金属製型枠パネル
【課題】 金属製型枠パネルの組み立て時において2人一組の施工体制でなく一人で施工でき、また、作業スペースが取れない狭小地、隣接地、隣接構造物が迫り作業スペースが十分に取れないところでも型枠パネル組み立て施工ができる型枠パネルを提供する。
【解決手段】 金属板体を屈曲させてリブ101を所定の間隔で形成し、該リブ101の底面に所定の間隔でC型スリット102を設けた土木建築用躯体コンクリートの立面を構成する型枠の堰板として用いる金属製型枠パネルにおいて、C型スリット102の幅寸法は、セパレーター2を締付けた際にパネル内側面に接面してセパレーター2を固定するセパレーター丸座金202が挿通可能な幅寸法であり、リブ101は、セパレーター2を固定する際、リブ101の空隙を埋める又状スペーサー4が嵌合可能な溝形状にする。
【解決手段】 金属板体を屈曲させてリブ101を所定の間隔で形成し、該リブ101の底面に所定の間隔でC型スリット102を設けた土木建築用躯体コンクリートの立面を構成する型枠の堰板として用いる金属製型枠パネルにおいて、C型スリット102の幅寸法は、セパレーター2を締付けた際にパネル内側面に接面してセパレーター2を固定するセパレーター丸座金202が挿通可能な幅寸法であり、リブ101は、セパレーター2を固定する際、リブ101の空隙を埋める又状スペーサー4が嵌合可能な溝形状にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は土木建築工事においてコンクリート型枠の堰板に使用される金属製型枠パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保護の観点から、木材を使用した合板製の型枠パネルに代わり、金属製型枠パネルが普及してきている中、例えば、特許文献1に記載の技術が提供されている。該文献1に記載の「捨て型枠パネル」は、従来の木合板製型枠に使われているセパレーターや締結具といった金具を金属製の型枠においても利用することができるように金属板に複数のリブを形成し、そのリブ幅が締結具のフランジ外径よりも幅狭に設定されるとともに、該リブの深さが木合板型枠パネルの厚みと同等に設定されている。これにより、フランジがリブ面に引っ掛かるので、従来の合板型枠用の金具が金属製型枠パネルにもそのまま利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3560767号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種の金属製型枠パネルを使用した従来技術は、従来の木合板製型枠パネル1’用の組立方法および金具部品をそのまま流用することに重点が置かれているために、木合板型枠パネル1’に設けられたセパレーター2用の挿通孔の内周面に接触してセパレーター2の空回りを防止するセパレーター2廻り止め用の突片203(図10参照。)を、金属製型枠の組立にそのまま流用しようとすると、締結具3のフランジ301の外径よりリブ幅を狭くしているが故に、木合板型枠パネル1’用のセパレーター2の廻り止め用突片203が、金属製型枠パネル1”に設けられたリブの凹部内で遊んだ状態になってしまい(図11参照。)、セパレーター2が空回りしないようにするという廻り止め突片203の効果を発揮できないでいた。よって、セパレーター2の一端の雄ネジ部201に締結具3を螺合する作業員と、セパレーター2のもう一端を把持して空回りを防止する作業員の計2人の作業員が必要であった。
【0005】
また、セパレーターの丸座金202がセパレーター2用の挿通孔の外径よりも大きいために、金属製型枠パネル1”の外側からセパレーター2を挿通することはできず、セパレーター2の挿通及び固定作業が非常に面倒であった。
【0006】
そこで、本願発明は、一人でも容易に設置できるコンクリート型枠用の金属製型枠パネルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、次のように構成した。すなわち、本発明に係る請求項1に記載の金属製型枠パネルは、金属板体を屈曲させてリブを所定の間隔で形成し、該リブの底面に所定の間隔でC型スリットを設けた土木建築用躯体コンクリートの立面を構成する型枠の堰板として用いる金属製型枠パネルにおいて、前記C型スリットの幅寸法は、セパレーターを締付けた際にパネル内側面に接面してセパレーターを固定するセパレーター丸座金が挿通可能な幅寸法であり、前記リブは、セパレーターを固定する際、リブの空隙を埋める又状スペーサーが嵌合可能な溝形状であることを特徴としている。
【0008】
