説明

配向された熱可塑性エラストマーフィルムの製造方法

【課題】透過性が低く、耐疲労性が改良された配向熱可塑性エラストマーフィルムの製造方法の提供。
【解決手段】(A)ハロゲン化イソブチレンエラストマー及び(B)ポリアミドの動的架橋されたポリマーブレンドを含んでなる透過性が低減され、耐疲労性が改良された配向熱可塑性エラストマーフィルムの製造方法であって、作製されたフィルムの平面複屈折(PBR)が0.002と等しいか又はそれより大きくなるように、ダイリップの剪断速度をフィルムの分子配向を制御するように調整して前記ポリマーブレンドをキャスト又はインフレーション成形する製造方法。
【選択図】図1

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過性が低減され、耐疲労性が改良された配向した熱可塑性エラストマーフィルムの製造方法に関する。更に詳しくは、本発明はガス透過を低減させるために面配向性の高い熱可塑性エラストマーフィルム組成物を製造する方法及びそれを用いて空気入りタイヤを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は空気入りタイヤのガスバリヤー層として優れた、低透過性熱可塑性エラストマー組成物を開示している。この熱可塑性エラストマー組成物は、ポリアミド又はポリアミドのブレンドのような低透過性熱可塑性マトリックスからなり、そこに低透過性ゴム、例えばイソブチレン−p−メチルスチレン共重合体の臭素化物(即ちBIMS)が分散されている。続いて特許文献2及び3の両方には熱可塑性部の相連続性とゴム分散体の微細化を達成するために、熱可塑性マトリックス及びゴム分散体の粘度比は体積分率比の関数として特定され、そして独立に1に近づけられている。特許文献3には、受け入れ得る耐久性を提供するために、特にそれらの空気入りタイヤのインナーライナーとしての使用するために、これらの熱可塑性エラストマーにおける、より小さいゴム分散体の重要性が認識されている。
【0003】
更に、これらの低透過熱可塑性エラストマーの低透過の改良が面配向性(planar
orientation)に着目することによって達成されている。特許文献4には、物性増強及び透過低減のために熱可塑性エラストマーフィルムに配向を導入することが概念的に開示されている。この特許文献には実験データは何ら記載されていない。更にこの特許文献に特定されている方法は、当該フィルムが歪硬化特性(strain hardening characteristics)及び適度の伸長流動性(stretching dynamics)を有するとの推定によって延伸(drafting)、幅出し(teutering)及び熱セットを通してキャストフィルムを2軸配向させることを含んでいる。本発明においては熱可塑性エラストマーキャストフィルムを単にフィルムキャスト比及び/又はフィルムインフレーション化プロセスによってフィルムの物性を改良しようとするものである。この熱可塑性エラストマーフィルムは続く2軸配向プロセスによって配向させるのに適した伸長流動性を有していない。
【0004】
【特許文献1】欧州特許第722850号
【特許文献2】欧州特許出願公開第857761号
【特許文献3】欧州特許出願公開第969039号
【特許文献4】WO第0214410号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、透過性が低減され、耐疲労性が改良された配向した熱可塑性エラストマーフィルムの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従えば(A)ハロゲン化イソブチレンエラストマー及び(B)ポリアミドのブレンドの動的架橋によって透過性が低減され、耐疲労性が改良された配向熱可塑性エラストマーフィルムの製造方法であって、以下の式で測定したフィルムの平面複屈折(PBR):PBR=[(n1+n2)/2]/2−n3
(ここでn1、n2及びn3は、それぞれ、機械方向、横断方向及びフィルム法線方向に沿った屈折率である)
が0.002と等しいか又はそれより大きくなるように、フィルムを作製する時のダイリップの剪断速度をフィルムの分子配向を制御するように調整して前記ポリマーブレンドをキャスト又はインフレーション成形することを含んでなる配向熱可塑性エラストマーフィルムの製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本明細書及び特許請求の範囲において、単数形は、文脈からそうでないことが明らかでない限り、複数形も含むものとする。
【0008】
本発明は、低減された透過及び改良された耐疲労性を有する配向熱可塑性エラストマーフィルムの製造方法に関する。
【0009】
