説明

部品の実装方法および表面実装機

【課題】複数の吸着ヘッドに吸着された部品どうしの干渉を防止しつつ基板の生産効率を効果的に向上させる。
【解決手段】吸着部品どうしの干渉が起きるおそれがある場合に、次のような制御動作を実行する。まず、先行して吸着されるべき所定数の部品からなる第1吸着グループの部品Cを所定の吸着ヘッド20により吸着し、その後、部品供給部4内の次の供給場所へと上記ヘッドユニット6が移動する間に、スキャンユニット8により上記第1吸着グループの部品Cを撮像する。そして、次に吸着されるべき第2吸着グループの部品Cを、上記所定の吸着ヘッド20よりも相対的に下側にオフセットした他の吸着ヘッド20により吸着してこれを上記スキャンユニット8により撮像する。最後に、上記スキャンユニット8により撮像された部品Cの吸着状態を考慮しながら、基板3上の各実装ポイントに上記部品Cを実装する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を吸着可能な複数の吸着ヘッドにより部品供給部から部品を取り出して基板上に実装する移動可能なヘッドユニットと、このヘッドユニットに取り付けられ、上記複数の吸着ヘッドに吸着された部品を当該ヘッドの列に沿って移動しながら撮像する移動撮像手段とを備えた表面実装機を用いて基板に部品を実装する方法および表面実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に示されるように、部品吸着用の複数の吸着ヘッドを列状に有するヘッドユニットにより部品供給部から部品を取り出して基板に実装する表面実装機において、上記複数の吸着ヘッドが部品を同一高さに保持すると、少なくとも1つの吸着ヘッドに吸着された部品がこれと隣り合う部品と干渉してしまう場合に、これらの部品を吸着すべき吸着ヘッドが上下にオフセットするように吸着ヘッドの駆動を制御するとともに、上記ヘッドユニットに取り付けられたレーザユニット等からなる光学的検知手段により、上記各吸着ヘッドに吸着された部品の吸着状態を調べ、その結果に基づいて部品実装時の位置制御を行うことが行われている。
【0003】
この特許文献1に開示された表面実装機によれば、隣り合う吸着ヘッドを上下にオフセットさせることにより、これらの吸着ヘッドに吸着された部品どうしの干渉を防止できるとともに、光学的検知手段により調べられた部品の実装状態に基づき基板上への部品の実装を適正に行えるという利点がある。
【特許文献1】特開2000−165093号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された表面実装機では、全ての吸着ヘッドに部品が吸着されてから光学的検知手段による部品の認識動作が行われるように構成されているため、全ての部品を吸着し終えたヘッドユニットがその部品を基板まで搬送するのに要する時間が比較的短いような場合には、上記ヘッドユニットの移動中に上記光学的検知手段による部品の認識動作を終了させることができず(つまりヘッドユニットが基板上に到達した時点で直ちに部品の実装動作に移ることができず)、上記認識動作を待つことによる余計なタイムロスが発生するおそれがあった。
【0005】
特に、上記特許文献1のように、部品の干渉防止のために吸着ヘッドが上下にオフセットするように構成された表面実装機では、上側の吸着ヘッドに吸着された部品と下側の吸着ヘッドに吸着された部品とを光学的検知手段により順番に(時期をずらして)認識する必要があるため、部品の認識動作に時間がかかり、上記のようなタイムロスがより多く発生して基板の生産効率が低下してしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、部品吸着用の複数の吸着ヘッドにより部品供給部から部品を取り出して基板に実装する表面実装機において、上記複数の吸着ヘッドに吸着された部品どうしの干渉を防止しつつ基板の生産効率を効果的に向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためのものとして、本発明の請求項1にかかる発明は、部品を吸着可能な複数の吸着ヘッドにより部品供給部から部品を取り出して基板上に実装する移動可能なヘッドユニットと、このヘッドユニットに取り付けられ、上記複数の吸着ヘッドに吸着された部品を当該ヘッドの列に沿って移動しながら撮像する移動撮像手段とを備えた表面実装機を用いて基板に部品を実装する方法であって、上記複数の吸着ヘッドが部品を吸着する際に部品どうしの干渉が起きるおそれがあるか否かを判定する判定工程と、この判定工程で部品が干渉するおそれがあると判定された場合に、先行して吸着されるべき所定数の部品からなる第1吸着グループの部品を所定の吸着ヘッドにより吸着する第1吸着工程と、この第1吸着工程の後、上記部品供給部内の次の供給場所へと上記ヘッドユニットが移動する間に、上記移動撮像手段を上記ヘッドユニットに対し移動させて上記第1吸着グループの部品を撮像する第1撮像工程と、この第1撮像工程の後、上記第1吸着グループの部品の次に吸着されるべき第2吸着グループの部品を、上記所定の吸着ヘッドよりも相対的に下側にオフセットした他の吸着ヘッドにより吸着する第2吸着工程と、この第2吸着工程の後、上記移動撮像手段を上記ヘッドユニットに対し移動させて上記第2吸着グループの部品を撮像する第2撮像工程と、上記第1および第2の撮像工程で撮像された部品の吸着状態を考慮しつつ基板上の各実装ポイントに部品を実装する実装工程とを含むことを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項2にかかる発明は、部品を吸着可能な複数の吸着ヘッドにより部品供給部から部品を取り出して基板上に実装する移動可能なヘッドユニットと、このヘッドユニットに取り付けられ、上記複数の吸着ヘッドに吸着された部品を当該ヘッドの列に沿って移動しながら撮像する移動撮像手段と、これら各部の動作を統括的に制御する制御手段とを備えた表面実装機であって、上記制御手段は、上記複数の吸着ヘッドが部品を吸着する際に部品どうしの干渉が起きるおそれがあるか否かを判定する判定処理手段と、この判定処理手段により部品が干渉するおそれがあると判定された場合に、先行して吸着されるべき所定数の部品からなる第1吸着グループの部品を所定の吸着ヘッドにより吸着する第1吸着処理手段と、この第1吸着処理による処理の後、上記部品供給部内の次の供給場所へと上記ヘッドユニットが移動する間に、上記移動撮像手段を上記ヘッドユニットに対し移動させて上記第1吸着グループの部品を撮像する第1撮像処理手段と、この第1撮像処理手段による処理の後、上記第1吸着グループの部品の次に吸着されるべき第2吸着グループの部品を、上記所定の吸着ヘッドよりも相対的に下側にオフセットした他の吸着ヘッドにより吸着する第2吸着処理手段と、この第2吸着処理手段による処理の後、上記移動撮像手段を上記ヘッドユニットに対し移動させて上記第2吸着グループの部品を撮像する第2撮像処理手段と、上記第1および第2の撮像処理手段による処理で撮像された部品の吸着状態を考慮しつつ基板上の各実装ポイントに部品を実装する実装処理手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
