説明

酸性ガスを除去するためのシステムおよび方法

1種類以上の酸性ガスを含有するガス流からCOおよび/またはHSを選択的に除去するための方法およびシステム。特に、吸収剤溶液と、1つ以上の吸収接触器と流体連通している1つ以上のエジェクターベンチュリノズルとを使用して、酸性ガスを含有するガス混合物からCOおよび/またはHSを分離するためのシステムおよび方法。本発明の方法は、少なくとも1種類の酸性ガスを含有するガス混合物と、吸収剤溶液とを、前記酸性ガスの少なくとも一部が吸収されるのに十分な条件下で接触させることを含む。吸収接触器は並流で運転され、物質移動の推進力を増加させるために向流配置で配列される。テイラー流またはスラグ流領域で運転されるモノリスを使用することができる。吸収剤溶液は、酸性ガスの少なくとも一部が脱着するのに十分な条件下で処理される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は,一般に、COおよび/または他の酸性ガスを、これらのガスの1種類以上を含有するガス流から選択的に除去することに関する。特に、本開示は、吸収剤溶液、および1つ以上の吸収接触器と流体連通(flow communication)している1つ以上の液体噴霧装置を使用して、酸性ガスをガス混合物から分離するための低設備投資のシステムおよび方法に関する。吸収剤溶液は、酸性ガスの少なくとも一部の脱着を引き起こすのに十分な条件下で処理することができる。
【背景技術】
【0002】
地球規模の気候変動の問題のため、煙道ガスおよびその他のプロセス流の中のCOの回収が必要となり得る。従来のCO回収方法としては、低温蒸留/凝縮、アミン洗浄などの液体溶媒を使用した吸収、並びに圧力スイング吸収(PSA)および/または温度スイング吸収(TSA)などの固体収着剤を使用した収着が挙げられる。COを煙道ガスまたはその他の酸性ガス流から分離するための一般的な選択肢の1つは、水中に溶解させた液体アミン収着剤分子を使用したガス流の洗浄である。これらのアミン水溶液は、1種類以上のアンモニウム塩(カルバミン酸塩/重炭酸塩/炭酸塩)を形成することによってCOを化学的に捕集する。これらの塩は、熱的に不安定であり、高温で遊離アミンを再生することができる。
【0003】
これらの技術のすべては、COの凝縮または収着を可能にするためガス流が比較的低温であることが必要となる。従来の方法(PSA、TSA、およびアミン洗浄)では、比較的低温(たとえば約50℃未満)でのCO取り込みが必要である。収着剤/溶媒の再生(COの脱着)は、CO分圧(PSA)を段階的に低下させることによって、および/または約100℃を超えるまで温度を上昇させることによって(TSA、アミン洗浄)達成される。これらすべての場合で、CO回収のコストは、ガスの冷却/加熱に必要な熱交換器の能力、CO脱着のための蒸気の発生、およびCO再圧縮のコストに大きく依存する。
【0004】
アミン洗浄は、炭酸塩/重炭酸塩、およびカルバミン酸塩を生成するCOとアミンとの化学反応に基づいている。商業的には、アミン洗浄は、典型的には、COおよび/またはHSを含有するガス流を、1種類以上のアミン(たとえば、モノエタノールアミン)の水溶液と接触させることを含む。この方法は、吸収ステップと再生ステップとの間での高い気液交換速度および多量の残留液体の高い移動速度、並びにアミン溶液の再生に必要な高エネルギー(加熱/冷却)が要求される。この方法ではアミン溶液の腐食性の問題が発生する。これらの問題のため、大規模用途(たとえば、大規模燃焼源および発電所)での経済的な実行可能性が制限される。
【0005】
アミン水溶液洗浄は、小から中のプロセス規模では経済的に実施されるが、加熱炉からのCOの大規模回収の実現が、すぐに要求されるようになり、現在のアミン洗浄技術が経済的に問題となるシナリオが生じうる。大量の希薄ガスに対するアミン水溶液洗浄のコストが比較的高いのは、大型の気液接触器およびアミン再生容器中に生じる大量の溶液の加熱および冷却が必要なためである。CO/アミン/水媒体の腐食性が高いことに加えて、これらの大型容器の冶金費用が非常に高くなる。プロセス用装置の下流のファウリングも問題となりうる。最後に、水性吸収剤系中の水の蒸発の潜熱が大きいため、水溶液を必要な再生温度まで加熱するのに必要なエネルギーが大きく増加する。
【0006】
化石燃料に基づく発電に炭素の回収および隔離(CCS)を組み込む必要性が高まっているため、従来のCO除去技術の代案の研究が加速されている。固体吸収剤を使用した周期的吸収技術(たとえば、PSAおよびTSA)もガス精製産業で使用されている。これらの方法では、前述のアミン洗浄の制限の多くが回避されるが、十分なCO吸着容量を有する吸収剤が不足し、燃焼煙道ガス中に通常存在する高湿度条件下での十分に選択的なCO吸収特性が不足していることが問題となる。
【0007】
製油所または発電所からの煙道ガスが非常に大量であるため、従来方法の使用は、非常に大型で費用がかかり困難となる。たとえば、製油所または発電所からの煙道ガスを1時間当たり数百万立方フィート処理するためには、それぞれの直径が40フィートを超える複数の非常に大型の吸収塔が必要になると推定される。更に、煙道ガスをアミン接触器に通すために高価なブロアーファンが必要となる。必要な設備投資はCO回収コストの大きな部分を占めるため、より小型でより安価なCO/アミンプロセスが非常に望ましい。更に、予想される将来のCO排出規制が規定されると、CCSの一部として低コストのCO回収方法が重要な要求となる。
【0008】
二酸化炭素は、炭化水素の燃焼による偏在する不可避の副生成物である。大気中でのCOの蓄積および地球規模の気候変動におけるその役割に対する関心が高まっている。従って、CO回収による商業的利益に加えて、環境要因のためその回収および隔離がまもなく必要になるであろう。これらの理由から、混合ガス流からのCOの分離は、急速に成長している研究分野の1つである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,380,529号明細書
【特許文献2】米国特許第6,689,329号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Jayawardena,S.S.,Balakotaiah,V.,Witte,L.,A.I.Ch.E.Journal 43(6),1637−1640,1997
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、COをガス混合物から選択的に分離するための商業的に実施可能な代替方法、特にCO除去の大規模用途(たとえば、大規模燃焼源および発電所)に対して経済的に実行可能な代替方法の開発が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の好ましい一実施形態においては、酸性ガスを含む供給ガス混合物から酸性ガス成分を分離する方法であり、このような方法は:
少なくとも1つの吸収接触器と流体連通する少なくとも1つの液体噴霧装置と、前記少なくとも1つの吸収接触器と流体連通する少なくとも1つのガス供給入口ラインとを提供するステップであって、前記吸収接触器が、モノリス床または充填床の少なくとも1つを含むステップと;
前記吸収接触器中、並流中で、少なくとも1種類の酸性ガスを含有する供給ガス混合物の少なくとも一部と、第1の吸収剤溶液の少なくとも一部とを、前記酸性ガスの少なくとも一部が吸収されるのに十分な条件下で接触させるステップであって、前記酸性ガスがCO、HS、またはそれらの組み合わせを含むステップと;
第1の部分的に洗浄されたガス混合物を前記吸収接触器から除去するステップであって、前記第1の部分的に洗浄されたガス混合物中の酸性ガスのモル濃度が、前記供給ガス混合物中の前記酸性ガスのモル濃度よりも低いステップと;
第1の消費された吸収剤溶液の流れを前記吸収接触器から除去するステップであって、第1の消費された吸収剤溶液が、供給ガス混合物からの酸性ガスの少なくとも一部を含有するステップと
を含む。
【0013】
別の好ましい一実施形態は、および酸性ガスを含む供給ガス混合物から酸性ガス成分を分離する方法であり、このような方法は:
