説明

配線基板及び半導体装置

【課題】 配線基板及び半導体装置に関し、多層ビルドアップ基板等の配線基板に加わる応力によるフィルドスタックビアのビア破断を防止する。
【解決手段】 導体層と、前記導体層の表面に形成される第1の凹部と、前記導体層上に形成される第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層に形成され、前記第1の凹部を露出させる第1の開口部と、前記第1の開口部内に配置され、少なくとも一部が前記第1の凹部内に埋め込まれる第1のフィルドビアと、前記第1の絶縁膜及び前記第1のフィルドビア上に形成される第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層に形成され、前記第1のフィルドビアを露出させる第2の開口部と、前記第2の開口部内に配置され、前記第1のフィルドビアに接続される第2のフィルドビアとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板及び半導体装置多層ビルドアップ基板及びフリップチップパッケージに関するものであり、特に、多層ビルドアップ基板の配線基板に設けるフィルドスタックビアの接合強度を高めるための構成及びその配線基板を用いた半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体素子の実装構造としてはフリップチップパッケージが知られているので、図34及び図35を参照して説明する。
図34参照
図34は、従来のフリップチップパッケージの構成説明図であり、図34(a)は概略的平面図であり、図34(b)は平面図におけるA−A′を結ぶ一点鎖線に沿った概略的断面図である。
従来のフリップチップパッケージは、半導体素子201と、半導体素子201の表面電極(図示は省略)上に半田等で形成されたバンプ202、表面に配線が施され、半導体素子201のバンプ202と対になる部位に電極開口部が設けられ、開口部以外の箇所はソルダーレジスト215で被覆された多層ビルドアップ基板210と、半導体素子201を保護するために、半導体素子201と多層ビルドアップ基板210の間隙に充填されるアンダーフィル樹脂203と、フリップチップパッケージをマザーボードに実装する際、接続端子となる半田ボール216から構成される。
なお、符号204は、ポリイミド樹脂コート層である。
【0003】
図35参照
図35は、フィルドスタックビア構造を表す拡大図であり、多層ビルドアップ基板210としては6層〜8層のビルドアップ多層基板が一般的に用いられている。
このビルドアップ多層基板210は、貫通スルーホール212を有するとともに表裏に配線が予めなされたコア基板211上に、ビルドアップ樹脂213を積層し、レーザ等でビルドアップ樹脂213に穿孔した後、Cuメッキで各層間をフィルドビアで接続している。
【0004】
従来、各層に設けるフィルドビアは、図35に示すように、積層したフィルドビア同士の位置をオフセットした、スパイラルビア217で接続していた。
しかし、近年の半導体の高集積化、高密度化に伴い、基板の配線密度が上がった結果、スパイラルビアでは配線引き回しが困難な状況にあり、より配線密度が高くできる、各層間のビアを直線上に接続するフィルドスタックビア218が主流になってきている。
【0005】
従来のフィルドスタックビアを使用した多層ビルドアップ基板では、半導体素子と基板の熱膨張係数差による応力によりフィルドスタックビアの底部に応力が集中する。
特に、全層フィルドスタックビアの場合は、基板コア層との接続部に応力が集中し、温度サイクル等でビア接合部が破断する問題が発生しているので、この事情を図36を参照して説明する。
【0006】
図36参照
図36(a)に示すように、半導体素子と基板の熱膨張係数差により応力が印加された場合には、全層フィルドスタックビアは全体が一個の剛体として作用するために、テコの原理で、作用点となるコア基板211と接する最下層のフィルドスタックビア218に応力が集中するため、図36(b)に示すように、最下層のフィルドスタックビア218でビア破断部219が発生しやすくなる。
【0007】
そこで、ビア破断を防止するために、最下層のフィルドスタックビアのサイズをその上に設けるフィルドスタックビアのサイズより大きくして接着強度を高めることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
或いは、一層分の層間絶縁膜を互いに特性の異なる二層のドライフィルムで構成し、レーザ照射により二層のドライフィルムに順テーパ状のビアホールを形成したのち、ウェット・エッチングを施すことにより下層のドライフィルムの設けたビアホールを拡大することにより、フィルドスタックビアの中央部に括れ部を形成することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
この場合、半導体素子と基板の熱膨張係数差により発生した応力は、括れ部に集中するため、コア層と接する部分に印加される応力が低減して、ビア破断を免れることになる。
【特許文献1】特開2006−216713号公報
【特許文献2】特開2006−253189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上述の特許文献1のように、上層のフィルドスタックビアのサイズを小さくすると、位置合わせが困難になるという問題がある。
一方、上層のフィルドスタックビアのサイズを従来通りにすると、最下層のフィルドスタックビアのサイズはそれより大きくする必要があるため、高集積化の妨げになる。
【0011】
一方、上述の特許文献2の場合には、2種類のドライフィルムが必要になるため、製造コストの上昇をもたらす虞がある。
また、メッキで充填するビアホールの断面形状が中間部に括れを有する鼓状となるため空気等を巻き込み、メッキ不良になって下層側にボイドが発生しやすく、製造歩留りが低下する虞がある。
【0012】
したがって、フィルドスタックビアを備えた配線基板において、配線基板に加わる応力によるフィルドスタックビアのビア破断を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この配線基板は、導体層と、前記導体層の表面に形成される第1の凹部と、前記導体層上に形成される第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層に形成され、前記第1の凹部を露出させる第1の開口部と、前記第1の開口部内に配置され、少なくとも一部が前記第1の凹部内に埋め込まれる第1のフィルドビアと、前記第1の絶縁膜及び前記第1のフィルドビア上に形成される第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層に形成され、前記第1のフィルドビアを露出させる第2の開口部と、前記第2の開口部内に配置され、前記第1のフィルドビアに接続される第2のフィルドビアとを要件とする。
【0014】
