金属収容容器の耐火性封止接合の製造方法、および封止接合を含む容器
本発明の例示的な実施形態は、例えば、金属接触トラフのような、溶融金属を収容するまたは搬送するのに用いる容器の耐火性部分の間における強化された耐火性接合の製造方法を提供する。当該方法は、金属ワイヤから成るメッシュ本体を、容器の隣接した耐火性部分の金属接触面間における隙間に導入し、メッシュ本体を金属搬送表面の下に配置し、および成形可能な耐火性材料の層によりメッシュ本体を覆って金属接触表面の間の隙間を封止することを含む。他の実施形態は、当該方法により形成された容器と、他のこのような部分を備えた封止接合を製造するのに適した予め配置されているメッシュ本体を有する容器部分とに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融金属を搬送、処理または保持するのに用いる溶融金属収容構造体に関し、とりわけ、2つ以上の片または部分から作られている、もしくは2つ以上の片または部分を含む耐火性またはセラミック溶融金属収容容器を組み込んでいるこのような構造体に関する。更にとりわけ、本発明は、接合において容器から溶融金属の漏出を防ぐように、このような片または部分間に封止接合を提供する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、金属搬送トラフおよびラウンダー等の溶融金属収容容器は、しばしば、金属処理または鋳造作業等中に、例えば、溶融金属を1つの場所(例えば、金属溶融炉)から別の場所(例えば、鋳型または鋳造テーブル)に搬送するのに用いられている。他の作業において、このような容器は、例えば、金属フィルタリング、金属脱ガスまたは金属輸送のような金属処理に用いられている。しばしば、そこに収容されることが意図される溶融金属による高温および劣化に耐性がある耐火性および/またはセラミック材料から作られている2以上の形状部分から、この種の容器が構成されている。容器部分は、密接に相互接触しており、ならびに支持、適切なアラインメントおよび損傷に対する保護のために設けられている外側の金属ケーシング等内において保持されてよい。溶融金属が容器内で保持されている時に溶融金属が過度に冷却または凝固しないことを確実にするように、このような容器に、熱源が設けられることがある。熱源は、容器の内表面または外表面に沿って高温流体(例えば、燃焼ガス)を搬送するのに容器または包囲体の上または下に配置されている電気加熱要素であってよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
容器が加熱されようがされまいが、溶融金属が、2つの接触部分間の界面において容器から漏出しないことを確実にすることは、当然に重要である。しかしながら、容器のための熱源が設けられている場合に、溶融金属が、電気加熱要素または他の加熱手段に対する壊滅的な損傷を生じさせる可能性があるので、金属の漏出を回避することはとりわけ重要である。従って、例えば、熱膨張または収縮に適応するように、隣接した部分間に耐火性紙の層を準備することによって、隣接した容器部分間に封止接合をもたらすことは普通である。隣接した部分の接触した表面間の隙間に、耐火性シーリング材を押し込んでもよい。隣接した部分に亘る表面溝を有する部分を提供し、接合部を充填するように成形可能な耐火性シーリング材により覆われている耐火性ロープによって溝を充填しおよび容器部分間に平坦な相互接続表面を形成することも知られている。しかしながら、いかなるこのような接合も、とりわけ加熱される容器に用いると、熱サイクルに起因して時間および使用とともに劣化し、ならびに接合は、最終的に、容器部分間に直接の漏出経路を出現させる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、金属保持および金属収容容器のための封止接合(封止接合品)を提供する更なる方法への要求がある。
【0005】
本発明の例示的な実施形態は、溶融金属を収容または搬送するのに用いる容器の耐火性部分の間に強化された耐火性接合(耐火性接合品)を製造する方法を提供する。当該方法は、メッシュ本体を金属接触表面の下に配置するように、金属ワイヤ(好ましくは、容器に含まれる溶融金属による攻撃に耐性がある金属)から作られたメッシュ本体を、容器の隣接した耐火性部分の金属接触表面間の隙間に導入すること、およびメッシュ本体を成形可能な耐火性材料層(好ましくは、可鍛性ペーストの形態をして)により覆って金属接触表面間の隙間を封止することを含む。
【0006】
メッシュ本体は、成形可能な耐火性材料のために可撓性があり圧縮可能な支持体を形成している。更に、耐火性材料が割れるまたは壊れる場合に、メッシュ本体は、片を所定位置に保持して接合の封止を維持する。メッシュ本体は、好ましくは、表面張力(金属メニスカスまたは濡れ角)に起因した溶融金属による貫通に耐える寸法(例えば、1mm〜5mm、より好ましくは2mm〜3mm)のメッシュ開口、およびいかなる溶融金属もメッシュ本体の表面を貫通しないために曲がりくねったまたは渦巻状の経路を形成する層の厚さまたは数をも有しており、従って、メッシュ本体内への完全な貫通の可能性を少なくしている。溶融金属により容易には濡れない(すなわち、メッシュ本体が完全には濡れ得ない)メッシュ本体のための金属を用いることもまた好都合である。完全に濡れない金属が望ましいけれども、それらは、例えば、溶融金属による攻撃に対する耐性等の他の所望の特性を有さないかもしれない。
【0007】
好ましくは、拡大された溝が、少なくとも1つの容器部分の金属接触表面に形成されまたは該金属接触表面付近に形成されて、隣接した部分間の隙間の部分を形成している。このような溝は、メッシュ本体にとって好ましい位置を提供しており、およびこのような溝無しでは、メッシュ本体のための空間をもたらすのに、部分間の隙間を充分大きくする必要がある。メッシュ本体を、耐火性ペーストを含浸させて用いるにしろ含浸させずに用いるにしろ、溝の側面がメッシュ本体の直径または幅よりも互いに接近するように溝を形成してよい。溝は、好ましくは、メッシュ本体の幅よりも15%以下広い、またはメッシュ本体の幅よりも50%以下狭い範囲の幅を有してよいけれども、溝の幅は、好都合的に、溝内へのその挿入前の通常の(圧縮されていない)メッシュ本体の幅よりも0%〜15%狭い(または、別の方法で表現すると、メッシュ本体の圧縮されていない幅は、好ましくは、溝の幅よりも0%〜15%広い等)。典型的には、容器部分を鋳造する(または流し込む、cast)際に容器部分に溝を組み込み、もしくは例えば、容器の取り付けまたは修理の際等に、既に形成されているトラフ部分の末端領域に溝を削りまたは切り込んでよい。溝を、長方形(正方形を含む)、部分的な円形または任意の他の所望の形状にしてよい。隙間内で覆われている金属接触表面に、または該金属接触表面の真下に溝を配置してよい。後者の場合では、隙間を除いて、全ての側面においてメッシュ本体を溝内で実質的に完全に包囲しており、および成形可能な耐火性ペーストは、メッシュ本体の上の隙間を封止するように用いるが、実際には、メッシュ本体に接触するかもしれないし接触しないかもしれない。更に、溝を、1つの容器部分にその全体を配置してよく、または代替的に、隣接している対の両部分に溝の部分を形成してよく、容器を組立てる際に部分が並んで溝を形成する。
【0008】
1つの実施形態において、隣接した耐火性部分間の隙間にメッシュ本体を導入する前に、ペーストの形態をした或る量の成形可能な耐火性材料をメッシュ本体に挿入する。
【0009】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、容器部分の隣接した末端間に封止接合を有する端−端配置の2つ以上の耐火性容器部分により形成されている溶融金属収容容器が提供される。封止接合は、隣接した容器部分間の隙間内に導入されており金属ワイヤから作られているメッシュ本体と、隙間内のメッシュ本体を覆って、耐火性部分間の溶融金属の貫通に対して隙間を封止している成形可能な耐火性材料層とを含む。メッシュ本体それ自体は、或る量の耐火性ペーストを含んでよい。
【0010】
更なる別の例示的な実施形態によれば、溶融金属収容容器のための容器部分が提供され、該容器部分は、そこに形成されている金属搬送路を有する耐火性材料の本体であって、該本体の1つの末端に横断溝を有する本体を含み、該溝は、溝内に予め配置されている金属メッシュロープを有しており成形可能な耐火性材料の覆っているコーティングのために溝内に室を残している。
【0011】
好ましくは、容器を、そこに流路を有する細長い金属接触トラフ、溶融金属フィルターのためのコンテナ、溶融金属脱ガス器のためのコンテナ、またはルツボ等として用いるための形状および寸法にしている
【0012】
容器は、通常、溶融アルミニウムおよびアルミニウム合金を収容することが意図されるが、他の溶融金属、とりわけ、アルミニウムと同様の融点を有する金属、例えば、マグネシウム、鉛、錫と亜鉛(アルミニウムよりも低い融点を有する)および銅と金(アルミニウムよりも高い融点を有する)を収容するのに用いることができる。好ましくは、収容または搬送することを意図した特定の溶融金属を用いるために、金属ウェブのワイヤに選択される金属は、特定の溶融金属と反応しない必要があり、もしくは溶融金属との限られた接触がメッシュの過度の侵食、分解または吸収を生じないように、少なくとも充分に反応しない必要がある。チタンは、溶融アルミニウムおよびアルミニウム合金を用いるのに良い選択であるが、高コストという欠点を有する。あまり高価でない代替手段は、限定されるものではないが、Ni−Cr合金(例えば、インコネル(商標登録))およびステンレス鋼を含む。
