説明

部品実装装置に用いる撮像用照明ユニット及び部品実装装置

【課題】撮像対象を十分な光量で照射することができ、撮像対象の近傍の他の機器に影響を与えにくい構成の部品実装装置に用いる撮像用照明ユニット及びこの照明ユニットを用いた部品実装装置を提供する。
【解決手段】ベース部71内に、光源70から照射される照明光を平行光に変換する平行光生成用フレネルレンズ75(第1のフレネルレンズ)と、第1認識カメラ10Aの光軸l上に配置され、平行光生成用フレネルレンズ75によって平行光に変換された照明光を第1認識カメラ10Aの光軸に沿った下方に反射させるとともに、撮像対象において反射した照明光を光軸lに沿った上方に透過させるハーフミラー76を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像対象を撮像して認識する認識カメラに付属して設けられる部品実装装置に用いる撮像用照明ユニット及びこの照明ユニットを備えた部品実装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板に電子部品等の部品を実装する部品実装装置では、部品を供給する部品供給ステージ、部品供給ステージから部品をピックアップするピックアップヘッド、ピックアップヘッドによって部品供給部からピックアップされた部品が一時的に載置される中継ステージ、基板を保持する基板保持ステージ及び中継ステージ上の部品を吸着して基板保持ステージに保持された基板に装着する実装ヘッドを備えたものが知られている。このような部品実装装置では、各ステージにおける撮像対象(部品や基板)の位置を認識し、この認識結果に基づいて撮像対象を本来位置すべき作業位置に移動させる位置補正作業を行うための認識カメラが各ステージの上方に配設されている。
【0003】
このような部品実装装置が備える認識カメラには、撮像対象に照明光を照射する照明装置が付属して設けられるが、この種の照明装置として、撮像対象に照射する光の光軸が認識カメラの光軸と一致するようにして明瞭な画像が得られるようにした、いわゆる同軸照明が用いられている。この同軸照明では、鏡筒内に光源を組み込んで光源からの光を直接撮像対象に照射させる構成のもののほか、認識カメラの光軸上にハーフミラーを介装し、認識カメラの光軸外から照射した光をハーフミラーで反射させて撮像対象に光を照射させる構成のものが知られており(例えば特許文献1)、撮像対象の表面が鏡面である等、全反射もしくはそれに近い場合に特に有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−190726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した照明装置では、認識カメラと撮像対象の間の距離が長くなると、撮像対象に照射される光が拡散して照明光量が不十分となるおそれがあるほか、撮像対象の近傍に他の光学センサがあった場合にはその光学センサを誤作動させるおそれがあった。特に、部品実装装置がカメラと撮像対象との間をピックアップヘッドが通過する構成である場合には上記の問題が顕著なものとなっていた。
【0006】
そこで本発明は、撮像対象を十分な光量で照射することができ、撮像対象の近傍の他の機器に影響を与えにくい構成の部品実装装置に用いる撮像用照明ユニット及びこの照明ユニットを用いた部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の部品実装装置に用いる撮像用照明ユニットは、撮像対象を上方から認識する認識カメラに付属して設けられる、基板に部品を実装する部品実装装置に用いる撮像用照明ユニットであって、照明光を照射する光源と、前記光源から照射される照明光を平行光に変換する第1のフレネルレンズと、前記認識カメラの光軸上に配置され、前記第1のフレネルレンズによって平行光に変換された照明光を前記認識カメラの光軸に沿った下方に反射させるとともに、前記撮像対象において反射した照明光を前記認識カメラの光軸に沿った上方に透過させるハーフミラーとを備えた。
【0008】
請求項2記載の部品実装装置に用いる撮像用照明ユニットは、請求項1記載の部品実装装置に用いる撮像用照明ユニットであって、前記光源と前記第1のフレネルレンズとの間に配置され、前記光源から照射される照射光を拡散させて前記第1のフレネルレンズに入射させる第2のフレネルレンズを備えた。
