説明

配線基板、実装構造体、複合積層板及び配線基板の製造方法

【課題】信頼性を向上させる要求に応える配線基板を提供する。
【解決手段】配線基板3は、第2樹脂層10bと、第2樹脂層10b上に形成された無機絶縁層11とを備える。無機絶縁層11は、粒径が3nm以上110nm以下であるとともに互いに結合した第1無機絶縁粒子11aを含む。第2樹脂層10bは、無機絶縁層11に接着されており、熱膨張率が10ppm/℃以上50ppm/℃以下、弾性率が0.1GPa以上10GPa以下、ガラス転移温度が170℃以上である熱硬化性樹脂組成物からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板、実装構造体、複合積層板及び配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙基材フェノール樹脂積層板、ガラス布基材エポキシ樹脂積層板等の積層板を用いて構成された配線基板が知られている。このような積層板を用いたコア基板に熱硬化性樹脂を積層して多層化した配線基板も知られている。セラミック基板を用いた配線基板も知られている。
【0003】
特許文献1は、アルミナセラミック層にガラス布基材エポキシ樹脂層を積層して構成した積層板を開示している。特許文献1では、このようにFRP層とセラミック層とを組み合わせることにより、両者の長所を取り入れた、改良された基板が提供されるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−253941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術は、専用の製造装置が必用であり、また、薄型化が難しい。そこで、ガラス布基材エポキシ樹脂層に代えて樹脂層を用いることが考えられる。しかし、そのようにすると、配線基板の靭性の低下が生じ、また、セラミック層と樹脂層との剥離が生じやすくなる。その結果、配線基板の信頼性が低下する。
【0006】
本発明は、信頼性を向上させる要求に応える配線基板、実装構造体、複合積層板及び配線基板の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係る配線基板は、樹脂層と、前記樹脂層上に形成された無機絶縁層と、を備え、前記無機絶縁層は、粒径が3nm以上110nm以下であるとともに互いに結合した第1無機絶縁粒子を含み、前記樹脂層は、前記無機絶縁層に接着されており、熱膨張率が10ppm/℃以上50ppm/℃以下、弾性率が0.1GPa以上10GPa以下、ガラス転移温度が170℃以上である熱硬化性樹脂組成物からなる。
【0008】
本発明の一形態に係る実装構造体は、上記の本発明の一形態に係る配線基板と、当該配線基板上に搭載された電子部品と、を備える。
【0009】
本発明の一形態に係る複合積層板は、金属箔と、該金属箔上に形成された無機絶縁層と、該無機絶縁層上に形成された接着剤層とを備えた複合積層板であって、前記無機絶縁層は、粒径が3nm以上110nm以下であるとともに互いに結合した第1無機絶縁粒子を含み、前記接着剤層は、硬化後の熱膨張率が10ppm/℃以上50ppm/℃以下、硬化後の弾性率が0.1GPa以上10GPa以下、ガラス転移温度が170℃以上である熱硬化性樹脂組成物からなる。
【0010】
本発明の一形態に係る配線基板の製造方法は、金属箔上に、粒径が3nm以上110nm以下であるとともに互いに結合した第1無機絶縁粒子を含む無機絶縁層を形成する工程と、前記無機絶縁層上に、硬化後の熱膨張率が10ppm/℃以上50ppm/℃以下、硬化後の弾性率が0.1GPa以上10GPa以下、ガラス転移温度が170℃以上である未硬化の熱硬化性樹脂組成物からなる接着剤層を形成して複合積層板を得る工程と、主面に導電層を有するコア基板上に前記複合積層板を、前記接着剤層が前記導電層と当接するように重ね交わせ熱圧着により一体化して多層化する。
【発明の効果】
【0011】
上記の構成又は手順によれば、無機絶縁層は、粒径が3nm以上110nm以下であるとともに互いに結合した第1無機絶縁粒子を含むことから、靭性が向上する。また、ガラス布等の基材を有さない樹脂層を用いた場合、基材を有さない樹脂層は、無機絶縁層に比較して熱膨張率が大きくなりやすく、配線基板に熱が印加された場合に無機絶縁層から剥離しやすい。しかし、上記の構成及び手順によれば、樹脂層は、熱膨張率が10ppm以上50ppm以下、弾性率が0.1GPa以上10GPa以下、ガラス転移温度が170℃以上である熱硬化性樹脂組成物からなることから、無機絶縁層と樹脂層との境界に印加される応力を低減することができるため、無機絶縁層と樹脂層との剥離を低減できる。このように、信頼性に優れた配線基板が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態にかかる実装構造体を厚み方向に切断した断面図である。
【図2】図2(a)は、図1に示した実装構造体のR1部分を拡大して示した断面図であり、図2(b)は、2つの第1無機絶縁粒子が結合した様子を模式的に現したものである。
【図3】図3(a)及び(b)は、図1に示す実装構造体の製造工程を説明する厚み方向に切断した断面図であり、図3(c)は、図3(b)のR2部分を拡大して示した断面図である。
【図4】図4(a)乃至(c)は、図1に示す実装構造体の製造工程を説明する厚み方向に切断した断面図である。
【図5】図5(a)乃至(c)は、図1に示す実装構造体の製造工程を説明する厚み方向に切断した断面図である。
【図6】図6(a)及び(b)は、図1に示す実装構造体の製造工程を説明する厚み方向に切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の一実施形態に係る配線基板を含む実装構造体を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1に示した実装構造体1は、例えば各種オーディオビジュアル機器、家電機器、通信機器、コンピュータ装置又はその周辺機器などの電子機器に使用されるものである。この実装構造体1は、電子部品2及び配線基板3を含んでいる。
【0015】
電子部品2は、例えばIC又はLSI等の半導体素子であり、配線基板3に半田等の導電バンプ4を介してフリップチップ実装されている。この電子部品2は、母材が、例えばシリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム砒素リン、窒化ガリウム又は炭化珪素等の半導体材料により形成されている。電子部品2としては、厚みが例えば0.1mm以上1mm以下のものを使用することができる。
【0016】
配線基板3は、コア基板5とコア基板5の上下面に形成された一対の配線層6とを含んでいる。
【0017】
コア基板5は、配線基板3の剛性を高めつつ一対の配線層6間の導通を図るものであり、厚みが例えば0.1mm以上3.0mm以下に形成されている。このコア基板5は、基体7、スルーホールT、スルーホール導体8、及び絶縁体9を含んでいる。