【0013】
容器がトラフである場合、トラフは、頂表面からトラフまたはトラフ部分の本体内に延在している開口金属搬送流路を有してよい。代替的に、流路は、例えば、トラフの本体内を1つの末端から他の末端まで通過するチューブ状の孔の形態等の本体によりその全体が包囲されてよい。
【0014】
隣接した容器部分の金属接触表面の間のみに、例示的な実施形態の封止接合を形成してよいけれども、代替的に、隣接したトラフ部分の全ての部分間に、接合を形成してもよい。
【0015】
例示的な実施形態の封止接合を、加熱されるまたは加熱されない容器部分(例えば、トラフ部分)間に形成してよい。加熱されるトラフ部分をこのようにして接合する場合、それらは、2005年12月13日に発行されたTingeyらによる米国特許第6,973,955号公報、またはHymasらによる米国特許第2008/0163999号公報において2008年7月10日に公開された米国特許係属出願第12/002,989号に係る加熱されるトラフ構造体の一部を形成してよい(この特許および特許出願の開示は、この参照によって本明細書に特に組み込まれる)。Tingeyらによる特許は、下からおよび側面からの電気加熱を提供しており、およびHymasらによる特許出願は、燃焼ガスの循環による加熱を提供している。まだ更に代替的な実施形態において、加熱手段を、耐火性容器それ自体の内側または上に配置してよい。
【0016】
金属収容容器のことを言うのに本明細書で用いる「耐火性材料(refractory material)」という用語は、溶融金属による攻撃に比較的に耐久性があって通常の使用の間に容器に想定される高温(例えば、溶融金属の温度)においてそれらの強度を維持できる全ての材料を含むことが意図される。このような材料は、限定されるものではないが、セラミック材料(無機非金属固体および耐熱ガラス)および非金属を含む。適切な材料は、限定されるものではないが、例えば、以下を含む:アルミニウム酸化物(アルミナ)、シリコン(シリカ、とりわけ溶融シリカ)、マグネシウム(マグネシア)、カルシウム(石灰)、ジルコニウム(ジルコニア)、ホウ素(ホウ素酸化物);例えば、シリコン炭化物、窒化物結合シリコン炭化物(SiC/Si3N4)、ホウ素炭化物、ホウ素窒化物のような金属の炭化物、ホウ化物、窒化物、珪化物;例えば、カルシウムアルミニウムケイ酸塩のようなアルミノケイ酸塩;複合材料(例えば、酸化物と非酸化物の複合);機械加工可能なガラスを含むガラス;繊維状の鉱物ウールまたはその混合物;カーボンまたはグラファイト;および同様のもの。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、封止接合を形成するのに適した1つの末端に溝を有する耐火性トラフ部分の斜視図である。
【図2】図2は、そこに形成されている溝を有する末端を示す、図1のトラフ部分の末端図である。
【図3】図3は、その間に形成されている封止接合を有しており図1および2に示される種類の2つのトラフ部分の隣接している末端の上面図である。
【図4】図4は、接合の内部構造を示す線IV−IVで切り取られた図3の封止接合の横断面である。
【図5】図5は、隣接したトラフ部分間に形成されている封止接合の1つの種類の長手方向断面である。
【図6】図6は、隣接したトラフ部分間に形成されている接合の代替的な種類を示す、図5に類似した長手方向断面である。
【図7】図7は、隣接したトラフ部分間に形成されている接合の更なる代替的な種類を示す、図5に類似した長手方向断面である。
【図8】図8は、例示的な実施形態に用いるのに適している織物メッシュ層の拡大図である。
【図9】図9は、チューブ状織物層を示す、図8の織物層の上面図である。
【図10】図10は、図8および9のチューブ状織物片から形成されており巻かれた束の末端図である。
【図11】図11は、束を一体に維持して可撓性のあるロープを形成するのに、どのようにして束をチューブ状織物スリーブで覆っているのかを示す、図10の束の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付図面の図1および2は、細長い金属搬送トラフ10(図3を参照されたい)の形態をした溶融金属収容容器の1つの部分10Aを示す。トラフ10は、任意の所望の長さのトラフを形成するように2以上のこのような部分の端−端配置によって形成されている。これらの図に示されてないけれども、部分は、通常、溶融金属収容または分配構造体の開口した頂の金属ケーシング内で保持されており、部分は、相対的な移動に対してケーシングによって保持されており損傷から保護されている。部分10Aは、内部流路表面12により形成されているU字流路11を有する。使用中、流路11は、溶融金属がトラフを通過して搬送される際に、溶融金属により最大レベル14(図2)まで部分的に充填される。従って、レベル14より下の表面12の部分12Aは、装置の使用中に溶融金属と接触して、溶融金属接触表面を形成する。トラフ部分は、溶融金属による熱と攻撃との両方に耐性を有する耐火性材料の固体鋳造ブロックである本体15により形成されている。例えば、本体は、上述された例示的な耐火性材料のいずれか1つから作られてよい(それらを適切な容器部分に成形および形成できる場合に)。アルミナ、シリコン炭化物、窒化物結合シリコン炭化物(nitride-bonded silicon carbide、NBCS)、溶融シリカ、およびこれらの材料の組み合わせがとりわけ好ましい。内表面12からトラフ部分の本体15まで延在しておりトラフ部分の一方の側面から他方の側面まで完全に連続している長方形断面の拡大された溝17が、トラフ部分の1つの長手方向末端16に設けられてよい。2つのこのようなトラフ部分を長手方向に整列して配置する場合に、溝が付いていない末端に隣接して1つの溝付き末端を備えて、溝17を、内表面12を除く全ての側面において閉じ込める。代替手段として、完全な幅の溝17が、溝付き末端を一体にして配置する場合にこのようなトラフ部分間に形成されるように、トラフ部分10のそれぞれの側面に半分の幅の溝を設けてよい。この後者の代替手段は、トラフ部分間の隙間の残部(すなわち、溝17の下の部分)が、溝の中心線のすぐ下に(その1つの側面においてではなく)配置され、および従って、以下で明らかになる理由のために漏出に対して更に保護されるという利点を有する。
【0019】
図3および4は、2つのトラフ部分10Aおよび10Bの接合部分を示す。1つの好ましい例示的な実施形態によれば、これらの部分を端−端配置しており、および封止接合24を設けている。図3は、頂からの上面図であり、および図4は、図3の線IV−IVに沿った断面である。長方形溝17は、可撓性があり圧縮可能なロープ20の形態をした金属メッシュ本体と成形可能な耐火性ペースト21の組合せによって、充填および封止されている。平滑な表面22は、好ましくは、少なくとも、使用中に溶融金属に接触しているトラフ部分の表面部分12Aの領域において、溝17の外面におけるペースト21から形成されている。このことは、封止接合24に亘って金属の緩やかな層流を確実にし、従って浸食を軽減する。
【0020】
接合を製造できる異なる方法の例は、図5、6および7に図示される。図5に示すように、まず、金属メッシュロープ20を、例えば、尖っていないのみ(blunt chisel)または細いタンピング装置(図示せず)のような手工具を用いて、溝17内に挿入して溝の底に押し込む。次いで、金属メッシュロープ20を、溝内に押し込まれた成形可能な耐火性材料21の層により覆って、こて(図示せず)のような手工具を用いて表面22を平滑にする。金属メッシュロープは、好ましくは、表面22において露出されるべきではなく、および好ましくは、1.9cm(3/4インチ)以下の厚さを有する耐火性ペースト層により覆われている。次いで、溶融金属を搬送するのにトラフ部分を用いる前に(矢印25により表されるように)、成形可能な耐火性材料21を、乾燥、凝固および可能な限り硬化する。トラフ部分10Aおよび10Bは、電気加熱要素26の上において外側の金属ケーシング(図示せず)内で支持されている(代替的にまたは加えて、トラフ部分の側面に沿って同じ種類の加熱要素を設けてよいけれども)。溶融金属が、隣接したトラフ部分10Aと10Bの間における溝17を貫通できずおよび隙間27を下って貫通できないように、金属メッシュロープ20は、成形可能な耐火性材料21と同じように、溝17に沿って完全に水平に延在している。従って、加熱要素26は、トラフ内部からの溶融金属との接触から保護されており、および従って、金属による損傷および劣化から保護されている。成形可能な耐火性材料21は、それが乾燥および固化するので金属メッシュロープ20に付着しており、金属メッシュは、成形可能な耐火性材料32に耐久性のある支持および強化をもたらす。このことは、成形可能な耐火性材料それ自体により単独で溝を充填する必要がある場合よりも柔らかくおよび可撓性のある耐火性材料の使用を可能にしている。金属メッシュは、また、封止接合24が熱サイクルにより膨張および収縮するのを可能にしおよび成形可能な耐火性材料21が同じように膨張および収縮するのも可能にしており、従って、亀裂の可能性を最小限にしている。しかしながら、成形可能な耐火性材料21に亀裂が発生するまたは割れ目が生じる場合に、トラフ部分からの溶融金属は、溝17をほとんど貫通しない。なぜなら、ロープ20の金属メッシュ本体が、このような貫通に耐えるためである(とりわけ、溶融金属のメニスカスがメッシュ開口を埋めて金属の貫通に耐えるように、金属メッシュのメッシュ寸法が比較的小さく、例えば、1mm〜5mmおよびより好ましくは2mm〜3mmであり、またはより小さい場合)。本体を通過する曲がりくねったまたは渦巻状の経路を、溶融金属が取る必要があるように本体を2以上の層から作る場合にも貫通は妨げられる(それが、ロープ20を完全に貫通することである場合)。