【0009】
請求項3記載の部品実装装置は、部品を供給する部品供給部と、部品の実装対象となる基板を保持する基板保持部と、前記部品供給部で供給される部品をピックアップして前記基板保持部に保持された基板に部品を実装する実装ヘッドと、前記部品供給部と前記基板保持部との間の前記実装ヘッドの移動領域の上方に設けられ、前記部品供給部が供給する部品又は前記基板保持部に保持された基板上の部品実装位置を撮像対象として上方から認識する認識カメラと、前記認識カメラに付属して設けられた照明ユニットとを備え、前記照明ユニットは、照明光を照射する光源と、前記光源から照射される照明光を平行光に変換する第1のフレネルレンズと、前記認識カメラの光軸上に配置され、前記第1のフレネルレンズによって平行光に変換された照明光を前記認識カメラの光軸に沿った下方に反射させるとともに、前記撮像対象において反射した照明光を前記認識カメラの光軸に沿った上方に透過させるハーフミラーとを備えた。
【0010】
請求項4記載の部品実装装置は、部品を供給する部品供給部と、部品の実装対象となる基板を保持する基板保持部と、前記部品供給部で供給される部品をピックアップして前記部品供給部と前記基板保持部との間に設けられた中継ステージに載置するピックアップヘッドと、前記ピックアップヘッドにより前記中継ステージに載置された部品をピックアップして前記基板保持部に保持された基板に部品を実装する実装ヘッドと、前記部品供給部と前記中継ステージとの間の前記ピックアップヘッドの移動領域の上方又は前記中継ステージと前記基板保持部との間の前記実装ヘッドの移動領域の上方に設けられ、前記部品供給部が供給する部品、前記中継ステージに載置された部品、又は前記基板保持部に保持された基板上の部品実装位置を撮像対象として上方から認識する認識カメラと、前記認識カメラに付属して設けられた照明ユニットとを備え、前記照明ユニットは、照明光を照射する光源と、前記光源から照射される照明光を平行光に変換する第1のフレネルレンズと、前記認識カメラの光軸上に配置され、前記第1のフレネルレンズによって平行光に変換された照明光を前記認識カメラの光軸に沿った下方に反射させるとともに、前記撮像対象において反射した照明光を前記認識カメラの光軸に沿った上方に透過させるハーフミラーとを備えた。
【0011】
請求項5記載の部品実装装置は、請求項3又は4に記載の部品実装装置であって、前記光源と前記第1のフレネルレンズとの間に配置され、前記光源から照射される照射光を拡散させて前記第1のフレネルレンズに入射させる第2のフレネルレンズを備えた。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光源から照射される照明光を第1のフレネルレンズによって平行光に変換したうえでハーフミラーに入射させるようになっているので、ハーフミラーで反射されて撮像対象に照射される照明光は平行光となる。よって、撮像対象を十分な光量で照射することができ、また撮像対象の近傍の他の機器へ与える影響も抑制することができる。また、ハーフミラーに入射する照明光を平行光に変換するレンズに安価で厚さの薄いフレネルレンズを用いているので、装置の低廉化とコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態の部品実装装置の全体斜視図
【図2】本発明の一実施の形態の部品実装装置の部分斜視図
【図3】本発明の一実施の形態の部品実装装置の正面図
【図4】本発明の一実施の形態の部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図
【図5】本発明の一実施の形態の部品実装方法を示す工程説明図
【図6】本発明の一実装の形態の照明ユニットの断面図
【図7】(a)(b)本発明の他の実施の形態の照明ユニットの断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず図1を参照して、部品実装装置1の全体構成を説明する。部品実装装置1は、基板2に半導体チップ3a等の部品をボンディングによって実装する機能を有する。基台4上には部品供給ステージ5、ユニット集合ステージ6及び基板保持ステージ7がY方向に配列されている。部品供給ステージ5、ユニット集合ステージ6及び基板保持ステージ7の上方には、基台4のX方向の端部に位置して、Y軸フレーム8が支持ポスト8aによって両端部を支持されてY方向に架設されている。