【0018】
基体7は、コア基板5の剛性を高めるものであり、第1樹脂層10aと該第1樹脂層10a上下面に設けられた無機絶縁層11とを有する。
【0019】
第1樹脂層10aは、基体7の主要部をなすものであり、例えば樹脂部と該樹脂部に被覆された基材を含む。第1樹脂層10aは、厚みが例えば0.1mm以上3.0mm以下に設定され、ヤング率が例えば0.2GPa以上20GPa以下に設定され、平面方向への熱膨張率が例えば3ppm/℃以上20ppm/℃以下に設定され、厚み方向への熱膨張率が例えば30ppm/℃以上50ppm/℃以下に設定され、誘電正接が例えば0.01以上0.02以下に設定されている。
【0020】
なお、ヤング率は、市販の引張り試験機を用いて、ISO527‐1:1993に準じた測定方法により測定される。また、熱膨張率は、市販のTMA装置を用いて、JISK7197‐1991に準じた測定方法により、測定される。また、誘電正接は、JISR1627‐1996に準じた共振器法により、測定される。
【0021】
第1樹脂層10aに含まれる樹脂部は、第1樹脂層10aの主要部をなすものであり、例えばエポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、シアネート樹脂、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、芳香族液晶ポリエステル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂又はポリエーテルケトン樹脂等の樹脂材料により形成されたものを使用することができる。樹脂部は、ヤング率が例えば0.1GPa以上5GPa以下に設定され、平面方向及び厚み方向への熱膨張率が例えば20ppm/℃以上50ppm/℃以下に設定されている。
【0022】
樹脂部に被覆された基材は、第1樹脂層10aの剛性を高めるとともに、平面方向(XY平面方向)への熱膨張率を低減するものである。基材としては、繊維により構成された織布若しくは不織布又は繊維を一方向に配列したものを使用することができ、繊維としては、例えばガラス繊維、樹脂繊維、炭素繊維又は金属繊維等を使用することができる。
【0023】
第1樹脂層10aは、樹脂部に被覆された無機絶縁フィラー12を含有していることが望ましい。その結果、第1樹脂層10aの熱膨張率を低減するとともに、第1樹脂層10aの剛性を高めることができる。無機絶縁フィラー12は、例えば酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム又は炭酸カルシウム等の無機絶縁材料により形成されたものを用いることができ、粒径が例えば0.5μm以上5.0μm以下に設定され、熱膨張率が例えば0ppm/℃以上15ppm/℃以下に設定され、第1樹脂層10aの樹脂部における含有量が例えば3体積%以上60体積%以下に設定されている。
【0024】
なお、無機絶縁フィラー12の粒径は、第1樹脂層10aの研摩面若しくは破断面を電界放出型電子顕微鏡で観察し、20粒子数以上50粒子数以下の粒子を含むように拡大した断面を撮影し、該拡大した断面にて各粒子の最大径を測定することにより、測定される。また、第1樹脂層10aの樹脂部における無機絶縁フィラー12の含有量(体積%)は、第1樹脂層10aの研摩面を電界放出型電子顕微鏡で撮影し、画像解析装置等を用いて、第1樹脂層10aの樹脂部に占める無機絶縁フィラー12の面積比率(面積%)を10箇所の断面にて測定し、その測定値の平均値を算出して含有量(体積%)とみなすことにより、測定される。
【0025】
無機絶縁層11は、無機絶縁材料により構成されており、無機絶縁材料は樹脂材料と比較して剛性が高いことから、無機絶縁層11は基体7の剛性を高める機能を有する。なお、無機絶縁層11は、無機絶縁材料を例えば99%以上含む。
【0026】
また、無機絶縁層11は、樹脂材料と比較して低分子の無機絶縁材料により構成されていることから、その分子が小さく分子間に水分子が侵入しにくい性質を有しているため、第1樹脂層10aよりも絶縁性が高く、コア基板5の上下面に配置された一対の配線層6間の短絡を低減することができる。
【0027】
また、無機絶縁層11は、樹脂材料と比較して熱膨張率の低い無機絶縁材料により構成されていることから、配線基板3の平面方向への熱膨張率を低減することにより、配線基板3と電子部品2との熱膨張率の違いに起因した配線基板3の反りを低減でき、また、基体7の厚み方向への熱膨張率を低減することにより、基体7とスルーホール導体8との熱膨張率の違いに起因したスルーホール導体8の断線を低減できる。
【0028】
また、無機絶縁層11は、樹脂材料よりも誘電正接の低い無機絶縁材料により構成されていることから、コア基板5の最上層及び最下層に形成されていることにより、コア基板5の上下面に配置された配線層6の信号伝送特性を高めることができる。
【0029】
上述した無機絶縁層11は、例えば平板状に形成されており、厚みが例えば3μm以上100μm以下に設定され、厚みが例えば第1樹脂層10aの3%以上10%以下に設定され、ヤング率が例えば10GPa以上100GPa以下に設定され、ヤング率が例えば第1樹脂層10aの樹脂部の10倍以上100倍以下に設定され、厚み方向及び平面方向への熱膨張率が例えば0ppm/℃以上10ppm/℃以下に設定され、誘電正接が例えば0.0001以上0.01以下に設定されている。
【0030】
また、無機絶縁層11は、無機絶縁材料がアモルファス(非晶質)状態である。アモルファス状態の無機絶縁材料としては、例えば酸化ケイ素を90重量%以上含むものを用いることができ、なかでも、酸化ケイ素を100重量%含むものを用いることが望ましく、酸化ケイ素を100重量%未満含むものを用いる場合は、酸化ケイ素の他に、例えば酸化アルミニウム、酸化チタニウム、酸化マグネシウム又は酸化ジルコニウム等の無機絶縁材料を含むものを用いても構わない。
【0031】
アモルファス状態である無機絶縁材料は、結晶相の領域が例えば10体積%未満に設定されており、なかでも5体積%未満に設定されていることが望ましい。なお、無機絶縁材料における結晶相領域の体積比は、100%結晶化した試料粉末を非晶質粉末に混合してX線回折法で測定して検量線を作成し、調査試料のデータと検量線のデータを比較することにより、測定される。
【0032】
一方、図2(a)に示すように、無機絶縁層11は、第1無機絶縁粒子11aと該第1無機絶縁粒子11aよりも粒径が大きい第2無機絶縁粒子11bとを含む。第1無機絶縁粒子11a及び第2無機絶縁粒子11bは、上述した無機絶縁層11を構成する無機絶縁材料により形成されたものを使用することができる。
【0033】
第1無機絶縁粒子11aは、粒径が3nm以上110nm以下に設定されており、図2(b)に示すように、互いに結合することにより、無機絶縁層11の主要部を構成している。なお、第1無機絶縁粒子11a同士が互いに結合している領域を結合領域11azとする。
【0034】
