説明

部品実装基板

【課題】基板表面に露出した端子パッドを介して部品が実装されてなる部品実装基板において、基板表面と部品との間に、ボイドを生じることなく十分な量の封止樹脂を注入及び充填させる。
【解決手段】基板表面に露出してなる一対の端子パッド間であって、前記一対の端子パッドを構成する前記端子パッドが配列する第1配列方向と交差する交差方向に延びるとともに、中央部から端部に向けて前記第1配列方向の幅が拡大された第1溝部が形成されてなるようにして、部品実装基板を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、導体層と絶縁層とがそれぞれ少なくとも1層積層されてなる配線基板、いわゆる樹脂製配線基板やセラミック基板を用い、この上にICチップを搭載し、樹脂封止することによって半導体パッケージを製造することが盛んに行われている。
【0003】
ICチップは、基板表面をなす端子パッドと、ICチップ搭載部の複数の端子パッドそれぞれの上に形成された複数のバンプを介して電気的に接続する。一方、配線基板の裏面側にはベース基板と電気的に接続したり、ソケットに挿入して電気的に接続したりするための外部端子が形成されている。
【0004】
上述のような半導体パッケージにおいては、ICチップに対して電力供給を行うためのコンデンサや抵抗などの部品が、ICチップと同じ基板表面に複数のバンプを介し、上記配線基板の端子パッドと電気的に接続するようにして形成されている場合が多い。
【0005】
このような半導体パッケージを使用すると、基板上に搭載されたICチップや部品が発熱するようになるので、半導体パッケージの繰り返し使用によって、ICチップや部品は加熱及び冷却を繰り返すようになる。その結果、ICチップや部品を基板表面の端子パッドに接続しているバンプが膨張あるいは部分的に溶解し、特にICチップに比較して小さい部品のバンプにおいては、隣接するバンプ同士が結合し、短絡してしまう場合がある。
【0006】
したがって、基板表面にICチップや部品が搭載されてなる構造体を樹脂封止し、半導体パッケージとして構成するに際しては、ICチップ及び部品の上面及び側面を樹脂で被覆して埋設することに加えて、特に部品の下面側にも樹脂を注入し、この注入した樹脂によって部品を保持するバンプ同士が結合し、短絡するのを防止することが要求される。
【0007】
しかしながら、ディスペンサーなどを用いて樹脂を供給し、これによって樹脂封止を行うような場合においては、部品の下面側に対して充分に樹脂を注入することができず、部品の下面側に充填された樹脂中にボイドが発生してしまう場合がある。このボイドがある程度の大きさになると、隣接するバンプ間に樹脂が全く存在しない領域が形成されてしまい、この領域を介して上述のようにバンプ同士が部分的に結合し、短絡してしまう場合がある。したがって、樹脂封止して半導体パッケージを製造するに際しては、部品の下面側に、ボイドが発生しないように充分に樹脂を注入及び充填する必要がある。
【0008】
このような問題に鑑みて、特許文献1においては、基板表面の、部品と対向する位置において、部品の長さ方向に均一な幅の溝を形成し、部品の下面側に充分な両の樹脂を充填する技術が開示されている。また、特許文献2及び3においても、目的は異なるものの、基板表面の、部品と対向する位置において、部品の長さ方向において均一な幅の溝を形成することが開示されている。
【0009】
しかしながら、これらの技術によっても、部品の下面側に十分な量の樹脂を充填することはできず、ボイドの発生を十分に抑制することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−5112号
【特許文献2】特開2003−46216号
【特許文献3】特開2008−244044号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、基板表面に露出した端子パッドを介して部品が実装されてなる部品実装基板において、基板表面と部品との間に、ボイドを生じることなく十分な量の封止樹脂を注入及び充填させ、部品を保持するバンプ同士が結合し、短絡するのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成すべく、本発明は、
基板表面に露出してなる複数の端子パッドを有する配線基板と、
前記端子パッドに実装される複数の部品とを備え、
前記基板表面と前記部品との間に樹脂が充填される部品実装基板であって、
前記部品が実装される一対の前記端子パッドを複数有し、
