説明

野菜乾燥装置

【課題】均一な乾燥を達成することができ、またコストの低廉化を図ることができる野菜乾燥装置を提供する。
【解決手段】野菜を過熱水蒸気及び熱風により乾燥させる野菜乾燥装置1において、野菜を出し入れするための開閉扉を有する乾燥容器3と、乾燥容器3の内部に、野菜を載せる野菜載置部としての棚15が鉛直軸回りに回転するように設けられた野菜載置部材7と、乾燥容器3の内部であって棚15の回転域16に向けて過熱水蒸気を供給する過熱水蒸気供給手段9と、乾燥容器3の内部であって棚15の回転域16に向けて熱風を供給する熱風供給手段11と、乾燥容器3から排気させる排気手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜を過熱水蒸気及び熱風により乾燥させる野菜乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した野菜乾燥装置として、過熱水蒸気用と高温空気用の2つの乾燥機を用い、まず過熱水蒸気用の乾燥機に野菜を挿入しかつ過熱水蒸気を供給して先の乾燥を行い、この先の乾燥が施された野菜を他方の乾燥機に挿入しかつ高温空気を供給して後の乾燥を行うことにより、所望含水率の乾燥野菜を製造するものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【特許文献1】特開2003−284506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来装置の乾燥機は、乾燥機の内部に複数の攪拌羽根を備えたシャフトにより攪拌する方式であるため、攪拌羽根が当たる部分と、攪拌羽根が当たらない或いは当たり難い部分とで、乾燥状態が異なり、乾燥機内全体として均一な乾燥を達成することが困難であった。また、2つの乾燥機を用いる必要があるのでコストが嵩むという難点があった。
【0004】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、均一な乾燥を達成することができ、またコストの低廉化を図ることができる野菜乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、野菜を過熱水蒸気及び熱風により乾燥させる野菜乾燥装置において、野菜を出し入れするための開閉扉を有する乾燥容器と、前記乾燥容器の内部に、前記野菜を載せる野菜載置部が鉛直軸回りに回転するように設けられた野菜載置部材と、前記乾燥容器の内部であって前記野菜載置部の回転域に向けて過熱水蒸気を供給する過熱水蒸気供給手段と、前記乾燥容器の内部であって前記野菜載置部の回転域に向けて熱風を供給する熱風供給手段と、前記乾燥容器から排気させる排気手段とを具備することを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る発明は、前記野菜載置部材は、前記野菜載置部としての棚と、前記棚が着脱可能に取り付けられかつ鉛直な回転軸の回りに回転する棚保持部材とを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る発明は、前記棚が鉛直方向に複数配設されるとともに網状の棚本体を有して形成され、前記過熱水蒸気供給手段は前記棚の回転域の上方または下方から前記棚の回転域に向けて前記過熱水蒸気を噴出するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る発明は、前記過熱水蒸気供給手段は、前記棚の回転域の上方または下方において径方向外方から回転中心付近まで延びた管を備え、この管の略全長にわたって複数の噴射用ノズルが設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項5に係る発明は、前記熱風供給手段は前記棚の回転域の外側から回転中心に向かいかつ前記棚の回転域を通るように前記熱風を噴出させる構成となっていることを特徴とする。
【0010】