更に詳しくは面配向の高められた熱可塑性エラストマーフィルムを製造するためのフィルムキャスト化及びインフレーションプロセス並びにそれを用いた空気入りタイヤの製造プロセスに関する。
【0010】
本発明によって製造される配向熱可塑性エラストマーフィルムの好ましい平面複屈折は0.002に等しいか、又はそれ以上である。この配向はキャスト化及びインフレーション化中の巻取り速度の増大又はフィルムインフレーション中のブローアップ化の増大によって達成することができる。
【0011】
以下に、本発明を、フィルムの面配向度とフィルムの透過係数との間の相関を示す図1を参照して、そのより良き理解のために説明する。
【0012】
前記熱可塑性エラストマー組成物はハロゲン化イソブチレンエラストマーとポリアミドとのブレンドで、動的に架橋される。
【0013】
ここで「動的架橋」とはエンジニアリング樹脂と架橋可能なエラストマーとが高剪断条件下に架橋される架橋プロセスをいう。その結果、架橋可能なエラストマーは、架橋されると同時に、エンジニアリング樹脂のマトリックス中に「ミクロゲル」の微細粒子として分散する。
【0014】
動的架橋は、ロールミル、バンバリー(商標)ミキサー、連続ミキサー、ニーダー又は混合用押出機(例えば2軸押出機)などの装置中で、エラストマーの架橋温度又はそれより高い温度で各成分を混合することにより行われる。動的架橋された組成物の独特の特性は、エラストマー成分が完全に架橋されたとしても、組成物が汎用の熱可塑性樹脂加工技術、例えば押出、射出成形、圧縮成型などによって加工及び再加工することができる。スクラップやフラッシングは利用し、かつ再加工することができる。
【0015】
好ましい態様において、ハロゲン化イソブチレンエラストマー成分は、例えば欧州特許出願第0344021号に記載のように、イソブチレン及びp−アルキルスチレンの共重合体を含む。この共重合体は実質的に均質の組成分布を有する。p−アルキルスチレン部分の好ましいアルキル基は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5の1級ハロアルキル基、2級ハロアルキル基及びこれらの混合物である。好ましい共重合体はイソブチレン及びp−メチルスチレンを含む。
【0016】
適当なハロゲン化イソブチレンエラストマー成分は数平均分子量Mnが少なくとも約25,000、好ましくは少なくとも約50,000、好ましくは少なくとも約100,000、好ましくは少なくとも約150,000の共重合体(例えば臭素化イソブチレン−p−メチルスチレン共重合体)を含む。これらの共重合体は、また、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比、即ちMw/Mnが約6より小さく、好ましくは約4より小さく、更に好ましくは約2.5より小さく、最も好ましくは約2.0より小さくすることができる。別の態様において、適当なハロゲン化イソブチレンエラストマー成分は125℃におけるムーニー粘度(1+4)(ASTM D 1646−99に準拠して測定)が25又はそれ以上、好ましくは30又はそれ以上、更に好ましくは40又はそれ以上の共重合体(例えば臭素化イソブチレン−p−メチルスチレン共重合体)を含む。
【0017】
好ましい臭素化イソブチレン及びp−メチルスチレンの共重合体はp−メチルスチレン5〜12重量%、臭素化p−メチルスチレン0.3〜1.8モル%及び125℃でのムーニー粘度(1+4)30〜65(ASTM D 1646−99に準拠して測定)を有する共重合体を含む。
【0018】
本発明に従ったハロゲン化イソブチレンエラストマー成分(A)は、イソブチレンと、コモノマーの合計量に対し、約0.5〜25重量%、好ましくは約2〜20重量%のp−アルキルスチレン、好ましくはp−メチルスチレンから、そしてハロゲン化することにより製造することができる。ハロゲン(例えばBr及び/又はCl、好ましくはBr)の含量は、共重合体合計量に対し約10重量%より少ないのが好ましく、約0.1〜7重量%であるのが更に好ましい。
【0019】
前記共重合は、例えば1989年11月29日に公開された欧州特許出願公開第34402号(EP 34402A)に記載のような公知の方法で実施することができ、前記ハロゲン化は、例えば米国特許第4548995号に記載のような公知の方法で実施することができる。
【0020】
ハロゲン化イソブチレンエラストマーは、好ましくは少なくとも約25,000、更に好ましくは少なくとも約100,000の数平均分子量(Mn)を有し、そして好ましくは約10より小さい、更に好ましくは約8より小さい数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比、即ちMw/Mnを有する。
【0021】
