説明

金属顔料をガス発生に対して安定化する方法

本発明は、金属表面の不動態化に適した不動態化処理物質に関する。この不動態化処理物質は、(a)少なくとも1つのニトロ基、および/またはピリジン基、および/またはフェノール性ヒドロキシル基;そして、(b)リン含有基、および/またはカルボン酸基から選択される少なくとも1つの基であって、少なくとも1つのリン含有基が、リン酸塩、亜リン酸塩、または窒素で置換されていないホスホン酸塩から選択される基を有するポリマーを含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、金属フレーク顔料のための腐食抑制剤または加水分解抑制剤としても表面改質剤としても有用な高分子化合物に関する。本発明はまた、処理された金属顔料を含有するコーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
コーティングにメタリック効果を与えるため、化粧コーティングにおける金属フレーク顔料、例えばアルミニウムフレーク顔料などの使用は、普及している。このメタリック効果は、「魅力的な仕上げ」が求められる自動車市場の顧客に特に人気がある。
自動車コーティングは、均一に色素を含有する単一の層を利用し得る。あるいは、2つの異なる層、すなわち、最初の高色素含有層(下塗(ベースコート))、および続いて適用されるほとんどもしくは全く色素を含有しない塗工層(上塗)を有し得る。この2層コーティングは、当業界において、「下塗/上塗」として公知である。「下塗/上塗」コーティングは、高水準の光沢および色の深みを与え、特に魅力的な外観をもたらし得る。金属フレーク顔料は、代表的に、ベースコート組成物に組み込まれる。
自動車用水性塗料は、塗装および硬化プロセス中の有機溶剤の排出に対する懸念のため、自動車業界における広範な利用が増加しつつある。しかしながら、水性塗料は、金属フレーク顔料に対し腐食性を有し得る媒体を使用するので不利益である。例えば、金属顔料の加水分解は、水性塗料中で起こり得る。さらに、代表的な水性アクリルコーティング組成物のpHは8.0〜9.0の範囲であり得、代表的なポリウレタンコーティング組成物は、代表的に7.5〜8.0の範囲のpHを有し得る。塩基性のpH環境において、アルミニウム顔料は酸化され得る。この酸化は腐食の一形態であり、鏡様粒子のメタリック色素含有特性を損なう。酸化された金属フレーク顔料を含有する塗料を基材に塗装すると、このコーティングは、変色およびメタリック効果の減退を示す。
さらに、水性塗料における金属表面の加水分解または酸化は、水素ガスの発生を引き起こす。水素ガスの発生量は、金属顔料の酸化(すなわち、腐食)量を示している。この水素ガスは、コーティング組成物を密閉容器に格納すれば、圧力下で蓄積し得る。
水の存在下において、アルミニウム顔料の加水分解は、コーティング組成物の塩基性pH環境との継続的接触により、時間が経つにつれて加速し得る。金属フレーク顔料を含有するコーティング組成物は、適用までに6か月間以上保管されることが多く、顔料の著しい腐食を引き起こし得る。この腐食を抑制せずにそのまま放置すれば、このコーティング組成物は、使用不可能となり得る。
金属顔料表面を処理または「不動態化」して水性コーティング組成物中の水による金属表面の腐食を防止するための多くの研究が、当業界においてなされてきた。例えば、上記した腐食および水素発生を防止するために、アルミニウム顔料表面全体にクロムコーティングを適用することが知られている。しかしながら、クロムは有害であり得、したがって、特別な取り扱いおよび処分方法が、このようにクロムにより被覆された金属顔料粒子に対して要求される。
【0003】
したがって、金属顔料を不動態化するために使用され得、公知の不動態化方法に纏わる問題のうち少なくともいくつかを緩和または完全に抑止し得るコーティング組成物を提供することは有益である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
一実施形態において、本発明は、金属表面を不動態化するのに適したポリマーに関する。このポリマーは、(a)少なくとも1つのニトロ基、および/またはピリジン基、および/またはフェノール性ヒドロキシル基;ならびに(b)リン含有基、および/またはカルボン酸基(ここで、少なくとも1つのリン含有基が、リン酸塩、亜リン酸塩、または窒素で置換されていないホスホン酸塩から選択される)から選択される少なくとも1つの基を含有する。
【0005】
また、本発明は、少なくとも1種の金属顔料粒子、および少なくとも1種の顔料粒子の少なくとも一部にわたり形成される不動態化処理物質を含有する不動態化された金属顔料を提供する。この不動態化処理物質は、(a)少なくとも1つのニトロ基、および/またはピリジン基、および/またはフェノール性ヒドロキシル基;ならびに(b)リン含有基、および/またはカルボン酸基(ここで、少なくとも1つのリン含有基が、リン酸塩、亜リン酸塩、または窒素で置換されていないホスホン酸塩から選択される)から選択される少なくとも1つの基を有するポリマーを含有し得る。
【0006】
さらなる実施形態において、本発明は、希釈媒質、フィルム形成ポリマー、および少なくとも一部が不動態化処理物質で処理された少なくとも1種の金属顔料粒子を含有するコーティング組成物に関する。この不動態化処理物質は、(a)少なくとも1つのニトロ基、および/またはピリジン基、および/またはフェノール性ヒドロキシル基;ならびに(b)リン含有基、および/またはカルボン酸基(ここで、少なくとも1つのリン含有基が、リン酸塩、亜リン酸塩、または窒素で置換されていないホスホン酸塩から選択される)から選択される少なくとも1つの基を有するポリマーを含有し得る。
【0007】
別の実施形態は、水性希釈媒質、フィルム形成ポリマー、および少なくとも一部が不動態化処理物質で処理された少なくとも1種の金属顔料粒子を含有するコーティング組成物を提供する。この不動態化処理物質は、多価アルコールのジグリシジルエーテル;ニトロ基含有アルキル化合物、ニトロ基含有アリール化合物、および/またはニトロ基含有アルキルアリール化合物のうちの少なくとも1つから選択されるニトロ基含有化合物;ならびに、リン酸基、および/または窒素で置換されていないホスホン酸基を含有するリン基含有化合物の反応生成物を有するポリマーを含有し得る。
【0008】
金属表面を不動態化処理物質と接触させる工程を包含する金属表面の不動態化方法もまた、提供される。この不動態化処理物質は、(a)少なくとも1つのニトロ基、および/またはピリジン基、および/またはフェノール性ヒドロキシル基;ならびに(b)リン含有基、および/またはカルボン酸基(ここで、少なくとも1つのリン含有基が、リン酸塩、亜リン酸塩、または窒素で置換されていないホスホン酸塩から選択される)から選択される少なくとも1つの基を含有するポリマーを含有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(本発明の説明)
本明細書において使用されるとき、明細書および特許請求の範囲で使用される寸法、物理的特性、プロセシングパラメータ、成分量、反応条件などを表現する全ての数字は、すべての場合において用語「約」により修飾されていると理解されるべきである。したがって、別段の指示がない限り、以下の明細書および特許請求の範囲に提示される数値は、本発明が得ようとする所望の特性により異なり得る近似値である。各数値は、少なくとも報告される有効桁数を考慮して、通常の丸め手法(rounding techniques)を適用することにより解釈されるべきであるが、最低限という意味であって、特許請求の範囲の範囲に対する均等論の適用を限定するものではない。さらに、本明細書において開示される範囲は全て、開始値および終了値を含み、その範囲内に入るあらゆる部分範囲を含むことを理解されるべきである。例えば、「1〜10」と規定された範囲は、(1と10とを含む)最小値1と最大値10との間のあらゆる部分範囲;つまり、1以上の最小値で始まり、10以下の最大値で終わる全ての部分範囲(少数を例示するのみであるが、例えば、5.5〜10、3.7〜6.4、または1〜7.8)を含んでいると考えられるべきである。本明細書において使用される分子量の量は、Mnであるか、Mwであるかにかかわらず、標準物質としてポリスチレンを使用したゲル浸透クロマトグラフィから決定可能な量である。また、本明細書において使用されるとき、用語「ポリマー」は、オリゴマー、ホモポリマー、およびコポリマーを包含する。用語「表面改質」および「表面が改質された」は、金属表面と開示された本発明による化合物または組成物とのあらゆる会合、相互作用、または反応を包含する。用語「不動態化する」および「不動態化」は、改質されて腐食する傾向および/または水との接触の際に水素ガスを発生する傾向が弱まった表面をいう。本書類において参照した参考文献はすべて、それらの全体が参考として援用されるということを理解されるべきである。本明細書において使用されるとき、語句「窒素で置換されていないホスホン酸塩」は、式:
【0010】
【化1】

