説明

配列ポリマーを含む耐移行性化粧品組成物

本発明は、化粧品として許容できる少なくとも1種の有機液体媒体および、少なくとも1種の皮膜形成性直鎖状配列エチレン系ポリマーを含む化粧品組成物であって、前記ポリマーが組成物中に十分な量で存在する場合、前記組成物が35%以下の移行を有する堆積を形成することができる化粧品組成物に関する。本発明は、メークアップおよびケラチン物質、すなわち皮膚および唇のケアに使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトのケラチン物質、例えば皮膚、唇、睫毛、眉毛、爪および毛髪への適用が意図されている特定のブロックポリマーを含む化粧品組成物に関する。組成物は、より具体的には、皮膚または唇への適用が意図されている。
【0002】
本発明の組成物は、ケラチン物質、具体的には皮膚および唇のためのメークアップ組成物またはケア組成物、好ましくはメークアップ組成物とすることができる。
【0003】
メークアップ組成物は、リップ用メークアップ製品(リップスティック)、ファンデーション、アイシャドウ、メークアップルージュ、コンシーラー製品、アイライナー、ボディメークアップ製品、マスカラ、ネイルエナメルまたはヘアメークアップ製品であってよい。
【0004】
ケア組成物は、ボディおよびフェイシャルスキンケア製品、特に日焼け防止製品またはスキンカラーリング製品(セルフタンニング製品など)であってよい。組成物はまた、ヘアケア製品、特にヘアスタイルの維持または毛髪の整髪のためのものであってよい。
【背景技術】
【0005】
リップスティックおよびファンデーション組成物は通常、唇または皮膚、特に顔に審美的色彩を与えるために使用される。これらメークアップ製品は、一般にワックスおよび油、顔料および/または充填剤ならびに任意選択で添加物、例えば化粧用のまたは皮膚科学的活性物質を含む。
【0006】
皮膚に適用されたときにこれらの組成物は、移行、すなわち、接触しうるある種の支持体および特にグラス、カップ、タバコ、衣類または皮膚に、少なくとも部分的に沈着を起こし、痕跡を残すという欠点を有する。このことは、適用した皮膜の持続性を平凡なものにし、ファンデーションまたはリップスティック組成物を定期的に適用し直さざるを得なくする。さらに、これらの許容し難い痕跡が特にブラウスの襟に現れると、この種のメークアップの使用を敬遠する女性も出てくる。
【0007】
したがって、接触しうるある種の支持体(グラス、カップ、タバコまた布地)に少なくとも部分的に沈着を起こすことがない堆積を形成するという利点を有する、「耐移行性の」唇または皮膚のメークアップ組成物が求められている。
【0008】
化粧品組成物の移行を制限するために、揮発油を、特に40重量%を超える含有量で使用することは既知の慣習である。これらの揮発油が大量に存在すると、メークアップ製品、特にリップスティックを使用者にとって不快なものにする。すなわち、メークアップの堆積がかさかさ感およびつっぱり感を引き起こす。
【0009】
耐移行性のメークアップ結果を得る目的で、唇の上で一方が他方の上に適用される2つの別個の組成物形態の製品もまた知られている。例えば、Max Factor社のLip Finityは、2-コート製品であり、シリコーン樹脂および揮発油を含む(ベースコートとして知られる)ベース組成物、ならびに耐移行性のメークアップ製品の快適さを改善するために(特許出願WO 97/17057に記述されているように)ショ糖エステルを含む(トップコートとして知られる)表面組成物である。しかし、顔をメークアップするために2つの組成物を適用しなければならないことは、ある種の使用者にとっては許容し難い可能性がある。
【特許文献1】特許出願WO 97/17057
【特許文献2】特許US 4 887 622
【特許文献3】特許FR 2 796 529
【特許文献4】特許FR 2 722 380
【特許文献5】特許US 5 492 426
【特許文献6】特許FR 2 761 959
【特許文献7】特許出願WO 01/03538
【特許文献8】特許FR 2 806 273
【特許文献9】特許FR 2 775 566
【特許文献10】特許FR 2 727 609
【特許文献11】特許出願WO 03/018423
【特許文献12】特許FR 2 791 042
【特許文献13】特許FR 2 792 618
【非特許文献1】Polymer Handbook、3rd Edition、1989、John Wiley
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、化粧品組成物、特にメークアップ組成物の処方に関する新規手段であって、良好な耐移行特性を有する堆積を得ることを可能にし、特に多量の揮発油を使用することなく、前記堆積がこの組成物のみにより得られることを提供することである。
【0011】
本発明の目的はまた、唇または皮膚上に快適な堆積を得ることを可能にする化粧品組成物、特にメークアップ組成物を提供することでもある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、後述のように特定のブロックポリマーを使用することにより、このような組成物を得ることが可能であることを見出した。この組成物は、良好な耐移行特性を有する、堆積、特にケラチン物質、具体的には皮膚または唇でのメークアップ結果を得ることを可能にする。さらに、皮膚または唇上に得られる堆積は、使用者にいかなるかさかさ感またはつっぱり感をももたらすことがない。したがって堆積は快適である。
【0013】
したがって本発明の主題の1つは、より具体的には、後述のように化粧品として許容できる少なくとも1種の有機液体媒体および、少なくとも1種の皮膜形成性直鎖状ブロックエチレン系ポリマーを含む化粧品組成物、特に後述のような組成物である。
【0014】
有利には、本発明の組成物の第一の実施形態に基づき、皮膜形成性直鎖状ブロックエチレン系ポリマーは、スチレンを含まず、かつ組成物中に十分な量で存在する場合、前記組成物が35%以下の移行を有する堆積を形成することができる。
【0015】
有利には、本発明の組成物の第二の実施形態に基づき、皮膜形成性直鎖状ブロックエチレン系ポリマーは、非エラストマー性であり、かつ組成物中に十分な量で存在する場合、前記組成物が35%以下の移行を有する堆積を形成することができる。
【0016】
有利には、本発明の組成物は、35%以下、好ましくは30%以下、好ましくは25%以下、好ましくは20%以下、好ましくは15%以下、好ましくは10%以下、好ましくは5%以下の移行を有する堆積を形成することができる。
【0017】
本発明の主題の1つはまた、ケラチン物質、具体的には皮膚または唇に対する上記組成物の適用を含む、ケラチン物質、具体的には皮膚または唇をメークアップまたはケアするための非治療的美容処理方法でもある。
【0018】
本発明の主題の1つはまた、ケラチン物質、具体的には皮膚または唇の上に耐移行性の堆積、特に耐移行性のメークアップ結果を得るための、上記組成物の使用でもある。
【0019】
本発明の主題の1つはまた、ケラチン物質、具体的には皮膚または唇の上に耐移行性の堆積、特に耐移行性のメークアップ結果を得るための、化粧品として許容できる有機液体媒体を含む化粧品組成物における上記ブロックポリマーの使用でもある。
【0020】
本発明の組成物によって得られる堆積の移行は、後述のプロトコールに基づき決定される。
【0021】
面のうちの1つに接着され、33kg/m3の密度を有するポリエチレンフォームの支持体(40mm×70mmおよび厚さ3mmの長方形)(RE40X70EP3の名称でJoint Technique Lyonnais Ind社により販売されている)を、支持体の表面を33℃±1℃の温度に維持するために40℃の温度に維持したホットプレート上で予熱する。
【0022】
支持体をホットプレート上に置いたままで、組成物を、細いブラシを用いて、支持体の非接着面全てを覆うように塗布し、約15μmの組成物の堆積を得る。次いで、支持体を30分間放置して、乾燥させる。
【0023】
乾燥後、支持体をその接着面で、直径20mmでスクリューピッチ付きのアンビルに結合する。次いで直径18mmの穿孔器を用いて、支持体/堆積アセンブリを細かく切断する。次いでアンビルを引張り試験機(Someco社のStatif Manuel Imada SV-2)付きのプレス機(Someco社のImada DPS-20)にねじで取り付ける。
【0024】
80g/m2の白色コピー用紙をプレス機のベッドに置き、次いで支持体/堆積アセンブリを2.5kgの圧力で30秒間紙に押し付ける。支持体/堆積アセンブリを取り除いた後、堆積の一部が紙の上に移行している。次いで、紙の上に移行した堆積の色を、Minolta CR300色彩計を用いて測定し、色は色彩パラメータL*、a*、b*により特徴付けられる。使用された普通紙の色の色彩パラメータL*0、a*0、b*0を決定する。
【0025】
次いで、移行した堆積の色と普通紙の色との色彩の違いΔE1を以下の関係を用いて決定する。
【0026】
【数1】

【0027】
さらに、室温で、約15μmの組成物の堆積を得るために、組成物を細いブラシを用いて塗り広げることによって、先に使用したものと同一の紙の上に組成物を直接塗布することにより、全移行対照を作成し、次いで、堆積を室温(25℃)で30分間放置して、乾燥させる。乾燥後、全移行の対照色に相当する、紙の上に置かれた堆積の色の色彩パラメータL*'、a*'、b*'を直接測定する。使用した普通紙の色彩パラメータL*'0、a*'0、b*'0を決定する。
【0028】
全移行の対照色と普通紙の色との色彩の違いΔE2を以下の関係を用いて決定する。
【0029】
【数2】

【0030】
パーセンテージで表した組成物の移行は比率、
100×ΔE1/ΔE2
に等しい。
【0031】
測定は、4個の支持体について連続して実施し、移行値は4個の支持体から得られた4個の測定値の平均に相当する。
【0032】
用語「有機液体」は、室温で液体であるあらゆる非水性製品を意味する。
【0033】
用語「化粧品として許容できる有機液体媒体」は、室温(25℃)、大気圧(10 Pa)で液体である少なくとも1種の有機化合物を含む媒体で、化粧品組成物に通常使用される有機溶媒および油など、ケラチン物質、特に皮膚または唇と適合する媒体を意味する。
【0034】
本発明の組成物は、スチレンを含まない皮膜形成性直鎖状ブロックエチレン系ブロックポリマーを含んでよい。
【0035】
用語「スチレンを含まないポリマー」は、スチレンまたはスチレン誘導体、例えばメチルスチレン、クロロスチレンまたはクロロメチルスチレンなどのスチレンモノマーを10%未満、好ましくは5%未満、好ましくは2%未満、より好ましくは1%未満含む、あるいは全く含まないことをも意味する。
【0036】
1つの実施形態に基づき、本発明の組成物のブロックポリマーは、脂肪族エチレン系モノマーに由来する。用語「脂肪族モノマー」は、芳香族基を含まないモノマーを意味する。
【0037】
用語「エチレン系ポリマー」は、エチレン性不飽和を含むモノマーの重合により得られるポリマーを意味する。
【0038】
用語「ブロックポリマー」は、少なくとも2種の異なるブロックおよび好ましくは少なくとも3種の異なったブロックを含むポリマーを意味する。
【0039】
ポリマーは、直鎖状構造のポリマーである。対照的に、非直鎖状構造のポリマーは、例えば、分枝構造、星型またはグラフト形態のポリマーなどである。
【0040】
用語「皮膜形成性ポリマー」は、それ自体でまたは皮膜形成助剤の存在下で、支持体、特にケラチン物質、に接着する連続性皮膜を形成することができるポリマーを意味する。
【0041】
優先的には、本発明の組成物に使用されるポリマーは、その骨格中にケイ素原子を含まない。用語「骨格」は、ペンダント側鎖ではなく、ポリマーの主鎖を意味する。
【0042】
有利には、前記ブロックポリマーは、異なるガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも1つの第1ブロックおよび第2ブロックを含み、前記第1ブロックおよび第2ブロックは少なくとも1つの第1ブロックの構成モノマーおよび少なくとも1つの第2ブロックの構成モノマーを含む中間ブロックを介して結合されている。
