説明

針状結晶の製造方法、及び走査型プローブ顕微鏡のカンチレバー

【課題】半導体結晶の劣化を引き起こすAu等の材料を必要とせず、先端が極めて鋭い針状結晶を製造することができる針状結晶の製造方法と、被観察物表面の極めて微細な凹凸に対応することが可能な走査型プローブ顕微鏡のカンチレバーとを提供する。
【解決手段】ガリウム砒素基板20上に所定パターンの絶縁膜26を形成する絶縁膜形成工程と、絶縁膜26が形成されたガリウム砒素基板20上にMOCVD法によりGaInPを堆積する半導体堆積工程とを備え、堆積工程の際に、絶縁膜26が形成された領域を除くガリウム砒素基板20上の領域にGaInPの層28を成長させつつ、絶縁膜26上にGaInPからなる粒状物30を発生させ、該粒状物30を種結晶としてガリウム砒素基板20の板面の法線方向に沿ってGaInPを結晶成長させることにより、針状結晶10を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査型プローブ顕微鏡のカンチレバーに探針として取り付けられる針状結晶の製造方法、及びこの針状結晶を探針として備える走査型プローブ顕微鏡のカンチレバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、走査型プローブ顕微鏡のカンチレバーの探針としては、例えばシリコン結晶を三角錐形状や柱形状に加工したものが知られている。また、針状結晶の製造方法としては、例えば特許文献1に記載された方法がある。この方法は、開口部を有するSiO2膜をシリコン基板上に形成し、SiO2膜の開口部にAuを蒸着してAuSi膜を形成し、続いてシリコンを気相成長させることによりAuSi膜の下部にSi針状単結晶を形成している。
【特許文献1】特開平5−97598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
シリコン結晶を三角錐形状や柱形状に加工した従来の探針では、先端を鋭く加工することが難しく、観察物表面の極めて微細な凹凸に対応することが困難であった。また、特許文献1に記載された方法ではAuを用いて針状結晶を形成するが、Auは半導体結晶内に侵入すると半導体結晶の劣化を引き起こしてしまう。
【0004】
本発明は、上記した問題点を鑑みてなされたものであり、半導体結晶の劣化を引き起こすAu等の材料を必要とせず、先端が極めて鋭い針状結晶を製造することができる針状結晶の製造方法と、観察物表面の極めて微細な凹凸に対応することが可能な走査型プローブ顕微鏡のカンチレバーとを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するために、本発明による針状結晶の製造方法は、走査型プローブ顕微鏡のカンチレバーに探針として取り付けられる針状結晶を製造する方法であって、半導体基板上に所定パターンの絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、絶縁膜が形成された半導体基板上に有機金属気相成長法により化合物半導体を堆積する半導体堆積工程とを備え、堆積工程の際に、絶縁膜が形成された領域を除く半導体基板上の領域に化合物半導体の層を成長させつつ、絶縁膜上に化合物半導体からなる粒状物を発生させ、該粒状物を種結晶として半導体基板の板面の法線方向に沿って化合物半導体を結晶成長させることにより、針状結晶を形成することを特徴とする。
【0006】
本発明者は、上記のような製造方法によって、例えば頂角が7°といった極めて鋭い先端部を有する針状結晶が得られることを見出した。また、上記の製造方法では、半導体結晶の劣化を引き起こすAu等の材料を必要としない。したがって、上記製造方法によれば、良好な結晶性を有し、且つ被観察物表面の極めて微細な凹凸に対応可能なカンチレバー用の探針を実現できる。
【0007】
また、針状結晶の製造方法は、堆積工程の際に、n型ドーパントまたはp型ドーパントを添加しつつ粒状物を発生及び成長させることを特徴としてもよい。従来、特許文献1に記載された方法において、Auに代えてSnを用いる方法も存在するが、Snはn型ドーパントとして作用するため、導電型を選択することができなかった。上記した製造方法によれば、n型ドーパントまたはp型ドーパントを選択的に添加することができるので、針状結晶を所望の導電型にし、且つ導電率を任意に制御することも可能となる。
【0008】
