説明

酸化再生セルロース接着テープ

新規のORC接着テープが開示される。具体的には、ORC接着テープは、従来の機械的及び非機械的な創傷閉鎖手段の代替物として有用である。ORCテープは、中和されたORCで作製されたテープ基材を有し、このテープは生体吸収性α−シアノアクリレート等の接着剤組成物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明が関連する分野は、創傷閉鎖、より具体的には創傷閉鎖のための医療デバイスである。
【背景技術】
【0002】
創傷閉鎖の従来の方法には、創傷が治癒する間、十分な創傷支持及び組織の接近を実現する縫合及びステープルが挙げられる。両技術において、創傷閉鎖デバイスの適用は、デバイスの受け入れのための組織通路を作る観点から創傷に更なる外傷を引き起こす。更に、これらの方法のいずれかを体内の創傷閉鎖に使用する場合、特に流体を含む臓器、例えば腸、血管、及び肺を密封又は取付ける場合、流体が漏れる可能性があり、それが合併症及びより高い罹患率の原因となり得る。
【0003】
生体適合性接着剤、特にα−シアノアクリレートを直接塗布することも提案され、創傷閉鎖に使用されてきたが、それらの使用は、既存の組成物の生分解性及び生体適合性によりいくらか制限されている。α−シアノアクリレートのモノマーが極めて反応性が高いことが一般に知られており、ごくわずかな量の反応開始剤(空気中又は組織のような湿った表面に存在する水分を含む)の存在下で急速に重合する。αシアノアクリレートと可撓性材料との組合わせは、米国特許出願第20080255610(A1)号、同第20090076542(A1)号、及び同第20050182443(A1)号に記述されており、後に創傷が治癒した後に取り除くことができるために可撓性材料の生分解性が必要ではない場合の局所適用に特に有用である。しかしながら、シアノアクリレート接着剤と酸化再生セルロースなどの吸収性材料との組合わせについては、記述されていない。
【0004】
酸化再生セルロース(ORC)は、止血剤又は癒着防止材として医療分野においてよく知られている。これは、周囲の組織からの水分から水和するときに自己付着性を呈する。しかしながら、ORCは機械的強度に欠けるため、組織の2つの部分を共に接近させるのに使用されたことはない。またORCは、ペンダントカルボン酸基のために事実上酸性である。シアノアクリレート分子の重合速度は酸に敏感であるため、αシアノアクリレートと酸化再生セルロースとの組合わせは、以前は考慮されなかった。このように、ORC表面のpHはシアノアクリレートの重合を自然に防ぐ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本技術分野において、組織接着剤を組込む新規の組織接近デバイスが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
創傷閉鎖のためのORC接着テープデバイスが開示される。このデバイスは、重合しORCを創傷部位に接着させるα−シアノアクリレートモノマーと組合わせた、部分的に中和され凍結乾燥されたORC構造体又は基材を有する。
【0007】
本発明の別の態様は、上述のデバイスを用いて組織を接近させる又は治療する方法である。
【0008】
本発明の更に別の態様は、ORC構造体又は基材がα−シアノアクリレートモノマーとは分離されて維持され、外科医又は医療提供者によって使用される前に現場で組合わされる、上述のデバイスを含むキットである。
【0009】
本発明のこれらの並びに他の態様及び利点は、以下の説明文及び添付図面からより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ORCのみ、シアノアクリレートのみ、乾燥組織上でのORC接着テープ、及び湿潤組織上でのORC接着テープの4つの処置群についての創傷破壊時の破裂強度を示すグラフ。
【図2】シアノアクリレートのみ、ORCが紙上で乾燥された場合の乾燥組織上でのORC接着テープ、及びORCが凍結乾燥された場合の乾燥組織上でのORC接着テープの3つの処置群についての創傷破壊時の破裂強度を示すグラフ。
【図3】本発明の新規の接着テープを製造するためのプロセスの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、基材が部分的に中和されたORC布である酸化再生セルロース(ORC)接着テープ基材とα−シアノアクリレート接着剤組成物との組合わせを提供する。
【0012】
部分的に中和されたORCとは、結果として得られる基材の水中でのpHがORC出発物質の水中でのpHよりも高くなるように、そのカルボキシル官能基のいくらかを中和することによって、その元の状態から変性されたORCを指す。
【0013】
ORCは、織布、不織布、発泡体、粒子などの様々な形態で提供される。一実施形態では、ORCは、SURGICEL FIBRILLARの商標名でEthicon,Inc.(Somerville,NJ)により販売されるORCのような不織布である。別の実施形態では、ORCは、INTERCEED、SURGICEL、及びSURGICEL NU−KNITの商標名でEthicon,Inc.(Somerville,NJ)により販売されるような織布である。ORCは、単独で、又は吸収性ポリエステル材料又はその他の多糖類など、他の吸収性材料と組合わせて使用されることができる。ORCは、創傷を閉鎖するのに好適ないかなる大きさ又は形状であってもよい。好適な形状には、正方形、長方形、楕円形、三角形、多角形、円形、半円形などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
本発明のテープデバイスに有用なORCは、部分的に中和されており、そのため、表面の酸性の性質は、湿潤組織と接触している間、シアノアクリレートのアニオン重合を妨げない。ORCは、酸化セルロースを弱有機酸の塩基性塩の水溶液又はアルコール溶液で処理することによって中和される。またORCは、シアノアクリレートの重合が早過ぎることがないように、シアノアクリレートと組合わされる前に完全に乾燥される必要がある。