また、別の観点からは、配線基板は、導体層と、前記導体層の表面に形成される第1の凸部と、前記導体層上に形成される第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層に形成され、前記第1の凸部を露出させる第1の開口部と、前記第1の開口部内に配置され、前記第1の凸部が底部に埋め込まれる第1のフィルドビアと、前記第1の絶縁膜及び前記第1のフィルドビア上に形成される第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層に形成される第2の開口部と、前記第2の開口部内に配置され、前記第1のフィルドビアに接続される第2のフィルドビアとを備えることを要件とする。
【0015】
また、別の観点からは、半導体装置としては、上述の各種の配線基板のいずれかに半導体素子を実装することを要件とする。
【発明の効果】
【0016】
開示の配線基板によれば、応力の最も集中する最下層のフィルドスタックビアの底面が、それと接する導電体パターンに設けた凹部或いは突起パターンと組み込み合うビア構造とし、フィルドスタックビアの底面の接触面積を三次元的に広げて大きくしているので、接着強度が高まり、ビア破断を効果的に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
ここで、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態を説明する。
図1(a)参照
内壁面にCuメッキ層12が形成された貫通スルーホールに樹脂13を充填するとともに、表裏に所定の配線パターン14が形成されたコア基板11にフィルドスタックビア15を形成する際に、少なくとも、最下層のフィルドスタックビア151 の底部を、それと接する導電体パターン、典型的には配線パターン14に設けた凹部に埋め込むように形成する。
【0018】
図1(b)参照
この場合の埋め込み深さdは、5μm以上、或いは、最下層のフィルドスタックビア151 の底部が埋め込まれる配線パターン14の厚さtの1/3以上のいずれかの条件を満たすようにする。
因に、配線パターン14の厚さtは、15〜20μm程度である。
【0019】
このように、フィルドスタックビア151 を埋込ビア構造にすることによって、フィルドスタックビア151 の接合面積は増加し、接合強度が高まる。
この場合、順次積層するフィルドスタックビア152 ,153 も図に示すように埋込ビア構造にしても良いし、或いは、従来通りの非埋込ビア構造にしても良い。
【0020】
また、各フィルドスタックビアの径a1 ,a2 ,a3 は、上述の特許文献1のように意図的にサイズを変更することなく、基本的に同一ビア径、即ち、a1 =a2 =a3 とする。
なお、この場合、各フィルドスタックビアの断面形状は、レーザ照射による開口形成に伴って、フィルドスタックビアの厚さが30〜40μmの場合、底部の幅が、頂部の幅、即ち、径a1 ,a2 ,a3 の80〜90%の逆テーパ状となる。
また、埋め込み深さも、基本的に各フィルドスタックビアで同一深さを基本とするが、各フィルドスタックビアで異なっていても良い。
【0021】
このような、埋込ビア構造とするためには、フィルドスタックビア15を形成する際に、予めフィルドスタックビア直下に位置する導電体パターン、即ち、配線パターン14に、エッチング等で凹みを形成し、その凹みを埋め込むようにフィルドスタックビア15を形成する。
【0022】
また、図1(a)に示すように、この配線基板10上に半田バンプ22によって半導体チップ21をボンディングしたのち、半導体チップ21と配線基板10との間にアンダーフィル樹脂23を充填することによってフリップチップパッケージを構成する。
なお、図における符号16、17、24は、それぞれドライフィルムによる層間絶縁膜、ソルダーレジスト、及び、ポリイミド樹脂コート層である。
【0023】
このようなフリップチップパッケージにおいては、少なくとも応力が集中して加わる最下層のフィルドスタックビア151 を埋込ビア構造としているため、フィルドスタックビア151 のビア破断が発生することがなく、信頼性の高いフリップチップパッケージを実現することができる。
【0024】
次に、図2を参照して、本発明の第2の実施の形態を説明する。
図2(a)参照
内壁面にCuメッキ層12が形成された貫通スルーホールに樹脂13を充填するとともに、表裏に所定の配線パターン14が形成されたコア基板11にフィルドスタックビア18を形成する際に、少なくとも、最下層のフィルドスタックビア181 の底部を、それと接する導電体パターン、典型的には配線パターン14の表面に電解メッキにより設けた突起部19を包み込むように形成する。
【0025】
図2(b)参照
この場合の突起部19の高さhは、5μm以上で、フィルドスタックビア181 の厚さの1/3以下の条件を満たすようにする。
【0026】
このように、フィルドスタックビア181 を包込ビア構造にすることによって、フィルドスタックビア181 の接合面積は増加し、接合強度が高まる。
この場合、順次積層するフィルドスタックビア182 ,183 も図に示すように埋込ビア構造にしても良いし、或いは、従来通りの非埋込ビア構造にしても良い。
【0027】
また、各フィルドスタックビアの径は、上述の特許文献1のように意図的にサイズを変更することなく、基本的に同一ビア径とする。
また、突起部19の高さh1 ,h2 ,h3 は、基本的に各フィルドスタックビアで同一高さとするが、各フィルドスタックビアで異なっていても良い。
【0028】
このような、包込ビア構造とするためには、フィルドスタックビア18を形成する際に、予めフィルドスタックビア直下に位置する導電体パターン、即ち、配線パターン14の表面に所定の開口部を形成したドライフィルムをメッキフレームとして貼り付け、電解メッキ法により突起部19を形成したのち、この突起部19を包み込むようにフィルドスタックビア18を形成する。
【0029】
また、図2(a)に示すように、この配線基板10上に半田バンプ22によって半導体チップ21をボンディングしたのち、半導体チップ21と配線基板10との間にアンダーフィル樹脂23を充填することによってフリップチップパッケージを構成する。
【0030】
このようなフリップチップパッケージにおいては、少なくとも応力が集中して加わる最下層のフィルドスタックビア181 を包込ビア構造としているため、フィルドスタックビア181 のビア破断が発生することがなく、信頼性の高いフリップチップパッケージを実現することができる。
【実施例1】
【0031】
次に、図3乃至図5を参照して、本発明の実施例1の多層ビルドアップ基板の製造工程を説明する。
図3(a)参照
まず、貫通ビア31を設けるとともに、貫通ビア31の内壁面及び主表面にCuパターン32を形成したコア基板30を用意する。
【0032】
図3(b)参照
次いで、貫通ビア31に例えば、エポキシ樹脂を埋め込んでビア充填樹脂層33を形成する。
