説明

配線回路基板の製造方法

【課題】ベース絶縁層に用いられる材料の種類が限定されない配線回路基板の製造方法を提供する。
【解決手段】キャリア層8と導体層30とからなる二層基材の導体層30上にレジスト膜22を形成する。次に、レジスト膜22を露光および現像することによりエッチングレジストパターン22aを形成する。エッチングレジストパターン22aから露出する導体層30の領域をエッチングにより除去する。エッチングレジストパターン22aを除去することにより導体パターンを形成する。続いて、導体パターンの上面を含む全面に接着剤層前駆体を塗布する。接着剤層前駆体を露光および現像することにより、導体パターン上に接着剤パターンを形成する。その後、接着剤パターンを介して導体パターン上にベース絶縁層2を接合する。最後に、導体パターンからキャリア層8を剥離することにより、FPC基板が製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池等の電池またはハードディスクドライブ等の電子機器においては、回路素子間の電気信号の伝送路として配線回路基板が用いられる。配線回路基板の製造時には、ベース絶縁層上の導電層に所定のパターンを有するレジスト層を形成する。この状態で、エッチング液を用いて導電層の露出した領域をエッチングすることにより所定の導体パターンを形成する。その後、レジスト層を除去する。さらに、導体パターンを覆うようにカバー絶縁層を形成する。このようにして、導体層のエッチングにより所望の導体パターンを有する配線回路基板を製造することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−258482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配線回路基板のベース絶縁層に用いられる材料は、配線回路基板の用途に応じて最適に選択されることが望ましい。しかしながら、従来の配線回路基板の製造方法においては、導体層のエッチングの際にエッチング液によりベース絶縁層が溶解しないように、ベース絶縁層に使用可能な材料はポリイミド等の耐薬品性の高い材料に限定される。
【0005】
本発明の目的は、ベース絶縁層に用いられる材料の種類が限定されない配線回路基板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る配線回路基板の製造方法は、支持層の一面上に所定のパターンを有する導体層からなる導体パターンを形成するステップと、導体パターン上に絶縁層を接合するステップと、導体パターンから支持層を剥離するステップとを含むものである。
【0007】
この配線回路基板の製造方法においては、支持層の一面上に所定のパターンを有する導体層からなる導体パターンが形成される。次に、導体パターン上に絶縁層が接合される。その後、導体パターンから支持層が剥離される。
【0008】
このように、導体パターンの形成時には絶縁層が存在せず、導体パターンの形成後に導体パターン上に絶縁層が接合される。そのため、導体パターンの形成に伴って絶縁層が溶解または変形することがない。それにより、絶縁層に用いられる材料の種類が限定されない。その結果、用途に応じた種々の材料を用いて絶縁層を形成することができる。
【0009】
(2)導体層を形成するステップは、支持層と導体層との積層構造を有する基材を用意するステップと、導体層を加工することにより支持層の一面上に導体パターンを形成するステップとを含み、導体パターン上に絶縁層を接合するステップは、導体パターン上に所定のパターンを有する接着剤層からなる接着剤パターンを形成するステップと、接着剤パターンを介して導体パターン上に絶縁層を接合するステップとを含んでもよい。
【0010】
この場合、支持層と導体層との積層構造を有する基材の導体層を加工することにより支持層の一面上に導体パターンが形成される。また、接着剤パターンを介して導体パターン上に絶縁層が接合される。これにより、導体パターンが絶縁層から剥離することが防止される。
【0011】
また、接着剤パターンは導体パターンと同一の形状を有するので、導体パターンから露出する絶縁層の領域には接着剤パターンが形成されない。これにより、配線回路基板のフレキシブル性の低下を防止することができる。
【0012】
(3)導体パターン上に絶縁層を接合するステップは、導体パターンを覆うように支持層上に接着剤層を形成するステップと、接着剤層を加工することにより接着剤パターンを形成するステップとをさらに含んでもよい。この場合、確実に導体パターン上に接着剤パターンを形成することができる。
【0013】
(4)接着剤層は感光性を有し、接着剤層を加工するステップは、接着剤層に露光処理および現像処理を行うことにより接着剤パターンを形成するステップを含んでもよい。
【0014】
この場合、接着剤層に露光処理および現像処理を行うことにより容易に接着剤パターンを形成することができる。
【0015】
(5)接着剤層に露光処理および現像処理を行うステップは、導体パターンをマスクとして用いて光を支持層を通して接着剤層に照射するステップを含んでもよい。
【0016】
この場合、別途マスクパターンを用意することなく接着剤パターンを形成することができる。その結果、配線回路基板の製造工程および製造コストを削減することができる。
【0017】
(6)導体パターンを形成するステップは、支持層と導体層との積層構造を有する基材を用意するステップと、導体層上に所定のパターンを有する接着剤層からなる接着剤パターンを形成するステップと、接着剤パターンをマスクとして用いて導体層の露出した領域を除去することにより導体パターンを形成するステップとを含み、導体パターン上に絶縁層を接合するステップは、接着剤パターンを介して導体パターン上に絶縁層を接合するステップを含んでもよい。
【0018】
この場合、支持層と導体層との積層構造を有する基材の導体層上に所定のパターンを有する接着剤層からなる接着剤パターンが形成される。また、接着剤パターンをマスクとして用いて導体層の露出した領域が除去される。これにより、別途マスクパターンを用意することなく導体パターンを形成することができる。その結果、配線回路基板の製造工程および製造コストを削減することができる。
【0019】
(7)接着剤層は感光性を有し、導体層上に接着剤パターンを形成するステップは、接着剤層に露光処理および現像処理を行うことにより接着剤パターンを形成するステップを含んでもよい。
【0020】
この場合、接着剤層に露光処理および現像処理を行うことにより容易に接着剤パターンを形成することができる。
【0021】
(8)導体パターンを形成するステップは、支持層と導体層との積層構造を有する基材を用意するステップと、導体層を加工することにより支持層の一面上に導体パターンを形成するステップとを含み、導体パターン上に絶縁層を接合するステップは、導体パターン上に接着剤層および絶縁層の積層構造を形成するステップを含み、方法は、支持層を剥離した後、導体パターンから露出する接着剤層の領域を除去することにより所定のパターンを有する接着剤パターンを形成するステップを含んでもよい。
【0022】
この場合、支持層と導体層との積層構造を有する基材の導体層を加工することにより支持層の一面上に導体パターンが形成される。また、導体パターン上に接着剤層および絶縁層の積層構造を形成することにより、導体パターン上に絶縁層が接合される。さらに、支持層を剥離した後、導体パターンから露出する接着剤層の領域を除去することにより接着剤パターンが形成される。
【0023】
これにより、導体パターンをマスクとして用いることができるので、別途マスクパターンを用意することなく接着剤パターンを形成することができる。その結果、配線回路基板の製造工程および製造コストを削減することができる。
【0024】
(9)導体パターンから露出する接着剤層の領域を除去するステップは、プラズマを用いて接着剤層の領域を除去するステップを含んでもよい。
【0025】
この場合、接着剤層が感光性であるか非感光性であるかにかかわらず、接着剤層に所定のパターンを容易に形成することができる。
【0026】
(10)導体パターンを形成するステップは、ウェットエッチングにより導体パターンをエッチングするステップを含んでもよい。
【0027】
この場合、絶縁層にエッチング液が付着することを防止しつつ導体層に所定のパターンを容易に形成することができる。
【0028】
(11)絶縁層は多孔質材料を含んでもよい。この場合、絶縁層が通気性を有する。それにより、配線回路基板を燃料電池の電極として用いることが可能となる。
