説明

配線用固定金具とこの固定金具を用いた収納キャビネット

【課題】 キャビネットにおける背板と側板と天板との互いに直角に連なった3方の面間を一体に連結、固定すると共に、その連結、固定部分に外部等に通じる配線導出口部を設けることができる配線用固定金具を提供する。
【解決手段】 断面L字状に折り曲げてなる金具本体Aにおいて、一方を長方形状の第一固定金具片1とし、他方をこの第一固定金具片1よりも長さが短い第二固定金具片2に形成し、第二固定金具2に対して突出した第一固定金具片1の突出部をその中間部から直角に折り曲げて第一固定金具片1の延長部である突出端部1aとこの突出端部1aに対して直角に屈折した第三固定金具3とを形成していると共に、この第三固定金具3と突出端部1aと第二固定金具2の一端面とで囲まれた空間部を配線導出口部4に形成してあり、第一〜第三固定金具1〜3を互いに直角に連なった3方の面に固定するように構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに直角に連なった三方の面に取付ける配線用固定金具と、この固定金具を用いた収納キャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、背板と両側板と天板とを組み合わせてなるキャビネット等において、互いに直角に連なる背板と側板と天板との三方の内面間を連結してこれらの背板と側板と天板とを一体に固定する三方固定金具としては、例えば、特許文献1に記載されているように、背板と側板との内面間を連結する平面L字状に屈折した取付金具の下端に内方に向かって水平板部を突設すると共に、この水平板部の互いに直角に連なった内端に下方に向かって係止片を突設してなり、この係止片に天板の後端部下面に設けている断面L字状係止片を係合させることによって天板を定着させるように構成している金具や、特許文献2に記載されているように、天板の隅部の内面に取付ける金具の互いに直角に隣接する2辺に、直角に接合した両側板の内面に取付ける金具片を下方に向かって直角に設けてなる金具等が知られている。
【0003】
一方、例えば、プリンタやファエクシミリ装置等のOA機器を配置可能に構成しているキャビネットにおいて、特許文献3に記載されているように、電源等からのOA機器への配線コードが外部から見えないようにするため、背板の背面における上端部に複数の支持ブラケットを並設し、この支持ブラケットに横長長方形状の補助天板を載置すると共に背板の背面両側端部に平面L字状に屈折した取付金具を取付けてこの取付金具に上記補助天板と同一幅を有する縦長長方形状の側カバー板を装着し、これらの補助天板と側カバー板と背板の背面とで囲まれた空間部を配線空間に形成したキャビネットが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平3−50752号公報
【特許文献2】特開平8−200330号公報
【特許文献3】特開2001−292848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記特許文献1、2に記載の三方固定金具によれば、互いに直角に連なる背板と側板と天板との三方の内面間を一体に連結することができるが、この三方固定金具を配線空間を有するキャビネットの固定金具として採用しても、配線空間内から配線コードをこの三方固定金具を通じて引き出すことができず、配線位置やOA機器、或いは、テレビやオーディオなどのAV機器の設置場所も制限されるといった問題点がある。特に、キャビネットを床から浮かした状態でその背面を壁面に固定する、所謂、フロート施工を行う場合は、キャビネットに設置する機器類等からの荷重を全てキャビネットで受けることになるため、キャビネットを構成する背板や両側板、天板等の部材間を金具で強固に固定しなければならず、使用する金具の数も増えて配線の邪魔になり易い。
【0006】
一方、特許文献3に記載のキャビネットによれば配線空間を設けているが、この配線空間を形成するための補助天板や側カバー板を背板に取り付ける支持ブラケットや取付金具には、上記三方固定金具と同様に配線コードを引き出すための空間部が形成されていなく、従って、支持ブラケットや取付金具とは別の部分に配線コードを挿通するための切欠部や孔等を設けておかねばならず、構造が複雑化すると共に使用する金具の数も増加するといった問題点がある。
