説明

配管内監視装置およびそれを用いる配管内監視システム

【課題】配管内の状態を監視する装置において、流量低下要因を容易に判別可能とする。
【解決手段】配管経路に検査用透明配管11を介在し、照明光源15でその検査用透明配管11の外側から検査用の照明光を照射し、それによる該検査用透明配管11の透過または反射光をカメラ16で撮像し、パーソナルコンピュータ17で光強度を解析することで、該検査用透明配管11の内壁への付着物の状態を検出する。したがって、設備経路配管全体の内壁の錆び、スケール、スライム等の付着状態を、簡便に安価な方法で連続して監視することができる。また、経路配管全体の情報が得られるので、配管内流量に低下が生じている場合、その原因が配管全体の内壁への固体付着による管径細りなのか、局所的な異物付着なのかを簡単に判別することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水などの流体が流れる配管の内壁への付着物の状態、具体的には、錆び、スケール、スライム等の付着状態を監視するための装置およびそれを用いる配管内監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
前記配管内壁に付着する錆び、スケール、スライム等は、配管の目詰まりを生じるので、これらの付着状態を監視することは、配管保全の重要な項目である。配管内目詰まりを検出するための方法としては、特許文献1が提案されている。その従来技術では、ポンプに接続される配管から構成される流動媒体の経路において、図14のように、配管101の外周の形状に沿って、複数のフィルム状の圧電センサ102,103を密着して設置しておく。そして、配管101内に詰まりが無い状態においてポンプ運転中に発生する圧力脈動の周波数近傍における隣接する圧電センサ間でのパワーの初期伝達係数を記憶し、調べたい所定の期間における伝達関数を同様にして求め、それらの伝達係数を対比することにより、詰まり104による伝達関数の低下を把握し、詰まり104の発生箇所を特定するというものである。これによって、簡便に配管101内の詰まり104箇所の特定を、効率良く行えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−74571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来技術は、局部的な検査には有効であるが、設備配管の経路全体の情報あるいは配管を構成する個々の材質に応じた付着物の情報を得るための有効な方法ではない。具体的には、たとえば或る経路配管内の水圧が一定の条件において流量が低下した場合に、その原因が配管全体の内壁への固体付着による管径細りなのか、局所的な異物付着なのか、その判断が難しい。このように、これまで、設備配管の経路全体の情報ならびに配管材質に応じた付着物の情報を得るための有効な方法が無かったために、流量の低下の原因が、前記配管全体の内壁への固体付着による管径細りなのか、局所的な異物付着なのかを簡単に判別することができなかった。
【0005】
一方、配管内の状況を監視する他の手法として、ロボットを用いる方法があるが、或る程度の径の配管にしか適用できないとともに、流体の供給を止めなければならないという問題がある。また、ファイバースコープを用いる方法もあるが、前記特許文献1と同様に、詰まり箇所の特定には有効であるが、設備配管全体における付着物の情報を得るための有効な方法ではない。
【0006】
本発明の目的は、設備経路配管全体の内壁を、簡便に安価な方法で連続して監視することができる配管内監視装置およびそれを用いる配管内監視システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の配管内監視装置は、流体が流れる配管の内壁への付着物の状態を監視する装置であって、配管経路の途中に介在する検査用透明配管と、前記検査用透明配管の外側から検査用の照明光を照射する照射手段と、前記照明光の照射による前記検査用透明配管の透過または反射光の強度から、該検査用透明配管の内壁への前記付着物の状態を検出する検出手段とを含むことを特徴とする。
【0008】
上記の構成によれば、配管内壁への固体の付着、代表的なものでは水道管における錆の付着状態等、配管内の状態を監視する装置において、流体が流れる配管経路の一部を取替えたり、敷設時に予め準備しておくなどして、その配管経路に検査用透明配管を介在し、照明光源などの照射手段でその検査用透明配管の外側から検査用の照明光を照射し、それによる該検査用透明配管の透過または反射光の強度から、検出手段が該検査用透明配管の内壁への付着物の状態を検出する。
【0009】
したがって、設備経路配管全体の内壁の錆び、スケール、スライム等の付着状態を、簡便に安価な方法で連続して監視することができる。また、経路配管全体の情報が得られるので、配管内流量に低下が生じている場合、その原因が配管全体の内壁への固体付着による管径細りなのか、局所的な異物付着なのかを簡単に判別することもできる。すなわち、検査用透明配管への固体付着による光強度の低下が大きくないのに、流量低下が生じていると、何処かの箇所に詰まりが生じていると判定することができ、さらにその詰まり箇所を特定する場合は、前記特許文献1の手法など、他の方法を用いればよい。
【0010】
