説明

部品の固定構造

【課題】簡単な構造で係止片と係止受け部との係止の外れを防止して、部品同士の外れを防ぐことができる部品の固定構造を提供する。
【解決手段】部品の固定構造1は、リング部材6に突設された係止片25と、前記リング部材6が装着されるケース本体15に設けられ且つ係止片25が挿入されて係止する係止受け部30とを備えている。係止片25は、帯板状で且つ係止受け部30への挿入方向に沿って間隔をあけて係合孔26と一対の切欠部27とが設けられている。係止受け部30は、内側に係止片25が挿入され且つ係止片25の係合孔26に係合する第1係合凸部34が設けられた本体部31と、一対の押圧アーム35とを備えている。一対の押圧アーム35は、それぞれ、一端35aが本体部31に連なり且つ他端35bが自由端となるアーム状に形成され且つ他端35bに係止片25の各切欠部27に係合する第2係合凸部36が突設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両や船舶等の移動体に搭載される計器装置を構成するリング部材などの第1の部品と、ケースなどの第2の部品と、を互いに固定するために用いられる部品の固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両、船舶などの移動体には、各種の計測手段が計測した複数の情報を移動体の乗員に対して表示する計器装置が搭載されている。この種の計器装置として、例えば、移動体としての車両の速度を表示するスピードメータ、エンジンの回転数を表示するタコメータ、燃料の残量を表示するフューエルゲージ及びエンジンの冷却水の温度を表示するテンパラチャゲージ等の複数の表示計器を備えた車両用コンビネーションメータが用いられる。
【0003】
前述したコンビネーションメータは、複数の表示計器を合成樹脂等からなるケース内に収容するとともに、このケースの車両の乗員側に前記複数の表示計器各々の縁部を覆って表示部分以外を乗員に対して遮蔽するリング部材を取り付けて、該リング部材の乗員側を表ガラスで覆うことで前記複数の表示計器等を保護している。
【0004】
また、前述したコンビネーションメータは、リング部材をケースに取り付けて、これらリング部材とケースとを互いに固定するための固定構造を備えている。この固定構造として、従来から種々の固定構造(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。特許文献1に例示された固定構造は、リング部材に突設された係止爪と、前記リング部材が取り付けられるケースの側面に設けられ且つ前記係止爪が係止する被係止部と、を備えている。
【0005】
係止爪は、貫通孔が設けられた係止片と該係止片を互いの間に挟む格好で設けられた一対の押さえ片とを一体に備えており、先端が三又に分岐した帯板状に形成されている。また、係止片には、貫通孔の当該係止片の先端側に隣接し且つ当該係止片の表面から突出した係止フックが設けられている。
【0006】
被係止部は、ケースの側面に突設され且つ該ケースの周方向に沿って互いに間隔をあけて配された一対の押圧部と、ケースの側面から突出し且つ前記一対の押圧部の間に配された係止突部と、を備えている。
【0007】
一対の押圧部は、それぞれ、ケースの側面から立設した立設部と、該立設部のケースから離れた側の端部から突出し且つケースの側面と平行に設けられた平行部とを有した、断面L字状に形成されている。一対の押圧部は、各々の立設部が互いに平行で且つ各々の平行部が各立設部の端部から互いに近づく方向に突出する格好で配されているとともに、ケースの表面側に開口している。
【0008】
また、一対の押圧部各々の平行部は、ケースの側面と前述した係止爪の厚みと略等しく間隔をあけて設けられている。さらに、一対の押圧部各々の平行部には、ケースの表面から離れた側の端部から該ケースに向かって突出した押圧凸部が設けられている。そして、前述した構成の被係止部は、一対の押圧部とケースの側面とに囲まれる空間内に前述した係止爪が挿入される。
【0009】