【0007】
また、キャビネットの背板の背面側に上記補助天板と側カバー板を取り付けて配線空間を形成すると、補助天板や側カバー板の後端面を壁面に装着することが困難であり、装着してもキャビネット自体の荷重を支持することができないため、上記フロート施工を行うことができない。なお、内部に配線用の溝を設けたキャビネットも知られているが、構造が複雑化するばかりでなく、配線空間が溝内に制限されるといった問題点がある。
【0008】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、キャビネット等における互いに直角に連なった三方の面を一体に連結、固定させることができ、且つ、その連結、固定部分から配線コードの引き出しを可能にした配線用固定金具と、この配線用固定金具を使用して配線コードを整然と体裁よく内外間に亘って配線可能にし得る収納キャビネットを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の配線用固定金具は、請求項1に記載したように、互いに直角に連なった第一固定金具片と第二固定金具片とからなる断面L字状の金具本体において、第一固定金具片の長さを第二固定金具片の長さよりも長くして第一固定金具片の一端部を第二固定金具片の一端面に対して突出させた突出端部に形成してあり、この突出端部の先端から第一固定金具片に対する第二固定金具片の屈折方向と同一方向に第三固定金具片を直角に屈折、形成してこの第三固定金具片と第一固定金具片の突出端部及び第二固定金具片の一端面とで囲まれた空間部を配線導出口部に形成していると共に、上記第一〜第三固定金具片に取付孔を穿設してなる構造を有する。
【0010】
このように構成した配線用固定金具において、請求項2に係る発明は、金具本体は金属板片を直角に折り曲げることによって長方形状の第一固定金具片とこの第一固定金具片の長さよりも短い長さの長方形状の第二固定金具片とを形成していると共に、この第二固定金具片の長さ方向の一端に対して延長方向に突出する第一固定金具片の突出部をその長さ方向の中間部から第二固定金具片と同一方向に直角に屈折して第一固定金具片から延長方向に突出した突出端部とこの突出端部に対して直角に屈折した第三固定金具片とを形成していることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、上記配線用固定金具を用いて組み立てられた収納キャビネットの構造に係るもので、背板と側板と天板及び底板とを組み合わせてなるキャビネットにおいて、上記背板と側板と天板とにおける互いに直角に連なる面間を連結、固定する固定金具として、第一固定金具片とこの第一固定金具片よりも長さが短い第二固定金具片とを直角に連設していると共に第二固定金具片の一端に対して長さを延長する方向に突出した第一固定金具片の突出端部の先端に第二固定金具片と同一方向に直角に屈折した第三固定金具片を突設してこの第三固定金具片と第一固定金具片の突出端部と第二固定金具片の一端面とで囲まれた空間部を配線導出口部に形成してなる固定金具を用い、この固定金具の第一〜第三固定金具片を上記背板の前面と側板の一側面と天板の下面との互いに直角に連なる三方の面に添接してビス等により固着した構造を有する。
【0012】
このように構成した収納キャビネットにおいて、請求項4に係る発明は、天板をその後端面が背板から前方に間隔を存した状態で配設して、この天板の下面に配線用固定金具における第二固定金具片を取付けている共に側板の側面に第一固定金具片を取付けてあり、さらに、第三固定金具片を背板の前面に取付けて上下方向に向けた配線導出口部を上記間隔部に連通させていることを特徴とする。
【0013】