また、本発明の配管内監視装置は、前記検査用透明配管と同材質の配管から成り、前記検査用透明配管と並列で前記配管経路に接続されるバイパス配管と、前記バイパス配管を前記配管経路と連通する開弁状態と、遮断する閉弁状態とに切換えられるバルブと、前記バルブの操作によるバイパス配管の組入れと同時に、前記照射手段および検出手段を駆動して検出動作を行わせ、その検出結果を前記検査用透明配管での検出結果から減算することで、前記流体の濁り分を除去して、前記検査用透明配管の内壁への付着物の状態を検出する制御演算手段をさらに備えることが好ましい。
【0011】
上記の構成によれば、前記検査用透明配管と同材質の配管から成るバイパス配管に、制御演算手段は、バルブを操作して、透明配管と並行して、或いは切替えて、流体を流し、前記照射手段および検出手段に、その時のバイパス配管の透過または反射光の強度を測定させる。その透過または反射光の強度は、前記バイパス配管の管内に汚れがない状態では、流体の濁りに、バイパス配管自体による光量低下を表すものとなる。
【0012】
したがって、このバイパス配管による光量低下分を前記検査用透明配管での検出結果から減算することで、前記流体の濁り分とバイパス配管自体による光量低下とを除去して、該検査用透明配管の内壁への付着物の状態だけを検出することができる。さらには、管内に汚れがないバイパス配管に流体を流す前の状態で光強度を検出しておき、流した後の結果から減算することで、流体の濁りだけを正確に検出することもできる。
【0013】
さらにまた、本発明の配管内監視装置では、前記検出手段は、前記検査用透明配管およびバイパス配管の透過光を、少なくとも一直径線の投影断面に亘り撮像することができるカメラから成り、前記制御演算手段は、前記カメラの撮像画像における前記検査用透明配管部分およびバイパス配管部分の透過光強度のピークレベルを利用して前記減算を行うことが好ましい。
【0014】
上記の構成によれば、前記検出手段に、単純な光センサではなく、前記検査用透明配管およびバイパス配管の透過光を、少なくとも一直径線の投影断面に亘り(端から端まで)撮像することができるカメラを用いる。そして、前記制御演算手段は、前記カメラの撮像画像における前記検査用透明配管部分およびバイパス配管部分の透過光強度のピークレベルを利用して前記減算を行う。
【0015】
したがって、通常、透過光に管壁の影響が最も現われ難い配管中央部分の透過光強度から付着物の状態を検出することができ、検出精度を向上することができる。なお、上記の機能は、ラインセンサでも実現できるが、入手し易さや出力信号の扱い易さ、さらには配管から離れて検出できることから、上記のようにカメラが好ましい。
【0016】
また、本発明の配管内監視装置では、前記検査用透明配管の内壁には、前記配管経路を構成する配管の内壁の材料と同じ材料の薄膜が、前記照明光の透過を許容する厚さにコーティングされていることが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、検査用透明配管は塩化ビニール等の錆びない管で実現されるので、鉄管などの配管経路を構成する監視対象の配管の内壁の材料と同じ材料の薄膜を、蒸着やスパッタなどで、その内壁に、前記照明光の透過を許容する厚さにコーティングしておくことで、監視対象の配管と同じ条件で監視を行うことができる。
【0018】
さらにまた、本発明の配管内監視装置では、前記検査用透明配管と同材質の配管から成る参照用透明配管と、前記参照用透明配管の前記配管経路への着脱を可能にするバルブと、前記バルブの遮断により取外された参照用透明配管の内壁への付着物の厚さを測定する測定手段とをさらに備え、前記検出手段は、前記透過または反射光の強度と、対応する付着物の厚さとから、検量線を作成しておくことが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、前記検査用透明配管と同材質の配管から成るもう1つの参照用透明配管を設けて、2つの透明配管に同様に流体を流せるようにする一方、前記参照用透明配管にはバルブを設けて、該参照用透明配管を前記配管経路から取外せるようにしておく。そして、前記検出手段による前記透過または反射光の強度測定時に、適宜該参照用透明配管を前記配管経路から取外し、測定手段によって内壁への付着物の厚さを実際に測定し、これに合わせて、前記検出手段は、前記透過または反射光の強度と、対応する付着物の厚さとから、検量線を作成してゆく。
【0020】
したがって、作成された検量線は、水温やpHなど、設置環境によって異なる錆の発生状況を反映したものとなり、配管設備の更新後に、前回作成した検量線を用いて、前記透過または反射光の強度から、比較的正確に付着物の厚さを推定することができる。
【0021】
また、本発明の配管内監視システムは、鉄管または鉄基合金管から成り、内部に水が流れる配管経路と、前記の配管内監視装置と、前記配管経路に設けられて配管内の水を磁化する超電導磁石とを備え、前記配管内監視装置における検査用透明配管が当該配管内監視装置のバルブを介して前記配管経路に接続されることが好ましい。
【0022】
上記の構成によれば、超電導磁石で作成される磁気水による防錆効果を確認することができる。
【0023】
さらにまた、本発明の配管内監視システムでは、前記超電導磁石は、一対のコイルが、その軸方向に離間して配置されるスプリット型の超電導磁石であり、前記配管は前記一対のコイルの離間した空間内に配置されることが好ましい。
【0024】