また、請求項2記載の金属製型枠パネルは、金属板体を屈曲させてリブを所定の間隔で形成し、該リブの底面に所定の間隔でC型スリットを設けた土木建築用躯体コンクリートの立面を構成する型枠の堰板として用いる金属製型枠パネルにおいて、前記リブ底面の幅寸法は、セパレーター用多角座金が前記リブの底面に押し込まれて嵌合し、セパレーターの空回りを防止する程度の幅寸法であり、前記C型スリットは、前記セパレーター用多角座金の幅寸法よりも幅狭であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る金属製型枠パネルによれば、セパレーターの突片が又状スペーサーの又内側に接触して空回りを防止するので、対面側で把持するための作業員が不要になり、また、一対の金属製型枠パネルの一方の外側からセパレーターを挿通することができるので、一人でも組立てることが可能になる。これにより、従来の金属製型枠パネルより作業人員を半減することができ、工期の飛躍的な短縮化及び施工コストの削減を実現することができる。
【0010】
また、本金属製型枠パネルによれば、セパレーター用多角座金を使用してコンクリート型枠の組立作業をする際、金属製型枠パネルの外側に組立作業スペースがなくとも、内側からセパレーターを螺合することができるので、一人で容易にコンクリート型枠を組み立てることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る金属製型枠パネルを用いたコンクリート型枠を示す斜視図である。
【図2】該金属製型枠パネルを示す断面図及び正面図である。
【図3】該金属製型枠パネルにセパレーターを固定する様子を示す斜視図である。
【図4】該金属製型枠パネルにセパレーターを固定した状態を示す平面視断面図である。
【図5】該金属製型枠パネルに六角座金を使用してセパレーターを固定する様子を示す斜視図である。
【図6】六角座金を示す斜視図である。
【図7】六角座金を使用してコンクリート型枠を組み立てる際のセパレーターを示す斜視図である。
【図8】該金属製型枠パネルに六角座金を使用してセパレーターを固定する様子を示す平面視断面図である。
【図9】コンクリート型枠を設置した状態を示す図である。
【図10】従来の木製型枠パネルにセパレーターを固定した状態を示す平面視断面図である。
【図11】従来の金属製型枠パネルにセパレーターを固定した状態を示す平面視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の形態について、以下に示す実施例に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
まず、本発明に係る金属製型枠パネル1を使用したコンクリート型枠の組立てについて、その斜視図である図1を用いて簡潔に説明する。捨てコンクリートα又は床部スラブコンクリート上に引かれた墨出しラインに合わせランナーβを設置し、コンクリート釘で固定する。そして、該ランナー上に一対の金属製型枠パネル1を向い合せに建て込み、締結具3と又状スペーサー4を用いてセパレーター2を金属製型枠パネル1に固設した後、金属製型枠パネル1の外側面に補強用の鋼管γを取り付けて、コンクリート型枠を組立てる。以下、図2乃至図4を用いて、該金属製型枠パネル1の実施例1を具体的に説明する。
【0014】
図2(a)は、本発明の金属製型枠パネル1を示す断面図であり、図2(b)は、その正面図である。該金属製型枠パネル1は、高耐食溶融めっき鋼板を加工成形したものであり、断面をコ字形にした上下方向のリブ101が一定の間隔で複数設けられている。また、各リブ101の凹底面には、一定の間隔でリブ101の凹底面の幅方向とほぼ同じ長さの直径を有する円形状のC型スリット102が複数形成されている。該円形状のC型スリット102に囲まれた部分を押圧すると、セパレーター2を挿通するための孔を開けることができる。セパレーター2を挿通しない箇所はそのまま閉じておけばよい。
【0015】
図3は、リブ101に形成したC型スリット102部分を拡大して示した斜視図であり、セパレーター2及び締結具3を金属製型枠パネル1に固定する様子を示している。なお、該図3において、金属製型枠パネル1の奥側、すなわちセパレーター2の側がコンクリートを充填する内側であり、金属製型枠パネル1の手前側、すなわち締結具3の側が外側である。また、セパレーター2は、金属製の棒状体であって、その両端には締結具3と螺合するための雄ネジ部201、丸座金202、突片203が形成されている(一端のみを図示。)。締結具3は、金属製の棒状体であって、その金属製型枠パネル1の外側面と接面するように形成されたフランジ301の内側に、前記セパレーター2の雄ネジ部201と螺合するための雌ネジ部(図示せず。)が設けられている。
