説明

配線基板の製造方法

【課題】所定厚さの金属板上に形成した配線基板を形成した後、金属板をエッチング除去することを要しない配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】キャリア板10aに剥離層を介して金属箔10bを設たキャリア付金属箔10を用い、金属箔側に金属箔よりも厚い金属層14を絶縁層12を介して積層して形成した二枚の積層体11を、キャリア板10同士を接合層15によって接合した接合体17を形成後、金属層14の各々にパターニングを施して形成した第1導体パターン18と絶縁層12を介して金属箔14が対向するようにキャリア付金属箔10を配設、次いで、各キャリア板10aを剥離層から剥離し、第1導体パターン18の両面側に絶縁層12を介して金属箔10bを具備する二枚の基板を得た後、基板の両面側金属箔10bから第1導体パターン18と絶縁層12を貫通するヴィアを介して電気的に接続する導体パターンを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板の製造方法に関し、更に詳細には複数の導体パターンが絶縁層を貫通するヴィアを介して電気的に接続されて積層された多層の配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多層の配線基板の製造方法としては、例えば下記特許文献において、図13に示す配線基板の製造方法が提案されている。
図13に示す配線基板の製造方法では、先ず、図13(a)に示す様に、強力担持体としての半硬化樹脂から成る樹脂板100の一面側に、剥離性金属箔102を積層する。この剥離性金属箔102は、図14に示す様に、金属箔102aの一面側に、金属箔102aよりも厚い金属板102bが剥離層102cを介して接合されているものである。かかる樹脂板100の一面側に剥離性金属箔102を積層する際には、金属箔102aと樹脂板100とを接合した状態で加熱圧着することによって両者を接着できる。
樹脂板100の一面側に積層した剥離性金属箔102の金属板102b側に、図13(b)に示す様に、ドライフィルム104によって部分的に被覆した後、金属板102bの露出面にエッチングを施してバンプ用凹部106,106・・を形成し、ドライフィルム104を除去する[図13(c)]。
バンプ用凹部106,106・・内には、図13(d)に示す様に、めっき金属によってバンプ108を形成すると共に、バンプ108に接続された導体パターン110を形成する。バンプ108を形成する際には、後述する様に、金属板102bをエッチングするエッチング液にエッチングされない金等の金属膜112を形成しておく。
【0003】
更に、バンプ108及び導体パターン110上には、図13(e)に示す様に、アディティブ法やセミアディティブ法によって、導体パターン118,118・・を形成すると共に、絶縁層114,114・・を貫通するヴィア116,116・・を形成する。
この様に、剥離性金属箔102の金属板102b上に所定数の導体パターンを積層することによって、形成された配線基板120の強度が向上するため、図13(f)に示す様に、剥離性金属箔102の金属板102bと金属箔102aとを剥離する。
その後、金属板102bをエッチングして除去することによって、配線基板120を得ることができる。
【特許文献1】特開2007−165513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図13に示す配線基板の製造方法によれば、強力担持体としての樹脂板100によって強度を保持できるため、配線基板の製造工程での積層体等の搬送を容易に行いつつ、多層の配線基板を製造できる。
しかし、図13に示す配線基板の製造方法では、樹脂板100から剥離した配線基板120に付着している金属板102bをエッチングで除去している。このエッチング時間を短縮するには、薄い金属板102を使用することを要するが、金属板102にバンプ用凹部106,106・・を形成するため、所定厚さの金属板102を必要とする。このため、金属板102をエッチングする時間の短縮は困難である。
