説明

配膳用トレイ、無線タグリーダ、無線タグリーダの表示制御方法およびそのプログラム

【課題】配膳用トレイ上にある食材の内容物に関する情報を、精算所に行かずともその場で確認することができる配膳用トレイ、無線タグリーダ、無線タグリーダの表示制御方法およびそのプログラムを提供する。
【解決手段】食器6,7,8に盛られた食材を1以上載せるための配膳用トレイ1であって、食器6,7,8には、少なくとも食材の内容物に関する食材情報を保持する無線タグ20が取り付けられており、無線タグ20から食材情報を読み取る読み取り部110と、読み取った食材情報をディスプレイ11に表示する表示制御部130と、を備えたものである。食材情報は、アレルゲン物質、宗教の食禁忌、および健康上の食事制限のいずれか1以上に関する情報を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
セルフサービス方式の飲食店において、食材が盛り付けられる容器にデータキャリアを取り付けて、顧客の利便性向上を図るための配膳用トレイ、無線タグリーダ、無線タグリーダの表示制御方法およびそのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、料金が記録されたデータキャリア(IDタグ)が容器(食器)に取り付けられており、顧客が好みの食材(料理)が盛られた容器を幾つか配膳用トレイに載せて精算所に行くと、精算所に設置された読み取り機でデータキャリアを読み取り、トレイ単位で一括清算することができる料金精算システムが知られている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2000−285323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記の料金精算システムでは、精算所に行くまで合計料金を確認することができない。したがって、顧客は容器が置かれた場所に掲示されている料金札を確認し、合計料金を計算しながら食材を選ぶ必要がある。そこで、配膳用トレイ上にある食材の合計料金を、精算所に行かずともその場で確認できると便利である。
【0004】
一方、近年の健康ブームやグローバル化の影響もあり、食材の内容物に関する情報(アレルゲン物質、宗教の食禁忌、食事制限(健康を害する可能性のある内容物)に関する情報など)を知りたいという要望がある。これに対し、清算時において、会計レシート上に食材に含まれる内容物を印刷するといったサービスに関するビジネスモデルも既に提案されている。しかしながら、セルフサービス方式の飲食店では、自分で食材を選択できるため、内容物に関する情報を確認した上で食材を選択できることが好ましい。ところが、従来のビジネスモデルでは、そのような顧客の要望を満たすことができなかった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑み、配膳用トレイ上にある食材の内容物に関する情報を、精算所に行かずともその場で確認することができる配膳用トレイ、無線タグリーダ、無線タグリーダの表示制御方法およびそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の配膳用トレイは、食器に盛られた食材、および/または包装物に包装された食材を1以上載せるための配膳用トレイであって、食器または包装物である容器には、少なくとも食材の内容物に関する食材情報を保持する無線タグが取り付けられており、無線タグから食材情報を読み取る読み取り部と、表示部と、読み取り部により読み取った食材情報を表示部に表示する表示制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の無線タグリーダの表示制御方法は、食器に盛られた食材、および/または包装物に包装された食材を1以上載せるための配膳用トレイに取り付けられる無線タグリーダの表示制御方法であって、食器または包装物である容器には、少なくとも食材の内容物に関する食材情報を保持する無線タグが取り付けられており、無線タグリーダが、無線タグから食材情報を読み取るステップと、読み取った食材情報を表示部に表示するステップと、を実行することを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、食材の内容物に関する食材情報を、容器(食器または包装物)に取り付けられた無線タグから読み取って表示するため、ユーザ(顧客)は、容器を配膳用トレイに載せるだけで内容物に関する情報を確認することができる。これにより、セルフサービス方式の飲食店においては、内容物に関する情報を確認しながら食材を選択することができるため、宗教および健康上の食事制限があるユーザにとって便利である。
なお、「食材」とは、「料理」および「食品」を含む概念であり、調理または加工の有無は問わない。
【0009】
上記に記載の配膳用トレイにおいて、表示制御部は、読み取り部による読み取り毎に、食材情報を表示部に表示させることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、無線タグから食材情報を読み取る度に(容器を配膳用トレイ上に載せる度に)、迅速に内容物に関する情報を表示させることができる。
【0011】
上記に記載の配膳用トレイにおいて、無線タグは、食材情報と共に、対応する食材または容器を識別するための識別情報を保持しており、表示制御部は、食材情報と共に、対応する食材または容器の識別情報を表示部に表示させることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、表示された食材または容器を識別するための識別情報を表示するため、ユーザは、表示されている内容物が、どの食材のものであるかを確認することができる。
なお、「識別情報」とは、食材の名称(料理名)、食材のタイプ(和風、中華風、洋風など)、容器の外観(色または形状)、容器に貼付または印刷された符号、などを指すものである。すなわち、ユーザが識別情報を見て、食材(容器)を特定できる情報であれば良い。
【0013】
上記に記載の配膳用トレイにおいて、無線タグは、食材情報と共に、対応する食材の料金に関する料金情報を保持しており、表示制御部は、読み取り部による読み取り毎に、食材情報および識別情報と共に、料金情報に基づく食材の単品料金を表示部に表示させることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、無線タグから食材情報を読み取る度に(容器を配膳用トレイ上に載せる度に)、迅速に単品料金を表示させることができる。
【0015】