請求項6に係る発明は、前記棚保持部材は、鉛直方向に延びる軸部と、前記軸部から水平方向かつ放射状に延びる放射枠、その放射枠の隣り合う内側の端部同士を連結するとともに前記棚の一部を上下方向で挟む挟持枠および放射枠の隣り合う外側の端部同士を連結する外枠を有する支持体とを備え、一方の前記棚は隣り合う2つの放射枠とこれらの間の挟持枠および外枠とで支持される概略扇状に形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項7に係る発明は、前記棚の下面には放射状に突出した脱落防止用突起が設けられ、その突起の外側端部は、前記挟持枠に対する前記棚の一部の挿入深さが所定寸法以上であると前記外枠よりも内側に位置し、前記挿入深さが所定寸法よりも短いと前記外枠の上に乗り上げるように規定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明による場合には、被乾燥用の野菜が載置される野菜載置部が鉛直軸回りに回転し、その野菜載置部の回転域に向けて過熱水蒸気供給手段が過熱水蒸気を供給し、また熱風供給手段が野菜載置部の回転域に向けて熱風を供給するので、野菜載置部に過熱水蒸気及び熱風が均一に与えられることになり、これにより均一な乾燥を達成することが可能になる。また、1つの乾燥容器において、過熱水蒸気による乾燥と熱風による乾燥とを行うことが可能であるので、コストの低廉化を図ることができるとともに、乾燥容器への1回の野菜の装入と1回の野菜の取り出しで、過熱水蒸気による乾燥と熱風による乾燥とを行うことができる。
【0013】
請求項2に係る発明による場合には、例えば棚に多数の野菜を載せておくことで、その棚を棚保持部材に取り付けると、乾燥容器内に一度に多数の野菜をセットすることができ、セットの時間短縮を図ることが可能になる。また、野菜の取り出しに際しても同様である。
【0014】
請求項3に係る発明による場合には、過熱水蒸気を棚の回転域の上方または下方から棚の回転域に向けて噴出させるが、棚が網状の棚本体を有するので、棚で過熱水蒸気の流れが遮られることがなく、棚に載せた野菜を均一に乾燥させることが可能になる。
【0015】
請求項4に係る発明による場合には、棚の回転域の径方向全体に過熱水蒸気を噴射することができる。この様な噴射と棚の回転とで、全体に隈なく均一に過熱水蒸気を供給することができ、棚に載せた野菜をより均一に乾燥させることが可能になる。
【0016】
請求項6に係る発明による場合には、棚の一部を挟持枠に挿入した状態で棚を支持体により支持させることで、棚保持部材に棚を取り付けることが可能になる。逆の操作により、棚保持部材から棚を取り外すことが可能になる。また、このような取り付け取外しに際し、棚の大きさを開閉扉が覆う開口部よりも小さくしておくことで、前述したように予め野菜を載せた状態の棚を乾燥容器から容易に出し入れすることも可能である。
【0017】
請求項7に係る発明による場合には、脱落防止用突起の外側端部が外枠よりも内側に位置すると、棚が外側に移動しようとしても外枠により突起が規制されて棚の脱落が防止される。一方、脱落防止用突起の外側端部が外枠の上に乗り上げていると、棚が傾くことで棚の一部の挿入深さが短いことが判る。そして、棚の一部の挿入深さを深くする操作を行うことで、棚の脱落防止状態に移行させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態を説明する。
【0019】
図1は本発明の一実施形態に係る野菜乾燥装置を示す正面図、図2はその野菜乾燥装置を示す平面図、図3は野菜乾燥装置の内部に設けられた野菜載置部としての棚及びその近傍を示す平面図、図4は野菜乾燥装置の内部であって、前記棚及びこの棚を保持するための棚保持部材を示す正面図である。図5は棚保持部材を示す平面図、図6(a)は棚保持部材の一部を示す側面図、図6(b)は図6(a)のA−A線における端面図、図7(a)は棚を示す平面図、図7(b)は棚を示す正面図である。
【0020】
この野菜乾燥装置1は、野菜を過熱水蒸気及び熱風により乾燥させる乾燥容器3を備え、この乾燥容器3には野菜を出し入れするための開閉扉5が設けられている。また、この野菜乾燥装置1は、乾燥容器3の内部に設けられた野菜載置部材7と、乾燥容器3の内部に過熱水蒸気を供給する過熱水蒸気供給手段9と、乾燥容器3の内部に熱風を供給する熱風供給手段11と、乾燥容器3から排気させる排気手段13とを具備する。
【0021】