この時、ビア充填樹脂層33の表面がコア基板30の主面に対して凹まないように複数回エポキシ樹脂を塗布する。
【0033】
図3(c)参照
次いで、全面に無電解メッキでCuメッキシード層(図示は省略)を形成したのち、電解メッキを施すことによって厚さが、例えば、10〜20μmのCuメッキ層34を形成する。
なお、この時の厚さはCuメッキシード層を含んだ厚さである。
なお、以後の工程及び他の実施例においては、メッキシード層については説明を省略する。
【0034】
図3(d)参照
次いで、貫通ビア31の位置に対応するとともに、中央部に開口部36を有するレジストパターン35を設け、このレジストパターン35をマスクとしてCuメッキ層34をエッチングして配線パターン37を形成する。
なお、この時の開口部36の径は、以降に層間絶縁膜に形成するビアホールのテーパ形状に整合するサイズとし、また、配線パターン37に形成された凹部38の底部はビア充填樹脂33に達する。
【0035】
図4(e)参照
次いで、レジストパターン35を除去したのち、例えば、厚さが30〜40μmのドライフィルムを貼り付けて層間絶縁膜39とする。
なお、この工程はコア基板30の表裏に行うものであるが、図示及び説明を簡単にするために、一方の面についてのみ説明する。
【0036】
図4(f)参照
次いで、レーザ光40を照射することによって、層間絶縁膜39にビアホール41を形成する。 図4(g)参照
次いで、全面にCuメッキ層42を形成する。
この時、表面が平坦になるように研磨する。
なお、以降の工程及び他の実施例においても、凹部をCuメッキ層で埋め込む場合には平坦化処理を行うが、以降は説明を省略する。
【0037】
図4(h)参照
次いで、レジストパターン43を設け、このレジストパターン43をマスクとしてエッチングを施すことによって、配線パターン45と一体になったフィルドスタックビア44が形成される。
この時、フィルドスタックビア44の底部は、配線パターン37の厚さ分だけ埋め込まれた埋込ビア構造になるため、接合面積が増大して強度が高まる。
【0038】
図5(i)参照
次いで、レジストパターン43を除去したのち、再び、例えば、厚さが30〜40μmのドライフィルムを貼り付けて層間絶縁膜46とする。
図5(j)参照
次いで、レーザ光47を照射することによって、層間絶縁膜46にビアホール48を形成する。
【0039】
図5(k)参照
以降は、図4(g)及び図5(i)の工程を行うことによって2層目の配線パターン50と一体になったフィルドスタックビア49を形成する。
この、層間絶縁膜の形成工程、レーザ照射によるビアホールの形成工程、Cuメッキ工程、及び、エッチング工程を必要とする層数だけ繰り返すことによって本発明の実施例1の多層ビルドアップ基板が完成する。
なお、図5(k)は、3層構造として示しており、符号51,52,53は、それぞれ、層間絶縁膜、フィルドスタックビア、及び、フィルドスタックビア52と一体に形成された配線パターンである。
【0040】
このように、本発明の実施例1においては、コア基板に接する配線層にエッチングにより凹部を形成し、この凹部にその底部を埋め込むように最下層のフィルドスタックビアを形成しているので、ビア破断の発生を防止することができる。
【実施例2】
【0041】
次に、図6乃至図8を参照して、本発明の実施例2の多層ビルドアップ基板の製造工程を説明する。
図6(a)参照
まず、上記の実施例1と同様に、貫通ビア31を設けるとともに、貫通ビア31の内壁面及び主表面にCuパターン32を形成したコア基板30を用意する。
【0042】
図6(b)参照
次いで、貫通ビア31に例えば、エポキシ樹脂を埋め込んでビア充填樹脂層33を形成する。
この時、ビア充填樹脂層33の表面がコア基板30の主面に対して凹まないように複数回エポキシ樹脂を塗布する。
【0043】
図6(c)参照
次いで、例えば、10〜20μmのCuメッキ層34を形成する。
図6(d)参照
次いで、貫通ビア31の位置に対応するとともに、中央部に開口部36を有するレジストパターン35を設け、このレジストパターン35をマスクとしてCuメッキ層34をエッチングして配線パターン37を形成する。
なお、この時の開口部36の径は、以降に層間絶縁膜に形成するビアホールのテーパ形状に整合するサイズとし、また、配線パターン37に形成された凹部38の底部はビア充填樹脂33に達する。
【0044】
図7(e)参照
次いで、レジストパターン35を除去したのち、例えば、厚さが30〜40μmのドライフィルムを貼り付けて層間絶縁膜39とする。
なお、この工程はコア基板30の表裏に行うものであるが、図示及び説明を簡単にするために、一方の面についてのみ説明する。
【0045】
図7(f)参照
次いで、レーザ光40を照射することによって、層間絶縁膜39にビアホール41を形成する。 図7(g)参照
次いで、全面にCuメッキ層42を形成する。
【0046】
図7(h)参照
次いで、中央に開口部55を有するレジストパターン54を設け、このレジストパターン54をマスクとしてエッチングを施すことによって、配線パターン57と一体になったフィルドスタックビア56が形成される。
【0047】
この時、フィルドスタックビア56の底部は、配線パターン37の厚さ分だけ埋め込まれた埋込ビア構造になるため、接合面積が増大して強度が高まる。
また、同時に、フィルドスタックビア56と一体に形成された配線パターン57の表面にも凹部58が形成される。
この凹部58の深さは、配線パターン57の厚さと同じかそれより深くなる。
因に、配線パターン57の厚さは12μm程度である。
【0048】
図8(i)参照
次いで、レジストパターン54を除去したのち、再び、例えば、厚さが30〜40μmのドライフィルムを貼り付けて層間絶縁膜46とする。
図8(j)参照
次いで、レーザ光47を照射することによって、層間絶縁膜46にビアホール48を形成する。
【0049】
図8(k)参照
以降は、図7(g)及び図8(i)の工程を行うことによって2層目の配線パターン60と一体になったフィルドスタックビア59を形成する。
この時、フィルドスタックビア59の底部は、配線パターン57に形成された凹部58埋め込まれた埋込ビア構造になるため、接合面積が増大して強度が高まる。
また、同時に、フィルドスタックビア59と一体に形成された配線パターン60の表面にも凹部61が形成される。
【0050】
この、層間絶縁膜の形成工程、レーザ照射によるビアホールの形成工程、Cuメッキ工程、及び、エッチング工程を必要とする層数だけ繰り返すことによって本発明の実施例2の多層ビルドアップ基板が完成する。
なお、図8(k)は、3層構造として示しており、符号62,63は、フィルドスタックビア、及び、フィルドスタックビア62と一体に形成された配線パターンである。
【0051】
このように、本発明の実施例2においては、最下層のフィルドスタックビアのみならず、全てのフィルドスタックビアも埋込ビア構造にしているため、接合強度はより高まり、ビア破断に対する耐性がより高まる。
【実施例3】
【0052】
