説明

野菜脱水機

【課題】カット野菜を傷めないように連続して脱水処理を施すことができ、小型で安価に製造可能な野菜脱水機を提供すること。
【解決手段】台座7に立設した固定軸8により支持される回転体10を第1モータ17により回転自在に設け、回転体10には、カット野菜を投入するホッパー13を中心に配置すると共に当該ホッパーに隣接して脱水用筒体内にスクリューコンベア21を並設し、スクリューコンベア21に設けた遊星歯車23を固定軸8に回転自由に設けた太陽歯車25に噛合させ、太陽歯車25を第2モータ28によって回転させることによりスクリューコンベア21を回転自在に設け、第1モータ17及び第2モータ28を作動させた状態にて投入される野菜が、ホッパー13の下部から公転及び自転するスクリューコンベア21側に導かれてから同コンベア21により上方へ持ち上げられつつ脱水処理を施される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カットされた野菜の脱水処理を施す野菜脱水機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の野菜脱水機として、カットされた野菜をモータにより回転作動する脱水カゴに入れて脱水処理を施し、その後で野菜を脱水カゴから取り出すバッチ式のものが主流である(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、特許文献2には、脱水バスケット内に掻き出しスクリュー羽根を配置してそれらが回転差をつけて回転させられることにより、野菜屑の破砕と脱水、野菜の水切りを施す連続式脱水機が開示されている。
【0004】
上記連続式脱水機において野菜屑を処理する場合には、廃棄を目的としていることからどのように切り刻まれても問題はないと思われる。しかし、カット野菜を脱水処理する場合には、回転する掻き出しスクリュー羽根内へ直接投入されることから、野菜がスクリュー羽根によってダメージを受け易く、見栄えが芳しくないという危惧がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−87131号公報
【特許文献2】特開2009−255024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、カット野菜を傷めないように連続して脱水処理を施すことができ、小型で安価に製造可能な野菜脱水機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために請求項1に記載した発明は、上部に排出口を下部に排水口を備えたケース内に回転体を収め、台座に立設した固定軸により支持される該回転体を第1モータにより所定回転数にて回転自在に設け、その回転体には、カットされた野菜を投入するホッパーを中心に配置すると共に当該ホッパーに隣接して脱水用筒体に内装された少なくとも1つのスクリューコンベアを並設し、そのスクリューコンベアの回転軸に設けた遊星歯車を前記固定軸に対して回転自由に設けられた太陽歯車に噛合させ、その太陽歯車を第2モータによって回転させることにより該スクリューコンベアを回転自在に設け、
第1モータ及び第2モータを作動させた状態にて前記ホッパーに投入される野菜が、当該ホッパーの下部に形成された開口部から前記スクリューコンベア側に導かれて公転及び自転するスクリューコンベアにより上方へ持ち上げられつつ遠心力作用により脱水処理を施されて前記排出口から排出されるように構成したことを特徴とする。
【0008】
同様の目的を達成するために請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の野菜脱水機において、前記ホッパーに投入される野菜を切り刻むカッターが、前記固定軸に装着され又は前記固定軸に遊嵌された中間軸の先端に装着されると共に当該中間軸を強制的に回転可能に設けたことを特徴とすることを特徴とするものである。
【0009】
ホッパーに投入されるカット野菜をカッターによって切り刻んで脱水処理を連続して施すことができるので、調理に便利である。また、野菜屑をカッターによって粉砕して脱水処理を施すことができるため、野菜屑の廃棄処理が行い易い。
【0010】
同様の目的を達成するために請求項3に記載した発明は、上部に排出口を下部に排水口を備えたケース内に回転体を収め、台座に立設した固定軸により支持される該回転体を第1モータにより所定回転数にて回転自在に設け、その回転体には、カットされた野菜を投入するホッパーを中心に配置すると共に当該ホッパーに隣接して脱水用筒体内に固定された少なくとも1つのスパイラル片を並設し、そのスパイラル片の下部が固定された回転軸に設けた遊星歯車を前記固定軸に対して回転自由に設けられた太陽歯車に噛合させ、その太陽歯車を第2モータによって回転させることにより該スパイラル片を回転自在に設け、