【0016】
また、又状スペーサー4は、合成樹脂製ブロックの下端に又部が形成されるとともに、金属製型枠パネル1と接する面が、リブ101の底面部と同じ幅寸法或いは若干幅広で形成されている。このような幅寸法に又状スペーサー4を構成することにより、リブ101の底面部に接面した際に、又状スペーサー4の水平方向へのズレを防止することができる。なお、リブ101の溝形状と同じ形状で又状スペーサー4を形成すれば、リブ101に形状に沿って嵌合することができるので、より強固に又状スペーサー4を固定することができる。
【0017】
セパレーター2及び締結具3を金属製型枠パネル1に固定するには、まず、セパレーター2のネジ部201に締結具3のフランジ301の内側の雌ネジ部を軽くねじ込み、前記ネジ部201と仮固定する。丸座金202より大きな外径のC型スリット102を押し込むことにより、金属製型枠パネル1にセパレーター2を挿通する孔が開けられるので、外側よりセパレーター2を挿入し、手前側の丸座金202が金属製型枠パネル1の該孔を通過したらすぐに又状スペーサー4を上側よりセパレーター2を挟み込むように差し込む。締結具3を回転させると突片203が又状スペーサー4の又内側面に接触し、セパレーター2の空回りが固定される。また、重力により該孔の下端にセパレーター2が落ち込んで接触するので、丸座金202の下部が金属製型枠パネル1に接面し、締結具3を回し続けると又状スペーサー4を挟み込んで、金属製型枠パネル1とセパレーター2の丸座金202が固定され、図4に示すように、セパレーター2が金属製型枠パネル1の面に対して垂直に固定される。
【0018】
以上のように、C型スリット102を丸座金202よりも幅広に構成することにより、一方からセパレーター2を挿通することが可能となり、また、リブ101の底面を又状スペーサー4が嵌め込み可能な幅寸法に構成したことにより、セパレーター2と締結具3を螺合する際の空回りを防止することができる。よって、一人でも容易にコンクリート型枠を組立てることができる。
【実施例2】
【0019】
図5は、六角座金5を用いて組立てた型枠の斜視図である。金属製型枠パネル1のリブ101の底面部には、前記実施例1と同様に、C型スリット102が形成されている。実施例2のコンクリート型枠は、該金属製型枠パネル1、図6に示す六角座金5及び図7に示すセパレーター2を用いて組立てられる。
【0020】
図6に示すように、六角座金5のw部幅寸法は、例えば20.8mm程度とされ、土木用や建築用などの用途に応じてネジ径の違うセパレーターが流通しているが、どちらの用途であっても、六角座金5のw部幅寸法は、作業工具の統一を考慮されて外径は同じ寸法のものが使用されている。したがって、土木用、建築用の異種のネジ径を持つセパレーターであっても、金属製型枠パネル1において使用することができる。金属製型枠パネル1のリブ101底面部の幅寸法は、該w部幅寸法と同程度か若干幅狭に形成されており、六角座金5を嵌合することができる。
【0021】
また、図7に示すセパレーター2には、前記六角座金5と金属製型枠パネル1を挟んで螺合するための雄ネジ部201と、螺合する際に金属製型枠パネル1の内側に接面して、六角座金5と金属製型枠パネル1を挟み込む丸座金202が形成されている。
【0022】
次に、この金属製型枠パネル1、セパレーター2及び六角座金5を使用したコンクリート型枠の組立て方について、セパレーター2の固定方法を図8を用いて具体的に説明する。図8の(a)乃至(d)は、その様子を示す平面視断面図である。まず、金属製型枠パネル1のC型スリット102を押圧して、セパレーター2の雄ネジ部201が挿通できる孔を開口させるとともに、その孔上に金属製型枠パネル1の外側から六角座金5を接面させる(図8(a))。次に、金属製型枠パネル1の内側から、セパレーター2の雄ネジ部201を前記孔及び六角座金5のネジ孔に挿通し(図8(b))、セパレーター2を内側に引くように回しながら、セパレーター2を螺合させていく(図8(c))。
【0023】
これにより、外側の六角座金5は、リブ101の底面に固定されているので、セパレーター2が空回りすることなく、内側から一人で容易にセパレーター2を固定することができる(図8(d))。なお、六角座金5を金属製型枠パネル1の外側、リブ101の底面に接着剤等で固着しておいてもよい。
【0024】