上記に記載の配膳用トレイにおいて、読み取り部により読み取った料金情報に基づいて、載置された全ての食材の単品料金を合計し、合計料金を算出する料金算出部をさらに備え、表示制御部は、合計料金を表示部に表示させることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、ユーザは、精算所に行かずとも、その場で合計料金を確認することができる。これにより、セルフサービス方式の飲食店においては、合計料金を確認しながら食材を選択することができる。
【0017】
上記に記載の配膳用トレイにおいて、無線タグは、食材情報と共に、食材の重量に関する重量情報を保持しており、料金情報は、食材の単位重量当たりの料金を示す第1料金情報、または食材1品あたりの料金を示す第2料金情報のいずれかであり、料金算出部は、料金情報が第1料金情報である場合、食材の単位重量当たりの料金と、重量情報に基づく食材の重量と、の乗算結果を、食材の単品料金とすることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、料金情報として、「食材の単位重量当たりの料金(第1料金情報)」が無線タグに保持されている場合と、「食材1品あたりの料金(第2料金情報)」が保持されている場合とが想定できるが、その両方に対応することができる(料金情報の保持させ方に自由度があるため、食材の種類にも自由度を持たせることができる)。つまり、量り売りされている食材と、1容器当たりで料金設定されている食材とを同時に配膳用トレイに載せた場合でも、正確に合計料金を算出することができる。
【0019】
上記に記載の配膳用トレイにおいて、合計料金の算出を指示する操作部をさらに備え、読み取り部は、操作部の指示にしたがって、載置された全ての無線タグを再度読み取り、表示制御部は、料金算出部によって新たに算出された合計料金を表示部に表示させることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、清算時に操作部を操作することで、合計料金が表示されるため、清算処理を迅速に行うことができる。また、全ての無線タグを正常に読み取ることができたか不安な場合は、ユーザが自ら操作部を操作することによって、清算前に確認することもできる。
【0021】
上記に記載の配膳用トレイにおいて、少なくとも読み取り部、表示部および表示制御部を備えた無線タグリーダが、トレイ本体に着脱自在に取り付けられていることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、無線タグリーダが着脱自在に取り付けられているため、無線タグリーダの防水性を気にすることなく、従来どおり配膳用トレイを水洗いすることができ、清潔である。
【0023】
本発明の他の配膳用トレイは、食器に盛られた食材、および/または包装物に包装された食材を1以上載せるための配膳用トレイであって、食器または包装物である容器には、無線タグが取り付けられており、無線タグから、容器または食材を識別するための識別情報またはタグIDを読み取る読み取り部と、識別情報またはタグIDと、各食材の内容物に関する食材情報とを対応付けた対応テーブルを記憶する記憶部と、表示部と、対応テーブルを参照し、読み取り部により読み取った識別情報またはタグIDに対応する食材の食材情報を表示部に表示する表示制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0024】
本発明の他の無線タグリーダの表示制御方法は、食器に盛られた食材、および/または包装物に包装された食材を1以上載せるための配膳用トレイに取り付けられる無線タグリーダの表示制御方法であって、食器または包装物である容器には、無線タグが取り付けられており、無線タグリーダが、容器または食材を識別するための識別情報または無線タグのタグIDと、各食材の内容物に関する食材情報とを対応付けた対応テーブルを記憶するステップと、無線タグから識別情報またはタグIDを読み取るステップと、対応テーブルを参照し、読み取った識別情報またはタグIDに対応する食材の食材情報を表示部に表示するステップと、を実行することを特徴とする。
【0025】
これらの構成によれば、容器(食器または包装物)に取り付けられた無線タグから識別情報またはタグIDを読み取り、それらの情報と対応付けられた食材の内容物に関する情報を対応テーブルから読み出すため、ユーザ(顧客)は、容器を配膳用トレイに載せるだけで内容物に関する情報を確認することができる。これにより、セルフサービス方式の飲食店においては、内容物に関する情報を確認しながら食材を選択することができるため、宗教および健康上の食事制限があるユーザにとって便利である。また、無線タグには最低限、識別情報かタグIDのいずれかを記憶しておけば良いため、記憶容量を少なくすることができると共に、容器に盛り付ける/包装する食材の変更があった場合でも、対応テーブルの書き換えによって、容易に対応することができる。
なお、「食材」とは、「料理」および「食品」を含む概念であり、調理または加工の有無は問わない。
【0026】
上記に記載の配膳用トレイにおいて、読み取り部により、タグIDを読み取る場合、対応テーブルは、タグIDと、識別情報と、各食材の食材情報とを対応付けたものであり、表示制御部は、食材情報と共に、対応する識別情報を表示部に表示させることが好ましい。
【0027】
この構成によれば、無線タグにタグIDのみ記憶されている場合(無線タグへの情報が書き込まれていない場合)でも、食材または容器を識別するための識別情報を表示することができる。また、当該識別情報の表示により、ユーザは、表示されている内容物が、どの食材のものであるかを確認することができる。
なお、「識別情報」とは、食材の名称(料理名)、食材のタイプ(和風、中華風、洋風など)、容器の外観(色または形状)、容器に貼付または印刷された符号、などを指すものである。すなわち、ユーザが識別情報を見て、食材(容器)を特定できる情報であれば良い。
【0028】
上記に記載の配膳用トレイにおいて、対応テーブルは、識別情報またはタグIDと、各食材の単品料金とをさらに対応付けて記憶しており、表示制御部は、読み取り部による読み取り毎に、識別情報および食材情報と共に、単品料金を表示部に表示させることが好ましい。
【0029】
この構成によれば、無線タグから情報を読み取る度に(容器を配膳用トレイ上に載せる度に)、迅速に識別情報、食材情報および単品料金を表示させることができる。
【0030】
上記に記載の配膳用トレイにおいて、載置された全ての食材の単品料金を合計し、合計料金を算出する料金算出部をさらに備え、表示制御部は、食材情報と共に、料金算出部により算出された合計料金を表示部に表示させることが好ましい。
