説明

部材係止構造

【課題】容易に係止することができると共に、十分な強度を確保しつつ小型化できる部材係止構造を提供すること。
【解決手段】係止部20を有するスイッチユニットボックス(第一部材)11と、被係止開口13を有するインストルメントパネル(第二部材)10とを備え、係止部20を被係止開口13内に挿入することでスイッチユニットボックス11とインストルメントパネル10を互いに係止する部材係止構造であって、係止部20は、被係止開口13の周縁部13aに係合する爪部と、この爪部の側方に位置する案内片とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、係止部を被係止穴開口に挿入係止することで第一、第二部材を互いに係止する部材係止構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、図6に示すように、第一部材1に設けた係止杆2を第二部材3に設けた嵌合部4内に挿入し、係止杆2の係止爪2aを嵌合部4内の係止爪4aに係合して第一、第二部材1、3を係止する部材係止構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この部材係止構造では、嵌合部4内に係止杆2の移動を規制する一対のリブ5、(他方図示せず)が設けられおり、この一対のリブ5の間に係止杆2を挿入するようになっている。
【特許文献1】特開平8−107617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の部材係止構造では、係止杆2をガタツキ防止用の一対のリブ5、(他方図示せず)の間に挿入しなければならないので、挿入空間が比較的狭く、挿入することが困難であった。
【0005】
特に、係止杆2が第一部材1の裏面側に形成されていて、挿入部分を目視確認できない場合では、挿入動作がさらに困難になるおそれがあった。
【0006】
また、係止杆2とリブ5とが、それぞれ異なる部材に設けられているので、係止杆2の強度を向上するために大きな形状にすると、これに伴って一対のリブ5、(他方図示せず)の間を大きく確保しなければならず、結果的に部材係止構造全体が大きくなってしまう問題があった。
【0007】
そこで、この発明は、容易に係止することができると共に、十分な強度を確保しつつ小型化できる部材係止構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、係止部を有する第一部材と、被係止開口を有する第二部材とを備え、前記係止部を前記被係止開口内に挿入することで前記第一、第二部材を互いに係止する部材係止構造であって、前記係止部は、前記被係止開口の周縁部に係合する爪部と、該爪部の側方に位置する案内片とを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、被係止開口に挿入係止される係止部が、爪部と案内片とを備えているので、係止部を被係止開口に挿入する際に、この案内片によって挿入方向が案内されて容易に挿入することができる。
【0010】
また、爪部の側方に案内片を設けることにより、爪部の強度を向上させることができ、この爪部を大型化しなくとも十分な強度を確保することが可能となる。そして、爪部の強度を確保できるので、係止部ががたついたり、爪部が外れたりするおそれがなくなり、安定して係止することができる。
【0011】
さらに、案内片が爪部の側方に位置しているので、爪部の側方方向に沿った荷重が作用しても、案内片が被係止開口の周縁部に当接し、この係止部を外れにくくすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明に関わる部材係止構造を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1に示すように、例えば自動車等の車両の車室内に設けられたインストルメントパネル(第二部材)10には、スイッチユニットボックス(第一部材)11が着脱自在に設けられている。
【0014】
このスイッチユニットボックス11は、筐体状のボックス本体12と、このボックス本体12の裏面12a側に突出形成された複数の係止部20と、このボックス本体12の表面12b側に設けられた複数のスイッチS1〜S4及びディスプレイD1とを有している。
【0015】
複数の係止部20は、ボックス本体12の四隅近傍にそれぞれ設けられており、図2に示すように、インストルメントパネル10の後述する被係止開口13の周縁部13aに係合する爪部21と、この爪部21の両側方に位置する一対の案内片22、22と備えている。
【0016】
爪部21は、ボックス本体12の外側に向かって突出した突部21aを有している。なお、ここでは、ボックス本体12の左右方向に沿って隣接する爪部21の突部21a同士が、互いに反対方向に向かって突出している(図1参照)。
【0017】
この突部21aは、爪部21の先端から次第に突出方向に傾いた傾斜面21bと、この傾斜面21bから続くと共に被係止開口13の周縁部13aに当接係合する当接面21cとを有している。
【0018】
一対の案内片22、22は、爪部21の側面に沿って突出する板状体であり、先端部が先細りとなる一対のガイド面22a、22aを有している。
【0019】
そして、図3(a)に示すように、爪部21は、一対の案内片22、22の間のほぼ中央に設けられ、この爪部21と一対の案内片22、22との間には、所定の間隙Kが設けられている。
【0020】
なお、図3(b)に示すように、爪部21は、案内片22、22よりも挿入方向に大きく延在されている。また、この側面視において、爪部21の幅T1は案内片22の幅T2の約半分となっていると共に、突部21aが案内片22から突出するようになっている。
【0021】
一方、インストルメントパネル10には、複数の係止部20のそれぞれに対応する複数の被係止開口13が形成されている(図1参照)。
【0022】
各被係止開口13は、係止部20の爪部21及び一対の案内片22、22を挿入可能な大きさに形成され、挿入された爪部21の突部21aが周縁部13aに係合するようになっている。
