説明

鉛蓄電池

【課題】鉛蓄電池の充電末期に発生する水素ガスと酸素ガスが、鉛蓄電池に帯電した静電気による放電火花に引火して発生する鉛蓄電池の破損を抑制すること。
【解決手段】本発明の鉛蓄電池は、蓋に設けた液口に液口栓を装着した鉛蓄電池であって、少なくとも前記液口近傍に導電層を配置し、前記導電層と、前記鉛蓄電池の端子とを、前記端子に装着された導電性を有したプッシュナットにより接続したことを特徴とする。なお、プッシュナットに導電層に圧接する舌状端子部を用いてもよい。また、同じく、導電層に圧接する舌状端子部を設けた環状接続部材を端子に装着した上で、この環状接続部材をプッシュナットにより、端子に強固に固定した構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛蓄電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉛蓄電池、中でも始動用鉛蓄電池は、内燃機関を動力源とする車両に搭載され、内燃機関の始動用セルモータの電源として使用されている。このような始動用の鉛蓄電池は、内燃機関が動作している間に、内燃機関の回転出力を利用した発電機によりに充電される。
【0003】
一方、始動用の鉛蓄電池は、前記したような始動用セルモータに電力に供給するほか、ヘッドライト等の灯火類、オーディオ類、パワーウィンド、ワイパー等、各種の電気的負荷に電力を供給する。また、昨今の車両は、エンジン、ブレーキ、エアコン、パワーステアリング等がECUによって制御される。なお、エンジン停止・車両停止時にもかかわらず、ECUには十数mA〜数十mA程度の暗電流が常時流れている。
【0004】
したがって、灯火類の消し忘れ等により放電が進行したり、車両を長期間使用しなかった場合には、暗電流によって鉛蓄電池の放電が進行することによって、鉛蓄電池の残存容量が低下し、内燃機関が始動不能となることがあった。
【0005】
上記のような要因で、鉛蓄電池が容量不足に陥った場合、鉛蓄電池を車両から取り外して、充電器を用いて直接充電することが有効である。
【0006】
一方、鉛蓄電池は充電中、特に、充電末期に電解液中の水の電気分解が起き、これによって発生した水素ガスと酸素ガスが、鉛蓄電池の内部で滞留する。これらの滞留ガスは排気孔を通して大気に放出される。特に、水素ガスは、比較的短時間で鉛蓄電池内から放出されるものの、充電中や、その直後において排気孔周辺に発火源が存在すると、電池内部の水素ガスが急激に燃焼し、場合によっては電池蓋や電槽を破損させることがあった。
【0007】
発火源としては、煙草の火や、端子間接触による電気スパーク、さらには静電気による電気スパークが想定される。その中でも、静電気によるものは、電池を乾布で拭いた場合や人が静電気を帯電した状態で電池に触れようとした際にも発生するものであり、静電気の帯電の有無の予見は困難である。
【0008】
また、静電気による電気スパークは電池表面で発生するのみならず、電池表面に帯電した静電気が、液口栓と液口の嵌合部の隙間や、排気口内壁を伝って、電池内部に侵入し、放電することによって、電池内部でスパークが滞留ガスに引火する。
【0009】
このような、静電気を原因とする電池の破損という課題を解決するために、蓋の表面部分に電気的に導通する部材を設け、それを鉛蓄電池端子に接続することによって、静電気を端子にアースし、電池表面の帯電を抑制する方法が提案されている。
【0010】
例えば特許文献1には、蓄電池蓋表面に導通部材を配置し、この導通部材と端子間に導電性ラッカーを塗布することによって、両者間を電気的に接続する方法が提案されている。また、特許文献2には蓄電池の液口に対応した孔を設けた非絶縁層と、この非絶縁層を覆う絶縁層とからなる層状体を、孔と液口とを対応させるよう、蓄電池蓋表面に貼り付け、非絶縁層を負極端子に接続した構成が示されている。
【特許文献1】特開平11−233078号公報