一方、請求項5に係る発明は、背板と両側板と天板及び底板とを組み合わせてなるキャビネットにおいて、両側板間に高さがこれらの両側板よりも低い仕切り用側板をこの仕切り用側板の上端面と天板の下面との間に間隔を存した状態にして配設してあり、この仕切り用側板の一側面に第二固定金具片を取付けていると共に背板の前面に第一固定金具片を取付けてあり、さらに、第三固定金具片を天板の下面に取付けて水平方向に向けた配線導出口部を上記間隔部に連通させていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に係る発明によれば、配線用固定金具は、互いに直角に連なった第一固定金具片と第二固定金具片とからなる断面L字状の金具本体に、上記第一固定金具片の一端部を直角に屈折することによって形成した第三固定金具片を設けてなるものであるから、天板と両側板と背板及び底板を組み合わせて、例えば,オーディオやレコーダなどのAV機器収納用キャビネットを構成する場合、天板の下面と側板の内側面、及び、背板の前面との3つの面に亘ってこの固定金具を添設してビス等でより固着することにより、これらの天板と側板及び背板を強固に一体に連結、固定することができる。
【0015】
さらに、上記第一固定金具片の長さを第二固定金具片の長さよりも長くして第一固定金具片の一端部を第二固定金具片の一端面に対して突出させた突出端部に形成していると共にその突出端部の先端から第一固定金具片に対する第二固定金具片の屈折方向と同一方向に第三固定金具片を直角に突設してこの第三固定金具片と第一固定金具片の突出端部及び第二固定金具片の一端面とで囲まれた空間部を配線導出口部に形成しているので、キャビネット内におけるこの配線用固定金具の取付部分に配線導出口部を設けることができ、従って、キャビネット内に配設したAV機器の配線コードを乱雑に配線することなく、この配線導出口部に一括して束めた状態で配設することができ、AV機器の設置も整然と行うことができる。
【0016】
その上、キャビネットの天板と側板及び背板に対する上記第1〜第三固定金具片の取付態様を変更することによって、上記配線導出口部の向きを上下方向或いは左右方向に設定することができ、上下方向に向けた場合には、キャビネット内に設置したAV機器の配線コードをキャビネットの天板上に設置したテレビ等のAV機器にこの配線導出口部を通じて簡単に接続することができ、左右方向に向けた場合には、キャビネット内に並設したAV機器同士をこの配線導出口部を通じて簡単に接続することができる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、上記配線用金具本体は金属板片を直角に折り曲げることによって長方形状の第一固定金具片とこの第一固定金具片の長さよりも短い長さの長方形状の第二固定金具片とを形成していると共に、この第二固定金具片の長さ方向の一端に対して延長方向に突出する第一固定金具片の突出部をその長さ方向の中間部から第二固定金具片と同一方向に直角に屈折して突出端部とこの突出端部に対して直角に屈折した第三固定金具片とを形成しているので、配線導出口部を有する固定金具を簡単に作製することができ、多量生産に適して安価に提供することができる。
【0018】
請求項3に係る発明は、上記配線用固定金具を用いた収納キャビネットであって、背板と側板と天板及び底板とを組み合わせてなるキャビネットにおいて、上記配線用固定金具における第1〜第三固定金具片を収納キャビネットを構成する背板の前面と側板の一側面と天板の下面との互いに直角に連なる三方の面に添接してビス等により固着した構造を有するので、背板と天板及び底板とがこの配線用固定金具によって強固に一体的に連結、固定された収納キャビネットを形成することができ、従って、フロート施工にも適する収納キャビネットを提供できる。
【0019】
さらに、上記配線用固定金具は、第一固定金具片とこの第一固定金具片よりも長さが短い第二固定金具片とを直角に連設していると共に第二固定金具片の一端に対して長さを延長する方向に突出した第一固定金具片の突出端部の先端に第二固定金具片と同一方向に直角に屈折した第三固定金具片を突設してこの第三固定金具片と第一固定金具片の突出端部と第二固定金具片の一端面とで囲まれた空間部を配線導出口部に形成しているので、この配線用固定金具の取り付けによってその取付部分に配線導出口部を設けることができ、従って、キャビネット内に配設したAV機器の配線コードを乱雑に配線することなく、この配線導出口部に一括して束めた状態で配設することができてAV機器の設置も見栄えよく整然と行うことができ、その上、配線導出口部を配線形態に応じて上下方向或いは左右方向に向けた状態となるように配線用固定金具を取付けることができ、キャビネット内やキャビネットの天板上に設置したAV機器の設置態様に応じた配線を可能にすることができる。
