説明

金属酸化物ハイブリダイズドビニル化合物、それを含む高分子、該高分子を含有する皮膚外用剤

【課題】 白ぽっさの目立たない、長波長紫外線を吸収する素材を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)に表される金属酸化物ハイブリダイズドビニル化合物を提供する。一般式(1)におけるXで表される金属原子としては、亜鉛が好ましく、一般式(1)に表される化合物としては、ビニルカルボン酸の存在下、金属酸化物を部分還元して得られる塩であることが好ましい。かかる金属酸化物ハイブリダイズドビニル化合物を構成単量体と高分子となす。かかる高分子としては、共重合体であることが好ましい。
【化1】


一般式(1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性高分子原料として有用な金属酸化物ハイブリダイズドビニル化合物、それを構成単量体として含む高分子、該高分子を含有する皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線が生体に及ぼす影響の大きさは、既に半世紀前よりも明らかにされ、近年に於いては、短波長紫外線ほどは生体に影響が少ないとされ、そのケアには尽力されていなかった長波長紫外線も、長期的な視野に立てば、生体に対する影響は少なくなく、例えば、長波長紫外線が長期間照射されれば、軽度の症状であればシワなどを形成し、光老化を発現し、重度であれば、悪性新生物の誘発にもなると言われている。この様な生化学的知見を背景に、長波長紫外線に対するケアの手段の開発が望まれるようになってきている。この様な長波長紫外線の有用な防護手段には、酸化亜鉛を用いることが考案されているが、酸化亜鉛は隠蔽性に優れるあまり、化粧仕上がりに於いて、真っ白になり、その使用量には制限が存した。これを反映して、酸化亜鉛の形状をコントロールして、白っぽさを目立たなくさせる技術(例えば、特許文献1を参照)或いは長波長紫外線を吸収する紫外線吸収剤を併用する方法(例えば、特許文献2、特許文献3を参照)などが考案されている。しかしながら、形状をいくらコントロールしても、それによる白っぽさのコントロールには自ずから限度が存し、紫外線吸収剤については、その使用量に於いて、安全性上の問題が存していると言わざるを得ない。
【0003】
一方、酸化亜鉛とアクリル酸又はメタクリル酸の反応物に於いては式3に示す。(メタ)アクリル酸亜鉛が知られており、アイオノマー樹脂の架橋構成因子として使用されている。(例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6、非特許文献1、非特許文献2を参照)しかしながら、該(メタ)アクリル酸亜鉛の部分還元体である一般式(1)に表される化合物については全く知られていない。従って、かかる化合物を構成単量体として含む重合体乃至は共重合体も全く知られていない。
【0004】
【化1】

一般式(1)
(但し、式中Xは3価乃至は2価の金属原子を表し、Oは酸素を表わし、破線の結合はあってもなくても良く、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
【0005】
【化2】

式(3)
(但し、式中R1は水素原子又は低級の炭化水素基を表す。)
【0006】
【特許文献1】特開2004-277289号公報
【特許文献2】特開2001-200238号公報
【特許文献3】特開2001-200237号公報
【特許文献4】特開2004-161640号公報
【特許文献5】特開2004-105680号公報
【特許文献6】特開2004-049700号公報
【非特許文献1】Lewandowski L et.al. , Pol Tyg Lek. 1980 Dec 8;35(49):1915-7
【非特許文献2】Flieger S. , Czas Stomatol. 1981 Aug;34(8):791-4
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、白ぽっさの目立たない、長波長紫外線を吸収する素材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、この様な状況に鑑みて、白ぽっさの目立たない、長波長紫外線を吸収する素材を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、一般式(1)に表される金属酸化物ハイブリダイズドビニル化合物の重合体乃至は共重合体がその様な特性を有していることを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
(1)前記一般式(1)に表される金属酸化物ハイブリダイズドビニル化合物。
(2)前記一般式(1)におけるXで表される金属原子が、亜鉛であることを特徴とする、(1)に記載の金属酸化物ハイブリダイズドビニル化合物。
(3)一般式(1)に表される化合物が、ビニルカルボン酸の金属塩を部分還元して得られることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の金属酸化物ハイブリダイズビニル化合物。
(4)(1)〜(3)何れか1項に記載の金属酸化物ハイブリダイズドビニル化合物を構成単量体として含有する、高分子。
(5)共重合体であることを特徴とする、(4)に記載の高分子。
(6)前記一般式(1)に表される金属酸化物ハイブリダイズドビニル化合物と、次の一般式(2)に示すビニル化合物及びその塩から選択される1種乃至は2種以上を構成単量体とする共重合体であることを特徴とする、(5)に記載の高分子。
【0009】
【化3】

