説明

還元スラグの固化装置

【課題】還元スラグを効率よく固化および乾燥する。
【解決手段】固化装置10は、ブリケットSが充填される処理室14を有する縦筒型の処理槽12と、処理槽12の下部に設けられ、二酸化炭素を含む少なくとも100℃以上のガスを処理室14に導入するガス導入部28と、処理槽12の上部に設けられ、ガス導入部28から流入して処理室14を上方へ流通したガスを処理室14の上部から排出するガス排出部32とを備えている。また固化装置は、ガスとの接触により固化および乾燥した処理済みのブリケットSを処理槽12の搬出部24から順次搬出する一方、未処理のブリケットSを処理槽12の搬入部22から処理室14の上部に順次投入するよう構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、製鋼過程で排出される還元スラグを固化および乾燥する固化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気炉による製鋼の過程において、酸化精錬で生成される酸化スラグや、酸化精練後に新たに還元剤や生石灰等の造滓材を装入して、溶鋼中の硫黄を除去する還元精錬時に生成する還元スラグ等の副産物が生じる。これらの副産物は、石灰分(CaO)を含んでいることから、路面敷設用や建築用などの土木・建築材料、藻礁用や魚礁用などの水中沈設用材料をはじめとする様々な用途への利用が進められている。
【0003】
製鋼過程で排出される副産物には、前述の如く石灰分が含まれていることから、副産物を炭酸ガス(CO)と接触させて、炭酸化反応によって生成した炭酸カルシウム(CaCO)を主たるバインダーとして互いに固結させることにより副産物を固化する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示の方法は、土木・建築材料や水中沈設材料として固化した副産物を利用する際にコンクリート材料と比較して強度が不足していることから、粒径10mm以下の細粒状の未炭酸化Ca含有原料に対して、粒径100μm以下の特に成分が限定されない微粉原料を混合し、この混合原料を炭酸化反応により固結させることで、未炭酸化Ca含有原料間の間隙部に存在する微粉原料によって結合強度を向上している。また、特許文献1に開示の固化装置は、容器状の本体とこの本体の上部を閉塞する蓋体とから構成され、未炭酸化Ca含有原料および微粉原料が充填される型枠を有し、本体の底部に設けられたガス給気部にガス供給管を通じて炭酸ガスが供給され、本体の底部に形成されたガス通孔を介してガス給気部から炭酸ガスが本体内に導入されるようになっている。これにより、固化装置では、本体に充填された未炭酸化Ca含有原料が下方から順番に固化し、上部まで固化したら型枠を取り外して固化した炭酸固化体を取り出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−154178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の固化装置では、細粒状の未炭酸化Ca含有原料間の間隙部に存在する微粉原料によって間隙部が塞がれてしまうことがあり、型枠の本体内に炭酸ガスが充分に行き渡らないおそれがある。すなわち、特許文献1の固化装置では、固化処理を効率よく行うのは難しい。また、粒径の小さい原料の比率が多すぎると、固化して得られる炭酸固化体の強度が不足する問題がある。更に、特許文献1に開示の固化装置では、本体の下部に位置する未炭酸化Ca含有原料に合わせて型枠の取り外しのタイミングを設定すると、本体の上部に位置する未炭酸化Ca含有原料が充分に固化していないことになる。これに対して、固化装置では、本体の上部に位置する未炭酸化Ca含有原料に合わせて型枠の取り外しのタイミングを設定すると、本体の下部に位置する未炭酸化Ca含有原料が既に固化しているのにかかわらず本体の上部の未炭酸化Ca含有原料が固化するまで型枠の取り外しを待たなければならず、処理効率が悪くなってしまう。
【0006】
特に、副産物のなかでも還元スラグは、石灰分を多量に含んでいるから、製鋼過程において造滓材として再利用することも検討されている。ここで、炭酸ガスによる固化方法では、スラグの表面に付着した水分中に石灰分が遊離して、この遊離した石灰分と炭酸ガスとが反応するものであるから、スラグにある程度の水分を含んでいる必要がある。しかし、固化したスラグが水分を含んでいるとそのまま溶鋼に投入することができず、固化したスラグを電気炉等に投入するためには水分量の調節が必須である。また、還元スラグは、粒径1mm以下の微粉状であるため、そのままの状態で固化すると、十分な強度を保てずにすぐにばらばらになったり、固化して得られる固化体の大きさがまちまちになったり、取り扱い易い大きさで固化しない等の問題が多い。現状では、スラグを造滓材として再利用するのを考慮した装置は特に提案されておらず、例えば特許文献1に開示の固化装置の如く単に固化するだけでは、乾燥装置を別途設けなればならない。