乾燥容器3は、図示例では六面体状に形成されていて、1側面に開閉扉5が設けられている。また、乾燥容器3の天井には、排気手段13として2つの排気孔13a、13bが設けられており、乾燥容器3の底部にはドレインを排出するための排出口13cが設けられている。
【0022】
野菜載置部材7は、野菜を載せる野菜載置部としての多数の棚15と、これらの棚15が着脱可能に取り付けられかつ鉛直方向に延びる回転軸17aの回りに回転する棚保持部材17とを備える。
【0023】
棚15は、棚保持部材17に、上下方向(鉛直方向)に複数段、図示例では10段配設される。また、棚15は、概略扇状に形成されていて、各段において前記回転軸17aの回りに4個ずつ配設されるようになっている。よって、棚保持部材17に着脱可能な棚15は、最大で40個配設される。
【0024】
棚15は、本実施形態では正12角形を4等分した概略扇状のもので、枠体15aと、これに取り付けられた網状の棚本体15bとを有する(図7参照)。なお、棚15の形状は、円や多角形を4等分した概略扇状のものでもよい。
【0025】
枠体15aは、少し離れた状態で直交する2つの側面枠15cと、これら側面枠15cの接近した側の端部どうしを連結する取付用側面枠15dと、この取付用側面枠15dとは反対側であって、2つの側面枠15cの離隔した側の端部どうしを連結する外枠15eとを有する。
【0026】
上記2つの側面枠15cの下側には、それぞれ断面L字状のセット確認片15fが、L字を構成する一方の辺15gを下方に向けて取り付けられている。この下辺15gは、脱落防止用突起として機能する。また、そのセット確認片15fと前記外枠15eとに掛け渡して線材からなる補強部材15hが棚本体15bの下側に設けられている。前記セット確認片15fは、後述するが、棚保持部材17にきちんと取り付けられたか否かを確認し得るものである。
【0027】
棚保持部材17は、回転軸17aから水平方向かつ放射状に延びる4本の放射枠17b、これらの放射枠17bの隣り合う内側の端部同士を連結する断面コの字状をした挟持枠17cおよび放射枠17bの隣り合う外側の端部同士を連結する外枠17dを有する支持体17eを備える。この支持体17eは、回転軸17aの軸方向に、前記棚15の段数と同じく10段分設けられている。また、上記外枠17dは、放射枠17bの下側に設けられ、図示例では線材により構成されている。
【0028】
放射枠17bは、幅方向中央部が上方に向けて突出した断面形状となっていて、その上方に突出した部分18aを挟む両側のそれぞれが棚置き部18bとして機能する。そして、隣り合う2つの放射枠17bの片側の棚置き部18bの間が、それぞれ1つの棚15を取り付けるための棚取付部18として用いられる。
【0029】
上記断面コの字状をした挟持枠17cは両端を上下方向とし開口を水平方向に向けていて(図6(a)および図8参照)、その内奥側に棚15の取付用側面枠15dが上下方向で挟まれるように挿入される(図9および図10参照)。取付用側面枠15dの挿入が深いと、前記脱落防止用突起として機能する前記下辺15gの後端(取付用側面枠15dとは反対側の端)が外枠17dよりも内側に位置し(図11参照)、これにより棚15の脱落が防止される。一方、挿入が浅いと下辺(脱落防止用突起)15gが外枠17dの上に乗り上げて棚15が傾く(図12参照)。この傾きにより、棚のセット不良がわかる。
【0030】
なお、前記下辺15gの外側端部は、前記挟持枠17cに対する棚15の取付用側面枠15dの挿入深さが所定寸法以上であると外枠17dよりも内側に位置し、挿入深さが所定寸法よりも短いと下辺15gが外枠17dの上に乗り上げるように規定されている。
【0031】
過熱水蒸気供給手段9は、各段の棚15の回転域16の下方に、回転域16の径方向外方から回転中心Oの付近まで延びた蒸気管9aを備える。奇数段の棚15の下方に配した蒸気管9aと、偶数段の棚15の下方に配した蒸気管9aとは、回転軸17aを挟んで互いに反対側の位置に設けられた中継管9bに連通連結されていて、各中継管9bは乾燥容器3の外部に導かれ、その基端側は図示しない過熱水蒸気発生源に繋がっている。なお、各中継管9bは、乾燥容器3の内部においては鉛直方向に延びている。
【0032】