【0015】
ORCは、哺乳類の対象に埋め込まれたときにα−シアノアクリレートを重合させるのに十分効果的な量で、又は十分効果的な度合いまで、部分的に中和される。α−シアノアクリレートを重合させるのに必要な中和の量(即ち、度合い又は程度)は、使用される特定のα−シアノアクリレートに依存する。一実施形態では、ORCは、約2〜約9のpHに中和される。別の実施形態では、ORCは、約5〜約7のpHに中和される。
【0016】
ORCは、ORCを弱酸、弱塩基、又は強塩基の希釈溶液の塩基性塩の水溶液又はアルコール溶液で処理することによって、部分的に中和される。好適なアルコールには、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどが挙げられるが、これらに限定されない。好適な弱酸の塩基性塩(即ち、ナトリウム、カリウム、マグネシウムなど)は、有機又は無機の弱酸(重炭酸塩、酢酸塩などが挙げられるが、これらに限定されない)である。好適な塩基には、水酸化物、アミンなどが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、水溶液は、重炭酸ナトリウムの水溶液である。水溶液又はアルコール溶液中での弱酸、弱塩基、又は強塩基の希釈溶液の塩基性塩の濃度は、使用される酸又は塩基の強度に依存する。例えば、重炭酸ナトリウムの場合、好適な濃度は約1重量%である。
【0017】
上述したように、ORCは、ORCを約32℃(室温)以下の温度の弱酸、弱塩基、又は強塩基の希釈溶液の塩基性塩の水溶液又はアルコール溶液に浸漬することによって、部分的に中和される。ORCは、ORCを部分的に中和するのに十分効果的な期間、溶液に浸漬される。ORCが溶液中に滞留する時間は、溶液の強度及び濃度、ORCの酸化度、布地の織り方又は密度がどれほど詰まっているかなど、多くの要因に依存する。当業者であれば、本開示を考慮して、これらの要因を考察し、溶液中での適切な浸漬時間を決定することができるであろう。
【0018】
ORCを部分的に中和することに加えて、部分的に中和されたORCを乾燥させて、中和されたORCが再び酸性化することから保護し、こうして有用な保存期間を延長させる。ORCは、紙を使って軽く叩いて乾燥させるか又は吸い取って乾燥させること、真空乾燥及び凍結乾燥など、当該技術分野において一般に知られている従来の方法によって乾燥させることができる。しかしながら、中和の後にORCを軽く叩いて乾燥させること及び吸い取って乾燥させること、続いて凍結乾燥させることの両方を利用して、中和後の十分に乾燥したORCを得ることにおいて優れた結果をもたらすことが特に好ましい。凍結乾燥はORCを乾燥させ、残留水分を十分に除去し、その結果中和したORCは乾燥した状態(即ち、水分乾燥)で保存され、シアノアクリレートの早すぎる重合なしに一成分キットとしてシアノアクリレートと共にパッケージ化することができる。
【0019】
α−シアノアクリレートは、米国特許第7238828(B2)号に記載されるものなどの生体吸収性シアノアクリレートであることが好ましい。具体的には、α−シアノアクリレートモノマーは、スペーサR1を有する以下の一般式のアルキルエステルα−シアノアクリレートモノマーである。
【化1】

nは2〜12であり、R3及びR4はそれぞれアルキル基又は水素であり、R3又はR4のうちの少なくとも1つは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13の炭素原子を有するアルキル基(例えば、直鎖若しくは分枝鎖、又は環式)であり、R2は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13の炭素原子を有するアルキル基(例えば、直鎖若しくは分枝鎖、又は環式)であり、スペーサR1中の炭素原子の合計数(N)は、少なくともn+1である。
【0020】
nの値が、所望の生分解性及び接着性をもたらすと同時に、組成物の実用的な調製及び精製を可能とするような範囲であることが重要である。nの好ましい範囲は約2〜12であり、より好ましい範囲は約2〜8である。
【0021】
炭素原子の合計数(N)は、R3及びR4側鎖上の炭素原子数とスペーサ主鎖上の炭素原子数(n)との合計値と定義され、ここで炭素原子の合計数(N)は、
少なくともn+1である。
好ましい炭素原子の合計数(N)は、
4以上である。
より好ましい炭素原子の合計数(N)は、
5以上である。
【0022】
モノマーの例には、これらに限定されないが、アルキルエステルα−シアノアクリレートモノマー、例えば3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−酪酸エチルエステル、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ペンタン酸エチルエステル、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステル、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘプタン酸エチルエステル、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−オクタン酸エチルエステル、4−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステル、5−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステル、エチルラクトイルシアノアクリレート、n−プロピルラクトイルシアノアクリレート、イソプロピルラクトイルシアノアクリレート、n−ブチルラクトイルシアノアクリレート、イソブチルラクトイルシアノアクリレート、ペンチルラクトイルシアノアクリレート、ヘキシルラクトイルシアノアクリレート、2−エチルヘキシルラクトイルシアノアクリレート、n−オクチルラクトイルシアノアクリレート、イソオクチルラクトイルシアノアクリレート、エチルグリコロイルシアノアクリレート、n−プロピルグリコロイルシアノアクリレート、イソプロピルグリコロイルシアノアクリレート、n−ブチルグリコロイルシアノアクリレート、イソブチルグリコロイルシアノアクリレート、ペンチルグリコロイルシアノアクリレート、ヘキシルグリコロイルシアノアクリレート、2−エチルヘキシルグリコロイルシアノアクリレート、n−オクチルグリコロイルシアノアクリレート、及びイソオクチルグリコロイルシアノアクリレートが挙げられる。