金属金具・ガラス接着装置
【課題】非特許文献1に記載の金属金具・ガラス接着装置900よりも連続使用時間が長く作業効率が高い金属金具・ガラス接着装置を提供する。
【解決手段】シリコーン接着剤を介して金属金具をガラスに接着するための金属金具・ガラス接着装置10。吸着パッドを有し、接着時に力点となる第1脚と、金属金具B1〜B4をガラスGに対して所定の加圧力で加圧した状態で金属金具B1〜B4を加熱する加圧・加熱ヘッド及び支持部を有し、接着時に作用点となる第2脚と、接着時に支点となる第3脚と、第1脚、第2脚及び第3脚を連結する連結部とを有する加圧・加熱ユニット100と、金属金具B1〜B4を加熱するための電力に係る電力制御を行う電力制御ユニット200とを備える。
【解決手段】シリコーン接着剤を介して金属金具をガラスに接着するための金属金具・ガラス接着装置10。吸着パッドを有し、接着時に力点となる第1脚と、金属金具B1〜B4をガラスGに対して所定の加圧力で加圧した状態で金属金具B1〜B4を加熱する加圧・加熱ヘッド及び支持部を有し、接着時に作用点となる第2脚と、接着時に支点となる第3脚と、第1脚、第2脚及び第3脚を連結する連結部とを有する加圧・加熱ユニット100と、金属金具B1〜B4を加熱するための電力に係る電力制御を行う電力制御ユニット200とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属金具・ガラス接着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属金具をガラスに接着する方法として、シリコーン接着剤を介して金属金具をガラスに仮接着した後、ガラスをオートクレープに入れ高圧・高温条件下で長時間静置するする方法があった。しかしながら、上記した従来の方法においては、ガラスをオートクレープに入れ高圧・高温条件下で長時間静置する必要があるため、施工現場で作業ができないという問題及び作業効率が低いという問題があった。
【0003】
そこで、施工現場で作業することが可能で、かつ、従来の方法よりも高い作業効率で金属金具をガラスに接着することを可能とする金属金具・ガラス接着装置が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
図15は、非特許文献1に記載の金属金具・ガラス接着装置900を説明するために示す図である。
図16は、非特許文献1に記載の金属金具・ガラス接着装置900を用いて金属金具BをガラスGに接着する手順を説明するために示す図である。図16(a)〜図16(d)は各工程図である。
図17は、金属金具Bが接着された2枚のガラスGを用いてガラス同士を接合する手順を示す図である。図17(a)及び図17(b)は各工程図である。
図18は、金属金具Bが接着されたガラスGを用いてテーブルを組み立てる手順を示す図である。図18(a)及び図18(b)は各工程図である。
【0004】
非特許文献1に記載の金属金具・ガラス接着装置900は、図15及び図16に示すように、シリコーン接着剤A(例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社のSOTEFAシート。)を介して金属金具B(例えば、ステンレス製のボス。)をガラスGに接着するための金属金具・ガラス接着装置である。そして、図15に示すように、金属金具BをガラスGに対して加圧した状態で当該金属金具Bを加熱するための加圧・加熱ユニット910と、加圧・加熱ユニット910に電力を供給する電力供給ユニット920と、電力供給ユニット920から加圧・加熱ユニット910に電力を伝送するための電力線並びに加圧・加熱ユニット910における圧力及び温度に関する信号を電力供給ユニット920に伝送するための信号線が収納された接続ケーブル930とを備える。なお、非特許文献1に記載の金属金具・ガラス接着装置900は、本件特許出願人が東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社の協力を得て開発及び製造したものである。
【0005】
加圧・加熱ユニット910は、加圧・加熱ヘッド912と、本体部918とを有する。加圧・加熱ヘッド912は、金属金具Bを覆った状態で当該金属金具Bを加圧するための凹部916と、当該凹部916の外周側に位置しガラスGに対して当接する当接部914とを有する。当接部914は弾性部材からなる。加圧・加熱ヘッド912における凹部916の周囲には、金属金具Bを加熱するための電磁誘導加熱によるリングヒータ(図示せず。)が配設されている。電力供給ユニット920の内部には、小型真空ポンプ(図示せず。)が配設され、加圧・加熱ユニット910をガラスGに当接させた後に、真空ケーブル932を介して当接部914の内周側の空間を減圧することで、金属金具BをガラスGに対して所定の加圧力で加圧するように構成されている。加圧・加熱ヘッド912の内部には、加圧・加熱ヘッド912の温度をモニターするための温度センサ(図示せず。)が配設され、本体部918の内部には、加圧・加熱ヘッド912の圧力をモニターするための圧力センサ(図示せず。)が配設されている。
【0006】
非特許文献1に記載の金属金具・ガラス接着装置900を用いて金属金具BをガラスGに接着する手順は以下の通りである。すなわち、まず、図16(a)に示すように、接着対象となるガラスGを準備する。次に、図16(b)に示すように、接着面にシリコーン接着剤Aを貼り付けた金属金具BをガラスGの所定位置に仮接着する。次に、図16(c)に示すように、非特許文献1に記載の金属金具・ガラス接着装置900を用いて、金属金具BをガラスGに対して所定の加圧力で加圧した状態で金属金具Bを加熱することにより、金属金具BをガラスGに接着する。これにより、図16(a)〜図16(d)に示すように、オートクレーブを用いることなく金属金具BをガラスGに接着することが可能となるため、施工現場で作業することが可能で、かつ、従来の方法よりも高い作業効率で金属金具をガラスに接着することが可能となる。
【0007】
非特許文献1に記載の金属金具・ガラス接着装置900を用いることによって2枚のガラスGに金属金具Bを接着しておけば、図17に示すように、当該2枚のガラスG及びジョイント用金属金具K,Nを用いて2枚のガラスGを接合することが可能となる。また、非特許文献1に記載の金属金具・ガラス接着装置900を用いることによって1枚のガラスGに金属金具Bを接着しておけば、図18に示すように、当該1枚のガラスG、テーブル脚L及びジョイント用金属金具Nを用いてテーブルTを組み立てることが可能となる。また、このとき、ガラスに穴を開けることなく金属金具をガラスに接着することが可能となるため、デザイン性に優れた種々の建造物、什器、家具などを製造することが可能となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】”EGSシステム、次世代ガラス接着加工工法、EGS(Exposed Glazing System)工法”[online]、株式会社昭栄、[平成20年8月4日検索]、インターネット<URL:http://www.theglass.jp/system/in05_00/index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の金属金具・ガラス接着装置900においては、小型真空ポンプを用いて当接部914の内周側の空間を減圧することで金属金具BをガラスGに対して加圧するように構成されているため、小型真空ポンプを長時間連続して(例えば30分以上。)運転することができないことに起因して、金属金具・ガラス接着装置の連続使用時間を長くして作業効率を高くすることが困難であるという問題がある。この場合、電力供給ユニットとは別に中型又は大型の真空ポンプを準備しておき、当該中型又は大型の真空ポンプを用いることによって金属金具・ガラス接着装置の連続使用時間を長くすることが考えられる。しかしながら、この場合には、施工場所に中型又は大型の真空ポンプを持ち込む必要があるため作業性が悪く、また、中型又は大型の真空ポンプは消費電力が大きく、金属金具・ガラス接着装置の消費電力を低くすることが困難となるという問題が新たに発生するため好ましくない。
【0010】
そこで、本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、非特許文献1に記載の金属金具・ガラス接着装置900よりも連続使用時間が長く作業効率が高い金属金具・ガラス接着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明の金属金具・ガラス接着装置は、シリコーン接着剤を介して金属金具をガラスに接着するための金属金具・ガラス接着装置であって、吸着パッドを有し、接着時に力点となる第1脚と、金属金具をガラスに対して所定の加圧力で加圧した状態で所定のプログラムに従って金属金具を加熱する加圧・加熱ヘッド及び当該加圧・加熱ヘッドを支持する支持部を有し、接着時に作用点となる第2脚と、前記第1脚に対して前記第2脚とは反対の位置に配設された脚部を有し、接着時に支点となる第3脚と、前記第1脚、前記第2脚及び前記第3脚を連結する連結部とを有する加圧・加熱ユニットと、金属金具を加熱するための電力に係る電力制御を行う電力制御ユニットとを備えることを特徴とする。
【0012】
このため、本発明の金属金具・ガラス接着装置によれば、接着時に力点となる第1脚と、接着時に作用点となる第2脚と、接着時に支点となる第3脚とを備えるため、小型真空ポンプを用いることなく純粋に機械的操作を行うことのみで金属金具をガラスに対して加圧することが可能となり、非特許文献1に記載の金属金具・ガラス接着装置900よりも連続使用時間が長く作業効率が高い金属金具・ガラス接着装置を提供することが可能となる。
【0013】
また、本発明の金属金具・ガラス接着装置によれば、第1脚に対して第2脚とは反対の位置に配設された脚部を有し、接着時に支点となる第3脚をさらに備えるため、ガラスに対して第2脚と第3脚とを第1脚の両側から加圧することで、ガラスに対する吸着パッドの剥離力が両側からかかるようになる。このため、第3脚を備えない場合と比較して、接着中にガラスから吸着パッドが外れてしまうという事態の発生を抑制することが可能となる。
【0014】
また、本発明の金属金具・ガラス接着装置によれば、従来の金属金具・ガラス接着装置の場合のように、当接部の内周側の空間を減圧するという必要がなくなるため、金属金具の周囲の領域において加圧・加熱ヘッドをガラスに当接させる必要がなくなる。このため、ガラスの端部近傍においても、金属金具をガラスに対して接着することが可能となる。本発明の金属金具・ガラス接着装置によれば、例えば、金属金具とガラスの端部との間隔が5mmしかないような部位においても金属金具を接着することもできる。
【0015】
また、本発明の金属金具・ガラス接着装置によれば、所定のプログラムに従って金属金具を加熱することが可能となるため、作業者のカン・経験によらず、種々の施工環境の下でも確実に接着することが可能となる。また、熱の伝わり方が変則的な合わせガラスに対して金属金具を接着する場合であっても、そのような合わせガラスに応じた所定のプログラムに従って金属金具を加熱することが可能となるため、やはり作業者のカン・経験によらず、種々の施工環境の下でも確実に接着することが可能となる。
【0016】
なお、言うまでもないことではあるが、本発明の金属金具・ガラス接着装置によれば、非特許文献1に記載の金属金具・ガラス接着装置900の場合と同様に、オートクレーブを用いることなく金属金具BをガラスGに接着することが可能となるため、施工現場で作業することが可能で、かつ、従来の方法よりも高い作業効率で金属金具をガラスに接着することが可能となる。
【0017】
(2)本発明の金属金具・ガラス接着装置においては、前記第2脚と前記第1脚との距離は、前記第3脚と前記第1脚との距離よりも短いことが好ましい。
【0018】
このような構成とすることにより、てこの原理により、第3脚よりも第2脚において高い加圧力を得ることが可能となり、高い圧力でもって、金属金具をガラスに対して加圧することが可能となる。
【0019】
(3)本発明の金属金具・ガラス接着装置においては、前記第2脚は、前記加圧・加熱ヘッドをガラスに対して加圧するための第1加圧ノブを有し、前記第3脚は、当該第3脚をガラスに対して加圧するための第2加圧ノブを有することが好ましい。
【0020】
このような構成とすることにより、第1加圧ノブ及び第2加圧ノブを用いて、ガラスに対して第2脚及び第3脚を所定の加圧力で加圧することが可能となる。また、第1加圧ノブ及び第2加圧ノブを用いて、ガラスに対する第2脚及び第3脚の加圧力を緩めたり開放したりすることが可能となる。
【0021】
(4)本発明の金属金具・ガラス接着装置においては、前記加圧・加熱ヘッドは、金属金具を覆った状態で当該金属金具を加圧するための凹部と、当該凹部の外周側に位置しガラスに対向する外周部とを有することが好ましい。
【0022】
このような構成とすることにより、金属金具を覆った状態の凹部で金属金具を加圧することにより、ガラスに対して金属金具を安定して加圧することが可能となる。
【0023】
(5)本発明の金属金具・ガラス接着装置においては、前記加圧・加熱ヘッドは、金属金具を加熱するための抵抗加熱によるリングヒータを有することが好ましい。
【0024】
ところで、従来の金属金具・ガラス接着装置900においては、電磁誘導加熱によるリングヒータを用いて金属金具を加熱することとしているため、金属金具・ガラス接着装置900を使用する毎に「電波法に基づく届出」をすることが必要となり、作業が煩雑になり、作業性が低下する。これに対して、本発明の金属金具・ガラス接着装置によれば、抵抗加熱によるリングヒータを用いて金属金具を加熱することとしているため、そのような届出の必要がなく、作業効率を高くすることが可能となる。
【0025】
(6)本発明の金属金具・ガラス接着装置においては、前記加圧・加熱ヘッドと前記支持部との間には、断熱部材が配設されていることが好ましい。
【0026】
このような構成とすることにより、加圧・加熱ヘッドからの熱により支持部及び連結部が高温になることが抑制され、支持部及び連結部が高温になることに起因して発生する弊害を抑制することができる。断熱部材としては、断熱性能及び部材コストの点から、ベークライトからなるものを用いることが好ましい。
【0027】
(7)本発明の金属金具・ガラス接着装置においては、前記加圧・加熱ユニットと前記電力制御ユニットとは別体として構成され、前記電力制御ユニットは、金属金具を加熱するための電力を供給する電源を有し、前記電力制御ユニットは、電力線を介して、電力制御された電力を前記加圧・加熱ユニットに供給することが好ましい。
【0028】
このように、加圧・加熱ユニットと前記電力制御ユニットとを別体として構成するとともに、電源を電力制御ユニット側に配設することにより、加圧・加熱ユニットを小型・軽量化することが可能となり、作業効率をさらに高くすることが可能となる。
【0029】