上記の構成によれば、超電導磁石で発生した磁力線は管軸方向とは垂直な方向から加わることになり、配管内の水を、効率良く磁化することができるようになる。また、配管の材質は、磁性、非磁性を問わないが、鉄管などの磁性体から成る場合、一方のコイルで発生した磁力線の一部が配管内を通して他方のコイルへ磁路を形成するものの、多くの磁力線は、筒状の配管の薄い一方の壁をほぼ垂直に通り抜けて内部の水を通過し、他方の壁から他方のコイルへ抜けてゆくので、これによっても配管内の水を効率的に磁化することができる。さらにまた、既設の配管の周囲に、スプリット型の超電導磁石の一対のコイルを設置する空間があれば、既設の配管をそのままの状態にして、前記一対のコイルの離間した空間内に該配管が位置するようにコイルを設置するだけで超電導磁石の設置を行うことができ、構造を簡略化することもできる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の配管内監視装置およびそれを用いる配管内監視システムは、以上のように、配管内の状態を監視する装置において、配管経路に検査用透明配管を介在し、照明光源などの照射手段でその検査用透明配管の外側から検査用の照明光を照射し、それによる該検査用透明配管の透過または反射光の強度から、検出手段が該検査用透明配管の内壁への付着物の状態を検出する。
【0026】
それゆえ、設備経路配管全体の内壁の錆び、スケール、スライム等の付着状態を、簡便に安価な方法で連続して監視することができる。また、経路配管全体の情報が得られるので、配管内流量に低下が生じている場合、その原因が配管全体の内壁への固体付着による管径細りなのか、局所的な異物付着なのかを簡単に判別することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の一形態に係る配管内監視装置を用いる水処理システムのブロック図である。
【図2】前記配管内監視装置の一構成例を示す斜視図である。
【図3】本件発明者の第1の実験結果を示す図1の配管内監視装置のカメラによる配管の撮像画像である。
【図4】前記第1の実験結果から、透過光強度の分布を、配管の一直径線の投影断面に亘りプロットした結果を示すグラフである。
【図5】本発明の実施の第2の形態に係る配管内監視装置を用いる水処理システムのブロック図である。
【図6】本件発明者の第2の実験結果を示す図5の配管内監視装置のカメラによる配管の撮像画像である。
【図7】前記第2の実験結果から、透過光強度の分布を、配管の一直径線の投影断面に亘りプロットした結果を示すグラフである。
【図8】本発明の実施の第3の形態における本件発明者の第3の実験結果を示すグラフである。
【図9】本発明の実施の第3の形態における本件発明者の第3の実験結果を示すグラフである。
【図10】本発明の実施の第4の形態における本件発明者の第4の実験結果を示すグラフである。
【図11】本発明の実施の第5の形態に係る水処理システムのブロック図である。
【図12】前記第5の形態において、配管に鉄管を用いた場合における磁力線の伝搬経路図である。
【図13】本発明の実施の第6の形態に係る水処理システムにおける機能ブロック図である。
【図14】従来技術の配管内監視方法の一形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の第1の形態に係る配管内監視装置1を用いる水処理システム2のブロック図である。この水処理システム2は、冷却水管や空調用配管等の配管3内を、流体としての水が、閉ループで循環されるシステムを模したものである。前記冷却水管や空調用配管等の設備配管は、一般的に直管部では塩化ビニールなどのプラスチックでライニングされている。したがって、塩化ビニール管などプラスチック管内の付着状態と配管内を流れる水の濁りとを監視することが重要となる。そこで、この図1に示すような経路配管内に水を循環させる装置を組み立て、配管内監視装置1を後述の構成とする。
【0029】
前記配管3は、全長に亘り、錆が発生しないように、接合部も含めて一般的な不透明の前記塩化ビニール製で、内径は20mm、配管3部分の長さは、合計で10mの前記閉ループ状に形成され、その閉ループ内には、循環用のポンプ4およびそのポンプ4の上流側には、錆沈殿用の貯水タンク5が設けられる。また、この水処理システム2は、前記配管内監視装置1の機能を検証するためのものであり、該配管内監視装置1が循環経路の終端の貯水タンク5の上流側に設けられるとともに、錆の発生源6が、前記循環経路の始端のポンプ4の下流側に設けられている。前記配管内監視装置1の前後には、メンテナンス用にバルブ71,72が設けられている。
【0030】
一方、上述のような錆の発生しない配管3に対して、発生した錆の量を正確に測定できるように、前記発生源7を設置している。前記発生源7は、SPCC板(普通鋼板)を収容するボックスから成り、前記配管3に直列、すなわち該水処理システム2内を循環する総ての水が、この発生源7内を通過するように配置されている。前記SPCC板は、長さ10mm×幅20mm×厚さ2mmの大きさで、2枚が前記ボックスに設置され、ボックスは錆を発生しないように、ステンレス鋼製である。
【0031】