【0015】
部品供給ステージ5、ユニット集合ステージ6及び基板保持ステージ7の上方には、位置認識のための第1認識カメラ10A、第2認識カメラ10B、第3認識カメラ10Cが配設されており、各認識カメラ10A〜10Cの下方には撮像対象に照明光を照射する照明ユニット11が付属して設けられている。第1認識カメラ10Aは、部品供給ステージ5において取り出し対象の半導体チップ3aを上方から撮像する。第2認識カメラ10Bは、部品供給ステージ5から取り出されてユニット集合ステージ6に備えられた中継ステージ24に一時的に載置された半導体チップ3aを上方から撮像する。また第3認識カメラ10Cは、基板保持ステージ7に保持された基板2を上方から撮像して基板2上の部品実装位置を認識する。
【0016】
次に、図2,図3を参照して各部の構造を説明する。部品供給ステージ5はXYテーブル機構12を備えており、XYテーブル機構12の上面に装着された水平な移動プレート13には複数の支持部材14が立設されている。支持部材14は、上面に半導体ウェハ3が保持される保持テーブル15を支持している。半導体ウェハ3は、ウェハシート3bに個片に分割された状態の複数の半導体チップ3aを所定配列で貼着した構成となっている。
【0017】
部品供給ステージ5には、半導体ウェハ3から半導体チップ3aをピックアップするためのピックアップ作業位置[P1]が設定されている。第1認識カメラ10Aの位置はピックアップ作業位置[P1]に対応しており、第1認識カメラ10Aによって半導体ウェハ3を撮像した撮像結果を認識処理することにより、ピックアップ対象の半導体チップ3aの位置が検出される。保持テーブル15の内部において、ピックアップ作業位置[P1]に対応する位置にはエジェクタ機構16が配設されており、ウェハシート3bの下面側から半導体チップ3aをピンで突き上げることにより、半導体チップ3aのウェハシート3bからの剥離を促進する機能を有している。
【0018】
部品取り出し動作においては、XYテーブル機構12を駆動してウェハシート3bをXY方向に水平移動させる(矢印a)ことにより、ウェハシート3bに貼着された複数の半導体チップ3aのうち、取り出し対象となる所望の半導体チップ3aをピックアップ作業位置[P1]に位置させる。
【0019】
部品供給ステージ5の上方には、半導体チップ3aを吸着して保持するピックアップノズル17aを備えたピックアップヘッド17が配設されている。ピックアップヘッド17はピックアップアーム18によって保持されており、ピックアップアーム18はY軸フレーム8の下面に縣吊して配置されたピックアップヘッド移動機構19から、部品供給ステージ5の上方に延出して設けられている。ピックアップヘッド移動機構19を駆動することにより、ピックアップアーム18はYZ方向に移動する(矢印b)。これにより、ピックアップヘッド17は部品供給ステージ5から半導体チップ3aをピックアップして中継ステージ24に移送する動作を行う。上記構成において、部品供給ステージ5は部品としての半導体チップ3aを供給する部品供給部となっている。
【0020】
図3に示すように、ユニット集合ステージ6及び基板保持ステージ7はベースプレート52の上面に設けられており、ベースプレート52は基台4の上面に立設された複数の支持ポスト51によって下方から支持されている。ここで、ユニット集合ステージ6の構造について図1〜図3を参照して説明する。ユニット集合ステージ6は主として、上面にノズルストッカ21、部品回収部22、較正基準マーク23、中継ステージ24及び部品認識カメラ25が集合的に配設された移動テーブル部6aと、移動テーブル部6aをX方向に移動させるX軸移動機構20とから成っている。X軸移動機構20は、移動テーブル部6aの下面に固着されたスライダ26を、ベースプレート52上に装着されたベース部28上に設けられたガイドレール27にスライド自在に嵌合させ、モータ(不図示)を正逆方向に回転駆動させることによって移動テーブル部6aをX方向に移動(矢印c)させる構成となっている。
【0021】