(8)本発明の金属金具・ガラス接着装置においては、前記加圧・加熱ユニットと前記電力制御ユニットとは別体として構成され、前記加圧・加熱ユニットは、金属金具を加熱するための電力を供給する電源を有し、前記電源は、前記前記電力制御ユニットからの無線制御信号に基づいて、電力制御された電力を前記加圧・加熱ヘッドに供給することも好ましい。
【0030】
このように、加圧・加熱ユニットと前記電力制御ユニットとを別体として構成するとともに、電源を加圧・加熱ユニット側に配設することとし、さらには電力制御ユニットから加圧・加熱ユニットへの制御信号を無線制御信号とすることにより、電力制御ユニットと加圧・加熱ユニットとの配線を無くすることが可能となり、作業効率をさらに高くすることが可能となる。
【0031】
(9)本発明の金属金具・ガラス接着装置において、前記電力制御ユニットは、前記加圧・加熱ユニットの筐体内に収納され、前記電力制御ユニットは、金属金具を加熱するための電力を供給する電源を有し、前記電源は、前記電力制御ユニットからの制御信号に基づいて、電力制御された電力を前記加圧・加熱ヘッドに供給することも好ましい。
【0032】
このように、電力制御ユニットを加圧・加熱ユニットの筐体内に収納することにより、装置をコンパクトなものにすることが可能となり、作業効率をさらに高くすることが可能となる。
【0033】
(10)本発明の金属金具・ガラス接着装置においては、前記加圧・加熱ユニットには、ガラスに対する金属金具の加圧力をモニターするための圧力センサ及び前記加圧・加熱ヘッドの温度をモニターするための温度センサが配設されており、前記金属金具・ガラス接着装置は、前記圧力センサの出力信号及び前記温度センサの出力信号を前記加圧・加熱ユニットから前記電力制御ユニットに送信するための信号伝達手段をさらに備えることが好ましい。
【0034】
このような構成とすることにより、金属金具をガラスに対して所定の加圧力で加圧した状態で所定のプログラムに従って金属金具を加熱することが可能となる。
【0035】
(11)本発明の金属金具・ガラス接着装置においては、前記圧力センサの出力信号に基づいて、ガラスに対する金属金具の加圧力が所定の範囲に入っているかどうかを判断し表示する機能を有することが好ましい。
【0036】
このような構成とすることにより、金属金具がガラスに対して所定の加圧力で加圧されているかどうかを確認することが可能となるため、ガラスに対する加圧・加熱ヘッドの加圧力が所定の範囲に入っている場合にのみ金属金具を加熱することが可能となる。このため、接着力が不足した状態で金属金具をガラスに接着してしまうという問題の発生を未然に防止することができる。
【0037】
(12)本発明の金属金具・ガラス接着装置においては、ガラスに対する金属金具の加圧力が所定の範囲に入っている場合にのみ前記加圧・加熱ヘッドに電力が供給されるように構成されていることが好ましい。
【0038】
このような構成とすることにより、ガラスに対する加圧・加熱ヘッドの加圧力が所定の範囲に入っている場合にのみ間違いなく金属金具を加熱することが可能となる。このため、接着力が不足した状態で金属金具をガラスに接着してしまうという問題の発生を未然に防止することができる。
【0039】
(13)本発明の金属金具・ガラス接着装置においては、前記電力制御ユニットは、前記温度センサの出力信号を考慮して前記電力制御を行う機能を有することが好ましい。
【0040】
このような構成とすることにより、所定のプログラムに従って金属金具を正しく加熱することが可能となる。ここで、「温度センサの出力信号を考慮して前記電力制御を行う」とは、温度センサの出力信号から得られる温度が、所定のプログラムによる温度よりも低いと判断したときには、通常の電力よりも大きな電力を加圧・加熱ユニットに供給し、また、温度センサの出力信号から得られる温度が、所定のプログラムによる温度よりも高いと判断したときには、通常の電力よりも小さな電力を加圧・加熱ユニットに供給することにより、温度センサの出力信号から得られる温度が、所定のプログラムによる温度と同じ温度になるように電力供給量を制御することをいう。
【0041】
(14)本発明の金属金具・ガラス接着装置においては、前記電力制御ユニットは、接着対象となる金属金具の種類を入力するための入力手段及び接着環境を入力するための入力手段をさらに有し、入力された金属金具の種類及び/又は入力されたガラスの種類に応じて前記電力制御を行う機能を有することが好ましい。
【0042】
このような構成とすることにより、接着対象となる金属金具の種類及び/又は接着対象となるガラスの種類に応じて適切に電力を供給することが可能となる。接着環境としては、環境対象となるガラスの種類や、接触しようとしているガラスの部位などである。
【0043】
(15)本発明の金属金具・ガラス接着装置においては、前記電力制御ユニット及び前記加圧・加熱ユニットは、それぞれの動作を制御するCPU及びそれぞれの動作に必要な情報を記憶するROMを有し、前記電力制御ユニットは、前記加圧・加熱ユニットの種類に関する情報を前記加圧・加熱ユニットから取得する機能及び取得した加圧・加熱ユニットの種類に応じて前記電力制御を行う機能を有することが好ましい。
【0044】
このような構成とすることにより、加圧・加熱ユニットの種類に応じて適切な電力制御を行うことが可能となる。
【0045】
(16)本発明の金属金具・ガラス接着装置においては、前記金属金具・ガラス接着装置は、前記加圧・加熱ユニットとして、複数の加圧・加熱ユニットを備え、前記電力制御ユニットは、各加圧・加熱ユニット対して独立に前記電力制御を行う機能を有することが好ましい。
【0046】
このような構成とすることにより、複数の加圧・加熱ユニットを並行して使用することにより、金属金具をガラスに対して接着する作業を並行して高い作業効率で実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10を説明するために示す図である。
【図2】加圧・加熱ユニット100を説明するために示す図である。
【図3】電力制御ユニット200の正面図である。
【図4】実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10を用いて金属金具BをガラスGに対して接着する手順を説明するために示すフローチャートである。
【図5】仮接着工程S10を説明するために示す図である。
【図6】接着装置セット工程S20を説明するために示す図である。
【図7】接着パラメータ設定工程S30を説明するために示す図である。
【図8】接着パラメータ設定工程S30を説明するために示す図である。
【図9】圧力設定工程S40を説明するために示す図である。
【図10】接着工程S50を説明するために示す図である。
【図11】終了工程S60を説明するために示す図である。
【図12】実施形態2に係る金属金具・ガラス接着装置10aを説明するために示す図である。
【図13】実施形態3に係る金属金具・ガラス接着装置10bを説明するために示す図である。
【図14】実施形態4に係る金属金具・ガラス接着装置10cを説明するために示す図である。
【図15】従来の金属金具・ガラス接着装置900を説明するために示す図である。
【図16】従来の金属金具・ガラス接着装置900を用いて金属金具BをガラスGに接着する手順を説明するために示す図である。
【図17】金属金具Bが接着された2枚のガラスGを用いてガラス同士を接合する手順を示す図である。
【図18】金属金具Bが接着されたガラスGを用いてテーブルを組み立てる手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の金属金具・ガラス接着装置について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0049】
[実施形態1]
<実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10の構成>
まず、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10の構成について、図1〜図3を用いて詳細に説明する。
【0050】
図1は、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10を説明するために示す図である。図1(a)は1つ目の金属金具B1、2つ目の金属金具B2に続いて、3つ目の金属金具B3をガラスGに接着している様子を示す図であり、図1(b)は4つ目の金属金具B4をガラスGに接着している様子を示す図である。
図2は、加圧・加熱ユニット100を説明するために示す図である。図2(a)は加圧・加熱ユニット100の正面図であり、図2(b)は第2脚120の部分の断面図であり、図2(c)は加圧・加熱ヘッド122の部分の拡大断面図である。
図3は、電力制御ユニット200の正面図である。
【0051】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10は、図1〜図3に示すように、シリコーン接着剤Aを介して金属金具BをガラスGに接着するための金属金具・ガラス接着装置であって、加圧・加熱ユニット100と、金属金具を加熱するための電力に係る電力制御を行う電力制御ユニット200と、電力制御ユニット200から加圧・加熱ユニット100に電力を供給するための電力線を収納する接続ケーブル224とを備える。電力制御ユニット200は、金属金具を加熱するための電力を供給する電源(図示せず。)を有し、電力線を介して、電力制御された電力を前記加圧・加熱ユニットに供給する。
【0052】
加圧・加熱ユニット100は、吸着パッド112を有し、接着時に力点となる第1脚110と、金属金具BをガラスGに対して所定の加圧力で加圧した状態で所定のプログラムに従って金属金具Bを加熱する加圧・加熱ヘッド122及び当該加圧・加熱ヘッド122を支持する支持部130を有し、接着時に作用点となる第2脚120と、第1脚110に対して第2脚120とは反対の位置に配設された脚部142を有し、接着時に支点となる第3脚140と、第1脚110、第2脚120及び第3脚140を連結する連結部150とを有する。
【0053】
第2脚120第1脚110との距離は、第3脚140第1脚110との距離よりも短い。
【0054】
第2脚120は、加圧・加熱ヘッド122をガラスGに対して加圧するための第1加圧ノブ138を有し、第3脚140は、第3脚140をガラスGに対して加圧するための第2加圧ノブ146を有する。
【0055】
加圧・加熱ヘッド122は、図2(b)に示すように、金属金具Bを覆った状態で当該金属金具Bを加圧するための凹部126と、当該凹部126の外周側に位置しガラスGに対向する外周部124とを有する。加圧・加熱ヘッド122は、アルミニウム製の金属ブロック127からなる。
【0056】
加圧・加熱ヘッド122は、図2(b)及び図2(c)に示すように、金属金具Bを加熱するための抵抗加熱によるリングヒータ128を有する。
【0057】
加圧・加熱ヘッド122と支持部130との間には、フェノール樹脂からなる断熱部材129が配設されている。
【0058】
加圧・加熱ユニット120には、ガラスGに対する金属金具Bの加圧力をモニターするための圧力センサ(例えばロードセル)132及び加圧・加熱ヘッド122の温度をモニターするための温度センサ(例えば熱電対)133が配設されている。圧力センサ132の出力信号及び温度センサの出力信号を加圧・加熱ユニット100から電力制御ユニット200に送信するための信号線が、上述した電力線とともに接続ケーブル224に収納されている。
【0059】
電力制御ユニット200は、圧力センサ132の出力信号に基づいて、後述する図9に示すように、ガラスGに対する加圧・加熱ヘッド122の加圧力が所定の範囲に入っているかどうかを判断し表示する機能(表示部220)を有する。
【0060】
電力制御ユニット200は、ガラスGに対する加圧・加熱ヘッド122の加圧力が所定の範囲に入っている場合にのみ加圧・加熱ユニット100に電力を供給する機能を有する。
【0061】
電力制御ユニット200は、温度センサ133の出力信号を考慮して電力制御を行う機能を有する。
【0062】
電力制御ユニット200は、接着対象となる金属金具Bの種類を入力するための入力手段及び接着環境を入力するための入力手段をさらに有し、入力された金属金具Bの種類及び/又は入力された接着環境に応じて電力制御を行う機能を有する。
【0063】
加圧・加熱ユニット100及び電力制御ユニット200は、それぞれの動作を制御するCPU及びそれぞれの動作に必要な情報を記憶するROMを有し、電力制御ユニット200は、信号線224を介して、加圧・加熱ユニット100の種類に関する情報を加圧・加熱ユニット100から取得する機能及び取得した加圧・加熱ユニット100の種類に応じて電力制御を行う機能を有する。
【0064】
<実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10の使用方法>
次に、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10の使用方法について、図4〜図11を用いて詳細に説明する。
【0065】
図4は、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10を用いて金属金具BをガラスGに対して接着する手順を説明するために示すフローチャートである。
図5は、仮接着工程S10を説明するために示す図である。図5(a)〜図5(c)は各工程図である。
図6は、装置セット工程S20を説明するために示す図である。図6(a)〜図6(c)は各工程図である。
【0066】
図7及び図8は、接着パラメータ設定工程S30を説明するために示す図である。図7(a)は、接着対象の金属金具Bの種類を設定する際の手順を説明するために示す図であり、図7(b)は接着対象のガラスGの種類を設定する際の手順を説明するために示す図である。図8はプログラム番号と接着環境との対応を示す図である。
図9は、圧力設定工程S40を説明するために示す図である。図9(a)は圧力調整を行っている際の加圧・加熱ユニット100の様子を示す図であり、図9(b)〜図9(d)は圧力調整を行っている際の電力制御ユニット200における表示部220の表示画面を示す図である。
【0067】
図10は、接着工程S50を説明するために示す図である。図10(a)は接着工程S50における金属金具・ガラス接着装置10の状態を示す図であり、図10(b)は金属金具Bを加熱する際の加熱曲線を示す図である。
図11は、終了工程S60を説明するために示す図である。図11(a)〜図11(c)は各工程図である。
【0068】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10を用いて金属金具BをガラスGに対して接着するには、図4に示すように、仮接着工程S10、装置セット工程S20、接着パラメータ設定工程S30、圧力設定工程S40、接着工程S50及び終了処理工程S60をこの順序で行う。以下、工程順に説明する。
【0069】
1.仮接着工程S10