各蒸気管9aのそれぞれには、略全長にわたって噴射用ノズル(図示せず)が、上向きに過熱水蒸気を噴射するように設けられており、その過熱水蒸気が棚15の回転域16に供給される。上記噴射用ノズルの配置は、回転域16の半径方向において過熱水蒸気を均一量で噴射するように設定してある。なお、蒸気管9aは、各段の棚15の上方に配設し、噴射用ノズルから下向きに過熱水蒸気を棚15の回転域16に噴射するようにしてもよい。また、過熱水蒸気供給手段9は、過熱水蒸気の供給と停止とが行われるようになっている。
【0033】
熱風供給手段11は、乾燥容器3の内部であって棚15の回転域16の外側に配された、鉛直方向に延びた熱風管11aを備え、熱風管11aの基端側に設けた熱風発生源12から供給される熱風を、回転軸17aに向かいかつ棚15の回転域16を通るように噴出させる構成となっている。熱風管11aには、回転軸17aを向く方向に、棚15の最上段から最下段にわたって長いスリットが形成されていて、そのスリットから帯状に熱風が噴射され、棚15の回転域16に供給される。なお、この熱風供給手段11は、熱風の供給と停止とが行われるようになっている。
【0034】
次に、このように構成された野菜乾燥装置1における野菜の乾燥作業につき説明する。
【0035】
先ず、乾燥作業に入る前に、乾燥容器3から取り出していた多数の棚15のそれぞれに、乾燥前の野菜を載せておく。
【0036】
かかる準備が完了すると、野菜の載った棚15を開閉扉5から乾燥容器3の内部に入れ、棚保持部材17に取り付ける。この取り付けは、図8〜図12(これらの図では野菜を省略している。)に示すように行われる。即ち、図8及び図9に示すように棚15をほぼ水平に保持したまま、取付用側面枠15dを棚保持部材17の挟持枠17cに接近させる。そして、取付用側面枠15dを挟持枠17cに取り付ける際、棚15は取付用側面枠15dが少し下側になるように傾けるとともに、図10に示すように、取付用側面枠15dが挟持枠17cの奥まで達するように棚15を押し込む。この押し込みが完了すると、図11に示すように、棚15を平行にする。つまり外枠15eを下ろす。この場合、取付用側面枠15dが挟持枠17cの奥まで入っているので、下辺(脱落防止用突起)15gの後端が外枠17dよりも内側に位置し、これにより棚15の脱落が防止される。一方、図12に示すように取付用側面枠15dの挟持枠17cに対する挿入が浅いと、下辺(脱落防止用突起)15gが外枠17dの上に乗り上げて棚15が傾く。この傾きにより、棚のセット不良がわかる。その後、棚15を押し込むことで、図11に示したように下辺(脱落防止用突起)15gの後端を外枠17dよりも内側に位置させ得る。
【0037】
以上の棚15の取り付け作業は、開閉扉5が開けられた開口部の内側に、棚保持部材17の各段における1つの棚取付部18が位置する状態で行われる。つまり、10段の1つの棚取付部18に対して棚15の取り付けが行われる。
【0038】
その後、棚保持部材17を1/4回転分だけ回転させ、次に取り付けを行うための棚取付部18を開口部の内側に配置させる。そして、前同様にして野菜の載った棚15を棚取付部18に取り付ける。続いて、棚保持部材17を1/4回転分だけ回転させて棚15を取り付け、更に、棚保持部材17を1/4回転分だけ回転させて棚15を取り付ける。これにより、40個の棚15の全てが棚保持部材17に取り付けられる。
【0039】
その後、開閉扉5を閉めることで、準備作業が完了する。
【0040】
次に、過熱水蒸気供給手段9により、乾燥容器3の内部に過熱水蒸気を供給する。過熱水蒸気は、中継管9bを経て蒸気管9aに導かれ、蒸気管9aに設けられた噴射用ノズルから、上向きに棚15へ噴射される。過熱水蒸気の噴射は、2系統の中継管9bを介して行われる。
【0041】
そして、過熱水蒸気の供給時間が所定時間に達すると、過熱水蒸気の供給を停止し、その後、熱風供給手段11により熱風を熱風管11aから棚15を通るように噴出させる。この熱風の供給時間が所定時間に達すると、熱風の供給を停止する。
【0042】
以上の作業により野菜の乾燥が完了する。この作業中、排気は排気孔13a、13bにより行われ、ドレインは排出口13cから排出される。
【0043】