そこで、本発明は、所定厚さの金属板上に形成した配線基板を形成した後、金属板をエッチング除去する従来の配線基板の製造方法の課題を解消し、金属板をエッチング除去することを要しない配線基板の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は前記課題を解決するには、支持体としてのキャリア板の一面側に剥離層を介して金属箔が積層されたキャリア付金属箔を用いて導体パターンを形成することが有利であると考え検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、支持体としてのキャリア板の一面側に剥離層を介して金属箔が設けられたキャリア付金属箔を用い、前記キャリア付金属箔の金属箔側に、前記金属箔よりも厚い金属層を絶縁層を介して積層して形成した二枚の積層体を、前記キャリア板同士が接合層を介して接合した接合体を形成した後、前記接合体の両側に露出する金属層の各々にパターニングを施して第1導体パターンを形成し、次いで、前記第1導体パターンと絶縁層を介して金属箔が対向するように、前記接合体に形成した第1導体パターン側の各々にキャリア付金属箔を配設した後、前記キャリア付金属箔の各キャリア板を剥離層から剥離して、前記第1導体パターンの両面側に絶縁層を介して金属箔を具備する二枚の基板を形成し、その後、前記基板の両面側に形成された金属箔から、前記第1導体パターンと絶縁層を貫通するヴィアを介して電気的に接続された導体パターンを形成することを特徴とする配線基板の製造方法にある。
【0006】
また、本発明は、支持体としてのキャリア板の一面側に剥離層を介して金属箔が設けられた二枚のキャリア付金属箔を、前記キャリア付金属箔の各金属箔同士が絶縁層を介して対向するように積層して形成した二枚の積層体を、前記積層体の一面側のキャリア板同士が接合層を介して接合した接合体を得、前記接合体の両側に配設したキャリア板を剥離して露出した金属箔の各々から、前記接合体内のキャリア付金属箔の金属箔と接続するヴィアと電気的に接続する第1導体パターンを形成した後、前記第1導体パターンの各々と金属箔が対向するように、前記第1導体パターン側に絶縁層を介してキャリア付金属箔を配設した後、前記キャリア付金属箔の各キャリア板を剥離して、前記第1導体パターンの両面側に絶縁層を介して金属箔を具備する二枚の基板を形成し、その後、前記基板の両面側に形成された金属箔から、前記第1導体パターンと絶縁層を貫通するヴィアを介して電気的に接続された導体パターンを形成することを特徴とする配線基板の製造方法でもある。
この様にして形成した、第1導体パターンを内部に具備する基板の両面側に、絶縁層を貫通するヴィアを介して複数の導体パターンを順次積層することによって、奇数層の導体パターンを積層した配線基板を得ることができる。
【0007】
また、支持体としてのキャリア板の一面側に剥離層を介して金属箔が設けられた二枚のキャリア付金属箔を、前記キャリア付金属箔の各金属箔同士が絶縁層を介して対向するように積層して形成した二枚の積層体を、前記積層体の一面側のキャリア板同士が接合層を介して接合した接合体を形成して配線基板を製造する際に、接合体に形成した第1導体パターンの各々と金属箔が対向するように、前記第1導体パターン側に絶縁層を介してキャリア付金属箔を積層した後、前記キャリア付金属箔のキャリア板を剥離して露出した金属箔から、前記第1導体パターンと絶縁層を貫通するヴィアを介して電気的に接続されている第2導体パターンを形成し、次いで、前記第2導体パターンと金属箔が対向するように、前記第2導体パターン側に絶縁層を介してキャリア付金属箔を配設した後、前記キャリア付金属箔のキャリア板を剥離して、前記第1導体パターンと第2導体パターンとを絶縁層を介して挟み込むように金属箔を具備する基板を形成することによって、中心部に第1導体パターンと第2導体パターンとが形成された配線基板を得ることができる。
この様にして形成した絶縁層を貫通するヴィアを介して電気的に接続した第1導体パターンと第2導体パターンとを内部に具備する基板の両面側に、絶縁層を貫通するヴィアを介して電気的に接続された複数の導体パターンを順次積層し、偶数層の導体パターンを積層した配線基板を得ることができる。
【0008】
これらの本発明において、キャリア付金属箔として、支持体としての銅板の一面側に剥離層を介して銅箔が設けられているキャリア付金属箔を好適に用いることができる。
更に、ヴィアを形成する際に、レーザによって絶縁層にヴィア穴を形成した後、前記ヴィア穴をめっき金属で充填することによって、容易にヴィアを形成できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る配線基板の製造方法によれば、図13に示す従来の配線基板の製造方法では必要であった金属板をエッチングによって除去する工程を不要にでき、配線基板の製造工程を短縮できる。
