説明

酒気帯びドライバー支援提供自動システム

ユーザーから提供されたサンプルに基づいてユーザーの酒気帯びの数値を生成する薬物検出器と、送迎サービスと通信する通知手段とを備え、通知手段は酒気帯びの数値が所定の範囲外のときに送迎サービスに連絡するドライバー支援提供システムである。通知手段はまた、送迎サービスがユーザーの所在を確認できるように、送迎サービスに連絡をするときに送迎サービスにナビゲーションデータを提供する。さらに、ユーザーから提供されたサンプルに基づいてユーザーの酒気帯びの数値を生成するステップと、酒気帯びの数値が所定の範囲外のときに送迎サービスに連絡するステップと、送迎サービスが前記ユーザーの所在を確認できるように連絡するステップの間に送迎サービスにナビゲーションデータを提供するステップを備えている酒気帯びドライバー支援提供方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本システムは、酒気帯び運転を防止するためのシステムに関し、特に酒に酔った人に乗物の運転をさせないためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
薬物やアルコールに酔ったときの乗物の運転は、合衆国や多くのほかの国における主要な問題である。毎年、多くの死者や負傷者は、アルコールや薬物に関連した乗物の事故に起因するものと考えられる。これに対し、合衆国の多くの管轄体、警察官は、薬物やアルコールの影響下にあるときに運転する人々を削減するための受身の対策を講じている。警察により用いられる受身の対策の一例は、薬物やアルコールの影響下で運転していると疑われるドライバーに対する実地飲酒検査の執行である。この受身の対策は道路や高速道路から数人の人を排除できるかもしれないが、この対策は、停止させられて薬物やアルコールに酔っていると断定された者を取り締まるに過ぎない。それでさえ、停止させられた酔ったドライバーは、すでに乗物を運転することによって彼ら自身及び他人の安全を危険にさらしている。
【0003】
酒酔い運転の影響の制限に向けてほかの多数の対策が進められてきた。いくつかのその対策は、酒気帯びまたは酔ったドライバーが車に乗り込むことを防止するためになされた努力の中で、本質的に、より積極的なものである。例えば、酔ったドライバーの友人は、運転ができないと判断したときにドライバーにキーを渡さないだろう。ドライバーのキーを保持することは、そのドライバーを路上から排除するために警察に頼るよりも安全であるが、誰かがその酔った人が帰宅するのを支援しなければならないので、運搬上の問題を引き起こす可能性がある。さらに、そのドライバーの車は多くの場合に放置され、そのことは、車が盗難にあったり破壊されたりする可能性を増加させている。さらに悪いことに、酔ったドライバーは、運転を防止してくれる援助グループがなく、一人だけでいる可能性がある。したがって、必要とされているものは、酔ったドライバーが運転するのを防止するシステムであり、さらにドライバーに安全な家路を保証する運搬上の代替手段を提供するシステムである。
【発明の開示】
【0004】
本発明は、酒気帯びドライバー支援提供システムに関する。このシステムは、ユーザーから提供されたサンプルに基づいてユーザーの酒気帯びの数値を生成する薬物検出器と、送迎サービスと通信する通知手段を備えており、この通知手段は酒気帯びの数値が所定の範囲外のときに送迎サービスに連絡する。この通知手段はまた、送迎サービスがユーザーの所在を確認できるように、送迎サービスに連絡をするときに、送迎サービスにナビゲーションデータを提供する。さらに、酒気帯びの数値は、血中アルコール含量の数値である。
【0005】
一実施形態において、このシステムは、イグニッション無効手段を備えており、そのイグニッション無効手段は、酒気帯びの数値が所定の範囲内のときにイグニッションシステムを有効にする。このシステムはまた、キー遮断手段を備えている。このキー遮断手段は、酒気帯びの数値が所定の範囲内のときにキーへのアクセスを提供する。
【0006】
別の実施形態において、通知手段は、ナビゲーションデータを送迎サービスへ提供するための衛星利用測位システム受信機と、送迎サービスと通信するためのトランシーバーを備えている。さらに、通知手段は、酒気帯びの数値が所定の範囲外のときに政府機関と保険代理店の少なくとも一つに連絡する。
【0007】