を有する基を意味し、ここで、Rは窒素を含まない任意の基である。
【0011】
本発明において有用な不動態化処理物質は、一般に少なくとも2つの置換基を有するポリマーを含有する。1つの非限定的な実施形態において、第一の置換基は、少なくとも1つのニトロ基、および/または少なくとも1つのピリジン基、および/または少なくとも1つのフェノール性ヒドロキシル基を有し得る。第二の置換基は、少なくとも1つのリン含有基、および/または少なくとも1つのカルボン酸基を有し得る。
【0012】
本発明の一般的な実施において、不動態化処理ポリマーは、直鎖または分枝ポリマーであり得る。このポリマーは、例えば、アクリルポリマー、ポリエステルポリマー、ポリウレタンポリマー、エポキシポリマー、ポリオレフィンポリマー、ポリエーテルポリマーであり得るか、またはこれらから誘導され得、また、上記のうちの1つ以上を含むコポリマーであり得る。一実施形態において、このポリマーは、付加重合体および縮合重合体を含むヒドロキシル基含有もしくはエポキシ基含有ポリマーであり得るか、またはこれらから誘導され得、また、これらのポリマーの混合物も使用し得る。このポリマーは100〜1000(例えば、200〜400など)の範囲に及ぶヒドロキシル当量;または、100〜2000(例えば、300〜600など)の範囲に及ぶエポキシ当量を有し得る。
【0013】
使用され得るヒドロキシル基含有ポリマーの例としては、例えば、ヒドロキシル官能性ポリエステルなどのヒドロキシル基含有縮合重合体を含むが、これに限定されない。使用され得るエポキシ基含有ポリマーの例としては、多価アルコールのポリグリシジルエーテル(例えば、脂肪族アルコール、および脂環式アルコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリトリトール、および2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンなど)とエピクロロヒドリンまたはジクロロヒドリンとの反応生成物など)が挙げられる。
【0014】
使用され得るヒドロキシル基含有またはエポキシ基含有付加重合体の例としては、ヒドロキシル官能性ポリマー、エポキシ官能性ポリマー、またはエチレン性不飽和モノマーの共重合体が挙げられる。ヒドロキシル官能性を有する適切なモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、およびアリルアルコールが挙げられる。エポキシ官能基を有する適切なモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸グリシジルが挙げられる。この付加重合体は、これらのヒドロキシルもしくはエポキシ官能性モノマーのいずれかのホモポリマーであり得、また、これらのヒドロキシルもしくはエポキシ官能性モノマーのうちの1つ以上とヒドロキシル官能性でもエポキシ官能性でもない少なくとも1つの他のエチレン性不飽和モノマーとのコポリマーであり得る。これらの他のモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸メチルモノマー、(メタ)アクリル酸エチルモノマー、(メタ)アクリル酸ブチルモノマー、スチレンモノマー、およびビニルモノマー(例えば、スチレン、ビニルトルエン、および酢酸ビニルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
使用され得るエポキシ化合物の例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、シクロヘキセンオキシドなどのような単純な化合物が挙げられる。
【0016】
使用され得るエポキシ化合物の例としてはまた、アルカリの存在下でエピハロヒドリン(例えば、エピクロロヒドリンまたはエピブロモヒドリン)をポリフェノールと反応させることにより得られるエポキシポリエーテルも挙げられる。適切なポリフェノールとしては:2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(すなわち、ビスフェノール−A)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ第三級ブチルフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−アリルフェニル)エタン、およびこれらの化合物の水素化された誘導体が挙げられる。様々な分子量のポリフェノールのポリグリシジルエーテルを、例えば、既知の様式でエピクロロヒドリン対ポリフェノールとのモル比を変化させることにより、生成し得る。
【0017】
使用され得るエポキシ化合物の例としてはまた、一核性の多価フェノールのポリグリシジルエーテル(例えば、レゾルシノール、ピロガロール、ヒドロキノン、およびピロカテコールのポリグリシジルエーテルなど)、および一価フェノールのモノグリシジルエーテル(例えば、フェニルグリシジルエーテル、α−ナフチルグリシジルエーテル、β−ナフチルグリシジルエーテルなど、およびそれらの対応する化合物であって芳香族環中にアルキル置換基を有する化合物)も挙げられる。
【0018】
使用され得るエポキシ化合物のさらなる非限定的な例としてはまた、芳香族アルコールのグリシジルエーテル(例えば、ベンジルグリシジルエーテルおよびフェニルグリシジルエーテルなど)、または多価アルコールのポリグリシジルエーテル(例えば、エピクロロヒドリンまたはジクロロヒドリンと、脂肪族アルコールおよび脂環式アルコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリトリトール、および2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンなど)との反応生成物など)も挙げられる。
【0019】
使用され得るエポキシ化合物のさらなる非限定的な例としてはまた、ポリカルボン酸のポリグリシジルエステル(例えば、一般的に知られているアジピン酸、フタル酸などのポリグリシジルエステルなど)も挙げられる。使用され得る他のエポキシ化合物としては、モノカルボン酸のモノグリシジルエステル(例えば、安息香酸グリシジル、ナフトエ酸グリシジルなど)、ならびに置換された安息香酸、およびナフトエ酸のモノグリシジルエステルが挙げられる。
【0020】
エポキシ基を含有する付加重合させた樹脂もまた、使用し得る。このような物質は、エポキシ官能性モノマー(例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、およびアリルグリシジルエーテルなど)と、代表的に、重合可能なエチレン性不飽和モノマーおよび/またはビニルモノマー(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、酢酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、酢酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソボルニルなど)と組み合わせた付加重合によって生成し得る。
【0021】
あるいは、ポリマー骨格は、アクリル、ウレタン、ポリエステル、アルキド、もしくはエポキシのポリマーもしくはオリゴマーを含有し得る。合成されれば、このポリマー骨格には、少なくとも2つのイソシアネート基、もしくはキャップもしくはブロックされたイソシアネート基が含まれ得る。これは、ポリマー骨格中に、イソシアネートもしくはブロック化イソシアネート官能基を有するモノマーを共重合させるか、またはイソシアネートもしくはブロック化イソシアネート官能基を有する1つ以上の基(例えば、ヒドロキシル基もしくはアミノ基)をポリマーに反応させるかのいずれかによって達成し得る。イソシアネートまたはブロック化イソシアネートと第一置換基または第二置換基のイソシアネート反応性官能基との反応により、適切な結合基を生成し得る。
【0022】
イソシアネートまたはブロック化イソシアネート官能性ウレタン主鎖の説明例としては、末端イソシアネート基またはブロック化イソシアネート基を有するウレタンポリマーが挙げられる。このウレタンポリマーは、バルク重合(例えば、溶液重合など)などの公知の技術により、ポリイソシアネート、およびポリイソシアネートと反応する多官能性化合物(例えば、ポリオール、ポリアミン、およびアミノアルコールが挙げられる)から合成し得るが、ただし、使用されるイソシアネート基および潜在的なイソシアネート基の当量全体が、ポリイソシアネートと反応する多官能性化合物の使用される当量を越える。ポリイソシアネートは、例えば、イソホロンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ビフェニル4,4’ジイソシアネート、メタ−キシリレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、1,3−ビス−[2−((イソシアナト)プロピル]ベンゼン(テトラメチルキシリルジイソシアネート、TMXDIとしても知られる)、メチレンビス−(フェニルイソシアネート)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ビス−(フマル酸イソシアナトエチル)、メチレンビス−(4−シクロヘキシルイソシアネート)、およびビウレット、またはこれらのうちのいずれかのイソシアヌル酸塩であり得る。
【0023】
ポリイソシアネートと反応する多官能性化合物は、ジオール、トリオール、または高級官能基のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールなど);ポリアミン(例えば、エチレンジアミン、およびジエチレントリアミンなど);または、アミノアルコール(例えば、ジエタノールアミン、およびエタノールアミンなど)のうちのいずれかを含有し得る。
【0024】
ポリイソシアネート、またはポリイソシアネートと反応する多官能性化合物のいずれか1つが、2つより多くの官能基(ブロック化官能基を含む)を有し得る。これらの反応物質は、ポリウレタンコポリマーが、末端イソシアネート官能基を有するように、配分され得る。
【0025】
