説明

酸素による阻害が低減されたことを特徴とする(メタ)アクリレート組成物

本発明は、少なくとも以下の成分:a)少なくとも1種の(メタ)アクリレート;b)少なくとも1種の式(I)の化合物;c)遷移金属を包含する群から選択される少なくとも1種の金属の少なくとも1種の無機塩または金属錯体化合物;および、d)少なくとも1種の過酸化物、少なくとも1種の過酸エステル、または少なくとも1種のヒドロペルオキシドを含む、二成分形または多成分形組成物に関する。第一構成成分K1は、少なくとも成分c)を含み、第二構成成分K2は、少なくとも成分d)を含む。本発明の組成物は、これを硬化するときに酸素による阻害が防止されるか、あるいは大幅に低減されることを特徴とする。前記組成物は、接着剤、シーラントおよびコーティング剤として特に好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリーラジカル硬化性(メタ)アクリレート組成物の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
フリーラジカル硬化性(メタ)アクリレート組成物は、長い間知られている。これらは、接着剤、シーラント、およびコーティング剤として使用される。実質的な利点の1つは、これらの組成物系の迅速な硬化である。しかし、既知の不利点は、(メタ)アクリレートの硬化が、空気中に存在する酸素によって阻害され得ることである。これにより、モノマーが空気と接触しているところで、(メタ)アクリレートの重合が大幅に阻害されて粘着性のある表面を生成する結果となる。しかし、この種の粘着性は、一方では、粉塵がこれらの箇所において付着し、したがって目に見える汚れをもたらすため、他方では、架橋されなかったモノマーまたは弱く架橋されたモノマーが、触るのに不快である、ぬるぬるした、およびべとべとした表面をもたらすため、大きな不利点である。さらに、この阻害は、未反応のモノマーに起因する臭いの放出および汚染を結果として生じる。具体的には、広い領域が空気と接触している場合、より具体的にはコーティングの場合において、これらの作用は、特に大きな不利点となる。従って、長い間、完全に前記の酸素による阻害を低減するか、または完全に防止することを可能にするための試みがなされてきた。これらの努力のための1つのスターティングポイントは、パラフィンの使用であり、パラフィンがモノマー中に溶解し、これが硬化の過程において非相溶性になり、この時点でこれらが表面で蓄積して、その結果、空気に対しての遮蔽を形成する。しかし、酸素による阻害の解決策のこの形式は、2つの理由により非常に不利である。一つは、溶解度と非相溶性との間のバランスが、非常にデリケートであり、特定のモノマーに非常に依存しており、その結果として、一定の選択された(メタ)アクリレートのみが、個別の配合において使用され得るにすぎないことである。もう1つは、この種のアクリレート系の重ね塗り適合性が、表面上にパラフィンが存在する結果として前記パラフィンの除去なしには困難であり、その結果、その後のコーティングの付着のための接着性の問題が生じることである。酸素による問題に対する解決策のための別のスターティングポイントは、不活性ガスを用いる表面コーティング、または不活性ガス下での操作である。このような不活性ガスの例として、窒素、アルゴン、またはCO2がある。しかし、この方法は非常にコストがかかり、不便であり、一般に小さな表面にのみ好適である。同じことが、さらなる解決策、すなわち、減圧下での操作にもあてはまる。酸素による阻害を減らすための適切なさらなる可能性として、揮発性の化合物またはモノマーを使用する場合があり、これらの化合物またはモノマーは、重合の間に蒸発し、表面から空気を追い出す。この可能性は、例えば、メチルメタクリレートおよびメチルアクリレートの重合の場合に実現する。これらのモノマーは、高い揮発性を有しており、従って、これらのモノマーをベースにした配合の場合には酸素による阻害はわずかしか観測されない。しかし、これらのモノマーをベースにした配合の不利点は、揮発性化合物の量が多いことにより、臭気に関する問題および/または毒性に関する問題および/または職場安全性に関する問題が引き起こされることである。さらなる方法は、高温で操作する方法または比較的高温での重合後に熱処理を実行する方法である。これは同様に粘着性を減少させる。しかし、この場合の不利点は、加熱が、一方では、コストがかかり、さらに労力を要すること、他方では、比較的に小さな領域または加工物のためにのみ、実際の場で実施することができるにすぎないということである。最後に、酸素による阻害の結果として形成する粘着性の層を、除去することもできる。これは、機械的に、または適当な溶媒によって拭き取ることによってすることができる。しかし、この除去は、一方では追加の作業段階であり、他方では、重合した表面を損傷する可能性がある。
【0003】
空気乾燥系におけるβ-ジカルボニル化合物の使用は知られている。この種の空気乾燥系は、比較的高い分子量のポリマーを有しており、特に過酸化物またはヒドロペルオキシドを全く含有しないが、代わりに、2重結合の酸化的架橋によって酸素を経て反応する。この系は、特に(メタ)アクリレートと比較すると非常に遅い。例えば、DE-A-2601378は、空気乾燥ポリエステル樹脂におけるγ-ブチロラクトンおよびδ-バレロラクトンの誘導体の使用を開示している。これらの空気乾燥ポリエステル樹脂は、スチレンをベースにした、不飽和ジカルボン酸とポリオールとの重縮合生成物である。DE-A-3044695には、β-ジカルボニル化合物がコポリマーに追加された、空気架橋コーティング材料が記載されている。
【特許文献1】ドイツ公開特許第2601378号
【特許文献2】ドイツ公開特許第3044695号
【特許文献3】国際公開特許第01/44074号
【特許文献4】米国特許第6,433,091B1号
【特許文献5】国際公開特許第95/24556号
【非特許文献1】Jerry March、「Advanced Organic Chemistry」、3rd Edition、John Wiley & Sons、1985、pp.351〜353
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、従来技術の不利点を克服すること、より具体的には酸素によって引き起こされる阻害が防止されるかまたは少なくとも格段に低減された急速な硬化を、(メタ)アクリレートの場合において達成する方法を見出すことである。この方法はまた、より特に、無臭の(メタ)アクリレートまたは低いレベルの臭気しか有しない(メタ)アクリレートについて可能でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚くべきことに、この目的は、請求項1に記載の二成分形または多成分形組成物によって達成される。
【0006】
本組成物は、特に式(I)の化合物を含まず、かつ、請求項1の金属塩または金属錯体化合物を含まない、類似の(メタ)アクリレート組成物と比較して、酸素による阻害が完全にまたは少なくとも格段に低減された、酸素存在下での急速な硬化を可能にする。
【0007】
さらに、本組成物は、広く変動させることができ且つ薄膜コーティングだけでなく厚膜コーティング、シーラント、および接着剤も実現することが可能な、優れた機械的性質を有している。
【0008】
より特に、本組成物を用いて、例えばメチル(メタ)アクリレートまたはスチレンなどの強い不快な臭気を有することが知られている化合物を含まない配合を実現することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、少なくとも以下の成分:
a)少なくとも1種の(メタ)アクリレート;
b)少なくとも1種の式(I)の化合物;
c)遷移金属の群から選択された少なくとも1種の金属の少なくとも1種の金属塩または金属錯体化合物;
d)少なくとも1種の過酸化物、少なくとも1種の過酸エステル、または少なくとも1種のヒドロペルオキシド;
を含み、第一構成成分K1が少なくとも成分c)を含み、第二構成成分K2が少なくとも成分d)を含む、二成分形または多成分形組成物に関する。
【0010】
「構成成分(component)」または「-構成成分(-component)」という用語は、「成分(ingredient)」の意味では使用されず、その代わりに、1つの物質または1つの物質混合物が、別の物質または物質混合物とは別々に貯蔵されることを意味する。本明細書において、「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリル酸エステル(=「アクリレート」)またはメタアクリル酸エステル(=「メタアクリレート」)を意味し、したがって少なくとも1個のCH2=CH-CO-O-基または少なくとも1個のCH2=C(CH3)-CO-O-基を含む。
【0011】
本明細書において「金属(metal)」という用語は、「メタリック(metallic)」の意味で使用されず、代わりに、塩の中の金属陽イオンまたは錯体化合物の中の配位子と結合している金属陽イオンを表している。
【0012】
「遷移金属」は、本明細書において、周期表の原子番号21〜30、39〜48、57〜80および89から109の金属(換言すれば、この用語はいわゆるランタニドも包含する)だけでなく、アクチニド元素も意味する。
【0013】
二成分形または多成分形組成物は、少なくとも2つの構成成分K1およびK2を含む。
【0014】
第一構成成分K1は、少なくとも成分c)を含む。換言すれば、構成成分K1は、遷移金属の群から選択される少なくとも1種の金属の少なくとも1種の金属塩または金属錯体化合物からなるかあるいは含む。
【0015】
少なくとも1種の塩または金属錯体化合物の金属は、好ましくは、コバルト、マンガン、バナジウム、鉄、銅、クロム、およびジルコニウムを含む群から選択される金属である。
【0016】
第二構成成分K2は、少なくとも成分d)を含む。換言すれば、構成成分K2は、少なくとも1種の過酸化物または少なくとも1種の過酸エステルまたは少なくとも1種のヒドロペルオキシドからなるかあるいは含む。
【0017】
二成分形または多成分形組成物は、成分a)、すなわち少なくとも1種の(メタ)アクリレートを含む。
【0018】
原則として、接着剤、シーラント、およびコーティングに採用されているモノマーおよびオリゴマーの全てが好適である。しかし、ほとんどまたは全く臭気を有しないこれらのモノマーおよびオリゴマーが特に好適である。このため、特に、例えばメチル(メタ)アクリレートは、推奨されるモノマーではない。
特に好適な(メタ)アクリレートは、そのエステル部分に、ヘテロ原子、より特に、酸素原子を、式(VI):
【0019】
【化1】