前述した構成の固定構造は、リング部材の係止爪がケースの表面側から該ケースに設けられた被係止部の一対の押圧部とケースの側面とに囲まれる空間内に挿入される。すると、係止爪の係止片に設けられた係止フックが係止突部を乗り越えて該係止突部と係合し且つ係止突部が係止片の貫通孔内に位置付けられるとともに、係止爪の一対の押さえ片各々が各押圧部の押圧凸部によりケースの側面に押圧される。こうして、固定構造は、リング部材に突設された係止爪とケースに設けられた被係止部とが係止することで、これらリング部材とケースとを固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−292644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前述の特許文献1に開示された固定構造は、被係止部の一対の押圧部各々の押圧凸部が係止爪の一対の押さえ片をケースの側面に押圧することで、係止爪の係止フックと被係止部の係止突部との係合状態を保持しているため、車両衝突時の大きな衝撃などにより、係止爪にケースの側面から離れる方向へ大きな荷重が加わった場合に、係止爪の係止片がケースの側面から離れてしまい、この係止片に設けられた係止フックと被係止部の係止突部との係合が外れて、係止爪が被係止部から抜けて部品同士が外れてしまう虞があった。
【0012】
したがって、本発明の目的は、前述した問題点に鑑み、簡単な構造で係止片と係止受け部との係止が外れることを防止して、部品同士の外れを防ぐことができる部品の固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、第1の部品と該第1の部品が取り付けられる第2の部品とのうちいずれか一方の部品に突設された係止片と、他方の部品に設けられ且つ前記係止片が挿入されて係止する係止受け部と、を有し、前記第1の部品と前記第2の部品とを互いに固定する部品の固定構造において、前記係止片は、当該係止片を貫通し且つ前記係止受け部への挿入方向に沿って互いに間隔をあけて設けられた一対の係合部を有し、前記係止受け部が、内側に前記係止片が挿入されるとともに前記一対の係合部のうちの一方の係合部に係合する第1係合凸部が設けられた本体部と、一端が前記本体部に連なり且つ他端が前記本体部の前記第1係合凸部が設けられた内面に接離可能に形成された前記係止片を前記内面に押圧する押圧アームと、前記押圧アームの前記他端に突設され且つ前記一対の係合部のうちの他方の係合部に係合する第2係合凸部と、を有していることを特徴とする部品の固定構造である。
【0014】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、前記第2係合凸部が、前記係止片の前記挿入方向後端側に、前記押圧アームの他端から突出するにしたがって徐々に前記係止片の前記挿入方向に向かって傾斜した傾斜面を有していることを特徴とするものである。
【0015】
請求項1に記載された発明によれば、係止受け部が、内側に係止片が挿入されるとともに該係止片の一対の係合部のうちの一方の係合部に係合する第1係合凸部が設けられた本体部と、一端が本体部に連なり且つ他端が本体部の第1係合凸部が設けられた内面に接離可能に形成された係止片を内面に押圧する押圧アームと、該押圧アームの他端に突設され且つ係止片の一対の係合部のうちの他方の係合部に係合する第2係合凸部と、を有しているので、押圧アームの弾性復元力に抗して、係止片が本体部の第1係合凸部が設けられた内面から離れる方向に変位して、係止片の一方の係合部と本体部の第1係合凸部との係合が外れても、係止片の他方の係合部に押圧アームの第2係合凸部を係合させた状態に保つことができる。このため、係止片が係止受け部との係止が外れて該係止受け部から抜けることを防止することができる。
【0016】
請求項2に記載された発明によれば、第2係合凸部が、係止片の前記挿入方向後端側に、押圧アームの他端から突出するにしたがって徐々に係止片の挿入方向に向かって傾斜した傾斜面を有しているので、係止受け部の本体部内に係止片を挿入した際に、該係止片の先端が第2係合凸部の傾斜面に沿ってスライドすることで、押圧アームを容易に弾性変形させることができる。このため、係止片を係止受け部の本体部内に挿入して該係止受け部に係止する際の挿入力を低減することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、請求項1に記載された発明によれば、押圧アームの弾性復元力に抗して、係止片が本体部の第1係合凸部が設けられた内面から離れる方向に変位して、係止片の一方の係合部と本体部の第1係合凸部との係合が外れても、係止片の他方の係合部に押圧アームの第2係合凸部を係合させた状態に保つことができる。このため、係止片が係止受け部との係止が外れて該係止受け部から抜けることを防止することができる。したがって、簡単な構造で部品同士が外れることを防ぐことができる。
【0018】
請求項2に記載された発明によれば、係止受け部の本体部内に係止片を挿入した際に、該係止片の先端が第2係合凸部の傾斜面に沿ってスライドすることで、押圧アームを容易に弾性変形させることができる。このため、係止片を係止受け部の本体部内に挿入して該係止受け部に係止する際の挿入力を低減することができる。したがって、係止片と係止受け部との係止をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態にかかる固定構造を備えた車両用コンビネーションメータを構成するケースとリング部材とを示す分解斜視図である。