一実施形態では、アルキルエステルα−シアノアクリレートモノマーは、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−酪酸エチルエステル、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ペンタン酸エチルエステル、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステル、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘプタン酸エチルエステル、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−オクタン酸エチルエステル、4−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステル、及び5−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステルから成る群から選択される。別の実施形態では、アルキルエステルα−シアノアクリレートモノマーは、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステルである。アルキルエステルα−シアノアクリレートモノマーは、単独で使用されてもよいし、1つ以上のアルキルエステルα−シアノアクリレートモノマー又は他のモノマー、例えばアルキルシアノアクリレート及びアルコキシアルキルシアノアクリレート(メチルシアノアクリレート、エチルシアノアクリレート、n−ブチルシアノアクリレート、イソブチルシアノアクリレート、n−オクチルシアノアクリレート、2−オクチルシアノアクリレート、ドデシルシアノアクリレート、ヘキシルシアノアクリレート、2−エチルヘキシルシアノアクリレート、メトキシエチルシアノアクリレート、2−エトキシエチルシアノアクリレート、3−メトキシブチルシアノアクリレート、2−ブトキシエチルシアノアクリレート、2−イソプロポキシエチルシアノアクリレート、及び1−メトキシ−2−プロピルシアノアクリレートが挙げられるが、これらに限定されない)とのコモノマーとして使用されてもよい。
【0023】
本発明のORCテープデバイスは、以下のように接着剤と組合わされる。接着剤は、連続的又は不連続的のいずれかでORC基材に塗布されることができる。したがって、例えば、接着剤は、所望する領域上で連続した層として、又は特定のセット若しくはランダムなパターンで塗布されることができる。好ましくは、接着剤は、ORCテープ基材の片側又は両側上に、例えば上面又は底面で連続した層として塗布される。この実施形態では、接着剤は実質的にORCの表面全体に配置することができる。あるいは、接着剤コーティングは、接着剤、例えば規則的な又はランダムな点、線などの形態で提供される接着剤で覆われていない領域をもたらすように、不連続である。更に、別の実施形態では、上面及び底面を含む基材全体が接着剤を染込んでいる。
【0024】
図3を参照すると、本発明の接着テープの製造プロセスを説明する概略図が示されている。ORC基材10は、中和溶液の入った容器20又は槽30に浸漬される。中和されたORC基材10は、槽30及び容器20から取出され、凍結乾燥ユニット40内で更に乾燥される。必要に応じて、凍結乾燥ユニット40内で乾燥させる前に、湿潤基材を吸い取って乾燥させるか又は部分的に吸い取って乾燥させてもよい。次いで、シアノアクリルモノマー60などの接着剤をシリンジ50で基材10に塗布して、本発明のデバイス10を形成する。
【0025】
本発明の接着テープは、無菌バリアを提供する従来のパッケージにパッケージ化される。本発明のデバイスは、以下のように殺菌され得る:ORCは、γ線、電子線などの従来の照射方法によって殺菌することができ、シアノアクリレート接着剤は、それとは別に乾熱を使用して殺菌することができる。次いで、シアノアクリレートは、従来の無菌調製法によってORCと組合わされることができ、真空下又は不活性雰囲気下でパッケージ化される。所望により、パッケージ品に乾燥剤が含まれてもよい。
【0026】
α−シアノアクリレート接着剤を、パッケージ化される前の凍結乾燥し中和したORCテープ基材に塗布して、ORCテープ基材に接着剤が予め装着したすぐに使える製品を提供する。予めパッケージ化された製品は、更なる操作なしに創傷に直接適用することができる。
【0027】
あるいは、デバイスがキットの形態で供給される場合は、α−シアノアクリレート接着剤は使用直前に医師によってORCに塗布されてもよい。実質的にORCの表面全体が創傷に接着する場合、ORCは、一片のテープとほとんど同じやり方で創傷に適用することができる。次いでシアノアクリレート接着剤組成物は、上述の方法でORCの露出した表面に塗布される。本実施形態の利益は、全体に適用された可撓性基材が、所望する表面に保持できることである。
【0028】
接着剤は通常、1平方センチメートルあたり約10〜約500、又は好ましくは約7.8〜23.2マイクログラム(1平方インチあたり50〜150マイクログラム)のコーティング量で存在する。必要に応じて、他のコーティング量の接着性物質を用いてもよい。シアノアクリレート接着剤が、ORCを治療部位に付着させるためにORC上に存在する唯一の付着手段であるのが好ましい。好ましくはないが、本発明のORCテープデバイスは、可撓性基材を所望する適用部位又は治療部位に物理的にラッチする、又は他の方法で取り付けるように作用するフック、バーブ(barb)、ピン、突起など、その他の物理的付着手段を組込んでもよい。しかしながら、本発明のORCテープデバイスは、下にある組織を突き通す機構を含まないことが好ましい。