前記基板表面には、前記一対の端子パッド間であって、前記一対の端子パッドを構成する前記端子パッドが配列する第1配列方向と交差する交差方向に延びるとともに、中央部から端部に向けて前記第1配列方向の幅が拡大された第1溝部が形成されてなることを特徴とする、部品実装基板に関する。
【0013】
本発明によれば、配線基板の表面において、一対の端子パッドによって画定される方向(一対の端子パッドを構成する各端子パッドが配列する第1配列方向)と交差する方向(交差方向)に延びるように溝部が形成され、溝部の第1配列方向の幅が、中央部に比し端部において拡大され、すなわち端部から中央部に向かう(交差方向に沿って)狭小化されているので、溝部端部に導入された樹脂は、当該端部から中央部に向かうにつれて樹脂中の空気が抜けるとともに、溝部の中央部にまで流動するようになる。
【0014】
溝部は、その幅が中央部に比し端部において拡大されているので、例えばディスペンサーを用いて、配線基板の表面と部品との間に樹脂を注入及び充填する際に、当該樹脂は、当初溝部の幅が拡大化されてなる端部に導入されることになる。この際、溝部の中央部の幅が端部に比して狭小化しているので、溝部端部に導入された樹脂は、当該端部から中央部に向かうにつれて、樹脂中の空気が抜けた状態で導入されるようになる。したがって、上記樹脂は、上記溝部を介することにより、基板表面と部品との間にこれらの間において、ボイドを生じることなく十分な量の樹脂を注入及び充填させることができる。
【0015】
なお、本発明の一例において、上記溝部の側面を連続した面として構成することができる。この場合、上述した樹脂の流れ抵抗がより減少するようになる。この結果、樹脂を溝部内に迅速かつスムースに導入することができるようになる。
【0016】
また、本発明の一例において、溝部の両端部を、部品の投影領域より外方に形成することができる。この場合、溝部の端部が部品の外方に露出するようになるので、当該端部を介して溝部への樹脂の導入を容易に行うことができるようになり、その結果、上述した作用効果をより顕著に奏することができるようになる。
【0017】
また、本発明の一例において、溝部の中央部より一端側の形状と、中央部より他端側における形状とを同一とすることができる。この場合、溝部の両側に位置する端部からその中央部に対して均一な量の樹脂を均一な速度で導入することができるため、基板表面と部品中央との間の領域におけるボイドの発生を抑制することができる。
【0018】
さらに、本発明の一例においては、溝部の側面と底面とのなす角度が鈍角であるようにすることができる。この場合、溝部の底面と側面の境界部分において上記樹脂を十分に導入することができるので、当該境界部分でのボイドの発生を抑制することができる。
【0019】
また、本発明の一例においては、前記溝部の側面を粗化面とすることができる。この場合、溝部の側面と、この溝部に注入された樹脂との密着性が向上するため、溝部に熱履歴がかかった際にも、溝部と樹脂との間にはんだが流れ込むことによる、部品を保持するバンプ同士の短絡を防止することができる。
【0020】
さらに、本発明の一例においては、基板表面に、一対の端子パッド間であって、交差方向に延びるとともに、一端側から他端側に向けて第1配列方向の幅が拡大された第2溝部を形成し、第1溝部及び第2溝部は、交差方向に配列されてなり、隣り合う第1溝部と第2溝部について、第1溝部の端部と第2溝部の他端部とが近接してなるようにすることができる。この場合、第1溝部の端部と第2溝部の端部とを近接させているので、樹脂注入時の作業性が向上する。
【0021】
なお、第2溝部についても、第1溝部同様に、溝部の側面を連続した面として構成することができ、溝部の両端部を部品の投影領域より外方に形成することができる。また、溝部の両端部を部品投影領域より外方に形成することができ、溝部の側面を粗化面とすることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、基板表面に露出した端子パッドを介して部品が実装されてなる部品実装基板において、基板表面と部品との間に、ボイドを生じることなく十分な量の封止樹脂を注入及び充填させ、部品を保持するバンプ同士が結合し、短絡するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態における部品実装基板の平面図である。
【図2】図1に示す部品実装基板をI−I線に沿って切った場合の断面図である。
【図3】図1に示す部品実装基板の領域Aで示す部分を拡大して示す図である。
【図4】図1に示す部品実装基板に形成した溝部の断面の状態を示す図である。
【図5】図1に示す部品実装基板の領域Bで示す部分を拡大して示す図である。
【図6】実施形態における部品実装基板の製造方法における一工程図である。
