説明

金属カラー及び金属カラーの取付方法

【課題】プレス機を使用しないで、簡単に樹脂部品に金属カラーを取付ける方法を提供する。
【解決手段】樹脂部品20の取付孔21に金属カラー10のスリーブを挿入し、治具の上面に金属カラーのフランジが当接するように、金属カラー10と樹脂部品20とをセットし、締結工具のスクリューマンドレルを金属カラーの貫通孔13に挿通し、スクリューマンドレルを正回転させ、スクリューマンドレルの雄ねじを治具の雌ねじ孔の雌ねじに係合させ、締結工具のノーズピースの下面を、金属カラー10の先端部の端面に当接させて、スクリューマンドレルの回転を止め、スクリューマンドレルを強く引き付け、ノーズピースの下面は、金属カラー10の先端部の端面を下方に押し、金属カラー10の先端部の外径を広げて拡径部を形成し、拡径部とフランジとの間に樹脂部品20をはさみ、スクリューマンドレルを逆回転させ、ねじの係合を解除する、ステップを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂部品に取付ける金属カラー及びその取付方法に関する。特に、樹脂部品の変形や損傷を防止するため樹脂部品に金属カラーを取付ける際、プレス機を用いずに簡単に取付けることのできる金属カラー及びその取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に樹脂部品をボルト等により被取付物に締結する際には、ボルトの軸方向の締結力により、樹脂部品に変形や亀裂等の損傷を生じる恐れがある。このような樹脂部品の変形や損傷を防止するため、樹脂部品の締結のための貫通孔に、金属カラーを装着し、その金属カラーを介して、ボルト等により樹脂部品を被取付物に締結することが行われている。
金属カラーの取付ける方法には、樹脂部品を成形するときに金属カラーを一体成形する方法と、樹脂部品を成形した後に、金属カラーを組付ける方法がある。
後者の樹脂部品を成形した後に、金属カラーを組付ける方法の場合は、樹脂部品から金属カラーが脱落するのを防止するため、樹脂部品の貫通孔に金属カラーを挿入した後に、金属カラーを変形させる場合が多い。
金属カラーを変形させるには、一般に、プレス機を用いて、金属カラーを軸方向に押圧してかしめる。
【0003】
しかし、プレス機を用いて金属カラーを変形させる方法は、樹脂部品が大きいと、取付作業が行いにくく、また大型のプレス機が必要である。
また、樹脂部品が複雑な形状の場合、プレス機を使用して金属カラーを取付けるのは困難である。
また、金属カラーを取付ける作業は、プレス機のある場所に限定されるという問題もある。
【0004】
特許文献1は、合成樹脂板を固定部材にボルト・ナットにより締結する構造を開示する。特許文献1は、一端に合成樹脂板の面に当接するフランジと、合成樹脂板のボルト穴に貫通される金属スリーブとを有し、金属スリーブの先端にはスリットが設けられ、この先端を押圧することにより、先端が花弁状に拡開座屈変形して、スプリングワッシャ部を形成し、このスプリングワッシャ部と、フランジとで、合成樹脂板を挟持する。スプリングワッシャ部を合成樹脂板と固定部材との間に介装して、金属スリーブと固定部材のボルト穴とにボルトを挿通して、ナットで締結する。特許文献1では、スプリングワッシャ部により過度の締め付け力を吸収し、合成樹脂板を破損することなく締結できる。しかし、特許文献1は、押圧工具により金属スリーブの先端を押圧して座屈変形させるもので、上述したプレス機を使用することに伴う問題がある。
【0005】
特許文献2では、金属カラーは、円筒状の筒部と、基端部のフランジ部を有する。樹脂部品の貫通孔の上縁には座ぐり部が設けられ、樹脂部品の貫通孔の下縁には凹部が設けられ、ここにフランジ部が入る。金属カラーは、貫通孔に挿入された後、先端部が加圧されることにより、座ぐり部内で「く」字状に座屈変形される。金属カラーを装着した樹脂部品は、ボルトにより座金を介して、被取付物に締結される。特許文献2は、金属カラーが樹脂部品の貫通孔から抜け落ちるのを防止することができ、金属カラーの座屈した部分により締結部材の緩み止めを図ることができる。しかし、特許文献2は、プレス機により金属カラーを押圧するものであり、上述したプレス機を使用することに伴う問題がある。
【0006】
特許文献3では、ナット(金属カラーに相当)の一端部に大径のフランジ部を形成し、フランジ部の反対側に薄肉部を形成し、樹脂フレーム(樹脂部品に相当)の係止孔にナットを装着した後、ナットの薄肉部を樹脂フレームの座ぐり部に圧着してかしめ、樹脂フレームにナットを係止する。薄肉部は変形しやすいので容易にかしめることができる。しかし、特許文献3も、かしめ具によりナットの薄肉部を押圧してかしめるものであり、特許文献1、2と同様に、プレス機を使用することに伴う問題がある。
【0007】
そのため、簡単迅速に樹脂部品に取付けることができる金属カラーが求められていた。
また、プレス機を使用しないで、簡単で迅速に樹脂部品に金属カラーを取付ける方法が求められていた。
複雑な形状、又は大きい形状の樹脂部品にも、金属カラーを容易に取付けることができる方法が求められていた。
また、作業場所がプレス機のある場所に限定されない金属カラーを取付ける方法が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平6−58217号公報
