説明

配線コーティング用フェノール樹脂組成物、これを用いる印刷回路基板およびその製造方法

【課題】外装樹脂層における、クラックの発生およびマイグレーションを抑制することができる、印刷回路基板の配線コーティング用フェノール樹脂組成物の提供。
【解決手段】フェノール樹脂と、RNH3+(R:鎖の炭素原子数が15以上であるアルキル基)、R2NH2+(R:炭化水素基)、R3NH+(R:炭化水素基)、NR4+(4つのRのうち少なくとも1つが、鎖の炭素原子数が10以上であるアルキル基)、芳香族炭化水素を有する炭化水素基を1〜4個含むアンモニウム、および複素環を有する炭化水素基を1〜4個含むアンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機カチオンによってインターカレートされている層状ケイ酸塩とを含有する、印刷回路基板の配線コーティング用フェノール樹脂組成物、これを用いる印刷回路基板、およびその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線コーティング用フェノール樹脂組成物、これを用いる印刷回路基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板上にスクリーン印刷やインクジェット印刷によって形成された金属配線には、そのカバー層として、熱可塑性樹脂および層状ケイ酸塩のような無機化合物を含有する組成物を使用することが提案されている(例えば、特許文献1)。
また、電子部品に無機フィラー(例えば、クレイ等)を含有する外装樹脂を使用することが提案されている(例えば、特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−57099号公報
【特許文献2】特開2002−252150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、外装樹脂層が熱可塑性樹脂と層状ケイ酸塩(クレイ)とを含有する組成物を使用して金属配線に塗布する場合、製造時の条件(例えば、混合やフィルム形成の際の加熱、溶媒による溶解、溶媒除去のための加熱、等)によって配向(モルフォロジー)が変化し、一定の配向を有する外装樹脂層を製造することができず、マイグレーションを起こしやすいことを本願発明者らは見出した。
また、熱可塑性樹脂は樹脂の構造等を制御することによって、熱可塑性樹脂の配向をある程度決めることが可能である。このため、熱可塑性樹脂に対しては、クレイ単体またはインターカレートされたクレイ(以下これらを「クレイ等」という。)のいずれをも使用し、熱可塑性樹脂とクレイ等とをブレンドすることができる。
一方、熱硬化性樹脂(熱硬化性モノマー)にクレイ単体またはインターカレートされたクレイを加えた組成物を重合することによって、ポリマーの生成とクレイ等の層はく離とを同時に進行させて外装樹脂層を形成する場合、熱硬化性樹脂によるマトリックスは三次元網目構造を形成するため、熱可塑性樹脂に使用することができるクレイ等を熱硬化性樹脂に単に使用してもマイグレーションを抑制することができないことを本願発明者は見出した。
さらに、熱硬化性樹脂としてのフェノール樹脂100質量部とクレイ単体2質量部とを含有する組成物から得られる外装樹脂層(外装樹脂層は1回のコーティングで作製された。)を有する陽極を作製し、図2に示す装置を用いて、印加電位−1.5V vs.SCEの条件下において、QCMによるマイグレーションを観測したところ、測定開始後わずか160秒で短絡現象が起きることを本願発明者は見出した。
これは、外装樹脂層中に微細なクラックが発生し、マイグレーションを抑制できなかったものと考えられる。
そこで、本発明は、外装樹脂層における、クラックの発生およびマイグレーションを抑制することができる、印刷回路基板の配線コーティング用フェノール樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、フェノール樹脂と、RNH3+(R:鎖の炭素原子数が15以上であるアルキル基)、R2NH2+(R:炭化水素基)、R3NH+(R:炭化水素基)、NR4+(4つのRのうち少なくとも1つが、鎖の炭素原子数が10以上であるアルキル基)、芳香族炭化水素を有する炭化水素基を1〜4個含むアンモニウム、および複素環を有する炭化水素基を1〜4個含むアンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機カチオンによってインターカレートされている層状ケイ酸塩とを含有する組成物が、外装樹脂層における、クラックの発生およびマイグレーションを抑制することができる、印刷回路基板の配線コーティング用フェノール樹脂組成物となることを見出した。
また、基板と、前記基板上に設けられた複数の配線と、前記配線の少なくとも間をコーティングする外装樹脂層とを有し、前記外装樹脂層が、上記の配線コーティング用フェノール樹脂組成物を用いて得られる印刷回路基板は、外装樹脂層におけるクラックを抑制することができることを見出した。