まず、図5(a)に示すように、金属金具B4(例えば、ステンレス製のボス。)と、シリコーン接着剤A(例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社のSOTEFAシート。)を準備する。
次に、図5(b)に示すように、金属金具B4にシリコーン接着剤Aを貼り付け、余分なシリコーン接着剤Aを切り落とす。
最後に、シリコーン接着剤Aが貼り付けられた方の面を下にして、金属金具B4をガラスGの所定位置に仮接着する。
【0070】
2.装置セット工程S20
まず、図1〜図3に示すように、加圧・加熱ユニット100と電力制御ユニット200とを接続ケーブル224を用いて接続する。このとき、電力制御ユニット200は、加圧・加熱ユニット100が接続されている旨の情報及び加圧・加熱ユニット100の種類に関する情報を、接続ケーブル中の信号線を介して加圧・加熱ユニット100から取得する。
【0071】
次に、図6(a)に示すように、加圧・加熱ユニット100における第1加圧ノブ138及び第2加圧ノブ146を左に回して第2脚120の加圧・加熱ヘッド122及び第3脚140の脚部142を上方に移動させる。
次に、図6(b)に示すように、金属金具Bが仮接着されたガラスGの所定位置に加圧・加熱ユニット100を配置する。
最後に、図6(c)に示すように、加圧・加熱ユニット100におけるハンドル114を上方に持ち上げて、ガラスGに吸着パッド112を吸着させる。
【0072】
3.接着パラメータ設定工程S30
まず、接着対象の金属金具Bの種類を選択する。このとき、図7(a)に示すように、「Φ20/(−)」ボタン及び「Φ30/(+)」ボタンが選択可能(点滅表示)となっている。例えば、直径20mmの金属金具を選択するときには、「Φ20/(−)」ボタンを押す。
【0073】
次に、接着環境の設定をする。このとき、図7(b)に示すように、「Φ20/(−)」ボタン、「Φ30/(+)」ボタン及び「Custom/Shift」ボタンが選択可能(点滅表示)となっている。これらのボタンを押すことにより、図8に示すような接着環境(プログラム番号00〜12)のうちいずれかを選択する。「Φ20/(−)」ボタンを押すと、プログラム番号が1つずつ減算されていき、「Φ30/(+)」ボタンを押すと、プログラム番号が1つずつ加算されていき、「Custom/Shift」ボタンを押しながら「Φ20/(−)」を押すと、プログラム番号が5つずつ減算されていき、「Custom/Shift」ボタンを押しながら「Φ30/(+)」ボタンを押すと、プログラム番号が5つずつ加算されていく。例えば、「10mmの合わせガラスの接着を行う場合であって、端面より15cm以内における接着を行う場合」には、「Φ30/(+)」ボタンを6回押す。または、「Custom/Shift」ボタンを押しながら「Φ30/(+)」ボタンを1回押し、その後「Φ30/(+)」ボタンを1回押す。
【0074】
接着パラメータ設定工程S30が終わったら、開始ボタン210又はスタートボタン154を押して、圧力設定工程S40に進む。
【0075】
なお、所定のプログラム(プログラム番号00に係るプログラム〜プログラム番号12に係るプログラム)は、加圧・加熱ユニット100(制御回路152)に記憶されている。
【0076】
4.圧力設定工程S40
まず、図9(a)に示すように、加圧・加熱ユニット100における第1加圧ノブ138及び第2加圧ノブ146を右に回して第2脚120の加圧・加熱ヘッド122及び第3脚140の脚部142を下方に移動させる。このとき、連結部150がガラス面に平行になるように注意する。
【0077】
次に、電力制御ユニット200における表示部220の表示状態を確認して、ガラスGに対する金属金具Bの加圧力が高いのか、適切なのか、低いのかを確認する。このとき、図9(b)に示すように、圧力が高い場合には、第1加圧ノブ138及び第2加圧ノブ146を左に回して第2脚120の加圧・加熱ヘッド122及び第3脚140の脚部142を上方に移動させ、図9(d)に示すように、圧力が低い場合には、第1加圧ノブ138及び第2加圧ノブ146を右に回して第2脚120の加圧・加熱ヘッド122及び第3脚140の脚部142を下方に移動させる。ガラスGに対する金属金具Bの加圧力が適切な場合には、図9(c)に示すような表示が得られる。
なお、表示部220としては、7セグメント表示の表示装置(LED表示装置)を用いる。
【0078】
5.接着工程S50
まず、図10(a)に示すように、電力制御ユニット200の表示部220に正しいプログラム番号が表示されているかどうかを確認する。
次に、電力制御ユニット200の表示部220に正しいプログラム番号が表示されていることが確認できたら、電力制御ユニット200における開始ボタン210(このとき点滅状態にある。)又は加圧・加熱ユニット120におけるスタートボタン154(このとき点滅状態にある。)を押すことにより、電力制御ユニット200から加圧・加熱ユニット100への電力の伝送が開始され、接着工程S50がスタートする。
接着工程S50においては、図10(b)に示すように、予め選択したプログラム番号における所定の加熱曲線に従って金属金具Bを加熱する。接着工程S50が終了して温度が所定温度(例えば、80℃未満。)になったら、次の終了処理工程S60に進むことができる。
【0079】
6.終了処理工程S60
まず、図11(a)に示すように、第1加圧ノブ138及び第2加圧ノブ146を左に回して第2脚120の加圧・加熱ヘッド122及び第3脚140の脚部142を上方に移動させる。
次に、図11(b)に示すように、加圧・加熱ユニット100におけるハンドル114を下方に押し下げて、ガラスGに対する吸着パッド112の吸着状態を解除する。
最後に、加圧・加熱ユニット100をガラスGから離すと、図11(c)に示すように、ガラスGに接着された金属金具Bが表れる。安定した接着品質を得るためには、接着後24時間そのまま放置する。
【0080】
以上のようにして、金属金具BをガラスGに対して接着することができる。
【0081】
<実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10の効果>
最後に、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10の効果を説明する。
【0082】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、接着時に力点となる第1脚110と、接着時に作用点となる第2脚120と、接着時に支点となる第3脚140とを備えるため、小型真空ポンプを用いることなく純粋に機械的操作を行うことのみで金属金具BをガラスGに対して加圧することが可能となり、非特許文献1に記載の金属金具・ガラス接着装置900よりも連続使用時間が長く作業効率が高い金属金具・ガラス接着装置を提供することが可能となる。
【0083】
また、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、第1脚110に対して第2脚120とは反対の位置に配設された脚部を有し、接着時に支点となる第3脚140をさらに備えるため、ガラスGに対して第2脚120と第3脚140とを第1脚110の両側から加圧することで、ガラスGに対する吸着パッド112の剥離力が両側からかかるようになる。このため、第3脚140を備えない場合と比較して、接着中にガラスGから吸着パッド112が外れてしまうという事態の発生を抑制することが可能となる。
【0084】
また、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、従来の金属金具・ガラス接着装置900の場合のように、当接部の内周側の空間を減圧するという必要がなくなるため、金属金具Bの周囲の領域において加圧・加熱ヘッドをガラスに当接させる必要がなくなる。このため、ガラスGの端部近傍においても、金属金具BをガラスGに対して接着することが可能となる。
【0085】
また、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、所定のプログラムに従って金属金具Bを加熱することが可能となるため、作業者のカン・経験によらず、種々の施工環境の下でも確実に接着することが可能となる。また、熱の伝わり方が変則的な合わせガラスに対して金属金具Bを接着する場合であっても、そのような合わせガラスに応じた所定のプログラムに従って金属金具Bを加熱することが可能となるため、やはり作業者のカン・経験によらず、種々の施工環境の下でも確実に接着することが可能となる。
【0086】
なお、言うまでもないことではあるが、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、非特許文献1に記載の金属金具・ガラス接着装置900の場合と同様に、オートクレーブを用いることなく金属金具BをガラスGに接着することが可能となるため、施工現場で作業することが可能で、かつ、従来の方法よりも高い作業効率で金属金具BをガラスGに接着することが可能となる。
【0087】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、第2脚120と第1脚110との距離は、第3脚140と第1脚110との距離よりも短いため、てこの原理により、第3脚140よりも第2脚120において高い加圧力を得ることが可能となり、高い圧力でもって、金属金具BをガラスGに対して加圧することが可能となる。
【0088】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、第2脚120は、加圧・加熱ヘッド122をガラスGに対して加圧するための第1加圧ノブ138を有し、第3脚140は、第3脚140をガラスGに対して加圧するための第2加圧ノブ146を有するため、第1加圧ノブ138及び第2加圧ノブ146を用いて、ガラスGに対して第2脚138及び第3脚146を所定の加圧力で加圧することが可能となる。また、第1加圧ノブ138及び第2加圧ノブ146を用いて、ガラスGに対する第2脚138及び第3脚146の加圧力を緩めたり開放したりすることが可能となる。
【0089】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、加圧・加熱ヘッド122は、金属金具Bを覆った状態で金属金具Bを加圧するための凹部126と、当該凹部126の外周側に位置しガラスGに対向する外周部124とを有するため、金属金具Bを覆った状態の凹部126で金属金具Bを加圧することにより、ガラスGに対して金属金具Bを安定して加圧することが可能となる。
【0090】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、加圧・加熱ヘッド122は、金属金具Bを加熱するための抵抗加熱によるリングヒータ128を有するため、金属金具・ガラス接着装置900を使用する際に「電波法に基づく届出」をする必要がなく、作業効率を高くすることが可能となる。
【0091】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、加圧・加熱ヘッド122と支持部130との間には、断熱部材129が配設されているため、加圧・加熱ヘッド122からの熱により支持部130及び連結部150が高温になることが抑制され、支持部130及び連結部150が高温になることに起因して発生する弊害を抑制することができる。
【0092】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、加圧・加熱ユニット100と電力制御ユニット200とを別体として構成するとともに、電源を電力制御ユニット200側に配設することにより、加圧・加熱ユニット100を小型・軽量化することが可能となり、作業効率をさらに高くすることが可能となる。
【0093】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、加圧・加熱ユニット120には、ガラスGに対する金属金具Bの加圧力をモニターするための圧力センサ132及び加圧・加熱ヘッド122の温度をモニターするための温度センサ133が配設されており、金属金具・ガラス接着装置10は、圧力センサ132の出力信号及び温度センサ133の出力信号を加圧・加熱ユニット100から電力制御ユニット200に送信するための信号線をさらに備えるため、金属金具BをガラスGに対して所定の加圧力で加圧した状態で所定のプログラムに従って金属金具Bを加熱することが可能となる。
【0094】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、電力制御ユニット200は、圧力センサ132の出力信号に基づいて、ガラスGに対する加圧・加熱ヘッド122の加圧力が所定の範囲に入っているかどうかを判断し表示する機能を有するため、金属金具BがガラスGに対して所定の加圧力で加圧されているかどうかを確認することが可能となる。このため、ガラスGに対する加圧・加熱ヘッド122の加圧力が所定の範囲に入っている場合にのみ金属金具Bを加熱することが可能となるため、接着力が不足した状態で金属金具BをガラスGに接着してしまうという問題の発生を未然に防止することができる。
【0095】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、電力制御ユニット200は、ガラスGに対する加圧・加熱ヘッド122の加圧力が所定の範囲に入っている場合にのみ加圧・加熱ユニット100に電力を供給する機能を有するため、ガラスGに対する加圧・加熱ヘッド122の加圧力が所定の範囲に入っている場合にのみ間違いなく金属金具Bを加熱することが可能となる。このため、接着力が不足した状態で金属金具BをガラスGに接着してしまうという問題の発生を未然に防止することができる。
【0096】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、電力制御ユニット200は、温度センサの出力信号を考慮して電力制御を行う機能を有するため、所定のプログラムに従って金属金具Bを正しく加熱することが可能となる。
【0097】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、電力制御ユニット200は、接着対象となる金属金具Bの種類を入力するための入力手段及び接着環境を入力するための入力手段をさらに有し、入力された金属金具Bの種類及び/又は入力されたガラスGの種類に応じて電力制御を行う機能を有するため、接着対象となる金属金具Bの種類及び/又は接着対象となるガラスGの種類に応じて適切に電力を供給することが可能となる。
【0098】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、加圧・加熱ユニット100及び電力制御ユニット200は、それぞれの動作を制御するCPU及びそれぞれの動作に必要な情報を記憶するROMを有し、電力制御ユニット200は、加圧・加熱ユニット100の種類に関する情報を加圧・加熱ユニット100から取得する機能及び取得した加圧・加熱ユニット100の種類に応じて電力制御を行う機能を有するため、加圧・加熱ユニット100の種類に応じて適切な電力制御を行うことが可能となる。