【特許文献2】特開平11−101218号公報
【特許文献3】特開平6−10930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、簡単迅速に樹脂部品に取付けることができる金属カラーを提供することである。
また、本発明の別の目的は、プレス機を使用しないで、簡単で迅速に樹脂部品に金属カラーを取付ける方法を提供することである。
また、本発明の別の目的は、複雑な形状、又は大きい形状の樹脂部品にも、金属カラーを容易に取付けることができる方法を提供することである。
また、本発明の別の目的は、作業場所がプレス機のある場所に限定されない、樹脂部品に金属カラーを取付ける方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するため、本発明の第1の態様は、樹脂部品の取付孔に、スリーブと、前記スリーブの一端部に形成されたフランジとを有する金属カラーを取付ける方法であって、前記樹脂部品を支持するノーズピースと、雄ねじ付きのスクリューマンドレルを有する締結工具と、前記スクリューマンドレルの前記雄ねじと係合する雌ねじを有する治具とを使用し、
(a) 前記樹脂部品の前記取付孔に前記金属カラーのスリーブを下方から挿入して、前記治具の上面に前記金属カラーの前記フランジが当接するようにセットし、
(b) 前記締結工具のスクリューマンドレルを前記金属カラーの貫通孔に挿通し、前記スクリューマンドレルを正回転させ、前記スクリューマンドレルの雄ねじを前記治具の雌ねじ孔の雌ねじに係合させ、
(c) 前記締結工具のノーズピースの下面を、前記金属カラーの前記フランジと反対側の先端部の端面に当接させて、前記スクリューマンドレルの回転を止め、
(d) 前記締結工具の前記ノーズピースの下面を、前記金属カラーの前記先端部の端面に当接させた状態で、前記スクリューマンドレルを強く引き付け、前記ノーズピースの下面は、前記金属カラーの前記先端部の端面を下方に押し、前記金属カラーの前記先端部に拡径部が形成され、前記拡径部と前記フランジとの間に前記樹脂部品をはさみ、
(e) 前記スクリューマンドレルを逆回転させ、前記治具の前記雌ねじと前記スクリューマンドレルの前記雄ねじとの係合を解除する、ステップを備える方法である。
【0011】
本発明の第1の態様によれば、プレス機を使用しないで、簡単で迅速に樹脂部品に金属カラーを取付けることができる。また、複雑な形状、又は大きい形状の樹脂部品にも、金属カラーを容易に取付けることができる。また、作業場所がプレス機のある場所に限定されず、樹脂部品に金属カラーを取付けることができる。
【0012】
第1の態様の変形として、金属カラーを樹脂部品の取付孔に上方から挿入し、金属カラーの先端部を治具で受け、金属カラーのフランジを締結工具のノーズピースで押して、金属カラーを取付けることもできる。
【0013】
第2の態様は、第1の態様と同様の締結工具と治具を使用して金属カラーを取付ける方法であって、
(a) 前記樹脂部品の前記取付孔に前記金属カラーのスリーブを上方から挿入して、前記樹脂部品の上面に前記金属カラーの前記フランジが当接するようにセットし、
(b) 前記締結工具のスクリューマンドレルを前記金属カラーの貫通孔に挿通し、前記スクリューマンドレルを正回転させ、前記スクリューマンドレルの雄ねじを前記治具の雌ねじ孔の雌ねじに係合させ、
(c) 前記金属カラーの前記フランジと反対側の先端部の端面に前記治具の上面を当接させて、前記スクリューマンドレルの回転を止め、
(d) 前記金属カラーの前記先端部の端面に前記治具の上面を当接させた状態で、前記スクリューマンドレルを強く引き付け、前記治具の上面は、前記金属カラーの前記先端部の端面を上方に押し、前記金属カラーの前記先端部に拡径部が形成され、前記拡径部と前記フランジとの間に前記樹脂部品をはさみ、
(e) 前記スクリューマンドレルを逆回転させ、前記治具の前記雌ねじと前記スクリューマンドレルの前記雄ねじとの係合を解除する、
ステップを備える方法である。
【0014】
前記(d)ステップでは、前記金属カラーの前記先端部の端面に隣接する部分を座屈させて、前記拡径部を形成することができる。
又は、前記(d)ステップでは、前記金属カラーの前記先端部の端面を拡径させて、前記拡径部を形成することができる。
【0015】
金属カラーの前記貫通孔には、段部が形成され、前記段部のフランジと反対の側は肉厚の薄い薄肉部であり、前記(d)ステップでは、前記薄肉部を座屈させて、金属カラーを取付けることができる。
こうすると、薄肉部を変形させるときの押圧力が小さくてすみ、樹脂部品への影響も少なくすることができる。
【0016】
前記樹脂部品は、前記金属カラーの前記フランジを収容する凹部と、前記金属カラーの前記座屈部又は前記拡径部を収容する座ぐり部を有することが好ましい。
こうすると、金属カラーを取付けた部分が、樹脂部品の部分からの出っ張り部を最小限に抑えることができ、他の部品と干渉しないようにすることができる。
【0017】
前記金属カラーの前記スリーブの外面と、前記貫通孔の内面との断面は円形であり、前記樹脂部品の前記取付孔の内面の断面は円形であることが好ましい。