送迎サービスは、ユーザーの所在確認をするとすぐに、ユーザーに送迎手段を提供する。一構成において、通知手段は、送迎サービスに身元確認情報を提供し、送迎サービスは、自動的に口座へ課金する。別の構成において、このシステムは、ユーザーによって運転される乗物の内部に収容されており、送迎サービスは、乗物の所在確認によってユーザーの位置確認をし、その乗物へ送迎手段を提供する。このシステムにおいて、通知手段は、送迎サービスに身元確認情報を提供し、送迎サービスは、自動的に口座へ課金する。また、送迎サービスは、運転サービスと牽引サービスの少なくとも一つを備えている。このシステムはまた、ユーザーインターフェースを備えており、このユーザーインターフェースは、操作情報と酒気帯びの数値の少なくとも一つを表示する。
【0008】
本発明によれば、酒気帯びドライバー支援提供方法は、ユーザーから提供されたサンプルに基づいてユーザーの酒気帯びの数値を生成するステップと、酒気帯びの数値が所定の範囲外のときに送迎サービスに連絡するステップと、送迎サービスがユーザーの所在を確認できるように、この連絡するステップの間に送迎サービスにナビゲーションデータを提供するステップを備えている。この方法はまた、ユーザーとユーザーによって運転される乗物の少なくとも一つに送迎手段を提供するステップを備えている。
【0009】
生成するステップにおいて、酒気帯びの数値は、血中アルコール含量の数値である。この方法はさらに、イグニッション無効手段を提供して酒気帯びの数値が所定の範囲内のときにイグニッション無効手段でイグニッションシステムを有効にするステップを備えている。さらに、この方法はまた、キー遮断手段を提供して酒気帯びの数値が所定の範囲内のときにキー遮断手段でキーを有効にするステップを備えている。
【0010】
連絡するステップはまた、酒気帯びの数値が所定の範囲外のときに政府機関と保険代理店の少なくとも一つに連絡するステップを備えている。提供するステップはまた、送迎サービスに身元確認情報を提供して送迎サービスが自動的に口座へ課金するステップをさらに備えている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明は、添付した図面とともに理解される下記の説明を参照することによって一層良く理解されるが、本発明は示された構成や手段そのものに限定されるものではない。
【0012】
図1は、本発明の構成による酒気帯びドライバー支援提供システムを示す。
【0013】
図2は、本発明の構成による酒気帯びドライバー支援提供システムの別の実施形態を示す。
【0014】
図3は、本発明の構成による薬物検出器を示す。
【0015】
図4は、本発明の構成によるイグニッション無効手段を示す。
【0016】
図5は、本発明の構成によるキーへのアクセスが準備されていないキー遮断手段を示す。
【0017】
図6は、本発明の構成によるキーへのアクセスが準備されているキー遮断手段を示す。
【0018】
図7は、本発明の構成による通知手段を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の構成による酒気帯びドライバー支援提供システム100を図1に示す。システム100は、薬物検出器105と、通知手段110と、ユーザーインターフェース115を備えている。薬物検出器105は、ユーザーから提供されたサンプルに基づいてユーザーの酒気帯びの数値を生成する。一実施形態において、ユーザーインターフェース115は、酒気帯びの数値またはほかの操作情報を表示する。通知手段110は、無線通信回線125(後述)を用いた適切な回路構成を備えており、送迎サービス120に通信する。さらに、酒気帯びの数値が所定の範囲外のときに、通信手段110は、送迎サービス120に無線通信回線125上で連絡し、送迎サービス120がシステム110とユーザーの所在を確認できるように、送迎サービス120にナビゲーションデータを提供する。しかし、通知手段110はまた、必ずしも酒気帯びの数値に基づかないほかの適切な事象に基づいて、送迎サービス120と連絡してもよい。
【0020】
一実施形態において、酒気帯びの数値は血中アルコール含量数値であるが、酒気帯びの数値はユーザーによって摂取される様々な薬物の存在や濃度に基づくものであるので、本発明はこれに限定されない。本発明の目的のために、ユーザーによって摂取され薬物検出器105に酒気帯びの数値を生成させる薬物は、吸入、経口消費、経皮吸収、静脈注射、またはほかの任意の方法によってユーザーが体内に取り込んだどのような薬物をも含む。
【0021】