【0029】
乾燥し、部分的に中和されたORC及びα−シアノアクリレート接着剤組成物に加えて、ORC接着テープは、必要に応じて、1つ以上の化学物質をORC若しくは接着剤組成物の中に、又はその両方に含むことができる。例えば、1つ以上の化学物質は、ORCに化学的結合、物理的結合、吸収、又は吸着されるなどして、ORC又は接着剤組成物内に分散されることができる。したがって、ORCは、例えば重合開始剤又は速度調節剤を含むことができる。速度調節剤は、接着剤組成物に加えることもできるが、接着剤組成物をORCに塗布する直前に行われなければならない。
【0030】
ORC又は接着剤組成物はいずれも、モノマーから形成されるポリマーに可撓性を付与するのに役立つ可塑剤のような化学物質などの1つ以上の材料を含むことができる。好適な可塑剤の例としては、トリブチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、ポリメチルメタクリレート、ポリジメチルシロキサン、及びヘキサジメチルシラザンなどが挙げられるが、これらに限定されない。組成物はまた、所望により少なくとも1つのチキソトロープ剤を含むことができる。好適なチキソトロープ剤には、シリカゲル、例えばシリルイソシアネートで処理されたもの、及び所望により表面処理された二酸化チタンなどを挙げることができる。
【0031】
接着剤組成物は、増粘剤も含むことができる。好適な増粘剤としては、ポリ(2−エチルヘキシルメタクリレート)、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)及び当業者に既知のその他のものを挙げることができる。
【0032】
接着剤組成物はまた、所望により1つ以上、好ましくは、少なくとも1つのアニオン性蒸気相安定化剤と少なくとも1つのアニオン性液相安定化剤との両方を含むことができる。これらの安定化剤は、早すぎる重合を阻止することができる。好適な安定化剤には、参照によりその全体が本明細書に組込まれる米国特許第6,183,593号に列挙されるものを挙げることができる。
【0033】
接着剤組成物は、モノマーから形成されるポリマーの凝集強度を改善するために、架橋剤を含んでもよい。そのような架橋剤は、米国特許第3,940,362号(Overhults出願)に報告されており、その特許は参照によりその全体が本明細書に組込まれる。
【0034】
加えて、本発明のORC接着テープは、染料、顔料、及びピグメントダイなどの着色剤を更に含有してもよい。着色剤は、ORCに化学的結合、物理的結合、吸収、又は吸着させることによって、あるいは接着剤組成物内で分散させることによって、与えることができる。
【0035】
接着剤組成物は、1つ以上の防腐剤を含有してもよく、その選択方法及び接着剤組成物への組込み方法は、米国特許第6,579,469号に開示されており、その全開示は参照により本明細書に組込まれる。
【0036】
本発明の実施形態では、ORC接着テープは、所望により少なくとも1つの生物学的作用物質又は治療剤を含んでもよい。一般に、ORC又は接着剤組成物への化学的結合、物理的結合、吸収、又は吸着により適用され得る生物学的作用物質/治療剤には、抗感染薬、例えば抗生物質、抗菌剤、及び抗ウイルス物質;鎮痛剤及び鎮痛剤の組合わせ;抗炎症薬、免疫抑制薬;鎮痛剤;鎮静剤;天然由来又は遺伝子組換えされたタンパク質;多糖類;凝血促進剤及び止血剤、例えばプロトロンビン(prothrombine)、トロンビン、フィブリノゲン、フィブリン、フィブロネクチン、ヘパリナーゼ(heparinease)。などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
本発明のORCテープデバイスは、ORC側を創傷と向かい合わせた状態で、止血及び創傷閉鎖に、また適切な量のα−シアノアクリレートを有して癒着防止に有用である。例えば、ORC接着テープは、縫合糸及びステープルなどの従来の機械的創傷閉鎖デバイス、並びにフィブリン接着剤、ゼラチン−トロンビンの組合わせ、アルブミン−ポリエチレン製品、ポリエチレングリコールヒドロゲルなどの組織封止剤の代替品として使用することができる。従来の創傷閉鎖手段と比べて、本発明のORC接着テープデバイスは通常、同様の創傷接近及び閉鎖強度の利益をもたらす。ORC接着テープは、創傷管理の改善、非機械的創傷閉鎖手段において下にある適用部位に対するより強い接着、患者による満足の改善などに関して、従来の創傷閉鎖手段を上回る大きな利益をもたらす。
【0038】
本明細書に記載されるORC接着テープは、創傷閉鎖デバイスとして有用であり、創傷の縁部を接近させるのに使用され得る。ORC接着テープは、内傷を閉鎖させるのに特に有用である。デバイスの幅は、創傷の縁部を越えて少なくとも1.3cm(0.5インチ)延在すべきである。可撓性基材の長さは、閉鎖される創傷より長くてもよく、十分な結合を可能にするために、創傷の反対側端部を越えた十分な距離に延在する。創傷の縁部が接近されると、デバイスは、接近された創傷の2つの縁部の上部とその周辺に配置される。デバイスには、モノマーが重合するのに十分な時間が与えられる。
【0039】
例えば、このデバイスは、手術中に切断された管状臓器、例えば消化管及び血管などの縁部を接近させるために、並びに止血又は縫合しない吻合を行うために、独立型として使用できる。
【0040】