【0031】
この構成によれば、ユーザは、精算所に行かずとも、その場で合計料金を確認することができる。これにより、セルフサービス方式の飲食店においては、合計料金を確認しながら食材を選択することができる。
【0032】
上記に記載の配膳用トレイにおいて、合計料金の算出を指示する操作部をさらに備え、読み取り部は、操作部の指示にしたがって、載置された全ての無線タグを再度読み取り、表示制御部は、料金算出部によって新たに算出された合計料金を表示部に表示させることが好ましい。
【0033】
この構成によれば、清算時に操作部を操作することで、合計料金が表示されるため、清算処理を迅速に行うことができる。また、全ての無線タグを正常に読み取ることができたか不安な場合は、ユーザが自ら操作部を操作することによって、清算前に確認することもできる。
【0034】
上記に記載の配膳用トレイにおいて、読み取り部、記憶部、表示部および表示制御部を備えた無線タグリーダが、トレイ本体に着脱自在に取り付けられていることが好ましい。
【0035】
この構成によれば、無線タグリーダが着脱自在に取り付けられているため、無線タグリーダの防水性を気にすることなく、従来どおり配膳用トレイを水洗いすることができ、清潔である。
【0036】
上記に記載の配膳用トレイにおいて、食材情報は、アレルゲン物質、宗教の食禁忌、および健康上の食事制限のいずれか1以上に関する情報に関する情報であることが好ましい。
【0037】
この構成によれば、アレルゲン物質、宗教の食禁忌、および健康上の食事制限(病気を起因とする食品や成分など)等を気にするユーザにとって、本発明の配膳用トレイの利用が大変便利である。
【0038】
本発明の無線タグリーダは、上記に記載の配膳用トレイに適用されることを特徴とする。
【0039】
本発明のプログラムは、コンピュータに、上記に記載の無線タグリーダの表示制御方法における各ステップを実行させるためのものであることを特徴とする。
【0040】
これらを用いることにより、配膳用トレイ上にある食材の内容物に関する情報を、精算所に行かずともその場で確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
(第1実施形態)
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施形態に係る配膳用トレイ、無線タグリーダ、無線タグリーダの表示制御方法およびそのプログラムについて説明する。図1は、本発明の配膳用トレイ1を適用した情報表示システムSYのシステム構成と、その実現例を示す図である。本実施形態では、セルフサービス方式の飲食店(カフェテリア、社員食堂など)において、情報表示システムSYが実現された例を説明する。
【0042】
同図に示すように、情報表示システムSYは、食材(料理、食品など)が盛り付けられた食器6,7,8(容器)を載せる配膳用トレイ1と、各食器6,7,8の裏面に取り付けられた無線タグ20(図4参照)と、から成る。なお、無線タグ20としては、RFID(Radio Frequency Identification)を用いる。RFIDは、電池内蔵型のアクティブタイプでも良いが、本実施形態においては、低廉化を図るため、パッシブタイプを用いることが好ましい。また、特に図示しないが、袋に入れられた食材、例えばパン、おにぎりなどは、食器を必要としないため、その包装物に対して無線タグ20が取付けられる。RFIDの構造として一般的なものとしては、メーカ出荷時にROMに個々のユニークなコードを記録したもの(以下タイプ1と称す)と、ユニークなコード+書換え可能なメモリエリアを備えたもの(以下タイプ2と称す)と、全て書換え可能なメモリエリアからなるもの(以下タイプ3と称す)の3種類があり、実施形態1では、上記タイプ2、タイプ3の書換え可能なメモリエリアを備えたRFIDを用いている。
【0043】
配膳用トレイ1には、トレイ毎に1台ずつ、無線タグリーダ10が着脱自在に装着されている。当該無線タグリーダ10は、食器6,7,8の配置を妨げないように、食器6,7,8を載置する平面部4の手前右側に取り付けられる。また、無線タグリーダ10は、各食器6,7,8に取り付けられた無線タグ20を読み取り、無線タグ20に記録されている各種情報をディスプレイ11(表示部)に表示する。無線タグ20に記録される情報は、無線タグ20を特定するコード(タグID)または個々の食器または包装物のユニークなコードと、食材情報の一部又は全てを示すコード(数値、記号、文字列)と、を含む。以下の説明では、無線タグ20に、タグIDと食材コードが記憶されているものとする。
【0044】
顧客は、この無線タグリーダ10が取り付けられた配膳用トレイ1を手に持って、店内を周り、陳列棚31から好みの食材が盛り付けられた食器6,7,8を選んで配膳用トレイ1の上に置く。食材には、量り売りされている食材と、1食器当たりの重量が統一されている食材とがあり、量り売りの食材については、顧客が好みの量を専用の食器(図1では食器6)に盛りつけ、重量測定器32で重量測定を行う。重量測定器32は、無線タグ20に測定値を書き込むライタ機能が搭載されており、食器6が載置部32aに載置された状態のまま測定値(重量)の書き込みが可能となっている。
【0045】
一方、無線タグリーダ10は、配膳用トレイ1に載置された食器6,7,8の無線タグ20を読み取り、その無線タグ20に保持されている各種情報(各食器6,7,8に盛り付けられた食材の食材名、食材に含まれるアレルゲン物質(食材情報)、料金および重量等)を、ディスプレイ11上に表示する。顧客は、当該ディスプレイ11表示によって、これらの情報を確認しながら食材を選択し、選択を終えたら精算所に行く。
【0046】
精算所には、コードリーダ41を備えたPOS端末(レジ端末)40が設置されている。レジ担当者は、無線タグリーダ10を操作してディスプレイ11上に清算情報60を表示させ(図11参照)、当該清算情報60の一部として表示される2次元コード63をコードリーダ41で読み取る。レジ担当者は、その読み取り結果に基づいて決済処理を行い、最終的に配膳用トレイ1から無線タグリーダ10を取り外す。顧客は、所定の場所で食事を終えると、一般的なセルフサービス方式の飲食店における返却方法と同様に、所定の返却場所に、配膳用トレイ1および食器6,7,8を返却する。
【0047】
