説明

部品の取付構造

【課題】部品を回動操作して取付体に取り付ける取付構造をコンパクトにする。
【解決手段】電装部品20には、挿入孔11の径方向に突出するとともに径方向に弾性変形する弾性片38と、ダクト10の内方へ向けて突出する係合爪26とが設けられている。ダクト10における挿入孔11の周りには、回動操作時の回動方向一側から弾性片38に係合する係合突起17と、回動方向他側から係合爪26に係合する爪挿入孔13の縁部13aとが設けられている。係合突起17は、電装部品20を回動操作することによって弾性片38に接触して弾性変形させ、電装部品20の回動操作量が所定量となったときに弾性片38を復元方向に変位させて回動方向一側から弾性片38に係合するように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を回動操作することによって取付体に取り付けるように構成された部品の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば車両用空調装置には、送風機の制御用抵抗器が設けられており、この抵抗器を空調装置のケースに取り付ける構造としては、抵抗器を回動操作して取り付ける構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の抵抗器の基板には、基板外方へ突出する係合用爪部が形成されている。一方、ケースには、抵抗器が挿入される挿入孔が形成されている。さらに、ケースの外面における挿入孔の周囲には、抵抗器の係合用爪部が接触して撓む撓み片と、抵抗器の回動を停止させるための停止片とがケース外側へ突出するように形成されている。
【0004】
そして、抵抗器をケースに取り付ける際には、抵抗器をケースの挿入孔に挿入した後、回動操作することで、抵抗器の係合用爪部がケースの撓み片に接触して撓み片が撓み、係合用爪部が撓み片を乗り越えて停止片に接触して停止する。このとき、撓み片の形状が復元して抵抗器の係合用片部は撓み片と停止片との間に位置し、抵抗器が両方向に回動しなくなり、ケースに取り付けられた状態となる。
【0005】
また、特許文献1には、上記とは別の取付構造として、モーターの周縁部に外方へ延出する係止用爪部を形成し、一方、ケースの外面における挿入孔の周囲に突出片を形成する構造が開示されている。モーターの係止用爪部は、ケースの内外方向に撓むように形成されている。ケースの突出片には、モーターの係止用爪部をケース外側へ撓ませるための傾斜面とモーター自体の回動を停止させるための停止片とが形成されている。
【0006】
そして、モーターをケースに取り付ける際には、モーターをケースの挿入孔に挿入した後、回動操作することで、モーターの係止用爪部がケースの突出片の傾斜面に接触して係止用爪部が撓み傾斜面を乗り越えて停止片に接触して停止する。このとき、係止用爪部の形状が復元して傾斜面と停止片との間に位置し、モーターがケースに取り付けられた状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−267621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1の抵抗器の取付構造では、ケースの外面に撓み片を設け、抵抗器の取付時に撓み片を撓ませるようにしている。撓み片が短いと長い場合に比べて先端側の変位量が同じでも撓み片の基端部にかかる力が大きくなるので、撓み片の損傷を防止するためには、撓み片の長さを長くしなければならない。つまり、撓み片がケースの外面から突出する度合いが大きくなり、これに対応して停止片のケース外側への突出度合いも大きくなり、ひいては、取付構造の大型化を招く。
【0009】
また、特許文献1のモーターの取付構造では、モーターの係止用爪部をケース外側へ撓ませるようにしている。この場合も係止用爪部が短いと基端部にかかる力が大きくなるので、長くしなければならない。さらに、ケースの外面に設けた傾斜面で係止用爪部を撓ませるようにしているので、係止用爪部は、ケースの外面から外側へ浮かせた状態で長く形成する必要があり、取付構造の大型化を招く。
【0010】
部品の取付構造が大型化すると、周囲の他の部品のレイアウト上の自由度が低くなってしまい、問題となる。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、部品を回動操作して取付体に取り付ける取付構造をコンパクトにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明では、部品に、挿入孔の径方向に弾性変形する弾性変形部と、取付体の内方へ向けて突出する係合爪とを設け、ケースに、回動方向一側から弾性変形部に係合する第1係合部と、他側から係合爪に係合する第2係合部とを設けた。