【0029】
(12)導体パターンを形成するステップは、支持層、導体層および接着剤層の積層構造を形成するステップと、積層構造から導体層および接着剤層の不要な部分を分離することにより支持層の一面上に所定のパターンを有する導体パターンを形成するとともに導体パターン上に所定のパターンを有する接着剤パターンを形成するステップとを含み、導体パターン上に絶縁層を接合するステップは、接着剤パターンを介して導体パターン上に絶縁層を接合するステップとを含んでもよい。
【0030】
この場合、支持層、導体層および接着剤層の積層構造から導体層および接着剤層の不要な部分が分離される。それにより、支持層の一面上に導体パターンおよび接着剤パターンを同時に形成することができる。その結果、製造工程および製造コストの削減が可能となる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、ベース絶縁層に用いられる材料の種類が限定されない配線回路基板を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】(a)は第1の実施の形態に係るFPC基板の製造方法により製造されるFPC基板の平面図であり、(b)は(a)のFPC基板のA−A線断面図である。
【図2】FPC基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図3】FPC基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図4】FPC基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図5】FPC基板を用いた燃料電池の外観斜視図である。
【図6】燃料電池内における作用を説明するための図である。
【図7】第2の実施の形態に係るFPC基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図8】第2の実施の形態に係るFPC基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図9】第3の実施の形態に係るFPC基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図10】第4の実施の形態に係るFPC基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図11】第5の実施の形態に係るFPC基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図12】比較例1におけるFPC基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
[1]第1の実施の形態
以下、図面を参照しながら第1の実施の形態に係る配線回路基板の製造方法について説明する。本実施の形態では、配線回路基板の例として、屈曲性を有するフレキシブル配線回路基板(以下、FPC基板と略記する。)について説明する。後述するように、このFPC基板は、例えば燃料電池に用いることができる。
【0034】
(1)FPC基板の構成
図1(a)は第1の実施の形態に係るFPC基板の製造方法により製造されるFPC基板の平面図であり、図1(b)は図1(a)のFPC基板のA−A線断面図である。
【0035】
図1(a)および図1(b)に示すように、FPC基板1は、例えば多孔質性のePTFE(延伸ポリテトラフルオロエチレン)からなるベース絶縁層2を備える。そのため、ベース絶縁層2は通気性を有する。ベース絶縁層2は、第1絶縁部2a、第2絶縁部2b、第3絶縁部2cおよび第4絶縁部2dからなる。第1絶縁部2aおよび第2絶縁部2bは、それぞれ矩形形状を有し、互いに隣接するように一体的に形成される。以下、第1絶縁部2aと第2絶縁部2bとの境界線に平行な辺を側辺と称し、第1絶縁部2aおよび第2絶縁部2bの側辺に垂直な一対の辺を端辺と称する。
【0036】
第3絶縁部2cは、第1絶縁部2aの1つの角部における側辺の一部から外方へ延びるように形成される。第4絶縁部2dは、第1絶縁部2aの上記角部の対角に位置する第2絶縁部2bの角部における側辺の一部から外方へ延びるように形成される。
【0037】
第1絶縁部2aと第2絶縁部2bとの境界線上にベース絶縁層2をほぼ二等分するように屈曲部B1が設けられる。後述のように、ベース絶縁層2は、屈曲部B1に沿って折曲可能である。屈曲部B1は、例えば線状の浅い溝であってもよく、または、線状の印等でもよい。あるいは、屈曲部B1でベース絶縁層2を折曲可能であれば、屈曲部B1に特に何もなくてもよい。ベース絶縁層2を屈曲部B1に沿って折曲する場合、第1絶縁部2aと第2絶縁部2bとが対向する。この場合、第3絶縁部2cと第4絶縁部2dとは対向しない。
【0038】
ベース絶縁層2の一面に、図1(b)の接着剤パターン7を介して、矩形の集電部3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h,3i,3j、接続導体部3k,3l,3m,3nおよび引き出し導体部3o,3pが形成される。集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pは例えば銅からなる。
【0039】
接着剤パターン7としては、例えばエポキシ樹脂系の接着剤、フェノール樹脂系の接着剤、ポリエステル樹脂系の接着剤、アクリル樹脂系の接着剤またはポリイミド系の接着剤等の任意の接着剤が用いられる。本実施の形態において、接着剤パターン7には光酸発生剤が添加される。これにより、接着剤パターン7は感光性を有する。
【0040】
集電部3a〜3jの各々は長方形状を有する。集電部3a〜3eは、第1絶縁部2aの端辺に沿って平行に延びかつ第1絶縁部2aの側辺方向に沿って設けられる。同様に、集電部3f〜3jは、第2絶縁部2bの端辺に沿って平行に延びかつ第2絶縁部2bの側辺方向に沿って設けられる。この場合、集電部3a〜3eと集電部3f〜3jとは、屈曲部B1を中心として対称な位置に配置される。
【0041】
接続導体部3k〜3nは、屈曲部B1をまたぐように第1絶縁部2aおよび第2絶縁部2bにわたって形成される。接続導体部3kは集電部3bと集電部3fとを電気的に接続し、接続導体部3lは集電部3cと集電部3gとを電気的に接続し、接続導体部3mは集電部3dと集電部3hとを電気的に接続し、接続導体部3nは集電部3eと集電部3iとを電気的に接続する。
【0042】
集電部3a〜3eの各々には、端辺方向に沿って複数(本例では4個)の開口H11が形成される。また、集電部3f〜3jの各々には、端辺方向に沿って複数(本例では4個)の開口H12が形成される。
【0043】
引き出し導体部3oは、集電部3aの外側の短辺から第3絶縁部2c上に直線状に延びるように形成される。引き出し導体部3pは、集電部3jの外側の短辺から第4絶縁部2d上に直線状に延びるように形成される。
【0044】
集電部3aおよび引き出し導体部3oの一部を覆うように、第1絶縁部2a上に被覆層6aが形成される。これにより、引き出し導体部3oの先端部は被覆層6aに覆われずに露出する。この露出した引き出し導体部3oの部分を、引き出し電極5aと称する。また、集電部3b〜3eをそれぞれ覆うように、第1絶縁部2a上に被覆層6b,6c,6d,6eが形成される。集電部3a〜3eの開口H11内において、被覆層6a〜6eは第1絶縁部2aの上面に接する。
【0045】
集電部3jおよび引き出し導体部3pの一部を覆うように、第2絶縁部2b上に被覆層6jが形成される。これにより、引き出し導体部3pの先端部は被覆層6jに覆われずに露出する。この露出した引き出し導体部3pの部分を、引き出し電極5bと称する。また、集電部3f〜3iをそれぞれ覆うように、第2絶縁部2b上に被覆層6f,6g,6h,6iが形成される。集電部3f〜3jの開口H12内において、被覆層6f〜6jは第2絶縁部2bの上面に接する。
【0046】
接続導体部3k〜3nをそれぞれ覆うように、第1絶縁部2a上および第2絶縁部2b上に被覆層6k,6l,6m,6nが形成される。被覆層6a〜6nは、導電材料を含有した樹脂組成物からなる。
【0047】
樹脂組成物として、例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂もしくはポリエステル樹脂、またはこれらの樹脂を2種類以上混合した樹脂を用いることができる。