さらに、基板上に複数の配線を印刷する印刷工程と、前記印刷工程後、前記配線の少なくとも間に、上記の配線コーティング用フェノール樹脂組成物を塗布する塗布工程と、前記塗布工程後に、得られた基板を加熱する加熱工程とを有する製造方法によれば、外装樹脂層における、クラックおよびマイグレーションを抑制することができる印刷回路基板を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は、下記1〜5を提供する。
1. フェノール樹脂と、
RNH3+(R:鎖の炭素原子数が15以上であるアルキル基)、R2NH2+(R:炭化水素基)、R3NH+(R:炭化水素基)、NR4+(4つのRのうち少なくとも1つが、鎖の炭素原子数が10以上であるアルキル基)、芳香族炭化水素を有する炭化水素基を1〜4個含むアンモニウム、および複素環を有する炭化水素基を1〜4個含むアンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機カチオンによってインターカレートされている層状ケイ酸塩とを含有する、印刷回路基板の配線コーティング用フェノール樹脂組成物。
2. 前記層状ケイ酸塩が、モンモリロナイト、ヘクトライトおよびサポナイトからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記1に記載の配線コーティング用フェノール樹脂組成物。
3. 前記層状ケイ酸塩の量が、前記フェノール樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部である上記1または2に記載の配線コーティング用フェノール樹脂組成物。
4. 基板と、前記基板上に設けられた複数の配線と、
前記配線の少なくとも間をコーティングする外装樹脂層とを有し、
前記外装樹脂層が、上記1〜3のいずれかに記載の配線コーティング用フェノール樹脂組成物を用いて得られる印刷回路基板。
5. 基板上に複数の配線を印刷する印刷工程と、
前記印刷工程後、前記配線の少なくとも間に、上記1〜3のいずれかに記載の配線コーティング用フェノール樹脂組成物を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程後に、得られた基板を加熱する加熱工程とを有する印刷回路基板の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の配線コーティング用フェノール樹脂組成物は、外装樹脂層における、クラックの発生およびマイグレーションを抑制することができる。
また、本発明の印刷回路基板は、外装樹脂層における、クラックの発生およびマイグレーションを抑制することができる。
また、本発明の印刷回路基板の製造方法によれば、外装樹脂層における、クラックの発生およびマイグレーションを抑制することができる印刷回路基板を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明について以下詳細に説明する。
まず、本発明の印刷回路基板について以下に説明する。
本発明の印刷回路基板は、基板と、前記基板上に設けられた複数の配線と、
前記配線の少なくとも間をコーティングする外装樹脂層とを有し、
前記外装樹脂層が、本発明の配線コーティング用フェノール樹脂組成物を用いて得られる基板である。
【0009】
本発明の印刷回路基板について添付の図面を使用して以下に説明する。なお、本発明は添付の図面に限定されない。
図1は、本発明の印刷回路基板の一例を模式的に表す断面図である。
図1において、本発明の印刷回路基板100は、基板103と、基板103の上の複数の配線105、106と、外装樹脂層107とを有する。
【0010】
配線105と配線106とは、隣接しており異なる電位を有する。配線は2本以上であればよい。
外装樹脂層は配線の少なくとも間をコーティングする。また、外装樹脂層は配線の表面をコーティングすることができる。図1において、外装樹脂層107は配線105、106の表面全体および間をコーティングしている(図示せず。)。
【0011】
本発明の印刷回路基板については、その製造方法として、
基板上に複数の配線を印刷する印刷工程と、
前記印刷工程後、前記配線の少なくとも間に、本発明の配線コーティング用フェノール樹脂組成物を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程後に、得られた基板を加熱する加熱工程とを有する印刷回路基板の製造方法が好適に挙げられる。
【0012】
本発明の印刷回路基板の製造方法について図1を用いて以下に説明する。
まず、印刷工程において、基板103上に複数の配線105、106を印刷する。
本発明の印刷回路基板を製造する際に使用される基板103の材料は特に制限されない。例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂が挙げられる。