【0007】
すなわち本発明は、従来の技術に係る還元スラグの固化装置に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、還元スラグを効率よく固化および乾燥できる還元スラグの固化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明の還元スラグの固化装置は、
製鋼過程で排出される還元スラグを固化すると共に乾燥する装置であって、
粒状の還元スラグが充填される処理室を有する縦筒型の処理槽と、
前記処理槽の上部に設けられ、未処理の粒状の還元スラグを受け入れる搬入部と、
前記処理槽の下部に設けられ、処理済みの還元スラグを前記処理室の下部から払い出す搬出部と、
前記処理槽の下部に設けられ、二酸化炭素を含む少なくとも100℃以上のガスを前記処理室に導入するガス導入部と、
前記処理槽の上部に設けられ、前記ガス導入部から流入して前記処理室を上方へ流通した前記ガスを該処理室の上部から排出するガス排出部とを備え、
前記ガスとの接触により固化および乾燥した処理済みの還元スラグを前記搬出部から順次搬出する一方、未処理の還元スラグを前記搬入部から前記処理室の上部に順次投入するよう構成したことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、1つの処理室で還元スラグの固化および乾燥を連続的に行うことができ、また処理済みの還元スラグの払い出しおよび未処理の還元スラグの投入のサイクルも連続的に行うことができる。また固化装置は、処理室の下部から流入したガスを処理室に充填した還元スラグに接触させつつ下から上に流通させる構成として、各領域で行われる固化処理および乾燥処理の特性に合わせた温度のガスを流通させることができる。すなわち、固化装置は、還元スラグの固化処理および乾燥処理を効率よく行うことができる。
【0009】
請求項2に係る発明では、前記搬出部は、前記処理室の下部に連通する搬出路を開閉可能な払い出し手段を備えていることを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、払い出し手段によって搬出部から払い出す還元スラグの量を簡単に調節できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る還元スラグの固化装置によれば、還元スラグを効率よく固化および乾燥することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の好適な実施例に係る固化装置を一部破断して示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係る還元スラグの固化装置につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【実施例】
【0013】
図1に示すように、実施例の固化装置10は、還元スラグの固化乾燥処理を行う処理槽12を本体として構成されている。実施例では、固化装置10と、この固化装置10の処理槽12に二酸化炭素を含むガス(以下、単にガスという。)を供給するガス発生設備40と、処理槽12からガスを回収する排気設備50と、処理槽12に固化乾燥処理前の粒状の還元スラグ(以下、未処理のブリケットSという。)を前工程から搬入する搬入設備60と、処理槽12から払い出された固化乾燥処理済みの粒状の還元スラグ(以下、処理済みのブリケットSという。)を次工程に搬出する搬出設備70とから還元スラグの固化システムが構成されている。
【0014】