少なくとも第1の吸収接触器と流体連通する少なくとも第1のエジェクターベンチュリノズルと、少なくとも第2の吸収接触器と流体連通する少なくとも第2のエジェクターベンチュリノズルとを提供するステップであって;前記第1の吸収接触器が前記第2のエジェクターベンチュリノズルと流体連通し、前記第2の吸収接触器が前記第1のエジェクターベンチュリノズルと流体連通するステップと;
液滴を含む第1のエジェクター流を前記第1のエジェクターベンチュリノズルから前記第1の吸収接触器中に排出するステップであって、前記第1のエジェクター流が、第1の吸収剤溶液と、少なくとも1種類の酸性ガスを含有する第1の供給ガス混合物とを含むステップと;
前記第1の吸収接触器中、並流中で、少なくとも1種類の酸性ガスを含有する前記第1の供給ガス混合物の少なくとも一部と、前記第1の吸収剤溶液の少なくとも一部とを、前記酸性ガスの少なくとも一部が吸収されるのに十分な条件下で接触させるステップであって、前記酸性ガスがCO、HS、またはそれらの組み合わせを含むステップと;
第1の部分的に洗浄されたガス混合物を前記第1の吸収接触器から除去するステップであって、前記第1の部分的に洗浄されたガス混合物中の前記酸性ガスのモル濃度が、前記第1の供給ガス混合物中の前記酸性ガスのモル濃度よりも低いステップと;
液滴を含む第2のエジェクター流を前記第2のエジェクターベンチュリノズルから前記第2の吸収接触器中に排出するステップであって、前記第2のエジェクター流が、第2の吸収剤溶液と、前記第1の吸収接触器からの前記第1の部分的に洗浄されたガス混合物の少なくとも一部を含有する第2の供給ガス混合物とを含むステップと;
前記第2の吸収接触器中、並流中で、前記第1の部分的に洗浄されたガス混合物の少なくとも一部と、前記第2の吸収剤溶液の少なくとも一部とを、前記第1の部分的に洗浄されたガス混合物から前記酸性ガスの少なくとも一部が吸収されるのに十分な条件下で接触させるステップと;
第2の消費された吸収剤溶液の流れを前記第2の吸収接触器から除去するステップであって、前記第2の消費された吸収剤溶液が、前記第1の部分的に洗浄されたガス混合物からの前記酸性ガスの少なくとも一部を含有するステップと
を含む。
【0014】
より好ましい実施形態においては、吸収接触器は、実質的に平行な複数のチャネルを有するモノリス床を含む。別の好ましい実施形態においては、モノリス床中の条件が、テイラー流またはスラグ流領域またはその付近で前記平行のチャネルを通過する条件となるように、吸収接触器が運転される。
【0015】
好ましい実施形態においては、吸収剤溶液は:第1級アミン、第2級アミン、またはそれらの混合物を含むアミン溶液;ポリアミンまたはそれらの混合物を含むアミン溶液;アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物溶液;並びにアルカリ金属またはアルカリ土類金属炭酸塩溶液からなる群から選択される。
【0016】
本明細書において使用される場合、用語「酸性ガス」は、二酸化炭素(CO)、硫化水素(HS)、またはそれらの混合物を含む(含有する)あらゆるガス混合物として定義される。好ましくは、本発明における酸性ガスは、炭化水素の燃焼による生成物である「煙道ガス」(または「燃焼ガス」)を含む。本発明の実施形態においては、最も好ましくは、酸性ガスは二酸化炭素(CO)を含有する。
【0017】
本明細書において使用される場合、用語「吸収接触器」(または「充填接触器」または「充填塔」)は、内部でガス混合物が吸収剤と接触する容器であって、容器内には、容器の充填剤、トレー、またはモノリスなどの少なくとも1つの構造化接触手段が存在する容器として定義される。本発明の好ましい実施形態においては、吸収接触容器は、モノリスを含有し、ガス混合物/吸収剤を合わせたものは、モノリス内に設計された経路を通過できる。
【0018】
別の好ましい実施形態においては、モノリス床は、テイラー流またはスラグ流領域またはその付近で吸収接触器を流れが通過するように運転するのに十分なスクリーンまたは入口を有する。1つ以上のモノリス床は、コアレッサーおよび接触器として機能する。
【0019】
吸収接触器は、1つ以上のモノリス床が液滴を蒸気から除去するのに十分な条件下で好ましくは運転される。
【0020】
本開示は、更に、一部において、酸性ガスを含むガス混合物から酸性ガス成分を分離するシステムに関し、このような方法は:
少なくとも1つの第1のエジェクターベンチュリノズルと;
少なくとも1つの第1の吸収接触器であって、少なくとも1つの第1のエジェクターベンチュリノズルが少なくとも1つの第1の吸収接触器と流体連通している、少なくとも1つの第1の吸収接触器と、
少なくとも1つの第2のエジェクターベンチュリノズルと;
少なくとも1つの第2の吸収接触器であって、少なくとも1つの第2のエジェクターベンチュリノズルが少なくとも1つの第2の吸収接触器と流体連通している、少なくとも1つの第2の吸収接触器とを含み;
少なくとも1つの第1の吸収接触器が少なくとも1つの第2のエジェクターベンチュリノズルと流体連通しており、少なくとも1つの第2の吸収接触器が少なくとも1つの第1のエジェクターベンチュリノズルと流体連通している。
【0021】
一実施形態においては、上記システムは、並列の複数の吸収接触器を更に含むことができる。上記システムの別の一実施形態においては、吸収接触器は、実質的に平行な複数のチャネルを有するモノリス床を含む。別の好ましい実施形態においては、吸収接触器は、モノリス床中の条件が、テイラー流またはスラグ流領域またはその付近で前記平行のチャネルを通過する条件となるように運転される。
【0022】
好ましい実施形態においては、吸収剤溶液は:第1級アミン、第2級アミン、またはそれらの混合物を含むアミン溶液;ポリアミンまたはそれらの混合物を含むアミン溶液;アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物溶液;並びにアルカリ金属またはアルカリ土類金属炭酸塩溶液からなる群から選択される。
【0023】
本発明の方法およびシステムの別の好ましい実施形態においては、吸収剤溶液は、1グラムの吸収剤溶液当たりに吸収されるCOが少なくとも約0.05ミリモルとなる吸収能力を有する。好ましくは、吸収接触器中の運転条件は、約1℃〜約95℃の温度、および約0.5bar〜約50bar(絶対)の圧力を含む。
【0024】
本発明の方法およびシステムの別の好ましい実施形態においては、供給ガス混合物は、炭化水素、一酸化炭素、H、O、N、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類のガスを更に含む。別の好ましい実施形態においては、供給ガス混合物は、ナフサ、メタン、エタン、エテン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の炭化水素を更に含む。
【0025】
本開示は、一部において、ガス混合物から酸性ガス成分を分離するシステムにも関し、このようなシステムは、少なくとも1つの吸収接触器と流体連通している少なくとも1つのエジェクターベンチュリノズルを含む。
【0026】
本開示は、更に、一部において、ガス混合物から酸性ガス成分を分離するシステムに関し、このようなシステムは、少なくとも1つの吸収接触器と流体連通している少なくとも1つの液体噴霧装置を含み、前記吸収接触器は1つ以上のモノリス床を有する。
【0027】
上記システムの一実施形態においては、液体噴霧装置はエジェクターベンチュリノズルを含むことができる。モノリス床は、テイラー流またはスラグ流領域またはその付近で前記吸収接触器を流れが通過するように運転するのに十分なスクリーンまたは入口を有することができる。更に、モノリス床は、コアレッサーおよび接触器として機能することができる。
【0028】
本開示のシステムおよび方法は、吸収剤溶液、たとえば、アミン、またはCOを吸収できる他の溶液を使用した、低設備投資のCO回収方法を提供する。本開示のシステムおよび方法においてエジェクターベンチュリノズルを使用することで、ガス混合物、たとえば、煙道ガスを吸収接触器中に送り込むための高価なファン/ブロアーが不要となり、接触器中有の圧力低下が克服される。圧力低下を克服するための運動エネルギーは、高圧液体ポンプ、たとえばエジェクターベンチュリノズルによって得られ、これらはファン/ブロアーよりもはるかに安価である。本発明の並流設計によっても、システムの圧力低下が軽減される。本開示のシステムおよび方法は、高価なデミスターの必要性も軽減または解消される。
【0029】