次に、図9乃至図11を参照して、本発明の実施例3の多層ビルドアップ基板の製造工程を説明する。
図9(a)参照
まず、上記の実施例1と同様に、貫通ビア31を設けるとともに、貫通ビア31の内壁面及び主表面にCuパターン32を形成したコア基板30を用意する。
【0053】
図9(b)参照
次いで、貫通ビア31に例えば、エポキシ樹脂を埋め込んでビア充填樹脂層33を形成する。
この時、エポキシ樹脂の塗布工程を一回にすることによって、ビア充填樹脂層33に凹部64を形成することができる。
【0054】
図9(c)参照
次いで、平坦部における厚さが例えば、10〜20μmになるようにCuメッキ層65を形成する。
図9(d)参照
次いで、貫通ビア31の位置に対応するとともに、中央部に開口部36を有するレジストパターン35を設け、このレジストパターン35をマスクとしてCuメッキ層65をエッチングして配線パターン66を形成するとともに、配線パターン66に凹部67を形成する。
【0055】
なお、この時の開口部36の径は、以降に層間絶縁膜に形成するビアホールのテーパ形状に整合するサイズとする。
また、この凹部67の深さは、配線パターン66の厚さと同じかそれより深くなる。
因に、配線パターン66の厚さは12μm程度である。
【0056】
図10(e)参照
次いで、レジストパターン35を除去したのち、例えば、厚さが30〜40μmのドライフィルムを貼り付けて層間絶縁膜39とする。
なお、この工程はコア基板30の表裏に行うものであるが、図示及び説明を簡単にするために、一方の面についてのみ説明する。
【0057】
図10(f)参照
次いで、レーザ光40を照射することによって、層間絶縁膜39にビアホール41を形成する。 図10(g)参照
次いで、全面にCuメッキ層68を形成する。
【0058】
図10(h)参照
次いで、レジストパターン43を設け、このレジストパターン43をマスクとしてエッチングを施すことによって、配線パターン70と一体になったフィルドスタックビア69が形成される。
この時、フィルドスタックビア69の底部は、配線パターン66に形成された凹部67に埋め込まれた埋込ビア構造になるため、接合面積が増大して強度が高まる。
【0059】
図11(i)参照
次いで、レジストパターン43を除去したのち、再び、例えば、厚さが30〜40μmのドライフィルムを貼り付けて層間絶縁膜46とする。 図11(j)参照
次いで、レーザ光47を照射することによって、層間絶縁膜46にビアホール48を形成する。
【0060】
図11(k)参照
以降は、図10(g)及び図11(i)の工程を行うことによって2層目の配線パターン72と一体になったフィルドスタックビア71を形成する。
この、層間絶縁膜の形成工程、レーザ照射によるビアホールの形成工程、Cuメッキ工程、及び、エッチング工程を必要とする層数だけ繰り返すことによって本発明の実施例3の多層ビルドアップ基板が完成する。
なお、図11(k)は、3層構造として示しており、符号73,74は、フィルドスタックビア、及び、フィルドスタックビア73と一体に形成された配線パターンである。
【0061】
このように、本発明の実施例3においては、ビア充填樹脂に形成される凹部を利用して、最下層のフィルドスタックビアを埋込ビア構造としており、フィルドスタックビアの底面との接合面全面がCu層となるため、接合強度が高まり、ビア破断の発生を防止することができる。
【0062】
また、凹部の深さは、ビア充填樹脂の充填量により制御できるので、フィルドスタックビアの底部と組み込み合う凹部を深さを深くすることができ、それによって、フィルドスタックビアの底面との接合面積をさらに増大することができる。
【実施例4】
【0063】
次に、図12及び図13を参照して、本発明の実施例4の多層ビルドアップ基板の製造工程を説明する。
図12(a)参照
まず、上記の実施例3と同様に、貫通ビア31を設けるとともに、貫通ビア31の内壁面及び主表面にCuパターン32を形成したコア基板30を用意する。
【0064】
図12(b)参照
次いで、貫通ビア31に例えば、エポキシ樹脂を埋め込んでビア充填樹脂層33を形成する。
この時、エポキシ樹脂の塗布工程を一回にすることによって、ビア充填樹脂層33に凹部64を形成することができる。
【0065】
図12(c)参照
次いで、全面に厚さが、例えば、10〜20μmのCuメッキ層75を形成する。
この時、Cuメッキ層75は凹部64に沿って湾曲するので凹部76が形成される。
図12(d)参照
次いで、貫通ビア31の位置に対応するとともに、レジストパターン77を設け、このレジストパターン77をマスクとしてCuメッキ層75をエッチングして配線パターン78を形成する。
【0066】
図13(e)参照
次いで、レジストパターン77を除去したのち、例えば、厚さが30〜40μmのドライフィルムを貼り付けて層間絶縁膜39とする。
なお、この工程はコア基板30の表裏に行うものであるが、図示及び説明を簡単にするために、一方の面についてのみ説明する。
【0067】
図13(f)参照
次いで、レーザ光40を照射することによって、層間絶縁膜39にビアホール41を形成する。 図13(g)参照
次いで、全面にCuメッキ層68を形成する。
図13(h)参照
以降は実施例3における図10(h)乃至図11(k)の工程を順次行うことによって3層構造のフィルドスタックビアを備えた多層ビルドアップ基板が完成する。
【0068】
本発明の実施例4においては、コア基板にCuメッキ層を形成する際に、ビア充填樹脂層33に形成された凹部64を埋め込まないようにしているので、埋込ビア構造を形成するための凹部のエッチング工程が不要になり、製造工程が簡素化される。
【実施例5】
【0069】
次に、図14乃至図16を参照して、本発明の実施例5の多層ビルドアップ基板の製造工程を説明する。
図14(a)参照
まず、上記の実施例3と同様に、貫通ビア31を設けるとともに、貫通ビア31の内壁面及び主表面にCuパターン32を形成したコア基板30を用意する。
【0070】
図14(b)参照
次いで、貫通ビア31に例えば、エポキシ樹脂を埋め込んでビア充填樹脂層33を形成する。
この時、エポキシ樹脂の塗布工程を一回にすることによって、ビア充填樹脂層33に凹部64を形成することができる。
【0071】
図14(c)参照
次いで、平坦部における厚さが例えば、10〜20μmになるようにCuメッキ層65を形成する。
図14(d)参照
次いで、貫通ビア31の位置に対応するとともに、中央部に開口部36を有するレジストパターン35を設け、このレジストパターン35をマスクとしてCuメッキ層65をエッチングして配線パターン66を形成するとともに、配線パターン66に凹部67を形成する。
【0072】
なお、この時の開口部36の径は、以降に層間絶縁膜に形成するビアホールのテーパ形状に整合するサイズとする。
また、この凹部67の深さは、配線パターン66の厚さと同じかそれより深くなる。
因に、配線パターン66の厚さは12μm程度である。
【0073】
図15(e)参照
次いで、レジストパターン35を除去したのち、例えば、厚さが30〜40μmのドライフィルムを貼り付けて層間絶縁膜39とする。
