説明

酸化アルミニウムを含む複数の金属酸化物からなる原料を粉砕して、均一な微粉砕混合物を得るための一貫粉砕システム、および、その制御システム

【課題】酸化アルミニウムを含む複数の酸化金属からなる微粉末原料を粉砕して均一な微粉砕混合物を得るための一貫粉砕システムを提供する。
【解決手段】[前処理工程]複数の原料と溶剤をボールミルの円筒粉砕室に入れスラリー化する工程、撹拌槽で攪拌し、攪拌後トレーにためておく工程、トレーを箱型乾燥機で乾燥し、塊状物とする工程、[粉砕工程]塊状物をジョークラッシャー粉砕機で粗粉砕を行う工程、粗粉砕後、輸送機で輸送して固定型ホッパーにためておく工程、ホッパーから一定量をダブルロールクラッシャーに供給して粉砕する工程、粉砕品を分級してホッパーへためる工程、ホッパーへためた粉砕品を振動ミル微粉砕機を使用して微粉砕を行う工程、微粉砕品をペール缶にためる工程、この[粉砕工程]を全て密閉式で行い、[後処理工程]微粉砕品をV型混合機を使用して均一に混合させる工程からなる一貫粉砕システム。前記の全工程を制御するシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化アルミニウムを1%から10%含む複数の金属酸化物からなる微粉末原料を粉砕して、均一な微粉砕混合物を得るための各連続工程からなる一貫粉砕システムに関する。また、その最適な制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、酸化アルミニウムを1%から10%含む複数の金属酸化物からなる微粉末原料を粉砕するためには、ダブルロールクラッシャーの多段型中粉砕機が使用されてきた。
前記ダブルロールクラッシャーは、500ミクロン程度に粉砕するには適していた。
しかし、近年、より細かい粒子(250ミクロン以下)が求められてきており、それをダブルロールクラッシャーで前記の目標粒子を達成するには、何度も繰り返して粉砕しなければならず、粒子が細かくなればなるほど、処理に大きな圧力が必要になり、処理時間が7時間から8時間も掛かっていた。
また、粉砕機を開放系で行っていたために、原料が飛散してしまい、収率も20%位と低かった。
【0003】
さらに、装置が開放系であるために外部から異物が混入する可能性もあった。
このような異物の混入(コンタミ)を防ぐことが要求されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−007367号公報
【特許文献2】特開平6−304488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、前記したダブルロールクラッシャーの多段型中粉砕機における障害となる長い処理時間と収率の低さを解消できない点である。
前記欠点を解消した一貫粉砕システムを提供することを課題とする。
さらに、その最適な制御システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、酸化アルミニウムを1%から10%含む含む複数の金属酸化物からなる微粉末原料を粉砕して、均一な微粉砕混合物を得るための以下の各工程からなる一貫粉砕システムであり、[前処理工程]として、(1)複数の原料と溶剤をボールミルの円筒粉砕室に入れスラリー化する工程、(2)撹拌槽で攪拌し、攪拌後トレーにためておく工程、(3)トレーを箱型乾燥機で乾燥し、塊状物とする工程からなり、続いて[粉砕工程]として、(4)塊状物をジョークラッシャー粉砕機で粗粉砕を行う工程、(5)粗粉砕後、輸送機で輸送して固定型ホッパーにためておく工程、(6)ホッパーから一定量をダブルロールクラッシャーに供給して粉砕する工程、(7)粉砕品を分級してホッパーへためる工程、(8)ホッパーへためた粉砕品を振動ミル微粉砕機を使用して微粉砕を行う工程、(9)微粉砕品をペール缶にためる工程からなり、前記(4)工程から(9)工程の[粉砕工程]を全て密閉式で行い、最後に[後処理工程]として、(10)微粉砕品をV型混合機を使用して均一に混合させる工程からなる一貫粉砕システムであることを最も主要な特徴とする。
さらに、前記の全工程を制御するシステムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一貫粉砕システム、および、その制御システムは、
(1)従来の粉砕機では、8時間掛けても目的とする粒度の収率が20%位と低かったのに対して、本発明では、目的とする粒度の収率が、約1時間で収率50%以上、約2時間で90%以上、約4時間で95%以上と高くなる。
(2)そのために、本発明によれば、1日に約1トン以上の処理量を達成できる。
(3)さらに、本発明は、均一な微粉砕混合物を得ることができきる。
(4)その上、原料の外部への飛散や、外部から異物の混入(コンタミ)を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は密閉式で行う[粉砕工程]を示した側面図である。(実施例1)
【図2】図2はボールミル粉砕機および水冷用のチラーユニットを示した説明図である。(実施例1)
【図3】図3は撹拌槽およびトレーを示した説明図である。(実施例1)
【図4】図4は前開き扉を有する箱型乾燥機を示した説明図である。(実施例1)
【図5】図5はジョークラッシャー粗粉砕機およびその上下に設けたホッパーを示した説明図である。(実施例1)
【図6】図6はダブルロールクラッシャー型中粉砕機、および該中粉砕機の上部にホッパー、下部に分級機、ならびにそれらの間を結ぶ輸送機・供給機を示した説明図である。(実施例1)
【図7】図7は振動ミル微粉砕機および水冷用のチラーユニット、その上部にホッパー、下部に分級機、およびそれらの間を結ぶ輸送機・供給機、ならびにペール缶を示した説明図である。(実施例1)
【図8】図8はV型混合機およびキャスター付きペール缶を示した説明図である。(実施例1)
【図9】図9はボールミル粉砕機および水冷用のチラーユニットのフローシートである。(実施例2)
【図10】図10は撹拌槽のフローシートである。(実施例2)
【図11】図11は箱型乾燥機のフローシートである。(実施例2)