【0021】
図6の実施形態において、金属メッシュロープ20を、まず、ロープの上で用いる成形可能な耐火性材料21と同じであってよいまたは異なってよい成形可能な耐火性ペースト材料28により含浸する。例えば、織物メッシュ材料の平坦なストリップを準備し、成形可能な耐火性ペースト28をメッシュ開口に挿入し、および次いで、ロープ20を形成するように平坦なストリップを筒状に巻くことによって、ペーストの金属メッシュロープへの含浸を行うことができる。次いで、耐火性含浸ロープを、図5のロープと同じように用いて、封止接合24を形成する。図6の実施形態のロープ内に含浸されている耐火性ペーストは、より耐火性のある材料を接合部に導入しており、ならびに成形可能な耐火性材料21を備えたロープと溝17の側面および底とのより良い付着を可能にしている。図5および6の両実施形態において、ロープ20を挿入してロープ20の下に耐火性材料層を備える前に、或る量の成形可能な耐火性材料を、必要に応じて溝17に挿入してよい。このような配置は、図5および6に示されないが、図4に図示される。
【0022】
更なる例示的な実施形態は、図7に示される。この実施形態において、溝17は、トラフ部分10Aおよび10Bの末端面にそれぞれ形成されている2つの半円筒状凹部17Aおよび17Bにより形成されている。トラフ10が部分10Aおよび10Bから組み立てられる場合に、ロープ20を溝17内に挿入し、およびロープ20を、トラフ部分間の隙間27(好ましくは、可能な限り小さく維持される)を除いて、トラフ部分の本体内でほとんど完全に包囲する。従って、溝の上の隙間を、成形可能な耐火性材料21により充填する。好ましくは、耐火性材料を、少なくともその頂において溝17に入りおよび金属メッシュロープ20と接触するように隙間内に深く浸透させる。しかしながら、耐火性材料は、単に、溝17の上の隙間を充填してよく、従って、金属の貫通に対してトラフを封止できる。溝17をトラフ部分の金属接触表面の下に配置することによって、耐火性ペーストによって充填する必要がある隙間を最小限にし、ならびに亀裂が発生してこの材料内に伝搬する可能性が低下する。溝17内を貫通するどのような溶融金属も、それが隙間27のより低い部分に到達する前に、ロープ20内を通過する必要があり、および上述したように、ロープの特徴が、このような貫通を困難および起こりにくくさせている。
【0023】
金属メッシュロープ20は、任意の種類の金属メッシュ片または本体であってよいが、好ましくは、添付図面の図8〜11に示されるような種類である。細く可撓性のある金属ワイヤ30は、直角に配置されている簡素な縦糸および横糸を用いて糸目の粗い織布を形成するように織られてよいが、好ましくは、図8に示すように、織物片32を形成するように開環状ループ31を有して織られる。織物片は、任意の適切な寸法により作られてよいが、好ましくは、チューブの開口末端間の任意の適切な軸方向の長さの図9に示すようなチューブ33の形態をして織られる。従って、織物チューブは、図9の矢印に表すように平坦にしてよく、および次いで、平坦にされているチューブの1つの開口末端から出発しており、および織物片は、図10に示すように、チューブ状の束34を形成するように巻かれてよい(チューブ状の束の巻きは、概して図示されるよりもずっときついけれども)。更により大きいバルクが必要である場合に、2つ以上の平坦にされている織物チューブを、一体に巻いて束を形成してよい。図11に示すように、好ましくは、チューブ状の束34をチューブ状織物金属スリーブ35により覆って束を一体に保持し、および例えば、図5に示すような上記の実施形態に示される様式で用いられるロープ20を形成している。この種のロープは、好ましくは、5mm〜1.9cm(3/16インチ〜3/4インチ)の厚さ(直径)を有する。織物チューブ状スリーブ35は、好ましくは、チューブ状の束34を形成する層のメッシュ開口と同じまたは小さいメッシュ開口を有する。チューブ状スリーブ35は、束34が広がることを防ぐが、束の可撓性を維持している。図6に示す種類のロープ20、すなわち成形可能な耐火性ペーストによって含浸したロープが必要である場合、図10の束34を広げてよく、および成形可能な耐火性ペーストをメッシュに挿入する。従って、束を、再び巻いてこの形態で用いてよく、またはたとえ外側のスリーブ35を再適用してよい(含まれている成形可能な耐火性ペーストから得られたより大きな寸法が、このような再利用を可能にした場合)。この種の織物金属製品は、例えば、Davlyn corporation(Spring City, PA 19475,アメリカ合衆国)から得られてよい。Davlynから得られるとりわけ好ましい製品は、図8〜11に示されるそれに類似した構成を有する1cm(3/8インチ)の可撓性のあるメッシュケーブルである。ワイヤは、Ni−Cr系合金であるインコネル(登録商標)から作られている。この合金は、とりわけ、高温に耐性があり、および高温(例えば、約900℃以下)に到達するように構成されており外部から加熱されるトラフ部分の接合を封止するのにとりわけ適している。熱源が溶融金属それ自体のみである加熱されないトラフに更に適しておりステンレス鋼から作られている製品の型もある。
【0024】
例示的な実施形態に用いる成形可能な耐火性ペースト21は、溶融金属による攻撃および摩滅に耐性がありならびに硬化する耐火性材料から作られている任意の種類のペーストであってよい。ペーストは、例えば、Rex Materials Group(P.O.Box 980, 5600 E. Grand River Ave., Fowlerville, Ml 48836, アメリカ合衆国)により販売されているPyroform EZ Fill(登録商標)のようなアルミナ/シリカペースト、またはUnifrax LLC, Corporate Headquarters(2351 Whirlpool Street, Niagara Falls, ニューヨーク アメリカ合衆国)により販売されているFiberfrax LDS Pumpable(登録商標)のようなアルミノケイ酸塩繊維を含むペースト等の耐火性修理品に一般的に用いる市販製品であってよい。このような材料は、製造者の指示に従って用いるべきであり、および概して、外部に追加される熱源(ガスバーナーのような)により、または使用中にトラフそれ自体によって与えられる熱を用いることにより硬化する。EZ Fill製品は、固体および比較的壊れやすい最終物質を形成するように硬化するが、金属メッシュ本体は、物質が接合を全体に通過する連続的な亀裂を形成するのを防ぐ。LDS Pumpable材料は、より繊維状および可撓性のある物質を形成するように硬化し、および金属メッシュ本体は、それが溶融金属による侵食に耐えるのに充分な硬さを保持するのに役立つ。物質の柔らかさは、それがトラフのいくらかの熱膨張および収縮に適応するのを可能にしている。上述した材料は好ましいが、上記に例示された任意の耐火性材料のペーストは、成形可能なペースト形態で得られる場合に用いてよい。
【0025】
封止接合が、例示的な実施形態の方法に従って形成されている場合、成形された耐火性材料の上層を通って破壊して次いで金属メッシュロープの充填を除去することによって、接合を容易に除去することができる。このことは、保守または修理が必要な場合に作業可能なトラフからトラフ部分(中央部分でさえ)を除去することを可能にしている。次いで、トラフ部分をトラフに再び戻しまたは置換してよく、接合を示す様式で再形成する。
【0026】
例えば、成形可能な耐火性ペーストの薄い下層を用いることによって、末端の溝に取り付けられおよび所定位置に保持されている金属メッシュロープを備えたトラフ部分を予め製造することも可能である。このようなトラフ部分を用いる場合に、それを、単に他のトラフ部分と端−端配置してよく、次いで、成形可能な耐火性ペーストによってそれらを充填して接合表面を平滑にすることにより接合を完成する。
【0027】
上述した実施形態では、トラフ10は、1つの場所(例えば、金属溶融炉)から他の場所(例えば、鋳型または鋳造テーブル)に溶融金属を搬送するのに適している溶融金属分配システムに用いる種類の細長い溶融金属トラフであってよい。しかしながら、他の例示的な実施形態によれば、例えば、溶融金属流れが(例えば、金属溶融炉から鋳造テーブルに)通過する時に粒子を溶融金属流れから除去するのに用いるインラインセラミックフィルター(例えば、発泡セラミックフィルター)として、他の種類の金属収容および分配容器を用いてよい。このような場合、容器は、流路内に配置されているフィルターを有する溶融金属搬送用流路を含む。このような容器および溶融金属収容システムの例は、1997年10月7日に発行されたAubreyらによる米国特許第5,673,902号公報、および2006年10月26日に公開された国際公開WO2006/110974A1号公報に開示されている。上述された米国特許および国際公開公報の開示は、この参照によって本明細書に特に組み込まれる。