なお、この工程はコア基板30の表裏に行うものであるが、図示及び説明を簡単にするために、一方の面についてのみ説明する。
【0074】
図15(f)参照
次いで、レーザ光40を照射することによって、層間絶縁膜39にビアホール41を形成する。 図15(g)参照
次いで、全面にCuメッキ層68を形成する。
【0075】
図15(h)参照
次いで、実施例2と同様に、中央に開口部80を有するレジストパターン79を設け、このレジストパターン79をマスクとしてエッチングを施すことによって、配線パターン82と一体になったフィルドスタックビア81が形成される。
【0076】
この時、フィルドスタックビア81の底部は、凹部67の厚さ分だけ埋め込まれた埋込ビア構造になるため、接合面積が増大して強度が高まる。
また、同時に、フィルドスタックビア81と一体に形成された配線パターン82の表面にも凹部83が形成される。
この凹部83の深さは、配線パターン82の厚さと同じかそれより深くなる。
【0077】
図16(i)参照
次いで、レジストパターン79を除去したのち、再び、例えば、厚さが30〜40μmのドライフィルムを貼り付けて層間絶縁膜46とする。
図16(j)参照
次いで、レーザ光47を照射することによって、層間絶縁膜46にビアホール48を形成する。
【0078】
図16(k)参照
以降は、図7(g)及び図8(i)の工程を行うことによって2層目の配線パターン85と一体になったフィルドスタックビア84を形成する。
この時、フィルドスタックビア84の底部は、配線パターン82に形成された凹部83が埋め込まれた埋込ビア構造になるため、接合面積が増大して強度が高まる。
また、同時に、フィルドスタックビア84と一体に形成された配線パターン85の表面にも凹部が形成される。
【0079】
この、層間絶縁膜の形成工程、レーザ照射によるビアホールの形成工程、Cuメッキ工程、及び、エッチング工程を必要とする層数だけ繰り返すことによって本発明の実施例2の多層ビルドアップ基板が完成する。
なお、図16(k)は、3層構造として示しており、符号86,87は、フィルドスタックビア、及び、フィルドスタックビア86と一体に形成された配線パターンである。
【0080】
このように、本発明の実施例5においては、実施例2と同様に全てのフィルドスタックビアを埋込ビア構造にしているのでビア破断耐性が大きくなる。
また、実施例3と同様に、ビア充填樹脂に形成される凹部を利用して、最下層のフィルドスタックビアを埋込ビア構造としており、フィルドスタックビアの底面との接合面全面がCu層となるため、接合強度が高まり、ビア破断の発生を防止することができる。
【実施例6】
【0081】
次に、図17乃至図19を参照して、本発明の実施例6の多層ビルドアップ基板の製造工程を説明する。
図17(a)参照
まず、実施例1と同様に、貫通ビア31を設けるとともに、貫通ビア31の内壁面及び主表面にCuパターン32を形成したコア基板30を用意する。
【0082】
図17(b)参照
次いで、貫通ビア31に例えば、エポキシ樹脂を埋め込んでビア充填樹脂層33を形成する。
この時、ビア充填樹脂層33の表面がコア基板30の主面に対して凹まないように複数回エポキシ樹脂を塗布する。
【0083】
図17(c)参照
次いで、全面に厚さが、例えば、10〜20μmのCuメッキ層34を形成する。
図17(d)参照
次いで、貫通ビア31の位置に対応するとともに、レジストパターン88を設け、このレジストパターン88をマスクとしてCuメッキ層34をエッチングして配線パターン89を形成する。
【0084】
図18(e)参照
次いで、レジストパターン88を除去したのち、例えば、厚さが10〜30μmのドライフィルムレジスト90を貼り付け、例えば、直径が20μmの開口部を形成したのち、開口部を電解CuメッキすることによってCu突起部91を形成する。
なお、この工程はコア基板30の表裏に行うものであるが、図示及び説明を簡単にするために、一方の面についてのみ説明する。
【0085】
図18(f)参照
次いで、ドライフィルムレジスト90を除去したのち、例えば、厚さが30〜40μmのドライフィルムを貼り付けて層間絶縁膜39を形成する。
図18(g)参照
次いで、レーザ光40を照射することによって、層間絶縁膜39にビアホール41を形成する。
【0086】
図18(h)参照
次いで、全面にCuメッキ層42を形成する。
この時、表面が平坦になるように研磨する。
【0087】
図19(i)参照
次いで、レジストパターン43を設け、このレジストパターン43をマスクとしてエッチングを施すことによって、配線パターン93と一体になったフィルドスタックビア92が形成される。
この時、フィルドスタックビア92の底部は、Cu突起部91を包み込む包込ビア構造になるため、接合面積が増大して強度が高まる。
【0088】
図19(j)参照
次いで、レジストパターン43を除去したのち、再び、例えば、厚さが30〜40μmのドライフィルムを貼り付けて層間絶縁膜46とする。
図19(k)参照
以降は、上記の実施例1と同様に、レーザ照射によるビアホールの形成工程、Cuメッキ工程、エッチング工程、及び、層間絶縁膜の形成工程を必要とする層数だけ繰り返すことによって本発明の実施例6の多層ビルドアップ基板が完成する。
【0089】
このように、本発明の実施例6においては、配線パターンの表面に電解メッキでCu突起部を設けており、このCu突起部をその底部が包み込むように最下層のフィルドスタックビアを形成しているので、ビア破断の発生を防止することができる。
【実施例7】
【0090】
次に、図20乃至図22を参照して、本発明の実施例7の多層ビルドアップ基板の製造工程を説明する。
図20(a)参照
まず、実施例6と同様に、貫通ビア31を設けるとともに、貫通ビア31の内壁面及び主表面にCuパターン32を形成したコア基板30を用意する。
【0091】
図20(b)参照
次いで、貫通ビア31に例えば、エポキシ樹脂を埋め込んでビア充填樹脂層33を形成する。
この時、ビア充填樹脂層33の表面がコア基板30の主面に対して凹まないように複数回エポキシ樹脂を塗布する。
【0092】
図20(c)参照
次いで、全面に厚さが、例えば、10〜20μmのCuメッキ層34を形成する。
図20(d)参照
次いで、貫通ビア31の位置に対応するとともに、レジストパターン88を設け、このレジストパターン88をマスクとしてCuメッキ層34をエッチングして配線パターン89を形成する。
【0093】
図21(e)参照
次いで、レジストパターン88を除去したのち、例えば、厚さが10〜30μmのドライフィルムレジスト90を貼り付け、例えば、直径が20μmの開口部を形成したのち、開口部を電解CuメッキすることによってCu突起部91を形成する。
なお、この工程はコア基板30の表裏に行うものであるが、図示及び説明を簡単にするために、一方の面についてのみ説明する。
【0094】
図21(f)参照
次いで、ドライフィルムレジスト90を除去したのち、例えば、厚さが30〜40μmのドライフィルムを貼り付けて層間絶縁膜39を形成する。