【図12】図12はジョークラッシャー粗粉砕機およびその上下に設けたホッパーのフローシートである。(実施例2)
【図13】図13はダブルロールクラッシャー型中粉砕機、および該中粉砕機の上部にホッパー、下部に分級機、ならびにそれらの間を結ぶ輸送機・供給機のフローシートである。(実施例2)
【図14】図14は振動ミル微粉砕機および水冷用のチラーユニット、その上部にホッパー、下部に分級機、およびそれらの間を結ぶ輸送機・供給機、ならびにペール缶のフローシートである。(実施例2)
【図15】図15はV型混合機およびキャスター付きペール缶のフローシートである。(実施例2)
【図16】図16は制御部と各装置との情報の行き来と制御を示した説明図である。(実施例2)
【図17】ダブルロールクラッシャー型中粉砕機のみで行った結果の顕微鏡写真(40倍)である。
【図18】本願発明の工程で行った結果の顕微鏡写真(40倍)である。
【図19】本願発明の工程で行った結果の顕微鏡写真(100倍)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、酸化アルミニウムを1%から10%含む含む複数の金属酸化物からなる微粉末原料を粉砕して、250ミクロン以下の均一な微粉砕混合物を得るための以下の各工程からなる一貫粉砕システムである。
なお、金属酸化物の金属としては、アルミニウムの他に、鉄、ニッケル、コバルト、亜鉛等である。
また、これらの金属酸化物は、500ミクロンから1000ミクロン程度の微粉末として市販されている。
【0010】
[前処理工程]
(1)ボールミル粉砕機および水冷用のチラーユニットからなり、
複数の微粉末原料をボールミル粉砕機の円筒粉砕室に入れ、球形の粉砕用ボールを使用し、水あるいは有機溶剤を一緒に入れ、円筒粉砕室において、粉砕と混合とを同時に行いスラリー化する工程、
(2)撹拌槽およびトレーからなり、
前(1)工程のスラリーを撹拌槽に供給し、撹拌層で十分に攪拌して、攪拌後トレーにためておく工程、
(3)前開き扉を有する箱型乾燥機からなり、
前(2)工程のトレーを箱型乾燥機に格納し、低温(100℃程度)で乾燥して、複数の原料からなる混合物を50mmから100mm程度の塊状物とする工程からなる。
【0011】
[粉砕工程]
(4)ジョークラッシャー粗粉砕機および該粗粉砕機の上下にホッパーを設け、下部ホッパーの下に設けた密閉式輸送機からなり、
前(3)工程の塊状物を上部ホッパーからジョークラッシャー粗粉砕機に供給し、ジョークラッシャー粗粉砕機を使用して、5mmから10mm程度に粗粉砕を行う工程、
(5)前(4)工程の粗粉砕後、前記粗粉砕機下部の固定型ホッパーにためておく工程、
(6)ダブルロールクラッシャー型中粉砕機、および該中粉砕機の上部にホッパー、下部に分級機、その下部に密閉式輸送機を設け、前工程から上部のホッパーの間を結ぶ密閉式輸送機、並びにホッパーから該中粉砕機に送る密閉式供給機、分級機から前(4)工程の密閉式輸送機へ送る密閉式供給機からなり、
前(5)工程の固定型ホッパーから、密閉式輸送機を使用して、粗粉砕品を上部のホッパーに輸送し、該上部のホッパーから供給機で一定量をダブルロールクラッシャー型中粉砕機に供給し、粗粉砕品を500ミクロン程度になるように粉砕する工程、
(7)前(6)工程で粉砕した粉砕品を分級機を使用して分級し、目標粒度に達した粉砕品を分級機下部の密閉式輸送機へ送る際に、目標粒度へ達していない粉砕品は、分級機から密閉式供給機を使用して、再度、前(6)工程の密閉式輸送機へ戻すことにより、目標粒度(平均粒度500ミクロン程度)に達した粉砕品を分級機下部の密閉式輸送機へ送る工程、
(8)振動ミル微粉砕機および水冷用のチラーユニット、該微粉砕機の上部にホッパー、下部に分級機、および前(6)工程の密閉式輸送機から上部のホッパーの間を結ぶ密閉式輸送機、ホッパーから該微粉砕機に供給する密閉式供給機、ならびに分級機からの微粉砕品をためるペール缶等の密閉式容器からなり、
前(7)工程の粉砕品を密閉式輸送機を使用して、上部のホッパーに輸送し、該上部のホッパーから密閉式供給機を使用して、振動ミル微粉砕機へ供給して微粉砕を行い、該微粉砕機で粉砕された微粉砕品を、分級機を使用して数十ミクロンのものを分級し、目標粒度に達しない粉砕品は、密閉式供給機を使用して、前(7)工程の密閉式輸送機へ戻すことにより、目標粒度(平均粒度80ミクロン、最大粒度250ミクロン程度)に達成する工程、
(9)前(8)工程で目標粒度に達成した微粉砕品を密閉式容器にためる工程、前記(4)工程から(9)工程の[粉砕工程]を全て密閉式で行う。
【0012】
[後処理工程]
(10)V型混合機および容器からなり、
前(9)工程の密閉式容器から微粉砕品をV型混合機に供給し、V型混合機により、粒度の異なる微粉砕品を均一に混合させ、目標粒度(平均粒度80ミクロン、最大粒度250ミクロン程度)の微粉砕品を均一に混合し、容器にためて、均一な微粉砕混合物からなる製品とする工程、からなることを特徴とした一貫粉砕システムである。
前記一貫粉砕システムにより、均一な混合物を短時間で効率よく得ることを実現した。
【0013】
また、本発明は、前記[前処理工程]、[粉砕工程]、および[後処理工程]からなる一貫粉砕システムを好適に制御するための以下のとおりの制御システムからなる。
[前処理工程]
(1)ボールミル粉砕機および水冷用のチラーユニットからなり、
複数の原料をボールミル粉砕機の円筒粉砕室に入れ、球形の粉砕用ボールを使用し、水あるいは有機溶剤を一緒に入れ、前記円筒粉砕室において、粉砕と混合とを同時に行いスラリー化する工程において、
円筒粉砕筒の材料投入口位置に下向き磁気センサーに反応する金属等、円筒粉砕筒の下部位置に上向き磁気センサーに反応する金属等を取り付け、さらに対応する外部固定位置に磁気センサーを取り付け、その情報を制御部へ送り、フィードバックすることにより、電動機に取り付けられた電磁ブレーキにより円筒粉砕筒への材料の投入と排出とを制御部から制御する。
また、ボールミル粉砕機の駆動回転部に回転数センサーを取り付け、その情報を制御部へ送り、フィードバックすることにより、制御部から粉砕機の回転を制御する、