【0020】
における星印によって示す酸素原子から炭素原子少なくとも1から5個未満、より特に2または3個離れた位置に有するものであることが明らかになった。
【0021】
この種の(メタ)アクリレートの例は、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEA、HEMA)、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(HPA、HPMA)、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート(HBA、HBMA)であり、より特に、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEA、HEMA)、およびヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(HPA、HPMA)である。
【0022】
この種の(メタ)アクリレートのさらなる例は、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート(OH-(CH2)5COO-(CH2)5COOCH2CH2CH=CH2)、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノアセトアセテートモノ(メタ)アクリレート、および2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートである。
【0023】
メタアクリレートが、アクリレートより好ましい。
【0024】
特に好ましいものは、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノアセトアセテートモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、およびヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートである。
【0025】
二成分形または多成分形組成物は、成分b)、すなわち、少なくとも1種の式(I)の化合物を含む。
【0026】
式(I)の化合物は、
【0027】
【化2】

【0028】
である。この式における指数nは、1から20の数である。好ましくは、nは、1、2、3、4、5、または6の数である。好ましくは、nは1である。置換基R1は、n価の有機基である。
【0029】
ここで、および以下において「n価の有機基」は、それに対してn個の結合が存在する有機基を意味する。したがって、例えばアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、オキシアルキル、およびオキシアリールは、1価の基であり、メチレンまたはフェニレンは、2価の基であり、しかるに、例えば1,2,3-ブタントリル:
【0030】
【化3】

【0031】
は、3価の基である。
【0032】
置換基R2は、非置換であるかまたは置換された、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基であり、あるいはR2は、適切な場合には、R3と一緒になって環内または環上にヘテロ原子を含む環を形成するか、あるいはR2はOR4基である。この場合においてR4は、非置換であるかまたは置換された、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基であるか、あるいは適切な場合には、R4は、R3と一緒になって環内または環上にヘテロ原子を含む環を形成する。
【0033】
置換基R3は、非置換であるかまたは置換された、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基であり、あるいは適切な場合には、R2と一緒になって環内または環上にヘテロ原子を含む環を形成する。
【0034】
このように、置換基R2およびR3は、互いに独立してそれぞれアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基であってよく、これらは、必要なら、置換されていてよい。あるいは、置換基R2およびR3は一緒に環を形成する。形成されたこの環は、一般に互いに結合された炭素によって形成される。しかし、この環の中に、ヘテロ原子も存在することができ、あるいは、環を形成する原子に結合したヘテロ原子が存在していてもよい。
【0035】
R2基およびR3基が互いに結合して、環を形成する場合が特に好ましい。
【0036】
R1として好適なn価の有機基は、一方では、例えばアルキレン基、フェニレン基、シクロアルキレン基、オキシアルキレン基、およびポリ(オキシアルキレン)基などの2価の基である。エチレン、プロピレンおよびシクロヘキシレンが好ましい。他方では、例えば脂環式化合物またはベンゼン誘導体に由来する、3価から一般に6価の基が可能である。
【0037】
特に好ましいn価の基は、ヘテロ原子を含むn価有機基R1である。
【0038】
特に好適なn価のR1基は、式R1'(OH)nのポリオールに由来する基である。これらの基において、R1は、R1'(O)n基、すなわち、n個の水酸基を有するアルコールR1'(OH)nの全ての水酸基の全てのプロトンを除去した基である。
【0039】
1価の基の特に重要な例は、例えばエチル基またはメチル基などのアルキル基である。
【0040】
この種の2価アルコールの好ましい例は、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、および水素添加ポリブタジエンである。特に、式(II):
【0041】
【化4】