本発明において使用できるポリアミドは、ポリマー鎖中にアミド繰り返し単位を有するコポリマー及びターポリマーなどの結晶化又は樹脂状、高分子量固形ポリマーを含む熱可塑性ポリアミド(ナイロン)である。ポリアミドはε−ラクラム、例えばカプロラクタム、ピロリジオン(pyrrolidione)、ラウリルラクタム及びアミノウンデカンラクタムの一つ又はそれ以上の重合によって、もしくはアミノ酸の重合によって、又は二塩基酸とジアミンとの縮合によって製造することができる。繊維形成性及び成型グレートナイロンの両方とも適当である。そのようなポリアミドの例はポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリラウリルラクタム(ナイロン12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ナイロン69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンイソフタラミド(ナイロン6IP)、そして11−アミノ−ウンデカン酸の縮合生成物(ナイロン11)である。ナイロン6(N6)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン6/66コポリマー(N6/66)、ナイロン610(N610)、ナイロン46、ナイロンMXD6、ナイロン69及びナイロン612(N612)を使用することもできる。これらの共重合体、それらの任意のブレンドも使用することができる。満足できるポリアミドの追加の例(特に軟化点が275℃より低いもの)は、Kirk−Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology、10巻、919頁及びEncyclopedia of Polymer Science and Technology、10巻、919頁に記載されている。市販の熱可塑性ポリアミドは本発明の実施に有利に使用することができ、軟化点又は溶融点が160〜230℃の線状結晶ポリアミドが好ましい。
【0022】
本発明において使用できるエラストマー(A)及びポリアミドの量は、それぞれ、好ましくは95〜25重量部及び5〜75重量部、更に好ましくは90〜25重量部及び10〜75重量部である(成分(A)及び(B)の合計量が100重量部である)。
【0023】
本発明において製造される配向熱可塑性エラストマーフィルムは、前述の必須成分に加えて、加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤、種々のオイル、老化防止剤、補強剤、可塑剤、軟化剤又はその他の一般のゴム中に混合されている各種添加剤を含むことができる。これらの添加剤は一般的な方法で混合、加硫して加硫又は架橋用に使用される組成物とすることができる。これらの添加される添加剤の量は、本発明の目的に反しない限り、従来から一般に用いられた量とすることができる。
【実施例】
【0024】
以下、実施例に従って本発明を更に説明するが、本発明をこれらの実施例に限定するものでないことはいうまでもない。
【0025】
以下の例において使用した成分として次の市販製品を用いた。
1.樹脂成分
ナイロン1:N11(Rilsan BESN O TL)とN6/66(宇部5033B)とのブレンド
ナイロン2:N6/66(CM6001FS)
添加剤1:可塑剤:N−ブチルベンゼンスルホンアミド
相溶化剤:AR−201
添加剤2:安定化剤:イルガノックス(Irganox)1098、チヌビン(Tin
uvin)622LD及びCuI
【0026】
2.ゴム成分
BIMS:エクソンモービル ケミカル カンパニー(ExxonMobil Chemical Company)から商品名EXXPRO 89−4で市販されている、ムーニー粘度約45、p−メチルスチレン約5重量%及び臭素約0.75モル%のイソブチレン及びp−メチルスチレンの臭素化共重合体
DM16D:ヘキサデシルジメチルアミン(Akzo Nobel)
6PPD:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン
ZnO:酸化亜鉛(架橋剤)
St−acid:ステアリン酸(架橋剤)
ZnSt:ステアリン酸亜鉛(架橋剤)
MBTS:ベンゾチアジルジスルフィド
【0027】
3.防着剤
タルク:ケイ酸マグネシウム水和物(Ciba)
ZnO:酸化亜鉛
IGAFOS:イガフォス(Igafos)168老化防止剤(Ciba)
【0028】
実施例及び比較例の評価に使用した試験方法は以下の通りである。
A)体積平均等価分散径(volume average equivalent dispersion diameter)及び数平均等価分散径(number average equivalent dispersion diameter)の測定
