配管設備の施工方法
【課題】断熱材を巻いた後であっても漏水検査を可能とする配管設備の施工方法の提供。
【解決手段】複数のパイプ31,32を接続して流体が流れる流路を形成し、少なくともパイプ31,32同士の接続部を断熱材で覆う配管設備の施工方法において、流体が浸透する性質を有する帯状部材に流体が触れると視覚的に変化するインク材によってマーキングを施してなる漏水検知リボン4を使用し、漏水検知リボン4の一部を接続部に配置するとともに、漏水検知リボン4のその他の一部であってマーキングがなされている部分がパイプ31,32から離れた状態となるように、漏水検知リボン4をパイプ同士の接続部に設置する。
【解決手段】複数のパイプ31,32を接続して流体が流れる流路を形成し、少なくともパイプ31,32同士の接続部を断熱材で覆う配管設備の施工方法において、流体が浸透する性質を有する帯状部材に流体が触れると視覚的に変化するインク材によってマーキングを施してなる漏水検知リボン4を使用し、漏水検知リボン4の一部を接続部に配置するとともに、漏水検知リボン4のその他の一部であってマーキングがなされている部分がパイプ31,32から離れた状態となるように、漏水検知リボン4をパイプ同士の接続部に設置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の配管設備の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ビルやプラント等の建物における配管設備の施工において、パイプを配設した後に行う漏水検査は、パイプに水を通した際に、パイプ同士の接続部から水が漏れるかどうかを目視や触指にて確認するというものであった。従って、配管設備の中でもパイプ同士の接続部に断熱材を巻くパイプにおいては、断熱材を巻く前に漏水検査をする必要があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような漏水検査を行う場合、断熱材を巻く工程を必ず漏水検査の工程の後にする必要があり、施工の自由度が低かった。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、断熱材を巻いた後であっても漏水検査を可能とする配管設備の施工方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、所期の目的を達成するための本発明にかかる配管設備の施工方法は、複数のパイプを接続して流体が流れる流路を形成し、少なくとも前記パイプ同士の接続部を断熱材で覆う配管設備の施工方法において、前記流体が浸透する性質を有する帯状部材に前記流体が触れると視覚的に変化するインク材によってマーキングを施してなる漏水検知リボンを使用し、該漏水検知リボンの一部を前記接続部に配置するとともに、前記漏水検知リボンのその他の一部であって前記マーキングがなされている部分が前記パイプから離れた状態となるように、前記漏水検知リボンを前記パイプ同士の接続部に設置することを特徴とする。
【0006】
また、本発明にかかる配管設備の施工方法は、上記構成に加えて、前記漏水検知リボンを前記パイプ同士の接続部に設置した後に、該接続部の周囲に前記漏水検知リボンの上から断熱材を設置するとともに、前記漏水検知リボンのその他の一部であって前記マーキングがなされている部分を前記断熱材よりも外側に配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
帯状部材からなる漏水検知リボンを漏水検査箇所(パイプ同士の接続部)に設置するので、漏水検知リボンの上から漏水検査箇所に断熱部材を巻いても、漏水検知リボンの一部を断熱材の外側に配置することができる。従って、漏水検査においては、断熱材の外側に配置された漏水検知リボンに施されたマーキングの変化を目視で確認することによって、漏水しているかどうかを確認できる。つまり、断熱材を巻いた状態であっても、漏水検査ができる。従って、配管設備の施工における施工の自由度が増し、効率的な施工が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施の形態にかかる横引き配管系の配設状態を示す概念図である。
【図2】図2は、同上の横引き配管系に断熱材を設置した状態を示す概念図である。
【図3】図3は、同上のドレン配管系の配設状態を示す概念図である。