【0013】
第1の発明は、部品を取付体の挿入孔に挿入した状態で該挿入孔の中心線周りに回動操作して該取付体に取り付けるように構成された部品の取付構造において、上記部品には、上記挿入孔の径方向に突出するとともに径方向に弾性変形する弾性変形部と、上記取付体の内方へ向けて突出する係合爪とが設けられ、上記取付体における上記挿入孔の周りには、回動操作時の回動方向一側から上記弾性変形部に係合する第1係合部と、回動方向他側から上記係合爪に係合する第2係合部とが設けられ、上記第1係合部は、上記部品を回動操作することによって上記弾性変形部に接触して該弾性変形部を上記挿入孔の径方向に弾性変形させ、上記部品の回動操作量が所定量となったときに上記弾性変形部を復元方向に変位させて回動方向一側から上記弾性変形部に係合するように配置され、上記第2係合部は、上記部品の回動操作量が所定量となったときに上記係合爪に回動方向他側から係合するように配置されていることを特徴とするものである。
【0014】
この構成によれば、部品の弾性変形部が挿入孔の径方向に突出しているので、弾性変形部の取付体外側へ向けての突出度合いを大きくすることなく、弾性変形部の長さを確保することが可能になる。また、部品の係合爪は取付体の内方へ向けて突出しているので、取付体外側へ向けて突出しない。
【0015】
部品の取付時には、部品を取付体の挿入孔に挿入した状態で回動操作すると、取付体の第1係合部が部品の弾性変形部に接触して該弾性変形部を弾性変形させる。そして、部品の回動操作量が所定量となったら、第1係合部が回動方向一側から弾性変形部に係合する。このとき、取付体の第2係合部が部品の係合爪に回動方向他側から係合する。これにより、部品の回動が阻止されて部品が取付体に取り付けられる。
【0016】
第2の発明は、第1の発明において、部品には、上記挿入孔の径方向に突出するとともに、取付体の第1係合部に接触した際に弾性変形しないように構成された誤組付防止手段が設けられ、上記誤組付防止手段は、弾性変形部に対して部品の回動方向に離れて配置されていることを特徴とするものである。
【0017】
この構成によれば、部品を取付体に取り付ける際に、部品を誤って正規の位置から周方向にずれて取り付けようとした場合には、誤組付防止手段が取付体の第1係合部に接触し、このとき誤組付防止手段が弾性変形しないので、部品を所定位置まで回動操作することができず、取付体に取り付けることができなくなる。
【0018】
第3の発明は、第1または2の発明において、取付体には、部品の係合爪が挿入される爪挿入孔が形成され、該爪挿入孔の形状は部品の回動方向に長く設定され、上記取付体の第2係合部は、上記爪挿入孔の縁部で構成されていることを特徴とするものである。
【0019】
この構成によれば、部品の取付時に、部品の係合爪を取付体の爪挿入孔に挿入して部品を回動させ、回動操作量が所定量となったときに係合爪が爪挿入孔の縁部に係合することになる。
【0020】
第4の発明は、第3の発明において、係合爪は、爪挿入孔の周縁に引っ掛かって係合するフック状に形成され、上記爪挿入孔の周縁には、取付体の外側へ突出する突出部が形成されていることを特徴とするものである。
【0021】
この構成によれば、部品の取付時に、部品の係合爪が取付体の爪挿入孔に完全に挿入されない状態で誤って回動操作された場合には、爪挿入孔の周縁の突出部に係合爪が乗り上げることになる。これにより、部品が正規の取付状態に対して大きく変位した状態になるので、取付体に取り付けることができなくなる。
【発明の効果】
【0022】
第1の発明によれば、部品の弾性変形部を挿入孔の径方向に突出させているので取付体外側への突出度合いを大きくすることなく弾性変形部の長さを確保することができる。また、部品の係合爪を取付体の内方へ向けて突出させたので、取付体外側へ向けて突出させずに済む。そして、部品の回動操作量が所定量となったときに、取付体の第1係合部が回動方向一側から弾性変形部に係合し、取付体の第2係合部が係合爪に他側から係合する。よって、コンパクトな取付構造でもって部品を取付体に取り付けることができる。
【0023】
第2の発明によれば、部品に誤組付防止手段を設けたので、部品が取付体に誤った状態で取り付けられるのを防止することができる。