ノズルストッカ21には、後述する実装ユニット33に装着される交換用の吸着ノズル33aが複数収納されている。部品回収部22は、部品供給ステージ5から取り出された後、不良等の理由により基板2への実装が不適と判断された半導体チップ3aを廃棄回収する機能を有している。較正基準マーク23は、X軸移動機構20を継続して駆動する際に熱伸縮によって生じる機構的な位置誤差を、上方に配設された第2認識カメラ10Bによって撮像して較正するために設けられた基準マークである。
【0022】
中継ステージ24は部品供給ステージ5と基板保持ステージ7との間に設けられており、部品供給ステージ5からピックアップヘッド17によって取り出された半導体チップ3aが一時的に載置される。中継ステージ24には中継位置[P2]が設定されており、第2認識カメラ10Bは中継位置[P2]に対応して中継ステージ24の上方に配置されている。X軸移動機構20によって中継ステージ24を移動させることにより、中継ステージ24に載置された半導体チップ3aを中継位置[P2]に位置させて第2認識カメラ10Bによって撮像することができ、これにより中継ステージ24に載置された半導体チップ3aの位置が検出される。
【0023】
部品認識カメラ25は上方を撮像するように中継ステージ24に隣接させて配置されている。また、中継ステージ24と同様にX軸移動機構20を駆動することにより、撮像面を部品認識位置[P3]に位置させることができる。部品認識カメラ25は、部品供給ステージ5から実装ヘッド31によって直接半導体チップ3aを取り出す実装形式の場合に用いられ、部品供給ステージ5から取り出された半導体チップ3aを下方から撮像して認識する。
【0024】
基板保持ステージ7は、XYテーブル機構53上に基板2を保持する基板保持テーブル7aを設けた構成となっている。基板保持ステージ7には、半導体チップ3aを基板2に実装するための実装作業位置[P4]が設定されており、第3認識カメラ10Cは実装作業位置[P4]に対応して配置されている。第3認識カメラ10Cによって基板2を撮像することにより、半導体チップ3aが実装される部品実装位置が検出される。そしてXYテーブル機構53を駆動することにより、基板保持テーブル7aは基板2とともにXY方向に水平移動し(矢印d)、実装作業の対象となる部品実装位置を実装作業位置[P4]に位置させることができる。上記構成において、基板保持ステージ7は半導体チップ3aの実装対象となる基板2を保持する基板保持部となっている。
【0025】
次に、実装ヘッド31、塗布ヘッド32について説明する。図2においてY軸フレーム8の前面には、実装ヘッド31及び塗布ヘッド32をY方向にガイドするための2条のガイドレール8bが設けられており、これらのガイドレール8bの間には実装ヘッド31及び塗布ヘッド32をY方向に駆動するためのリニアモータを構成する固定子8cが配設されている。ガイドレール8bには図示しないスライダがY方向にスライド自在に嵌合しており、このスライダは垂直な移動プレート31a、32aの背面に固着されている。
【0026】
移動プレート31a、32aの背面には、固定子8cに対向してリニアモータを構成するする可動子(不図示)が配設されている。リニアモータを駆動することで、実装ヘッド31及び塗布ヘッド32はガイドレール8bによってガイドされ、それぞれY方向に移動する(矢印e)。移動プレート31a、32aの前面にはそれぞれ昇降機構31b、32bが配設されており、昇降機構31b、32bの前面には昇降プレート31c、32cが垂直方向にスライド自在に配設されている。昇降機構31b、32bを駆動することにより、昇降プレート31c、32cはそれぞれ昇降する(矢印f)。昇降プレート31cの下部には、吸着ノズル33aが装着された実装ユニット33が設けられており、また昇降プレート32cには2基の塗布ユニット34が装着されている。
【0027】
実装ユニット33は吸着ノズル33aによって半導体チップ3aを吸着保持する機能を有しており、実装ヘッド31をY方向に水平移動させて昇降プレート31cが昇降することにより、部品供給ステージ5から供給された半導体チップ3aを基板保持ステージ7に保持された基板2に実装する。ここでは、実装ヘッド31による実装形態として、ピックアップヘッド17によって部品供給ステージ5から取り出され中継ステージ24上に載置された半導体チップ3aを実装ユニット33によって保持して基板2に搭載するプリセンタ実装形態と、部品供給ステージ5の半導体チップ3aを実装ユニット33によって直接保持して基板2に実装するダイレクト実装形態とを選択的に実行できるようになっている。