また、針状結晶の製造方法は、半導体基板がGaAs半導体からなり、また、化合物半導体がGaInP半導体からなり、さらに、堆積工程の際に、化合物半導体の成長温度を500[℃]以上550[℃]以下とすることを特徴としてもよい。本発明者の研究により、GaAs半導体基板上にGaInP化合物半導体を有機金属気相成長法を用いて成長した場合、このGaInP化合物半導体の成長温度を500[℃]以上とすることにより絶縁膜上における粒状物の発生数が顕著に増加し、また、550[℃]以下とすることにより絶縁膜上に発生した粒状物が絶縁膜に付着し易いことがわかった。すなわち、GaInP化合物半導体の成長温度を500[℃]以上550[℃]以下とすることにより、針状結晶を効率よく製造することができる。
【0009】
また、本発明による走査型プローブ顕微鏡のカンチレバーは、上記したいずれかの針状結晶の製造方法により製造された針状結晶を探針として備えることを特徴とする。これにより、被観察物表面の極めて微細な凹凸に対応することが可能なカンチレバーを提供できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、半導体結晶の劣化を引き起こすAu等の材料を必要とせず、先端が極めて鋭い針状結晶を製造することができる針状結晶の製造方法と、観察物表面の極めて微細な凹凸に対応することが可能な走査型プローブ顕微鏡のカンチレバーとを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明による針状結晶の製造方法、及びこの針状結晶を探針として備える走査型プローブ顕微鏡のカンチレバーの実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る針状結晶の製造方法により製造される針状結晶の外観を示す図である。図1(a)は本実施形態の針状結晶10の側面図であり、図1(b)は針状結晶10の上面図である。針状結晶10は円錐形状又は六角錐形状を有しており、長手方向(中心軸方向)と直交する断面の最大径、すなわち最下部の外径Lが例えば0.8[μm]、長手方向の長さ(すなわち高さH)が例えば13[μm]、先端部の頂角αが例えば7[°]といった極めて鋭い形状を有している。この針状結晶10はGaInPやGaAsといった化合物半導体からなり、当該針状結晶10の製造工程において結晶成長の種(粒状物)となった部分を除き、単結晶によって構成されている。
【0013】
針状結晶10は、例えば原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)や走査型拡がり抵抗顕微鏡(SSRM:Scanning spread resistancemicroscopy)といった走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)において、カンチレバーの先端に取り付けられる探針として利用される。また、SSRMに用いられる場合には、針状結晶10にZn等のp型不純物やSi等のn型不純物を添加して導電性を付与することもできる。他のSPMに用いられる場合であっても、このように導電性を付与することにより、静電気による帯電を抑制できる。
【0014】
以下、図1に示した針状結晶10の製造方法について説明する。
【0015】
[絶縁膜形成工程]
まず、図2(a)に示すように、ベースとなる半導体基板であるガリウム砒素基板(GaAs半導体基板)20上に絶縁膜22を堆積する。この絶縁膜22としては、例えば窒化ケイ素(SiN)やシリカ(SiO2)等が好適である。また、このとき、絶縁膜22の厚さを例えば100[nm]とするとよい。絶縁膜22の成膜法としては、例えばプラズマCVDが好適である。
【0016】
次に、フォトリソグラフィ技術を用いて絶縁膜22のパターニングを行う。すなわち、絶縁膜22上にストライプ状のフォトレジスト24(図2(b))を形成し、このフォトレジスト24をマスクとして絶縁膜22をエッチングする。なお、図2(b)は、ストライプ状のフォトレジスト24の長手方向と直交する断面を示しており、同図に示されるように、フォトレジスト24はその長手方向と直交する方向に複数並んで形成される。各フォトレジスト24の並び方向の幅Wは例えば3[μm]〜50[μm]であり、隣り合うフォトレジスト24同士の間隔Dは例えば200[μm]〜500[μm]である。また、絶縁膜22をエッチングするためのエッチャントとしては、例えばバッファードフッ酸が好適である。この工程によって、図2(b)に示すように、ストライプ状の所定パターンを有する絶縁膜26が形成される。その後、フォトレジスト24を除去する(図2(c))。
【0017】
[半導体堆積工程]