なお、無線タグリーダ10は、レジ担当者が回収するのではなく、配膳用トレイ1に装着した状態のまま、返却可能としても良い。また、配膳用トレイ1に1台ずつ装着するのではなく、顧客が個人で携帯し、店内に入った際に各自で配膳用トレイ1に装着するようにしても良い。この場合、一般的に普及している携帯電話等に、無線タグリーダ10の機能を搭載することによって、顧客は気軽に情報表示システムSYのサービス提供を受けることが可能である。また、店側にとっても、システム構築に要するコストを軽減できる。
【0048】
次に、図2を参照し、配膳用トレイ1の外観および構成について説明する。図2(a)は、食器6、7、8が載せられる前の配膳用トレイ1の外観を示す略図である。配膳用トレイ1のトレイ縁部5には、アンテナ9となる導体19がコイル状に配置されているが(図2(b)参照)、表面は、塗装、あるいはプラスチックモールドによって覆われていて見えない構造となっている。2は、上記導体19の接続端子部を示している。この接続端子部2に対して、無線タグ20を読み取る無線タグリーダ10が接続され、コイル状に配置された導体19がそのアンテナ9として機能する。3は、無線タグリーダ10を固定するための支持部であり、トレイ縁部5と支持部3とで無線タグリーダ10を狭持可能(位置決めセット可能)に構成されている。すなわち、配膳用トレイ1は、平面部4および平面部4の四辺を縁取るトレイ縁部5から成るトレイ本体に、アンテナ9と、無線タグリーダ10が接続される接続端子部2と、を組み込んで構成されている。
【0049】
図2(b)は、配膳用トレイ1の表面の塗装、あるいはプラスチックモールドを剥がした状態の略図であり、アンテナ9の導体19を示している。アンテナ9は配膳用トレイ1のトレイ縁部5に沿って、食器類を取り囲むように配置されている。このような構成では、周波数の低い長波、例えば略130KHzの無線タグ20に有効で、且つ配膳用トレイ1のトレイ縁部5を沿わせることにより、その内部に置かれる食器6,7,8の無線タグ20を確実に読み取ることができる。
【0050】
次に、図3を参照し、無線タグリーダ10の制御構成について説明する。無線タグリーダ10は、接続端子部2、操作ボタン13、電源スイッチ14、ディスプレイ11、CPU15、ROM16、RAM17および電源18を備えている。
【0051】
接続端子部2は、アンテナ9(導体19)と接続され、食器6,7,8に取り付けられた無線タグ20と通信を行うために用いられる。操作ボタン13は、所謂押しボタン形式のスイッチであり、顧客またはレジ担当者が各種操作を行うために用いる。本実施形態の無線タグリーダ10は、2つの操作ボタン(Aボタン13aおよびBボタン13b)を有しているものとする(詳細な機能については後述する)。電源スイッチ14は、電源18のON/OFF操作を行うためのものであり、スライドスイッチ等により構成される。ディスプレイ11は、液晶ディスプレイであり、無線タグ20の読み取り結果を含む各種情報を表示する。
【0052】
CPU15は、中央制御装置であり、ROM16は、CPU15が各種演算処理を行うための各種制御プログラムおよび各種制御データを記憶している。具体的には、食材の合計料金を算出するための算出プログラム、食材に含まれるアレルゲン物質を抽出するための抽出プログラム、表示制御を行うための表示制御プログラム、無線タグ20との通信制御を行うための通信制御プログラム、顧客へのアドバイス情報70(図11参照)を表示するためのメッセージデータベース等を記憶している。また、RAM17は、CPU15が各種演算処理を行うためのワークエリアとして用いられる。なお、以下の説明においては、CPU15、ROM16およびRAM17を「制御系80」と総称する。
【0053】
次に、図4を参照し、配膳用トレイ1(主に、無線タグリーダ10)の機能構成について説明する。配膳用トレイ1に取り付けられた無線タグリーダ10は、主な機能構成として、読み取り部110、操作部120、表示制御部130、アレルゲン抽出部140、料金算出部150およびこれら各部を統括制御する制御部100を備えている。
【0054】
読み取り部110は、配膳用トレイ1のトレイ縁部5に配置されたアンテナ9を介して、食器6,7,8に取り付けられた無線タグ20から各種情報を読み取るものであり、接続端子部2によって主要部が構成される。各種情報としては、無線タグ20のタグID、食材を識別するための識別情報(食材名)、食材の内容物に関する食材情報、食材の料金に関する料金情報、食材の重量に関する重量情報等を読み取る。
【0055】
なお、本実施形態においては、食材情報として、アレルゲン物質とそれを含む内容物(具材や調味料を含む)とを対応付けた情報(以下、「アレルゲン情報」と称する)を読み取る。アレルゲン物質としては、アレルゲン表示の義務品目(卵、乳、小麦、そば、落花生の5品目)を対象とする。例えば、食材が「えびピラフ」の場合は、食材情報として、アレルゲン物質(例えば「卵」)とそれを含む内容物(具材)とを読み取る。なお、アレルゲン物質としては、上記の義務品目だけでなく、アレルゲン表示の推奨品目(あわび、いか、いくら、えび、オレンジ、かに、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン、バナナの20品目)についても対象とすることが好ましい。
【0056】
一方、料金情報としては、食材の単位重量当たりの料金を示す第1料金情報、または食材1品あたりの料金(単品料金)を示す第2料金情報のいずれかを読み取る。つまり、食材(料理)によっては、量り売りされているものと、1食器当たりの重量が統一されているものとが想定できるが、前者の場合は、顧客が好みの量だけ食器6,7,8に食材を盛り付けることができるため、無線タグ20に第1料金情報を記録させておけば、あとは重量測定器32で重量を測定してその値を記録するだけでよいため利便性が良い。
【0057】
操作部120は、顧客が各種設定および操作を行うために用いられるものであり、操作ボタン13によって主要部が構成される。具体的には後述するが、操作ボタン13によって、注意すべきアレルゲン物質の設定、清算指示、情報リセット等を行うことができるようになっている。なお、アレルゲン物質の設定は、顧客に応じたアレルゲン表示を行うために設定するものである。また、清算指示は、具体的に、配膳用トレイ1上にある全ての食材の合計料金の算出を指示するものである。操作部120により清算指示が行われると、読み取り部110は、配膳用トレイ1上にある全ての無線タグ20の再読み取りを行う。
【0058】
表示制御部130は、ディスプレイ11の表示制御を行うものであり、制御系80によって主要部が構成される。表示制御部130は、読み取り部110による読み取り毎に、食材の食材名、アレルゲン情報、単品料金および合計料金をディスプレイ11に表示させる。
【0059】