第1モータ及び第2モータを作動させた状態にて前記ホッパーに投入される野菜が、当該ホッパーの下部に形成された開口部から前記スパイラル片側に導かれて公転及び自転するスパイラル片により上方へ持ち上げられつつ遠心力作用により脱水処理を施されて前記排出口から排出されるように構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
(請求項1の発明)
この野菜脱水機は、小型で安価に製造可能であり、ホッパーに投入されるキャベツ等のカット野菜を公転及び自転するスクリューコンベアにより上方へ持ち上げつつ遠心力作用により脱水処理を連続して施すことができる。加えて、水切りされた野菜の見栄えが良い。
【0012】
(請求項3の発明)
この野菜脱水機は、小型で安価に製造可能であり、ホッパーに投入されるキャベツ等のカット野菜を公転及び自転するスパイラル片により上方へ持ち上げつつ遠心力作用により脱水処理を連続して施すことができる。加えて、水切りされた野菜の見栄えが良い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施例にかかる野菜脱水機の側面図
【図2】第1実施例にかかる野菜脱水機の縦断面図
【図3】ホッパー下部の説明図
【図4】駆動部分の断面図
【図5】本発明の第2実施例にかかる野菜脱水機の側面図
【図6】カッターの斜視図
【図7】本発明の第3実施例にかかる野菜脱水機の要部の縦断面図
【図8】本発明の第4実施例にかかる野菜脱水機の側面図
【図9】ホッパー下部の説明図
【図10】脱水用筒体に収められたスパイラル片の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の最良の形態例を図面に基づいて説明する。
【0015】
(実施例1)
本発明の第1実施例にかかる野菜脱水機Dは、ホッパーに投入されるキャベツ等のカットされた野菜を公転及び自転するスクリューコンベアにより上方へ持ち上げつつ遠心力作用により脱水処理を施して排出口から排出する構造とされている。
【0016】
図1、図2に示すように、野菜脱水機Dのケース1は、上方が開放されていて、上部側方に排出口2を備え、下部側方に脱水処理により生ずる水を外部へ排出するための排水口3を備えている。5はケース1の上口部1aに着脱可能に設けられた蓋である。ケース1の内部には、回転体10が収められている。台座7に立設された固定軸8には、回転体10の下部に突出するボス10aを回転自由に支持している。回転体10は、図示しないブラケットにより台座7に取り付けられる第1モータ17により400〜1000rpmの範囲内の所定回転数にて回転制御可能に設けられている。第1モータ17の出力軸17aに固定された駆動プーリー18と回転体10のボス10aには、ベルト19を掛け渡している。なお、ケース1は図示しないブラケットにより台座7に固定されている。
【0017】
図2、図3に示すように、回転体10には、カットされた野菜を投入する円筒形のホッパー13を中心に配置すると共に当該ホッパー13に隣接して脱水用筒体14に内装された左右一対のスクリューコンベア21,21を並設している。13a,13aはホッパー13の下部に形成されていて、脱水用筒体14に連通するように設けた開口部である。脱水用筒体14は上方が開放されていて、その周壁部14aに多数の小穴(図示せず)がメッシュ状に設けられている。脱水用筒体14の上部には、野菜の通過部分を除くように形成された蓋15を設けている。そして、ケース1の内面に設けられたフランジ1bは、蓋15の少し下方に位置するように設けられている。
【0018】
回転体10の基板10bの下方には、円形板11が所定間隔を置いて複数の支柱12によって取り付けられている。スクリューコンベア21,21の回転軸22,22は、基板10bと円形板11により支持されて回転自由に設けられている。各々の回転軸22には、遊星歯車23を一体状に夫々設けている。25は前記固定軸8に対して、詳しくは回転体10のボス10aに軸筒部26を挿入して回転自由に設けられた太陽歯車である。図4に示すように、太陽歯車25には遊星歯車23,23を噛合させるように設けられている。28は図示しないブラケットにより台座7に取り付けられた第2モータである。第2モータ28の出力軸28aに固定された駆動プーリー29と太陽歯車25の軸筒部26には、ベルト31を掛け渡している。そして、スクリューコンベア21,21は、第2モータ28によって太陽歯車25を回転させて遊星歯車23,23を連動回転させることにより回転自在に設けられる。