【図2】図1に示された車両用コンビネーションメータの固定構造の要部を示す斜視図である。
【図3】図2に示された固定構造の係止受け部に係止片が係止した状態を示す平面図である。
【図4】図3中のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図3中のV−V線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態にかかる部品の固定構造(以下、単に固定構造と記す)を、図1乃至図5を参照して説明する。本発明の一実施形態にかかる固定構造1は、例えば、自動車等の車両に搭載される車両用コンビネーションメータに用いられる。この車両用コンビネーションメータは、車両の乗員に対して該車両の状況を表示する装置である。
【0021】
車両用コンビネーションメータは、図示しない表示計器と、各種の電子部品等が実装されたプリント配線板(図示せず)と、これら表示計器及びプリント配線板等を収容するケース5(図1に示す)と、該ケース5の後述するケース本体15に取り付けられるリング部材6(図1に示す)と、ケース5の車両の乗員側即ち前面側に配された見返し部材(図示せず)と、該見返し部材の乗員側即ち前面側を覆う透明カバー(図示せず)などを備えている。
【0022】
表示計器は、エンジンの回転数を表示するタコメータと、車両の速度を表示するスピードメータと、エンジンの冷却水の温度を表示するテンパラチャゲージと、燃料の残量を表示するフューエルゲージと、を備えている。なお、本実施形態では、タコメータ、スピードメータ、テンパラチャゲージ及びフューエルゲージの各々に対応した表示計器の基本構成は同一であることから、以下はタコメータに対応した表示計器を代表して説明する。
【0023】
表示計器は、ムーブメントと、指針と、表面(車両の乗員から視認される面)にエンジン回転数表示用の目盛及び数字又は記号等の指標部が設けられた文字板13(図1に示す)等によって構成されている。ムーブメントは、車両に搭載された図示しないエンジン回転数計測手段等と接続されているとともに、該エンジン回転数計測手段が計測した計測量に応じて回転する出力軸を備えている。
【0024】
指針は、中心軸となる基端部と、該基端部から直線状に延び且つ前述した指標部を指示する指示部とを備えている。指針は、指標部の中央部に基端部が位置した状態で、ムーブメントの出力軸に取り付けられて、該出力軸と一体となって回転する。そして、指針は、エンジン回転数計測手段が計測した計測量に応じてムーブメントによって回動されて、指標部と協働して計測量を表示する。
【0025】
文字板13は、透光性の合成樹脂等からなり、円盤状に形成されている。文字板13は、表面に遮光層が設けられており、この遮光層の指標部の部分が除かれることで該指標部が形成されている。文字板13は、指標部が指針の回動許容範囲に対応して略円弧状に配置されているとともに、該指標部が背後からの光を前方(乗員側)に透過することで車両の乗員(利用者)に発光視認される。
【0026】
プリント配線板は、可撓性を有さない比較的硬質な材料からなり且つ略矩形の平板状に形成されている。プリント配線板は、前述した指標部及び指針等を照明する複数のLEDと、前述したムーブメントと、これらの複数のLED及びムーブメント等の動作を制御するためのマイコンなどの電子部品等が、電気的に接続されて実装されている。そして、プリント配線板は、ケース5の後述するケース本体15の前面壁16及び裏カバー(図示せず)と略平行に配されるとともに、ケース本体15と裏カバーとの間に取り付けられて、ケース5内に収容される。
【0027】
ケース5は、合成樹脂等から形成されており、図1に示すように、ケース本体15と、図示しない裏カバーと、を備えている。ケース本体15は、車両の乗員に相対する前面壁16と、この前面壁16の外周縁から車両の乗員から離れる方向に延びた周壁17と、を備えている。ケース本体15は、乗員から離れる側、即ち、背面側に開口する箱状に形成されている。
【0028】
前面壁16には、前述した出力軸を通す指針用開口部(図示せず)と、前述したプリント配線板の複数のLEDからの光を文字板13側へ通すための複数の照明用開口部(図示せず)と、が設けられている。周壁17は、ケース本体15の外郭を形成する。また、周壁17には、係止受け部30が複数設けられている。なお、前記係止受け部30は、本実施形態において、固定構造1を構成しており、詳細な構成については後述する。