【特許文献2】特開平4−101353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献1で示された導電性ラッカーは主に銀や銅などの金属微粒子を樹脂で結着させた物であり、高価な上、長時間使用すると導電性ラッカーと鉛蓄電池端子、あるいは、導電層との間に間隙が生じ接触不良を起こす場合があった。また、特許文献2の構成においては、非絶縁層と絶縁層の一部に穴部を設け、この穴部に蓄電池端子を嵌め、非絶縁層と蓄電池端子とを接触させる構成を有しているが、蓄電池の使用に伴い導電層支持体に加わる応力による穴部の変形等の要因で、非絶縁層と蓄電池端子との接触が不安定となる場合があった。
【0012】
蓄電池蓋表面に設けた導電層と、蓄電池の端子との接触が不安定となる結果、蓄電池蓋の帯電が解消されず、蓄電池蓋に帯電した静電気によって、スパークが発生し、蓄電池の蓋や電槽が破損するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、本発明に係る発明は、蓋に設けた液口に液口栓を装着した鉛蓄電池であって、少なくとも前記液口近傍に導電層を配置し、前記導電層と、前記鉛蓄電池の端子とを、前記端子に装着された導電性を有したプッシュナットにより接続したことを特徴とする鉛蓄電池を示すものである。
【0014】
前記した本発明の構成例として、請求項2に示したように、前記導電層は、前記端子と接触する位置、もしくは前記端子と近接した位置に配置した導電層導入部を有し、前記導電層導入部の先端を前記プッシュナットで前記端子に固定接続した構成を採用することができる。
【0015】
また、前記した本発明の他の構成例として、請求項3に示したように、前記導電層は、前記端子に嵌合する環状接続部を有し、前記環状接続部を前記プッシュナットで前記端子に固定接続した構成を採用することができる。
【0016】
前記の各構成によれば、鉛蓄電池端子に勘合するプッシュナットで鉛蓄電池の端子周囲に設けた導電層と端子を接続する。プッシュナットのばね性で加圧状態の接触が維持されるので長期間安定した導電状態を導電層と鉛蓄電池端子間で維持することができ、蓄電池蓋への静電気の帯電と、この静電気によって生じる電気スパークと、これによる蓋や電槽の破損が抑制できる。また、プッシュナットは一般に広く使用されている物を使用すれば、本発明の構成を極めて安価に製造することが出来る。
【0017】
また、本発明の他の構成例として、前記プッシュナットの外周から突出する舌状端子部を設け、この舌状端子部の先端部を、前記導電層に接触させた構成とすることができる。
【0018】
さらに、本発明の他の構成例として、鉛蓄電池の端子に嵌合する環状接続体を有し、前記環状接続体はプッシュナットにより前記端子に固定され、前記環状接続体の外周から突出する第2の舌状端子部を有し、前記第2の舌状端子部が、液口の近傍に配置された導電層と接触した構成とすることができる。この場合、端子と、導電層とは、環状接続体を介して接続されることとなる。
【0019】
なお、前記した各プッシュナットおよび環状接続体は、いずれもばね性を有した材質で構成されることにより、端子と導電層との接続を長期間にわたって安定なものとする。なお、舌状端子部および第2の舌状端子部の先端は、導電層と密着するよう、導電層を加圧するよう、プッシュナットもしくは環状接続体が端子に装着される。
【0020】
また、プッシュナットおよび環状接続体の防食を目的として、プッシュナットの端子および導電層、さらには環状接続体との接触部を除く部位、環状接続体のプッシュナットおよび導電層との接触部を除く部位は、絶縁層で被覆することが好ましい。
【0021】
なお、本発明の構成は、前記鉛蓄電池を構成するセル毎に液口と、液口に、前記排気孔を有した液口栓が装着された鉛蓄電池に適用する場合、導電層を液口の周囲に形成することが好ましい。
【0022】