【0048】
樹脂組成物は、温度40℃でかつ相対湿度90%の環境において150g/(m2・24h)以下の透湿度を有することが好ましい。また、樹脂組成物は、60℃以上のガラス転移温度Tgを有することが好ましい。
【0049】
一方、導電材料として、例えば金(Au)、銀もしくはナノ銀粒子等の金属材料、カーボンブラック、黒鉛もしくはカーボンナノチューブ等の炭素材料、またはポリチオフェンもしくはポリアニリン等の導電性高分子材料を用いることができ、またはこれらの材料を2種類以上混合した材料を用いることができる。
【0050】
(2)FPC基板の製造方法
次に、図1に示したFPC基板1の製造方法を説明する。図2、図3および図4は、FPC基板1の製造方法を説明するための工程断面図であり、各断面図は図1のA−A線における断面図に相当する。
【0051】
まず、図2(a)に示すように、キャリア層8と導体層30とからなる二層基材を用意する。キャリア層8としては、粘着剤層を有するPET(ポリエチレンテレフタレート)等の樹脂または粘着剤層を有するステンレス等の金属薄膜を用いることができる。また、導体層30は例えば銅からなる。キャリア層8と導体層30とは、ラミネータにより貼り付けられていてもよいし、プレス機により圧着されていてもよい。キャリア層8と導体層30との圧着は、加温された状態または真空の状態で行われてもよい。
【0052】
次に、図2(b)に示すように、導体層30上に例えば、感光性ドライフィルムレジスト等によりレジスト膜22を形成する。図2(c)に示すように、レジスト膜22を所定のパターンで露光した後、現像することによりエッチングレジストパターン22aを形成する。
【0053】
次に、図2(d)に示すように、塩化第二鉄を用いてエッチングレジストパターン22aから露出する導体層30の領域をエッチングにより除去する。次に、図3(e)に示すように、エッチングレジストパターン22aを剥離液により除去する。これにより、キャリア層8上に集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3p(図1(a)参照)が形成される。また、集電部3a〜3eには複数の開口H11が形成され、集電部3f〜3jには複数の開口H12が形成される。
【0054】
スパッタリング、蒸着またはめっき等の他の方法によりキャリア層8上に集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pを形成してもよい。
【0055】
続いて、図3(f)に示すように、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pの上面(キャリア層8と接しない面)を含む全面に接着剤層前駆体7pを塗布する。次に、図3(g)に示すように、所定のマスクパターンを介して接着剤層前駆体7pを露光した後、現像することにより、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3p上に、所定のパターンを有する接着剤パターン7を形成する。
【0056】
ここで、接着剤層前駆体7pがネガ型の感光性を有する場合、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pの反転形状を有するマスクパターンを介して接着剤層前駆体7pを露光する。接着剤層前駆体7pがポジ型の感光性を有する場合、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pと同一形状を有するマスクパターンを介して接着剤層前駆体7pを露光する。
【0057】
また、接着剤層前駆体7pがポジ型の感光性を有する場合、接着剤層前駆体7pの下面(集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pと接する面)側から露光を行ってもよい。この場合、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pをマスクパターンとして用いることができるので、別途マスクパターンを用いなくてよい。これにより、FPC基板1の製造工程および製造コストを削減することができる。なお、PETからなるキャリア層8は露光光を透過するため、接着剤層前駆体7pの下面(集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pと接する面)側からの露光の妨げとならない。
【0058】
集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3p上を除く部分に塗布された接着剤層前駆体7pの部分を、薬液、レーザ光またはプラズマ処理により除去してもよい。この場合、接着剤層前駆体7pの露光時にマスクパターンを用いなくてよい。同様に、スクリーン印刷またはペーストディスペンサにより、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3p上のみに接着剤層前駆体7pを塗布してもよい。この場合も、接着剤層前駆体7pの露光時にマスクパターンを用いなくてよい。
【0059】
次に、図3(h)に示すように、接着剤パターン7を介して集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3p上にベース絶縁層2を接合する。その後、図4(i)に示すように、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pからキャリア層8を剥離する。
【0060】
次に、図4(j)に示すように、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pを覆うように、ベース絶縁層2上に塗布またはラミネートにより被覆層6a〜6n(図1(a)参照)を形成する。ここで、引き出し電極5a,5b(図1(a)参照)が被覆層6a,6jから露出する。なお、図4(j)および図4(k)の断面図は、図4(i)の断面図とは上下を逆にして示している。
【0061】
最後に、図4(k)に示すように、ベース絶縁層2を所定の形状に切断することにより、ベース絶縁層2、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3n、引き出し導体部3o,3pおよび被覆層6a〜6nを備えるFPC基板1が完成する。
【0062】
なお、キャリア層8の厚みは1μm以上500μm以下であることが好ましく、10μm以上200μm以下であることがより好ましく、25μm以上150μm以下であることがさらに好ましい。キャリア層8の厚みが1μm以上であるとキャリア層8の取り扱い性が向上し、キャリア層8の厚みが500μm以下であるとキャリア層8のフレキシブル性が向上する。
【0063】
導体層30の厚みは1μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上70μm以下であることがより好ましく、10μm以上50μm以下であることがさらに好ましい。導体層30の厚みが1μm以上であると抵抗等の電気特性が向上し、導体層30の厚みが100μm以下であると導体層30の取り扱い性が向上する。
【0064】
接着剤パターン7の厚みは1μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上70μm以下であることがより好ましく、10μm以上50μm以下であることがさらに好ましい。接着剤パターン7の厚みが1μm以上であると接着剤の接着力が向上し、接着剤パターン7の厚みが100μm以下であると接着剤パターン7の取り扱い性が向上する。
【0065】
ベース絶縁層2の厚みは10μm以上500μm以下であることが好ましく、10μm以上200μm以下であることがより好ましく、10μm以上100μm以下であることがさらに好ましい。ベース絶縁層2の厚みが10μm以上であるとベース絶縁層2の取り扱い性が向上し、ベース絶縁層2の厚みが500μm以下であるとベース絶縁層2のコストが低下する。
【0066】
図2〜図4では、サブトラクティブ法によるFPC基板1の製造方法を示したが、これに限定されず、セミアディティブ法等の他の製造方法を用いてもよい。
【0067】
(3)FPC基板を用いた燃料電池
図5は、FPC基板1を用いた燃料電池100の外観斜視図である。図6は、燃料電池100内における作用を説明するための図であり、図5の燃料電池100のB−B線から見た断面図である。
【0068】