アレルゲン抽出部140は、読み取り部110により読み取ったアレルゲン情報に、顧客が設定したアレルゲン物質に該当するものが含まれる場合、そのアレルゲン情報を抽出するものであり、制御系80によって主要部が構成される。例えば、食材が「えびピラフ」の場合は、アレルゲン情報(卵/具材)を読み取るが、顧客が「注意すべきアレルゲン物質」として、「卵」を設定した場合にのみ、当該アレルゲン情報(卵/具材)を抽出する。言い換えれば、顧客が「注意すべきアレルゲン物質」として、「卵」を設定していない場合は、無線タグ20から読み取った情報にアレルゲン情報が含まれている場合でも、これを抽出しない。なお、食材によっては、アレルゲン情報が複数含まれる場合もあるが、1の食材に対して、顧客が設定したアレルゲン物質に該当するアレルゲン情報が複数存在する場合は、その全てを抽出する(図10参照番号55,食材「洋食プレート」の「アレルゲン」欄参照)。抽出したアレルゲン情報は、表示制御部130によってディスプレイ11に表示される。
【0060】
料金算出部150は、読み取り部110により読み取った料金情報に基づいて、配膳用トレイ1上にある全ての食材の単品料金を合計し、合計料金を算出するものであり、制御系80によって主要部が構成される。上記の通り、料金情報としては、食材の単位重量当たりの料金を示す第1料金情報、または食材1品あたりの料金を示す第2料金情報のいずれかを読み取り、前者の第1料金情報を読み取った場合は、食材の単位重量当たりの料金と、重量情報に基づく食材の重量と、の乗算結果を、食材の単品料金として算出する。なお、読みとった料金情報が、第1料金情報であるか第2料金情報であるかは、重量情報の有無によって判別しても良いし、各料金情報またはいずれかの料金情報に付加された付加情報によって判別しても良い。
【0061】
次に、図5および図6のフローチャートを参照し、無線タグリーダ10の動作(表示制御方法)について説明する。ここでは、顧客が既に「注意すべきアレルゲン物質」を設定しているものとする。図5に示すように、無線タグリーダ10は、顧客が食器6,7,8を配膳用トレイ1上に載せたことに伴って食器6,7,8に取り付けられた無線タグ20を検出すると(S01:Yes)、無線タグ20に記録されている各種情報を取得する(S02)。取得した情報は、RAM17の所定領域に一時的に記憶する。続いて、配膳用トレイ1上に載せたその食材が1品目であるか否かを判別する(S03)。1品目であるか否かは、RAM17の所定領域に、既に記憶されている情報が存在するか否かで判断する。また、同一の無線タグ20の読み取りについては無視する。同一であるか否かは、タグIDが同一であるか否かによって判別する。
【0062】
S03において、1品目と判定した場合は(S03:Yes)、無線タグ20から読み取った料金情報(単品料金)を合計料金とする(S04)。また、1品目ではない(2品目以上)と判定した場合は(S03:No)、それまでの合計料金に、無線タグ20から読み取った料金情報(単品料金)を加算して、合計料金とする(S05)。
【0063】
また、無線タグ20から読み取った情報に、アレルゲン情報が含まれるか否かを判別し(S06)、含まれる場合は(S06:Yes)、当該アレルゲン情報が、顧客によって設定された「注意すべきアレルゲン物質」に該当するか否かを判別する(S07)。ここで、「注意すべきアレルゲン物質」に該当するアレルゲン情報がある場合は(S07:Yes)、食材名、アレルゲン情報、単品料金、および合計料金をディスプレイ11上に表示する(S08)。一方、無線タグ20から読み取った情報に、アレルゲン情報が含まれない場合(S06:No)、またはアレルゲン情報が含まれていても、当該アレルゲン情報が「注意すべきアレルゲン物質」に該当しない場合(S07:No)、食材名、単品料金、および合計料金をディスプレイ11上に表示する(S09)。
【0064】
また、図6に示すように、清算ボタン(Aボタン13a,図7参照)の押下を検出した場合は(S10:Yes)、清算情報60およびアドバイス情報70を表示する(S11,図11参照)。さらに、リセットボタン(Bボタン13b,図7参照)の押下を検出した場合は(S12:Yes)、RAM17の所定領域に記憶されている読み取り情報を消去すると共に、ディスプレイ11表示を初期状態(電源スイッチ14による電源ON操作直後の状態,図7参照)とする(S13)。
【0065】
次に、図7ないし図11を参照し、無線タグリーダ10のディスプレイ11上に表示される表示内容、および無線タグリーダ10の操作方法について説明する。図7は、電源ON操作直後に表示される初期画面の一例を示したものである。初期画面では、「注意すべきアレルゲン物質」の入力を促すメッセージ50を表示する。ここでは、アレルゲン表示の義務品目である5品目について、選択/非選択を決定する。選択方法については、メッセージ51に示すとおりであり、Aボタン13aで項目移動、Bボタン13bで選択/非選択の切り替えを行う。図示の例は、アレルゲン物質「卵」と「小麦」が選択された場合を示している(黒丸が選択、白丸が非選択を示している)。
【0066】
図7に示した初期画面において、各アレルゲン物質の選択/非選択が決定されると、図8に示す画面に遷移する。ここでは、無線タグ20の読み取り可能状態であることを示すメッセージ(「食器を、トレイの上に載せてください」)52と、操作方法を示すメッセージ53と、を表示する。操作方法を示すメッセージ53に示されているように、初期画面以外においてAボタン13aが押下されると、清算情報60およびアドバイス情報70を表示する画面(図11参照)に遷移する(但し、図8に示す画面でAボタン13aが押下された場合は、配膳用トレイ1上に何ら食材が載せられていないため、清算情報60およびアドバイス情報70が非表示となる)。また、Bボタン13bが押下されると、読み取り内容を全てリセットする。
【0067】
ここで、1品目の食材(食器6,7,8)が配膳用トレイ1に載せられると、図9に示す画面に遷移する。ここでは、読み取った食材数を示すメッセージ54と、読み取った食材のみに関する情報である単品情報55と、読み取った全ての食材に基づく情報である合計情報56と、上記の操作方法を示すメッセージ53と、を表示する。単品情報55としては、読み取ったタグID、食材名(識別情報)、アレルゲン物質、単品料金を表示する。アレルゲン物質としては、その食材に含まれるアレルゲン物質(初期画面(図7参照)で設定した「注意すべきアレルゲン物質」に該当するもの)を表示する。また、単品料金としては、仮に、タグID「0123」のえびピラフが量り売りの食材だった場合、グラム当たりの料金(第1料金情報)と、重量とを乗算して得られた値を表示する。なお、無線タグ20から読み取った情報に重量情報が含まれる場合、単品情報55として重量を表示するようにしても良い。また、合計情報56としては、読み取った食材の合計数、全アレルゲン物質および合計料金を表示する。ここでは1品目であるため、合計料金は、単品料金と同一の値を表示する。