【0043】
用語「少なくとも1つのブロック」は、1つまたは複数のブロックを意味する。
【0044】
前述および後述の本文において、用語「第1ブロック」および「第2ブロック」は、いかなる形にせよ、ポリマー構造中での前記ブロックの順序を条件付けるものではない。
【0045】
好ましくは、前記ブロックポリマーの第1および第2ブロックは、互いに相容しない。
【0046】
用語「互いに相容しないブロック」は、第1ブロックに相当するポリマーからおよび第2ブロックに相当するポリマーから形成される混合物は、室温(25℃)および大気圧(10 Pa)で、混合物の全重量(ポリマーおよび溶媒)に対して5重量%以上であるポリマー混合物含有量に対して、組成物の有機液体媒体の重量の大部分を占める有機液体中で混和しないことを意味する。このことは、
i)前記ポリマーは、それぞれの重量比が10/90から90/10の範囲である含有量で混合物中に存在し、かつ
ii)第1および第2ブロッに相当する各ポリマーは、ブロックポリマーの平均(重量平均または数平均)分子量の±15%に等しい平均(重量平均または数平均)分子量を有する、
と理解される。
【0047】
有機液体媒体が有機液体の混合物を含み、かつ2種以上の有機液体が同一の質量比で存在しなければならない場合、前記ポリマー混合物は、それらの少なくとも1種と混和しない。
【0048】
言うまでもなく、有機液体媒体が、1種の有機液体のみを含む場合、この液体は大部分を占める有機液体である
【0049】
有利には、組成物の大部分を占める有機液体は、ブロックポリマーの重合のための有機溶媒またはブロックポリマーの重合のための有機溶媒の混合物である。
【0050】
好ましくは、本発明の組成物に使用されるブロックポリマーは、水溶性でなく、すなわちポリマーは、少なくとも1重量%の活性物質含有量で、pHの変更を伴わずに、室温(25℃)で、水に不溶あるいは水および2から5個の炭素原子を含む直鎖または分枝状低級モノアルコール、例えばエタノール、イソプロパノールまたはn-プロパノールの混合物に不溶である。
【0051】
好ましくは、本発明の組成物に使用されるブロックポリマーは、エラストマーでない。
【0052】
用語「非エラストマー性ポリマー」は、それを引張る(例えば初期長に比べて30%)意図の拘束を受けたときに、拘束が止んでもその初期長と実質的に同一の長さに戻ることがないポリマーを意味する。
【0053】
より具体的には、用語「非エラストマー性ポリマー」は、30%の伸張を受けた後に瞬時回復Ri < 50%および遅延回復R2h < 70%を有するポリマーを意味する。好ましくは、R1は30%未満であり、R2hは50%未満である。
【0054】
より具体的には、ポリマーの非エラストマー的性質は、以下のプロトコールに基づき決定される。
【0055】
ポリマーの溶液をテフロン(登録商標)コートされた型に注入し、それに引き続き23±5℃および50±10%の相対湿度に調整された環境下で乾燥させることにより、ポリマー皮膜を調製する。
【0056】
このように厚さ約100μmのポリマー皮膜が得られ、そこから(例えば穿孔器を用いて)幅15mmで、長さ80mmの長方形の標本を切断する。
【0057】
この試料に、乾燥と同一の温度および湿度条件下で、参照名Zwickとして販売されている機械を用いて引張り応力を与える。
【0058】
標本は、50mm/分の速度で引張り、かつ留め具の間の距離は50mmであり、これは標本の初期長(l0)に相当する。
【0059】
瞬時回復Riは、以下の方法で決定する。
標本を30%(εmax)、すなわちその初期長(l0)の約0.3倍、引張り、
引張り速度に等しい回復速度、すなわち50mm/分を適用することにより、拘束を解除し、拘束ゼロ(εi)に戻した後に、標本の残存伸張をパーセンテージで測定する。
【0060】
瞬時回復(Ri)のパーセンテージは、以下の式で与えられる。
Ri = (εmaxi) / εmax)×100
【0061】
遅延回復を決定するために、標本の残存伸張パーセンテージ(ε2h)を測定する。
【0062】
遅延回復(R2h) のパーセンテージは、以下の式で与えられる。
R2h = (εmax2h) / εmax)×100
【0063】
純粋に1つの目安として、本発明の1つの実施形態に基づくポリマーは、10%の瞬時回復Riおよび30%の遅延回復R2hを有する。
【0064】
有利には、本発明の組成物に使用されるブロックポリマーは、2を超える多分散指数Iを有する。
【0065】
中間ブロックは、少なくとも1つの第1ブロックの構成モノマーおよび少なくとも1つの第2ブロックの構成モノマーを含み、これらのブロックが「相容する」ことを可能にする。
【0066】
ポリマーの多分散指数Iは、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比率に等しい。
【0067】
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透液体クロマトグラフィ(THF溶媒、直鎖ポリスチレン標準品により作成した検量線、屈折率検出器)により決定する。
【0068】
本発明の組成物に使用されるブロックポリマーの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは300,000以下であり、例えば、35,000から200,000、よりよくは45,000から150,000の範囲である。
【0069】
本発明の組成物に使用されるブロックポリマーの数平均分子量(Mn)は、好ましくは70,000以下であり、例えば、10,000から60,000、よりよくは12,000から50,000の範囲である。
【0070】
本発明の組成物に使用されるブロックポリマーの多分散指数は、有利には2を超える、例えば、2より多くかつ9以下、好ましくは2.5以上、例えば2.5から8の範囲、よりよくは2.8以上、特に2.8から6である。
【0071】
本発明の組成物に使用されるポリマーの各ブロックは、1種類のモノマーまたはいくつかの異なる種類のモノマーに由来する。
【0072】
このことは、各ブロックがホモポリマーまたはコポリマーからなってよいことを意味し、ブロックを構成するこのコポリマーは、順次に、ランダムまたは交互であってよい。
【0073】
有利には、少なくとも1つの第1ブロックの構成モノマーおよび少なくとも1つの第2ブロックの構成モノマーを含む中間ブロックは、ランダムポリマーである。
【0074】
好ましくは、中間ブロックは実質上、第1ブロックおよび第2ブロックの構成モノマーに由来する。
【0075】
用語「実質上」は、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、よりよくは95%、さらによりよくは100%を意味する。
【0076】
有利には、中間ブロックは、第1および第2ブロックのガラス転移温度の間にあるガラス転移温度Tgを有する。
【0077】
第1および第2ブロックに関して示されるガラス転移温度は、各ブロックの構成モノマーの理論的Tg値から決定される理論的Tg値であってよく、Foxの法則として知られる。下記の関係に基づき、Polymer Handbook、3rd Edition、1989、John Wileyなどの参照マニュアルに見ることができる。
【0078】
【数3】

【0079】
ωiは対象としているブロック中のモノマーiの質量分率であり、Tgiはモノマーiのホモポリマーのガラス転移温度である。
【0080】
別に指示がない限り、本特許出願における第1および第2ブロックに関して示されるTg値は理論的Tg値である。
【0081】
有利には、ポリマーの第1および第2ブロックは、第1および第2ブロック間でのガラス転移温度(Tg)の差が、一般に10℃を超える、好ましくは20℃を超える、よりよくは30℃を超える第1および第2ブロックである。
【0082】
具体的には、第1ブロックは、
a)40℃以上のTgを有するブロック、
b)20℃以下のTgを有するブロック、
c)20と40℃の間のTgを有するブロック、
から選択されてよくかつ、
第2ブロックが、第1ブロックとは異なるカテゴリーa)、b)またはc)から選択されることができる。
【0083】
本発明において、「・・・と・・・の間」は、言及される限界が除外される値の範囲を意味するよう意図されており、かつ「・・・から・・・まで」および「・・・から・・・までの範囲」は、限界が含まれる値の範囲を意味するよう意図されている。
【0084】
a)40℃以上のTgを有するブロック
40℃以上のTgを有するブロックは、例えば、40から150℃の範囲、好ましくは50℃以上、例えば50℃から120℃の範囲、よりよくは60℃以上、例えば60℃から120℃の範囲のTgを有する。
【0085】
40℃以上のTgを有するブロックは、ホモポリマーまたはコポリマーであってよい。
【0086】
このブロックがホモポリマーである場合、ブロックはホモポリマーが40℃以上のガラス転移温度を有するモノマーに由来する。
【0087】
この第1ブロックがコポリマーである場合、ブロックは全体的または部分的に、その性質および濃度が、生成するコポリマーのTgが40℃以上になるように選択される1つまたは複数のモノマーに由来してよい。コポリマーは、例えば、後述のように、
ホモポリマーが40℃以上のTg、例えば40から150℃の範囲、好ましくは50℃以上、例えば50℃から120℃の範囲、よりよくは60℃以上、例えば60℃から120℃の範囲のTgを有するモノマー、ならびに
ホモポリマーが20と40℃の間のTgを有するモノマーおよび/またはホモポリマーが20℃以下のTg、例えば-100から20℃の範囲、好ましくは15℃以下、特に-80℃から15℃の範囲、およびよりよくは10℃以下、例えば-50℃から0℃の範囲のTgを有するモノマーから選択される、ホモポリマーが40℃以下のTgを有するモノマー、
を含んでよい。
【0088】
ホモポリマーが40℃以上のTgを有するモノマーは、好ましくは、
主要モノマーとしても知られている以下のモノマー、
式CH2=C(CH3)-COOR1のメタクリレート
(式中、R1は、メチル、エチル、プロピルまたはイソブチル基など、1から4個の炭素原子を含む直鎖または分枝状非置換アルキル基を表すか、あるいはR1は、C4からC12のシクロアルキル基を表す)、
式CH2=CH-COOR2のアクリレート
(式中、R2は、イソボルニル基またはtert-ブチル基など、C4からC12のシクロアルキル基を表す)、
以下の式の(メタ)アクリルアミド
【0089】
【化1】

【0090】
(式中、R7およびR8は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、またはn-ブチル、t-ブチル、イソプロピル、イソヘキシル、イソオクチルまたはイソノニル基など、直鎖または分枝状のC1からC12のアルキル基を表すか、あるいはR7は、Hを表し、かつR8は、1,1-ジメチル-3-オキソブチル基を表し、かつR'は、Hまたはメチルを示す)、
から選択される。挙げられるモノマーの例は、N-ブチルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミドおよびN,N-ジブチルアクリルアミド、ならびにこれらの混合物を含む。
【0091】
特に好ましい主要モノマーは、メチルメタクリレート、イソブチル(メタ)アクリレートおよびイソボルニル(メタ)アクリレート、ならびにこれらの混合物である。
【0092】
b)20℃以下のTgを有するブロック
20℃以下のTgを有するブロックは、例えば、-100から20℃の範囲、好ましくは15℃以下、特に-80℃から15℃の範囲、およびよりよくは10℃以下、例えば-50℃から0℃の範囲のTgを有する。
【0093】
20℃以下のTgを有するブロックは、ホモポリマーまたはコポリマーであってよい。
【0094】
このブロックがホモポリマーである場合、ブロックはこれらのモノマーから調製されるホモポリマーが20℃以下のガラス転移温度を有するモノマーに由来する。この第2ブロックは、(対応するホモポリマーのTgが20℃以下である)1種類のモノマーのみからなるホモポリマーであってよい。
【0095】