【0019】
しかして、第1モータ17及び第2モータ28を作動させた状態において、ホッパー13に投入される野菜はホッパー13の開口部13aからスクリューコンベア21側に導かれて公転及び自転するスクリューコンベア21により上方へ持ち上げられつつ遠心力作用により脱水処理を施されて排出口2から排出される本発明の第1実施例にかかる野菜脱水機Dが構成される。
【0020】
なお、スクリューコンベア21により上方へ持ち上げられた野菜は、前記蓋15とケース1のフランジ1bによりケース1内に落下することなく後続の野菜によって押されて排出口2に向かって円滑に送り出される。
【0021】
つぎに、第1実施例にかかる野菜脱水機Dの作用について述べる。
(1)野菜脱水機Dに備えられる図示しない運転操作ボタンを押すと、第1モータ17の作動により回転体10が所定回転数にて回転する。これと同時に、第2モータ28が作動して太陽歯車25を回転させて遊星歯車23,23を連動回転させるので、スクリューコンベア21,21は公転及び自転運動を行なう。
(2)そこで、ホッパー13にキャベツ等のカットされた野菜を投入すると、野菜は下方へ移動して回転体10の遠心力作用により開口部13aからスクリューコンベア21,21側に導かれる。ついで、野菜は脱水用筒体14内で公転及び自転するスクリューコンベア21,21により上方へ持ち上げられつつ遠心力作用により脱水処理を施される。
なお、脱水により生ずる水は、排水口3から外部へ排出される。
(3)スクリューコンベア21,21により上方へ持ち上げられた野菜は、後続の野菜によって押されて排出口2から外部へ排出される。水切りされる野菜は、ホッパー13に投入されてからスクリューコンベア21側に移動することから、ダメージを受けにくく見栄えが良い。
【0022】
(実施例2)
本発明の第2実施例にかかる野菜脱水機Dは、野菜をカッターによって切り刻んで脱水処理を連続して施すことができる構造とされている。詳しくは、上述した第1実施例にかかる野菜脱水機Dにおいて、ホッパー13に投入される野菜を切り刻むカッター40を追加した構成とし、それ以外の構成については野菜脱水機Dと同様の構成とされている。よって、カッター40に関して説明し、その他の構成については野菜脱水機Dの説明に用いた符号を図面に記載して説明を省略する。
【0023】
図6に示すように、カッター40は、軸筒部42を備えた円盤41の上面にほぼ十字形の刃部43が一体に設けられている。
【0024】
図5に第2実施例にかかる野菜脱水機Dを示す。図において、固定軸8の先端はホッパー13内に臨むように設けられ、固定軸8の先端に形成された小径軸8aにカッター40の軸筒部42を嵌合させて当該カッター40を当該固定軸8に装着するように設けている。
【0025】
しかして、ホッパー13に投入されるカット野菜をカッター40によって切り刻んで脱水処理を連続して施すことができ、また、野菜屑をカッター40によって粉砕して脱水処理を施すことができる第2実施例にかかる野菜脱水機Dが構成される。
【0026】
(実施例3)
本発明の第3実施例にかかる野菜脱水機Dは、第2実施例にかかる野菜脱水機Dのカッター40が固定軸8に固定されているのに対し、カッター40を回転させるようにしたものである。この野菜脱水機Dは、カッター40を回転させる構成を除いて第1実施例にかかる野菜脱水機Dと同様の構成とされているので、その他の構成については野菜脱水機Dの説明に用いた符号を図面に記載して説明を省略する。
【0027】
詳しくは、図7に示すように、段付き形状の中間軸45を前記固定軸8に遊嵌して回転自由に設け、その中間軸45の先端側の小径軸45aにカッター40の軸筒部42を嵌合させる。そして、中間軸45を、例えば第1モータ17の動力を利用して強制的に回転可能に設けることにより、カッター40を回転自在に設けるものとする。
【0028】
しかして、第3実施例にかかる野菜脱水機Dによれば、強制的に回転作動するカッター40によって野菜屑を確実に粉砕することができるため野菜屑の後処理が行い易い。
【0029】
(実施例4)
本発明の第4実施例にかかる野菜脱水機Dは、ホッパーに投入されるレタス等のカットされた野菜を公転及び自転するスパイラル片により上方へ持ち上げつつ遠心力作用により脱水処理を施して排出口から排出する構造とされている。詳しくは、上述した第1実施例にかかる野菜脱水機Dにおけるスクリューコンベア21をスパイラル片52に変更した構成とし、それ以外の構成については野菜脱水機Dと同様の構成とされている。よって、主にスパイラル片52に関して説明し、その他の構成については実施例1の野菜脱水機Dの説明に用いた符号を図面に記載し、その説明を省略する。
【0030】