イソシアネート官能性またはブロック化イソシアネート官能性アクリルの説明例には、イソシアネート基またはブロック化イソシアネート基を含有するエチレン性不飽和モノマーのコポリマーがある。このコポリマーは、例えば、バッチプロセスまたは半バッチプロセスにおいて、従来技術(例えば、フリーラジカル重合、カチオン重合、またはアニオン重合など)を使用することによって調製し得る。例えば、この重合は、フリーラジカル供給源(例えば、有機過酸化物またはアゾ化合物など)、および必要に応じてバッチプロセス用の連鎖移動剤の存在下において、バルクまたは有機溶液中のエチレン性不飽和モノマーを加熱することにより実施し得る;あるいは、モノマーおよび開始剤を、半バッチプロセスにおいて、加熱された反応器に制御された速度で供給し得る。
【0026】
1つの非限定的な実施形態において、第一の置換基は、ニトロ(NO)基を含有し得る。このニトロ置換基は、ニトロ含有物質をポリマー骨格中のイソシアネート基と反応させることにより生成し得る。上記の必要条件と矛盾しない置換基を生成するのに有用なこのような物質の例には、イソシアネート反応性基(ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基またはオキシラン基など)を有するいずれのニトロ含有化合物も含まれる。有用なニトロ含有化合物としては、アルキル置換化合物、アリール置換化合物、またはアルキルアリール置換化合物(イソシアネート反応性基を含む)が挙げられる。本発明の目的の典型的な非限定的ニトロ含有化合物としては、2−メチル−2−ニトロプロパノール、2−ニトロ−1−プロパノール、2−ニトロエタノール、4−ニトロアニリン、2−ニトロベンジルアルコール、4−ニトロチオフェノール、2−ニトロ安息香酸、4−ニトロ安息香酸、2−4−ジニトロ安息香酸、および/またはそれらの混合物が挙げられる。
【0027】
別の非限定的な実施形態において、第一の置換基は、少なくとも1つのピリジン基、および/または少なくとも1つのフェノール性ヒドロキシル基を含有し得る。ピリジン基を生成するのに適切な物質の例としては、2,6−ピリジンジメタノール、2−ピリジンプロパノール、3−ピリジンプロパノール、ピリジンプロピオン(proprionic)酸、イソニコチン(isonicotonic)酸、ピコリン酸、ジピコリン酸、ニコチン酸、ジニコチン酸、シンコメロン酸、イソシンコメロン酸、またはそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。フェノール性ヒドロキシル基を生成するのに適切な物質の例としては、没食子酸、アリルフェノール、ポリヒドロキシフェノール、例えば、レゾルシノール、カテコール、フロログルシノール、ピロガロール、1,2,4−ベンゼンチオール、またはそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
1つの非限定的な実施形態において、第二の置換基は、リン含有基、例えば、リン酸基、窒素で置換されていないホスホン酸基、オルトリン酸、リン酸の有機エステル、および/または亜リン酸化合物などを含有する。例えば、リン酸化合物は、米国特許第4,565,716号に記載されている類であり得る。有機亜リン酸塩は、有機リン酸塩を生成するために使用されるリン酸よりもむしろ、亜リン酸の誘導体である。典型的な有機亜リン酸塩は、米国特許第4,808,231号に記載されている。
【0029】
本発明の実施において使用され得るリン酸エステルの例としては、モノ−C〜C18アルキルエステルおよびジ−C〜C18アルキルエステル、例えば、モノブチルリン酸およびジブチルリン酸、モノペンチルリン酸およびジペンチルリン酸、モノヘキシルリン酸およびジヘキシルリン酸、モノヘプチルリン酸およびジヘプチルリン酸、モノオクチルリン酸およびジオクチルリン酸、モノノニルリン酸およびジノニルリン酸、モノヘキサデシルリン酸およびジヘキサデシルリン酸、ならびにモノオクタデシルリン酸およびジオクタデシルリン酸など;そして、芳香族基中に6〜10個の炭素原子を含有するアリールエステルおよびアラルキルエステル、例えば、モノフェニルリン酸およびジフェニルリン酸、ならびにモノベンジルリン酸およびジベンジルリン酸が挙げられる。
【0030】
1つの特定の非限定的な実施形態において、本発明において有用な不動態化処理ポリマーは、少なくとも1つのニトロ基の置換基および少なくとも1つのリン酸基を有するエポキシポリマーを含有し、エポキシ:ニトロ基:リン酸の当量比が3.8/0.3/4.8〜3.8/3/0.8である。別の非限定的な実施形態において、エポキシ:ニトロ基:リン酸の当量比は、3.8/0.8/4.2〜3.8/1/3.2であり得る。
【0031】
金属顔料を不動態化処理ポリマー、例えば、上記の不動態化処理ポリマーのいずれかと接触させると、この顔料の加水分解または酸化を緩和または防止し、それにより、水素ガス発生を緩和または完全に抑止することが見出された。さらに、水性コーティング組成物へのそのようなポリマーで処理した金属顔料の含有は、そのような水性組成物から生成された乾燥フィルム(下塗)の耐湿性に不利益な影響を与えない。
【0032】
本発明の典型的な水性コーティング組成物は、代表的に、フィルム形成ポリマー、水性希釈媒質、および少なくとも一部が本発明の不動態化処理ポリマーで処理された金属顔料を含有する。顔料が水性媒質と反応してガス状の物質を放出する傾向が、有効量の本発明の不動態化処理物質を組み込むことにより、防止または緩和される。
【0033】
本発明の水性コーティング組成物において使用するのに適切な金属顔料の例には、色素含有コーティング組成物における使用で一般に知られるいずれの金属顔料も含まれる。例としては、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、および/または黄銅が少なくとも少しは含まれる金属顔料、ならびに他の可鍛性の金属および合金、例えば、ニッケル、スズ、銀、クロム、アルミニウム・銅合金、アルミニウム・亜鉛合金、およびアルミニウム・マグネシウム合金などが含まれる金属顔料(例えば、金属フレーク顔料)が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、本発明の水性コーティング組成物はまた、コーティング組成物における使用で一般に知られる多種多様な他の顔料(例えば、種々の発色顔料、および/または体質顔料(filler pigment)など)のうちの1つ以上を含有し得る。そのような顔料の例としては、金属酸化物;金属水酸化物;金属硫化物;金属硫酸塩;金属炭酸塩;カーボンブラック;陶土;フタロブルー、フタログリーン、オルガノレッド(organo−red)、および有機染料をベースにした一般に知られる顔料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
種々の方法を、本発明の不動態化処理ポリマー、例えば、前記の不動態化処理ポリマーのいずれかを含む不動態化処理物質を、コーティング組成物、例えば、本発明の水性コーティング組成物(ただし、これに限定されない)に組み込むために使用し得る。「水性」コーティング組成物とは、その希釈媒質が主として水性媒質であるコーティング組成物を意味する。つまり、水性コーティング組成物は、有機溶剤を含まないか、または実質的に含まない。「有機溶剤から実質的に含まない」により、有機溶剤の量が、有機溶剤が存在するとすれば、コーティング組成物の総重量に基づき、20重量パーセント未満、例えば10重量パーセント未満、例えば5重量パーセント未満、例えば2重量パーセント未満、例えば1重量パーセント未満であることを意味する。コーティング業者により理解されるとおり、本発明の1つの非限定的な実施形態において、水性コーティング組成物は、少量の有機溶剤を含有して、コーティング特性のうちの1つ以上に影響を与え得る(例えば、必要に応じて、適用される組成物の流動性もしくは均染性を改善する、または粘度を低下させるなど)。本発明のポリマーを含有する不動態化処理物質を組み込む1つの方法は、水性コーティング組成物へ顔料を組み込む前に、金属顔料を不動態化処理物質と接触させることである。これは、本発明の不動態化処理物質を顔料ペースト(例えば、通常市販されているような顔料)に加えることによりなされ得、また、顔料の実際の生成中といったような早い段階で加え得る。あるいは、不動態化処理物質は、単にそれを「ニート」で、すなわち、水性コーティング組成物の処方における更なる成分として、例えば、フィルム形成樹脂、金属顔料および水性媒質と他の通常の成分で任意の成分(例えば、架橋剤、共溶媒、増粘剤および充填剤など)との混合中に導入することにより、本発明の水性コーティング組成物に導入し得る。そのような化合物は、本発明の不動態化処理物質が本発明の水性コーティング組成物に組み込まれる方法に関係なく、一般的に、水性媒質中の金属顔料のガス発生を緩和または抑止するのに有効な量が使用される。例えば、不動態化処理物質の量は、顔料固形物の重量に基づき、不動態化処理物質固形物5重量パーセント〜200重量パーセントの範囲、例えば10重量パーセント〜100重量パーセントの範囲、例えば10重量パーセント〜80重量パーセントの範囲、例えば15重量パーセント〜50重量パーセントの範囲、例えば16重量パーセント〜25重量パーセントの範囲であり得る。
【0035】
本発明の1つの典型的な実質的に有機溶剤を含まないコーティング組成物は、熱可塑性フィルム形成組成物、あるいは、熱硬化性組成物であり得る。本明細書において使用されるとき、「熱硬化性組成物」は、硬化または架橋の際に不可逆的に「固まる」組成物を意味し、このとき、重合体成分の高分子鎖が、共有結合により一緒になる。この特性は、通常、例えば熱または放射線によりしばしば誘発される組成物成分の架橋反応と関連する。Hawley,Gessner G.,The Condensed Chemical Dictionary,第9版,pp.856;Surface Coatings,vol.2,Oil and Colour Chemists’Association,Australia,TAFE Educational Books(1974年)。硬化反応または架橋反応はまた、周囲条件下で実施され得る。いったん硬化または架橋すると、熱硬化性組成物は、熱適用の際に融解せず、溶剤中で不溶である。対照的に、「熱可塑性組成物」は、共有結合により結合せず、そのため加熱の際に液体流動が起こり得、溶剤中に可溶である高分子成分を含有する。Saunders,K.J.,Organic Polymer Chemistry,pp.41−42,Chapman and Hall,London(1973年)。
【0036】
本発明の典型的なコーティング組成物は、希釈媒質、樹脂結合系、本発明のポリマーを含有する不動態化処理物質、および少なくとも1種の金属顔料粒子を含有する。例えば、顔料粒子は、少なくとも一部を本発明の不動態化処理物質で処理され得る。