【0020】
上記請求項3に記載の収納キャビネットにおいて、請求項4に係る発明によれば、キャビネットの天板をその後端面が背板から前方に間隔を存した状態で配設して、この天板の下面に配線用固定金具における第二固定金具片を取付けている共に側板の側面に第一固定金具片を取付けているので、配線導出口部を上下方向に向けて上記間隔部の側端部下方に臨ませた状態となるように配設することができ、キャビネット内に設置されたAV機器等からの配線コードをこの配線導出口部から上記間隔部を通じて天板上に設置したテレビ等のAV機器に簡単且つ体裁よく接続することができる。
【0021】
一方、請求項5に係る発明によれば、キャビネット内に仕切壁として高さの両側板よりも低い仕切り用側板を設けてあり、この仕切り用側板の一側面に上記配線用固定金具における第二固定金具片を取付けていると共に背板の前面に第一固定金具片を取付け、さらに、第三固定金具片を天板の下面に取付けているので、配線導出口部を左右方向に向けて仕切り用側板の上端面と天板の下面との間に形成された間隔部に臨ませた状態に配設することができ、従って、仕切り用側板によって仕切られたキャビネット内における隣接する収納室に設置されたAV機器どうしをこの配線導出口部から上記間隔部を通じて配線コードにより簡単且つ体裁よく接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】配線用固定金具の斜視図。
【図2】図1における配線用固定金具を反対側から見た斜視図。
【図3】配線用固定金具を用いた収納キャビネットの一部切欠平面図。
【図4】その正面図。
【図5】縦断側面図。
【図6】配線用固定金具を取付けた収納キャビネットの一側部分の斜視図。
【図7】図6におけるX−X線縦断側面図。
【図8】その正面図。
【図9】AV機器を収納した状態の斜視図。
【図10】収納キャビネットの別な構造を示す一部切欠斜視図。
【図11】その要部の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態を図面について説明すると、図1、図2に示すように、配線用固定金具は、長方形状の第一固定金具片1と第二固定金具片2とを互いに直角に連設してなる断面L字状の金具本体Aにおいて、上記第一固定金具片1の長さを上記第二固定金具片2の長さよりも長くして、その長くした部分、即ち、第二固定金具片2の一端に対して長さ方向に突出した部分に一定長さの突出端部1aと、この突出端部1aの突出端(先端)から第二固定金具片2と同一方向に直角に屈折した第三固定金具片3とを形成してなり、この第三固定金具片3片と第一固定金具片1の突出端部1aと第三固定金具片3に対向している第二固定金具片2の一端面とで囲まれた空間部を平面矩形状の配線導出口部4に形成していると共に、これらの第一〜第三固定金具片1〜3に内外面に貫通した複数個の取付孔5を穿設している。
【0024】
なお、互いに直角に屈折して第一固定金具片1と第二固定金具片2、及び、第一固定金具片1の突出端部1aと第三固定金具片3とにおいて、直角に連なった入隅側の面を内面とし、出隅側の面を外面としてこの外面を板材や壁面に対する取付面に形成している。
【0025】
このような金具本体Aは、一定幅と長さを有する矩形状の金属板片において、幅方向の一半部に対して他半部の一部を切除して一半部の長さを他半部よりも長くした形状の金属板片をこれらの一半部と他半部とが互いに直角に連なるように該金属板片の幅方向の中央部から折り曲げることによって、上記長方形状の第一固定金具片1とこの第一固定金具片1の長さ方向の一端から延長している部分とを一半部により形成し、この一半部における第一固定金具片1に対して直角に屈折した他半部によって第一固定金具片1の長さよりも短い長さの上記長方形状の第二固定金具片2を形成してあり、さらに、第一固定金具片1からの上記延長部分をその長さ方向の中間部を第一固定金具片1に対して屈折した第二固定金具片2と同一方向に直角に屈折することにより、この屈折した部分で上記第三固定金具片3を形成していると共に、この第三固定金具片3の基端と第一固定金具片1の一端間の延長部分によって上記突出端部1aを形成している。なお、この突出端部1aの長さと、第三固定金具片3の長さとを上記第二固定金具片2の幅に略等しい寸法に形成している。
