説明

金属有機多面体

【課題】
【解決手段】
本発明は、多孔質金属有機多面体を提供する。本発明の多孔質金属有機多面体は、各々が2つ又はそれ以上の金属イオン、及び金属有機多面体の重合を阻害するのに十分な数のキャッピング配位子を有する複数の金属クラスタを含む。この多孔質金属有機多面体は、1つ又はそれ以上の多面体の頂点に配置された金属クラスタを有する多面体として記述できる幾何学的形状に隣接金属クラスタを結合する複数の多座結合配位子を更に含む。また、本発明は、溶媒、1つ又はそれ以上の金属イオン、及び金属有機多面体の重合を阻害するキャッピング配位子として多孔質金属有機多面体を錯化する対イオンを含む溶液が多座結合配位子と混合する多孔質金属有機多面体を作る方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2003年12月5日に出願された米国暫定出願第60/527,456号の利益を主張する。
【0002】
本発明の背景
1.本発明の分野
少なくとも一の実施例において、本発明は金属クラスタに付着した結合リガンドによって形成された多孔質金属有機多面体に関する。
【0003】
2.背景技術
正方形、立方体、四面体、及び六面体等の金属有機多角形及び多面体(MOP)の合成及び特性決定に広範囲の研究が、費やされた。これらの構造は、単一金属イオン又は有機結合によって連結される金属炭酸塩のクラスタのいずれかのノードから構成されている。MOPSは、ゲスト溶媒分子又は対イオンが存在する構造内に気孔を有する。このようなゲストの移動度を調査する研究のレポートが存在するが、ゲストが存在しない場合にMOPが不変の多孔度を維持出来るかどうかの問題は未解決のままである。我々は、触媒反応、気体収着、分離及び検出用途の有用性が、ゲストの非存在下で孔が開き続ける能力によって決定すると考えている。言い換えれば、これらの分子構造は構造的に強固であり、細孔の破壊無しに、ゲストの除去が可能である。多孔質材料としての使用を妨げる。更に、不変の多孔度を有するMOPは、気体分子の包含及び除去を防げず、細孔内の吸着部位へのフルアクセスを可能にする。
【0004】
微孔質材料の領域では、高多孔率及び可逆タイプIの挙動を有する拡大構造体を製造するため概念的アプローチが、多数発達した。ゼオライトについて言えば、フォージャサイトに500m/gまでの見掛け表面積が、及びゼオライトAに0.47cm/cmまでの細孔容積が報告されている。金属有機のフレームワークはMOF−177の4,500m/g及び0.69cm/cmまでの見掛け表面積及び細孔容積で設計されている。金属有機骨格を設計した。金属有機多角形及び多面体アッセンブルにおける気体吸収量を調査する一方で、可逆タイプIの挙動は明らかにされていない。このような不変の多孔率の欠如は、単一の金属イオン頂点のフレキシブルな性質に起因すると考えられる。
【0005】
従って、タイプIの等温挙動を示す新規なMOP構造が要求されている。
【0006】
本発明の要約
少なくとも一の実施例において、本発明は先行技術の1つ又はそれ以上の問題に対する解決策を提供する。本発明は、多孔質2次元及び3次元金属有機フレームワーク(「MOF」)の構造についての先行技術の方法論を拡張するものである。具体的には、本発明は、新規な分子化学に関するものであり、ここでは、ノード(すなわち、頂点)は、不変の多孔度を支持する剛性多面体構造の形成を可能にする多座カルボン酸結合によって、金属原子がしっかり組み込まれている先端に金属を有するカルボン酸クラスタであり、特にタイプI等温挙動を示す。本発明の多孔質金属有機多面体は、複数の金属クラスタを含む。各金属クラスタは、2つ又はそれ以上の金属イオン、及び金属有機多面体の重合を阻害する十分な数のキャッピング配位子を含む。多孔質金属有機多面体は、1つ又はそれ以上の多面体の頂点に配置された金属クラスタを有する多面体として記載することが出来る幾何学的形状に隣接金属クラスタを結合する複数の多座結合配位子を更に含む。この研究では、SBUアプローチをうまく適用して、MOF及び最も多孔性のゼオライトのいくつかと比較できる見掛け表面積と同様に、かつてない可逆タイプI挙動を有する一連の分散した微孔質多面体を生成している。
【0007】
本発明の他の実施例では、上記の多孔質金属有機多面体を形成する方法を提供する。この実施例の方法は、溶媒、1つ又はそれ以上の金属イオン、及び1つ又はそれ以上の金属有機多面体の重合を阻害するためのキャッピング配位子として多孔質金属有機多面体を錯化する一又はそれ以上の対イオン又は中性配位子を含有する溶液を多座結合配位子と結合するステップを含む。
【0008】
本発明の他の実施例では、増大する細孔サイズを有するMOPを体系的に設計する方法を提供する。この実施例の方法は、所望のサイズ又は吸着量が達成されるまで、細孔容積を増加するために有利に使用される。一般的に、吸収能力が高い大きな細孔が所望される。本発明の方法は、式I(XY)で上記した第1の多座配位子Yを選択するステップを含む。第1の多座配位子を有する第1MOPを形成すること。一般的に、第1のMOPは、上記の方法によって形成される。次に、第1のMOPについての、化学種の細孔サイズ又は吸着の測定を実行する。次いで、第2のMOPが、第2の多座配位子から形成される。第2の多座配位子は、第1多座配位子よりも多数の原子を具えることによって特徴付けられる。次に、第2のMOPについての、化学種の細孔サイズ又は吸着の第2の測定を実行する。十分な数の原子を有する配位子が同定されて、所望の気体吸収量をもたらすまで、このプロセスを反復して繰り返す。
【0009】
好ましい態様の詳細な説明
現在、発明者が知る限りの、本発明を実施する最良の形態を構成する本発明の目下の好ましい化合物又は実施例及び方法について詳細に言及する。
【0010】
本明細書で使用される「結合配位子」は、分離するときに、増加をもたらす2つ又はそれ以上の金属に配位する化学種(中性分子及びイオンを含む)を意味し、製造されるフレームワーク内の空隙領域又はチャネルの定義を意味する。例としては、4,4’−ビピリジン(中性多座Nドナー分子)及びベンゼン−1,4−ジカルボキシラート(ポリカルボン酸アニオン)が挙げられる。
【0011】
本明細書で使用される「キャッピング配位子」は、金属に配位されるが、リンカとしては作用しない化学種を意味する。非結合配位子は金属を架橋することが出来るが、これは、通常は単一の配位官能基を通してであり、従って、大きな分離を導くものではない。本発明において、キャッピング配位子は、金属有機多面体の重合を阻害する。
【0012】
本明細書で使用される「ゲスト」は、フレームワークと一体化していると見なされない開放骨格固体の空隙領域内に存在する総ての化学種を意味する。例としては、合成プロセス中に空隙領域を満たす溶媒分子、(拡散を介した)浸漬の中、又は収着実験における気体などの溶媒分子を排出後に溶媒に交換されるその他の分子が挙げられる。
【0013】
本明細書でに使用される「電荷平衡種」は、フレームワークの電荷のバランスする帯電ゲスト種を意味する。かなり頻繁に、この種は骨格に強く、すなわち、水素結合を介して結合される。排出時に分解してより小さい帯電種のままにする(以下参照)、又は同等に帯電した種に交換される排気時に分解することが出来るが、一般的につぶすことなく金属有機骨格の細孔から除去することが出来ない。
【0014】
本明細書で使用する「空間充填剤」は、合成中に、開放骨格の空隙領域を満たすゲスト種を意味する。加熱及び/又は排出による空間充填剤の除去後に、不変の多孔度を示す材料は無傷であり続ける。例としては:溶媒分子又は分子電荷平衡種が挙げられる。後者は、加熱時に分解し、その気体状生成物は容易に排出され、より小さい電荷平衡種が細孔に残る。(すなわち、プロトン)。空間充填剤はテンプレート剤と呼ばれることもある。
【0015】
一の実施例では、本発明は、多孔質金属有機多面体を提供する。本発明の多孔質有機金属多面体は、複数の金属クラスタを具える。各金属クラスタは、2つ又はそれ以上の金属イオン、及び金属有機多面体の重合を阻害する十分な数のキャッピング配位子を具える。この多孔質金属有機多面体は、隣接する金属クラスタを、多面体の1つ又はそれ以上の頂点に位置する金属クラスタを有する多面体として記載することが出来る幾何学的形状に連結する複数の多座結合配位子を更に具える。更に、本発明の金属有機多面体は、テンプレート剤が存在しない場合も多孔質のままである。一般的には、複数の多座結合配位子は、十分な数のアクセス可能なサイト及び/又は原子又は分子収着を有する。本明細書で使用されるエッジは、ゲスト種の収着が起きる化学結合(単−、二重−、三重−、芳香族−、又は配位−)に近傍の細孔容積内の領域を意味する。例えば、このようなエッジは、芳香族基又は非芳香族基の暴露原子−原子結合に近い領域を含む。暴露とは環が、互いに融解する位置に生じるこのような結合ではない。また、収着サイトは、多座結合配位子及び金属クラスタを含むと理解するべきである。表面積を決定するいくつかの方法が存在するが、特に有効な方法は、ラングミュア及びBET表面積法である。本発明の変形例において、複数の多座結合配位子は、材料1g当たりの表面積が200m/gより大きい原子又は分子吸着に十分な数のアクセス可能なサイト(すなわち、エッジ)を有する。その他の変形例において、この複数の多座結合配位子は、材料1g当たりの表面積が300m/gより大きい原子又は分子吸着に十分な数のアクセス可能なサイト(すなわち、エッジ)を有する。更に他の変形例においては、複数の多座結合配位子は、材料1g当たりの表面積が400m/gより大きい原子又は分子吸着のための十分な数の接近可能なサイト(すなわち、エッジ)を有する。表面積の上限は、一般的に約18,000m/gである。更に一般的には、表面積の上限は、約10000m/gである。その他の変形例においては、表面積の上限は、約500m/gである。