【0042】
(式中、指数p、mおよびqは、p=0〜65、m=0〜65、q=0〜65の値を表し、p、mおよびqの合計は、1から65の数である)
のジオールが好ましい。これらのポリオールが、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、およびブチレンオキシドから製造される場合に生じ、従って、式(II)において「EO」、「PO」および「BO」で示される単位は、生成物がコポリマーである場合、ランダム状またはブロック状に配列され得る。このことを、式(II)において、破線で示された結合を用いて示す。この配列は、この目的のための公知の方法を用いて得ることができる。
【0043】
好適な3価のR1基は、より詳細には、トリオールから誘導される基である。この種のトリオールは、グリセロール(1,2,3-プロパントリオール)、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、およびこれらのアルコキシル化誘導体である。
【0044】
好適な4価のR1基は、より詳細には、テトロールから誘導される基である。この種のテトロールは、ペンタエリトリトール、α,α'-ジグリセロール(ビス(2、3-ジヒドロキシプロピル)エーテル)、ジ(トリメチロールプロパン)(2,2'-オキシビス(メチレン)ビス(2-エチル-1,3-プロパンジオール)、およびジ(トリメチロールエタン)(3-(3-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-2-メチルプロポキシ)-1-ヒドロキシメチル-2-メチルプロパン-1-オール)、およびこれらのアルキコシル化誘導体である。
【0045】
好適な6価のR1基には、より詳細には、ヘキソールから誘導される基が含まれる。この種のヘキソールの例は、(ジ(ペンタエリスリトール)(3-(3-ヒドロキシ-2,2-ビスヒドロキシメチルプロポキシ)-2,2-ビスヒドロキシメチルプロパン-1-オール)、およびこれらのアルコキシル化誘導体である。
【0046】
さらに好ましいR1基は、糖類または糖アルコールに由来する。この種の糖類は、単糖類、2糖類、または3糖類である。糖アルコールは、特に、テトリトール、ペンチトール、およびヘキシトールである。これらの糖類および糖アルコールは、例えばアルコキシル化するなど、化学的に修飾されていてもよい。
【0047】
この種のアルコールR1'(OH)nは、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール、糖類、または式(II)のジオールであることが好ましい。
【0048】
n価アルコールR1'(OH)nから誘導されるこの種の式(I)の化合物は、例えば、対応するメチルエステル:
【0049】
【化5】

【0050】
のエステル交換によって得ることができる。
【0051】
特に好ましいメチルエステルは、以下のメチルエステル:
【0052】
【化6】

【0053】
(式中、v=1、2または3である)
である。
【0054】
エステル交換は、公知の方法、例えばJerry Marchの「Advanced Organic Chemistry」、3rd Edition、John Wiley & Sons、1985、pp.351〜353に記載されている方法などによって実施することができる。
【0055】
さらなる実施形態において、n価アルコールR1'(OH)nは、OH末端ポリウレタンプレポリマーである。この種のOH末端ポリウレタンプリポリマーは、当業者に知られている方法:例えば、少なくとも1種のポリオールと、少なくとも1種のポリイソシアネートとを、イソシアネート基よりも水酸基が化学量論的に過剰な量でポリオールを用いて反応させる方法によって得られる。
【0056】
さらなる実施形態において、指数nは1であり、R1は、非置換であるかまたは置換された、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基であるか、あるいはOR5基である。この場合において、R5は、非置換であるかまたは置換された、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、または式(III):
【0057】
【化7】

【0058】
の基である。R6は、C1からC4のアルキル基であり、指数p、mおよびqは、p=0〜65、m=0〜65、q=0〜65の値を表す。p、mおよびqの合計は、1から65の数である。これらのポリオールがエチレンオキシド、プロピレンオキシド、およびブチレンオキシドから製造される場合に生じる単位、従って、式(III)において「EO」、「PO」、および「BO」で示す単位は、生成物がコポリマーである場合、ランダム状またはブロック状に配列されていてよい。このことを、式(III)において、破線で示した結合を用いて示す。この配列は、この目的のための公知の方法によって得ることができる。
【0059】
1つの好ましい実施形態において、式(I)の化合物は、式(IV)または(V):
【0060】
【化8】

【0061】
(式中、v=1、2、または3であり、Xは、O、S、またはNR7であり、R7は、Hであるか、あるいは非置換であるかまたは置換された、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基である)
の化合物である。好ましくは、vは1または2である。好ましくは、Xは酸素原子である。
【0062】
1つの好ましい実施形態において、式(I)の化合物は、式(IV)の化合物であり、R1は、OR5基であり、R5は、非置換であるかまたは置換された、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基であるか、あるいは式(III):
【0063】
【化9】