【0013】
本発明の印刷回路基板を製造する際に使用される配線105、106の材料は特に制限されない。例えば、銀、銅、錫、ニッケル、ビスマス、亜鉛、金、鉛、インジウムのような金属が挙げられる。金属はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
配線105、106を基板103に印刷する方法は特に制限されない。例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷などが挙げられる。
印刷工程後、複数の配線を有する基板が得られる。
【0014】
塗布工程は、印刷工程後、前記配線の少なくとも間に、本発明の配線コーティング用フェノール樹脂組成物を塗布する工程である。
本発明の印刷回路基板の製造の際に使用される配線コーティング用フェノール樹脂組成物について以下に説明する。
本発明の印刷回路基板の製造の際に使用される配線コーティング用フェノール樹脂組成物は本発明の配線コーティング用フェノール樹脂組成物である。本発明の配線コーティング用フェノール樹脂組成物を以下「本発明のフェノール樹脂組成物」ということがある。
【0015】
本発明のフェノール樹脂組成物は、
フェノール樹脂と、
RNH3+(R:鎖の炭素原子数が15以上であるアルキル基)、R2NH2+(R:炭化水素基)、R3NH+(R:炭化水素基)、NR4+(4つのRのうち少なくとも1つが、鎖の炭素原子数が10以上であるアルキル基)、芳香族炭化水素を有する炭化水素基を1〜4個含むアンモニウム、および複素環を有する炭化水素基を1〜4個含むアンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機カチオンによってインターカレートされている層状ケイ酸塩とを含有する、印刷回路基板の配線コーティング用フェノール樹脂組成物である。
【0016】
本発明のフェノール樹脂組成物に使用されるフェノール樹脂は特に制限されない。例えば、従来公知のもの(例えば、アシッド型、ノボラック型など)が挙げられる。
【0017】
層状ケイ酸塩について以下に説明する。
本発明のフェノール樹脂組成物に使用される層状ケイ酸塩は、RNH3+(R:鎖の炭素原子数が15以上であるアルキル基)、R2NH2+(R:炭化水素基)、R3NH+(R:炭化水素基)、NR4+(4つのRのうち少なくとも1つが、鎖の炭素原子数が10以上であるアルキル基)、芳香族炭化水素を有する炭化水素基を1〜4個含むアンモニウム、および複素環を有する炭化水素基を1〜4個含むアンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機カチオンによってインターカレートされているものである。
本発明のフェノール樹脂組成物に含有される層状ケイ酸塩は、有機カチオンによってインターカレート(層間挿入)されている。
【0018】
インターカレートの際に使用される層状ケイ酸塩(以下これを「原料層状ケイ酸塩」という。)は特に制限されない。例えば、モンモリロナイト、ヘクトライト(商品名ラポナイト等)、サポナイト(商品名スメクトン等)、バイデライトのようなスメクタイト;カオリナイト;パイロフィナイト;バーミキュライト;雲母;脆雲母;緑泥石が挙げられる。なかでも、外装樹脂層における、クラックの発生、マイグレーションをより抑制し、水への溶解性に優れるという観点から、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイトが好ましい。原料層状ケイ酸塩は天然物または合成品のいずれでもよい。
【0019】
有機カチオンは、RNH3+(R:鎖の炭素原子数が15以上であるアルキル基)、R2NH2+(R:炭化水素基)、R3NH+(R:炭化水素基)、NR4+(4つのRのうち少なくとも1つが、鎖の炭素原子数が10以上であるアルキル基)、芳香族炭化水素を有する炭化水素基を1〜4個含むアンモニウム、および複素環を有する炭化水素基を1〜4個含むアンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0020】
RNH3+において、Rは鎖の炭素原子数が15以上であるアルキル基である。
本発明において、鎖の炭素原子数は、アルキル基の骨格の炭素原子数を意味する。以下同様である。
Rは直鎖状であるか、または分岐している。Rが直鎖状または分岐のいずれの場合もRの鎖(骨格)の炭素原子数は15以上であり、外装樹脂層における、クラックの発生およびマイグレーションをより抑制することができるという観点から、鎖の炭素原子数は15〜20であるのが好ましい。Rが分岐している場合、側鎖としての炭化水素基は特に制限されない。
Rとしては、例えば、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基が挙げられる。なかでも、外装樹脂層における、クラックの発生およびマイグレーションをより抑制することができるという観点から、オクタデシル基が好ましい。