【図4】図4は、本発明方法に使用する漏水検知リボンを示す平面図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態にかかるドレン配管系に漏水検知リボンを設置した状態を示す概念図である。
【図6】図6は、同上のドレン配管系に断熱材を設置した状態を示す概念図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態にかかる保温付フレキシブルホースを配設した状態を示す概念図である。
【図8】図8は、同上の保温付フレキシブルホースに漏水検知リボンを設置した状態を示す概念図である。
【図9】図9は、同上の保温付フレキシブルホースに断熱材を設置した状態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明にかかる配管設備の施工方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。本発明にかかる配管設備の施工方法は、ビルやプラント等の複数の管(パイプ)を接続して構成する配管設備を施工する際に使用する。また、具体的には、本発明の配管設備の施工方法は、天井隠蔽型ファンコイルユニット廻りの冷・温水配管や、ユニットトイレ廻りの給水管、天井カセット型エアコン及び天井隠蔽型エアコンのドレンアップ配管等の配管設備の施工に使用するとよい。
【0010】
本実施の形態においては、天井隠蔽型及び天井カセット型エアコンのドレンアップ配管の施工について説明する。ドレンアップ配管の施工においては、複数の管(パイプ)、即ち、横引き管21と接続用縦管22とドレンアップ管31とドレンホース32とを接続して、エアコンのドレン排水が流れる流路を形成する。符号1は、所謂、ビル用エアコンの天井隠蔽型及び天井埋込カセット型室内機(以下、室内機と記す)を示している。この室内機1内には、ドレンアップ用のポンプ1aが備えられている。
【0011】
先ず、図1に示すように、横引き配管系2の施工を行う。横引き配管系2は、横引き管21と接続用縦管22とを備えている。横引き管21は、水平方向に配設する。横引き管21は、一端側が接続用縦管22と接続され、他端側が、ビルの各階からのドレン排水をまとめて下に流す排水縦管と接続される。横引き管21は、一端側から他端側にかけて所定の下り勾配を有し、横引き管21の一端側から他端側にかけて水が流れるように配設する。尚、横引き管21は、複数本のパイプを接続して構成してもよいし、1本のパイプでもよい。横引き管21の一端は、継ぎ手23を介して接続用縦管22と接続する。接続用縦管22は、縦向きに配設する。
【0012】
横引き管21と接続用縦管22とを配設した後に、横引き配管系2の通水テストを行う。通水テストは、継ぎ手24から接続用縦管22に水を注入して自然落下させ、接続用縦管22から横引き管21の末端にかけて通水を確認する。また、管同士の接続部分の漏水の有無を目視や触指により確認する。その後に、図2に示すように、横引き配管系2において、断熱材25を取り付ける。即ち、横引き管21、接続用縦管22、継ぎ手23の周囲を覆うようにそれぞれ断熱材25を配設する。
【0013】
続いて、ドレン配管系3の施工を行う。ドレン配管系3は、図3に示すように、ドレンホース32とドレンアップ管31とを備えている。ドレンホース32は、一端を室内機1と接続し、略水平向きに配設する。ドレンホース32の他端は、継ぎ手35を介してドレンアップ管31と接続する。ドレンアップ管31は、ドレンホース32の他端から上方に縦向きに配設する。
【0014】
ドレンアップ管31の上端は継ぎ手34を介して接続用横管33と接続する。接続用横管33は、水平向きに配設する。この接続用横管33と、接続用縦管22の上端に配設した継ぎ手24とを接続することにより、ドレン配管系3と横引き配管系2とを接続する。
【0015】
次に、漏水検査を行う場所に漏水検知リボン4を設置する。漏水検知リボン4は、図4に示すように、帯状部材4aにインク材4bによってマーキングを施したものである。帯状部材4aは、管を流れる流体が浸透する性質を有する。即ち、本実施の形態において管を流れる流体は水なので、帯状部材4aは吸水性を有する。また、帯状部材4aは、細長形状に形成されている。更に、帯状部材4aは、パイプの直径より少し小さな幅に形成されている。帯状部材4aのマーキングは、帯状部材4aの長さ方向に沿って、帯状部材4aの略中央に、帯状部材4aの長さ方向一端から他端まで一定の幅を有する線状に施されている。尚、帯状部材4aとして、不織布または木綿などを使用するとよい。