前記金属カラーの前記スリーブの外面と、前記貫通孔の内面との断面は楕円形であり、前記樹脂部品の前記取付孔の内面の断面は楕円形であってもよい。
【0018】
本発明の第3の態様は、金属カラーを変形させずに樹脂部品の取付孔に押込む方法である。第3の態様は、樹脂部品の取付孔に、スリーブを有する金属カラーを取付ける方法であって、前記樹脂部品を支持するノーズピースと、雄ねじ付きのスクリューマンドレルを有する締結工具と、前記スクリューマンドレルの前記雄ねじと係合する雌ねじを有する治具とを使用し、
(a) 前記治具の上面に、前記金属カラーの端面が当接するように前記金属カラーをセットし、前記金属カラーの上に、前記金属カラーのスリーブと、前記樹脂部品の前記取付孔の位置が合うように、前記樹脂部品を配置し、
(b) 前記締結工具のスクリューマンドレルを前記金属カラーの貫通孔に挿通し、前記スクリューマンドレルを正回転させ、前記スクリューマンドレルの雄ねじを前記治具の雌ねじ孔の雌ねじに係合させ、
(c) 前記締結工具のノーズピースの下面を、前記樹脂部品の上面に当接させて、前記スクリューマンドレルの回転を止め、
(d) 前記締結工具の前記ノーズピースの下面を、前記樹脂部品の上面に当接させた状態で、前記スクリューマンドレルを強く引き付け、前記ノーズピースの下面は、前記樹脂部品の上面を下方に押し、前記樹脂部品の取付孔に前記金属カラーが挿入され、
(e) 前記スクリューマンドレルを逆回転させ、前記治具の前記雌ねじと前記スクリューマンドレルの前記雄ねじとの係合を解除する、
ステップを備える方法である。
【0019】
第3の態様は、フランジを有さない金属カラーを樹脂部品に取付ける場合にも用いることができる。樹脂部品の取付孔の内径より、金属カラーの外径が大きく、金属カラーを押込むのに大きい押し込み力を要する場合でも、金属カラーを容易に押し込むことができ、金属カラーが抜け落ちにくい。
【0020】
本発明の第4の態様は、樹脂部品の取付孔に取付ける金属カラーであって、
スリーブと、
前記スリーブの一端部に形成された前記スリーブより大径のフランジと、を備え、
前記スリーブと前記フランジとを貫通する貫通孔が形成され、
前記スリーブの前記貫通孔の内面に段部が形成され、
前記段部から前記フランジと反対側の先端部までの前記スリーブの肉厚は、前記フランジから前記段部までの前記スリーブの肉厚より薄く、
前記フランジの前記スリーブ側の面から前記段部までの軸方向の長さは、前記樹脂部品の厚さとほぼ等しい金属カラーである。
【0021】
金属カラーの貫通孔に段部があるので、金属カラーを段部から先の肉厚が薄い部分を小さい押圧力で容易に変形させて樹脂部品に取付けることができ、樹脂部品への影響も少ない。
【0022】
前記金属カラーの前記スリーブの外面と、前記貫通孔の内面との断面は円形であることが好ましい。
前記金属カラーの前記スリーブの外面と、前記貫通孔の内面との断面は楕円形でもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、簡単迅速に樹脂部品に取付けることができる金属カラーを得ることができる。
また、プレス機を使用しないで、簡単で迅速に樹脂部品に金属カラーを取付けることができる。
また、複雑な形状、又は大きい形状の樹脂部品にも、金属カラーを容易に取付けることができる。
また、作業場所がプレス機のある場所に限定されず、樹脂部品に金属カラーを取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態の金属カラーを樹脂部品に取付け、ボルトとナットを使用して、樹脂部品を被取付部材に締結した状態を示す一部を断面とした図である。
【図2】第1の実施形態の金属カラーの一部を断面とした正面図である。
【図3】図2の金属カラーを樹脂部品にセットした状態を示す断面図である。
【図4】図2の金属カラーの先端部を座屈させて樹脂部品に取付けた状態を示す断面図である。
【図5】図2の金属カラーの先端部を拡径させて樹脂部品に取付けた状態を示す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の金属カラーの一部を断面とした正面図である。
【図7】図6の金属カラーを樹脂部品にセットした状態を示す断面図である。
【図8】図6の金属カラーの薄肉部を座屈させて樹脂部品に取付けた状態を示す断面図である。
【図9】凹部と座ぐり部が形成された樹脂部品に金属カラーを取付けた状態を示す断面図である。
【図10】本発明に使用する締結工具を示す斜視図である。
【図11】本発明に使用する締結工具の先端部を示す正面図である。
【図12】本発明に使用する治具の断面図である。
【図13】樹脂部品に図6の金属カラーを取付ける方法の各段階を示す断面図である。
【図14】樹脂部品に図6の金属カラーを取付ける別の方法の各段階を示す断面図である。
【図15】本発明の第3の実施形態により、樹脂部品に金属カラーを変形させずに取付けた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態による金属カラー10について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の金属カラー10を使用して、樹脂部品20(取付部品)を、被取付部材30に、座金40を介して、ボルト43とナット46により締結した状態を示す一部を断面とした図である。樹脂部品20の取付孔21には金属カラー10が抜け落ちないように取付けられているので、ボルト43とナット46により締結しても、樹脂部品20には大きい力はかからず、安定して取り付けることができる。なお、第1の実施形態の金属カラー10は、第1、2の態様の取付方法に使用される。