【0016】
上述した通り、本発明の多孔質金属有機多面体の各金属クラスタは、2つ又はそれ以上の金属イオンを具える。その他の変形例においては、各金属クラスタは、3又はそれ以上の金属イオンを具える。金属クラスタに含まれるキャッピング配位子は、一般的にルイス塩基である。更に、これらのキャッピング配位子は、アニオン性イオン、中性配位子、及びこれらの組み合わせから成る群より選択することが出来る。キャッピング配位子の例には、硫酸、硝酸、ハロゲン、リン酸、アミン、及びこれらの組み合わせがある。
【0017】
本発明の多孔質金属有機多面体は、材料(多面体)の1g当たりの細孔容積によって特徴付けられる。一般的に、金属有機多孔体は、1グラム当たり約0.1cm/cmより大きい細孔容積を有する。
【0018】
多孔質金属有機多面体は、2つ又はそれ以上の金属イオンを具える金属クラスタを含む。好ましい金属イオンの例には、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Sc3+、Y3+、Ti4+、Zr4+、Hf4+、V4+、V3+、V2+、Nb3+、Ta3+、Cr3+、Mo3+、W3+、Mn3+、Mn2+、Re3+、Re2+、Fe3+、Fe2+、Ru3+、Ru2+、Os3+、Os2+、Co3+、C2+、Rh2+、Rh、Ir2+、Ir、Ni2+、Ni、Pd2+、Pd、Pt2+、Pt、Cu2+、Cu、Ag、Au、Zn2+、Cd2+、Hg2+、Al3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Si4+、Si2+、Ge4+、Ge2+、Sn4+、Sn2+、Pb4+、Pb2+、As5+、As3+、As、Sb5+、Sb3+、Sb、Bi5+、Bi3+、Bi及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0019】
この実施例の変形例において、多孔質金属有機多面体は、3又はそれ以上の金属イオンを具える金属クラスタを含む。また、好ましい金属イオンの例には、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Sc3+、Y3+、Ti4+、Zr4+、Hf4+、V4+、V3+、V2+、Nb3+、Ta3+、Cr3+、Mo3+、W3+、Mn3+、Mn2+、Re3+、Re2+、Fe3+、Fe2+、Ru3+、Ru2+、Os3+、Os2+、Co3+、C2+、Rh2+、Rh、Ir2+、Ir、Ni2+、Ni、Pd2+、Pd、Pt2+、Pt、Cu2+、Cu、Ag、Au、Zn2+、Cd2+、Hg2+、Al3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Si4+、Si2+、Ge4+、Ge2+、Sn4+、Sn2+、Pb4+、Pb2+、As5+、As3+、As、Sb5+、Sb3+、Sb、Bi5+、Bi3+、Bi及びこれらの組み合わせが挙げられる。特に有益な変形例においては、金属クラスタは、FeO(CO(SOである。
【0020】
本発明の変形例においては、強力で高多孔質分子多面体の合成が提供される。この発明の特別な例では、ノードとして単一金属イオンの代わりに金属炭酸塩クラスタを使用して、安定した構造を生じさせている。ここで、この戦略は、共通の酸素を中心とする三核クラスタ、FeO(COをノードとして使用するMOPに及ぶ(図1a)。炭酸炭素原子は、三角形プリズム状二次構造単位(SBU)の頂点を表す拡張点である(図1b)。このSBUを、3D拡張MOFを与えるダイトピック結合によって6つの全拡張点で結合することが出来る。この研究では、SBU上の3つのコフェイシャル(cofacial)サイトを、硫酸基を架橋することによってキャップし、炭酸塩を互いに60°になるように前処理を行った三角形のSBU(図1c)を生じた。1,4−ベンゼンジカルボン酸(BDC)、4,4’−ビフェニルジカルボン酸(BPDC)、テトラヒドロピレン−2,7−ジカルボン酸(HPDC)、及び4,4”−ターフェニルジカルボン酸(TPDC)のようなダイトピック結合か、1,3,5−トリス(4−カルボキシフェニル)ベンゼン(BTB)のようなトリトピック結合のいずれかによってこれらの形状を互いに結合することは、それぞれ、多孔質切頭多面体又は切頭ヘテロ立方体を与える(図1d及びe)。
【0021】
化合物のこの系について、多面体形状を変えることなく細孔及びその開口のサイズを、システマチックに変化させることが出来る。特に、この系の各員の合成及び単結晶X線構造を記載し、3つの員について、気体収着等温線を報告する。後者のデータは、これらの個々の構造が、構造上強力であり、事実、不変の多孔率を有する特有の材料の気体収着能力があることの決定的な証拠を提供する。
【0022】
また、本発明の多孔質金属有機多面体は多座結合配位子を含む。この結合配位子は、式Iで記載することが出来る:
Y I
ここで、XはCO、CS、NO、SO及びこれらの組み合わせであり、nは2に等しい又は2より大きい整数であり、Yは炭化水素基又は1つ若しくはそれ以上の原子がヘテロ原子によって置換された炭化水素基である。本発明の変形例においては、XはCO2−であり、Yは、単環式芳香族環、多環式芳香族環、1から10個の炭素を有するアルキル基及びこれらの組み合わせから成る群より選択された部分を具える。この変形例の更なる改良においては、Yが芳香環に組み込まれる12又はそれ以上の原子を含む。この変形例の更なる改良においては、Yは芳香環に組み込まれる16又はそれ以上の原子を含む。この実施例の別の変形例においては、Yは、アルキル、アルキルアミン、アリールアミン、アラルキルアミン、アルキルアリールアミン、又はフェニルである。この実施例の更に別の変形例においては、Yは、C1〜10アルキル、C1〜10アルキルアミン、C7〜15アリールアミン、C7〜15アラルキルアミン、C7〜15アルキルアリールアミン又はC10〜24アリールである。
【0023】
この実施例の変形例において、この多座配位子は、互いに線状に配向された(すなわち、配位子が緊張していない状態のとき、2つの座の間の角度約180°である)少なくとも2つの座(すなわち、式IにおけるX)を含む。一般的にこれらの配位子はダイトピック有機配位子である。この変形例の特定の例においては、キャップされた三角形のFeO(CO(SO 単位中のカルボキシル基は、このような線状配位子を有する四面体形状を構築するのに理想的である必要な角度60°を提供する。この変形例における多座配位子の例は、式II:

によって提供される。更に、式IIを有する配位子を組み込んでいる多孔質金属有機多面体の例は、式[NH(CH[Fe12(BPDC)(SO12(py)12]を有する(pyは、ピリジンである)。
線状に配向した2つの配位子を有する、特に好ましいもう一つの多座結合配位子は、式III:


によって提供される。
同様に、式IIIを有する配位子を組み込む多孔質金属有機多面体の例は、式[NH(CH[Fe12(HPDC)(SO12(py)12]によって提供される。特に好ましいもう一つの多座結合配位子は、式IV:

を有する。
配位子IVを組み込む多孔質金属有機多面体の例は、式[NH(CH[Fe12(BTB)(SO12(py)12]を有する。更なる有益な多座配位子は、式V及びVI([NH(CH[Fe12(TPDC(SO12(py)12](IRMOP−53)及び[NH(CH[Fe12(BDC(SO12(py)12](IRMOP−50)に相当する):


を有する配位子を含む。
【0024】
本発明の多孔質金属有機多面体は、選択的に空間充填剤、吸着化学種、ゲスト種及びこれらの組み合わせを更に含む。好ましい空間充填剤は、例えば:
a.アルキルアミン、及び線状、分枝状又は環状脂肪族基を含み、1から20個の炭素原子を有する相当するアルキルアンモニウム塩;と
b.アリールアミン、及び1から5個のフェニル環を有するアリールアミンに相当するアリールアンモニウム塩;と
c.線状、分枝状又は環状脂肪族基を含み、1から20個の炭素原子を有するアルキルホスホニウム塩;と
d.1から5個のフェニル環を有するアリールホスホニウム塩;と
e.アルキル有機酸、及び線状、分枝状又は環状脂肪族基を含み、1から20個の炭素原子を有するアルキル有機酸に相当する塩;と