更に、本発明では、キャリア付金属箔のキャリア板を強力担持体として使用しているため、製造工程中での積層体の強度を保持でき、製造工程のローラ等による積層体の変形に基づくトラブルを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る配線基板の製造方法の一例を図1〜図3に示す。先ず、図1(a)に示す様に、キャリア付金属箔10の金属箔10b側に、樹脂から成る絶縁層12を介して金属箔10bよりも厚い金属層としての銅箔14を積層した積層体11を形成する。この銅箔14としては、厚さ18μmの銅箔を用いた。
かかるキャリア付金属箔10と銅箔14との積層は、絶縁層12として半硬化状態の熱硬化性樹脂からシートを用いて加熱・圧着することによって行うことができる。
また、キャリア付金属箔10は、図4に示す様に、強力担持体としてのキャリア板10aの一面側に剥離層10cを介して金属箔10bが設けられている。かかるキャリア板10aとしては、厚さ15〜70μmの銅板を用いることができ、金属箔10bとしては、厚さ0.5〜12μmの銅箔を用いることができる。
【0011】
図1(a)に示す二枚の積層体11,11は、そのキャリア板10a,10aが接合層15を介して接合して、図1(b)に示す接合体17を形成する。かかる接合層15は、半硬化状態の熱硬化性樹脂からシートを用いて加熱・圧着することによって行うことができる。形成した接合体17の両面は、銅箔14,14によって形成されている。
この銅箔14,14の露出面を、図1(c)に示す様に、ドライフィルム16,16によって部分的に被覆する。
かかる銅箔14,14の表面が部分的に露出する部分をエッチングし、ドライフィルム16,16を剥離することによって、図1(d)に示す様に、接合体17の両面に第1導体パターン18,18・・を形成できる。この第1導体パターン18,18・・は、後述する様に、配線基板の中央部に形成されるため、給電用又は接地用として好適に用いることができる。
更に、図1(d)に示す様に、第1導体パターン18,18・・を形成した接合体17の両面側の各々には、図2(a)に示す様に、絶縁層12を介してキャリア付金属箔10を配設する。このキャリア付金属箔10は、その金属箔10bが第1導体パターン18,18・・と対向するように配設する。この場合も、絶縁層12として半硬化状態の熱硬化性樹脂からシートを用いて加熱・圧着することによって行うことができる。
この様にして得られた、図2(a)に示す接合体17には、四枚のキャリア付金属箔10が配設されている。
【0012】
次いで、図2(b)に示す様に、接合体17内のキャリア付金属箔10,10,10の各キャリア板10aを金属箔10bから剥離することによって、第1導体パターン18,18・・が中央部に形成された二枚の基板20,20を得ることができる。基板20は、その中央部に形成された第1導体パターン18,18・・の両面側に、金属箔10bに覆われた絶縁層12,12が形成されている。このため、基板20の搬送を容易に行うことができる。
かかる基板20,20の各々には、図3に示す手順によって、中央部に形成された第1導体パターン18,18・・とヴィアによって接続された導体パターンを形成して配線基板を得ることができる。図3には、基板20の一方を用いた配線基板の製造工程を示す。
先ず、基板20には、その金属箔10b,10bの各々の所定位置に、図3(a)に示す様に、レーザによって底面に第1導体パターン18が露出するヴィア穴22,22・・を形成する。このヴィア穴22は、レーザによって形成されるため、開口部から底面方向に次第に内径が小径となるテーパ状に形成されている。この様に、ヴィア穴22,22・・をレーザによって形成したことによって発生した残渣は、基板20にデスミア処理を施して除去した。
かかるヴィア穴22,22・・の内壁面を含む基板20の全表面には、図3(b)に示す様に、無電解めっき又は蒸着によって薄金属皮膜23,23を形成する。
更に、図3(c)に示す様に、ドライフィルム16,16によってパターニングした後、金属箔10b及び薄金属皮膜23を給電層とする電解めっきによって、ヴィア穴22,22・・内にめっき金属を充填してヴィア24,24を形成すると共に、第1導体パターン18,18・・とヴィア24,24・・により電気的に接続された第2導体パターン28,28・・を基板20の両面側に形成できる。