別の方法として、このデバイスは、体液が漏れるのを防ぐために優れた強度及び密閉が必要とされる場合に、縫合糸及びステープルなどの典型的な機械的創傷閉鎖デバイスの補佐としても使用できる。この用途の具体的な例には、このデバイスを肺切除手術及び血管吻合などでのステープル線又は縫合線の補佐として使用することが挙げられる。本発明の可撓性基材は、フィブリン封止剤、ゼラチンマトリックス、又はアルブミン−グルタルアルデヒド及びポリエチレングリコールヒドロゲル製剤などのような合成製剤などの生物学的製剤のような他の入手可能な封止剤による創傷閉鎖の他の方法に対する補佐としても使用できる。
【0041】
別の方法として、このデバイスは、脾臓、肝臓、卵巣などの臓器の創傷若しくは欠陥を密封するための、又は体内のその他の部位、例えば帝王切開後の腹膜壁を修復するためのパッチとして使用できる。
【0042】
下記の実施例は本発明の原理及び実施を例示するためであり、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0043】
(実施例1)
シアノアクリレート接着剤でコーティングされたORCパッチの接着能力の評価
材料及び方法
選ばれたORC材料は、INTERCEED(Lot# XMB686−3;EXP 2001−09)の商標名で販売されるORC織布であった。ORCストリップ(1.3cm(0.5”)×3.8cm(1.5”))を7.6cm(3”)×10.2cm(4”)のシートから切出し、次いで重炭酸溶液(1重量%)中に30秒間浸漬させて中和させてからペーパータオル上で乾燥させた。
【0044】
シアノアクリレート接着剤である生分解性シアノアクリレートモノマー[3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステル]は、米国特許第7238828(B2)号に記載の方法に従って合成した。試験は、ブタの臓器で行った。ブタは、標準的方法によって麻酔した。加熱ブランケットを動物の腹部上に配置して、体温が下がらないようにした。通常の手順として、ブタの体温を直腸体温計で測定すると、36℃(97°F)であった。腹膜腔を開き、選択された臓器(腹膜壁、小腸、大腸、脾臓、及び肝臓)を露出させた。
【0045】
10マイクロリットルのシアノアクリレートモノマーを、各ORCストリップの1.3cm(0.5”)×1.3cm(0.5”)の表面上に均等に散布した。モノマーを染みこませたストリップの各部分を、動物の選択された臓器に(5秒間押圧することによって)設置した。次いで、ストリップを引っ張ることによって、接着性を評価した。試験は、乾燥表面及び湿潤表面で行われた。1つの実験では、シアノアクリレートモノマーを加える前に、ORCストリップを腸に巻きつけた。
【0046】
食塩水及びガーゼ(タンポナーデ)を使用して、外科手術中に外科医がすすぎを行う際に見られる湿潤臓器の表面をシミュレートした。
【0047】
結果
全ての試験は、乾燥時又は湿潤時の腹膜腔及び選択された臓器(肝臓、脾臓、大腸、小腸)に対するORCストリップの接着に関して成功を示した。ORCストリップ及び接着剤の適用方法は、シアノアクリレートがORCをその部位に接着させる能力に影響を与えなかった。
【0048】
(実施例2)
シアノアクリレート接着剤でコーティングされたORCパッチの創傷閉鎖能力の評価
材料及び方法
選ばれたORC材料は、INTERCEED(Lot# XMB686−3;EXP 2001−09)の商標名で販売されるORC織布であった。ORCストリップ(1.3cm(0.5”)×3.8cm(1.5”))を7.6cm(3”)×10.2cm(4”)のシートから切出し、次いで重炭酸溶液(1重量%)中に30秒間浸漬させて中和させてからペーパータオル上で乾燥させた。シアノアクリレート接着剤は、実施例1で説明されるように、生分解性シアノアクリレートモノマー[3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステル]である。
【0049】
エクスビボ試験
GI破裂試験が、37℃の水に浸漬されたブタの腸で行われた。1片の腸(長さ約15.2cm(6”))に沿って長手方向に1cmの切開が行われ、縫合点は切り口の中央に設置された。4つの試験群が創傷閉鎖能力に関して評価された:ORCは陰性対照として「そのままで」使用された;100マイクロリットルのシアノアクリレートモノマーを陽性対照として、創傷の接近した縁部に沿って分注し広げた;ORCを中和し、次いで紙上で軽く叩いて乾燥させ、次いで乾燥した創傷に適用する前に、100マイクロリットルの封止剤で覆った;ORCを中和し、次いで紙上で乾燥させ、次いで通常の食塩水で湿潤させた創傷に適用する前に、100マイクロリットルの封止剤で覆った。
【0050】
全ての場合において、創傷に破裂圧力試験を行う前に、5分間の硬化時間が許された。破裂試験は、1片の腸を空気で膨らまし、破壊が起こる(創傷の断裂)まで内圧をモニターすることによって行われた。
【0051】
結果
図1は、4つの試験群それぞれの創傷を断裂させるのに必要な破裂圧力を示す。ORC単独では実質的な機械的強度がないため、予想されたように最小の破裂圧力を有していた。シアノアクリレート接着剤(陽性対照)は、創傷を最大3.3kPa(25mmHg)まで密封した。シアノアクリレート接着剤でコーティングされたORCパッチは両方とも、修復した創傷の破裂に対する耐性の向上に関して著しい改善(最大55mmHg)をもたらした。シアノアクリレート接着剤でコーティングされたORCパッチは、乾燥した創傷上でも湿潤した創傷上でも、同じように好結果であった。
【0052】
(実施例3)
シアノアクリレート接着剤でコーティングされたORCパッチの創傷閉鎖能力の評価
材料及び方法
選ばれたORC材料は、INTERCEED(Lot# XMB686−3;EXP 2001−09)の商標名で販売されるORC織布であった。ORCストリップ(1.3cm(0.5”)×3.8cm(1.5”))を7.6cm(3”)×10.2cm(4”)のシートから切出し、次いで重炭酸溶液(1重量%)中に30秒間浸漬させることによって中和させてからペーパータオル上で乾燥させた。シアノアクリレート接着剤は、実施例1で説明したように、生分解性シアノアクリレートモノマー[3−(2−シアノアクリロイルオキシ)ヘキサン酸エチルエステル](ECPL−CA)である。