f.アリール有機酸、及び1から5個のフェニル環を有するアリール有機酸に相当する塩;と
g.線状、分枝状又は環状脂肪族基を含み、1から20個の炭素原子を有する脂肪族アルコール;と
h.1から5個のフェニル環を有するアリールアルコール;と
i.硫酸、硝酸、亜硝酸、亜硫酸、亜硫酸水素、リン酸、リン酸水素、リン酸二水素、二リン酸、三リン酸、亜リン酸、塩化物、塩素酸、臭化物、臭素酸、ヨウ化物、ヨウ素酸、炭酸、重炭酸、O2−、硫化物、硫酸水素、セレン化物、セレン酸、セレン酸水素、テルル化物、テルル酸、テルル酸水素、窒化物、リン化物、ヒ化物、ヒ酸、ヒ酸水素、ヒ酸二水素、アンチモン化物、アンチモン酸、アンチモン酸水素、アンチモン酸二水素、フッ化物、ホウ化物、ホウ酸、ホウ酸水素、過塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、過ホウ素酸、亜ホウ素酸、次亜ホウ素酸、過ヨウ素酸、亜ヨウ素酸、次亜ヨウ素酸から成る群より選択された無機陰イオンと当該無機アニオンの相当する酸及び塩;と
j.アンモニア、二酸化炭素、メタン、酸素、アルゴン、窒素、エチレン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、ナフタレン、チオフェン、ピリジン、アセトン、1,2−ジクロロエタン、メチレンクロライド、テトラヒドロフラン、エタノールアミン、トリエチルアミン、トリフルオロメチルスルホン酸、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、ブロモホルム、ジブロモメタン、ヨードホルム、ジヨードメタン、ハロゲン化有機溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリジノン、アミド溶媒、メチルピリジン、ジメチルピリジン、ジエチルエーテル、及びこれらの混合物;と
から成る群より選択された成分を具える。吸着化学種の例には、アンモニア、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、アミン、メタン、酸素、アルゴン、窒素、アルゴン、有機染料、ポリ環状有機分子、及びこれらの組み合わせが挙げられる。最後に、ゲスト種の例は、100g/mol以下の分子量を有する有機分子と、100g/mol以下の分子量を有する有機分子と、300g/mol以下の分子量を有する有機分子と、600g/mol以下の分子量を有する有機分子と、600g/molより大きい分子量を有する有機分子と、少なくとも1つの芳香環と、ポリ環状芳香族炭化水素と、式Mを有する金属錯体、ここで、Mは金属イオンであり、Xは14族から17族アニオンから成る群より選択され、mは1から10の整数であり、nは予定された電荷を有するような金属クラスタを帯電平衡するために選択された数字である、と、これらの組み合わせである。いくつかの変形例において、吸着化学種と、ゲスト種と、空間充填剤とを金属有機多面体を予め選択した化学種、ゲスト種、又は空間充填剤と接触させることによって、金属有機多面体内に導入する。
【0025】
本発明の他の実施例において、上記の多孔質金属有機多面体を形成する方法を提供する。この実施例の方法は、溶媒と、1つ又はそれ以上の金属イオンと、金属有機多面体の重合を阻害するキャッピング配位子として多孔質金属有機多面体に錯化する1つ又はそれ以上の対イオンを含む溶液とを、多座結合配位子と混合するステップを含む。多座結合配位子、キャッピング配位子、及び金属イオンの選択は、上記と同様である。上記のように、金属イオンの例は、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Sc3+、Y3+、Ti4+、Zr4+、Hf4+、V4+、V3+、V2+、Nb3+、Ta3+、Cr3+、Mo3+、W3+、Mn3+、Mn2+、Re3+、Re2+、Fe3+、Fe2+、Ru3+、Ru2+、Os3+、Os2+、Co3+、C2+、Rh2+、Rh、Ir2+、Ir、Ni2+、Ni、Pd2+、Pd、Pt2+、Pt、Cu2+、Cu、Ag、Au、Zn2+、Cd2+、Hg2+、Al3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Si4+、Si2+、Ge4+、Ge2+、Sn4+、Sn2+、Pb4+、Pb2+、As5+、As3+、As、Sb5+、Sb3+、Sb、Bi5+、Bi3+、Bi及びこれらの組み合わせから成る群より選択される。また、上記のように、溶液中に存在する対イオン(すなわち、カウンタイオン)は、一般的にルイス塩基である。
【0026】
この実施例の変形例において、多座配位子は、芳香族環に組み込まれた12つ又はそれ以上の原子を有する。他の変形例において、多座配位子は芳香族環に組み込まれた16つ又はそれ以上の原子を有する。更にもう一つの変形例において、多座配位子は、芳香族環に組み込まれた16つ以上の原子を有する。
【0027】
好ましい対イオンは、例えば、硫酸、硝酸、ハロゲン、リン酸、アンモニウム、及びこれらの混合物が挙げられる。多座結合剤は、上記のものと同様である。
【0028】
また、本発明の方法で使用される溶液は、空間充填剤を含むことが出来る。好ましい空間充填剤の例は、上述されている。
【0029】
本発明の他の実施例において、細孔サイズの増加を伴うMOPを体系的に設計する方法を提供する。この実施例の方法は、所望のサイズ又は吸着量を達成するまで、細孔容積を増加するために有利に使用される。一般的に、高い吸着能力を有する大きい細孔が所望される。本発明の方法は、上記の式I(XY)の第1多座配位子を選択するステップを含む。第1多座配位子を有する第1MOPを形成するステップ。一般的に、第1MOPは、上記の方法によって形成される。次に、第1MOPについて、化学種の細孔サイズ又は吸着の測定を実施する。次いで、第2MOPが、第2多座配位子から形成される。第2多座配位子は、第1多座配位子よりも多数の原子を具えることによって特徴付けられる(例えば、Yはより多数の原子を有する)。次に、第2MOPについて、化学種の細孔サイズ又は吸着の第2の測定を実施する。最適な気体吸収量をもたらす十分な数の原子を有する配位子が同定されるまで、このプロセスを反復して繰り返す。特に、化学種の所望の細孔サイズ又は量が達成されるまで、原子数の増加を伴う多座結合配位子を連続的に使用して金属有機多面体を形成する。好ましい多座配位子は、上記の多座配位子と同様である。Yにおいて原子数の増加を伴う一連の配位子は、増加の順に、1,4−ベンゼンジカルボン酸(BDC)、4,4’−ビフェニルジカルボン酸(BPDC)、テトラヒドロピレン−2,7−ジカルボン酸(HPDC)、及び4,4”−ターフェニルジカルボン酸(TPDC)である。これらの配位子は、次のMOP:[NH(CH[Fe12(BDC)(SO12(py)12]・G(「IRMOP−50」);[NH(CH[Fe12(SO12(BPDC)(py)12]・G(「IRMOP−51」);[NH(CH[Fe12(SO12(HPDC)(py)12]・G(「IRMOP−52」);[NH(CH[Fe12(SO12(TPDC)(py)12]・G(「IRMOP−53」)及び[NH(CH[Fe12(SO12(BTB)(py)12]・G(「IRMOP−54」)を形成するために使用することが出来る。
【0030】
IRMOP 50〜53及びMOP−54を、この実施例の有用性を示すために体系的に評価した。この系の各員の頂点は、拡大構造体の形成を防止するキャッピング基として働く硫酸を有するFeO(CO(SO(py)単位から成る。従って、FeO(COは、3つの有機ダイトピック(IRMOP−50から53)又はトリトピック(MOP−54)結合に連結される三角形SBUである。総ての場合において、各Fe原子の配位圏は、終端ピリジン配位子によって達成され、全体的に6−配位八面体中央を与える。これらの系の各員について、各多面体上に、全体として8電荷を釣り合わすための結晶構造内で8つのジメチルアンモニウムカチオンが見られる。カチオンの同定は、塩基の存在下でDMFの燃焼時にジメチルアミンを生じることで知られているDMFのよく確立された脱カルボニルに基づいている。結晶学的に同定されたゲスト種(「G」)についてのpKb値の比較、すなわち、ピリジンについて8.81及びジメチルアミンについて3.27、は、ジメチルアンモニウム対イオンの割当に一致する。一般的に、MOFに一般的に見出される特徴であるゲスト分子の不安定さに起因して、多面体系における総てのゲストの組成物を完全に形成することは困難である。加えて、散漫散乱と無秩序置換が、単結晶X線データに基づいてゲスト分子の確定した配置を妨げる(詳細については以下の実験の項参照)。ゲストは、切頭多面体に存在する同じ元素を含むため、元素微量分析は、この文脈では限定されて用いられている。それにも関わらず、ゲストは、最終的には真空にされ又は細孔と交換され、多面体の構造は、単結晶X線回折データから明確に決定されるので、ゲスト分子の形成におけるどのような曖昧さも、多孔質材料としてIRMOPの使用を妨げるものではない。