これら請求項1,2にかかる発明によれば、ヘッドユニットに備わる複数の吸着ヘッドにより部品が吸着された状態で部品どうしの干渉が起きるおそれがある場合に、吸着すべき部品を2つの吸着グループ(第1および第2の吸着グループ)に分け、これらの部品を上下にオフセットした吸着ヘッドにより吸着してそれぞれ基板上に実装するようにしたため、吸着部品どうしの干渉を効果的に防止しながら適正に当該部品の実装を行うことができる。
【0010】
しかも、上記各グループのうち先行して吸着されるべき第1吸着グループの部品を吸着した後、ヘッドユニットが次の部品供給場所(つまり第2吸着グループの部品が供給される場所)へと移動する間に、上記ヘッドユニットに取り付けられた移動撮像手段により上記第1吸着グループの部品を撮像するようにしたため、ヘッドユニットが部品の吸着動作を完了する前に、既にある程度の数の部品を上記移動撮像手段により画像認識してその吸着状態を調べておくことができる。したがって、全ての部品を吸着し終えたヘッドユニットが基板へと移動する際には、その時点で撮像が未実施である第2吸着グループの部品に対してのみ上記移動撮像手段による撮像およびその画像処理に基づく吸着状態の判断等を行えばよいため、部品を基板まで搬送するまでの間に上記一連の処理が終了せず余計な待ち時間が発生するのを効果的に抑制することができ、基板の生産効率を効果的に向上させることができる。
【0011】
このような作用効果は、以下に記載する請求項3または4にかかる発明でも同様に得ることができる。
【0012】
請求項3にかかる発明は、部品を吸着可能な複数の吸着ヘッドにより部品供給部から部品を取り出して基板上に実装する移動可能なヘッドユニットと、このヘッドユニットに取り付けられ、上記複数の吸着ヘッドに吸着された部品を当該ヘッドの列に沿って移動しながら撮像する移動撮像手段と、同じく吸着ヘッドに吸着された部品を所定の固定位置から撮像する固定撮像手段とを備えた表面実装機を用いて基板に部品を実装する方法であって、上記複数の吸着ヘッドが部品を吸着する際に部品どうしの干渉が起きるおそれがあるか否かを判定する判定工程と、この判定工程で部品が干渉するおそれがあると判定された場合に、先行して吸着されるべき所定数の部品からなる第1吸着グループの部品を所定の吸着ヘッドにより吸着する第1吸着工程と、この第1吸着工程の後、上記部品供給部内の次の供給場所へと上記ヘッドユニットが移動する間に、上記移動撮像手段および固定撮像手段のうちの一方の撮像手段により上記第1吸着グループの部品を撮像する第1撮像工程と、この第1撮像工程の後、上記第1吸着グループの部品の次に吸着されるべき第2吸着グループの部品を、上記所定の吸着ヘッドよりも相対的に下側にオフセットした他の吸着ヘッドにより吸着する第2吸着工程と、この第2吸着工程の後、上記移動撮像手段および固定撮像手段のうちの他方の撮像手段により上記第2吸着グループの部品を撮像する第2撮像工程と、上記第1および第2の撮像工程で撮像された部品の吸着状態を考慮しつつ基板上の各実装ポイントに部品を実装する実装工程とを含むことを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項4にかかる発明は、部品を吸着可能な複数の吸着ヘッドにより部品供給部から部品を取り出して基板上に実装する移動可能なヘッドユニットと、このヘッドユニットに取り付けられ、上記複数の吸着ヘッドに吸着された部品を当該ヘッドの列に沿って移動しながら撮像する移動撮像手段と、同じく吸着ヘッドに吸着された部品を所定の固定位置から撮像する固定撮像手段と、これら各部の動作を統括的に制御する制御手段とを備えた表面実装機であって、上記制御手段は、上記複数の吸着ヘッドが部品を吸着する際に部品どうしの干渉が起きるおそれがあるか否かを判定する判定処理手段と、この判定処理手段により部品が干渉するおそれがあると判定された場合に、先行して吸着されるべき所定数の部品からなる第1吸着グループの部品を所定の吸着ヘッドにより吸着する第1吸着処理手段と、この第1吸着処理手段による処理の後、上記部品供給部内の次の供給場所へと上記ヘッドユニットが移動する間に、上記移動撮像手段および固定撮像手段のうちの一方の撮像手段により上記第1吸着グループの部品を撮像する第1撮像処理手段と、この第1撮像処理手段による処理の後、上記第1吸着グループの部品の次に吸着されるべき第2吸着グループの部品を、上記所定の吸着ヘッドよりも相対的に下側にオフセットした他の吸着ヘッドにより吸着する第2吸着処理手段と、この第2吸着処理による処理の後、上記移動撮像手段および固定撮像手段のうちの他方の撮像手段により上記第2吸着グループの部品を撮像する第2撮像処理手段と、上記第1および第2の撮像処理手段による処理で撮像された部品の吸着状態を考慮しつつ基板上の各実装ポイントに部品を実装する実装処理手段とを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、部品吸着用の複数の吸着ヘッドにより部品供給部から部品を取り出して基板に実装する表面実装機において、上記複数の吸着ヘッドに吸着された部品どうしの干渉を防止しつつ基板の生産効率を効果的に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1および図2は、本発明にかかる部品の実装方法を実現するための表面実装機の一例を示す図である。これらの図に示される表面実装機1の基台10上にはコンベア2が配置され、このコンベア2によりプリント基板3(以下、単に基板3と略す)が搬送されて所定の実装作業位置(図1の2点鎖線で示される位置)で停止するとともに、当該位置で停止した基板3が図外のクランプ機構により位置決め・保持されるようになっている。なお、以下の説明では、コンベア2による基板3の搬送方向をX軸方向、このX軸と水平面上で直交する方向をY軸方向、X軸およびY軸に直交する方向(つまり上下方向)をZ軸方向として説明を進めることにする。
【0016】
上記基台10のY方向両側部には、部品を供給するための部品供給部4がそれぞれ設けられており、これら各部品供給部4は、X軸方向に横並びに配置された多数列のテープフィーダー5により構成されている。各テープフィーダー5は、IC、トランジスタ、コンデンサ、抵抗等の小片状の部品が所定間隔(供給ピッチ)おきに収納されたテープと、これを導出するためのリール等を有しており、後述するヘッドユニット6により上記テープ内の部品がピックアップされるにつれて上記リールがテープを間欠的に繰り出すように構成されている。