【0053】
エクスビボ試験
GI破裂試験が、採取され37℃の水に浸漬されたブタの腸で行われた。1片の腸(長さ約15.2cm(6”))に沿って長手方向に1cmの切開が行われ、縫合点は切り口の中央に設置された。3つの試験群が創傷閉鎖能力に関して評価された:100マイクロリットルの封止剤ECPL−CAを陽性対照として、創傷の接近した縁部に沿って、かつORCの1つと同じ表面上に分注し広げた;ORCを中和し、紙上で軽く叩いて乾燥させ、次いで乾燥した創傷に適用し、続いて100マイクロリットルの封止剤で覆った;ORCを中和し、凍結乾燥させ、次いで乾燥した創傷に適用し、続いて100マイクロリットルの封止剤で覆った。
【0054】
全ての場合において、創傷に破裂圧力試験を行う前に、5分間の硬化時間が許された。破裂試験は、1片の腸を空気で膨らまし、破壊が起こる(創傷の断裂)まで内圧をモニターすることによって行われた。
【0055】
結果
図2は、3つの処置群それぞれの破裂圧力を示す。シアノアクリレート接着剤(陽性対照)は、創傷を最大3.4kPa(18mmHg)まで密封した。中和後に乾燥され、シアノアクリレート接着剤でコーティングされたORCパッチペーパーは、修復した創傷の破裂(以前見られたように)に対する耐性の向上に関して著しい改善(7.6kPa(57mmHg))をもたらした。中和後に凍結乾燥され、シアノアクリレート接着剤でコーティングされたORCパッチは、紙で乾燥させたものと比べて、修復した創傷の引張強度の向上に関して著しい改善(10.1kPa(76mmHg))をもたらした。全体としては、これは陽性対照と比べて、創傷の強い破裂耐性に関して450%の改善を表す。更にこれは、部分的に中和された凍結乾燥されていないORCと比べて15%の改善を表す。
【0056】
(実施例4)
ORCの部分的中和
本実験の目的のために、SURGICELの商標名で販売されるORC織布が使用された。ORC布を1重量%の重炭酸ナトリウムに、0〜120秒間の範囲の選択された時間浸漬することによって、異なる中和レベルを得た。ORCのpHを、次のように測定した:160±10mgの織布繊維をガラスのバイアル瓶に入れ、そこに1mLの蒸留/脱イオン水を加えた。混合物を10秒間揺すり、続いてpH計でpHを測定した。部分的に中和されたORCの存在下におけるシアノアクリレート重合までの時間を、次のように測定した:数片のORC布(1.6cm(0.25in))を寒天ゲルプレート上に置き、次いで25μLのオクチルシアノアクリレートを各片の上に分注した。次いで、重合までの時間を、布地が硬くなるまでの時間として、及び透明から不透明までの色の変化から明らかなように、視覚的に評価した(表1を参照)。
【表1】

【0057】
結果
ORCの中和レベルは、いくらか反応性のシアノアクリレートに適合することが要求される。しかしながら、本実験は、約6〜約7のpHが、ORCの存在下でのオクチルシアノアクリレートの重合に望ましいことを示す。
【0058】
以上、本発明をその詳細な実施形態について図示及び説明してきたが、当業者であれば、特許請求される発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明の形態及び詳細に様々な変更を行い得る点は理解されるであろう。
【0059】
〔実施の態様〕
(1) 乾燥し、部分的に中和した酸化再生セルロースを含むテープ基材と、
前記テープ基材に塗布された生体吸収性α−シアノアクリレート接着剤組成物と、を含む、酸化再生セルロース接着テープ。
(2) 前記生体吸収性α−シアノアクリレート接着剤組成物が、アルキルエステルα−シアノアクリレートモノマーを含む、実施態様1に記載の酸化再生セルロース接着テープ。
(3) 前記アルキルエステルα−シアノアクリレートモノマーが、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−酪酸エチルエステル、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ペンタン酸エチルエステル、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステル、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘプタン酸エチルエステル、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−オクタン酸エチルエステル、4−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステル、5−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステル、エチルラクトイルシアノアクリレート、n−プロピルラクトイルシアノアクリレート、イソプロピルラクトイルシアノアクリレート、n−ブチルラクトイルシアノアクリレート、イソブチルラクトイルシアノアクリレート、ペンチルラクトイルシアノアクリレート、ヘキシルラクトイルシアノアクリレート、2−エチル−ヘキシルラクトイルシアノアクリレート、n−オクチルラクトイルシアノアクリレート、イソオクチルラクトイルシアノアクリレート、エチルグリコロイルシアノアクリレート、n−プロピルグリコロイルシアノアクリレート、イソプロピルグリコロイルシアノアクリレート、n−ブチルグリコロイルシアノアクリレート、イソブチルグリコロイルシアノアクリレート、ペンチルグリコロイルシアノアクリレート、ヘキシルグリコロイルシアノアクリレート、2−エチルヘキシルグリコロイルシアノアクリレート、n−オクチルグリコロイルシアノアクリレート、及びイソオクチルグリコロイルシアノアクリレートから成る群から選択される、実施態様2に記載の酸化再生セルロース接着テープ。