【0013】
次いで、図3(d)に示す様に、ドライフィルム16,16を剥離して露出する金属箔10b及び薄金属皮膜23をエッチングすることによって、図3(d)に示す様に、第1導体パターン18,18・・とヴィア24,24・・により電気的に接続された第2導体パターン28,28・・を基板20の両面側に形成できる。
更に、図3(e)に示す様に、第2導体パターン28,28・・のパッド34を形成する部分を除いてソルダーレジスト32によって被覆することによって、配線基板30を得ることができる。
この様に、図1〜図3に示す配線基板の製造方法では、接合体17において、キャリア付金属箔10のキャリア板10aが強力担持体として作用するため、接合体17の搬送は何等問題なく行うことができる。
また、図13に示す配線基板の製造方法の如く、金属板102bをエッチングによって除去する工程を不要にでき、配線基板30の製造工程の短縮を図ることができる。
【0014】
図1〜図3に示す配線基板の製造方法では、図3(a)に示す様に、第1導体パターン18の両面側からヴィア穴22,22をレーザによって形成する際に、第1導体パターン18の一面側からヴィア穴22をレーザで形成した後、このヴィア穴22の底面に第1導体パターン18が露出した状態で、第1導体パターン18の他面側からヴィア穴22をレーザで形成するとき、既に形成したヴィア穴22の底面に露出する第1導体パターン18を破壊するおそれがある。
この点、図5〜図9に示す配線基板の製造方法によれば、基板20にヴィア穴22をレーザで形成する際に、第1導体パターン18を破壊するおそれを解消できる。
【0015】
先ず、図5(a)に示す様に、二枚のキャリア付金属箔10,10を、金属箔10b,10b同士が樹脂から成る絶縁層12を介して対向するように接合して二枚の積層体11,11を形成する。この接合は、キャリア付金属箔10,10の間に、絶縁層12として半硬化状態の熱硬化性樹脂から成るシートを挟んで加熱・圧着して行うことができる。
更に、二枚の積層体11,11を接合層15によって接合して、図5(b)に示す接合体17を形成する。この接合層15による接合は、接合層15としての半硬化状態の熱硬化性樹脂から成るシートを積層体11,11の間に挟んで加熱・圧着することによって行うことができる。
この様にして得た接合体17の両面側のキャリア付金属箔10,10の各キャリア板10aを剥離して、図5(c)に示す様に、両側に金属箔10b,10bが露出した接合体17を得る。
両側に金属箔10b,10bが露出した接合体17には、図6(a)に示す様に、金属箔10b,10bの各々の所定の箇所にレーザによって、底面に他方のキャリア付金属箔10の金属箔10bが露出するヴィア穴22,22・・を、接合体17の両面に形成する。このヴィア穴22は、レーザによって形成されるため、開口部から底面方向に次第に内径が小径となるテーパ状に形成されている。ヴィア穴22,22・・をレーザによって形成したことによって発生した残渣は、基板20にデスミア処理を施して除去した。
かかるヴィア穴22,22・・の内壁面を含む絶縁層12,12・・の一面側の全表面には、図6(b)に示す様に、無電解めっき又は蒸着によって薄金属皮膜23,23を形成する。
更に、図6(c)に示す様に、ドライフィルム16,16によってパターニングした後、金属箔10b及び薄金属皮膜23を給電層とするヴィアフィル電解めっきによって、ヴィア穴22,22・・内にめっき金属を充填してヴィア24,24・・と第1導体パターン18,18・・とを接合体17の両面側に形成する。
このドライフィルム16を剥離した後、露出する金属箔10b及び薄金属皮膜23をエッチングすることによって、図7(a)に示す様に、第1導体パターン18,18・・を形成及びヴィア24,24を接合体17の両面側に形成できる。
かかる第1導体パターン18,18・・及びヴィア24,24が形成された接合体17の両面側の各々には、第1導体パターン18,18・・と対向するように、絶縁層12を介してキャリア付金属箔10を配設する[図7(b)]。
この様にして得られた、図7(b)に示す接合体17には、四枚のキャリア付金属箔10,10,10が配設されている。
【0016】