一般式(2)
(但し、式中R4、R5、R6はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表しR7は水素原子、炭素数5〜20の芳香族基、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、又は炭素数1〜20のアシル基を表し、nは2〜4の整数を表し、mは0〜50の数値を表す。)
【0010】
(7)4〜6何れか1項に記載の高分子を含有する皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、白ぽっさの目立たない、長波長紫外線を吸収する素材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(1)本発明のハイブリダイズドビニル化合物及び高分子
本発明のハイブリダイズドビニル化合物は、前記一般式(1)に表される構造を有することを特徴とする。一般式(1)において、Xは3価乃至は2価の金属原子を表し、Oは素原子を表わし、破線の結合はあってもなくても良く、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。前記3価乃至は2価の金属原子としては、この価数において遷移金属として知られているものであれば特段の限定無く適用することが可能であり、例えば、亜鉛原子、鉄原子、マンガン原子などが好適に例示できる。特に好適なのは、長波長紫外線を吸収する作用に優れる亜鉛原子である。又R1、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子乃至は炭素数1〜4のアルキル基を表すが、前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基などの分岐乃至は直鎖のアルキル基が好適に例示でき、中でも直鎖のものが好ましく、メチル基が特に好ましい。かかるハイブリダイズドビニル化合物は、例えば、メタアクリル酸、アクリル酸などの、一般式(1)のカルボン酸残基を構成するビニルカルボン酸の無水物に、酸化亜鉛乃至は酸化鉄、二酸化マンガンなどの2価乃至は3価の金属の酸化物を反応させ、ビニルカルボン酸金属塩を形成させ、これをトリエチルアミンのような弱アルカリ性緩還元剤を用いて、部分還元することにより得ることが出来る。この様な還元を行う溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールの様なアルコール類、エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオールの様なジオール類、アセトンの様なケトン類、テトラヒドロフランの様なフラン類、分子量200以下のエチレングリコール類、メトキシエタノール、エトキシエタノールのようなエチレングリコールモノエーテル類などの有機溶剤と、水との混合溶媒中で行うことが好ましい。温度は氷冷条件〜100℃程度の加温条件まで何れも可能であるが、室温で1〜36時間反応させるのが好ましい。かくして得られたハイブリダイズドビニル化合物は、所望により、ジエチルエーテルなどの、水とは任意の割合で混合しない溶剤中に溶かし込み、該有機溶剤と等量程度の水を加えて、液液抽出による洗浄を行うことも出来る。かくして得られた一般式(1)に表される化合物は、例えば、アゾビスイソブチロニトリルなどの重合開始剤の存在下、所望により、他のビニル化合物を加えて、重合乃至は共重合することにより、高分子に誘導することが出来る。この様な本発明の高分子に於いて、特に好ましい形態は、水溶性のユニットを構築するモノマーとともに共重合し、水溶性のユニットを構築することである。この様な形態にすることにより、水性担体中で分散安定性に優れる紫外線吸収剤、取り分け長波長の紫外線を吸収する紫外線吸収剤とすることが出来る。この様な水溶性のユニットを構築するモノマーとしては、例えば、一般式(2)に表されるようなモノマーが例示できる。一般式(2)において、R4、R5、R6はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表しR7は水素原子、炭素数5〜20の芳香族基、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、又は炭素数1〜20のアシル基を表し、nは2〜4の整数を表し、mは0〜50の数値を表す。前記R4、R5、R6におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基などの分岐乃至は直鎖のアルキル基が好適に例示でき、中でも直鎖のものが好ましく、メチル基が特に好ましい。