【0017】
上記基台10の上方には、部品搬送用のヘッドユニット6が設けられている。このヘッドユニット6は、基台10上においてX軸方向およびY軸方向に移動可能に支持されており、上記実装作業位置に位置決めされた基板3と上記部品供給部4とにわたって自在に移動し得るように構成されている。
【0018】
すなわち、上記基台10上には、Y軸方向に延びる一対の固定レール9と、Y軸サーボモータ15により回転駆動されるボールねじ軸14とが配設され、上記ヘッドユニット6を支持するための支持部材7が上記固定レール9に沿ってY軸方向に移動可能に支持されるとともに、上記支持部材7に備わるナット部分16が上記ボールねじ軸14と螺合している。また、上記支持部材7には、X軸方向に延びるガイド部材13と、X軸サーボモータ11により回転駆動されるボールねじ軸12とが配設され、このボールねじ軸12と螺合するナット部分(図示省略)を備えた上記ヘッドユニット6が上記ガイド部材13に沿ってX軸方向に移動可能に支持されている。そして、Y軸サーボモータ15が作動してボールねじ軸14が回転駆動されることにより、上記支持部材7がねじ送りされてヘッドユニット6と一体にY軸方向に移動するとともに、X軸サーボモータ11が作動してボールねじ軸12が回転駆動されることにより、上記ヘッドユニット6が支持部材7に対しX軸方向に移動するように構成されている。
【0019】
上記ヘッドユニット6には、部品を吸着して保持するための複数の吸着ヘッド20が搭載されており、当実施形態では、4本の吸着ヘッド20がX軸方向に一列に並べられた状態で搭載されている。
【0020】
これら吸着ヘッド20は、それぞれ、ヘッドユニット6の本体部に対しZ軸方向の移動およびR軸(ヘッド中心軸)回りの回転が可能なように支持され、図外のサーボモータを駆動源とする昇降駆動機構および回転駆動機構によりそれぞれ上記各方向に駆動されるようになっている。
【0021】
上記各吸着ヘッド20の下端部には、部品吸着用のノズル(図示省略)がそれぞれ設けられている。各ノズルは図外の負圧供給手段にそれぞれ接続されており、上記部品供給部4からの部品取出し時には、上記ノズルの先端に上記負圧供給手段から負圧が供給されることにより部品の吸着が行われるようになっている。
【0022】
また、上記ヘッドユニット6には、その吸着ヘッド20の配列方向(X軸方向)に沿って移動可能なスキャン式の撮像手段としてのスキャンユニット8(本発明にかかる移動撮像手段に相当)が取り付けられており、このスキャンユニット8により、上記各吸着ヘッド20に吸着された部品がその搬送途中に撮像されるようになっている。図3および図4は、このスキャンユニット8の具体的構成を示す図である。これらの図に示すように、スキャンユニット8は、その主な構成要素として、カメラ本体25と、このカメラ本体25に吸着部品Cの像を導くためのプリズム群30と、上記吸着部品Cに照明光を当てるための第1および第2の照明体41,43と、これらカメラ本体25、プリズム群30、および照明体41,43を支持するための支持部材40とを有している。
【0023】
上記カメラ本体25は、1次元のCCDイメージセンサ等からなるラインセンサを備えたカメラ(1次元カメラ)によって構成されている。そして、このようなカメラ本体25を、後述するサーボモータ47の駆動に応じて上記支持部材40とともにヘッドユニット6に対しX軸方向に移動させることにより、上記各吸着ヘッド20に吸着された複数の部品をノンストップで順次撮像できるようになっている。なお、上記カメラ本体25による吸着部品の撮像は、スキャンユニット8をヘッドユニット6に対し+X方向および−X方向のどちらに移動させた場合でも行うことが可能である。また、図3および図4において、符号27はカメラ本体25の集光レンズ、符号29はラインセンサ等からなる受光部である。
【0024】
上記支持部材40は、図3に示される取付ブラケット40aを介してヘッドユニット6に取り付けられている。上記ヘッドユニット6の背面側(+Y側)にはX軸方向に延びるボールねじ軸45が配設されており、上記取付ブラケット40aの上端部に設けられた図示しないナット部分が上記ボールねじ軸45と螺合している。そして、このボールねじ軸45がスキャン動作用のサーボモータ47(図7参照)により回転駆動されるのに応じて、上記支持部材40を含むスキャンユニット8全体が、上記ヘッドユニット6に対しX軸方向に移動するようになっている。なお、図2において実線および2点鎖線で示されるスキャンユニット8は、その可動範囲の一方側および他方側の端部にあるスキャンユニット8をそれぞれ示しており、上記サーボモータ47の作動に応じて上記可動範囲の両端の間を上記スキャンユニット8が駆動されることにより、全ての吸着ヘッド20の設置部に亘って上記スキャンユニット8が移動できるようになっている。
【0025】
上記プリズム群30は、第1プリズム31、第2プリズム33、および第3プリズム35からなる3枚のプリズムによって構成されており、これら各プリズムは、上記吸着ヘッド20の下方側に位置する支持部材40の−Y側の端部においてX軸方向に並ぶように配置されている。
【0026】
上記第1プリズム31は、上記カメラ本体25の集光レンズ27と対向するように配置され、他の第2および第3のプリズム33,35からの反射像を反射して上記カメラ本体25へと導光する。
【0027】
上記第2プリズム33は、上記第1プリズム31に対し−X方向に所定距離オフセットした位置に配置され、図5に示すように、吸着ヘッド20に吸着された部品Cの下面の像を反射して上記第1プリズム31へと導光する。すなわち、上記吸着ヘッド20の下方側に上記第2プリズム33が配置された状態で上記第1照明体41が点灯されることにより、上記吸着ヘッド20の下端部に吸着された部品Cの下面の像がその下方側に位置する上記第2プリズム33へと出射され、この第2プリズム33で反射された上記部品Cの像が第1プリズム31を介してカメラ本体25に取り込まれるようになっている(図中の1点鎖線で示す光路V1参照)。
【0028】
上記第3プリズム35は、上記第1プリズム31および第2プリズム33の間に配置され、図6に示すように、吸着ヘッド20に吸着された部品Cの側面の像を反射して上記第1プリズム31へと導光する。すなわち、上記吸着ヘッド20の−Y側の側方に上記第3プリズム35が配置された状態で上記第2照明体43が点灯されることにより、上記吸着ヘッド20の下端部に吸着された部品Cの側面の投影像がその側方に位置する上記第3プリズム35へと出射され、この第3プリズム35で2度反射された上記部品Cの像が第1プリズム31を介してカメラ本体25に取り込まれるようになっている(図中の1点鎖線で示す光路V2参照)。
【0029】