【0031】
IRMOP 51、53及びMOP−54についての磁気測定。5kGの定磁場で、5〜300Kの温度範囲で、IRMOP−51、IRMOP−53及びMOP−54の磁化率測定を行った。300Kで、IRMOP−51(3.80μ)、IRMOP−53(3.33μ)、及びMOP−54(3.29μ)について鉄中央当たりμeff値は、3つの未結合S=5/2スピンについて計算されたスピンのみの値(5.29μ)よりかなり小さいが、分子[FeIIIO(RCOシステム(3.0から3.9μB)を除いた範囲内にある。総ての化合物は、磁気モーメントが5Kで1.85μ(IRMOP−51)、1.44μ(IRMOP−53)、及び1.46μ(MOP−54)と段階的に減少し、鉄中央間の反強磁性相互作用を示す。低温のμeff値は、ゼロにはならず、上記の分子種と一致する。実験データと文献データとの間のこの相互関係に基づいて、類似する別個の多面体又は形のないアッセンブリに同様に見られる通り、クラスタ間の長距離結合は、ごく僅かであると考えられている。
【0032】
構造、充填及び計測。結晶中の多面体の充填は、IRMOP−51の立方体相について説明するように、各構造内で2種の細孔を示す。第1の細孔Aは、多面体内部にあり、第2の細孔Bは多面体間にある。系内の細孔A及び細孔Bによって提供される相対空間は、充填モチーフに依存する。MOP−54の場合では、ヘテロ立方体の中央は、ダイアモンド網のノードにあり、最も密に充填された配列を生じる。IRMOP−50及びIRMOP−51の2つの立方体相は、例外的でありずっと低密度である。ここで、多面体は広く間隔が空いており、多面体の中央は、面心立方格子のノードにある。多面体の頂点(3つの配位Oとしての)は、クリストバライト網(「crs」)を形成する。総ての多面体について、2種の細孔は、4つの開放三角形面(IRMOP−50からIRMOP−53)又は6つの開放エッジ(MOP−54)を有する各切頭多面体によって相互接続されている。完全MOP系について、総ての結晶学的に同定された対イオンは、細孔B内に、通常多面体の硫酸部分に非常に近接して存在することが分かった。これらのジメチルアンモニウムカチオンと硫酸基[(CH…OSO2−及びNH(HC)…OSO2−平均非結合距離は、それぞれ3.05Å及び3.20Åである。]との間の広範囲に渡る水素結合は、近接する多面体を一緒に保持して、各構造内中に細孔の剛性のラビリンスを生み出す。この系についての距離パラメータが、表1に要約されている。
【0033】
表1


a.多面体(軸py分子を含む)のファンデルワールス表面に接触することなく細孔Aを通過(自由)又は占有(固定)することが出来る球の直径によって計算された単位
b.1.4Åのプローブ半径を有するCerius2を使用し、細孔Bの有機カチオンをHと置換して計算した「%自由容積」
【0034】
表1を参照すると、エッジ上の多面体のサイズは、20.0Åから28.5Åまでの範囲であり、細孔Aの自由細孔直径は、3.8Åから9.4Åの範囲であり、細孔Aの固定細孔直径は、7.0Åから13.4Åの範囲である。多面体(細孔A)内の空間の容積を、全結晶容積の16%から27.2%に調節した。しかし、多面体(細孔B)間の空間の容積は、全結晶容積の28.8%から63.0%の範囲であるような多面体内で見出されたものよりも顕著に大きい。総てのジメチルアンモニウム対イオンの格子間配置に起因して、細孔Bの容積を前記計算に含まれる場合に〜4%まで更に減少する。対イオンは、細孔Bの空間の小さな部分を表す一方で、ゲスト分子によって接近され得る容積に対して大きく影響する。最も徹底的な場合では、MOP−54について細孔Bの接近可能な容積は、対イオンが含まれないときの2750Å/u.cに対して、たった13Å/u.cである。系の結晶における全開放空間(細孔A+細孔B)は、結晶容積の大部分を表し、56.0%から79.0%である。
【0035】
不変の多孔率の確立。これらの構造が、構造上の剛性及び不変の多孔率を有するかどうかを決定するために、我々は、IRMOP−51(三斜晶)、53、及びMOP−54の真空サンプルの気体吸着等温線を測定した(表2、図3)。3つの化合物総てについて、78KでのN収着は、ミクロ細孔材料の特性を示す可逆性タイプI等温線を示した。式単位に付き23、20、及び22のN分子に相当する101,57及び109cm(STP)/cmの各N吸収量が観察される(表2)。BETモデルを使用して、IRMOP−51、53、及びMOP−54の見掛け表面積(A)をそれぞれ480、387、及び424m/gであると計算した。Dubinin−Radushkevich(DR)方程式の外挿によって、各細孔容積(V)を0.18、0.10、及び0.20cm/cmであると推定した。
【0036】
表2

a.(IR)MOP f.u.=一つの切頭多面体(対イオン及び結紮pyを含む)=[(CHNH[Fe12(link)(py)12(SO4)12](IRMOP−51及びIRMOP−53についてx=6;MOP−54についてx=4)
b.三重点での液体COの密度=1.18g/cm
c.500torr及び78Kで報告されたH
【0037】
また、これらの化合物は、Ar、CO、及びC蒸気への暴露時にタイプI等温線を示す(図3)。段階的ヒステリシス及び不完全な脱着は、CO等温線、すなわち、MOFs中の予め観察された挙動で明らかになる。COは、小さい分子径(3.3Å)を有するので、この挙動は、分子がより鋭い細孔に接近するときの、収着物−収着媒相互作用が増大する結果であると、我々は推測する。格子間対イオンが気体拡散を妨げ、場合によっては細孔B収着サイトをふさぐかもしれないので、将来の研究は、気体収着特性における対イオン同一性の影響を調査することに着目するであろう。
【0038】
微細孔材料の分野では、高多孔率及び可逆タイプI挙動を有する拡大構造体を製造するために、多数の概念的アプローチが発達した。ゼオライトについて言えば、フォージャサイトについて500m/gまでの見掛け表面積及びゼオライトAについて0.47cm/cmまでの細孔容積が報告されている。MOF−177については、4,500m/g及び0.69cm/cmまでの見掛け表面積及び細孔容積で、金属有機骨格を設計した。金属有機多角形及び多面体会合における気体吸収量は調査されているが、我々の知る限りでは、可逆タイプI挙動は明らかにされていない。不変の多孔率のこのような欠如は、単一金属イオン頂点のフレキシブルな性質に起因すると考えられると、我々は推測する。この研究では、SBUアプローチがうまく適用され、MOF及び最も多孔性のゼオライトのいくつかと比較可能な見掛け表面積と同様に、かつてない可逆タイプI挙動を有する別個の微細孔多面体の系が発生する。
【0039】
気体燃料の貯蔵における、この系の潜在利用性を調べるために、室温で、IRMOP−51、53及びMOP−54を、高圧CH収着させた。総ての材料は、35atmでほぼ飽和され、各吸収量は、25、17、37cm(STP)/cmであった。これらの吸収量値は、式単位当たりほぼ5.6(IRMOP−51)、5.9(IRMOP−53)、及び7.3(MOP−54)メタン分子に相当する。更に、IRMOP−51について水素吸収量を78及び87Kで測定し:2つの与えられた温度でそれぞれ、最大吸収量は、54.9及び13.5cm(STP)/cmであり、これは式単位当たり12.5及び3.1H分子に等しかった。比較して、MOF−5は、78K及び500torrで67.4cm(STP)/cm吸収する。従って、容積基準当たりのベースで、この温度−圧力型における最大水素容積の81%を有するMOF−5とIRMOP−51を比較することが出来る。
【0040】
初期表面被覆の間、吸収量(qst)の等比体積熱は、エンタルピー変化を反映しており、これは、収着物−収着媒相互作用の強度の基準である。IRMOP−51についての78及び87Kの水素等温線と連動したClausius−Clapeyron方程式を使用して、qstを計算して10.9±1.9kJ/molとなった。この値は活性炭素(6.4kJ/mol)及び平面グラファイト(4kJ/mol)の値よりも高く、しかも議論はあるにしても、SWNT(19.6kJ/mol)についてのいくつかの報告された値よりも低い。より好ましい吸収について、適度な条件下で脱着が生じる一方で、収着物−収着媒相互作用(qst)が潜在的に増加して、材料がその吸収最大容量をより効果的に達成することが出来た。IRMOP−51及びMOF−5の比較可能な水素吸収は、IRMOP−51の比較的高い等比体積熱に起因するものと考えられた。
【0041】
次の例は、本発明の様々な実施例を示す。当業者は、本発明の精神及び特許請求の範囲内にある多くの変形例を認識する。
【0042】
実験
化合物の合成。化合物の純粋結晶サンプルを得るのに使用される合成方法及びこれらの特性決定手順を、以下に記載する。総ての反応及び精製ステップは、好気状態で行われた。化合物はIRMOP−n又はMOP−nと称される。ここで、「IRMOP」は、等細網状(同じトポロジーを有する)金属有機多面体を参照し、「n」は発見された大まかな年代順である。我々は、切頭四面体系列にIRMOPの呼称を、切頭ヘテロ立方体にMOP−nの呼称を用いる。