更に、吸収接触器は、テイラー流またはスラグ流領域で運転される高密度のモノリスを有することができる。テイラー流およびスラグ流領域のモノリスは、非常に少ない圧力低下、高い物質移動速度、効率的な液滴除去、並びに気体および液体の流れの最小限の逆混合などのいくつかの利点を有する。従ってテイラー流およびスラグ流のモノリスによって、ファン/ブロアーまたは圧縮機の必要性が更に軽減される。
【0030】
本開示の更なる目的、特徴、および利点は、以下の図面および詳細な説明を参照することによって理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】カウンターステージの(counter−staged)ベンチュリエジェクターおよび接触器を使用した本発明のCO回収方法の一実施形態の概略図である。
【図2】モノリスを有しベンチュリエジェクターが使用される本発明の水平接触器の一実施形態の概略図である。
【図3】モノリスを有し、ベンチュリエジェクターが使用される本発明の水平接触器の一実施形態の概略図である。図2よりも存在する液体が少なく、液体ドローオフがより低い位置にある。
【図4】構造化充填剤を有し、ベンチュリエジェクターが使用される本発明の水平接触器の一実施形態の概略図である。
【図5】テイラー流またはスラグ流領域内で運転される、モノリス充填剤を有する本発明の接触器の一実施形態の概略図である。
【図6】テイラー流の概念を示している。
【図7】液体が合体し流れから排出されるときの気相の空隙率の増加を示す計算流体力学(CFD)の図である。
【図8】毛管チャネル中で観察される流動様式の概略図である。簡単にするため、並流の上向流が示されている。(a)および(b)は気泡流であり、(c)および(d)はテイラー流であり、(e)は過渡的なスラグ流であり、(f)はチャーン流であり、(g)および(h)は膜流または環状流である。
【図9】Ca/Re=1.5×10−5の場合のSuo and Griffith,1964の流動様式マップである。この流動様式マップは、流動様式と、キャピラリー数(Ca=μU/σ、粘性力と表面張力との比を表している)および液滞留量(Ф/Ф+Ф)との相関を示している。
【図10】非特許文献1の流動様式マップである。Jayawardenaらの流動様式マップにおいては、流動様式は種々の無次元のグループと相関がある。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本開示の方法は、アミン溶液などの吸収溶液を吸収剤として使用して、COおよび/またはHSを、これらのガスを1種類以上含有するガス流から除去することを含む。本発明において有用な他の吸収溶液としては、たとえば、アルカリ/アルカリ土類金属の水酸化物/炭酸塩溶液などの苛性溶液が挙げられる。アミン洗浄は、ガス混合物の選択的吸収に基づいており、COおよび/またはHSを選択的に除去するのに十分な条件下でガス混合物を選択的吸収剤と接触させることを含む。吸収条件(即ち、温度および/または圧力)は、ガス混合物の一成分を選択的に吸収して、ガス混合物よりも吸収成分の濃度が低い吸収流出物が得られるのに好都合な条件となるべきである。続いて、被吸収性成分は、不活性ガス、気体CO、または蒸気を用いて、たとえば再生塔中でストリピングすることによって脱着が行われる。脱着条件下では、被吸収性成分が選択的吸収剤から除去される。
【0033】
吸収剤が配合された後、COおよび/またはHSを酸性ガスから選択的に除去するために、本発明により吸収接触器中でその吸収剤を使用することができる。吸収剤は従来方法によって製造することができる。吸収剤が製造された後、吸収接触器中で使用され、その中では、酸性ガス(好ましくはCOを含有する)を含むガス流が並流として吸収剤と接触する。アミン吸収剤が使用される場合、COとアミンとが化学的に反応してアミン錯体を形成し、それによってCOがガス流から除去される。
【0034】
吸収剤に十分な量のCOが加えられた後、たとえば、60パーセントを超える、より好ましくは80パーセントを超えるアミンがアミン錯体に変換されるか、または指定のサイクル時間となった場合に、収着剤を再生することができる。再生は、典型的には、不活性ガス、気体CO、または蒸気を用いて、たとえば再生塔中でストリピングすることによって吸収されたCOを脱着することを含む。このステップ中、アミン錯体は解離して、COが除去され、アミンは遊離状態となり、吸収プロセスに再循環される。
【0035】
本開示の方法においては、少なくとも1種類の酸性ガスを含有するガス混合物(たとえば、煙道ガス)を吸収剤(たとえば、アミン溶液)と接触させるために、エジェクターベンチュリノズルが使用される。エジェクターベンチュリノズルの大きな利点の1つは、ガス混合物をエジェクターベンチュリノズルおよび吸収接触器に送るために必要なガス混合物の圧力を発生させるために、原動力となるアミン流体の運動エネルギーが使用されることである。この方法では、他の方法では従来の吸収剤吸収塔中で必要とされた高価なブロアー/ファンが不要となる。
【0036】
本開示において使用される吸収接触器(または「接触器」)は、従来の充填剤、トレー、構造化充填剤、モノリスなどを有することができる。本発明において使用される吸収接触器は、構造充填剤またはモノリスを含む。更により好ましくは、本発明において使用される吸収接触器は少なくとも1つのモノリスを含む。接触器は1つ以上のモノリス床を有することができる。図1に示されるように、接触器は、典型的には垂直配置を有するが、本明細書に記載されるように水平配置を有することもできる。水平配置では、接触器は、重力で液体および気体を分離できる分離器として機能することもできる。
【0037】
本開示の方法では、各段階で並流が使用される複数の向流段階が使用される。多量の汚染物質(たとえばHS)の除去効率が現行技術において要求されるので、物質移動の推進力を最大化するために向流塔が利用されている。向流接触は物質移動の推進力が最大化されるが、向流運転中の塔のフラッディングを防止するために、典型的には10フィート/秒未満のガス速度に制限する必要がある。煙道ガスが非常に大量である場合、塔内で低いガス速度が要求されるために、非常に大きな直径で高価な塔が必要となる。
【0038】
大部分のCOが好ましくは除去されるが(80〜90%+)、COの除去の条件はHSの条件ほどには厳しくならない場合がある。本開示は、酸性ガス(たとえば、COを含有)を除去するための並流接触塔の使用を記載している。並流接触塔は、フラッディングによる制約がなく、非常に速いガス速度(その結果より小さい直径の容器)を使用することができる。より重要なことは、複数の接触器が使用されることで、ガス流は並流であるが、接触器の長さに沿った数箇所で液体流を注入することで、十分な物質移動の推進力が維持される。この配列によって、純粋な向流運転によって得られる固有の推進力効率に近づく。
【0039】
本開示の方法は、アミン吸収剤を段階間で冷却することもできる。これによって、アミンのより高いCO回収能力を利用することができる。図1のプロセス構成によって、段階間の冷却が可能になる。アミン温度が段階間で低下することで、アミンの吸収能力が増加し、従って設備の大きさが減少する。
【0040】
図1は、カウンターステージのベンチュリエジェクターおよび接触器を使用したCO回収方法の概略図である。このCO除去方法は、COをアミン吸収剤中に吸収させるためのアミン−CO接触と、続いてアミンの熱的再生およびアミン再循環の2段階を含む。これらの吸収−再生ステップは、エネルギー利用を最小限にするために熱統合される。
【0041】
図1のプロセス構成に示されるようなエジェクターの使用によって、酸性ガス、たとえば煙道ガスをCO/アミン接触器中に送り込むための高価なファンブロアーが不要になる。エジェクターは、接触器中の圧力低下を克服するためにも有用である。圧力低下を克服するための運動エネルギーは、高圧液体ポンプ、たとえば、エジェクターベンチュリノズルによって得られ、これらはファン/ブロアーよりも購入および運転にはるかに費用がかからない。
【0042】
本開示によると、酸性ガス、たとえば煙道ガスと、液体吸収剤(アミン)とは、吸収接触器中に並流方式で流れ込む。並流接触器を使用することで、フラッディングの危険性が全くなく高いガス速度が可能になる。次にこれによって、より小さな直径の接触器の使用が可能となる。従来の向流接触器が使用される場合では、接触器のフラッディングを防止するために、容器中のガス速度を閾値(典型的には約10フィート/秒)未満に制限する必要がある。フラッディングが起こった接触器では、上方に流れるガスのガス速度が速いために、液体の下方への流れが妨害され、アミンが酸性ガス、たとえば煙道ガスと接触しなくなる。