【0099】
[実施形態2]
図12は、実施形態2に係る金属金具・ガラス接着装置10aを説明するために示す図である。なお、図12中、符号230は、加圧・加熱ユニット選択ボタンを示す。
【0100】
実施形態2に係る金属金具・ガラス接着装置10aは、基本的には、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10と同様の構成を有するが、加圧・加熱ユニットの数が実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10の場合とは異なる。すなわち、実施形態2に係る金属金具・ガラス接着装置10aにおいては、図12に示すように、加圧・加熱ユニットとして、複数の(4つの)加圧・加熱ユニット100a1〜100a4を備え、電力制御ユニット200aは、各加圧・加熱ユニット100a1〜100a4対して独立に電力制御を行う機能を有する。そして、電力制御ユニット200aが実際に各加圧・加熱ユニット100a1〜100a4に対して独立に電力制御を行っている。
【0101】
このため、実施形態2に係る金属金具・ガラス接着装置10aによれば、複数の加圧・加熱ユニット100a〜100dを並行して使用することにより、金属金具BをガラスGに対して接着する作業を並行して高い作業効率で実施することが可能となる。
【0102】
なお、実施形態2に係る金属金具・ガラス接着装置10aは、加圧・加熱ユニットの数以外の点については実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10と同様の構成を有するため、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0103】
[実施形態3]
図13は、実施形態3に係る金属金具・ガラス接着装置10bを説明するために示す図である。
【0104】
実施形態3に係る金属金具・ガラス接着装置10bは、基本的には、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10と同様の構成を有するが、図13に示すように、加圧・加熱ユニットが金属金具を加熱するための電力を供給する電源を有する点及び電力制御ユニットが無線制御信号を用いて電力制御を行う点が、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10の場合とは異なる。
【0105】
このため、実施形態3に係る金属金具・ガラス接着装置10bによれば、電力制御ユニット200bと加圧・加熱ユニット100bとの配線を無くすることが可能となり、作業効率をさらに高くすることが可能となる。
【0106】
なお、実施形態3に係る金属金具・ガラス接着装置10bは、加圧・加熱ユニットが金属金具を加熱するための電力を供給する電源を有する点及び電力制御ユニットが無線制御信号を用いて電力制御を行う点以外の点については実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10と同様の構成を有するため、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0107】
[実施形態4]
図14は、実施形態4に係る金属金具・ガラス接着装置10cを説明するために示す図である。
【0108】
実施形態2に係る金属金具・ガラス接着装置10cは、基本的には、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10と同様の構成を有するが、図14に示すように、電力制御ユニットが加圧・加熱ユニットの筐体内に収納されている点が、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10の場合とは異なる。
【0109】
このため、実施形態4に係る金属金具・ガラス接着装置10cによれば、電力制御ユニットを加圧・加熱ユニットに収納することにより、装置をコンパクトなものにすることが可能となり、作業効率をさらに高くすることが可能となる。
【0110】
なお、実施形態4に係る金属金具・ガラス接着装置10cは、電力制御ユニットが加圧・加熱ユニットの筐体内に収納されている点以外の点については実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10と同様の構成を有するため、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0111】
以上、本発明の金属金具・ガラス接着装置を上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0112】
(1)上記各実施形態においては、シリコーン接着剤として、フィルム状のシリコーン接着剤を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、液状のシリコーン接着剤を用いることもできる。
【0113】
(2)上記各実施形態においては、金属金具Bとして、ステンレス製の直径20mmの円形ボスを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ステンレス製の直径20mm以外の円形ボス(例えば、30mm。)を用いることもできるし、円形以外のボス(例えば、六角形、長方形など。)を用いることもできるし、スレンレス製以外のボス(例えば、チタン製、アルミニウム製など。)を用いることもできる。
【0114】
(3)上記実施形態1においては、電力線及び信号線を1本の接続ケーブル224に収容した場合を例にとって本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電力線及び信号線を別々の接続ケーブルに収容してもよい。
【0115】
(4)上記各実施形態においては、表示部220として、7セグメント表示の表示装置(LED表示装置)を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、グラフィックス表示の表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置など。)を用いることもできる。
【0116】
(5)上記実施形態1〜3においては、所定のプログラム(プログラム00〜プログラム12)が加圧・加熱ユニット100に記憶されているものとして本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、所定のプログラムが電力供給ユニット200に記憶されていてもよい。
【0117】
(6)上記実施形態2においては、電力制御ユニット200aが各加圧・加熱ユニット100a1〜100a4に対して独立に電力制御を行っているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電力制御ユニット200aが各加圧・加熱ユニット100a1〜100a4に対して同一タイミングで電力制御を行ってもよい。
【符号の説明】
【0118】
10、10a、10b,10c,900…金属金具・ガラス接着装置、100,100a1,100a2,100a3,100a4,100b,910…加圧・加熱ユニット、110…第1脚、112…吸着パッド、114…ハンドル、120…第2脚、122…加圧・加熱ヘッド、124…外周部、126…凹部、127…金属ブロック、128…リングヒーター、129…断熱部材、130…支持部、132…圧力センサ、133…温度センサ、134…リングヒータ駆動ケーブル、136…センサ出力ケーブル、138…第1加圧ノブ、140…第3脚、142…脚部、144…軸受、146…第2加圧ノブ、150…連結部、152…制御回路、154…スタートボタン、156…ストップボタン、158…表示部、160…コネクタ、200,200a,200b…電力制御ユニット、202…電源ボタン、204…「Φ20選択/(−)」ボタン、206…「Φ30選択/(+)」ボタン、208…「Custom/Shift」ボタン、210…開始ボタン、212…終了ボタン、214…温度センサ接続確認ボタン、216…圧力センサ接続確認ボタン、218…表示切替ボタン、220…表示部、222,222a1,222a2,222a3,222a4…コネクタ、224…接続ケーブル、230…加圧・加熱ユニット選択ボタン、912…加圧・加熱ヘッド、914…当接部、916…凹部、918…本体部、920…電力供給ユニット、922…スタートボタン、924…ストップボタン、926…表示部、930…接続ケーブル、932…真空用ケーブル、A…シリコーン接着剤フィルム、B,B1,B2,B3,B4…ボス、G…ガラス、K,N…ジョイント金属金具、L…テーブルの脚、T…テーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属金具・ガラス接着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属金具をガラスに接着する方法として、シリコーン接着剤を介して金属金具をガラスに仮接着した後、ガラスをオートクレープに入れ高圧・高温条件下で長時間静置するする方法があった。しかしながら、上記した従来の方法においては、ガラスをオートクレープに入れ高圧・高温条件下で長時間静置する必要があるため、施工現場で作業ができないという問題及び作業効率が低いという問題があった。
【0003】
そこで、施工現場で作業することが可能で、かつ、従来の方法よりも高い作業効率で金属金具をガラスに接着することを可能とする金属金具・ガラス接着装置が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
図15は、非特許文献1に記載の金属金具・ガラス接着装置900を説明するために示す図である。
図16は、非特許文献1に記載の金属金具・ガラス接着装置900を用いて金属金具BをガラスGに接着する手順を説明するために示す図である。図16(a)〜図16(d)は各工程図である。
図17は、金属金具Bが接着された2枚のガラスGを用いてガラス同士を接合する手順を示す図である。図17(a)及び図17(b)は各工程図である。
図18は、金属金具Bが接着されたガラスGを用いてテーブルを組み立てる手順を示す図である。図18(a)及び図18(b)は各工程図である。
【0004】
非特許文献1に記載の金属金具・ガラス接着装置900は、図15及び図16に示すように、シリコーン接着剤A(例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社のSOTEFAシート。)を介して金属金具B(例えば、ステンレス製のボス。)をガラスGに接着するための金属金具・ガラス接着装置である。そして、図15に示すように、金属金具BをガラスGに対して加圧した状態で当該金属金具Bを加熱するための加圧・加熱ユニット910と、加圧・加熱ユニット910に電力を供給する電力供給ユニット920と、電力供給ユニット920から加圧・加熱ユニット910に電力を伝送するための電力線並びに加圧・加熱ユニット910における圧力及び温度に関する信号を電力供給ユニット920に伝送するための信号線が収納された接続ケーブル930とを備える。なお、非特許文献1に記載の金属金具・ガラス接着装置900は、本件特許出願人が東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社の協力を得て開発及び製造したものである。
【0005】
加圧・加熱ユニット910は、加圧・加熱ヘッド912と、本体部918とを有する。加圧・加熱ヘッド912は、金属金具Bを覆った状態で当該金属金具Bを加圧するための凹部916と、当該凹部916の外周側に位置しガラスGに対して当接する当接部914とを有する。当接部914は弾性部材からなる。加圧・加熱ヘッド912における凹部916の周囲には、金属金具Bを加熱するための電磁誘導加熱によるリングヒータ(図示せず。)が配設されている。電力供給ユニット920の内部には、小型真空ポンプ(図示せず。)が配設され、加圧・加熱ユニット910をガラスGに当接させた後に、真空ケーブル932を介して当接部914の内周側の空間を減圧することで、金属金具BをガラスGに対して所定の加圧力で加圧するように構成されている。加圧・加熱ヘッド912の内部には、加圧・加熱ヘッド912の温度をモニターするための温度センサ(図示せず。)が配設され、本体部918の内部には、加圧・加熱ヘッド912の圧力をモニターするための圧力センサ(図示せず。)が配設されている。
【0006】
非特許文献1に記載の金属金具・ガラス接着装置900を用いて金属金具BをガラスGに接着する手順は以下の通りである。すなわち、まず、図16(a)に示すように、接着対象となるガラスGを準備する。次に、図16(b)に示すように、接着面にシリコーン接着剤Aを貼り付けた金属金具BをガラスGの所定位置に仮接着する。次に、図16(c)に示すように、非特許文献1に記載の金属金具・ガラス接着装置900を用いて、金属金具BをガラスGに対して所定の加圧力で加圧した状態で金属金具Bを加熱することにより、金属金具BをガラスGに接着する。これにより、図16(a)〜図16(d)に示すように、オートクレーブを用いることなく金属金具BをガラスGに接着することが可能となるため、施工現場で作業することが可能で、かつ、従来の方法よりも高い作業効率で金属金具をガラスに接着することが可能となる。
【0007】
非特許文献1に記載の金属金具・ガラス接着装置900を用いることによって2枚のガラスGに金属金具Bを接着しておけば、図17に示すように、当該2枚のガラスG及びジョイント用金属金具K,Nを用いて2枚のガラスGを接合することが可能となる。また、非特許文献1に記載の金属金具・ガラス接着装置900を用いることによって1枚のガラスGに金属金具Bを接着しておけば、図18に示すように、当該1枚のガラスG、テーブル脚L及びジョイント用金属金具Nを用いてテーブルTを組み立てることが可能となる。また、このとき、ガラスに穴を開けることなく金属金具をガラスに接着することが可能となるため、デザイン性に優れた種々の建造物、什器、家具などを製造することが可能となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】”EGSシステム、次世代ガラス接着加工工法、EGS(Exposed Glazing System)工法”[online]、株式会社昭栄、[平成20年8月4日検索]、インターネット<URL:http://www.theglass.jp/system/in05_00/index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の金属金具・ガラス接着装置900においては、小型真空ポンプを用いて当接部914の内周側の空間を減圧することで金属金具BをガラスGに対して加圧するように構成されているため、小型真空ポンプを長時間連続して(例えば30分以上。)運転することができないことに起因して、金属金具・ガラス接着装置の連続使用時間を長くして作業効率を高くすることが困難であるという問題がある。この場合、電力供給ユニットとは別に中型又は大型の真空ポンプを準備しておき、当該中型又は大型の真空ポンプを用いることによって金属金具・ガラス接着装置の連続使用時間を長くすることが考えられる。しかしながら、この場合には、施工場所に中型又は大型の真空ポンプを持ち込む必要があるため作業性が悪く、また、中型又は大型の真空ポンプは消費電力が大きく、金属金具・ガラス接着装置の消費電力を低くすることが困難となるという問題が新たに発生するため好ましくない。