システム110はまた、制御とデータのインターフェースを有する中枢マイクロプロセッサ130を備えており、中枢マイクロプロセッサ130は薬物検出器105、通知手段110、ユーザーインターフェース115に接続している。この制御とデータのインターフェースを介して、中枢マイクロプロセッサ130は薬物検出器105、通知手段110、ユーザーインターフェース115の動作を制御する。さらに、中枢マイクロプロセッサ130は、従来の動作を目的としたメモリーに、適切なソフトウェアやファームウェアを備えており、プログラムルーチンもまた、本発明の構成による中枢マイクロプロセッサ130に設けられている。
【0022】
別の構成において、中枢マイクロプロセッサ130、薬物検出器105、通知手段110、ユーザーインターフェース115は、これら構成要素の相互間の無線通信を可能にするための適切な回路構成をすべて備えている。この構成において、これらの構成要素は無線通信回線135上で相互に通信する。無線通信回線125と無線通信回線135は、データの送信に適した任意のラジオ周波数(RF)を用いることができる。ここで定義すると、RFは、適切な媒体を経由して無線で伝搬可能な任意の電磁波を意味する。
【0023】
動作において、ユーザーは、サンプルを薬物検出器105へ提供する。サンプルは、薬物検出器105が酒気帯びの数値を生成できるものであればよい。適切な例として、呼気サンプル、尿サンプル、血液サンプルが含まれる。薬物検出器105は、制御とデータのインターフェースまたは無線通信回線135によって酒気帯びの数値を中枢マイクロプロセッサ130へ送信する。中枢マイクロプロセッサ130は、酒気帯びの数値に基づいて種々の機能を実行するが、そのいくつかを下記で明確にする。
【0024】
薬物検出器105により生成された酒気帯びの数値は、ユーザーによって提供された任意のサンプルについて、所定の範囲内または範囲外のどちらかである。例えば、ユーザーによって提供されたサンプルの所定の範囲は、特定の管轄区域内の血中アルコール含量の法定制限値に従っている。したがって、ユーザーが摂取した薬物すなわちアルコールのレベルが法定制限値を超えている場合、酒気帯びの数値は所定の範囲外となる。反対に、ユーザーが摂取した薬物のレベルが法定制限値以下の場合、酒気帯びの数値は所定の範囲内となる。しかし、所定の範囲はユーザーによって提供された任意の適切なサンプルについて定められ、本発明は特定の薬物についての管轄区域内の法定制限値を反映する所定の範囲を有することに限定されない。
【0025】
システム100の動作に戻ると、酒気帯びの数値が所定の範囲外のとき、中枢マイクロプロセッサ130は、制御とデータのインターフェースまたは無線通信回線135によって通知手段110へ信号を送信する。つぎに、通知手段110は、無線通信回線125によって送迎サービス120に連絡し、それによってナビゲーションデータを送迎サービス120へ提供する。
【0026】
一つの構成において、システム100は、ユーザーによって運転される乗物の内部に収容されている。この構成において、通知手段110が送迎サービス120に連絡してナビゲーションデータを提供するとき、そのナビゲーションデータは送迎サービス120がユーザーにより運転される乗物とユーザーの所在を確認できるようにする。送迎サービス120は、ユーザーに希望する場所への輸送を提供する。送迎サービス120はまた、ユーザーにより運転される乗物への輸送を提供する。例えば、送迎サービス120は、ユーザーによって運転される乗物を希望する場所へ牽引してユーザーも輸送する牽引サービス145である。
【0027】
システム100はユーザーによって運転される乗物の内部に収容されているが、システム100は乗物とは独立して機能する。したがって、通知手段100から送迎サービス120へ送信されるナビゲーションデータは、乗物の位置とはまったく関係なく、送迎サービスがシステム100とユーザーの所在を確認できるようにする。送迎サービス120がユーザーの所在を確認するとすぐに、送迎サービス120はユーザーに輸送を提供する。例えば、送迎サービス120は、タクシーサービスやリムジンサービスなどの運転サービス150である。
【0028】
一実施形態において図2に示すように、システム100はまた、イグニッション無効手段400とキー遮断手段500を備えている。システム100は、イグニッション無効手段400とキー遮断手段500を中枢マイクロプロセッサ130に接続するための制御とデータのインターフェースを備えている。別の構成において、イグニッション無効手段400、キー遮断手段500、中枢マイクロプロセッサ130は、無線通信回線135上でこれら構成要素の相互間の無線通信を可能にするための適切な回路構成を備えている。中枢マイクロプロセッサ130は、薬物検出器105によって生成された酒気帯びの数値に基づいてイグニッション無効手段400とキー遮断手段500へ信号を送る。