第2無機絶縁粒子11bは、粒径が0.5μm以上5μm以下に設定されており、第1無機絶縁粒子11aを介して互いに接着している。
【0035】
なお、第1無機絶縁粒子11a及び第2無機絶縁粒子11bは、無機絶縁層11の研摩面若しくは破断面を電界放出型電子顕微鏡で観察することにより、確認される。また、第1無機絶縁粒子11a及び第2無機絶縁粒子11bの粒径は、無機絶縁層11の研摩面若しくは破断面を電界放出型電子顕微鏡で観察し、20粒子数以上50粒子数以下の粒子を含むように拡大した断面を撮影し、該拡大した断面にて各粒子の最大径を測定することにより、測定される。
【0036】
基体7には、該基体7を厚み方向に貫通し、例えば直径が0.1mm以上1mm以下の円柱状であるスルーホールTが設けられている。スルーホールTの内部には、コア基板5の上下の配線層6を電気的に接続するスルーホール導体8がスルーホールTの内壁に沿って円筒状に形成されている。このスルーホール導体8としては、例えば銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル又はクロム等の導電材料により形成されたものを使用することができ、熱膨張率が例えば14ppm/℃以上18ppm/℃以下に設定されている。
【0037】
円筒状に形成されたスルーホール導体8の中空部には、絶縁体9が柱状に形成されており、スルーホール導体8の端面と絶縁体9の端面とで、後述するビア導体14の支持面を形成している。絶縁体9としては、例えばポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂又はビスマレイミドトリアジン樹脂等の樹脂材料により形成されたものを使用することができる。
【0038】
一方、コア基板5の上下面には、上述した如く、一対の配線層6が形成されている。配線層6は、第2樹脂層10b、無機絶縁層11、導電層13、ビア孔V、ビア導体14と、を含んでいる。導電層13及びビア導体14は、互いに電気的に接続されており、接地用配線、電力供給用配線及び/又は信号用配線を含む配線部を構成している。
【0039】
第2樹脂層10bは、導電層13を支持する支持部材として機能するだけでなく、導電層13同士の短絡を抑制する絶縁部材として機能するものである。第2樹脂層10bは、厚みが例えば3μm以上30μm以下に設定され、弾性率が例えば0.1GPa以上10GPa以下、好ましくは4GPa以上9GPa以下に設定され、誘電正接が例えば0.001以上0.02以下に設定され、平面方向及び厚み方向への熱膨張率が例えば10ppm/℃以上50ppm/℃以下、好ましくは15ppm/℃以上40ppm/℃以下に設定され、ガラス転移温度が170℃以上、好ましくは180℃以上240℃以下に設定されている。
【0040】
第2樹脂層10bは、低熱膨張率であるため、無機絶縁層11との熱膨張率差が小さく、無機絶縁層11と第2樹脂層10bとの境界に印加される熱応力が低減される。また、配線基板3全体の熱膨張率が低減される。また、第2樹脂層10bが低弾性率であるため、無機絶縁層11と第2樹脂層10bとの境界に印加される熱応力を第2樹脂層10bによって緩和することができる。樹脂は、ガラス転移温度を超えると、弾性率は低下するが、熱膨張率が上昇してしまう。しかし、第2樹脂層10bは、ガラス転移温度が高いため、配線基板3の使用時に、第2樹脂層10bの温度をガラス転移温度以下に維持することにより、低熱膨張率を維持することができる。
【0041】
第2樹脂層10bは、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、シアネート樹脂、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、芳香族液晶ポリエステル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂又はポリエーテルケトン樹脂等の樹脂材料により形成されている。
【0042】
より好適には、第2樹脂層10bを構成する樹脂材料としては、(A)二官能エポキシ樹脂、(B)イミド骨格を有する硬化剤、(C)硬化促進剤(無機絶縁フィラー12)、(D)無機充填剤を含む熱硬化性樹脂組成物が用いられる。
【0043】
(A)二官能エポキシ樹脂及び(B)イミド骨格を有する硬化剤により、第2樹脂層10bの低熱膨張化を図れる。従って、(D)無機充填剤の量を増加させることなく、第2樹脂層10bを低熱膨張化できる。その結果、樹脂材料の含有量の減少を抑制できるため、無機絶縁層11と第2樹脂層10bとの接着強度を高めることができる。また、樹脂材料の含有量の減少を抑制できるため、第2樹脂層10bの弾性率が低減される。その結果、無機絶縁層11及び第2樹脂層10bの熱膨張差に起因してこれらの境界に印加される熱応力を緩和することができる。それ故、無機絶縁層11と第2樹脂層10bとの剥離を低減することができる。
【0044】
(A)二官能エポキシ樹脂は、分子内に2個のエポキシ基を有するものであればよい。2官能エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂が挙げられる。このうちビフェニル型エポキシ樹脂が成形性の理由で好ましい。
【0045】
(B)イミド骨格を有する硬化剤は、骨格内にイミド構造を有する硬化剤であればよい。このような硬化剤としては、例えば、ノボラック型硬化剤、トリアジン変性ノボラック型硬化剤、ポリアミドイミド型硬化剤、シリコーン変性型硬化剤が挙げられる。このうちトリアジン変性ノボラック型硬化剤が、接着性の理由で好ましい。
【0046】
(C)硬化促進剤としては、例えば、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−エチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−エニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4、5−ジヒドロキシメチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物;トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィントリフェニルボランなどの有機ホスフィン化合物;1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5などのジアザビシクロアルケン化合物;トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの3級アミン化合物などが挙げられる。これらは単独または2種以上混合して使用することができる。このうち2−ウンデシルイミダゾールが、反応性が速いため好ましい。
【0047】
(D)無機充填剤は、平均粒子径が10μm以下であり、樹脂組成物全体の10重量%以上50重量%以下であることが好ましい。無機充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、タルク、シリカ等が挙げられる。このうち溶融シリカが、熱膨張が低いので好ましい。