【0021】
2NH2+において、Rは炭化水素基である。Rは同一でも異なっていてもよい。
炭化水素基は、特に制限されない。例えば、炭素原子数1〜20のアルキル基、芳香族基、これらの組み合わせが挙げられる。
2NH2+としては、例えば、ジフェニルアンモニウムが挙げられる。
【0022】
3NH+において、Rは炭化水素基である。Rは同一でも異なっていてもよい。炭化水素基は上記と同義である。
3NH+としては、例えば、ジメチルベンジルアンモニウムが挙げられる。
【0023】
NR4+において、4つのRのうち少なくとも1つが、鎖の炭素原子数が10以上であるアルキル基である。Rは直鎖状であるか、または分岐している。外装樹脂層における、クラックの発生およびマイグレーションをより抑制することができるという観点から、鎖の炭素原子数は10〜20であるのが好ましい。Rが分岐している場合、側鎖としての炭化水素基は特に制限されない。
Rとしては、例えば、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、オクタデシル基が挙げられる。なかでも、外装樹脂層における、クラックの発生およびマイグレーションをより抑制することができるという観点から、ドデシル基、オクタデシル基が好ましい。
鎖の炭素原子数が10以上であるアルキル基が1〜3個窒素原子に結合する場合、アンモニウムの窒素原子に結合する残りの炭化水素基は特に制限されない。例えば、メチル基、エチル基、ヘキシル基のような炭素原子数1〜9のアルキル基が挙げられる。
NR4+としては、例えば、ドデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリエチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウムが挙げられる。
【0024】
芳香族炭化水素を有する炭化水素基を1〜4個含むアンモニウムにおいて、芳香族炭化水素を有する炭化水素基としては、例えば、芳香族炭化水素基、アラルキル基が挙げられる。具体的には例えば、フェニル基、ナフチル基のような芳香族炭化水素基;ベンジル基、フェネチル基のようなアラルキル基が挙げられる。
アンモニウムが芳香族炭化水素を有する炭化水素基を1〜3個含む場合、アンモニウムの窒素原子には、水素原子、炭化水素基が結合することができる。アンモニウムの窒素原子に結合することができる炭化水素基は特に制限されない。例えば、メチル基、エチル基、ヘキシル基のような炭素原子数1以上のアルキル基が挙げられる。
芳香族炭化水素を有する炭化水素基を1〜4個含むアンモニウムは、外装樹脂層における、クラックの発生およびマイグレーションをより抑制することができるという観点から、芳香族炭化水素を有する炭化水素基を1個と水素原子3個とを含むアンモニウム、芳香族炭化水素を有する炭化水素基を1個とアルキル基3個とを含むアンモニウムが好ましい。
芳香族炭化水素を有する炭化水素基を1個と水素原子3個とを含むアンモニウムとしては、例えば、フェニルアンモニウム、ナフチルアンモニウム、ベンジルアンモニウム、フェネチルアンモニウムが挙げられる。
芳香族炭化水素を有する炭化水素基を1個とアルキル基3個とを含むアンモニウムとしては、例えば、フェニルトリメチルアンモニウム、ナフチルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、フェネチルトリメチルアンモニウムが挙げられる。
【0025】
複素環を有する炭化水素基を1〜4個含むアンモニウムにおいて、複素環は特に制限されない。例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有する、5〜7員環のもの、縮合系のものが挙げられる。複素環はアルキル基を介してアンモニウムの窒素原子に結合することができる。複素環としては、具体的には例えば、ピロール環、フラン環、チオフェン環が挙げられる。
アンモニウムが複素環を有する炭化水素基を1〜3個含む場合、アンモニウムの窒素原子には、水素原子、炭化水素基が結合することができる。アンモニウムの窒素原子に結合することができる炭化水素基は特に制限されない。例えば、メチル基、エチル基のような炭素原子数1以上のアルキル基が挙げられる。
【0026】
有機カチオンは、外装樹脂層における、クラックの発生およびマイグレーションをより抑制することができるという観点から、オクタデシルアンモニウム、ベンジルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウムが好ましい。
【0027】
原料層状ケイ酸塩と有機カチオンとの組み合わせは、外装樹脂層における、クラックの発生およびマイグレーションをより抑制することができるという観点から、モンモリロナイト、ヘクトライトおよびサポナイトからなる群から選ばれる少なくとも1種と、オクタデシルアンモニウム、ベンジルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウムおよびベンジルトリメチルアンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種との組合せが好ましい。