図9に示すように、土地有効活用のため、狭小地、境界線、隣接構造物の影響で、作業スペース幅sが型枠の両側に確保されるべきのところ、近隣の壁面が迫っており十分な作業スペースが確保出来ない場合がある。このような場合、金属製型枠パネル1を捨てコンクリート11上に設置したランナーβに建て込んだ後、作業スペースs側よりセパレーター2に六角座金5をあらかじめセットしたものを金属製型枠パネル1のC型スリット102を押し込んで開口させた孔に差し込み、t側の六角座金5にねじ込み固定する。スペースtが作業スペースとしては狭くても、金属製型枠パネルの外側(t側)に六角座金5をセットすれば、内側からセパレーター2を回すことにより、容易にセパレーター2を固定することができる。
【0025】
そして、作業スペースが十分にあるs側においては、通常通り鋼管を建て込みパイプサポート6等で支持し、型枠の通りの調整及びコンクリート打設時の型枠変形に対して支持する。また十分なスペースのないt側においてはアングル綱等を捨て材として使用し、tの空間にはコンクリート打設前に土砂12を埋め戻しておいてもよく、最後にコンクリート11を打設する。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、土木建築用だけでなくコンクリート構造物全般の型枠工事に利用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 金属製型枠パネル
1’ 木製型枠パネル
1” 従来の金属製型枠パネル
101 リブ
102 C型スリット
2 セパレーター
201 ネジ部
202 丸座金
203 突片
3 締結具
301 フランジ
4 又状スペーサー
5 六角座金
6 パイプサポート
11 コンクリート
12 土砂
α 捨てコンクリート
β ランナー
γ 鋼管
A 間隙
s 作業スペース
t 空間
【技術分野】
【0001】
本発明は土木建築工事においてコンクリート型枠の堰板に使用される金属製型枠パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保護の観点から、木材を使用した合板製の型枠パネルに代わり、金属製型枠パネルが普及してきている中、例えば、特許文献1に記載の技術が提供されている。該文献1に記載の「捨て型枠パネル」は、従来の木合板製型枠に使われているセパレーターや締結具といった金具を金属製の型枠においても利用することができるように金属板に複数のリブを形成し、そのリブ幅が締結具のフランジ外径よりも幅狭に設定されるとともに、該リブの深さが木合板型枠パネルの厚みと同等に設定されている。これにより、フランジがリブ面に引っ掛かるので、従来の合板型枠用の金具が金属製型枠パネルにもそのまま利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3560767号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種の金属製型枠パネルを使用した従来技術は、従来の木合板製型枠パネル1’用の組立方法および金具部品をそのまま流用することに重点が置かれているために、木合板型枠パネル1’に設けられたセパレーター2用の挿通孔の内周面に接触してセパレーター2の空回りを防止するセパレーター2廻り止め用の突片203(図10参照。)を、金属製型枠の組立にそのまま流用しようとすると、締結具3のフランジ301の外径よりリブ幅を狭くしているが故に、木合板型枠パネル1’用のセパレーター2の廻り止め用突片203が、金属製型枠パネル1”に設けられたリブの凹部内で遊んだ状態になってしまい(図11参照。)、セパレーター2が空回りしないようにするという廻り止め突片203の効果を発揮できないでいた。よって、セパレーター2の一端の雄ネジ部201に締結具3を螺合する作業員と、セパレーター2のもう一端を把持して空回りを防止する作業員の計2人の作業員が必要であった。
【0005】
また、セパレーターの丸座金202がセパレーター2用の挿通孔の外径よりも大きいために、金属製型枠パネル1”の外側からセパレーター2を挿通することはできず、セパレーター2の挿通及び固定作業が非常に面倒であった。
【0006】
そこで、本願発明は、一人でも容易に設置できるコンクリート型枠用の金属製型枠パネルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、次のように構成した。すなわち、本発明に係る請求項1に記載の金属製型枠パネルは、金属板体を屈曲させてリブを所定の間隔で形成し、該リブの底面に所定の間隔でC型スリットを設けた土木建築用躯体コンクリートの立面を構成する型枠の堰板として用いる金属製型枠パネルにおいて、前記C型スリットの幅寸法は、セパレーターを締付けた際にパネル内側面に接面してセパレーターを固定するセパレーター丸座金が挿通可能な幅寸法であり、前記リブは、セパレーターを固定する際、リブの空隙を埋める又状スペーサーが嵌合可能な溝形状であることを特徴としている。
