説明

鉄道車両用集電舟装置

【課題】各摺り板9の上面と架線の下縁との擦れ合い部に作用する力が通常状態よりも大きくなった事を検知できる集電舟装置を実現する。
【解決手段】パンタグラフ装置1の上端部に舟体16aを、鉄道車両の幅方向に配置された枢軸19を中心とする揺動変位を可能に支持する。センタリングばねにより、上記摺り板9の上面と上記鉄道車両の屋根面とが平行となる中立位置に向けて、上記舟体16aを付勢する。1対のリミットスイッチ18a、18bにより、この舟体16aが上記中立位置に対して所定角度以上変位した事を検知する事で、上記力が通常状態よりも大きくなった事を認識可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、架線から電力を取り入れる為、新幹線等、高速で運転する鉄道車両の屋根の上方にパンタグラフ装置を介して設けた、集電舟装置の改良に関する。具体的には、この集電舟装置と架線との擦れ合い部に衝撃等の大きな力が加わった場合にこの大きな力を検知し、適切な対策を施せる構造を実現するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両の屋根の上方にはパンタグラフ装置を介して集電舟を支持し、架線から電力を取り入れる様にしている。即ち、この集電舟の上面に支持した、燒結金属等の導電材製の摺り板を架線の下縁に向け弾性的に押し付け、この架線から車両に電気を取り入れる様にしている。この様なパンタグラフ装置として、特許文献1や非特許文献1に記載されたものが知られている。図8〜11は、これら特許文献1及び非特許文献1に記載されたパンタグラフ装置1を示している。
【0003】
このパンタグラフ装置1は、台枠2の上面に揺動支持軸3を、車両の幅方向に亙って、揺動変位可能に設けている。そして、この揺動支持軸3の中間部に、下枠4の基端部(下端部)を固定している。従ってこの下枠4は、この揺動支持軸3を中心として起伏する。又、この下枠4の先端部(上端部)に連結軸5を、この揺動支持軸3と平行に設けている。そして、この連結軸5により、上枠6の基端部(下端部)を上記下枠4の先端部に、揺動変位自在に結合している。更に、この上枠6の先端部(上端部)に、集電舟装置7を支持している。そして、上記揺動支持軸3と上記台枠2との間に設けたばね8により、上記下枠4と上枠6とを、図8に鎖線で示す畳んだ状態から同図に実線で示す状態にまで起立させる方向の弾力を付与している。
【0004】
鉄道車両の走行時に上記集電舟装置7は、屋根面と架線との距離の変化に対応して、上記下枠4と上記上枠6との交差角度を変化させつつ、上記屋根面に対し昇降する。この場合でも、上記集電舟装置7の姿勢を一定として、この集電舟装置7の上面に支持した摺り板9、9と上記架線の下縁との摺接状態が適正に維持される様にしている。この為に、上記下枠4の先端部と上記上枠6の基端部との連結部、並びにこの上枠6の先端部と上記集電舟装置7との連結部には、適宜のリンク機構を設けて、上記下枠4及び上枠6の起伏に拘らず、上記集電舟装置7の姿勢が変化しない様にしている。
【0005】
具体的には、図11に示す様に、上記上枠6の基端部に、釣り合い腕10の基端部を、この上枠6の基端部から下方に突出する状態で結合固定し、この釣り合い腕10をこの上枠6と共に、上記連結軸5を中心として揺動する様にしている。又、この釣り合い腕10の先端部に釣り合い軸11を、上記揺動支持軸3及び連結軸5と平行に設け、この釣り合い軸11に、釣り合い棒12の先端部(上端部)を、揺動変位自在に支持している。又、この釣り合い棒12の基端部(下端部)を前記台枠2の上面に、上記釣り合い軸11と平行に設けられた下部釣り合い軸13により、揺動変位自在に支持している。更に、上記集電舟装置7の下面に設けたリンク腕14の先端部と、上記下枠4の先端部に固定された部分とに、ロッド15の両端部を揺動変位自在に連結している。
【0006】
上述の様な構成により、上記下枠4及び上枠6の起伏に拘らず、上記集電舟装置7の姿勢が変化しない様にしている。尚、これら下枠4及び上枠6は、何れも中空管状としており、上記釣り合い棒12はこのうちの下枠4の内側に、上記ロッド15は上枠6の内側に、それぞれ配設している。但し、上記釣り合い棒12の中心軸は、上記揺動支持軸3と上記連結軸5とを結ぶ直線よりも下側に、この直線と平行に配置している。同様に、上記ロッド15の中心軸は、上記上枠6の中心軸の下側に、この上枠6の中心軸と平行に配置している。この構成により、鉄道車両の屋根面と架線の下縁との距離の変動に拘らず、この鉄道車両の屋根面と前記各摺り板9、9の上面とを平行にする(平地走行時にこれら各摺り板9、9の上面を水平にする)為の、平行四辺形のリンク機構を構成している。