【0029】
イグニッション無効手段400は、薬物検出器105によって生成された酒気帯びの数値に基づいて選択的にイグニッションシステムを有効にするために用いられる。特に、イグニッション無効手段400はイグニッションシステムを無効にし、イグニッションシステムを有効にするためには中枢マイクロプロセッサ130からの信号を必要とする。薬物検出器105によって生成された酒気帯びの数値が、ユーザーが酒気帯びでないことを示す所定の範囲内のときに、中枢マイクロプロセッサ130は、イグニッションシステムを有効にするためにイグニッション無効手段400に信号を送信し、それによってユーザーがイグニッションシステムを操作することを可能にする。
【0030】
反対に、イグニッションシステムはまた、引き続き無効のままであり、酒気帯びのユーザーがイグニッションシステムを操作することを防止する。例えば、薬物検出器105によって生成された酒気帯びの数値が、ユーザーが酒気帯びであることを示す所定の範囲外のときに、イグニッション無効手段400は、イグニッションシステムを有効にせず、それによってユーザーがイグニッションシステムを操作することを防止する。しかし、本発明はこれに限定されず、イグニッション無効手段400はまた、薬物検出器105によって生成された酒気帯びの数値に基づいてイグニッションシステムを無効にするために中枢マイクロプロセッサ130から信号を受信してもよい。イグニッション無効手段400がイグニッションシステムを有効および無効にする方法は、後述する。
【0031】
キー遮断手段500は、薬物検出器105によって生成された酒気帯びの数値に基づいてキーへのアクセスを提供する。一例として、キー遮断手段500はキーを保管し、すなわちキーへのアクセスを否認し、キーへのアクセスを提供するためには中枢マイクロプロセッサ130からの信号を必要とする。酒気帯びの数値が、ユーザーが酒気帯びでないことを示す所定の範囲内であることを、中枢マイクロプロセッサ130が送信すると、キー遮断手段500はキーへのアクセスを提供する。反対に、酒気帯びの数値が、ユーザーが酒気帯びであることを示す所定の範囲外であることを、中枢マイクロプロセッサ130が送信すると、キー遮断手段500はキーへのアクセスを提供しない。キーへのアクセスがなければ、キー遮断装置500は、酒気帯びのユーザーがイグニッションシステムにキーを差し込むことを防止し、最終的に、酒気帯びのユーザーが乗物を操作することを停止する。選択的にキーへのアクセスを提供する方法は、後述する。
【0032】
図3に、本発明の構成による薬物検出器105の一例を示す。この例において、薬物検出器105は、一般にブレサライザーと呼ばれる呼気アルコール試験装置である。この装置は、ユーザーの血中アルコール含量を測定するためのアルコールを含んだ化学反応剤に依存している。薬物検出器105は、マウスピース310、チューブ312、サンプル室314、圧力スイッチ316、飲酒検出器マイクロプロセッサ318、光電セルシステム320、呼気分析で用いられる化学薬品を保管するための複数のバイアル322を含んでいる。チューブ312は、マウスピース310に取り付けられ、ユーザーからサンプル室314へ吐き出された空気を導く。伝染病の拡散を防止し、全面的に衛生的な状態を確保するために、マウスピース310は、プラスチックストローのような、使用後に便利に取り外しできる使い捨ての細長いチューブである。
【0033】
さらに、光電セルシステム320とバイアル322は、サンプル室314内に収容されており、圧力スイッチ316は、チューブ312内に位置している。一つの構成において、圧力スイッチ316は、その入口の圧力が所定の閾値に達したときに電気的に閉じるように構成されている。薬物検出器マイクロプロセッサ318は、光電セルシステム320の動作を制御し、圧力スイッチ316からの信号を受信する。薬物検出器マイクロプロセッサ318はまた、制御とデータのインターフェースを経由して中枢マイクロプロセッサ130から信号を受信し、信号を送信することができる。別の構成において、薬物検出器マイクロプロセッサ318は、無線通信回線135上で中枢マイクロプロセッサ130との通信を可能にする適切な回路構成を備えている。薬物検出器マイクロプロセッサ318はまた、制御とデータのインターフェースを経由して、または無線通信回線135を経由して、通知手段110、ユーザーインターフェース115、イグニッション無効手段400、キー遮断手段500から信号を受信し、これらへ信号を送信する。