20℃以下のTgを有するブロックがコポリマーである場合、ブロックは全体的または部分的に、その性質および濃度が、生成するコポリマーのTgが20℃以下になるように選択される1つまたは複数のモノマーに由来してよい。
【0096】
ポリマーは、例えば、前述のように、
相当するホモポリマーが20℃以下のTg、例えば-100℃から20℃の範囲、好ましくは15℃以下、特に-80℃から15℃の範囲、およびよりよくは10℃以下、例えば-50℃から0℃の範囲のTgを有する1つまたは複数のモノマー、ならびに
40℃以上のTg、例えば40から150℃の範囲、好ましくは50℃以上、例えば50℃から120℃の範囲、よりよくは60℃以上、例えば60℃から120℃の範囲のTgを有するモノマーおよび/または、20と40℃の間のTgを有するモノマーなど、相当するホモポリマーが20℃以上のTgを有する1つまたは複数のモノマー、
を含んでよい。
【0097】
好ましくは、20℃以下のTgを有するブロックは、ホモポリマーである。
【0098】
ホモポリマーが20℃以下のTgを有するモノマーは、好ましくは、以下のモノマー、または主要モノマー、
式CH2=CHCOOR3のアクリレート、
R3は、O、NおよびSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子が任意選択で挿入される、tert-ブチル基を除く、直鎖または分枝状のC1からC12の非置換アルキル基を表す、
式CH2=C(CH3)-COOR4のメタクリレート、
式中、R4は、O、NおよびSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子が任意選択で挿入される、直鎖または分枝状のC6からC12の非置換アルキル基を表す、
式R5-CO-O-CH=CH2のビニルエステル、
式中、R5は、直鎖または分枝状のC4からC12のアルキル基を表す、
ビニルアルコールおよびC4からC12のアルコールのエーテル、
N-オクチルアクリルアミドなどのN-(C4〜C12)アルキルアクリルアミド、
ならびにこれらの混合物、
から選択される。
【0099】
20℃以下のTgを有するブロックに特に好ましい主要モノマーは、メチルアクリレート、イソブチルアクリレートおよび2-エチルヘキシルアクリレート、ならびにこれらの混合物などの、アルキル鎖が1から10個の炭素原子を含む、tert-ブチル基を除く、アルキルアクリレートである。
【0100】
c)20と40℃の間のTgを有するブロック
20と40℃の間のTgを有するブロックは、ホモポリマーまたはコポリマーであってよい。
【0101】
このブロックが、ホモポリマーである場合、ブロックはホモポリマーが20と40℃の間のガラス転移温度を有するモノマー(または主要モノマー)に由来する。
【0102】
ホモポリマーが20と40℃の間のガラス転移温度を有するモノマーは、好ましくはn-ブチルメタクリレート、シクロデシルアクリレート、ネオペンチルアクリレートおよびイソデシルアクリルアミド、ならびにこれらの混合物から選択される。
【0103】
20と40℃の間のTgを有するブロックがコポリマーである場合、ブロックは全体的または部分的に、その性質および濃度が、生成するコポリマーのTgが20と40℃の間になるように選択される1つまたは複数のモノマー(または主要モノマー)に由来する。
【0104】
有利には、20と40℃の間のTgを有するブロックは、全体的または部分的に、
前述のように、相当するホモポリマーが40℃以上のTg、例えば40℃から150℃の範囲、好ましくは50℃以上、例えば50から120℃の範囲、よりよくは60℃以上、例えば60℃から120℃の範囲のTgを有する主要モノマー、および
前述のように、相当するホモポリマーが20℃以下のTg、例えば-100℃から20℃の範囲、好ましくは15℃以下、特に-80℃から15℃の範囲、よりよくは10℃以下、例えば-50℃から0℃の範囲のTgを有する主要モノマーで、前記モノマーが第1ブロックを形成するコポリマーのTgが20と40℃の間になるよう選択されているモノマー、
に由来するコポリマーである。
【0105】
このような主要モノマーは、例えば、メチルメタクリレート、イソボルニルアクリレートおよびメタクリレート、ブチルアクリレートおよび2-エチルヘキシルアクリレート、ならびにこれらの混合物から選択される。
【0106】
好ましくは、20℃以下のTgを有する第2ブロックの割合は、ポリマーの10重量%から85重量%、よりよくは20重量%から70重量%、さらによりよくは20重量%から50重量%の範囲である。
【0107】
好ましくは、本発明の組成物に使用されるポリマーは、スチレンまたはスチレン誘導体、例えばメチルスチレン、クロロスチレンまたはクロロメチルスチレンなどのスチレンモノマーを含まない。
【0108】
しかし、各ブロックは他のブロックの少なくとも1種の構成モノマーを低い割合で含んでよい。
【0109】
したがって、第1ブロックは、第2ブロックの少なくとも1種の構成モノマーを含んでよく、逆の場合も同様である。
【0110】
第1および/または第2ブロックはそれぞれ、上に記述したモノマーに加え、上記の主要モノマーとは異なる、追加的モノマーとして知られている1つまたは複数の他のモノマーを含んでよい。
【0111】
このまたはこれらの追加的モノマーの性質および量は、これらが存在するブロックが所望のガラス転移温度を有するように選択される。
【0112】
この追加的モノマーは、例えば、
a)親水性モノマー、例えば、
少なくとも1つのカルボンまたはスルホン酸官能基を含むエチレン性不飽和モノマー、例えば、
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、ビニル安息香酸、ビニルリン酸およびこれらの塩、
少なくとも1つの第3級アミン官能基を含むエチレン性不飽和モノマー、例えば、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートおよびジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ならびにこれらの塩、
式CH2=C(CH3)-COOR6のメタクリレート
(式中、R6は、メチル、エチル、プロピルまたはイソブチル基など、1から4個の炭素原子を含む直鎖または分枝状のアルキル基を表し、前記アルキル基は、トリフルオロエチルメタクリレートなど、ヒドロキシル基(例えば2-ヒドロキシプロピルメタクリレートおよび2-ヒドロキシエチルメタクリレート)およびハロゲン原子(Cl、Br、IまたはF)から選択される1つまたは複数の置換基により置換されている)、
式CH2=C(CH3)-COOR9のメタクリレート
(式中、R9はO、NおよびSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子が任意選択で挿入される、直鎖または分枝状のC6からC12のアルキル基を表し、前記アルキル基はヒドロキシル基およびハロゲン原子(Cl、Br、IまたはF)から選択される1つまたは複数の置換基により置換されている)、
式CH2=CHCOOR10のアクリレート
(式中R10は、2-ヒドロキシプロピルアクリレートおよび2-ヒドロキシエチルアクリレートなど、ヒドロキシル基およびハロゲン原子(Cl、Br、IまたはF)から選択される1つまたは複数の置換基により置換されている直鎖または分枝状のC1からC12のアルキル基を表し、あるいは、R10は、5から30回のオキシエチレン単位の繰り返しを有するC1からC12のアルキル-O-POE(ポリオキシエチレン)、例えばメトキシ-POE、を表し、あるいはR10は、5から30個の酸化エチレン単位を含むポリオキシエチレン化された基を表す)、
b)メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランおよびメタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランなど、1つまたは複数のケイ素原子を含むエチレン性不飽和を含むモノマー、
およびこれらの混合物
から選択される。
【0113】
特に好ましい追加的モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸およびトリフルオロエチルメタクリレート、ならびにこれらの混合物である。
【0114】
1つの好ましい実施形態に基づき、本発明の組成物に使用されるポリマーは、非シリコーン系ポリマー、すなわちケイ素原子を含まないポリマーである。
【0115】
このまたはこれらの追加的モノマーは、一般に、第1および/または第2ブロックの全重量に対して、30重量%以下、例えば1重量%から30重量%、好ましくは5重量%から20重量%、より好ましくは7重量%から15重量%の量に相当する。
【0116】
好ましくは、第1および第2ブロックはそれぞれ、上に定義したように、(メタ)アクリル酸エステルから選択される少なくとも1種のモノマー、および任意選択で(メタ)アクリル酸から選択される1種のモノマー、ならびにこれらの混合物を含む。
【0117】
有利には、第1および第2ブロックはそれぞれ、全体的に、上に定義したように、(メタ)アクリル酸エステルから選択される少なくとも1種のモノマー、および任意選択で(メタ)アクリル酸から選択される1種のモノマー、ならびにこれらの混合物に由来する。
【0118】
本発明の組成物に使用されるポリマーは、以下の調製過程に基づくフリーラジカル溶液重合によって得られてよい。
重合溶媒の一部を適切な反応器に導入し、重合に十分な温度(典型的には60と120℃の間)に到達するまで加熱し、
この温度に到達した後は、重合開始剤の一部の存在下で、第1ブロックの構成モノマーを導入し、
90%の最大転換度に相当する時間Tの後に、第2ブロックの構成モノマーおよび開始剤の残りを導入し、
混合物を時間T'(3から6時間の範囲)の間、そのまま反応させ、その後混合物を室温間で冷却し、
重合溶媒中に溶解したポリマーを得る。
【0119】
用語「重合溶媒」は、溶媒または溶媒の混合物を意味する。重合溶媒は、特に酢酸エチル、酢酸ブチル、イソプロパノールおよびエタノールなどのアルコール、イソドデカンなどの脂肪族アルカン、およびこれらの混合物から選択されてよい。好ましくは、重合溶媒は、酢酸ブチル、イソプロパノールまたはイソドデカンの混合物である。
【0120】
第1の実施形態に基づき、本発明の組成物に使用されるブロックポリマーは、a)に前述したように40℃以上のTgを有する少なくとも1種(特に1種)の第1ブロックおよび、b)に前述したように20℃以下のTgを有する少なくとも1種(特に1種)の第2ブロックを含む。
【0121】
好ましくは、40℃以上のTgを有する第1ブロックは、前述のモノマーなど、ホモポリマーが40℃以上のガラス転移温度を有するモノマーに由来するコポリマーである。
【0122】
有利には、20℃以下のTgを有する第2ブロックは、特に前述のようにモノマーに由来するホモポリマーである。
【0123】
好ましくは、40℃以上のTgを有するブロックの割合は、重量でポリマーの20重量%から90重量%、よりよくは30重量%から80重量%、さらによりよくは50重量%から70重量%の範囲である。
【0124】
好ましくは、20℃以下のTgを有するブロックの割合は、好ましくは、重量でポリマーの5重量%から75重量%、好ましくは15重量%から50重量%、よりよくは25重量%から45重量%の範囲である。
【0125】
したがって、第1の変形例によれば、本発明の組成物に使用されるブロックポリマーは、
40℃以上のTg、例えば70から110℃の範囲のTgを有する第1ブロック、すなわちメチルメタクリレート/アクリル酸コポリマー、
20℃以下のTg、例えば0から20℃の範囲のTgを有する第2ブロック、すなわちメチルアクリレートホモポリマー、および
メチルメタクリレート/アクリル酸/メチルアクリレートコポリマーである中間ブロック、
を含んでよい。
【0126】
第2の変形例によれば、本発明の組成物に使用されるブロックポリマーは、
40℃以上のTg、例えば70から100℃の範囲のTgを有する第1ブロック、すなわちメチルメタクリレート/アクリル酸/トリフルオロエチルメタクリレートコポリマー、