【0037】
希釈媒質は、溶剤性希釈媒質または水性希釈媒質であり得る。「溶剤性」により、希釈物質が、主として非水性物質、例えば、有機溶剤であるということを意味する。
【0038】
樹脂結合系は、代表的に、(a)少なくとも1つの反応性官能基含有フィルム形成ポリマー、および(b)フィルム形成ポリマーの官能基と反応する官能基を有する少なくとも1つの架橋剤を含有する。
【0039】
フィルム形成ポリマー(a)は、反応性基含有ポリマーが希釈媒質液中で十分に分散可能であれば、表面コーティング技術分野において周知の種々の反応性基含有ポリマーのいずれかを含有し得る。適切な非限定的な例としては、アクリルポリマー、ポリエステルポリマー、ポリウレタンポリマー、ポリエーテルポリマー、ポリシロキサンポリマー、ポリエポキシドポリマー、それらのコポリマー、およびそれらの混合物が挙げられ得る。また、このポリマー(a)は、種々の反応性官能基、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、カルバミン酸基、イソシアン酸基、およびそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つから選択される官能基を含有し得る。
【0040】
例えば、適切なヒドロキシル基含有ポリマーとしては、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリオール、およびそれらの混合物が挙げられ得る。
【0041】
適切なヒドロキシル基含有アクリルポリマー、および/またはカルボキシル基含有アクリルポリマーは、重合可能なエチレン性不飽和モノマーから調製され得、そして代表的には、(メタ)アクリル酸、および/または1つ以上の他の重合可能エチレン性不飽和モノマー(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、およびヘキシルアクリル酸2−エチルが挙げられる(メタ)アクリル酸のアルキルエステルなど)と(メタ)アクリル酸とのヒドロキシルアルキルエステルと、ビニル芳香族化合物(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、およびビニルトルエン)とのコポリマーである。
【0042】
本発明の一実施形態において、アクリルポリマーは、上記のようなエチレン性不飽和β−ヒドロキシエステル官能性モノマーから調製され得る。
【0043】
エポキシ官能基は、オキシラン基含有モノマー(例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルおよびアリルグリシジルエーテル)を、他の重合可能なエチレン性不飽和モノマー(例えば、上記で検討したエチレン性不飽和モノマー)と共重合させることにより、重合可能なエチレン性不飽和モノマーから調製されたアクリルポリマーに組み込まれ得る。このようなエポキシ官能性アクリルポリマーの調製は、米国特許第4,001,156号の第3欄〜第6欄に、詳細に記載されている。
【0044】
カルバミン酸官能基は、例えば、上記したエチレン性不飽和モノマーをカルバミン酸官能性ビニルモノマー(例えば、メタクリル酸のカルバミン酸官能性アルキルエステルなど)と共重合させることにより、重合可能なエチレン性不飽和モノマーから調製されたアクリル酸ポリマーに組み込まれ得る。有用なカルバミン酸官能性アルキルエステルは、例えば、カルバミン酸ヒドロキシアルキル(例えば、アンモニアと炭酸エチレンまたは炭酸プロピレンとの反応生成物)を、無水メタクリル酸と反応させることにより調製され得る。他の有用なカルバミン酸官能性ビニルモノマーとしては、例えば、メタクリル酸ヒドロキシエチル、ジイソシアン酸イソホロン、およびカルバミン酸ヒドロキシプロピルの反応生成物;または、メタクリル酸ヒドロキシプロピルと、ジイソシアン酸イソホロンと、メタノールとの反応生成物が挙げられる。なお他のカルバミン酸官能性ビニルモノマー、例えば、イソシアン酸(HNCO)とヒドロキシル官能性アクリルモノマーまたはメタクリルモノマー(例えば、アクリル酸ヒドロキシエチル、および米国特許第3,479,328号に記載のモノマーなど)との反応生成物などを使用し得る。カルバミン酸官能基はまた、ヒドロキシル官能性アクリルポリマーとカルバミン酸の低分子量アルキルエステル(例えば、カルバミン酸メチルなど)とを反応させることにより、アクリルポリマーに組み込まれ得る。ペンダントカルバミン酸基はまた、ヒドロキシル官能性アクリルポリマーをアルコールまたはグリコールエーテルから誘導される低分子量カルバミン酸と反応させる「カルバモイル交換」反応によってもアクリルポリマーに組み込まれ得る。このカルバミン酸基は、ヒドロキシル基と交換することにより、カルバミン酸官能性アクリルポリマーおよび元のアルコールまたはグリコールエーテルを生じる。また、ヒドロキシル官能性アクリルポリマーを、イソシアン酸と反応させて懸垂(pendent)カルバミン酸基を提供し得る。同様に、ヒドロキシル官能性アクリルポリマーを、尿素と反応させて懸垂カルバミン酸基を提供し得る。
【0045】
重合可能なエチレン性不飽和モノマーから調製されるポリマーを、有機過酸化物またはアゾ化合物(例えば、過酸化ベンゾイルまたはN,N−アゾビス(イソブチロニトリル))などの適切な触媒の存在下において、当業者に周知の溶液重合技術により調製し得る。この重合は、従来技術により、モノマーが可溶である有機溶剤中で実施され得る。あるいは、これらのポリマーは、当技術分野において周知である水性エマルション重合技術または分散重合技術により調製され得る。反応物質比および反応条件は、所望の懸垂官能基を有するアクリルポリマーが生じるように選択される。
【0046】
ポリエステルポリマーはまた、本発明のフィルム形成組成物においても有用である。有用なポリエステルポリマーは、代表的に、多価アルコールとポリカルボン酸との縮合生成物を含有する。適切な多価アルコールとしては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、およびペンタエリトリトールが挙げられ得る。適切なポリカルボン酸としては、アジピン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、およびヘキサヒドロフタル酸が挙げられ得る。上記のポリカルボン酸に加えて、酸の官能性均等物(例えば、存在する場合には無水物、または酸の低級アルキルエステル(例えば、メチルエステルなど)など)を使用し得る。また、少量のモノカルボン酸(例えば、ステアリン酸など)を、使用し得る。反応物質の比率、および反応条件は、所望の懸垂官能基(すなわち、カルボキシル官能基またはヒドロキシル官能基)を有するポリエステルポリマーを生じるように選択される。
【0047】
例えば、ヒドロキシル基含有ポリエステルは、ジカルボン酸の無水物(例えば、ヘキサヒドロフタル無水物など)をジオール(例えば、ネオペンチルグリコール)と、1:2のモル比で反応させることにより調製され得る。空気乾燥を向上させることが望ましい場合、適切な乾性油脂肪酸を使用し得、そして、適切な乾性油脂肪酸としては、アマニ油、ダイズ油、トール油、脱水ヒマシ油、またはキリ油から誘導される乾性油脂肪酸が挙げられる。
【0048】
カルバミン酸官能性ポリエステルは、まず、ポリエステルの形成に使用されるポリ酸およびポリオールと反応し得るヒドロキシアルキルカルバミン酸を形成することにより、調製され得る。あるいは、末端カルバミン酸官能基を、イソシアン酸とヒドロキシ官能性ポリエステルとを反応させることにより、ポリエステルに組み込み得る。また、カルバミン酸官能性を、ヒドロキシルポリエステルと尿素とを反応させることにより、ポリエステルに組み込み得る。加えて、カルバミン酸基を、カルバモイル交換反応により、ポリエステルに組み込み得る。適切なカルバミン酸官能基含有ポリエステルの調製は、米国特許第5,593,733号の第2欄40行〜第4欄9行において記載されているカルバミン酸官能基含有ポリエステルの調製である。
【0049】
末端イソシアン酸基または末端ヒドロキシル基を有するポリウレタンポリマーもまた、本発明のコーティング組成物中のポリマーとして使用され得る。使用され得るポリウレタンポリオールまたはNCO末端ポリウレタンは、高分子ポリオールを含むポリオールをポリイソシアネートと反応させることにより調製されるものである。同様に使用され得る末端イソシアン酸または第一級および/または第二級アミン基を有する使用し得るポリ尿素は、高分子ポリアミンを含むポリアミンをポリイソシアネートと反応させることにより調製されるものである。所望の末端基を得られるように、ヒドロキシル/イソシアネートまたはアミン/イソシアネートの当量比を調整し、反応条件を選択する。適切なポリイソシアネートの例としては、米国特許第4,046,729号の第5欄26行〜第6欄28行において記載されているポリイソシアネートが挙げられ、本明細書において、参考として援用される。適切なポリオールの例としては、米国特許第4,046,729号の第7欄52行〜第10欄35行に記載のポリオールが挙げられる。適切なポリアミンの例としては、米国特許第4,046,729号の第6欄61行〜第7欄32行、および米国特許第3,799,854号の第3欄13〜50行に記載されているポリアミンが挙げられる。
【0050】
カルバミン酸官能基を、ポリイソシアネートとヒドロキシル官能性を有し、懸垂カルバミン酸基を有するポリエステルとを反応させることにより、ポリウレタンポリマーに導入し得る。あるいは、ポリウレタンを、ポリイソシアネートと、別個の反応物としてポリエステルポリオールおよびヒドロキシアルキルカルバミン酸塩またはイソシアン酸とを反応させることにより調製し得る。適切なポリイソシアネートの例としては、芳香族イソシアネート(例えば、ジイソシアン酸4,4’−ジフェニルメタン、ジイソシアン酸1,3−フェニレン、およびジイソシアン酸トルエンなど)、および脂肪族ポリイソシアネート(例えば、ジイソシアン酸1,4−テトラメチレン、およびジイソシアン酸1,6−ヘキサメチレンなど)がある。脂環式ジイソシアネート(例えば、ジイソシアン酸1,4−シクロヘキシル、およびジイソシアン酸イソホロンなど)もまた、使用され得る。
【0051】
適切なポリエーテルポリオールの例としては、例えば、以下の構造式(I)または(II)を有するようなポリアルキレンエーテルポリオールが挙げられ:
【0052】
【化2】