【0028】
他の例示的な実施形態では、容器は、例えば、1995年8月10日に公開された国際公開WO95/21273号公報に開示されているように、いわゆる「Alcan compact metal degasser」のような、溶融金属をその内部で脱ガスする容器(container)として機能する(この開示は、参照によって本明細書に組み込まれる)。脱ガス操作は、溶融金属流れが炉から鋳造テーブルに移動する時に水素および他の不純物を溶融金属流れから除去する。このような容器は、溶融金属の収容のための内容積部を含んでおり、回転可能な脱ガス羽根車は、上から内容積部内に突出している。容器は、バッチ処理に用いてよく、または金属搬送容器に取り付けている金属分配システムの一部であってよい。概して、容器は、金属ケーシング内に配置されている任意の耐火性金属収容容器であってよい。容器は、また、1つの場所から他への輸送のための、大量の溶融金属を収容するための耐火性セラミックルツボとして構成してもよい。全てのこのような代替的な容器は、それらが端−端接合されている2つ以上の部分から作られる場合に、本発明の例示的な実施形態により用いてよい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融金属を搬送、処理または保持するのに用いる溶融金属収容構造体に関し、とりわけ、2つ以上の片または部分から作られている、もしくは2つ以上の片または部分を含む耐火性またはセラミック溶融金属収容容器を組み込んでいるこのような構造体に関する。更にとりわけ、本発明は、接合において容器から溶融金属の漏出を防ぐように、このような片または部分間に封止接合を提供する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、金属搬送トラフおよびラウンダー等の溶融金属収容容器は、しばしば、金属処理または鋳造作業等中に、例えば、溶融金属を1つの場所(例えば、金属溶融炉)から別の場所(例えば、鋳型または鋳造テーブル)に搬送するのに用いられている。他の作業において、このような容器は、例えば、金属フィルタリング、金属脱ガスまたは金属輸送のような金属処理に用いられている。しばしば、そこに収容されることが意図される溶融金属による高温および劣化に耐性がある耐火性および/またはセラミック材料から作られている2以上の形状部分から、この種の容器が構成されている。容器部分は、密接に相互接触しており、ならびに支持、適切なアラインメントおよび損傷に対する保護のために設けられている外側の金属ケーシング等内において保持されてよい。溶融金属が容器内で保持されている時に溶融金属が過度に冷却または凝固しないことを確実にするように、このような容器に、熱源が設けられることがある。熱源は、容器の内表面または外表面に沿って高温流体(例えば、燃焼ガス)を搬送するのに容器または包囲体の上または下に配置されている電気加熱要素であってよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
容器が加熱されようがされまいが、溶融金属が、2つの接触部分間の界面において容器から漏出しないことを確実にすることは、当然に重要である。しかしながら、容器のための熱源が設けられている場合に、溶融金属が、電気加熱要素または他の加熱手段に対する壊滅的な損傷を生じさせる可能性があるので、金属の漏出を回避することはとりわけ重要である。従って、例えば、熱膨張または収縮に適応するように、隣接した部分間に耐火性紙の層を準備することによって、隣接した容器部分間に封止接合をもたらすことは普通である。隣接した部分の接触した表面間の隙間に、耐火性シーリング材を押し込んでもよい。隣接した部分に亘る表面溝を有する部分を提供し、接合部を充填するように成形可能な耐火性シーリング材により覆われている耐火性ロープによって溝を充填しおよび容器部分間に平坦な相互接続表面を形成することも知られている。しかしながら、いかなるこのような接合も、とりわけ加熱される容器に用いると、熱サイクルに起因して時間および使用とともに劣化し、ならびに接合は、最終的に、容器部分間に直接の漏出経路を出現させる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、金属保持および金属収容容器のための封止接合(封止接合品)を提供する更なる方法への要求がある。
【0005】
本発明の例示的な実施形態は、溶融金属を収容または搬送するのに用いる容器の耐火性部分の間に強化された耐火性接合(耐火性接合品)を製造する方法を提供する。当該方法は、メッシュ本体を金属接触表面の下に配置するように、金属ワイヤ(好ましくは、容器に含まれる溶融金属による攻撃に耐性がある金属)から作られたメッシュ本体を、容器の隣接した耐火性部分の金属接触表面間の隙間に導入すること、およびメッシュ本体を成形可能な耐火性材料層(好ましくは、可鍛性ペーストの形態をして)により覆って金属接触表面間の隙間を封止することを含む。
【0006】
メッシュ本体は、成形可能な耐火性材料のために可撓性があり圧縮可能な支持体を形成している。更に、耐火性材料が割れるまたは壊れる場合に、メッシュ本体は、片を所定位置に保持して接合の封止を維持する。メッシュ本体は、好ましくは、表面張力(金属メニスカスまたは濡れ角)に起因した溶融金属による貫通に耐える寸法(例えば、1mm〜5mm、より好ましくは2mm〜3mm)のメッシュ開口、およびいかなる溶融金属もメッシュ本体の表面を貫通しないために曲がりくねったまたは渦巻状の経路を形成する層の厚さまたは数をも有しており、従って、メッシュ本体内への完全な貫通の可能性を少なくしている。溶融金属により容易には濡れない(すなわち、メッシュ本体が完全には濡れ得ない)メッシュ本体のための金属を用いることもまた好都合である。完全に濡れない金属が望ましいけれども、それらは、例えば、溶融金属による攻撃に対する耐性等の他の所望の特性を有さないかもしれない。
【0007】
好ましくは、拡大された溝が、少なくとも1つの容器部分の金属接触表面に形成されまたは該金属接触表面付近に形成されて、隣接した部分間の隙間の部分を形成している。このような溝は、メッシュ本体にとって好ましい位置を提供しており、およびこのような溝無しでは、メッシュ本体のための空間をもたらすのに、部分間の隙間を充分大きくする必要がある。メッシュ本体を、耐火性ペーストを含浸させて用いるにしろ含浸させずに用いるにしろ、溝の側面がメッシュ本体の直径または幅よりも互いに接近するように溝を形成してよい。溝は、好ましくは、メッシュ本体の幅よりも15%以下広い、またはメッシュ本体の幅よりも50%以下狭い範囲の幅を有してよいけれども、溝の幅は、好都合的に、溝内へのその挿入前の通常の(圧縮されていない)メッシュ本体の幅よりも0%〜15%狭い(または、別の方法で表現すると、メッシュ本体の圧縮されていない幅は、好ましくは、溝の幅よりも0%〜15%広い等)。典型的には、容器部分を鋳造する(または流し込む、cast)際に容器部分に溝を組み込み、もしくは例えば、容器の取り付けまたは修理の際等に、既に形成されているトラフ部分の末端領域に溝を削りまたは切り込んでよい。溝を、長方形(正方形を含む)、部分的な円形または任意の他の所望の形状にしてよい。隙間内で覆われている金属接触表面に、または該金属接触表面の真下に溝を配置してよい。後者の場合では、隙間を除いて、全ての側面においてメッシュ本体を溝内で実質的に完全に包囲しており、および成形可能な耐火性ペーストは、メッシュ本体の上の隙間を封止するように用いるが、実際には、メッシュ本体に接触するかもしれないし接触しないかもしれない。更に、溝を、1つの容器部分にその全体を配置してよく、または代替的に、隣接している対の両部分に溝の部分を形成してよく、容器を組立てる際に部分が並んで溝を形成する。
【0008】
1つの実施形態において、隣接した耐火性部分間の隙間にメッシュ本体を導入する前に、ペーストの形態をした或る量の成形可能な耐火性材料をメッシュ本体に挿入する。
【0009】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、容器部分の隣接した末端間に封止接合を有する端−端配置の2つ以上の耐火性容器部分により形成されている溶融金属収容容器が提供される。封止接合は、隣接した容器部分間の隙間内に導入されており金属ワイヤから作られているメッシュ本体と、隙間内のメッシュ本体を覆って、耐火性部分間の溶融金属の貫通に対して隙間を封止している成形可能な耐火性材料層とを含む。メッシュ本体それ自体は、或る量の耐火性ペーストを含んでよい。
【0010】
更なる別の例示的な実施形態によれば、溶融金属収容容器のための容器部分が提供され、該容器部分は、そこに形成されている金属搬送路を有する耐火性材料の本体であって、該本体の1つの末端に横断溝を有する本体を含み、該溝は、溝内に予め配置されている金属メッシュロープを有しており成形可能な耐火性材料の覆っているコーティングのために溝内に室を残している。