20℃以下のTg、例えば0から20℃の範囲のTgを有する第2ブロック、すなわちメチルアクリレートホモポリマー、および
メチルメタクリレート/アクリル酸/メチルアクリレート/トリフルオロエチルメタクリレートランダムコポリマーである中間ブロック、
を含んでよい。
【0127】
第3の変形例によれば、本発明の組成物に使用されるブロックポリマーは、
40℃以上、例えば85から115℃の範囲のTgを有する第1ブロック、すなわちイソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレートコポリマー、
20℃以下、例えば-85から-55℃の範囲のTgを有する第2ブロック、すなわち2-エチルヘキシルアクリレートホモポリマー、および
イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート/2-エチルヘキシルアクリレートランダムコポリマーである中間ブロック、
を含んでよい。
【0128】
第4の変形例によれば、本発明の組成物に使用されるブロックポリマーは、
40℃以上、例えば85から115℃の範囲のTgを有する第1ブロック、すなわちイソボルニルアクリレート/メチルメタクリレートコポリマー、
20℃以下、例えば-85から-55℃の範囲のTgを有する第2ブロック、すなわち2-エチルヘキシルアクリレートホモポリマー、および
イソボルニルアクリレート/メチルメタクリレート/2-エチルヘキシルアクリレートランダムコポリマーである中間ブロック、
を含んでよい。
【0129】
第5の変形例によれば、本発明の組成物に使用されるブロックポリマーは、
40℃以上、例えば95から125℃の範囲のTgを有する第1ブロック、すなわちイソボルニルアクリレート/イソボルニルメタクリレートコポリマー、
20℃以下、例えば-85から-55℃の範囲のTgを有する第2ブロック、すなわち2-エチルヘキシルアクリレートホモポリマー、および
イソボルニルアクリレート/イソボルニルメタクリレート/2-エチルヘキシルアクリレートランダムコポリマーである中間ブロック、
を含んでよい。
【0130】
第6の変形例によれば、本発明の組成物に使用されるブロックポリマーは、
40℃以上、例えば85から115℃の範囲のTgを有する第1ブロック、すなわちイソボルニルメタクリレート/イソブチルメタクリレートコポリマー、
20℃以下、例えば-35から-5℃の範囲のTgを有する第2ブロック、すなわちイソブチルアクリレートホモポリマー、および
イソボルニルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/イソブチルアクリレートランダムコポリマーである中間ブロック、
を含んでよい。
【0131】
第7の変形例によれば、本発明の組成物に使用されるブロックポリマーは、
40℃以上、例えば95から125℃の範囲のTgを有する第1ブロック、すなわちイソボルニルアクリレート/イソボルニルメタクリレートコポリマー、
20℃以下、例えば-35から-5℃の範囲のTgを有する第2ブロック、すなわちイソブチルアクリレートホモポリマー、および
イソボルニルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/イソブチルアクリレートランダムコポリマーである中間ブロック、
を含んでよい。
【0132】
第8の変形例によれば、本発明の組成物に使用されるブロックポリマーは、
40℃以上、例えば60から90℃の範囲のTgを有する第1ブロック、すなわちイソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレートコポリマー、
20℃以下、例えば-35から-5℃の範囲のTgを有する第2ブロック、すなわちイソブチルアクリレートホモポリマー、および
イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート/イソブチルアクリレートランダムコポリマーである中間ブロック、
を含んでよい。
【0133】
第2の実施形態によれば、本発明の組成物に使用されるポリマーは、c)に記述したブロックに基づいて、20と40℃の間のガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも1種(特に1種)の第1ブロックおよび、b)に前述したように20℃以下のガラス転移温度を有するか、またはa)に前述したように40℃以上のガラス転移温度を有する少なくとも1種(特に1種)の第2ブロックを含む。
【0134】
好ましくは、20と40℃の間のTgを有する第1ブロックの割合は、重量でポリマーの10重量%から85重量%、よりよくは30重量%から80重量%、さらによりよくは50重量%から70重量%の範囲である。
【0135】
第2ブロックが40℃以上のTgを有するブロックである場合、ブロックは、重量でポリマーの10重量%から85重量%、よりよくは20重量%から70重量%、さらによりよくは30重量%から70重量%の範囲の割合で存在するのが好ましい。
【0136】
第2ブロックが20℃以下のTgを有するブロックである場合、ブロックは、重量でポリマーの10重量%から85重量%、よりよくは20重量%から70重量%、さらによりよくは20重量%から50重量%の範囲の割合で存在するのが好ましい。
【0137】
好ましくは、20と40℃の間のTgを有する第1ブロックは、相当するホモポリマーが40℃以上のTgを有するモノマーおよび相当するホモポリマーが20℃以下のTgを有するモノマーに由来するコポリマーである。
【0138】
有利には、20℃以下のTgを有するか、または40℃以上のTgを有する第2ブロックは、ホモポリマーである。
【0139】
したがって、この第2の実施形態の第1の変形例によれば、本発明の組成物に使用されるポリマーは、
20と40℃の間のTg、例えば25から39℃のTgを有する第1ブロック、すなわち少なくとも1つのメチルアクリレートモノマー、少なくとも1つのメチルメタクリレートモノマー、および少なくとも1つのアクリル酸モノマーを含むコポリマー、
40℃以上、例えば85から125℃の範囲のTgを有する第2ブロック、すなわちメチルメタクリレートモノマーからなるホモポリマー、および
少なくとも1つのメチルアクリレートまたはメチルメタクリレートモノマーを含む中間ブロック、および
メチルメタクリレート、少なくとも1つのアクリル酸モノマーおよび少なくとも1つのメチルアクリレートモノマーを含む中間ブロック、
を含んでよい。
【0140】
この第2の実施形態の第2の変形例によれば、本発明の組成物に使用されるポリマーは、
20と40℃の間のTg、例えば21から39℃のTgを有する第1ブロック、すなわちイソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート/2-エチルヘキシルアクリレートを含むコポリマー、
20℃以下、例えば-65から-35℃の範囲のTgを有する第2ブロック、すなわちメチルメタクリレートホモポリマー、および
イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート/2-エチルヘキシルアクリレートランダムコポリマーである中間ブロック、
を含んでよい。
【0141】
この第2の実施形態の第3の変形例によれば、本発明の組成物に使用されるポリマーは、
20と40℃の間のTg、例えば21から39℃のTgを有する第1ブロック、すなわちイソボルニルアクリレート/メチルアクリレート/アクリル酸コポリマー、
40℃以上、例えば85から115℃の範囲のTgを有する第2ブロック、すなわちイソボルニルアクリレートホモポリマー、および
イソボルニルアクリレート/メチルアクリレート/アクリル酸ランダムコポリマーである中間ブロック、
を含んでよい。
【0142】
ブロックポリマーは、組成物の全重量に対して、0.1重量%から60重量%の範囲、好ましくは0.5重量%から50重量%の範囲、より好ましくは1重量%から40重量%の範囲の含有量で本発明の組成物中に存在してよい。
【0143】
1つの特に好ましい実施形態に基づき、組成物の有機液体媒体は、前述のように、ブロックポリマーの重合のための有機溶媒または有機溶媒のうちの1種である少なくとも1種の有機液体を含む。有利には、前記有機重合溶媒は、化粧品組成物の有機液体媒体中に重量の大部分を占める量で存在する有機液体である。
【0144】
本発明の化粧品組成物は、化粧品として許容できる媒体、すなわちケラチン物質、例えば皮膚、唇、毛髪、睫毛、眉毛、および爪と適合する媒体を含む。
【0145】
本発明の組成物は、少なくと1種の揮発油を含んでよい。
【0146】
用語「油」は、室温(25℃)および大気圧(760mmHg)で液体で、皮膚、粘膜(唇)および/または外皮(爪、睫毛、眉毛または毛髪)と適合する、あらゆる非水性媒体を意味する。
【0147】
用語「揮発油」は、皮膚または唇から1時間未満で蒸発することができ、特に、室温および大気圧で、10-3から300mmHg(0.13Paから40,000Pa)の範囲の蒸気圧を有するあらゆる非水性媒体を意味する。
【0148】
本発明によれば、1つ以上の揮発油が使用可能である。
【0149】
これらの油は、任意選択でペンダントとしてまたはシリコーン鎖末端にアルキルまたはアルコキシ基を含む炭化水素系油またはシリコーン油であってよい。
【0150】
用語「炭化水素系油」は、炭素および水素原子、およびおそらくは酸素または窒素原子から実質上形成される、あるいはさらにはこれらからなり、かつケイ素またはフッ素原子を含まない油を意味する。油は、アルコール、エステル、エーテル、カルボン酸、アミンおよび/またはアミド基を含んでよい。
【0151】
本発明で使用されてよい揮発性シリコーン油として、2から7個のケイ素原子を含む直鎖または環状シリコーンで、これらシリコーンは任意選択で1から10個の炭素を含むアルキルまたはアルコキシ基を含むシリコーンを挙げることができる。本発明で使用されてよい揮発性シリコーン油として、特にオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、オクタメチルトリシロキサンおよびデカメチルテトラシロキサン、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
【0152】
本発明で使用されてよいその他の揮発油として、C8-C16の、例えばイソドデカン、イソデカンおよびイソヘキサデカンならびに、例えば、IsoparおよびPermethylの商品名で販売されている油、ならびに特にイソドデカン(Permethyl 99 A)が特に好ましい。
【0153】
揮発油は、組成物の全重量に対して、1重量%から70重量%の範囲、好ましくは5重量%から50重量%の範囲、優先的には10重量%から35重量%の範囲の含有量で本発明の組成物中に存在してよい。
【0154】
本発明の組成物中は、不揮発油を含んでよい。
【0155】
用語「不揮発油」は、室温(25℃)および大気圧で、少なくとも1時間、皮膚に残存することができ、かつ、特に、室温(25℃)および大気圧で、ゼロではない、0.01mmHg(1.33Pa)未満の、蒸気圧を有する油を意味する
【0156】
不揮発油は、炭化水素系不揮発油およびシリコーン不揮発油から選択されてよい。
【0157】
不揮発油は、極性または無極性不揮発油および無極性不揮発油、ならびにこれらの混合物から選択されてよい。
【0158】
不揮発油は、組成物の全重量に対して、1重量%から80重量%の範囲、好ましくは5重量%から60重量%の範囲、優先的には10重量%から50重量%の範囲、特に20重量%から50重量%の範囲の含有量で本発明の組成物中に存在してよい。
【0159】
本発明で使用されてよい不揮発油として、