【図7】同じく、実施形態における部品実装基板の製造方法における一工程図である。
【図8】同じく、実施形態における部品実装基板の製造方法における一工程図である。
【図9】同じく、実施形態における部品実装基板の製造方法における一工程図である。
【図10】同じく、実施形態における部品実装基板の製造方法における一工程図である。
【図11】同じく、実施形態における部品実装基板の製造方法における一工程図である。
【図12】同じく、実施形態における部品実装基板の製造方法における一工程図である。
【図13】同じく、実施形態における部品実装基板の製造方法における一工程図である。
【図14】同じく、実施形態における部品実装基板の製造方法における一工程図である。
【図15】同じく、実施形態における部品実装基板の製造方法における一工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0025】
(部品実装基板)
図1は、本実施形態における部品実装基板の上平面図であり、図2は、図1に示す部品実装基板のI−I線に沿って切った場合の断面図であり、図3は、図1に示す部品実装基板の領域Aで示す部分を拡大して示す図である。また、図4は、図1に示す部品実装基板に形成した溝部の断面の状態を示す図であり、図5は、図1に示す部品実装基板の領域Bで示す部分を拡大して示す図である。
【0026】
図2に示すように、本実施形態の部品実装基板1を構成する配線基板10は、耐熱性樹脂板(たとえばビスマレイミド−トリアジン樹脂板)や、繊維強化樹脂板(たとえばガラス繊維強化エポキシ樹脂)等で構成された板状コア101を有している。
【0027】
また、板状コア101には、ドリル等により穿設されたスルーホール111が形成され、その内壁面にはスルーホール導体112が形成されている。また、スルーホール111は、エポキシ樹脂等の樹脂製穴埋め材114により充填されている。
【0028】
板状コア101の表面101A上にはコア導体層M1が形成され、板状コア101の裏面101B上にはコア導体層M11が形成されている。コア導体層M1,M11は板状コア101の表面101A及び裏面101Bの大部分を被覆する面導体パターンとして形成され、電源層または接地層として用いられるとともに、第1のビアパッド121及び第2のビアパッド122を構成する。
【0029】
なお、本実施形態においては、図2に示すように、第1のビアパッド121及び第2のビアパッド122の一部は、スルーホール導体112と連結するようにして形成されている。
【0030】
板状コア101の表面101A上には、コア導体層M1を覆うようにして第1の絶縁層131が形成され、板状コア101の裏面101B上には、コア導体層M11を覆うようにして第2の絶縁層132が形成されている。
【0031】
第1の絶縁層131及び第2の絶縁層132上には、それぞれ第1の導体層M2及びM12が形成されている。第1の導体層M2及びM12は、それぞれ図示しない配線層(配線パターン)を構成するとともに、第3のビアパッド123、受けパッド125及び第4のビアパッド124を構成する。なお、受けパッド125は、以下に説明する溝部16及び17をレーザ照射によって形成する場合において、照射されたレーザビームが下方に位置する第1の絶縁層131に達するのを防止するためのものである。
【0032】
また、第1の絶縁層131及び第2の絶縁層132上には、それぞれ第1の導体層M2及びM12を覆うようにして第3の絶縁層133及び第4の絶縁層134が形成されている。
【0033】
さらに、第3の絶縁層133及び第4の絶縁層134上には、それぞれ第2の導体層M3及びM13が形成されている。第2の導体層M3及びM13は、それぞれ図示しない配線層(配線パターン)を構成するとともに、第1の金属パッド(端子パッド)141及び第2の金属パッド(端子パッド)142を構成する。
【0034】
また、第3の絶縁層133及び第4の絶縁層134上には、それぞれ第1の金属パッド141及び第2の金属パッド142を覆うようにして第1のレジスト層161及び第2のレジスト層162が形成されている。なお、第1のレジスト層161及び第2のレジスト層162には、それぞれ開口部161A及び162Aが形成され、これら開口部161A及び162Aを介して、第1の金属パッド141及び第2の金属パッド142が露出している。
【0035】
第1の絶縁層131及び第2の絶縁層132には、それぞれビアホール131A及び132Aが形成され、これらビアホール内には、第1のビア導体151及び第2のビア導体152が形成されており、第1のビアパッド121及び第3のビアパッド123間、並びに第2のビアパッド122及び第4のビアパッド124間を電気的に接続している。