【0064】
(式中、R6は、C1からC4のアルキル基であり、指数p、mおよびqは、p=0〜65、m=0〜65、q=0〜65の値を表し、p、mおよびqの合計は、1から65の数である)
の基である。これらのポリオールがエチレンオキシド、プロピレンオキシド、およびブチレンオキシドから製造される場合に生じる単位、従って、式(III)において「EO」、「PO」、および「BO」で示す単位は、生成物がコポリマーである場合、ランダム状またはブロック状に配列されていてよい。このことを、式(III)において、破線で示した結合を用いて示す。この配列は、この目的のための公知の方法によって得ることができる。
【0065】
さらに、式(I)の化合物は、チオエステルまたはアミドであってもよく、これらは、例えば、対応するメチルエステルまたはエチルエステル(R1 = -OMeまたは-OEt)から、およびそれぞれのメルカプタンまたはアミンから製造することができる。
【0066】
さらなる好ましい実施形態において、式(I)の化合物は、式(V)の化合物であり、R1は、非置換であるかまたは置換された、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基であり、好ましくはC1〜C6アルキル基である。
【0067】
1つの特に好ましい実施形態において、式(I)の化合物は、アセチルブチロラクトン、シクロペンタノン-2-カルボン酸エチル、またはシクロペンタノン-2-カルボン酸メチルである。
【0068】
本発明では、式(I)の化合物において、2つのカルボニル基を互いに結合している炭素原子が、この炭素原子に結合した厳密に1つのHを有していることが必須である。Hを全く有しないか、または2つのHを有する化合物は、所望の利益を生み出さない。
【0069】
二成分形または多成分形組成物は、成分c)、すなわち、遷移金属の群から選択される、より特に、コバルト、マンガン、バナジウム、鉄、銅、クロム、およびジルコニウムを含む群から選択される、少なくとも1種の金属の少なくとも1種の金属塩または金属錯体化合物を含む。
【0070】
特に好適であると判明した金属塩または金属錯体化合物は、金属である、コバルト、マンガン、およびバナジウムの、金属塩または金属錯体化合物である。
【0071】
異なった金属または同じ金属の金属塩または金属錯体化合物の混合物が存在することは可能である。
【0072】
1つの実施形態において、少なくとも2つの金属の少なくとも2つの金属錯体化合物の混合物が存在する。1つの実施形態において、少なくとも、マンガン錯体1種およびコバルト錯体1種および/またはバナジウム錯体1種が存在する。1つの特に好ましい実施形態において、少なくとも、コバルト錯体1種およびマンガン錯体1種および/またはバナジウム錯体1種が存在する。
【0073】
金属塩または金属錯体化合物、より特に、カルボン酸をベースにしたものが好適であり、特にナフテンネート、オクトエートまたはエチルヘキサノエート、好ましくはオクトエートが好適であることが証明された。さらなる添加剤、例えば、促進剤および錯化剤などが存在してもよい。特に、金属塩または金属錯体化合物は、例えば、商標名Borchers(登録商標)、 Octa-Soligen(登録商標)、またはBorchers(登録商標) Dryを有する製品シリーズで、ドイツのLangenfeldのBorchers社によって販売されているものが好適である。
【0074】
二成分形または多成分形組成物は、成分d)、すなわち、少なくとも1種の過酸化物、少なくとも1種の過酸エステル、または少なくとも1種のヒドロペルオキシドを含む。
【0075】
問題のこの成分は、一方では過酸化水素であり、他方では商業的に広く入手可能な種類の有機の過酸化物、過酸エステル、またはヒドロペルオキシドである。
【0076】
ヒドロペルオキシドが特に好ましい。特に好ましいものは、クメンヒドロペルオキシドおよびp-イソプロピルクメンヒドロペルオキシドである。好ましい過酸化物は、ベンゾイル過酸化物である。その優れた性質に基づいて、さらにその低い臭気のため、p-イソプロピルクメンヒドロペルオキシドが特に好ましい。
【0077】
特に、tert-ブチルパーベンゾエートは、過酸エステルとして特に好適であることが判明した。
【0078】
二成分形または多成分形組成物は、さらなる成分、より詳細には、充填剤、チキソトロピー剤、耐衝撃性改良剤、触媒、活性化剤、キレート配位子、溶媒、可塑剤、顔料、染料、添加剤(例えば、接着促進剤、流動性調節剤、乳化剤、阻害剤、およびUV安定剤など)、および熱安定化剤などを含むことができる。
【0079】
反応を促進するために、活性化剤を使用することができる。好適な活性化剤は、当業者に知られている。非限定的な例として、次のもの:第3級アミン、例えばN,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、N,N-ジメチルトルイジン、N,N-ジエチルトルイジン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン、エトキシル化p-トルイジンなどが挙げられる。トルイジン誘導体、より特にN、N-ジアルキルトルイジンが、特に好ましい活性化剤と考えられる。また、好適な第3級アミン、特にp-トルイジンは、アルコキシル化されていてもよい。
【0080】
好適な充填剤の例には、チョーク、好ましくは、コーティングチョーク、およびまた、細かく磨砕された石英、硫酸バリウム、ヒュームドシリカ、および充填または中空のガラスまたはセラミックビーズが含まれる。
【0081】
可塑剤として、フタレートおよびアジペートが好ましく、より詳細には、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート(DIDP)、またはジオクチルアジペート(DOA) が好ましい。
【0082】
可能性のある相乗剤は、当業者にこの目的のために公知な物質である。ここで問題となる化合物は、より詳細には、金属カリウム、カルシウム、およびバリウムの化合物である。特に、これらの化合物はカルボン酸誘導体をベースにする。カリウム、カルシウムまたはバリウムのオクタノエートが特に好適である。
【0083】
耐衝撃性改良剤は、硬化した組成物の衝撃強度を高めるために用いられる。液状ゴムおよびコア-シェルポリマーが好ましい。
【0084】
液状ゴムは、より詳細には、Noveon によって商標名Hycar(登録商標)の下で販売されているものである。これらは、例えば、アクリル基で変性されたブタジエン-アクリロニトリルコポリマー、例えば、製品シリーズHycar(登録商標) VTBNXからのものなどであってよい。
【0085】
特に好ましいコアシェルポリマーは、Rohm and Haas社から商標名Paraloid(登録商標)の下で商業的に入手可能であるようなコアシェルポリマーである。
【0086】
液状ゴムとコアシェルポリマーとの混合物を耐衝撃性改良剤として用いる場合が特に有利であることが判明した。
【0087】
二成分形または多成分形組成物は、成分a)、b)、c)およびd) に加えて、さらに活性化剤、充填剤、および必要な場合には可塑剤を追加的に含むことが好ましい。
【0088】
さらにもっと好ましくは、本組成物は、耐衝撃性改良剤をさらに含む。
【0089】
二成分形または多成分形組成物は、臭気のある化合物を含まないか、あるいはほとんど含まないことが好ましい。スチレンまたはメチル(メタ)アクリレートなどの強い不快な臭気を有する化合物は、特に望ましくない。
【0090】
驚くべきことに、臭気に加えて、スチレンを含むシステムは、それらが乾燥時間を長くするという点でも不利であることが判明した。
【0091】
したがって、二成分形または多成分形組成物は、好ましくはスチレンを含まない。本組成物は、スチレンおよび不飽和ポリエステル樹脂の両方を含まないことが、同様に好ましい。
【0092】
成分a)、b)および他の可能な成分の、構成成分K1、K2間、および適切な場合には更なる可能な構成成分間の分割は、さまざまであってよい。
【0093】
成分c)およびd)は、同じ成分に存在してはならないことが重要である。したがって、構成成分K1は少なくとも成分c)を含み、成分K2は、少なくとも成分d)を含む。
【0094】
1つの実施形態において、二成分形または多成分形組成物は三成分組成物である。好ましい三成分組成物は、少なくとも成分a)を含む第三構成成分K3を有し、少なくとも成分b)が、構成成分K1、K2、またはK3の一部である組成物である。
【0095】
別の好ましい実施形態において、二成分形または多成分形組成物は二成分組成物である。1つの実施形態において、成分a)が、構成成分K2の一部である。この場合において、成分b)は、構成成分K1またはK2の一部であるが、好ましくは構成成分K1の一部である。この実施形態は、特に(メタ)アクリレートがエーテル基を有する場合、より特にテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートの場合に好ましい。
【0096】
別の好ましい二成分の組成物の実施形態において、成分a)は成分K1の一部である。この場合において、成分b)は、構成成分K1またはK2の一部であるが、好ましくは構成成分K1の一部である。
【0097】
成分b)が構成成分K1に存在している場合が、一般に好ましい。
【0098】
式(I)の化合物の割合は、二成分形または多成分形組成物の重量に基づいて、好ましくは0.1重量%から20重量%、より特に0.1重量%から10重量%、好ましくは1重量%から5重量%である。特にR1基が比較的高い分子量を有している場合、典型的にはR1基が100g/molを超える分子量、より特に400g/molを超える分子量を有する場合には、式(I)の化合物の割合は、0.1重量%から20重量%、より特に1重量%から20重量%、好ましくは3重量%から10重量%であることが好ましい。
【0099】
少なくとも1種の金属塩または金属錯体化合物の割合(金属として算出する)は、二成分形または多成分形組成物の重量に基づいて、好ましくは0.001重量%から0.5重量%、より特に0.01重量%から0.4重量%、特に0.01重量%から0.2重量%である。
【0100】
少なくとも1種の(メタ)アクリレートの割合は、好ましくは成分a)、b)、c)およびd)の重量のうちで最も高い割合である。比 a)/([a)+b)+c)+d]) は、典型的には、0.7より大きく、より特に、0.8〜0.999、好ましくは0.9から0.99である。
【0101】
(メタ)アクリレートの割合は、典型的には、二成分形または多成分形組成物の重量に基づいて、20重量%より高く、より特に30重量%〜99重量%、好ましくは40重量%〜95重量%である。
【0102】