また、循環水としては、錆の生成速度を高めるために、通常の水道水にNaClを加えて、NaCl濃度を100ppmとしている。そして、ポンプ4は、貯水タンク5内の水を汲み上げて、経路内を20L/minの速度で循環させる。前記経路を通過した循環水は、最終、貯水タンク5に貯められ、特に重い錆び粒子は経路配管内を循環させずに、該貯水タンク5内に沈殿させ、該貯水タンク5内で沈殿せず、浮遊している比較的小さい錆粒子は、フィルタ除去などを行わず、循環水の中に浮遊したまま、配管3内を流れた。なお、必要に応じて、図示しないチラーなどを用いて、水温は25℃に保持した。
【0032】
図2は、前記配管内監視装置1の一構成例を示す斜視図である。この配管内監視装置1は、同種の2本の配管11,12と、照明手段である照明光源15と、検出手段であるカメラ16およびパーソナルコンピュータ17とを備えて構成される。
【0033】
前記配管11,12は、外径32mm×内径26mm×長さ300mmの透明な前記塩化ビニールパイプから成り、水平に配置される。その内の一方の配管11が検査用透明配管となり、前記バルブ71,72間に介在されて、閉ループ内の水が通過する。したがって、残余の配管3との径の関係で、配管11内の流速は若干低下する。これに対して、他方の配管12は、参照用透明配管となり、その両端が栓121,122で閉塞され、参照用のために循環水は流さないようにした。
【0034】
前記照明光源15は、2本の配管11,12を均等に照射できるように、下方に配置された、たとえば縦250mm×横180mmの発光部を有する蛍光灯光源から成る。この照明光源15から光を照射して、ポンプ4の稼動後、所定の時間が経過する毎に、上方から、すなわち配管11,12を透過する光を、カメラ16で撮像して、デジタル化したデータを、解析用のパソコン17に取り込む。なお、前記照明光源15は、可視の白色光を発生し、カメラ16もそれに適合しているので、外乱光を遮断するために、該配管内監視装置1内は、遮光状態とされる。また、照明光源15とカメラ16との間で用いる光の波長が、自然界で発生する光の影響を受けない場合には、特に遮光を行わなくてもよい。
【0035】
(実験1)
図3は、本件発明者の第1の実験結果を示す前記カメラ16による撮像画像である。右側が参照用パイプ(配管12)で、左側が循環水が流れている本管用パイプ(配管11)である。実験はポンプ4を480時間稼動させて行った。本管用パイプ(配管11)では、循環水に含まれている錆び粒子等が配管の内壁面に付着し、また循環水自体が濁っているので、参照用パイプ(配管12)に比べて濃い色をしている。
【0036】
図4は、パーソナルコンピュータ17において、図3の縦方向の中心位置の透過光強度の分布を、左端から右端まで、すなわち一直径線の投影断面に亘りプロットした結果を示すグラフである。透過光強度は、規格化し、任意単位である。このように、カメラ16のレンズ161は、2本の配管11,12の全幅に亘り、撮像可能な画角を有する。
【0037】
図4の結果は、当然ながら、照明光源15からの直達光がカメラ16に入射するパイプ(配管11,12)が無い背景の部分は透過光強度が最も高く、その次に参照用パイプ(配管12)で、循環水が流れている本管用パイプ(配管11)の透過光強度が最も低くなっている。これらの参照用パイプ(配管12)と本管用パイプ(配管11)との最大透過光強度の差(図4のAとBとの差)が、配管3の内壁面の錆び粒子等の付着および濁りによる透過光の減少分に相当し、ここでは、227.1−24.4=202.7(任意単位)である。
【0038】
以上のように、本実施の形態の配管内監視装置1は、配管3の内壁への固体の付着、代表的なものでは水道管における錆の付着状態等、配管3内の状態を監視するにあたって、水が流れる配管経路の一部を取替えたり、敷設時に予め準備しておくなどして、その配管経路に透明配管11を検査用に介在し、照明光源15によってその透明配管11の外側から検査用の照明光を照射し、それによる透明配管11の透過光強度をカメラ16で検出し、その検出結果から、パーソナルコンピュータ17によってその透明配管11の内壁への付着物の状態を検出する。
【0039】
したがって、設備経路配管全体の内壁の錆び、スケール、スライム等の付着状態を、簡便に安価な方法で連続して監視することができる。また、経路配管全体の情報が得られるので、配管内流量に低下が生じている場合、その原因が配管3全体の内壁への固体付着による管径細りなのか、局所的な異物付着なのかを簡単に判別することもできる。すなわち、透明配管11への固体付着による光強度の低下が大きくないのに、流量低下が生じていると、何処かの箇所に詰まりが生じていると判定することができ、さらにその詰まり箇所を特定する場合は、前記特許文献1の手法など、他の方法を用いればよい。こうして、経路配管全体の情報ならびに配管材質に応じた付着物の情報が得られれば、流量の低下の原因を判別することができ、その対処方法を決めることができる。
【0040】
なお、上述の例では、透過光強度を測定したが、配管3内の壁面の錆び粒子等の付着および濁りによって、反射光強度も同様に変化するので、照明光源15と同じ側にカメラ16を設置して、反射光強度を計測するようにしてもよい。