そして、上記スキャンユニット8がサーボモータ47により駆動されてヘッドユニット6に対し移動する際に、上記のように第1照明体41または第2照明体43を点灯させて部品Cの下面または側面の像を上記カメラ本体25に取り込む動作が、上記ヘッドユニット6における各吸着ヘッド20の位置に対応して順次実行されることにより、上記各吸着ヘッド20に吸着された部品Cが全て撮像されるようになっている。
【0030】
次に、以上のように構成された表面実装機1の制御系について図7のブロック図を用いて説明する。この図7に示すように、表面実装機1には、その各部の動作を統括的に制御する制御ユニット50(本発明にかかる制御手段に相当)が内蔵されている。この制御ユニット50は、周知のCPUや各種メモリ(RAMやROM)等から構成されており、その主な機能要素として、主制御部51、画像処理部52、カメラ制御部53、照明制御部54、および軸制御部55等を有している。
【0031】
上記軸制御部55は、上記ヘッドユニット6を駆動するためのX軸サーボモータ11やY軸サーボモータ15、および、上記スキャンユニット8を駆動するためのサーボモータ47の作動を制御するものである。
【0032】
上記照明制御部54は、上記スキャンユニット8に備わる照明体41,43の点灯や消灯等の動作を制御するものである。
【0033】
上記カメラ制御部53は、上記スキャンユニット8におけるカメラ本体25の撮像動作を制御するものであり、また、上記画像処理部52は、上記カメラ本体25で撮像された画像を取り込んでその画像に対し所定の画像処理を施すものである。
【0034】
上記主制御部51は、上記制御ユニット50の中枢機能を担うものであり、他の機能要素(52,53,54,55)との間で種々のデータの授受等を行いつつ各種演算を実行することにより、上記ヘッドユニット6やスキャンユニット8等の動作を統括的に制御するものである。
【0035】
以上のように構成された制御ユニット50による制御の下、上記表面実装機1は、例えば以下のようにして部品の実装動作を行う。
【0036】
実装動作が開始されると、まず、コンベア2により基板3が図1に示す実装作業位置まで搬入されて位置決めされる。次いで、ヘッドユニット6が部品供給部4の上方に移動し、当該部品供給部4内の所定のテープフィーダー5から上記ヘッドユニット6の各吸着ヘッド20により部品Cが吸着されて取り出される。このとき、吸着される部品Cのサイズ等によっては、ヘッドユニット6の全ての吸着ヘッド20が部品Cを同一高さに保持したときに、部品Cどうしの干渉が起きるおそれがある。そこで、部品Cを吸着する際には、吸着すべき部品Cのサイズ等に基づいて、上記のような部品Cの干渉が起きるおそがあるか否かがあらかじめ判定され、そこで干渉のおそれ有りと判定された場合には、例えば図14等に示すように、各吸着ヘッド20を上下にオフセットした状態で部品Cを吸着することにより(以後、このような形態での吸着を段差吸着ということがある)、上記部品Cの干渉が回避されるようになっている。なお、全ての吸着ヘッド20に吸着された部品Cについて干渉が起きるおそれがない場合には、上記のような段差吸着は行われず、各吸着ヘッド20に吸着された部品Cは同一高さに保持される。
【0037】
以上のようにして部品供給部4からの部品Cの吸着が完了すると、ヘッドユニット6が基板3に向けて移動し、この基板3の各実装ポイントの上方で上記ヘッドユニット6の各吸着ヘッド20が昇降移動する等により、その下端部に吸着された部品Cが上記基板3上に実装される。
【0038】
ここで、上記各吸着ヘッド20に吸着された部品Cを撮像する上記スキャンユニット8は、ヘッドユニット6が部品供給部4内の異なる供給場所の間を移動する間、もしくはヘッドユニット6が部品供給部4から基板3へと移動する間に作動して各部品Cの撮像を行うように構成されている。上述したような各部品Cの基板3への実装は、上記スキャンユニット8により撮像された画像を解析することで得られる各部品Cの吸着ずれ等を考慮して行われる。すなわち、ヘッドユニット6が基板3上の各実装ポイントに向けて移動する際に、上記スキャンユニット8の撮像画像に基づきあらかじめ調べられた各部品Cの吸着ずれ(つまり各吸着ヘッド20に吸着された部品Cの正規位置からの位置ずれ)等に応じて上記ヘッドユニット6の移動量が適宜補正されることにより、上記基板3への各部品Cの実装が適正に行われるようになっている。
【0039】
次に、上記制御ユニット50による制御動作の具体的内容について、図8のフローチャートを用いて説明する。このフローチャートがスタートすると、制御ユニット50は、まず、コンベア2を作動させて基板3を図1に示す実装作業位置まで搬入して位置決めする制御を実行する(ステップS1)。
【0040】
次いで、制御ユニット50は、ヘッドユニット6の各吸着ヘッド20により部品供給部4から部品Cを取り出すべく、上記ヘッドユニット6を部品供給部4に向けて移動させる制御を開始する(ステップS3)。またこのとき、制御ユニット50は、上記各吸着ヘッド20に部品Cが吸着された状態で部品Cどうしの干渉が起きるおそれがあるか否かを判定する制御を実行する(ステップS5)。すなわち、吸着すべき全ての部品Cを各吸着ヘッド20により同一高さに保持した場合を想定し、その状態で互いに干渉する可能性のある部品Cが存在するか否かを判定する。
【0041】
具体的に、上記ステップS5では、隣接する任意の吸着ヘッド20の組につき、図10に示される寸法S1,S2,およびPを用いた下式(1)が成立するか否かが判定され、その結果に基づいて、部品Cどうしの干渉の有無が判定される。
【0042】
S1+S2≧P・・・・(1)
ここに、S1,S2は、対象となる吸着部品Cのサイズに、想定される吸着ずれ分の誤差を加えたものを2で割った値;{(部品サイズ)+(吸着ずれ余裕代)}/2 であり(図10において部品C両端の2点鎖線は吸着ずれ余裕代を示している)、Pは、対象となる部品Cを吸着した各吸着ヘッド20の間の離間距離(ヘッドピッチ)である。
【0043】
なお、図10では、S1+S2<Pとなる場合が例示されており、このような場合は上記式(1)が成立しないので、部品Cの干渉は起きないと判定される。そして、このような演算処理が、他の吸着ヘッド20の組についても同様に実行されることにより、隣接する全ての吸着ヘッド20の組について部品Cの干渉の有無が判定される。以上のような判定処理(ステップS5)は、制御ユニット50内の図外の記憶部等に記憶された吸着ヘッド20や部品Cに関する各種データに基づいた主制御部51での演算処理によって行われる。すなわち、当実施形態では、この主制御部51により、部品Cの干渉の有無を判定する本発明にかかる判定処理手段が構成されている。
【0044】