【0010】
そこで、本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、非特許文献1に記載の金属金具・ガラス接着装置900よりも連続使用時間が長く作業効率が高い金属金具・ガラス接着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明の金属金具・ガラス接着装置は、シリコーン接着剤を介して金属金具をガラスに接着するための金属金具・ガラス接着装置であって、吸着パッドを有し、接着時に力点となる第1脚と、金属金具をガラスに対して所定の加圧力で加圧した状態で所定のプログラムに従って金属金具を加熱する加圧・加熱ヘッド及び当該加圧・加熱ヘッドを支持する支持部を有し、接着時に作用点となる第2脚と、前記第1脚に対して前記第2脚とは反対の位置に配設された脚部を有し、接着時に支点となる第3脚と、前記第1脚、前記第2脚及び前記第3脚を連結する連結部とを有する加圧・加熱ユニットと、金属金具を加熱するための電力に係る電力制御を行う電力制御ユニットとを備えることを特徴とする。
【0012】
このため、本発明の金属金具・ガラス接着装置によれば、接着時に力点となる第1脚と、接着時に作用点となる第2脚と、接着時に支点となる第3脚とを備えるため、小型真空ポンプを用いることなく純粋に機械的操作を行うことのみで金属金具をガラスに対して加圧することが可能となり、非特許文献1に記載の金属金具・ガラス接着装置900よりも連続使用時間が長く作業効率が高い金属金具・ガラス接着装置を提供することが可能となる。
【0013】
また、本発明の金属金具・ガラス接着装置によれば、第1脚に対して第2脚とは反対の位置に配設された脚部を有し、接着時に支点となる第3脚をさらに備えるため、ガラスに対して第2脚と第3脚とを第1脚の両側から加圧することで、ガラスに対する吸着パッドの剥離力が両側からかかるようになる。このため、第3脚を備えない場合と比較して、接着中にガラスから吸着パッドが外れてしまうという事態の発生を抑制することが可能となる。
【0014】
また、本発明の金属金具・ガラス接着装置によれば、従来の金属金具・ガラス接着装置の場合のように、当接部の内周側の空間を減圧するという必要がなくなるため、金属金具の周囲の領域において加圧・加熱ヘッドをガラスに当接させる必要がなくなる。このため、ガラスの端部近傍においても、金属金具をガラスに対して接着することが可能となる。本発明の金属金具・ガラス接着装置によれば、例えば、金属金具とガラスの端部との間隔が5mmしかないような部位においても金属金具を接着することもできる。
【0015】
また、本発明の金属金具・ガラス接着装置によれば、所定のプログラムに従って金属金具を加熱することが可能となるため、作業者のカン・経験によらず、種々の施工環境の下でも確実に接着することが可能となる。また、熱の伝わり方が変則的な合わせガラスに対して金属金具を接着する場合であっても、そのような合わせガラスに応じた所定のプログラムに従って金属金具を加熱することが可能となるため、やはり作業者のカン・経験によらず、種々の施工環境の下でも確実に接着することが可能となる。
【0016】
なお、言うまでもないことではあるが、本発明の金属金具・ガラス接着装置によれば、非特許文献1に記載の金属金具・ガラス接着装置900の場合と同様に、オートクレーブを用いることなく金属金具BをガラスGに接着することが可能となるため、施工現場で作業することが可能で、かつ、従来の方法よりも高い作業効率で金属金具をガラスに接着することが可能となる。
【0017】
(2)本発明の金属金具・ガラス接着装置においては、前記第2脚と前記第1脚との距離は、前記第3脚と前記第1脚との距離よりも短いことが好ましい。
【0018】
このような構成とすることにより、てこの原理により、第3脚よりも第2脚において高い加圧力を得ることが可能となり、高い圧力でもって、金属金具をガラスに対して加圧することが可能となる。
【0019】
(3)本発明の金属金具・ガラス接着装置においては、前記第2脚は、前記加圧・加熱ヘッドをガラスに対して加圧するための第1加圧ノブを有し、前記第3脚は、当該第3脚をガラスに対して加圧するための第2加圧ノブを有することが好ましい。
【0020】
このような構成とすることにより、第1加圧ノブ及び第2加圧ノブを用いて、ガラスに対して第2脚及び第3脚を所定の加圧力で加圧することが可能となる。また、第1加圧ノブ及び第2加圧ノブを用いて、ガラスに対する第2脚及び第3脚の加圧力を緩めたり開放したりすることが可能となる。
【0021】
(4)本発明の金属金具・ガラス接着装置においては、前記加圧・加熱ヘッドは、金属金具を覆った状態で当該金属金具を加圧するための凹部と、当該凹部の外周側に位置しガラスに対向する外周部とを有することが好ましい。
【0022】
このような構成とすることにより、金属金具を覆った状態の凹部で金属金具を加圧することにより、ガラスに対して金属金具を安定して加圧することが可能となる。
【0023】
(5)本発明の金属金具・ガラス接着装置においては、前記加圧・加熱ヘッドは、金属金具を加熱するための抵抗加熱によるリングヒータを有することが好ましい。
【0024】
ところで、従来の金属金具・ガラス接着装置900においては、電磁誘導加熱によるリングヒータを用いて金属金具を加熱することとしているため、金属金具・ガラス接着装置900を使用する毎に「電波法に基づく届出」をすることが必要となり、作業が煩雑になり、作業性が低下する。これに対して、本発明の金属金具・ガラス接着装置によれば、抵抗加熱によるリングヒータを用いて金属金具を加熱することとしているため、そのような届出の必要がなく、作業効率を高くすることが可能となる。
【0025】
(6)本発明の金属金具・ガラス接着装置においては、前記加圧・加熱ヘッドと前記支持部との間には、断熱部材が配設されていることが好ましい。
【0026】
このような構成とすることにより、加圧・加熱ヘッドからの熱により支持部及び連結部が高温になることが抑制され、支持部及び連結部が高温になることに起因して発生する弊害を抑制することができる。断熱部材としては、断熱性能及び部材コストの点から、ベークライトからなるものを用いることが好ましい。
【0027】
(7)本発明の金属金具・ガラス接着装置においては、前記加圧・加熱ユニットと前記電力制御ユニットとは別体として構成され、前記電力制御ユニットは、金属金具を加熱するための電力を供給する電源を有し、前記電力制御ユニットは、電力線を介して、電力制御された電力を前記加圧・加熱ユニットに供給することが好ましい。
【0028】
このように、加圧・加熱ユニットと前記電力制御ユニットとを別体として構成するとともに、電源を電力制御ユニット側に配設することにより、加圧・加熱ユニットを小型・軽量化することが可能となり、作業効率をさらに高くすることが可能となる。
【0029】
(8)本発明の金属金具・ガラス接着装置においては、前記加圧・加熱ユニットと前記電力制御ユニットとは別体として構成され、前記加圧・加熱ユニットは、金属金具を加熱するための電力を供給する電源を有し、前記電源は、前記前記電力制御ユニットからの無線制御信号に基づいて、電力制御された電力を前記加圧・加熱ヘッドに供給することも好ましい。
【0030】
このように、加圧・加熱ユニットと前記電力制御ユニットとを別体として構成するとともに、電源を加圧・加熱ユニット側に配設することとし、さらには電力制御ユニットから加圧・加熱ユニットへの制御信号を無線制御信号とすることにより、電力制御ユニットと加圧・加熱ユニットとの配線を無くすることが可能となり、作業効率をさらに高くすることが可能となる。
【0031】
(9)本発明の金属金具・ガラス接着装置において、前記電力制御ユニットは、前記加圧・加熱ユニットの筐体内に収納され、前記電力制御ユニットは、金属金具を加熱するための電力を供給する電源を有し、前記電源は、前記電力制御ユニットからの制御信号に基づいて、電力制御された電力を前記加圧・加熱ヘッドに供給することも好ましい。
【0032】
このように、電力制御ユニットを加圧・加熱ユニットの筐体内に収納することにより、装置をコンパクトなものにすることが可能となり、作業効率をさらに高くすることが可能となる。
【0033】
(10)本発明の金属金具・ガラス接着装置においては、前記加圧・加熱ユニットには、ガラスに対する金属金具の加圧力をモニターするための圧力センサ及び前記加圧・加熱ヘッドの温度をモニターするための温度センサが配設されており、前記金属金具・ガラス接着装置は、前記圧力センサの出力信号及び前記温度センサの出力信号を前記加圧・加熱ユニットから前記電力制御ユニットに送信するための信号伝達手段をさらに備えることが好ましい。
【0034】
このような構成とすることにより、金属金具をガラスに対して所定の加圧力で加圧した状態で所定のプログラムに従って金属金具を加熱することが可能となる。
【0035】
(11)本発明の金属金具・ガラス接着装置においては、前記圧力センサの出力信号に基づいて、ガラスに対する金属金具の加圧力が所定の範囲に入っているかどうかを判断し表示する機能を有することが好ましい。
【0036】
このような構成とすることにより、金属金具がガラスに対して所定の加圧力で加圧されているかどうかを確認することが可能となるため、ガラスに対する加圧・加熱ヘッドの加圧力が所定の範囲に入っている場合にのみ金属金具を加熱することが可能となる。このため、接着力が不足した状態で金属金具をガラスに接着してしまうという問題の発生を未然に防止することができる。
【0037】
(12)本発明の金属金具・ガラス接着装置においては、ガラスに対する金属金具の加圧力が所定の範囲に入っている場合にのみ前記加圧・加熱ヘッドに電力が供給されるように構成されていることが好ましい。
【0038】
このような構成とすることにより、ガラスに対する加圧・加熱ヘッドの加圧力が所定の範囲に入っている場合にのみ間違いなく金属金具を加熱することが可能となる。このため、接着力が不足した状態で金属金具をガラスに接着してしまうという問題の発生を未然に防止することができる。
【0039】
(13)本発明の金属金具・ガラス接着装置においては、前記電力制御ユニットは、前記温度センサの出力信号を考慮して前記電力制御を行う機能を有することが好ましい。
【0040】
このような構成とすることにより、所定のプログラムに従って金属金具を正しく加熱することが可能となる。ここで、「温度センサの出力信号を考慮して前記電力制御を行う」とは、温度センサの出力信号から得られる温度が、所定のプログラムによる温度よりも低いと判断したときには、通常の電力よりも大きな電力を加圧・加熱ユニットに供給し、また、温度センサの出力信号から得られる温度が、所定のプログラムによる温度よりも高いと判断したときには、通常の電力よりも小さな電力を加圧・加熱ユニットに供給することにより、温度センサの出力信号から得られる温度が、所定のプログラムによる温度と同じ温度になるように電力供給量を制御することをいう。
【0041】
(14)本発明の金属金具・ガラス接着装置においては、前記電力制御ユニットは、接着対象となる金属金具の種類を入力するための入力手段及び接着環境を入力するための入力手段をさらに有し、入力された金属金具の種類及び/又は入力されたガラスの種類に応じて前記電力制御を行う機能を有することが好ましい。
【0042】
このような構成とすることにより、接着対象となる金属金具の種類及び/又は接着対象となるガラスの種類に応じて適切に電力を供給することが可能となる。接着環境としては、環境対象となるガラスの種類や、接触しようとしているガラスの部位などである。
【0043】
(15)本発明の金属金具・ガラス接着装置においては、前記電力制御ユニット及び前記加圧・加熱ユニットは、それぞれの動作を制御するCPU及びそれぞれの動作に必要な情報を記憶するROMを有し、前記電力制御ユニットは、前記加圧・加熱ユニットの種類に関する情報を前記加圧・加熱ユニットから取得する機能及び取得した加圧・加熱ユニットの種類に応じて前記電力制御を行う機能を有することが好ましい。
【0044】
このような構成とすることにより、加圧・加熱ユニットの種類に応じて適切な電力制御を行うことが可能となる。
【0045】
(16)本発明の金属金具・ガラス接着装置においては、前記金属金具・ガラス接着装置は、前記加圧・加熱ユニットとして、複数の加圧・加熱ユニットを備え、前記電力制御ユニットは、各加圧・加熱ユニット対して独立に前記電力制御を行う機能を有することが好ましい。
【0046】
このような構成とすることにより、複数の加圧・加熱ユニットを並行して使用することにより、金属金具をガラスに対して接着する作業を並行して高い作業効率で実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10を説明するために示す図である。
【図2】加圧・加熱ユニット100を説明するために示す図である。
【図3】電力制御ユニット200の正面図である。
【図4】実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10を用いて金属金具BをガラスGに対して接着する手順を説明するために示すフローチャートである。
【図5】仮接着工程S10を説明するために示す図である。
【図6】接着装置セット工程S20を説明するために示す図である。
【図7】接着パラメータ設定工程S30を説明するために示す図である。
【図8】接着パラメータ設定工程S30を説明するために示す図である。
【図9】圧力設定工程S40を説明するために示す図である。
【図10】接着工程S50を説明するために示す図である。
【図11】終了工程S60を説明するために示す図である。
【図12】実施形態2に係る金属金具・ガラス接着装置10aを説明するために示す図である。
【図13】実施形態3に係る金属金具・ガラス接着装置10bを説明するために示す図である。
【図14】実施形態4に係る金属金具・ガラス接着装置10cを説明するために示す図である。
【図15】従来の金属金具・ガラス接着装置900を説明するために示す図である。
【図16】従来の金属金具・ガラス接着装置900を用いて金属金具BをガラスGに接着する手順を説明するために示す図である。
【図17】金属金具Bが接着された2枚のガラスGを用いてガラス同士を接合する手順を示す図である。
【図18】金属金具Bが接着されたガラスGを用いてテーブルを組み立てる手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の金属金具・ガラス接着装置について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0049】