【0016】
インク材4bは、帯状部材4aに塗布または、染み込ませることができる流動性を有する物質である。更に、このインク材4bは、管を流れる流体が触れると視覚的に変化する性質を有する。視覚的に変化するとは、例えば、インク材4bが変色するとか消色するということである。本実施の形態においては、管を流れる流体は水であるので、水が触れると消色するインク材4bを使用している。尚、インク材4bとしては、刺繍下書き用の塗料を使用すると良い。
【0017】
上述の漏水検知リボン4を管同士の接続部に設置する。ここでいう管同士の接続部とは、管と継ぎ手との接続部である。本実施の形態においては、図5に示すように、ドレンホース32の両端部に漏水検知リボン4を設置している。また、漏水検知リボン4は、ドレンホース32の下側に設置している。
【0018】
このとき、漏水検知リボン4は、一部分を各管及び/又は継ぎ手に貼り付け、他の一部分を管及び継ぎ手に貼り付けず、管及び継ぎ手から離れた状態となるようにしている。この漏水検知リボン4の他の一部分であって、後述する断熱材36よりも外側に配置される部分には、前述したインク材4bによるマーキングが施されている。
【0019】
続いて、図6に示すように、ドレン配管系3において断熱材36を取り付ける。即ち、接続用横管33と、継ぎ手34と、ドレンアップ管31と、継ぎ手35と、ドレンホース32の端部との周囲に断熱材36を配設する。また、このとき、継ぎ手24の周囲にも断熱材36を配設する。断熱材36を配設する際には、管や継ぎ手の周囲を断熱材36で覆うように配設する。即ち、漏水検知リボン4の上から断熱材36を配設する。しかし、その際には、漏水検知リボン4の一部を断熱材36よりも外側に配置するように施工する。本実施の形態においては、断熱材36同士の継ぎ目から漏水検知リボン4の一部を断熱材36の外側に延出するようにしている。
【0020】
次に、図示しない天井工事を行う。この天井工事は、ドレン配管系3及び横引き配管系2より下側に、天井板を配設する。そして、この天井工事の後に、ドレンアップテストを行う。ドレンアップテストは、室内機1のポンプ1aを作動させて、ドレン配管系3に水を通し、ドレン配管系3の通水及び漏水を確認する。ポンプ1aから出た水は、順に、ドレンホース32、継ぎ手35、ドレンアップ管31、継ぎ手34、接続用横管33、継ぎ手24、接続用縦管22、継ぎ手23、横引き管21と流れる。このとき、漏水検知リボン4の断熱材36よりも外側に配置されている部分に施されているインク材4bによるマーキングを目視により確認する。漏水検知リボン4のマーキングに視覚的に変化があれば、その部分は漏水しているということである。漏水の確認後、漏水していなければ、漏水検知リボン4を抜き取り、もしくは、漏水検知リボン4の断熱材36の外側に延出した部分を切断し、その部分の断熱材36の補修を行う。尚、ドレンアップテスト後も、漏水検知リボン4を取り付けたままとし、一定期間経過後に、漏水検知リボン4を抜き取り、もしくは、漏水検知リボン4の断熱材36の外側に延出した部分を切断し、その部分の断熱材36の補修を行ってもよい。
【0021】
管同士(継ぎ手を含む)の接続部から漏水が発生した場合、その漏水は、接続部に設置されている漏水検知リボン4に浸透する。そして、漏水検知リボン4の断熱材36の外側に配置されている部分にまでその漏水が浸透し、漏水検知リボン4に施されたインク材4bによるマーキングが視覚的に変化する。即ち、マーキングが消える。従って、このインク材4bの変化を目視により確認することにより漏水の有無を確認することができる。
【0022】
本発明方法においては、上述したように断熱材36を設置した状態で、ドレンアップテストを行うことができる。従って、従来、断熱材36を設置する工程を必ずドレンアップテストの工程の後にする必要があったが、本発明方法を使用すれば、その必要がなく、自由に工程の順番を設定できる。
【0023】
また、ドレン配管系3の配設工程と、ドレンアップテスト工程との間には、ビル設備の設置などのビル建設における他の作業との係わり合い上、大きく時間を空ける必要がある。従って、ドレンアップテスト工程の後に、ドレン配管系3の断熱施工を行う従来の施工手順では、横引き配管系2の断熱工程及びドレン配管系3の配設工程と、ドレン配管系3の断熱工程との間に大きな時間間隔が生じていた。このような場合、断熱施工を行う人員を繰り返し手配する必要があった。しかし、本発明方法においては、断熱材36を配設してあってもドレンアップテストが可能であるので、ドレンアップテスト工程より前に、ドレン配管系3の断熱施工を行うことができる。従って、横引き配管系2の断熱工程と、ドレン配管系3の断熱工程を時間的に近づけることができ、一度に断熱施工を行うことができる。即ち、断熱施工を行う人員を繰り返し手配せずに済むので、効率的な施工を行うことができる。