【0036】
第3の絶縁層133及び第4の絶縁層134には、それぞれビアホール133A及び134Aが形成され、これらビアホール内には、第3のビア導体153及び第4のビア導体154が形成されており、第3のビアパッド123及び第1の金属パッド141間、並びに第4のビアパッド124及び第2の金属パッド142間を電気的に接続している。
【0037】
また、第1の金属パッド141上には、はんだ層18を介して部品12が搭載されており、図示しないはんだ層を介して部品13が搭載されている。
【0038】
図1及び図2に示すように、配線基板10のレジスト層161の表面とレジスト層161の開口部161Aから露出する第1の金属パッド141の表面とで構成される基板表面10Aには、上述のように、第1の金属パッド141を介して部品12及び13が複数搭載されているとともに、その略中心部においては、半導体チップ11が搭載されている。なお、半導体チップ11及び部品12,13は、第1の金属パッド141で構成される配線パターン15によって電気的に接続されている。
【0039】
なお、配線基板10の裏面側において、第2のレジスト層162の開口部162Aから露出するようにして形成された第2の金属パッド142は、配線基板10をマザーボードに接続するための裏面ランド(LGAパッド)として利用されるものである。
【0040】
スルーホール導体112、コア導体M1,M11,第1の導体層M2,M12, 及び第2の導体層M3,M13は、それぞれ金、銀、銅などの電気的良導体から構成することができる。また、第1のビア導体151〜第4のビア導体154も、それぞれ金、銀、銅などの電気的良導体から構成することができる。しかしながら、一般的には、メッキ法によって簡易に形成することができ、また安価であることから銅から構成する。
【0041】
第1の絶縁層131〜第4の絶縁層134は、例えば熱硬化性樹脂によって構成することができる。
【0042】
また、本実施形態においては、部品に対して参照数字“12”及び“13”を付しているが、部品12及び13は、互いに同一の種類であってもよいし、異なる種類のものであってもよい。上述のように部品に対して異なる参照数字を付したのは、以下に説明する溝部の形状の特徴を、部品に関連させて説明するために便宜上行ったものである。
【0043】
さらに、部品12及び13は、例えばコンデンサ、抵抗などの受動部品とすることができる。
【0044】
図2及び図3に示すように、部品12の下部、すなわち部品12と対向する配線基板10の表面10Aには、一対の端子パッド141によって画定される方向(一対の端子パッドを構成する各端子パッド141が配列する第1配列方向)と交差する方向(交差方向)に延びる溝部16(第1溝部)が形成されている。溝部16は、第1配列方向の幅が、中央部に比し端部において拡大され、すなわち端部から中央部に向けて(交差方向に沿って)狭小化し、第1のレジスト層161を貫通する深さで形成されている。
【0045】
溝部16は、中央部16Aから端部16Bに向けて(交差方向に沿って)幅が拡大化されている。配線基板10の表面10Aと部品12との間に樹脂を注入及び充填するに際しては、例えばディスペンサーを用いて行うが、当該樹脂は、溝部16を介して充填されるようになる。
【0046】
溝部16は、その幅が中央部16Aに比し端部16Bにおいて拡大化されている、すなわち端部16Bに比して中央部16Aが狭小化されているので、溝部16の端部16Bに導入された樹脂は、端部16Bから中央部16Aに向かうにつれて樹脂中の空気が抜けるとともに、溝部16の中央部16Aにまで流動するようになる。
【0047】
したがって、上記樹脂は、溝部16を介することにより、基板表面10Aと部品12との間に樹脂中の空気が抜けた状態で導入されるようになるので、これらの間において、ボイドを生じることなく十分な量の樹脂を注入及び充填させることができ、部品12を保持するはんだ層(バンプ)18同士が結合し、短絡するのを防止することができる。
【0048】
また、本実施形態では、溝部16の側面16Cを連続した面として構成しているので、上述した樹脂の流れ抵抗がより減少するようになり、樹脂を溝部16の中央部16Aにまでより迅速かつスムースに導入することができるようになる。この結果、基板表面10Aと部品12との間にも、ボイドを生じることなく迅速かつスムースに導入されるようになる。
【0049】
さらに、本実施形態では、溝部16の端部16Bを、部品12の基板表面10Aに対する投影領域よりも外方に位置するようにしているので、端部16Bは部品12の外方に位置するようになる。したがって、端部16Bを介して溝部16への樹脂の導入を容易に行うことができるようになり、その結果、上述した作用効果をより顕著に奏することができるようになる。