成分b)は、成分c)に関して化学量論量または過剰量で用いることが好ましい。これは、モル比 [式(I)]/(n*[M]) が1以上であることを意味する(式中、[M]は金属塩または金属錯体化合物の金属のモル量であり、[式(I)]は式(I)の化合物のモル量であり、nは式(I)における指数である)。
【0103】
少なくとも成分b)およびc)を含む混合物を用いて、 (メタ)アクリレートの重合における酸素による阻害が大幅に低減され、特に好ましい場合には、一掃され得ることが判明した。
【0104】
構成成分K1、K2、および、適切な場合には、さらなる構成成分は、互いに別々に貯蔵される。これらは、例えばドラム、ホブボックまたはカートリッジ内に貯蔵することができる。しかし、この互いに離れた貯蔵には、少なくとも1個のパーティションによって互いに結合された2つのチャンバーを有するパッケージング形態での貯蔵も含まれる。
【0105】
1つの実施形態において、これらのパッケージング形態は、二成分接着剤から知られている種類のダブルカートリッジであり、チャンバーの可能な配置が多様に存在する。例を挙げると、これらは、隣り合って(平行に)、あるいは同心円状に配置することができる円筒形のチャンバーであってよい。チャンバーの壁は堅くても柔軟であってもよい。特に、いわゆるツインカートリッジ(並列配置)またはカートリッジインカートリッジ・ダブルカートリッジ(同心配置)と呼ばれるものが好適である。チャンバーの典型的な配置およびこれらの構成は、WO01/44074またはUS6,433,091B1に記載されている。
【0106】
1つの実施形態において、一つの構成成分は、そこからこの構成成分が計量され、他の構成成分の流れの中に混合されるパッケージング形態中に存在する。この種のパッケージング形態または計量された添加の例は、例えばWO95/24556に記載されている。この種のパッケージング/計量装置は、カートリッジ出口に、または接着剤ポンプの出口開口部に有利にねじ止めされる。
【0107】
別の実施形態において、一つの構成成分の他の構成成分への混合および2つの構成成分の混ぜ合わせが、ダイナミックミキサーを用いて行われる。
【0108】
さらなる実施形態において、一つの構成成分が、単数または複数のノズルを通して他の成分に、特に、分配された多数のノズルを経て導入され、次いでこれらの構成成分が混合される。
【0109】
一つの構成成分の他の構成成分の中への混合は、均質に、または層状に行うことができる。層は、特に少ない数、一般に3および10の間の数の混合エレメントが、スタティックミキサーの中に配置された場合に得られる。
【0110】
均質に混合された組込みが所望される場合、ダイナミックミキサーを使用するか、またはスタティックミキサーにおいて多数の混合エレメントを使用することが好ましい。
【0111】
使用のために、構成成分K1、K2および、適切な場合には、さらなる構成成分は、適用のすぐ前または適用時に互いに混合される。構成成分が2つを超える場合には、成分の全ては同時に互いに、または時間差で混合することができる。
【0112】
混合は、手動で、あるいは機械によって行うことができる。混合は、スタティックミキサーを用いて、またはダイナミックミキサーを用いて行うことが好ましい。
【0113】
二成分形または多成分形組成物は、さらに具体的には、接着剤またはシーラントとして、あるいはコーティング剤として使用することができる。
【0114】
接着剤として使用する場合、以下の方法:
- 二成分および多成分の組成物の二成分または多成分を混合する工程、
- この混合物を基材S1の表面に適用する工程、
- 基材S1に適用された混合物に更なる基材S2の表面を接触させる工程(これらの基材S1およびS2は、同じであるかまたは異なる材料を有する)、
- 混合した前記組成物を硬化させる工程
を使用することができる。
【0115】
シーラントとして使用する場合、以下の方法:
- 二成分形または多成分形組成物の二成分または多成分を混合する工程、
- この混合物を基材S1の表面に適用する工程、
- 基材S1に適用された混合物に更なる基材S2の表面を接触させる工程(これらの基材S1およびS2は、同じであるかまたは異なる材料を有する)、
- 混合した前記組成物を硬化させる工程
を使用することができる。
【0116】
コーティングとして使用する場合、次の方法:
- 二成分形または多成分形組成物の二成分または多成分を混合する工程、
- この混合物で基材S1をコーティングする工程、
- 混合した前記組成物を空気中で硬化させる工程
を使用することができる。
【0117】
混合された二成分形または多成分形組成物が接触することになる基材S1およびS2は、多様な性質であってよい。これらは、天然または人工の基材であることができる。より詳細には、これらは鉱物材料(例えば、コンクリート、石、レンガ、岩など)、または金属および金属合金(例えば、アルミニウム、スチール、黄銅、銅、または金属板など)、プラスチック(例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)、SMC(シート成形コンパウンド)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエステル(PE)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリオレフィン、特にポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)、好ましくは、プラズマ、コロナ、または火炎によって表面処理されたPEまたはPPなど)、またはポリマー材料(例えば、塗料など)である。
【0118】
この種の方法によって作り出された物品は、建築、特に、建物構造物および土木構造物において、ならびに、工業、特に車両構造物において、広い用途がある。
【0119】
二成分形または多成分形組成物は、酸素による阻害を、顕著に低減するか、あるいは特に好ましい場合には完全に排除するため、注目に値する。この結果、本組成物は、コストがかかる不便な加熱による後処理または粘着性の層の除去の必要性なしに、急速にタックフリーおよびダストドライ(dust-dry)になる。このことは、硬化すべき組成物の広い領域が空気と接触する用途において特に重要である。従って、コーティングまたは厚膜接着、またはシールのような用途は、本発明の組成物の利益が、特段に発揮される用途である。
【0120】
コーティングには、一方では、薄膜コーティングが含まれ、例えば塗料または保護コーティングが挙げられる。他方では、コーティングには、厚膜コーティング、または例えば床材の形態のカバーリングが含まれる。
【0121】
広い領域への適用および/または室内における適用のために、適用された組成物が、適用中および適用後にできる限り臭気がないことが極めて有利である。この結果、二成分または多成分の本組成物は、特に、フロアの製造、建物内のコーティング、または密封された、または換気の乏しい室内のコーティング、接着剤、およびシール剤に好適である。特に、家庭および仕事場の内部において、車両構造物の内部において、特に無臭の塗料、シーラントおよび接着剤への需要は特に大きい。
【0122】
二成分形または多成分形組成物は、非常に急速に硬化するため注目に値する。製造された物品に重く荷重がかかる場合、またはさらに加工処理されなければならない場合:例えばコーティングの上塗りまたはトラバース、あるいは接着剤による接合またはシールされた接合の移動または輸送の場合に、特に重要である。
【0123】
このため、本組成物は、組立接着剤として特に好適である。この種の構造接着剤は、より特に、物品、より特に、洗濯機などの白色の商品などの日用品、あるいは乗物、より特に自動車の物品などの工業的製造における製造ライン上での接着結合のための使用に好適である。
【実施例】
【0124】
二成分形または多成分形組成物の製造
試験方法
以下に記載する組成物の約4.5mlを、縁のあるガラスプレートに塗布した。このようにして、290mm×15mmの領域および約1mmの厚さを有するコーティングを得た。
【0125】
次いで、以下の試験方法を用いた:
【0126】
- ベース層硬化時間(「tc/b1」)
規則的な間隙で、金属スパチュラをコーティングの中に下降させ、ガラスプレートに接触することが可能かどうかの測定を行った。報告されたベース層硬化時間は、最後の成分の添加から測定された、金属スパチュラがガラス表面に接触することがもはや可能でなくなった時点の時間であった。
【0127】
- 乾燥時間(「td」)
乾燥時間は、英国サリー州のガムシャルのMickle Laboratory Engineering Co. Ltd.社製の乾燥記録計を使って測定した。測定は、6時間で移動させた29cmの距離にわたって行った。非常に遅い比較の系の場合には、この経路を24時間で移動させた。針の代わりに、約1mmの先端直径を有する、切り込んだプラスチックピペットを使用し、ピペットの先端がコーティング表面の約1mm上にあるように配置した。基材のベース層が、初期の硬化(スパチュラとの接触によるマニュアル試験)を受けるやいなや、砂(粒径0.08 〜0.2 mm)を、切り込まれたピペットの一番上の開口部に挿入し、装置を使って、表面に沿って移動させた。このようにコーティング表面の上を誘導される、砂で満たされたピペットは、サンドトラックを表面に残した。測定時間の終了時に試験装置からサンプルを取り外した後、ブラシを使って、砂をそっと取り除いた。確認された「乾燥点」は、砂がもはや表面に付着しなくなった点であった。乾燥時間は、スタートポイントから「乾燥点」にわたる砂で覆われた軌道およびベース層硬化時間から算出された。
【0128】
成分b)によるバリエーション
テトラヒドロフルフリルメタアクリレート(SR203、Sartomer) 10.0g、Bisomer PTE(登録商標)(Cognis) 0.10g、およびOcta-Soligen(登録商標) Cobalt-12(Borchers、コバルト含量12%(0.2mmolのCo)) 0.10gを、ポリエチレン容器中で一緒にし、Speedmixer中、3000rpmで30秒間混合した。その後、表1のとおりのジカルボニル化合物(「DCC」)2mmolをそれぞれの場合に加え、これらの成分を磁気撹拌棒で5秒間撹拌した。この溶液にクメンヒドロペルオキシド(クメン中80%の濃度) 0.08gを加え、磁気撹拌棒によって5秒間再び撹拌した。
【0129】
得られた混合物約4.5mlを、縁のあるガラスプレートに塗布した。このようにして、290mm×15mmの領域および約1mmの厚さを持つコーティングを得、ベース層の硬化時間(「tc/bl」)および乾燥時間(「td」)を上述のように測定した。
【0130】
【表1】