【0043】
化合物の製造方法、材料及び特性決定。硫酸鉄(III)水和物、1,4−ベンゼンジカルボン酸(HBDC)、4,4’−ビフェニルジカルボン酸(HBPDC)及びトリエチルアミン(TEA)をAldrich Chemical Company社から購入し、受け取ったままで更に精製することなく使用した。N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(99.9%)及びピリジン(py)(99.9%)をFisher Chemical社から購入した。公知の手順に従って、前記有機酸、テトラヒドロピレン−2,7−ジカルボン酸(HHPDC)、4,4”−ターフェニルジカルボン酸(HTPDC)、及び1,3,5−トリス(4−カルボキシフェニル)ベンゼン(HBTB)を準備した。総ての生成物の微量元素分析をミシガン州立大学化学科で実施した。フーリエ変換赤外線(FT−IR)スペクトル(4000〜400cm−1)をNicolet FT−IR Impact400システムを使用してKBrペレットから得た。吸収量ピークは以下の通りである:非常に強い(vs)、強い(s)、中間(m)及び弱い(w)。粉末X線回折(PXRD)データを3°/分の走査速度及び2□で0.050°の刻み幅で、Cu K□(□=1.5406Å)に対して、40kV、40mAで動作するBruker AXS D8 Advance回折計に記録した。Powder Cell2.2を使用して、相当する単結晶構造からシミュレートされたPXRDパターンを計算した。
【0044】
[NH(CH[Fe12(BDC)(SO12(py)12]・G、IRMOP−50。50mLの丸底フラスコにFe(SO・xHO(0.20g、0.50mmol)及び1,4−ベンゼンジカルボン酸(HBDC)(0.083g、0.50mmol)を入れた。この反応フラスコに50mLのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)及び130μLニートトリエチルアミン(TEA)を加えた。不均一反応混合物をキャップし、24時間攪拌した。ガラスシンチレーションバイアル(最大容積20mL)にこの不均一反応溶液の6mLアリコートを入れ、4mLのピリジンを加えてキャップし、48時間100°に加熱して室温まで冷却した。20日後、IRMOP−50の数個のオレンジ八面体結晶がバイアル壁上に形成された(HBDCを基にして2%の収量)。以下に報告されたその他のIRMOPとは異なり、IRMOP−50は、十分な収量で得ることが難しかった。十分な材料のみを単離して単結晶X線回折及びFT−IR分析を終えた。FT−IR(KBr 4000〜500cm−1):3436(m)、3068(m)、2939(m)、2815(w)、1658(s)、1582(vs)、1505(m)、1436(s)、1407(vs)、1222(s)、1147(vs)、1035(s)、993(s)、830(w)、750(m)、685(m)、663(m)、597(m)、555(s)、479(w)。
【0045】
[NH(CH[Fe12(BPDC)(SO12(py)12]・G、IRMOP−51三斜晶及び立方晶形。50mLの丸底フラスコにFe(SO・xHO(0.20g、0.50mmol)及び4,4’−ビフェニルジカルボン酸(HBPDC)(0.12g、0.50mmol)を入れた。この反応フラスコに50mLのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)及び130μLニートトリエチルアミン(TEA)を加えた。不均一反応混合物をキャップし、室温で24時間攪拌した。立方体相用に、ガラスシンチレーションバイアル(最大容積20mL)に前記混合物の2.4mLアリコートを入れ、これに3.6mLのピリジンを加えた。前記バイアルをキャップして48時間100℃に加熱し、次いで、室温まで冷却して立方体IRMOP−51のオレンジの結晶固体を得た(HBPDC結合を基にして28%の収量)。三斜晶系相用に、前記不均一混合物の1.5mLアリコートを1.5mLのピリジンを加えたパイレックス管(内径×外径=8×10mm2、長さ140mm)に入れた。前記管を実質的に急速冷凍し、真空にし、炎シールドし、40時間115℃(5℃/分)に加熱して、室温まで冷却した(0.5℃/分)。得られたオレンジ結晶性生成物を集め、5mLのDMFで2回及び5mLのシクロヘキサンで2回洗浄して三斜晶IRMOP−51を得た(HBPDC結合を基にして38%の収量)。実質的に記載された総ての分析化学的方法をIRMOP−51の三斜晶相を使用して実施した。C21534737121Fe1212に対する分析計算=[NH(CH[Fe12(BPDC)(SO12(py)12]・(DMF)15(py)(HO)30:C、40.09;H、5.43;N、8.05。実測:C、39.86;H、5.48;N、8.22。FT−IR(KBr 3500〜400cm−1):3439(s)、3068(m)、2979(m)、2941(m)、2805(m)、2737(m)、2678(m)、2491(w)、1712(w)、1655(s)、1604(s)、1592(s)、1543(m)、1494(m)、1447(m)、1418(vs)、1226(s)、1181(m)、1143(s)、1126(vs)、1050(s)、1037(s)、983(s)、860(w)、845(w)、795(w)、774(m)、702(m)、681(m)、661(m)、601(s)、476(m)。
【0046】
[NH(CH[Fe12(SO12(HPDC)(py)12]・G、IRMOP−52。1:1の比率のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)及びピリジン20mLを含む50mLの丸底フラスコに、等モル量のFe(SO・xHO(0.05g、0.13mmol)及びテトラヒドロピレン−2,7−ジカルボン酸(HHPDC)(0.04g、0.13mmol)を室温で懸濁させた。この溶液に50μLのニートトリエチルアミン(TEA)を加えた。前記反応フラスコをキャップして72時間室温で攪拌した。パイレックス管(内径×外径=8×10mm2、長さ140mm)に前記攪拌不均一反応溶液の1.2mLアリコートを入れ、次いで、1.8mLのピリジンを添加した。前記管を実質的に急速冷凍し、真空にし、炎シールドし、32時間115℃まで加熱した(5℃/分)。室温に冷却して(0.5℃/分)、反応物を数週間放置したら、IRMOP−52のオレンジ結晶性固体がオレンジ不均一溶液から、前記管壁に沿って形成された。密度分離(ブロモホルム/CHl2)によって、結晶性IRMOP−52生成物からアモルファス物質と黄色結晶性不純物を分離した。前記単離生成物(HHPDCを基にして5%)を5mLのDMFで3回、5mLのシクロヘキサンで1回洗浄した。C21131911529Fe1212に対する分析計算=[NH(CH[Fe12(HPDC)(SO12(py)12]・(DMF)(HO)30:C、41.16;H、5.22;N、6.00。実測:C、41.16;H、5.22;N、6.60。実測:C、41.15;H、5.32;N、6.86。FT−IR(KBr 3500〜400cm−1):3433(s)、3070(m)、2937(m)、2894(m)、2834(m)、1643(s)、1605(s)、1584(s)、1544(s)、1486(m)、1466(s)、1433(s)、1404(vs)、1352(m)、1225(s)、1127(vs)、1066(s)、1039(vs)、984(s)、791(w)、752(m)、701(m)、604(s)、476(m)。
【0047】
[NH(CH[Fe12(SO12(TPDC)(py)12]・G、IRMOP−53。
50mLの丸底フラスコにFe(SO・xHO(0.19g、0.47mmol)及び4,4’−ターフェニルジカルボン酸(HTPDC)(0.15g、0.47mmol)を入れ、15mLのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、15mLのピリジン、及び130μLのニートトリエチルアミン(TEA)を加えた。前記異種の反応混合物をキャップして室温で24時間攪拌した。ガラスシンチレーションバイアル(最大容積20mL)に6mLアリコートの前記攪拌不均一反応溶液と4mLのピリジンを加えた。前記バイアルをキャップして24時間105℃まで加熱し(5℃/分)、室温まで冷却してオレンジ/赤色不均一溶液を得た。4日後、室温で前記オレンジ生成物がバイアル壁上に板状のIRMOP−53として結晶化した(HTPDC結合を基にして31%の収量)。IRMOP−53の結晶を単離し、10mLのピリジンで3回、及び10mLのシクロヘキサンで1回洗浄した。C2522742877Fe1212に対する分析計算=[NH(CH[Fe12(SO12(TPDC)(py)12]・(py)(DMF)(C12:C、50.59;H、4.62;N、6.56。実測:C、50.60;H、4.62;N、6.56。実測:C、50.59;H、4.39;N、6.48。FT−IR(KBr 3500〜400cm−1):3427(s)、3074(m)、2983(m)、2807(m)、2499(w)、1607(vs)、1593(vs)、1555(s)、1422(vs)、1226(s)、1146(vs)、1120(vs)、1038(s)、1009(s)、985(s)、844(w)、786(s)、708(m)、603(m)、547(m)。
