説明

配信システム及び配信・受信方法及び配信装置及び受信装置及び配信プログラム及び受信プログラム

【課題】 どの配信データがどの受信者宛のものであるのかを特定できないようにすることができ、配信データの漏洩目的の改ざんを防止する。
【解決手段】 本発明は、配信装置と受信装置間で、予め、受信者番号、受信者毎の秘密鍵、受信者共通の特定ビット列を送受信し、格納しておき、配信装置は、分割データの秘密鍵を用いて分割データを暗号化し、当該分割データの秘密鍵と受信者共通の特定ビット列の組を、受信者毎の秘密鍵を用いて暗号化して受信者秘密領域に設定し、暗号化された分割データと共にマルチキャストパケットに設定して送出する。受信装置は、受信者秘密領域に含まれる暗号化された分割データの秘密鍵と特定ビット列の組を、受信者自身の秘密鍵で復号し、復号された特定ビット列と格納されている特定ビット列とが一致した場合には、分割データの秘密鍵を用いて分割データを復号する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配信システム及び配信方法及び配信装置及び受信装置及び配信プログラム及び受信プログラムに係り、特に、コンテンツや電子ファイル等(以下、「データ」と記す)をマルチキャスト(多地点配信)しつつ、データが漏洩された場合に、電子透かしにより漏洩者を特定する方法並びにシステムにおいて、配信先に割り当てられた番号(以下、「配信先番号」と記す)を隠蔽するための配信システム及び配信・受信方法及び配信装置及び受信装置及び配信プログラム及び受信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
まず、データをマルチキャスト(多地点配信)しつつ、データが漏洩された場合に、電子透かしにより漏洩者を特定する方法並びにシステムについて説明する。
【0003】
データをN個に分割して「分割データn(n=1,2,…,N)」を生成し、各分割データに電子透かしを埋め込んで複数の「電子透かし入り分割データn」を生成する。即ち、電子透かしA,B,…を用いて、電子透かしA入り分割データn、電子透かしB入り分割データn、…を作る。なお、以下では、電子透かしをA,B2種類として説明する。
【0004】
各受信者は1番目からN番目までのN個の分割データを受信してデータを再生するが、各受信者が受信する1番目からN番目までの分割データに埋め込まれた電子透かしのパターン(例えば、A−B−B−A−,…)が、受信者毎に異なるようにする(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
マルチキャストという全受信者が受信可能な状況で、各受信者が各分割データnにおいて1つの電子透かし入り分割データを受信可能にするために、各電子透かし入り分割データを暗号化し、特定の受信者のみが復号可能なようにする。
【0006】
即ち、事前に、配信者と各受信者(1,2,…,Z)は、公開鍵暗号方式等の何らかの手段を用いて、共通の秘密鍵を持ち(受信者1は秘密鍵1を、受信者2は秘密鍵2を、…,受信者Zは秘密鍵Zを、配信者は秘密鍵1,秘密鍵2,…,秘密鍵Zを)、配信者は受信させたい電子透かしが埋め込まれた各分割データをこの秘密鍵で暗号化してマルチキャストすることにより、特定の受信者のみが復号可能になる。
【0007】
ここで、各分割データは通常、情報量(=ビット数)が大なので、各受信者毎に暗号化された分割データを生成して配信するようなことはせず、図11に示すハイブリッドタイプ(例えば、非特許文献2参照)と呼ばれる形態にして、電子透かし入り分割データn,n,…をそれぞれ秘密鍵k,k,…で暗号化し、図12に示すように、これらの秘密鍵(=復号鍵)を各受信者に対応した秘密鍵1,2,…,Zで暗号化し、これら電子透かし入り分割データと各受信者に対応した秘密鍵をマルチキャストすれば、暗号化の処理量を増大させることなく、各電子透かし入り分割データを特定の受信者のみが復号可能にすることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】R. Parnes and R. Parviainen, "Large scale distributed watermarking of multicast media through encryption, Proc. Of IFIP Communications and Multimedia Security Issues of the New Century, pp.17-26, 2001.
【非特許文献2】岡本栄司著、"暗号理論入門[第2版]"、共立出版株式会社、2002年4月10日、ISBN4-320-12044-2.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の従来の方法では、各受信者はどの電子透かし入り分割データが自分宛か不明なため、例えば、配信者は各受信者に秘密裏に受信者番号を通知してこれを秘密とし、上記「電子透かし入り分割データと各受信者に対応した秘密鍵』を配信する際に、受信者番号をヘッダ等に付与する(図12中の受信者番号領域)方法が考えられる。
【0010】
このような方法により、データをマルチキャスト(多地点配信)しつつ、データが漏洩された場合に、電子透かしにより漏洩者を特定することが可能になるが、受信者番号が配信されるデータのヘッダ等に付与されており、全受信者が読み取り可能なため、配信回数が増えるにつれて、どの受信者番号が誰であるか特定できる可能性がある。例えば、データが映画コンテンツだとすると、各映画館で上映される映画から、どの受信者番号がどの映画館であるかを絞り込むことができる。
【0011】
もし、どの受信者番号がだれのものであるか特定できると、ある受信者がその受信者と共謀して電子透かしを入れ替えた第三の電子透かしパターンのデータを作成することにより、漏洩者を特定できない、または、特定し難いような配信データを作成できる可能性がある。
【0012】
また、同様に、他の受信者の電子透かしパターンを作り出し、漏洩者を誤認させることができる可能性がある。このため、「受信者番号」を隠蔽したマルチキャスト方法が必要である。
【0013】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、どの配信データがどの受信者宛のものであるのかを特定できないようにすることができ、配信データの漏洩目的の改ざんを防止することが可能な配信システム及び配信・受信方法及び配信装置及び受信装置及び配信プログラム及び受信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