【0011】
好ましくは、容器を、そこに流路を有する細長い金属接触トラフ、溶融金属フィルターのためのコンテナ、溶融金属脱ガス器のためのコンテナ、またはルツボ等として用いるための形状および寸法にしている
【0012】
容器は、通常、溶融アルミニウムおよびアルミニウム合金を収容することが意図されるが、他の溶融金属、とりわけ、アルミニウムと同様の融点を有する金属、例えば、マグネシウム、鉛、錫と亜鉛(アルミニウムよりも低い融点を有する)および銅と金(アルミニウムよりも高い融点を有する)を収容するのに用いることができる。好ましくは、収容または搬送することを意図した特定の溶融金属を用いるために、金属ウェブのワイヤに選択される金属は、特定の溶融金属と反応しない必要があり、もしくは溶融金属との限られた接触がメッシュの過度の侵食、分解または吸収を生じないように、少なくとも充分に反応しない必要がある。チタンは、溶融アルミニウムおよびアルミニウム合金を用いるのに良い選択であるが、高コストという欠点を有する。あまり高価でない代替手段は、限定されるものではないが、Ni−Cr合金(例えば、インコネル(商標登録))およびステンレス鋼を含む。
【0013】
容器がトラフである場合、トラフは、頂表面からトラフまたはトラフ部分の本体内に延在している開口金属搬送流路を有してよい。代替的に、流路は、例えば、トラフの本体内を1つの末端から他の末端まで通過するチューブ状の孔の形態等の本体によりその全体が包囲されてよい。
【0014】
隣接した容器部分の金属接触表面の間のみに、例示的な実施形態の封止接合を形成してよいけれども、代替的に、隣接したトラフ部分の全ての部分間に、接合を形成してもよい。
【0015】
例示的な実施形態の封止接合を、加熱されるまたは加熱されない容器部分(例えば、トラフ部分)間に形成してよい。加熱されるトラフ部分をこのようにして接合する場合、それらは、2005年12月13日に発行されたTingeyらによる米国特許第6,973,955号公報、またはHymasらによる米国特許第2008/0163999号公報において2008年7月10日に公開された米国特許係属出願第12/002,989号に係る加熱されるトラフ構造体の一部を形成してよい(この特許および特許出願の開示は、この参照によって本明細書に特に組み込まれる)。Tingeyらによる特許は、下からおよび側面からの電気加熱を提供しており、およびHymasらによる特許出願は、燃焼ガスの循環による加熱を提供している。まだ更に代替的な実施形態において、加熱手段を、耐火性容器それ自体の内側または上に配置してよい。
【0016】
金属収容容器のことを言うのに本明細書で用いる「耐火性材料(refractory material)」という用語は、溶融金属による攻撃に比較的に耐久性があって通常の使用の間に容器に想定される高温(例えば、溶融金属の温度)においてそれらの強度を維持できる全ての材料を含むことが意図される。このような材料は、限定されるものではないが、セラミック材料(無機非金属固体および耐熱ガラス)および非金属を含む。適切な材料は、限定されるものではないが、例えば、以下を含む:アルミニウム酸化物(アルミナ)、シリコン(シリカ、とりわけ溶融シリカ)、マグネシウム(マグネシア)、カルシウム(石灰)、ジルコニウム(ジルコニア)、ホウ素(ホウ素酸化物);例えば、シリコン炭化物、窒化物結合シリコン炭化物(SiC/Si3N4)、ホウ素炭化物、ホウ素窒化物のような金属の炭化物、ホウ化物、窒化物、珪化物;例えば、カルシウムアルミニウムケイ酸塩のようなアルミノケイ酸塩;複合材料(例えば、酸化物と非酸化物の複合);機械加工可能なガラスを含むガラス;繊維状の鉱物ウールまたはその混合物;カーボンまたはグラファイト;および同様のもの。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、封止接合を形成するのに適した1つの末端に溝を有する耐火性トラフ部分の斜視図である。
【図2】図2は、そこに形成されている溝を有する末端を示す、図1のトラフ部分の末端図である。
【図3】図3は、その間に形成されている封止接合を有しており図1および2に示される種類の2つのトラフ部分の隣接している末端の上面図である。
【図4】図4は、接合の内部構造を示す線IV−IVで切り取られた図3の封止接合の横断面である。
【図5】図5は、隣接したトラフ部分間に形成されている封止接合の1つの種類の長手方向断面である。
【図6】図6は、隣接したトラフ部分間に形成されている接合の代替的な種類を示す、図5に類似した長手方向断面である。
【図7】図7は、隣接したトラフ部分間に形成されている接合の更なる代替的な種類を示す、図5に類似した長手方向断面である。
【図8】図8は、例示的な実施形態に用いるのに適している織物メッシュ層の拡大図である。
【図9】図9は、チューブ状織物層を示す、図8の織物層の上面図である。
【図10】図10は、図8および9のチューブ状織物片から形成されており巻かれた束の末端図である。
【図11】図11は、束を一体に維持して可撓性のあるロープを形成するのに、どのようにして束をチューブ状織物スリーブで覆っているのかを示す、図10の束の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付図面の図1および2は、細長い金属搬送トラフ10(図3を参照されたい)の形態をした溶融金属収容容器の1つの部分10Aを示す。トラフ10は、任意の所望の長さのトラフを形成するように2以上のこのような部分の端−端配置によって形成されている。これらの図に示されてないけれども、部分は、通常、溶融金属収容または分配構造体の開口した頂の金属ケーシング内で保持されており、部分は、相対的な移動に対してケーシングによって保持されており損傷から保護されている。部分10Aは、内部流路表面12により形成されているU字流路11を有する。使用中、流路11は、溶融金属がトラフを通過して搬送される際に、溶融金属により最大レベル14(図2)まで部分的に充填される。従って、レベル14より下の表面12の部分12Aは、装置の使用中に溶融金属と接触して、溶融金属接触表面を形成する。トラフ部分は、溶融金属による熱と攻撃との両方に耐性を有する耐火性材料の固体鋳造ブロックである本体15により形成されている。例えば、本体は、上述された例示的な耐火性材料のいずれか1つから作られてよい(それらを適切な容器部分に成形および形成できる場合に)。アルミナ、シリコン炭化物、窒化物結合シリコン炭化物(nitride-bonded silicon carbide、NBCS)、溶融シリカ、およびこれらの材料の組み合わせがとりわけ好ましい。内表面12からトラフ部分の本体15まで延在しておりトラフ部分の一方の側面から他方の側面まで完全に連続している長方形断面の拡大された溝17が、トラフ部分の1つの長手方向末端16に設けられてよい。2つのこのようなトラフ部分を長手方向に整列して配置する場合に、溝が付いていない末端に隣接して1つの溝付き末端を備えて、溝17を、内表面12を除く全ての側面において閉じ込める。代替手段として、完全な幅の溝17が、溝付き末端を一体にして配置する場合にこのようなトラフ部分間に形成されるように、トラフ部分10のそれぞれの側面に半分の幅の溝を設けてよい。この後者の代替手段は、トラフ部分間の隙間の残部(すなわち、溝17の下の部分)が、溝の中心線のすぐ下に(その1つの側面においてではなく)配置され、および従って、以下で明らかになる理由のために漏出に対して更に保護されるという利点を有する。
【0019】
図3および4は、2つのトラフ部分10Aおよび10Bの接合部分を示す。1つの好ましい例示的な実施形態によれば、これらの部分を端−端配置しており、および封止接合24を設けている。図3は、頂からの上面図であり、および図4は、図3の線IV−IVに沿った断面である。長方形溝17は、可撓性があり圧縮可能なロープ20の形態をした金属メッシュ本体と成形可能な耐火性ペースト21の組合せによって、充填および封止されている。平滑な表面22は、好ましくは、少なくとも、使用中に溶融金属に接触しているトラフ部分の表面部分12Aの領域において、溝17の外面におけるペースト21から形成されている。このことは、封止接合24に亘って金属の緩やかな層流を確実にし、従って浸食を軽減する。
【0020】