【0024】
第3の発明によれば、取付体に部品の係合爪が挿入される爪挿入孔を形成し、爪挿入孔の縁部で第2係合部を構成したので、爪挿入孔を形成するという、簡単な構成でもって第2係合部を設けることができる。
【0025】
第4の発明によれば、係合爪をフック状に形成し、爪挿入孔の周縁に取付体の外側へ突出する突出部を形成したので、部品の係合爪が取付体の爪挿入孔に完全に挿入されない状態で誤って回動操作された場合に、爪挿入孔の周縁の突出部に係合爪が乗り上げ、取付体に取り付けることができなくなるので、部品が誤った状態で取り付けられるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施形態1にかかる部品の取付構造の平面図である。
【図2】ダクトの平面図である。
【図3】図2におけるIII−III線断面図である。
【図4】電装部品の斜視図である。
【図5】電装部品の平面図である。
【図6】電装部品の側面図である。
【図7】電装部品の底面図である。
【図8】電装部品の正面図である。
【図9】電装部品の背視図である。
【図10】図1におけるX−X線断面図である。
【図11】図1におけるXI−XI線断面図である。
【図12】電装部品をダクトの挿入孔に挿入した状態の図1相当図である。
【図13】電装部品が回動操作中である場合の図1相当図である。
【図14】電装部品を正規の取付位置から180゜回動させた状態で取り付けようとした場合の図1相当図である。
【図15】電装部品の係合爪がダクトの爪挿入孔に挿入されていない状態で電装部品を取り付けようとした場合の図11相当図である。
【図16】変形例にかかる電装部品の縦断面図である。
【図17】実施形態2にかかる図1相当図である。
【図18】実施形態2にかかる図4相当図である。
【図19】実施形態2にかかる図5相当図である。
【図20】実施形態2にかかる図6相当図である。
【図21】実施形態2にかかる図7相当図である。
【図22】実施形態2にかかる図8相当図である。
【図23】実施形態2にかかる図9相当図である。
【図24】実施形態2にかかる図14相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0028】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1にかかる部品の取付構造1が適用された車両用空調装置のダクト10である。このダクト10は、図2に示すように、送風機(図示せず)を備えた送風ユニットU1と、加熱用及び冷却用熱交換器等を備えた空調ユニットU2とを接続して送風ユニットU1から送風された空気を空調ユニットU2に導くためのものである。
【0029】
ダクト10は、樹脂材を成形してなるものであり、両端に接続部10a,10aを有している。ダクト10の周壁部の一部は、略平坦に延びる平坦壁部10bとされている。この平坦壁部10bには、送風機の速度制御用電装部品20(図1に示す)が着脱可能に取り付けられている。本発明の部品の取付構造1は、電装部品20を回動操作してダクト10に取り付けるものである。
【0030】
図2に示すように、ダクト10の平坦壁部10bには、電装部品20の一部が挿入される挿入孔11が該平坦壁部10bを貫通するように形成されている。挿入孔11は、その中心線が平坦壁部10bの板厚方向に延びている。挿入孔11の周縁は、互いに周方向に離れた一対の円弧部11a,11aと、これら円弧部11a,11aの間の屈曲部11b,11bとで形成されている。各円弧部11aは、挿入孔11の中心を中心とする円の一部で構成されている。各屈曲部11bは、それらの中央部が最も挿入孔11aの内方に位置するように屈曲している。
【0031】
平坦壁部10bの外面における挿入孔11の周りには、図3にも示すように、ダクト10の外側へ突出して挿入孔11aの周方向に円環状に延びる環状突条部12が形成されている。
【0032】
また、図2に示すように、平坦壁部10bの挿入孔11の周りには、後述する電装部品20の第1及び第2係合爪26,27が挿入される第1及び第2爪挿入孔13,14が形成されている。第1爪挿入孔13は、環状突条部12の内方で、挿入孔11の周縁の屈曲部11bに対応する部位に形成されている。第1爪挿入孔13の形状は、挿入孔11の周方向に長い大略矩形とされており、挿入孔11の中心を中心とする円弧を描くように緩やかに湾曲している。第1爪挿入孔13の周方向一側の縁部(第2係合部)13aは、挿入孔11の径方向に直線状に延びている。第1爪挿入孔13の縁部13aには、ダクト10の外側へ突出して該縁部13aに沿って直線状に延びる第1突条部(突出部)15が形成されている。