【0043】
本開示によると、図1中に示されるように、2つの吸収接触器および2つのエジェクターベンチュリノズルが、向流配置で配列され、再生された吸収剤、たとえば再生されたアミン溶液は、左側の接触器から右側のエジェクターベンチュリノズルに流れ、洗浄された酸性ガス、たとえば洗浄された煙道ガスは、右側の接触器から左側のエジェクターベンチュリノズルに流れる。この吸収接触器の向流配置によって、物質移動の推進力が増加し、吸収接触器中への並流酸性ガス/吸収剤流によって、利用可能な高い速度が得られる。ガス混合物/吸収剤流中のガス体積対液体体積の比は、吸収接触器の通過においてテイラー流またはスラグ流領域などの高速な物質移動が得られる条件での流れを維持するのに十分な比となるべきである。
【0044】
図1を参照すると、第1の吸収接触器10と流体連通している第1のエジェクターベンチュリノズル7が提供され、第2の吸収接触器20と流体連通している第2のエジェクターベンチュリノズル15が提供される。第1の吸収接触器10は、(流れ8を介して)第2のエジェクターベンチュリノズル15と流体連通しており、第2の吸収接触器20は、(流れ19を介して)第1のエジェクターベンチュリノズル7と流体連通している。少なくとも1種類の酸性ガスを含有するガス混合物の流れ6は、第1のエジェクターベンチュリノズル7中に流れる。部分的に消費された吸収剤の流れ19も、第1のエジェクターベンチュリノズル7中に流れる。少なくとも1種類の酸性ガスを含有するガス混合物の少なくとも一部が、第1のエジェクターベンチュリノズル7中の部分的に消費された吸収剤の少なくとも一部と、酸性ガスの少なくとも一部が吸収剤流中に吸収されるのに十分な条件下で接触する。液滴を含む流れが、第1のエジェクターベンチュリノズル7から排出され、その液滴の流れは、第1の吸収接触器10中に流れる。少なくとも1種類の酸性ガスを含有するガス混合物の少なくとも一部が、第1の吸収接触器10中の吸収剤の少なくとも一部と、並流中で、酸性ガスの少なくとも一部が吸収剤流中に吸収されるのに十分な条件下で接触する。少なくとも部分的に洗浄された酸性ガスの流れ8は、第1の吸収接触器10から除去される。少なくとも部分的に消費された吸収剤の流れは、第1の吸収接触器10から除去され、少なくとも部分的に消費された吸収剤の流れは、酸性ガスの少なくとも一部が脱着して再生された吸収剤が得られるのに十分な条件下で処理される。
【0045】
少なくとも部分的に洗浄された酸性ガスの流れ8は、第2のエジェクターベンチュリノズル15中に流れる。再生された吸収剤の流れ5も、ポンプ4を通って、第2のエジェクターベンチュリノズル15に流れる。少なくとも部分的に洗浄された酸性ガスの少なくとも一部が、第2のエジェクターベンチュリノズル15中の再生された吸収剤の少なくとも一部と、酸性ガスの少なくとも一部が吸収されるのに十分な条件下で接触する。液滴を含む流れが、第2のエジェクターベンチュリノズル15から排出され、その流れは第2の吸収接触器20中に流れる。少なくとも部分的に洗浄された酸性ガスの少なくとも一部が、第2の吸収接触器20中の再生された吸収剤の少なくとも一部と、並流中で、酸性ガスの少なくとも一部が吸収剤流中に吸収されるのに十分な条件下で接触する。少なくとも部分的に洗浄された酸性ガスの流れ16は第2の吸収接触器20から除去される。少なくとも部分的に消費された吸収剤の流れ19も第2の吸収接触器から除去される。少なくとも部分的に消費された吸収剤の流れ19は、次に熱交換器18およびポンプ17を通過して第1のエジェクターベンチュリノズル7中に流れる。
【0046】
物質移動の推進力を更に増加させるために3つ以上の接触器を直列で使用することができる。その極限では、その推進力は、接触器中の気液向流の接触効率に近づく。煙道ガスからCOを除去するための条件はあまり厳しくないので(80〜90%のCO除去に対して、従来ではアミンノズル中で99%+HSの除去)、図1に示されるように2つの吸収装置の段階で十分であると予想される。パーセントCO回収率の目標に依存するが、場合によっては1つの吸収接触器で十分となる場合もある。
【0047】
CO−アミン物質移動領域は、エジェクターによって(物質移動領域用の小さな液滴に形成)、および吸収接触器によって提供される。選択されたアミン、および選択されたアミンとのCOの反応の反応速度に依存するが、吸収接触器は、必ずしも各エジェクターの下流に存在するわけではない。しかし、本発明の好ましい実施形態においては、少なくとも1つの接触器が、モノリスまたは充填剤を有し、それを1つになった吸収剤/ガス混合物流が通過し、これは、図1に示される接触器容器の灰色部分で示されている。これらの接触器内部構造を使用することで、本明細書に開示される吸収プロセス構成および条件下で、混合が改善され、コアレセンス(coalesence)および消費された液体吸収剤の除去が改善される。このような状況では、エジェクター単独で、CO除去の目標を実現するのに十分な物質移動領域を得ることができる。
【0048】
図1は、2つの接触器のそれぞれの上流のエジェクターを示している。エジェクターを接触器と一体化したり、エジェクターを接触器中に配置したりすることは、本発明の範囲内である。1つの接触器容器に供給するための複数の並列のエジェクターを有し、その複数のエジェクターを、接触器容器入口に配置したり、接触器容器の長さに沿って分布させたり(図示せず)できることや、並列の複数の接触器を有することも、本開示の範囲内である。
【0049】
高速液体エジェクターによって小さな液滴が形成され、それによって気液物質移動が促進される。小さな液滴が物質移動には望ましいが、形成された微細ミストは蒸気から除去する必要があり、さもないと過度のアミンの減少が起こる。更なる物質移動領域を提供することに加えて、並流接触器はデミスターとしても機能する。従って、図1に示される構成によって、高価なデミスターの必要性が軽減/解消される。
【0050】
アミンが分解した場合、および特定の運転条件条件下では、並流吸収接触器のファウリングが生じることがある。潜在的なファウリングによって、接触器の圧力低下が増加しうる。これは重要な運転変数となりうるが、その理由は、エジェクターは、圧力をごくわずかに増加させることがあり、エジェクターによって促進されたガス流中での圧力低下がごく限定されたものとなるからである。充填剤のファウリング層の付近の気体および液体の流れを自動的に回避する技術を使用して、並流接触器中のファウリングの影響を緩和することができる。このような技術は、たとえば特許文献1および特許文献2に記載されており、これらの記載内容全体が本明細書に援用される。
【0051】
本開示の方法に使用される吸収剤は、酸性ガス、たとえばCOの吸収に影響を与えうるあらゆる液体であってよい。好ましくは、本開示の方法は、高CO処理能力のアミン溶液を使用する。別の実施形態においては、吸収剤は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属またはアルカリ土類金属炭酸塩、或いはそれらの混合物から選択される苛性溶液で構成することができる。
【0052】
吸収剤は好ましくはアミン溶液を含む。アミン溶液は第1級アミン、第2級アミン、またはそれらの混合物を含む。第1級アミンおよび/または第2級アミン基を有するポリアミンも本開示において有用となり得る。吸収剤は、酸化防止剤、防食剤などの任意選択の成分を含有することができる。
【0053】
本開示の吸収剤として有用な例示的なアミンとしては、たとえば、モノエタノールアミン(MEA)などの第1級アミン、第1級アミンの混合物、ジエタノールアミン(DEA)およびジイソプロピルアミン(DIPA)などの第2級アミン、第2級アミンの混合物、第1級アミンと第2級アミンとの混合物、第1級アミン基を有するポリアミン、第1級アミン基を有するポリアミンの混合物、第2級アミン基を有するポリアミン、第2級アミン基を有するポリアミンの混合物、第1級アミン基を有するポリアミンと第2級アミン基を有するポリアミンとの混合物などが挙げられる。アミン類は、当技術分野において周知の従来通りの材料である。
【0054】