【0007】
上述の様なパンタグラフ装置1の上端部に支持された上記集電舟装置7は、舟体16の上面に上記各摺り板9、9を支持固定して成る。この様な集電舟装置7に加わる力は、通常時には、これら各摺り板9、9の上面と前記架線の下縁との擦れ合い部で作用する摩擦力に基づく力と、高速走行に伴う空気抵抗に基づく力とを合わせた、限られたものである。この様な限られた力では、上記集電舟装置7や上記パンタグラフ装置1が破損する事はない。これに対して、寒冷時に架線に付着した雪が凍結した場合(着雪凍結時)や、架線の垂れ下がり等の損傷時には、上記集電舟装置7に大きな力が加わり、この集電舟装置7や上記パンタグラフ装置1が破損する可能性がある。
【0008】
ところが従来は、これら集電舟装置7やパンタグラフ装置1が破損する迄、上記架線の下縁部と上記各摺り板9、9との擦れ合い部に大きな力が加わっている事が分からなかった。この為、着雪凍結や架線の垂れ下がりの如き損傷等を早期に検知できず、上記集電舟装置7や上記パンタグラフ装置1の破損により、鉄道車両の走行が不能になる事故の発生を防止できない事があった。一方、上記着雪凍結や垂れ下がり等の損傷による、上記擦れ合い部で上記集電舟装置7に加わる力は、いきなりこの集電舟装置7や上記パンタグラフ装置1を破損する程大きくなる事は希であり、徐々に大きくなる場合が多い。この様な事情を考えた場合、上記集電舟装置7に加わる力が、この集電舟装置7や上記パンタグラフ装置1の破損に結び付く程ではないが、通常時よりも大きくなった状態で検知できれば、鉄道車両の乗員から保線作業員に連絡する等により、上記事故の発生を防止できる可能性がある。
【0009】
【特許文献1】特許第3297355号公報
【非特許文献1】「鉄道車両と技術」、レール アンド テック出版、平成13年11月20日、第7巻第5号、通巻第70号、第15〜19頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、各摺り板の上面と架線の下縁との擦れ合い部に作用する力が通常状態よりも大きくなった事を検知できる集電舟装置を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の鉄道車両用集電舟装置は、舟体と、摺り板と、センタリングばねと、スイッチとを備える。
このうちの舟体は、パンタグラフ装置の上端部に、鉄道車両の幅方向に配置された枢軸を中心とする揺動変位を可能に支持されている。
又、上記摺り板は、上記舟体の上面に支持固定されている。
又、上記センタリングばねは、上記摺り板の上面と上記鉄道車両の屋根面とが平行となる中立位置に向けて、上記舟体を付勢する。
更に、上記スイッチは、上記舟体が上記中立位置に対して所定角度以上変位した場合に開閉状態を切り換えられる。
【発明の効果】
【0012】
上述の様に構成する本発明の鉄道車両用集電舟装置によれば、各摺り板の上面と架線の下縁との擦れ合い部等から、集電舟装置に作用する力が、通常状態よりも大きくなった事を検知できる。
先ず、この力が、上記擦れ合い部に作用する摩擦力と空気抵抗との合計程度に留まる、通常時には、センタリングばねの弾力により、舟体の姿勢が、中立位置若しくはこの中立位置から僅かに傾斜しただけの状態となる。この状態では、スイッチの開閉状態が切り換えられず、従って、集電舟装置に過大な力が作用した事を知らせる警報等が発せられる事はない。
【0013】
これに対して、架線の着雪凍結、架線の垂れ下がり等の損傷により、上記力が過大になった場合には、上記舟体の姿勢が、上記センタリングばねの弾力に抗して、上記中立位置から大きくずれる。この結果、上記スイッチの開閉状態が切り換えられ、集電舟装置に過大な力が作用した事を知らせる警報等が発せられる。そこで、鉄道車両の運転者等の乗員が、この鉄道車両を停止若しくは徐行させると共に保線作業員に連絡する等の、適切な処置を採れば、パンタグラフ装置の破損や架線の切断等により、上記鉄道車両の走行が不能になる等の事故の発生を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した様に、パンタグラフ装置として、上枠とロッドとを備えたものを使用する。これら上枠とロッドとは、鉄道車両の屋根面と架線の下縁との距離の変動に拘らず、この鉄道車両の屋根面と摺り板の上面とを平行にする為の平行四辺形のリンク機構を構成する為のもので、それぞれの中心軸同士を上下方向にずらせた状態で、互いに実質的に平行に配置する。又、このうちの上側に配置された上枠の上端部に枢軸を、同じく下側に配置されたロッドの上端部にこの枢軸と平行な下側枢軸を、それぞれ設ける。更に、センタリングばねである圧縮コイルばねを、この下側枢軸によりその下端部を枢支された受ブラケットの上面と舟体の下面との間に、その中心軸を上記枢軸と上記下側枢軸とを結ぶ直線上に位置させた状態で設ける。