【0028】
即ち、実装ヘッド31はピックアップヘッド17により中継ステージ24に載置された半導体チップ3aをピックアップ(吸着保持)し、若しくは部品供給ステージ5で供給される半導体チップ3aをピックアップして、基板保持ステージ7に保持された基板2に半導体チップ3aを実装する機能を有する。
【0029】
塗布ヘッド32に装着された塗布ユニット34は、部品接着用のペーストを収納したシリンジ34a及びペーストを吐出する塗布ノズル34bを備えている。塗布ヘッド32を基板保持ステージ7に保持された基板2の上方に移動させて、塗布ユニット34による塗布動作を行わせることにより、塗布ノズル34bから吐出したペーストを部品実装位置に塗布する。上記構成において、ガイドレール8b、固定子8c、実装ヘッド31及び塗布ヘッド32に備えられた可動子は、実装ヘッド31及び塗布ヘッド32を所定の実装作業位置まで移動させるヘッド移動機構9となっている。
【0030】
次に、図4を参照して制御系の構成を説明する。制御部60は機構駆動部61を介して以下の機構部を制御する。これにより、部品供給ステージ5から半導体チップ3aを取り出し、基板保持ステージ7に保持された基板2に実装するための各動作が実行される。まず、部品供給ステージ5、ユニット集合ステージ6、基板保持ステージ7を制御することで、部品供給ステージ5におけるXYテーブル機構12やエジェクタ機構16による部品供給動作が制御され、またユニット集合ステージ6におけるX軸移動機構20の動作が制御され、さらに基板保持ステージ7におけるXYテーブル機構53の動作が制御される。
【0031】
次いで、ヘッド移動機構9、実装ヘッド31、塗布ヘッド32、ピックアップヘッド移動機構19を制御することにより、部品供給ステージ5から半導体チップ3aを取り出すピックアップ動作や、取り出された半導体チップ3aを基板2まで移送してボンディングする実装動作が実行される。すなわちピックアップヘッド移動機構19を制御することによりピックアップ動作が実行され、また実装ユニット33が設けられた実装ヘッド31をヘッド移動機構9と併せて制御することにより、半導体チップ3aを基板2上の部品実装位置まで移送して該部品実装位置に実装する実装動作が実行される。また塗布ヘッド32をヘッド移動機構9と併せて制御することにより、部品接着用のペーストを塗布ノズル34bから吐出して基板2に供給する。
【0032】
上述の各種動作制御に際しては、制御部60が認識処理部62を制御することにより、以下の各認識カメラによる撮像結果の認識処理が行われる。第1認識カメラ10Aによる撮像結果を認識処理することにより、部品供給ステージ5に保持された半導体ウェハ3における半導体チップ3aの位置が検出され、この検出結果に基づいて制御部60がXYテーブル機構12を制御することにより、ピックアップ対象の半導体チップ3aをピックアップ作業位置[P1]に正しく位置合わせすることができる。また第2認識カメラ10Bによる撮像結果を認識処理することにより、中継ステージ24に載置された半導体チップ3aの位置が検出され、この検出結果に基づいて制御部60が実装ヘッド31およびX軸移動機構20を制御することにより、ピックアップ対象の半導体チップ3aに対して吸着ノズル33aを正しく位置合わせすることができる。
【0033】
さらに第3認識カメラ10Cによる撮像結果を認識処理することにより、基板保持テーブル7aに保持された基板2の部品実装位置が検出され、この検出結果に基づいて制御部60がXYテーブル機構53を制御することにより、部品実装位置を実装作業位置[P4]に対して位置合わせして、吸着ノズル33aに保持された半導体チップ3aを部品実装位置に正しく実装することができる。また部品認識カメラ25による撮像結果を認識処理することで、吸着ノズル33aに保持された状態における半導体チップ3aの位置が検出され、実装動作においてはこの検出結果を加味して実装時の位置補正が行われる。
【0034】