または
【0053】
【化3】

ここで、置換基Rは、水素、または混合置換基を含む1〜5個の炭素原子を含有する低級アルキル基であり、nは代表的に2〜6の範囲の値を有し、そしてmは8〜100以上の範囲の値を有する。例示的なポリアルキレンエーテルポリオールとしては、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(オキシテトラエチレン)グリコール、ポリ(オキシ−1,2−プロピレン)グリコール、およびポリ(オキシ−1,2−ブチレン)グリコールが挙げられる。
【0054】
また、種々のポリオール、例えば、グリコール(例えば、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールAなど)、または他の高級ポリオール(例えば、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトールなど)のオキシアルキル化から生成されるポリエーテルポリオールが有用である。上記に示すように使用され得るさらに高い官能性のポリオールが、例えば、スクロースまたはソルビトールといった化合物のオキシアルキル化によって生成され得る。1つの一般に使用されるオキシアルキル化法は、酸性または塩基性の触媒の存在下における、ポリオールとアルキレンオキシド、例えば、プロピレンオキシドまたはエチレンオキシドとの反応である。ポリエーテルの具体的な例としては、E.I.Du Pont de Nemours and Company,Inc.から入手可能なTERATHANEおよびTERACOLの名で販売されているポリエーテルが挙げられる。
【0055】
前記のとおり、本発明の特定の実施形態において、フィルム形成組成物はまた、(b)ポリマーの官能基と反応するように適合される1つ以上の架橋剤、および/または前記した任意の高分子微粒子、および/または必要に応じ、フィルム形成組成物を硬化させるための添加物も含有し得る。適切な架橋剤の非限定的な例としては、表面コーティング技術分野において周知である任意のアミノプラストおよびポリイソシアネート(ただし、こ(れら)の架橋剤が、下記のように水溶性または水分散性であるように適合される場合)、およびポリ酸、ポリ無水物、ならびにそれらの混合物が挙げられる。使用される場合、架橋剤または架橋剤の混合物の選択は、高分子微粒子と関連する官能性(例えば、ヒドロキシル官能性、および/またはカルバミン酸官能性など)に依存する。例えば、官能性がヒドロキシルである場合、親水性の架橋剤は、アミノプラスト架橋剤、またはポリイソシアネート架橋剤であり得る。
【0056】
架橋剤としての使用に適したアミノプラスト樹脂の例としては、一部が低級アルコール(例えば、メタノールなど)との反応によってエーテル化され、水溶性/分散性アミノプラスト樹脂を提供するメチロール基または類似のアルキロール基を有するアミノプラスト樹脂が挙げられる。1つの適切なアミノプラスト樹脂は、一部がメチル化されたアミノプラスト樹脂のCYMEL385であり、このCYML385はCytec Industries,Inc.から市販されている。水溶性/分散性であり、架橋剤としての使用に適しているブロックイソシアネートの例には、ジメチルピラゾールブロック化ジイソシアネートヘキサメチレン三量体があり、BI7986として、英国LancashireのBaxenden Chemicals,Ltd.から市販されている。
【0057】
本発明における使用に適したポリ酸架橋物質には、例えば、平均的に、1分子あたり通常1つより多く、ときに3つ以上、そしてときに4つ以上の酸基を有し、これらの酸基が、エポキシ官能性フィルム形成ポリマーと反応性であるポリ酸架橋物質が挙げられ得る。ポリ酸架橋物質は、ジ官能性、トリ官能性、またはそれより多くの官能性を有し得る。使用され得る適切なポリ酸架橋物質としては、例えば、カルボン酸基含有オリゴマー、ポリマーおよび化合物、例えば、アクリルポリマー、ポリエステルおよびポリウレタン、ならびにリンをベースにした酸性基を有する化合物が挙げられる。
【0058】
適切なポリ酸架橋剤の例としては、例えば、エステル基含有オリゴマー、およびポリオールと環式1,2−酸無水物とを、またはポリオールから誘導される酸官能性ポリエステルとポリ酸もしくは無水物とを反応させることにより生成される半エステルを含有する化合物が挙げられる。これらの半エステルは比較的低分子量であり、エポキシ官能性と非常によく反応する。適切なエステル基含有オリゴマーとしては、米国特許第4,764,430号の第4欄26行〜第5欄68行に記載されているエステル基含有オリゴマーが挙げられ、本明細書において、参考として援用される。
【0059】
他の有用な架橋剤としては、メタクリル酸モノマー、および/またはアクリル酸モノマーをポリ酸架橋物質として他のエチレン性不飽和共重合可能モノマーと共重合させることによって生成される、酸性官能性アクリル架橋剤が挙げられる。あるいは、酸官能性アクリル酸を、環式無水物と反応させたヒドロキシ官能性アクリル酸から調製し得る。
【0060】
本発明の特定の実施形態によると、代表的に水溶性/分散性である架橋剤(b)は、フィルム形成組成物中の樹脂固形物の総重量に基づき、0〜少なくとも10重要パーセント、または少なくとも10〜少なくとも20重量パーセント、または少なくとも20〜少なくとも30重量パーセントの範囲の量でフィルム形成組成物中に成分として存在し得る。本発明の特定の実施形態によると、この架橋剤は、フィルム形成組成物の樹脂固形物の総重量に基づき、70重量パーセント以下〜60重量パーセント以下、60重量パーセント以下〜50重量パーセント以下、50重量パーセント以下〜40重量パーセント以下の範囲の量で、フィルム形成組成物中の成分として存在し得る。この架橋剤は、これらの列挙した範囲を含むこれらの値のいずれかの組み合わせによる間の範囲の量でフィルム形成組成物中に存在し得る。
【0061】
ベースコートに対する樹脂結合剤は、米国特許第4,220,679号の注釈欄2、24行〜第4欄40に記載されているような有機溶剤ベースの物質であり得る。また、米国特許第4,403,003号、米国特許第4,147,679号、および米国特許第5,071,904号に記載されているような水性ベースコーティング組成物を、ベースコート組成物中で結合剤として使用し得る。
【0062】
コーティング組成物は、水性コーティング組成物における使用で一般に知られている種々の他の成分を含有し得る。種々の他の成分の例としては:充填剤;可塑剤;抗酸化剤;殺ウドンコ病菌剤および殺菌剤;界面活性剤;種々の流量制御剤 例えば、耐へたり性および/または顔料配向性に対する揺変剤および添加剤(例えば、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、有機改変シリカ、ベントン粘土(bentone clay)、有機改変ベントン粘土、およびポリマー微粒子(時にミクロゲルとして言及される)に基づくような添加物が挙げられる。例えば、米国特許第4,025,474号、同第4,055,607号;同第4,075,141号;同第4,115,472号;同第4,147,688号;同第4,180,489号;同第4,242,384号;同第4,268,547号;同第4,220,679号;および、同第4,290,932号に記載される添加物である。
【0063】
本発明の有機溶剤性コーティング組成物において使用され得る有機溶剤および/または希釈剤の例としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、sec−ブチルアルコール、tertブチルアルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、および2−エチルヘキシルアルコールが挙げられる、1〜8個の炭素原子を含有する低級アルカノールなど);エーテルおよびエーテルアルコール(例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレンブリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、およびジプロピレングリコールモノブチルエーテルなど);ケトン(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、およびメチルN−ブチルケトンなど);エステル(例えば、酢酸ブチル、酢酸2−エトキシエチル、および酢酸2エチルヘキシルなど);脂肪酸および脂環式炭化水素(例えば、種々の石油ナフサ、およびシクロヘキサンなど);および、芳香族炭化水素(例えば、トルエンおよびキシレンなど)が挙げられる。本発明の有機溶剤性コーティング組成物中に使用される有機溶剤および/または希釈剤の量は、広範に変化し得る。しかしながら、1つの非限定的な実施形態において、有機溶剤および/または希釈剤の量は、有機溶剤性コーティング組成物の総重量に基づく重量により、約10パーセント〜約50パーセント、例えば、20パーセント〜40パーセントなどの範囲におよび得る。
【0064】
本発明の不動態化処理物質はまた、フィルム形成ポリマーおよび顔料(代表的に金属顔料)を含有する粉末コーティング組成物中にも使用され得る。
【0065】
以下の実施例は本発明を例示しているのであり、その特許請求の範囲に対する限定として解釈されるべきでない。特に他に示さない限り、全てのパーセントテージおよび量は、重量によると理解される。
【実施例】
【0066】
以下の実施例において、市販されている不動態化処理物質と比較すると、本発明のポリマーを含有する不動態化処理物質を混合する典型的なコーティング組成物のガス発生の特性について説明する。
【0067】
(不動態化処理物質の調製)
本発明の不動態化処理物質に用いるポリマーとそのポリマーを混合する組成物は以下のように調製した。
【0068】
(ポリマー合成実施例1(PE1))
本発明の不動態化処理ポリマーを、以下の成分から、以下に記述した通り調製した。
【0069】
【表1】