図21(g)参照
次いで、レーザ光40を照射することによって、層間絶縁膜39にビアホール41を形成する。
【0095】
図21(h)参照
次いで、全面にCuメッキ層42を形成する。
この時、表面が平坦になるように研磨する。
【0096】
図22(i)参照
次いで、レジストパターン43を設け、このレジストパターン43をマスクとしてエッチングを施すことによって、配線パターン93と一体になったフィルドスタックビア92が形成される。
この時、フィルドスタックビア92の底部は、Cu突起部91を包み込む包込ビア構造になるため、接合面積が増大して強度が高まる。
【0097】
図22(j)参照
次いで、レジストパターン43を除去したのち、再び、例えば、厚さが10〜30μmのドライフィルムレジスト94を貼り付け、例えば、直径が20μmの開口部を形成したのち、開口部を電解CuメッキすることによってCu突起部95を形成する。
【0098】
図22(k)参照
次いで、ドライフィルムレジスト94を除去し、以降は、層間絶縁膜の形成工程、レーザ照射によるビアホールの形成工程、Cuメッキ工程、エッチング工程、及び、Cu突起部の形成工程及を必要とする層数だけ繰り返すことによって本発明の実施例7の多層ビルドアップ基板が完成する。
なお、図22(k)は、3層構造として示しており、符号96,99はフィルドスタックビアであり、符号97,100はそれぞれフィルドスタックビア96,99と一体に形成された配線パターンであり、また、符号98はCu突起部である。
【0099】
このように、本発明の実施例7においては、全てのフィルドスタックビアを包込ビア構造にしているので、ビア破断耐性が高まる。
【実施例8】
【0100】
次に、図23乃至図25を参照して、本発明の実施例8の多層ビルドアップ基板の製造工程を説明する。
図23(a)参照
まず、実施例6と同様に、貫通ビア31を設けるとともに、貫通ビア31の内壁面及び主表面にCuパターン32を形成したコア基板30を用意する。
【0101】
図23(b)参照
次いで、貫通ビア31に例えば、エポキシ樹脂を埋め込んでビア充填樹脂層33を形成する。
この時、ビア充填樹脂層33の表面がコア基板30の主面に対して凹まないように複数回エポキシ樹脂を塗布する。
図23(c)参照
次いで、全面に厚さが、例えば、10〜20μmのCuメッキ層34を形成する。
【0102】
図23(d)参照
次いで、貫通ビア31の位置に対応するとともに、レジストパターン88を設け、このレジストパターン88をマスクとしてCuメッキ層34をエッチングして配線パターン89を形成する。
【0103】
図24(e)参照
次いで、レジストパターン88を除去したのち、スクリン印刷法により配線パターン89の上に、例えば、直径が20μmで、厚さが、5〜20μmのエポキシ樹脂による樹脂突起101を形成する。
【0104】
図24(f)参照
次いで、例えば、厚さが30〜40μmのドライフィルムを貼り付けて層間絶縁膜39を形成する。
図24(g)参照
次いで、レーザ光40を照射することによって、層間絶縁膜39にビアホール41を形成する。
【0105】
図24(h)参照
次いで、全面にCuメッキ層42を形成する。
この時、表面が平坦になるように研磨する。
図25(i)参照
次いで、レジストパターン43を設け、このレジストパターン43をマスクとしてエッチングを施すことによって、配線パターン93と一体になったフィルドスタックビア92が形成される。
この時、フィルドスタックビア92の底部は、樹脂突起部101を包み込む包込ビア構造になるため、接合面積が増大して強度が高まる。
【0106】
図25(j)参照
次いで、レジストパターン43を除去したのち、再び、例えば、厚さが30〜40μmのドライフィルムを貼り付けて層間絶縁膜46とする。 図25(k)参照
以降は、上記の実施例1と同様に、レーザ照射によるビアホールの形成工程、Cuメッキ工程、エッチング工程、及び、層間絶縁膜の形成工程を必要とする層数だけ繰り返すことによって本発明の実施例8の多層ビルドアップ基板が完成する。
【実施例9】
【0107】
次に、図26を参照して、本発明の実施例9のフリップチップパッケージを説明する。
図26参照
図26(a)は、本発明の実施例9のフリップチップパッケージの概略的断面図であり、また、図26(b)は要部拡大図であり、上記の実施例1の多層ビルドアップ基板に半導体素子を搭載したものである。
半導体素子110は、半導体素子110の表面電極(図示は省略)上に形成された半田バンプ111を介して、多層ビルドアップ基板29の最上層に形成されたCu配線層、即ち、パッドに接続されている。
【0108】
なお、半導体素子110の電極形成面にはポリイミド樹脂コート層112が設けられており、また、多層ビルドアップ基板29と半導体素子110との間隙にはアンダーフィル樹脂113が充填される。
【0109】
また、多層ビルドアップ基板29の裏面には、フリップチップパッケージをマザーボードに実装する際の接続端子となる半田ボール114が設けられており、また、半田バンプ111と接続する側にはソルダーレジスト115が設けられている。
【0110】
このように、本発明の実施例9においては、実施例1に示した最下層のフィルドスタックビアを埋込ビア構造にした多層ビルドアップ基板を用いているので、この多層ビルドアップ基板に半導体素子を搭載してフリップチップパッケージを構成した場合、熱膨張係数の差に起因する応力が加えられても、ビア破断耐性が高まっているので、ビア破断が発生することがない。
【実施例10】
【0111】
次に、図27を参照して、本発明の実施例10のフリップチップパッケージを説明するが、基本的構成は実施例9と同様であるので、ここでは、フィルドスタックビア構造を示す要部拡大図のみを示す。
図27参照
図27は、本発明の実施例10のフリップチップパッケージの要部拡大図であり、上記の実施例2の多層ビルドアップ基板に半導体素子を搭載したものである。
【0112】
このように、本発明の実施例10においては、実施例2に示した全層のフィルドスタックビアを埋込ビア構造にした多層ビルドアップ基板を用いているので、この多層ビルドアップ基板に半導体素子を搭載してフリップチップパッケージを構成した場合、熱膨張係数の差に起因する応力が加えられても、ビア破断耐性がより高まっているので、ビア破断が発生することがない。
【実施例11】
【0113】
次に、図28を参照して、本発明の実施例11のフリップチップパッケージを説明するが、基本的構成は実施例9と同様であるので、ここでは、フィルドスタックビア構造を示す要部拡大図のみを示す。
図28参照
図28は、本発明の実施例11のフリップチップパッケージの要部拡大図であり、上記の実施例3の多層ビルドアップ基板に半導体素子を搭載したものである。
【0114】
このように、本発明の実施例11においては、実施例3に示した最下層のフィルドスタックビアをビア充填樹脂に設けた凹部を利用して埋め込んだ埋込ビア構造にした多層ビルドアップ基板を用いているので、この多層ビルドアップ基板に半導体素子を搭載してフリップチップパッケージを構成した場合、熱膨張係数の差に起因する応力が加えられても、ビア破断耐性がより高まっているので、ビア破断が発生することがない。