【0050】
本実施形態では、溝部16の中央部16Aより一端側の形状と、中央部16Aより他端側における形状とを同一としているので、溝部16の両側に位置する端部16Bから中央部16Aに対して均一な量の樹脂を均一な速度で導入することができ、基板表面12と部品12中央との間の領域におけるボイドの発生を抑制することができる。
【0051】
本実施形態においては、図4に示すように、溝部16の側面16Cと底面16Dとのなす角度が鈍角であるようにすることができる。この場合、溝部16の底面16Dと側面16Cの境界部分において上記樹脂を十分に導入することができるので、当該境界部分でのボイドの発生を抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態においては、溝部16の側面16Cを粗化面とすることができる。この場合、溝部16の側面16Cと、この溝部に注入された樹脂との密着性が向上するため、溝部16に熱履歴がかかった際にも、溝部16と樹脂との間にはんだが流れ込むことによる、部品12を保持するはんだ層(バンプ)18同士の短絡を防止することができる。
【0053】
なお、溝部16の側面16Cを粗化面とするには、溝部16をレーザ加工によって形成した後にデスミア処理を行う。
【0054】
溝部16の、中央部16Aにおける幅と端部16Bにおける幅との比は、上述した作用効果を奏する限りにおいて特に限定するものではないが、例えば最も幅が狭い中央部16Aにおける幅を“1”とした場合において、最も幅が広い端部16Bの幅は、1.5〜5.0の範囲とすることができる。具体的な幅の大きさについては、配線基板10の大きさ及び部品12の大きさ等を考慮して決定する。なお、溝部16の深さは、レーザ照射により溝部16を形成する場合の、レーザの照射出力や照射回数、受けパッド125の形成位置に依存して決定される。
【0055】
また、本実施形態では、図5に示すように、基板表面10Aにおいて、部品12が実装される一対の端子パッド141によって画定される方向(第1配列方向)と交差する方向において、同じく一対の端子パッド141に実装される部品13が配列され、部品12と対向するようにして形成された溝部16の端部16Bと端部17Aとが近接するようにして、部品13と対向して溝部17(第2溝部)が形成されている。この場合、溝部16の端部16Bと溝部17の端部17Aとを近接させているので、樹脂注入時の作業性が向上する。
【0056】
溝部17は、一端17A側から他端17B側に向けて第1配列方向の幅が狭小化されているので、溝部17の端部17Aに導入された樹脂は、相対向する端部17Bに向かうにつれて、樹脂中の空気が抜けるようになる。したがって、基板表面10Aと部品13との間にも、上記樹脂をボイドを生じることなく迅速かつスムースに導入することができ、部品13を保持するはんだ層(バンプ)同士が結合し、短絡するのを防止することを目的とする。
【0057】
なお、特に図示しないものの、溝部17も、その側面を連続した面として構成することができる。この場合、上述した樹脂の流れ抵抗がより減少するようになるので、溝部17を介して、基板表面10Aと部品13との間に、上記樹脂をボイドを生じることなくより迅速かつスムースに導入することができる。
【0058】
また、図5に示すように、溝部17の両端部17A,17Bを、部品13の投影領域より外方に形成することができる。この場合、溝部17の端部17A,17Bが部品13の外方に露出するようになるので、端部17A,17Bを介して溝部17への樹脂の導入を容易に行うことができるようになり、その結果、上述した作用効果をより顕著に奏することができるようになる。
【0059】
さらに、特に図示しないものの、溝部16と同様に、溝部17の側面と底面とのなす角度が鈍角であるようにすることができる。この場合、溝部17の底面と側面の境界部分において上記樹脂を十分に導入することができるので、当該境界部分でのボイドの発生を抑制することができる。
【0060】
また、溝部16と同様に、溝部17の側面を粗化面とすることができる。この場合、溝部17の側面と、この溝部17に注入された樹脂との密着性が向上するため、溝部17に熱履歴がかかった際にも、溝部17と樹脂との間にはんだが流れ込むことによる、部品13を保持するバンプ同士の短絡を防止することができる。
【0061】
(部品実装基板の製造方法)