EPON828はエポキシ当量188のビス‐エポキシであり、Shell Oil and Chemical Co.から市販されている。
反応器内に上記の最初の3つの成分を入れ、窒素雰囲気下で温度100℃まで加熱し、約1時間この温度を保った。この反応混合物を温度30℃まで冷却し、次いで、成分4を加えた。この反応温度を100℃まで上げ、この反応混合物をこの温度で約2時間保った。こうして得られた生成物を攪拌しながら成分5、6、7で希釈した。この生成物を室温まで冷却した。この反応生成物は固体含量が32%であり、pHは5.7であった。
【0070】
(ポリマー合成実施例2(PE2))
このポリマーは実施例1のポリマーと同様に、2−ニトロフェノールの代わりに4−ニトロ安息香酸を当量使用して調製した。
【0071】
(ポリマー合成実施例3(PE3))
このポリマーは実施例2のポリマーと同様に、4−ニトロ安息香酸の半分の代わりにイソニコチン酸を当量使用して調製した。
【0072】
(ポリマー合成実施例4(PE4))
このポリマーは実施例2のポリマーと同様に、4−ニトロ安息香酸の代わりにイソニコチン酸を当量使用して調製した。
【0073】
(ポリマー合成実施例5(PE5))
このポリマーは実施例2のポリマーと同様に、全てのEPON828と4−ニトロ安息香酸のみとを反応させて調製した。リン酸は使用しなかった。
【0074】
(ポリマー合成実施例6(PE6))
このポリマーは実施例2のポリマーと同様に、リン酸42重量%の代わりにトリメリト酸無水物を当量使用して調製した。
【0075】
(ポリマー合成実施例7(PE7))
このポリマーは実施例2のポリマーと同様に、50当量%の4−ニトロ安息香酸の代わりにフタル酸無水物とヒドロキシエチルエチレン尿素との反応生成物(2つの成分を120℃で反応させて調製した)を使用して調製した。
【0076】
(ポリマー合成実施例8(PE8))
このポリマーは実施例2のポリマーと同じ方法で、4−ニトロ安息香酸の代わりにイソステアリン酸を当量使用して合成した。
【0077】
(ポリマー合成実施例9(PE9))
このポリマーは実施例8のポリマーと同様に、EPON828の代わりにEPON872(エポキシ当量645)を当量使用して調製した。
【0078】
(ポリマー合成実施例10(PE10))
アクリル酸ポリウレタンを、以下の成分から、下記のとおり調製した。
【0079】
【表2】

最初の4成分をフラスコ内で攪拌しながら、HDIを70℃から80℃の温度で1時間かけて加えた。次いで、アクリル酸ブチル39gを使用して滴下漏斗を洗浄し、反応混合物の温度を70℃でさらに2時間保持し、イソシアネートを全て反応させた。次いで、アクリル酸ブチルの残りを加えると、Gardner−Holdt粘度がXの80%溶液を生成した。
【0080】
プレエマルションを以下の成分から調製した。
【0081】
【表3】

プレエマルションを乳化装置M110 MICROFLUIDIZER RTMに7000psiで通過させると微分散物を生じた。この微分散物を窒素雰囲気下の丸底フラスコ内にて22℃で攪拌し、以下の表4に示した成分を加えた。
【0082】
【表4】

表4の成分を加えると、反応温度は約15分後には56℃まで自然に上昇した。最終生成物は以下の特性を有していた:
全固形物=約42重量%
pH=約8.3
Brookfield粘度(50rpm、スピンドル#1)=約14cps
(ポリマー実施例11(PE11))
この実施例では、アクリル酸ポリエステルポリマーの調製について記述してある。アクリル酸ポリエステルを、以下の成分から、下記のとおり調製した。
【0083】
ポリエステル(P): このポリエステルを、温度計、攪拌器、冷却器、乾燥窒素噴霧器、そしてマントルヒーターを取り付けた四つ口丸底フラスコ内で調製した。このポリエステルを、以下の表5に示した成分から調製した。
【0084】
【表5】

最初の6成分をフラスコ内で温度230℃にて攪拌した。この蒸留物はディーン・スターク・トラップ内に集められ、この混合物を酸価が5未満に下がるまでこの温度のままで保持した。次いで生成物を温度80℃未満に冷却し、アクリル酸ブチルで希釈した。
【0085】
(ポリエステル/アクリル酸ラテックスの調製)
プレエマルションを、以下の成分を混合攪拌して調製した。
【0086】
【表6】

プレエマルションをMICROFLUIDIZER RTM M110Tに8000psiで一度通過させ、オーバーヘッド攪拌器、冷却器、温度計を取り付け、窒素雰囲気下にした四つ口丸底フラスコへ移した。MICROFLUIDIZER RTMの洗浄に使用した脱イオン水150.0gをこのフラスコに加えた。イソアスコルビン酸4.0gと水120.0g中に溶解させた硫酸鉄アンモニウム(II)0.02gとを加え、それに続いて、70%t−ブチルヒドロペルオキシド(水115.0gに溶解させた)4.0gを30分間かけて加えることにより重合が開始した。反応温度はこの間に24℃から85℃まで上昇した。温度を28℃まで下げ、その時点で33.3%ジメチルエタノールアミン水36gを加え、続いて、水8.0g中に入れたPROXEL GXL(ICI Americas,Inc.から市販されている殺虫剤)2.0gを加えた。こうして生成したラテックスのpHは7.9であり、不揮発性成分は42.0%であり、そしてBrookfield粘度は17cps(spindle#1、50rpm)であった。
【0087】
(ポリマー実施例12(PE12))
この実施例では、アクリル酸分散物の調製について記述してある。このアクリル酸分散物を、以下の表7に挙げた成分から、下記のとおり調製した。
【0088】
【表7】

充填物#1を、熱電対、攪拌器、および還流冷却器を取り付けた反応器に加えた。次いでこの反応器の内容物を温度80℃まで加熱した。次いで供給物AおよびB(第1段階)を3時間かけてこの反応器に加え、この反応混合物を80℃の温度で30分攪拌した。次に供給物CおよびD(第2段階)を30分かけて加え、次いで80℃で30分攪拌した。この時点で供給物EおよびF(第3段階)を30分かけて加え、1時間攪拌し、周囲温度まで冷却した。次いで供給物Gを5分かけて加え、それからさらに10分攪拌した。
【0089】
(ポリマー実施例13(PE−13))
この実施例では、以下の成分を用いたポリマーの調製について記述してある。
【0090】
【表8】

Witco Chemicalsから入手可能な、分子量2000のヒドロキシ官能性ポリエステル。
テトラヒドロフランを重合することにより生成された、E.I.Dupont de Neumors and Coから入手可能な、分子量2000のヒドロキシ官能性ポリエステル。
Bayer corporationから入手可能なジイソシアネート。
【0091】
反応器を最初の7成分で充填し、混合物が均一になるまで、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。次いでこれを55℃まで冷却し、予め混合した成分8および9を30分かけて加えた。この混合物を90℃まで発熱させた。次にこの混合物を、イソシアネート当量が1370付近になるまで、この温度で保持した。次いで予め混合した成分10、11、および12を加えた。この生成物をさらに30分間攪拌し、室温まで冷却した。この最終生成物は総非揮発性成分24%であり、粘度は100センチポイズ未満であった。
【0092】
(水性組成物の調製)
(ベースコート実施例BC1〜10)
実施例1〜10の不動態化処理物質を含有する水性シルバーメタリックベースコート組成物を調製した。各ベースコート組成物(下記実施例BC1〜10)について、それぞれ、アルミニウム顔料スラリーであるプレミックスA1〜10を、最初に下記のとおり、以下の成分から調製した。以下に列挙した量は、重量部(グラム)である。プレミックスA1〜10の成分を、穏やかに攪拌しながら混合し、この混合物がよく分散するまで30分間攪拌した。プレミックスA1には、市販されている不動態化処理物質(Lubrizol Companyから市販されているLUBRIZOL 2062)を使用した。
【0093】
【表9】

BASFから入手可能なポリプロピレングリコールPPG−425。
Ciba Additivesから入手可能な置換ベンゾトリアゾールUV光吸収体。
Toyal America,Inc.から入手可能なTOYOアルミニウム顔料ペーストTCR−3040。
LUBRIZOL 2062/ジイソプロパノールアミン/プロピレングリコールブチルエーテルの60/36/4重量パーセント溶液。LUBRIZOL 2062はLubrizol Co.から入手可能であり、リン酸およびt−ブチルフェノールを反応させたスチレンアリルアルコールのコポリマーを含有。
Cytec Industries,Incから入手可能なメチル化トリメチロールメラミン樹脂。
脱イオン水中のジメチルエタノールアミンの50%溶液。
EPON828とリン酸との反応生成物(重量比83対17)であるリン酸化エポキシ。
PE=実施例のポリマー。
【0094】
ベースコート組成物(実施例BC1〜BC10)を、下記のとおり、以下の成分から調製した。以下に列挙した量は、他に示さない限り、重量部(グラム)である。ベースコート組成物BC1を対照として使用し、市販されている不動態化処理物質を含んだ。
【0095】
【表10】