【0026】
このように構成した配線用固定金具は、ラックやキャビネット等の箱体を形成する天板と両側板と背板及び底板とにおいて、互いに直角に連なる三方の内面、例えば、天板の下面と側板の内側面と背板の前面とが互いに直角に隣接する面に上記第一〜第三の固定金具片1〜3の互いに直角に隣接する三方の外面(取付面)を当てがってビスで固着することにより天板と側板及び背板とをこの配線用固定金具で一体に連結、固定すると共に、組み立てたラックやキャビネット等の箱体内におけるこの配線用固定金具の取付部分に該配線用固定金具に形成している上記配線導出口部4を設けて、この配線導出口部4を通じて箱体内外への配線等を可能にしている。
【0027】
次に、上記配線用固定金具を採用した収納キャビネットの構造について説明する。図3〜図5において、キャビネットは、背板11と側板12と天板13及び底板14と組み合わせてなるもので、横長長方形状の背板11の両側端に両側板12、12の後端を連結、固定していると共にこれらの両側板12、12の上端部対向面と下端部対向面に横長長方形状の天板13の両側端面と底板14の両側端面をそれぞれ連結、固定している。さらに、上記天板13の前後端面間の幅を側板12の前後端面間の幅よりも短く形成してあり、この天板13の後端面と背板11の上端部前面との間にキャビネットの内部を外部に連通させた一定幅を有する間隔部15を両側板12、12間の全長に亘って形成している。
【0028】
また、キャビネットにおける上記両側板12、12間の中間部内に仕切り用側板12' を配設して、この仕切り用側板12' の後端面を背板11の前面における中間部に当接させ、上下端面を天板13と底板14との対向面に添接した状態で固定することにより、キャビネット内にこの仕切り用側板12' によって仕切られた二つの収納室16、16を形成している。なお、上記仕切り用側板12' をキャビネット内の数カ所に設けて複数の収納室16を画成しておいてもよい。
【0029】
さらに、図4、図5に示すように、左右に隣接する側板の対向面に支持ピン17の支持穴18を前後方向及び上下方向に所定間隔毎に穿設しておき、各収納室16の高さ方向の中間部において水平方向に対向する支持ピン17、17にAV機器載置板19の両側端部下面を支持させるように構成しておいてもよい。この場合、AV機器載置板19の前後方向の幅を上記天板13の幅に略等しくして、その後端面と背板11の前面との間に上記間隔部15と同様な間隔部20を形成している。なお、両側板12、12の対向面に背板11や天板13、底板14の両側端面を連結、固定するには、対向面に複数個のピン穴を穿設しておき、対向するピン穴にピンの一半部と他半部とを挿嵌することによって行っているが、ネジによる固着等によって連結、固定することによりキャビネットを組み立ててもよい。
【0030】
このように構成したキャビネット内に上記配線用固定金具を装着することによって、オーディオやレコーダなどのAV機器の収納キャビネットを構成している。具体的には、互いに直角に連なった背板11の前面と側板12の内側面と天板13の下面とにおいて、図6〜図8に示すように、上記金具本体Aにおける第一固定金具片1と第二固定金具片2との外面を側板12の上端部における後端部内側面と天板13の一側端部における後端部下面とに当接させて添設すると共に第三固定金具片3の外面を背板11の一側端部における上端部前面に当接させて添設し、この状態にしてこれらの第一〜第三固定金具1〜3に設けている取付孔5を通じてネジ20を側板12、天板13、背板11に螺着させることにより、配線用固定金具を装着した収納キャビネットを構成している。
【0031】