【0026】
以下、図2〜4を参照して、本発明の第1の実施形態の金属カラー10と、金属カラー10を樹脂部品20に取付けた状態について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態の金属カラー10の一部を断面とした正面図である。金属カラー10は、円筒状のスリーブ12と、スリーブ12の一端部に形成され、スリーブ12より大径のフランジ11とを備える。フランジ11とスリーブ12の内側には、金属カラー10をその軸方向に貫通する貫通孔13が形成されている。スリーブ12のフランジ11と反対側は、変形させて樹脂部品20にかしめるための先端部14となっている。第1の実施形態では、スリーブ12の厚さと、先端部14の厚さは同じである。なお、本明細書では、先端部14とは、かしめる時に変形する先端付近の部分を言い、最先端部は端面ということとする。
第1の実施形態では、金属カラー10のスリーブ12の外面と、貫通孔13の内面との断面は円形であるが、スリーブ12の外面と、貫通孔13の内面との断面は、楕円形とすることもできる。
【0027】
金属カラー10の材料は、塑性変形する材料であれば、使用することができる。例えば、鉄、アルミニウム等である。また、金属カラー10には、かしめる時の変形に耐えるものであれば、表面処理がされていてもよい。例えば、さび防止のためメッキされていてもよい。更に、本明細書では「金属カラー」としているが、塑性変形する材料であれば、金属以外の材料でも可能である。
【0028】
図3は、本発明の第1の実施形態の金属カラー10を樹脂部品20にセットした状態を示す断面図である。樹脂部品20には、金属カラー10を挿通するための取付孔21が形成されている。取付孔21の内径は、金属カラー10のスリーブ12の外径とほぼ同じであり、金属カラー10のスリーブ12を挿入することができる。取付孔21の内径は、フランジ11の外径より小さい。図3の下方から取付孔21に金属カラー10を先端部14から挿入していき、フランジ11の上面が樹脂部品20の取付孔21の周囲に当接して止まる。
金属カラー10のスリーブ12の外面と、貫通孔13の内面との断面が楕円形の場合は、樹脂部品20の取付孔21の内面も楕円形とする。
【0029】
図4は、金属カラー10を樹脂部品20に取付けた状態を示す断面図である。金属カラー10のフランジ11を下方から支持し、先端部14を長軸方向の上方から押圧して、金属カラー10の先端部14の端面より少し下が外側に広がるように座屈させて、樹脂部品20の取付孔21の内径より大きい外径になるように広げて拡径部14aを形成し、拡径部14aとフランジ11により樹脂部品20をはさみ、金属カラー10が樹脂部品20から抜け落ちないようにする。
【0030】
図1に戻って、樹脂部品20に取付けた金属カラー10の貫通孔13と、被取付物30の取付孔31の位置を合わせた状態で、座金40を介して、ボルト43を樹脂部品20の側から挿入し、ボルト43の先端部が、被取付物30の取付孔31から出た状態で、ボルト43の先端部のネジ山にナット46を係合させ、樹脂部品20を被取付物30に締結している。
【0031】
図5は、金属カラー10を樹脂部品20に取付けた状態を示す断面図である。図4とは、樹脂部品20に取付けた後の、金属カラー10の先端部14の形状が異なる。金属カラー10のフランジ11を下方から支持し、先端部14を長軸方向の上方から押圧して、金属カラー10の先端部14の端面を拡径させて拡径部14bを形成し、拡径部14bとフランジ11により樹脂部品20をはさみ、金属カラー10が樹脂部品20から抜け落ちないようにしている。
図5のように端面が拡径した拡径部14bを形成する場合は、後述する締結工具50のノーズピース52の下面の、金属カラー10の先端部14に当接する箇所を、上方に行くにしたがって外径が大きくなる円錐形状とする。こうすると、カラー10の先端部14は、ノーズピース52の下面により端面が最大径になるように拡径されて、拡径部14bとなる。
【0032】
図6〜8を参照して、本発明の第2の実施形態の金属カラー10'と、金属カラー10'を樹脂部品20に取付けた状態について説明する。なお、第2の実施形態の金属カラー10'は、第4の態様の金属カラーに対応する。
図6は、本発明の第2の実施形態の金属カラー10'の一部を断面とした正面図である。第2の実施形態の金属カラー10'は、スリーブ12の貫通孔13の内面に段部15が形成され、段部15から先は、肉厚の薄い薄肉部16となっている。薄肉部16の外径はスリーブ12と同じであり、薄肉部16の内径はスリーブ12より大きい。薄肉部16は肉厚が薄いので、金属カラー10'を押圧するとき変形しやすい。
【0033】