【0023】
次に、本発明に係る部材係止構造の作用について説明する。
【0024】
第一部材であるスイッチユニットボックス11を第二部材であるインストルメントパネル10に取り付けるには、まずスイッチユニットボックス11のボックス本体12の裏面12aをインストルメントパネル10に対向させる。
【0025】
そして、複数の係止部20をそれぞれ被係止開口13内に挿入していく。このとき、爪部21の両側方に位置する案内片22、22にそれぞれ形成された一対のガイド面22a、22aによって係止部20の挿入方向が案内され、容易に挿入することができる。
【0026】
特に、ここでは、側面視における爪部21の幅T1が案内片22の幅T2の約半分であるので、爪部21だけの場合よりも係止部20を拡大することができて、さらに挿入しやすくなっている。
【0027】
また、この係止部20がボックス本体12の裏面12a側に設けられ、被係止開口13と係止部20との位置関係を目視確認できなくとも、案内片22、22によって挿入方向が案内されるので、挿入作業性を向上させることができる。
【0028】
そして、爪部21の傾斜面21bが被係止開口13の周縁部13aに当接することにより、次第に爪部21が撓められ、周縁部13aが傾斜面21bを相対的に乗り越えると爪部21は自身の弾性力で元に戻る。これと同時に、傾斜面21bから続いた当接面21cが周縁部13aに当接し、爪部21が被係止開口13に係合することとなる。
【0029】
ここで、側面視において、爪部21の突部21aは案内片22、22から突出するようになっているので、この案内片22、22によって爪部21の撓みを阻害することなく、円滑に挿入、係合することが可能となる。
【0030】
さらに、爪部21の両側方に一対の案内片22、22を設けることにより、爪部21の強度を向上させることができ、この爪部21を大型化しなくとも十分な強度を確保することが可能となる。すなわち、係止部20の強度を十分に確保しつつ、小型化を図ることができる。
【0031】
そして、爪部21の強度を確保できるので、係止部20ががたついたり、係止部20が被係止開口13から外れたりするおそれがなくなり、安定してスイッチユニットボックス11を係止することができる。
【0032】
さらに、一対の案内片22、22が爪部21の両側方に位置しているので、図4に矢印Xで示す方向である爪部21の側方方向に沿った荷重が作用しても、案内片22、22が被係止開口13の周縁部13aに当接する。そのため、爪部21の係合位置がずれにくく、この係止部20を外れにくくすることが可能となる。
【0033】
一方、インストルメントパネル10に係止されたスイッチユニットボックス11を取り外すには、このインストルメントパネル10の裏面側に突出した係止部20の爪部21を、ボックス本体12の内側に向かって押し込む。
【0034】
ここで、ボックス本体12の左右方向に沿って隣接する爪部21の突部21a同士が、互いに反対方向に向かって突出している。そのため、それぞれの爪部21を取り外すには、互いに近接する方向に押し込めばよい。
【0035】
そして、爪部21を押しこんで撓ませ、当接面21cと被係止開口13の周縁部13aとの係合が解除されたら、スイッチユニットボックス11をインストルメントパネル10から離間させ、取り外す。
【0036】
このように、係止部20の爪部21を押し込んで撓ませるだけなので、特別な工具等が不必要になり、このスイッチユニットボックス11を容易に取り外すことができる。
【0037】
以上、この発明にかかる実施の形態を図面により詳述してきたが、具体的な構成は上述の実施の形態に限らない。この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等はこの発明に含まれる。
【0038】
例えば、上述の実施の形態では、爪部21の両側方に一対の案内片22、22が設けられているが、どちらか一方であってもよい。
【0039】
また、爪部21の側面視における幅T1が案内片22、22の幅T2の約半分でなくともよい。任意の割合に設定することができる。
【0040】
さらに、上述の実施の形態では、第一部材としてスイッチユニットボックス11とし、第二部材としてインストルメントパネル10としているが、これに限らない。例えば、インストルメントパネル10に係止部を形成し、スイッチユニットボックス11に被係止開口を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明に係る部材係止構造を示す斜視図である。
【図2】係止部を示す斜視図である。
【図3】(a)は図2に示す係止部の正面図であり、(b)は図2に示す係止部の側面図である。
【図4】係止部を被係止開口に係合させた状態を示す斜視図である。
【図5】図4におけるA−A断面図である。
【図6】従来の部材係止構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0042】
10 第二部材(インストルメントパネル)
11 第一部材(スイッチユニットボックス)
13 被係止開口
13a 周縁部
20 係止部
21 爪部
22 案内片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
係止部を有する第一部材と、被係止開口を有する第二部材とを備え、前記係止部を前記被係止開口内に挿入することで前記第一、第二部材を互いに係止する部材係止構造であって、
前記係止部は、前記被係止開口の周縁部に係合する爪部と、該爪部の側方に位置する案内片とを備えたことを特徴とする部材係止構造。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−134652(P2007−134652A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−328982(P2005−328982)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】