接合を製造できる異なる方法の例は、図5、6および7に図示される。図5に示すように、まず、金属メッシュロープ20を、例えば、尖っていないのみ(blunt chisel)または細いタンピング装置(図示せず)のような手工具を用いて、溝17内に挿入して溝の底に押し込む。次いで、金属メッシュロープ20を、溝内に押し込まれた成形可能な耐火性材料21の層により覆って、こて(図示せず)のような手工具を用いて表面22を平滑にする。金属メッシュロープは、好ましくは、表面22において露出されるべきではなく、および好ましくは、1.9cm(3/4インチ)以下の厚さを有する耐火性ペースト層により覆われている。次いで、溶融金属を搬送するのにトラフ部分を用いる前に(矢印25により表されるように)、成形可能な耐火性材料21を、乾燥、凝固および可能な限り硬化する。トラフ部分10Aおよび10Bは、電気加熱要素26の上において外側の金属ケーシング(図示せず)内で支持されている(代替的にまたは加えて、トラフ部分の側面に沿って同じ種類の加熱要素を設けてよいけれども)。溶融金属が、隣接したトラフ部分10Aと10Bの間における溝17を貫通できずおよび隙間27を下って貫通できないように、金属メッシュロープ20は、成形可能な耐火性材料21と同じように、溝17に沿って完全に水平に延在している。従って、加熱要素26は、トラフ内部からの溶融金属との接触から保護されており、および従って、金属による損傷および劣化から保護されている。成形可能な耐火性材料21は、それが乾燥および固化するので金属メッシュロープ20に付着しており、金属メッシュは、成形可能な耐火性材料32に耐久性のある支持および強化をもたらす。このことは、成形可能な耐火性材料それ自体により単独で溝を充填する必要がある場合よりも柔らかくおよび可撓性のある耐火性材料の使用を可能にしている。金属メッシュは、また、封止接合24が熱サイクルにより膨張および収縮するのを可能にしおよび成形可能な耐火性材料21が同じように膨張および収縮するのも可能にしており、従って、亀裂の可能性を最小限にしている。しかしながら、成形可能な耐火性材料21に亀裂が発生するまたは割れ目が生じる場合に、トラフ部分からの溶融金属は、溝17をほとんど貫通しない。なぜなら、ロープ20の金属メッシュ本体が、このような貫通に耐えるためである(とりわけ、溶融金属のメニスカスがメッシュ開口を埋めて金属の貫通に耐えるように、金属メッシュのメッシュ寸法が比較的小さく、例えば、1mm〜5mmおよびより好ましくは2mm〜3mmであり、またはより小さい場合)。本体を通過する曲がりくねったまたは渦巻状の経路を、溶融金属が取る必要があるように本体を2以上の層から作る場合にも貫通は妨げられる(それが、ロープ20を完全に貫通することである場合)。
【0021】
図6の実施形態において、金属メッシュロープ20を、まず、ロープの上で用いる成形可能な耐火性材料21と同じであってよいまたは異なってよい成形可能な耐火性ペースト材料28により含浸する。例えば、織物メッシュ材料の平坦なストリップを準備し、成形可能な耐火性ペースト28をメッシュ開口に挿入し、および次いで、ロープ20を形成するように平坦なストリップを筒状に巻くことによって、ペーストの金属メッシュロープへの含浸を行うことができる。次いで、耐火性含浸ロープを、図5のロープと同じように用いて、封止接合24を形成する。図6の実施形態のロープ内に含浸されている耐火性ペーストは、より耐火性のある材料を接合部に導入しており、ならびに成形可能な耐火性材料21を備えたロープと溝17の側面および底とのより良い付着を可能にしている。図5および6の両実施形態において、ロープ20を挿入してロープ20の下に耐火性材料層を備える前に、或る量の成形可能な耐火性材料を、必要に応じて溝17に挿入してよい。このような配置は、図5および6に示されないが、図4に図示される。
【0022】
更なる例示的な実施形態は、図7に示される。この実施形態において、溝17は、トラフ部分10Aおよび10Bの末端面にそれぞれ形成されている2つの半円筒状凹部17Aおよび17Bにより形成されている。トラフ10が部分10Aおよび10Bから組み立てられる場合に、ロープ20を溝17内に挿入し、およびロープ20を、トラフ部分間の隙間27(好ましくは、可能な限り小さく維持される)を除いて、トラフ部分の本体内でほとんど完全に包囲する。従って、溝の上の隙間を、成形可能な耐火性材料21により充填する。好ましくは、耐火性材料を、少なくともその頂において溝17に入りおよび金属メッシュロープ20と接触するように隙間内に深く浸透させる。しかしながら、耐火性材料は、単に、溝17の上の隙間を充填してよく、従って、金属の貫通に対してトラフを封止できる。溝17をトラフ部分の金属接触表面の下に配置することによって、耐火性ペーストによって充填する必要がある隙間を最小限にし、ならびに亀裂が発生してこの材料内に伝搬する可能性が低下する。溝17内を貫通するどのような溶融金属も、それが隙間27のより低い部分に到達する前に、ロープ20内を通過する必要があり、および上述したように、ロープの特徴が、このような貫通を困難および起こりにくくさせている。
【0023】
金属メッシュロープ20は、任意の種類の金属メッシュ片または本体であってよいが、好ましくは、添付図面の図8〜11に示されるような種類である。細く可撓性のある金属ワイヤ30は、直角に配置されている簡素な縦糸および横糸を用いて糸目の粗い織布を形成するように織られてよいが、好ましくは、図8に示すように、織物片32を形成するように開環状ループ31を有して織られる。織物片は、任意の適切な寸法により作られてよいが、好ましくは、チューブの開口末端間の任意の適切な軸方向の長さの図9に示すようなチューブ33の形態をして織られる。従って、織物チューブは、図9の矢印に表すように平坦にしてよく、および次いで、平坦にされているチューブの1つの開口末端から出発しており、および織物片は、図10に示すように、チューブ状の束34を形成するように巻かれてよい(チューブ状の束の巻きは、概して図示されるよりもずっときついけれども)。更により大きいバルクが必要である場合に、2つ以上の平坦にされている織物チューブを、一体に巻いて束を形成してよい。図11に示すように、好ましくは、チューブ状の束34をチューブ状織物金属スリーブ35により覆って束を一体に保持し、および例えば、図5に示すような上記の実施形態に示される様式で用いられるロープ20を形成している。この種のロープは、好ましくは、5mm〜1.9cm(3/16インチ〜3/4インチ)の厚さ(直径)を有する。織物チューブ状スリーブ35は、好ましくは、チューブ状の束34を形成する層のメッシュ開口と同じまたは小さいメッシュ開口を有する。チューブ状スリーブ35は、束34が広がることを防ぐが、束の可撓性を維持している。図6に示す種類のロープ20、すなわち成形可能な耐火性ペーストによって含浸したロープが必要である場合、図10の束34を広げてよく、および成形可能な耐火性ペーストをメッシュに挿入する。従って、束を、再び巻いてこの形態で用いてよく、またはたとえ外側のスリーブ35を再適用してよい(含まれている成形可能な耐火性ペーストから得られたより大きな寸法が、このような再利用を可能にした場合)。この種の織物金属製品は、例えば、Davlyn corporation(Spring City, PA 19475,アメリカ合衆国)から得られてよい。Davlynから得られるとりわけ好ましい製品は、図8〜11に示されるそれに類似した構成を有する1cm(3/8インチ)の可撓性のあるメッシュケーブルである。ワイヤは、Ni−Cr系合金であるインコネル(登録商標)から作られている。この合金は、とりわけ、高温に耐性があり、および高温(例えば、約900℃以下)に到達するように構成されており外部から加熱されるトラフ部分の接合を封止するのにとりわけ適している。熱源が溶融金属それ自体のみである加熱されないトラフに更に適しておりステンレス鋼から作られている製品の型もある。
【0024】
例示的な実施形態に用いる成形可能な耐火性ペースト21は、溶融金属による攻撃および摩滅に耐性がありならびに硬化する耐火性材料から作られている任意の種類のペーストであってよい。ペーストは、例えば、Rex Materials Group(P.O.Box 980, 5600 E. Grand River Ave., Fowlerville, Ml 48836, アメリカ合衆国)により販売されているPyroform EZ Fill(登録商標)のようなアルミナ/シリカペースト、またはUnifrax LLC, Corporate Headquarters(2351 Whirlpool Street, Niagara Falls, ニューヨーク アメリカ合衆国)により販売されているFiberfrax LDS Pumpable(登録商標)のようなアルミノケイ酸塩繊維を含むペースト等の耐火性修理品に一般的に用いる市販製品であってよい。このような材料は、製造者の指示に従って用いるべきであり、および概して、外部に追加される熱源(ガスバーナーのような)により、または使用中にトラフそれ自体によって与えられる熱を用いることにより硬化する。EZ Fill製品は、固体および比較的壊れやすい最終物質を形成するように硬化するが、金属メッシュ本体は、物質が接合を全体に通過する連続的な亀裂を形成するのを防ぐ。LDS Pumpable材料は、より繊維状および可撓性のある物質を形成するように硬化し、および金属メッシュ本体は、それが溶融金属による侵食に耐えるのに充分な硬さを保持するのに役立つ。物質の柔らかさは、それがトラフのいくらかの熱膨張および収縮に適応するのを可能にしている。上述した材料は好ましいが、上記に例示された任意の耐火性材料のペーストは、成形可能なペースト形態で得られる場合に用いてよい。
【0025】
封止接合が、例示的な実施形態の方法に従って形成されている場合、成形された耐火性材料の上層を通って破壊して次いで金属メッシュロープの充填を除去することによって、接合を容易に除去することができる。このことは、保守または修理が必要な場合に作業可能なトラフからトラフ部分(中央部分でさえ)を除去することを可能にしている。次いで、トラフ部分をトラフに再び戻しまたは置換してよく、接合を示す様式で再形成する。
【0026】
例えば、成形可能な耐火性ペーストの薄い下層を用いることによって、末端の溝に取り付けられおよび所定位置に保持されている金属メッシュロープを備えたトラフ部分を予め製造することも可能である。このようなトラフ部分を用いる場合に、それを、単に他のトラフ部分と端−端配置してよく、次いで、成形可能な耐火性ペーストによってそれらを充填して接合表面を平滑にすることにより接合を完成する。