[実施形態1]
<実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10の構成>
まず、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10の構成について、図1〜図3を用いて詳細に説明する。
【0050】
図1は、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10を説明するために示す図である。図1(a)は1つ目の金属金具B1、2つ目の金属金具B2に続いて、3つ目の金属金具B3をガラスGに接着している様子を示す図であり、図1(b)は4つ目の金属金具B4をガラスGに接着している様子を示す図である。
図2は、加圧・加熱ユニット100を説明するために示す図である。図2(a)は加圧・加熱ユニット100の正面図であり、図2(b)は第2脚120の部分の断面図であり、図2(c)は加圧・加熱ヘッド122の部分の拡大断面図である。
図3は、電力制御ユニット200の正面図である。
【0051】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10は、図1〜図3に示すように、シリコーン接着剤Aを介して金属金具BをガラスGに接着するための金属金具・ガラス接着装置であって、加圧・加熱ユニット100と、金属金具を加熱するための電力に係る電力制御を行う電力制御ユニット200と、電力制御ユニット200から加圧・加熱ユニット100に電力を供給するための電力線を収納する接続ケーブル224とを備える。電力制御ユニット200は、金属金具を加熱するための電力を供給する電源(図示せず。)を有し、電力線を介して、電力制御された電力を前記加圧・加熱ユニットに供給する。
【0052】
加圧・加熱ユニット100は、吸着パッド112を有し、接着時に力点となる第1脚110と、金属金具BをガラスGに対して所定の加圧力で加圧した状態で所定のプログラムに従って金属金具Bを加熱する加圧・加熱ヘッド122及び当該加圧・加熱ヘッド122を支持する支持部130を有し、接着時に作用点となる第2脚120と、第1脚110に対して第2脚120とは反対の位置に配設された脚部142を有し、接着時に支点となる第3脚140と、第1脚110、第2脚120及び第3脚140を連結する連結部150とを有する。
【0053】
第2脚120第1脚110との距離は、第3脚140第1脚110との距離よりも短い。
【0054】
第2脚120は、加圧・加熱ヘッド122をガラスGに対して加圧するための第1加圧ノブ138を有し、第3脚140は、第3脚140をガラスGに対して加圧するための第2加圧ノブ146を有する。
【0055】
加圧・加熱ヘッド122は、図2(b)に示すように、金属金具Bを覆った状態で当該金属金具Bを加圧するための凹部126と、当該凹部126の外周側に位置しガラスGに対向する外周部124とを有する。加圧・加熱ヘッド122は、アルミニウム製の金属ブロック127からなる。
【0056】
加圧・加熱ヘッド122は、図2(b)及び図2(c)に示すように、金属金具Bを加熱するための抵抗加熱によるリングヒータ128を有する。
【0057】
加圧・加熱ヘッド122と支持部130との間には、フェノール樹脂からなる断熱部材129が配設されている。
【0058】
加圧・加熱ユニット120には、ガラスGに対する金属金具Bの加圧力をモニターするための圧力センサ(例えばロードセル)132及び加圧・加熱ヘッド122の温度をモニターするための温度センサ(例えば熱電対)133が配設されている。圧力センサ132の出力信号及び温度センサの出力信号を加圧・加熱ユニット100から電力制御ユニット200に送信するための信号線が、上述した電力線とともに接続ケーブル224に収納されている。
【0059】
電力制御ユニット200は、圧力センサ132の出力信号に基づいて、後述する図9に示すように、ガラスGに対する加圧・加熱ヘッド122の加圧力が所定の範囲に入っているかどうかを判断し表示する機能(表示部220)を有する。
【0060】
電力制御ユニット200は、ガラスGに対する加圧・加熱ヘッド122の加圧力が所定の範囲に入っている場合にのみ加圧・加熱ユニット100に電力を供給する機能を有する。
【0061】
電力制御ユニット200は、温度センサ133の出力信号を考慮して電力制御を行う機能を有する。
【0062】
電力制御ユニット200は、接着対象となる金属金具Bの種類を入力するための入力手段及び接着環境を入力するための入力手段をさらに有し、入力された金属金具Bの種類及び/又は入力された接着環境に応じて電力制御を行う機能を有する。
【0063】
加圧・加熱ユニット100及び電力制御ユニット200は、それぞれの動作を制御するCPU及びそれぞれの動作に必要な情報を記憶するROMを有し、電力制御ユニット200は、信号線224を介して、加圧・加熱ユニット100の種類に関する情報を加圧・加熱ユニット100から取得する機能及び取得した加圧・加熱ユニット100の種類に応じて電力制御を行う機能を有する。
【0064】
<実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10の使用方法>
次に、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10の使用方法について、図4〜図11を用いて詳細に説明する。
【0065】
図4は、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10を用いて金属金具BをガラスGに対して接着する手順を説明するために示すフローチャートである。
図5は、仮接着工程S10を説明するために示す図である。図5(a)〜図5(c)は各工程図である。
図6は、装置セット工程S20を説明するために示す図である。図6(a)〜図6(c)は各工程図である。
【0066】
図7及び図8は、接着パラメータ設定工程S30を説明するために示す図である。図7(a)は、接着対象の金属金具Bの種類を設定する際の手順を説明するために示す図であり、図7(b)は接着対象のガラスGの種類を設定する際の手順を説明するために示す図である。図8はプログラム番号と接着環境との対応を示す図である。
図9は、圧力設定工程S40を説明するために示す図である。図9(a)は圧力調整を行っている際の加圧・加熱ユニット100の様子を示す図であり、図9(b)〜図9(d)は圧力調整を行っている際の電力制御ユニット200における表示部220の表示画面を示す図である。
【0067】
図10は、接着工程S50を説明するために示す図である。図10(a)は接着工程S50における金属金具・ガラス接着装置10の状態を示す図であり、図10(b)は金属金具Bを加熱する際の加熱曲線を示す図である。
図11は、終了工程S60を説明するために示す図である。図11(a)〜図11(c)は各工程図である。
【0068】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10を用いて金属金具BをガラスGに対して接着するには、図4に示すように、仮接着工程S10、装置セット工程S20、接着パラメータ設定工程S30、圧力設定工程S40、接着工程S50及び終了処理工程S60をこの順序で行う。以下、工程順に説明する。
【0069】
1.仮接着工程S10
まず、図5(a)に示すように、金属金具B4(例えば、ステンレス製のボス。)と、シリコーン接着剤A(例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社のSOTEFAシート。)を準備する。
次に、図5(b)に示すように、金属金具B4にシリコーン接着剤Aを貼り付け、余分なシリコーン接着剤Aを切り落とす。
最後に、シリコーン接着剤Aが貼り付けられた方の面を下にして、金属金具B4をガラスGの所定位置に仮接着する。
【0070】
2.装置セット工程S20
まず、図1〜図3に示すように、加圧・加熱ユニット100と電力制御ユニット200とを接続ケーブル224を用いて接続する。このとき、電力制御ユニット200は、加圧・加熱ユニット100が接続されている旨の情報及び加圧・加熱ユニット100の種類に関する情報を、接続ケーブル中の信号線を介して加圧・加熱ユニット100から取得する。
【0071】
次に、図6(a)に示すように、加圧・加熱ユニット100における第1加圧ノブ138及び第2加圧ノブ146を左に回して第2脚120の加圧・加熱ヘッド122及び第3脚140の脚部142を上方に移動させる。
次に、図6(b)に示すように、金属金具Bが仮接着されたガラスGの所定位置に加圧・加熱ユニット100を配置する。
最後に、図6(c)に示すように、加圧・加熱ユニット100におけるハンドル114を上方に持ち上げて、ガラスGに吸着パッド112を吸着させる。
【0072】
3.接着パラメータ設定工程S30
まず、接着対象の金属金具Bの種類を選択する。このとき、図7(a)に示すように、「Φ20/(−)」ボタン及び「Φ30/(+)」ボタンが選択可能(点滅表示)となっている。例えば、直径20mmの金属金具を選択するときには、「Φ20/(−)」ボタンを押す。
【0073】
次に、接着環境の設定をする。このとき、図7(b)に示すように、「Φ20/(−)」ボタン、「Φ30/(+)」ボタン及び「Custom/Shift」ボタンが選択可能(点滅表示)となっている。これらのボタンを押すことにより、図8に示すような接着環境(プログラム番号00〜12)のうちいずれかを選択する。「Φ20/(−)」ボタンを押すと、プログラム番号が1つずつ減算されていき、「Φ30/(+)」ボタンを押すと、プログラム番号が1つずつ加算されていき、「Custom/Shift」ボタンを押しながら「Φ20/(−)」を押すと、プログラム番号が5つずつ減算されていき、「Custom/Shift」ボタンを押しながら「Φ30/(+)」ボタンを押すと、プログラム番号が5つずつ加算されていく。例えば、「10mmの合わせガラスの接着を行う場合であって、端面より15cm以内における接着を行う場合」には、「Φ30/(+)」ボタンを6回押す。または、「Custom/Shift」ボタンを押しながら「Φ30/(+)」ボタンを1回押し、その後「Φ30/(+)」ボタンを1回押す。
【0074】
接着パラメータ設定工程S30が終わったら、開始ボタン210又はスタートボタン154を押して、圧力設定工程S40に進む。
【0075】
なお、所定のプログラム(プログラム番号00に係るプログラム〜プログラム番号12に係るプログラム)は、加圧・加熱ユニット100(制御回路152)に記憶されている。
【0076】
4.圧力設定工程S40
まず、図9(a)に示すように、加圧・加熱ユニット100における第1加圧ノブ138及び第2加圧ノブ146を右に回して第2脚120の加圧・加熱ヘッド122及び第3脚140の脚部142を下方に移動させる。このとき、連結部150がガラス面に平行になるように注意する。
【0077】
次に、電力制御ユニット200における表示部220の表示状態を確認して、ガラスGに対する金属金具Bの加圧力が高いのか、適切なのか、低いのかを確認する。このとき、図9(b)に示すように、圧力が高い場合には、第1加圧ノブ138及び第2加圧ノブ146を左に回して第2脚120の加圧・加熱ヘッド122及び第3脚140の脚部142を上方に移動させ、図9(d)に示すように、圧力が低い場合には、第1加圧ノブ138及び第2加圧ノブ146を右に回して第2脚120の加圧・加熱ヘッド122及び第3脚140の脚部142を下方に移動させる。ガラスGに対する金属金具Bの加圧力が適切な場合には、図9(c)に示すような表示が得られる。
なお、表示部220としては、7セグメント表示の表示装置(LED表示装置)を用いる。
【0078】
5.接着工程S50
まず、図10(a)に示すように、電力制御ユニット200の表示部220に正しいプログラム番号が表示されているかどうかを確認する。
次に、電力制御ユニット200の表示部220に正しいプログラム番号が表示されていることが確認できたら、電力制御ユニット200における開始ボタン210(このとき点滅状態にある。)又は加圧・加熱ユニット120におけるスタートボタン154(このとき点滅状態にある。)を押すことにより、電力制御ユニット200から加圧・加熱ユニット100への電力の伝送が開始され、接着工程S50がスタートする。
接着工程S50においては、図10(b)に示すように、予め選択したプログラム番号における所定の加熱曲線に従って金属金具Bを加熱する。接着工程S50が終了して温度が所定温度(例えば、80℃未満。)になったら、次の終了処理工程S60に進むことができる。
【0079】
6.終了処理工程S60
まず、図11(a)に示すように、第1加圧ノブ138及び第2加圧ノブ146を左に回して第2脚120の加圧・加熱ヘッド122及び第3脚140の脚部142を上方に移動させる。
次に、図11(b)に示すように、加圧・加熱ユニット100におけるハンドル114を下方に押し下げて、ガラスGに対する吸着パッド112の吸着状態を解除する。
最後に、加圧・加熱ユニット100をガラスGから離すと、図11(c)に示すように、ガラスGに接着された金属金具Bが表れる。安定した接着品質を得るためには、接着後24時間そのまま放置する。
【0080】
以上のようにして、金属金具BをガラスGに対して接着することができる。
【0081】
<実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10の効果>
最後に、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10の効果を説明する。
【0082】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、接着時に力点となる第1脚110と、接着時に作用点となる第2脚120と、接着時に支点となる第3脚140とを備えるため、小型真空ポンプを用いることなく純粋に機械的操作を行うことのみで金属金具BをガラスGに対して加圧することが可能となり、非特許文献1に記載の金属金具・ガラス接着装置900よりも連続使用時間が長く作業効率が高い金属金具・ガラス接着装置を提供することが可能となる。
【0083】
また、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、第1脚110に対して第2脚120とは反対の位置に配設された脚部を有し、接着時に支点となる第3脚140をさらに備えるため、ガラスGに対して第2脚120と第3脚140とを第1脚110の両側から加圧することで、ガラスGに対する吸着パッド112の剥離力が両側からかかるようになる。このため、第3脚140を備えない場合と比較して、接着中にガラスGから吸着パッド112が外れてしまうという事態の発生を抑制することが可能となる。
【0084】
また、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、従来の金属金具・ガラス接着装置900の場合のように、当接部の内周側の空間を減圧するという必要がなくなるため、金属金具Bの周囲の領域において加圧・加熱ヘッドをガラスに当接させる必要がなくなる。このため、ガラスGの端部近傍においても、金属金具BをガラスGに対して接着することが可能となる。