【0048】
上記(A)〜(D)の材料の配合量は、例えば、(A)5〜25重量%、(B)0.1〜35重量%、(C)0.05〜10重量%、(D)40〜90重量%である。より好ましくは、(A)10〜20重量%、(B)25〜35重量%、(C)0.1〜0.3重量%、(D)50〜60重量%である。
【0049】
無機絶縁層11は、第2樹脂層10b上に形成され、上述した基体7に含まれる無機絶縁層11と同様に、樹脂材料と比較して剛性及び絶縁性が高く熱膨張率及び誘電正接が低い無機絶縁材料により構成されていることから、配線基板3の剛性を高め、導電層13同士の短絡を低減し、配線基板3の反りを低減し、ビア導体14の断線を低減し、導電層13における信号伝送特性を高めることができる。
【0050】
第2樹脂層10b上に形成された無機絶縁層11の厚みは、例えば3μm以上30μm以下に設定され、例えば第2樹脂層10bの0.5倍以上10倍以下に設定されている。かかる無機絶縁層11のその他の構成は、図2(b)に示すように、上述した基体7に含まれる無機絶縁層11と同様の構成である。
【0051】
導電層13は、無機絶縁層11上に形成され、第2樹脂層10b及び無機絶縁層11を介して厚み方向に互いに離間している。導電層13としては、例えば銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル又はクロム等の金属材料により形成されたものを使用することができ、厚みが3μm以上20μm以下に設定され、熱膨張率が例えば14ppm/℃以上18ppm/℃以下に設定されている。
【0052】
ビア導体14は、厚み方向に互いに離間した導電層13同士を相互に接続するものであり、コア基板5に向って幅狭となる柱状に形成されている。ビア導体14としては、例えば銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル又はクロムの導電材料により形成されたものを使用することができ、熱膨張率が例えば14ppm/℃以上18ppm/℃以下に設定されている。
【0053】
上述した本実施形態の配線基板3においては、無機絶縁層11がアモルファス(非晶質)状態の無機絶縁材料から成る。その結果、結晶状態の無機絶縁材料から成る場合と比較して、結晶構造に起因した熱膨張率の異方性を低減することができるため、配線基板3が加熱された場合、加熱後の冷却の際に無機絶縁層11の収縮を各方向にてより均一にすることができ、無機絶縁層11におけるクラックの発生を低減できる。
【0054】
ところで、アモルファス状態の無機絶縁層11を形成するためには、結晶化開始温度未満にて無機絶縁粒子同士を結合させる必要があるが、このような低温で無機絶縁粒子同士を結合させると、無機絶縁粒子同士の接着強度が低下しやすくなるため、平板状に形成された無機絶縁層11の厚み方向へクラックが生じやすくなる。
【0055】
一方、本実施形態の配線基板3においては、無機絶縁層11は、粒径が3nm以上110nm以下と微小に設定された第1無機絶縁粒子11aを含んでおり、該第1無機絶縁粒子11a同士が結晶化開始温度未満にて互いに強固に結合するため、アモルファス状態の無機絶縁層11において無機絶縁粒子同士の接着強度を高めることができ、無機絶縁層11におけるクラックの発生を低減することができる。ここで、第1無機絶縁粒子11aの粒径が3nm以上110nm以下と微小に設定されていると、第1無機絶縁粒子11aの原子、特に表面の原子が活発に運動するため、結晶化開始温度未満といった低温下でも第1無機絶縁粒子11a同士が強固に結合すると推測される。
【0056】
さらに、本実施形態の配線基板3においては、無機絶縁層11は、粒径が0.5μm以上5μm以下に設定された第2無機絶縁粒子11bを含む。その結果、無機絶縁層11にクラックが生じた場合、厚み方向へのクラックの伸長が第2無機絶縁粒子11bに達した際に、粒径の大きい第2無機絶縁粒子11bの表面に沿って迂回するようにクラックが伸長することから、クラックの伸長に大きなエネルギーが必要となるため、クラックの伸長を低減することができる。
【0057】
また、第2無機絶縁粒子11bは粒径が大きいため、第2無機絶縁粒子11b同士の接着強度は小さくなりやすいが、本実施形態の配線基板3においては、第2無機絶縁粒子11b同士は、接着強度の高い第1無機絶縁粒子11aを介して互いに接着しているため、第2無機絶縁粒子11b同士の剥離に起因したクラックの発生を低減することができる。
【0058】
以上のように、無機絶縁層11が、熱膨張率の異方性の小さいアモルファス状態であるとともに、該アモルファス状態であることに起因したクラックの発生及び伸長を低減する第1無機絶縁粒子11a及び第2無機絶縁粒子11bを含むため、無機絶縁層11の上面に形成された導電層13の断線を低減し、電気的信頼性に優れた配線基板3を提供することができる。
【0059】
また、第2無機絶縁粒子11bは、粒径が5μm以下に設定されていることにより、第1無機絶縁粒子11aと第2無機絶縁粒子11bとの単位重量あたりの接触面積を増加させることができるため、第1無機絶縁粒子11aと第2無機絶縁粒子11bとの接着強度を高め、第1無機絶縁粒子11aと第2無機絶縁粒子11bとの剥離を低減し、該剥離に起因したクラックの発生及び伸長を低減することができる。
【0060】
第2無機絶縁粒子11bは、互いに離間していることが望ましく、さらには、第1無機絶縁粒子11aに被覆されていることが望ましい。その結果、接着強度が低く且つ剥離しやすい第2無機絶縁粒子11b同士の接触領域を低減することにより、該接触領域に起因したクラックの発生及び伸長を低減することができる。
【0061】
第1無機絶縁粒子11a及び第2無機絶縁粒子11bは、同一材料からなることが望ましい。その結果、無機絶縁層11において、第1無機絶縁粒子11aと第2無機絶縁粒子11bとの材料特性の違いに起因したクラックを低減することができる。
【0062】
また、第1無機絶縁粒子11a及び第2無機絶縁粒子11bは、無機絶縁フィラー12と同一材料からなることが望ましい。その結果、第1樹脂層10a及び第2樹脂層10bの熱膨張率を無機絶縁層11により近づけることができる。
【0063】
第1無機絶縁粒子11aは、球状であることが望ましい。その結果、第1無機絶縁粒子11a間の空隙を低減することにより、無機絶縁層11の内部構造を緻密にでき、無機絶縁層11の剛性及び絶縁性を向上させることができる。
【0064】
また、第2無機絶縁粒子11bは、球状であることが望ましい。その結果、第2無機絶縁粒子11bの表面における応力を分散させることができ、第2無機絶縁粒子11bの表面を起点とした無機絶縁層11のクラックの発生を低減することができる。
【0065】