なお、上記の実施例4の多層ビルドアップ基板を用いても同様の構造が得られる。
【実施例12】
【0115】
次に、図29を参照して、本発明の実施例12のフリップチップパッケージを説明するが、基本的構成は実施例9と同様であるので、ここでは、フィルドスタックビア構造を示す要部拡大図のみを示す。
図29参照
図29は、本発明の実施例12のフリップチップパッケージの要部拡大図であり、上記の実施例5の多層ビルドアップ基板に半導体素子を搭載したものである。
【0116】
このように、本発明の実施例12においては、実施例5に示した最下層のフィルドスタックビアをビア充填樹脂に設けた凹部を利用して埋め込んだ埋込ビア構造にするとともに、その上のフィルドスタックビアも埋込ビア構造にした多層ビルドアップ基板を用いているので、この多層ビルドアップ基板に半導体素子を搭載してフリップチップパッケージを構成した場合、熱膨張係数の差に起因する応力が加えられても、ビア破断耐性がより高まっているので、ビア破断が発生することがない。
【実施例13】
【0117】
次に、図30を参照して、本発明の実施例13のフリップチップパッケージを説明するが、基本的構成は実施例9と同様であるので、ここでは、フィルドスタックビア構造を示す要部拡大図のみを示す。
図30参照
図30は、本発明の実施例13のフリップチップパッケージの要部拡大図であり、上記の実施例6の多層ビルドアップ基板に半導体素子を搭載したものである。
【0118】
このように、本発明の実施例13においては、実施例6に示した最下層のフィルドスタックビアを包込ビア構造にした多層ビルドアップ基板を用いているので、この多層ビルドアップ基板に半導体素子を搭載してフリップチップパッケージを構成した場合、熱膨張係数の差に起因する応力が加えられても、ビア破断耐性が高まっているので、ビア破断が発生することがない。
【実施例14】
【0119】
次に、図31を参照して、本発明の実施例14のフリップチップパッケージを説明するが、基本的構成は実施例9と同様であるので、ここでは、フィルドスタックビア構造を示す要部拡大図のみを示す。
図31参照
図31は、本発明の実施例14のフリップチップパッケージの要部拡大図であり、上記の実施例7の多層ビルドアップ基板に半導体素子を搭載したものである。
【0120】
このように、本発明の実施例14においては、実施例7に示した全層のフィルドスタックビアを包込ビア構造にした多層ビルドアップ基板を用いているので、この多層ビルドアップ基板に半導体素子を搭載してフリップチップパッケージを構成した場合、熱膨張係数の差に起因する応力が加えられても、ビア破断耐性がより高まっているので、ビア破断が発生することがない。
【実施例15】
【0121】
次に、図32を参照して、本発明の実施例15のフリップチップパッケージを説明するが、基本的構成は実施例9と同様であるので、ここでは、フィルドスタックビア構造を示す要部拡大図のみを示す。
図32参照
図32は、本発明の実施例15のフリップチップパッケージの要部拡大図であり、上記の実施例8の多層ビルドアップ基板に半導体素子を搭載したものである。
【0122】
このように、本発明の実施例15においては、実施例8に示した最下層のフィルドスタックビアを樹脂突起部を利用した包込ビア構造にした多層ビルドアップ基板を用いているので、この多層ビルドアップ基板に半導体素子を搭載してフリップチップパッケージを構成した場合、熱膨張係数の差に起因する応力が加えられても、ビア破断耐性が高まっているので、安価な構成でもビア破断が発生することがない。
【実施例16】
【0123】
次に、図33を参照して、本発明の実施例16の多層ビルドアップ基板を説明する。
図33参照
図33(a)は、本発明の実施例16の多層ビルドアップ基板の概念的平面図であり、図33(b)は、平面図におけるA−A′を結ぶ一点鎖線に沿った要部断面図である。
図に示すように、この実施例16の多層ビルドアップ基板は、応力のかかる周辺部のフィルドスタックビアを実施例1に示した埋込ビア構造116とし、内部のフィルドスタックビアを従来の平坦なフィルドスタックビア構造117にしたものである。
【0124】
ここでは、図に示すように、外側の3列のフィルドスタックビアを実施例1に示した埋込ビア構造116にしている。
なお、2000ピンクラスの多層ビルドアップ基板の場合には、外側の3列乃至5列を埋込ビア構造116とすることが望ましい。
このようなビア構造の選択的配置は、上記の実施例2乃至実施例8に対しても同様に適用されるものである。
【0125】
以上、本発明の実施の形態及び各実施例を説明したが、本発明は実施の形態及び各実施例に示した数値、材料、或いは、工程に限られるものではなく、各種の変更が可能である。
例えば、上記の各実施例においては、積層数を片側3層の計6層の多層ビルドアップ基板としているが、積層数を片側を4層以上とし、計8層以上の多層ビルドアップ基板にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の第1の実施の形態の埋込ビア構造の説明図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態の包込ビア構造の説明図である。
【図3】本発明の実施例1の多層ビルドアップ基板の製造工程の途中までの説明図である。
【図4】本発明の実施例1の多層ビルドアップ基板の製造工程の図3以降の途中までの説明図である。
【図5】本発明の実施例1の多層ビルドアップ基板の製造工程の図4以降の説明図である。
【図6】本発明の実施例2の多層ビルドアップ基板の製造工程の途中までの説明図である。
【図7】本発明の実施例2の多層ビルドアップ基板の製造工程の図6以降の途中までの説明図である。
【図8】本発明の実施例2の多層ビルドアップ基板の製造工程の図7以降の説明図である。
【図9】本発明の実施例3の多層ビルドアップ基板の製造工程の途中までの説明図である。
【図10】本発明の実施例3の多層ビルドアップ基板の製造工程の図9以降の途中までの説明図である。
【図11】本発明の実施例3の多層ビルドアップ基板の製造工程の図10以降の説明図である。
【図12】本発明の実施例4の多層ビルドアップ基板の製造工程の途中までの説明図である。
【図13】本発明の実施例4の多層ビルドアップ基板の製造工程の図12以降の説明図である。
【図14】本発明の実施例5の多層ビルドアップ基板の製造工程の途中までの説明図である。
【図15】本発明の実施例5の多層ビルドアップ基板の製造工程の図14以降の途中までの説明図である。
【図16】本発明の実施例5の多層ビルドアップ基板の製造工程の図15以降の説明図である。
【図17】本発明の実施例6の多層ビルドアップ基板の製造工程の途中までの説明図である。
【図18】本発明の実施例6の多層ビルドアップ基板の製造工程の図17以降の途中までの説明図である。