【0024】
また、本実施の形態においては、天井工事の前に、ドレン配管系3の断熱施工を行うことができるので、天井が設置された状態で施工を行う場合と比較して、作業空間を広く確保できる。従って、作業環境が良く、確実な断熱施工を行うことができる。
【0025】
尚、本実施の形態においては、漏水検知リボン4は、管の接続部に設置しているが、管の接続部に限らず、管と断熱材の間であって、漏れた水が通るに部分に設置すればよい。特に、配設されている管において漏れた水が集まる場所に漏水検知リボン4を設置するとよい。即ち、管の接続部から漏れた水は、断熱材を伝って下方に流れるので、漏水検知リボン4は、配管の下部に配置するとよい。尚、接続部にのみ断熱材を設置する場合は、漏水検知リボン4も接続部に設置する。
【0026】
尚、本実施の形態において、横引き配管系2における通水テストは、目視や触指によって行っているが、ドレン配管系3における通水テストと同様に漏水検知リボン4を使用してもよい。尚、本実施の形態において、漏水検知リボン4は、帯状のものを使用しているが、紐状でもよい。尚、マーキングは、帯状部材4aの断熱材の外側に配置される部分に施してあればよい。尚、上述した管としては、硬質塩化ビニル管、炭素鋼鋼管、保温付フレキシブルホースなどの公知の管を使用することができる。
【0027】
ここで、ドレン配管系3において、ドレンアップ管31とドレンホース32の代わりに、保温付フレキシブルホース41を使用する場合について説明する。保温付フレキシブルホース41は、可撓性を有し、断熱材がホースと一体に備えられている。従って、断熱施工は、保温付フレキシブルホース41の接続部のみでもよい。保温付フレキシブルホース41は、図7に示すように、保温付フレキシブルホース41の一方側端部を継ぎ手42を介して室内機1と接続する。また、保温付フレキシブルホース41の他方側端部は、継ぎ手43を介して接続用縦管22に接続する。
【0028】
次に、図8に示すように、保温付フレキシブルホース41と継ぎ手42,43との接続部に漏水検知リボン4を設置する。漏水検知リボン4は、保温付フレキシブルホース41の下側に設置する。そして、図9に示すように、保温付フレキシブルホース41の接続部の周囲に断熱材44を設置する。この断熱材44は、テープ状のものであり、漏水検知リボン4の上から接続部の周囲に巻きつける。また、漏水検知リボン4の一部は、断熱材44の端部から断熱材44の外側に延出させる。断熱材44を設置した後は、上述したように、天井工事及びドレンアップテストを行う。
【0029】
漏水の確認後、漏水していなければ、漏水検知リボン4を抜き取り、もしくは、漏水検知リボン4の断熱材44の外側に延出した部分を切断し、その部分の断熱材44の補修を行う。尚、ドレンアップテスト後も、漏水検知リボン4を取り付けたままとし、一定期間経過後に、漏水検知リボン4を抜き取り、もしくは、漏水検知リボン4の断熱材44の外側に延出した部分を切断し、その部分の断熱材44の補修を行ってもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 室内機
1a ポンプ
2 横引き配管系
3 ドレン配管系
4 漏水検知リボン
4a 帯状部材
4b インク材
21 横引き管
22 接続用縦管
23 継ぎ手
24 継ぎ手
25 断熱材
31 ドレンアップ管
32 ドレンホース
33 接続用横管
34 継ぎ手
35 継ぎ手
36 断熱材