第2無機絶縁粒子11bは、第1無機絶縁粒子11aよりも硬度が高いことが望ましい。その結果、厚み方向へのクラックの伸長が第2無機絶縁粒子11bに達した際に、該クラックが第2無機絶縁粒子11bの内部へ伸長することを低減し、ひいては無機絶縁層11におけるクラックの伸長を低減することができる。また、後述するように、第2無機絶縁粒子11bは第1無機絶縁粒子11aよりも硬度を容易に高めることができるため、無機絶縁層11の剛性を容易に高めることができる。なお、硬度は、ナノインデンター装置を用いることにより、測定することができる。
【0066】
無機絶縁層11は、第1無機絶縁粒子11aを30体積%以上90体積%以下含み、第2無機絶縁粒子11bを10体積%以上70体積%以下含むことが望ましい。
【0067】
第1無機絶縁粒子11aを30体積%以上含むことにより、第2無機絶縁粒子11b同士の間隙に第1無機絶縁粒子11aを隙間なく十分に配置させて互いに結合させることができ、かかる間隙におけるクラックの発生及び伸長を低減することができる。また、第2無機絶縁粒子11bを10体積%以上含むことにより、無機絶縁層11におけるクラックの伸長を効果的に抑制することができる。
【0068】
なお、無機絶縁層11における第1無機絶縁粒子11a及び第2無機絶縁粒子11bの含有量(体積%)は、無機絶縁層11の研摩面を電界放出型電子顕微鏡で撮影し、画像解析装置等を用いて、無機絶縁層11における第1無機絶縁粒子11a及び第2無機絶縁粒子11bの面積比率(面積%)を10個の断面にて測定し、その測定値の平均値を算出して含有量(体積%)とみなすことにより、測定される。
【0069】
かくして、上述した実装構造体1は、配線基板3を介して供給される電源や信号に基づいて電子部品2を駆動若しくは制御することにより、所望の機能を発揮する。
【0070】
次に、上述した実装構造体1の製造方法を、図3から図6に基づいて説明する。
【0071】
(積層板15の作製)
(1)図3(a)に示すように、第1無機絶縁粒子11a、第2無機絶縁粒子11b及び溶剤を含む無機絶縁ゾル11xと銅箔13xとを準備し、銅箔13xの一主面に無機絶縁ゾル11xを塗布する。
【0072】
無機絶縁ゾル11xは、固形分と溶剤とを含む。無機絶縁ゾル11xは、固形分を10%体積以上50体積%以下含み、溶剤を50%体積以上90体積%以下含むことが望ましい。また、該固形分は、第1無機絶縁粒子11aを30体積%以上90体積%以下含み、第2無機絶縁粒子11bを10体積%以上70体積%以下含むことが望ましい。
【0073】
溶剤を無機絶縁ゾル11xの50体積%以上含むことにより、無機絶縁ゾル11xの粘度を低減し、無機絶縁層11の上面の平坦性を向上させて、配線基板3の上面の平坦性を向上させることができる。また、溶剤を無機絶縁ゾル11xの90体積%以下含むことにより、無機絶縁ゾル11xの固形物成分量を増加させることにより、無機絶縁層11の生産性を向上させることができる。また、第1無機絶縁粒子11aを固形分の30体積%以上含むことにより、無機絶縁層11の内部構造を緻密にし、且つ厚みを大きく形成することができる。また、第2無機絶縁粒子11bを固形分の10体積%以上含むことにより、(2)の工程にて無機絶縁層11におけるクラックの発生を効果的に低減できる。
【0074】
第1無機絶縁粒子11aは、ケイ酸ナトリウム水溶液(水ガラス)等のケイ酸化合物を精製し、化学的に酸化ケイ素を析出させることにより、作製することができる。なお、析出時間の調整により、第1無機絶縁粒子11aの粒径を調整することができる。
【0075】
第1無機絶縁粒子11aの粒径は、3nm以上に設定されていることが望ましい。その結果、無機絶縁ゾル11xの粘度を低減し、無機絶縁層11の上面の平坦性を向上させることができる。
【0076】
第2無機絶縁粒子11bは、例えばケイ酸ナトリウム水溶液(水ガラス)等のケイ酸化合物を精製し、化学的に酸化ケイ素を析出させた溶液を火炎中に噴霧し、凝集物の形成を低減しつつ800℃以上1500℃以下に加熱することにより、作製することができる。それ故、第2無機絶縁粒子11bは、第1無機絶縁粒子11aと比較して粒径が大きいことから、高温加熱時における凝集体の形成を低減しやすいため、高温加熱で容易に作製することができ、ひいては硬度を容易に高めることができる。
【0077】
なお、第2無機絶縁粒子11bを作製する際の加熱時間は、1秒以上180秒以下に設定されていることが望ましい。その結果、該加熱時間を短縮することにより、800℃以上1500℃以下に加熱した場合においても、第2無機絶縁粒子11bの結晶化を抑制し、アモルファス状態を維持することができる。
【0078】
また、第2無機絶縁粒子11bは、粒径のばらつき(標準偏差)が、無機絶縁フィラー12よりも小さいことが望ましい。その結果、第2無機絶縁粒子11bを無機絶縁層11内により均一に分散させることができ、第2無機絶縁粒子11bの凝集を低減することによって、接着強度が低く且つ剥離しやすい第2無機絶縁粒子11b同士の接触領域を低減することができる。なお、第2無機絶縁粒子11bにおける粒径の標準偏差は、無機絶縁フィラー12の20%以下に設定されていることが望ましい。
【0079】
溶剤としては、例えばメタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、又はジメチルアセトアミド等の有機溶剤を含むものを使用することができる。なかでも、メタノール、イソプロパノール及び/又はプロピレングリコールモノメチルエーテルを含むものを使用することが望ましい。その結果、無機絶縁ゾル11xを均一に塗布することができ、且つ、(2)の工程にて、溶剤を効率良く蒸発させることができる。
【0080】
無機絶縁ゾル11xの塗布は、例えば、ディスペンサー、バーコーター、ダイコーター又はスクリーン印刷を用いて行うことができる。
【0081】
銅箔13xの一主面に塗布された無機絶縁ゾル11xは、平板状に形成されており、乾燥後の厚みが例えば3μm以上110μm以下に設定されている。
【0082】
(2)図3(b)及び(c)に示すように、溶剤を蒸発させた後、無機絶縁ゾル11xを加熱し、第1無機絶縁粒子11a同士を結合させることにより、無機絶縁ゾル11xを無機絶縁層11にして、銅箔13xと無機絶縁層11とを有する積層シート16を形成する。
【0083】
無機絶縁ゾル11xの加熱は、温度が溶剤の沸点以上第1無機絶縁粒子11a及び第2無機絶縁粒子11bの結晶化開始温度未満に設定されていることが望ましい。具体的には、無機絶縁ゾル11xの加熱は、温度が例えば100度以上600度未満に設定され、時間が例えば0.5時間以上24時間以下に設定されている。その結果、該加熱温度が溶剤の沸点以上であることにより、残存した溶剤を効率良く蒸発させることができる。また、該加熱温度が、第1無機絶縁粒子11a及び第2無機絶縁粒子11bの結晶化開始温度未満であることにより、第1無機絶縁粒子11a及び第2無機絶縁粒子11bの結晶化を低減し、アモルファス状態の割合を高めることができる。その結果、結晶化した無機絶縁層11が相転移によって収縮することを低減し、無機絶縁層11におけるクラックの発生を低減できる。なお、結晶化開始温度は、非晶質の無機絶縁材料が結晶化を開始する温度、すなわち、結晶相領域の体積が増加する温度である。