流動パラフィン(ペトロラタム)、スクワラン、水添ポリイソブチレン(パールリーム油)、ペルヒドロスクワレン、ミンク油、タートル油、ダイズ油、スイートアーモンド油、ビューティーリーフ油、パーム油、ブドウ種子油、ゴマ種子油、トウモロコシ油、アララ油、ナタネ種子油、ヒマワリ油、綿実油、アプリコット油、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油、オリーブ油または穀物胚芽油などの不揮発性炭化水素系油;ラノリン酸、オレイン酸、ラウリン酸またはステアリン酸エステル;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸または乳酸2-オクチルドデシル、コハク酸ビス(2-エチルヘキシル)、リンゴ酸ジイソステアリル、およびトリイソステアリン酸グリセリルまたはジグリセリルなどの、特にC12-C36の脂肪酸エステル;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレインアン、リノール酸、リノレン酸またはイソステアリン酸などの、特にC14-C22の高級脂肪酸;セタノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、イソステアリルアルコールまたはオクチルドデカノールなどの、特にC16-C22の高級脂肪酸アルコール;ならびにこれらの混合物、
不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS);アルキル、アルコキシまたはフェニル基をペンダントとしてまたはシリコーン鎖の末端に含み、これらの基が2から24個の炭素原子を含むポリジメチルシロキサン;フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコンおよびジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン;脂肪酸(特にC8-C20の)、脂肪酸アルコール(特にC8-C20の)またはポリオキシアルキレン(特にポリオキシエチレンおよび/またはポリオキシプロピレン)で修飾されたポリシロキサン;アミノシリコーン;ヒドロキシル基を含むシリコーン;フルオロ基をペンダントとしてまたは1から12個の炭素原子を含むシリコーン鎖の末端に含み、その一部または全ての水素原子がフッ素原子で置換されているフルオロシリコーン;ならびにこれらの混合物などの不揮発性シリコーン油、
を挙げることができる。
【0160】
本発明の組成物はまた、特にワックス、ペースト状脂肪物質およびガム、ならびにこれらの混合物から選択される、室温で固体の、少なくともいくつかの脂肪物質を含んでよい。これらの脂肪物質は、動物、植物、無機または合成由来であってよい。
【0161】
本発明の目的で、用語「ワックス」は、室温(25℃)で固体であり、固体/液体の可逆的状態変化を受け、かつ30℃以上の、120℃まででよい融点を有する親油性化合物を意味する。
【0162】
ワックスの融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えばDSC 30の名称でMettler社により販売されている熱量計を用いて測定してよい。
【0163】
ワックスは、炭化水素系ワックス、フッ素系ワックスおよび/またはシリコーンワックスであってよく、かつ植物、無機、動物および/または合成由来であってよい。具体的には、ワックスは25℃より大きい、よりよくは45℃を超える融点を有する。
【0164】
本発明の組成物に使用されてよいワックスとして、ミツロウ、カルナウバロウ、またはカンデリラロウ、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシンまたはオゾケライト、合成ワックス、例えばポリエチレンワックスまたはフィッシャートロプシュワックス、およびシリコーンワックス、例えば16から45個の炭素原子を含むアルキルまたはアルコキシジメチコンを挙げることができる。
【0165】
ガムは、一般に、高分子量のポリジメチルシロキサン(PDMS)またはセルロースガムまたは多糖類であり、ペースト状物質は一般に、炭化水素系化合物、例えばラノリン類およびこれらの誘導体、またはPDMSである。
【0166】
固体物質の性質および量は、所望の機械的特性および感触に依存する。指針として、組成物は、組成物の全重量に対して、0.1重量%から50重量%の範囲、よりよくは1重量%から30重量%のワックスを含んでよい。
【0167】
したがって、組成物は水または水および親水性有機溶媒、例えばアルコールおよび特に、2から5個の炭素原子を含む直鎖または分枝状低級モノアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、またはn-プロパノール、および多価アルコール、例えばグリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールまたはペンチレングリコール、およびポリエチレングリコール、または親水性のC2エステルおよびC2-C4アルデヒド、の混合物を含んでよい。
【0168】
水または水および親水性有機溶媒の混合物は、組成物の全重量に対して、0.1重量%から99重量%、好ましくは10重量%から80重量%の範囲で本発明の組成物中に存在してよい。
【0169】
組成物は、本発明に基づき上に記述したブロックポリマーの他に、皮膜形成性ポリマーなどの追加的ポリマーを含んでよい。本発明に基づき、用語「皮膜形成性ポリマー」は、それ自体でまたは皮膜形成助剤の存在下で、支持体、特にケラチン物質、に接着する連続性皮膜を形成することができるポリマーを意味する。
【0170】
本発明の組成物に使用されてよい皮膜形成性ポリマーの中で、フリーラジカルタイプまたは重縮合体タイプ合成ポリマー、天然由来のポリマー、およびこれらの混合物を挙げることができる。特に挙げられる皮膜形成性ポリマーには、アクリルポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレアおよびセルロース系ポリマー、例えばニトロセルロースが含まれる。
【0171】
本発明の組成物はまた、水溶性染料、粉状染料、例えば当業者にはよく知られている顔料、真珠光沢顔料およびフレーク、から選択される1つまたは複数の染料を含んでよい。染料は、組成物の全重量に対して、0.01重量%から50重量%、好ましくは0.01重量%から30重量%の範囲で、組成物中に存在してよい。
【0172】
用語「顔料」は、白色または有色の、あらゆる形態の無機または有機粒子であって、生理的媒体に不溶でありかつ組成物を着色するよう意図とされていることを意味するものと理解される。
【0173】
用語「真珠光沢顔料」は、特に、殻に入ったある種の軟体動物により産生されるか、あるいは代替として合成された、あらゆる形態の真珠光沢粒子を意味するものと理解される。
【0174】
顔料は、白色または有色であってよく、かつ無機および/または有機顔料であってよい。鉱物顔料の中で挙げられるものは、二酸化チタン、任意選択で表面処理をしたもの、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウム、および同様に酸化亜鉛、酸化鉄(黒、黄または赤)または酸化クロム、マンガンバイオレット、グンジョウ、クロム水和物およびコンジョウ、および金属紛、例えばアルミニウム紛または銅紛である。
【0175】
顔料の中で、挙げられるものは、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、およびコチニールカルミン系またはバリウム、ストロンチウムカルシウムまたはアルミニウム系のレーキである。
【0176】
言及はまた、効果を有する顔料、天然、合成、有機または無機基質を含む粒子、例えばガラス、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、セラミックスまたはアルミニウム、などで、前記基質が被覆されていないかまたは金属物質、例えばアルミニウム、金、銀、プラチナ、銅または青銅で、あるいは金属酸化物、例えば二酸化チタン、酸化鉄または酸化クロム、およびこれらの混合物で被覆されている顔料になされてよい。
【0177】
真珠光沢顔料は、チタンまたはオキシ塩化ビスマスで被覆したマイカなどの白色真珠光沢顔料、酸化鉄で被覆したチタンマイカ、特にコンジョウまたは酸化クロムで被覆したチタンマイカ、前述のタイプの有機顔料で被覆したチタンマイカなどの有色真珠光沢顔料、およびまたオキシ塩化ビスマス系の顔料からも選択されてよい。干渉顔料、特に液晶顔料または多層顔料、もまた使用されてよい。
【0178】
水溶性染料は、例えばビートルート汁またはメチレンブルーである。
【0179】
本発明の組成物はまた、少なくとも1種の充填剤を、特に、組成物の全重量に対して、0.01重量%から50重量%の範囲、好ましくは0.01重量%から30重量%の範囲で含んでよい。用語「充填剤」は、無色または白色の、あらゆる形態の無機または合成粒子であって、組成物が製造される温度とは無関係に、組成物の媒体に不溶であるものを意味するものと理解される。これらの充填剤は、特に組成物のレオロジーまたは感触を改良する働きがある。
【0180】
充填剤は、小板状、球状または楕円状であろうと、結晶形(例えば小葉状、立方、六方、斜方など)に関わらず、いかなる形態の無機または有機充填剤であってもよい。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ポリアミド(ナイロン(登録商標))パウダー(Atochem社のOrgasol(登録商標))、ポリ-β-アラニンパウダーおよびポリエチレンパウダー、テトラフルオロエチレンポリマー(Teflon(登録商標))のパウダー、ラウロイルリジン、デンプン、窒化ホウ素、塩化ポリビニリデン/アクリロニトリルなどの中空ポリマー微小球、例えばExapancel(登録商標)(Nobel Industrie社)またはアクリル酸コポリマー(Dow Corning社のPolytrap(登録商標))およびシリコン樹脂マイクロビーズ(例えばToshiba社のTospearls(登録商標))、エラストマー性ポリオルガノシロキサン粒子、沈降性炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカ微小球(Maprecos社のSilica Beads(登録商標))、ガラスまたはセラミックマイクロカプセル、および8から22個の炭素原子、好ましくは12から18個の炭素原子を含む有機カルボン酸から誘導される金属石けん、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛またはミリスチン酸マグネシウムが挙げられる。
【0181】
本発明の組成物はまた、ビタミン、増粘剤、微量元素、柔軟剤、金属封鎖剤、香料、酸性化または塩基性化剤、防腐剤、サンスクリーン、界面活性剤および酸化防止剤、脱毛防止剤、ふけ防止剤および推進剤、またはこれらの混合物など、通常化粧品に使用される原料をも含んでよい。
【0182】
言うまでもなく、当業者であれば、本発明に基づく対応する組成物が、想定される添加によって悪影響を全く、または実質上受けないように、このまたはこれらの任意選択の追加的化合物、および/またはその量を選択するよう注意するであろう。
【0183】
本発明の組成物は特に、懸濁物、分散物、溶液、ゲル、エマルション、特に水中油型(O/W)エマルション、油中水型(W/O)エマルションまたは多相エマルション(W/O/Wまたは多価アルコール/O/WまたはO/W/Oエマルション)の形態、クリーム、ペースト、ムース、ベシクル、特にイオン性または非イオン性脂質の分散物、2相または多相ローション、スプレー、パウダー、ペースト、特にソフトペースト(特に200s-1のせん断速度下で、錐体/平板形状で10分間測定後に、25℃での動的粘度約0.1から40Pa・sを有するペースト)の形態であってよい。組成物は、無水であってよく、例えば、無水のスティックまたはペーストであってよい。組成物は、洗い流さない組成物であってよい。
【0184】
当業者であれば、自己の一般的知識に基づき、第一に構成成分の性質、特に支持体への溶解性を、第二に組成物に関する意図される用途を考慮に入れ、適切な生薬形態およびまたその調製方法を選択することができる。
【0185】
他の側面に基づき、本発明はまた、
i)少なくとも1つの区画の範囲を画定する容器であって、前記容器が閉鎖部材により閉鎖されている容器、および
ii)前記区画の内部に充填された組成物であって、前記請求項のいずれか一項に基づく組成物、
を含む化粧品アセンブリに関する。
【0186】