これらのフィルムに、タッピング法AFMを適用して分散径及び径分布を評価した。すべてのフィルムサンプルはReichert極低温マイクロトームを用いてダイアモンドナイフで−150℃で凍結切削とした。面出ししたサンプルは乾燥窒素ガスを流したデンケーター中で湿分なしで周囲温度まであたためた。サンプルはAFM(DI−3000 Digital Instrnment)を用いて、角型225−μmシリコンカンチレバーでタッピングモードで凍結切削の後24時間試験した。すべてのタッピング相AFMマイクログラフはTIFF型式に変換し、そしてイメージ増強用のPHOTOSHOP(Adobe Systems)を用いて処理した。すべてのイメージ測定は、市販のイメージプロセスツールキッド(Reindeer Games)を、PHOTOSHOPにアタッチメントとして用いて、実施した。イメージ測定の結果は次のエクセル(Microsoft)によるデータ処理のためにテキストファイルに書き込んだ。数平均分散径Dnは以下のようにして計算した。
【0029】
Dn=Σ(n11)/Σ(n1
1は個々の分散体の等価直径(equivalent diameter)であり、n1はD1の等価直径を有する分散体の数である。体積平均分散径Dvは以下のように表される。
Dv=Σ(n114)/Σ(n113
式中、n1はD1の等価直径を有する分散体の数である。
【0030】
B)耐久性(低温疲労性)
フィルム及びカーカスコンパウンドを接着剤と共に積層し、190℃で10分間架橋させた。次にJIS−2号ダンベル形に打抜き、6.67Hg及び40%歪で−20℃での寿命試験に用いた。
【0031】
C)Moconによる酸素透過係数
酸素透過係数はMocon OX−TRAN 2/61透過性試験機を用いて60℃で実施した。
【0032】
D)Metriconによる主屈折率
操作波長632.8nmでMetriconを用い、3つの主屈折率を測定した。平面複屈折率、PBR及び平均屈折率、nは以下の式において計算する。
【0033】
PBR=(n1+n2)/2−n3 (3)
n=(n1+n2+n3)/3 (4)
ここでn1,n2及びn3は、それぞれ、機械方向、横断方向及びフィルム法線方向に沿った屈折率である。
【0034】
例1〜8
BIMSを、密閉型バンバリーミキサーで、架橋剤と予備配合し、ナイロンとの混合前に防着剤を用いてペレット化した。ナイロンとBIMSとの混合及び動的架橋は2軸押出機を用いて約230℃で実施した。これらの混合の後にキャスト化又はインフレーションによってフィルムとした。これらのフィルムから2”径のディスクを切り出し透過度測定の前に60℃で一夜真空オーブン中でコンディショニングした。これらのフィルムの60℃での酸素透過係数はMocon OX−TRAN 2/61透過度試験機を用いて測定した。これらのフィルムの3つの主要方向に沿った主屈折率はMetriconプリズムカップリングデバイスを用いて求めた。操作波長は低出力He−Neレーザーによって発生した632.8nmであった。これらの三つの主反射率を用いて、以下のようにして平均屈折率を計算できる。
【0035】
<n>=(n1+n2+n3)/3
式中、<n>は平均屈折率であり、1,2及び3は、それぞれ、機械方向、横断方向及び法線方向(フィルム面に対して法線方向)を指す。相対面配向は平面複屈折率、又はPBRを用いて以下の式で表すことができる(米国特許第5385704号参照)。
PBR=(n1+n2)/2−n3
【0036】
例1〜8において、ナイロン1マトリックスは、表1に示すように、可塑剤及び相溶化剤を添加して用いた。可塑剤を有するナイロン1マトリックスはその粘度がBIMSの粘度に近接している。MBTSは架橋遅延剤であり、DM16Dは粘度上昇剤である。これらは両者ともBIMSのベンジル化臭素と反応して、そのナイロンとの反応適合性に影響を与えることができる。このMBTS及びDM16DによるBIMSとナイロンとの界面結合の変性のために、フィルムキャスト化又はインフレーション化の際のナイロンの配向が影響を受ける。表1に示すように、同じキャストダイを用いた巻取り速度の増大によるキャストフィルム厚の減少によって面配向度が増大し、それに伴なって透過度が減少する。インフレーションフィルムの透過度はフィルム表面の接着剤の故に測定できないが、ダイ又はブローアップ化を変更することなく巻取速度の増大によってフィルム厚が減少することも面配向の増大に通ずる。MBTS及びDM16Dの添加は配向度の低下に通ずる。全体的には、PBRと透過度との間には強い相関がある。本発明者らは表1に示すように、すべてのフィルムに対して同じナイロンマトリックスを用いているので、ナイロンの密度又は結晶化度を示す平均屈折率は一定に保たれる。結果は図1にプロットし、例4,7及び8(即ちプロット#4,#7及び#8参照)は本発明の範囲内ではなかった。
【0037】
【表1】