【0041】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の第2の形態に係る配管内監視装置1’を用いる水処理システム2’のブロック図である。この水処理システム2’は、配管内監視装置1’が異なるだけで、前述の水処理システム2と同様に構成される。注目すべきは、この配管内監視装置1’では、前記透明配管11と同材質の配管から成り、バイパス用透明配管であるバイパス配管13を新たに設け、循環水を流せるようにしたことである。バイパス配管13は、透明配管11と同様に、その両側に設けたバルブ73,74によって経路配管に介在されて、閉ループ内の水が通過する。バルブ73,74は、バルブ71,72の開閉に係わらず、バイパス配管13へ循環水を流すか否かを切替えられるように、該バルブ73,74への分岐配管75は、バルブ71,72の外側に設けられている。
【0042】
(実験2)
そして、ポンプ稼動開始480.05h後に、制御演算手段であるパーソナルコンピュータ17が、本管のバルブ71,72を閉め、バイパス配管13のバルブ73,74を開けて、循環水を流している間に、実験1と同様にして、バイパス用パイプ(配管13)と参照用パイプ(配管12)との透過光像をカメラ16で撮影した。撮影は、バイパス用パイプ(配管13)に循環水を流している時間をできるだけ短くする、たとえば1min以下とするために、短時間で行う必要がある。撮影後、バルブ73,74とバルブ71,72とを切替え、再び本管用パイプ(配管11)に循環水が流れるようにして、参照用パイプ(配管12)と撮影を行った。
【0043】
バルブ73,74とバルブ71,72とを切替え、再び本管用パイプ(配管11)に循環水が流れるようにした後、バイパス用パイプ(配管13)には、外部よりエアを導入してフラッシングをして、配管の内壁面に付着しているかもしれない小さな粒子を除去して初期の状態に戻し、次回の測定に備えた。バイパス用パイプ(配管13)に毎回新品を使用できる場合は、前記フラッシングの必要はない。
【0044】
なお、カメラ16の撮像範囲が広く、かつ充分な解像度が確保できる場合には、71〜74を開けて、3本のパイプ(配管11〜13)の透過光像を同時に撮影してもよい。その場合は、2本のパイプ(配管11,13)を流れる水量は、1/2となるが、2本のパイプ(配管11,13)が同じ条件であるので、問題はない。
【0045】
図6は、本件発明者の第2の実験結果を示す前記カメラ16による撮像画像である。右側が循環水が流れているバイパス用パイプ(配管13)で、左側が参照用パイプ(配管12)である。バイパス用パイプ(配管13)に循環水を流す時間は、前述のように1min以下の短い時間なので、該バイパス用パイプ(配管13)の壁面に付着した錆び粒子等はほとんど無く、図3の本管用パイプ(配管11)と比べて、透過光量が多くなっている。そして、それでも生じている光量低下は、循環水の濁りによるものと思われる。
【0046】
図7は、図4と同様に、パーソナルコンピュータ17において、図6の縦方向の中心位置の透過光強度の分布を、左端から右端までプロットした結果を示すグラフである。これらの参照用パイプ(配管12)とバイパス用パイプ(配管13)との最大透過光強度の差(図7のAとCとの差)が、循環水の濁りによる透過光の減少分に相当し、ここでは、227.1−81.0=146.1(任意単位)である。
【0047】
したがって、制御演算手段であるパーソナルコンピュータ17において、図4で求められる配管3の内壁面の錆び粒子等の付着や濁りによる透過光の減少分から、図7で求められる循環水の濁りによる透過光強度の減少分を差し引くことにより、配管3内の壁面の錆び粒子等の付着による透過光強度の減少分が、202.7−146.1=56.6(任意単位)と求めることができる。これは、図7のCの値(81.0)から、図4のBの値(24.4)を差し引いても得られる。
【0048】
このように本実施の形態の配管内監視装置1’では、制御演算手段であるパーソナルコンピュータ17は、管内に汚れがないバイパス配管13に、バルブ73,74を操作して、透明配管11と並行して、或いは切替えて、循環水を流し、前記照明光源15およびカメラ16に、その時のバイパス配管13の透過または反射光の強度を測定させる。したがって、そのバイパス配管13の透過または反射光の強度は、循環水の濁りに、バイパス配管13自体による光量低下を表すものとなる。そこで、このバイパス配管13による光量低下分を前記透明配管11での検出結果から減算することで、前記循環水の濁り分とバイパス配管13自体による光量低下とを除去して、前記透明配管11の内壁への付着物の状態だけを検出することができる。さらには、そのバイパス配管11に循環水を流す前の状態で光強度を検出しておき、流した後の結果から減算することで、循環水の濁りだけを正確に検出することもできる。
【0049】
また、本実施形態の配管内監視装置1’では、検出手段として、単純な光センサではなく、前記透明配管11およびバイパス配管13の透過光を、少なくとも一直径線の投影断面に亘り(端から端まで)撮像することができるカメラ16を用い、制御演算手段であるパーソナルコンピュータ17は、前記カメラ16の撮像画像における前記透明配管11部分およびバイパス配管13部分の透過光強度のピークレベルを利用して前記減算を行う。
【0050】
したがって、通常、透過光に管壁の影響が最も現われ難い配管中央部分の透過光強度から付着物の状態を検出することができ、検出精度を向上することができる。なお、上記の機能は、ラインセンサでも実現できるが、入手し易さや出力信号の扱い易さ、さらには配管から離れて検出できることから、上記のようにカメラ16が好ましい。
【0051】
(実施の形態3)
(実験3)