【0034】
ユーザーの呼気がチューブ312を通過すると、圧力スイッチ316の入口の圧力が増加する。その圧力が所定の閾値に達すると、圧力スイッチ316は電気的に閉じ、その結果、条件を満たした呼気サンプルを受領したという信号を薬物検出器マイクロプロセッサ318へ送る。薬物検出器マイクロプロセッサ318が所定の時間内に圧力スイッチ316から信号を受信しないときは、薬物検出器マイクロプロセッサ318は中枢マイクロプロセッサ130へ信号を送る。それに応答して、中枢マイクロプロセッサ130は、ユーザーインターフェースへ操作情報を提供するように促し、ユーザーへ別の呼気サンプルを提供することを要求する。薬物検出器マイクロプロセッサ318が圧力スイッチ316から信号を受信した後、薬物検出器マイクロプロセッサ318は光電セルシステム320へ信号を送る。
【0035】
呼気サンプルはサンプル室314へ入り、少なくとも一つのバイアル322中の化学混合物を通してバブリングされ、その結果、化学反応を起こす。一例として、呼気サンプルは、硫酸、重クロム酸カリウム、硝酸銀、水を含む混合物を通してバブリングされる。この反応の副生成物には、硫酸クロム、硫酸カリウム、酢酸が含まれる。この反応中、呼気サンプル中に存在するアルコールと反応して、赤みを帯びた橙色の重クロム酸イオンが緑色のクロムイオンに変化する。この色の変化の程度は、吐き出された空気中のアルコールのレベルに直接関係する。
【0036】
光電セルシステム320は、反応済の混合物を含むバイアル322を未反応の混合物を含むバイアル322と比較する。その二つの混合物の色の違いに基づき、光電セルシステム320は電気的信号を発生してその信号を薬物検出器マイクロプロセッサ318へ送信する。薬物検出器マイクロプロセッサ318は、その電気的信号に基づき血中アルコール含量の数値を生成し、その数値を中枢マイクロプロセッサ116へ送る。
【0037】
しかし、当業者は、薬物検出器105が異なった構成要素を備え、ユーザーにより摂取された種々の物質の存在と濃度を検出するための異なった方法を用いることができることを理解するだろう。例えば、薬物検出器105は、ユーザーによって摂取された物質を検出するために、一般に飲酒検知器で用いられる赤外分光器を採用することができる。したがって、上記の例は実例に過ぎず、本発明はこの薬物検出器105に限定されるものではなく、本発明においてはあらゆる適切な薬物検出器を用いることができる。
【0038】
図4に、本発明の構成によるイグニッション無効手段400の一例を示す。イグニッション無効手段400は、イグニッションマイクロプロセッサ410とリレー412を備えている。リレー412は電源に接続し、イグニッションシステム416への電力の伝送を制御する。したがって、イグニッションマイクロプロセッサ410とリレー412は、イグニッションシステム416へ電力を供給する回路414を形成している。一例として、イグニッション無効手段400は、乗物(図示せず)の一部分であって、イグニッションシステム416は、乗物のイグニッションシステムである。当業者にとって、イグニッション無効手段400がスパークプラグなどの種々の部品に接続されることは自明である。イグニッションマイクロプロセッサ410は、制御とデータのインターフェースを経由して中枢マイクロプロセッサ130と通信する。別の構成において、イグニッションマイクロプロセッサ410は、無線通信回線135上で中枢マイクロプロセッサ130と通信することを可能にする適切な回路構成を備えている。イグニッションマイクロプロセッサ410は、中枢マイクロプロセッサ130から受信した信号に基づき、回路414を開閉するための切り替え可能なリレー412を制御する。
【0039】
例えば、薬物検出器105が、ユーザーが酒気帯びでないことを示す所定の範囲内の酒気帯びの数値を生成すると、中枢マイクロプロセッサ130は、イグニッションマイクロプロセッサ410へ信号を送る。中枢マイクロプロセッサ130から信号を受信した後、イグニッションマイクロプロセッサ410は、リレー412に回路414を被開くように指示し、イグニッションシステム416を無効にして酒気帯びのユーザーが乗物を運転することを防止する。あるいは、回路414は、いったんイグニッションシステム416の電源が切れるとリレー412が回路414を開く初期状態を有している。したがって、イグニッションシステム416は前もって無効になっており、イグニッション無効手段400は、中枢マイクロプロセッサ130から許可信号を受信したときにイグニッションシステム416を有効にする。この許可信号は、薬物検出器105によって生成された酒気帯びの数値が所定の範囲内である場合に送信される。