そして、野菜乾燥の完了により、開閉扉5を開けて棚保持部材17の各段における1つの棚取付部18の棚15を取り外す。その後、棚保持部材17を1/4回転分だけ回転させ、隣の棚取付部18の棚15を取り外し、これを2回繰り返す。これにより、全ての棚15の取外しが終了するとともに乾燥した野菜の取り出しが行われる。
【0044】
したがって、本実施形態による場合には、被乾燥用の野菜が載置される棚(野菜載置部)15が鉛直方向に延びた回転軸17aの回りに回転し、その棚15の回転域16に向けて過熱水蒸気供給手段9が過熱水蒸気を供給し、また熱風供給手段11が棚15の回転域16に向けて熱風を供給するので、棚15に過熱水蒸気及び熱風が均一に与えられることになり、これにより均一な乾燥を達成することが可能になる。また、1つの乾燥容器3において、過熱水蒸気による乾燥と熱風による乾燥とを行うことが可能であるので、コストの低廉化を図ることができるとともに、乾燥容器3への1回の野菜の装入と1回の野菜の取り出しで、過熱水蒸気による乾燥と熱風による乾燥とを行うことができる。
【0045】
また、本実施形態においては、過熱水蒸気を棚15の回転域16の下方から棚15の回転域16に向けて噴出させるが、棚15が網状の棚本体15bを有して形成されているので、棚15で過熱水蒸気の流れを遮ることがなく、棚15に載せた野菜を均一に乾燥させることが可能になる。更にまた、棚15の回転域16の径方向全体に過熱水蒸気を噴射することができるので、この様な噴射と棚15の回転とで、全体に隈なく均一に過熱水蒸気を供給することが可能となり、棚15に載せた野菜をより均一に乾燥させることが可能になる。そして、このように乾燥された野菜は、例えば粉砕されて粉末野菜等に処理される。
【0046】
更に、本実施形態においては、例えば棚15に多数の野菜を載せておくことで、その棚15を棚保持部材17に取り付けると、乾燥容器3の内部に一度に多数の野菜をセットすることができ、セットの時間短縮を図ることが可能になる。また、野菜の取り出しに際しても同様である。また、棚15の取付用側面枠15dを挟持枠17cに挿入した状態で棚15を支持体により支持させることで、棚保持部材17に棚15を取り付けることが可能になる。逆の操作により、棚保持部材17から棚15を取り外すことが可能になる。また、このような取り付け取外しに際し、棚15の大きさを開閉扉5で覆われた開口部よりも充分に小さくしておくことで、前述したように予め野菜を載せた状態の棚15を乾燥容器3から容易に出し入れすることも可能である。
【0047】
なお、上述した実施形態では過熱水蒸気供給手段9として、5つの蒸気管9aが連通連結された中継管9bを、棚15の奇数段用と偶数段用との2系統で有する構成をとっているが、本発明はこれに限らない。例えば、1つの中継管9bから各段毎の蒸気管に分岐させた1系統の構成としてもよい。或いは、その1系統の構成を2以上の箇所に配した形態(つまり複数系統を有する構成)としてもよい。
【0048】
また、上述した実施形態では熱風供給手段11として、スリットを有する熱風管11aを1つ有する構成をとっているが、本発明はこれに限らない。例えば、スリットを有する熱風管11aを2以上備える構成としてもよく、或いは、上述した過熱水蒸気供給手段と同様な構成のものを採用してもよい。
【0049】
更に、上述した実施形態では棚の配置を各段で4個ずつとしているが、本発明はこれに限らない。各段で1つ、或いは2つ、或いは3つ、或いは5つ以上としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態に係る野菜乾燥装置を示す正面図である。
【図2】図1の野菜乾燥装置を示す平面図である。
【図3】野菜乾燥装置の内部に設けられた野菜載置部としての棚及びその近傍を示す平面図である。
【図4】野菜乾燥装置の内部であって、棚及びこの棚を保持するための棚保持部材を示す正面図である。
【図5】棚保持部材を示す平面図である。
【図6】(a)は棚保持部材の一部を示す側面図、(b)は(a)のA−A線における端面図である。
【図7】(a)は棚を示す平面図、(b)は棚を示す正面図である。
【図8】野菜の載った棚を棚保持部材に取り付ける作業の説明図である(野菜を省略して表している)。
