaClおよび1U/mlの酵素抽出物(非精製)を含むバッファー中で100〜250g/lのスクロースを使用して20℃および10℃でデキストラン合成を行った。HPAEC−PAD分析によりスクロース消費をモニターし、完全に枯渇した(48時間未満)後に合成を停止した(5分、95℃)。生成物をHPAEC−PADおよびHPSECで分析し、その濃度を実施例5で記述したとおりに定量した。
【0171】
2つの変異体により20℃で合成した生成物のプロファイルを図15に示す(HPSECクロマトグラム)。DSR−S vardel Δ4NおよびDSR−S vardel Δ3と対照的に、これらの変異体では、形成されたデキストランの主要集団のモル質量は10,000Daに近く、ピークが1,300〜52,000間(5,000〜22,000間の半分の高さ)にある塩基を有していたことが明確に分かる。DSR−S Core ΔA変異体では、HMWデキストランの合成は完全に停止した(表5)。温度を10℃まで低下させると、サイズを大幅に変更せずにデキストランの収率は10,000Daまで増加することが可能となり、これはDSR−S vardel Δ3の場合と同様であった(表5)。DSR−S Core ΔA変異体によるデキストラン合成はこのようにして収率75%に達した。初期のスクロース濃度を250g/lにすると、DSR−S vardel Core変異体と同等の収率が得られた(結果は示されていない)。
【0172】
【表17】

【0173】
異なる変異体により20℃で100g/lのスクロースから合成したデキストランのHPAEC−PAD分析により、特にDSR−S Core ΔAに関し、DPが2〜約60であるイソマルト−オリゴ糖を含む生成物の多分散性が非常に高いことが分かった(図16)。
【0174】
10℃および20℃で、スクロース100〜250g/lを使用しDSR−S vardel CoreおよびDSR−S Core ΔAにより合成されたデキストランすべてについて、実施したエンドデキストラナーゼ消化プロファイル(実施例5を参照)により、DSR−Sの結合特異性は変化しないことが確認された(DSR−S vardel Δ4Nと比較して同等の、HPAEC−PADに検出されたオリゴ糖プロファイル、よってα−1,6結合は少なくとも95%)。
【0175】
実施例9:グルコースとのアクセプター反応
50mMの酢酸ナトリウム、pH5.2、0.05g/lのCaClを含むバッファー中、DSR−S vardel Δ4N、DSR−S vardel Δ3、DSR−S vardel CoreおよびDSR−S Core ΔAの抽出物1U/mlでアクセプター反応を、20℃、スクロース/グルコース比2(スクロース100g/l、グルコース50g/l)で行った。スクロースの全消費をHPAEC−PADでモニターし、完全に枯渇した後に反応を停止した。変異体すべてはDPが2〜約30のイソマルト−オリゴ糖(IMO)を合成し、高DPのポリマーの合成は喪失した。
【0176】
しかし、得られた収率はA単位のトランケートされた変異体ではより高かった。したがって、DSR−S vardel Δ4Nの場合の47%と対照的に、DSR−S vardel Δ3の場合ではIMO生成量は52%に、DSR−S vardel CoreおよびDSR−S Core ΔAでは58%に達した。オリゴ糖分布も改変した(図17)。
【0177】
DSR−S vardel Δ3では、DPが2〜15であるIMOの割合はDSR−S vardel Δ4Nに合成された生成物の割合より低かった。DPが15を超えるIMOでは状態は後退した。
【0178】
同様に、DSR−S vardel CoreおよびDSR−S Core ΔA突然変異体は、DSR−S vardel Δ4Nまたは未変性DSR−S(基本的に2〜15のDP)より、高DPでIMO合成に対して良好に作用することが分かった:DPが12〜27のIMOの生成量は(HPAEC−PADで得られた表面積の割合によると)これらの2種の変異体により2〜5倍高まった。
【0179】
【表18】