図5および図6に示すように、燃料電池100は直方体状のケーシング40を有する。図5では、ケーシング40を破線により示している。ケーシング40は、上面部41、下面部42、一方の側面部43および他方の側面部44を有する。図6には、残りの一対の側面部は図示されない。
【0069】
FPC基板1は、被覆層6a〜6nが形成された一面を内側にして図1の屈曲部B1に沿って折曲された状態でケーシング40の上面部41および下面部42により狭持される。
【0070】
FPC基板1の引き出し電極5a,5bは、ケーシング40の一方の側面部43から外側に引き出される。引き出し電極5a,5bには、種々の外部回路の端子が電気的に接続される。
【0071】
ケーシング40内において、複数(本実施の形態では5個)の電極膜35が、折曲されたFPC基板1の被覆層6aと被覆層6fとの間、被覆層6bと被覆層6gとの間、被覆層6cと被覆層6hとの間、被覆層6dと被覆層6iとの間、および被覆層6eと被覆層6jとの間にそれぞれ配置される(図1(a)参照)。これにより、複数の電極膜35が直列接続される。
【0072】
各電極膜35は空気極35a、燃料極35bおよび電解質膜35cからなる。空気極35aは電解質膜35cの一面に形成され、燃料極35bは電解質膜35cの他面に形成される。複数の電極膜35の空気極35aはFPC基板1の被覆層6f〜6jにそれぞれ対向し、複数の電極膜35の燃料極35bはFPC基板1の被覆層6a〜6eにそれぞれ対向する。
【0073】
ケーシング40内の上面部41上には、集電部3f〜3jの複数の開口H12に対応するように複数の開口H41が形成される。電極膜35の空気極35aには、ケーシング40の複数の開口H41、通気性を有するFPC基板1のベース絶縁層2、および集電部3f〜3jの複数の開口H12を通して空気が供給される。
【0074】
ケーシング40の下面部42には、ベース絶縁層2の第1絶縁部2a(図1(a)参照)に接するように燃料収容室50が設けられる。燃料収容室50には、燃料供給管51の一端が接続される。燃料供給管51の他端は、ケーシング40の他方の側面部44を通って外部の図示しない燃料供給部に接続される。燃料供給部から燃料供給管51を通して燃料収容室50内に燃料が供給される。各電極膜35の燃料極35bには、通気性を有するFPC基板1のベース絶縁層2および集電部3f〜3jの複数の開口H11を通して燃料が供給される。なお、本実施の形態では、燃料としてメタノールを用いる。
【0075】
上記の構成においては、複数の燃料極35bにおいて、メタノールが水素イオンと二酸化炭素とに分解され、電子が生成される。生成された電子は、FPC基板1の集電部3a(図1参照)から引き出し電極5aに導かれる。メタノールから分解された水素イオンは、電解質膜35cを透過して空気極35aに達する。複数の空気極35aにおいて、引き出し電極5bから集電部3jに導かれた電子を消費しつつ水素イオンと酸素とが反応し、水が生成される。このようにして、引き出し電極5a,5bに接続された外部回路に電力が供給される。
【0076】
(4)効果
本実施の形態に係るFPC基板1の製造方法おいては、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pの形成時にはベース絶縁層2が存在せず、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pの形成後に集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3p上にベース絶縁層2が接合される。そのため、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pの形成に伴ってベース絶縁層2がエッチング液等の薬液により溶解または変形することがない。それにより、ベース絶縁層2に用いられる材料の種類が限定されない。その結果、用途に応じた種々の材料を用いてベース絶縁層2を形成することができる。
【0077】
また、接着剤パターン7を介して集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3p上にベース絶縁層2が接合されるので、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pがベース絶縁層2から剥離することが確実に防止される。
【0078】
本実施の形態に係るFPC基板1おいては、ベース絶縁層2が通気性を有する多孔質材料からなるので、ベース絶縁層2を燃料電池100の気液分離膜として用いることができるとともに、FPC基板1を燃料電池100の電極として用いることが可能となる。
【0079】
また、接着剤パターン7は集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pと同一の形状を有するので、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pから露出するベース絶縁層2の領域には接着剤パターン7が形成されない。これにより、FPC基板1のフレキシブル性の低下を防止することができる。さらに、空気および気化したメタノールがベース絶縁層2を透過して空気極35aおよび燃料極35bに供給される際に、空気および気化したメタノールの透過が接着剤層により妨げられない。
【0080】
また、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pを覆うようにベース絶縁層2上に被覆層6a〜6nが形成され、かつベース絶縁層2と集電部3a〜3jとの間、ベース絶縁層2と接続導体部3k〜3nとの間およびベース絶縁層2と引き出し導体部3o,3pとの間に接着剤パターン7が形成される。これにより、メタノール等の酸が集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pに接触することが防止される。その結果、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pの腐食が防止される。
【0081】
また、本実施の形態においては、接着剤層前駆体7pが感光性を有するので、露光処理および現像処理を行うことにより容易に接着剤パターン7を形成することができる。
【0082】
さらに、本実施の形態に係るFPC基板1の製造方法によれば、透明材料からなるベース絶縁層2を用いることもできる。この場合には、FPC基板1を太陽電池の電極として用いることが可能となる。
【0083】
[2]第2の実施の形態
第2の実施の形態に係るFPC基板1の製造方法について、第1の実施の形態に係るFPC基板1の製造方法と異なる点を説明する。図7および図8は、第2の実施の形態に係るFPC基板1の製造方法を説明するための工程断面図である。
【0084】
まず、図7(a)に示すように、キャリア層8と導体層30とからなる二層基材を用意する。次に、図7(b)に示すように、導体層30上に接着剤層前駆体7pを塗布する。続いて、図7(c)に示すように、図1(a)の集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pと同一の形状を有するマスクパターンを介して接着剤層前駆体7pを露光した後、現像することにより、導体層30上に所定のパターンを有する接着剤パターン7を形成する。
【0085】
次に、図7(d)に示すように、塩化第二鉄を用いて接着剤パターン7から露出する導体層30の領域をエッチングにより除去する。これにより、キャリア層8上に集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3p(図1(a)参照)が形成される。また、集電部3a〜3eには複数の開口H11が形成され、集電部3f〜3jには複数の開口H12が形成される。
【0086】
次に、図8(e)に示すように、接着剤パターン7を介して集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3p上にベース絶縁層2を接合する。その後、図8(f)に示すように、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pからキャリア層8を剥離する。
【0087】
次に、図8(g)に示すように、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pを覆うように、ベース絶縁層2上に塗布またはラミネートにより被覆層6a〜6n(図1(a)参照)を形成する。ここで、引き出し電極5a,5b(図1(a)参照)が被覆層6a,6jから露出する。なお、図8(g)および図8(h)の断面図は、図8(f)の断面図とは上下を逆にして示している。