図8は、本発明の実施の第3の実施形態における本件発明者の実験結果を示すグラフである。このグラフは、横軸に管内壁への付着物の厚さを示し、縦軸に透過光強度を示す検量線のグラフである。注目すべきは、本実施の形態では、透明配管11と同材質の配管から成るもう1つの透明配管である前記バイパス配管13ならびにそれに伴う配管75およびバルブ73,74を備える前記配管内監視装置1’を用い、前記バルブ73,74を遮断して前記バイパス配管13を取外し、その取外したバイパス配管13の内壁への付着物の厚さを測定手段で実際に測定し、検出手段である前記パーソナルコンピュータ17において、前記透過光の強度と、対応する付着物の厚さとから、前記検量線を作成しておくことである。
【0052】
具体的には、前記バイパス配管13として、前記透明配管11と同材質の塩化ビニールパイプを前記バルブ73,74間に固定し設置する。その後、実験2と同様にして、所定のポンプ稼動時間が経過した時点で、配管内監視装置1’により、参照用パイプ(配管12)、本管用パイプ(配管11)、バイパス用パイプ(配管13)の透過像を撮影した。そして、撮影後に、バルブ73,74を遮断して、バイパス用パイプ(配管13)を配管75から取外して長さ50mmだけ切り出し、短くなった部分には他のパイプを継ぎ足して、再び配管75へ取付ける作業を、前記所定のポンプ稼動時間が経過した撮影のたびに行った。
【0053】
また、切り出したパイプサンプルは、乾燥させて、配管内壁に付着した錆び等によって形成される付着層を取り出し、その平均厚さd(mm)を測定した。平均厚さdは、最低5箇所以上の付着層の厚さを、測定手段である光学顕微鏡によって測定して、それを加算平均して求めた。
【0054】
一方、撮影した透過光強度から、配管内の壁面の錆び粒子等の付着による透過光強度の減少分I(=C−B)を求めた。透過光強度の減少分Iは、付着層の平均厚さdの関数なので、I(d)となり、ポンプ稼動前の初期状態の本管用パイプ(配管11)の最大透過光強度をI0として、I(d)/I0をプロットした結果、前記図8のようになった。これは、付着層の平均厚さdと、透過光強度の減少分Iとの前記検量線に相当するもので、以後はこの検量線を用いて、透過光強度の減少分Iの測定値から、付着層の平均厚さdの値を推定することができる。
【0055】
ここで、この検量線は、付着層の材質や水温等に依存して異なり、付着層の材質は循環水の温度、pH、溶け込んでいる塩のイオン濃度等の循環水の性質や、配管内監視装置1’の照明光源15の発光スペクトルなどによって変化するので、予め循環水を流す環境において検量線を求めておくことが望ましい。
【0056】
このように構成することで、作成された検量線は、前記水温やpHなど、設置環境によって異なる錆の発生状況を反映したものとなり、配管設備の更新後に、前回作成した検量線を用いて、前記透過または反射光の強度から、比較的正確に付着層の平均厚さdを推定することができる。
【0057】
上述の例では、厳密を期すために、実際にバイパス用パイプ(配管13)切出して、循環水の循環とは別途に、付着層の平均厚さdの測定を行ったけれども、同じサンプルを、外して乾燥して厚みを測って再び戻しても、測定に要する数時間〜数日程度は、全測定期間からすれば僅かで、影響が少ない場合は、そのようにしてもよい。
【0058】
(実施の形態4)
(実験4)
図9および図10は、本発明の実施の第4の実施形態における本件発明者の実験結果を示すグラフである。これらのグラフは、それぞれ前述の図4および図7に類似している。すなわち、3本の配管の縦方向の中心位置の透過光強度の分布を示すもので、図9は本管用パイプ(配管11)と参照用パイプ(配管12)、図10は参照用パイプ(配管12)とバイパス用パイプ(配管13)とである。注目すべきは、本実施の形態では、前記塩化ビニール等の錆びない透明配管から成る配管11〜13には、その内壁に、配管経路を構成する配管の内壁の材料と同じ材料の薄膜が、前記照明光の透過を許容する厚さにコーティングされていることである。
【0059】
具体的には、真空チェンバの中で、前記透明の塩化ビニールパイプの中に、直径が0.5mmの鉄製フィラメントを挿入し、そのフィラメントに電流を流して加熱することによって、フィラメントから鉄原子を蒸発させて、透明の塩化ビニールパイプの内壁に、厚さ3nmの鉄薄膜を蒸着している。このような薄い膜であれば、可視光を透過するので、透明の塩化ビニールパイプを用いた第1および第2の実施の形態と同様に、配管内監視装置1,1’で撮像することが可能である。この鉄薄膜を蒸着したパイプでは、内表面が塩化ビニールではなく、鉄であるので、鉄製配管と同じ状態を監視することが可能となる。
【0060】
実験4は、この鉄薄膜を内壁に蒸着した塩化ビニールパイプを前記3本の会館11〜13として用い、第1および第2の実施の形態と同様に循環水を流した。配管経路において、該配管内監視装置1,1’以外の配管は、接合部も含めて全て鉄製の部品を用いた。第1の実施の形態と同様にして、ポンプ稼動開始後306h経過した時に、参照用パイプ(配管12)と、循環水を流している本管用パイプ(配管11)との透過光像をカメラ16で撮影し、その画像の縦方向の中心位置の透過光強度の分布を左端から右端までプロットした結果が、前記図9である。また、鉄薄膜を内壁に蒸着した塩化ビニールパイプをバイパス用パイプ(配管13)として用い、第2の実施の形態と同様にして、ポンプ稼動開始306.05h後に本管のバルブ71,72を閉め、バイパス配管75のバルブ73,74を開けてバイパス配管75に循環水を1min以下の時間流し、バイパス用パイプ(配管13)と参照用パイプ(配管12)の透過光像をカメラ16で撮影し、その画像の縦方向の中心位置の透過光強度の分布を左端から右端までプロットした結果が、前記図10である。