【0008】
また、請求項2記載の金属製型枠パネルは、金属板体を屈曲させてリブを所定の間隔で形成し、該リブの底面に所定の間隔でC型スリットを設けた土木建築用躯体コンクリートの立面を構成する型枠の堰板として用いる金属製型枠パネルにおいて、前記リブ底面の幅寸法は、セパレーター用多角座金が前記リブの底面に押し込まれて嵌合し、セパレーターの空回りを防止する程度の幅寸法であり、前記C型スリットは、前記セパレーター用多角座金の幅寸法よりも幅狭であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る金属製型枠パネルによれば、セパレーターの突片が又状スペーサーの又内側に接触して空回りを防止するので、対面側で把持するための作業員が不要になり、また、一対の金属製型枠パネルの一方の外側からセパレーターを挿通することができるので、一人でも組立てることが可能になる。これにより、従来の金属製型枠パネルより作業人員を半減することができ、工期の飛躍的な短縮化及び施工コストの削減を実現することができる。
【0010】
また、本金属製型枠パネルによれば、セパレーター用多角座金を使用してコンクリート型枠の組立作業をする際、金属製型枠パネルの外側に組立作業スペースがなくとも、内側からセパレーターを螺合することができるので、一人で容易にコンクリート型枠を組み立てることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る金属製型枠パネルを用いたコンクリート型枠を示す斜視図である。
【図2】該金属製型枠パネルを示す断面図及び正面図である。
【図3】該金属製型枠パネルにセパレーターを固定する様子を示す斜視図である。
【図4】該金属製型枠パネルにセパレーターを固定した状態を示す平面視断面図である。
【図5】該金属製型枠パネルに六角座金を使用してセパレーターを固定する様子を示す斜視図である。
【図6】六角座金を示す斜視図である。
【図7】六角座金を使用してコンクリート型枠を組み立てる際のセパレーターを示す斜視図である。
【図8】該金属製型枠パネルに六角座金を使用してセパレーターを固定する様子を示す平面視断面図である。
【図9】コンクリート型枠を設置した状態を示す図である。
【図10】従来の木製型枠パネルにセパレーターを固定した状態を示す平面視断面図である。
【図11】従来の金属製型枠パネルにセパレーターを固定した状態を示す平面視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の形態について、以下に示す実施例に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
まず、本発明に係る金属製型枠パネル1を使用したコンクリート型枠の組立てについて、その斜視図である図1を用いて簡潔に説明する。捨てコンクリートα又は床部スラブコンクリート上に引かれた墨出しラインに合わせランナーβを設置し、コンクリート釘で固定する。そして、該ランナー上に一対の金属製型枠パネル1を向い合せに建て込み、締結具3と又状スペーサー4を用いてセパレーター2を金属製型枠パネル1に固設した後、金属製型枠パネル1の外側面に補強用の鋼管γを取り付けて、コンクリート型枠を組立てる。以下、図2乃至図4を用いて、該金属製型枠パネル1の実施例1を具体的に説明する。
【0014】
図2(a)は、本発明の金属製型枠パネル1を示す断面図であり、図2(b)は、その正面図である。該金属製型枠パネル1は、高耐食溶融めっき鋼板を加工成形したものであり、断面をコ字形にした上下方向のリブ101が一定の間隔で複数設けられている。また、各リブ101の凹底面には、一定の間隔でリブ101の凹底面の幅方向とほぼ同じ長さの直径を有する円形状のC型スリット102が複数形成されている。該円形状のC型スリット102に囲まれた部分を押圧すると、セパレーター2を挿通するための孔を開けることができる。セパレーター2を挿通しない箇所はそのまま閉じておけばよい。
【0015】
図3は、リブ101に形成したC型スリット102部分を拡大して示した斜視図であり、セパレーター2及び締結具3を金属製型枠パネル1に固定する様子を示している。なお、該図3において、金属製型枠パネル1の奥側、すなわちセパレーター2の側がコンクリートを充填する内側であり、金属製型枠パネル1の手前側、すなわち締結具3の側が外側である。また、セパレーター2は、金属製の棒状体であって、その両端には締結具3と螺合するための雄ネジ部201、丸座金202、突片203が形成されている(一端のみを図示。)。締結具3は、金属製の棒状体であって、その金属製型枠パネル1の外側面と接面するように形成されたフランジ301の内側に、前記セパレーター2の雄ネジ部201と螺合するための雌ネジ部(図示せず。)が設けられている。