【0040】
図5と図6に、本発明の構成によるキー遮断手段500の一例を示す。この実施形態において、キー遮断手段500は、遮断手段510、一つ以上のモーター512、遮断手段マイクロプロセッサ514、遮断手段510の全長にほぼ沿って通じる一つ以上のトラック516、連結機構517を備えている。キー518は、一つ以上のトラック516にスライド可能に取り付けられている。遮断手段マイクロプロセッサ514は、モーター512、連結機構517、制御とデータのインターフェースを経由して中枢マイクロプロセッサ130に接続しており、遮断手段マイクロプロセッサ514はまた、無線通信回線135上で中枢マイクロプロセッサ130と通信することを可能にする適切な回路構成を備えている。
【0041】
キー遮断手段510は、ユーザーがキー518の一部分を押し込んで連結機構517へ接触させると、キー518を無効にする。図6に示すように、キー518の接触を感知して、遮断手段マイクロプロセッサ514は、連結機構517にキー518を固定するように指示する。例えば、連結機構517は、ソレノイド動作のスナップまたはクランプであるが、本発明はこれに限定されず、あらゆる適切な連結機構517を用いることができる。いったん連結機構517がキー518を固定すると、遮断手段マイクロプロセッサ514はモーター512にキー518へ動作を伝えるための信号を送る。モーター512は、キー518の機能領域520の少なくとも一部分へのアクセスが解除されるまで、トラック516に沿ってキー518を引っ込める。この過程は、図5に示すようにキー518を無効にする。本発明の目的に対して、「機能領域」という用語は、例えば、錠やイグニッションシステムにかみ合わせるために用いられるキーの一部分を含む。
【0042】
動作において、薬物検出器105によって生成された酒気帯びの数値は、中枢マイクロプロセッサ130を経由して遮断手段マイクロプロセッサ514へ送信される。酒気帯びの数値が、ユーザーが酒気帯びでないことを示す所定の範囲内であるときに、キー遮断手段500はキー518へアクセスを提供する。図6に示すように、遮断手段マイクロプロセッサ514は、モーター512に動作を伝えるように指示し、キー518の機能領域520の少なくとも一部が露出するまで、トラック516に沿ってキー518をスライドさせ、これによってキー518へのアクセスを提供する。あるいは、図5に示すように、酒気帯びの数値が所定の範囲外であるときに、キー遮断手段500は、キー518の機能領域520の露出を可能にしないことによって、キー518へのアクセスを防止する。
【0043】
図7に、本発明の構成による通知手段110の一例を示す。通知手段110は、通知手段マイクロプロセッサ610、衛星利用測位システム受信機612、メモリー614、トランシーバー616を備えている。衛星利用測位システム受信機612は、ナビゲーションデータを受信し、トランシーバー616は、そのナビゲーションデータとメモリー614に保存された身元確認情報を送信する。例えば、身元確認情報は、ユーザーの名前、社会保障番号、自宅住所、クレジットカード情報、以前の飲酒運転違反記録、またはほかの関連する情報を含んでいる。前に説明したように、通知手段110は、薬物検出器105が所定の範囲外の酒気帯びの数値を生成したときに、送迎サービス120に連絡する。別の実施形態において、通知手段はまた、酒気帯びの数値が所定の範囲外のときに、政府機関618および/または保険代理店620に連絡する。一例として、政府機関618は、警察署、またはユーザーの保護観察期間を監督する機関である。
【0044】
衛星利用測位システム受信機612は、少なくとも一つの衛星と信号の送受をするための適切な回路を有すればどのような通信システムであってもよい。衛星利用測位システム受信機612は、無線通信回線140上で信号の送受をするための適切なRF規格を使用できる。衛星利用測位システム受信機612は、少なくとも一つの衛星612から得たデータを通知手段マイクロプロセッサ610へ送信する。
【0045】
好ましくは、衛星利用測位システム受信機612は、少なくとも三つの衛星と通信し、通知手段マイクロプロセッサ610へ、各衛星と信号を送受するために要する時間を送信する。したがって、衛星利用測位システム受信機612は、衛星622に収容されている計時手段とほぼ同期を取ることのできる水晶時計などの計時手段(図示せず)を有している。通知手段マイクロプロセッサ610は、送受される信号の伝搬速度がプログラムされており、信号が送受された時間を用いて、ユーザーから各衛星622までの距離を算出する。従来から知られている幾何学的法則を用いて、通知手段マイクロプロセッサ610は、トランシーバー616を経由して異なった事業体へナビゲーションデータとして送信されるユーザーの位置を三角測量によって測量する。