【0061】
そして、第2の実施の形態と同様に、図10のAの強度値からCの強度値を差し引くことによって、循環水の濁りによる透過光強度の減少分が求まり、図10のCの強度値から図9のBの強度値を差し引くことによって、循環水の配管内付着による透過光強度の減少分が求まる。このようにして、鉄製配管の監視も可能となる。
【0062】
なお、上述の実施の形態では、鉄薄膜を蒸着したけれども、透明の塩化ビニールパイプに銅やアルミ等の薄膜をそれぞれ厚さ数nmから10nm程度蒸着することによって、銅配管やアルミ配管等の他の金属配管と同じ状態を監視することも可能である。
【0063】
(実施の形態5)
図11は、本発明の実施の第5の形態に係る水処理システム2''のブロック図である。この水処理システム2''は、前述の水処理システム2,2’に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。この水処理システム2,2’は、配管内監視装置は、1,1’のいずれであってもよい。注目すべきは、この水処理システム2''では、配管経路は鉄管または鉄基合金管から成り、流体は水であり、前記配管経路に配管3内の水を磁化する超電導磁石8を備えることである。したがって、前記配管内監視装置1,1’では、超電導磁石8で作成される磁気水による防錆効果を確認することができる。
【0064】
また、本実施の形態では、前記超電導磁石8は、一対のコイル81,82が、その軸(鉛直)Z方向に離間して配置されるスプリット型の超電導磁石から成り、前記配管3は前記一対のコイル81,82の離間した空間内に配置される。各コイル81,82のボアWの直径は60mm、上下のコイル81,82間の距離Lは80mm、最大磁場は13Tである。コイル81,82の素線には、上述の磁場を発生できれば、円柱状の線材、角柱状の線材、或いは帯状の線材の何れが使用されてもよいが、単位体積当りの電流密度や放熱性、さらには比較的平行な磁場を形成できる点で、帯状線材が好ましい。
【0065】
このようにスプリット型の超電導磁石を用いることで、図12(a)で示すように、一方のコイル、たとえば81で発生した磁力線の一部が、参照符号M1で示すように配管3の内部3aを通して他方のコイル82へ磁路を形成するものの、多くの磁力線は、参照符号M2および図12(b)で示すように、筒状の配管3の薄い一方の壁3bをほぼ垂直に通り抜けて内部の水を通過し、他方の壁3cから他方のコイル82へ抜けてゆく。勿論、配管3が非磁性の管である場合は、参照符号M1で示す配管3の内部3aを通る磁束が減少し、ボア(内径)W内の磁束をより有効に使用することができる。図12(b)は超電導磁石付近の管軸Y方向の断面図であり、図12(a)は管軸Yとは直交方向の断面図である。
【0066】
このように超電導磁石8を用いて水を磁化することで、防錆効果を得ることができる。また、その超電導磁石8として、一対のコイル81,82が、その軸Z方向に離間して配置されるスプリット型の超電導磁石を用い、そのスプリット型の超電導磁石による一対のコイル81,82の離間した空間内に配管3を配置して磁化を行うことで、磁力線は管軸Y方向とは垂直なZ方向から加わることになり、配管3内の水を、超電導磁石8によって効率良く磁化することができる。これによって、錆の発生を抑えることができる、すなわち鉄系材料に防錆効果が生じ、配管3内の水と共に流れる鉄総量(鉄系材料から腐食溶出して生じた鉄イオンと鉄の腐食生成物との総和)を低下することができるとともに、配管3の内壁へのスケール付着防止効果を得ることもできる。
【0067】
また、配管3の材質は、磁性、非磁性を問わないが、スプリット型の超電導磁石を用いることで、前述の図12(a)で説明したように、磁性の管であっても、該配管3内の水を効率的に磁化することができ、既設の水道管などの配管をそのまま利用することができる(配管3の外側から設置することが可能である。)。さらにまた、既設の配管3の周囲に、スプリット型の超電導磁石の一対のコイル81,82を設置する空間があれば、既設の配管をそのままの状態にして、前記一対のコイル81,82の離間した空間L内に該配管3が位置するようにコイル81,82を設置するだけで該超電導磁石8の設置を行うことができ、構造を簡略化することもできる。
【0068】
(実施の形態6)
図13は、本発明の実施の第6の形態に係る水処理システムにおける機能ブロック図である。この水処理システムには、前述の水処理システム2’の構成を用いることができ、パーソナルコンピュータ17の処理として行うことができる。注目すべきは、この水処理システムでは、測定前の調整と、測定結果の出力とをさらに行うことである。
【0069】
具体的には、ポンプ4の稼働前に、ステップS1で、本管用パイプ(配管11)の最大透過光強度Bを検出し、その値を初期値B0として格納する。続いて、ポンプ4の稼働を開始し、所定時間稼働すると、ステップS2で、再び前記本管用パイプ(配管11)の最大透過光強度Bを検出するとともに、ステップS3では参照用パイプ(配管12)の最大透過光強度Aを、ステップS4ではバイパス用パイプ(配管13)の最大透過光強度Cを検出する。
【0070】