さらに、前記円筒粉砕室内部温度を一定に保つように円筒粉砕筒外部をジャケット構造とし、ここに前記粉砕機の外部に設けた冷却用のチラーユニットを接続し、前記円筒粉砕室温度の制御は、円筒粉砕室入口の水の温度を一定になるようにチラーユニット出口の水の温度を温度センサーにより得て、その情報を制御部へ送り、フィードバックすることにより制御する。
(2)撹拌槽およびトレーからなり、
前(1)工程のスラリーを撹拌槽で十分攪拌して、攪拌後、トレーにためておく工程において、撹拌槽の運転時間は、制御部のタイマーから制御する。
(3)前開き扉を有する箱型乾燥機からなり、
前(2)工程のトレーを箱型乾燥機に格納し、低温(100℃程度)で乾燥して、複数の原料からなる混合物を50mmから100mm程度の塊状物とする工程において、
乾燥室内部に温度センサーを設け、その情報を制御部へ送り、フィードバックすることにより、制御部から乾燥温度を制御する。
また、送風機モーターおよびヒータの運転時間は、制御部から制御する。
【0014】
[粉砕工程]
(4)ジョークラッシャー粗粉砕機および該粗粉砕機の上下にホッパーを設け、下部ホッパーの下に設けた密閉式輸送機からなり、
前(3)工程の塊状物を上部ホッパーからジョークラッシャー粗粉砕機に供給し、ジョークラッシャー粉砕機を使用して、5mmから10mm程度に粗粉砕を行う工程において、
粗粉砕機の運転時間は、制御部のタイマーから制御する。
(5)前(4)工程の粗粉砕後、粗粉砕機下部の固定型ホッパーにためておく工程において、
前記ホッパーには、ホッパー内の容量を監視する容量センサーを設け、その情報を制御部へ送り、フィードバックすることにより、制御部から前(4)工程の粗粉砕機の回転速度を制御する。
(6)ダブルロールクラッシャー型中粉砕機、および該中粉砕機の上部にホッパー、下部に分級機、その下部に密閉式輸送機を設け、前工程から上部のホッパーの間を結ぶ密閉式輸送機、並びにホッパーから該中粉砕機に送る密閉式供給機、分級機から前(4)工程の密閉式輸送機へ送る密閉式供給機からなり、
前(5)工程の固定型ホッパーから、輸送機を使用して、粗粉砕品を上部のホッパーに輸送し、該上部のホッパーから供給機で一定量をダブルロールクラッシャー型中粉砕機に供給し、粗粉砕品を500ミクロン程度になるように粉砕する工程において、
中粉砕機の上段および下段の2個のモーターに回転数センサーを取り付け、その情報を制御部へ送り、フィードバックすることにより、制御部から多段型中粉砕機の回転速度を制御し、また、中粉砕機の運転時間は、制御部のタイマーから制御する。
さらに、前記密閉式輸送機および密閉式供給機の運転時間・運転速度は、制御部から制御する。
(7)前(6)工程で粉砕した粉砕品を分級機を使用して分級し、目標粒度に達した粉砕品を分級機下部の密閉式輸送機へ送る際に、目標粒度へ達していない粉砕品は、分級機から密閉式供給機を使用して、再度、前(6)工程の密閉式輸送機へ戻すことにより、目標粒度(平均粒度500ミクロン程度)に達した粉砕品を分級機下部の密閉式輸送機へ送る工程において、
前記密閉式輸送機のモーターに回転数センサーを設け、また前記ホッパーの上部には、ホッパー内の容量を監視する容量センサーを設け、その情報を制御部へ送り、フィードバックすることにより、制御部から輸送機の輸送速度を制御する。
(8)振動ミル微粉砕機および水冷用のチラーユニット、該微粉砕機の上部にホッパー、下部に分級機、および前(6)工程の密閉式輸送機から上部のホッパーの間を結ぶ密閉式輸送機、ホッパーから該微粉砕機に供給する密閉式供給機、ならびに分級機からの微粉砕品をためるペール缶等の密閉式容器からなり、
前(7)工程の粉砕品を輸送機を使用して、上部のホッパーに輸送し、該上部のホッパーから供給機を使用して、振動ミル微粉砕機へ供給して微粉砕を行い、該微粉砕機で粉砕された微粉砕品を、分級機を使用して数十ミクロンのものを分級し、目標粒度に達しない粉砕品は、密閉式供給機を使用して、前(7)工程の密閉式輸送機へ戻すことにより、目標粒度(平均粒度80ミクロン、最大粒度250ミクロン程度)に達成する工程において、
前記微粉砕機の駆動部のベアリング部分に温度センサーを設け、また、前記密閉式輸送機のモーターに回転数センサーを設け、それらの情報を制御部に送り、フィードバックすることにより、制御部から微粉砕機の温度を常時監視し、微粉砕機および密閉式輸送機の回転速度を制御し、また、微粉砕機および密閉式輸送機の運転時間は、制御部のタイマーから制御する。
さらに、前記振動ミル微粉砕機の温度を一定に保つように、振動ミルの外部をジャケット構造とし、ここに前記振動ミル外部に設けた冷却用のチラーユニットを接続し、前記振動ミルの温度の制御は、振動ミル外部のジャケット入口の水の温度を一定になるようにチラーユニット出口の水の温度を温度センサーにより得て、その情報を制御部へ送り、フィードバックすることにより制御する。
(9)前(8)工程で目標粒度に達成した微粉砕品を密閉式容器にためる工程において、
密閉式容器に容量センサーを設け、その情報を制御部へ送り、フィードバックすることにより、制御部から密閉式容器上部に取り付けられたバルブを制御する。
前記(4)工程から(9)工程の[粉砕工程]を全て密閉式で行う。
【0015】
[後処理工程]
(10)V型混合機および容器からなり、
前(9)工程の密閉式容器から微粉砕品をV型混合機に供給し、V型混合機により、粒度の異なる微粉砕品を均一に混合させ、目標粒度80ミクロンから最大250ミクロン程度の微粉砕品を均一に混合し、容器にためて、均一な微粉砕混合物からなる製品とする工程において、
V型混合機のモーターに回転数センサーを設け、その情報を制御部に送り、フィードバックすることにより、制御部からV型混合機モーターの回転速度を制御する。
また、V型混合機の運転時間は、制御部のタイマーから制御する。
(11)制御部は、前記(1)工程から(10)工程の各種情報を得て、全工程を制御部から集中制御することを特徴とした一貫粉砕制御システムにより、均一な混合物を短時間で効率よく得ることを実現した。
【実施例1】
【0016】
図1は、前記本発明の[粉砕工程]を示す装置の1実施例の側面図であって、Gはジョークラッシャー粗粉砕機、Jはダブルロールクラッシャー中粉砕機、Lは振動ミル微粉砕機である。また、Bは水冷用のチラーユニット、Fはホッパー、Hは密閉式輸送機、Iは密閉式供給機、Kは分級機、およびNは密閉式ペール缶である。