R7の炭素数5〜20の芳香族基としては、フェニル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基などが例示でき、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、イソオクチル基、ステアリル基、イソステアリル基、オレイル基など直鎖、分岐、環状乃至は不飽和結合を有するもの或いはグルコシル基などのような糖残基が例示でき、ヘキシル基などの炭素数4〜8の直鎖炭化水素基、グルコシル基などの糖残基が特に好適に例示できる。かかるモノマー以外にも、通常コポリマーで使用されるモノマーを含有することも可能であり、この様なモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、ブチルビニルエーテル、塩化ビニル、ビニルアルコール等が好適に例示できる。本発明の高分子に於いては、モノマーの総モル数に対し、一般式(1)に表される化合物が10乃至は50モル%、一般式(2)に表される化合物が10乃至は30質量%であることが好ましい。
【0013】
(2)本発明の皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤は、前記一般式に表される化合物及び/又は該化合物を構成モノマーとする前記高分子を含有することを特徴とする。かかる成分は唯一種を含有することも出来るし、二種以上を組み合わせて含有することも出来る。本発明の皮膚外用剤に於ける、かかる成分の好ましい含有量は総量で、皮膚外用剤全量に対して、1〜50質量%である。これは少なすぎると、かかる成分による、前記の効果を奏さない場合が存し、多すぎても効果が頭打ちになり、処方の自由度を徒に阻害するからである。本発明の皮膚外用剤には、かかる成分以外に通常皮膚外用剤で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。この様な必須成分と任意成分とを常法に従って処理することにより、本発明の皮膚外用剤は製造することが出来る。かくして得られた本発明の皮膚外用剤は、長波長の紫外線から皮膚を防護する作用に優れるために、その様な目的の皮膚外用剤に含有されることが好ましい。この様な皮膚外用剤としては、例えば、紫外線防護を目的とする、紫外線防護化粧料などの皮膚外用剤や、インドメタシン、ケトプロフェンなどの抗炎症剤を含有する皮膚外用医薬であって、光毒性や光感作作用の懸念されるものなどが好適に例示できる。
【0014】
以下に、実施例を挙げて本発明について、更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例に限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0015】
製造例1
アクリル酸鉄(5.2g)をメタノール(100g)に溶解させ A液とする。トリエチルアミン(16g)をメタノール(30g)に溶解させ B液とする。室温攪拌下、A液にB液を入れ、次いで水(100g)を10分で滴下し、1時間攪拌を続けた。次いで、これを遠心分離して沈降物を取り出し、40%含水エタノール(100g)に分散、遠心分離を2回繰り返し、最後の沈降物を100℃、4時間乾燥させて酸化鉄ハイブリダイズドビニル化合物(2.0g)を得た。
【実施例2】
【0016】
製造例2
アクリル酸亜鉛(4g)をエタノール(100g)に溶解させ A液とする。トリエチルアミン(12g)をエタノール(30g)に溶解させ B液とする。室温攪拌下、A液にB液を入れ、次いで水(100g)を10分で滴下し、1時間攪拌を続けた。次いで、これを遠心分離して沈降物を取り出し、40%含水エタノール(100g)に分散、遠心分離を2回繰り返し、最後の沈降物を100℃、4時間乾燥させて酸化亜鉛ハイブリダイズドビニル化合物(1.6g)を得た。
【実施例3】
【0017】
製造例3
メタアクリル酸亜鉛(4.8g)をエタノール(100g)に溶解させ A液とする。トリエチルアミン(12g)をエタノール(30g)に溶解させ B液とする。室温攪拌下、A液にB液を入れ、次いで水(100g)を10分で滴下し、1時間攪拌を続けた。次いで、これを遠心分離して沈降物を取り出し、40%含水エタノール(100g)に分散、遠心分離を2回繰り返し、最後の沈降物を100℃、4時間乾燥させて酸化亜鉛ハイブリダイズドビニル化合物(1.7g)を得た。
【実施例4】
【0018】
製造例4
アクリル酸亜鉛(40g)をエタノール(1000g)に溶解させ A液とする。トリエチルアミン(120g)をエタノール(300g)に溶解させ B液とする。室温攪拌下、A液にB液を入れ、次いで水(1000g)を30分で滴下後加温を開始し、50℃に達したらアゾビスイソブチロニトリル(0.56g)を入れ、更に昇温してリフラックス温度で2時間持続させた。冷後、これを遠心分離して沈降物を取り出し、40%含水エタノール(1000g)に分散、遠心分離を2回繰り返し、最後の沈降物を100℃、4時間乾燥させて酸化亜鉛ハイブリダイズドビニル化合物重合体(17g)を得た。このもののGPC(クロマトグラフィ法)測定による数平均分子量は250000であった。