この様な構成を採用すれば、上記センタリングばねの設置部分を、小型且つ軽量に構成できる。新幹線等の高速鉄道車両用の集電舟装置の場合、高速走行時に於ける空気抵抗の低減を図る事、並びに架線の下縁と鉄道車両の屋根面との距離の変化に集電舟装置を迅速に追従させる事が重要である。この為、上記センタリングばねの設置部分を、小型且つ軽量に構成できる事は有利である。
【0015】
又、上述の請求項2に記載した様な発明を実施する場合に好ましくは、請求項3に記載した様に、受ブラケット及び舟体の前後両端部でセンタリングばねを前後両側から挟む2個所位置に、それぞれ枢支ロッドを、車両の幅方向に配設する。これら両枢支ロッドは、上記受ブラケットと上記舟体とのうちの一方の部材に支持する。そして、これら両枢支ロッドと、これら受ブラケットと舟体とのうちの他方の部材に形成された上下方向に長い長孔とを係合させる。そして、上記受ブラケットに対する上記舟体の上昇量を規制すると共に、この舟体に枢軸を中心とする方向のモーメントが加わった場合にこの舟体を、一方の枢支ロッドを中心として、他方の枢支ロッドが長孔の内側で変位できる範囲内で揺動可能とする。
この様な構成を採用すれば、上記鉄道車両の進行方向に関係なく、上記舟体を中立位置に対して所定量、確実に揺動変位させられる構造を、小型且つ軽量に構成できる。
【0016】
又、上述の請求項3に記載した様な発明を実施する場合に好ましくは、請求項4に記載した様に、舟体が中立位置に対して所定角度以上変位した場合に開閉状態を切り換えられるスイッチを、それぞれが接触子の変位に基づいて開閉状態を切り換えられる1対のリミットスイッチとする。そして、一方のリミットスイッチの接触子を、上記舟体の一部でセンタリングばねの中心よりも前側部分に、他方のリミットスイッチの接触子を、上記舟体の一部でセンタリングばねの中心よりも後側部分に、この舟体の中立状態で、それぞれ当接若しくは近接対向させる。
この様な構成を採用すれば、上記鉄道車両の進行方向に関係なく、上記舟体が中立位置から揺動した事を確実に検知できる、簡単な構造を実現できる。
【0017】
又、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項5に記載した様に、圧縮空気源と、給気管と、圧力スイッチと、上昇検知弁と、過大力検知弁とを備える。
このうちの圧縮空気源としては、ブレーキ用、ドア開閉用、パンタグラフ装置の起倒用の圧縮空気を貯溜するエアタンクを利用する。
又、上記給気管は、その上流端を上記圧縮空気源に接続する。
又、上記圧力スイッチは、上記給気管を通じて送り込まれる圧縮空気の圧力に基づいて開閉状態を切り換えられる。
又、上記上昇検知弁は、上記給気管の途中にこの給気管と直列に接続され、パンタグラフ装置の起立に伴って、上記圧縮空気源から上記圧力スイッチに向け圧縮空気を送る方向に切り換えられる。
更に、上記過大力検知弁は、上記給気管の途中に上記上昇検知弁と直列に接続され、スイッチの開閉状態の切換に基づいて、上記圧力スイッチ側に存在する圧縮空気を排出する方向に切り換えられる。
【0018】
この様な構成を採用した場合、上記パンタグラフ装置が起立している通常時には、上記上昇検知弁及び上記過大力検知弁が、何れも上記圧縮空気源から上記圧力スイッチに圧縮空気を送り込む状態に切り換わる。この結果、この圧力スイッチの接点の切換に基づき、例えば運転席に設けたインジケータランプ等により、上記パンタグラフ装置が起立している(集電舟装置が上昇している)事を表す表示を行なう。これに対して、この集電舟装置に過大な力が作用すると、上記過大力検知弁が、上記圧力スイッチ側に存在する圧縮空気を排出する方向に切り換わる。この結果、上記インジケータランプ等が、パンタグラフ装置の起倒スイッチが起立方向に切り換えられているにも拘らず、このパンタグラフ装置が起立している(集電舟装置が上昇している)事を表す表示を行なわなくなる。この為、運転者等の乗員が、上記集電舟装置に過大な力が加わった事を認知できる。尚、上記起倒スイッチが起立方向に切り換えられているにも拘らず、上記インジケータランプ等が上記表示を行なわなくなった場合に、警告ブザー等により警報を発する様にすれば、上記認知を確実に行なえる。