【0088】
最後に、図8(h)に示すように、ベース絶縁層2を所定の形状に切断することにより、ベース絶縁層2、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3n、引き出し導体部3o,3pおよび被覆層6a〜6nを備えるFPC基板1が完成する。
【0089】
本実施の形態に係るFPC基板1の製造方法おいては、キャリア層8と導体層30との積層構造を有する基材の導体層30上に接着剤パターン7が形成される。また、接着剤パターン7をマスクとして用いて導体層30の露出した領域が除去される。これにより、別途マスクパターンを用意することなく集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pを形成することができる。その結果、FPC基板1の製造工程および製造コストを削減することができる。
【0090】
また、接着剤パターン7が感光性を有するので、露光処理および現像処理を行うことにより容易に接着剤パターン7を形成することができる。
【0091】
[3]第3の実施の形態
第3の実施の形態に係るFPC基板1の製造方法について、第1の実施の形態に係るFPC基板1の製造方法と異なる点を説明する。本実施の形態において、接着剤パターン7は感光性を有しない。図9は、第3の実施の形態に係るFPC基板1の製造方法を説明するための工程断面図である。本実施の形態に係るFPC基板1の製造方法は、第1の実施の形態に係るFPC基板1の製造方法の図2(a)の工程から図3(f)の工程と同様の工程を有する。
【0092】
図3(f)の工程の次に、図9(a)に示すように、接着剤層前駆体7pを乾燥させることにより接着剤層7qを形成し、接着剤層7qを介して集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3p上にベース絶縁層2を接合する。続いて、図9(b)に示すように、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pからキャリア層8を剥離する。その後、図9(c)に示すように、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pから露出する接着剤層7qの領域をプラズマ処理により除去する。このようにして、接着剤パターン7を形成する。
【0093】
次に、図9(d)に示すように、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pを覆うように、ベース絶縁層2上に塗布またはラミネートにより被覆層6a〜6n(図1(a)参照)を形成する。ここで、引き出し電極5a,5b(図1(a)参照)が被覆層6a,6jから露出する。なお、図9(d)および図9(e)の断面図は、図9(c)の断面図とは上下を逆にして示している。
【0094】
最後に、図9(e)に示すように、ベース絶縁層2を所定の形状に切断することにより、ベース絶縁層2、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3n、引き出し導体部3o,3pおよび被覆層6a〜6nを備えるFPC基板1が完成する。
【0095】
本実施の形態に係るFPC基板1の製造方法おいては、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pをマスクとして用いることができるので、別途マスクパターンを用意することなく接着剤パターン7を形成することができる。その結果、FPC基板1の製造工程および製造コストを削減することができる。
【0096】
また、接着剤パターン7がプラズマ処理により形成されるので、接着剤層前駆体7pが感光性であるか非感光性であるかにかかわらず、接着剤パターン7を容易に形成することができる。
【0097】
[4]第4の実施の形態
第4の実施の形態に係るFPC基板1の製造方法について、第1の実施の形態に係るFPC基板1の製造方法と異なる点を説明する。本実施の形態において、接着剤パターン7は感光性を有しない。図10は、第4の実施の形態に係るFPC基板1の製造方法を説明するための工程断面図である。
【0098】
まず、図10(a)に示すように、粘着剤層を有するキャリア層8、導体層30、および接着剤層前駆体22を用意する。接着剤層前駆体22はセパレータ23上に形成されている。
【0099】
次に、図10(b)に示すように、キャリア層8上に導体層30を貼り合わせるとともに導体層30上に接着剤層前駆体22を貼り合わせる。キャリア層8、導体層30および接着剤層前駆体22は、ラミネータにより貼り合わせてもよく、またはプレス機によって圧着することにより貼り合わせてもよい。その後、接着剤層前駆体22からセパレータ23を剥離する。接着剤層前駆体22は、上記第1〜第3の実施の形態と同様に、塗布により導体層30上に形成されてもよい。
【0100】
次に、図10(c)に示すように、金型を用いて接着剤層前駆体22、導体層30およびキャリア層8の複数箇所を打ち抜くことにより、複数の貫通孔HAを形成する。これにより、導体層30に開口H11,H12が形成される。また、金型を用いて集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3p(図1(a)参照)の形状に沿った切り込みTHを接着剤層前駆体22および導体層30に形成する。この場合、共通の金型を用いて貫通孔HAの形成と切り込みTHの形成とを同時に行ってもよく、または異なる金型を用いて貫通孔HAの形成と切り込みTHの形成とを順に行ってもよい。切り込みTHは、キャリア層8の粘着剤層に達するように形成されることが好ましい。
【0101】
次に、図10(d)に示すように、切り込みTHによって分離された不要な接着剤層前駆体22および導体層30の部分を除去する。これにより、キャリア層8上に集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3n、引き出し導体部3o,3p(図1(a)参照)および接着剤パターン7が形成される。なお、図10(c)の工程において、切り込みTHがキャリア層8の粘着剤層に達するように形成されることにより、不要な接着剤層前駆体22および導体層30の部分を除去しやすくなる。
【0102】
次に、図11(e)に示すように、接着剤パターン7を介して集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3p上にベース絶縁層2を接合する。その後、図11(f)に示すように、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pからキャリア層8を剥離する。
【0103】
次に、図11(g)に示すように、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pを覆うように、ベース絶縁層2上に塗布またはラミネートにより被覆層6a〜6n(図1(a)参照)を形成する。ここで、引き出し電極5a,5b(図1(a)参照)が被覆層6a,6jから露出する。なお、図11(g)および図11(h)の断面図は、図11(f)の断面図とは上下を逆にして示している。
【0104】
最後に、図11(h)に示すように、ベース絶縁層2を所定の形状に切断することにより、ベース絶縁層2、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3n、引き出し導体部3o,3pおよび被覆層6a〜6nを備えるFPC基板1が完成する。
【0105】
本実施の形態に係るFPC基板1の製造方法においては、金型による貫通孔HAおよび切り込みTHの形成により、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3n、引き出し導体部3o,3pおよび接着剤パターン7が形成される。この場合、露光、現像またはエッチング等の処理が行われないので、FPC基板1の製造が容易となる。その結果、製造工程および製造コストの削減が可能となる。
【0106】