図1は、本発明の原理構成図である。
【0015】
本発明(請求項1)は、コンテンツや電子ファイルを含むデータをマルチキャスト(多地点配信)していながらそれを漏洩した受信者を特定できるように配信するシステムにおいて、受信者を特定されないように受信者番号を隠蔽することが可能な配信システムであって、
1つの配信装置100と複数の受信装置200がマルチキャストネットワークを介して接続されているシステムにおいて、
配信装置100は、
予め、復号を許可する受信者毎に一意の受信者番号、受信者毎に異なる秘密鍵(受信者k(k=1,2、…,M;Mは全受信者数)の秘密鍵をR-key(k)とする)、及び、受信者共通の特定ビット列(C-bit)を各受信装置との間で秘密裏に送信または受信する第1の秘密情報通信手段と、
配信データをN個に分割するデータ分割手段110と、
データ分割手段110で分割された分割データn(n=1,2,…,N)に電子透かしを埋め込む電子透かし挿入手段120と、
受信者番号、受信者毎に異なる秘密鍵(R-key(k))、及び、受信者共通の特定ビット列(C-bit)と、電子透かしが埋め込まれた分割データnA,nB(電子透かしが2種類の場合)を暗号化するための分割データの秘密鍵(D-key(nA),D-key(nB))を格納する第1の記憶手段170と、
第1の記憶手段170から分割データの秘密鍵(D-key(nA),D-key(nB))を取得して、電子透かしが埋め込まれた分割データnA, nBを暗号化する分割データ暗号化手段130と、
第1の記憶手段170から復号を許可する受信者kの秘密鍵(R-key(k))を取得して、特定ビット列(C-bit)と復号を許可する方の電子透かしが埋め込まれた分割データの秘密鍵(D-key(nA)またはD-key(nB))の組を暗号化して、RCD(k)を生成する秘密情報生成手段140と、
秘密情報生成手段140で生成された各受信者kのビット列RCD(k)それぞれを受信者秘密領域に設定し、それ以外のところにはダミービット(但し、復号化時にC-bitの位置のビット並びがC-bitと等しくならないようにする)を設定する受信者秘密領域設定手段150と、
受信者秘密領域と分割データ暗号化手段130で暗号化された分割データn,nをビット列に組み、マルチキャストパケット化して受信装置200に送出するパケット生成手段160と、を有し、
受信装置200は、
予め、受信者毎に一意の受信者番号、受信者毎に異なる秘密鍵(R-key(k))、及び、受信者共通の特定ビット列(C-bit)を配信装置との間で秘密裏に受信または送信する第2の秘密情報通信手段と、
第2の秘密通信手段により取得した受信者番号、受信者自身の秘密鍵(R-key(k))、及び受信者共通の特定ビット列(C-bit)を格納する第2の記憶手段260と、
マルチキャストネットワークを介して配信装置100からマルチキャストパケットを受信すると、各分割データについて受信者秘密領域と暗号化された分割データn,nを電子透かし毎に抽出するデータ抽出手段210と、
受信者秘密領域に含まれるビット列RCD(i)を、第2の記憶手段260の受信者k自身の秘密鍵(R-key(k))で復号する秘密情報復号化手段220と、
復号化されたビット列中の特定ビット列の位置にあるビット列(C-bit')と第2の記憶手段に格納されている特定ビット列(C-bit)とを照合するビット列判定手段230と、
ビット列判定手段230で特定ビット列(C-bit)と一致した場合には、秘密情報復号化手段で復号されたビット列中の分割データの秘密鍵(D-key(n))を用いて、対応する暗号化されている分割データ(nまたはnのどちらか一方)を復号化する分割データ復号化手段240と、
分割データ復号化手段240で復号化されたN個の分割データを1つのデータに復元するデータ復元手段250と、を有する。
【0016】
本発明(請求項2)は、コンテンツや電子ファイルを含むデータをマルチキャスト(多地点配信)していながらそれを漏洩した受信者を特定できるように配信するシステムにおいて、受信者を特定されないように受信者番号を隠蔽することが可能な配信・受信方法であって、
1つの配信装置と複数の受信装置がマルチキャストネットワークを介して接続されているシステムにおいて、
配信装置は、受信者毎に一意の受信者番号、受信者毎に異なる秘密鍵(受信者k(k=1,2、…,M;Mは全受信者数)の秘密鍵をR-key(k)とする)、及び、受信者共通の特定ビット列(C-bit)と、電子透かしが埋め込まれた分割データnA,nB(電子透かしが2種類の場合)を暗号化するための分割データの秘密鍵(D-key(nA)、D-key(nB))を格納する第1の記憶手段を有し、
受信装置は、予め、受信装置から秘密裏に受信して取得した受信者自身の受信者番号、受信者自身の秘密鍵(R-key(k))、及び、受信者共通の特定ビット列(C-bit)を格納する第2の記憶手段を有し、
配信装置と受信装置は、予め、受信者毎に一意の受信者番号、受信者毎に異なる受信者k(k=1,2,…,M;Mは全受信者数)の秘密鍵、及び、受信者共通の特定ビット列(C-bit)を送受信し、第1の記憶手段及び第2の記憶手段にそれぞれ格納しておき(ステップ1)、
配信装置は、
配信データをN個に分割するデータ分割ステップ(ステップ2)と、
データ分割ステップ(ステップ2)で分割された分割データn(n=1,2,…,N)に電子透かしを埋め込む電子透かし挿入ステップ(ステップ3)と、
第1の記憶手段から分割データの秘密鍵(D-key(nA) ,D-key(nB))を取得して、電子透かしが埋め込まれた分割データnA,nBを暗号化する分割データ暗号化ステップ(ステップ4)と、
第1の記憶手段から復号を許可する受信者kの秘密鍵(R-key(k))を取得して,特定ビット列(C-bit)と復号を許可する方の電子透かしが埋め込まれた分割データの秘密鍵(D-key(nA)またはD-key(nB))の組を暗号化してRCD(k)を生成する秘密情報生成ステップ(ステップ5)と、
秘密情報生成ステップ(ステップ5)で生成された各受信者kのビット列RCD(k)をそれぞれ受信者秘密領域に設定し、それ以外のところにはダミービット(但し、復号化時にC-bitの位置のビット並びがC-bitと等しくならないようにする)を設定する受信者秘密領域設定ステップ(ステップ6)と、
受信者秘密領域と分割データ暗号化ステップ(ステップ4)で暗号化された分割データn,nをビット列に組み、マルチキャストパケット化して(ステップ7)受信装置に送出する(ステップ8)パケット生成ステップと、
を行い、
受信装置は、