【0084】
ここで、無機絶縁ゾル11xは粒径が110nm以下に設定された第1無機絶縁粒子11aを含むため、無機絶縁ゾル11xの加熱温度が第1無機絶縁粒子11a及び第2無機絶縁粒子11bの結晶化開始温度未満と低温であっても、第1無機絶縁粒子11a同士を強固に結合させることができる。これは、第1無機絶縁粒子11aの粒径が110nm以下と超微小に設定されているため、第1無機絶縁粒子11aの原子、特に表面の原子が活発に運動するため、かかる低温でも第1無機絶縁粒子11a同士が強固に結合すると推測される。なお、第1無機絶縁粒子11aとして酸化ケイ素により形成されたものを用いる場合、第1無機絶縁粒子11a同士を強固に結合させることができる温度は、例えば、かかる粒径を110nm以下に設定した場合は250℃程度であり、かかる粒径を15nm以下に設定した場合は150℃程度である。
【0085】
また、無機絶縁ゾル11xは粒径が0.5μm以上に設定された第2無機絶縁粒子11bを含むため、第2無機絶縁粒子11bが含まれている領域にて局所的に溶剤の含有量を低減することができる。それ故、溶剤が蒸発する際に生じる無機絶縁層11の平面方向への収縮を低減することができ、該収縮に起因して平板状の無機絶縁層11に生じる厚み方向へのクラックを低減することができる。また、無機絶縁層11にクラックが生じた場合、第1無機絶縁粒子11aよりも粒径の大きい第2無機絶縁粒子11bによって該クラックの伸長を低減することができる。
【0086】
無機絶縁ゾル11xの加熱は、例えば大気雰囲気中で行うことができる。また、温度を150℃以上に上げる場合、銅箔13xの酸化を抑制するため、無機絶縁ゾル11xの加熱は、真空、アルゴン等の不活性雰囲気又は窒素雰囲気にて行われることが望ましい。
【0087】
(3)図4(a)に示すように、第1樹脂層前駆体10axを準備する。第1樹脂層前駆体10axは、例えば、未硬化樹脂と基材とを含む複数の樹脂シートを積層することにより作製することができる。なお、未硬化は、ISO472:1999に準ずるA‐ステージ又はB‐ステージの状態である。
【0088】
(4)図4(b)に示すように、第1樹脂層前駆体10axの上下面それぞれに無機絶縁層11を当接させるように積層シート16を積層し、該積層体を上下方向に加熱加圧することにより、第1樹脂層前駆体10axを硬化させて第1樹脂層10aにし、第1樹脂層10aと無機絶縁層11とを有する基体7を形成する。
【0089】
該積層体の加熱加圧は、温度が第1樹脂層10aの硬化開始温度以上熱分解温度未満に設定されていることが望ましい。具体的には、該積層体の加熱加圧は、温度が例えば170℃以上230℃以下に設定され、圧力が例えば2MPa以上3MPa以下に設定され、時間が例えば0.5時間以上2時間以下に設定されている。なお、硬化開始温度は、樹脂が、ISO472:1999に準ずるC‐ステージの状態となる温度である。また、熱分解温度は、ISO11358:1997に準ずる熱重量測定において、樹脂の質量が5%減少する温度である。
【0090】
以上のようにして、積層板15を作製することができる。
【0091】
(コア基板5の作製)
(5)図4(c)に示すように、基体7を上下方向に貫通するスルーホール導体8を形成し、基体7上に導電層13を形成する。具体的には、以下のように行う。
【0092】
まず、例えばドリル加工やレーザー加工等により、基体7を厚み方向に貫通したスルーホールTを複数形成する。次に、例えば無電解めっき、蒸着法、CVD法又はスパッタリング法等により、スルーホールTの内壁に導電材料を被着させて、円筒状のスルーホール導体8を形成する。次に、円筒状のスルーホール導体8の内部に、樹脂材料等を充填し、絶縁体9を形成する。次に、例えば無電解めっき法、蒸着法、CVD法又はスパッタリング法等により、導電材料を絶縁体9の露出部に被着させる。次に、フォトリソグラフィー技術、エッチング等を用いて銅箔13xをパターニングすることにより、導電層13を形成する。
以上のようにして、コア基板5を作製することができる。
【0093】
(複合積層板17の作製)
(6)図5(a)に示すように、(1)及び(2)の工程と同様に、銅箔13xと無機絶縁層11とを有する積層シート16を形成し、未硬化の第2樹脂層前駆体10bxを無機絶縁層11上に形成することにより、複合積層板17を得る。
【0094】
第2樹脂層前駆体10bxは、例えば、液状の樹脂組成物を無機絶縁層11に塗布することにより、若しくは、未硬化の樹脂組成物をシート状に成形したものを無機絶縁層11に仮付けすることにより、無機絶縁層11上に形成される。
【0095】
液状の樹脂組成物及びシート状の未硬化の樹脂組成物は、公知の種々の方法により製造されてよい。樹脂組成物が好ましい態様である場合、すなわち、樹脂組成物が(A)二官能エポキシ樹脂、(B)イミド骨格を有する硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填剤を含む場合も同様である。
【0096】
例えば、液状の樹脂組成物は、(A)〜(D)の成分を上述した配合量で混合するとともに有機溶剤により希釈することにより製造される。なお、混合及び希釈に際しては、適宜に加熱処理若しくは冷却処理が行われてよく、また、各成分の投入時期も適宜に設定されてよい。また、例えば、シート状の樹脂組成物は、樹脂組成物(有機溶剤を含んでいてもよい)を押出成形法、キャスティング成形法等により成形することにより製造される。
【0097】
なお、有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、若しくは、ジメチルアセトアミドが挙げられる。
【0098】
(配線基板3の作製)
(7)図5(b)に示すように、コア基板5の上下面それぞれに第2樹脂層前駆体10bxを当接させるように複合積層板17を積層し、該積層体を上下方向に加熱加圧することにより、第2樹脂層前駆体10bxを硬化させて第2樹脂層10bにする。なお、該積層体の加熱加圧は、例えば(4)の工程と同様に行うことができる。
【0099】
(8)図5(c)に示すように、例えば硫酸及び過酸化水素水の混合液、塩化第二鉄溶液又は塩化第二銅溶液等を用いたエッチング法により、無機絶縁層11から銅箔13xを剥離する。
【0100】
(9)図6(a)に示すように、第2樹脂層10b及び無機絶縁層11を上下方向に貫通するビア導体14を形成し、無機絶縁層11上に導電層13を形成する。具体的には、以下のように行う。
【0101】
まず、例えばYAGレーザー装置又は炭酸ガスレーザー装置により、第2樹脂層10b及び無機絶縁層11にビア孔Vを形成し、ビア孔V内に導電層13の少なくとも一部を露出させる。次に、例えばセミアディティブ法、サブトラクティブ法又はフルアディティブ法等により、ビア孔Vにビア導体14を形成するとともに無機絶縁層11上に導電層13を形成する。
【0102】