【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1】図1は、配列の5’末端位置にチオレドキシンタグおよび配列の3’末端位置にヒスチジンタグを有するトランケートしたDSR−S vardel Δ4Nデキストランスクラーゼのアミノ酸配列およびヌクレオチド配列、かつタンパク質タグとデキストランスクラーゼをコードする配列との間にあるスペーサーアームを示す図である。
【図2】図2は、配列の5’末端位置にあるチオレドキシンタグおよび配列の3’末端位置にある6個のヒスチジンタグを有するトランケートしたDSR−S vardel Δ3のアミノ酸配列およびヌクレオチド配列、ならびにタンパク質タグとデキストランスクラーゼをコードする配列との間にあるスペーサーアームを示す図である。
【図3】図3は、配列の5’末端位置にあるチオレドキシンタグおよび配列の3’末端位置にある6個のヒスチジンタグを有するトランケートしたDSR−S vardel Coreのアミノ酸配列およびヌクレオチド配列、ならびにタンパク質タグとデキストランスクラーゼをコードする配列との間にあるスペーサーアームを示す図である。
【図4】図4は、配列の5’末端位置にあるチオレドキシンタグおよび配列の3’末端位置にある6個のヒスチジンタグを有するトランケートしたDSR−S Core ΔAのアミノ酸配列およびヌクレオチド配列、ならびにタンパク質タグとデキストランスクラーゼをコードする配列との間にあるスペーサーアームを示す図である。
【図5】図5は、配列の5’末端位置にあるチオレドキシンタグおよび配列の3’末端位置にある6個のヒスチジンタグを有する突然変異体DSR−S vardel Δ4N SEV663YDAのアミノ酸配列およびヌクレオチド配列、ならびにタンパク質タグとデキストランスクラーゼをコードする配列との間にあるスペーサーアームを示す図である。
【図6】図6は、DSR−Sのトランケートした変異体およびその相対的活性を表した図表である。DSR−Sの4つの異なるドメイン(i)〜(iv)は以下に対応する:(i)シグナルペプチド、(ii)可変領域;(iii)触媒ドメインおよび(iv)C末端ドメインならびにMonchoisら、1998[16]にしたがって位置する反復単位A,CおよびN(網掛けの四角部分)。
【図7A】図7は、大腸菌TOP10により生成したDSR−S vardel Δ4Nに関して23℃で行われた抗チオレドキシン(A)および抗6×His(B)のウエスタンブロットを示す図である。
【図7B】図7は、大腸菌TOP10により生成したDSR−S vardel Δ4Nに関して23℃で行われた抗チオレドキシン(A)および抗6×His(B)のウエスタンブロットを示す図である。
【図8】図8は、ニッケル樹脂(Probond, Invitrogen)での親和性精製中のDSR−S vardel Δ4N抽出物に関してコロイダルブルーでタンパク質を染色した後の電気泳動ゲルを示す図である。トラック1は、培養の終りに大腸菌TOP10を超音波処理して得た上清である;トラック2は、樹脂上にタグ化6×Hisタンパク質を結合させた後に得た溶出物であり、トラック3は溶出画分であり、そしてトラック4は凝集物を排除した後の溶出画分である。
【図9】図9は、a)L.メゼンテロイデスNRRL B−512F由来未変性DSR−S、b)完全組換えDSR−S、c)精製前のDSR−S vardel Δ4N、およびd)精製したDSR−S vardel Δ4Nを調製することで生成したデキストランのHPSECにより得た溶出プロファイルを示す図である。ピーク1は高モル質量ポリマー(HMW)であり、ピーク2はDPが7未満の、系により分離していないフルクトース、グルコースおよびオリゴ糖である。これら2つのピーク間では、ベースラインの摂動は濃度が非常に低い中間サイズ(10〜10Da)のデキストランの存在を反映している。
【図10】図10は、A)L.メゼンテロイデスNRRL B−512F由来未変性DSR−S、B)完全組換えDSR−S、C)精製前のDSR−S vardel Δ4N、およびD)精製後のDSR−S vardel Δ4Nにより合成したデキストランに関するプロトンNMRで得たスペクトルを示す図である。スペクトルE)は精製したDSR−S vardel Δ4Nに合成されたデキストランの炭素13スペクトルである。
【図11】図11は、未変性DSR−S、完全組換えDSR−Sおよび精製前後のDSR−S vardel Δ4Nに合成された4種のデキストランのエンドデキストラナーゼ(ダーゼ)を使用している消化産物のHPAEC−PADクロマトグラムを示す図である。