マルチキャストネットワークを介して前記配信装置から前記マルチキャストパケットを受信すると、各分割データについて、受信者秘密領域と電子透かし毎に暗号化された分割データn,nを抽出するデータ抽出ステップ(ステップ9)と、
受信者秘密領域に含まれる暗号化されたRCD(i)を、第2の記憶手段の受信者k自身の秘密鍵(R-key(k))で復号する秘密情報復号化ステップ(ステップ10)と、
復号化されたビット列中の特定ビット列の位置にあるビット列(C-bit')と第2の記憶手段に格納されている特定ビット列(C-bit)とを照合するビット列判定ステップ(ステップ11)と、
ビット列判定ステップ(ステップ11)で特定ビット列(C-bit)と一致した場合には、秘密情報復号化ステップで復号されたビット列中の分割データの秘密鍵(D-key(n))を用いて、対応する暗号化されている分割データ(nまたはnのどちらか一方)を復号化するデータ復号化ステップ(ステップ12)と、
分割データ復号化手段で復号化されたN個の分割データを1つのデータに復元するデータ復元ステップ(ステップ13)と、を行う。
【0017】
本発明(請求項3)は、コンテンツや電子ファイルを含むデータをマルチキャスト(多地点配信)していながらそれを漏洩した受信者を特定できるように配信するシステムにおいて、受信者を特定されないように受信者番号を隠蔽することが可能な配信システムにおける配信装置であって、
予め、復号を許可する受信者毎に一意の受信者番号、受信者毎に異なる秘密鍵(受信者k(k=1,2、…,M;Mは全受信者数)の秘密鍵をR-key(k)とする)、及び、受信者共通の特定ビット列(C-bit)を各受信装置との間で秘密裏に送信または受信する第1の秘密情報通信手段と、
配信データをN個に分割するデータ分割手段110と、
データ分割手段110で分割された分割データn(n=1,2,…,N)に電子透かしを埋め込む電子透かし挿入手段120と、
受信者番号、受信者毎に異なる秘密鍵(R-key(k))、及び、受信者共通の特定ビット列(C-bit)と、電子透かしが埋め込まれた分割データnA,nB(電子透かしが2種類の場合)を暗号化するための分割データの秘密鍵(D-key(nA),D-key(nB))を格納する第1の記憶手段170と、
第1の記憶手段170から分割データの秘密鍵(D-key(nA),D-key(nB))を取得して、電子透かしが埋め込まれた分割データnA, nBを暗号化する分割データ暗号化手段130と、
第1の記憶手段170から復号を許可する受信者kの秘密鍵(R-key(k))を取得して、特定ビット列(C-bit)と復号を許可する方の電子透かしが埋め込まれた分割データの秘密鍵(D-key(nA)またはD-key(nB))の組を暗号化してRCD(k)を生成する秘密情報生成手段140と、
秘密情報生成手段140で生成された各受信者kのビット列RCD(k)それぞれを受信者秘密領域に設定し、それ以外のところにはダミービット(但し、復号化時にC-bitの位置のビット並びがC-bitと等しくならないようにする)を設定する受信者秘密領域設定手段150と、
受信者秘密領域と分割データ暗号化手段130で暗号化された分割データn,nをビット列に組み、マルチキャストパケット化して受信装置200に送出するパケット生成手段160と、を有する。
【0018】
また、本発明(請求項4)は、請求項3の配信装置において、受信者秘密領域が、全て受信者分の領域が設定可能であるものとし、
受信者秘密領域設定手段は、
受信者秘密領域に受信者番号毎に、電子透かし入り分割データの復号化を許可する場合は暗号化されたRCD(k)を該受信者の受信者番号に対応する位置に設定し、該電子透かし入り分割データの復号化を許可しない場合にはダミーのビット列を該受信者の受信者番号に対応する位置に設定する手段を含む。
【0019】
また、本発明(請求項5)は、請求項4の配信装置において、
受信者秘密領域設定手段は、
暗号化されたビット列RCD(k)、または、ダミーのビット列を、受信者秘密領域の受信者番号kに対応する欄の位置に順に設定する手段、
または、
暗号化されたビット列RCD(k)、または、ダミーのビット列を、受信者秘密領域の受信者番号kに対応する欄の位置には関係なくランダムに設定する手段、
のいずれかを含む。
【0020】
また、本発明(請求項6)は、請求項3の配信装置において、
受信者秘密領域設定手段は、
受信者秘密領域を纏めてビット列の先頭に設定し、暗号化された分割データを該受信者秘密領域の後ろ、またはその逆に設定する手段を含む。
【0021】
本発明(請求項7)は、コンテンツや電子ファイルを含むデータをマルチキャスト(多地点配信)していながらそれを漏洩した受信者を特定できるように配信する際に、受信者を特定されないように受信者番号を隠蔽するための配信先隠蔽システムにおける受信装置であって、
予め、受信者毎に一意の受信者番号、受信者毎に異なる秘密鍵(R-key(k))、及び、受信者共通の特定ビット列(C-bit)を配信装置との間で秘密裏に受信または送信する第2の秘密情報通信手段と、
第2の秘密通信手段により取得した受信者番号、受信者自身の秘密鍵(R-key(k))、及び受信者共通の特定ビット列(C-bit)を格納する第2の記憶手段260と、
マルチキャストネットワークを介して配信装置100からマルチキャストパケットを受信すると、各分割データについて受信者秘密領域と電子透かし毎に暗号化された分割データn,nを抽出するデータ抽出手段210と、
受信者秘密領域に含まれるビット列RCD(i)を、第2の記憶手段260の受信者k自身の秘密鍵(R-key(k))で復号する秘密情報復号化手段220と、
復号化されたビット列中の特定ビット列の位置にあるビット列(C-bit')と第2の記憶手段に格納されている特定ビット列(C-bit)とを照合するビット列判定手段230と、
ビット列判定手段230で特定ビット列(C-bit)と一致した場合には、秘密情報復号化手段で復号されたビット列中の分割データの秘密鍵(D-key(n))を用いて、対応する暗号化されている分割データ(nまたはnのどちらか一方)を復号化する分割データ復号化手段240と、
分割データ復号化手段240で復号化されたN個の分割データを1つのデータに復元するデータ復元手段250と、を有する。
【0022】
また、本発明(請求項8)は、請求項7の受信装置において、
秘密鍵復号化手段は、
受信者秘密領域の受信者自身の受信者番号に対応する位置から、暗号化されたRCD(i)を取得して受信者kの秘密鍵(R-key(k))で復号し、復号されたビット列の特定ビット列(C−bit')と分割データの秘密鍵(D-key(n))を得る手段を含む。
【0023】
また、本発明(請求項9)は、請求項7の受信装置において、