なお、酸化アルミニウムを1%から10%含む含む複数の金属酸化物からなる微粉末原料として、この実施例1では、数百ミクロンの酸化アルミニウム10Kg、数百ミクロンの酸化亜鉛100Kg、合計110Kgの微粉末原料を使用した。
以下に、本発明の各工程を順に説明する。
【0017】
[前処理工程]
(1)ボールミル粉砕機Aおよび水冷用のチラーユニットBは、以下のとおりである。
ボールミル粉砕機Aは、架台に設置された円筒粉砕室1および円筒粉砕室1を回転するための電磁ブレーキ付きモーター2からなり、円筒粉砕室1には原料投入口3を設ける。
この実施例1において、ボールミル粉砕機Aの電磁ブレーキ付きモーター2は200V、3.7KWのものである。
水冷用のチラーユニットBは、水タンク4、冷却装置5、ポンプP、アクチエータとしてのモーターMにより制御される流量制御弁6、レリーフ弁7からなる冷却水循環装置である。
そして、流量制御弁6に水タンク4からの水の配管を接続し、他端を円筒粉砕筒1の冷却水取入口に接続する。
次いで、円筒粉砕筒1の冷却水の出口と、水タンク4とを配管で接続する。
前記円筒粉砕室の原料投入口3から、前記複数の原料と、球形の粉砕・混合用のウレタン製ボール、および水を加え、必要により分散剤を添加する。
分散剤としては、市販の界面活性剤が使用できるが、本発明の微粉砕混合物を使用するその後の焼結作業において、成形体に残らないものであれば良い。。
実施例1においては、ポリカルボン酸アンモニウム(中京油脂製、D−305)を使用した。
ボールミル粉砕機Aおよび水冷用のチラーユニットBの模式図を図2に示す。
【0018】
(2)撹拌槽CおよびトレーDは、以下のとおりである。
撹拌槽Cは、撹拌槽Cの上部に設けたモーターM、およびモーターMから下部に伸びた軸の先に設けた回転翼8からなる。撹拌槽Cの外部の下部に排出バルブ9を設ける。
トレーDは、排出バルブ9からのスラリーを受けるためのものである。
この実施例1において、撹拌槽Cの大きさは、直径585mm×縦690mmであり、撹拌槽Cのモーターは200V、25KWのものである。
トレーDの大きさは、500×700mmであり、その内側には、50mmないしは100mmのしきり枠を設けることが好ましい。
この実施例1では、50×50mmのしきり枠を設けた。
撹拌槽CおよびトレーDの模式図を図3に示す。
【0019】
(3)箱型乾燥機Eは、以下のとおりである。
箱形乾燥機Eは、前面に前開き扉10を有し、その扉には取っ手11を設ける。
箱形乾燥機Eの上部に送風機12を設け、箱形乾燥機Eの内部に送風路を設け、その送風路にヒーター13を設ける。送風路には外部に排出する排出口14を設ける。
箱形乾燥機Eの内部には、前記トレーDを載置するための多数の棚15を設ける。
箱形乾燥機Eにおける送風機のモーターMは200V、0.5KWのものであり、ヒータは200V、15KWのものである。
箱形乾燥機Eにおいて、低温(100℃程度)で乾燥して、複数の原料からなる混合物を50×50mmの塊状物とした。
箱形乾燥機Eの模式図を図4に示す。
【0020】
[粉砕工程]
(4)ジョークラッシャー粗粉砕機Gは、以下のとおりである。
ジョークラッシャー粗粉砕機Gは、その上部にホッパーFと粗粉砕機Gを駆動するモーターMを設ける。粗粉砕機Gの下部に固定型ホッパーFを設け、下部ホッパーFの下部に密閉式輸送機Hを設ける。
密閉式輸送機Hは、外部を覆って密閉し、その内部はバケットコンベアである。
バケットの素材は、硬質ナイロン製が好ましい。
この実施例1において、ジョークラッシャー粗粉砕機GのモーターMは200V、3.7KWのものである。また密閉式輸送機HのモーターMは200V、2.2KWのものである。
ジョークラッシャー粗粉砕機Gにより粉砕された混合物の粒度は5mmであった。
ジョークラッシャー粗粉砕機Gの模式図を図5に示す。
【0021】
(6)ダブルロールクラッシャー型中粉砕機Jは、以下のとおりである。
ダブルロールクラッシャー型中粉砕機Jは、2個のロールを回転させるためのモーターMを有し、その上部にホッパーFを設け、上部ホッパーFには前記(4)からのから密閉式輸送機Hを接続する。上部ホッパーFからは密閉式供給機Iで中粉砕機Jに供給する。
密閉式供給機Iは、振動モーター16で駆動するものである。
中粉砕機Jの下部に分級機Kを設け、その下部に密閉式供給機Iを設ける。
ここで、目標粒度へ達していない粉砕品を分級機Kから密閉式供給機Iを用いて前記(4)の密閉式輸送機Hへ戻す。
この実施例1において、ダブルロールクラッシャー型中粉砕機JのモーターMは200V、1.5KW(1/15可変)のものである。
また密閉式供給機IのモーターMは200V、1.5KW(1/30可変)のものである。さらに、分級機KのモーターMは200V、2.2KWのものである。
ダブルロールクラッシャー型中粉砕機Jにより粉砕された混合物の粒度は、500ミクロンであった。
ダブルロールクラッシャー型中粉砕機Jの模式図を図6に示す。
【0022】
(8)振動ミル微粉砕機Lおよび水冷用のチラーユニットBは、以下のとおりである。
振動ミル微粉砕機Lは、その上部にホッパーFを設け、上部ホッパーFには前記(6)からのから密閉式輸送機Hを接続する。上部ホッパーFから密閉式供給機Iで微粉砕機Lに供給する。
微粉砕機Lの下部に分級機Kを設ける。分級機Kから排出バルブ17を設け、密閉式容器へ接続する。また、目標粒度へ達していない粉砕品を分級機Kから前記(6)の密閉式輸送機Hへ戻す密閉式供給機Iを設ける。
前記密閉式容器として、密閉式ペール缶Nを用いる。
この実施例1において、振動ミル微粉砕機LのモーターMは200V、22KWのものである。この分級機KのモーターMは200V、1.5KWである。
また、密閉式ペール缶Mの容積は、100リッターである。
振動ミル微粉砕機Lにより粉砕された混合物の粒度は、250ミクロン以下であった。
振動ミル微粉砕機Lおよび水冷用のチラーユニットBの模式図を図7に示す。
【0023】
[後処理工程]
(10)V型混合機Oおよび容器は、以下のとおりである。