図7は、金属カラー10'を樹脂部品20にセットした状態を示す断面図である。樹脂部品20に下方から金属カラー10'の薄肉部16とスリーブ12を挿入し、フランジ11の上面が樹脂部品20の下面に当接させる。この状態で、段部15の高さは、樹脂部品20の上面とほぼ一致する。このようにすると、段部15から先の薄肉部16だけを変形させることができるので、変形させるときの押圧力が小さくてすみ、樹脂部品20への影響も少ない。
第2の実施形態でも、金属カラー10'のスリーブ12の外面、貫通孔13と、薄肉部16の内面の断面を楕円形とし、樹脂部品20の取付孔21の内径も楕円形とすることができる。
【0034】
図8は、金属カラー10'を樹脂部品20に取付けた状態を示す断面図である。金属カラー10'の薄肉部16を座屈させて、外径を樹脂部品20の取付孔21の内径より大きくなるように広げ、拡径部16aとフランジ11により樹脂部品20をはさみ、金属カラー10'が樹脂部品20から抜け落ちないようにしている。
図8では、薄肉部16を座屈させているが、図5に示すように薄肉部16の端面を拡径させても良い。
【0035】
図9は、第1の実施形態と同様の金属カラー10を使用し、金属カラー10のフランジ11と拡径部14aを収容する部分が形成された樹脂部品20'に、金属カラー10を取付けた状態を示す断面図である。樹脂部品20'は、取付孔21が設けられている。取付孔21の下部には、金属カラー10のフランジ11が入る大きさの凹部22が設けられている。凹部22の内径はフランジ11の外径より大きく、凹部22の高さは、フランジ11の厚さと等しいかそれより小さく、凹部22内にフランジ11を収容することができる。取付孔21の上部には、金属カラー10の先端部が変形した拡径部14aを収容するための座ぐり部23が設けられている。座ぐり部23の内径は拡径部14aの外径より大きく、座ぐり部23の高さは、拡径部14aの厚さと等しいかそれより小さくなっている。先端部14が拡径部14aを形成し、座ぐり部23に入るように、金属カラー10のスリーブ12の長さが決められる。樹脂部品20'に、凹部22と座ぐり部23を形成すると、金属カラー10を取付けた部分が、金属カラー10を取付けていない樹脂部品20'の部分より著しく出っ張ることがなく、他の部品と干渉しないようにすることができる。
なお、金属カラー10のスリーブ12、貫通孔13の断面が楕円形、樹脂部品20'の取付孔21の内径が楕円形の場合は、凹部22、座ぐり部23も楕円形とする。
【0036】
図10、11は、本発明に使用する締結工具を示す図である。図10は、本発明に使用する締結工具50の一例の全体を示す斜視図である。締結工具50は、圧縮エアーを駆動源とする。本体51に隣接して、締結する部品を支持するためのノーズピース52と、先端部の雄ねじを有するスクリューマンドレル53とを備える。回転体(図示せず)を回転させて、先端部のスクリューマンドレル53を正逆方向に回転させ、雌ねじと係合させ又は係合を解除することができるようになっている。また、スクリューマンドレル53を回転させずに、強く引き込むことができるようになっている。
【0037】
図11は、締結工具50の先端部を示す正面図である。締結工具50の本体部51は、金属カラー10を押圧するためのノーズピース52を備える。ノーズピース52の下面は、平面である。ノーズピース52の中央部には、円柱状で周囲に雄ねじが形成されたスクリューマンドレル53が下方に延びている。
図4のように金属カラー10の先端部14を座屈させて拡径部14aを形成する場合は、金属カラー10の先端部14は、内側にスクリューマンドレル53があるので、内側に曲がることができず、端面より少し下が外側に広がり座屈することになる。
図5のように金属カラー10の先端部14の端面に拡径部14bを形成する場合は、締結工具50のノーズピース52の下面の金属カラー10の先端部14に当接する箇所を、上方に行くにしたがって外径が大きくなる傾斜面としておく。こうすると、カラー10の先端部14は、ノーズピース52の下面により端面が最大径になるように拡径されて、拡径部14bとなる。
【0038】
スクリューマンドレル53の外径は、金属カラー10の貫通孔13の内径より小さく、貫通孔13に挿入することができる。スクリューマンドレル53の雄ねじは、後述する治具60の雌ねじと係合するようになっている。締結工具50は、スクリューマンドレル53を正逆方向に回転させて、治具60の雌ねじと係合させ、また係合を解除することができるようになっている。また、スクリューマンドレル53を回転させずに、強く引きこむことができるようになっている。
【0039】
図12は、本発明に使用する治具60の断面図である。治具60には、上面61に金属カラー10のフランジ11を収容する皿部62が形成されている。皿部62の外径は、金属カラー10のフランジ11の外径よりやや大きく、フランジ11の下部を収容することができる。皿部62の下には、皿部62と同心で皿部62より内径の小さい円筒孔63が設けられ、円筒孔63の下部には雌ねじ孔64が続いている。雌ねじ孔64の雌ねじは、工具50のスクリューマンドレル53の雄ねじが係合することのできる形状である。
【0040】
図13を参照して、図10、11の締結工具50と、図12の治具60を使用して、本発明の実施形態により、樹脂部品20に第2の実施形態の金属カラー10'を取付ける方法について説明する。
本発明に使用する締結工具50と治具60は、ここに例示したものに限定されない。以下に説明する締結方法を行うことができる締結工具と治具であれば良い。