秘密鍵復号化手段は、
受信者秘密領域に設定されている暗号化されたビット列RCD(i)を受信者の秘密鍵(R-key(k))で復号し、該ビット列中の特定ビット列の位置にあるビット並び(C-bit)を、記憶手段に格納されている特定ビット列(C-bit)と照合し、一致する場合には、該受信者秘密領域に設定されているビット列(RCD(i)中の分割データを復号する秘密鍵(D-key(n))を得る手段を含む。
【0024】
本発明(請求項10)は、請求項3乃至6のいずれか1項に記載の配信装置を構成する各手段としてコンピュータを機能させるための配信プログラムである。
【0025】
本発明(請求項11)は、請求項7乃至9のいずれか1項に記載の受信装置を構成する各手段としてコンピュータを機能させるための受信プログラムである。
【発明の効果】
【0026】
上記のように本発明によれば、電子透かし入りデータを各受信者の電子透かしパターンがユニークになるようにマルチキャスト(多地点配信)することにより、データが漏洩された場合に、電子透かしにより漏洩者を特定する方法において、「受信者番号」を隠蔽できるため、配信回数が増えても、どの受信者番号が誰であるか特定できないようにできる。これにより、どの受信者が誰であるのか特定できないので、他の受信者と共謀して電子透かしを入れ替えた漏洩者を特定できないような第三の電子透かしパターンのデータを作成することを防止できる。
【0027】
また、他の受信者の電子透かしパターンが判明することに起因する、一部の受信者と共謀することにより他の受信者の電子透かしパターンを作り出して漏洩者を誤認させることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の原理構成図である。
【図2】本発明の原理を説明するための図である。
【図3】本発明のシステム構成図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における配信装置の構成図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における配信装置と受信装置のシーケンスチャートである。
【図6】本発明の第1の実施の形態における配信装置のフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施の形態におけるマルチキャストパケット化するビット列の構成例である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における受信装置の構成図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態における受信装置のフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施の形態におけるマルチキャストパケット化するビット列の構成例である。
【図11】ハイブリッド暗号化の方法である。
【図12】従来のマルチキャスト方法である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面と共に本発明の実施の形態を説明する。
【0030】
[第1の実施の形態]
図3は、本発明の第1の実施の形態におけるシステム構成を示す。
【0031】
同図に示すシステムは、配信者が用いる配信装置100と受信者が用いる受信者装置200とがマルチキャストネットワーク300を介して接続されている。
【0032】
図4は、本発明の第1の実施の形態における配信装置の構成を示す。
【0033】
<配信装置>
配信装置100は、データ分割部110、電子透かし挿入部120、分割データ暗号化部130、秘密情報生成部140、受信者秘密領域設定部150、マルチキャストパケット化部160、メモリ170から構成される。メモリ170は、電子透かし、受信者毎に一意の受信者番号、分割されるデータ毎に設定されている分割データの秘密鍵(D-key(nA)、D-key(nB))、受信者共通の特定ビット列(C-bit)と各受信者毎に異なる秘密鍵(R-key(k)(k=1,2,…,M;Mは全受信者数)等を格納する。
【0034】
データ分割部110は、入力されたデータをN個に分割する。
【0035】
電子透かし挿入部120は、分割されたデータn(n=1,2,…,N)にメモリ170から取得した電子透かしを埋め込む。
【0036】
分割データ暗号化部130は、メモリ170に格納されている分割データの秘密鍵(D-key(n))を用いて、電子透かし入り分割データnA、nBを暗号化する。当該分割データnAを暗号化する場合にはD-key(nA)を用い、当該分割データnBを暗号化する場合にはD-key(nB)を用いるものとする。暗号化された電子透かし入り分割データn,nをマルチキャストパケット化部160に渡すと共に、分割データn,nの暗号化に用いた分割データの秘密鍵(D-key(nA)またはD-key(nB))を秘密情報生成部140に渡す。
【0037】
秘密情報生成部140は、メモリ170の特定ビット列(C-bit)と分割データの秘密鍵(D-key(nA)またはD-key(nB))を組にし、メモリ170から分割データの復号を許可する受信者の秘密鍵(R-key(k))取得して暗号化し、透かしパターン対応の各受信者の暗号化されたRCD(k)を生成する。このようにして暗号化されたRCD(k)を受信者秘密領域設定部150に渡す。
【0038】
受信者秘密領域設定部150は、暗号化されたRCD(k)を受信者秘密領域に設定する。当該受信者秘密領域のRCD(k)以外の欄にはダミービットを設定する。但し、ダミービットは復号化時にC-bitの位置のビット並びがC-bitと等しくならないように設定する。当該受信者秘密領域とは、各受信者番号順に、RCD(k)、ダミービット、及び、受信者に配信したい暗号化された分割データn,nが設定される領域である。
【0039】
マルチキャストパケット化部160は、受信者秘密領域設定部150で生成された受信者秘密領域と暗号化された電子透かし入り分割データnA,nBの組をビット列に設定し、マルチキャストパケット化して、マルチキャストネットワーク300を介して受信装置200に送信する。
【0040】
図5は、本発明の一実施の形態における配信装置と受信装置のシーケンスチャートである。
【0041】