以上のようなステップS5の処理でNOと判定されて隣接する全ての吸着ヘッド20の組について部品Cの干渉が起きないことが確認された場合、制御ユニット50は、通常の吸着動作により部品Cを吸着し(ステップS9)、その吸着した部品Cを基板3上に実装する制御を実行する(ステップS11)。すなわち、ヘッドユニット6の各吸着ヘッド20により部品供給部4から部品Cを吸着する際に、図10に示すように、各吸着ヘッド20を同一高さに揃えた状態で(つまり上述したような段差吸着を行うことなく)部品Cを保持し、これらの部品Cを基板3まで搬送してその上面の各実装ポイントに実装する。
【0045】
一方、上記ステップS5でYESと判定されて部品Cの干渉が起きるおそれがあることが確認された場合、制御ユニット50は、図14等に示すように、ヘッドユニット6の各吸着ヘッド20を上下にオフセットした状態で部品Cを吸着する段差吸着を行い、その段差吸着した部品Cを基板3上に実装する制御(段差吸着&部品実装制御)を実行する(ステップS7)。
【0046】
なお、図8のフローチャートでは省略しているが、図14等に示される部品Cよりもさらにサイズの大きい部品が存在することにより、上記のような段差吸着を行っても部品Cの干渉を回避できない場合がある。例えば、図18に示される寸法SおよびP’を用いた下式(2)が成立する場合には、段差吸着を行っても、部品Cが隣の吸着ヘッド20と干渉するおそれがある。
【0047】
S≧P’・・・・(2)
ここに、Sは、上述した式(1)のS1,S2と同様、{(部品サイズ)+(吸着ずれ余裕代)}/2 で求まる値であり、P’は、吸着ヘッド20のピッチ(図10に示したヘッドピッチP)から、隣の吸着ヘッド20のシャフト半径を差し引いた値;(ヘッドピッチ)−(シャフト半径)である。
【0048】
上記式(2)が成立する状況においては、段差吸着を行っても部品Cの干渉を回避することはできない。そこで、このような場合には、例えば図19に示すように、一部の吸着ヘッド20を使用せずに部品Cの吸着を行うとよい。このようにすることで、一度に吸着できる部品Cの数は少なくなるものの、部品Cの干渉を確実に回避しつつ適正に大型部品を吸着・保持することができる。
【0049】
次に、上述したステップS7の制御(段差吸着&部品実装制御)の具体的内容について説明する。図9は、この段差吸着&部品実装制御の具体的内容を示すサブルーチンである。このサブルーチンがスタートすると、制御ユニット50は、まず図11に示すように、先行して吸着されるべき所定数の部品からなる第1吸着グループの部品Cを所定の吸着ヘッド20により吸着する制御を実行する(ステップS31)。具体的に、図11では、左から1本目および3本目の吸着ヘッド20により、2つの部品からなる第1吸着グループの部品Cが、部品供給部4内の所定のテープフィーダー5から吸着されて取り出された状態が示されている。このとき、可能な場合には、上記2本の吸着ヘッド20により異なるテープフィーダー5から同時に部品Cが吸着されて取り出される。一方、例えば同一のテープフィーダー5から続けて部品Cを取り出すときのように、部品Cの同時吸着が不可能な場合には、上記2本の吸着ヘッド20による部品Cの取り出しが1つずつ順番に行われる。
【0050】
なお、上記第1吸着グループの部品Cを吸着する処理(ステップS31)は、ヘッドユニット6や各吸着ヘッド20を駆動するための各種サーボモータ11,15等を制御する軸制御部55、上記吸着ヘッド20に負圧を供給するための図外の負圧供給手段を制御する負圧制御部(図示省略)、およびこれらを統括制御する主制御部51からの指令に基づき行われる。またこのことは、第2吸着グループの吸着処理(ステップS39)でも同様である。すなわち、当実施形態では、上記軸制御部55、負圧制御部、および主制御部51により、第1および第2の吸着グループの部品Cを吸着する処理を行う本発明にかかる第1および第2の吸着処理手段が構成されている。
【0051】
次いで、制御ユニット50は、部品供給部4内の次の供給場所(つまり後述する第2吸着グループの部品Cが収納されたテープフィーダー5)に向けてヘッドユニット6を移動させる制御を開始するとともに(ステップS33)、図12に示すように、スキャンユニット8を上記ヘッドユニット6に対し移動させて上記第1吸着グループの部品Cを撮像する制御を実行する(ステップS35)。これにより、上記ヘッドユニット6が部品供給部4内の次の供給場所へと移動している間に一部の部品Cの撮像が済まされる。
【0052】
なお、上記第1吸着グループの部品Cを撮像する処理(ステップS35)は、スキャンユニット8駆動用のサーボモータ47を制御する軸制御部55、カメラ本体25を制御するカメラ制御部53、カメラ本体25で撮像された画像を処理する画像処理部52、およびこれらを統括制御する主制御部51からの指令に基づき行われる。またこのことは、後述する第2吸着グループの撮像処理(ステップS43)でも同様である。すなわち、当実施形態では、上記軸制御部55、カメラ制御部53、画像処理部52、および主制御部51により、第1および第2の吸着グループの部品Cを撮像する処理を行う本発明にかかる第1および第2の撮像処理手段が構成されている。
【0053】
上記ステップS35での第1吸着グループの撮像が完了すると、制御ユニット50は、図13に示すように、当該グループの部品Cを吸着した吸着ヘッド20を上昇させるとともに(ステップS37)、図14に示すように、残りの吸着ヘッド20(図例では左から2番目および4番目の吸着ヘッド20)により、次に吸着されるべき所定数の部品からなる第2吸着グループの部品Cを吸着する制御を実行する(ステップS39)。
【0054】
以上のようにして第1および第2の吸着グループからなる合計4つの部品Cの吸着が完了すると、制御ユニット50は、ヘッドユニット6を基板3に向けて移動させる制御を開始するとともに(ステップS41)、その移動途中に、図15に示すようにスキャンユニット8をヘッドユニット6に対し移動させることにより、撮像が未実施である上記第2グループの部品Cを撮像する制御を実行する(ステップS43)。これにより、4本の吸着ヘッド20に吸着された全ての部品Cの撮像が完了する。
【0055】
上記ヘッドユニット6が基板3の上方に到達すると、制御ユニット50は、図16に示すように、全ての吸着部品Cのうち後から吸着された第2吸着グループの部品Cを基板3上に実装する制御を実行する(ステップS45)。すなわち、第2吸着グループの部品Cが吸着された2本の吸着ヘッド20を、基板3上の対応する実装ポイントの上方で適宜昇降移動させる等により、上記第2吸着グループの部品Cを上記各実装ポイントに順次実装する。このとき、当該第2吸着グループの部品Cの実装は、上記ステップS43でスキャンユニット8により撮像された同グループ部品の吸着状態を考慮して行われる。なお、図16では、第2吸着グループの部品Cが吸着された2本の吸着ヘッド20(左から2番目および4番目の吸着ヘッド20)のうち、左から4番目の吸着ヘッド20により部品Cが実装された状態が示されている。