キャビネット内に配線用固定金具を上記のように装着すると、この配線用固定金具における配線導出口部4が上下方向に向けられて背板11の上端部前面と天板13の後端面との間に形成している間隔部15の側端部の下方に臨ませた状態となり、図9に示すように、キャビネット内に設置したAV機器Bの配線コードCをこの配線導出口部4から間隔部15を通じて外部に導出し、天板13上に設置した機器類(図示せず)や電源等に接続させるように構成している。
【0032】
上記配線用固定金具は、キャビネットの一側部内に限らず、図3、図4に示すように他側部内や中間部内にも装着している。中間部内に装着する場合には、2個の配線用固定金具を使用してその金具本体A、Aにおける第一固定金具片1、1を仕切り用側板12' の上端部における後端部両側面にそれぞれ添設すると共に第二固定金具片2、2をこの仕切り用側板12' の厚み間隔を存して天板13の長さ方向の中間部における後端部下面にそれぞれ添設し、さらに、第三固定金具片3、3を背板11の長さ方向の中間部に仕切り用側板12'
の厚み間隔を存して当接させることによりそれぞれ添設し、この状態にしてこれらの第一〜第三固定金具1〜3に設けている取付孔5を通じてネジ20を側板12、天板13、背板11に螺着させている。
【0033】
従って、仕切り用側板12' の両側において、これらの配線用固定金具における配線導出口部4、4が、上下方向に向けられて背板11の上端部前面と天板13の後端面との間に形成している上記間隔部15の長さ方向の中間部下方に臨ませた状態となり、各収納室16、16に設置したAV機器からの配線コードをこれらの配線導出口部4、4からそれぞれ間隔部15を通じて外部に導出することができる。
【0034】
図10、図11は、収納キャビネットの別な実施形態を示すもので、上記配線用固定金具における配線導出口部4によってキャビネット内の隣接する収納室16、 16に設置したAV機器どうしを配線コードによって接続可能に構成しているものである。具体的には、横長長方形状の背板11の両側端に両側板12、12の後端を連結、固定していると共にこれらの両側板12、12の上端部対向面と下端部対向面に前後幅が同じ横長長方形状の天板13' の両側端面と底板14の両側端面をそれぞれ連結、固定し、天板13' の後端部下面を背板11の上端面に一体に連結、固定してなるキャビネットにおいて、キャビネットの両側板12、12間の中間部内に配設した仕切り用側板12a'としてその高さが上記仕切り用側板12' の高さよりも低い側板を用いて、この仕切り用側板12a'の後端面と下端面とを背板11の中間部前面と底板14の中間部上面とにそれぞれ当接させた状態で固定することにより、該仕切り用側板12a'の上端面と天板13' の下面との間にこの仕切り用側板12a'によって仕切られた収納室16、16間を連通させる間隔部15' を形成し、この間隔部14に配線導出口部4が連通するように仕切り用側板12a'に装着してなるものである。
【0035】
具体的には、金具本体Aにおける第二固定金具片2を仕切り用側板12a'の後端部における一側面上端部に添設すると共に第一固定金具片1を背板11の前面における長さ方向の中間上端部に添設し、さらに、第三固定金具片3を天板13' の下面における長さ方向の中間後端部に当接状態に添設し、この状態にしてこれらの第一〜第三固定金具1〜3に設けている取付孔5を通じてネジ20を側板12、天板13、背板11に螺着させることによって配線用固定金具を装着した収納キャビネットを構成している。
【0036】
このように構成したので、配線用固定金具における配線導出口部4が、左右方向に向けられて仕切り用側板12a'の上端面と天板13' の下面との間に形成された上記間隔部15' に連通してあり、従って、これらの配線導出口部4と間隔部15' とを通じて配線コードを仕切り用側板12a'によって仕切られた収納室16、16に配線し、これらの収納室16、16に設置したAV機器どうしを該配線コードによって接続することができる。
【0037】