【実施例】
【0019】
図1〜7は、本発明の実施例を示している。先ず、図1〜2により、本実施例の基本的な構成及び作用に就いて説明する。本実施例の鉄道車両用の集電舟装置7aは、舟体16aと、摺り板9と、センタリングばね17と、1対のリミットスイッチ18a、18bとを備える。
【0020】
このうちの舟体16aは、例えば前述の図8〜11に示す様なパンタグラフ装置1の上端部に、鉄道車両の幅方向(図1〜2の表裏方向)に配置された枢軸19を中心とする揺動変位を可能に支持している。即ち、従来の鉄道車両用集電舟装置の場合、舟体16(図8、10、11参照)をパンタグラフ装置1の上端部に、このパンタグラフ装置1の起倒に連動した揺動のみ可能として(このパンタグラフ装置1の起倒に拘らず、舟体16の上面と鉄道車両の屋根面とが平行になる様にして)支持している。これに対して本実施例の構造では、上記舟体16aを上記パンタグラフ装置1の上端部に、このパンタグラフ装置1の起倒に連動した揺動を可能に支持するだけでなく、このパンタグラフ装置1が起倒しない状態でも、上記枢軸19を中心とする揺動を可能に支持している。
又、上記摺り板9は、従来から広く知られている集電舟装置の場合と同様に、上記舟体16aの上面に、ねじ等により、架線の下縁との摺接に基づいて上面が磨り減った場合に交換可能な状態で、支持固定している。
【0021】
又、上記センタリングばね17(図2参照)は、上記摺り板9の上面と上記鉄道車両の屋根面とが平行になる中立位置に向けて、上記舟体16aを付勢する。従って、この舟体16aは、外力が加わらない場合や、加わってもこの外力が通常状態で(上記摺り板9の上面と架線の下縁との摺動抵抗と高速走行に基づく空気抵抗との和に基づいて)加わる程度の大きさの場合には、図1〜2に実線で示す中立位置、若しくはこの中立位置の近傍位置に存在する。これに対して、上記架線の着雪凍結やこの架線の垂れ下がり等により、上記舟体16aに通常時よりも大きな力が加わると、この舟体16aが上記センタリングばね17の弾力に抗して、図1〜2の鎖線で示す様に、上記枢軸19を中心として揺動する。前記両リミットスイッチ18a、18bは、上述の様な、枢軸19を中心とする舟体16aの揺動変位を検知する為に設けている。
【0022】
本実施例の場合には、上記舟体16aに通常状態を越える大きな力が加わり、この舟体16aの揺動に伴って上記両リミットスイッチ18a、18bのうちの何れかのリミットスイッチ18a(18b)が閉じられた場合に、圧縮空気源20から圧力スイッチ21への圧縮空気の供給を停止する様にしている。この圧縮空気源20としては、ブレーキ用、ドア開閉用、パンタグラフ装置の起倒用の圧縮空気を貯溜するエアタンクを利用する。そして、上記圧縮空気源20の吐出ポートにその上流端を接続した給気管22の下流端を、上記圧力スイッチ21のパイロット部(圧力室)に接続している。そして、この圧力スイッチ21のON/OFFの切換に基づいて、上記舟体16aに(通常状態では加わらない程に)大きな力が加わった事を表す警報を発する様にしている。
【0023】
この為に本実施例の場合には、上記圧縮空気源20と上記圧力スイッチ21とを結ぶ給気管22の途中に、上昇検知弁23と過大力検知弁24とを、互いに直列に接続している。そして、これら両弁23、24が、何れも図1の左側に示した給気位置に切り換わった場合に、上記圧力スイッチ21のパイロット部に圧縮空気を送り込み、この圧力スイッチ21をON(或いはOFF)する様にしている。これに対して、上記両弁23、24のうちの少なくとも一方の弁が、図1の右側に示した排気位置に切り換わった場合に、上記圧力スイッチ21のパイロット部の圧縮空気を排出し、この圧力スイッチ21をOFF(或いはON)する様にしている。
【0024】
上記両弁23、24のうちの上昇検知弁23は、機械式に作動するもので、前記パンタグラフ装置1の起立に伴って、上記圧縮空気源20から上記圧力スイッチ21に向け圧縮空気を送る方向に切り換えられる。即ち、上記上昇検知弁23を構成するスプールは、ばねにより図1の右方に向け弾性的に押圧されているが、上記パンタグラフ装置1の下降時には、このパンタグラフ装置1の一部により、上記ばねの弾力に抗して図1の左方に押される。そして、上記圧力スイッチ21のパイロット部を大気に開放する。これに対して、上記パンタグラフ装置1の起立時には、上記スプールが上記ばねの弾力により図1の状態に変位し、上記圧力スイッチ21のパイロット部に圧縮空気を送り込む。