まず、事前処理として、配信装置100と受信装置200との間で、暗号情報通信部180を介して、各データのビット数の設定、受信者k毎に異なる受信者用の秘密鍵(R-key(k):k=1,2,…,M(Mは全受信者数))、共通鍵、受信者毎に一意の受信者番号、電子透かしが埋め込まれた分割データを暗号化するための分割データ用の秘密鍵(D-key(nA),D-key(nB))、受信者共通の特定ビット列(C-bit)等を、公開鍵暗号方式を用いて秘密裏に送受信する。本発明では、これらの設定は、配信装置100(サーバ側)から受信装置200へ配信するものとし、配信装置100側では、各データのビット数の設定、受信者毎に異なる秘密鍵(R-key(k))、共通鍵、受信者番号、分割データ用の秘密鍵(D-key(nA),D-key(nB))、受信者共通の特定ビット列(C-bit)の全てをメモリ170に格納しているものとする。また、受信装置200側では、各データのビット数の設定、受信者自身の秘密鍵(R-key(k))、共通鍵、受信者番号、受信者共通の特定ビット列(C-bit)をメモリ260に格納しているものとする。
【0042】
図6は、本発明の一実施の形態における配信装置の動作のフローチャートである。
【0043】
なお、本発明では、従来扱った受信装置200への送信データの受信者番号領域は用いない。
【0044】
まず、データ分割部110は、入力されたデータをN個に分割し、分割データn(n=1,2,…,N)を電子透かし挿入部120に渡す(ステップ101)。電子透かし挿入部120は、メモリ170から電子透かしA,Bを読み込んで、分割されたデータnに埋め込む(ステップ102)。
【0045】
次に、分割データ暗号化部130において、メモリ170から読み出した各受信者毎の分割データの秘密鍵(D-key(n))を用いて電子透かしが埋め込まれた分割データnを暗号化した暗号化分割データn,nをマルチキャストパケット化部160に渡し、暗号化に利用した分割データの秘密鍵(D-key(n))を秘密情報生成部140に渡す(ステップ103)。ここでは、暗号化された電子透かしAが埋め込まれた分割データをnAとし、暗号化された電子透かしBが埋め込まれた分割データをnBとする。また、分割データnAを暗号化した分割データの秘密鍵をD-key(nA)とし、分割データnBを暗号化した分割データの秘密鍵をD-key(nB)とする。
【0046】
秘密情報生成部140は、メモリ170からデータの復号を許可する各受信者の秘密鍵(R-key(k))を取得し、当該各受信者の秘密鍵(R-key(k))でメモリ170から取得した特定ビット列(C-bit)と復号を許可する方の電子透かしが埋め込まれた分割データの秘密鍵(D-key(nA)またはD-key(nB))の組をR-key(k)で暗号化し、RCD(k)として受信者秘密領域設定部150に渡す(ステップ104)。
【0047】
次に、受信者秘密領域設定部150は、秘密情報生成部140から取得した暗号化されたRCD(k)を、受信者の受信者番号の位置に対応させて受信者秘密領域に設定し、それ以外の受信者秘密領域内にはダミービットを設定し、当該受信者秘密領域をマルチキャストパケット化部160に渡す(ステップ105)。
【0048】
受信者秘密領域設定部150は、上記のRCD(k)を受信者秘密領域に設定する際に、例えば、図7に示すように、受信側の受信者の受信者番号順(図7の例では昇順)に設定する。当該透かし入り(AまたはB)分割データnの復号を許可しない受信者に対しては、当該受信者の受信者番号に対応する位置にダミーのビット列(例えば、ランダムなビット列)を設定する(図7の例では、「受信者2」「受信者3」「受信者Z」等)。このとき、ダミービットは復号化時にC-bitの位置のビット並び(C-bit')がC-bitと等しくならないようにする。
【0049】
マルチキャストパケット化部160は、受信者秘密領域設定部150から取得した受信者秘密領域と、分割データ暗号化部130から渡された暗号化された分割データn,nのビット列を、図7に示すように、マルチキャストパケット化し(ステップ106)、ネットワーク300を介して受信装置200に送出する。
【0050】
次に、受信装置200について説明する。
【0051】
図8に、本発明の第1の実施の形態における受信装置の構成を示す。
【0052】
同図に示す受信装置200は、データ取り出し部210、秘密鍵復号化部220、ビット列判定部230、分割データ復号化部240、データ復元部250、メモリ260、暗号情報通信部270から構成される。
【0053】
データ取り出し部210は、受信したマルチキャストパケットから暗号化された電子透かし入り分割データnと、暗号化されたビット列RCD(i) (i=1,2,…,M;Mは全受信者数)を内包する受信者秘密領域を抽出し、暗号化された電子透かし入り分割データ(n及びn)を分割データ復号化部240に渡し、受信者秘密領域(A及びB)を秘密鍵復号化部220に渡す。
【0054】
秘密鍵復号化部220は、メモリ260から受信者自身の秘密鍵(R-key(k) )を読み出して、データ取り出し部210から取得した受信者秘密領域(AまたはB)中のRCD(i)を復号し、復号化された分割データの秘密鍵(D-key(nA)またはD-key(nB))と特定ビット列の位置にあるビット列(C-bit')をビット列判定部230に渡す。
【0055】
ビット列判定部230は、メモリ260から各受信者の特定ビット列(C-bit)を読み出して、秘密鍵復号化部220から取得したビット列中の特定ビット列の位置にあるビット列(C-bit')と一致した場合、復号された分割データの秘密鍵(D-key(nA)またはD-key(nB))をデータ復元部240に渡す。
【0056】
分割データ復号化部240は、ビット列判定部230から取得した分割データの秘密鍵(D-key(nA)またはD-key(nB))で対応する電子透かし入り分割データ(nまたはnのいずれか)を復号化する。
【0057】
データ復元部240は、復号化されたN個の分割データを1つのデータに復元し、出力する。
【0058】
図9は、本発明の第1の実施の形態における受信装置のフローチャートである。
【0059】
まず、受信装置200のデータ取り出し部210は、図7に示すようなマルチキャストパケットを受信すると、当該パケットから暗号化された電子透かし入り分割データnと、暗号化されたビット列RCD(i) (i=1,2,…,M)を内包する受信者秘密領域を抽出する。電子透かし毎に抽出された暗号化された分割データを分割データ復号化部240に渡し、当該、受信者秘密領域を秘密鍵復号化部220に渡す(ステップ201)。
【0060】
秘密鍵復号化部220は、取得した受信者秘密領域中のRCD(i)をメモリ260に格納されている受信者自身の秘密鍵(R-key(k))で復号し、復号されたビット列中の分割データの秘密鍵(D-key(nA)またはD-key(nB))と復号されたビット列中の位置にあるビット列(C-bit')をビット列判定部230に渡す(ステップ202)。