【0068】
ここで、さらに食材が配膳用トレイ1に載せられると、図10に示す画面に遷移する。食材数の増加に伴って、メッセージ54の表示を「1品」から「2品」に変更し、単品情報55として、新たに読み取った食材の情報を追加表示する(タグID「1234」参照)。さらに、合計情報56として、2つの食材の合計数、全アレルゲン物質および合計料金を更新する。
【0069】
図11は、図10に示す画面が表示されていた状態から、さらに食材がもう1品(タグID「2345」参照)配膳用トレイ1に載せられ、Aボタン13aが押下された後に表示する画面(清算画面)の一例を示している。ここでは、清算情報60として、上記の単品情報55に相当する単品清算情報61と、上記の合計情報56に相当する合計清算情報62と、2次元コード63と、を表示する。2次元コード63は、清算情報60をコード化したものであり、清算時にコードリーダ41(図1参照)によって読み取られる。これにより、レジ担当者は、食材毎の料金をPOS端末40に手入力することなく、2次元コード63の読み取りだけで迅速に清算処理を行うことができる。また、無線タグリーダ10は、Aボタン13aが押下された時点で、無線タグ20の再読み取りと合計料金の再計算を行うため、レジ担当者が最終的にAボタン13aを押下することで、無線タグ20の読み取り漏れを防ぐことができる。
【0070】
また、Aボタン13aが押下されると、清算情報60と共にアドバイス情報70を表示する。本実施形態においては、アドバイス情報70として、選択した食材のメニューバランスの良否、並びに「注意すべきアレルゲン物質」を含む内容物に関する情報を表示する。メニューバランスの良否は、メニューとその食材属性(三大栄養素や五大栄養素等に応じて分類されるもの)とを対応付けたテーブル(図示省略)を参照し、食材属性の分布が偏っていない場合に良好と判定するなど、種々の方法で判定可能である。また、内容物に関する情報は、「食材名」と、アレルゲン情報に含まれる「内容物」と、「アレルゲン物質」と、を所定のテンプレート「***は、***に、***が使用されています」に挿入することで生成したテキストデータを表示する。
【0071】
以上説明したとおり、第1実施形態によれば、食材の内容物に含まれるアレルゲン情報(食材情報)を、食器6,7,8に取り付けられた無線タグ20から読み取って表示するため、顧客は、食器6,7,8を配膳用トレイ1に載せるだけでアレルゲン物質を確認することができる。これにより、セルフサービス方式の飲食店においては、アレルゲン物質を確認しながら食材を選択することができるため、これに注意が必要な顧客にとって便利である。
【0072】
(第2実施形態)
続いて、図12および図13を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。上記の第1実施形態では、無線タグ20からアレルゲン情報等を読み取るものとしたが、本実施形態では、無線タグ20からタグIDを読み取り、無線タグリーダ10内の対応テーブルTを参照して、識別情報(食材名)、アレルゲン情報、単品料金等を特定する点で異なる。よって本実施形態では、前述のタイプ1の書換え可能なメモリを有しないRFIDを用いることができる。以下、第1実施形態と異なる点のみ説明する。
【0073】
図12に示すように、本実施形態の無線タグリーダ10は、図4に示した第1実施形態の無線タグリーダ10に対し、記憶部160を追加した構成となっている。記憶部160は、無線タグ20のタグIDと、各食材に関する種々の情報とを対応付けた対応テーブルTを記憶するものであり、ROM16(図3参照)によって主要部が構成される。
【0074】
図13に示すように、対応テーブルTは、タグIDと、識別情報(食材名)と、アレルゲン情報と、料金と、を対応付けている。例えば、読み取り部110が無線タグ20からタグID「0123」を読み取った場合、制御部100は、対応テーブルTを参照して、識別情報を「えびピラフ」であると判定する。また、アレルゲン抽出部140は、対応テーブルTを参照して、「注意すべきアレルゲン物質」に該当するアレルゲン情報を抽出する。
【0075】
第2実施形態では、書換え可能なメモリを持たない無線タグ20でも使用可能にするため、量り売りではなく、食器単位で価格が決められている(対応テーブルTにそれらの価格が記述されている)。制御部100は、これらの判定・抽出結果および算出結果に基づいて、表示制御部130に、図9に示す画面を表示させる。すなわち、無線タグ20にタグIDのみが記録されており(例えば、洋食プレートのタグID「1234」,ウーロン茶のタグID「2345」など)、その場合は、対応テーブルTに記述された料金を単品料金としてディスプレイ11上に表示する。
【0076】
以上説明したとおり、第2実施形態によれば、無線タグ20には最低限、タグIDを記憶しておけば良いため、記憶容量を少なくすることができる。また、食器6,7,8に盛り付ける/包装する食材の変更があった場合でも、対応テーブルTの書き換えによって、容易に対応することができる。この場合、対応テーブルTを格納するROM16は、書き換え可能なフラッシュROM等が用いられる。
【0077】
なお、対応テーブルTの書き換えを迅速且つ確実に行なうため、店内に無線タグリーダ10を統括制御する店内サーバを備え、店内サーバからのテーブル情報配信(無線通信が好ましい)によって、複数の無線タグリーダ10の対応テーブルTを一斉書き換えできることが好ましい。また、無線タグリーダ10の記憶部160を、着脱自在な記憶媒体で構成しても良い。
【0078】
また、本実施形態では、無線タグ20にタグIDを記憶しておくものとしたが、タグIDに代えて、前述のタイプ2、タイプ3のRFIDを用いて、識別情報(食器・包装物コード+食材名)を記憶しておくようにしても良い。すなわち、容器、食材を一意に特定可能な情報であれば、その種類は問わない。容器を特定するのは、複数の同一食材を配膳用トレイ1に載せる場合であっても、無線タグリーダ10が読み取り不良なく、それぞれを識別可能にするためである。
【0079】
また、上記の2つの実施形態では、識別情報として食材名(料理名)を例示したが、食材のタイプ(和風、中華風、洋風など)、食器6,7,8(容器)の外観(色または形状)、食器6,7,8に貼付または印刷された符号、など、ユーザが識別情報を見て、食材(食器6,7,8)を特定できる情報であれば良い。