第1級アミン、第2級アミン、または第1級アミンと第2級アミンとの混合物の溶媒中の濃度は、広範囲にわたって変動することができる。吸収剤溶液全体に対する第1級アミンの濃度は、約1重量パーセント〜約100重量パーセント、好ましくは約20重量パーセント〜約50重量パーセントの範囲であってよい。吸収剤溶液全体に対する第2級アミンの濃度は、約1重量パーセント〜約100重量パーセント、好ましくは約20重量パーセント〜約50重量パーセントの範囲であってよい。第1級アミンと第2級アミンとの混合物を含む吸収剤に関しては、吸収剤溶液全体に対する混合物の濃度は、約1重量パーセント〜約99重量パーセント、好ましくは約10重量パーセント〜約90重量パーセントの範囲であってよい。
【0055】
吸収剤はアミン溶液に限定されないことを理解されたい。たとえば、酸性ガスの吸収に影響を与えうるあらゆる液体が本発明において有用となりうる。別の例示的な吸収剤としては、たとえば、アルカリ/アルカリ土類金属の水酸化物/炭酸塩の溶液などが挙げられる。
【0056】
CO(約0.7気圧の分圧)および不活性ガスを含有する乾燥ガス流を使用して熱重量測定装置で測定した場合に、吸収材料は、吸収剤1グラム当たりに吸収されるCOが、好ましくは少なくとも約0.05ミリモル、より好ましくは少なくとも約0.5ミリモル、更により好ましくは少なくとも約1.0ミリモルの吸収能力を有する。更に、サンプルをパージするための乾燥不活性ガス流を使用して熱重量測定装置で測定した場合に、吸収剤は、一次速度定数によって示される脱着速度が、好ましくは1分間あたり約0.0001〜約10000、より好ましくは1分間あたり約0.01〜約100、更により好ましくは1分間あたり約0.1〜約10となる。吸収剤は、吸収プロセスのサイクリングのあるサイクルから別のサイクルで再生することができ、従って吸収剤はサイクル的に安定である。
【0057】
本発明の吸収方法の場合、温度は好ましくは約1℃〜約95℃、より好ましくは約10℃〜約75℃、更により好ましくは約35℃〜約55℃の間の範囲内である。圧力は好ましくは約0.5bar〜約50bar(絶対)、より好ましくは約0.9bar〜約25bar(絶対)の範囲内である。ガス混合物中の二酸化炭素の分圧は、好ましくは約0.03〜約20bar、より好ましくは約0.4〜約10bar(絶対)である。ガス混合物は、好ましくは、並流として、本明細書に記載のプロセス構成中の吸収剤量と、約1フィート/秒〜約150フィート/秒の空塔速度、より好ましくは約5フィート/秒〜約100フィート/秒の空塔速度、更により好ましくは約8フィート/秒〜約50フィート/秒の空塔速度で接触する。ガス混合物は吸収材料と1回以上接触することができる。
【0058】
吸収剤は、ガス流からCOを除去するための使用に限定されないことを理解されたい。むしろ、酸性ガスがアミンと反応可能であれば、吸収剤は、酸性ガスを含有するガス流からHSを除去、および/またはCOとHSとの組み合わせを除去するために使用することができる。
【0059】
二酸化炭素は、不活性ガス、気体CO、または蒸気を使用して、好ましくは別の再生塔中でストリッピングすることによって脱着することができる。
【0060】
本発明の方法におけるCO(または同様にHS)の脱着の場合、好適な圧力は約500mbar〜約200bar(絶対)、好ましくは約800mbar〜約100bar(絶対)の範囲であってよい。これらのプロセス中の脱着温度は、好ましくは約50℃〜約250℃、より好ましくは約75℃〜約175℃、更により好ましくは約120℃を超える範囲内に維持される。
【0061】
アミン再生の場合、蒸気エジェクターの使用(場合により低圧製油所廃棄蒸気を使用して)によって、アミン再生の圧力を低下させることができる。これによって、アミン再生をより低温で行うことができ、再生に必要なエネルギーが減少する。
【0062】
従来の方法では、再使用するためのアミンの再生は、エネルギーを大量に消費するプロセスであり、運転費の主要部分となる。エネルギー費を削減するためにアミンがより低い温度で再生されることが非常に望ましい。再生が行われる圧力を低下させることによって、より低い温度でアミンを再生させることは、本発明の範囲内である。再生が行われる圧力を低下させるために蒸気インジェクターを使用することができる。これは、大量の低圧廃棄蒸気が利用可能となる製油所環境においては特に有益である。
【0063】
図1に示される二重接触器方式に加えて、本発明は、1つの吸収接触器を使用する実施形態を含んでいる。この場合、少なくとも1つのエジェクターベンチュリノズルが、吸収接触器と流体連通して設けられる。少なくとも1種類の酸性ガスを含有するガス混合物と吸収剤との流れが、エジェクターベンチュリノズル中に流れる。吸収剤は好ましくは、第1級アミン、第2級アミン、またはそれらの混合物を含むことができるアミン溶液である。少なくとも1種類の酸性ガスを含有するガス混合物の少なくとも一部が、エジェクターベンチュリノズル中で吸収剤の少なくとも一部と、酸性ガス中の汚染物質(たとえばCO)の少なくとも一部が吸収されるのに十分な条件下で接触する。液滴を含む流れが、エジェクターベンチュリノズルから排出されて、吸収接触器中に流れる。少なくとも1種類の酸性ガスを含有するガス混合物の少なくとも一部が、吸収接触器中の吸収剤の少なくとも一部と、並流中、酸性ガスの少なくとも一部が吸収されるのに十分な条件下で接触する。洗浄された酸性ガスの流れは、吸収接触器から除去される。消費された吸収剤の流れは、吸収接触器から除去され、酸性ガスの少なくとも一部が脱着して再生された吸収剤を生成するのに十分な条件下で処理される。再生された吸収剤は、エジェクターベンチュリノズルに再循環させることができる。
【0064】
前述のように、本開示は、一部において、CO、HS、またはそれらの組み合わせの少なくとも一部をガス混合物から分離するためのシステムであって:
少なくとも1つの第1のエジェクターベンチュリノズルと;
少なくとも1つの第1の吸収接触器であって、少なくとも1つの第1のエジェクターベンチュリノズルが少なくとも1つの第1の吸収接触器と流体連通している、少なくとも1つの第1の吸収接触器と、
少なくとも1つの第2のエジェクターベンチュリノズルと;
少なくとも1つの第2の吸収接触器であって、少なくとも1つの第2のエジェクターベンチュリノズルが少なくとも1つの第2の吸収接触器と流体連通している、少なくとも1つの第2の吸収接触器とを含み;
少なくとも1つの第1の吸収接触器が少なくとも1つの第2のエジェクターベンチュリノズルと流体連通しており、少なくとも1つの第2の吸収接触器が少なくとも1つの第1のエジェクターベンチュリノズルと流体連通している、システムに関する。
【0065】
上記システムは、本明細書に記載のような並列の複数のエジェクターベンチュリノズルおよび並列の複数の吸収接触器を更に含むことができる。
【0066】
本開示は、一部において、少なくとも1つの吸収接触器と流体連通している少なくとも1つのエジェクターベンチュリノズルを含む、ガス混合物から酸性ガス汚染物質を分離するシステムにも関する。
【0067】
図1に示される方式の一変形では、ベンチュリエジェクターと、モノリスまたは構造化充填剤を有することができる水平接触器とが使用される。このような構成の利点は、エジェクター中で初期表面領域を形成されること、および、水平接触器が、反応を終了させる接触器としてだけでなく、水平位置にあるために分離容器としても機能することである。構造化充填剤またはモノリスはデミスターとして機能し、水平位置によって、液体および気体を重力で効率的に分離することができる。モノリスが使用される場合、規則的な間隔でのモノリスの間の間隙が必要となる。概略図が図2に示されている。ガスに対する液体の量によって、液面が制御される。図3に示される概略図においては、より少ない液体が存在し、液体ドローオフがより低い位置にある。図4に示される概略図においては、構造化充填剤が使用される。
【0068】