V型混合機Oは、投入口18および排出口19を有し、混合機Oを駆動するためのモーターMを有する。排出口19の下部に製品Sを収納する容器を配置する。
前記容器として、キャスター付きペール缶20を用いる。
この実施例1において、V型混合機NのモーターMは200V、2.2KWのものである。また、キャスター付きペール缶20の容積は、100リッターである。
なお、前工程からの粉砕物を投入する際に、ワックス系の添加剤を加える。
ワックス系の添加剤としては、市販のパラフィンワックスが好適である。
V型混合機Nおよびキャスター付きペール缶の模式図を図8に示す。
【0024】
この実施例1においては、出発原料として、数百ミクロンの酸化アルミニウム10Kgおよび数百ミクロンの酸化亜鉛100Kg、合計110Kgの微粉末原料を使用して、前記[粉砕工程]を約4時間かけて行い、105Kgの均一な微粉砕混合物が得られた。
収率は、約95%であった。
この均一な微粉砕混合物は、ほぼ球形の形状で、80ミクロンから最大250ミクロン程度と、その粒度が揃っていた。
従来例による製法で製造した製品の顕微鏡写真を比較例として図17に示す。
本発明の実施例1により製造した製品Sの顕微鏡写真を図18示す。
本発明製品Sの拡大顕微鏡写真を図19に示す。
【0025】
従来例の製品では、図17に示すように粒子に角があり、そのために製造後に再凝縮して大きな粒子ができてしまうのに対して、本発明の製品は図18、図19に示すように粒子が丸く、角がないので、製造後に再凝縮して大きくならない。
また、これらの粉砕混合物を使用するその後の成型品の製造工程において、従来例の粉砕混合物は粒子に角があるために充填の際に隙間ができてしまい、成形製品が割れることがあるのに対して、本発明の微粉再混合物は、粒子が丸くて角がない上に、粒子が細かいので、充填率が上がり、成形製品の強度が上がるという効果を奏する。
【実施例2】
【0026】
実施例2は、本発明の一貫粉砕システムにおける制御を示すものである。
各装置および符号は、図1から図8まで、実施例1と同じである。
使用する微粉末原料も、実施例1と同じである。
以下に、本発明の各工程における制御システムを工程順に説明する。
【0027】
[前処理工程]
(1)ボールミル粉砕機Aおよび水冷用のチラーユニットBからなり、複数の原料をボールミル粉砕機の円筒粉砕室1に入れ、球形の粉砕用ボールを使用し、水あるいは有機溶剤を一緒に入れ、前記円筒粉砕室1において、粉砕と混合とを同時に行いスラリー化する工程は、実施例1と同じである。
前記円筒粉砕筒1の材料投入口3位置に下向き磁気センサー21に反応する金属、たとえば鉄、円筒粉砕室1の下部位置に上向き磁気センサー22に反応する金属、たとえば鉄を取り付け、さらに、それらに対応する外部固定位置に下向き磁気センサー21および上向き磁気センサー22を取り付け、それらの情報を制御部23へ送り、フィードバックすることにより、電磁ブレーキ付きモーター2に取り付けられた電磁ブレーキにより円筒粉砕室1への材料の投入と排出とを制御部から制御する。
また、ボールミル粉砕機Aの駆動回転部に回転数センサー24を取り付け、その情報を制御部23へ送り、フィードバックすることにより、制御部23から粉砕機の回転を制御する。
さらに、前記円筒粉砕室1の内部温度を一定に保つように円筒粉砕室1外部をジャケット構造とし、ここに前記粉砕機Aの外部に設けた冷却用のチラーユニットBを接続する。
水冷用のチラーユニットBは、水タンク4、冷却装置5、ポンプP、アクチエータとしてのモーターMにより制御される流量制御弁6、レリーフ弁7からなる冷却水循環装置であり、流量制御弁6に水タンク4からの水の配管を接続し、他端を円筒粉砕筒1の冷却水取入口に接続し、次いで、円筒粉砕筒1の冷却水の出口と、水タンク4とを配管で接続して、冷却水の循環系路とする。
そして、前記円筒粉砕室1内の温度の制御は、円筒粉砕室1入口の水の温度を一定になるように、チラーユニットB出口の水の温度を温度センサー25により得て、その情報を制御部23へ送り、フィードバックすることにより制御する。
実施例2においては、チラーユニットB出口の冷却水の温度を18℃になるように制御した。
ボールミル粉砕機Aおよび水冷用のチラーユニットBのフローシートを図9に示す。
【0028】
(2)撹拌槽CおよびトレーDからなり、前(1)工程のスラリーを撹拌槽Cで十分攪拌して、攪拌後、トレーDにためておく工程は、実施例1と同じである。
前記撹拌槽Cの運転時間は、制御部23のタイマーから制御する。
撹拌槽Cのフローシートを図10に示す。
【0029】
(3)前開き扉10を有する箱型乾燥機Eからなり、前(2)工程のトレーDを箱型乾燥機Eに格納し、低温(100℃程度)で乾燥して、複数の原料からなる混合物を50mmから100mm程度の塊状物とする工程は、実施例1と同じである。
前記燥室内部に温度センサー25を設け、その情報を制御部23へ送り、フィードバックすることにより、制御部23から乾燥温度を制御する。
また、送風機12のモーターおよびヒータ13の運転時間は、制御部23から制御する。
箱形乾燥機Eのフローシートを図11に示す。
【0030】
[粉砕工程]
(4)ジョークラッシャー粗粉砕機Gおよび該粗粉砕機Gの上下にホッパーFを設け、下部ホッパーFの下に設けた密閉式輸送機Hからなり、前(3)工程の塊状物を上部ホッパーFからジョークラッシャー粗粉砕機Gに供給し、ジョークラッシャー粉砕機Gを使用して、5mmから10mm程度に粗粉砕を行う工程は、実施例1と同じである。
前記粗粉砕機Gの運転時間は、制御部23のタイマーから制御する。
実施例2においては、この(4)工程は約5分である。
ジョークラッシャー粗粉砕機Gのフローシートを図12に示す。
【0031】
(5)前(4)工程の粗粉砕後、粗粉砕機下部の固定型ホッパーにためておく工程は、実施例1と同じである。
前記ホッパーには、ホッパー内の容量を監視する容量センサーを設け、その情報を制御部へ送り、フィードバックすることにより、制御部から前(4)工程の粗粉砕機の回転速度を制御する。
固定型ホッパーFのフローシートも図12に示す。
【0032】
(6)ダブルロールクラッシャー型中粉砕機J、および該中粉砕機Jの上部にホッパーF、下部に分級機K、その下部に密閉式輸送機Hを設ける。