【0131】
成分c)に対する成分b)の割合によるバリエーション
テトラヒドロフルフリルメタクリレート(SR203、Sartomer) 10.0g、Bisomer PTE(登録商標)(Cognis) 0.10g、およびOcta-Soligen(登録商標) Cobalt-12(Borchers、コバルト含量12%(0.2mmolのCo)) 0.10gをポリエチレン容器中で一緒にし、Speedmixer 中、3000rpmで30秒間混合した。その後、表2に示したモル量で2-アセチルブチロラクトン(ABL)を加え、これらの成分を磁気撹拌棒によって5秒間撹拌した。この溶液にクメンヒドロペルオキシド(クメン中80%の濃度) 0.08gを加え、磁気撹拌棒によって5秒間再び撹拌した。
【0132】
得られた混合物約4.5mlを、縁のあるガラスプレートに塗布した。このようにして、290mm×15mmの領域および約1mmの厚さを持つコーティングを得、ベース層の硬化時間(「tc/bl」)および乾燥時間(「td」)を上述のように測定した。結果を表2に示す。
【0133】
【表2】

【0134】
同様の一連の試験を、成分b)として、ABLの代わりにエチルシクロペンタノン-2-カルボンキシレート(ECPC)を用いて実施した。測定した結果を、表3に示す。
【0135】
【表3】

【0136】
活性化剤濃度によるバリエーション
テトラヒドロフルフリルメタアクリレート(SR203、Sartomer) 10.0g、Octa-Soligen(登録商標) Cobalt-12(Borchers、コバルト含量12%(0.2mmolのCo)) 0.10g、および表4のとうりの異なる量のBisomer PTE(登録商標)(Cognis)を、ポリエチレン容器中で一緒にし、Speedmixer中、3000rpmで30秒間混合した。その後、アセチルブチロラクトン(ABL)2mmolを加え、これらの成分を磁気撹拌棒によって5秒間撹拌した。この溶液にクメンヒドロペルオキシド(クメン中80%の濃度) 0.08gを加え、磁気撹拌棒によって5秒間再び撹拌した。
【0137】
得られた混合物約4.5mlを、縁のあるガラスプレートに塗布した。このようにして、290mm×15mmの領域および約1mmの厚さを持つコーティングを得、ベース層の硬化時間(「tc/bl」)および乾燥時間(「td」)を上述のように測定した。結果を表4に示す。
【0138】
【表4】

【0139】
(メタ)アクリレート(成分a) によるバリエーション
表5のとおりの各(メタ)アクリレート10.0g、Bisomer PTE(登録商標)(Cognis)0.10g、およびOcta-Soligen(登録商標) Cobalt-12(Borchers、コバルト含量12%(0.2mmolのCo)) 0.10gまたは0gを、ポリエチレン容器中で一緒にし、Speedmixer 中、3000rpmで30秒間混合した。その後、アセチルブチロラクトン(ABL)2mmolを加え、これらの成分を磁気撹拌棒によって5秒間撹拌した。この溶液にクメンヒドロペルオキシド(クメン中80%の濃度) 0.08gを加え、磁気撹拌棒によって5秒間再び撹拌した。
【0140】
得られた混合物約4.5mlを、縁を備えるガラスプレートに塗布した。このように、290mm×15mmの領域および約1mmの厚さを持つコーティングを得、ベース層の硬化時間(「tc/bl」)および乾燥時間(「td」)を前記のように測定した。結果を表5に示す。
【0141】
【表5】