【実施例5】
【0019】
製造例5
メタアクリル酸亜鉛(47g)をエタノール(1000g)に溶解させ A液とする。トリエチルアミン(120g)をエタノール(300g)に溶解させ B液とする。室温攪拌下、A液にB液を入れ、次いで水(1000g)を30分で滴下後加温を開始し、50℃に達したらアゾビスイソブチロニトリル(0.56g)を入れ、更に昇温してリフラックス温度で2時間持続させた。冷後、これを遠心分離して沈降物を取り出し、40%含水エタノール(1000g)に分散、遠心分離を2回繰り返し、最後の沈降物を100℃、4時間乾燥させて酸化亜鉛ハイブリダイズドビニル化合物重合体(18g)を得た。このもののGPC(クロマトグラフィ法)測定による数平均分子量は320000であった。
【実施例6】
【0020】
アクリル酸亜鉛(40g)とヒドロキシエチルメタアクリレート(10g)をエタノール(1000g)に溶解させA液とするトリエチルアミン(120g)をエタノール(300g)に溶解させB液とする。室温攪拌下、A液にB液を入れ、次いで水(1000g)を30分で滴下後加温を開始し、50℃に達したらアゾビスイソブチロニトリル(0.8g)を入れ、更に昇温してリフラックス温度で2時間持続させた。冷後、これを遠心分離して沈降物を取り出し、40%含水エタノール(1000g)に分散、遠心分離を2回繰り返し、最後の沈降物を100℃、4時間乾燥させて酸化亜鉛ハイブリダイズドビニル化合物重合体(19g)を得た。このもののGPC(クロマトグラフィ法)測定による数平均分子量は400000であった。
【実施例7】
【0021】
アクリル酸亜鉛(40g)とポリエチレンオキシド(9)メタアクリレート(15g)をエタノール(1000g)に溶解させA液とする。トリエチルアミン(120g)をエタノール(300g)に溶解させB液とする。室温攪拌下、A液にB液を入れ、次いで水(1000g)を30分で滴下後加温を開始し、50℃に達したら過硫酸アンモニウム(0.8g)を入れ、そのままの温度で16時間持続させた。冷後、これを遠心分離して沈降物を取り出し、40%含水エタノール(1000g)に分散、遠心分離を2回繰り返し、最後の沈降物を100℃、4時間乾燥させて酸化亜鉛ハイブリダイズドビニル化合物重合体(19.4g)を得た。このもののGPC(クロマトグラフィ法)測定による数平均分子量は470000であった。
【実施例8】
【0022】
製造例8
アクリル酸亜鉛(29g)と硝酸亜鉛6水和物(123g)及びポリエチレンオキシド(4)メタアクリレート(10g)をエタノール(1000g)に溶解させA液とする。トリエチルアミン(114g)をエタノール(300g)に溶解させB液とする。室温攪拌下、A液にB液を入れ、次いで水(640g)と3N苛性ソーダ液(280g)との混合液を30分で滴下後加温を開始し、50℃に達したらアゾビスイソブチロニトリル(0.56g)を入れ、更に昇温してリフラックス温度で4時間持続させた。冷後、これを遠心分離して沈降物を取り出し、40%含水エタノール(1000g)に分散、遠心分離を2回繰り返し、最後の沈降物を100℃、4時間乾燥させて酸化亜鉛ハイブリダイズドビニル化合物重合体(44g)を得た。このもののGPC(クロマトグラフィ法)測定による数平均分子量は390000であった。
【0023】
<比較製造例1>
硝酸亜鉛6水和物(18.7g)とトリエチルアミン(11.2g)とをエタノール(130g)に溶解させA液とする。室温攪拌下、水(630g)と3N苛性ソーダ液(27g)との混合液を10分で滴下し、1時間攪拌を続けた。次いで、これを遠心分離して沈降物を取り出し、50%含水エタノール(100g)に分散、遠心分離を2回繰り返し、最後の沈降物を100℃、4時間乾燥させて酸化亜鉛(4.9g)を得た。
【実施例9】
【0024】
物性の測定結果
製造例1〜8で得られた金属酸化物ハイブリダイズドビニル化合物又は金属酸化物ハイブリダイズドビニル化合物重合体と比較製造例1で得られた酸化亜鉛および市販金属酸化物の熱分析測定と粉末X線回折測定結果を表1に示す。表1に示されるTGの減量率は消失した有機物が無機物に直接化学結合していることを表し、又その無機物はXRD結果より結晶化した金属酸化物であることが解る。
【0025】
表1中の符号の説明
※1は熱分析測定において10℃/分の昇温速度で800℃まで上昇させたときの発熱に起因する減量率(TG/DTA)を示す。
※2は粉末X線回折測定においてXRDパターンが一致した結晶形を示す。
※3は市販の超微粒子酸化亜鉛で平均粒子径0.03μm(カタログ値)である。
※4は市販の微粒子酸化鉄で平均粒子径0.08μm(カタログ値)である。
【0026】
【表1】