前工程から上部のホッパーFの間を結ぶ密閉式輸送機H、並びにホッパーFから該中粉砕機Jに送る密閉式供給機I、分級機Kから前(4)工程の密閉式輸送機Hへ送る密閉式供給機Iからなる。
前(5)工程の固定型ホッパーFから、密閉式輸送機Hを使用して、粗粉砕品を上部のホッパーFに輸送し、該上部のホッパーFから密閉式供給機Iで一定量をダブルロールクラッシャー型中粉砕機Jに供給し、粗粉砕品を500ミクロン程度になるように粉砕する工程は、実施例1と同じである。
前記中粉砕機Jの上段および下段の2個のモーターMに回転数センサー24を取り付け、その情報を制御部23へ送り、フィードバックすることにより、制御部23から多段型中粉砕機Jの回転速度を制御し、また、該中粉砕機Jの運転時間は、制御部23のタイマーから制御する。
さらに、前記密閉式輸送機Hおよび密閉式供給機Iの運転時間・運転速度は、制御部23から制御する。
実施例2においては、この(6)工程は約20分である。
ダブルロールクラッシャー型中粉砕機Jのフローシートを図13に示す。
【0033】
(7)前(6)工程で粉砕した粉砕品を分級機Kを使用して分級し、目標粒度に達した粉砕品を分級機K下部の密閉式輸送機Hへ送る際に、目標粒度へ達していない粉砕品は、分級機Kから密閉式供給機Iを使用して、再度、前(6)工程の密閉式輸送機Hへ戻すことにより、目標粒度(平均粒度500ミクロン程度)に達した粉砕品を分級機K下部の密閉式輸送機Hへ送る工程は、実施例1と同じである。
前記密閉式輸送機HのモーターMに回転数センサー24を設け、また前記ホッパーFの上部の位置に、ホッパーF内の容量を監視する容量センサー26を設け、その情報を制御部23へ送り、フィードバックすることにより、制御部23から密閉式輸送機Hの輸送速度を制御する。
実施例2においては、この(7)工程は約5分である。
分級機Kのフローシートも図13に示す。
【0034】
(8)振動ミル微粉砕機Lおよび水冷用のチラーユニットB、該微粉砕機Lの上部にホッパーF、下部に分級機K、および前(6)工程の密閉式輸送機Hから上部のホッパーFの間を結ぶ密閉式輸送機H、ホッパーFから該微粉砕機Lに供給する密閉式供給機I、ならびに分級機Kからの微粉砕品をためる密閉式ペール缶Nからなり、
前(7)工程の粉砕品を密閉式輸送機Hを使用して、上部のホッパーFに輸送し、該上部のホッパーFから密閉式供給機Iを使用して、振動ミル微粉砕機Lへ供給して微粉砕を行い、該微粉砕機Lで粉砕された微粉砕品を、分級機Kを使用して数十ミクロンのものを分級し、目標粒度に達しない粉砕品は、密閉式供給機Iを使用して、前(7)工程の密閉式輸送機Hへ戻すことにより、目標粒度(平均粒度80ミクロン、最大粒度250ミクロン程度)に達成する工程は、実施例1と同じである。
前記微粉砕機Lの駆動部のベアリング部分に温度センサー25を設け、また、前記密閉式輸送機HのモーターMに回転数センサー24を設け、それらの情報を制御部23に送り、フィードバックすることにより、制御部23から該微粉砕機Lの温度を常時監視し、微粉砕機Lおよび密閉式輸送機Hの回転速度を制御し、また、該微粉砕機Lおよび密閉式輸送機Hの運転時間は、制御部23のタイマーから制御する。
さらに、前記振動ミル微粉砕機Lの温度を一定に保つように、振動ミルの外部をジャケット構造とし、ここに前記振動ミル外部に設けた冷却用のチラーユニットBを接続する。
前記振動ミルLの温度の制御は、振動ミル外部のジャケット入口の水の温度を一定になるようにチラーユニットB出口の水の温度を温度センサー25により得て、その情報を制御部23へ送り、フィードバックすることにより制御する。
この(8)工程のチラーユニットB出口の冷却水の温度は、[前処理工程](1)工程と同じ18℃になるように制御した。
実施例2においては、この(8)工程は約30分である。
振動ミル微粉砕機Lおよび水冷用のチラーユニットBのフローシートを図14に示す。
【0035】
(9)前(8)工程で目標粒度に達成した微粉砕品を密閉式容器Nにためる工程は、実施例1と同じである。
前記(4)工程から(9)工程の[粉砕工程]を全て密閉式で行うことも実施例1と同じである。
前記密閉式容器Nに重量センサー27を設け、その情報を制御部23へ送り、フィードバックすることにより、制御部23から密閉式容器上部に取り付けられたバルブ17を制御する。
密閉式容器Nにためるフローシートも図14に示す。
【0036】
[後処理工程]
(10)V型混合機Oおよびキャスター付きペール缶20からなり、前(9)工程の密閉式容器Nから微粉砕品をV型混合機Oに供給し、V型混合機Oにより、粒度の異なる微粉砕品を均一に混合させ、目標粒度80ミクロンから最大250ミクロン程度の微粉砕品を均一に混合し、キャスター付きペール缶20にためて、均一な微粉砕混合物からなる製品Sとする工程は、実施例1と同じである。
前記V型混合機OのモーターMに回転数センサー24を設け、その情報を制御部23に送り、フィードバックすることにより、制御部23からV型混合機OのモーターMの回転速度を制御する。
また、V型混合機Oの運転時間は、制御部23のタイマーから制御する。
V型混合機Nおよび容器のフローシートを図15に示す。
【0037】
(11)制御部23は、前記(1)工程から(10)工程の各種情報を得て、全工程を制御部23から集中制御する。
制御部23と各装置との情報の行き来と制御部23から各装置の制御を示した説明図を図16に示す。
【0038】
この実施例2においては、実施例1と同じ数百ミクロンの酸化アルミニウム10Kg、および数百ミクロンの酸化亜鉛100Kg、合計110Kgの微粉末原料から、1時間掛けて55Kgの均一な微粉砕混合物が得られた。収率は、50%であった。
この均一な微粉砕混合物は、ほぼ球形の形状で、80ミクロンから最大250ミクロン程度と、その粒度が揃っていた。
本発明の製品の顕微鏡写真を図18示す。本発明製品の拡大顕微鏡写真を図19に示す。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、[前処理工程]において、小さい粒子を大きな塊状物として、次の[粉砕工程]で3段階に粉砕し、最後の[後処理工程]でさらに混合することによって、均一な混合物を得ることができるので、金属酸化物に限らず、各種の粉末の混合の用途にも適用できる。