【0046】
トランシーバー616は、一つ以上の事業体に連絡するための適切な回路構成を有するどのような通信システムであってもよい。一例として、トランシーバー616は、一次切り替え電話機回線網(PSTN)(図示せず)上で電話信号を送受できる標準的な電話システムである。あるいは、トランシーバー616は、無線通信回線125上で信号を送受できる無線通信システムであってもよい。任意の適切なRF規格が、無線通信回線125上で信号を送受ために用いられる。別の構成において、トランシーバー616は、インターネットなどの通信ネットワーク上でデータを送受するためのモデムを備えている。
【0047】
どちらの実施形態においても、トランシーバー616は、送迎サービス120、政府機関618、および/または保険代理店620などの受信事業体へサービス信号を送信する。この伝送信号は、システム100の所在確認をするためのナビゲーションデータ、身元確認情報、そして、システム100のユーザーが支援を必要とする送迎サービス120に連絡するための予め録音されたメッセージも含んでいる。この予め録音されたメッセージは、メモリー614に保存された音声録音であり、送迎サービス120によって受信可能である。あるいは、この予め録音されたメッセージは、モニターに表示可能な映像メッセージである。送迎サービス120は、口座へ自動的に課金するために身元確認情報を使用する。本発明の目的のために、その口座は、送迎サービス120に事前に開設された口座、ユーザーのクレジットカード口座、または課金可能なほかの任意の口座であってもよい。例えば、酒気帯びドライバーが支援を必要としているという信号を送迎サービス120が受信すると、送迎サービス120は、自動的にそのユーザーの口座へ課金して、ユーザーが本人自身で送迎サービス120へ支払う必要性を獲得し、酒気帯びのユーザーが異なる対価の交渉を試みることを防止する。
【0048】
再び図1を参照すると、以前に言及したように、システム100はまた、ユーザーインターフェース115を備えている。このユーザーインターフェース115は、液晶ディスプレイ(図示せず)を備えているが、本発明はこれに限定されず、ほかの表示装置を用いてもよい。ユーザーインターフェース115は、酒気帯びの数値、操作情報、またはこれらの組み合わせを表示する。例えば、ユーザーインターフェース115は、血中アルコール含量の数値、警告メッセージ、所在情報、または薬物検出器105へサンプルを提供する要求などの指示を表示する。しかし、本発明はこれに限定されず、任意の適切な情報を表示してもよい。
【0049】
本発明は、ここで開示した実施形態を結合して説明したが、前記記載は説明のために意図されたものであり、請求の範囲で規定された発明の範囲を限定するものではない。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーから提供されたサンプルに基づいてユーザーの酒気帯びの数値を生成する薬物検出器と、送迎サービスと通信する通知手段とを備え、前記通知手段は前記酒気帯びの数値が所定の範囲外のときに前記送迎サービスに連絡するとともに、前記通知手段は前記送迎サービスが前記ユーザーの所在を確認できるように、前記送迎サービスに連絡をするときに前記送迎サービスにナビゲーションデータを提供することを特徴とする酒気帯びドライバー支援提供システム。
【請求項2】
前記酒気帯びの数値は、血中アルコール含量の数値であることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
さらにイグニッション無効手段を備えており、このイグニッション無効手段は、前記酒気帯びの数値が所定の範囲内のときにイグニッションシステムを有効にすることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項4】