また、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3n、引き出し導体部3o,3pおよび接着剤パターン7が形成された後に、ベース絶縁層2が集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pに接合されるので、金型による貫通孔HAおよび切り込みTHの形成時に、ベース絶縁層2が損傷することがない。したがって、歩留まりの低下が防止される。
【0107】
なお、図10(c)の工程で接着剤層前駆体22、導体層30およびキャリア層8を打ち抜いて貫通孔HAを形成する代わりに、図10(c)の工程で接着剤層前駆体22および導体層30の対応箇所に円環状の切り込みを形成し、図10(d)の工程でその円環状の切り込みの内側における接着剤層前駆体22および導体層30の部分を除去してもよい。ただし、この場合には、複数の対応箇所において、接着剤層前駆体22および導体層30の除去処理が必要になる。製造工程の簡略化のためには、接着剤層前駆体22、導体層30およびキャリア層8を打ち抜いて貫通孔HAを形成することが好ましい。
【0108】
一方、図10(c)の工程で集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pの形状に沿うように接着剤層前駆体22および導体層30に切り込みTHを形成し、図10(d)の工程で不要な接着剤層前駆体22および導体層30の部分を除去する代わりに、図10(c)の工程で集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pの形状に沿うように接着剤層前駆体22、導体層30およびキャリア層8を打ち抜いてもよい。ただし、この場合には、接着剤層前駆体22、導体層30およびキャリア層8が複数に分離する。取り扱いを容易にするためには、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pの形状に沿うように接着剤層前駆体22および導体層30に切り込みTHを形成し、次工程で不要部分を除去することが好ましい。
【0109】
[5]第5の実施の形態
第5の実施の形態に係るFPC基板1の製造方法について、第4の実施の形態に係るFPC基板1の製造方法と異なる点を説明する。
【0110】
本実施の形態においては、図10(c)の工程において、金型を用いて貫通孔HAおよび切り込みTHを形成する代わりに、レーザにより貫通孔HAおよび切り込みTHを形成する。その後、図10(d)に示すように、切り込みTHによって分離された不要な接着剤層前駆体22および導体層30の部分を除去することにより、キャリア層8上に集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3n、引き出し導体部3o,3p(図1(a)参照)および接着剤パターン7が形成される。
【0111】
本実施の形態に係る製造方法においても、露光、現像またはエッチング等の処理が行われないので、FPC基板1の製造が容易となる。その結果、製造工程および製造コストの削減が可能となる。
【0112】
また、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3n、引き出し導体部3o,3pおよび接着剤パターン7が形成された後に、ベース絶縁層2が集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pに接合されるので、レーザによる貫通孔HAの形成および切り込みTHの形成時に、ベース絶縁層2が損傷することがない。したがって、歩留まりの低下が防止される。
【0113】
[6]他の実施の形態
上記実施の形態において、ベース絶縁層2の材料として多孔質性のePTFEが用いられたが、これに限定されない。例えば、ベース絶縁層2の材料として、ePTFEに代えて、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリオレフィン樹脂、シクロオレフィンポリマー樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリメチルメタクリレートポリマー樹脂、液晶ポリマー樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリエステル樹脂もしくはポリウレタン樹脂またはこれらの樹脂を多孔質化したフィルムを用いてもよい。
【0114】
また、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pの材料として銅が用いられたが、これに限定されない。例えば、銅に代えて金(Au)、銀、もしくはアルミニウム等の他の金属、または銅合金、金合金、銀合金もしくはアルミニウム合金等の合金を用いてもよい。
【0115】
上記実施の形態において、FPC基板1は5対の集電部(集電部3a,3f、集電部3b,3g、集電部3c,3h、集電部3d,3iおよび集電部3e,3j)を有するが、これに限定されない。FPC基板1の集電部の数は4対以下であってもよいし、6対以上であってもよい。これにより、任意の数の電極膜35を直列接続することができる。また、FPC基板1が1対の集電部を有してもよい。この場合、接続導体部3k〜3nは設けられない。
【0116】
[7]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0117】
上記実施の形態においては、キャリア層8が支持層の例であり、導体層30が導体層の例であり、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pが導体パターンの例であり、ベース絶縁層2が絶縁層の例であり、FPC基板1が配線回路基板の例であり、接着剤層前駆体7pが接着剤層の例であり、接着剤パターン7が接着剤パターンの例である。
【0118】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【0119】
[8]実施例
(1)実施例および比較例
実施例1〜4および比較例1では、上記実施の形態に基づいてFPC基板1を製造した。以下、実施例1〜4および比較例1におけるFPC基板1の製造方法を説明する。
【0120】
実施例1における接着剤層前駆体7pの調製方法は以下の通りである。エポキシ当量190のビフェニル型エポキシ樹脂40重量部、エポキシ当量4500のビスフェノールF型エポキシ樹脂60重量部および光酸発生剤である4,4−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルフィニオ]フェニルスルフィドビス(ヘキサフルオロアンチモネート)9重量部をジオキサンに溶解することにより、固形分濃度が50重量%である接着剤層前駆体7pを調製した。この接着剤層前駆体7pはネガ型の感光性を有する。
【0121】
第1の実施の形態に係るFPC基板1の製造方法に基づいて実施例1のFPC基板1を製造した。実施例1のFPC基板1においては、図3(f)に示す工程で、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pの上面(キャリア層8と接しない面)を含む全面に上記の接着剤層前駆体7pを温度90℃、圧力0.4MPaおよび速度1m/minの条件で塗布した。
【0122】
続いて、図3(g)に示す工程で、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pの反転形状を有するマスクパターンを介して接着剤層前駆体7pの上面(集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pと接しない面)から800mJ/cmの紫外線を照射し、温度90℃で10分間の硬化処理を行った。その後、重量比が1対1である水とエタノールとの混合溶媒にTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)を1.2%添加した現像液を用い、9分間現像を行うことにより所定のパターンを有する接着剤パターン7を形成した。
【0123】
次に、図3(h)に示す工程で、接着剤パターン7を介して集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pを、温度100℃および圧力5MPaの条件で30分間ePTFE(日東電工株式会社製NTF−1122)からなるベース絶縁層2に接合し、温度150℃で30分間の硬化処理を行った。最後に、図4(i)に示す工程で、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pからキャリア層8を剥離した。