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の配管設備の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ビルやプラント等の建物における配管設備の施工において、パイプを配設した後に行う漏水検査は、パイプに水を通した際に、パイプ同士の接続部から水が漏れるかどうかを目視や触指にて確認するというものであった。従って、配管設備の中でもパイプ同士の接続部に断熱材を巻くパイプにおいては、断熱材を巻く前に漏水検査をする必要があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような漏水検査を行う場合、断熱材を巻く工程を必ず漏水検査の工程の後にする必要があり、施工の自由度が低かった。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、断熱材を巻いた後であっても漏水検査を可能とする配管設備の施工方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、所期の目的を達成するための本発明にかかる配管設備の施工方法は、複数のパイプを接続して流体が流れる流路を形成し、少なくとも前記パイプ同士の接続部を断熱材で覆う配管設備の施工方法において、前記流体が浸透する性質を有する帯状部材に前記流体が触れると視覚的に変化するインク材によってマーキングを施してなる漏水検知リボンを使用し、該漏水検知リボンの一部を前記接続部に配置するとともに、前記漏水検知リボンのその他の一部であって前記マーキングがなされている部分が前記パイプから離れた状態となるように、前記漏水検知リボンを前記パイプ同士の接続部に設置することを特徴とする。
【0006】
また、本発明にかかる配管設備の施工方法は、上記構成に加えて、前記漏水検知リボンを前記パイプ同士の接続部に設置した後に、該接続部の周囲に前記漏水検知リボンの上から断熱材を設置するとともに、前記漏水検知リボンのその他の一部であって前記マーキングがなされている部分を前記断熱材よりも外側に配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
帯状部材からなる漏水検知リボンを漏水検査箇所(パイプ同士の接続部)に設置するので、漏水検知リボンの上から漏水検査箇所に断熱部材を巻いても、漏水検知リボンの一部を断熱材の外側に配置することができる。従って、漏水検査においては、断熱材の外側に配置された漏水検知リボンに施されたマーキングの変化を目視で確認することによって、漏水しているかどうかを確認できる。つまり、断熱材を巻いた状態であっても、漏水検査ができる。従って、配管設備の施工における施工の自由度が増し、効率的な施工が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施の形態にかかる横引き配管系の配設状態を示す概念図である。
【図2】図2は、同上の横引き配管系に断熱材を設置した状態を示す概念図である。
【図3】図3は、同上のドレン配管系の配設状態を示す概念図である。
【図4】図4は、本発明方法に使用する漏水検知リボンを示す平面図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態にかかるドレン配管系に漏水検知リボンを設置した状態を示す概念図である。
【図6】図6は、同上のドレン配管系に断熱材を設置した状態を示す概念図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態にかかる保温付フレキシブルホースを配設した状態を示す概念図である。
【図8】図8は、同上の保温付フレキシブルホースに漏水検知リボンを設置した状態を示す概念図である。
【図9】図9は、同上の保温付フレキシブルホースに断熱材を設置した状態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明にかかる配管設備の施工方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。本発明にかかる配管設備の施工方法は、ビルやプラント等の複数の管(パイプ)を接続して構成する配管設備を施工する際に使用する。また、具体的には、本発明の配管設備の施工方法は、天井隠蔽型ファンコイルユニット廻りの冷・温水配管や、ユニットトイレ廻りの給水管、天井カセット型エアコン及び天井隠蔽型エアコンのドレンアップ配管等の配管設備の施工に使用するとよい。
【0010】
本実施の形態においては、天井隠蔽型及び天井カセット型エアコンのドレンアップ配管の施工について説明する。ドレンアップ配管の施工においては、複数の管(パイプ)、即ち、横引き管21と接続用縦管22とドレンアップ管31とドレンホース32とを接続して、エアコンのドレン排水が流れる流路を形成する。符号1は、所謂、ビル用エアコンの天井隠蔽型及び天井埋込カセット型室内機(以下、室内機と記す)を示している。この室内機1内には、ドレンアップ用のポンプ1aが備えられている。
【0011】