容器は、いかなる適切な形態であってもよい。容器は特に、ボトル、チューブ、ジャー、ケース、箱、小袋またはカートンの形態であってよい。
【0187】
前記閉鎖部材は、着脱可能なストッパー、蓋、キャップ、切り取り式ストリップまたはカプセル、特に容器に取り付けられたボディとボディにつながったカバーキャップを含むタイプの形態であってよい。閉鎖部材はまた、容器を選択的に閉鎖する部材、特にポンプ、弁またはフラップ弁の形態であってよい。
【0188】
容器は、特にねじられたワイヤによって維持されているブラシ毛のアレンジを含むブラシの形態のアプリケータと組み合わされてよい。このようなねじられたブラシは、特に特許US 4 887 622に記述されている。アプリケータはまた、特に成形により得られる、複数の塗布部材を含む櫛の形態であってもよい。このような櫛は、例えば特許FR 2 796 529に記述されている。アプリケータは、例えば特許FR 2 722 380に記述されているように、細いブラシの形態であってよい。アプリケータは、フォームのブロックまたはエラストマーのブロック、フェルトまたはスパチュラの形態であってよい。アプリケータは、例えば、特許US 5 492 426に記述されているように、遊離している(刷毛またはスポンジ)かまたは、閉鎖部材によりロッドボーンに確実に固定されていてよい。アプリケータは、例えば、特許FR 2 761 959に記述されているように、容器に確実に固定されていてよい。
【0189】
製品は、直接または間接的に容器に含まれてよい。例証として、製品は、特に拭き取り布またはパッドの形態の含浸支持体に配置されて、かつ(個別にまたは複数で)箱または小袋に配置されてよい。製品を組み込んだこのような支持体は、例えば、特許出願WO 01/03538に記述されている。
【0190】
閉鎖部材は、ねじ留めにより容器と連結されてよい。別法として、閉鎖部材と容器との連結は、ねじ留め以外、特に差し込みピン構造、クリック留め、グリッピング、溶接、接合または磁気的引力により行われる。用語「クリック留め」は、具体的には一部分、特に閉鎖部材の弾性変形による、材料のビードまたはコードの交差を含むあらゆるシステムであって、ビードまたはコードの交差後に引き続いて前記部材が弾性的に拘束されない位置に戻るシステムを意味する。
【0191】
容器は、少なくとも部分的に熱可塑性の材料でできていてよい。挙げられる熱可塑性の材料の例はポリプロピレンまたはポリエチレンを含む。
【0192】
別法として、容器は非熱可塑性の材料、特にガラスまたは金属(または合金) でできていてよい。
【0193】
容器は、特にチューブまたはチューブ状ボトルの形態の場合、固い壁または変形可能な壁を有してよい。
【0194】
容器は、組成物の分配または分配を容易にするための手段を含んでよい。例証として、容器は、容器内部での陽圧に応じて組成物を流出させるような変形可能な壁を有してよく、この陽圧は、陽気の壁を弾性(または非弾性)的に絞ることによって生じる。別法として、特に製品がスティック形態の場合、製品はピストン構造により送り出されてよい。さらに、特にメークアップ製品(リップスティック、ファンデーション、など)のスティックの場合、容器は、構造、特にラック構造、ねじロッド構造、またはらせん溝構造を含んでよく、かつ前記開口部の方向へスティックを動かすことができてよい。このような構造は、例えば特許FR 2 806 273または特許FR 2 775 566に記述されている。液体製品に関して、このような構造は、例えば特許FR 2 727 609に記述されている。
【0195】
容器は、組成物を含む少なくとも1つの収納部の範囲を画定する底面、特に底面につながり、かつ少なくとも部分的に前記底面をカバーすることができる蓋、を有するカートンからなってよい。このようなカートンは、例えば特許出願WO 03/018423または特許FR 2 791 042に記述されている。
【0196】
容器は、容器開口部区域に配置された排流口を備えていてよい。このような排流口はアプリケータおよびおそらくはそれが確実に固定されているロッドを拭うことを可能にする。このような排流口は例えば特許FR 2 792 618に記述されている。
【0197】
組成物は、容器内部で(室温で)大気圧であるか、または、特に推進ガスを用いて加圧(エアロゾル)されていてよい。後者の場合、容器は(エアロゾルに使用されるタイプの)弁を備えていてよい。
【0198】
前述の特許または特許出願の内容は、参照として本特許出願に組み込まれている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0199】
本発明は、以下の実施例により、より詳細に例証される。
【実施例1】
【0200】
ポリ(イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート/2-エチルヘキシルアクリレート)ポリマーの調製
100gのイソドデカンを1リットルの反応器に導入し、次いで温度が、1時間をかけて、室温(25℃)から90℃になるように温度を上昇させる。
【0201】
次いで、120gのイソボルニルアクリレート、90gのイソブチルメタクリレート、110gのイソドデカンおよび1.8gの2,5-bis(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン(Akzo Nobel社のTrigonox(登録商標) 141)を、90℃で1時間かけて加える。
【0202】
混合物を90℃で1時間30分間維持する。
【0203】
次いで、90gの2-エチルヘキシルアクリレート、90gのイソドデカンおよび1.2gの2,5-bis(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンを上の混合物に、依然として90℃で30分間かけて導入する。
【0204】
混合物を90℃で3時間維持し、次いで冷却する。
【0205】
イソドデカン中に50%のポリマー活性物質を含む溶液が得られる。
【0206】
80℃のTgを有するポリ(イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート)第1ブロック、-70℃のTgを有するポリ2-エチルヘキシルアクリレート第2ブロックおよびイソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート/2-エチルヘキシルアクリレートランダムポリマーである中間ブロックを含むポリマーが得られる。
【0207】
このポリマーは、重量平均分子量77,000、数平均分子量19,000、すなわち4.05の多分散指数Iを有する。
【実施例2】
【0208】
ポリ(イソボルニルアクリレート/イソボルニルメタクリレート/2-エチルヘキシルアクリレート)ポリマーの調製
100gのイソドデカンを1リットルの反応器に導入し、次いで温度が、1時間をかけて、室温(25℃)から90℃になるように温度を上昇させる。
【0209】
次いで、105gのイソボルニルアクリレート、105gのイソボルニルメタクリレート、110gのイソドデカンおよび1.8gの2,5-bis(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン(Akzo Nobel社のTrigonox(登録商標) 141)を、90℃で1時間かけて加える。
【0210】
混合物を90℃で1時間30分間維持する。
【0211】
次いで、90gの2-エチルヘキシルアクリレート、90gのイソドデカンおよび1.2gの2,5-bis(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンを上の混合物に、依然として90℃で30分間かけて導入する。
【0212】
混合物を90℃で3時間維持し、次いで冷却する。
【0213】
イソドデカン中に50%のポリマー活性物質を含む溶液が得られる。
【0214】
110℃のTgを有するポリ(イソボルニルアクリレート/イソボルニルメタクリレート)第1ブロック、-70℃のTgを有するポリ2-エチルヘキシルアクリレート第2ブロックおよびイソボルニルアクリレート/イソボルニルメタクリレート/2-エチルヘキシルアクリレートランダムポリマーである中間ブロックを含むポリマーが得られる。
【0215】
このポリマーは、重量平均分子量103,900、数平均分子量21,300、すなわち4.89の多分散指数Iを有する。
【実施例3】
【0216】
ポリ(イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート/イソブチルアクリレート)ポリマーの調製
100gのイソドデカンを1リットルの反応器に導入し、次いで温度が、1時間をかけて、室温(25℃)から90℃になるように温度を上昇させる。
【0217】
次いで、120gのイソボルニルアクリレート、90gのイソブチルメタクリレート、110gのイソドデカンおよび1.8gの2,5-bis(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン(Akzo Nobel社のTrigonox(登録商標) 141)を、90℃で1時間かけて加える。
【0218】
混合物を90℃で1時間30分間維持する。
【0219】
次いで、90gのイソブチルアクリレート、90gのイソドデカンおよび1.2gの2,5-bis(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンを上の混合物に、依然として90℃で30分間かけて導入する。
【0220】
混合物を90℃で3時間維持し、次いで冷却する。
【0221】
イソドデカン中に50%のポリマー活性物質を含む溶液が得られる。
【0222】
75℃のTgを有するポリ(イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート)第1ブロック、-20℃のTgを有するポリイソブチルアクリレート第2ブロックおよびイソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート/イソブチルアクリレートランダムポリマーである中間ブロックを含むポリマーが得られる。
【0223】
このポリマーは、重量平均分子量144,200、数平均分子量49,300、すなわち2.93の多分散指数Iを有する。
【実施例4】
【0224】
下の組成を有するリップスティックを調製した。
イソドデカン中50重量%の実施例2のブロックポリマー 50g
疎水処理ヒュームドシリカ(Degussa社のAerosil R 972) 5g
水添ポリイソブチレン(パールリーム油) 2.1g
オクチルドデカノール 0.9g
フェニルシリコーン油(Dow Corning 556 C) 2.1g
ポリビニルピロリドン/エイコセンコポリマー(ISP社のAntaron V220) 1.2g
顔料 3g
イソドデカン 全体を100gとする量
【0225】
オクチルドデカノール、シリコーン油、パールリーム油およびポリビニルピロリドン/エイコセンコポリマーを約60℃で加熱しながら混合する。この混合物を用いて、スリーロールミルで混合物を3回粉砕することにより、顔料の粉砕顔料混合物を作製する。
【0226】
次いで、粉砕顔料混合物、イソドデカンおよびブロックポリマーを室温で混合し、次いでシリカを最後に導入する。次いで製剤を漏れを起こさない加熱容器に導入する。
【0227】
次いで、前述の測定プロトコールに基づき、得られたリップスティックの耐移行性を測定する。
【0228】
リップスティックは、0%の移行を有する皮膜を形成する。
【実施例5】
【0229】
実施例2のポリマーを同量の実施例1のポリマーで置き換えて、実施例4に類似の組成を有する液状リップスティックを調製した。
【0230】
前述のプロトコールに基づき測定すると、得られたリップスティックは、0%の移行を有する皮膜を形成する。
【実施例6】
【0231】
下の組成を有する液状リップスティックを調製した。
イソドデカン中50重量%の実施例3のブロックポリマー 90.7g
疎水処理ヒュームドシリカ(Degussa社のAerosil R 972) 5g
水添ポリイソブチレン(パールリーム油) 2.1g
オクチルドデカノール 0.9g