図2を参照すると、液体吸収剤流31が側方からエジェクターベンチュリノズル33に入り、少なくとも1種類の酸性ガスを含有するガス混合物流32が上部からエジェクターベンチュリノズル33に入る。少なくとも1種類の酸性ガスを含有するガス混合物の少なくとも一部が、エジェクターベンチュリノズル33中の再生された吸収剤の少なくとも一部と、酸性ガスの少なくとも一部が吸収されるのに十分な条件下で接触する。液滴を含む流れ34がエジェクターベンチュリノズル33から排出され、その液滴の流れは吸収接触器30中に流れる。少なくとも1種類の酸性ガスを含有するガス混合物の少なくとも一部が、接触器30中の吸収剤の少なくとも一部と、並流中で、酸性ガスの少なくとも一部が吸収されるのに十分な条件下で接触する。このような構成の利点は、エジェクターベンチュリノズル33中で初期表面領域が形成されること、および、水平接触器30が、反応を終了させる接触器のように機能するだけでなく、水平位置にあるために分離容器としても機能することである。モノリス35の区画はデミスターとして機能し、水平位置によって、液体吸収剤およびガス混合物を重力で効率的に分離することができる。接触器30は、モノリス35の区画を有し、その中には規則的な間隔でのモノリスの間の間隙36が必要となる。ガス混合物に対する液体吸収剤の量によって、液面37が制御される。洗浄されたガス混合物の流れ38は、接触器30の上部から除去され、消費された吸収剤の流れ39は、上部および底部(即ち、液面よりも下)の間のほぼ中間の高さで接触器30から除去される。消費された吸収剤の流れ39は、次に、酸性ガスの少なくとも一部が脱着して再生された吸収剤を生成されるのに十分な条件下で処理することができる。
【0069】
図3を参照すると、液体吸収剤流41が側部からエジェクターベンチュリノズル43に入り、少なくとも1種類の酸性ガスを含有するガス混合物流42が上部からエジェクターベンチュリノズル43に入る。少なくとも1種類の酸性ガスを含有するガス混合物の少なくとも一部が、エジェクターベンチュリノズル43中の再生された吸収剤の少なくとも一部と、酸性ガスの少なくとも一部が吸収されるのに十分な条件下で接触する。液滴を含む流れ44が、エジェクターベンチュリノズル43から排出され、その液滴の流れは吸収接触器40中に流れる。少なくとも1種類の酸性ガスを含有するガス混合物の少なくとも一部が、接触器40中の吸収剤の少なくとも一部と、並流中、酸性ガスの少なくとも一部が吸収されるのに十分な条件下で接触する。このような構成の利点は、エジェクターベンチュリノズル43中で初期表面領域が形成されること、および、水平接触器40が、反応を終了させる接触器のように機能するだけでなく、水平位置にあるために分離容器としても機能することである。モノリス45の区画はデミスターとして機能し、水平位置によって、液体吸収剤およびガス混合物を重力で効率的に分離することができる。接触器40は、モノリス45の区画を有し、その中には規則的な間隔でのモノリスの間の間隙46が必要となる。ガス混合物に対する液体吸収剤の量によって、液面47が制御される。洗浄されたガス混合物の流れ48は、接触器40の上部から除去され、消費された吸収剤の流れ49は、接触器40の底部(即ち、液面よりも下)から除去される。図2と比較すると、より少ない液体が存在し、液体ドローオフ49がより低い位置にある。消費された吸収剤の流れ49は、次に、酸性ガスの少なくとも一部が脱着して再生された吸収剤を生成されるのに十分な条件下で処理することができる。
【0070】
図4を参照すると、液体吸収剤流51が側部からエジェクターベンチュリノズル53に入り、少なくとも1種類の酸性ガスを含有するガス混合物流52が上部からエジェクターベンチュリノズル53に入る。少なくとも1種類の酸性ガスを含有するガス混合物の少なくとも一部が、エジェクターベンチュリノズル53中の再生された吸収剤の少なくとも一部と、酸性ガスの少なくとも一部が吸収されるのに十分な条件下で接触する。液滴を含む流れ54が、エジェクターベンチュリノズル53から排出され、その液滴の流れは、構造化充填剤55を有する接触器50中に流れる。少なくとも1種類の酸性ガスを含有するガス混合物の少なくとも一部が、接触器50中の吸収剤の少なくとも一部と、並流中、酸性ガスの少なくとも一部が吸収されるのに十分な条件下で接触する。このような構成の利点は、エジェクターベンチュリノズル53中で初期表面領域が形成されること、および、水平接触器50が、反応を終了させる接触器のように機能するだけでなく、水平位置にあるために分離容器としても機能することである。構造化充填剤55はデミスターとして機能し、水平位置によって、液体吸収剤およびガス混合物を重力で効率的に分離することができる。ガス混合物に対する液体吸収剤の量によって、液面56が制御される。洗浄されたガス混合物の流れ57は、接触器50の上部から除去され、消費された吸収剤の流れ58は、接触器50の底部(即ち、液面よりも下)から除去される。消費された吸収剤の流れ58は、次に、酸性ガスの少なくとも一部が脱着して再生された吸収剤を生成されるのに十分な条件下で処理することができる。
【0071】
吸収接触器は、テイラー流またはスラグ流領域で運転される高密度のモノリスで構成することができる。テイラー流およびスラグ流領域のモノリスは、非常に少ない圧力低下、高い物質移動速度、効率的な液滴除去、並びに気体および液体の流れの最小限の逆混合などのいくつかの利点を有する。従ってテイラー流およびスラグ流のモノリスによって、ファン/ブロアーまたは圧縮機の必要性が更に軽減される。
【0072】
気泡が運ばれるチャネル壁に対し溶液の比較的薄い層が得られるので、テイラー流またはスラグ流は「平行のチャネル」または「ハニカム」のモノリスの場合に望ましい流動様式であると考えられる。更に、テイラー流およびスラグ流によって、液体プラグ中に良好な再循環が起こる。この薄層および良好な再循環によって、モノリス材料中の物質移動が促進される。テイラー流またはスラグ流領域またはその付近の流れを維持するために、吸収接触器は、所望のガス対液体の体積比(G:L)(対象となる温度および圧力において定義される)がモノリスチャネル中で維持される。テイラー流およびスラグ流領域は、体積比G:Lの特定の狭い条件下、名目上は1:1の比で起こるが、場合によってはテイラー流およびスラグ流は約0.1〜約10の範囲のG:L比で観察されることもある。1:1付近の比では、気泡が液体スラグとほぼ同じ大きさとなる。
【0073】
本明細書において使用される場合、「平行のチャネル」(または「ハニカム」)のモノリスは、モノリスの入口側からモノリスの出口側まで広がり、実質的に直線でおよび実質的に平行である複数の分離したチャネルを含むモノリス接触器の内部である。対照的に、接触器の内部に関して本明細書において使用される場合、用語「充填剤」または「充填床」は、吸収剤と、酸性ガスを含有するガス混合物との接触を促進する接触器内部であって、床は床の入口から出口までの分離したチャネルでは構成されず、即ち、床全体の流動チャネルが、床中の別の流動チャネルと流体接続している接触器内部を意味する。
【0074】
テイラー流およびスラグ流を図8に示している。テイラー流中では、気泡と液体プラグとが交互にモノリスチャネルを通過し、液体プラグ中には気泡が存在しないか非常に少ない。本明細書において使用される場合、スラグ流は、液体スラグ中に小さい気泡が存在するガス/液体流を意味する。栓流は、液体プラグ中に気泡が全く存在しないか比較的少ないかである流れを意味する。栓流は、気泡と液体プラグとが同程度の大きさであるテイラー流を含んでいる。本明細書において使用される場合で、流れがテイラー領域またはその付近であると記載される場合、その流れは、境界が図8の(e)に示されるようなスラグ流、並びに図8の(c)および(d)に示されるようなテイラー流である範囲内にあることを意味する。
【0075】
一実施形態においては、向流吸収塔中で起こりうるフラッディングの危険性を解消するために、本発明はモノリス中で並流下向流を使用する。COガスとの反応のための表面領域が得られる非常に小さな液滴を形成するために、液体噴霧ノズルが使用される。
【0076】
噴霧ノズルの下流のモノリスは、テイラー流またはスラグ流領域で運転される。気液物質移動速度が非常に速く圧力低下が少ないテイラー流またはスラグ流によって、更なるCOの物質移動が得られ、蒸気から液滴が除去される。モノリスへの供給材料は二相気液混合物であり、液滴を有するガスがテイラー流またはスラグ流となる。モノリスは、エジェクターベンチュリと組み合わせて使用することができる。しかし、エジェクターを使用せずにモノリス単独で使用することも本開示の範囲内である。あるプロセス条件下では、エジェクターが使用されない場合でさえも、高い物質移動効率のために、十分なCO回収効率を得ることができる。
【0077】