次いで、図8に示す様に、接合体17内のキャリア付金属箔10,10,10の各キャリア板10aを金属箔10bから剥離することによって、中央部に形成された第1導体パターン18,18・・の両面側に、金属箔10bに覆われた絶縁層12,12が形成された基板20,20を得ることができる。かかる第1導体パターン18,18・・の所定箇所には、絶縁層12,12の一方側を貫通するヴィア24,24・・が形成されている。
この基板0は、中央部に形成された第1導体パターン18,18・・の両面側に絶縁層12,12が形成されているため、基板20の搬送を容易に行うことができる。
かかる基板20,20の各々には、図9に示す手順によって、中央部に形成された第1導体パターン18,18・・とヴィアによって接続された導体パターンを形成して配線基板を得ることができる。図9には、基板20の一方を用いた配線基板の製造工程を示す。
先ず、図9(a)に示す様に、基板20の第1導体パターン18,18・・側の金属箔10bの所定箇所にレーザによって第1導体パターン18或いはヴィア24が底面に露出するヴィア穴22,22・・を形成する。この際に、ヴィア穴22の底面に露出する第1導体パターン18の一面側にレーザが照射されても、第1導体パターン18の他面側は、絶縁層12又はヴィア24が形成されているため、レーザが照射された衝撃によって第1導体パターン18が破壊されることを防止できる。
次いで、図9(b)に示す様に、金属箔10b、10bが露出した基板20の両面に、無電解めっき又は蒸着によって薄金属皮膜23,23を形成する。かかる薄金属皮膜23は、ヴィア穴22,22・・の内壁面にも形成される。
更に、図9(c)に示す様に、ドライフィルム16によってパターニングした後、金属箔10b及び薄金属皮膜23を給電層とするヴィアフィル電解めっきによって、ヴィア穴22,22・・内にめっき金属を充填してヴィア24を形成すると共に、第2導体パターン28,28・・を基板20の両面側に形成できる。
その後、ドライフィルム16,16を剥離して露出する金属箔10b及び薄金属皮膜23をエッチングすることによって、第1導体パターン18,18・・とヴィア24,24・・により電気的に接続された第2導体パターン28,28・・を基板20の両面側に形成できる。
更に、第2導体パターン28,28・・のパッド34を形成する部分を除いてソルダーレジスト32によって被覆することによって、図9(d)に示す様に、配線基板30を得ることができる。
【0017】
図1〜図9に示す配線基板の製造方法では、三層の導体パターンが積層された配線基板を製造しているが、更に多層の配線基板を製造する際には、基板20の反り等の発生を防止すべく、基板20の両面側に公知のアディティブ法やセミアディティブ法によって同時に導体パターンを形成する。
この様に、図1〜図9に示す配線基板の製造方法では、奇数層の導体パターンを積層した配線基板を得ることができる。
また、図7(b)に示す接合体17の両面側に配設したキャリア付金属箔10,10の各キャリア板10aを剥離することによっても、奇数層の導体パターンを積層した配線基板を得ることができる。
図1〜図9に示す配線基板の製造方法に対して、図10〜図12に示す製造方法によれば、偶数層の導体パターンを積層した配線基板を得ることができる。
【0018】
先ず、図7(b)に示す接合体17の両面側に配設したキャリア付金属箔10,10の各キャリア板10aを剥離し、図10(a)に示す様に、接合体17の両面側に金属箔10b、10bを露出する。
接合体17の両面側に露出した金属箔10b、10bの所定箇所に、図10(b)に示す様に、レーザによって第1導体パターン18或いはヴィア24が底面に露出するヴィア穴22,22・・を形成する。
このヴィア穴22,22・・を形成した接合体17の両面側の絶縁層12側の全面に、無電解めっき又は蒸着によって薄金属皮膜23,23を形成する。かかる薄金属皮膜23は、ヴィア穴22,22・・の内壁面にも形成される。
更に、薄金属皮膜23,23上に配設したドライフィルム16,16によってパターニングした後、金属箔10b,10b及び薄金属皮膜23,23を給電層とするヴィアフィル電解めっきによって、ヴィア穴22,22・・内にめっき金属を充填してヴィア24,24・・を形成すると共に、第2導体パターン36,36・・を形成する[図11(a)]。