【0025】
一方、上記過大力検知弁24は、電気式に作動するもので、上記舟体16aの揺動時に、上記両リミットスイッチ18a、18bの開閉状態の切換に基づいて、上記圧力スイッチ21のパイロット部の圧縮空気を排出する方向に切り換えられる。この為に本実施例の場合には、上記両リミットスイッチ18a、18bのうちの何れか一方のリミットスイッチ18a(18b)が閉じられた場合に、リレー25によりリレー接点26を閉じる様にしている。このリレー接点26が閉じられた場合には、上記過大力検知弁24のソレノイド27に通電され、OFFスイッチ38が手動により開かれない限り、この過大力検知弁24が、図1の右側に示した排気位置に切り換わったままの状態となる。
【0026】
上述の様な構成を採用した本実施例の構造によれば、前記摺り板9の上面と架線の下縁との擦れ合い部等から、上記舟体16aを含む集電舟装置7aに作用する力が通常状態よりも大きくなった事を検知できる。又、前記大きな力が加わった否かの信号を、途中で空気圧により伝達する様にしている為、高電圧が加わる上記舟体16a部分と、運転席等に設けるインジケータ等の表示部分との間に、連続した導線を配設する必要がない。この為、万一、上記大きな力が加わった否かを判定する為の回路の一部に、ショート等の故障が発生した場合にも、上記高電圧が上記表示部分を設けた運転席等に流れる事はない。
【0027】
以下、上記力を検知する際の作用に関して説明する。先ず、鉄道車両の非走行時、上記パンタグラフ装置1が下降している(折り畳まれている)状態では、前記上昇検知弁23が図1の右側の状態に切り換わり、上記圧力スイッチ21の圧力室を大気に開放する。この状態では、この圧力スイッチ21がOFF(或いはON)されて、例えば運転席に設けたインジケータランプ等が、上記パンタグラフ装置1が起立している(上記舟体16aを含む集電舟装置7aが上昇している)事を表す事はない。勿論、この状態では、この舟体16aに大きな力が加わる事はないので、上記過大力検知弁24は、図1に示した位置のままである。
【0028】
次に、上記パンタグラフ装置1を起立させると、上記上昇検知弁23が図1の状態に切り換わり、上記圧力スイッチ21の圧力室内に圧縮空気を送り込む。この状態では、この圧力スイッチ21がON(或いはOFF)されて、上記インジケータランプ等が、上記パンタグラフ装置1が起立している事を表す表示を行なう。この状態で、上記舟体16aに加わる力が上記擦れ合い部に作用する摩擦力と空気抵抗との合計程度に留まる、通常時には、前記センタリングばね17の弾力により、上記舟体16aの姿勢が、図1〜2に実線で示した中立位置若しくはこの中立位置から僅かに傾斜しただけの状態となる。この状態では、上記両リミットスイッチ18a、18bが何れも開いた(OFF)のままの状態となる。
【0029】
具体的には、前記パンタグラフ装置1を起立させた状態での鉄道車両の通常走行時、即ち、上記舟体16aに、上記摩擦力と空気抵抗との和を上回る様な強い力が加わっていない場合には、この舟体16aが図1〜2の実線で示した中立位置若しくはその近傍位置に存在する。そして、上記上昇検知弁23及び上記過大力検知弁24が、何れも、図1に示した状態に切り換わったままの状態となり、上記圧縮空気源20から上記圧力スイッチ21の圧力室内に圧縮空気が送り込まれる。この結果、この圧力スイッチ21の接点の切換に基づき、上記インジケータランプ等により、上記パンタグラフ装置1が起立している事を表す表示を行なう。勿論、この状態では、警告灯点灯、ブザー発音等による警報を発する事はない。
【0030】
これに対して、上記集電舟装置7aを構成する舟体16aに過大な力が作用すると、この舟体16aが、図1〜2に鎖線で示す様に、中立位置から大きく揺動する。この揺動に伴って、この舟体16a又はこの舟体16aと共に揺動変位する部分が、上記両リミットスイッチ18a、18bのうちの一方のリミットスイッチ18a(18b)の接触子を押し、この一方のリミットスイッチ18a(18b)の接点が、一時的にしろ、閉じられる。そして、前記リレー25に通電される事に伴って、このリレー25がリレー接点26を閉じてそのままの状態(閉じた状態)に保持する。この為、上記過大力検知弁24のソレノイド27に通電され、この過大力検知弁24が、図1の右側に示した排気位置に切り換わる。この結果、上記圧力スイッチ21の圧力室内の圧縮空気が排出されて、この圧力スイッチ21がOFF(ON)される。そして、上記インジケータランプ等が、前記パンタグラフ装置1の起倒スイッチが起立方向に切り換えられているにも拘らず、このパンタグラフ装置1が起立している(上記舟体16aを含む集電舟装置7aが上昇している)事を表す表示を行なわなくなる。