前記処理槽12は、上下の端面が開口した縦筒型の容器であって、ブリケットSが充填される処理室14が内部画成されている。また処理槽12には、上部に未処理のブリケットSを処理室14に投入するための搬入部22が設けられると共に、下部に処理済みのブリケットSを処理室14から払い出すための搬出部24が設けられている。更に処理槽12は、処理室14の搬出部24側が搬入部22側に比べて狭くなるよう形成されている。実施例の処理槽12では、処理室14の下部領域を構成する直筒状の下筒部16と、この下筒部16の上端に連設されて、上から下に向かうにつれて縮小するホッパー形状の中筒部18と、処理室14の上部領域を構成し、中筒部18の上端に連設される直筒状の上筒部20とが同軸的に上下の関係で接続されている。すなわち、処理槽12は、下筒部16が上筒部20と比べて平断面積が小さくなるよう形成され、後述する固化帯となる上筒部20に内部画成される上部領域の容積を大きく確保している。これにより、乾燥帯となる下筒部16では、ブリケットSの乾燥効率を上げることができ、固化帯となる上筒部20では、ガスをブリケットSに十分に接触させることができる。
【0015】
実施例の処理槽12では、上筒部20の上端面に開設された開口が搬入部22として用いられている。処理槽12には、バケットクレーンやコンベア(実施例)等の搬入設備60によって、未処理のブリケットSが搬入部22から処理室14に投入されて、処理室14にブリケットSが堆積充填されるようになっている。ここで、未処理のブリケットSは、製鋼過程で得られた還元スラグを圧縮等により例えば20〜40mm程度の粒状に簡易成形したものである。搬出部24は、下筒部16の底に連設されており、処理室14の底に連通する搬出路を開閉可能なロータリーバルブ等の払い出し手段26を備えている。払い出し手段26は、設定時間毎等の適宜設定条件に基づいて駆動制御されて、処理済みのブリケットSを処理室14から所定量ずつ払い出すようになっている。そして、搬出部24の下方には、コンベア等の搬出設備70が設置され、処理槽12から払い出された処理済みのブリケットSが搬出設備70に受け渡されて、該搬出設備70によって保管場所や製鋼工程に搬送される。なお、実施例の固化システムでは、払い出し手段26と搬入設備60とが連動するよう構成され、払い出し手段26の駆動により処理室14から払い出された処理済みのブリケットSに応じた量の未処理のブリケットSを搬入設備60によって処理室14に投入するよう構成される。ここで、搬入設備60によって投入する未処理のブリケットSは、固化乾燥処理による体積変化を見込む等の諸条件を勘案して、処理済みのブリケットSの払い出し量とバランスをとって設定される。
【0016】
前記固化装置10には、処理室14の下部に連通すると共にガス発生設備40に配管42を介して接続するガス導入部28が処理槽12の下部に設けられ、ガス発生設備40からブロワーBを介して供給されるガスをガス導入部28から処理室14の下部に導入するよう構成される。ガス導入部28は、下筒部16の外周を囲繞するジャケット28aを有し、ジャケット28aと下筒部16との間に供給されたガスが、下筒部16に複数開設された通孔16aを介して処理室14の下部領域に流入するようになっている。ガス導入部28は、配管42を開閉可能なダンパー、電動弁や電磁弁等の流路開閉手段30を備え、流路開閉手段30を開閉調節することで、処理室14に流入させるガスの量を調節可能になっている。なお、ブロワーBをインバーター制御することでガスの量を調節してもよい。固化装置10は、図示しない温度測定手段によってガスの温度を監視しており、ガスの温度に応じて流路開閉手段30を制御して処理室14へのガスの流入量を調節することで、処理室14の乾燥帯において100℃以上とし、処理室14の固化帯において100℃以下となるように調節している。ガス発生設備40としては、ボイラー等の製鋼所内に設置された化石燃料を燃焼させる設備であればよく、当該設備から排出される250℃〜400℃程度の二酸化炭素を含む排ガスが、固化装置10において固化のための二酸化炭素源および乾燥のための熱源として有効利用される。特に、都市ガス、プロパンガス、重油、天然ガスまたは灯油を燃焼した際に発生する排ガスは、水分を多く含んでいるので、固化装置10に用いるガスとして好適である。なお、固化装置10には、少なくとも100℃以上のガスが供給される。
【0017】
前記固化装置10には、処理室14の上部に連通すると共に排気設備50に配管52を介して接続するガス排出部32が処理槽12の上部に設けられ、処理室14を流通したガスをガス排出部32から排出するよう構成される。すなわち、固化装置10では、処理室14の下部にガス導入部28から吹き込まれたガスがブリケットS間の隙間を介して下から上に流通し、処理室14の上部からガス排出部32を介してガスが排気設備50に回収されるようになっている。
【0018】
〔実施例の作用〕