【0033】
第2爪挿入孔14は、第1爪挿入孔13と同じ形状であり、第1爪挿入孔13から周方向に180゜離れている。第2爪挿入孔14の周方向一側の縁部14aには、ダクト10の外側へ突出して該縁部(第2係合部)14aに沿って直線状に延びる第2突条部16が形成されている。
【0034】
図3にも示すように、ダクト10の平坦壁部10bの外面には、係合突起(第1係合部)17がダクト10外側へ向けて突設されている。係合突起17の平坦壁部10b外面からの突出高さは、環状突条部12の突出高さよりも高く設定されている。係合突起17は、環状突条部12の外方において、該環状突条部12から所定寸法だけ径方向に離れている。この係合突起17の位置についての詳細は後述する。
【0035】
図2に示すように、係合突起17における挿入孔11の周方向一側の側面には、段部17aが形成されている。段部17aには、後述する電装部品20の弾性片38が嵌るようになっている。
【0036】
係合突起17における挿入孔11の周方向他側の側面には、傾斜面17bが形成されている。傾斜面17bは、電装部品20の取付時に電装部品20を回動操作した際に電装部品20の弾性片38に接触して弾性片38を弾性変形させるためのものである。傾斜面17bは、挿入孔11に近づくに従って周方向一側に位置するように傾斜している。
【0037】
図4〜図9に示すように、電装部品20は、パワーMOS−FET(トランジスタ)が実装された基板(図示せず)の下面を覆う円板部材21(図7参照)と、基板の上面を覆うカバー部材22と、放熱フィン23とを備えており、放熱フィン23がダクト10の挿入孔11から内部へ挿入されるようになっている。
【0038】
円板部材21は樹脂材を成形してなるものである。円板部材21の外径は、ダクト10の環状突条部12の外径よりも大きく設定されている。図10及び図11にも示すように、円板部材21の下面には、ダクト10の環状突条部12が嵌る環状凹条部24が形成されている。
【0039】
また、図6及び図7に示すように、円板部材21の下面には、第1及び第2係合爪26,27が形成されている。第1及び第2係合爪26,27は、ダクト10の環状突条部12が環状凹条部24に嵌った状態で、ダクト10の第1及び第2爪挿入孔13,14に挿入されるように位置付けられている。
【0040】
第1係合爪26は、円板部材21の下面から下方へ突出し、周方向一側に開放したフック状に形成されている。第1係合爪26の下面には、リブ26aが下方へ突出するように形成されている。第1係合爪26の突出方向は、ダクト10への取付状態でダクト10の内方へ向かう方向となっている。
【0041】
また、第2係合爪27も第1係合爪26と同様に、円板部材21の下面から下方へ突出し、周方向一側に開放したフック状に形成され、下面にはリブ27aが形成されている。
【0042】
第1及び第2係合爪26,27がダクト10の第1及び第2爪挿入孔13,14に挿入された状態で、電装部品20が周方向一側へ回動操作されると、第1爪挿入孔13の縁部13aが第1係合爪26にその開放側から入り込み、また、第2爪挿入孔14の縁部14aが第2係合爪27にその開放側から入り込む。これにより、第1及び第2係合爪26,27がそれぞれ第1及び第2爪挿入孔13,14の縁部13a,14aに係合した状態となる。
【0043】
図4にも示すように、カバー部材22は、円板部材21に対応した形状の円板部22aと、円板部22aの周縁部から円板部材21の周囲を覆うように延びる周壁部22bとを備えている。このカバー部材22は、樹脂材で構成されている。
【0044】
円板部22aの中央部には、雄コネクタ部30が一体成形されている。雄コネクタ部30は、角筒状に突出している。雄コネクタ部30の内部には、基板に接続されたコネクタピンP(図5に示す)が設けられている。この雄コネクタ部30には、図示しない雌コネクタが嵌入されて接続されるようになっている。
【0045】
円板部22aの雄コネクタ部30の幅方向両側には、雄コネクタ部30の外方へ膨出する膨出部31,31が形成されている。図10にも示すように、膨出部31,31は、上下方向に延びる形状である。
【0046】