【0016】
また、又状スペーサー4は、合成樹脂製ブロックの下端に又部が形成されるとともに、金属製型枠パネル1と接する面が、リブ101の底面部と同じ幅寸法或いは若干幅広で形成されている。このような幅寸法に又状スペーサー4を構成することにより、リブ101の底面部に接面した際に、又状スペーサー4の水平方向へのズレを防止することができる。なお、リブ101の溝形状と同じ形状で又状スペーサー4を形成すれば、リブ101に形状に沿って嵌合することができるので、より強固に又状スペーサー4を固定することができる。
【0017】
セパレーター2及び締結具3を金属製型枠パネル1に固定するには、まず、セパレーター2のネジ部201に締結具3のフランジ301の内側の雌ネジ部を軽くねじ込み、前記ネジ部201と仮固定する。丸座金202より大きな外径のC型スリット102を押し込むことにより、金属製型枠パネル1にセパレーター2を挿通する孔が開けられるので、外側よりセパレーター2を挿入し、手前側の丸座金202が金属製型枠パネル1の該孔を通過したらすぐに又状スペーサー4を上側よりセパレーター2を挟み込むように差し込む。締結具3を回転させると突片203が又状スペーサー4の又内側面に接触し、セパレーター2の空回りが固定される。また、重力により該孔の下端にセパレーター2が落ち込んで接触するので、丸座金202の下部が金属製型枠パネル1に接面し、締結具3を回し続けると又状スペーサー4を挟み込んで、金属製型枠パネル1とセパレーター2の丸座金202が固定され、図4に示すように、セパレーター2が金属製型枠パネル1の面に対して垂直に固定される。
【0018】
以上のように、C型スリット102を丸座金202よりも幅広に構成することにより、一方からセパレーター2を挿通することが可能となり、また、リブ101の底面を又状スペーサー4が嵌め込み可能な幅寸法に構成したことにより、セパレーター2と締結具3を螺合する際の空回りを防止することができる。よって、一人でも容易にコンクリート型枠を組立てることができる。
【実施例2】
【0019】
図5は、六角座金5を用いて組立てた型枠の斜視図である。金属製型枠パネル1のリブ101の底面部には、前記実施例1と同様に、C型スリット102が形成されている。実施例2のコンクリート型枠は、該金属製型枠パネル1、図6に示す六角座金5及び図7に示すセパレーター2を用いて組立てられる。
【0020】
図6に示すように、六角座金5のw部幅寸法は、例えば20.8mm程度とされ、土木用や建築用などの用途に応じてネジ径の違うセパレーターが流通しているが、どちらの用途であっても、六角座金5のw部幅寸法は、作業工具の統一を考慮されて外径は同じ寸法のものが使用されている。したがって、土木用、建築用の異種のネジ径を持つセパレーターであっても、金属製型枠パネル1において使用することができる。金属製型枠パネル1のリブ101底面部の幅寸法は、該w部幅寸法と同程度か若干幅狭に形成されており、六角座金5を嵌合することができる。
【0021】
また、図7に示すセパレーター2には、前記六角座金5と金属製型枠パネル1を挟んで螺合するための雄ネジ部201と、螺合する際に金属製型枠パネル1の内側に接面して、六角座金5と金属製型枠パネル1を挟み込む丸座金202が形成されている。
【0022】
次に、この金属製型枠パネル1、セパレーター2及び六角座金5を使用したコンクリート型枠の組立て方について、セパレーター2の固定方法を図8を用いて具体的に説明する。図8の(a)乃至(d)は、その様子を示す平面視断面図である。まず、金属製型枠パネル1のC型スリット102を押圧して、セパレーター2の雄ネジ部201が挿通できる孔を開口させるとともに、その孔上に金属製型枠パネル1の外側から六角座金5を接面させる(図8(a))。次に、金属製型枠パネル1の内側から、セパレーター2の雄ネジ部201を前記孔及び六角座金5のネジ孔に挿通し(図8(b))、セパレーター2を内側に引くように回しながら、セパレーター2を螺合させていく(図8(c))。
【0023】
これにより、外側の六角座金5は、リブ101の底面に固定されているので、セパレーター2が空回りすることなく、内側から一人で容易にセパレーター2を固定することができる(図8(d))。なお、六角座金5を金属製型枠パネル1の外側、リブ101の底面に接着剤等で固着しておいてもよい。
【0024】