【0080】
また、上記の2つの実施形態では、食材情報として、アレルゲン情報を表示する場合を例示したが、「宗教の食禁忌に関する情報」を表示するようにしても良い。例えば、第2実施形態で当該「宗教の食禁忌に関する情報」を表示する場合、図14に示す対応テーブルT2を、無線タグリーダ10のROM16内に記憶しておけば良い。同図に示すように、対応テーブルT2は、タグIDや識別情報と対応付けて、「宗教の食禁忌に関する情報」が記録されている。「宗教の食禁忌に関する情報」は、宗教と、禁忌食品と、内容物(「オードブル」、「デザート」、「調味料」などの食の分類で表しても良い)と、を関連付けた情報である。この場合、顧客は、初期画面(図7参照)において、自分の宗教を設定する。これにより、選択した食材の内容物に、自分の宗教上の禁忌食が含まれている場合、その禁忌食品をディスプレイ11上に表示させることができる。
【0081】
また、図15に示すように、「食事制限に関する情報」を表示するようにしても良い。この場合は、タグIDと、「食事制限に関する情報」とを対応付けた対応テーブルT3を、無線タグリーダ10のROM16内に記憶しておけば良い。「食事制限に関する情報」は、病名と、食品(成分)と、内容物(分類)と、を関連付けた情報である。この場合、顧客は、初期画面(図7参照)において、自分の病名を設定する。これにより、選択した食材の内容物に、持病で問題となる食品(成分)が含まれている場合、その食品をディスプレイ11上に表示させることができる。また、この対応テーブルT3を用いる場合は、アドバイス情報70として、その食品(成分)を摂取した場合の症状(例えば、通風の人が「えびピラフ」を選択した場合、具材として含まれる食品「いか」の摂取によって、血糖値が上昇する、などの情報)を表示することが好ましい。
【0082】
また、上記の2つの実施形態では、アンテナ9が、配膳用トレイ1のトレイ縁部5に沿って、食器類を取り囲むように配置されているものとしたが、アンテナ9を無線タグリーダ10に備えても良い。この構成によれば、既存の配膳用トレイ1に接続端子部2を組み込むだけで、本発明を実現できる。なお、この場合、請求項における「読み取り部」は、アンテナ9および接続端子部2によって主要部が構成される。また、無線タグリーダ10を配膳用トレイ1に固定して用いるのではなく、顧客が無線タグリーダ10を把持した状態で直接食器6,7,8に翳すことで、無線タグ20の読み取りを行うようにしても良い。
また、上記実施形態では、アレルゲンを顧客があらかじめ無線タグリーダ10に設定する例で説明したが、タッチパネルを無線タグリーダ10のディスプレイ11に配置し、アレルゲン情報のある食材に、例えば“*”マークを表示して、それをディスプレイ上のタッチパネルを介してタッチすると詳細情報が表示されるような構成の無線タグリーダ10を用いることもできる。
【0083】
また、上記の2つの実施形態に示した無線タグリーダ10の各構成要素をプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュメモリ等)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピュータを、無線タグリーダ10の各手段として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれる。
【0084】
また、情報表示システムSYのシステム構成、配膳用トレイ1や無線タグリーダ10の形状および機能、無線タグ20の食器6,7,8や包装物への貼付場所等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の一実施形態に係る配膳用トレイを適用した情報表示システムのシステム構成と、その実現例を示す図である。
【図2】配膳用トレイの外観を示す斜視図および平面図である。
【図3】無線タグリーダの制御ブロック図である。
【図4】配膳用トレイの機能ブロック図である。
【図5】無線タグリーダの動作を示すフローチャートである。
【図6】図5に続く、フローチャートである。
【図7】無線タグリーダの表示内容および操作方法を示す画面遷移図である。
【図8】図7に続く、画面遷移図である。
【図9】図8に続く、画面遷移図である。
【図10】図9に続く、画面遷移図である。
【図11】図10に続く、画面遷移図である。
【図12】第2実施形態に係る配膳用トレイの機能ブロック図である。
【図13】対応テーブルの一例を示す図である。
【図14】他の実施例に係る対応テーブルの一例を示す図である。
【図15】他の実施例に係る対応テーブルの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0086】
1…配膳用トレイ、2…接続端子部、5…トレイ縁部、6,7,8…食器、9…アンテナ、10…無線タグリーダ、11…ディスプレイ、13…操作ボタン、20…無線タグ、32…重量測定器、40…POS端末、80…制御系、SY…情報表示システム、T…対応テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食器に盛られた食材、および/または包装物に包装された食材を1以上載せるための配膳用トレイであって、
前記食器または前記包装物である容器には、少なくとも前記食材の内容物に関する食材情報を保持する無線タグが取り付けられており、
前記無線タグから前記食材情報を読み取る読み取り部と、
表示部と、
前記読み取り部により読み取った前記食材情報を前記表示部に表示する表示制御部と、を備えたことを特徴とする配膳用トレイ。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記読み取り部による読み取り毎に、前記食材情報を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載の配膳用トレイ。
【請求項3】
前記無線タグは、前記食材情報と共に、対応する前記食材または前記容器を識別するための識別情報を保持しており、
前記表示制御部は、前記食材情報と共に、対応する前記食材または前記容器の前記識別情報を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項2に記載の配膳用トレイ。
【請求項4】
前記無線タグは、前記食材情報と共に、対応する前記食材の料金に関する料金情報を保持しており、
前記表示制御部は、前記読み取り部による読み取り毎に、前記食材情報および前記識別情報と共に、前記料金情報に基づく前記食材の単品料金を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項3に記載の配膳用トレイ。