図4に示すように、カバー部材22の周壁部22bの外面には、径方向へ突出する弾性片(弾性変形部)38が設けられている。図5に示すように、弾性片38は、周方向他側へ向けて延び、その先端側へいくほど、周壁部22bの外面から径方向に離れるように傾斜している。弾性片38は、その先端側に径方向の力を加えた際に径方向に弾性変形するようになっている。
【0047】
弾性片38が径方向へ突出するものなので、その突出方向は、ダクト10の外面に沿う方向となる。従って、弾性片38を長くしても、ダクト10の外面に沿って延びるだけであり、ダクト10の外側へ突出する度合いは少ない。
【0048】
上記ダクト10の係合突起17は、電装部品20を挿入孔11に挿入した状態で周方向一側に回動操作した際に傾斜面17bが弾性片38に接触するように配置されている。また、係合突起17の周方向の位置は、第1及び第2係合爪26,27に第1及び第2爪挿入孔13,14の縁部13a、14aが入り込んだ状態で、弾性片38が段部17aに嵌るように配置されている。
【0049】
図4に示すように、カバー部材22の周壁部22bの外面には、誤組付防止突起(誤組付防止手段)39が径方向へ突出するように設けられている。誤組付防止突起39の突出量は、周壁部22bの外面と係合突起17との離間寸法よりも長く、電装部品20を回動操作したときに係合突起17と接触するように設定されている。誤組付防止突起39は、電装部品20の回動操作時に係合突起17と接触しても容易に弾性変形しない板状となっている。誤組付防止突起39は、弾性片38から周方向に180゜離れている。
【0050】
また、放熱フィン23は、円板部材21の下面から下方へ突出している。この放熱フィン23がダクト10内に配置され、ダクト10内を流れる空気が放熱フィン23に当たり、放熱効果が得られるようになっている。
【0051】
次に、上記のように構成された電装部品20をダクト10に取り付ける場合について説明する。
【0052】
まず、電装部品20の放熱フィン23をダクト10の挿入孔11に挿入する。このとき、図12に示すように、電装部品20の弾性片38がダクト10の係合突起17よりも周方向他側で、かつ、係合突起17に近い所に位置するようにする。
【0053】
そして、電装部品20の第1及び第2係合爪26,27をダクト10の第1及び第2爪挿入孔13,14に挿入する。これにより、図10に示すように、ダクト10の環状突条部12が電装部品20の環状凹条部24に挿入された状態となる。
【0054】
その後、電装部品20を周方向一側へ回動操作する。回動操作時には、電装部品20のカバー部材22の膨出部31,31が電装部品20の外周側に近い部位にあるので、これら膨出部31,31に指を掛けることで、電装部品20にトルクをかけやすくなる。つまり、膨出部31,31は回動操作時に力を加える部分である。
【0055】
電装部品20を周方向一側へ回動させていくと、電装部品20の第1及び第2係合爪26,27が、ダクト10の第1及び第2爪挿入孔13,14内でそれら挿入孔13,14の長手方向に移動していく。そして、電装部品20の第1及び第2係合爪26,27の開放側にダクト10の第1及び第2爪挿入孔13,14の縁部13a,14aが入り込み、縁部13a,14aが第1及び第2係合爪26,27の内面に当接する(図11参照)。これにより、電装部品20の周方向一側への回動が阻止された状態となり、第1及び第2係合爪26,27が縁部13a,14aに係合して電装部品20はダクト10の内外方向へは移動しなくなる。
【0056】
また、電装部品20を周方向一側へ回動させていくと、電装部品20の弾性片38がダクト10の係合突起17に接近していき、係合突起17の傾斜面17bに接触する。図13に示すように、電装部品20を更に回動させると、弾性片38が傾斜面17bにより径方向内方へ押されて弾性変形する。弾性片38先端部が傾斜面17bを越えて段部17aに対応するまで電装部品20を回動させると、図1に示すように、弾性片38の形状が元の形状に戻って段部17aに嵌る。これにより、電装部品20を周方向他側に回動させようとしても、弾性片38が段部17aに嵌った状態で突っ張るようになるので、他側への回動が阻止される。弾性片38が段部17aに嵌まるタイミングと、上記縁部13a,14aが第1及び第2係合爪26,27の嵌入方向奥側に当接するタイミングとは略同じである。従って、電装部品20の周方向両側への回動が阻止されて電装部品20がダクト10に取り付けられる。
【0057】
次に、作業者が電装部品20を正規の位置に対して180゜回した状態でダクト10に取り付けようした場合について説明する。