【0031】
この為、運転者等の乗員が、上記舟体16aを含む集電舟装置7aに、過大な力が加わった事を認知できる。そこで、鉄道車両の運転者等の乗員が、この鉄道車両を停止若しくは徐行させると共に保線作業員に連絡する等の、適切な処置を採れば、この鉄道車両の走行が不能になる等の事故の発生を防止できる。尚、上記起倒スイッチが起立方向に切り換えられているにも拘らず、上記インジケータランプ等が上記表示を行なわなくなった場合に、警告ブザー等により警報を発する様にすれば、上記認知を確実に行なえる。この場合に、鉄道車両の走行速度を勘案して、上記過大な力が加わったか否かを判定する様にすれば、より精度の良い判定を行なえる。即ち、この過大な力が加わったか否かを判定する為の判定器に、上記起倒スイッチの切り換え方向を表す信号と、上記圧力スイッチ21のON/OFFを表す信号と、上記走行速度を表す信号を入力する。そして、上記判定器は、上記起倒スイッチが起立状態に切り換えられ、上記走行速度が0でなく(走行状態にあり)、上記圧力スイッチ21の圧力室内の圧縮空気が排出されて、この圧力スイッチ21がOFF(ON)された場合に、上記過大な力が加わったと判定する。
【0032】
次に、集電舟装置7aの揺動支持部及びリミットスイッチ設置部の具体的構造に就いて、図3〜7により説明する。パンタグラフ装置1は、前述の図11に示した従来のパンタグラフ装置と同様に、管状の上枠6と、この上枠6の内側に挿通されたロッド15とを備える。これら上枠6の中心軸O6 とロッド15の中心軸O15とは、図4に示す様に、互いにずれた状態で、実質的に{舟体16aの上面と鉄道車両の屋根面との平行度が、摺り板9(図1〜3参照)の上面と架線の下縁との擦れ合いを円滑に行なえる程度になる様に}平行に配設されている。具体的には、上記ロッド15の中心軸O15の位置を、上記上枠6の中心軸O6 の位置よりも下側に配設している。そして、鉄道車両の屋根面と架線の下縁との距離の変動に拘らず、この鉄道車両の屋根面と、上記摺り板9の上面とを平行にする為の平行四辺形のリンク機構を構成している。この為に、上記上枠6と上記ロッド15とを互いに等長に形成すると共に、これら上枠6及びロッド15の下端部を、それぞれ上記パンタグラフ装置1を構成する釣り合い腕10(図11参照)の上下2個所位置に、揺動変位自在に支持している。尚、上記上枠6及び上記ロッド15の下端部の揺動支持部の構造等に就いては、前述した特許文献1、非特許文献1等に記載され、更に従来から新幹線等で実施されている構造と同様であるから、詳しい図示並びに説明は省略する。
【0033】
図示の実施例の場合には、図3〜6に示す様に、上記上枠6の上端部に枢軸19を、上記ロッド15の上端部にこの枢軸19と平行な下側枢軸28を、それぞれ鉄道車両の幅方向(図1〜5の表裏方向、図6の左右方向、図7の上下方向)に設けている。そして、集電舟装置7aを構成する舟体16aを上記枢軸19に、受ブラケット29を上記下側枢軸28に、それぞれ若干の揺動を可能に支持している。更に、センタリングばねである圧縮コイルばね30を、図3〜5に示す様に、上記受ブラケット29の上面と上記舟体16aの下面との間に、弾性的に圧縮した状態(予圧を付与した状態)で設けている。上記圧縮コイルばね30の中心軸は、上記枢軸19と上記下側枢軸28とを結ぶ直線上に位置(完全にこの直線上に位置させなくても、ほぼ位置させれば良い。)させた状態で設けている。最も好ましくは、上記圧縮コイルばね30の中心軸を、上記枢軸19の中心軸と上記下側枢軸28の中心軸とを含む、仮想平面上に位置させる。
【0034】
上記受ブラケット29及び上記舟体16aの前後両端部で、上記圧縮コイルばね30を前後両側から挟む2個所位置に、図3〜5、7に示す様に、それぞれ円杆状の枢支ロッド31、31を、車両の幅方向に配設している。これら両枢支ロッド31、31は、図7に示す様に、上記受ブラケット29の前後両端部に形成した取付孔32、32に、それぞれの両端部をこの受ブラケット29の左右両側面から突出する状態で挿通し、この受ブラケット29に対しねじ止め固定している。
【0035】