層状ケイ酸塩は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
層状ケイ酸塩はその製造について特に制限されない。例えば、原料層状ケイ酸塩と有機カチオンの塩(例えば、有機カチオンの塩酸塩)とを水溶液中、80℃の加熱条件下において混合することによって製造することができる。
層状ケイ酸塩を製造する際に使用する有機カチオン塩の量は、外装樹脂層における、クラックの発生およびマイグレーションをより抑制することができ、配線および基材(PETなど)に対する密着性に優れるという観点から、原料層状ケイ酸塩100グラムに対して、0.01〜1.00モルであるのが好ましく、0.1〜0.2モルであるのがより好ましい。
【0028】
層状ケイ酸塩の量は、外装樹脂層における、クラックの発生およびマイグレーションをより抑制することができるという観点から、フェノール樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部であるのが好ましく、0.1〜2質量部であるのがより好ましい。
【0029】
本発明のフェノール樹脂組成物は、本発明の目的、効果を損なわない範囲で、添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、防曇剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、着色剤が挙げられる。
【0030】
本発明のフェノール樹脂組成物は、その製造について特に制限されない。例えば、フェノール樹脂と層状ケイ酸塩と必要に応じて使用することができる添加剤とを混合することによって得ることができる。
【0031】
本発明の印刷回路基板の製造方法において、本発明のフェノール樹脂組成物を配線に塗布する方法は特に制限されない。例えば、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、ディッピング法、スピンコート法などが挙げられる。
【0032】
次に、本発明の印刷回路基板の製造方法における塗布工程後、加熱工程において得られた基板を加熱する。
加熱温度は外装樹脂層における、クラックの発生およびマイグレーションをより抑制することができるという観点から、100〜200℃であるのが好ましい。
加熱方法は特に制限されない。例えば、マッフル炉などのオーブンを用いて基板を加熱することができる。
加熱工程において、本発明のフェノール樹脂組成物が硬化し、層状ケイ酸塩が層はく離してフェノール樹脂の三次元マトリックスに分散した外装樹脂層となることができる。
加熱後、冷却させて、本発明の印刷回路基板を得ることができる。
【0033】
本発明の印刷回路基板は、外装樹脂層を形成する組成物として本発明のフェノール樹脂組成物を使用することによって、高い印加電位[−1.5〜−2.0V vs.SCE(飽和カロメル電極)]をかけても、外装樹脂層におけるクラックが発生しにくく、マイグレーションを抑制することができ、外装樹脂層が絶縁性を有することができる。
また、本発明の印刷回路基板の製造方法は、本発明のフェノール樹脂組成物を使用することによって、加熱や溶媒等によって外装樹脂層中のフェノール樹脂と層状ケイ酸塩との配向が変化することなく、安定な品質(例えば、機械的強度、マイグレーション抑制効果)を有する印刷回路基板を容易に製造することができる。
【実施例】
【0034】
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
1.陽極
(1)陽極
本発明の実施例において使用された陽極について以下に添付の図面を用いて説明する。
図3は、本発明の実施例において使用された陽極を模式的に示す正面図である。
図3において、陽極300は、PETフィルムの基板303の上に銀の配線305を有する。符号307は外装樹脂層であり、外装樹脂層307は基板303と配線305とを覆っている。
図4は、図3に示す陽極300のA−A断面図である。
図4において、陽極400は、基板403の上に配線405が配置され、外装樹脂層407が配線405をコーティングしている。
外装樹脂層407の厚さL(基板403の表面から外装樹脂層407の表面まで)を、約20μmとした。
(2)陽極の作製
PETフィルムの基板303の上に銀ペーストを用いてスクリーン印刷手法で配線305を印刷し、次いで手刷りスクリーン印刷手法で下記のようにして得た組成物を部分307の銀配線部に1回コートし、150℃で1時間加熱して冷却させて外装樹脂層307を形成し陽極300を作製した。得られた陽極300をポテンショスタットの陽極(対極)として使用した。
【0035】
2.評価(有機アンモニウムハイブリッドクレイ含有コーティング樹脂の電気化学的挙動)