【図12A】図12は、剪断前(1)および後(2)の未変性DSR−S、剪断応力の第2系列を付与する前(3)および後(4)の完全組換えDSR−S、剪断応力の第2系列を付与する前(6)および(7)のDSR−S vardel Δ4N、精製したDSR−S vardel Δ4N(5)に合成された4種のデキストランのレオロジー挙動を示す図である。ここで、A)は粘性流動の測定値であり、B)は非精製DSR−S vardel Δ4N調製物(○および●;溶液型挙動、G’<G”;5%変形)および精製DSR−S vardel Δ4N調製物(□および■;ゲル型挙動、G’>G”;0.4%変形)により合成されたデキストランについて保存G’率およびエネルギー散逸G”率を測定する前の、力学的モード粘度測定値(0〜10Paの振動)である。
【図12B】図12は、剪断前(1)および後(2)の未変性DSR−S、剪断応力の第2系列を付与する前(3)および後(4)の完全組換えDSR−S、剪断応力の第2系列を付与する前(6)および(7)のDSR−S vardel Δ4N、精製したDSR−S vardel Δ4N(5)に合成された4種のデキストランのレオロジー挙動を示す図である。ここで、A)は粘性流動の測定値であり、B)は非精製DSR−S vardel Δ4N調製物(○および●;溶液型挙動、G’<G”;5%変形)および精製DSR−S vardel Δ4N調製物(□および■;ゲル型挙動、G’>G”;0.4%変形)により合成されたデキストランについて保存G’率およびエネルギー散逸G”率を測定する前の、力学的モード粘度測定値(0〜10Paの振動)である。
【図13】図13は、スクロース単独を100g/l含有する突然変異体DSR−S vardelΔ4N SEV663YDA(A)により、あるいはスクロース100g/lおよびグルコース50g/lによるアクセプター反応(B)により合成される生成物のHPAEC−PADクロマトグラムを示す図である。記号Gはグルコースを意味し、Fはフルクトース、Iはイソマルトース、I3はイソマルトトリオース、N/Mはニゲロースまたはマルトース(HPAECパッド装置によって分離されていない)を意味し、記号「?」は構造が未知である生成物を表している。
【図14】図14は、20℃および10℃でDSR−S vardel Δ3により合成したデキストランのHPSECクロマトグラムを示す図である。矢印は、対照の役割である2×10Da、70,000および10,000Daの市販のデキストランの保持時間である。
【図15】図15は、100g/lのスクロースおよび1U/mlの(1)DSR−S vardel Δ4N、(2)DSR−S vardel Δ3、(3)DSR−S vardel Coreおよび(4)DSR−S Core ΔAにより20℃で合成したデキストランのHPSECクロマトグラム、ならびに10,000Daの市販デキストラン(Sigma)の溶出プロファイル(5)を示す図である。
【図16】図16は、100g/lのスクロースおよび1U/mlのDSR−S vardel Δ4Nで(1)、DSR−S vardel Δ3で(2)、DSR−S vardel Coreで(3)、およびDSR−S vardel Core ΔAで(4)、20℃で合成したデキストランのHPAEC−PADプロファイルを示す図である。
【図17A】図17は、HPAEC−PADプロファイル(A)、ならびに変異体DSR−S vardel Δ4N(1)、DSR−S vardel Δ3(2)、DSR−S vardel Core(3)およびDSR−S vardel Core ΔA(4)と20℃でアクセプター反応させることで生成されたIMOの分布(B)を示す図である。G:グルコース;F:フルクトース;L:ロイクロース;T:トレハルロース;I2〜I20:DP2〜DP20のイソマルト−オリゴ糖。図Bの挿入図は、IMOのDPが15〜27に拡張したことを示す。
【図17B】図17は、HPAEC−PADプロファイル(A)、ならびに変異体DSR−S vardel Δ4N(1)、DSR−S vardel Δ3(2)、DSR−S vardel Core(3)およびDSR−S vardel Core ΔA(4)と20℃でアクセプター反応させることで生成されたIMOの分布(B)を示す図である。G:グルコース;F:フルクトース;L:ロイクロース;T:トレハルロース;I2〜I20:DP2〜DP20のイソマルト−オリゴ糖。図Bの挿入図は、IMOのDPが15〜27に拡張したことを示す。
【図1−1】