【実施例10】
【0027】
以下に示す処方に従って、本発明のハイブリダイズドビニル化合物重合体を含有するサンスクリーンローションを作成した。即ち、イの成分を80℃で加熱し、可溶化し、これにロの成分を加え攪拌分散した後、攪拌冷却し本発明のサンスクリーンローションを得た。同時に比較製造例1の粉体を用いて比較化粧料1を、市販の酸化亜鉛を用いて比較化粧料2も同様に作成した。これらのサンスクリーンローションを10gで5分間遠心分離し、沈降した粉体の高さを計測した。結果を表2に示す。これより、本発明のハイブリダイズドビニル化合物は分散性に優れるため沈降しにくいことが判る。
【0028】

1,2−ペンタンジオール 3 質量%
フェノキシエタノール 0.5質量%
1,3−ブタンジオール 5 質量%
キサンタンガム 0.1質量%
水 71.4質量%

表2に記載の粉体 10 質量%
【0029】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、白さのない、分散(溶解)安定性に優れる紫外線吸収剤に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次に示す一般式(1)に表される金属酸化物ハイブリダイズドビニル化合物。
【化1】

一般式(1)
(但し、式中Xは3価乃至は2価の金属原子を表し、Oは酸素を表わし、破線の結合はあってもなくても良く、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
【請求項2】
前記一般式(1)におけるXで表される金属原子が、亜鉛であることを特徴とする、請求項1に記載の金属酸化物ハイブリダイズドビニル化合物。
【請求項3】
一般式(1)に表される化合物が、ビニルカルボン酸の金属塩を部分還元して得られることを特徴とする、請求項1又は2に記載の金属酸化物ハイブリダイズビニル化合物。
【請求項4】
請求項1〜3何れか1項に記載の金属酸化物ハイブリダイズドビニル化合物を構成単量体として含有する、高分子。
【請求項5】
共重合体であることを特徴とする、請求項4に記載の高分子。
【請求項6】
前記一般式(1)に表される金属酸化物ハイブリダイズドビニル化合物と、次の一般式(2)に示すビニル化合物及びその塩から選択される1種乃至は2種以上を構成単量体とする共重合体であることを特徴とする、請求項5に記載の高分子。
【化2】

一般式(2)
(但し、式中R4、R5、R6はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表しR7は水素原子、炭素数5〜20の芳香族基、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、又は炭素数1〜20のアシル基を表し、nは2〜4の整数を表し、mは0〜50の数値を表す。)
【請求項7】
請求項4〜6何れか1項に記載の高分子を含有する皮膚外用剤。

【公開番号】特開2006−206861(P2006−206861A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−123185(P2005−123185)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】