また、本発明により得られた微粉砕混合物は、粒子が均一であり、緻密なので、各種の粉末を使用した成型品の製造にも適している。
【符号の説明】
【0040】
(密閉式を特徴とするのであるから、密閉カバー、密閉蓋の図示が必要になる。)
A ボールミル式粉砕機
B 水冷用のチラーユニット
C 撹拌層
D トレー
E 箱形乾燥機
F ホッパー
G ジョークラッシャー粗粉砕機
H 密閉式輸送機
I 密閉式供給機
J ダブルロールクラッシャー中粉砕機
K 分級機
L 振動ミル微粉砕機
M モーター
N 密閉式ペール缶
O V型混合機
P ポンプ
S 製品
1 円筒粉砕室
2 電磁ブレーキ付きモーター
3 原料投入口
4 水タンク
5 冷却装置
6 流量制御弁
7 リリーフ弁
8 回転翼
9 排出バルブ
10 前開き扉
11 取っ手
12 送風機
13 ヒーター
14 排出口
15 棚
16 振動モーター
17 排出バルブ
18 投入口
19 排出口
20 キャスター付きペール缶
21 原料投入口下向きセンサー
22 原料投入口上向きセンサー
23 制御部
24 回転数センサー
25 温度センサー
26 容量センサー
27 重量センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化アルミニウムを含む複数の金属酸化物からなる微粉末原料を粉砕して、均一な微粉砕混合物を得るための以下の各工程からなる一貫粉砕システム
[前処理工程]
(1)ボールミル粉砕機および水冷用のチラーユニットからなり、
複数の微粉末原料をボールミル粉砕機の円筒粉砕室に入れ、球形の粉砕用ボールを使用し、水あるいは有機溶剤を一緒に入れ、円筒粉砕室において、粉砕と混合とを同時に行いスラリー化する工程、
(2)撹拌槽およびトレーからなり、
前(1)工程のスラリーを撹拌槽に供給し、撹拌層で十分に攪拌して、攪拌後トレーにためておく工程、
(3)前開き扉を有する箱型乾燥機からなり、
前(2)工程のトレーを箱型乾燥機に格納し、低温(100℃程度)で乾燥して、複数の原料からなる混合物を50mmから100mm程度の塊状物とする工程、
[粉砕工程]
(4)ジョークラッシャー粗粉砕機および該粗粉砕機の上下にホッパーを設け、下部ホッパーの下に設けた密閉式輸送機からなり、
前(3)工程の塊状物を上部ホッパーからジョークラッシャー粗粉砕機に供給し、ジョークラッシャー粗粉砕機を使用して、5mmから10mm程度に粗粉砕を行う工程、
(5)前(4)工程の粗粉砕後、前記粗粉砕機下部の固定型ホッパーにためておく工程、
(6)ダブルロールクラッシャー型中粉砕機、および該中粉砕機の上部にホッパー、下部に分級機、その下部に密閉式輸送機を設け、前工程から上部のホッパーの間を結ぶ密閉式輸送機、並びにホッパーから該中粉砕機に送る密閉式供給機、分級機から前(4)工程の密閉式輸送機へ送る密閉式供給機からなり、
前(5)工程の固定型ホッパーから、密閉式輸送機を使用して、粗粉砕品を上部のホッパーに輸送し、該上部のホッパーから供給機で一定量をダブルロールクラッシャー型中粉砕機に供給し、粗粉砕品を500ミクロン程度になるように粉砕する工程、
(7)前(6)工程で粉砕した粉砕品を分級機を使用して分級し、目標粒度に達した粉砕品を分級機下部の密閉式輸送機へ送る際に、目標粒度へ達していない粉砕品は、分級機から密閉式供給機を使用して、再度、前(6)工程の密閉式輸送機へ戻すことにより、目標粒度(平均粒度500ミクロン程度)に達した粉砕品を分級機下部の密閉式輸送機へ送る工程、
(8)振動ミル微粉砕機および水冷用のチラーユニット、該微粉砕機の上部にホッパー、下部に分級機、および前(6)工程の密閉式輸送機から上部のホッパーの間を結ぶ密閉式輸送機、ホッパーから該微粉砕機に供給する密閉式供給機、ならびに分級機からの微粉砕品をためるペール缶等の密閉式容器からなり、
前(7)工程の粉砕品を密閉式輸送機を使用して、上部のホッパーに輸送し、該上部のホッパーから密閉式供給機を使用して、振動ミル微粉砕機へ供給して微粉砕を行い、該微粉砕機で粉砕された微粉砕品を、分級機を使用して数十ミクロンのものを分級し、目標粒度に達しない粉砕品は、密閉式供給機を使用して、前(7)工程の密閉式輸送機へ戻すことにより、目標粒度(平均粒度80ミクロン、最大粒度250ミクロン程度)に達成する工程、
(9)前(8)工程で目標粒度に達成した微粉砕品を密閉式容器にためる工程、前記(4)工程から(9)工程の[粉砕工程]を全て密閉式で行い、
[後処理工程]
(10)V型混合機および容器からなり、
前(9)工程の密閉式容器から微粉砕品をV型混合機に供給し、V型混合機により、粒度の異なる微粉砕品を均一に混合させ、目標粒度80ミクロンから最大250ミクロン程度の微粉砕品を均一に混合し、容器にためて、均一な微粉砕混合物からなる製品とする工程、からなることを特徴とした一貫粉砕システム
【請求項2】
酸化アルミニウムを含む複数の金属酸化物からなる微粉末原料を粉砕して、均一な微粉砕混合物を得るための以下の各工程からなる一貫粉砕システム
[前処理工程]
(1)ボールミル粉砕機および水冷用のチラーユニットからなり、
複数の原料をボールミル粉砕機の円筒粉砕室に入れ、球形の粉砕用ボールを使用し、水あるいは有機溶剤を一緒に入れ、前記円筒粉砕室において、粉砕と混合とを同時に行いスラリー化する工程において、
円筒粉砕筒の材料投入口位置に下向き磁気センサーに反応する金属等、円筒粉砕筒の下部位置に上向き磁気センサーに反応する金属等を取り付け、さらに対応する外部固定位置に磁気センサーを取り付け、その情報を制御部へ送り、フィードバックすることにより、電動機に取り付けられた電磁ブレーキにより円筒粉砕筒への材料の投入と排出とを制御部から制御する、
また、ボールミル粉砕機の駆動回転部に回転数センサーを取り付け、その情報を制御部へ送り、フィードバックすることにより、制御部から粉砕機の回転を制御する、
さらに、前記円筒粉砕室内部温度を一定に保つように円筒粉砕筒外部をジャケット構造とし、ここに前記粉砕機の外部に設けた冷却用のチラーユニットを接続し、前記円筒粉砕室温度の制御は、円筒粉砕室入口の水の温度を一定になるようにチラーユニット出口の水の温度を温度センサーにより得て、その情報を制御部へ送り、フィードバックすることにより制御する、