図8に示すように、カット野菜を投入する円筒形のホッパー13は、回転体10の中心に配置されている。ホッパー13に隣接して左右に並設された脱水用筒体51の内面には、図9、図10に示すように、一定幅の帯状素材をスパイラル状に形成したスパイラル片52が固定されている。脱水用筒体51は上方が開放されていて、その周壁部51aに多数の小穴53がメッシュ状に設けられている。また、ホッパー13と脱水用筒体51との間には、野菜が遠心力作用によって外へ飛び出さないように壁部13bが設けられている。
【0031】
スパイラル片52の下部52bは、前記遊星歯車23を設けた回転軸22に溶接等により一体状に固定されている。
【0032】
しかして、第1モータ17及び第2モータ28を作動させた状態において、ホッパー13に投入される野菜はホッパー13の開口部13aからスパイラル片52側に導かれて公転及び自転するスパイラル片52により上方へ持ち上げられつつ遠心力作用により脱水処理を施されて排出口2から排出される本発明の第4実施例にかかる野菜脱水機Dが構成される。
【0033】
なお、第4実施例にかかる野菜脱水機Dの作用については、前述した第1実施例にかかる野菜脱水機Dにおける作用に準ずることから、説明を省略する。
【符号の説明】
【0034】
・・・本発明の第1実施例にかかる野菜脱水機
1・・・ケース
2・・・排出口
3・・・排水口
7・・・台座
8・・・固定軸
10・・・回転体
13・・・ホッパー
13a・・・開口部
14・・・脱水用筒体
17・・・第1モータ
21・・・スクリューコンベア
22・・・回転軸
23・・・遊星歯車
25・・・太陽歯車
28・・・第2モータ
・・・本発明の第2実施例にかかる野菜脱水機
40・・・カッター
・・・本発明の第3実施例にかかる野菜脱水機
45・・・中間軸
・・・本発明の第4実施例にかかる野菜脱水機
51・・・脱水用筒体
52・・・スパイラル片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に排出口を下部に排水口を備えたケース内に回転体を収め、台座に立設した固定軸により支持される該回転体を第1モータにより所定回転数にて回転自在に設け、その回転体には、カットされた野菜を投入するホッパーを中心に配置すると共に当該ホッパーに隣接して脱水用筒体に内装された少なくとも1つのスクリューコンベアを並設し、そのスクリューコンベアの回転軸に設けた遊星歯車を前記固定軸に対して回転自由に設けられた太陽歯車に噛合させ、その太陽歯車を第2モータによって回転させることにより該スクリューコンベアを回転自在に設け、
第1モータ及び第2モータを作動させた状態にて前記ホッパーに投入される野菜が、当該ホッパーの下部に形成された開口部から前記スクリューコンベア側に導かれて公転及び自転するスクリューコンベアにより上方へ持ち上げられつつ遠心力作用により脱水処理を施されて前記排出口から排出されるように構成したことを特徴とする野菜脱水機。
【請求項2】
前記ホッパーに投入される野菜を切り刻むカッターが、前記固定軸に装着され又は前記固定軸に遊嵌された中間軸の先端に装着されると共に当該中間軸を強制的に回転可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載の野菜脱水機。
【請求項3】
上部に排出口を下部に排水口を備えたケース内に回転体を収め、台座に立設した固定軸により支持される該回転体を第1モータにより所定回転数にて回転自在に設け、その回転体には、カットされた野菜を投入するホッパーを中心に配置すると共に当該ホッパーに隣接して脱水用筒体内に固定された少なくとも1つのスパイラル片を並設し、そのスパイラル片の下部が固定された回転軸に設けた遊星歯車を前記固定軸に対して回転自由に設けられた太陽歯車に噛合させ、その太陽歯車を第2モータによって回転させることにより該スパイラル片を回転自在に設け、
第1モータ及び第2モータを作動させた状態にて前記ホッパーに投入される野菜が、当該ホッパーの下部に形成された開口部から前記スパイラル片側に導かれて公転及び自転するスパイラル片により上方へ持ち上げられつつ遠心力作用により脱水処理を施されて前記排出口から排出されるように構成したことを特徴とする野菜脱水機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−29666(P2012−29666A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174264(P2010−174264)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(593219931)株式会社榎村鉄工所 (11)
【Fターム(参考)】