この部品実装装置1は上記のように構成されており、以下部品実装装置1による部品実装作業について、図5を参照して説明する。部品供給ステージ5には、半導体チップ3aがウェハシート3bに複数貼着された構成の半導体ウェハ3がセットされている。ピックアップ作業位置[P1]においてウェハシート3bの下面には、エジェクタ機構16が当接してピックアップ動作が可能な状態となっている。また基板保持ステージ7においては、基板保持テーブル7aに実装対象の基板2が保持されている。
【0035】
部品実装作業が開始されると、まずピックアップ作業位置[P1]にて第1認識カメラ10Aによって半導体ウェハ3を撮像することにより、取り出し対象の半導体チップ3aを認識する。そしてこの認識結果に基づいてXYテーブル機構12を制御することにより、取り出し対象の半導体チップ3aをピックアップ作業位置[P1]に正しく位置決めし、次いでピックアップヘッド17によってこの半導体チップ3aを取り出して中継ステージ24に載置する(矢印g)。すなわちピックアップヘッド17は、部品供給ステージ5で供給される半導体チップ3aをピックアップして部品供給ステージ5と基板保持ステージ7との間に設けられた中継ステージ24に載置する機能を有する。
【0036】
そしてピックアップヘッド17が退去した後、中継ステージ24に載置された半導体チップ3aを第2認識カメラ10Bによって撮像することにより、半導体チップ3aを認識して位置ずれを検出する。この認識結果に基づいてX軸移動機構20を制御することにより、中継ステージ24に載置された半導体チップ3aを中継位置[P2]に正しく位置決めする。なおここでは、X軸移動機構20によってX方向のみの位置補正が行われ、Y方向の位置補正は実装ユニット33によって半導体チップ3aを保持する際に行われる。
【0037】
また実装作業位置[P4]にて第3認識カメラ10Cによって基板2を撮像することにより部品実装位置を認識し、この認識結果に基づいて基板保持ステージ7のXYテーブル機構53を制御することにより、実装作業の対象となる部品実装位置が実装作業位置[P4]に位置するよう基板2を位置決めする。次いで基板保持ステージ7においては、塗布ヘッド32を基板2上に移動させ、塗布ユニット34を基板2に対して下降させて(矢印h)、塗布ノズル34bからペーストを吐出させて基板2に塗布する。この後、塗布ユニット34は待機位置に移動する。
【0038】
次いで実装ヘッド31を中継ステージ24に移動させて、載置された半導体チップ3aに対して実装ユニット33を下降させ(矢印i)、吸着ノズル33aによって半導体チップ3aを吸着保持する。次いで実装ユニット33を基板保持ステージ7の上方へ移動させ、実装作業位置[P4]にて実装ユニット33を下降させて(矢印j)半導体チップ3aを基板2に実装する。
【0039】
上記構成の部品実装装置1において、第1〜第3認識カメラ10A〜10Cはそれぞれ撮像対象に照明光を照射する照明ユニット11を備えているが、本部品実装装置1ではこの照明ユニット11に特徴があり、以下その説明を行う。図1〜3において、照明ユニット11は第1〜第3認識カメラ10A〜10Cの下方であって、ピックアップヘッド17、実装ヘッド31及び塗布ヘッド32の移動領域の上方に設けられている。図6は第1認識カメラ10Aとこの第1認識カメラ10Aに付属する照明ユニット11を示している。ここでは、第1認識カメラ10Aに付属する照明ユニット11について説明するが、第2、第3認識カメラ10B,10Cに付属する照明ユニット11も同様である。
【0040】
図6に示すように、照明ユニット11は、Y軸フレーム8上の上面に固定して設けられたベース部71と、ベース部71の上面に着脱自在に取り付けられた光源70及びベース部71内に設けられた光学系72を有して成る。第1認識カメラ10Aはベース部71の上方に設けられており、光源70は第1認識カメラ10Aの前方に隣接して設けられている。光源70は下方(ベース部71の内部)に向けて照明光kを照射する。
【0041】
光学系72は、光源70の下方に設けられて光源70から照射される照明光kを拡散させる拡散用フレネルレンズ73(第2のフレネルレンズ)、拡散用フレネルレンズ73によって拡散された照明光を第1認識カメラ10Aの光軸l側に全反射させる全反射ミラー74、全反射ミラー74によって全反射された照明光を平行光に変換する平行光生成用フレネルレンズ75(第1のフレネルレンズ)、第1認識カメラ10Aの光軸l上に配置され、平行光生成用フレネルレンズ75によって平行光に変換された照明光を第1認識カメラ10Aの光軸lに沿った下方に反射させるとともに、撮像対象(半導体チップ3aを含む半導体ウェハ3)において反射した照明光を光軸lに沿った上方に透過させるハーフミラー76から成る。なお、第2認識カメラ10Bにおける撮像対象は中継ステージ24に載置された半導体チップ3aであり、第3認識カメラ10Cにおける撮像対象は基板保持テーブル7aに保持された基板2である。