フェニルシリコーン油(Dow Corning 556 C) 2.1g
ポリビニルピロリドン/エイコセンコポリマー(ISP社のAntaron V220) 1.2g
顔料 3g
【0232】
前述のプロトコールに基づき測定すると、得られたリップスティックは、4%の移行を有する皮膜を形成する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品として許容できる少なくとも1種の有機液体媒体および、少なくとも1種のスチレンを含まない皮膜形成性直鎖状ブロックエチレン系ポリマーを含む化粧品組成物であって、前記ポリマーが組成物中に十分な量で存在する場合、35%以下の移行を有する堆積を形成することができる化粧品組成物。
【請求項2】
化粧品として許容できる少なくとも1種の有機液体媒体および、少なくとも1種の非エラストマー性皮膜形成性直鎖状ブロックエチレン系ポリマーを含むリップ用メークアップ組成物であって、前記ポリマーが組成物中に十分な量で存在する場合、35%以下の移行を有する堆積を形成することができるリップ用メークアップ用組成物。
【請求項3】
30%以下、好ましくは25%以下、好ましくは20%以下、好ましくは15%以下、好ましくは10%以下および好ましくは5%以下、の移行を有する堆積を形成することができることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
ブロックポリマーが、少なくとも1重量%の活性物質含有量で、pHの変更を行わずとも、室温(25℃)で、水あるいは水と2から5個の炭素原子を含む直鎖または分枝状低級モノアルコールとの混合物に不溶性であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
ブロックポリマーが、異なるガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも1つの第1ブロックおよび少なくとも1つの第2ブロックを含み、前記第1および第2ブロックが少なくとも1つの第1ブロックの構成モノマーおよび少なくとも1つの第2ブロックの構成モノマーを含む中間ブロックを介して連結されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
第1および第2ブロックが、第1および第2ブロック間でのガラス転移温度(Tg)の差が10℃を超える、好ましくは20℃を超える、優先的には30℃を超える、より優先的には40℃を超える第1および第2ブロックであることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
中間ブロックが、第1および第2ブロックのガラス転移温度の間にあるガラス転移温度を有することを特徴とする、請求項5または6に記載の組成物。
【請求項8】
前記ブロックポリマーの第1および第2ブロックが互いに相容性ではないことを特徴とする、請求項5から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
ブロックポリマーが、2を超える、好ましくは2.5以上、好ましくは2.8以上および好ましくは2.8と6の間の多分散指数を有することを特徴とする、請求項5から8の一項に記載の組成物。
【請求項10】
ブロックポリマーの第1ブロックが、
a)40℃以上のTgを有するブロック、
b)20℃以下のTgを有するブロック、
c)20と40℃の間のTgを有するブロック、
から選択され、かつ、
第2ブロックが、第1ブロックとは異なるカテゴリーa)、b)またはc)から選択されることを特徴とする、請求項5から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
ブロックポリマーが、40℃以上のガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも1つの第1ブロックおよび20℃以下のガラス転移温度を有する少なくとも1つの第2ブロックを含むことを特徴とする、請求項5から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
第1ブロックの割合が、重量でポリマーの20%から90%、よりよくは30%から80%、さらによりよくは50%から70%の範囲であることを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
20℃以下のTgを有する第2ブロックの割合が、重量でポリマーの5%から75%、よりよくは15%から50%、さらによりよくは25%から45%の範囲であることを特徴とする、請求項11または12に記載の組成物。
【請求項14】
ブロックポリマーが、20と40℃の間のガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも1つの第1ブロックおよび20℃以下のガラス転移温度または40℃以上のガラス転移温度を有する少なくとも1つの第2ブロックを含むことを特徴とする、請求項5から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
20と40℃の間のTgを有する第1ブロックの割合が、重量でポリマーの10%から85%、よりよくは30%から80%、さらによりよくは50%から70%の範囲であることを特徴とする、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
第2ブロックが40℃以上のガラス転移温度(Tg)を有することを特徴とする、請求項14または15に記載の組成物。
【請求項17】
40℃以上のガラス転移温度を有する第2ブロックの割合が、重量でポリマーの10%から85%、好ましくは20%から70%、よりよくは30%から70%の範囲であることを特徴とする、請求項14から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
第2ブロックが20℃以下のTgを有することを特徴とする、請求項14または15に記載の組成物。
【請求項19】
20℃以下のガラス転移温度を有するブロックの割合が、重量でポリマーの20%から90%、よりよくは30%から80%、さらによりよくは50%から70%の範囲であることを特徴とする、請求項10から12および18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
40℃以上のTgを有するブロックが、ホモポリマーが40℃以上のガラス転移温度、特に40から150℃の範囲、好ましくは50℃以上、特に50℃から120℃の範囲、および優先的には60℃以上、特に60℃から120℃の範囲のTgを有する1つまたは複数のモノマーに全体的または部分的に由来することを特徴とする、請求項10から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
40℃以上のガラス転移温度を有するブロックが、ホモポリマーが40℃以上のガラス転移温度を有するモノマーに由来するコポリマーであることを特徴とする、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
ホモポリマーが40℃以上のガラス転移温度を有するモノマーが、以下のモノマー、
式CH2=C(CH3)-COOR1のメタクリレート
(式中、R1は、メチル、エチル、プロピルまたはイソブチル基など、1から4個の炭素原子を含む直鎖または分枝状非置換アルキル基を表すか、あるいはR1は、C4からC12のシクロアルキル基を表す)、
式CH2=CH-COOR2のアクリレート
(式中、R2は、イソボルニルアクリレートまたはtert-ブチル基など、C4からC12のシクロアルキル基を表す)、
以下の式の(メタ)アクリルアミド
【化1】

(式中、R7およびR8は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、またはn-ブチル、t-ブチル、イソプロピル、イソヘキシル、イソオクチルまたはイソノニル基のような、1から12個の炭素原子の直鎖または分枝状アルキル基を表すか、あるいはR7は、Hを表しかつR8は、1,1-ジメチル-3-オキソブチル基を示し、かつR'は、Hまたはメチルを表す)、
ならびに、これらの混合物、
から選択されることを特徴とする、請求項20および21のいずれかに記載の組成物。
【請求項23】
ホモポリマーが40℃以上のガラス転移温度を有するモノマーが、メチルメタクリレート、イソブチルメタクリレートおよびイソボルニル(メタ)アクリレート、ならびにこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項20から22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
40℃以上のTgを有するブロックが、ホモポリマーであることを特徴とする、請求項10から20、22および23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
20℃以下のTgを有するブロックが、全体的または部分的に、ホモポリマーが20℃以下、特に-100から20℃の範囲、好ましくは15℃以下、特に-80℃から15℃の範囲、および優先的には10℃以下、特に-50℃から0℃の範囲のガラス転移温度を有する1つまたは複数のモノマーに由来することを特徴とする、請求項10から14、18および19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
ホモポリマーが20℃以下のガラス転移温度を有するモノマーが、以下のモノマー、
式CH2=CHCOOR3のアクリレート
(式中、R3は、O、NおよびSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子が任意選択で挿入される、tert-ブチル基を除く、直鎖または分枝状のC1からC12の非置換アルキル基を表す)、
式CH2=C(CH3)-COOR4のメタクリレート
(式中、R4は、O、NおよびSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子が任意選択で挿入される、直鎖または分枝状のC6からC12の非置換アルキル基を表す)、
式R5-CO-O-CH=CH2のビニルエステル
(式中、R5は、直鎖または分枝状のC4からC12のアルキル基を表す)、
メチルビニルエーテルおよびエチルビニルエーテルのような、C4〜C12アルキルビニルエーテル、
N-オクチルアクリルアミドのような、N-(C4〜C12)アルキルアクリルアミド、
ならびにこれらの混合物、
から選択されることを特徴とする、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
ホモポリマーが20℃以下のガラス転移温度を有するモノマーが、アルキル鎖が1から10の炭素原子を含む、tert-ブチル基を除く、アルキルアクリレートから選択されることを特徴とする、請求項25または26に記載の組成物。
【請求項28】
20℃以下のガラス転移温度を有するブロックがホモポリマーであることを特徴とする、請求項10から15および19から27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
20と40℃の間のTgを有するブロックが、全体的または部分的に、ホモポリマーが20と40℃の間のガラス転移温度を有する1つまたは複数のモノマーに由来することを特徴とする、請求項10および14から28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
20と40℃の間のTgを有するブロックが、n-ブチルメタクリレート、シクロデシルアクリレート、ネオペンチルアクリレートおよびイソデシルアクリルアミドから選択されるモノマーのホモポリマーであることを特徴とする、請求項10および14から29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
20と40℃の間のTgを有するブロックが、
ホモポリマーが40℃以上のTg、特に40℃から150℃の範囲、好ましくは50℃以上、特に50から120℃の範囲、および優先的には60℃以上、特に60℃から120℃の範囲のTgを有するモノマー、