【図1−2】

【図1−3】

【図1−4】

【図2−1】

【図2−2】

【図2−3】

【図2−4】

【図3−1】

【図3−2】

【図3−3】

【図4−1】

【図4−2】

【図4−3】

【図5−1】

【図5−2】

【図5−3】

【図5−4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
図1に記載のヌクレオチド配列(配列番号1)、図2に記載のヌクレオチド配列(配列番号2)、図3に記載のヌクレオチド配列(配列番号3)、図4に記載のヌクレオチド配列(配列番号4)、図5に記載のヌクレオチド配列(配列番号5)、配列番号1、2、3、4もしくは5を有する配列の1つとの相補的配列、またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号1、2、3、4もしくは5を有する配列とハイブリダイズする配列であって、ただしデキストランスクラーゼ酵素活性を保持する配列から本質的になるヌクレオチド配列。
【請求項2】
配列番号1の位置373〜位置4269にあるフラグメント(配列番号17)、配列番号2の配列の位置373〜位置4005にあるフラグメント(配列番号18)、配列番号3の配列の位置373〜位置3408にあるフラグメント(配列番号19)、配列番号4の配列の位置373〜位置3018にあるフラグメント(配列番号20)および配列番号5の配列の位置373〜位置4269のヌクレオチドにあるフラグメント(配列番号21)から選択されるヌクレオチド配列から本質的になる、請求項1記載のヌクレオチド配列。
【請求項3】
配列番号1の位置373〜位置4269のヌクレオチドにあるフラグメントの相補的ヌクレオチド配列、配列番号2の位置373〜位置4005のヌクレオチドにあるフラグメントの相補的ヌクレオチド配列、配列番号3の位置373〜位置3408のヌクレオチドにあるフラグメントの相補的ヌクレオチド配列、配列番号4の位置373〜位置3018のヌクレオチドにあるフラグメントの相補的ヌクレオチド配列、および配列番号5の位置373〜位置4269のヌクレオチドにあるフラグメントの相補的ヌクレオチド配列から選択されるヌクレオチド配列から本質的になる、請求項1または請求項2記載のヌクレオチド配列。
【請求項4】
該ヌクレオチド配列が、配列番号1の配列の位置373〜位置4269にあるフラグメント、配列番号2の配列の位置373〜位置4005にあるフラグメント、配列番号3の配列の位置373〜位置3408にあるフラグメント、配列番号4の配列の位置373〜位置3018にあるフラグメント、および配列番号5の配列の位置373〜位置4269にあるフラグメントから選択されるヌクレオチド配列と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、ただしデキストランスクラーゼ酵素活性を保持する請求項1または2記載のヌクレオチド配列。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項で定義したヌクレオチド配列のいずれか1つと、少なくとも70%一致することを特徴とする、ヌクレオチド配列。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項で定義したヌクレオチド配列のいずれか1つと、少なくとも80%、好ましくは90%一致することを特徴とする、ヌクレオチド配列。
【請求項7】
請求項1〜6の一項に記載のヌクレオチド配列を含む、ベクター。
【請求項8】
プラスミドである、請求項7に記載のベクター。
【請求項9】
DSR−S vardel Δ4N、DSR−S vardel Δ3、DSR−S vardel Core、DSR−S Core ΔAおよび突然変異体DSR−S vardel Δ4N SEV663YDAから選択されたデキストランスクラーゼ酵素の変異体である、酵素をコードする核酸の配列を含む、請求項7または請求項8記載のベクター。
【請求項10】
請求項7〜9の一項に記載のベクターによって形質転換された宿主細胞。
【請求項11】
配列番号1〜配列番号5のヌクレオチド配列または請求項1〜6の一項に記載の前記配列のフラグメントの1つによってコードされるタンパク質。
【請求項12】
配列番号6〜配列番号10から選択される配列の1つから本質的になるトランケートおよび/または突然変異デキストランスクラーゼであって、ただし酵素活性を保持するデキストランスクラーゼ。
【請求項13】