【0056】
次いで、制御ユニット50は、図17に示すように、残された第1吸着グループの部品Cを基板3上に実装する制御を実行する(ステップS47)。このとき、当該第1吸着グループの部品Cの実装は、上記ステップS35でスキャンユニット8により撮像された同グループ部品の吸着状態を考慮して行われる。なお、図17では、第1吸着グループの部品Cが吸着された2本の吸着ヘッド20(左から1番目および3番目の吸着ヘッド20)のうち、左から3番目の吸着ヘッド20により部品Cが実装された状態が示されている。そして、もう一方の吸着ヘッド20(左から1番目の吸着ヘッド20)に吸着された部品Cも同様に実装されてステップS47の処理が完了すると、図9に示したサブルーチンが終了し、上記制御ユニット50による制御は図8のメインフローに復帰する。
【0057】
なお、上記第1および第2の吸着グループの部品Cを基板3上に実装する処理(ステップS45,S47)は、これらの部品Cを吸着するときの処理(ステップS31,S39)と同様、ヘッドユニット6等の動作を制御する軸制御部55や図外の負圧供給手段を制御する負圧制御部、およびこれらを統括制御する主制御部51からの指令に基づき行われる。すなわち、当実施形態では、上記軸制御部55、負圧制御部、および主制御部51により、第1および第2の吸着グループの部品Cを実装する処理を行う本発明にかかる実装処理手段が構成されている。
【0058】
ところで、図11〜図17に示したように、上記サブルーチンの動作説明では、隣接する全ての吸着ヘッド20の組を上下にオフセットさせて部品Cの吸着を行った例について説明したが、例えば図20に示すように、一部の吸着ヘッド20の組について上記のような段差吸着を行う必要がない場合も当然に存在する。具体的に、図20では、左から4番目の吸着ヘッド20に吸着された部品Cのサイズが十分に小さいため、これと隣接する左から3番目の吸着ヘッド20との間で段差吸着を行わなくても、部品Cどうしの干渉が起きることはなく、上記のような小部品を吸着した吸着ヘッド20(つまり左から4番目の吸着ヘッド20)については、部品Cの吸着および実装の順序に特に制約を受けることはない。したがって、このような吸着ヘッド20が存在するときは、その吸着ヘッド20による部品Cの吸着および実装のタイミングを、上記第1および第2の吸着グループの吸着・実装タイミングのうちどちらに設定することも可能である。
【0059】
再び図8のメインフローに戻って説明を続ける。上記ステップS7の段差吸着&部品実装制御が終了し、もしくは上記ステップS9、S11での部品の吸着および実装が終了することにより、上記各吸着ヘッド20に吸着された部品Cをそれぞれ基板3上に実装し終えると、制御ユニット50は、基板3全体に対し実装されるべき全ての部品が実装されたか否かを判定し(ステップS13)、ここでYESと判定されて全部品が実装されたことが確認された場合に、コンベア2を作動させて基板3を装置外に搬出する制御を実行する(ステップS15)。一方、上記ステップS13でNOと判定されて実装すべき部品Cが未だに残っていることが確認された場合には、上記ステップS3以降の処理に戻り、新たな部品Cを部品供給部4から取り出して基板3上に実装し、全部品が基板3上に実装されるまで同様の処理を繰り返す。
【0060】
また、上記ステップS15での基板3の搬出処理が終了した後、制御ユニット50は、今回生産した基板3までの累積生産枚数が、予め定められた生産予定枚数に達したか否かを判定し(ステップS17)、ここでYESと判定されて生産予定枚数に達したことが確認された場合に、一連の制御フローを終了する。一方、上記ステップS17でNOと判定されて生産すべき基板3が未だに残っていることが確認された場合には、上記ステップS1以降の処理に戻り、新たな基板3に対し上記と同様の実装処理を繰り返す。
【0061】
なお、以上説明した図8および図9のフローチャートにおいて、ステップS5が本発明にかかる判定工程に相当し、ステップS31が本発明にかかる第1吸着工程に相当し、ステップS35が本発明にかかる第1撮像工程に相当し、ステップS39が本発明にかかる第2吸着工程に相当し、ステップS43が本発明にかかる第2撮像工程に相当し、ステップS45およびS47が本発明にかかる実装工程に相当する。
【0062】
以上説明したように、上記実施形態の表面実装機1は、部品Cを吸着可能な複数の吸着ヘッド20により部品供給部4から部品を取り出して基板3上に実装する移動可能なヘッドユニット6と、このヘッドユニット6に取り付けられ、上記複数の吸着ヘッド20に吸着された部品Cを当該ヘッド20の列に沿って移動しながら撮像するスキャンユニット8と、これら各部の動作を統括的に制御する制御ユニット50とを備えるとともに、この制御ユニット50による制御の下、上記複数の吸着ヘッド20が部品Cを吸着する際に部品どうしの干渉が起きるおそれがあるか否かを判定する処理(ステップS5)と、このステップS5の処理で部品が干渉するおそれがあると判定された場合に、先行して吸着されるべき所定数の部品からなる第1吸着グループの部品Cを所定の吸着ヘッド20により吸着する処理(ステップS31)と、このステップS31の処理の後、上記部品供給部4内の次の供給場所へと上記ヘッドユニット6が移動する間に、上記スキャンユニット8を上記ヘッドユニット6に対し移動させて上記第1吸着グループの部品Cを撮像する処理(ステップS35)と、このステップS35の処理の後、上記所定の吸着ヘッド20(つまり第1吸着グループを吸着したヘッド)が上方に退避することで相対的に下側にオフセットした他の吸着ヘッド20により、上記第1吸着グループの部品Cの次に吸着されるべき第2吸着グループの部品Cを吸着する処理(ステップS39)と、このステップS39の処理の後、上記スキャンユニット8を上記ヘッドユニット6に対し移動させて上記第2吸着グループの部品Cを撮像する処理(ステップS43)と、上記ステップS35およびS43の処理で撮像された部品Cの吸着状態を考慮しつつ基板3上の各実装ポイントに部品Cを実装する処理(ステップS45およびS47)とを含む制御動作が行われるように構成されているため、複数の吸着ヘッド20に吸着された部品Cどうしの干渉を防止しつつ基板3の生産効率を効果的に向上させることができるという利点がある。
【0063】
すなわち、上記実施形態では、ヘッドユニット6に備わる複数の吸着ヘッド20により部品Cが吸着された状態で部品Cどうしの干渉が起きるおそれがある場合に、吸着すべき部品Cを2つの吸着グループ(第1および第2の吸着グループ)に分け、これらの部品Cを上下にオフセットした吸着ヘッド20により吸着してそれぞれ基板3上に実装するようにしたため、吸着部品Cどうしの干渉を効果的に防止しながら適正に当該部品Cの実装を行うことができる。
【0064】