ならびに、ホモポリマーが20℃以下、-100から20℃の範囲、好ましくは15℃以下、特に-80℃から15℃の範囲、および優先的には10℃以下、例えば-50℃から0℃の範囲のTgを有するモノマー、
に全体的または部分的に由来するコポリマーであることを特徴とする、請求項10および14から29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
20と40℃の間のTgを有するブロックが、全体的または部分的に、メチルメタクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、ブチルアクリレートおよび2-エチルヘキシルアクリレート、ならびにこれらの混合物から選択されるモノマーに由来することを特徴とする、請求項10、14から29および31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
第1ブロックおよび/または第2ブロックが少なくとも1つの追加的なモノマーを含むことを特徴とする、請求項10から23、25から27、29、31および32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
追加的なモノマーが、親水性モノマー、1つまたは複数のケイ素原子を含むエチレン性不飽和を含むモノマー、およびこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
追加的なモノマーが、
少なくとも1つのカルボン酸またはスルホン酸官能基を含むエチレン性不飽和モノマー、
式CH2=C(CH3)-COOR6のメタクリレート
(式中、R6は1から4個の炭素原子を含む直鎖または分枝状のアルキル基を表し、前記アルキル基はヒドロキシル基およびハロゲン原子から選択される1つまたは複数の置換基により置換されている)、
式CH2=C(CH3)-COOR9のメタクリレート
(式中、R9はO、NおよびSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子が任意選択で挿入される、直鎖または分枝状のC6からC12のアルキル基を表し、前記アルキル基はヒドロキシル基およびハロゲン原子から選択される1つまたは複数の置換基により置換されている)、
式CH2=CHCOOR10のアクリレート
(式中R10はヒドロキシル基およびハロゲン原子から選択される1つまたは複数の置換基により置換されている直鎖または分枝状のC1からC12のアルキル基を表し、あるいは、R10は、5から30回のオキシエチレン単位の繰り返しを有するC1からC12のアルキル-O-POE(ポリオキシエチレン)を表し、あるいはR10は、5から30個の酸化エチレン単位を含むポリオキシエチレン化された基を表す)、
少なくとも1つの第3級アミン官能基を含むエチレン性不飽和モノマー、
ならびにこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項33または34に記載の組成物。
【請求項36】
追加的なモノマーが、アクリル酸、メタクリル酸およびトリフルオロエチルメタクリレート、ならびにこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項33から35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
追加的なモノマーが、第1および/または第2ブロックの全重量に対して、1重量%から30重量%で存在することを特徴とする、請求項33から36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
第1および第2ブロックがそれぞれ、(メタ)アクリル酸エステルから選択される少なくとも1つのモノマー、および任意選択で(メタ)アクリル酸から選択される少なくとも1つのモノマー、およびこれらの混合物を含むことを特徴とする、請求項10から37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
第1および第2ブロックがそれぞれ、全体的に、(メタ)アクリル酸エステルから選択される少なくとも1つのモノマー、および任意選択で(メタ)アクリル酸から選択される少なくとも1つのモノマー、ならびにこれらの混合物に由来することを特徴とする、請求項10から38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
ブロックポリマーがスチレンを含まないことを特徴とする、請求項2から39のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
ブロックポリマーが、300,000以下、好ましくは35,000から200,000の範囲、よりよくは45,000から150,000の範囲の重量平均分子量(Mw)を有することを特徴とする、請求項1から40のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項42】
ブロックポリマーが、70,000以下、好ましくは10,000から60,000の範囲、よりよくは12,000から50,000の範囲の数平均分子量(Mn)を有することを特徴とする、請求項1から41のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
ブロックポリマーが、エラストマーでないことを特徴とする、請求項1および3から42のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項44】
ブロックポリマーが、組成物の全重量に対して、0.1重量%から60重量%の範囲、好ましくは0.5重量%から50重量%の範囲、より好ましくは1重量%から40重量%の範囲の含有量で存在することを特徴とする、請求項1から43のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項45】
揮発油を含むことを特徴とする、請求項1から44のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項46】
オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、イソドデカン、イソデカンおよびイソヘキサデカンから選択される揮発油を含むことを特徴とする、請求項1から45のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項47】
揮発油が、組成物の全重量に対して、1重量%から70重量%の範囲、好ましくは5重量%から50重量%の範囲、優先的には10重量%から35重量%の範囲の含有量で存在することを特徴とする、請求項45または46に記載の組成物。
【請求項48】
不揮発油を含むことを特徴とする請求項1から47のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項49】
不揮発油が、炭化水素系不揮発性油およびシリコーン不揮発油から選択されることを特徴とする、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
不揮発油が、組成物の全重量に対して、1重量%から80重量%の範囲、好ましくは5重量%から60重量%の範囲、優先的には10重量%から50重量%の範囲、特に20重量%から50重量%の範囲の含有量で存在することを特徴とする、請求項48または49に記載の組成物。
【請求項51】
ワックス、ペースト状脂肪物質およびガム、ならびにこれらの混合物から選択される、室温で固体である少なくとも1種の脂肪物質を含むことを特徴とする、請求項1から50のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項52】
組成物の全重量に対して、0.1重量%から50重量%、好ましくは1重量%から30重量%のワックスを含むことを特徴とする、請求項1から51のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項53】
染料を含むことを特徴とする、請求項1から52のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項54】
追加的な皮膜形成性ポリマー、ビタミン、増粘剤、微量元素、柔軟剤、金属封鎖剤、香料、酸性化または塩基性化剤、防腐剤、サンスクリーン、界面活性剤および酸化防止剤、またはこれらの混合物から選択される化粧品成分を含むことを特徴とする、請求項1から53のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項55】
ペーストまたはスティックの形態であることを特徴とする、請求項1から54のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項56】
無水形態であることを特徴とする、請求項1から55のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項57】
a)少なくとも1つの区画の範囲を画定する容器であって、前記容器が閉鎖部材により閉鎖されている容器、および
b)前記区画の内部に充填された組成物であって、請求項1から56のいずれか一項に記載されている組成物、
を含む化粧品アセンブリ。
【請求項58】
容器が少なくとも部分的に、少なくとも1種の熱可塑性物質で形成されることを特徴とする、請求項57に記載の化粧品アセンブリ。
【請求項59】
容器が少なくとも部分的に、少なくとも1種の非熱可塑性物質、特にガラスまたは金属で形成されることを特徴とする、請求項57に記載の化粧品アセンブリ。
【請求項60】
容器の閉鎖位置において、閉鎖部材が容器にねじ留めされることを特徴とする、請求項57から59のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項61】
容器の閉鎖位置において、閉鎖部材がねじ留め以外、特にクリック留め、接合または溶接により容器に連結されることを特徴とする、請求項57から60のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項62】
組成物が容器内部で加圧されることを特徴とする、請求項57から61のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項63】
組成物が容器内部で実質上、大気圧であることを特徴とする、請求項57から61のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項64】
ケラチン物質、特に皮膚または唇への請求項1から56のいずれか一項に記載の組成物の適用を含む、ケラチン物質、特に皮膚または唇をメークアップまたはケアするための非治療的化粧方法。
【請求項65】
ケラチン物質、特に皮膚または唇における耐移行性の堆積、特に耐移行性のメークアップ結果を得るための、請求項1から56のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項66】
ケラチン物質、特に皮膚または唇における耐移行性の堆積、特に耐移行性のメークアップ結果を得るための、化粧品として許容できる有機液体媒体を含む化粧品組成物中におけるスチレンを含まないかつ/または非エラストマー性の皮膜形成性直鎖状ブロックエチレン系ポリマーの使用であって、前記ポリマーが組成物中に十分な量で存在する場合、前記組成物が35%以下の移行を有する堆積を形成することができるポリマーの使用。

【公表番号】特表2006−507366(P2006−507366A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−501932(P2005−501932)
【出願日】平成15年9月26日(2003.9.26)
【国際出願番号】PCT/FR2003/002845
【国際公開番号】WO2004/028491
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】