次に、実施例に係る還元スラグの固化装置10の作用について説明する。固化装置10には、搬入設備60によって搬送された未処理のブリケットSが搬入部22から処理室14に充填されている。未処理のブリケットSは、単に圧縮しているだけなので軟らかく、また保管や取り扱いのためまたは水分量調節のために水が付与されており、所謂濡れた状態になっている。処理槽12には、ガス発生設備40によってガス導入部28を介して処理室14の下部にガスが供給されて、このガスは、ブリケットS間の隙間を介して下から上に流通して処理室14の上部からガス排出部32を介して排気設備50に回収される。ここで、処理室14の下部領域では、処理室14に導入された直後の100℃以上の比較的温度が高いガスにブリケットSが接触するので、固化反応より乾燥が優勢になり、当該下部領域がブリケットSを乾燥させる乾燥帯として機能する。これに対して、処理室14の中間部および上部領域では、処理室14の下部領域でガスから熱が奪われてガスの温度が100℃以下に温度低下しており、温度低下したガスと水分に接触するブリケットSでは乾燥より固化反応が優勢になり、当該中間部および上部領域が未処理のブリケットSを固化させる固化帯として機能する。また、処理室14の中間部および上部領域では、温度低下による飽和水蒸気量の低下によって水分が排出される。
【0019】
そして、固化装置10は、下部領域のブリケットSが固化すると共に乾燥したタイミングで払い出し手段26が駆動制御されて、処理済みのブリケットSを搬出部24から所定量だけ払い出して搬出設備70に受け渡す。なお、ブリケットSの払い出し量は、払い出し手段26によって簡単に調節することができる。これにより、処理室14の底側にある固化および乾燥した処理済みのブリケットSだけが、処理槽12から排出されて、これに伴い排出されたブリケットSの分だけブリケットS全体が自重により下がり、処理室14の中間部にあったブリケットSが下部領域に落ちると共に、処理室14の上部領域にあったブリケットSが中間部に落ちる。また固化装置10には、排出された処理済みのブリケットSに応じた量の未処理のブリケットSが搬入設備60によって処理室14の上部から投入され、先のバッチで投入されたブリケットSの上に堆積する。処理済みのブリケットSは、化学的に固化しており、取り扱い性に優れると共に、また乾燥しているのでそのまま溶鋼に投入することが可能となる。
【0020】
次のバッチでは、処理室14の下部領域にあるブリケットSが先のバッチにおいて、既に固化しており、高温のガスとの接触により乾燥が進められる。同様に、処理室14の中間部にあるブリケットSや新たに投入されたブリケットS以外の上部領域にあるブリケットSは、先のバッチにおいて固化がある程度進行しており、ガスとの接触により更に固化が進められる。また、処理室14の最上部に堆積している未処理のブリケットSについても、ガスとの接触により固化が進行する。そして、固化装置10は、下部領域のブリケットSが乾燥したタイミングで払い出し手段26が駆動制御されて、処理済みのブリケットSを搬出部24から所定量だけ払い出して搬出設備70に受け渡す。これに伴い、排出されたブリケットSの分だけブリケットS全体が下がり、処理室14の中間部にあったブリケットSが下部領域に落ちると共に、処理室14の上部領域にあったブリケットSが中間部に落ちる。また固化装置10には、排出された処理済みのブリケットSに応じた量の未処理のブリケットSが搬入設備60によって処理室14の上部から投入される。このように、固化装置10では、ガスとの接触により固化および乾燥した処理済みのブリケットSを搬出部24を介して処理室14の下部から順次搬出する一方、未処理のブリケットSを搬入部22から処理室14の上部に順次投入する連続した処理サイクルが構成され、ブリケットSが1つの処理室14を搬入部22から搬出部24に向けて自重により移動する過程で固化および乾燥が行われる。
【0021】
前記固化装置10は、処理室14の下部領域にガスが先ず導入されるので、処理室14の下部領域にある払い出し直前のブリケットSに対して高温のガスを接触させて、ブリケットSから水分を除く乾燥処理を迅速に行うことができる。ここで、処理室14の下部領域にあるブリケットSは、下部領域に下がってくる前に既に固化しているので、下部領域において水分を取り除いても下部領域で固化処理を積極的に行うわけではないので影響はない。また固化装置10では、処理室14の下部領域での乾燥によってガスの温度が低下するので、ガスの温度を特に調節することなく、固化に適した温度のガスを処理室14の中間部および上部領域に対して流通することができる。