続いて、有機金属気相成長法(MOCVD)を用いて、絶縁膜26が形成されたガリウム砒素基板20上に化合物半導体(GaInP)を堆積する。ここで、図3は、この工程において用いられるMOCVD装置(反応炉)50の概略構成図である。MOCVD装置50は、真空チャンバ52と、真空チャンバ52内に設けられたカーボンサセプタ(基台)54とを備えている。カーボンサセプタ54上には、前述の絶縁膜形成工程を経たガリウム砒素基板20が載置される。また、カーボンサセプタ54はヒータ56を内蔵しており、ヒータ56からの熱によってガリウム砒素基板20を加熱することができる。ヒータ56の近傍には熱電対58が配置されており、熱電対58によって検出される真空チャンバ52内の温度に基づいてヒータ56を制御する。また、真空チャンバ52には冷却水用の管60が接続されており、この冷却水によって真空チャンバ52の内部を冷却することができる。
【0018】
本工程では、まず、図4(a)に示すように、絶縁膜26が形成されたガリウム砒素基板20を、真空チャンバ52内のカーボンサセプタ54上に載置する。次に、真空チャンバ52内をアルシン(AsH3)雰囲気とし、その圧力を例えば60[Torr](約8.0[kPa])とする(図4(b))。なお、アルシンの流量は例えば300[sccm](標準立方センチメートル毎分)とするとよい。
【0019】
続いて、ガリウム砒素基板20をヒータ56により500[℃]以上550[℃]に加熱する。そして、真空チャンバ52内をホスフィン(PH3)雰囲気とし、同時に、トリエチルガリウム(TEG)及びトリメチルインジウム(TMI)を真空チャンバ52内に供給することにより、ガリウム砒素基板20上にGaInPを堆積する(図4(c))。なお、ホスフィンの流量は例えば500[sccm]、トリエチルガリウムの流量は例えば100[sccm]、トリメチルインジウムの流量は例えば50[sccm]が好適であり、GaInP結晶が毎時1〜2[μm]の速度で成長する条件が望ましい。また、トリエチルガリウム及びトリメチルインジウムを供給するためのキャリアガスとしては、例えばH2が好適である。
【0020】
本工程において結晶成長が始まると、図5(a)に示すように、絶縁膜26が形成された領域を除くガリウム砒素基板20上の領域にGaInPからなる半導体層28が成長するが、その一方で、絶縁膜26上にGaInP結晶からなる粒状物(デポ物)30が発生する。そして、更に成長が進むと、粒状物30を種結晶としてGaInP単結晶がガリウム砒素基板20の板面の法線方向に沿って成長し、図5(b)に示すように針状結晶10が形成される。針状結晶10が或る程度の大きさに成長すると、針状結晶10の自重によって絶縁膜26と針状結晶10との密着性を保てなくなり、針状結晶10が絶縁膜26から剥離する。剥離した針状結晶10は、供給ガスに流され、絶縁膜26が形成されていないガリウム砒素基板20の領域上に堆積する。このような過程が繰り返されることにより、本工程後のガリウム砒素基板20上には多数の針状結晶10が堆積することとなる(図5(c))。このようにして、図1に示した針状結晶10が製造される。
【0021】
なお、針状結晶10に導電性を付与する場合には、本工程においてGaInP結晶を成長させる際に、Zn等のp型ドーパントまたはSi等のn型ドーパントを添加するとよい。具体的には、ホスフィン、トリエチルガリウム及びトリメチルインジウムを供給する際に、n型ドープの場合にはジシラン(Si26)又はモノシラン(SiH4)を併せて供給し、p型ドープの場合にはトリメチル亜鉛(TMZn)を併せて供給するとよい。
【0022】
図6は、半導体堆積工程においてガリウム砒素基板20上に堆積した粒状物30及び針状結晶10を撮影した電子顕微鏡写真である。なお、図6において、中央付近に縦方向に延びている領域はストライプ状の絶縁膜26であり、絶縁膜26の幅は50[μm]、絶縁膜26同士の間隔は250[μm]である。同図から判るように、絶縁膜26上には粒状物30が発生しており、絶縁膜26の周囲には鋭い先端部を有する針状結晶10が多数堆積している。図7は、粒状物30及び針状結晶10の拡大写真である。この針状結晶10は略円錐形状を有しており、長手方向と直交する断面の最大径は0.8[μm]であった。また、長手方向の長さは13[μm]、先端部の頂角αは7[°]であった。
【0023】
上記写真に示された針状結晶10に関し、エネルギー分散型蛍光X線分析(EDX)により成分分析を行った結果を図8に示す。図8(a)はEDXスペクトルを示し、縦軸は入射エネルギー(すなわち元素の順番)、縦軸は元素に固有のエネルギー強度である。また、図8(b)は各構成元素毎の原子数濃度を示すグラフである。分析の結果、図8(a)に示すように、針状結晶10はガリウム(Ga)、リン(P)及びインジウム(In)からなることが確認された。また、各々の原子数濃度は、図8(b)に示すようにガリウム23.41[%]、リン56.72[%]、インジウム19.87[%]であった。