・電気化学QCM(Quarts Crystal Microbalance:水晶天秤)を用いて金属の析出を測定するために使用された装置
本発明の実施例において、電気化学QCMを用いて金属の析出を測定するために使用された装置について以下に添付の図面を用いて説明する。
図2は、本発明の実施例において、電気化学QCMを用いて金属の析出を測定するために使用された装置を模式的に示す概略図である。
図2において、装置200は、ポテンショスタット203、QCM205、水槽207を有する。ポテンショスタット203は、対極としての陽極209と、作用電極としてQCMを使用する陰極205と、参照電極211とを有する。陽極209、参照電極211はポテンショスタット203と電気的に接続されている。陰極205は基板213上に金蒸着部215を有し、金蒸着部215においてポテンショスタット203と電気的に接続されている。陰極205はQCMコントローラ217に電気的に接続されている。
陽極209は、外装樹脂層219の面(図示せず。)が金蒸着部215と接触する程度に、矢印221の方向に力が加えられ湾曲している。
水槽207の内部は、支持塩としてTEAClO4(化合物名:過塩素酸テトラエチルアンモニウム)を含有する0.1mMの水溶液223で満たされており、陰極205、陽極209、参照電極211が、水溶液223にひたされている。
ポテンショスタット203の電源からは電流が矢印225の方向に流れ、陰極205には参照電極211に対する電位が常に等電位となるようにポテンショスタット203によって電圧がかけられている。
湾曲している外装樹脂層219にクラック(図示せず。)が生じると、クラックから銀イオンが溶出し、金蒸着部215上で還元されて銀となる(図示せず。)
金蒸着部215上に金属(ここでは銀。図示せず。)が付着すると、その質量に応じて共振周波数偏差が下がる。共振周波数偏差の変動はQCMコントローラ217において検知される。
本発明の実施例において、ポテンショスタット203として電気化学システム:HZ−3000(北斗電工社製)が使用され、陽極209として上記のように作製した陽極が使用され、陰極205として共振周波数6MHzの金蒸着ATカットクリスタルのQCM(北斗電工社製)が使用され、参照電極211としてAg/AgCl線が使用された。
この実験によって、陽極209にもともと(実験前から)クラックがあるかどうかを確認することができる。
・測定
図2に示す装置、図3に示す陽極を用いて、ポテンショスタット203における印加電位:−1.5V vs.SCEとして、周波数偏差/Δfを測定した。結果を図6に示す。図6はQCM測定結果(時間一共振周波数偏差の関係)を示すグラフである。
【0036】
3.有機カチオンの塩の製造
(1)化合物2a
化合物1a(0.1g)を1mol/Lの塩酸水溶液中(10ml)で反応させて化合物2aを製造した。
(2)化合物2b
化合物1b(0.1g)を1mol/Lの塩酸水溶液中(10ml)で反応させて化合物2bを製造した。
(3)化合物2c
化合物1c(0.1g)を1mol/Lの塩酸水溶液中(10ml)で反応させて化合物2cを製造した。
各化合物の構造を図5に示す。
図5は、実施例において使用した有機カチオンの塩の構造(2a〜2e)、および有機カチオンの塩(2a〜2c)の製造を示す化学式である。
【0037】
4.層状ケイ酸塩
(1)層状ケイ酸塩(有機ハイブリッドクレイ)の製造
インターカレート前の層状ケイ酸塩としてヘクトライト(商品名ラポナイト、巴工業(株)社製)を使用した。
有機カチオンの塩として、上記のようにして得た化合物2a、2b、2cと、化合物2d(東京化成工業(株)社製)、化合物2e(東京化成工業(株)社製)を用いた。化合物2d、2eの構造を図5に示す。
ヘクトライト100グラムに対して、化合物2b(オクタデシルアンモニウムクロライド)0.15モルを使用してヘクトライトに有機カチオンをインターカレートさせた。
また、ヘクトライト100グラムに対して、化合物2a:0.15モルを使用してヘクトライトに有機カチオンをインターカレートさせた。化合物2c、化合物2d、化合物2eについても、ヘクトライト100グラムに対して、化合物2c、化合物2d、化合物2eをそれぞれ0.15モル使用してヘクトライトに有機カチオンをインターカレートさせた。
インターカレート方法は、文献記載の方法に従った(Macromolecules1997,30,6334を参照)。
化合物2bを用いて得られた層状ケイ酸塩を層状ケイ酸塩1とする。
化合物2eを用いて得られた層状ケイ酸塩を層状ケイ酸塩2とする。
化合物2dを用いて得られた層状ケイ酸塩を層状ケイ酸塩3とする。
化合物2cを用いて得られた層状ケイ酸塩を層状ケイ酸塩4とする。
化合物2aを用いて得られた層状ケイ酸塩を層状ケイ酸塩5とする。
【0038】
(2)層状ケイ酸塩の分析
層状ケイ酸塩への各種有機カチオンのインターカレーションの有無を明らかにするため、IR測定を行った。測定は、KBrに有機ハイブリッドクレイを拡散したペレットを作製し、全反射測定法により行った。