【0041】
図13(a)は、治具60の上面61に金属カラー10'と、樹脂部品20をセットする前の状態を示す断面図である。
図13(b)は、樹脂部品20の取付孔21に金属カラー10'のスリーブ12を下方から挿入し、治具60の上面61の皿部62に金属カラー10'と樹脂部品20とをセットした状態を示す断面図である。
【0042】
図13(c)では、スクリューマンドレル53を金属カラー10'の貫通孔13に挿通して、スクリューマンドレル53を正回転させて、スクリューマンドレル53の雄ねじを治具の雌ねじ孔64の雌ねじに係合させていく。この時、金属カラー10'を治具60の皿部62に押し付けて回転しないようにする。スクリューマンドレル53の雄ねじが、所定の長さだけ雌ねじ孔64に係合したところで、締結工具50のノーズピース52の下面が、金属カラー10'の先端部14の端面に当接して、スクリューマンドレル53の回転を停止する。
【0043】
図13(d)では、締結工具50のノーズピース52の下面を、金属カラー10'の先端部14の端面に当接させ支持した状態で、スクリューマンドレル53を回転させずに本体51側に強く引き付ける。このとき、ノーズピース52の下面は、金属カラー10'の先端部14の端面を下方に押し、段部15から上の薄肉部16を座屈させて、薄肉部16の外径を広げる。座屈部16aとフランジ11との間に樹脂部品20をはさむ。その結果、金属カラー10'は樹脂部品20の取付孔21から抜け落ちないようになる。
このとき、スクリューマンドレル53を引き付けるストロークを管理し、所定の長さだけ引き付けて、引付けを停止する。又は、スクリューマンドレル53を引き付けるときの荷重を管理し、所定の荷重になったときに引付けを停止するようにしても良い。
【0044】
締結工具50により締結が終わった後、スクリューマンドレル53を図13(c)とは逆回転させ、治具60の雌ねじ孔64の雌ねじとスクリューマンドレル53の雄ねじとの係合を解除していく。ねじの係合を解除した後、締結工具50を上方へ退避させ、治具60から取り外す。
図13(e)は、金属カラー10'を取付けた樹脂部品20を、締結工具50と治具60から取り外した状態を示す断面図である。
【0045】
図13では、樹脂部品20の取付孔21に金属カラー10'のスリーブ12を下方から挿入し、治具60でフランジ11を受け、締結工具50のノーズピース52で先端部14を押して拡径部14a,bを形成した。これとは金属カラー10'の上下を逆にして、樹脂部品20の取付孔21に金属カラー10'のスリーブ12を上方から挿入し、治具60で先端部14を受け、締結工具50のノーズピース52でフランジ11を押して、治具60の皿部62で拡径部14a,bを形成することもできる。図14を参照して、このようにして金属カラー10'を樹脂部品20に取付ける動作について説明する。
【0046】
図14(a)は、治具60の上面61に、樹脂部品20と金属カラー10'とをセットする前の状態を示す断面図である。金属カラー10'はフランジ11が上側になっている。
図13(b)は、樹脂部品20の取付孔21に金属カラー10'のスリーブ12を上方から挿入し、治具60の上面61の皿部62に金属カラー10'と樹脂部品20とをセットした状態を示す断面図である。
【0047】
図14(c)では、スクリューマンドレル53を金属カラー10'の貫通孔13に挿通して、スクリューマンドレル53を正回転させて、スクリューマンドレル53の雄ねじを治具の雌ねじ孔64の雌ねじに係合させていく。この時、金属カラー10'の先端部14の端面を治具60の皿部62に押し付けて回転しないようにする。スクリューマンドレル53の雄ねじが、所定の長さだけ雌ねじ孔64に係合したところで、締結工具50のノーズピース52の下面が、金属カラー10'のフランジ11に当接して、スクリューマンドレル53の回転を停止する。
【0048】
図14(d)では、締結工具50のノーズピース52の下面を、金属カラー10'のフランジ11に当接させ支持した状態で、スクリューマンドレル53を回転させずに本体51側に強く引き付ける。このとき、ノーズピース52の下面は、金属カラー10'のフランジ11を下方に押し、治具60の上面61の皿部62は、金属カラー10'の薄肉部16の端面を上方へ押し、段部15から下の薄肉部16を座屈させて、薄肉部16の外径を広げる。座屈部16aは皿部62により外径が規制される。座屈部16aとフランジ11との間に樹脂部品20をはさむ。その結果、金属カラー10'は樹脂部品20の取付孔21から抜け落ちないようになる。
【0049】
締結工具50により締結が終わった後、スクリューマンドレル53を図14(c)とは逆回転させ、治具60の雌ねじ孔64の雌ねじとスクリューマンドレル53の雄ねじとの係合を解除していく。ねじの係合を解除した後、締結工具50を上方へ退避させ、治具60から取り外す。
図14(e)は、金属カラー10'を取付けた樹脂部品20を、締結工具50と治具60から取り外した状態を示す断面図である。
【0050】
図10〜13により説明した第2の実施形態では、治具60に雌ねじが形成され、締結工具50のスクリューマンドレル53に雄ねじが形成されている。これと逆に、雄ねじが形成された治具と、治具の雄ねじを挟持または雄ねじと係合し引き込むことができる締結工具でも、樹脂部品に金属カラーを取付けることができる。