【0048】
[NH(CH[Fe12(SO12(BTB)(py)12]・G、IRMOP−54。
50mLの丸底フラスコを使用して、1:1の比率のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)及びピリジンの20mL溶液内で、3:2のモル比のFe(SO・xHO(0.06g、0.15mmol)及び1,3,5−トリス(4−カルボキシフェニル)ベンゼン(HBTB)(0.044g、0.10mmol)を懸濁した。この混合物に150μLのニートトリエチルアミンを加え、この反応物をキャップして室温で72時間攪拌した。パイレックス管(内径×外径=8×10mm2、長さ140mm)に前記攪拌不均一反応溶液の3mLアリコートを入れた。この管を急速冷凍し、真空にし、炎シールドして42時間で115℃(5℃/分)に加熱して、室温まで冷却した(0.5℃/分)。等温の間に形成されたMOP−54の八面体オレンジ結晶を密度分離(ブロモホルム/ピリジン)によってアモルファス物質と黄色結晶性不純物から分離した。この単離生成物(HBTBを基にして20.2%の収量)を5mLのピリジンで3回、及び5mLのシクロヘキサンで1回洗浄した。C23030834103Fe1212に対する分析計算=[NH(CH[Fe12(BTB)(SO12(py)12]・(DMF)12(py)(HO)15:C、44.19;H、4.97;N、7.63。実測:C、44.19;H、4.97;N、7.63。実測:C、44.15;H、5.06;N、7.63。FT−IR(KBr 3500〜400cm−1):3425(vs)、2841(s)、2809(m)、2683(m)、2490(w)、1715(m)、1661(vs)、1611(s)、1550(m)、1535(m)、1413(vs)、1214(s)、1125(vs)、1067(s)、1036(s)、991(s)、857(m)、810(m)、785(s)、701(m)、665(m)、607(s)、505(s)、417(m)。
【0049】
単結晶X線回折試験。
2000W電力(50kV、40mA)で動作するグラファイトモノクロムMo Kα放射線(λ=0.71073Å)を用いてBruker SMART APEX CCD面積検出器で結晶学的測定を実施した。特に断りのない限り、258(2)Kで、ガラスキャピラリーに密閉した試料でデータ収集を実施した。直接的方法と、続いてSHELX−TLソフトウェア一組を使用した別のフーリエ合成によって、総ての構造を解明した。アニオン性IRMOP断片及び配位ピリジンの非水素原子をライディングモデルから発生した水素を用いて異方的に精製した。
【0050】
イオン対とゲスト分子の溶解と精製は構造間で変化する:IRMOP−50及びIRMOP−51の立方体形状の双方が、細孔構造内に配置された十分な残留電子密度を有する;しかし、ゲスト分子は全体の構造と同じ対称性を有さないので、これらのゲストの正確な同一性は、化学的に妥当なモデルに適合しない。PLATONのバイパス手順を使用して回折データから除去されたゲスト及び対イオンの寄与分を用いて、IRMOP−50の構造モデルを精製した。従って、IRMOP−50及びIRMOP−51の立方体形状の式は、アニオン性切頭四面体断片のみに一致する。
【0051】
残留構造用に、総ての対イオンと、いくらかのゲスト分子を同定及び精製した。総ての残留溶媒が接近可能空隙をPLATONを使用して計算した。ここでは、1.2Åの構造モデルのファンデルワールス表面内に見出される空間の容量を考慮して、40Å及び100Åの参照ゲスト容量を水及びピリジンにそれぞれ与える。
【0052】
IRMOP−51の三斜晶形状に対して、四面体断片(単位格子当たり2)に加えて、総てのジメチルアンモニウム対イオン(単位格子当たり16)及びほとんどのゲスト分子(単位格子当たりDMF23、ピリジン19、及び水16)を構造上分解した。これらは、単位格子容積(16,878.6Å)の87.3%の割合を占める。大きな熱運動に起因して、いくらかのゲスト分子、特にDMFを拘束状態下で精製した。構造モデル内の残存空隙スペース(12.7%)は、容積873Å及び505Åの2つのポケット(0,0,0及び1,0,0.50)に局在しており、これは、ほぼ8又は5のDMF又はピリジン分子それぞれに相当する。
【0053】
IRMOP−52に対して、四面体断片(単位格子当たり4)に加えて、総てのジメチルアンモニウム対イオン(単位格子当たり32)及びほとんどのゲスト分子(単位格子当たりDMF24、ピリジン40、及び水32)を分解した。これらは、単位格子容積(35,418.0Å)の85.6%の割合を占める。それらの大きな熱運動に起因して、これらのゲストのほとんどを拘束条件下で等方的に精製した。構造モデル内の残存空隙スペース(14.4%)は、2つのポケット(0.137,0.333,0.164及び0,0.831,0.250)及び380Å及び472Åの容積を有する対称性によって関連する部位に局在しており、これは、ほぼ3又は4の追加DMF又はピリジン分子それぞれに相当する。
【0054】
IRMOP−53について、四面体断片(ユニットセル当たり2)に加えて、総てのジメチルアンモニウム対イオン(ユニットセル当たり16)及びいくつかのゲスト分子(ユニットセル当たり14ピリジン)を構造モデル上分解し、未同定電子密度を水の酸素(ユニットセル当たり30水分子)として共にモデルにした。上記種は、55.6%のユニットセル容積(26,568.0Å)の割合を占めた。低いデータ解像度(0.8Å)、不規則、及び散漫散乱に起因して、残留空隙空間(44.4%)をうまくモデルにならなかった。
【0055】
MOP−54について、ヘテロ立方体断片(ユニットセル当たり4)に加えて、総てのジメチルアンモニウム対イオン(ユニットセル当たり32)及びゲスト分子の大多数(ユニットセル当たり16DMF及び8ピリジン)を構造モデル上分解し、未同定電子密度を水の酸素(ユニットセル当たり100水分子)と共にモデルにした。上記種は、94.0%のユニットセル容積(29,512.0Å)の割合を占めた。構造モデルの残存する空隙空間(6.0%)は一のポケット(0.500、0.750、0.125)と、約2の付加DMF又はピリジン分子に相当する282Åの容積によって対称性に関連する部位に局在化される。
【0056】
磁気測定。
固相磁気測定を、Quantum Design MPMS−2S SQUID磁力計を使用して行った。ほぼ10mgの排出サンプルを、不活性雰囲気下でサンプル容器に入れ、磁力計内に入れた。5、10、50、150、及び250Kでのデータについて、磁化対場のプロットは、15kGまで直線であることが分かった。これによって、可変温度磁気感受性測定を5kGの定磁場で、5〜300Kの温度範囲で実施した。64の全データポイントを各サンプルについて収集した。サンプル容器からの反磁性貢献を補正することに加えて、コア反磁性補正をパスカルの定数に基づいて各化合物について計算し、分子常磁性感受性を得た。
【0057】
気体収着等温線(0〜1bar)。
クロロホルム中のMOPのサンプルをピペットで石英バケツに移し、上記の収着装置で懸濁した。これ以上の重量ロスが生じなくなるまで、適切な温度及び10−3torrで、過剰の溶媒を結晶から除去した。N及びAr等温線(−195℃)に液体窒素を使用し、アセトン/ドライアイススラッシュをCO等温線(−78℃)に使用した。使用されたN及びAr気体はUHP等級であり;COは純度99.8%であった。無水GC等級(99.8%)として、Aldrich Chemical Co社からベンゼンを購入した。
【0058】
質量、圧力及び温度をモニターする間、吸着質をサンプルに投与した。質量が0.01mg/300sec以下まで変化するときに、等温線データポイント(Peq,Weq)を記録した。浮力について、総ての気体等温線データポイントを補正して、相対圧力に対してプロットした(p/p)。浮力補正は標準アルミホイル重量によって得られた等温線の傾き(mbuoy)から決定し、Wbuoy=Weq−mbuoy’Peqとして、平衡圧力−質量データポイントに適用した。0.005〜0.032P/Pの範囲内で、N等温線ポイントからBET表面積(A)を計算し、16.2Å/分子のN断面積とした。細孔内の吸着質の密度は等温線での純吸着質の密度と同じであると仮定して、Dubinin−Radushkevic方程式を外挿することによって細孔容積を決定した。容積当たりのベースで報告された総ての計算について、自由、中性ゲストを総て排除し、ユニットセル容積が排出の間、維持されると仮定した。