【請求項5】
前記読み取り部により読み取った前記料金情報に基づいて、載置された全ての食材の前記単品料金を合計し、合計料金を算出する料金算出部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記合計料金を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項4に記載の配膳用トレイ。
【請求項6】
前記無線タグは、前記食材情報と共に、前記食材の重量に関する重量情報を保持しており、
前記料金情報は、前記食材の単位重量当たりの料金を示す第1料金情報、または前記食材1品あたりの料金を示す第2料金情報のいずれかであり、
前記料金算出部は、前記料金情報が前記第1料金情報である場合、前記食材の単位重量当たりの料金と、前記重量情報に基づく前記食材の重量と、の乗算結果を、前記食材の単品料金とすることを特徴とする請求項5に記載の配膳用トレイ。
【請求項7】
前記合計料金の算出を指示する操作部をさらに備え、
前記読み取り部は、前記操作部の指示にしたがって、載置された全ての前記無線タグを再度読み取り、
前記表示制御部は、前記料金算出部によって新たに算出された前記合計料金を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項5または6に記載の配膳用トレイ。
【請求項8】
少なくとも前記読み取り部、前記表示部および前記表示制御部を備えた無線タグリーダが、トレイ本体に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の配膳用トレイ。
【請求項9】
食器に盛られた食材、および/または包装物に包装された食材を1以上載せるための配膳用トレイであって、
前記食器または前記包装物である容器には、無線タグが取り付けられており、
前記無線タグから、前記容器または前記食材を識別するための識別情報またはタグIDを読み取る読み取り部と、
前記識別情報または前記タグIDと、各食材の内容物に関する食材情報とを対応付けた対応テーブルを記憶する記憶部と、
表示部と、
前記対応テーブルを参照し、前記読み取り部により読み取った前記識別情報または前記タグIDに対応する前記食材の食材情報を前記表示部に表示する表示制御部と、を備えていることを特徴とする配膳用トレイ。
【請求項10】
前記読み取り部により、前記タグIDを読み取る場合、
前記対応テーブルは、前記タグIDと、前記識別情報と、前記各食材の食材情報とを対応付けたものであり、
前記表示制御部は、前記食材情報と共に、対応する前記識別情報を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項9に記載の配膳用トレイ。
【請求項11】
前記対応テーブルは、前記識別情報または前記タグIDと、各食材の単品料金とをさらに対応付けて記憶しており、
前記表示制御部は、前記読み取り部による読み取り毎に、前記識別情報および前記食材情報と共に、前記単品料金を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項9または10に記載の配膳用トレイ。
【請求項12】
載置された全ての食材の前記単品料金を合計し、合計料金を算出する料金算出部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記食材情報と共に、前記料金算出部により算出された前記合計料金を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項11に記載の配膳用トレイ。
【請求項13】
前記合計料金の算出を指示する操作部をさらに備え、
前記読み取り部は、前記操作部の指示にしたがって、載置された全ての前記無線タグを再度読み取り、
前記表示制御部は、前記料金算出部によって新たに算出された前記合計料金を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項12に記載の配膳用トレイ。
【請求項14】
前記読み取り部、前記記憶部、前記表示部および前記表示制御部を備えた無線タグリーダが、トレイ本体に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項9に記載の配膳用トレイ。
【請求項15】
前記食材情報は、アレルゲン物質、宗教の食禁忌、および健康上の食事制限のいずれか1以上に関する情報であることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1項に記載の配膳用トレイ。
【請求項16】
請求項8または14に記載の配膳用トレイに適用される無線タグリーダ。
【請求項17】
食器に盛られた食材、および/または包装物に包装された食材を1以上載せるための配膳用トレイに取り付けられる無線タグリーダの表示制御方法であって、
前記食器または前記包装物である容器には、少なくとも前記食材の内容物に関する食材情報を保持する無線タグが取り付けられており、
前記無線タグリーダが、前記無線タグから前記食材情報を読み取るステップと、
読み取った前記食材情報を表示部に表示するステップと、を実行することを特徴とする無線タグリーダの表示制御方法。
【請求項18】
食器に盛られた食材、および/または包装物に包装された食材を1以上載せるための配膳用トレイに取り付けられる無線タグリーダの表示制御方法であって、
前記食器または前記包装物である容器には、無線タグが取り付けられており、
前記無線タグリーダが、前記容器または前記食材を識別するための識別情報または前記無線タグのタグIDと、各食材の内容物に関する食材情報とを対応付けた対応テーブルを記憶するステップと、
前記無線タグから前記識別情報または前記タグIDを読み取るステップと、
前記対応テーブルを参照し、読み取った前記識別情報または前記タグIDに対応する前記食材の食材情報を表示部に表示するステップと、を実行することを特徴とする無線タグリーダの表示制御方法。
【請求項19】
コンピュータに、請求項17または18に記載の無線タグリーダの表示制御方法における各ステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−193400(P2009−193400A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34109(P2008−34109)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】