【0085】
また、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、所定のプログラムに従って金属金具Bを加熱することが可能となるため、作業者のカン・経験によらず、種々の施工環境の下でも確実に接着することが可能となる。また、熱の伝わり方が変則的な合わせガラスに対して金属金具Bを接着する場合であっても、そのような合わせガラスに応じた所定のプログラムに従って金属金具Bを加熱することが可能となるため、やはり作業者のカン・経験によらず、種々の施工環境の下でも確実に接着することが可能となる。
【0086】
なお、言うまでもないことではあるが、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、非特許文献1に記載の金属金具・ガラス接着装置900の場合と同様に、オートクレーブを用いることなく金属金具BをガラスGに接着することが可能となるため、施工現場で作業することが可能で、かつ、従来の方法よりも高い作業効率で金属金具BをガラスGに接着することが可能となる。
【0087】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、第2脚120と第1脚110との距離は、第3脚140と第1脚110との距離よりも短いため、てこの原理により、第3脚140よりも第2脚120において高い加圧力を得ることが可能となり、高い圧力でもって、金属金具BをガラスGに対して加圧することが可能となる。
【0088】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、第2脚120は、加圧・加熱ヘッド122をガラスGに対して加圧するための第1加圧ノブ138を有し、第3脚140は、第3脚140をガラスGに対して加圧するための第2加圧ノブ146を有するため、第1加圧ノブ138及び第2加圧ノブ146を用いて、ガラスGに対して第2脚138及び第3脚146を所定の加圧力で加圧することが可能となる。また、第1加圧ノブ138及び第2加圧ノブ146を用いて、ガラスGに対する第2脚138及び第3脚146の加圧力を緩めたり開放したりすることが可能となる。
【0089】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、加圧・加熱ヘッド122は、金属金具Bを覆った状態で金属金具Bを加圧するための凹部126と、当該凹部126の外周側に位置しガラスGに対向する外周部124とを有するため、金属金具Bを覆った状態の凹部126で金属金具Bを加圧することにより、ガラスGに対して金属金具Bを安定して加圧することが可能となる。
【0090】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、加圧・加熱ヘッド122は、金属金具Bを加熱するための抵抗加熱によるリングヒータ128を有するため、金属金具・ガラス接着装置900を使用する際に「電波法に基づく届出」をする必要がなく、作業効率を高くすることが可能となる。
【0091】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、加圧・加熱ヘッド122と支持部130との間には、断熱部材129が配設されているため、加圧・加熱ヘッド122からの熱により支持部130及び連結部150が高温になることが抑制され、支持部130及び連結部150が高温になることに起因して発生する弊害を抑制することができる。
【0092】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、加圧・加熱ユニット100と電力制御ユニット200とを別体として構成するとともに、電源を電力制御ユニット200側に配設することにより、加圧・加熱ユニット100を小型・軽量化することが可能となり、作業効率をさらに高くすることが可能となる。
【0093】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、加圧・加熱ユニット120には、ガラスGに対する金属金具Bの加圧力をモニターするための圧力センサ132及び加圧・加熱ヘッド122の温度をモニターするための温度センサ133が配設されており、金属金具・ガラス接着装置10は、圧力センサ132の出力信号及び温度センサ133の出力信号を加圧・加熱ユニット100から電力制御ユニット200に送信するための信号線をさらに備えるため、金属金具BをガラスGに対して所定の加圧力で加圧した状態で所定のプログラムに従って金属金具Bを加熱することが可能となる。
【0094】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、電力制御ユニット200は、圧力センサ132の出力信号に基づいて、ガラスGに対する加圧・加熱ヘッド122の加圧力が所定の範囲に入っているかどうかを判断し表示する機能を有するため、金属金具BがガラスGに対して所定の加圧力で加圧されているかどうかを確認することが可能となる。このため、ガラスGに対する加圧・加熱ヘッド122の加圧力が所定の範囲に入っている場合にのみ金属金具Bを加熱することが可能となるため、接着力が不足した状態で金属金具BをガラスGに接着してしまうという問題の発生を未然に防止することができる。
【0095】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、電力制御ユニット200は、ガラスGに対する加圧・加熱ヘッド122の加圧力が所定の範囲に入っている場合にのみ加圧・加熱ユニット100に電力を供給する機能を有するため、ガラスGに対する加圧・加熱ヘッド122の加圧力が所定の範囲に入っている場合にのみ間違いなく金属金具Bを加熱することが可能となる。このため、接着力が不足した状態で金属金具BをガラスGに接着してしまうという問題の発生を未然に防止することができる。
【0096】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、電力制御ユニット200は、温度センサの出力信号を考慮して電力制御を行う機能を有するため、所定のプログラムに従って金属金具Bを正しく加熱することが可能となる。
【0097】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、電力制御ユニット200は、接着対象となる金属金具Bの種類を入力するための入力手段及び接着環境を入力するための入力手段をさらに有し、入力された金属金具Bの種類及び/又は入力されたガラスGの種類に応じて電力制御を行う機能を有するため、接着対象となる金属金具Bの種類及び/又は接着対象となるガラスGの種類に応じて適切に電力を供給することが可能となる。
【0098】
実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10によれば、加圧・加熱ユニット100及び電力制御ユニット200は、それぞれの動作を制御するCPU及びそれぞれの動作に必要な情報を記憶するROMを有し、電力制御ユニット200は、加圧・加熱ユニット100の種類に関する情報を加圧・加熱ユニット100から取得する機能及び取得した加圧・加熱ユニット100の種類に応じて電力制御を行う機能を有するため、加圧・加熱ユニット100の種類に応じて適切な電力制御を行うことが可能となる。
【0099】
[実施形態2]
図12は、実施形態2に係る金属金具・ガラス接着装置10aを説明するために示す図である。なお、図12中、符号230は、加圧・加熱ユニット選択ボタンを示す。
【0100】
実施形態2に係る金属金具・ガラス接着装置10aは、基本的には、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10と同様の構成を有するが、加圧・加熱ユニットの数が実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10の場合とは異なる。すなわち、実施形態2に係る金属金具・ガラス接着装置10aにおいては、図12に示すように、加圧・加熱ユニットとして、複数の(4つの)加圧・加熱ユニット100a1〜100a4を備え、電力制御ユニット200aは、各加圧・加熱ユニット100a1〜100a4対して独立に電力制御を行う機能を有する。そして、電力制御ユニット200aが実際に各加圧・加熱ユニット100a1〜100a4に対して独立に電力制御を行っている。
【0101】
このため、実施形態2に係る金属金具・ガラス接着装置10aによれば、複数の加圧・加熱ユニット100a〜100dを並行して使用することにより、金属金具BをガラスGに対して接着する作業を並行して高い作業効率で実施することが可能となる。
【0102】
なお、実施形態2に係る金属金具・ガラス接着装置10aは、加圧・加熱ユニットの数以外の点については実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10と同様の構成を有するため、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0103】
[実施形態3]
図13は、実施形態3に係る金属金具・ガラス接着装置10bを説明するために示す図である。
【0104】
実施形態3に係る金属金具・ガラス接着装置10bは、基本的には、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10と同様の構成を有するが、図13に示すように、加圧・加熱ユニットが金属金具を加熱するための電力を供給する電源を有する点及び電力制御ユニットが無線制御信号を用いて電力制御を行う点が、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10の場合とは異なる。
【0105】
このため、実施形態3に係る金属金具・ガラス接着装置10bによれば、電力制御ユニット200bと加圧・加熱ユニット100bとの配線を無くすることが可能となり、作業効率をさらに高くすることが可能となる。
【0106】
なお、実施形態3に係る金属金具・ガラス接着装置10bは、加圧・加熱ユニットが金属金具を加熱するための電力を供給する電源を有する点及び電力制御ユニットが無線制御信号を用いて電力制御を行う点以外の点については実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10と同様の構成を有するため、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0107】
[実施形態4]
図14は、実施形態4に係る金属金具・ガラス接着装置10cを説明するために示す図である。
【0108】
実施形態2に係る金属金具・ガラス接着装置10cは、基本的には、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10と同様の構成を有するが、図14に示すように、電力制御ユニットが加圧・加熱ユニットの筐体内に収納されている点が、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10の場合とは異なる。
【0109】
このため、実施形態4に係る金属金具・ガラス接着装置10cによれば、電力制御ユニットを加圧・加熱ユニットに収納することにより、装置をコンパクトなものにすることが可能となり、作業効率をさらに高くすることが可能となる。
【0110】
なお、実施形態4に係る金属金具・ガラス接着装置10cは、電力制御ユニットが加圧・加熱ユニットの筐体内に収納されている点以外の点については実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10と同様の構成を有するため、実施形態1に係る金属金具・ガラス接着装置10が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0111】
以上、本発明の金属金具・ガラス接着装置を上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0112】
(1)上記各実施形態においては、シリコーン接着剤として、フィルム状のシリコーン接着剤を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、液状のシリコーン接着剤を用いることもできる。
【0113】
(2)上記各実施形態においては、金属金具Bとして、ステンレス製の直径20mmの円形ボスを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ステンレス製の直径20mm以外の円形ボス(例えば、30mm。)を用いることもできるし、円形以外のボス(例えば、六角形、長方形など。)を用いることもできるし、スレンレス製以外のボス(例えば、チタン製、アルミニウム製など。)を用いることもできる。
【0114】
(3)上記実施形態1においては、電力線及び信号線を1本の接続ケーブル224に収容した場合を例にとって本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電力線及び信号線を別々の接続ケーブルに収容してもよい。
【0115】
(4)上記各実施形態においては、表示部220として、7セグメント表示の表示装置(LED表示装置)を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、グラフィックス表示の表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置など。)を用いることもできる。
【0116】
(5)上記実施形態1〜3においては、所定のプログラム(プログラム00〜プログラム12)が加圧・加熱ユニット100に記憶されているものとして本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、所定のプログラムが電力供給ユニット200に記憶されていてもよい。
【0117】
(6)上記実施形態2においては、電力制御ユニット200aが各加圧・加熱ユニット100a1〜100a4に対して独立に電力制御を行っているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電力制御ユニット200aが各加圧・加熱ユニット100a1〜100a4に対して同一タイミングで電力制御を行ってもよい。
【符号の説明】
【0118】