【図19】本発明の実施例6の多層ビルドアップ基板の製造工程の図18以降の説明図である。
【図20】本発明の実施例7の多層ビルドアップ基板の製造工程の途中までの説明図である。
【図21】本発明の実施例7の多層ビルドアップ基板の製造工程の図20以降の途中までの説明図である。
【図22】本発明の実施例7の多層ビルドアップ基板の製造工程の図21以降の説明図である。
【図23】本発明の実施例8の多層ビルドアップ基板の製造工程の途中までの説明図である。
【図24】本発明の実施例8の多層ビルドアップ基板の製造工程の図23以降の途中までの説明図である。
【図25】本発明の実施例8の多層ビルドアップ基板の製造工程の図24以降の説明図である。
【図26】本発明の実施例9のフリップチップパッケージの構成説明図である。
【図27】本発明の実施例10のフリップチップパッケージの要部拡大図である。
【図28】本発明の実施例11のフリップチップパッケージの要部拡大図である。
【図29】本発明の実施例12のフリップチップパッケージの要部拡大図である。
【図30】本発明の実施例13のフリップチップパッケージの要部拡大図である。
【図31】本発明の実施例14のフリップチップパッケージの要部拡大図である。
【図32】本発明の実施例15のフリップチップパッケージの要部拡大図である。
【図33】本発明の実施例16の多層ビルドアップ基板の構成説明図である。
【図34】従来のフリップチップパッケージの構成説明図である。
【図35】フィルドスタックビア構造を表す拡大図である。
【図36】ビア破断の説明図である。
【符号の説明】
【0127】
10 配線基板
11 コア基板
12 Cuメッキ層
13 樹脂
14 配線パターン
15,151 ,152 ,153 フィルドスタックビア
16 層間絶縁膜
17 ソルダーレジスト
18,181 ,182 ,183 フィルドスタックビア
19 突起部
21 半導体チップ
22 半田バンプ
23 アンダーフィル樹脂
24 ポリイミド樹脂コート層
29 多層ビルドアップ基板
30 コア基板
31 貫通ビア
32 Cuパターン
33 ビア充填樹脂層
34 Cuメッキ層
35 レジストパターン
36 開口部
37 配線パターン
38 凹部
39,46,51 層間絶縁膜
40,47 レーザ光
41,48 ビアホール
42 Cuメッキ層
43 レジストパターン
44,49,52 フィルドスタックビア
45,50,53 配線パターン
54 レジストパターン
55 開口部
56,59,62 フィルドスタックビア
57,60,63 配線パターン
58,61 凹部
64 凹部
65 Cuメッキ層
66 配線パターン
67 凹部
68 Cuメッキ層
69,71,73 フィルドスタックビア
70,72,74 配線パターン
75 Cuメッキ層
76 凹部
77 レジストパターン
78 配線パターン
79 レジストパターン
80 開口部
81,84,86 フィルドスタックビア
82,85,87 配線パターン
83 凹部
88 レジストパターン
89 配線パターン
90,94 ドライフィルムレジスト
91,95,98 Cu突起部
92,96,99 フィルドスタックビア
93,97,100 配線パターン
101 樹脂突起
110 半導体素子
111 半田バンプ
112 ポリイミド樹脂コート層
113 アンダーフィル樹脂
114 半田ボール
115 ソルダーレジスト
116 埋込ビア構造
117 平坦なビア構造
201 半導体素子
202 バンプ
203 アンダーフィル樹脂
204 ポリイミド樹脂コート層
210 多層ビルドアップ基板
211 コア基板
212 貫通スルーホール
213 ビルドアップ樹脂
214 フィルドビア
215 ソルダーレジスト
216 半田ボール
217 スパイラルビア
218 フィルドスタックビア
219 ビア破断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体層と、
前記導体層の表面に形成される第1の凹部と、
前記導体層上に形成される第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層に形成され、前記第1の凹部を露出させる第1の開口部と、
前記第1の開口部内に配置され、少なくとも一部が前記第1の凹部内に埋め込まれる第1のフィルドビアと、
前記第1の絶縁膜及び前記第1のフィルドビア上に形成される第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層に形成され、前記第1のフィルドビアを露出させる第2の開口部と、 前記第2の開口部内に配置され、前記第1のフィルドビアに接続される第2のフィルドビアと、
を備えることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板において、
前記第1のフィルドビアの表面に形成され、前記第2のフィルドビアの少なくとも一部が埋め込まれる第2の凹部をさらに備えることを特徴とする配線基板。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の配線基板において、
前記導体層の下側に配置される基板と、
前記基板に形成されるスルーホールと、
前記スルーホール内に、前記基板の主面よりも低い位置まで充填される樹脂と、
をさらに備え、
前記導体層は、前記基板の主面から前記樹脂の表面にわたり形成されていることを特徴とする配線基板。
【請求項4】
導体層と、
前記導体層の表面に形成される第1の凸部と、
前記導体層上に形成される第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層に形成され、前記第1の凸部を露出させる第1の開口部と、
前記第1の開口部内に配置され、前記第1の凸部が底部に埋め込まれる第1のフィルドビアと、
前記第1の絶縁膜及び前記第1のフィルドビア上に形成される第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層に形成される第2の開口部と、
前記第2の開口部内に配置され、前記第1のフィルドビアに接続される第2のフィルドビアと、
を備えることを特徴とする配線基板。
【請求項5】
請求項4に記載の配線基板において、
前記第1のフィルドビアの表面に形成され、前記第2のフィルドビアの底部に埋め込まれる第2の凸部をさらに備えることを特徴とする配線基板。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の配線基板に半導体素子を実装してなる半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2009−170669(P2009−170669A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7272(P2008−7272)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】