先ず、図1に示すように、横引き配管系2の施工を行う。横引き配管系2は、横引き管21と接続用縦管22とを備えている。横引き管21は、水平方向に配設する。横引き管21は、一端側が接続用縦管22と接続され、他端側が、ビルの各階からのドレン排水をまとめて下に流す排水縦管と接続される。横引き管21は、一端側から他端側にかけて所定の下り勾配を有し、横引き管21の一端側から他端側にかけて水が流れるように配設する。尚、横引き管21は、複数本のパイプを接続して構成してもよいし、1本のパイプでもよい。横引き管21の一端は、継ぎ手23を介して接続用縦管22と接続する。接続用縦管22は、縦向きに配設する。
【0012】
横引き管21と接続用縦管22とを配設した後に、横引き配管系2の通水テストを行う。通水テストは、継ぎ手24から接続用縦管22に水を注入して自然落下させ、接続用縦管22から横引き管21の末端にかけて通水を確認する。また、管同士の接続部分の漏水の有無を目視や触指により確認する。その後に、図2に示すように、横引き配管系2において、断熱材25を取り付ける。即ち、横引き管21、接続用縦管22、継ぎ手23の周囲を覆うようにそれぞれ断熱材25を配設する。
【0013】
続いて、ドレン配管系3の施工を行う。ドレン配管系3は、図3に示すように、ドレンホース32とドレンアップ管31とを備えている。ドレンホース32は、一端を室内機1と接続し、略水平向きに配設する。ドレンホース32の他端は、継ぎ手35を介してドレンアップ管31と接続する。ドレンアップ管31は、ドレンホース32の他端から上方に縦向きに配設する。
【0014】
ドレンアップ管31の上端は継ぎ手34を介して接続用横管33と接続する。接続用横管33は、水平向きに配設する。この接続用横管33と、接続用縦管22の上端に配設した継ぎ手24とを接続することにより、ドレン配管系3と横引き配管系2とを接続する。
【0015】
次に、漏水検査を行う場所に漏水検知リボン4を設置する。漏水検知リボン4は、図4に示すように、帯状部材4aにインク材4bによってマーキングを施したものである。帯状部材4aは、管を流れる流体が浸透する性質を有する。即ち、本実施の形態において管を流れる流体は水なので、帯状部材4aは吸水性を有する。また、帯状部材4aは、細長形状に形成されている。更に、帯状部材4aは、パイプの直径より少し小さな幅に形成されている。帯状部材4aのマーキングは、帯状部材4aの長さ方向に沿って、帯状部材4aの略中央に、帯状部材4aの長さ方向一端から他端まで一定の幅を有する線状に施されている。尚、帯状部材4aとして、不織布または木綿などを使用するとよい。
【0016】
インク材4bは、帯状部材4aに塗布または、染み込ませることができる流動性を有する物質である。更に、このインク材4bは、管を流れる流体が触れると視覚的に変化する性質を有する。視覚的に変化するとは、例えば、インク材4bが変色するとか消色するということである。本実施の形態においては、管を流れる流体は水であるので、水が触れると消色するインク材4bを使用している。尚、インク材4bとしては、刺繍下書き用の塗料を使用すると良い。
【0017】
上述の漏水検知リボン4を管同士の接続部に設置する。ここでいう管同士の接続部とは、管と継ぎ手との接続部である。本実施の形態においては、図5に示すように、ドレンホース32の両端部に漏水検知リボン4を設置している。また、漏水検知リボン4は、ドレンホース32の下側に設置している。
【0018】
このとき、漏水検知リボン4は、一部分を各管及び/又は継ぎ手に貼り付け、他の一部分を管及び継ぎ手に貼り付けず、管及び継ぎ手から離れた状態となるようにしている。この漏水検知リボン4の他の一部分であって、後述する断熱材36よりも外側に配置される部分には、前述したインク材4bによるマーキングが施されている。
【0019】
続いて、図6に示すように、ドレン配管系3において断熱材36を取り付ける。即ち、接続用横管33と、継ぎ手34と、ドレンアップ管31と、継ぎ手35と、ドレンホース32の端部との周囲に断熱材36を配設する。また、このとき、継ぎ手24の周囲にも断熱材36を配設する。断熱材36を配設する際には、管や継ぎ手の周囲を断熱材36で覆うように配設する。即ち、漏水検知リボン4の上から断熱材36を配設する。しかし、その際には、漏水検知リボン4の一部を断熱材36よりも外側に配置するように施工する。本実施の形態においては、断熱材36同士の継ぎ目から漏水検知リボン4の一部を断熱材36の外側に延出するようにしている。