【0059】
水素収着等温線について、分子篩を入れたU字管で、気体多枝管を変形した。前記篩を、真空下で火炎加熱し、次いで、液体窒素浴に漬けた。サンプル室に入れる前に、UHP等級Hをこれらの篩に通した。
【0060】
気体収着等温線(0から35bar)。
50〜70mgの真空サンプルを上記の低圧収着装置内においたまま、〜40torrベンゼンで満たした。次いで、サンプル試験槽を窒素で外気圧にした。ベンゼンを満たしたサンプルを半球石英バケット(直径10mm、ほぼ30mg)に素早く移した。員荷バケットを石英ガラススプリングから吊して、Druck DPI 260圧力ゲージ及びPDCR 4010圧力変換器を装着したRuska Mass−Sorption System(モデル4403−800)に入れた。キャソメーター(感度0.02mm)がバケットの高さにそれ以上の変化を示さなくなるまで、一晩サンプルを真空にして、最初の高さ(質量)を記録した。システム圧力と温度とサンプル高さとをモニタする間、室温で前記サンプルにUHPメタンの投与を実質的に導入した。5分間隔でキャソメーターを読み、検出可能な変化を示さないとき、平衡であると仮定した。バネ定数(k>>0.500mg/mm、標準アルミホイル高さを有するサンプルごとに測定した)を基にして高さを重量に変換し、上述したように浮力を総てのデータポイントで補正して、増加圧力に対してプロットした。
【0061】
本発明の実施例を例示及び記載したが、これらの実施例は、本発明の総ての可能な形態を例示及び記載することを意図するものではない。むしろ、本明細書で使用される用語は、限定というよりむしろ説明のためのものであり、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々に変えることが出来ると理解される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、次の構造を提供する:金属有機多面体(”MOP”)を提供するのに使用される第2基礎単位(”SBU”)アプローチの略図。この方法は、(a)FeO(COクラスタ、(b)三角形プリズムSBU、(c)三角形SBUを生じる硫酸でキャップされた(a)及び(b)を使用する。これらのSBUは、(d)線状結合(BDC、BPDC、HPDC及びTPDC)又は(e)三角形状(BTB)結合のいずれかと共に、各々切頭四面体又はヘテロ立方多面体を生成する。各多面体内の球は、多面体の内部ファンデルワールス表面に接触することなく、キャビティ内に適合する最も大きな球の大きさを表す;
【図2】図2は、IRMOP−n(n=50〜53)及びMOP−n(n=54)の単結晶X線構造を提供する。球は図1のようである。総ての水素原子及びゲストを除外し、不規則原子の唯一の配向性は、明確にするために示されている;
【図3】図3は、IRMOP−51(四角形)、IRMOP−53(円形)、及びMOP−54(三角形)の気体及び有機蒸気収着等温線(黒点、収着;白点、脱着)を提供する。P/Pは、飽和圧力(P)に対する気体圧力(P)の比率である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質金属有機多面体において、
複数の金属クラスタであって、各金属クラスタが、
2つ又はそれ以上の金属イオン;と
前記金属有機多面体の重合を阻害するのに十分な数のキャッピング配位子;と
を具える金属クラスタと:
多面体の1又はそれ以上の頂点に配置された金属クラスタを有する多面体として記載することが出来る幾何学的形状に隣接する金属クラスタを結合する複数の多座結合配位子:と
を具え、前記金属有機多面体がテンプレート剤の非存在下において多孔質のままであることを特徴とする多孔質金属有機多面体。
【請求項2】
請求項1記載の多孔質金属有機多面体において、各金属クラスタが3つ又はそれ以上の金属イオンを含むことを特徴とする多孔質金属有機多面体
【請求項3】
請求項1記載の多孔質金属有機多面体において、前記キャッピング配位子がルイス塩基から成る群より選択されることを特徴とする多孔質金属有機多面体。
【請求項4】
請求項1記載の多孔質金属有機多面体において、前記キャッピング配位子が陰イオン性イオン類から成る群から選択された配位子であることを特徴とする多孔質金属有機多面体。
【請求項5】
請求項1記載の多孔質金属有機多面体において、前記キャッピング配位子が硫酸塩、硝酸塩、ハロゲン、リン酸塩、アミン及びこれらの混合物から成る群より選択されることを特徴とする多孔質金属有機多面体。
【請求項6】
請求項1記載の多孔質金属有機多面体において、前記金属有機多面体が,金属有機多面体1グラム当たりの細孔容積が約0.1cm/cmより大きいことを特徴とする多孔質金属有機多面体。
【請求項7】
請求項1記載の多孔質金属有機多面体において、前記金属イオンがMg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Sc3+、Y3+、Ti4+、Zr4+、Hf4+、V4+、V3+、V2+、Nb3+、Ta3+、Cr3+、Mo3+、W3+、Mn3+、Mn2+、Re3+、Re2+、Fe3+、Fe2+、Ru3+、Ru2+、Os3+、Os2+、Co3+、C2+、Rh2+、Rh、Ir2+、Ir、Ni2+、Ni、Pd2+、Pd、Pt2+、Pt、Cu2+、Cu、Ag、Au、Zn2+、Cd2+、Hg2+、Al3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Si4+、Si2+、Ge4+、Ge2+、Sn4+、Sn2+、Pb4+、Pb2+、As5+、As3+、As、Sb5+、Sb3+、Sb、Bi5+、Bi3+及びBiから成る群より選択されることを特徴とする多孔質金属有機多面体。
【請求項8】
請求項1記載の多孔質金属有機多面体において、前記複数の金属クラスタが式FeO(CO(SOを有することを特徴とする多孔質金属有機多面体。
【請求項9】
請求項1記載の多孔質金属有機多面体において、前記多座結合配位子が式I:
Y I
として表され、ここで、Xは、CO2−、CS2−、NO、SO及びこれらの組み合わせであり;nは2又はそれ以上の整数であり;Yは炭化水素基又は1つ若しくはそれ以上の原子がヘテロ原子によって置換された炭化水素基であることを特徴とする多孔質金属有機多面体。
【請求項10】
請求項9記載の多孔質金属有機多面体において、XがCO2−であることを特徴とする
多孔質金属有機多面体。
【請求項11】
請求項9記載の多孔質金属有機多面体において、Yが単環式芳香族環、多環式芳香族環、1から10個の炭素を有するアルキル基、及びこれらの組み合わせから成る群より選択された部分を具えることを特徴とする多孔質金属有機多面体。
【請求項12】
請求項9記載の多孔質金属有機多面体において、Yがアルキル、アルキルアミン、アリールアミン、アラルキルアミン、アルキルアリールアミン、又はフェニルであることを特徴とする多孔質金属有機多面体。
【請求項13】
請求項9記載の多孔質金属有機多面体において、YがC1〜10アルキル、C1〜10アルキルアミン、C7〜15アリールアミン、C7〜15アラルキルアミン、又はC7〜15アルキルアリールアミンであることを特徴とする多孔質金属有機多面体。
【請求項14】
請求項1記載の多孔質金属有機多面体において、前記多座結合配位子が式II:


で表され、前記多孔質金属有機多面体が式[NH(CH[Fe12(BPDC)(SO12(py)12]を有することを特徴とする多孔質金属有機多面体。
【請求項15】
請求項1記載の多孔質金属有機多面体において、前記多座結合配位子が式III:


で表され、前記多孔質金属有機多面体が式[NH(CH[Fe12(HPDC)(SO12(py)12]を有することを特徴とする多孔質金属有機多面体。
【請求項16】
請求項1記載の多孔質金属有機多面体において、前記多座結合配位子が式IV:


で表され、多孔質金属有機多面体が式[NH(CH[Fe12(BTB(SO12(py)12]を有し;又は、
前記多座結合配位子が式V:


で表され、前記多孔質金属有機多面体が式[NH(CH[Fe12(TPDC(SO12(py)12](IRMOP−53)を有し;又は、
多座結合配位子が式VI:


で表され、多孔質金属有機多面体が式[NH(CH[Fe12(BDC(SO12(py)12](IRMOP−50)を有することを特徴とする多孔質金属有機多面体。
【請求項17】
請求項1記載の多孔質金属有機多面体が、吸着された化学種を更に含むことを特徴とする多孔質金属有機多面体。
【請求項18】
請求項17記載の多孔質金属有機多面体において、前記吸着された化学種が、アンモニア、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、アミン、メタン、酸素、アルゴン、窒素、アルゴン、有機染料、多環式有機分子、及びこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする多孔質金属有機多面体。