【0029】
そして、前述した構成のケース本体15は、前面壁16の車両の乗員側の面に文字板13が重ねられて、この文字板13を前面壁16との間に挟む格好でリング部材6が取り付けられる。なお、前記ケース本体15は、特許請求の範囲に記載の第2の部品に相当する。
【0030】
裏カバーは、合成樹脂等からなり、平板状に形成されている。裏カバーは、ケース本体15の車両の乗員から離れた側即ち背面側に取り付けられて、該ケース本体15の開口を閉塞する。
【0031】
リング部材6は、図1に示すように、各文字板13の車両の乗員側即ち前面側に配されて、前記各文字板13をケース5のケース本体15の前面壁16との間に挟む格好で、該ケース5のケース本体15に取り付けられている。リング部材6には、各文字板13の指標部を車両の乗員に対して露出させる複数の露出窓24と、複数の係止片25と、が設けられている。
【0032】
そして、リング部材6は、ケース5のケース本体15に取り付けられて、複数の露出窓24各々から各文字板13の指標部を露出させることで、車両の乗員側から見て各文字板13の指標部の外周縁を縁取る。なお、本実施形態において、リング部材6は、特許請求の範囲に記載の第1の部品に相当し、前記係止片25は、固定構造1を構成しており、詳細な構成については後述する。
【0033】
見返し部材は、合成樹脂等から形成されており、前述した表示計器としてのタコメータ、スピードメータ、テンパラチャゲージ及びフューエルゲージの各々に対応する部分に開口が設けられている。見返し部材は、ケース5のケース本体15の車両の乗員側即ち前面側に取り付けられて、タコメータ、スピードメータ、テンパラチャゲージ及びフューエルゲージの各々の表示部分以外を車両の乗員に対して遮蔽する。
【0034】
透明カバーは、透明性を有する樹脂等から形成されている。透明カバーは、ケース5のケース本体15の前面壁16との間に前述した見返し部材を挟む格好で該ケース本体15に取り付けられる。そして、透明カバーは、前述した表示計器としてのタコメータ、スピードメータ、テンパラチャゲージ及びフューエルゲージと、リング部材6と、見返し部材等の車両の乗員側即ち前面側を覆って、車両用コンビネーションメータ内へ埃等が侵入するのを防ぐ。
【0035】
固定構造1は、図1に示すように、前述したリング部材6に複数設けられた係止片25と、該複数の係止片25各々が挿入されて係止するとともに前述したケース5のケース本体15の周壁17に複数設けられた係止受け部30と、を備えている。
【0036】
複数の係止片25は、図1又は図2に示すように、リング部材6の外縁部から背面側即ちケース本体15に向かって突設されているとともに、リング部材6の外周に沿って互いに間隔をあけて配されている。複数の係止片25は、それぞれ、帯板状に形成されており、係合孔26と、一対の切欠部27と、を備えている。
【0037】
係合孔26は、図2に示すように、平面視が矩形状で且つ係止片25を貫通して形成されている。係合孔26は、係止片25のリング部材6の外縁部から離れた先端部寄りで且つ該係止片25の幅方向の中央部に設けられている。なお、前記係合孔26は、特許請求の範囲に記載の一対の係合部を構成しており、一方の係合部に相当する。
【0038】
一対の切欠部27は、図2に示すように、係止片25の幅方向の両縁部に設けられ且つ係止片25の両縁部から中央部に向かってコ字状態に切り欠かれて形成されている。一対の切欠部27は、係合孔26よりも前述したリング部材6の外縁部側に配されている。即ち一対の切欠部27は、係合孔26よりも係止片25の先端部から離れた側に配されている。なお、前記一対の切欠部27は、特許請求の範囲に記載の一対の係合部を構成しており、他方の係合部に相当する。
【0039】
そして、前述した係合孔26と一対の切欠部27とは、係止片25の係止受け部30への挿入方向に沿って互いに間隔をあけて設けられている。
【0040】
複数の係止受け部30は、図1に示すように、前述したケース5のケース本体15の周壁17に、該ケース本体15の外周に沿って互いに間隔をあけて設けられている。複数の係止受け部30は、前述したリング部材6に設けられた複数の係止片25と相対する位置に配されている。複数の係止受け部30は、それぞれ、図2に示すように、前述したケース5のケース本体15の周壁17の表面17a(図4に示す)に突設されているとともに、内側に前述した係止片25が挿入される本体部31と、一対の押圧アーム35と、を備えている。
【0041】