さらにキー遮断手段を備えており、このキー遮断手段は、前記酒気帯びの数値が所定の範囲内のときにキーへのアクセスを提供することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記通知手段は、ナビゲーションデータを前記送迎サービスへ提供するための衛星利用測位システム受信機と、前記送迎サービスと通信するためのトランシーバーとを備えていることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記通知手段は、前記酒気帯びの数値が所定の範囲外のときに政府機関と保険代理店の少なくとも一つにさらに連絡することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記送迎サービスは、前記ユーザーの所在確認をすると前記ユーザーに送迎手段を提供することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記通知手段は、さらに前記送迎サービスに身元確認情報を提供し、前記送迎サービスは、自動的に口座へ課金することを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記システムは、前記ユーザーによって運転される乗物の内部に収容されており、前記送迎サービスは、前記乗物の所在確認によって前記ユーザーの位置確認をするとともに、前記送迎サービスは、前記乗物へ送迎手段を提供することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記通知手段は、さらに前記送迎サービスに身元確認情報を提供し、前記送迎サービスは、自動的に口座へ課金することを特徴とする請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記送迎サービスは、運転サービスと牽引サービスの少なくとも一つを備えていることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項12】
さらにユーザーインターフェースを備えており、このユーザーインターフェースは、操作情報と前記酒気帯びの数値の少なくとも一つを表示することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項13】
ユーザーから提供されたサンプルに基づいてユーザーの酒気帯びの数値を生成するステップと、前記酒気帯びの数値が所定の範囲外のときに送迎サービスに連絡するステップと、前記送迎サービスが前記ユーザーの所在を確認できるように前記連絡するステップの間に前記送迎サービスにナビゲーションデータを提供するステップを備えていることを特徴とする酒気帯びドライバー支援提供方法。
【請求項14】
さらに前記ユーザーと前記ユーザーによって運転される乗物の少なくとも一つに送迎手段を提供するステップを備えていることを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記酒気帯びの数値は、血中アルコール含量の数値であることを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項16】
さらにイグニッション無効手段を提供するステップを備え、前記酒気帯びの数値が所定の範囲内のときに前記イグニッション無効手段でイグニッションシステムを有効にすることを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項17】
さらにキー遮断手段を提供するステップを備え、前記酒気帯びの数値が所定の範囲内のときに前記キー遮断手段でキーを有効にすることを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項18】
前記連絡するステップは、さらに前記酒気帯びの数値が所定の範囲外のときに政府機関と保険代理店の少なくとも一つに連絡するステップを備えていることを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項19】
前記提供するステップは、さらに前記送迎サービスに身元確認情報を提供するステップを備え、前記送迎サービスは自動的に口座へ課金することを特徴とする請求項13記載の方法。


【公表番号】特表2006−505067(P2006−505067A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−550172(P2004−550172)
【出願日】平成15年10月29日(2003.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2003/034257
【国際公開番号】WO2004/041583
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(502215030)
【Fターム(参考)】