【0061】
ビット列判定部230は、秘密鍵復号化部220から取得した復号化された特定ビット列(C-bit')とメモリ260に格納されている特定ビット列(C-bit)とを照合する(ステップ203)。一致していれば(ステップ204、Yes)、秘密鍵復号化部220で復号された分割データの秘密鍵(D-key(nA)またはD-key(nB))を分割データ復号化部240に渡す。一致していない場合、全てのRCD(i)内のC-bit'と照合しているか判断し(ステップ205)、もし、まだ、(ステップ205、No)であれば、次のRCD(i)と照合する処理に移る。全てのRCD(i)中のビット列C-bit'がC-bitと一致しなかった、即ち、ここでは、M回一致しなかった場合には、当該受信者に宛てたデータではないため、当該処理を終了する(ステップ205、Yes)。
【0062】
なお、各受信者番号に対応する受信者秘密領域内のRCD(i)の位置が決まっている場合には、それを利用して処理を簡素化することが可能である。例えば、受信者秘密領域内のRCD(i)が各受信者番号の昇順に並んでいる場合には、受信者用k用の秘密鍵D-key(n)は、受信者秘密領域内AまたはB内のRCD(k)に暗号化されているため、最大M回照合することなく、1回または2回で照合を終了することができる。
【0063】
分割データ復号化部240は、受信した暗号化された電子透かし入り分割データ(nまたはnのいずれか)を、復号された分割データ秘密鍵(D-key(nA)またはD-key(nB))を用いて復号し、データ復元部250に渡す(ステップ206)。上記のステップを受信したN個の分割データ分繰り返し、N個分全ての処理が終了すると、データ復元部250は、N個の分割データを1つのデータに復元して出力する。
【0064】
なお、上記のステップ205において、特定ビット列がない場合は、データ復元部250でデータを復元した後に、正常データか否かを判定する手段を用いて、当該データを確認することも可能である。
【0065】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、配信装置の受信者秘密領域設定部150において設定される受信者秘密領域に、RCD(k)を設定する際に、受信者番号順に並べていたが、本実施の形態では、受信者番号順ではなく、ランダムに配置する場合について説明する。配信装置の構成は第1の実施の形態と同様であるが、配信装置100における受信者秘密領域設定部150の処理が異なる。
【0066】
配信装置100の受信者秘密領域設定部150は、図10に示すように、メモリ170から取得した受信者番号kに対応する欄の位置をランダムに受信者秘密領域上に配置し、秘密情報生成部140から取得した当該受信者番号kに対応する暗号化されたビット列RCD(k)をその受信者秘密領域の受信者番号の欄に設定する。その他の処理は第1の実施の形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0067】
また、上記の例では、受信者秘密領域の受信者番号の位置を一度決定した順序で送信する例を示したが、この例に限定されることなく、配信装置100から分割データを送信する度に受信者番号の位置をランダムに組み替えてもよい。
【0068】
これにより、受信者番号が漏洩したとしても、透かし入り分割データn,nを暗号化した秘密鍵(D-key(nA),D-key(nB))を各受信者毎の秘密鍵(R-key(k) )で暗号化したビット列の記述位置は不明なため、第1の実施の形態に比べ、安全性を強化できる。
【0069】
[第3の実施の形態]
上記の第2の実施の形態では、透かし毎に、受信者秘密領域A、暗号化された透かしA入り分割データ、受信者秘密鍵B,暗号化された透かしB入り分割データの順にビット列を構成する例を示したが、受信者秘密領域を纏めて先にし、暗号化された透かし入り分割データを後ろに纏める構成、または、その逆の構成でもよい。
【0070】
また、上記の第1〜第3の実施の形態では、受信者共通の特定ビット列を用いる例を示したが、この例に限定されることなく、受信者個別の特定ビット列(例えば、キーワード)を用いるようにしてもよい。
【0071】
また、上記の第1〜第3の実施の形態で述べた配信装置及び受信装置の各構成要素の動作をプログラムとして構築し、配信装置及び受信装置として利用されるコンピュータにインストールして実行させる、または、ネットワークを介して流通させることが可能である。
【0072】
また、構築されたプログラムをハードディスクや、フレキシブルディスク・CD−ROM等の可搬記憶媒体に格納し、コンピュータにインストールする、または、配布することが可能である。
【0073】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において種々変更・応用が可能である。
【符号の説明】
【0074】
100 配信装置
110 データ分割手段、データ分割部
120 電子透かし挿入手段、電子透かし挿入部
130 分割データ暗号化手段、分割データ暗号化部
140 秘密情報生成手段、秘密情報生成部
150 受信者秘密領域設定手段、受信者秘密領域設定部
160 パケット生成手段、マルチキャストパケット化部
170 第1の記憶手段、メモリ
180 暗号情報通信部
200 配信装置
210 データ抽出手段、データ取り出し部
220 秘密鍵復号化手段、秘密鍵復号化部
230 ビット列判定手段、ビット列判定部
240 分割データ復号化手段、分割データ復号化部
250 データ復元手段、データ復元部
260 第2の記憶手段、メモリ
270 暗号情報通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツや電子ファイルを含むデータをマルチキャスト(多地点配信)していながらそれを漏洩した受信者を特定できるように配信するシステムにおいて、受信者を特定されないように受信者番号を隠蔽することが可能な配信システムであって、
1つの配信装置と複数の受信装置がマルチキャストネットワークを介して接続されているシステムにおいて、
前記配信装置は、
予め、復号を許可する受信者毎に一意の受信者番号、受信者毎に異なる秘密鍵(受信者k(k=1,2,…,M;Mは全受信者数)の秘密鍵をR-key(k)とする)、及び、受信者共通の特定ビット列(C-bit)を各受信装置との間で秘密裏に送信または受信する第1の秘密情報通信手段と、
配信データをN個に分割するデータ分割手段と、