(10)図6(b)に示すように、(6)乃至(9)の工程を繰り返すことにより、コア基板5の上下面に配線層6を形成する。なお、本工程を繰り返すことにより、配線層6をより多層化することができる。
以上のようにして、配線基板3を作製することができる。
【0103】
(実装構造体1の作製)
(11)バンプ4を介して配線基板3に電子部品2をフリップチップ実装することにより、図1に示した実装構造体1を作製することができる。
【0104】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良、組み合わせ等が可能である。
【0105】
例えば、上述した本発明の実施形態は、配線層にて第2樹脂層及び無機絶縁層を2層積層した構成を例に説明したが、第2樹脂層及び無機絶縁層は何層積層しても構わない。
【0106】
また、上述した本発明の実施形態は、無機絶縁層に第1無機絶縁粒子及び第2無機絶縁粒子を含む構成を例に説明したが、無機絶縁層には第1無機絶縁粒子及び第2無機絶縁粒子が上述した範囲の体積%で含まれていればよく、第1無機絶縁粒子及び第2無機絶縁粒子とは粒径の異なる無機絶縁粒子が無機絶縁層に含まれていても構わない。
【0107】
また、上述した本発明の実施形態は、第1樹脂層が基材を含む構成を例に説明したが、第1樹脂層は基材を含まなくても構わない。配線基板が、基材を含まない第1樹脂層と無機絶縁層とを備えている場合、無機絶縁層により配線基板の剛性を高めつつ平面方向への熱膨張率を低減し、基材を含まないことにより配線基板の厚みを小さくしつつ平坦性を高めることができる。第1樹脂層は、第2樹脂層と同様の構成であってもよい。
【0108】
また、上述した本発明の実施形態は、基体が第1樹脂層を備えた構成を例に説明したが、基体は金属板と該金属板を被覆する第1樹脂層とを備えていても構わない。
【0109】
また、上述した本発明の実施形態は、配線基板が第1樹脂層上及び第2樹脂層上の両方に無機絶縁層を備えた構成を例に説明したが、配線基板は少なくとも1層の無機絶縁層を備えていればよく、第1樹脂層上又は第2樹脂層上のどちらか一方のみに無機絶縁層を備えていても構わない。また、配線基板が第2樹脂層上のみに無機絶縁層を有する場合、配線基板は、コア基板としてセラミック基板等の樹脂基板以外の基板を備えていても構わないし、コア基板を備えていなくても構わない。
【0110】
また、上述した本発明の実施形態は、(2)の工程にて溶剤を蒸発させた後、無機絶縁ゾルを加熱する構成を例に説明したが、溶剤の蒸発と無機絶縁ゾルの加熱とを同時に行なっても構わない。
【0111】
また、上述した本発明の実施形態は、銅箔を備えた複合積層板を説明したが、複合積層板は、一主面に導電材料層が形成されていればよく、例えば導電材料層として銅箔以外の金属箔を用いても構わない。
【実施例】
【0112】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0113】
表1に示すように、複数種の樹脂組成物(実施例1〜3及び比較例1〜3)を製造し、その特性を調査した。具体的には、以下のとおりである。
【0114】
<試料の製造方法>
樹脂及び溶剤をガラス容器に仕込み、80℃まで昇温後、2時間攪拌し、その後、40℃まで冷却した。次に、硬化剤、必要に応じて、無機充填剤及び硬化促進剤を投入し、1時間攪拌し、樹脂組成物を得た。そして、得られた樹脂組成物を離型紙に塗布後、150℃で5分間乾燥して、厚さ25μmの樹脂シートを作成した。なお、特性の測定においては、後述するように、更に加熱等の工程が適宜に加えられた。
【0115】
<各樹脂組成物の組成>
各樹脂組成物の組成については、表1における、「組成(重量部)」の欄において、成分と、その配合量(重量部)とが示されている。なお、表1における各成分の詳細は、以下のとおりである。
【0116】
(樹脂)
2官能エポキシ樹脂:DIC株式会社製、商品名「EPICLON 830−S」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)
3官能エポキシ樹脂:DIC株式会社製、商品名「EPICLON EXA−4750」
PPE:旭化成株式会社製、商品名「APPE」
【0117】
(硬化材)
イミド骨格樹脂1:DIC株式会社製、商品名「BESMOL IZ−9883」(フェノール樹脂)
イミド骨格樹脂2:DIC株式会社製、商品名「ユニディック V−8000」(フェノール樹脂)
非イミド骨格樹脂:DIC株式会社製、商品名「PHENOLITE LA−3018」(フェノール樹脂、ノボラック樹脂)
TAIC(トリアリルイソシアヌレート):日本化成株式会社製、商品名「TAIC」
【0118】
(硬化促進剤)
イミダゾール:2−メチル−4メチルイミダゾール
【0119】
(無機充填材)
球状シリカ:電気化学工業株式会社製、商品名「SFP−130MC」、平均粒径0.5μm
結晶シリカ:龍森株式会社製、商品名「クリスタライト 5X」、平均粒径1.5μm
【0120】
(その他)
溶剤1:ダイセル化学工業株式会社製、メチルセロソルブアセテート
溶剤2:三京化成株式会社製、トルエン
【0121】
<各樹脂組成物の特性の調査方法>
表1の「特性」の欄に示されている項目に関して、各樹脂組成物の測定を行った。なお、測定方法は、以下のとおりである。
【0122】
(粘度)
樹脂組成物を3℃/minの条件で昇温しつつレオメーターにより粘度を測定した。
【0123】
(硬化時間)
樹脂組成物を170℃の熱板に当接させ、硬化するまでの時間を測定した。
【0124】
(熱膨張率)
樹脂組成物を220℃で3時間加熱して硬化させ、厚さ0.6mm、縦/横3mm×3mmのサンプル片を作成した。これを25℃から250℃まで2℃/sの条件で昇温し、株式会社島津製作所製のTMA(熱機械分析装置)により熱膨張率を測定した。
【0125】
(弾性率)
樹脂組成物を220℃で3時間加熱して硬化させ、厚さ0.4mm、縦/横150mm×5mmのサンプルを作成した。このサンプルの弾性率を10Hzの条件で株式会社島津製作所製のDMA(動的粘弾性測定装置)により測定した。
【0126】
(ガラス転移温度)
樹脂組成物を220℃で3時間加熱して硬化させ、厚さ0.6mm、縦/横1mm×1mmのサンプルを作成した。これを3℃/minの条件で昇温しつつ、島津製作所製のDMAによりガラス転移温度を測定した。
【0127】
(ピール強度)
厚さ18μ銅箔の電解銅箔のマット面上に樹脂組成物を塗布し、220℃で3時間加熱して硬化させ、厚さ0.6mmの塗膜を形成した。これを両面テープで厚さ1.6mmガラスエポキシ積層板に貼りつけた後、引き剥がし試験機で銅箔を引き剥がし、25℃および200℃におけるピール強度を測定した。
評価は、1kN/m以上を○、0.5kN/m以上1kM未満を△、0.5kN未満を×とした。
【0128】
(半田耐熱性)
厚さ18μ銅箔の電解銅箔のマット面上に樹脂組成物を塗布し、220℃で3時間加熱して硬化させ、厚さ0.6mmの塗膜を形成した。これを10mm×10mmに切断し、288℃の半田槽に浮かべてフクレが生じるまでの時間を測定した。