【0058】
この場合、図14に示すように、電装部品20の誤組付防止突起39がダクト10の係合突起17近傍において、周方向他側に位置することになる。この状態で電装部品20を周方向一側へ回動操作すると、誤組付防止突起39が係合突起17の傾斜面17bに接触する。誤組付防止突起39は、この程度の力で弾性変形しないので、係合突起17の傾斜面17bを乗り越えることはなく、それ以上電装部品20は回動しない。従って、電装部品20の第1及び第2係合爪26,27の開放側にダクト10の第1及び第2爪挿入孔13,14の縁部13a,14aが入り込まず、電装部品20をダクト10に取り付けることができない。つまり、電装部品20が誤った状態で取り付けられるのを防止することができる。
【0059】
また、図15に示すように、電装部品20の取付時に、電装部品20の第1係合爪26がダクト10の第1爪挿入孔13に完全に挿入されない状態で誤って回動操作された場合には、第1爪挿入孔13の第1突条部15に第1係合爪26が乗り上げることになる。これにより、電装部品20が正規の取付状態に対して大きく変位した状態になるので、ダクト10に取り付けることができなくなる。よって、電装部品20が誤った状態で取り付けられるのを防止することができる。
【0060】
尚、電装部品20の第2係合爪27がダクト10の第2爪挿入孔14に完全に挿入されない状態で誤って回動操作された場合にも、同様に、電装部品20の取り付けができない。
【0061】
以上説明したように、この実施形態1によれば、電装部品20の弾性片38をダクト10の挿入孔11の径方向に突出させているのでダクト10の外側への突出度合いを大きくすることなく弾性片38の長さを確保することができる。また、電装部品20の係合爪26,27をダクト10の内方へ向けて突出させたので、ダクト10の外側へ向けて突出させずに済む。そして、電装部品20の回動操作量が所定量となったときに、ダクト10の係合突起17が弾性片38に係合し、ダクト10の第1及び第2爪挿入孔13,14の縁部13a,14aが第1及び第2係合爪26,27に係合する。よって、コンパクトな取付構造でもって電装部品20をダクト10に取り付けることができる。
【0062】
また、電装部品20に、弾性片38から回動方向に離れて誤組付防止突起39を設けたので、電装部品20がダクト10に誤った状態で取り付けられるのを防止することができる。
【0063】
また、第1係合爪26をフック状に形成し、第1爪挿入孔13,14の縁部に、ダクト10の外側へ突出する第1突条部15を形成したので、電装部品20の第1係合爪26がダクト10の第1爪挿入孔13に完全に挿入されない状態で誤って回動操作された場合に、第1係合爪26が第1突条部15に乗り上げ、電装部品20をダクト10に取り付けることができなくなる。これにより、電装部品20が誤った状態で取り付けられるのを防止することができる。
【0064】
尚、図16に示す変形例のように、電装部材20の放熱フィン23をダクト10内へ大きく突出させてもよい。この変形例では、円形板部21における放熱フィン23の固定部21cを下方へ突出するように形成すればよい。これにより、放熱フィン23へ当たる空気量が増えて冷却性能が向上する。
【0065】
(実施形態2)
図17は、本発明の実施形態2にかかる部材の取付構造1を示すものである。この実施形態2は、実施形態1のものに対し、電装部品20の構造が異なるだけで、ダクト10の構造は同じであるため、以下、実施形態1と異なる部分について詳細に説明する。
【0066】
実施形態2では、図18〜図23にも示すように、電装部品20は、パワーMOS−FET(トランジスタ)ではなく、抵抗回路が実装された基板41を備えている。この基板41の一部が実施形態1の放熱フィン23の代わりに下方へ突出している。また、カバー部材22の雄コネクタ部30は細長い形状とされている。
【0067】
この実施形態2のものでも、実施形態1のものと同様に電装部品20をダクト10に取り付けることができる。
【0068】
また、図24に示すように、作業者が電装部品20を正規の取付状態に対して180゜回した状態でダクト10に取り付けようした場合には、電装部品20をダクト10に取り付けることができないので、電装部品20が誤った状態で取り付けられるのを防止することができる。
【0069】
この実施形態2にかかる部材の取付構造1によれば、実施形態1と同様に、コンパクトな取付構造でもって電装部品20をダクト10に取り付けることができる。