配列番号6の位置125のアミノ酸〜位置1423のアミノ酸にあるフラグメント(配列番号22)、配列番号7の位置125のアミノ酸〜位置1335のアミノ酸にあるフラグメント(配列番号23)、配列番号8の位置125のアミノ酸〜位置1136のアミノ酸にあるフラグメント(配列番号24)、配列番号9の位置125のアミノ酸〜位置1006のアミノ酸にあるフラグメント(配列番号25)、および配列番号10の位置125のアミノ酸〜位置1423のアミノ酸にあるフラグメント(配列番号26)から選択されるアミノ酸配列から本質的になる、請求項12記載のデキストランスクラーゼ。
【請求項14】
配列番号6の位置125のアミノ酸〜位置1423のアミノ酸にあるフラグメント(配列番号22)、配列番号7の位置125のアミノ酸〜位置1335のアミノ酸にあるフラグメント(配列番号23)、配列番号8の位置125のアミノ酸〜位置1136のアミノ酸にあるフラグメント(配列番号24)、配列番号9の位置125のアミノ酸〜位置1006のアミノ酸にあるフラグメント(配列番号25)、および配列番号10の位置125のアミノ酸〜位置1423のアミノ酸にあるフラグメント(配列番号26)から選択されるアミノ酸配列のタンパク質タグを、N末端および/またはC末端位置で含む、融合タンパク質。
【請求項15】
該タンパク質タグがN末端に位置するチオレドキシンである、請求項14記載の融合タンパク質。
【請求項16】
該タンパク質タグがC末端に位置する6×Hisタグである、請求項14または請求項15記載の融合タンパク質。
【請求項17】
突然変異および/またはトランケートしたデキストランスクラーゼの調製法であって、以下の工程:
(a)デキストランスクラーゼの発現を可能にする条件下で請求項10記載の宿主細胞を培養する工程;および
(b)培地から前記デキストランスクラーゼを単離する工程
を含む方法。
【請求項18】
該単離したデキストランスクラーゼを精製する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項17記載の方法。
【請求項19】
モル質量を制御したデキストランおよび/またはイソマルト−オリゴ糖を生成する方法であって、請求項12または請求項13の配列番号6〜配列番号10のヌクレオチド配列から選択される配列から本質的になるトランケートおよび/または突然変異したデキストランスクラーゼを、少なくともスクロース、および場合により少なくとも1つのアクセプターと反応させる工程を含む方法。
【請求項20】
グルコース、マルトース、イソマルトース、フルクトース、イソマルト−オリゴ糖およびこれらの混合物、好ましくはマルトース、イソマルトースおよび/またはグルコースから選択される少なくとも1つのアクセプターの存在下で該反応が起こる、請求項19記載の方法。
【請求項21】
イソマルトース生成のための請求項19記載の方法であって、配列番号10の配列から本質的になるデキストランスクラーゼをスクロースと本質的に反応させる工程を含む、方法。
【請求項22】
4℃〜80℃、好ましくは4℃〜40℃の範囲の温度で該反応が起こることを特徴とする、請求項19、20または21の一項に記載の方法。
【請求項23】
前記配列が配列番号7、配列番号8または配列番号9であり、該温度が4℃〜15℃、好ましくは8℃〜12℃の範囲であることを特徴とする、請求項19または請求項20記載の方法。
【請求項24】
該温度が10℃オーダーであることを特徴とする、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記配列が配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9または配列番号10であり、該温度が15℃〜45℃、好ましくは17℃〜30℃の範囲であることを特徴とする、請求項19〜24の一項に記載の方法。
【請求項26】
該温度が20℃〜25℃オーダーであることを特徴とする、請求項25記載の方法。
【請求項27】
該スクロース濃度が10〜600g/l、好ましくは75〜400g/l、より好ましくは90〜280g/lの範囲にあることを特徴とする、請求項20〜26の一項に記載の方法。
【請求項28】
前記配列が配列番号7または配列番号8または配列番号9であり、該スクロース濃度が250g/lオーダーであることを特徴とする、請求項19、20および22〜27の一項に記載の方法。
【請求項29】
前記配列が配列番号6または配列番号10であり、該スクロース濃度が100g/lオーダーであることを特徴とする、請求項27記載の方法。
【請求項30】