一方、上記舟体16aの下端左右両端部には、図4〜7(特に図6〜7)に示す様に、1対の垂下壁部33、33を形成している。これら両垂下壁部33、33の内側面同士の間隔は、上記受ブラケット29の幅寸法よりも大きく、上記両枢支ロッド31、31の長さ寸法よりも小さい。又、上記両垂下壁部33、33の前後両端部には、それぞれ上下方向に長い長孔34、34を形成している。これら各長孔34、34の幅寸法は、上記両枢支ロッド31、31の両端部の外径よりも僅かに大きく、長さ寸法は、この幅寸法よりも少し大きい。これら両枢支ロッド31、31の両端部は、上記各長孔34、34に、これら各長孔34、34の長さ方向の変位を可能な状態に係合させている。
【0036】
上記舟体16aと上記受ブラケット29とは、上記圧縮コイルばね30の弾力により、互いに離れる方向の弾力が付与されている。従って、上記舟体16aに外力が作用しない状態では、図3〜6に示す様に、上記両枢支ロッド31、31の両端部が、上記各長孔34、34の下端部に位置する状態となる。この状態で、上記舟体16aの上面に支持固定した前記摺り板9の上面が、鉄道車両の屋根面と平行になる様に、構成各部の寸法、形状を規制している。尚、前記パンタグラフ装置1の起立時には、上記舟体16aの上面に支持固定された摺り板9が架線の下縁に押し付けられる力の反作用として、この舟体16aに下向きの力が加わる。上記圧縮コイルばね30に付与している予圧は、この下向きの力よりも十分に大きくしている。従って、通常の走行状態では、上記両枢支ロッド31、31の両端部は、上記各長孔34、34の下端部に位置したままの状態となる。この状態で、前記枢軸19と前記下側枢軸28との間隔が、上記摺り板9の上面と上記鉄道車両の屋根面とを平行に保持する為の適正値になる。
【0037】
これに対して、上記舟体16aにモーメント方向の力が加わった場合には、この舟体16aは、一方の枢支ロッド31を中心として揺動する傾向になる。例えば、上記舟体16aに図5で時計方向のモーメントが加わると、この舟体16aが、同図の左側の枢支ロッド31を中心として揺動する傾向になる。反対に、図5で反時計方向のモーメントが加わると、上記舟体16aが、同図の右側の枢支ロッド31を中心として揺動する傾向になる。何れの場合も、モーメントが、上記摺り板9の上面と架線の下縁との擦れ合い部で作用する摩擦力に基づく力と高速走行に伴う空気抵抗に基づく限られたものである場合には、上記舟体16aは、上記圧縮コイルばね30の弾力に基づいて中立位置のままに保持され、変位する事はない。
【0038】
これに対して、上記架線の着雪凍結やこの架線の垂れ下がり等により、上記舟体16aを含む集電舟装置7aに通常時よりも大きな力が加わった場合には、この舟体16aが上記一方の枢支ロッド31を中心として揺動する。この状態での揺動変位量は、上記他方の枢支ロッド31が上記長孔34の内側で変位できる範囲内に規制される。上記舟体16aに上記大きな力が加わった事を検知する為の1対のリミットスイッチ18a、18bは、上記両垂下壁部33、33の下方に、それぞれ設けている。そして、一方のリミットスイッチ18aの接触子35を、一方の垂下壁部33の中間部下縁で上記圧縮コイルばね30の中心よりも前側部分に、他方のリミットスイッチ18bの接触子35を、他方の垂下壁部33の中間部下縁で上記圧縮コイルばね30の中心よりも後側部分に、上記舟体16aの中立状態で、それぞれ当接若しくは近接対向させている。
【0039】
従って、上記舟体16aが上記大きな力によって上記一方の枢支ロッド31を中心として揺動した場合には、上記両リミットスイッチ18a、18bのうちの一方のリミットスイッチ18a(18b)の接点が閉じられ、前述の図1により説明した通り、集電舟装置7aに大きな力が作用した旨の警報を発する。尚、図4〜5中に記載した3本のケーブル36、37a、37bのうち、太いケーブル36は架線から取り入れた電力を送る為の送電ケーブル、細い2本のケーブル37a、37bは、上記リミットスイッチ18a、18bの開閉状態を表す信号を取り出す為のものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施例を示す回路図。
【図2】センタリングばねによる集電舟の付勢状態を説明する為の略縦断面図。
【図3】具体的構造を、一部を省略した状態で示す縦断側面図。
【図4】具体的構造を示す縦断側面図。
【図5】図4の一部拡大図。
【図6】図5のA−A断面図。
【図7】同B−B断面図。
【図8】従来のパンタグラフ装置の1例を示す側面図。
【図9】同じく平面図。