(4) 前記アルキルエステルα−シアノアクリレートモノマーが、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−酪酸エチルエステル、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ペンタン酸エチルエステル、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステル、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘプタン酸エチルエステル、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−オクタン酸エチルエステル、4−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステル、及び5−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステルから成る群から選択される、実施態様3に記載の酸化再生セルロース接着テープ。
(5) 前記アルキルエステルα−シアノアクリレートモノマーが、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステルである、実施態様4に記載の酸化再生セルロース接着テープ。
(6) 前記生体吸収性α−シアノアクリレート接着剤組成物が、アルキルエステルα−シアノアクリレートモノマーと、アルキルシアノアクリレートモノマー及びアルコキシアルキルシアノアクリレートモノマーから成る群から選択される少なくとも1つのその他のα−シアノアクリレートモノマーと、を含む、実施態様1に記載の酸化再生セルロース接着テープ。
(7) 前記乾燥し、部分的に中和した酸化再生セルロースが、約2〜約9のpHに中和される、実施態様1に記載の酸化再生セルロース接着テープ。
(8) 前記乾燥し、部分的に中和した酸化再生セルロースが、約5〜約7のpHに中和される、実施態様5に記載の酸化再生セルロース接着テープ。
(9) 前記乾燥したテープ基材が、織布、不織布、発泡体、及び粒子から成る群から選択される形態を含む、実施態様1に記載の酸化再生セルロース接着テープ。
(10) 前記乾燥し、部分的に中和した酸化再生セルロースが、織布である、実施態様7に記載の酸化再生セルロース接着テープ。
【0060】
(11) 前記乾燥し、部分的に中和した酸化再生セルロースが、不織布である、実施態様7に記載の酸化再生セルロース接着テープ。
(12) 酸化再生セルロース接着テープを作製する方法であって、
酸化再生セルロースを含むテープ基材を提供する工程と、
前記酸化再生セルロースを約2〜約9のpHに中和させる工程と、
前記中和した酸化再生セルロースを乾燥させる工程と、
α−シアノアクリレート接着剤組成物を含む接着剤を提供する工程と、
前記α−シアノアクリレート接着剤組成物を前記テープ基材に塗布し、それによって接着テープを製造する工程と、を含む、方法。
(13) 前記酸化再生セルロースの中和が、約5〜約7のpHにすることである、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記乾燥工程が、凍結乾燥することを含む、実施態様12に記載の方法。
(15) 前記乾燥工程が、吸い取りすることを含む、実施態様12に記載の方法。
(16) 前記接着テープを無菌パッケージにパッケージ化する工程を更に含む、実施態様12に記載の方法。
(17) 患者の組織を治療する方法であって、
A.乾燥し、部分的に中和した酸化再生セルロースを含むテープ基材と、
B.前記テープ基材に塗布された生体吸収性α−シアノアクリレート接着剤組成物と、を含む酸化再生セルロース接着テープを提供することと、
前記接着テープを患者の組織に適用することと、を含む、方法。
(18) 前記組織が前記接着テープによって接近させられる、実施態様17に記載の方法。
(19) 乾燥し、部分的に中和した酸化再生セルロースを含むテープ基材と、
生体吸収性α−シアノアクリレート接着剤組成物と、を含む、酸化再生セルロース接着テープキットであって、
前記接着剤組成物が、前記テープ基材に塗布されて、酸化再生セルロース接着テープを形成する、キット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥し、部分的に中和した酸化再生セルロースを含むテープ基材と、
前記テープ基材に塗布された生体吸収性α−シアノアクリレート接着剤組成物と、を含む、酸化再生セルロース接着テープ。
【請求項2】
前記生体吸収性α−シアノアクリレート接着剤組成物が、アルキルエステルα−シアノアクリレートモノマーを含む、請求項1に記載の酸化再生セルロース接着テープ。
【請求項3】
前記アルキルエステルα−シアノアクリレートモノマーが、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−酪酸エチルエステル、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ペンタン酸エチルエステル、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステル、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘプタン酸エチルエステル、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−オクタン酸エチルエステル、4−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステル、5−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステル、エチルラクトイルシアノアクリレート、n−プロピルラクトイルシアノアクリレート、イソプロピルラクトイルシアノアクリレート、n−ブチルラクトイルシアノアクリレート、イソブチルラクトイルシアノアクリレート、ペンチルラクトイルシアノアクリレート、ヘキシルラクトイルシアノアクリレート、2−エチル−ヘキシルラクトイルシアノアクリレート、n−オクチルラクトイルシアノアクリレート、イソオクチルラクトイルシアノアクリレート、エチルグリコロイルシアノアクリレート、n−プロピルグリコロイルシアノアクリレート、イソプロピルグリコロイルシアノアクリレート、n−ブチルグリコロイルシアノアクリレート、イソブチルグリコロイルシアノアクリレート、ペンチルグリコロイルシアノアクリレート、ヘキシルグリコロイルシアノアクリレート、2−エチルヘキシルグリコロイルシアノアクリレート、n−オクチルグリコロイルシアノアクリレート、及びイソオクチルグリコロイルシアノアクリレートから成る群から選択される、請求項2に記載の酸化再生セルロース接着テープ。