本体部31は、図2又は図3などに示すように、ケース本体15の周壁17の表面17aから突出した一対の突出壁32と、該一対の突出壁32のケース本体15の前面壁16から離れた側の端部同士を連結する連結部33と、を備えている。一対の突出壁32は、平板状に形成され且つケース本体15の外周に沿って互いに間隔をあけて設けられているとともに、互いに平行に配されている。連結部33は、ケース本体15の周壁17の表面17aと間隔をあけ且つ該表面17aに平行に設けられている。
【0042】
そして、本体部31は、一対の突出壁32の間で且つ該一対の突出壁32及び連結部33とケース本体15の周壁17の表面17aとに囲まれる空間、即ち当該本体部31の内側に前述した係止片25が挿入される。
【0043】
また、本体部31は、図3乃至図5に示すように、一対の突出壁32の間に位置するケース本体15の周壁17の表面17aに第1係合凸部34が突設されている。この第1係合凸部34は、本体部31の内側に前述した係止片25が挿入された際に、該係止片25の係合孔26に係合する位置に配されている。なお、前記表面17aは、特許請求の範囲に記載の内面に相当する。
【0044】
一対の押圧アーム35は、それぞれ、図3乃至図5に示すように、角柱状に形成されており、長手方向の一端35aが本体部31の連結部33に連なり且つ他端35bが自由端となるアーム状に設けられている。一対の押圧アーム35は、前述したケース本体15の周壁17に沿って互いに間隔をあけて配されている。一対の押圧アーム35は、それぞれ、他端35bが一対の突出壁32の間に位置するケース本体15の周壁17の表面17aに接離(近づいたり離れたりする)可能に弾性変形自在に設けられている。
【0045】
また、一対の押圧アーム35は、それぞれ、他端35bに第2係合凸部36が突設されている。第2係合凸部36は、図4又は図5に示すように、押圧アーム35の他端35bから前述した一対の突出壁32の間に位置する周壁17の表面17aに向かって突出して設けられている。この第2係合凸部36は、本体部31の内側に前述した係止片25が挿入された際に、該係止片25の切欠部27に係合する位置に配されている。
【0046】
また、第2係合凸部36には、本体部31の内側に挿入された係止片25の挿入方向後端側に、押圧アーム35の他端35bから突出するにしたがって徐々に前記係止片25の挿入方向に向かって傾斜した傾斜面37が設けられている。
【0047】
そして、前述した構成の一対の押圧アーム35は、それぞれ、本体部31の内側に前述した係止片25が挿入された際に、他端35bが一対の突出壁32の間に位置する周壁17の表面17aから離れる方向に弾性変形し、第1係合凸部34が係止片25の係合孔26に係合すると弾性復元して、第2係合凸部36が係止片25の各切欠部27に係合するとともに、係止片25を一対の突出壁32の間に位置する周壁17の表面17aに押圧する。
【0048】
前述した構成の固定構造1は、ケース5のケース本体15とリング部材6との間に前述した文字板13を配置して、ケース本体15の前面壁16の乗員側即ち前面側にリング部材6を重ねると、ケース本体15の複数の係止受け部30とリング部材6の複数の係止片25とが同軸上に配置されるとともに、複数の係止片25各々が各係止受け部30の本体部31の一対の突出壁32の間に位置する周壁17の表面17aと一対の押圧アーム35との間に挿入される。
【0049】
すると、各係止片25の先端が一対の押圧アーム35の第2係合凸部36の傾斜面37に当接して該傾斜面37に沿ってスライドされることで、各係止受け部30の一対の押圧アーム35が各々の他端35bが一対の突出壁32の間に位置する周壁17の表面17aから離れる方向に弾性変形する。
【0050】
そして、さらに各係止片25を挿入して該各係止片25の係合孔26に各本体部30の一対の突出壁32の間に位置する周壁17の表面17aから突設された第1係合凸部34が係合するとともに、各係止片25の一対の切欠部27各々に一対の押圧アーム35の各第2係合凸部36が係合すると、一対の押圧アーム35が弾性復元して係止片25を本体部31の一対の突出壁32の間に位置する周壁17の表面17aに押圧する。
【0051】
こうして、前述した固定構造1は、リング部材6の複数の係止片25がケース本体15の複数の係止受け部30に挿入されて係止することで、リング部材6とケース本体15とを互いに固定する。
【0052】
本実施形態によれば、係止受け部30が、内側に係止片25が挿入されるとともに該係止片25の係合孔26に係合する第1係合凸部34が設けられた本体部31と、一端35aが本体部31に連なり且つ他端35bが本体部31の第1係合凸部34が設けられた表面17aに接離可能に形成された係止片25を表面17aに押圧する一対の押圧アーム35と、該一対の押圧アーム35各々の他端35bに突設され且つ係止片25の各切欠部27に係合する第2係合凸部36と、を有している。