【0142】
金属塩または金属錯体化合物(成分c) によるバリエーション
テトラヒドロフルフリルメタアクリレート(SR203、Sartomer) 10.0g、Bisomer PTE(登録商標)(Cognis) 0.10g、および表6に示した量の金属塩または金属錯体化合物(全てBorches, Germanyから入手可能)を、ポリエチレン容器中で一緒にし、Speedmixer 中、3000rpmで30秒間混合した。その後、アセチルブチロラクトン(ABL)2mmolまたは比較例においては0mmolを加え、これらの成分を磁気撹拌棒によって5秒間撹拌した。この溶液にクメンヒドロペルオキシド(クメン中80%の濃度) 0.08gを加え、磁気撹拌棒によって5秒間再び撹拌した。
【0143】
得られた混合物約4.5mlを、縁のあるガラスプレートに塗布した。このようにして、290mm×15mmの領域および約1mmの厚さを持つコーティングを得、ベース層の硬化時間(「tc/bl」)および乾燥時間(「td」)を上述のように測定した。結果を表6に示す。
【0144】
充填した二成分形または多成分形組成物の製造
表7のとおりに、充填した二成分形または多成分形組成物を製造した。第一構成成分K1を次のように製造した。最初に、溶解槽中で液状ゴムを(メタ)アクリレートと完全に混合した。その後続けて、コアシェルポリマーおよびチョークを分散によって完全に組み込んだ。この混合物を30℃未満の温度に冷却した後に、ヒドロペルオキシド、過酸化物、または過酸エステルを加え、脱気は全く行わなかった。
【0145】
第二構成成分K2を以下の通り製造した。チョークおよび可塑剤、および適切な場合にはアセチルブチロラクトン、および適切な場合には活性化剤を、スピードミキサー中で完全に混合した。その後続けて、金属触媒液を添加し、再びスピードミキサー中での撹拌によって完全に組み込んだ。脱気は全く行わなかった。
【0146】
構成成分K1の成分としてアセチルブチロラクトンを配合したことを除いて同じ方法で、表8の組成物を製造した。
【0147】
【表6】

【0148】
【表7】

【0149】
【表8】

【0150】
構成成分K1とK2をデュアルカートリッジ(K1/K2 = 10/1 = v/v)に導入し、1cmの幅のビーズの形状で適用した。表7および8に報告された「可使時間」は、スタティックミキサーの開口時間であった。乾燥時間は、砂を(手動で)ふりかけることによって決定した。表7および8に報告した乾燥時間tdは、砂が接着剤のビーズから再び振り払われることができる時間であった。
【0151】
表9により、接着接合の機械的な数値を報告する。ここで、一方では、Zwick/Roell Z005引張装置において、ISO 527に従って200mm/分で、硬化された二成分組成物である比較例16および実施例36の引張強度および破壊伸びを測定した。他方では、Zwick/Roell Z005引張装置において、ISO 4587/DIN EN 1465に従って10mm/分で、比較例16および実施例36を用いて接着した基材(各場合において、ドイツのRocholl製の2つの同じ基材)の引張せん断強度を測定した。
【0152】
【表9】

【0153】
表7および8からの結果は、本発明の組成物が乾燥時間の著しい減少を発揮することを示している。表9からの結果は、本発明の組成物が、増大した引張強度は別として、より特に増大した接着性を特徴とすることを示す。
【0154】
表10のとおりの不飽和化合物または混合物10.0g、Bisomer PTE(登録商標)(Cognis) 0.10g、およびOcta-Soligen(登録商標) Cobalt-12(Borchers、コバルト含量12%(0.2mmolのCo)) 0.10gを、ポリエチレン容器中で一緒にし、Speedmixer中、3000rpmで30秒間混合した。その後、アセチルブチロラクトン(ABL)を2mmolまたは0mmol添加し、これらの成分を磁気撹拌棒によって5秒間撹拌した。この溶液にクメンヒドロペルオキシド(クメン中80%の濃度) 0.08gを加え、磁気撹拌棒によって5秒間再びした。
【0155】
得られた混合物約4.5mlを、縁のあるガラスプレートに塗布した。このようにして、290mm×15mmの領域および約1mmの厚さを持つコーティングを得、ベース層の硬化時間(「tc/bl」)および乾燥時間(「td」)を上述のように測定した。結果を表10に示す。
【0156】
【表10】

【0157】
表10は、(メタ)アクリレートをスチレンと置き換えると、ベース層の硬化時間および乾燥時間の著しい延長がもたらされることを示す。スチレンによる(メタ)アクリレートの部分的な置換でさえ、(メタ)アクリレートなしの系と比較した場合のこれらの数値の悪化よりわずかな程度ではあるが、スチレンなしの例に比較して数値の明確な悪化がもたらされる。さらに、強い不快臭は、いずれのスチレンを含む試験でも感知された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも以下の成分a)、b)、c)およびd):
a)少なくとも1種の(メタ)アクリレート;
b)少なくとも1種の式(I):
【化1】

(式中、nは、1から20の数、より特に1、2、3、4、5または6であり、
R1は、n価の有機基であり、
R2は、非置換であるかまたは置換された、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基であるか、あるいは、R3と一緒になって適切な場合には環内または環上にヘテロ原子を含む環を形成するか、あるいはOR4基であり、
R4は、非置換であるかまたは置換された、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基であるか、あるいは、R3と一緒になって適切な場合には環内または環上にヘテロ原子を含む環を形成し、かつ、
R3は、非置換であるかまたは置換された、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基であり、あるいは、R2と一緒になって適切な場合には環内または環上にヘテロ原子を含む環を形成する)
の化合物;
c)遷移金属の群から選択される少なくとも1種の金属の少なくとも1種の金属塩または金属錯体化合物;
d)少なくとも1種の過酸化物、少なくとも1種の過酸エステル、または少なくとも1種のヒドロペルオキシド
を含み、第一構成成分K1が少なくとも成分c)を含み;
第二構成成分K2が少なくとも成分d)を含み;かつ、
成分c)およびd)は、同じ構成成分の一部ではない、二成分形または多成分形組成物。
【請求項2】
R1が、R1'(O)n基であり、R1'(O)nが、n個の水酸基を有するアルコールR1'(OH)nの全ての水酸基の全てのプロトンを除去した基であることを特徴とする、請求項1に記載の二成分形または多成分形組成物。
【請求項3】
前記アルコールが、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール、糖類、または式(II):
【化2】