10、10a、10b,10c,900…金属金具・ガラス接着装置、100,100a1,100a2,100a3,100a4,100b,910…加圧・加熱ユニット、110…第1脚、112…吸着パッド、114…ハンドル、120…第2脚、122…加圧・加熱ヘッド、124…外周部、126…凹部、127…金属ブロック、128…リングヒーター、129…断熱部材、130…支持部、132…圧力センサ、133…温度センサ、134…リングヒータ駆動ケーブル、136…センサ出力ケーブル、138…第1加圧ノブ、140…第3脚、142…脚部、144…軸受、146…第2加圧ノブ、150…連結部、152…制御回路、154…スタートボタン、156…ストップボタン、158…表示部、160…コネクタ、200,200a,200b…電力制御ユニット、202…電源ボタン、204…「Φ20選択/(−)」ボタン、206…「Φ30選択/(+)」ボタン、208…「Custom/Shift」ボタン、210…開始ボタン、212…終了ボタン、214…温度センサ接続確認ボタン、216…圧力センサ接続確認ボタン、218…表示切替ボタン、220…表示部、222,222a1,222a2,222a3,222a4…コネクタ、224…接続ケーブル、230…加圧・加熱ユニット選択ボタン、912…加圧・加熱ヘッド、914…当接部、916…凹部、918…本体部、920…電力供給ユニット、922…スタートボタン、924…ストップボタン、926…表示部、930…接続ケーブル、932…真空用ケーブル、A…シリコーン接着剤フィルム、B,B1,B2,B3,B4…ボス、G…ガラス、K,N…ジョイント金属金具、L…テーブルの脚、T…テーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン接着剤を介して金属金具をガラスに接着するための金属金具・ガラス接着装置であって、
吸着パッドを有し、接着時に力点となる第1脚と、金属金具をガラスに対して所定の加圧力で加圧した状態で所定のプログラムに従って金属金具を加熱する加圧・加熱ヘッド及び当該加圧・加熱ヘッドを支持する支持部を有し、接着時に作用点となる第2脚と、前記第1脚に対して前記第2脚とは反対の位置に配設された脚部を有し、接着時に支点となる第3脚と、前記第1脚、前記第2脚及び前記第3脚を連結する連結部とを有する加圧・加熱ユニットと、
金属金具を加熱するための電力に係る電力制御を行う電力制御ユニットとを備えることを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項2】
請求項1に記載の金属金具・ガラス接着装置において、
前記第2脚と前記第1脚との距離は、前記第3脚と前記第1脚との距離よりも短いことを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の金属金具・ガラス接着装置において、
前記第2脚は、前記加圧・加熱ヘッドをガラスに対して加圧するための第1加圧ノブを有し、
前記第3脚は、当該第3脚をガラスに対して加圧するための第2加圧ノブを有することを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の金属金具・ガラス接着装置において、
前記加圧・加熱ヘッドは、金属金具を覆った状態で当該金属金具を加圧するための凹部と、当該凹部の外周側に位置しガラスに対向する外周部とを有することを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の金属金具・ガラス接着装置において、
前記加圧・加熱ヘッドは、金属金具を加熱するための抵抗加熱によるリングヒータを有することを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の金属金具・ガラス接着装置において、
前記加圧・加熱ヘッドと前記支持部との間には、断熱部材が配設されていることを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の金属金具・ガラス接着装置において、
前記加圧・加熱ユニットと前記電力制御ユニットとは別体として構成され、
前記電力制御ユニットは、金属金具を加熱するための電力を供給する電源を有し、
前記電力制御ユニットは、電力線を介して、電力制御された電力を前記加圧・加熱ユニットに供給することを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の金属金具・ガラス接着装置において、
前記加圧・加熱ユニットと前記電力制御ユニットとは別体として構成され、
前記加圧・加熱ユニットは、金属金具を加熱するための電力を供給する電源を有し、
前記電源は、前記電力制御ユニットからの無線制御信号に基づいて、電力制御された電力を前記加圧・加熱ヘッドに供給することを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれかに記載の金属金具・ガラス接着装置において、
前記電力制御ユニットは、前記加圧・加熱ユニットの筐体内に収納され、
前記電力制御ユニットは、金属金具を加熱するための電力を供給する電源を有し、
前記電源は、前記電力制御ユニットからの制御信号に基づいて、電力制御された電力を前記加圧・加熱ヘッドに供給することを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の金属金具・ガラス接着装置において、
前記加圧・加熱ユニットには、ガラスに対する金属金具の加圧力をモニターするための圧力センサ及び前記加圧・加熱ヘッドの温度をモニターするための温度センサが配設されており、
前記金属金具・ガラス接着装置は、前記圧力センサの出力信号及び前記温度センサの出力信号を前記加圧・加熱ユニットから前記電力制御ユニットに送信するための信号伝達手段をさらに備えることを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項11】
請求項10に記載の金属金具・ガラス接着装置において、
前記圧力センサの出力信号に基づいて、ガラスに対する金属金具の加圧力が所定の範囲に入っているかどうかを判断し表示する機能を有することを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項12】
請求項11に記載の金属金具・ガラス接着装置において、
ガラスに対する金属金具の加圧力が所定の範囲に入っている場合にのみ前記加圧・加熱ヘッドに電力が供給されるように構成されていることを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれかに記載の金属金具・ガラス接着装置において、
前記電力制御ユニットは、前記温度センサの出力信号を考慮して前記電力制御を行う機能を有することを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項14】
請求項7〜13のいずれかに記載の金属金具・ガラス接着装置において、
前記電力制御ユニットは、接着対象となる金属金具の種類を入力するための入力手段及び接着環境を入力するための入力手段をさらに有し、入力された金属金具の種類及び/又は入力されたガラスの種類に応じて前記電力制御を行う機能を有することを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項15】
請求項7又は8に記載の金属金具・ガラス接着装置において、
前記電力制御ユニット及び前記加圧・加熱ユニットは、それぞれの動作を制御するCPU及びそれぞれの動作に必要な情報を記憶するROMを有し、
前記電力制御ユニットは、前記加圧・加熱ユニットの種類に関する情報を前記加圧・加熱ユニットから取得する機能及び取得した加圧・加熱ユニットの種類に応じて前記電力制御を行う機能を有することを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項16】
請求項15に記載の金属金具・ガラス接着装置において、
前記金属金具・ガラス接着装置は、前記加圧・加熱ユニットとして、複数の加圧・加熱ユニットを備え、
前記電力制御ユニットは、各加圧・加熱ユニット対して独立に前記電力制御を行う機能を有することを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項1】
シリコーン接着剤を介して金属金具をガラスに接着するための金属金具・ガラス接着装置であって、
吸着パッドを有し、接着時に力点となる第1脚と、金属金具をガラスに対して所定の加圧力で加圧した状態で所定のプログラムに従って金属金具を加熱する加圧・加熱ヘッド及び当該加圧・加熱ヘッドを支持する支持部を有し、接着時に作用点となる第2脚と、前記第1脚に対して前記第2脚とは反対の位置に配設された脚部を有し、接着時に支点となる第3脚と、前記第1脚、前記第2脚及び前記第3脚を連結する連結部とを有する加圧・加熱ユニットと、
金属金具を加熱するための電力に係る電力制御を行う電力制御ユニットとを備えることを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項2】
請求項1に記載の金属金具・ガラス接着装置において、
前記第2脚と前記第1脚との距離は、前記第3脚と前記第1脚との距離よりも短いことを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の金属金具・ガラス接着装置において、
前記第2脚は、前記加圧・加熱ヘッドをガラスに対して加圧するための第1加圧ノブを有し、
前記第3脚は、当該第3脚をガラスに対して加圧するための第2加圧ノブを有することを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の金属金具・ガラス接着装置において、
前記加圧・加熱ヘッドは、金属金具を覆った状態で当該金属金具を加圧するための凹部と、当該凹部の外周側に位置しガラスに対向する外周部とを有することを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の金属金具・ガラス接着装置において、
前記加圧・加熱ヘッドは、金属金具を加熱するための抵抗加熱によるリングヒータを有することを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の金属金具・ガラス接着装置において、
前記加圧・加熱ヘッドと前記支持部との間には、断熱部材が配設されていることを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の金属金具・ガラス接着装置において、
前記加圧・加熱ユニットと前記電力制御ユニットとは別体として構成され、
前記電力制御ユニットは、金属金具を加熱するための電力を供給する電源を有し、
前記電力制御ユニットは、電力線を介して、電力制御された電力を前記加圧・加熱ユニットに供給することを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の金属金具・ガラス接着装置において、
前記加圧・加熱ユニットと前記電力制御ユニットとは別体として構成され、
前記加圧・加熱ユニットは、金属金具を加熱するための電力を供給する電源を有し、
前記電源は、前記電力制御ユニットからの無線制御信号に基づいて、電力制御された電力を前記加圧・加熱ヘッドに供給することを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれかに記載の金属金具・ガラス接着装置において、
前記電力制御ユニットは、前記加圧・加熱ユニットの筐体内に収納され、
前記電力制御ユニットは、金属金具を加熱するための電力を供給する電源を有し、
前記電源は、前記電力制御ユニットからの制御信号に基づいて、電力制御された電力を前記加圧・加熱ヘッドに供給することを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の金属金具・ガラス接着装置において、
前記加圧・加熱ユニットには、ガラスに対する金属金具の加圧力をモニターするための圧力センサ及び前記加圧・加熱ヘッドの温度をモニターするための温度センサが配設されており、
前記金属金具・ガラス接着装置は、前記圧力センサの出力信号及び前記温度センサの出力信号を前記加圧・加熱ユニットから前記電力制御ユニットに送信するための信号伝達手段をさらに備えることを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項11】
請求項10に記載の金属金具・ガラス接着装置において、
前記圧力センサの出力信号に基づいて、ガラスに対する金属金具の加圧力が所定の範囲に入っているかどうかを判断し表示する機能を有することを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項12】
請求項11に記載の金属金具・ガラス接着装置において、
ガラスに対する金属金具の加圧力が所定の範囲に入っている場合にのみ前記加圧・加熱ヘッドに電力が供給されるように構成されていることを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれかに記載の金属金具・ガラス接着装置において、
前記電力制御ユニットは、前記温度センサの出力信号を考慮して前記電力制御を行う機能を有することを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項14】
請求項7〜13のいずれかに記載の金属金具・ガラス接着装置において、
前記電力制御ユニットは、接着対象となる金属金具の種類を入力するための入力手段及び接着環境を入力するための入力手段をさらに有し、入力された金属金具の種類及び/又は入力されたガラスの種類に応じて前記電力制御を行う機能を有することを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項15】
請求項7又は8に記載の金属金具・ガラス接着装置において、
前記電力制御ユニット及び前記加圧・加熱ユニットは、それぞれの動作を制御するCPU及びそれぞれの動作に必要な情報を記憶するROMを有し、
前記電力制御ユニットは、前記加圧・加熱ユニットの種類に関する情報を前記加圧・加熱ユニットから取得する機能及び取得した加圧・加熱ユニットの種類に応じて前記電力制御を行う機能を有することを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【請求項16】
請求項15に記載の金属金具・ガラス接着装置において、
前記金属金具・ガラス接着装置は、前記加圧・加熱ユニットとして、複数の加圧・加熱ユニットを備え、
前記電力制御ユニットは、各加圧・加熱ユニット対して独立に前記電力制御を行う機能を有することを特徴とする金属金具・ガラス接着装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−20862(P2011−20862A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164481(P2009−164481)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【出願人】(509196914)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【出願人】(509196914)
【Fターム(参考)】
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