データ分割手段で分割された分割データn(n=1,2,…N)に電子透かしを埋め込む電子透かし挿入手段と、
前記受信者番号、前記受信者毎の秘密鍵(R-key(k))、及び、前記受信者共通の特定ビット列(C-bit)と、電子透かしが埋め込まれた分割データnA,nBを暗号化するための分割データの秘密鍵(D-key(nA),D-key(nB))を格納する第1の記憶手段と、
前記第1の記憶手段から分割データの秘密鍵(D-key(nA),D-key(nB))を取得して、電子透かしが埋め込まれた分割データnA,nBを暗号化する分割データ暗号化手段と、
前記第1の記憶手段から復号を許可する受信者の秘密鍵(R-key(k))を取得して,前記特定ビット列(C-bit)と復号を許可する方の電子透かしが埋め込まれた分割データの秘密鍵(D-key(nA)またはD-key(nB))の組を暗号化して、ビット列RCD(k)を生成する秘密情報生成手段と、
前記秘密情報生成手段で暗号化された前記ビット列RCD(k)をそれぞれ受信者秘密領域に設定し、それ以外のところにはダミービット(但し、復号化時にC-bitの位置のビット並びがC-bitの位置と等しくならないようにする)を設定する受信者秘密領域設定手段と、
前記受信者秘密領域と前記分割データ暗号化手段で暗号化された分割データn,nをビット列に組み、マルチキャストパケット化して前記受信装置に送出するパケット生成手段と、を有し、
前記受信装置は、
予め、受信者毎に一意の受信者番号、受信者毎に異なる秘密鍵(R-key(k))、及び、受信者共通の特定ビット列(C-bit)を前記配信装置との間で秘密裏に受信または送信する第2の秘密情報通信手段と、
前記受信者番号、前記受信者自身の秘密鍵(R-key(k))、及び前記受信者共通の特定ビット列(C-bit)を格納する第2の記憶手段と、
前記マルチキャストネットワークを介して前記配信装置から前記マルチキャストパケットを受信すると、各分割データについて、前記受信者秘密領域と電子透かし毎の前記暗号化された分割データn,nを抽出するデータ抽出手段と、
前記受信者秘密領域に含まれる前記暗号化されたビット列RCD(i) を、前記第2の記憶手段の前記受信者自身の秘密鍵(R-key(k)')で復号する秘密情報復号化手段と、
復号化された特定ビット列の位置にあるビット列(C-bit')と前記第2の記憶手段に格納されている前記特定ビット列(C-bit)とを照合するビット列判定手段と、
前記ビット列判定手段で前記ビット列中の特定ビット列(C-bit)と一致した場合には、前記秘密情報復号化手段で復号された分割データの秘密鍵(D-key(n))を用いて、対応する暗号化されている分割データ(nまたはnのどちらか一方)を復号化する分割データ復号化手段と、
前記分割データ復号化手段で復号化されたN個の分割データを1つのデータに復元するデータ復元手段と、
を有することを特徴とする配信システム。
【請求項2】
コンテンツや電子ファイルを含むデータをマルチキャスト(多地点配信)していながらそれを漏洩した受信者を特定できるように配信するシステムにおいて、受信者を特定されないように受信者番号を隠蔽することが可能な配信・受信方法であって、
1つの配信装置と複数の受信装置がマルチキャストネットワークを介して接続されているシステムにおいて、
前記配信装置は、受信者毎に一意の受信者番号、受信者毎に異なる秘密鍵(受信者k(k=1,2,…,M;Mは全受信者数)の秘密鍵をR-key(k)とする)、及び、受信者共通の特定ビット列(C-bit)と、電子透かしが埋め込まれた分割データnA,nB(電子透かしが2種類の場合)を暗号化するための分割データの秘密鍵(D-key(nA),D-key(nB))を格納する第1の記憶手段を有し、
前記受信装置は、予め、前記受信装置から秘密裏に受信して取得した受信者自身の受信者番号、受信者自身の秘密鍵(R-key(k))、及び、受信者共通の特定ビット列(C-bit)を格納する第2の記憶手段を有し、
前記配信装置と前記受信装置は、予め、受信者毎に一意の受信者番号、受信者毎に異なる受信者k(k=1,2,…,M;Mは全受信者数)の秘密鍵(R-key(k))、及び、受信者共通の特定ビット列(C-bit)を送受信し、前記第1の記憶手段及び前記第2の記憶手段にそれぞれ格納しておき、
前記配信装置は、
配信データをN個に分割するデータ分割ステップと、
データ分割ステップで分割された分割データn(n=1,2,…,N)に電子透かしを埋め込む電子透かし挿入ステップと、
前記第1の記憶手段から分割データの秘密鍵(D-key(nA),D-key(nB))を取得して、電子透かしが埋め込まれた分割データnA,nBを暗号化する分割データ暗号化ステップと、
前記第1の記憶手段から復号を許可する受信者の秘密鍵(R-key(k))を取得して、前記特定ビット列(C-bit)と復号を許可する方の電子透かしが埋め込まれた分割データの秘密鍵(D-key(nA)またはD-key(nB))の組を暗号化して、ビット列RCD(k)を生成する秘密情報生成ステップと、
前記秘密情報生成ステップで生成された各受信者kの前記ビット列RCD(k)をそれぞれ受信者秘密領域に設定し、それ以外のところにはダミービット(但し、復号化時にC-bitの位置のビット並びがC-bitと等しくならないようにする)を設定する受信者秘密領域設定ステップと、
前記受信者秘密領域と前記分割データ暗号化ステップで暗号化された分割データn,nをビット列に組み、マルチキャストパケット化して前記受信装置に送出するパケット生成ステップと、
を行い、
前記受信装置は、
前記マルチキャストネットワークを介して前記配信装置から前記マルチキャストパケットを受信すると、各分割データについて前記受信者秘密領域と電子透かし毎に前記暗号化された分割データn,nを抽出するデータ抽出ステップと、
前記受信者秘密領域に含まれる前記暗号化されたビット列RCD(i) を、前記第2の記憶手段の前記受信者自身の秘密鍵(R-key(k))で復号する秘密情報復号化ステップと、
復号化されたビット列中の特定ビット列(C-bit')と前記第2の記憶手段に格納されている前記特定ビット列(C-bit)とを照合するビット列判定ステップと、
前記ビット列判定ステップで前記特定ビット列(C-bit)と一致した場合には、前記秘密情報復号化ステップで復号されたビット列中の分割データの秘密鍵(D-key(n))を用いて、対応する暗号化されている分割データ(nまたはnのどちらか一方)を復号するデータ復号化ステップと、
前記分割データ復号化手段で復号化されたN個の分割データを1つのデータに復元するデータ復元ステップと、
を行うことを特徴とする配信・受信方法。
【請求項3】