【図10】図8の右方から見た図。
【図11】要部を取り出して示す側面図。
【符号の説明】
【0041】
1 パンタグラフ装置
2 台枠
3 揺動支持軸
4 下枠
5 連結軸
6 上枠
7、7a 集電舟装置
8 ばね
9 摺り板
10 釣り合い腕
11 釣り合い軸
12 釣り合い棒
13 下部釣り合い軸
14 リンク腕
15 ロッド
16、16a 舟体
17 センタリングばね
18a、18b リミットスイッチ
19 枢軸
20 圧縮空気源
21 圧力スイッチ
22 給気管
23 上昇検知弁
24 過大力検知弁
25 リレー
26 リレー接点
27 ソレノイド
28 下側枢軸
29 受ブラケット
30 圧縮コイルばね
31 枢支ロッド
32 取付孔
33 垂下壁部
34 長孔
35 接触子
36 ケーブル
37a、37b ケーブル
38 OFFスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンタグラフ装置の上端部に、鉄道車両の幅方向に配置された枢軸を中心とする揺動変位を可能に支持された舟体と、この舟体の上面に支持固定された摺り板と、この摺り板の上面と上記鉄道車両の屋根面とが平行となる中立位置に向けて、上記舟体を付勢するセンタリングばねと、上記舟体が上記中立位置に対して所定角度以上変位した場合に開閉状態を切り換えられるスイッチとを備えた鉄道車両用集電舟装置。
【請求項2】
パンタグラフ装置が、鉄道車両の屋根面と架線の下縁との距離の変動に拘らず、この鉄道車両の屋根面と摺り板の上面とを平行にする為の平行四辺形のリンク機構を構成する為、それぞれの中心軸同士を上下方向にずらせた状態で互いに実質的に平行に配置された、上枠とロッドとを備えており、このうちの上側に配置された上枠の上端部に枢軸が、このロッドの上端部にこの枢軸と平行な下側枢軸が、それぞれ設けられており、センタリングばねは、この下側枢軸によりその下端部を枢支された受ブラケットの上面と舟体の下面との間に、その中心軸を上記枢軸と上記下側枢軸とを結ぶ直線上に位置させた状態で設けられた圧縮コイルばねである、請求項1に記載した鉄道車両用集電舟装置。
【請求項3】
受ブラケット及び舟体の前後両端部でセンタリングばねを前後両側から挟む2個所位置で、これら受ブラケットと舟体とのうちの一方の部材に車両の幅方向に配設された枢支ロッドと、同じく他方の部材に形成された上下方向に長い長孔とを係合させる事により、上記受ブラケットに対する上記舟体の上昇量を規制すると共に、この舟体に枢軸を中心とする方向のモーメントが加わった場合にこの舟体を、一方の枢支ロッドを中心として、他方の枢支ロッドが長孔の内側で変位できる範囲内で揺動可能とした、請求項2に記載した鉄道車両用集電舟装置。
【請求項4】
舟体が中立位置に対して所定角度以上変位した場合に開閉状態を切り換えられるスイッチが、それぞれが接触子の変位に基づいて開閉状態を切り換えられる1対のリミットスイッチであり、一方のリミットスイッチの接触子が、上記舟体の一部でセンタリングばねの中心よりも前側部分に、他方のリミットスイッチの接触子が、上記舟体の一部でセンタリングばねの中心よりも後側部分に、この舟体の中立状態で、それぞれ当接若しくは近接対向している、請求項3に記載した鉄道車両用集電舟装置。
【請求項5】
圧縮空気源と、この圧縮空気源に上流端を接続された給気管と、この給気管を通じて送り込まれる圧縮空気の圧力に基づいて開閉状態を切り換えられる圧力スイッチと、上記給気管の途中にこの給気管と直列に接続され、パンタグラフ装置の起立に伴って上記圧縮空気源から上記圧力スイッチに向け圧縮空気を送る方向に切り換えられる上昇検知弁と、上記給気管の途中にこの上昇検知弁と直列に接続され、スイッチの開閉状態の切換に基づいて上記圧力スイッチ側に存在する圧縮空気を排出する方向に切り換えられる過大力検知弁とを備えた、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載した鉄道車両用集電舟装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−124804(P2007−124804A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−313721(P2005−313721)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【出願人】(390014775)株式会社工進精工所 (4)
【Fターム(参考)】