【図9】野菜の載った棚を棚保持部材に取り付ける作業の説明図である(野菜を省略して表している)。
【図10】野菜の載った棚を棚保持部材に取り付ける作業の説明図である(野菜を省略して表している)。
【図11】野菜の載った棚を棚保持部材に取り付ける作業の説明図である(野菜を省略して表している)。
【図12】野菜の載った棚を棚保持部材に取り付ける作業の説明図である(野菜を省略して表している)。
【符号の説明】
【0051】
1 野菜乾燥装置
3 乾燥容器
5 開閉扉
7 野菜載置部材
9 過熱水蒸気供給手段
9a 蒸気管
9b 中継管
11 熱風供給手段
11a 熱風管
13 排気手段
13a、13b 排気孔
15 棚(野菜載置部)
15b 棚本体
15d 取付用側面枠
15g 下辺(脱落防止用突起)
16 回転域
17 棚保持部材
17a 回転軸
17c 挟持枠
17d 外枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
野菜を過熱水蒸気及び熱風により乾燥させる野菜乾燥装置において、
野菜を出し入れするための開閉扉を有する乾燥容器と、
前記乾燥容器の内部に、前記野菜を載せる野菜載置部が鉛直軸回りに回転するように設けられた野菜載置部材と、
前記乾燥容器の内部であって前記野菜載置部の回転域に向けて過熱水蒸気を供給する過熱水蒸気供給手段と、
前記乾燥容器の内部であって前記野菜載置部の回転域に向けて熱風を供給する熱風供給手段と、
前記乾燥容器から排気させる排気手段とを具備することを特徴とする野菜乾燥装置。
【請求項2】
前記野菜載置部材は、前記野菜載置部としての棚と、前記棚が着脱可能に取り付けられかつ鉛直な回転軸の回りに回転する棚保持部材とを備えることを特徴とする請求項1に記載の野菜乾燥装置。
【請求項3】
前記棚が鉛直方向に複数配設されるとともに網状の棚本体を有して形成され、前記過熱水蒸気供給手段は前記棚の回転域の上方または下方から前記棚の回転域に向けて前記過熱水蒸気を噴出するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の野菜乾燥装置。
【請求項4】
前記過熱水蒸気供給手段は、前記棚の回転域の上方または下方において径方向外方から回転中心付近まで延びた管を備え、この管の略全長にわたって複数の噴射用ノズルが設けられていることを特徴とする請求項3に記載の野菜乾燥装置。
【請求項5】
前記熱風供給手段は前記棚の回転域の外側から回転中心に向かいかつ前記棚の回転域を通るように前記熱風を噴出させる構成となっていることを特徴とする請求項3または4に記載の野菜乾燥装置。
【請求項6】
前記棚保持部材は、鉛直方向に延びる軸部と、前記軸部から水平方向かつ放射状に延びる放射枠、その放射枠の隣り合う内側の端部同士を連結するとともに前記棚の一部を上下方向で挟む挟持枠および放射枠の隣り合う外側の端部同士を連結する外枠を有する支持体とを備え、一方の前記棚は隣り合う2つの放射枠とこれらの間の挟持枠および外枠とで支持される概略扇状に形成されていることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1つに記載の野菜乾燥装置。
【請求項7】
前記棚の下面には放射状に突出した脱落防止用突起が設けられ、その突起の外側端部は、前記挟持枠に対する前記棚の一部の挿入深さが所定寸法以上であると前記外枠よりも内側に位置し、前記挿入深さが所定寸法よりも短いと前記外枠の上に乗り上げるように規定されていることを特徴とする請求項6に記載の野菜乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−88390(P2010−88390A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−263872(P2008−263872)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(504005035)三笠産業株式会社 (8)
【出願人】(596124221)
【出願人】(396011288)株式会社タナカテック (3)
【出願人】(505127721)公立大学法人大阪府立大学 (688)
【Fターム(参考)】