【0038】
例9〜13
例9〜13においては、可塑剤及び相溶化剤を用いることなく、ナイロン1マトリックスを用いた。6PPDは混合温度230℃でBIMSをベンジル化臭素を通して架橋する架橋剤として作用し、それ故反応相溶化からではない。DM16DはBIMSの粘度上昇剤であり、BIMSのベンジル化臭素とも反応する。DM16D及び6PPDの使用による界面結合の変性は、表2に示すように、面配向度を著しく低下させ、そしてフィルム透過度を増大させる。結果は図1に示す。それでもPBRと透過との間に良好な相関を認めることができた。表1の屈折率に比較して高い屈折率はナイロンマトリックスが可塑剤を含まないことを反映している。従って、より高い密度又はより高い屈折率が期待される。
【0039】
【表2】

【0040】
例14〜19
例14〜19においては、N11及び可塑剤を用いることなく、ナイロン2マトリックスを用いた。ナイロン2とのブレンドに際して、例えばDM16D及び6PPDのような粘度変性剤が良好な粘度整合性及び微細なBIMSゴム分散性を得るために必要である。表3にあげた防着剤に対して使用した濃度は0.5〜1phrである。表3に示したように、防着剤としてZnOを用いると配向が著しく影響される。この防着剤は架橋剤として作用することができるので、ナイロンとの反応混和性のためにBIMSからベンジル臭素を除く。BIMSからのベンジル臭素の大幅な除去はナイロンとBIMS分散体との界面結合を低下させ、そしてフィルム製造プロセスのナイロンを配向させる能力を低下させる。しかしながら、PBRと透過度の全体的相関は保持される。表2の屈折率に比較して更に一層高い屈折率がN6/66マトリックスを用いた場合の結果である。結果は図1に示す。
【0041】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1はフィルムの面配向度と透過係数との相関を示す図面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ハロゲン化イソブチレンエラストマー及び(B)ポリアミドのブレンドの動的架橋によって透過性が低減され、耐疲労性が改良された配向熱可塑性エラストマーフィルムの製造方法であって、以下の式で測定したフィルムの平面複屈折(PBR):PBR=[(n1+n2)/2]/2−n3
(ここでn1、n2及びn3は、それぞれ、機械方向、横断方向及びフィルム法線方向に沿った屈折率である)
が0.002と等しいか又はそれより大きくなるように、フィルムを作製する時のダイリップの剪断速度をフィルムの分子配向を制御するように調整して前記ポリマーブレンドをキャスト又はインフレーション成形することを含んでなる配向熱可塑性エラストマーフィルムの製造方法
【請求項2】
前記ハロゲン化イソブチレンエラストマー(A)の量が95〜25重量部で、ポリアミド(B)の量が5〜75重量部(但し成分(A)及び(B)の合計量100重量部)である請求項1に記載の配向熱可塑性エラストマーフィルムの製造方法
【請求項3】
前記ハロゲン化イソブチレンエラストマーがイソブチレン−p−メチルスチレンの共重合体の臭素化物である請求項1又は2に記載の配向熱可塑性エラストマーフィルムの製造方法
【請求項4】
前記ポリアミドがポリマー鎖中にアミド繰り返し単位を有する、結晶化又は樹脂状、高分子量固形コポリマー及びターポリマーから選ばれた少なくとも一つである請求項1,2又は3に記載の配向熱可塑性エラストマーフィルムの製造方法
【請求項5】
前記ポリアミドがナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン46、ナイロンMXD6、ナイロン6/66及びこれらの共重合体並びにそれらのブレンドからなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項4に記載の配向熱可塑性エラストマーフィルムの製造方法

【図1】
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【公開番号】特開2008−302702(P2008−302702A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203430(P2008−203430)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【分割の表示】特願2004−569394(P2004−569394)の分割
【原出願日】平成15年3月6日(2003.3.6)
【出願人】(505335740)エクソンモービル ケミカル パテンツ,インコーポレイティド (17)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】