【請求項19】
請求項1記載の多孔質金属有機多面体が、ゲスト種を更に含むことを特徴とする多孔質金属有機多面体。
【請求項20】
請求項19記載の多孔質金属有機多面体において、前記ゲスト種が100g/mol以下の分子量を有する有機分子、300g/mol以下の分子量を有する有機分子、600g/mol以下の分子量を有する有機分子、600g/molより大きい分子量を有する有機分子、少なくとも1つの芳香族環を有する有機分子、多環式芳香族炭化水素及び式M、ここで、Mは金属イオンであり、Xは14族から17族アニオンから成る群より選択され、mは1から10の整数であり、nは金属クラスタが予定の電荷を有するように金属クラスタの電荷バランスをとるために選択された数である、を有する金属錯体、及びこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする多孔質金属有機多面体。
【請求項21】
多孔質金属有機多面体を形成する方法において、前記方法が:
溶媒と、1つ又はそれ以上の金属イオンと;キャッピング配位子として前記多孔質金属有機多面体を錯化する対イオンとを含む溶液を;
芳香族環に含まれる16個以上の原子を有する多座結合配位子と混合するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21記載の方法において、前記1つ又はそれ以上の金属イオンがMg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Sc3+、Y3+、Ti4+、Zr4+、Hf4+、V4+、V3+、V2+、Nb3+、Ta3+、Cr3+、Mo3+、W3+、Mn3+、Mn2+、Re3+、Re2+、Fe3+、Fe2+、Ru3+、Ru2+、Os3+、Os2+、Co3+、C2+、Rh2+、Rh、Ir2+、Ir、Ni2+、Ni、Pd2+、Pd、Pt2+、Pt、Cu2+、Cu、Ag、Au、Zn2+、Cd2+、Hg2+、Al3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Si4+、Si2+、Ge4+、Ge2+、Sn4+、Sn2+、Pb4+、Pb2+、As5+、As3+、As、Sb5+、Sb3+、Sb、Bi5+、Bi3+、Bi及びこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項21記載の方法において、前記対イオンがルイス塩基類から成る群より選択されることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項21記載の方法において、前記対イオンが硫酸塩、硝酸塩、ハロゲン、リン酸塩、アミン及びこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項21記載の方法において、前記多座結合が式I:
Y I
ここで、XはCO、CS、NO、SO及びこれらの組み合わせであり;
nは2に等しい又は2より大きい整数であり;
Yは炭化水素基又は1つ若しくはそれ以上の原子がヘテロ原子によって置換された炭化水素基である、
によって表されることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項21記載の方法において、前記溶媒がアンモニア、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、ナフタレン、チオフェン、ピリジン、アセトン、1,2−ジクロロエタン、メチレンクロライド、テトラヒドロフラン、エタノールアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、メタノール、エタノール、プロパンノール、アルコール類、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、ブロモホルム、ジブロモメタン、ヨードホルム、ジヨードメタン、ハロゲン化有機溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリジノン、アミド溶媒、メチルピリジン、ジメチルピリジン、ジエチルエーテル、及びこれらの混合物から選択された成分を具えることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項21記載の方法において、前記溶液がテンプレート剤を更に具えることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項27記載の方法において、前記テンプレート剤が:
a.アルキルアミン、及び線状、分枝状又は環状脂肪族基を含み、1から20個の炭素原子を有するアルキルアミンに相当するアルキルアンモニウム塩;と
b.アリールアミン、及び1から5個のフェニル環を有するアリールアミンに相当するアリールアンモニウム塩;と
c.線状、分枝状又は環状脂肪族基を含み、1から20個の炭素原子を有するアルキルホスホニウム塩;と
d.1から5個のフェニル環を有するアリールホスホニウム塩;と
e.アルキル有機酸及び線状、分枝状又は環状脂肪族基を含み、1から20個の炭素原子を有するアルキル有機酸塩に相当する塩;と
f.アリール有機酸、及び1から5個のフェニル環を有するアリール有機酸に相当する塩;と
g.線状、分枝状又は環状脂肪族基を含み、1から20個の炭素原子を有する脂肪族アルコール;と
h.1から5個のフェニル環を有するアリールアルコール;と
i.硫酸、硝酸、亜硝酸、亜硫酸、亜硫酸水素、リン酸、リン酸水素、リン酸二水素、二リン酸、三リン酸、亜リン酸、塩化物、塩素酸、臭化物、臭素酸、ヨウ化物、ヨウ素酸、炭酸、重炭酸、O2−、硫化物、硫酸水素、セレン化物、セレン酸、セレン酸水素、テルル化物、テルル酸、テルル酸水素、窒化物、リン化物、ヒ化物、ヒ酸、ヒ酸水素、ヒ酸二水素、アンチモン化物、アンチモン酸、アンチモン酸水素、アンチモン酸二水素、フッ化物、ホウ化物、ホウ酸、ホウ酸水素、過塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、過ホウ素酸、亜ホウ素酸、次亜ホウ素酸、過ヨウ素酸、亜要素酸、次亜要素酸から成る群より選択された無機アニオンと当該無機アニオンに相当する酸及び塩;と
j.アンモニア、二酸化炭素、メタン、酸素、アルゴン、窒素、エチレン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、ナフタレン、チオフェン、ピリジン、アセトン、1,2−ジクロロエタン、メチレンクロライド、テトラヒドロフラン、エタノールアミン、トリエチルアミン、トリフルオロメチルスルホン酸、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、ブロモホルム、ジブロモメタン、ヨードホルム、ジヨードメタン、ハロゲン化有機溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリジノン、アミド溶媒、メチルピリジン、ジメチルピリジン、ジエチルエーテル、及びこれらの混合物;と
から成る群より選択されることを特徴とする方法。
【請求項29】
多孔質金属有機多面体を設計する方法において、前記方法が、
式I:
(XY) I
ここで、XはCO、CS、NO、SO及びこれらの組み合わせであり;
nは2に等しい又は2より大きい整数であり;
Yは炭化水素基又は1つ若しくはそれ以上の原子がヘテロ原子によって置換された炭化水素基である、
で表されるような第1多座配位子を選択するステップと;
前記第1多座配位子で第1金属有機多面体を形成するステップと;
前記第1金属有機多面体に対する化学種の細孔寸法又は吸着量を測定するステップと;
第2多座配位子から第2の第1金属有機多面体を形成するステップであって、前記第2多座配位子が前記第1多座配位子より多数の原子を有するステップと;
前記第2金属有機多面体に対する化学種の細孔寸法又は吸着量を測定するステップと;
化学種の吸着のために予定された細孔寸法に達するまで、増大する原子数を伴う別の第2配位子から別の第2多座配位子を反復して形成するステップと;
を具えることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−518707(P2007−518707A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542821(P2006−542821)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/040658
【国際公開番号】WO2006/028479
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パイレックス
【出願人】(501279741)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン (22)
【Fターム(参考)】