【0042】
次に、光源70から照射される照明光の進路について説明する。光源70から照射された照明光kは拡散用フレネルレンズ73に入射し、入射した照明光は拡散光となって拡散用フレネルレンズ73の下方に配置された全反射ミラー74に向かう。全反射ミラー74に入射した照明光(拡散光)は、この全反射ミラー74によって第1認識カメラ10Aの光軸l側、即ち平行光生成用フレネルレンズ75が配置される方向へ全反射される。
【0043】
全反射ミラー74によって全反射された照明光(拡散光)は平行光生成用フレネルレンズ75に入射し、ここで平行光に変換されてハーフミラー76に向かう。ハーフミラー76に入射した照明光(平行光)は、当該ハーフミラー76によって第1認識カメラ10Aの光軸lに沿った下方に反射されて半導体ウェハ3を照射する。そして、半導体ウェハ3において反射した照明光は光軸lに沿った上方に進行し、ハーフミラー76を透過してその上方に配設された第1認識カメラ10Aに入射する。
【0044】
上記構成の照明ユニット11を用いることにより、次のような効果が得られる。即ち、光源70から照射される照明光は平行光生成用フレネルレンズ75によって平行光に変換されてハーフミラー76に入射するので、ハーフミラー76で反射されて撮像対象に照射される照明光は平行光となる。よって、光源70からの距離が長い撮像対象に対して十分な光量で照射することができるとともに、撮像対象の近傍の他の機器に与える影響を抑制することができる。また、平行光に変換するレンズとして安価で厚さの薄いフレネルレンズを用いているので、装置の低廉化とコンパクト化を図ることができる。
【0045】
特に、本実施の形態のように、ピックアップヘッド17、実装ヘッド31の移動領域の上方に認識カメラ(10A〜10C)及びその照明ユニットが設けられる場合には、光源70と撮像対象との距離(図3に示すL1,L2,L3)は比較的長いものとなるので、その効果は大きい。
【0046】
また、光源70はベース部71に対して着脱自在であるため、ベース部71をY軸フレーム8に固定させた状態のまま光源70を取り外して容易に交換することができる。なお、光源70としては、例えば汎用性の高いLED照明やファイバー照明を用いることができる。
【0047】
なお、本実施の形態における全反射ミラー74、拡散用フレネルレンズ73は必須のものではなく、図7(a)に示すように、光源70Aと平行光生成用フレネルレンズ75Aとの間に拡散用フレネルレンズ73Aを配置し、光源70Aから照射される照明光mを拡散用フレネルレンズ73Aによって拡散させて平行光生成用フレネルレンズ75Aに入射させる構成としてもよい。また図7(b)に示すように、光源70Bから照射される照明光nを直接平行光生成用フレネルレンズ75Bに入射させ、入射した照明光を平行光に変換させる構成としてもよい。なお、撮像対象のサイズに合わせて拡散用フレネルレンズを適宜交換することで、照明範囲(平行光生成用フレネルレンズに入射させる照明光の幅)の調整を容易に行うことができ、その結果、撮像対象の所望のエリアのみに平行光を照射することができる。
【0048】
また、本実施の形態では3つの認識カメラを備えた部品実装装置を例にしたが、何れか1つの認識カメラを備えた部品実装装置に本発明の照明ユニットを適用しても構わない。また、3つの認識カメラのうち任意に選択した認識カメラに対してのみ本発明の照明ユニットを付属させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は照射距離が長い撮像対象に対して十分な光量で照射するとともに、撮像対象の近傍の他の機器に与える影響を抑制することができるという効果を有し、部品や基板等の撮像対象を認識するカメラを備えた部品実装装置を用いて基板に部品を実装する部品実装分野において特に有用である。
【符号の説明】
【0050】
1 部品実装装置
2 基板
3a 半導体チップ
5 部品供給ステージ
7 基板保持ステージ