【0024】
図9は、針状結晶10を探針として備える走査型プローブ顕微鏡のカンチレバー100を示す図である。図9(a)はカンチレバー100の平面図を示し、図9(b)はカンチレバー100のI−I断面図を示し、図9(c)はカンチレバー100のII−II断面図を示している。また、図9(c)においては、カンチレバー100の先端部分を拡大して示している。
【0025】
図9(a)〜(c)に示すように、カンチレバー100は、板状の本体部102と、本体部102の縁から突出した片持ちバネ104と、片持ちバネ104の先端に取り付けられた探針106とを備えている。そして、この探針106として、上記製造方法により製造された針状結晶10が使用されている。針状結晶10は、その円錐形状の底面部が片持ちバネ104の先端に固定され、その鋭い先端部が片持ちバネ104の板面に対して法線方向に突出している。
【0026】
ここで、図10は、比較のため従来の探針形状を示す図である。図10(a)は従来の探針200の平面図であり、図10(b)は探針200の正面図であり、図10(c)は探針200の側面図である。なお、図10(a)〜(c)において、探針200は片持ちバネ202に取り付けられている。図10(a)〜(c)に示すように、従来の探針200は三角錐形状を有しており、その底面の形状は鈍角三角形か又はそれに近い形状となっている。すなわち、探針200は、その機械的強度を保つために扁平な形状をしている。したがって、探針200の頂角は、方向によって異なる。なお、この探針200の底面の最大幅W2は0.5[μm]〜5[μm]であり、高さH2は10[μm]〜15[μm]である。
【0027】
図10に示した従来の探針200は、頂角が方向により異なるため次のような問題点を有する。例えば、図11(a)及び(c)に示すような微小な凹部Aが被観察物の表面に存在する場合、探針200の頂角が大きい方向にこの凹部Aを走査すると、図11(a)に示すように凹部Aの底に探針200の先端部が届きにくく、図11(b)に示すような表面形状が観察される。一方、探針200の頂角が小さい方向にこの凹部Aを走査すると、図11(c)に示すように凹部Aの底に探針200の先端部が届き易く、図11(d)に示すように図11(b)とは異なる表面形状が観察される。このように、従来の探針200を使用すると、走査方向によって異なる観察結果となってしまう。
【0028】
この点、本実施形態のカンチレバー100における探針106は、円錐形状または六角錐形状の鋭い先端部を有する針状結晶10によって構成されているので、極めて微細な凹凸に対して走査方向によらず均一な観察結果を得ることができる。
【0029】
以上述べたように、本実施形態の針状結晶の製造方法によれば、例えば頂角が7°といった極めて鋭い先端部を有する針状結晶10が得られる。また、本実施形態の針状結晶の製造方法では、ガリウム砒素基板20といった半導体基板と絶縁膜26とを用いれば足り、半導体結晶の劣化を引き起こすAu等の材料を必要としない。また、針状結晶10は、その殆どが良好な結晶性を有する単結晶の化合物半導体からなるので、機械的な強度を確保でき、AFMなどのカンチレバーの探針として好適に用いることができる。したがって、本実施形態の製造方法によれば、観察物表面の極めて微細な凹凸に対応可能なカンチレバー用の探針を実現できる。
【0030】
また、本実施形態の針状結晶の製造方法では、堆積工程の際に、n型ドーパントまたはp型ドーパントを添加しつつ針状結晶10を成長させることが可能である。従来、Auに代えてSnを用いる方法も存在するが、Snはn型ドーパントとして作用するため、導電型を選択することができなかった。本実施形態の製造方法によれば、n型ドーパントまたはp型ドーパントを選択的に添加することができるので、針状結晶10を所望の導電型にし、且つ導電率を任意に制御できる。
【0031】
また、本実施形態のように、堆積工程の際、GaInP化合物半導体の成長温度を500[℃]以上550[℃]以下とすることが好ましい。本発明者の研究により、窒化ガリウム基板20上にGaInP化合物半導体を有機金属気相成長法を用いて成長した場合、このGaInP化合物半導体の成長温度を500[℃]以上とすることにより絶縁膜26上における粒状物30の発生数が顕著に増加し、また、550[℃]以下とすることにより絶縁膜26上に発生した粒状物30が絶縁膜26に付着し易いことがわかった。すなわち、GaInP化合物半導体の成長温度を500[℃]以上550[℃]以下とすることにより、針状結晶10を効率よく製造することができる。
【0032】