【0070】
尚、電装部品20は、ダクト10以外にも、空調装置のケーシング(取付体)に取り付けるようにしてもよい。
【0071】
また、上記実施形態1、2では、電装部品20に弾性片38を1つだけ設けているが、これに限らず、弾性片38を複数設けてもよい。複数設ける場合、ダクト10には、弾性片38に対応するように複数の係合突起17を設けるようにする。
【0072】
また、上記実施形態1、2では、電装部品20に係合爪を2つ設けているが、これに限らず、係合爪は3つ以上であってもよい。3つ以上設ける場合、ダクト10には、係合爪に対応するように爪挿入孔を形成する。
【0073】
また、上記実施形態1、2では、取付体に取り付ける部品として送風機の速度調整用の電装部品20である場合について説明したが、これに限らず、例えば、送風機のモーター等であってもよい。この場合、取付体はケーシングとなる。
【0074】
また、本発明は、空調装置の電装部品20を取り付ける場合だけでなく、各種部品を回動操作することによって取付体に取り付ける場合に広く適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上説明したように、本発明にかかる部品の取付構造は、例えば空調装置の電装部品をダクトやケーシングに取り付ける場合に適用できる。
【符号の説明】
【0076】
1 部品の取付構造
10 ダクト(取付体)
11 挿入孔
13 第1爪挿入孔
13a 縁部(第2係合部)
14 第2爪挿入孔
14a 縁部(第2係合部)
15 第1突条部(突出部)
16 第2突条部(突出部)
17 係合突起(第1係合部)
20 電装部品
26 第1係合爪
27 第2係合爪
38 弾性片(弾性変形部)
39 誤組付防止突起(誤組付防止手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を取付体の挿入孔に挿入した状態で該挿入孔の中心線周りに回動操作して該取付体に取り付けるように構成された部品の取付構造において、
上記部品には、上記挿入孔の径方向に突出するとともに径方向に弾性変形する弾性変形部と、上記取付体の内方へ向けて突出する係合爪とが設けられ、
上記取付体における上記挿入孔の周りには、回動操作時の回動方向一側から上記弾性変形部に係合する第1係合部と、回動方向他側から上記係合爪に係合する第2係合部とが設けられ、
上記第1係合部は、上記部品を回動操作することによって上記弾性変形部に接触して該弾性変形部を上記挿入孔の径方向に弾性変形させ、上記部品の回動操作量が所定量となったときに上記弾性変形部を復元方向に変位させて回動方向一側から上記弾性変形部に係合するように配置され、
上記第2係合部は、上記部品の回動操作量が所定量となったときに上記係合爪に回動方向他側から係合するように配置されていることを特徴とする部品の取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の部品の取付構造において、
部品には、上記挿入孔の径方向に突出するとともに、取付体の第1係合部に接触した際に弾性変形しないように構成された誤組付防止手段が設けられ、
上記誤組付防止手段は、弾性変形部に対して部品の回動方向に離れて配置されていることを特徴とする部品の取付構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の部品の取付構造において、
取付体には、部品の係合爪が挿入される爪挿入孔が形成され、該爪挿入孔の形状は部品の回動方向に長く設定され、
上記取付体の第2係合部は、上記爪挿入孔の縁部で構成されていることを特徴とする部品の取付構造。
【請求項4】
請求項3に記載の部品の取付構造において、
係合爪は、爪挿入孔の周縁に引っ掛かって係合するフック状に形成され、
上記爪挿入孔の周縁には、取付体の外側へ突出する突出部が形成されていることを特徴とする部品の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−188089(P2012−188089A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55701(P2011−55701)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000152826)株式会社日本クライメイトシステムズ (154)
【Fターム(参考)】