【0051】
本発明の第1、2の実施形態によれば、プレス機を使用しないで、簡単で迅速に樹脂部品に金属カラーを取付けることができる。また、複雑な形状、又は大きい形状の樹脂部品にも、金属カラーを容易に取付けることができる。また、樹脂部品に金属カラーを取付ける作業場所は、プレス機のある場所に限定されない。
【0052】
本発明の第1、2の実施形態では、金属カラーを変形させて、樹脂部品に取付けた。本発明の取付方法は、スリーブを有する金属カラーを、スリーブを変形させずに、樹脂部品に強く押し込んで取付ける方法にも適用することができる。
図15は、本発明の第3の実施形態であり、樹脂部品20の取付孔21に、スリーブを有する金属カラー19を押し込んで取付けた状態を示す断面図である。金属カラー19の外径は樹脂部品20の取付孔21の内径より大きく、金属カラー19を樹脂部品20の取付孔21に押し込んで取付けるようになっている。図15に示す金属カラー19はフランジを有さないが、フランジを有する金属カラーにも適用することができる。なお、第3の実施形態の金属カラー19は、第3の態様の取付方法に使用される。
【0053】
第3の実施形態により、樹脂部品20に金属カラー19を取付ける方法について説明する。治具60の皿部62に金属カラー19を置き、その上に樹脂部品20の取付孔21が金属カラー19の外周と合うように配置する。
締結工具50のスクリューマンドレル53を、樹脂部品20の取付孔21と、金属カラー19の貫通孔13に挿通して、スクリューマンドレル53の雄ねじを治具60の雌ねじ孔64の雌ねじに係合させていく。締結工具50のノーズピース52の下面を、樹脂部品20の上面に当接させて、スクリューマンドレル53の回転を止め、ノーズピース52の下面を、樹脂部品20の上面に当接させた状態で、スクリューマンドレル53を本体51側に強く引き付ける。このとき、ノーズピース52の下面は、樹脂部品20の上面を下方に押し、金属カラー19は樹脂部品20の取付孔21に押し込まれる。スクリューマンドレル53を逆回転させて、治具60の雌ねじとスクリューマンドレル53の雄ねじとの係合を解除する。こうして、図14に示す状態となる。
第3の実施形態でも、金属カラー19の外面、貫通孔13の内面の断面を楕円形とし、樹脂部品20の取付孔21の内面も楕円形とすることができる。
本発明の第3の実施形態によれば、樹脂部品20の取付孔21の内径より、金属カラー19の外径が、かなり大きく、大きい押し込み力を要する場合でも、容易に押し込むことができる。そのため、金属カラー19が抜け落ちにくい。
【符号の説明】
【0054】
10 金属カラー
11 フランジ
12 スリーブ
13 貫通孔
14 先端部
14a,b 拡径部
15 段部
16 薄肉部
19 金属カラー
20 樹脂部品
21 取付孔
22 凹部
23 座ぐり部
30 被取付物
31 取付孔
40 座金
43 ボルト
46 ナット
50 締結工具
51 本体部
52 ノーズピース
53 スクリューマンドレル
60 治具
61 上面
62 皿部
63 円筒孔
64 雌ねじ孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂部品の取付孔に、スリーブと、前記スリーブの一端部に形成されたフランジとを有する金属カラーを取付ける方法であって、前記樹脂部品を支持するノーズピースと、雄ねじ付きのスクリューマンドレルを有する締結工具と、前記スクリューマンドレルの前記雄ねじと係合する雌ねじを有する治具とを使用し、
(a) 前記樹脂部品の前記取付孔に前記金属カラーのスリーブを下方から挿入して、前記治具の上面に前記金属カラーの前記フランジが当接するようにセットし、
(b) 前記締結工具のスクリューマンドレルを前記金属カラーの貫通孔に挿通し、前記スクリューマンドレルを正回転させ、前記スクリューマンドレルの雄ねじを前記治具の雌ねじ孔の雌ねじに係合させ、
(c) 前記締結工具のノーズピースの下面を、前記金属カラーの前記フランジと反対側の先端部の端面に当接させて、前記スクリューマンドレルの回転を止め、
(d) 前記締結工具の前記ノーズピースの下面を、前記金属カラーの前記先端部の端面に当接させた状態で、前記スクリューマンドレルを強く引き付け、前記ノーズピースの下面は、前記金属カラーの前記先端部の端面を下方に押し、前記金属カラーの前記先端部に拡径部が形成され、前記拡径部と前記フランジとの間に前記樹脂部品をはさみ、
(e) 前記スクリューマンドレルを逆回転させ、前記治具の前記雌ねじと前記スクリューマンドレルの前記雄ねじとの係合を解除する、
ステップを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
樹脂部品の取付孔に、スリーブと、前記スリーブの一端部に形成されたフランジとを有する金属カラーを取付ける方法であって、前記樹脂部品を支持するノーズピースと、雄ねじ付きのスクリューマンドレルを有する締結工具と、前記スクリューマンドレルの前記雄ねじと係合する雌ねじを有する治具とを使用し、
(a) 前記樹脂部品の前記取付孔に前記金属カラーのスリーブを上方から挿入して、前記樹脂部品の上面に前記金属カラーの前記フランジが当接するようにセットし、