なお、この実施形態において、配線用固定金具を装着している仕切り用側板12a'の後端部両側方における天板13の後端部における長さ方向の中間部に、仕切り用側板12a'を挟むようにして配線用切欠開口部(図示せず)を設けておいてもよく、このように構成することによって、仕切り用側板12a'により仕切られた隣接する収納室16、16に設置したAV機器の配線コードをこれらの配線用切欠開口部を通じてそれぞれ外部に導出することができる。また、上記のように構成した収納キャビネットを床面から浮かした状態でその背板11を壁面に固定する、所謂フロート施工を行っても、配線用固定金具によって背板11と側板12及び天板13が強固に一体化しているので、キャビネットに係る荷重を充分に受止することができる。
【符号の説明】
【0038】
A 金具本体
1 第一固定金具片
1a 突出端部
2 第二固定金具片
3 第三固定金具片
4 配線導出口部
5 取付孔
11 背板
12 側板
13 天板
15 間隔部
16 収納室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直角に連なった第一固定金具片と第二固定金具片とからなる断面L字状の金具本体において、第一固定金具片の長さを第二固定金具片の長さよりも長くして第一固定金具片の一端部を第二固定金具片の一端面に対して突出させた突出端部に形成してあり、この突出端部の先端から第一固定金具片に対する第二固定金具片の屈折方向と同一方向に第三固定金具片を直角に屈折、形成してこの第三固定金具片と第一固定金具片の突出端部及び第二固定金具片の一端面とで囲まれた空間部を配線導出口部に形成していると共に、上記第一〜第三固定金具片に取付孔を穿設してなることを特徴とする配線用固定金具。
【請求項2】
金具本体は金属板片を直角に折り曲げることによって長方形状の第一固定金具片とこの第一固定金具片の長さよりも短い長さの長方形状の第二固定金具片とを形成していると共に、この第二固定金具片の長さ方向の一端に対して延長方向に突出する第一固定金具片の突出部をその長さ方向の中間部から第二固定金具片と同一方向に直角に屈折して第一固定金具片から延長方向に突出した突出端部とこの突出端部に対して直角に屈折した第三固定金具片とを形成していることを特徴とする請求項1に記載の配線用固定金具。
【請求項3】
背板と側板と天板及び底板とを組み合わせてなるキャビネットにおいて、上記背板と側板と天板とにおける互いに直角に連なる面間を連結、固定する固定金具として、第一固定金具片とこの第一固定金具片よりも長さが短い第二固定金具片とを直角に連設していると共に第二固定金具片の一端に対して長さを延長する方向に突出した第一固定金具片の突出端部の先端に第二固定金具片と同一方向に直角に屈折した第三固定金具片を突設してこの第三固定金具片と第一固定金具片の突出端部と第二固定金具片の一端面とで囲まれた空間部を配線導出口部に形成してなる固定金具を用い、この固定金具の第一〜第三固定金具片を上記背板の前面と側板の一側面と天板の下面との互いに直角に連なる三方の面に添接してビス等により固着していることを特徴とする収納キャビネット。
【請求項4】
天板をその後端面が背板から前方に間隔を存した状態で配設して、この天板の下面に配線用固定金具における第二固定金具片を取付けている共に側板の側面に第一固定金具片を取付けてあり、さらに、第三固定金具片を背板の前面に取付けて上下方向に向けた配線導出口部を上記間隔部に連通させていることを特徴とする請求項3に記載の収納キャビネット。
【請求項5】
背板と両側板と天板及び底板とを組み合わせてなるキャビネットにおいて、両側板間に高さがこれらの両側板よりも低い仕切り用側板をこの仕切り用側板の上端面と天板の下面との間に間隔を存した状態にして配設してあり、この仕切り用側板の一側面に第二固定金具片を取付けていると共に背板の前面に第一固定金具片を取付けてあり、さらに、第三固定金具片を天板の下面に取付けて水平方向に向けた配線導出口部を上記間隔部に連通させていることを特徴とする請求項3に記載の収納キャビネット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−74949(P2013−74949A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215867(P2011−215867)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【Fターム(参考)】