しかも、上記各グループのうち先行して吸着されるべき第1吸着グループの部品Cを吸着した後、ヘッドユニット6が次の部品供給場所(つまり第2吸着グループの部品Cが供給される場所)へと移動する間に、上記ヘッドユニット6に取り付けられたスキャンユニット8により上記第1吸着グループの部品Cを撮像するようにしたため、ヘッドユニット6が部品の吸着動作を完了する前に、既にある程度の数の部品Cを上記スキャンユニット8により画像認識してその吸着状態を調べておくことができる。したがって、全ての部品Cを吸着し終えたヘッドユニット6が基板3へと移動する際には、その時点で撮像が未実施である第2吸着グループの部品に対してのみ上記スキャンユニット8による撮像およびその画像処理に基づく吸着状態の判断等を行えばよいため、部品Cを基板3まで搬送するまでの間に上記一連の処理が終了せず余計な待ち時間が発生するのを効果的に抑制することができ、基板3の生産効率を効果的に向上させることができる。
【0065】
なお、上記実施形態では、ラインセンサ等を備えた1次元カメラによって上記スキャンユニット8のカメラ本体25を構成したが、このカメラ本体25は、CCDエリアセンサ等を備えた2次元カメラであってもよく、この場合には、部品Cを瞬間的に照らすストロボ照明を採用することにより、上記実施形態と同様に、各吸着ヘッド20に吸着された部品Cをノンストップで撮像することが可能である。
【0066】
また、上記実施形態では、吸着部品Cの下面および側面の両方を撮像できるようにスキャンユニット8を構成したが、このスキャンユニット8は、このうちの一方のみを撮像できるものであってもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、吸着ヘッド20に吸着された部品Cの撮像を、ヘッドユニット6に対し移動可能に取り付けられたスキャンユニット8(移動撮像手段)のみによって行うようにしたが、例えば、上記吸着部品Cを所定の固定位置から撮像する手段(固定撮像手段)が表面実装機1に備わる場合には、この固定撮像手段によって吸着部品Cの一部を撮像するようにしてもよい。図21は、このように構成した場合の具体例を説明するための図である。本図に示される表面実装機100には、その基台10上の所定箇所に、上記固定撮像手段としての固定カメラ102が設けられている。なお図例では、部品供給部4がX軸方向の中央部付近で分割され、その分割部分に上記固定カメラ102が設置されている。また、本図に示される表面実装機100において、上記固定カメラ102以外の構成は、上記実施形態で説明した表面実装機1と同様である。
【0068】
上記固定カメラ102は、上記スキャンユニット8のカメラ本体25と同様、1次元のCCDイメージセンサ等からなるラインセンサを備えたカメラ(1次元カメラ)によって構成されている。また、この固定カメラ102には、上記吸着ヘッド20に吸着された部品Cを下から照らすための照明体等が内蔵されている。そして、上記ヘッドユニット6をX軸方向に移動させて上記固定カメラ102上を通過させることにより、上記ヘッドユニット6の各吸着ヘッド20に吸着された部品Cをノンストップで順次撮像できるようになっている。なお、先に説明したスキャンユニット8に関する記述と同様、上記固定カメラ102を、CCDエリアセンサ等を備えた2次元カメラにより構成することも当然に可能である。
【0069】
以上のように、図21の例による表面実装機100では、複数の吸着ヘッド20に吸着された部品Cを撮像する手段として、スキャンユニット8および固定カメラ102からなる2種類の撮像手段が設けられている。そして、このような構成において、吸着時の部品Cの干渉を回避するために、上下にオフセットした吸着ヘッド20により部品Cを2つの吸着グループ(第1吸着グループおよび第2吸着グループ)に分けて吸着する場合には、上記各グループ部品の撮像を、上記2種類の撮像手段をそれぞれ用いて行うことが可能である。例えば、部品供給部4から第1吸着グループの部品Cを吸着した後、次の第2吸着グループの部品Cを吸着するためにヘッドユニット6が部品供給部4内を移動する間に、先に吸着された上記第1吸着グループの部品Cを固定カメラ102によって撮像し、全部品を吸着し終えたヘッドユニット6が基板3へと移動する間に、残りの第2吸着グループの部品Cをスキャンユニット8によって撮像することが考えられる。このようにした場合でも、上記実施形態と同様に、部品Cの干渉を防止しつつ基板3の生産効率を効果的に向上させることができる。なお、第1吸着グループの部品Cをスキャンユニット8によって撮像し、第2吸着グループの部品Cを固定カメラ102によって撮像してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施形態にかかる表面実装機を概略的に示す平面図である。
【図2】上記表面実装機の正面図である。
【図3】スキャンカメラユニットの概略構成を示す側面図である。
【図4】上記スキャンカメラユニットの斜視図である。
【図5】上記スキャンカメラユニットにより吸着部品の下面を撮像するときの光路の進行状態を説明するための図である。
【図6】上記スキャンカメラユニットにより吸着部品の側面を撮像するときの光路の進行状態を説明するための図である。
【図7】上記表面実装機の制御系を示すブロック図である。
【図8】上記表面実装機の制御動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】上記フローチャートにおいて実行される段差吸着&部品実装制御の具体的内容を示すサブルーチンである。
【図10】部品の干渉の有無をどのように判定するかを説明するための図である。
【図11】第1吸着グループの部品を吸着する動作を説明するための図である。
【図12】第1吸着グループの部品をスキャンユニットにより撮像する動作を説明するための図である。
【図13】第1吸着グループの部品を吸着した吸着ヘッドが上昇したところを示す図である。
【図14】第2吸着グループの部品を吸着する動作を説明するための図である。
【図15】第2吸着グループの部品をスキャンユニットにより撮像する動作を説明するための図である。
【図16】第1吸着グループの部品を基板上に実装する動作を説明するための図である。
【図17】第2吸着グループの部品を基板上に実装する動作を説明するための図である。
【図18】段差吸着による部品の干渉回避が不可能な場合を説明するための図である。
【図19】一部の吸着ヘッドを使用せずに部品を吸着した場合の具体例を示す図である。
【図20】段差吸着が必要ない部品が混在する例を説明するための図である。
【図21】本発明の他の実施形態を説明するための図である。
【符号の説明】
【0071】
1,100 表面実装機
3 プリント基板(基板)
4 部品供給部
6 ヘッドユニット
8 スキャンユニット(移動撮像手段)
20 吸着ヘッド
50 制御ユニット(制御手段)