次に、図1〜3に示す部品実装基板の製造方法について説明する。図6〜15は、本例における製造方法おける工程図である。なお、以下に示す工程図は、図2に相当する、配線基板のI−I線に沿って切った場合の断面で見た場合の順次の工程を示すものである。
【0062】
最初に、図6に示すように、板形状の耐熱性樹脂板(たとえばビスマレイミド−トリアジン樹脂板)または繊維強化樹脂板(たとえばガラス繊維強化エポキシ樹脂)を、コア基板101として用意し、ドリリング等の方法でスルーホール111を穿孔する。次いで、図7に示すように、コア基板101の表面101A及び裏面101B上に、パターンメッキによりコア導体層M1,M11を形成し、スルーホール111内にスルーホール導体112を形成し、スルーホール111に樹脂製穴埋め材114を充填する。
【0063】
次に、コア導体層M1,M11に粗化処理を施したのち、図8に示すように、コア導体層M1,M11を被覆するように、コア基板101の主面101A及び101B上に樹脂フィルムをラミネート及び硬化させて、第1の絶縁層131及び第2の絶縁層132を得る。樹脂フィルムは、必要に応じてフィラーを含んでいてもよい。
【0064】
次いで、図9に示すように、第1の絶縁層131及び第2の絶縁層132に対して、その表面からレーザを照射し、所定のパターンにてビアホール131A及び132Aを形成し、ビアホール131A及び132Aを含む第1の絶縁層131及び第2の絶縁層132に対して粗化処理を実施する。なお、第1の絶縁層131及び第2の絶縁層132がフィラーを含む場合は、上述のようにして第1の絶縁層131及び第2の絶縁層132に対して粗化処理を施すと、フィラーが遊離して、第1の絶縁層131及び第2の絶縁層132上に残存するようになるので、適宜水洗浄を実施して、遊離したフィラーを除去する。
【0065】
次いで、デスミア処理及びアウトラインエッチングを実施してビアホール131A及び132A内を洗浄する。なお、本例では、水洗浄を実施しているので、デスミア工程における水洗浄の際に、上記フィラーの凝集を抑制することができる。
【0066】
また、本例では、上述した高水圧による水洗浄と上記デスミア処理の間に、エアーブローを行うことができる。これによって、上述した水洗浄によって遊離したフィラーが完全に除去されていない場合でも、エアーブローにおいてフィラーの除去を補完することができる。
【0067】
次いで、図10に示すように、第1の絶縁層131及び第2の絶縁層132上に、パターンメッキにより第1の導体層M2,M12及びビア導体151,152を形成する。第1の導体層M2等は、セミアディティブ法等により、以下のようにして形成する。最初に、第1の絶縁層131及び第2の絶縁層132上に、例えば無電解銅めっき膜を形成した後、この無電解銅メッキ膜上にレジスト膜を形成し、このレジスト膜にフォトレジストグラフィによりレジストの非形成部を形成し、このレジストの非形成部分に電解銅めっきを行うことによって形成する。なお、前記レジストはKOH等で剥離除去し、パターニングされた第1の導体層M2等を形成することができる。
【0068】
次いで、第1の導体層M2,M12に粗化処理を施したのち、図11に示すように、第1の絶縁層131及び第2の絶縁層132上において、第1の導体層M2,M12を被覆するように樹脂フィルムをラミネート及び硬化させて、第3の絶縁層133及び第4の絶縁層134を形成する。この樹脂フィルムも、上述したように、必要に応じてフィラーを含んでいてもよい。
【0069】
次いで、図12に示すように、第3の絶縁層133及び第4の絶縁層134に対してその表面からレーザを照射し、所定のパターンにてビアホール133A及び134Aを形成し、ビアホール133A及び134Aを含む第3の絶縁層133及び第4の絶縁層134に対して粗化処理を実施する。第3の絶縁層133及び第4の絶縁層134がフィラーを含む場合は、上述のようにして第3の絶縁層133及び第4の絶縁層134に対して粗化処理を施すと、フィラーが遊離して、第3の絶縁層133及び第4の絶縁層134上に残存するようになるので、上記同様に適宜水洗浄、エアーブローを行う。次いで、ビアホール133A及び134Aに対して、デスミア処理及び外形エッチング(アウトラインエッチング)を実施してビアホール133A及び134A内を洗浄する。
【0070】
次いで、図13に示すように、パターンメッキにより、第3の絶縁層133及び第4の絶縁層134上に第2の導体層M3,M13を形成し、ビアホール133A及び134A内にビア導体153及び154を形成する。
【0071】
その後、図14に示すように、第3の絶縁層133及び第4の絶縁層134上に、第2の導体層M3,M13における第1の金属パッド141及び第2の金属パッド142が露出するような開口部161A及び162Aを有する第1のレジスト層161及び162を形成する。