コンテンツや電子ファイルを含むデータをマルチキャスト(多地点配信)していながらそれを漏洩した受信者を特定できるように配信するシステムにおいて、受信者を特定されないように受信者番号を隠蔽することが可能な配信システムにおける配信装置であって、
予め、復号を許可する受信者毎に一意の受信者番号、受信者毎に異なる秘密鍵(受信者k(k=1,2,…,M;Mは全受信者数)の秘密鍵をR-key(k)とする)、及び、受信者共通の特定ビット列(C-bit)を各受信装置との間で秘密裏に送信または受信する第1の秘密情報通信手段と、
配信データをN個に分割するデータ分割手段と、
データ分割手段で分割された分割データn(n=1,2,…N)に電子透かしを埋め込む電子透かし挿入手段と、
前記受信者番号、前記受信者毎の秘密鍵(R-key(k))、及び、前記受信者共通の特定ビット列(C-bit)と、電子透かしが埋め込まれた分割データnA,nB(電子透かしが2種類の場合)を暗号化するための分割データの秘密鍵(D-key(nA),D-key(nB))を格納する第1の記憶手段と、
前記第1の記憶手段から分割データの秘密鍵(D-key(nA),D-key(nB))を取得して、電子透かしが埋め込まれた分割データnA,nBを暗号化する分割データ暗号化手段と、
前記第1の記憶手段から復号を許可する受信者の秘密鍵(R-key(k))を取得して,前記特定ビット列(C-bit)と復号を許可する方の電子透かしが埋め込まれた分割データの秘密鍵(D-key(nA)またはD-key(nB))の組を暗号化して、ビット列RCD(k)を生成する秘密情報生成手段と、
前記秘密情報生成手段で暗号化された前記ビット列RCD(k)をそれぞれ受信者秘密領域に設定し、それ以外のところにはダミービット(但し、復号化時にC-bitの位置のビット並びがC-bitの位置と等しくならないようにする)を設定する受信者秘密領域設定手段と、
前記受信者秘密領域と前記分割データ暗号化手段で暗号化された分割データn,nをビット列に組み、マルチキャストパケット化して前記受信装置に送出するパケット生成手段と、
を有することを特徴とする配信装置。
【請求項4】
前記受信者秘密領域は、
全て受信者分の領域が設定可能であるものとし、
前記受信者秘密領域設定手段は、
前記受信者秘密領域に前記受信者番号毎に、前記電子透かし入り分割データの復号化を許可する場合には、前記暗号化されたビット列RCD(k)を該受信者の受信者番号に対応する位置に設定し、該電子透かし入り分割データの復号化を許可しない場合にはダミーのビット列を該受信者の受信者番号に対応する位置に設定する手段を含む
請求項3記載の配信装置。
【請求項5】
前記受信者秘密領域設定手段は、
前記暗号化されたビット列RCD(k)、または、前記ダミーのビット列を、前記受信者秘密領域の受信者番号kに対応する欄の位置に順に設定する手段、
または、
前記暗号化されたビット列RCD(k)、または、前記ダミーのビット列を、前記受信者秘密領域の受信者番号kに対応する欄の位置には関係なくランダムに設定する手段、
のいずれかを含む請求項4記載の配信装置。
【請求項6】
前記受信者秘密領域設定手段は、
前記受信者秘密領域を纏めてビット列の先頭に設定し、前記暗号化された分割データを該受信者秘密領域の後ろ、またはその逆に設定する手段を含む
請求項3記載の配信装置。
【請求項7】
コンテンツや電子ファイルを含むデータをマルチキャスト(多地点配信)していながらそれを漏洩した受信者を特定できるように配信するシステムにおいて、受信者を特定されないように受信者番号を隠蔽することを可能にする配信先隠蔽システムにおける受信装置であって、
予め、受信者毎に一意の受信者番号、受信者毎に異なる秘密鍵(R-key(k))、及び、受信者共通の特定ビット列(C-bit)を前記配信装置との間で秘密裏に受信または送信する第2の秘密情報通信手段と、
前記受信者番号、前記受信者自身の秘密鍵(R-key(k))、及び前記受信者共通の特定ビット列(C-bit)を格納する第2の記憶手段と、
前記マルチキャストネットワークを介して前記配信装置から前記マルチキャストパケットを受信すると、各分割データについて、前記受信者秘密領域と電子透かし毎に前記暗号化された分割データn,nを抽出するデータ抽出手段と、
前記受信者秘密領域に含まれる前記暗号化されたビット列RCD(i) を、前記第2の記憶手段の前記受信者自身の秘密鍵(R-key(k)')で復号する秘密情報復号化手段と、
復号化された特定ビット列の位置にあるビット列(C-bit')と前記第2の記憶手段に格納されている前記特定ビット列(C-bit)とを照合するビット列判定手段と、
前記ビット列判定手段で前記ビット列中の特定ビット列(C-bit)と一致した場合には、前記秘密情報復号化手段で復号された分割データの秘密鍵(D-key(n))を用いて、対応する暗号化されている分割データ(nまたはnのどちらか一方)を復号化する分割データ復号化手段と、
前記分割データ復号化手段で復号化されたN個の分割データを1つのデータに復元するデータ復元手段と、
を有することを特徴とする受信装置。
【請求項8】
前記秘密鍵復号化手段は、
前記受信者秘密領域の受信者自身の受信者番号に対応する位置から、前記暗号化されたビット列RCD(i)を取得して、前記受信者の秘密鍵(R-key(k))で復号し、特定ビット列(C−bit')と分割データの秘密鍵(D-key(n))を得る手段を含む
請求項7記載の受信装置。
【請求項9】
前記秘密鍵復号化手段は、
前記受信者秘密領域に設定されている前記暗号化されたビット列RCD(i)を前記受信者の秘密鍵(R-key(k))で復号し、該ビット列中の特定ビット列の位置にあるビット並び(C-bit')を前記記憶手段に格納されている特定ビット列(C-bit)と照合し、一致する場合には、該受信者秘密領域に設定されているビット列RCD(i)中の前記分割データを復号するの秘密鍵(D-key(n))を得る手段を含む
請求項7記載の受信装置。
【請求項10】
請求項3乃至6のいずれか1項に記載の配信装置を構成する各手段としてコンピュータを機能させるための配信プログラム。
【請求項11】
請求項7乃至9のいずれか1項に記載の受信装置を構成する各手段としてコンピュータを機能させるための受信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−166709(P2011−166709A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30744(P2010−30744)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】