実施例10のポリマー。
Cytec Industries,Incから入手可能なメチル化トリメチロールメラミン樹脂。
10Shell Chemical Co.から入手可能なMineral Spirits。
【0096】
実施例BC1〜BC10の水性ベースコート組成物のそれぞれを、攪拌しながら上記の成分を混合することによって調製した。各組成物のpHを、適量の50%DMEA水溶液を使用して、8.4〜8.6に調整した。周囲条件で16時間の平衡化時間に続き、各ベースコートのpHを、適量の50%DMEA水溶液を使用して、8.4〜8.6に調整した。次いで、各組成物の粘度を、脱イオン水を使用して、スプレー粘度(Ford#4カップ)24〜26秒まで低下させた。次いで、サンプルを下記のとおり、ガス発生試験を実施した。
【0097】
(ガス発生評価)
実施例BC1〜BC10の水性ベースコート組成物のそれぞれを、アルミニウムフレーク含有水性塗料から発生するガス量を測定するために評価した。この試験方法は、アルミニウムフレーク不動態化処理物質(すなわち、ガス発生阻害物質)の、アルミニウム顔料表面と水との間の反応を阻止または阻害する効果を判定するために使用された。この反応により、水素ガスおよび熱が発生する。この方法は、アルミニウムフレーク含有水性ペイントを、ガス発生実験装置に充填する工程を包含し、この装置で、ベースコート組成物200グラム当たりの7日間にわたって発生したガスのミリリットル数(ml)で、ガス発生量を計測した。
【0098】
最終pHおよび粘度の上記調整に続き、各ベースコート組成物200グラムを、別個の250mlエルレンマイアーフラスコに入れ、グリースを塗布したガラス製ホースコネクター付きアダプター(Tygonチューブ用)でフタをした。先細クリップを、フラスコとアダプターとの接合部に取り付けた。鉛分銅を、各充填済みエルレンマイアーフラスコの周りに置き、次いで、それぞれを予め40℃に設定した定温槽に入れた。次いで、浴中で4時間、温度を平衡させた。
【0099】
組成物を平衡させている間、定温槽の横に、リングスタンドおよびビュレットを、Nalgene容器中に組み立てた。リングスタンドを、水を満たしたNalgene容器中に置いた。ビュレットクランプをリングスタンドに取り付けた。各ベースコートに対して1本の250mlビュレットに水を満たし、これを水を満たしたNalgene容器中で逆さにした。この逆さにしたビュレットを、逆さにしたビュレットの上端が、容器中の水面より下になるように置いた。このビュレットをビュレットクランプで所定の位置に固定した。
【0100】
平衡化時間に続き、Tygonチューブを逆さにしたビュレトに挿入し、次いで、定温槽中にあるフラスコ上のホースアダプター先端に取り付けた。次いで、ビュレット中の初期の水位を(mlで)記録した。試験装置中の初期の水位と7日後の最終水位との差異を、ベースコートから発生するガス量として記録した。当業者に理解されるように、ガス発生結果は、実験条件における僅かな変化により、実験実施ごとに異なり得る。したがって、表11のガス発生結果は、プラスまたはマイナス約5mlの許容差を有することを理解されるべきである。
【0101】
以下表11に提示したガス発生データは、本発明によるアルミニウム不動態化処理物質を含有する水性メタリックベースコート組成物(すなわち、実施例BC2〜BC14の組成物)が、市販されている不動態化処理物質(実施例BC1)と比較すると、同等または改善されたアルミニウムフレーク不動態化を提供することを示している。
【0102】
【表11】

比較例
(ベースコート実施例BC11〜BC13)
以下の実施例BC11〜BC13は、水性シルバーメタリックベースコート組成物の調製について記載する。実施例BC11〜BC13の各ベースコート組成物については、それぞれアルミニウム顔料スラリーであるプレミックスA11〜13を最初に、下記のとおり、以下の成分から調製した。以下に列挙した量は、重量部(グラム)である。このプレミックスA11〜13の成分を、攪拌しながら混合し、この混合物がよく分散するまで30分間攪拌した。プレミックスA11には、市販されている不動態化処理物質(Lubrizol Companyから市販されているLUBRIZOL 2062)を使用した。
【0103】
【表12】

11EPON 828とリン酸の重量比83対17における反応生成物。
12Ciba Additivesから入手可能な置換ベンゾトリアゾールUV光吸収体。
13Toyal Europeから入手可能なアルミニウム顔料ペーストALPATE 7670NS。
14LUBRIZOL 2062/ジイソプロパノールアミン/プロピレングリコールブチルエーテルの60/36/4重量パーセント溶液。LUBRIZOL 2062はLubrizol Co.から入手可能。
15Cytec Industries,Incから入手可能なメチル化メラミンホルムアルデヒド樹脂。
【0104】
(水性ベースコート組成物)
次に、実施例BC11〜BC13の水性ベースコート組成物のそれぞれを、下記のとおり、以下の成分から調製した。以下に列挙した量は、他に示さない限り、重量部(グラム)である。
【0105】
【表13】

16PE=実施例のポリマー。
17Shell Chemical Co.から入手可能なミネラルスピリット。
18Crompton Corp.から入手可能な水性ポリウレタン分散。
19PE=実施例のポリマー。
20脱イオン水中のLAPONITE RD2%溶液。LAPONITE RDはSouthern Clay Products,Incから入手可能な合成粘土。
21Viscolam 330はLehmann & Vossから入手可能なアクリルシックナーエマルション。
【0106】
実施例BC11〜BC13の水性ベースコート組成物のそれぞれを、攪拌しながら上記の成分を混合することにより調製した。各組成物のpHを、適量の50%DMEA水溶液を使用して、8.4〜8.6に調整した。次いで、各水性ベースコート組成物の粘度を、脱イオン水を使用して、スプレー粘度(DIN#4カップ)33〜37秒まで低下させた。
【0107】
(ガス発生評価)
実施例BC11〜BC13の水性ベースコート組成物のそれぞれを、実施例BC1〜BC10に対して前記したガス発生試験方法にしたがって評価した。
【0108】
以下表14に提示したガス発生データは、本発明のアルミニウム不動態化処理物質を含有する水性メタリックベースコート組成物(すなわち、実施例BC12〜BC13の組成物)が、市販されている不動態化処理物質を含有した対照不動態化処理物質(すなわち、実施例BC11の組成物)と比較すると、同等または改善されたアルミニウムフレーク不動態化を提供するということを示している。
【0109】
【表14】

(実施例BC14〜BC17)
以下の実施例BC14〜BC17(表16)は、それぞれ表15の実施例A14〜A17の不動態化処理物質を含有する水性シルバーメタリックベースコート組成物の調製について記載する。実施例BC14〜BC17の各ベースコート組成物については、それぞれ、アルミニウム顔料スラリーであるプレミックスA14〜17を、最初に下記のとおり、以下の成分から調製した。以下に列挙した量は、重量部(グラム)である。このプレミックスA14〜17の成分を、攪拌しながら混合し、この混合物がよく分散するまで30分間攪拌した。
【0110】
表15に示すとおり、プレミックス14、16、および17は、公知の不動態化処理物質を含有したが、プレミックス15は、本発明の不動態化処理物質を含有していた。表15のプレミックスはすべて、アルミニウム顔料の重量パーセントに基づき、15重量パーセントの本発明の不動態化処理物質を有する。
【0111】
【表15】

1.米国特許第5,389,139号の実施例2に記載の不動態化処理物質。
2.米国特許第5,215,579号の実施例1に記載の不動態化処理物質。
3.Aldrich Chemical Co.から。
4.PE=実施例のポリマー。
【0112】
(水性ベースコート組成物)
プレミックスA11〜A14を、以下表16に提示するとおり、水性ベースコート組成物(実施例BC14〜BC17)を調製するために使用した。以下に列挙した量は、重量部(グラム)であり、他に示さない限り、アルミニウム顔料の量に基づき、15重量パーセントの不動態化処理物質を有する。
【0113】
【表16】

1.Cytec Industries, Incから入手可能なメラミン樹脂。
2.42.9gの無水4−メチルヘキサヒドロフタル酸、18.4gの無水ヘキサヒドロフタル酸、および38.7gのネオペンチルグリコールヒドロキシピバラートを200℃で反応させ、次いで、メチルイソブチルケトンを用いて、酸価165で固形分80%まで希釈することにより生成したレオロジー改質剤。
【0114】
実施例BC14〜BC17の水性ベースコート組成物のそれぞれを、攪拌しながら上記成分を混合することにより調製した。各組成物のpHを、適量の50%DMEA水溶液を使用して、8.4〜8.6に調整した。周囲条件で16時間の平衡時間に続き、各ベースコートのpHを、適量の50%DMEA水溶液を使用して、8.4〜8.6に調整した。次いで、各組成物の粘度を、脱イオン水を使用して、スプレー粘度(Ford#4カップ)24〜26秒まで低下させた。次いで、下記のとおり、サンプルをガス発生試験を実施した。
【0115】
(ガス発生評価)
実施例BC14〜BC17の水性ベースコート組成物のそれぞれを、アルミニウムフレークを含有する水性塗料から発生するガス量を測定する試験方法に従って評価した。この試験方法は、アルミニウムフレーク不動態化処理物質(すなわち、ガス発生阻害物質)の、水素ガスおよび熱を生じるアルミニウム顔料表面と水との反応を阻止または阻害する効果を判定するために使用される。この方法は、アルミニウムフレークを含有する水性ペイントを、ガス発生実験装置に充填する工程を包含し、この装置で、ペイント250グラム当たりの7日間にわたって発生したガスのミリリットル数(ml)で、ガス発生量を計測する。
【0116】
pHおよび粘度の上記最終調整に続き、各ベースコート250グラムを、ガス発生ビンに入れ、40℃の水浴に入れた。各サンプルを、可能性のあるすべてのガス発生を捕獲するために、調整後の時間を減少させるように、可能な限りすばやく水浴に入れた。その結果を表17に提示している。
【0117】
【表17】