前述した如く、ブリケットSの固化処理は、ブリケットSの表面に付着した水に遊離した石灰分とガス中の二酸化炭素とを反応させて固化するものであるので、ブリケットSに適度の水分が必要とされる。処理室14の中間部および上部領域には、温度低下した乾燥帯で水を含んだガスが流通して、ブリケットSの水分が適度に調整されるので、固化反応が円滑に行われて、固化処理を迅速に行うことができる。このように、固化装置10によれば、処理室14の下部から流入したガスを処理室14に充填したブリケットSに接触させつつ下から上に流通させる構成として、ガスの温度に応じて処理室14へのガスの流入量を調節する簡単な操作で、各領域で行われる固化処理および乾燥処理の特性に合わせた温度のガスを流通させることができる。すなわち、ガスの温度は、ブリケットSとの熱交換によって上側の領域に向かうにつれて低下し、飽和水蒸気量が低下する。それによって、ガスの水分量が変化するため、ブリケットSの水分が調節されて、中間領域から上の領域のどこかでブリケットSの水分が固化反応に適した量に調節される。従って、固化装置10では、特に水分量を制御することなく、固化帯の何れかの領域において固化反応に適した水分量に調節することができ、水分量が適切になった領域で固化反応が促進される。また固化装置10では、ガスの流入量や温度を上げることで処理室14の乾燥帯を広げて固化帯を狭くすることができ、反対にガスの流入量や温度を下げることで、処理室14の乾燥帯を狭めて固化帯を広くすることができ、ブリケットSの処理状況に合わせて簡単に調節できる。
【0022】
前記固化装置10は、処理室14の下部領域にある処理済みのブリケットSを順次払い出す一方、未処理のブリケットSを順次投入する構成として、固化および乾燥の処理サイクルを連続して行うことができるので、容器に投入したブリケットSの全量を入れ替える従来の装置と比較して処理効率がよい。しかも、固化装置10は、ブリケットSの固化と乾燥とを1つの処理室14で行うことができ、処理室14でのブリケットSの移動および処理済みのブリケットSの払い出しを、ブリケットSの自重によって行っているので、装置を簡易にできると共にコンパクトにできる。
【0023】
(変更例)
前述した実施例は、以下の如く変更を行なうことも可能である。
(1)実施例では、処理槽の上部に搬入部と別にガス排出部を設けたが、搬入部の開口をガス排出部として兼用する構成も採用し得る。
(2)処理槽の形状は、実施例に限定されず、全体が直筒形状やホッパー形状であってもよい。
【符号の説明】
【0024】
12 処理槽,14 処理室,22 搬入部,24 搬出部,26 払い出し手段,
28 ガス導入部,32 ガス排出部,S 還元スラグ(ブリケット)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製鋼過程で排出される還元スラグ(S)を固化すると共に乾燥する装置であって、
粒状の還元スラグ(S)が充填される処理室(14)を有する縦筒型の処理槽(12)と、
前記処理槽(12)の上部に設けられ、未処理の粒状の還元スラグ(S)を受け入れる搬入部(22)と、
前記処理槽(12)の下部に設けられ、処理済みの還元スラグ(S)を前記処理室(14)の下部から払い出す搬出部(24)と、
前記処理槽(12)の下部に設けられ、二酸化炭素を含む少なくとも100℃以上のガスを前記処理室(14)に導入するガス導入部(28)と、
前記処理槽(12)の上部に設けられ、前記ガス導入部(28)から流入して前記処理室(14)を上方へ流通した前記ガスを該処理室(14)の上部から排出するガス排出部(32)とを備え、
前記ガスとの接触により固化および乾燥した処理済みの還元スラグ(S)を前記搬出部(24)から順次搬出する一方、未処理の還元スラグ(S)を前記搬入部(22)から前記処理室(14)の上部に順次投入するよう構成した
ことを特徴とする還元スラグの固化装置。
【請求項2】
前記搬出部(24)は、前記処理室(14)の下部に連通する搬出路を開閉可能な払い出し手段(26)を備えている請求項1記載の還元スラグの固化装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−184823(P2010−184823A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28868(P2009−28868)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000003713)大同特殊鋼株式会社 (916)
【Fターム(参考)】