【0027】
上述した実施形態では、トラフ10は、1つの場所(例えば、金属溶融炉)から他の場所(例えば、鋳型または鋳造テーブル)に溶融金属を搬送するのに適している溶融金属分配システムに用いる種類の細長い溶融金属トラフであってよい。しかしながら、他の例示的な実施形態によれば、例えば、溶融金属流れが(例えば、金属溶融炉から鋳造テーブルに)通過する時に粒子を溶融金属流れから除去するのに用いるインラインセラミックフィルター(例えば、発泡セラミックフィルター)として、他の種類の金属収容および分配容器を用いてよい。このような場合、容器は、流路内に配置されているフィルターを有する溶融金属搬送用流路を含む。このような容器および溶融金属収容システムの例は、1997年10月7日に発行されたAubreyらによる米国特許第5,673,902号公報、および2006年10月26日に公開された国際公開WO2006/110974A1号公報に開示されている。上述された米国特許および国際公開公報の開示は、この参照によって本明細書に特に組み込まれる。
【0028】
他の例示的な実施形態では、容器は、例えば、1995年8月10日に公開された国際公開WO95/21273号公報に開示されているように、いわゆる「Alcan compact metal degasser」のような、溶融金属をその内部で脱ガスする容器(container)として機能する(この開示は、参照によって本明細書に組み込まれる)。脱ガス操作は、溶融金属流れが炉から鋳造テーブルに移動する時に水素および他の不純物を溶融金属流れから除去する。このような容器は、溶融金属の収容のための内容積部を含んでおり、回転可能な脱ガス羽根車は、上から内容積部内に突出している。容器は、バッチ処理に用いてよく、または金属搬送容器に取り付けている金属分配システムの一部であってよい。概して、容器は、金属ケーシング内に配置されている任意の耐火性金属収容容器であってよい。容器は、また、1つの場所から他への輸送のための、大量の溶融金属を収容するための耐火性セラミックルツボとして構成してもよい。全てのこのような代替的な容器は、それらが端−端接合されている2つ以上の部分から作られる場合に、本発明の例示的な実施形態により用いてよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属を収容するのに用いる容器の耐火性部分の間における強化された耐火性接合の製造方法であって、当該方法が:
金属ワイヤから作ったメッシュ本体を、金属収容容器の隣接した耐火性部分の金属接触表面間の隙間内に導入して、メッシュ本体を金属接触表面の下に配置し、および
メッシュ本体を成形可能な耐火性材料層により覆って、金属接触表面間の隙間を封止する、
ことを含む、強化された耐火性接合の製造方法。
【請求項2】
メッシュ本体を隣接した耐火性部分の間の隙間に導入する前に、成形可能な耐火性材料をメッシュ本体内に挿入する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
メッシュ本体を形成するのに用いる金属が、溶融金属による攻撃に耐性がある金属である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
メッシュ本体を形成するのに用いる金属が、Ni−Cr系合金、ステンレス鋼およびチタンから成る群から選択した金属である、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項5】
金属ワイヤを、メッシュ本体のための金属織布を形成するように一体に織る、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
金属織布が、溶融金属による貫通に耐えるのに充分小さい寸法を有するメッシュ開口を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
メッシュ開口が、1mm〜5mmの範囲の寸法を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
メッシュ開口が、2mm〜3mmの範囲の寸法を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
メッシュ本体が、互いに重なり合った複数の層を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
織物金属メッシュ層を、可撓性のある細長いロープを形成するように互いに巻く、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
細長い可撓性のあるロープを、金属ワイヤから作られている織物チューブ状スリーブにより覆う、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
織物チューブ状スリーブが、1以上の層のメッシュ開口と同じまたは小さい寸法のメッシュ開口を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
成形可能な耐火性材料を、シリカ/アルミナから作った材料とアルミノケイ酸塩繊維を含むペーストとから成る群から選択する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
拡大した溝を、隙間に隣接したトラフ部分の少なくとも一方に形成し、およびメッシュ本体と成形可能な耐火性材料を、拡大した溝内に導入する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
メッシュ本体を、溝の幅よりも広い圧縮されていない幅を有するように選択する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
容器を、そこに流路を有する細長い金属接触トラフ、溶融金属フィルターのためのコンテナ、溶融金属脱ガス器のためのコンテナ、およびルツボから成る群から選択する容器として用いるための形状および寸法にする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
容器部分の隣接した末端間に封止接合を有しており端−端配置の2以上の耐火性容器部分により形成されている、溶融金属を収容するための容器であって、封止接合が、
隣接した容器部分の間の隙間内に導入されており金属ワイヤから作られているメッシュ本体と、
隙間内のメッシュ本体を覆っており耐火性部分の間の溶融金属の貫通に対して隙間を封止している成形可能な耐火性材料層と、
を含む、溶融金属を収容するための容器。
【請求項18】
メッシュ本体が、耐火性ペーストを含む、請求項17に記載の容器。
【請求項19】
メッシュ本体を形成するのに用いる金属が、溶融アルミニウムによる攻撃に耐性がある、請求項17または18に記載の容器。
【請求項20】
メッシュ本体を形成するのに用いる金属が、Ni−Cr系合金、ステンレス鋼およびチタンから成る群から選択される、請求項17、18または19に記載の容器。
【請求項21】
金属ワイヤが、メッシュ本体のための金属織布を形成するように一体に織られている、請求項17〜20のいずれか1項に記載の容器。
【請求項22】
金属織布が、溶融金属による貫通に耐えるのに充分小さい寸法を有するメッシュ開口を有する、請求項21に記載の容器。
【請求項23】
メッシュ開口が、1mm〜5mmの範囲の寸法を有する、請求項22に記載の容器。
【請求項24】
メッシュ開口が、2mm〜3mmの範囲の寸法を有する、請求項22に記載の容器。
【請求項25】
メッシュ本体が、互いに重なり合った複数の層を有する、請求項17〜24のいずれか1項に記載の容器。
【請求項26】
織物金属メッシュ層が、細長いロープを形成するように互いに巻かれている、請求項25に記載の容器。
【請求項27】
細長いロープが、金属から作られている織物チューブ状スリーブにより覆われている、請求項26に記載の容器。
【請求項28】
織物チューブ状スリーブが、1以上の層のメッシュ開口と同じまたは小さい寸法のメッシュ開口を有する、請求項27に記載の容器。
【請求項29】
成形可能な耐火性材料が、シリカ/アルミナから作った材料とアルミノケイ酸塩繊維を含むペーストとから成る群から選択される、請求項17〜28のいずれか1項に記載の容器。
【請求項30】
拡大した溝が、隙間の一部を形成している容器部分の少なくとも一方に形成されており、メッシュ本体と成形可能な耐火性材料が、溝内に配置されている、請求項17〜29のいずれか1項に記載の容器。
【請求項31】
メッシュ本体が、溝の幅よりも広い圧縮されていない幅を有する、請求項30に記載の容器。
【請求項32】
容器が、そこに流路を有する細長い金属接触トラフ、溶融金属フィルターのためのコンテナ、溶融金属脱ガス器のためのコンテナ、およびルツボから成る群から選択される容器として用いるための形状および寸法にされている、請求項17〜31のいずれか1項に記載の容器。
【請求項33】
金属収容容器のための容器部分であって、該容器部分が、
そこに形成されている金属接触表面を有する耐火性材料の本体であって、本体の一つの末端に横断溝を有する耐火性材料の本体を含み、