【0020】
次に、図示しない天井工事を行う。この天井工事は、ドレン配管系3及び横引き配管系2より下側に、天井板を配設する。そして、この天井工事の後に、ドレンアップテストを行う。ドレンアップテストは、室内機1のポンプ1aを作動させて、ドレン配管系3に水を通し、ドレン配管系3の通水及び漏水を確認する。ポンプ1aから出た水は、順に、ドレンホース32、継ぎ手35、ドレンアップ管31、継ぎ手34、接続用横管33、継ぎ手24、接続用縦管22、継ぎ手23、横引き管21と流れる。このとき、漏水検知リボン4の断熱材36よりも外側に配置されている部分に施されているインク材4bによるマーキングを目視により確認する。漏水検知リボン4のマーキングに視覚的に変化があれば、その部分は漏水しているということである。漏水の確認後、漏水していなければ、漏水検知リボン4を抜き取り、もしくは、漏水検知リボン4の断熱材36の外側に延出した部分を切断し、その部分の断熱材36の補修を行う。尚、ドレンアップテスト後も、漏水検知リボン4を取り付けたままとし、一定期間経過後に、漏水検知リボン4を抜き取り、もしくは、漏水検知リボン4の断熱材36の外側に延出した部分を切断し、その部分の断熱材36の補修を行ってもよい。
【0021】
管同士(継ぎ手を含む)の接続部から漏水が発生した場合、その漏水は、接続部に設置されている漏水検知リボン4に浸透する。そして、漏水検知リボン4の断熱材36の外側に配置されている部分にまでその漏水が浸透し、漏水検知リボン4に施されたインク材4bによるマーキングが視覚的に変化する。即ち、マーキングが消える。従って、このインク材4bの変化を目視により確認することにより漏水の有無を確認することができる。
【0022】
本発明方法においては、上述したように断熱材36を設置した状態で、ドレンアップテストを行うことができる。従って、従来、断熱材36を設置する工程を必ずドレンアップテストの工程の後にする必要があったが、本発明方法を使用すれば、その必要がなく、自由に工程の順番を設定できる。
【0023】
また、ドレン配管系3の配設工程と、ドレンアップテスト工程との間には、ビル設備の設置などのビル建設における他の作業との係わり合い上、大きく時間を空ける必要がある。従って、ドレンアップテスト工程の後に、ドレン配管系3の断熱施工を行う従来の施工手順では、横引き配管系2の断熱工程及びドレン配管系3の配設工程と、ドレン配管系3の断熱工程との間に大きな時間間隔が生じていた。このような場合、断熱施工を行う人員を繰り返し手配する必要があった。しかし、本発明方法においては、断熱材36を配設してあってもドレンアップテストが可能であるので、ドレンアップテスト工程より前に、ドレン配管系3の断熱施工を行うことができる。従って、横引き配管系2の断熱工程と、ドレン配管系3の断熱工程を時間的に近づけることができ、一度に断熱施工を行うことができる。即ち、断熱施工を行う人員を繰り返し手配せずに済むので、効率的な施工を行うことができる。
【0024】
また、本実施の形態においては、天井工事の前に、ドレン配管系3の断熱施工を行うことができるので、天井が設置された状態で施工を行う場合と比較して、作業空間を広く確保できる。従って、作業環境が良く、確実な断熱施工を行うことができる。
【0025】
尚、本実施の形態においては、漏水検知リボン4は、管の接続部に設置しているが、管の接続部に限らず、管と断熱材の間であって、漏れた水が通るに部分に設置すればよい。特に、配設されている管において漏れた水が集まる場所に漏水検知リボン4を設置するとよい。即ち、管の接続部から漏れた水は、断熱材を伝って下方に流れるので、漏水検知リボン4は、配管の下部に配置するとよい。尚、接続部にのみ断熱材を設置する場合は、漏水検知リボン4も接続部に設置する。
【0026】
尚、本実施の形態において、横引き配管系2における通水テストは、目視や触指によって行っているが、ドレン配管系3における通水テストと同様に漏水検知リボン4を使用してもよい。尚、本実施の形態において、漏水検知リボン4は、帯状のものを使用しているが、紐状でもよい。尚、マーキングは、帯状部材4aの断熱材の外側に配置される部分に施してあればよい。尚、上述した管としては、硬質塩化ビニル管、炭素鋼鋼管、保温付フレキシブルホースなどの公知の管を使用することができる。
【0027】