【0124】
実施例2における接着剤層前駆体7pの調製方法は以下の通りである。酸二無水物成分であるエチレングリコールビストリメリット酸二無水物67重量%、ジアミン成分である1,12−ジアミノデカン32重量%および1,3−ビス−(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン1重量%をN,N−ジメチルアセトアミド中に溶解させ、室温で5時間反応させることによりポリイミド前駆体溶液を調製した。ここで、酸二無水物成分およびジアミン成分の合計の濃度は30重量%である。このポリイミド前駆体溶液に、感光剤として1−エチル−3,5−ジメトキシカルボニル−4−(2−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジンを添加した。ここで、添加した感光剤の濃度は、溶液の固形分に対して15重量%である。その後、感光剤を均一に溶液に溶解させることにより感光性ポリイミドからなる接着剤層前駆体7pを調製した。この接着剤層前駆体7pはネガ型の感光性を有する。
【0125】
第1の実施の形態に係るFPC基板1の製造方法に基づいて実施例2のFPC基板1を製造した。実施例2のFPC基板においては、図3(f)に示す工程で、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pの上面(キャリア層8と接しない面)を含む全面に上記の接着剤層前駆体7pを塗布し、温度100℃で10分間の乾燥を行った。
【0126】
続いて、図3(g)に示す工程で、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pの反転形状を有するマスクパターンを介して接着剤層前駆体7pの上面(集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pと接しない面)から3000mJ/cmの紫外線を照射し、温度135℃で10分間の硬化処理を行った。その後、N−メチル−2−ピロリドンからなる現像液を用い、6分間現像を行うことにより所定のパターンを有する接着剤パターン7を形成した。
【0127】
次に、図3(h)に示す工程で、接着剤パターン7を介して集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pを、温度200℃および圧力5MPaの条件で30分間ePTFE(日東電工株式会社製NTF−1122)からなるベース絶縁層2に接合し、温度200℃で30分間の硬化処理を行った。最後に、図4(i)に示す工程で、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pからキャリア層8を剥離した。
【0128】
実施例3における接着剤層前駆体7pの調製方法は、実施例1における接着剤層前駆体7pの調製方法と同様である。
【0129】
第2の実施の形態に係るFPC基板1の製造方法に基づいて実施例3のFPC基板1を製造した。実施例3のFPC基板1においては、図7(b)に示す工程で、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pの上面(キャリア層8と接しない面)を含む全面に上記の接着剤層前駆体7pを温度90℃、圧力0.4MPaおよび速度1m/minの条件で塗布した。
【0130】
続いて、図7(c)に示す工程で、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pの反転形状を有するマスクパターンを介して接着剤層前駆体7pの上面(集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pと接しない面)から800mJ/cmの紫外線を照射し、温度90℃で10分間の硬化処理を行った。その後、重量比が1対1である水とエタノールとの混合溶媒にTMAHを1.2%添加した現像液を用い、9分間現像を行うことにより所定のパターンを有する接着剤パターン7を形成した。
【0131】
図8(e)に示す工程で、接着剤パターン7を介して集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pを、温度100℃および圧力5MPaの条件で30分間ePTFE(日東電工株式会社製NTF−1122)からなるベース絶縁層2に接合し、温度150℃で30分間の硬化処理を行った。最後に、図8(f)に示す工程で、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pからキャリア層8を剥離した。
【0132】
実施例4における接着剤層前駆体7pの調製方法は以下の通りである。酸二無水物成分である3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物およびジアミン成分である4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを略等モル量N,N−ジメチルアセトアミド中に溶解させ、室温で24時間反応させることによりポリイミド前駆体溶液を調製した。ここで、酸二無水物成分およびジアミン成分の合計の濃度は30重量%である。このポリイミド前駆体溶液に、下記式(1)で表わされるビニルエーテル化合物を添加および混合した。ここで、添加したビニルエーテル化合物の量は、溶液の固形分100重量部に対して40重量部である。次に、このポリイミド前駆体溶液に、光分解性プロトン発生剤であるジフェニルイオドニウム−8−アニリノナフタレン−1−スルホネートを添加および混合した。ここで、添加した光分解性プロトン発生剤の量は、溶液の固形分100重量部に対して10重量部である。その後、ビニルエーテル化合物および光分解性プロトン発生剤を均一に溶液に溶解させることにより感光性ポリイミドからなる接着剤層前駆体7pを調製した。この接着剤層前駆体7pはポジ型の感光性を有する。
【0133】
【化1】

【0134】
第1の実施の形態に係るFPC基板1の製造方法に基づいて実施例4のFPC基板1を製造した。実施例4のFPC基板1においては、図3(f)に示す工程で、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pの上面(キャリア層8と接しない面)を含む全面に上記の接着剤層前駆体7pを塗布し、温度100℃で10分間の乾燥を行った。
【0135】
続いて、図3(g)に示す工程で、接着剤層前駆体7pの下面(集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pと接する面)から3000mJ/cmの紫外線を照射し、温度110℃で10分間の硬化処理を行った。その後、1.5重量%のTMAH水溶液からなる現像液を用い、9分間現像を行うことにより所定のパターンを有する接着剤パターン7を形成した。
【0136】
次に、図3(h)に示す工程で、接着剤パターン7を介して集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pを、温度200℃および圧力5MPaの条件で30分間ePTFE(日東電工株式会社製NTF−1122)からなるベース絶縁層2に接合し、温度200℃で120分間の硬化処理を行った。最後に、図4(i)に示す工程で、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pからキャリア層8を剥離した。
【0137】
比較例1における接着剤層前駆体7pの調製方法は以下の通りである。MEK(Methyl Ethyl Ketone:メチルエチルケトン)に溶解させたエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製jER−1007)80重量部およびエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製YL−7410)20重量部、硬化剤である酸無水物(新日本理化株式会社製MH−700)8重量部ならびに触媒であるイミダゾール(四国化成工業株式会社製2E4MZ)2重量部を混合し、接着剤層前駆体7pを調製した。この接着剤層前駆体7pは感光性を有しない。
【0138】
図12は、比較例1におけるFPC基板1の製造方法を説明するための工程断面図である。図12に示すFPC基板1の製造方法に基づいて比較例1のFPC基板1を製造した。比較例1のFPC基板1においては、図12(a)に示すように、ePTFE(日東電工株式会社製NTF−1122)からなるベース絶縁層2に上記の接着剤層前駆体7pを塗布し、温度100℃で10分間の乾燥を行うことにより接着剤パターン7を形成した。