(2)撹拌槽およびトレーからなり、
前(1)工程のスラリーを撹拌槽で十分攪拌して、攪拌後、トレーにためておく工程において、撹拌槽の運転時間は、制御部のタイマーから制御する、
(3)前開き扉を有する箱型乾燥機からなり、
前(2)工程のトレーを箱型乾燥機に格納し、低温(100℃程度)で乾燥して、複数の原料からなる混合物を50mmから100mm程度の塊状物とする工程において、
乾燥室内部に温度センサーを設け、その情報を制御部へ送り、フィードバックすることにより、制御部から乾燥温度を制御する、
また、送風機モーターおよびヒータの運転時間は、制御部から制御する、
[粉砕工程]
(4)ジョークラッシャー粗粉砕機および該粗粉砕機の上下にホッパーを設け、下部ホッパーの下に設けた密閉式輸送機からなり、
前(3)工程の塊状物を上部ホッパーからジョークラッシャー粗粉砕機に供給し、ジョークラッシャー粉砕機を使用して、5mmから10mm程度に粗粉砕を行う工程において、
粗粉砕機の運転時間は、制御部のタイマーから制御する、
(5)前(4)工程の粗粉砕後、粗粉砕機下部の固定型ホッパーにためておく工程において、
前記ホッパーには、ホッパー内の容量を監視する容量センサーを設け、その情報を制御部へ送り、フィードバックすることにより、制御部から前(4)工程の粗粉砕機の回転速度を制御する、
(6)ダブルロールクラッシャー型中粉砕機、および該中粉砕機の上部にホッパー、下部に分級機、その下部に密閉式輸送機を設け、前工程から上部のホッパーの間を結ぶ密閉式輸送機、並びにホッパーから該中粉砕機に送る密閉式供給機、分級機から前(4)工程の密閉式輸送機へ送る密閉式供給機からなり、
前(5)工程の固定型ホッパーから、輸送機を使用して、粗粉砕品を上部のホッパーに輸送し、該上部のホッパーから供給機で一定量をダブルロールクラッシャー型中粉砕機に供給し、粗粉砕品を500ミクロン程度になるように粉砕する工程において、
中粉砕機の上段および下段の2個のモーターに回転数センサーを取り付け、その情報を制御部へ送り、フィードバックすることにより、制御部から多段型中粉砕機の回転速度を制御し、また、中粉砕機の運転時間は、制御部のタイマーから制御する、
さらに、前記密閉式輸送機および密閉式供給機の運転時間・運転速度は、制御部から制御する、
(7)前(6)工程で粉砕した粉砕品を分級機を使用して分級し、目標粒度に達した粉砕品を分級機下部の密閉式輸送機へ送る際に、目標粒度へ達していない粉砕品は、分級機から密閉式供給機を使用して、再度、前(6)工程の密閉式輸送機へ戻すことにより、目標粒度(平均粒度500ミクロン程度)に達した粉砕品を分級機下部の密閉式輸送機へ送る工程において、
前記密閉式輸送機のモーターに回転数センサーを設け、また前記ホッパーの上部には、ホッパー内の容量を監視する容量センサーを設け、その情報を制御部へ送り、フィードバックすることにより、制御部から輸送機の輸送速度を制御する、
(8)振動ミル微粉砕機および水冷用のチラーユニット、該微粉砕機の上部にホッパー、下部に分級機、および前(6)工程の密閉式輸送機から上部のホッパーの間を結ぶ密閉式輸送機、ホッパーから該微粉砕機に供給する密閉式供給機、ならびに分級機からの微粉砕品をためるペール缶等の密閉式容器からなり、
前(7)工程の粉砕品を輸送機を使用して、上部のホッパーに輸送し、該上部のホッパーから供給機を使用して、振動ミル微粉砕機へ供給して微粉砕を行い、該微粉砕機で粉砕された微粉砕品を、分級機を使用して数十ミクロンのものを分級し、目標粒度に達しない粉砕品は、密閉式供給機を使用して、前(7)工程の密閉式輸送機へ戻すことにより、目標粒度(平均粒度80ミクロン、最大粒度250ミクロン程度)に達成する工程において、
前記微粉砕機の駆動部のベアリング部分に温度センサーを設け、また、前記密閉式輸送機のモーターに回転数センサーを設け、それらの情報を制御部に送り、フィードバックすることにより、制御部から微粉砕機の温度を常時監視し、微粉砕機および密閉式輸送機の回転速度を制御し、また、微粉砕機および密閉式輸送機の運転時間は、制御部のタイマーから制御する、
さらに、前記振動ミル微粉砕機の温度を一定に保つように、振動ミルの外部をジャケット構造とし、ここに前記振動ミル外部に設けた冷却用のチラーユニットを接続し、前記振動ミルの温度の制御は、振動ミル外部のジャケット入口の水の温度を一定になるようにチラーユニット出口の水の温度を温度センサーにより得て、その情報を制御部へ送り、フィードバックすることにより制御する、
(9)前(8)工程で目標粒度に達成した微粉砕品を密閉式容器にためる工程において、
密閉式容器に容量センサーを設け、その情報を制御部へ送り、フィードバックすることにより、制御部から密閉式容器上部に取り付けられたバルブを制御する、
前記(4)工程から(9)工程の[粉砕工程]を全て密閉式で行い、
[後処理工程]
(10)V型混合機および容器からなり、
前(9)工程の密閉式容器から微粉砕品をV型混合機に供給し、V型混合機により、粒度の異なる微粉砕品を均一に混合させ、目標粒度80ミクロンから最大250ミクロン程度の微粉砕品を均一に混合し、容器にためて、均一な微粉砕混合物からなる製品とする工程において、
V型混合機のモーターに回転数センサーを設け、その情報を制御部に送り、フィードバックすることにより、制御部からV型混合機モーターの回転速度を制御する、
また、V型混合機の運転時間は、制御部のタイマーから制御する、
(11)制御部は、前記(1)工程から(10)工程の各種情報を得て、全工程を制御部から集中制御することを特徴とした一貫粉砕制御システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2010−253407(P2010−253407A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107396(P2009−107396)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(593034194)中央化工機商事株式会社 (3)
【Fターム(参考)】