ドデシルアンモニウム、オクタデシルアンモニウム、n−ドデシルトリメチルアンモニウムを反応させたヘクトライトにおいては、C-H伸縮振動による吸収スペクトルが3000〜2840cm-1の領域に現れた。このことは、クレイに前述のアンモニウムがインターカレートされていることを示すものである。
しかしながら、ベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルアンモニウムを反応させたサンプルでは、C-H伸縮振動もしくはフェニル環による明瞭な吸収帯が確認できなかった。
IR測定において、インターカレーションの有無を認めることのできなかったベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルアンモニウムについて、そのインターカレーションの有無を明らかにすることを目的として、UV測定を行った。水にクレイ(ヘクトライト)のみを溶解したサンプル、水に塩化ベンジルトリメチルアンモニウムを溶解したサンプル、水にベンジルアミンを溶解したサンプル、水にベンジルトリメチルアンモニウムハイブリッドクレイを溶解したサンプル、水にベンジルアンモニウムハイブリッドクレイを溶解したサンプルのUVスペクトルを測定した。
クレイのみを水に溶解したスペクトルでは、特徴的な吸収帯は現れないが、塩化ベンジルトリメチルアンモニウムを反応させたクレイのスペクトルには、フェニル環に由来する吸収帯(約260nm)が現れた。
したがって、クレイにベンジルトリメチルアンモニウムおよびベンジルアンモニウムがインターカレートされていることを明らかにすることができた。
【0039】
5.実施例
(1)実施例1
フェノール樹脂(商品名フェノライト5010、大日本インキ化学工業株式会社)100質量部に対して、層状ケイ酸塩1を2質量部加え、混合して組成物を得た。得られた組成物を組成物1とする。
(2)実施例2
層状ケイ酸塩1を層状ケイ酸塩2に代えた他は実施例1と同様にして組成物を得た。得られた組成物を組成物2とする。
(3)実施例3
層状ケイ酸塩1を層状ケイ酸塩3に代えた他は実施例1と同様にして組成物を得た。得られた組成物を組成物3とする。
(4)実施例4
層状ケイ酸塩1を層状ケイ酸塩4に代えた他は実施例1と同様にして組成物を得た。得られた組成物を組成物4とする。
(5)比較例1
層状ケイ酸塩1を層状ケイ酸塩5に代えた他は実施例1と同様にして組成物を得た。得られた組成物を組成物5とする。
(6)比較例2
インターカレートされたヘクトライトの代わりにインターカレートされていないヘクトライトを用いる他は実施例1と同様にして組成物を得た。得られた組成物を組成物6とする。
【0040】
図6に示す結果から明らかなように、実施例1〜4(有機アンモニウムハイブリッドクレイを含有したフェノール樹脂でコーティングしたサンプル)は、有機カチオンがドデシルアンモニウムである比較例1、インターカレートされていない層状ケイ酸塩を用いる比較例2と比較して、長時間に渡り共振周波数偏差が保持された。このことはクレイに有機物をインターカレートしたことによりフェノール樹脂との相溶性が向上し、フェノール樹脂へのクラック生成が抑制されたためと考えられる。すなわち、ハイブリッド化する有機アンモニウムの分子構造を詳細に検討した結果、炭素鎖の長い有機アンモニウムをインターカレートするとマイグレーションが強く抑制されることが判った(オクタデシルアンモニウム:炭素鎖18とドデシルアンモニウム:炭素鎖12との比較)。このことは、クレイ層間と相互作用することのない疎水部分である炭素鎖が長いほど、フェノール樹脂とのvdw相互作用が強く誘起され相溶性が増したものと考えられる。
一方、炭素鎖部分にフェニル環を持つアミンを用いると、フェノール樹脂の基本骨格であるフェニル環との間に、vdw相互作用よりも強い相互作用であるπ−π相互作用が誘起されるため、炭素鎖が少なくてもフェノール樹脂との相溶性が期待できる。実際に、ベンジルアンモニウムを用いたところ、ドデシルアンモニウムより炭素数が少ないにもかかわらず、長時間に渡り、マイグレーションが抑制されることが判った。
次に、四級アンモニウムについて検討した。四級アンモニウムのカチオン部分の構造は、他のアンモニウムに比較して嵩高い立体構造を有する。そのため、クレイ層間に存在する無機イオンに対するイオン交換後、そのカチオン部分は無機イオンに比べて表層部に存在すると予測される。そのため、疎水部分はクレイから離れた遠位に存在することが推測できる。この推測に基づけば、長鎖四級アンモニウムをハイブリッド化した場合、クレイ周辺の疎水部分とフェノール樹脂は、他の有機ハイブリッドクレイと比較して大きな分子間相互作用が誘起されるはずである。実際に、ベンジルトリメチルアンモニウムやn−ドデシルトリメチルアンモニウムを用いると、予想通りマイグレーションが強く抑制され、とくにn−ドデシルトリメチルアンモニウムが最も良好なマイグレーション抑制能を示した。これらの結果より、有機アンモニウムハイブリッドクレイとフェノール樹脂の相溶性向上に伴うフェノール樹脂の高機能化により、マイグレーション抑制に成功した。