ここで、ドレン配管系3において、ドレンアップ管31とドレンホース32の代わりに、保温付フレキシブルホース41を使用する場合について説明する。保温付フレキシブルホース41は、可撓性を有し、断熱材がホースと一体に備えられている。従って、断熱施工は、保温付フレキシブルホース41の接続部のみでもよい。保温付フレキシブルホース41は、図7に示すように、保温付フレキシブルホース41の一方側端部を継ぎ手42を介して室内機1と接続する。また、保温付フレキシブルホース41の他方側端部は、継ぎ手43を介して接続用縦管22に接続する。
【0028】
次に、図8に示すように、保温付フレキシブルホース41と継ぎ手42,43との接続部に漏水検知リボン4を設置する。漏水検知リボン4は、保温付フレキシブルホース41の下側に設置する。そして、図9に示すように、保温付フレキシブルホース41の接続部の周囲に断熱材44を設置する。この断熱材44は、テープ状のものであり、漏水検知リボン4の上から接続部の周囲に巻きつける。また、漏水検知リボン4の一部は、断熱材44の端部から断熱材44の外側に延出させる。断熱材44を設置した後は、上述したように、天井工事及びドレンアップテストを行う。
【0029】
漏水の確認後、漏水していなければ、漏水検知リボン4を抜き取り、もしくは、漏水検知リボン4の断熱材44の外側に延出した部分を切断し、その部分の断熱材44の補修を行う。尚、ドレンアップテスト後も、漏水検知リボン4を取り付けたままとし、一定期間経過後に、漏水検知リボン4を抜き取り、もしくは、漏水検知リボン4の断熱材44の外側に延出した部分を切断し、その部分の断熱材44の補修を行ってもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 室内機
1a ポンプ
2 横引き配管系
3 ドレン配管系
4 漏水検知リボン
4a 帯状部材
4b インク材
21 横引き管
22 接続用縦管
23 継ぎ手
24 継ぎ手
25 断熱材
31 ドレンアップ管
32 ドレンホース
33 接続用横管
34 継ぎ手
35 継ぎ手
36 断熱材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパイプを接続して流体が流れる流路を形成し、少なくとも前記パイプ同士の接続部を断熱材で覆う配管設備の施工方法において、
前記流体が浸透する性質を有する帯状部材に前記流体が触れると視覚的に変化するインク材によってマーキングを施してなる漏水検知リボンを使用し、
該漏水検知リボンの一部を前記接続部に配置するとともに、前記漏水検知リボンのその他の一部であって前記マーキングがなされている部分が前記パイプから離れた状態となるように、前記漏水検知リボンを前記パイプ同士の接続部に設置することを特徴とする配管設備の施工方法。
【請求項2】
前記漏水検知リボンを前記パイプ同士の接続部に設置した後に、該接続部の周囲に前記漏水検知リボンの上から断熱材を設置するとともに、前記漏水検知リボンのその他の一部であって前記マーキングがなされている部分を前記断熱材よりも外側に配置することを特徴とする請求項1に記載の配管設備の施工方法。
【請求項1】
複数のパイプを接続して流体が流れる流路を形成し、少なくとも前記パイプ同士の接続部を断熱材で覆う配管設備の施工方法において、
前記流体が浸透する性質を有する帯状部材に前記流体が触れると視覚的に変化するインク材によってマーキングを施してなる漏水検知リボンを使用し、
該漏水検知リボンの一部を前記接続部に配置するとともに、前記漏水検知リボンのその他の一部であって前記マーキングがなされている部分が前記パイプから離れた状態となるように、前記漏水検知リボンを前記パイプ同士の接続部に設置することを特徴とする配管設備の施工方法。
【請求項2】
前記漏水検知リボンを前記パイプ同士の接続部に設置した後に、該接続部の周囲に前記漏水検知リボンの上から断熱材を設置するとともに、前記漏水検知リボンのその他の一部であって前記マーキングがなされている部分を前記断熱材よりも外側に配置することを特徴とする請求項1に記載の配管設備の施工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2010−203521(P2010−203521A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49418(P2009−49418)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】
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