このドライフィルム16,16を剥離して接合体17の両面側に露出する金属箔10b,10b及び薄金属皮膜23,23をエッチングすることによって、第1導体パターン18,18・・とヴィア24,24・・により電気的に接続された第2導体パターン28,28・・を形成した後、接合体17の両面側に絶縁層12,12を形成する。
更に、接合体17の両面側に形成した絶縁層12上に、図11(b)に示す様に、キャリア付金属箔10,10を積層する。このキャリア付金属箔10は、金属箔10bと第2導体パターン28,28・・が対向するように積層する。
この様にして形成した図11(b)に示す接合体17には、4枚のキャリア付金属箔10,10,10,10が配設されている。
かかる接合体17の4枚のキャリア付金属箔10のキャリア板10aの各々を、図12に示すように剥離することによって、両面側に金属箔10b、10bが配設されていると共に、第1導体パターン18,18・・と第2導体パターン28,28・・とが形成された基板20,20を得ることができる。
【0019】
図12に示す基板20,20には、図9に示す様に、第2導体パターン28,28・・側に露出した金属箔10bにレーザによって、第2導体パターン28,28・・が底面に露出するヴィア穴22,22・・を形成する。
更に、金属箔10b、10bが露出した基板20のヴィア穴22,22・・の内壁面を含む両面に、無電解めっき又は蒸着によって薄金属皮膜23,23を形成する。
その後、ドライフィルム16,16によってパターニングした後、金属箔10b,10b及び薄金属皮膜23,23を給電層とするヴィアフィル電解めっきによって、ヴィア穴22,22・・内にめっき金属を充填してヴィア24,24・・を形成すると共に、第1導体パターン18と第2導体パターン28とヴィア24によって電気的に接続された第2導体パターン28,28・・を基板20の両面側に形成し、合計4層の導体パターンを形成できる。
この様にして、図10〜図12に示す配線基板の製造方法では、偶数層の導体パターンを積層した配線基板を得ることができる。
【0020】
以上の説明では、ヴィア穴22をレーザによって形成していたが、感光性樹脂から成る絶縁層12に設けた金属箔10bを用いてヴィア穴22を形成できる。この場合、金属箔10bの所定箇所をレーザによって除去した後、残った金属箔10bをマスクにして露出した感光性樹脂から成る絶縁層12を露光・現像してヴィア穴22を形成できる。
或いは金属箔10b上に塗布したレジストに所定箇所に金属箔10bが底面に露出する凹部を形成した後、露出した金属箔10bをエッチングによって除去して感光性樹脂から成る絶縁層12を露出する。次いで、露出した絶縁層12を露光・現像することによっても形成できる。
また、ヴィア穴22に金属を充填してヴィア24を形成する際には、電解めっきによるヴィアフィル方法について説明していたが、ヴィア穴22に導電ペーストを充填してヴィア24を形成してもよい。
尚、導体パターンは、ヴィア24を形成した後に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る配線基板の製造方法の一例を説明する工程図の一部である。
【図2】図1に示す工程図に続く工程を説明する工程図である。
【図3】図2に示す工程図に続く工程を説明する工程図である。
【図4】図1〜図3に示す配線基板の製造方法で用いるキャリア付金属箔の一例を説明する部分断面図である。
【図5】本発明に係る配線基板の製造方法の他の例を説明する工程図の一部である。
【図6】図5に示す工程図に続く工程を説明する工程図である。
【図7】図6に示す工程図に続く工程を説明する工程図である。
【図8】図7に示す工程図に続く工程を説明する工程図である。
【図9】図8に示す工程図に続く工程を説明する工程図である。
【図10】本発明に係る配線基板の製造方法の他の例を説明する工程図の一部である。
【図11】図10に示す工程図に続く工程を説明する工程図である。
【図12】図11に示す工程図に続く工程を説明する工程図である。
【図13】従来の配線基板の製造方法を説明する工程図である。
【図14】従来の配線基板の製造方法で用いる剥離性金属箔を説明する部分断面図である。
【符号の説明】
【0022】
10 キャリア付金属箔
10a キャリア板
10b 金属箔
10c 剥離層
11 積層体
12 樹脂層
14 銅箔
15 接合層
16 ドライフィルム
17 接合体
18 第1導体パターン
20 基板
22 ヴィア穴
23 薄金属皮膜
24 ヴィア