【0139】
次に、図12(b)に示すように、ベース絶縁層2上に接着剤パターン7を介して導体層30を温度100℃および圧力5MPaの条件で30分間圧着した。続いて、図12(c)に示すように、導体層30上に感光性ドライフィルムレジストによりレジスト膜22を形成した。その後、図12(d)に示すように、レジスト膜22を所定のパターンで露光および現像した後、現像することによりエッチングレジストパターン22aを形成した。
【0140】
次に、図12(e)に示すように、塩化第二鉄を用いてエッチングレジストパターン22aから露出する導体層30の領域をエッチングにより除去した。続いて、図12(f)に示すように、エッチングレジストパターン22aを剥離液により除去した。これにより、ベース絶縁層2上に集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3p(図1(a)参照)が形成された。また、集電部3a〜3eには複数の開口H11が形成され、集電部3f〜3jには複数の開口H12が形成された。
【0141】
(2)FPC基板の表面の汚れおよび不具合の検査
実施例1〜4および比較例1の各FPC基板1を光学顕微鏡により観察し、FPC基板1の表面の汚れおよび不具合を検査した。ここで、FPC基板1の表面の不具合とは、ベース絶縁層2が変形していること、またはFPC基板1の製造工程における薬液がベース絶縁層2に残存していることである。
【0142】
実施例1〜4のFPC基板1の表面には汚れおよび不具合が確認されなかった。これに対し、比較例1のFPC基板1の表面には汚れおよび不具合が確認された。
【0143】
実施例1〜4および比較例1の結果から、本実施の形態に係る製造方法により製造されるFPC基板1においては、表面に汚れおよび不具合の発生が防止されることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明は、種々の配線回路基板の製造に有効に利用できる。
【符号の説明】
【0145】
1 FPC基板
2 ベース絶縁層
2a 第1絶縁部
2b 第2絶縁部
2c 第3絶縁部
2d 第4絶縁部
3a〜3j 集電部
3k〜3n 接続導体部
3o,3p 引き出し導体部
5a,5b 引き出し電極
6a〜6n 被覆層
7 接着剤パターン
7p 接着剤層前駆体
7q 接着剤層
8 キャリア層
22 レジスト膜
22 エッチングレジストパターン
30 導体層
35 電極膜
35a 空気極
35b 燃料極
35c 電解質膜
40 ケーシング
41 上面部
42 下面部
43,44 側面部
50 燃料収容室
B1 屈曲部
H11,H12,H41 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持層の一面上に所定のパターンを有する導体層からなる導体パターンを形成するステップと、
前記導体パターン上に絶縁層を接合するステップと、
前記導体パターンから前記支持層を剥離するステップとを含むことを特徴とする配線回路基板の製造方法。
【請求項2】
前記導体パターンを形成するステップは、
前記支持層と導体層との積層構造を有する基材を用意するステップと、
前記導体層を加工することにより前記支持層の前記一面上に前記導体パターンを形成するステップとを含み、
前記導体パターン上に絶縁層を接合するステップは、
前記導体パターン上に前記所定のパターンを有する接着剤層からなる接着剤パターンを形成するステップと、
前記接着剤パターンを介して前記導体パターン上に前記絶縁層を接合するステップとを含むことを特徴とする請求項1記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項3】
前記導体パターン上に絶縁層を接合するステップは、
前記導体パターンを覆うように前記支持層上に接着剤層を形成するステップと、
前記接着剤層を加工することにより前記接着剤パターンを形成するステップとをさらに含むことを特徴とする請求項2記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項4】
前記接着剤層は感光性を有し、
前記接着剤層を加工するステップは、
前記接着剤層に露光処理および現像処理を行うことにより前記接着剤パターンを形成するステップを含むことを特徴とする請求項3記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項5】
前記接着剤層に露光処理および現像処理を行うステップは、
前記導体パターンをマスクとして用いて光を前記支持層を通して前記接着剤層に照射するステップを含むことを特徴とする請求項4記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項6】
前記導体パターンを形成するステップは、
前記支持層と導体層との積層構造を有する基材を用意するステップと、
前記導体層上に前記所定のパターンを有する接着剤層からなる接着剤パターンを形成するステップと、
前記接着剤パターンをマスクとして用いて前記導体層の露出した領域を除去することにより前記導体パターンを形成するステップとを含み、
前記導体パターン上に絶縁層を接合するステップは、
前記接着剤パターンを介して前記導体パターン上に前記絶縁層を接合するステップを含むことを特徴とする請求項1記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項7】
前記接着剤層は感光性を有し、
前記導体層上に前記接着剤パターンを形成するステップは、
前記接着剤層に露光処理および現像処理を行うことにより前記接着剤パターンを形成するステップを含むことを特徴とする請求項6記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記導体パターンを形成するステップは、
前記支持層と導体層との積層構造を有する基材を用意するステップと、
前記導体層を加工することにより前記支持層の前記一面上に前記導体パターンを形成するステップとを含み、
前記導体パターン上に絶縁層を接合するステップは、
前記導体パターン上に接着剤層および前記絶縁層の積層構造を形成するステップを含み、
前記方法は、
前記支持層を剥離した後、前記導体パターンから露出する前記接着剤層の領域を除去することにより前記所定のパターンを有する接着剤パターンを形成するステップを含むことを特徴とする請求項1記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項9】
前記導体パターンから露出する前記接着剤層の領域を除去するステップは、プラズマを用いて前記接着剤層の前記領域を除去するステップを含むことを特徴とする請求項8記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項10】
前記導体パターンを形成するステップは、ウェットエッチングにより導体パターンをエッチングするステップを含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項11】
前記絶縁層は多孔質材料を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項12】
前記導体パターンを形成するステップは、
前記支持層、導体層および接着剤層の積層構造を形成するステップと、
前記積層構造から前記導体層および前記接着剤層の不要な部分を分離することにより前記支持層の前記一面上に前記所定のパターンを有する前記導体パターンを形成するとともに前記導体パターン上に前記所定のパターンを有する接着剤パターンを形成するステップとを含み、
前記導体パターン上に絶縁層を接合するステップは、
前記接着剤パターンを介して前記導体パターン上に前記絶縁層を接合するステップとを含むことを特徴とする請求項1記載の配線回路基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−4523(P2012−4523A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185267(P2010−185267)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】