図9に示すように、土地有効活用のため、狭小地、境界線、隣接構造物の影響で、作業スペース幅sが型枠の両側に確保されるべきのところ、近隣の壁面が迫っており十分な作業スペースが確保出来ない場合がある。このような場合、金属製型枠パネル1を捨てコンクリート11上に設置したランナーβに建て込んだ後、作業スペースs側よりセパレーター2に六角座金5をあらかじめセットしたものを金属製型枠パネル1のC型スリット102を押し込んで開口させた孔に差し込み、t側の六角座金5にねじ込み固定する。スペースtが作業スペースとしては狭くても、金属製型枠パネルの外側(t側)に六角座金5をセットすれば、内側からセパレーター2を回すことにより、容易にセパレーター2を固定することができる。
【0025】
そして、作業スペースが十分にあるs側においては、通常通り鋼管を建て込みパイプサポート6等で支持し、型枠の通りの調整及びコンクリート打設時の型枠変形に対して支持する。また十分なスペースのないt側においてはアングル綱等を捨て材として使用し、tの空間にはコンクリート打設前に土砂12を埋め戻しておいてもよく、最後にコンクリート11を打設する。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、土木建築用だけでなくコンクリート構造物全般の型枠工事に利用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 金属製型枠パネル
1’ 木製型枠パネル
1” 従来の金属製型枠パネル
101 リブ
102 C型スリット
2 セパレーター
201 ネジ部
202 丸座金
203 突片
3 締結具
301 フランジ
4 又状スペーサー
5 六角座金
6 パイプサポート
11 コンクリート
12 土砂
α 捨てコンクリート
β ランナー
γ 鋼管
A 間隙
s 作業スペース
t 空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板体を屈曲させてリブを所定の間隔で形成し、該リブの底面に所定の間隔でC型スリットを設けた土木建築用躯体コンクリートの立面を構成する型枠の堰板として用いる金属製型枠パネルにおいて、
前記C型スリットの幅寸法は、セパレーターを締付けた際にパネル内側面に接面してセパレーターを固定するセパレーター丸座金が挿通可能な幅寸法であり、
前記リブは、セパレーターを固定する際、リブの空隙を埋める又状スペーサーが嵌合可能な溝形状であることを特徴とする金属製型枠パネル。
【請求項2】
金属板体を屈曲させてリブを所定の間隔で形成し、該リブの底面に所定の間隔でC型スリットを設けた土木建築用躯体コンクリートの立面を構成する型枠の堰板として用いる金属製型枠パネルにおいて、
前記リブ底面の幅寸法は、セパレーター用多角座金が前記リブの底面に押し込まれて嵌合し、セパレーターの空回りを防止する程度の幅寸法であり、
前記C型スリットは、前記セパレーター用多角座金の幅寸法よりも幅狭であることを特徴とする金属製型枠パネル。
【請求項1】
金属板体を屈曲させてリブを所定の間隔で形成し、該リブの底面に所定の間隔でC型スリットを設けた土木建築用躯体コンクリートの立面を構成する型枠の堰板として用いる金属製型枠パネルにおいて、
前記C型スリットの幅寸法は、セパレーターを締付けた際にパネル内側面に接面してセパレーターを固定するセパレーター丸座金が挿通可能な幅寸法であり、
前記リブは、セパレーターを固定する際、リブの空隙を埋める又状スペーサーが嵌合可能な溝形状であることを特徴とする金属製型枠パネル。
【請求項2】
金属板体を屈曲させてリブを所定の間隔で形成し、該リブの底面に所定の間隔でC型スリットを設けた土木建築用躯体コンクリートの立面を構成する型枠の堰板として用いる金属製型枠パネルにおいて、
前記リブ底面の幅寸法は、セパレーター用多角座金が前記リブの底面に押し込まれて嵌合し、セパレーターの空回りを防止する程度の幅寸法であり、
前記C型スリットは、前記セパレーター用多角座金の幅寸法よりも幅狭であることを特徴とする金属製型枠パネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−6988(P2011−6988A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153689(P2009−153689)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(593023785)日新総合建材株式会社 (23)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(593023785)日新総合建材株式会社 (23)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]