102 固定カメラ(固定撮像手段)
C 部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を吸着可能な複数の吸着ヘッドにより部品供給部から部品を取り出して基板上に実装する移動可能なヘッドユニットと、このヘッドユニットに取り付けられ、上記複数の吸着ヘッドに吸着された部品を当該ヘッドの列に沿って移動しながら撮像する移動撮像手段とを備えた表面実装機を用いて基板に部品を実装する方法であって、
上記複数の吸着ヘッドが部品を吸着する際に部品どうしの干渉が起きるおそれがあるか否かを判定する判定工程と、
この判定工程で部品が干渉するおそれがあると判定された場合に、先行して吸着されるべき所定数の部品からなる第1吸着グループの部品を所定の吸着ヘッドにより吸着する第1吸着工程と、
この第1吸着工程の後、上記部品供給部内の次の供給場所へと上記ヘッドユニットが移動する間に、上記移動撮像手段を上記ヘッドユニットに対し移動させて上記第1吸着グループの部品を撮像する第1撮像工程と、
この第1撮像工程の後、上記第1吸着グループの部品の次に吸着されるべき第2吸着グループの部品を、上記所定の吸着ヘッドよりも相対的に下側にオフセットした他の吸着ヘッドにより吸着する第2吸着工程と、
この第2吸着工程の後、上記移動撮像手段を上記ヘッドユニットに対し移動させて上記第2吸着グループの部品を撮像する第2撮像工程と、
上記第1および第2の撮像工程で撮像された部品の吸着状態を考慮しつつ基板上の各実装ポイントに部品を実装する実装工程とを含むことを特徴とする部品の実装方法。
【請求項2】
部品を吸着可能な複数の吸着ヘッドにより部品供給部から部品を取り出して基板上に実装する移動可能なヘッドユニットと、このヘッドユニットに取り付けられ、上記複数の吸着ヘッドに吸着された部品を当該ヘッドの列に沿って移動しながら撮像する移動撮像手段と、これら各部の動作を統括的に制御する制御手段とを備えた表面実装機であって、
上記制御手段は、
上記複数の吸着ヘッドが部品を吸着する際に部品どうしの干渉が起きるおそれがあるか否かを判定する判定処理手段と、
この判定処理手段により部品が干渉するおそれがあると判定された場合に、先行して吸着されるべき所定数の部品からなる第1吸着グループの部品を所定の吸着ヘッドにより吸着する第1吸着処理手段と、
この第1吸着処理による処理の後、上記部品供給部内の次の供給場所へと上記ヘッドユニットが移動する間に、上記移動撮像手段を上記ヘッドユニットに対し移動させて上記第1吸着グループの部品を撮像する第1撮像処理手段と、
この第1撮像処理手段による処理の後、上記第1吸着グループの部品の次に吸着されるべき第2吸着グループの部品を、上記所定の吸着ヘッドよりも相対的に下側にオフセットした他の吸着ヘッドにより吸着する第2吸着処理手段と、
この第2吸着処理手段による処理の後、上記移動撮像手段を上記ヘッドユニットに対し移動させて上記第2吸着グループの部品を撮像する第2撮像処理手段と、
上記第1および第2の撮像処理手段による処理で撮像された部品の吸着状態を考慮しつつ基板上の各実装ポイントに部品を実装する実装処理手段とを備えたことを特徴とする表面実装機。
【請求項3】
部品を吸着可能な複数の吸着ヘッドにより部品供給部から部品を取り出して基板上に実装する移動可能なヘッドユニットと、このヘッドユニットに取り付けられ、上記複数の吸着ヘッドに吸着された部品を当該ヘッドの列に沿って移動しながら撮像する移動撮像手段と、同じく吸着ヘッドに吸着された部品を所定の固定位置から撮像する固定撮像手段とを備えた表面実装機を用いて基板に部品を実装する方法であって、
上記複数の吸着ヘッドが部品を吸着する際に部品どうしの干渉が起きるおそれがあるか否かを判定する判定工程と、
この判定工程で部品が干渉するおそれがあると判定された場合に、先行して吸着されるべき所定数の部品からなる第1吸着グループの部品を所定の吸着ヘッドにより吸着する第1吸着工程と、
この第1吸着工程の後、上記部品供給部内の次の供給場所へと上記ヘッドユニットが移動する間に、上記移動撮像手段および固定撮像手段のうちの一方の撮像手段により上記第1吸着グループの部品を撮像する第1撮像工程と、
この第1撮像工程の後、上記第1吸着グループの部品の次に吸着されるべき第2吸着グループの部品を、上記所定の吸着ヘッドよりも相対的に下側にオフセットした他の吸着ヘッドにより吸着する第2吸着工程と、
この第2吸着工程の後、上記移動撮像手段および固定撮像手段のうちの他方の撮像手段により上記第2吸着グループの部品を撮像する第2撮像工程と、
上記第1および第2の撮像工程で撮像された部品の吸着状態を考慮しつつ基板上の各実装ポイントに部品を実装する実装工程とを含むことを特徴とする部品の実装方法。
【請求項4】
部品を吸着可能な複数の吸着ヘッドにより部品供給部から部品を取り出して基板上に実装する移動可能なヘッドユニットと、このヘッドユニットに取り付けられ、上記複数の吸着ヘッドに吸着された部品を当該ヘッドの列に沿って移動しながら撮像する移動撮像手段と、同じく吸着ヘッドに吸着された部品を所定の固定位置から撮像する固定撮像手段と、これら各部の動作を統括的に制御する制御手段とを備えた表面実装機であって、
上記制御手段は、
上記複数の吸着ヘッドが部品を吸着する際に部品どうしの干渉が起きるおそれがあるか否かを判定する判定処理手段と、
この判定処理手段により部品が干渉するおそれがあると判定された場合に、先行して吸着されるべき所定数の部品からなる第1吸着グループの部品を所定の吸着ヘッドにより吸着する第1吸着処理手段と、
この第1吸着処理手段による処理の後、上記部品供給部内の次の供給場所へと上記ヘッドユニットが移動する間に、上記移動撮像手段および固定撮像手段のうちの一方の撮像手段により上記第1吸着グループの部品を撮像する第1撮像処理手段と、
この第1撮像処理手段による処理の後、上記第1吸着グループの部品の次に吸着されるべき第2吸着グループの部品を、上記所定の吸着ヘッドよりも相対的に下側にオフセットした他の吸着ヘッドにより吸着する第2吸着処理手段と、
この第2吸着処理による処理の後、上記移動撮像手段および固定撮像手段のうちの他方の撮像手段により上記第2吸着グループの部品を撮像する第2撮像処理手段と、
上記第1および第2の撮像処理手段による処理で撮像された部品の吸着状態を考慮しつつ基板上の各実装ポイントに部品を実装する実装処理手段とを備えたことを特徴とする表面実装機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2009−170524(P2009−170524A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−4640(P2008−4640)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】