図5は、テイラー流またはスラグ流領域で運転されるモノリス63を有する接触器60の概略図である。液体吸収剤流61は、噴霧ノズル装置65を介して上部から接触器60に入り、少なくとも1種類の酸性ガスを含有するガス混合物流62は、側部から接触器60に入る。或いは、ガス混合物流は、噴霧ノズル装置65で混合することもできる。ガス混合物および液体吸収剤は、次に、コアレッサーおよび接触器の両方として機能するモノリス63を有する接触器60中で激しく接触する。加えられるガス混合物および液体吸収剤の量、並びに液滴サイズ(従ってモノリス上で起こる反応の程度)に依存するが、モノリス63はコアレッサーまたは接触器のいずれかであってよい。たとえば、大きな液滴の場合、反応は、ヘッドスペース中では、完了または所望の目標まで進行せず、モノリスによって、十分な表面領域および物質移動が得られる。非常に小さな液滴の場合、モノリスは、単にコアレッサーの役割を果たす。従って、図5に示される噴霧ノズル装置65は、単純な液体噴霧装置またはベンチュリエジェクターノズルであってよい。洗浄されたガス混合物の流れ66は、接触器60から除去され、消費された吸収剤の流れ64は接触器60の底部から除去される。消費された吸収剤の流れ64は、次に、酸性ガスの少なくとも一部が脱着して再生された吸収剤を生成されるのに十分な条件下で処理することができる。
【0078】
テイラー流またはスラグ流の促進は、スクリーン、またはモノリスチャネルへの特殊な入口によって行うことができる。図6は、テイラー流の概念を示している。簡単にするため、流れは左から右に示されているが、典型的には流れの構造は上部から底部である。図6中、霧状の液滴の流れが、入口噴霧ノズル装置を離れ、モノリス中の各チャネルの流れの制約のために、更なる乱流が生じ、液滴が合体し、液滴が互いに液だまりになり、その液だまりがスラグとして排出される。
【0079】
定常状態CFDシミュレーションによって、実際に形状によって、液体の蓄積が促進されることが明らかとなる。図7は、液体が合体して流れから排出されるときの気相の空隙率の増加のCFD図である。図中の明暗の影は、ガスの空隙率に対応している。より暗い影は低ガス分率に対応しており、より明るい影は高ガス(低液体)分率に対応している。明らかなように、入口付近では、ガスは多量の液体を保持するが、のど部を超えると、ガスによって液体が壁面に堆積し、それによって液体スラグの形成が促進される。
【0080】
上向流、下向流などにおけるモノリスの流動様式マップは、一般に、図8、9、および10に示されるようにテイラー流またはスラグ流の領域を有する。図8は、毛管チャネル中で観察される流動様式の概略図である。簡単にするため、並流の上向流が示されており:(a)および(b)は気泡流であり、(c)および(d)はテイラー流であり、(e)は過渡的なスラグ流であり、(f)はチャーン流であり、(g)および(h)は膜流または環状流である。文献には多数の流動様式マップが記載されており、それらでは液体および気体の条件および性質の関数としての流動様式が予測されている。図9は、Ca/Re=1.5×10−5の場合のSuo and Griffith,1964の流動様式マップである。この流動様式マップは、流動様式と、キャピラリー数(Ca=μU/σ、粘性力と表面張力との比を表している)および液滞留量(Ф/Ф+Ф)との相関を示している。非特許文献1による別の流動様式マップが図10に示されている。Jayawardenaの流動様式マップにおいては、流動様式は種々の無次元のグループと相関がある。
【0081】
本明細書に示されるように、本開示は、一部において、ガス混合物から酸性ガス成分を分離するシステムであって、少なくとも1つの吸収接触器と流体連通している少なくとも1つの液体噴霧装置を含み、前記吸収接触器が1つ以上のモノリス床を有する、システムに関する。
【0082】
上記システムにおいて、液体噴霧装置はエジェクターベンチュリノズルを含むことができる。モノリス床は、テイラー流またはスラグ流領域またはその付近で前記吸収接触器を流れが通過するように運転するのに十分なスクリーンまたは入口を有することができる。更に、モノリス床は、コアレッサーおよび接触器として機能することができる。
【0083】
二酸化炭素を含有するガス混合物は、天然または人工的な供給源から得ることができる。ガス混合物は、二酸化炭素に加えて、メタン、エタン、n−ブタン、i−ブタン、水素、一酸化炭素、エテン、エチン、プロペン、窒素、酸素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、および硫化水素などの1種類以上の他のガスを含有することができる。
【0084】
ガス混合物の各成分は、種々の比率を有することができる。ガス混合物中の二酸化炭素の量は、好ましくは少なくとも1パーセント、より好ましくは少なくとも10パーセント、更により好ましくは50パーセント以上である。ガス混合物は、種々のガス、たとえば、天然ガス、煙道ガス、燃料ガス、排ガス、および空気のいずれであってもよい。
【0085】
ガス混合物および/または酸性ガス流は、吸収材料と接触させる前に脱湿することができる。脱湿は従来方法によって行うことができる。たとえば、脱湿は、固体収着剤上での吸収によって行うことができる。好ましい固体収着剤としては、たとえば、モレキュラーシーブ、シリカゲル、またはアルミナが挙げられる。
【0086】
特に、酸性ガス洗浄ユニットの蒸留に乾燥剤/吸収剤保護床を使用することによって、または吸収温度よりも高温で再生可能な吸収剤を使用して100℃を超える温度でCOの吸収を行うことによって、水がシステムに入らないようにすることができる。或いは、本開示は、入ってくる水と洗浄される煙道ガスとの相分離を促進するため、吸収剤溶解性であるが、水不溶性である溶媒を使用することを含む。
【0087】
効率的な方法で連続的に運転するために完全に自動化できるようにガス流の監視および自動制御ガスなどのアミン洗浄プロセスの種々の機能を果たす従来の装置を使用できることは理解されよう。
【0088】
本開示の種々の修正および変形は当業者には明らかとなるであろうし、そのような修正および変形が、本出願の範囲および請求項の意図および範囲の中に含まれるべきことを理解されたい。
【実施例】
【0089】
6600万実立方フィート/時の場合、モデルアミンを使用して十分な領域を得ることができ、直径約8メートルおよび高さ8メートルの反応器で、90%のCO吸収と、テイラー流またはスラグ流とが実現される。圧力低下は1psi未満と推定される。
【0090】
本開示により本発明者らはいくつかの実施形態を示し説明してきたが、当業者に明らかなそれらの種々の変更が可能であることが明らかに理解されよう。従って、本発明者らは、提示し説明してきた詳細に限定されることを望むものではなく、添付の特許請求の範囲内となるすべての変更および修正を示すことを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性ガスを含む供給ガス混合物から酸性ガス成分を分離する方法であって:
少なくとも1つの吸収接触器と流体連通する少なくとも1つの液体噴霧装置および前記少なくとも1つの吸収接触器と流体連通する少なくとも1つのガス供給入口ラインを提供する工程であって、前記吸収接触器が、モノリス床または充填床の少なくとも1つを含む工程;
前記吸収接触器中、並流中で、少なくとも1種類の酸性ガスを含有する供給ガス混合物の少なくとも一部と、第1の吸収剤溶液の少なくとも一部を、前記酸性ガスの少なくとも一部が吸収されるのに十分な条件下で接触させる工程であって、前記酸性ガスがCO、HSまたはそれらの組み合わせを含む工程;
第1の部分的に洗浄されたガス混合物を前記吸収接触器から除去する工程であって、前記第1の部分的に洗浄されたガス混合物中の酸性ガスのモル濃度が、前記供給ガス混合物中の前記酸性ガスのモル濃度よりも低い工程;および
第1の消費された吸収剤溶液の流れを前記吸収接触器から除去する工程であって、第1の消費された吸収剤溶液が、前記供給ガス混合物からの前記酸性ガスの少なくとも一部を含有する工程
を含む方法。
【請求項2】