比較例
表17に示した結果から、本発明の不動態化処理物質により、他の公知の不動態化処理物質と比較して、ガス発生特性が改善された。
【0118】
(実施例2)
この実施例は、本発明の不動態化処理物質の、被覆された物品の外見的特性に対する効果を例示する。
【0119】
コーティング組成物B15およびB18〜20を、以下表18に提示したとおり、種々の外見的特性について評価した。B18、B19およびB20は、15重量パーセントの不動態化処理物質の代わりに、20重量パーセントの不動態化処理物質を含んでいることを除き、それぞれ、B14、B16およびB17と同じである。
【0120】
【表18】

X−RITE分光光度計を使用してL15、L45およびL110の色価を得て、これらの色価からフリップ/フロップを算定することにより算定。フリップ/フロップ値が大きいほど、L15の色価は明るく、L110の色価は暗い。
X−RITE分光光度計を使用して15°で測定した明度。この価が高いほどその色は鮮やか。
Autospec=従来のAutospec Quality Measurement System(ASTM 0631)を使用して判定される、光沢、イメージの明瞭さ、オレンジピールを合わせた平均値。
10ml未満のガス発生は許容可能と見なされる。
【0121】
前述の説明において開示した概念から逸脱することなく、本発明に修正を加え得ることが、当業者には容易に理解される。したがって、本明細書中で詳細に記載した特定の実施形態は、例示するのみであって、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の範囲は、添付した請求の範囲の全範囲、ならびにその任意のすべての均等物によって、その全範囲が与えられるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属表面の不動態化に適した不動態化処理物質であって:
(a)少なくとも1個のニトロ基、および/またはピリジン基、および/またはフェノール性ヒドロキシル基;ならびに
(b)リン含有基、および/またはカルボン酸基から選択される少なくとも1つの基であって、ここで、少なくとも1つのリン含有基が、リン酸塩、亜リン酸塩、または窒素で置換されていないホスホン酸塩から選択される基
を有するポリマー
を含有する不動態化処理物質。
【請求項2】
前記ポリマーが、アクリルポリマー、ポリエステルポリマー、ポリウレタンポリマー、エポキシポリマー、ポリオレフィンポリマー、ポリエーテルポリマー、それらのコポリマー、またはそれらの混合物から選択または誘導される、請求項1に記載の不動態化処理物質。
【請求項3】
前記ポリマーが、エポキシポリマーを含有する、または、エポキシポリマーから誘導される、請求項1に記載の不動態化処理物質。
【請求項4】
前記ポリマーが、芳香族アルコールのグリシジルエーテルを含有する反応物質の反応生成物から誘導される、請求項1に記載の不動態化処理物質。
【請求項5】
前記ポリマーが、多価アルコールのポリグリシジルエーテルを含有する反応物質の反応生成物から誘導される、請求項1に記載の不動態化処理物質。
【請求項6】
前記ポリマーが、グリシジル官能基を有するアクリルポリマーを含有する、または、グリシジル官能性を有するアクリルポリマーから誘導される、請求項1に記載の不動態化処理物質。
【請求項7】
前記リン含有基が、リン酸基、および/または窒素で置換されていないホスホン酸基のうちの少なくとも1つから選択される、請求項1に記載の不動態化処理物質。
【請求項8】
前記リン含有基が、リン酸、および/またはアルキルホスホン酸、アリールホスホン酸、および/またはアルキルアリールホスホン酸、またはそれらの混合物の少なくとも1つから誘導される、請求項1に記載の不動態化処理物質。
【請求項9】
前記リン含有基が、酸官能基、および/またはエステル官能性のうち少なくとも1つを有する、請求項8に記載の不動態化処理物質。
【請求項10】
前記酸官能基が、一部、または完全に中和されている、請求項9に記載の不動態化処理物質。
【請求項11】
ニトロ基が、ニトロ基含有アルキル化合物、ニトロ基含有アリール化合物、および/またはニトロ基含有アルキルアリール化合物のうち少なくとも1つから誘導される、請求項1に記載の不動態化処理物質。
【請求項12】
前記ニトロ基が、2−ニトロ安息香酸、4−ニトロ安息香酸、2−4−ジニトロ安息香酸、およびそれらの混合物から選択される芳香族ニトロ基含有化合物から誘導される、請求項1に記載の不動態化処理物質。
【請求項13】
前記ニトロ基が、4−ニトロ安息香酸から誘導される、請求項1に記載の不動態化処理物質。
【請求項14】
前記ポリマーが:
芳香族エポキシ基含有化合物;
芳香族ニトロ化合物;および
リン含有化合物
を含有する反応物質の反応生成物を含有する、請求項1に記載の不動態化処理物質。
【請求項15】
前記ポリマーが:
多価の芳香族アルコールのジグリシジルエーテル;
2−ニトロ安息香酸、4−ニトロ安息香酸、2−4−ジニトロ安息香酸、およびそれらの混合物からなる群から選択されるニトロ化合物;ならびに
リン酸、アルキルホスホン酸、アリールホスホン酸、および/またはアルキルアリールホスホン酸の群から選択されるリン含有化合物、およびそれらの混合物
の反応生成物を含有する、請求項1に記載の不動態化処理物質。
【請求項16】
前記ポリマーが、3.8/0.3/4.8〜3.8/3/0.8のエポキシ:ニトロ基:リン酸の当量比を有する、請求項14に記載の不動態化処理物質。
【請求項17】
前記ポリマーが、3.8/0.8/4.2〜3.8/1/3.2のエポキシ:ニトロ基:リン酸の当量比を有する、請求項14に記載の不動態化処理物質。
【請求項18】
不動態化された金属顔料であって:
少なくとも1種の金属顔料粒子;および
該少なくとも1種の顔料粒子上の少なくとも一部にわたり形成され、請求項1において請求されるポリマーを含有する不動態化処理物質
を含有する、不動態化された金属顔料。
【請求項19】
前記顔料粒子が金属フレークの形態である、請求項18に記載の顔料。
【請求項20】
前記金属顔料粒子が、アルミニウム、銅、亜鉛、黄銅、ニッケル、スズ、銀、クロム、鉄、および前記のうち少なくとも1つを含む酸化物または合金のうち少なくとも1つを含有する、請求項18に記載の顔料。
【請求項21】
前記顔料粒子が、アルミニウムフレークの形態である、請求項18に記載の顔料。
【請求項22】
少なくとも1種の前記顔料粒子が、アルミニウム顔料粒子と酸化鉄顔料粒子との混合物を含有する、請求項18に記載の顔料。
【請求項23】
被覆組成物であって:
(a)希釈媒質;
(b)フィルム形成ポリマー;および
(c)請求項1において記載されるポリマーを含有する不動態化処理物質で少なくとも部分的に処理された、少なくとも1種の金属顔料粒子
を含有する、被覆組成物。
【請求項24】
前記希釈媒質が、水性希釈媒質である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記希釈媒質が、非水性希釈媒質である、請求項23に記載の組成物。
【請求項26】
前記少なくとも1種の金属顔料粒子が、フレーク形態のアルミニウムを含有する、請求項23に記載の組成物。
【請求項27】
前記少なくとも1種の顔料粒子が、アルミニウム顔料粒子と酸化鉄顔料粒子との混合物を含有する、請求項23に記載の組成物。
【請求項28】
被膜組成物であって:
(a)水性希釈媒質;
(b)フィルム形成ポリマー;および
(c)不動態化処理物質で少なくとも部分的に処理された、少なくとも1種の金属顔料粒子であって、該不動態化処理物質は:
多価アルコールのジグリシジルエーテル;
ニトロ基含有アルキル化合物、ニトロ基含有アリール化合物、および/またはニトロ基含有アルキルアリール化合物のうち少なくとも1つから選択されるニトロ基含有化合物;ならびに
リン酸基、および/または窒素で置換されていないホスホン酸基を有するリン酸基含有化合物
の反応生成物を含有するポリマーを含有する
金属顔料粒子
を含有する被覆組成物。
【請求項29】
前記少なくとも1種の顔料粒子が、金属フレークの形態である、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記少なくとも1種の金属顔料粒子が、アルミニウム、銅、亜鉛、黄銅、ニッケル、スズ、銀、クロム、鉄、および前記のうち少なくとも1つを含む酸化物または合金のうち、少なくとも1つを含有する、請求項28に記載の組成物。
【請求項31】
前記顔料粒子が、アルミニウムフレークの形態である、請求項28に記載の組成物。
【請求項32】
少なくとも1種の前記顔料粒子が、アルミニウム顔料粒子と酸化鉄顔料粒子との混合物を含有する、請求項28に記載の組成物。
【請求項33】
金属表面を不動化する方法であって:
金属表面を、請求項1において請求されるポリマーを含有する不動態化処理物質と接触させる工程
を包含する方法。
【請求項34】
前記金属表面が、アルミニウムフレークの形態の顔料を含有する、請求項33に記載の方法。

【公表番号】特表2007−537353(P2007−537353A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515119(P2007−515119)
【出願日】平成17年5月4日(2005.5.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/015753
【国際公開番号】WO2006/118577
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】