評価は、15分以上を○、3分以上15分未満を△、3分未満を×とした。
【0129】
<実施例及び比較例の説明>
(概要)
実施例1〜3の樹脂組成物は、熱膨張率が10ppm/℃以上50ppm/℃以下、弾性率が0.1GPa以上10GPa以下、ガラス転移温度が170℃以上の要件を満たすものである。一方、比較例1〜3の樹脂組成物は、上記の少なくとも一つの要件を満たさないものである。
【0130】
実施例1〜3の樹脂組成物は、上述した(A)二官能エポキシ樹脂、(B)イミド骨格を有する硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填剤を含む。一方、比較例1〜3は、(A)〜(D)の少なくとも一つの条件を満たさない。
【0131】
実施例1と実施例2とは、主として、(B)硬化剤の種類が異なる。実施例1と実施例3とは、主として、(D)無機充填剤の種類が異なる。比較例1は(B)の要件を満たさない。比較例2は(A)及び(B)の要件を満たさない。比較例3は、(A)〜(D)のいずれも満たさない。
【0132】
以上のとおり、実施例により、熱膨張率:10ppm/℃以上50ppm/℃以下、弾性率:0.1GPa以上10GPa以下、ガラス転移温度:170℃以上の要件を満たす樹脂組成物が実現可能であることが確認された。
【0133】
また、実施例と比較例との比較から、(A)〜(D)を含むことにより、熱膨張率:10ppm/℃以上50ppm/℃以下、弾性率:0.1GPa以上10GPa以下、ガラス転移温度:170℃以上の要件を満たし易くなることが確認された。
【0134】
(実施例1)
実施例1の樹脂組成物は、実施例中、最も低熱膨張率及び低弾性率を実現している樹脂組成物である。なお、実施例1の樹脂組成物の(A)〜(D)の配合量は、表1に示された(A)〜(D)の重量部の合計(溶剤を除いた合計)を100重量%とすると、(A)約17重量%、(B)約28重量%、(C)約0.2重量%、(D)約55重量%である。
【0135】
(実施例2)
実施例2は、実施例1に比較すると、熱膨張率及び弾性率がやや高い。ただし、実施例2は、ガラス転移温度は実施例1よりも高い。なお、実施例2の樹脂組成物の(A)〜(D)の配合量は、表1に示された(A)〜(D)の重量部の合計(溶剤を除いた合計)を100重量%とすると、(A)約16重量%、(B)約31重量%、(C)約0.2重量%、(D)約52重量%であり、実施例1と概ね同様である。
【0136】
(実施例3)
実施例3は、実施例1に比較すると、熱膨張率及び弾性率がやや高い。なお、実施例3の樹脂組成物の(A)〜(D)の配合量は、表1に示された(A)〜(D)の重量部の合計(溶剤を除いた合計)を100重量%とすると、(A)約17重量%、(B)約28重量%、(C)約0.1重量%、(D)約55重量%であり、実施例1と概ね同様である。
【0137】
【表1】

【符号の説明】
【0138】
1 実装構造体
2 電子部品
3 配線基板
4 バンプ
5 コア基板
6 配線層
7 基体
8 スルーホール導体
9 絶縁体
10a 第1樹脂層
10ax 第1樹脂層前駆体
10b 第2樹脂層
10bx 第2樹脂層前駆体
11 無機絶縁層
11a 第1無機絶縁粒子
11b 第2無機絶縁粒子
11x 無機絶縁ゾル
12 無機絶縁フィラー
13 導電層
13x 銅箔
14 ビア導体
15 積層板
16 積層シート
17 複合積層板
T スルーホール
V ビア孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂層と、前記樹脂層上に形成された無機絶縁層と、を備え、
前記無機絶縁層は、粒径が3nm以上110nm以下であるとともに互いに結合した第1無機絶縁粒子を含み、
前記樹脂層は、前記無機絶縁層に接着されており、熱膨張率が10ppm/℃以上50ppm/℃以下、弾性率が0.1GPa以上10GPa以下、ガラス転移温度が170℃以上である熱硬化性樹脂組成物からなる
ことを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記熱硬化性樹脂組成物は、(A)二官能エポキシ樹脂、(B)イミド骨格を有する硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填剤を含む
ことを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項3】
前記無機絶縁層は、粒径が0.5μm以上5μm以下であるとともに前記第1無機絶縁粒子を介して互いに接着された第2無機絶縁粒子を更に含む
ことを特徴とする請求項1又は2記載の配線基板。
【請求項4】
請求項1から3記載のいずれかの配線基板と、
前記配線基板上に搭載された電子部品と、
を備えたことを特徴とする実装構造体。
【請求項5】
金属箔と、該金属箔上に形成された無機絶縁層と、該無機絶縁層上に形成された接着剤層とを備えた複合積層板であって、
前記無機絶縁層は、粒径が3nm以上110nm以下であるとともに互いに結合した第1無機絶縁粒子を含み、
前記接着剤層は、硬化後の熱膨張率が10ppm/℃以上50ppm/℃以下、硬化後の弾性率が0.1GPa以上10GPa以下、ガラス転移温度が170℃以上である熱硬化性樹脂組成物からなる
ことを特徴とする複合積層板。
【請求項6】
前記熱硬化性樹脂組成物は、(A)二官能エポキシ樹脂、(B)イミド骨格を有する硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填剤を含む
ことを特徴とする請求項5記載の複合積層板。
【請求項7】
前記無機絶縁層は、粒径が0.5μm以上5μm以下であるとともに前記第1無機絶縁粒子を介して互いに接着された第2無機絶縁粒子を更に含む
ことを特徴とする請求項5又は6記載の複合積層板。
【請求項8】
金属箔上に、粒径が3nm以上110nm以下であるとともに互いに結合した第1無機絶縁粒子を含む無機絶縁層を形成する工程と、
前記無機絶縁層上に、硬化後の熱膨張率が10ppm/℃以上50ppm/℃以下、硬化後の弾性率が0.1GPa以上10GPa以下、ガラス転移温度が170℃以上である未硬化の熱硬化性樹脂組成物からなる接着剤層を形成して複合積層板を得る工程と、
主面に導電層を有するコア基板上に前記複合積層板を、前記接着剤層が前記導電層と当接するように重ね交わせ熱圧着により一体化して多層化する
ことを特徴とする配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−79972(P2012−79972A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224923(P2010−224923)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【出願人】(390022415)京セラケミカル株式会社 (424)
【Fターム(参考)】