該デキストランスクラーゼが遊離形態であるか、あるいは吸着、封入または共有結合により支持体に固定されていることを特徴とする、請求項19〜29の一項に記載の方法。
【請求項31】
pHが3.0〜10.0、好ましくは4.5〜6.0の範囲にあり、より好ましくは約5.2であることを特徴とする、請求項19〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
非ニュートン性挙動を有する、請求項19〜31の一項に記載の方法により得ることができるデキストラン。
【請求項33】
請求項19〜31のいずれか一項に記載の方法により得ることができるイソマルト−オリゴ糖。
【請求項34】
請求項12もしくは請求項13記載のデキストランスクラーゼの介在により得られる、または請求項17もしくは請求項18の方法により得られる、または請求項19〜31の一項に記載の方法により得られるデキストランまたはIMO、または請求項32記載のデキストラン、または請求項33記載のイソマルト−オリゴ糖を含む、組成物。
【請求項35】
請求項12もしくは請求項13記載のデキストランスクラーゼの介在により得られる、または請求項17もしくは請求項18の方法により得られる、または請求項19〜31の一項に記載の方法により得られるデキストランまたはIMO、または請求項32記載のデキストラン、または請求項33記載のイソマルト−オリゴ糖、および医薬的にもしくは栄養学的に許容され得るビヒクルを含む、医薬組成物または食品組成物。
【請求項36】
請求項12もしくは請求項13に記載のデキストランスクラーゼの介在により得られる、または請求項17もしくは請求項18の方法により得られる、または請求項19〜31の一項に記載の方法により得られる、少なくとも1つのデキストランを含むことを特徴とする、テクスチャー組成物。
【請求項37】
(i)イソマルトース(342Da)、(ii)342〜5000Daのイソマルト−オリゴ糖、(iii)サイズが1300〜52000Daに制御され、中間がおよそ100000Daであるデキストラン、(iv)サイズが7000〜1.7×10Daに制御され、中間がおよそ40000Daであるデキストラン、および(v)2×10Daの高モル質量であるデキストラン、または請求項19〜31の一項に記載の方法により得られるデキストランもしくはIMOを製造する方法における、請求項12もしくは請求項13記載の、または請求項17もしくは請求項18の方法により得られるデキストランスクラーゼの使用。
【請求項38】
テクスチャー剤としての、請求項32記載のデキストランの使用。
【請求項39】
プレバイオティクスとしての請求項32または請求項33記載のデキストランまたはIMO、特にサイズが1300〜52000Daに制御され、中間がおよそ10000Daであるデキストランの使用。
【請求項40】
配列番号6〜10または22〜26のいずれか1つの連続的アミノ酸配列から本質的になるタンパク質をコードするヌクレオチド配列。

【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【公表番号】特表2009−525745(P2009−525745A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553855(P2008−553855)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際出願番号】PCT/IB2007/000951
【国際公開番号】WO2007/091178
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(595040744)サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク (88)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
【出願人】(501455301)インスティチュート・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシェ・アグロノミック (2)
【出願人】(508242067)アンスティテュ・ナショナル・デ・シヤンス・アプリケ・ドゥ・トゥールーズ (1)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT NATIONAL DES SCIENCES APPLIQUEES DE TOULOUSE
【Fターム(参考)】