こうして、強度A,Cのデータが集まると、ステップS5において、それらの強度A,Cの差分、すなわち濁りを、前記初期値B0を用いて正規化し、その値が0.95以下であることを確認する。その結果0.95を超えている場合には、ステップS6で、濁りがひどく、濁りだけで本管用パイプ(配管11)からの透過光はほぼ無くなり、管内壁への付着物の測定は不可と判定して処理を終了する。一方、前記0.95以下では、管内壁への付着物の測定は可能と判定して、ステップS7に移る。
【0071】
ステップS7では、さらに強度Bのデータを用いて、バイパス用パイプ(配管13)の最大透過光強度Cと本管用パイプ(配管11)の最大透過光強度Bとの差分、すなわち前記管内壁への付着物だけに対応した強度を求め、さらにそれを初期値B0で正規化し、前記ステップS2〜S4に戻る。一方、ステップS7での演算結果を、ポンプ稼動時間に対してプロットすると、該演算結果はポンプ稼働時間が増加するに伴って増加するが、ある時間が経過したところで一定値を示すようになる。そこで、ステップS8でステップS7の演算結果を監視し、飽和を生じたら、付着物が多くなって透過光量が変化しなくなった判定して、メンテナンスのサインなどを出力し、処理を終了する。これに応じて、作業者が、配管3の清掃作業や、取替えなどを行うことになる。
【符号の説明】
【0072】
1,1’ 配管内監視装置
2,2’,2'' 水処理システム
3 配管
3a 内部
3b,3c 壁
4 ポンプ
5 貯水タンク
6 錆の発生源
8 超電導磁石
11〜13 配管
15 照明光源
16 カメラ
17 パーソナルコンピュータ
71〜74 バルブ
81,82 超電導コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流れる配管の内壁への付着物の状態を監視する装置であって、
配管経路の途中に介在する検査用透明配管と、
前記検査用透明配管の外側から検査用の照明光を照射する照射手段と、
前記照明光の照射による前記検査用透明配管の透過または反射光の強度から、該検査用透明配管の内壁への前記付着物の状態を検出する検出手段とを含むことを特徴とする配管内監視装置。
【請求項2】
前記検査用透明配管と同材質の配管から成り、前記検査用透明配管と並列で前記配管経路に接続されるバイパス配管と、
前記バイパス配管を前記配管経路と連通する開弁状態と、遮断する閉弁状態とに切換えられるバルブと、
前記バルブの操作によるバイパス配管の組入れと同時に、前記照射手段および検出手段を駆動して検出動作を行わせ、その検出結果を前記検査用透明配管での検出結果から減算することで、前記流体の濁り分を除去して、前記検査用透明配管の内壁への付着物の状態を検出する制御演算手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の配管内監視装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記検査用透明配管およびバイパス配管の透過光を、少なくとも一直径線の投影断面に亘り撮像することができるカメラから成り、
前記制御演算手段は、前記カメラの撮像画像における前記検査用透明配管部分およびバイパス配管部分の透過光強度のピークレベルを利用して前記減算を行うことを特徴とする請求項2記載の配管内監視装置。
【請求項4】
前記検査用透明配管の内壁には、前記配管経路を構成する配管の内壁の材料と同じ材料の薄膜が、前記照明光の透過を許容する厚さにコーティングされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の配管内監視装置。
【請求項5】
前記検査用透明配管と同材質の配管から成る参照用透明配管と、
前記参照用透明配管の前記配管経路への着脱を可能にするバルブと、
前記バルブの遮断により取外された参照用透明配管の内壁への付着物の厚さを測定する測定手段とをさらに備え、
前記検出手段は、前記透過または反射光の強度と、対応する付着物の厚さとから、検量線を作成しておくことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の配管内監視装置。
【請求項6】
鉄管または鉄基合金管から成り、内部に水が流れる配管経路と、
前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の配管内監視装置と、
前記配管経路に設けられて配管内の水を磁化する超電導磁石とを備え、
前記配管内監視装置における検査用透明配管が当該配管内監視装置のバルブを介して前記配管経路に接続されることを特徴とする配管内監視システム。
【請求項7】
前記超電導磁石は、一対のコイルが、その軸方向に離間して配置されるスプリット型の超電導磁石であり、
前記配管は、前記一対のコイルの離間した空間内に配置されることを特徴とする請求項6記載の配管内監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図3】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−117594(P2012−117594A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266862(P2010−266862)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】