以上、有機残基を修飾したクレイを合成し、それを含有させた樹脂の電気化学的挙動を明らかにした。すなわち、有機ハイブリッドクレイを含有させたフェノール樹脂は、無垢のクレイを含有させた樹脂やクレイの存在しない樹脂に比較して、クラックしにくく、長時間に渡り、マイグレーションを抑制することを見出した。ハイブリッド化する有機アンモニウムの分子構造を詳細に検討した結果、フェノール樹脂でコーティングした銀配線のマイグレーション抑制には長鎖四級アンモニウム(n−ドデシルトリメチルアンモニウムなど)が有効に機能することを見出した。
なお、実施例1〜4におけるマイグレーションによる金属(例えば、銀)の析出状態を観察すると、金属の析出は陽極の曲げとは無関係な位置で起こっていた。
本発明により、銀ペーストのバインダーとして汎用されるフェノール樹脂と無機フィラー(クレイ)との相互作用を明らかにすることで、クラックしにくく、マイグレーション抑制能を有するクレイおよび有機ハイブリッドクレイを含有する外装樹脂を開発することができた。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、本発明の印刷回路基板の一例を模式的に表す断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施例において、電気化学QCMを用いて金属の析出を測定するために使用された装置を模式的に示す概略図である。
【図3】図3は、本発明の実施例において使用された陽極を模式的に示す正面図である。
【図4】図4は、図3に示す陽極300のA−A断面図である。
【図5】図5は、実施例において使用した有機カチオンの塩の構造(2a〜2e)、および有機カチオンの塩(2a〜2c)の製造を示す化学式である。
【図6】図6は、QCM測定結果(時間一共振周波数偏差の関係)を示すグラフである。
【符号の説明】
【0042】
100 本発明の印刷回路基板 103 基板
105、106 配線 107 外装樹脂層
200 装置 203 ポテンショスタット
205 QCM(陰極) 207 水槽
209 陽極
211 参照電極 213 基板
215 金蒸着部 217 QCMコントローラ
219 外装樹脂層 221、225 矢印
223 水溶液
300、400 陽極 303、403 基板
305、405 配線 307、407 外装樹脂層
L 外装樹脂層307の厚さ(基板303の表面から外装樹脂層307の表面まで)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール樹脂と、
RNH3+(R:鎖の炭素原子数が15以上であるアルキル基)、R2NH2+(R:炭化水素基)、R3NH+(R:炭化水素基)、NR4+(4つのRのうち少なくとも1つが、鎖の炭素原子数が10以上であるアルキル基)、芳香族炭化水素を有する炭化水素基を1〜4個含むアンモニウム、および複素環を有する炭化水素基を1〜4個含むアンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機カチオンによってインターカレートされている層状ケイ酸塩とを含有する、印刷回路基板の配線コーティング用フェノール樹脂組成物。
【請求項2】
前記層状ケイ酸塩が、モンモリロナイト、ヘクトライトおよびサポナイトからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の配線コーティング用フェノール樹脂組成物。
【請求項3】
前記層状ケイ酸塩の量が、前記フェノール樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部である請求項1または2に記載の配線コーティング用フェノール樹脂組成物。
【請求項4】
基板と、前記基板上に設けられた複数の配線と、前記配線の少なくとも間をコーティングする外装樹脂層とを有し、前記外装樹脂層が、請求項1〜3のいずれかに記載の配線コーティング用フェノール樹脂組成物を用いて得られる印刷回路基板。
【請求項5】
基板上に複数の配線を印刷する印刷工程と、
前記印刷工程後、前記配線の少なくとも間に、請求項1〜3のいずれかに記載の配線コーティング用フェノール樹脂組成物を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程後に、得られた基板を加熱する加熱工程とを有する印刷回路基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−56135(P2010−56135A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216682(P2008−216682)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】