17 ピックアップヘッド
24 中継ステージ
31 実装ヘッド
10A 第1認識カメラ
10B 第2認識カメラ
10C 第3認識カメラ
11 照明ユニット
70 光源
73 拡散用フレネルレンズ(第2のフレネルレンズ)
75 平行光生成用フレネルレンズ(第1のフレネルレンズ)
76 ハーフミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像対象を上方から認識する認識カメラに付属して設けられる、基板に部品を実装する部品実装装置に用いる撮像用照明ユニットであって、
照明光を照射する光源と、
前記光源から照射される照明光を平行光に変換する第1のフレネルレンズと、
前記認識カメラの光軸上に配置され、前記第1のフレネルレンズによって平行光に変換された照明光を前記認識カメラの光軸に沿った下方に反射させるとともに、前記撮像対象において反射した照明光を前記認識カメラの光軸に沿った上方に透過させるハーフミラーとを備えたことを特徴とする部品実装装置に用いる撮像用照明ユニット。
【請求項2】
前記光源と前記第1のフレネルレンズとの間に配置され、前記光源から照射される照射光を拡散させて前記第1のフレネルレンズに入射させる第2のフレネルレンズを備えたことを特徴とする請求項1に記載の部品実装装置に用いる撮像用照明ユニット。
【請求項3】
部品を供給する部品供給部と、
部品の実装対象となる基板を保持する基板保持部と、
前記部品供給部で供給される部品をピックアップして前記基板保持部に保持された基板に部品を実装する実装ヘッドと、
前記部品供給部と前記基板保持部との間の前記実装ヘッドの移動領域の上方に設けられ、前記部品供給部が供給する部品又は前記基板保持部に保持された基板上の部品実装位置を撮像対象として上方から認識する認識カメラと、
前記認識カメラに付属して設けられた照明ユニットとを備え、
前記照明ユニットは、照明光を照射する光源と、前記光源から照射される照明光を平行光に変換する第1のフレネルレンズと、前記認識カメラの光軸上に配置され、前記第1のフレネルレンズによって平行光に変換された照明光を前記認識カメラの光軸に沿った下方に反射させるとともに、前記撮像対象において反射した照明光を前記認識カメラの光軸に沿った上方に透過させるハーフミラーとを備えたことを特徴とする部品実装装置。
【請求項4】
部品を供給する部品供給部と、
部品の実装対象となる基板を保持する基板保持部と、
前記部品供給部で供給される部品をピックアップして前記部品供給部と前記基板保持部との間に設けられた中継ステージに載置するピックアップヘッドと、
前記ピックアップヘッドにより前記中継ステージに載置された部品をピックアップして前記基板保持部に保持された基板に部品を実装する実装ヘッドと、
前記部品供給部と前記中継ステージとの間の前記ピックアップヘッドの移動領域の上方又は前記中継ステージと前記基板保持部との間の前記実装ヘッドの移動領域の上方に設けられ、前記部品供給部が供給する部品、前記中継ステージに載置された部品、又は前記基板保持部に保持された基板上の部品実装位置を撮像対象として上方から認識する認識カメラと、
前記認識カメラに付属して設けられた照明ユニットとを備え、
前記照明ユニットは、照明光を照射する光源と、前記光源から照射される照明光を平行光に変換する第1のフレネルレンズと、前記認識カメラの光軸上に配置され、前記第1のフレネルレンズによって平行光に変換された照明光を前記認識カメラの光軸に沿った下方に反射させるとともに、前記撮像対象において反射した照明光を前記認識カメラの光軸に沿った上方に透過させるハーフミラーとを備えたことを特徴とする部品実装装置。
【請求項5】
前記光源と前記第1のフレネルレンズとの間に配置され、前記光源から照射される照射光を拡散させて前記第1のフレネルレンズに入射させる第2のフレネルレンズを備えたことを特徴とする請求項3又は4に記載の部品実装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−92661(P2013−92661A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234884(P2011−234884)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】