溝が、溝内に予め配置されている金属メッシュロープを有しており成形可能な耐火性材料の覆っているコーティングのために溝内に室を残している、容器部分。
【請求項34】
部分が、そこに流路を有する細長い金属接触トラフ、溶融金属フィルターのためのコンテナ、溶融金属脱ガス器のためのコンテナ、およびルツボから成る群から選択される容器の一部として形状および寸法にされている、請求項33に記載の容器部分。
【請求項1】
溶融金属を収容するのに用いる容器の耐火性部分の間における強化された耐火性接合の製造方法であって、当該方法が:
金属ワイヤから作ったメッシュ本体を、金属収容容器の隣接した耐火性部分の金属接触表面間の隙間内に導入して、メッシュ本体を金属接触表面の下に配置し、および
メッシュ本体を成形可能な耐火性材料層により覆って、金属接触表面間の隙間を封止する、
ことを含む、強化された耐火性接合の製造方法。
【請求項2】
メッシュ本体を隣接した耐火性部分の間の隙間に導入する前に、成形可能な耐火性材料をメッシュ本体内に挿入する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
メッシュ本体を形成するのに用いる金属が、溶融金属による攻撃に耐性がある金属である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
メッシュ本体を形成するのに用いる金属が、Ni−Cr系合金、ステンレス鋼およびチタンから成る群から選択した金属である、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項5】
金属ワイヤを、メッシュ本体のための金属織布を形成するように一体に織る、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
金属織布が、溶融金属による貫通に耐えるのに充分小さい寸法を有するメッシュ開口を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
メッシュ開口が、1mm〜5mmの範囲の寸法を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
メッシュ開口が、2mm〜3mmの範囲の寸法を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
メッシュ本体が、互いに重なり合った複数の層を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
織物金属メッシュ層を、可撓性のある細長いロープを形成するように互いに巻く、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
細長い可撓性のあるロープを、金属ワイヤから作られている織物チューブ状スリーブにより覆う、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
織物チューブ状スリーブが、1以上の層のメッシュ開口と同じまたは小さい寸法のメッシュ開口を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
成形可能な耐火性材料を、シリカ/アルミナから作った材料とアルミノケイ酸塩繊維を含むペーストとから成る群から選択する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
拡大した溝を、隙間に隣接したトラフ部分の少なくとも一方に形成し、およびメッシュ本体と成形可能な耐火性材料を、拡大した溝内に導入する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
メッシュ本体を、溝の幅よりも広い圧縮されていない幅を有するように選択する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
容器を、そこに流路を有する細長い金属接触トラフ、溶融金属フィルターのためのコンテナ、溶融金属脱ガス器のためのコンテナ、およびルツボから成る群から選択する容器として用いるための形状および寸法にする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
容器部分の隣接した末端間に封止接合を有しており端−端配置の2以上の耐火性容器部分により形成されている、溶融金属を収容するための容器であって、封止接合が、
隣接した容器部分の間の隙間内に導入されており金属ワイヤから作られているメッシュ本体と、
隙間内のメッシュ本体を覆っており耐火性部分の間の溶融金属の貫通に対して隙間を封止している成形可能な耐火性材料層と、
を含む、溶融金属を収容するための容器。
【請求項18】
メッシュ本体が、耐火性ペーストを含む、請求項17に記載の容器。
【請求項19】
メッシュ本体を形成するのに用いる金属が、溶融アルミニウムによる攻撃に耐性がある、請求項17または18に記載の容器。
【請求項20】
メッシュ本体を形成するのに用いる金属が、Ni−Cr系合金、ステンレス鋼およびチタンから成る群から選択される、請求項17、18または19に記載の容器。
【請求項21】
金属ワイヤが、メッシュ本体のための金属織布を形成するように一体に織られている、請求項17〜20のいずれか1項に記載の容器。
【請求項22】
金属織布が、溶融金属による貫通に耐えるのに充分小さい寸法を有するメッシュ開口を有する、請求項21に記載の容器。
【請求項23】
メッシュ開口が、1mm〜5mmの範囲の寸法を有する、請求項22に記載の容器。
【請求項24】
メッシュ開口が、2mm〜3mmの範囲の寸法を有する、請求項22に記載の容器。
【請求項25】
メッシュ本体が、互いに重なり合った複数の層を有する、請求項17〜24のいずれか1項に記載の容器。
【請求項26】
織物金属メッシュ層が、細長いロープを形成するように互いに巻かれている、請求項25に記載の容器。
【請求項27】
細長いロープが、金属から作られている織物チューブ状スリーブにより覆われている、請求項26に記載の容器。
【請求項28】
織物チューブ状スリーブが、1以上の層のメッシュ開口と同じまたは小さい寸法のメッシュ開口を有する、請求項27に記載の容器。
【請求項29】
成形可能な耐火性材料が、シリカ/アルミナから作った材料とアルミノケイ酸塩繊維を含むペーストとから成る群から選択される、請求項17〜28のいずれか1項に記載の容器。
【請求項30】
拡大した溝が、隙間の一部を形成している容器部分の少なくとも一方に形成されており、メッシュ本体と成形可能な耐火性材料が、溝内に配置されている、請求項17〜29のいずれか1項に記載の容器。
【請求項31】
メッシュ本体が、溝の幅よりも広い圧縮されていない幅を有する、請求項30に記載の容器。
【請求項32】
容器が、そこに流路を有する細長い金属接触トラフ、溶融金属フィルターのためのコンテナ、溶融金属脱ガス器のためのコンテナ、およびルツボから成る群から選択される容器として用いるための形状および寸法にされている、請求項17〜31のいずれか1項に記載の容器。
【請求項33】
金属収容容器のための容器部分であって、該容器部分が、
そこに形成されている金属接触表面を有する耐火性材料の本体であって、本体の一つの末端に横断溝を有する耐火性材料の本体を含み、
溝が、溝内に予め配置されている金属メッシュロープを有しており成形可能な耐火性材料の覆っているコーティングのために溝内に室を残している、容器部分。
【請求項34】
部分が、そこに流路を有する細長い金属接触トラフ、溶融金属フィルターのためのコンテナ、溶融金属脱ガス器のためのコンテナ、およびルツボから成る群から選択される容器の一部として形状および寸法にされている、請求項33に記載の容器部分。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2013−513083(P2013−513083A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542324(P2012−542324)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【国際出願番号】PCT/CA2010/001939
【国際公開番号】WO2011/069252
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(512049948)ノベリス・インコーポレイテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】NOVELIS INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【国際出願番号】PCT/CA2010/001939
【国際公開番号】WO2011/069252
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(512049948)ノベリス・インコーポレイテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】NOVELIS INC.
【Fターム(参考)】
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