(式中、p=0〜65であり、m=0〜65であり、q=0〜65であり、m、pおよびqの合計が、1から65の数であり、かつ、EO、PO、およびBOの単位は、それが存在する場合、ブロック状またはランダム状に分布している)
のジオールであることを特徴とする、請求項2に記載の二成分形または多成分形組成物。
【請求項4】
前記アルコールが、少なくとも1種のポリオールを、少なくとも1種のポリイソシアネートと、イソシアネート基よりも水酸基を化学量論的に過剰量で反応させることによって得ることができるOH末端ポリウレタンプレポリマーであることを特徴とする、請求項2に記載の二成分形または多成分形組成物。
【請求項5】
n=1であり、R1が、非置換であるかまたは置換された、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基であるか、あるいはOR5基であり、
R5は、非置換であるかまたは置換された、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基であるか、あるいは式(III):
【化3】

(式中、R6は、C1からC4のアルキル基であり、p=0〜65であり、m=0〜65であり、q=0〜65であり、m、p、およびqの合計は1から65の数であり、かつ、EO、PO、およびBOの単位は、それが存在する場合、ブロック状またはランダム状に分布している)
の基であることを特徴とする、請求項1または2に記載の二成分形または多成分形組成物。
【請求項6】
式(I)の化合物が、式(IV)または(V):
【化4】

(式中、v=1、2または3であり、Xは、O、SまたはNR7であり、R7は、Hであるか、または非置換であるかまたは置換された、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基である)
の化合物であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の二成分形または多成分形組成物。
【請求項7】
v=1または2であることを特徴とする、請求項6に記載の二成分形または多成分形組成物。
【請求項8】
X=Oであることを特徴とする、請求項6または7に記載の二成分形または多成分形組成物。
【請求項9】
式(I)の化合物が式(IV)の化合物であり、R1がOR5基であり、
R5が、非置換であるかまたは置換された、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基であるか、あるいは式(III)
【化5】

(式中、R6は、C1からC4のアルキル基であり、p=0〜65であり、m=0〜65であり、q=0〜65であり、m、pおよびqの合計は、1から65の数であり、かつ、EO、POおよびBOの単位は、それが存在する場合、ランダム状またはブロック状に分布している)
の基であることを特徴とする、請求項6から8のいずれか一項に記載の二成分形または多成分形組成物。
【請求項10】
式(I)の化合物が式(V)の化合物であり、R1が、非置換であるかまたは置換された、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基であり、好ましくはC1〜C6アルキル基であることを特徴とする、請求項6から8のいずれか一項に記載の二成分形または多成分形組成物。
【請求項11】
式(I)の化合物が、アセチルブチロラクトン、シクロペンタノン-2-カルボン酸エチル、またはシクロペンタノン-2-カルボン酸メチルであることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の二成分形または多成分形組成物。
【請求項12】
少なくとも1種の金属塩または金属錯体化合物の金属が、コバルト、マンガン、バナジウム、鉄、銅、クロムおよびジルコニウムを含む群から選択される金属であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の二成分形または多成分形組成物。
【請求項13】
金属塩または金属錯体化合物がコバルト錯体であることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の二成分形または多成分形組成物。
【請求項14】
コバルト、マンガン、バナジウム、鉄、銅、クロム、およびジルコニウムを含む群から選択される金属の少なくとも2種の金属錯体を含み、前記少なくとも2種の金属錯体が異なる金属を有することを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の二成分形または多成分形組成物。
【請求項15】
前記少なくとも2種の金属錯体が、少なくともコバルト錯体1種およびバナジウム錯体1種であるかまたは、少なくともコバルト錯体1種およびマンガン錯体1種であることを特徴とする、請求項14に記載の二成分形または多成分形組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1種の過酸化物、少なくとも1種の過酸エステル、または少なくとも1種のヒドロペルオキシドが、ヒドロペルオキシドであり、より特にクメンヒドロペルオキシドまたはp-イソプロピルクメンヒドロペルオキシドであることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の二成分形または多成分形組成物。
【請求項17】
(メタ)アクリレートが、そのエステル部分に、ヘテロ原子、より特に酸素原子を、式(VI):
【化6】

における星印によって示した酸素原子から炭素原子少なくとも1から5個未満、より特に2個または3個離れた位置に有することを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の二成分形または多成分形組成物。
【請求項18】
少なくとも成分a)を含む第三構成成分K3を有する三成分組成物であって、成分b)が、構成成分K1、K2、またはK3、好ましくはK1の一部であることを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の二成分形または多成分形組成物。
【請求項19】
二成分形組成物であって、成分a)が、構成成分K1の一部であり、かつ、成分b)が、構成成分K1またはK2、好ましくはK1の一部であることを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
式(I)の化合物の割合が、二成分形または多成分形組成物の重量に基づいて、0.1重量%から20重量%、より特に0.1重量%から10重量%、好ましくは1重量%から5重量%であることを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載の二成分形または多成分形組成物。
【請求項21】
少なくとも1種の金属塩または金属錯体化合物の割合(金属として算出)が、二成分形または多成分形組成物の重量に基づいて、0.001重量%から0.5重量%、より特に0.01重量%から0.4重量%、好ましくは0.01重量%から0.2重量%であることを特徴とする、請求項1から20のいずれか一項に記載の二成分形または多成分形組成物。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか一項に記載の二成分形または多成分形組成物を空気中で重合−硬化させることによって得られた硬化した組成物。
【請求項23】
請求項1から21のいずれか一項に記載の少なくとも1種の式(I)の化合物と、請求項1から20のいずれか一項に記載の遷移金属の群から選択される少なくとも1種の金属の少なくとも1種の金属錯体とを含む混合物の、(メタ)アクリレートの重合において酸素による阻害を低減するための使用。
【請求項24】
接着剤、シーラント、またはコーティング剤としての、より特にコーティング剤としての、請求項1から21のいずれか一項に記載の二成分形または多成分形組成物の使用。
【請求項25】
- 請求項1から21のいずれか一項に記載の組成物の二成分または多成分を混合する工程、
- この混合物を使って基材S1をコーティングする工程、
- 混合した前記組成物を空気中で硬化させる工程
を含む方法によって得られた、コーティングされた物品。
【請求項26】
- 請求項1から21のいずれか一項に記載の組成物の二成分または多成分を混合する工程、
- この混合物を基材S1の表面に適用する工程、
- 基材S1に適用した前記混合物にさらなる基材S2の表面(前記基材S1およびS2は、同じであるかまたは異なる材料である)を接触させる工程、
-混合した前記組成物を硬化させる工程
を含む方法によって得られた、接着結合された物品。
【請求項27】
- 請求項1から21のいずれか一項に記載の組成物の二成分または多成分を混合する工程、
- この混合物を、同じであるかまたは異なる材料からなる基材S1と基材S2との間の間隙に適用する工程、
- 混合した前記組成物を硬化させる工程
を含む方法によって得られた、シールされた物品。

【公表番号】特表2008−546856(P2008−546856A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516254(P2008−516254)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【国際出願番号】PCT/EP2006/060540
【国際公開番号】WO2006/133978
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】