28 第2導体パターン
30 配線基板
32 ソルダーレジスト
34 パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体としてのキャリア板の一面側に剥離層を介して金属箔が設けられたキャリア付金属箔を用い、前記キャリア付金属箔の金属箔側に、前記金属箔よりも厚い金属層を絶縁層を介して積層して形成した二枚の積層体を、前記キャリア板同士が接合層を介して接合した接合体を形成した後、前記接合体の両側に露出する金属層の各々にパターニングを施して第1導体パターンを形成し、
次いで、前記第1導体パターンと絶縁層を介して金属箔が対向するように、前記接合体に形成した第1導体パターン側の各々にキャリア付金属箔を配設した後、前記キャリア付金属箔の各キャリア板を剥離層から剥離して、前記第1導体パターンの両面側に絶縁層を介して金属箔を具備する二枚の基板を形成し、
その後、前記基板の両面側に形成された金属箔から、前記第1導体パターンと絶縁層を貫通するヴィアを介して電気的に接続された導体パターンを形成することを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項2】
支持体としてのキャリア板の一面側に剥離層を介して金属箔が設けられた二枚のキャリア付金属箔を、前記キャリア付金属箔の各金属箔同士が絶縁層を介して対向するように積層して形成した二枚の積層体を、前記積層体の一面側のキャリア板同士が接合層を介して接合した接合体を得、
前記接合体の両側に配設したキャリア板を剥離して露出した金属箔の各々から、前記接合体内のキャリア付金属箔の金属箔と接続するヴィアと電気的に接続する第1導体パターンを形成した後、
前記第1導体パターンの各々と金属箔が対向するように、前記第1導体パターン側に絶縁層を介してキャリア付金属箔を配設した後、前記キャリア付金属箔の各キャリア板を剥離して、前記第1導体パターンの両面側に絶縁層を介して金属箔を具備する二枚の基板を形成し、
その後、前記基板の両面側に形成された金属箔から、前記第1導体パターンと絶縁層を貫通するヴィアを介して電気的に接続された導体パターンを形成することを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項3】
第1導体パターンを内部に具備する基板の両面側に、絶縁層を貫通するヴィアを介して電気的に接続されている複数の導体パターンを順次積層し、奇数層の導体パターンを積層した配線基板を形成する請求項1又は請求項2記載の配線基板の製造方法。
【請求項4】
接合体に形成した第1導体パターンの各々と金属箔が対向するように、前記第1導体パターン側に絶縁層を介してキャリア付金属箔を積層した後、前記キャリア付金属箔のキャリア板を剥離して露出した金属箔から、前記第1導体パターンと絶縁層を貫通するヴィアを介して電気的に接続されている第2導体パターンを形成し、
次いで、前記第2導体パターンと金属箔が対向するように、前記第2導体パターン側に絶縁層を介してキャリア付金属箔を配設した後、前記キャリア付金属箔のキャリア板を剥離して、前記第1導体パターンと第2導体パターンとを絶縁層を介して挟み込むように金属箔を具備する基板を形成する請求項2記載の配線基板の製造方法。
【請求項5】
絶縁層を貫通するヴィアを介して電気的に接続した第1導体パターンと第2導体パターンとを内部に具備する基板の両面側に、絶縁層を貫通するヴィアを介して電気的に接続された複数の導体パターンを順次積層し、偶数層の導体パターンを積層した配線基板を形成する請求項4記載の配線基板の製造方法。
【請求項6】
キャリア付金属箔として、支持体としての銅板の一面側に剥離層を介して銅箔が設けられているキャリア付金属箔を用いる請求項1〜5のいずれか一項記載の配線基板の製造方法。
【請求項7】
ヴィアを形成する際に、レーザによって絶縁層にヴィア穴を形成した後、前記ヴィア穴をめっき金属で充填する請求項1〜4のいずれか一項記載の配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−98086(P2010−98086A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267094(P2008−267094)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】