前記液体噴霧装置が、エジェクターベンチュリノズルを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記供給ガス混合物の少なくとも一部および前記第1の吸収剤溶液の一部が、前記エジェクターベンチュリノズルを通過することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記吸収接触器がモノリス床を含み、モノリス床が実質的に平行のチャネルを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記モノリス床中の前記条件が、テイラー流またはスラグ流領域またはその付近で前記平行のチャネルを通過する条件となるように前記吸収接触器が運転されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記吸収剤溶液が、
第1級アミン、第2級アミンまたはそれらの混合物を含むアミン溶液;
ポリアミンまたはそれらの混合物を含むアミン溶液;
アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物溶液;並びに
アルカリ金属またはアルカリ土類金属炭酸塩溶液
からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記酸性ガスの少なくとも一部を脱着させるのに十分な条件下で、前記第1の消費された吸収剤溶液の少なくとも一部を処理して、それによって第1の再生吸収剤溶液を得る工程;および
前記第1の再生した吸収剤溶液の少なくとも一部を前記液体噴霧装置に再循環させる工程
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記酸性ガスがCOであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項9】
および酸性ガスを含む供給ガス混合物から酸性ガス成分を分離する方法であって:
少なくとも第1の吸収接触器と流体連通する少なくとも第1のエジェクターベンチュリノズルおよび少なくとも第2の吸収接触器と流体連通する少なくとも第2のエジェクターベンチュリノズルを提供する工程であって、前記第1の吸収接触器が、前記第2のエジェクターベンチュリノズルと流体連通し、前記第2の吸収接触器が、前記第1のエジェクターベンチュリノズルと流体連通する工程;
液滴を含む第1のエジェクター流を前記第1のエジェクターベンチュリノズルから前記第1の吸収接触器中に排出する工程であって、前記第1のエジェクター流が、第1の吸収剤溶液と、少なくとも1種類の酸性ガスを含有する第1の供給ガス混合物を含む工程;
前記第1の吸収接触器中、並流中で、少なくとも1種類の酸性ガスを含有する前記第1の供給ガス混合物の少なくとも一部と、前記第1の吸収剤溶液の少なくとも一部を、前記酸性ガスの少なくとも一部が吸収されるのに十分な条件下で接触させる工程であって、前記酸性ガスがCO、HSまたはそれらの組み合わせを含む工程;
第1の部分的に洗浄されたガス混合物を前記第1の吸収接触器から除去する工程であって、前記第1の部分的に洗浄されたガス混合物中の前記酸性ガスのモル濃度が、前記第1の供給ガス混合物中の前記酸性ガスのモル濃度よりも低い工程;
液滴を含む第2のエジェクター流を前記第2のエジェクターベンチュリノズルから前記第2の吸収接触器中に排出する工程であって、前記第2のエジェクター流が、第2の吸収剤溶液と、前記第1の吸収接触器からの前記第1の部分的に洗浄されたガス混合物の少なくとも一部を含有する第2の供給ガス混合物を含む工程;
前記第2の吸収接触器中、並流中で、前記第1の部分的に洗浄されたガス混合物の少なくとも一部と、前記第2の吸収剤溶液の少なくとも一部を、前記第1の部分的に洗浄されたガス混合物から前記酸性ガスの少なくとも一部が吸収されるのに十分な条件下で接触させる工程;および
第2の消費された吸収剤溶液の流れを前記第2の吸収接触器から除去する工程であって、前記第2の消費された吸収剤溶液が、前記第1の部分的に洗浄されたガス混合物からの前記酸性ガスの少なくとも一部を含有する工程
を含む方法。
【請求項10】
第2の部分的に洗浄されたガス混合物を前記第2の吸収接触器から除去する工程であって、前記第2の部分的に洗浄されたガス混合物中の前記酸性ガスのモル濃度が、前記第1の部分的に洗浄されたガス混合物中の前記酸性ガスのモル濃度よりも低い工程;および
前記第2の消費された吸収剤溶液の少なくとも一部を前記第1のエジェクターベンチュリノズルに再循環させる工程
を更に含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の吸収剤溶液および前記第2の吸収剤溶液が、
第1級アミン、第2級アミンまたはそれらの混合物を含むアミン溶液;
ポリアミンまたはそれらの混合物を含むアミン溶液;
アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物溶液;並びに
アルカリ金属またはアルカリ土類金属炭酸塩溶液
からなる群から選択されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の消費された吸収剤溶液から前記酸性ガスの少なくとも一部を脱着させ、それによって前記第1の再生吸収剤溶液を得るのに十分な条件下で、前記第1の吸収接触器からの前記第1の消費された吸収剤溶液を処理することによって得られた第1の再生吸収剤溶液を、前記第2の吸収剤溶液が含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の吸収接触器、前記第1のエジェクターベンチュリノズル、前記第2の吸収接触器、および前記第2のエジェクターベンチュリノズルが向流配置で配列され、前記第2の消費された吸収剤溶液が前記第2の吸収接触器から前記第1のエジェクターベンチュリノズルまで流れ、前記第1の部分的に洗浄されたガス混合物が前記第1の吸収接触器から前記第2のエジェクターベンチュリノズルまで流れることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の部分的に洗浄されたガス混合物のCO含有率(mol%)が、前記供給ガス混合物のCO含有率(mol%)の20%未満であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の吸収接触器からの前記第2の消費された吸収剤溶液が、前記第1のエジェクターベンチュリノズル中に流される前に冷却されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の吸収接触器および前記第1の吸収接触器がモノリス床を含み、前記モノリス床が実質的に平行のチャネルを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記モノリス床の条件が、テイラー流またはスラグ流領域またはその付近で前記平行のチャネルを通過する条件となるように前記吸収接触器の少なくとも1つが運転されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記供給ガス混合物が、好ましくは、1フィート/秒〜150フィート/秒の空塔速度で前記第1の吸収剤溶液と並流で接触することを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
1グラムの吸収剤溶液当たりに吸収されるCOが少なくとも0.05ミリモルとなる吸収能力を、前記吸収剤溶液が有することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の吸収接触器および前記第2の吸収接触器中の運転条件が、1℃〜95℃の温度および0.5bar〜50bar(絶対)の圧力を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−521120(P2013−521120A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556163(P2012−556163)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【国際出願番号】PCT/US2011/026636
【国際公開番号】WO2011/109359
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(390023630)エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー (442)
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
【Fターム(参考)】