本発明による針状結晶の製造方法および走査型プローブ顕微鏡のカンチレバーは、上記した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では針状結晶を構成する化合物半導体としてGaInP及びGaAsを例示したが、本発明において針状結晶を構成する化合物半導体としては他に様々なものを適用できる。また、絶縁膜形成工程において、絶縁膜の所定パターンとしてストライプ状のパターンを例示したが、本発明の製造方法は半導体基板上において絶縁膜に覆われた領域と露出領域とが存在していればよく、絶縁膜のパターンとしては他にも様々な形状を採用できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る針状結晶の製造方法により製造される針状結晶の外観を示す図である。図1(a)は針状結晶の側面図であり、図1(b)は針状結晶の上面図である。
【図2】図2(a)〜(c)は、絶縁膜形成工程を示す図である。
【図3】図3は、半導体堆積工程において用いられるMOCVD装置(反応炉)の概略構成図である。
【図4】図4(a)〜(c)は、半導体堆積工程を示す図である。
【図5】図5(a)〜(c)は、半導体堆積工程を示す図である。
【図6】図6は、半導体堆積工程においてガリウム砒素基板上に堆積した粒状物及び針状結晶を撮影した電子顕微鏡写真である。
【図7】図7は、粒状物及び針状結晶の拡大写真である。
【図8】図8は、図6に示された針状結晶に関し、エネルギー分散型蛍光X線分析(EDX)により成分分析を行った結果を示す図である。図8(a)はEDXスペクトルを示し、図8(b)は各構成元素毎の原子数濃度を示す。
【図9】図9は、針状結晶を探針として備える走査型プローブ顕微鏡のカンチレバーを示す図である。図9(a)はカンチレバーの平面図を示し、図9(b)はカンチレバーのI−I断面図を示し、図9(c)はカンチレバーのII−II断面図を示している。
【図10】図10は、比較のため従来の探針形状を示す図である。図10(a)は従来の探針の平面図であり、図10(b)は従来の探針の正面図であり、図10(c)は従来の探針の側面図である。
【図11】図11(a)〜(d)は、従来の探針における問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
【0034】
10…針状結晶、20…ガリウム砒素基板、22,26…絶縁膜、24…フォトレジスト、28…半導体層、30…粒状物、50…MOCVD装置、52…真空チャンバ、54…カーボンサセプタ、56…ヒータ、58…熱電対、100…カンチレバー、102…本体部、104…バネ、106…探針。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査型プローブ顕微鏡のカンチレバーに探針として取り付けられる針状結晶を製造する方法であって、
半導体基板上に所定パターンの絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、
前記絶縁膜が形成された前記半導体基板上に有機金属気相成長法により化合物半導体を堆積する半導体堆積工程と
を備え、
前記堆積工程の際に、前記絶縁膜が形成された領域を除く前記半導体基板上の領域に前記化合物半導体の層を成長させつつ、前記絶縁膜上に前記化合物半導体からなる粒状物を発生させ、該粒状物を種結晶として前記半導体基板の板面の法線方向に沿って前記化合物半導体を結晶成長させることにより、前記針状結晶を形成する
ことを特徴とする、針状結晶の製造方法。
【請求項2】
前記堆積工程の際に、n型ドーパントまたはp型ドーパントを添加しつつ前記粒状物を発生及び成長させることを特徴とする、請求項1に記載の針状結晶の製造方法。
【請求項3】
前記半導体基板はGaAs半導体からなり、また、前記化合物半導体はGaInP半導体からなり、さらに、前記堆積工程の際に、前記化合物半導体の成長温度を500[℃]以上550[℃]以下とすることを特徴とする、請求項1または2に記載の針状結晶の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の針状結晶の製造方法により製造された針状結晶を探針として備えることを特徴とする、走査型プローブ顕微鏡のカンチレバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−149472(P2009−149472A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329196(P2007−329196)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】