【請求項4】
前記アルキルエステルα−シアノアクリレートモノマーが、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−酪酸エチルエステル、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ペンタン酸エチルエステル、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステル、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘプタン酸エチルエステル、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−オクタン酸エチルエステル、4−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステル、及び5−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステルから成る群から選択される、請求項3に記載の酸化再生セルロース接着テープ。
【請求項5】
前記アルキルエステルα−シアノアクリレートモノマーが、3−(2−シアノアクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステルである、請求項4に記載の酸化再生セルロース接着テープ。
【請求項6】
前記生体吸収性α−シアノアクリレート接着剤組成物が、アルキルエステルα−シアノアクリレートモノマーと、アルキルシアノアクリレートモノマー及びアルコキシアルキルシアノアクリレートモノマーから成る群から選択される少なくとも1つのその他のα−シアノアクリレートモノマーと、を含む、請求項1に記載の酸化再生セルロース接着テープ。
【請求項7】
前記乾燥し、部分的に中和した酸化再生セルロースが、約2〜約9のpHに中和される、請求項1に記載の酸化再生セルロース接着テープ。
【請求項8】
前記乾燥し、部分的に中和した酸化再生セルロースが、約5〜約7のpHに中和される、請求項5に記載の酸化再生セルロース接着テープ。
【請求項9】
前記乾燥したテープ基材が、織布、不織布、発泡体、及び粒子から成る群から選択される形態を含む、請求項1に記載の酸化再生セルロース接着テープ。
【請求項10】
前記乾燥し、部分的に中和した酸化再生セルロースが、織布である、請求項7に記載の酸化再生セルロース接着テープ。
【請求項11】
前記乾燥し、部分的に中和した酸化再生セルロースが、不織布である、請求項7に記載の酸化再生セルロース接着テープ。
【請求項12】
酸化再生セルロース接着テープを作製する方法であって、
酸化再生セルロースを含むテープ基材を提供する工程と、
前記酸化再生セルロースを約2〜約9のpHに中和させる工程と、
前記中和した酸化再生セルロースを乾燥させる工程と、
α−シアノアクリレート接着剤組成物を含む接着剤を提供する工程と、
前記α−シアノアクリレート接着剤組成物を前記テープ基材に塗布し、それによって接着テープを製造する工程と、を含む、方法。
【請求項13】
前記酸化再生セルロースの中和が、約5〜約7のpHにすることである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記乾燥工程が、凍結乾燥することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記乾燥工程が、吸い取りすることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記接着テープを無菌パッケージにパッケージ化する工程を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
乾燥し、部分的に中和した酸化再生セルロースを含むテープ基材と、
生体吸収性α−シアノアクリレート接着剤組成物と、を含む、酸化再生セルロース接着テープキットであって、
前記接着剤組成物が、前記テープ基材に塗布されて、酸化再生セルロース接着テープを形成する、キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−514864(P2013−514864A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546085(P2012−546085)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/061057
【国際公開番号】WO2011/087722
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(509263146)アドバンスト・テクノロジーズ・アンド・リジェネレイティブ・メディスン・エルエルシー (17)
【氏名又は名称原語表記】Advanced Technologies and Regenerative Medicine, LLC
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham, MA 02767, United States of America
【Fターム(参考)】