【0072】
次いで、図15に示すように、第3の絶縁層133の表面に対して部分的にCOレーザを照射し、第1のレジスト層161を貫通するようにして、第3の絶縁層133に対して溝部16及び溝部17を形成する。なお、溝部16及び17を形成するに際しては、COレーザのスポットの照射位置を適宜調整して、図3に示すような、溝部16に関しては、中央部16Aから端部16Bに向けて幅が狭小化されるようにして形成し、溝部17に関しては、一端17A側から他端17B側に向けて幅が狭小化するようにして形成する。
【0073】
なお、上述したように、溝部16及び/又は溝部17の側面を粗化面とするには、上述のようにしてレーザ照射により溝部16及び17を形成した後、デスミア処理を行う。
【0074】
その後、溝部16及び17を跨ぐようにして部品12及び13をはんだ層18及び19によって支持するとともに、はんだ層18及び19を介して第1の金属パッド141と電気的に接続する。これによって、下方に溝部16及び17が存在するようにして部品12及び13を実装することができ、図1〜3に示すような部品実装基板1を得ることができる。
【0075】
以上、本発明を具体例を挙げながら詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
【0076】
例えば、上記具体例では、配線基板10を、コア基板101の両面において、コア導体層M1,M11,第1の導体層M2,M12,第2の導体層M3,M13を有し、第1の絶縁層131〜第4の絶縁層134を有するようにし、コア基板101の一方の側において、導体層を3層とし、絶縁層を2層としているが、導体層及び絶縁層の数も必要に応じて任意の数とすることができる。
【符号の説明】
【0077】
1 部品実装基板
10 配線基板、
11 半導体チップ
12,13 部品
15 配線パターン
16,17 溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板表面に露出してなる複数の端子パッドを有する配線基板と、
前記端子パッドに実装される複数の部品とを備え、
前記基板表面と前記部品との間に樹脂が充填される部品実装基板であって、
前記部品が実装される一対の前記端子パッドを複数有し、
前記基板表面には、前記一対の端子パッド間であって、前記一対の端子パッドを構成する前記端子パッドが配列する第1配列方向と交差する交差方向に延びるとともに、中央部から端部に向けて前記第1配列方向の幅が拡大された第1溝部が形成されてなることを特徴とする、部品実装基板。
【請求項2】
前記第1溝部の側面が連続した面として構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の部品実装基板。
【請求項3】
前記第1溝部の両端部が、前記部品の投影領域より外方に形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の部品実装基板。
【請求項4】
前記第1溝部の前記中央部より一端側の形状と、前記中央部より他端側における形状とが同一であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の部品実装基板。
【請求項5】
前記第1溝部の側面と底面のなす角度が鈍角であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の部品実装基板。
【請求項6】
前記第1溝部の側面は、粗化面であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の部品実装基板。
【請求項7】
前記基板表面には、前記一対の端子パッド間であって、前記交差方向に延びるとともに、一端側から他端側に向けて前記第1配列方向の幅が拡大された第2溝部が形成され、
前記第1溝部及び前記第2溝部は、前記交差方向に配列されてなり、
隣り合う第1溝部と第2溝部について、前記第1溝部の端部と前記第2溝部の前記他端部とが近接してなることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の部品実装基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−222209(P2012−222209A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87760(P2011−87760)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】