【0053】
このため、一対の押圧アーム35の弾性復元力に抗して、係止片25が本体部31の第1係合凸部34が設けられた表面17aから離れる方向に変位して、係止片25の係合孔26と本体部31の第1係合凸部34との係合が外れても、係止片25の各切欠部27に一対の押圧アーム35各々の第2係合凸部36を係合させた状態に保つことができる。したがって、係止片25が係止受け部30との係止が外れて該係止受け部30から抜けることを防止することができる。よって、簡単な構造で部品同士が外れることを防ぐことができる。
【0054】
また、第2係合凸部36が、係止片25の挿入方向後端側に、押圧アーム35の他端35bから突出するにしたがって徐々に係止片25の挿入方向に向かって傾斜した傾斜面37を有している。
【0055】
このため、係止受け部30の本体部31内に係止片25を挿入した際に、該係止片25の先端が第2係合凸部36の傾斜面37に沿ってスライドすることで、押圧アーム35を容易に弾性変形させることができる。したがって、係止片25を係止受け部30の本体部31内に挿入して該係止受け部30に係止する際の挿入力を低減することができ、係止片25と係止受け部30との係止をスムーズに行うことができる。
【0056】
前述した実施形態では、第1の部品としてリング部材6を示し、第2の部品としてケース本体15を示している。しかしながら、本発明では、第1の部品及び第2の部品として、ジャンクションボックスやリレーボックスなどの自動車に搭載される各種の機器を用いても良く、自動車に搭載される各種の機器以外の如何なるものであっても良い。
【0057】
また、前述した実施形態では、固定構造1は、係止片25がリング部材6に設けられ且つ係止受け部30がケース本体15に設けられて構成されていた。しかしながら、本発明は、係止片25をケース本体15に設け且つ係止受け部30をリング部材6に設けて構成していても良いことは、勿論である。
【0058】
さらに、前述した実施形態では、固定構造1は、係止受け部30に本体部31内に挿入された係止片25を該本体部31の一対の突出壁32の間に位置する周壁17の表面17aに押圧する押圧アーム35が一対設けられて構成されていた。しかしながら、本発明は、押圧アーム35を係止受け部30に一つ設けて構成していても良く、押圧アーム35を係止受け部30に複数設けて構成していても良い。
【0059】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 部品の固定構造
6 リング部材(第1の部品)
15 ケース本体(第2の部品)
17a 表面(内面)
25 係止片
26 係合孔(係合部)
27 切欠部(係合部)
30 係止受け部
31 本体部
34 第1係合凸部
35 押圧アーム
35a 一端
35b 他端
36 第2係合凸部
37 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部品と該第1の部品が取り付けられる第2の部品とのうちいずれか一方の部品に突設された係止片と、他方の部品に設けられ且つ前記係止片が挿入されて係止する係止受け部と、を有し、前記第1の部品と前記第2の部品とを互いに固定する部品の固定構造において、
前記係止片は、当該係止片を貫通し且つ前記係止受け部への挿入方向に沿って互いに間隔をあけて設けられた一対の係合部を有し、
前記係止受け部が、内側に前記係止片が挿入されるとともに前記一対の係合部のうちの一方の係合部に係合する第1係合凸部が設けられた本体部と、一端が前記本体部に連なり且つ他端が前記本体部の前記第1係合凸部が設けられた内面に接離可能に形成された前記係止片を前記内面に押圧する押圧アームと、前記押圧アームの前記他端に突設され且つ前記一対の係合部のうちの他方の係合部に係合する第2係合凸部と、を有していることを特徴とする部品の固定構造。
【請求項2】
前記第2係合凸部が、前記係止片の前記挿入方向後端側に、前記押圧アームの他端から突出するにしたがって徐々に前記係止片の前記挿入方向に向かって傾斜した傾斜面を有していることを特徴とする請求項1に記載の部品の固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−27211(P2011−27211A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175220(P2009−175220)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】