(b) 前記締結工具のスクリューマンドレルを前記金属カラーの貫通孔に挿通し、前記スクリューマンドレルを正回転させ、前記スクリューマンドレルの雄ねじを前記治具の雌ねじ孔の雌ねじに係合させ、
(c) 前記金属カラーの前記フランジと反対側の先端部の端面に前記治具の上面を当接させて、前記スクリューマンドレルの回転を止め、
(d) 前記金属カラーの前記先端部の端面に前記治具の上面を当接させた状態で、前記スクリューマンドレルを強く引き付け、前記治具の上面は、前記金属カラーの前記先端部の端面を上方に押し、前記金属カラーの前記先端部に拡径部が形成され、前記拡径部と前記フランジとの間に前記樹脂部品をはさみ、
(e) 前記スクリューマンドレルを逆回転させ、前記治具の前記雌ねじと前記スクリューマンドレルの前記雄ねじとの係合を解除する、
ステップを備えることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、前記(d)ステップでは、前記金属カラーの前記先端部の端面に隣接する部分を座屈させて、前記拡径部を形成する方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の方法であって、前記(d)ステップでは、前記金属カラーの前記先端部の端面を拡径させて、前記拡径部を形成する方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の方法であって、金属カラーの前記貫通孔には、段部が形成され、前記段部のフランジとは反対の側は肉厚の薄い薄肉部であり、前記(d)ステップでは、前記薄肉部を拡径させて前記拡径部を形成し、金属カラーを取付ける方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の方法であって、前記樹脂部品は、前記金属カラーの前記フランジを収容する凹部と、前記金属カラーの前記拡径部を収容する座ぐり部を有する方法。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の方法であって、前記金属カラーの前記スリーブの外面と、前記貫通孔の内面との断面は、円形であり、前記樹脂部品の前記取付孔の内面の断面は円形である方法。
【請求項8】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の方法であって、前記金属カラーの前記スリーブの外面と、前記貫通孔の内面との断面は、楕円形であり、前記樹脂部品の前記取付孔の内面の断面は楕円形である方法。
【請求項9】
樹脂部品の取付孔に、スリーブを有する金属カラーを取付ける方法であって、前記樹脂部品を支持するノーズピースと、雄ねじ付きのスクリューマンドレルを有する締結工具と、前記スクリューマンドレルの前記雄ねじと係合する雌ねじを有する治具とを使用し、
(a) 前記治具の上面に、前記金属カラーの端面が当接するように前記金属カラーをセットし、前記金属カラーの上に、前記金属カラーのスリーブと、前記樹脂部品の前記取付孔の位置が合うように、前記樹脂部品を配置し、
(b) 前記締結工具のスクリューマンドレルを前記金属カラーの貫通孔に挿通し、前記スクリューマンドレルを正回転させ、前記スクリューマンドレルの雄ねじを前記治具の雌ねじ孔の雌ねじに係合させ、
(c) 前記締結工具のノーズピースの下面を、前記樹脂部品の上面に当接させて、前記ノーズピースの回転を止め、
(d) 前記締結工具の前記ノーズピースの下面を、前記樹脂部品の上面に当接させた状態で、前記スクリューマンドレルを強く引き付け、前記ノーズピースの下面は、前記樹脂部品の上面を下方に押し、前記樹脂部品の取付孔に前記金属カラーが挿入され、
(e) 前記スクリューマンドレルを逆回転させ、前記治具の前記雌ねじと前記スクリューマンドレルの前記雄ねじとの係合を解除する、
ステップを備えることを特徴とする方法。
【請求項10】
樹脂部品の取付孔に取付ける金属カラーであって、
スリーブと、
前記スリーブの一端部に形成された前記スリーブより大径のフランジと、を備え、
前記スリーブと前記フランジとを貫通する貫通孔が形成され、
前記スリーブの前記貫通孔の内面に段部が形成され、
前記段部から前記フランジと反対側の先端部までの前記スリーブの肉厚は、前記フランジから前記段部までの前記スリーブの肉厚より薄く、
前記フランジの前記スリーブ側の面から前記段部までの軸方向の長さは、前記樹脂部品の厚さとほぼ等しいことを特徴とする金属カラー。
【請求項11】
請求項10に記載の金属カラーであって、前記金属カラーの前記スリーブの外面と、前記貫通孔の内面との断面は、円形である金属カラー。
【請求項12】
前記金属カラーの前記スリーブの外面と、前記貫通孔の内面との断面は、楕円形である金属カラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−1050(P2013−1050A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136940(P2011−136940)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(390025243)ポップリベット・ファスナー株式会社 (159)
【Fターム(参考)】