一方、前記したような、各セル排気方式の鉛蓄電池とは異なり、セルの複数から排出されるガスを集合して一括して排気する排気経路とその開口部(一括排気口)を備えた鉛蓄電池の場合にも本発明の構成を適用できる。このような液口栓に排気孔を有さない場合においても、液口栓と液口との間隙を経由して、静電気が蓋から電池内部に移行して、内部で火花を発生させることがあるからである。より好ましくは、これらの構成に加えて、導電層を、前記開口部周囲、もしくは近傍にわたって配置することにより、開口部から輩出される水素ガスが静電気によるスパークに引火し、電槽や蓋を破損させるという現象を顕著に抑制できる。
【発明の効果】
【0023】
前記した本発明の構成によれば、鉛蓄電池の蓋に設けた導電層と電池端子を電気的に接続するに当たり、簡便かつ安価な構成で、これら負極端子と導電層との間の接触状態を安定に保持できることから、蓋への静電気の帯電が抑制されるので、従来発生していた、静電気火花による鉛蓄電池の破損を抑制できるという顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を、図面により説明する。
【0025】
図1(a)および図1(b)は、本発明の第1の実施の形態における鉛蓄電池1の天面を示す図、および、図2はこの鉛蓄電池1の要部断面を示す図である。なお、本発明の実施形態においては、すべて自動車に使用する公称電圧12Vの始動用鉛蓄電池について例示する。したがって、例示する鉛蓄電池は、6個のセルが内部で直列接続された構成を有する。
【0026】
図2に示したように、鉛蓄電池1は、電槽11の上部に蓋2を接合して一体化される。蓋2には各セルに対応する液口3を有し、液口3には液口栓4が装着されている。液口栓4には、充電時等に鉛蓄電池1内に滞留した酸素ガスおよび水素ガスを大気に放出するための排気孔4aが設けられている。蓋2には、負極端子5と正極端子6が設けられている。
【0027】
本発明では、蓋2に設けた液口3の周囲に導電層7を形成する。図1(a)は、導電層7を蓋2上に帯状に配置した例を示したが、導電層7の使用量を削減するために、図2(b)に示したように、導電層7を、液口3の周囲に環状に設け、環状に設けた導電層7間を同じく導電層7で接続した構成としてもよい。
【0028】
導電層7は、外部の静電気が液口3および/もしくは排気孔4aから電池内部に侵入することを抑制するよう配置されるため、この効果が奏される範囲内において、導電層7を液口3の全周に設けず、導電層7が液口3の周囲の一部に配置されたものであってもよい。
【0029】
導電層7としては、錫箔、ステンレス箔等の金属箔、金属粉、カーボンや導電性酸化物を担持した導電性シート材、あるいは、同じく、金属粉、導電性酸化物粉、カーボン粉等を分散させた導電性塗料を使用できる。
【0030】
導電層7として、前記したような、金属箔、導電性シート材を蓋2上に配置する場合、これらの導電層7を粘着剤(図示せず)で蓋2上に張り合わせればよい。粘着剤としては、一例として、アクリル樹脂の水性エマルジョン粘着剤を使用できるが、硫酸にさらされる場合が有るので耐硫酸性の物が望ましい。
【0031】
本発明では、導電層7を負極端子5もしくは正極端子6に電気的に接続する。この接続に当たり導電層7には、導電層導入部8を設け、この導電層導入部8の先端部8aを、端子、例えば、図1(a)および図1(b)に示した例では負極端子5の近傍もしくは接触するよう配置する。
【0032】
本発明では、図2に示したように、この導電層導入部8の先端部8aを負極端子5の近傍もしくは接触した位置に配置し、プッシュナット9を負極端子5に挿入固定することによって、先端部8aを負極端子5近傍もしくは接触した位置に固定するとともに、先端部8aと負極端子5間がプッシュナット9によって電気的に接続することによって、導電層7が負極端子5に電気的に接続される。
【0033】
本発明に用いたプッシュナット9の平面図及び断面図を、図3(a)および図3(b)に示す。本発明に用いたプッシュナット9は、環状部9a内周に爪部9bを有している。爪部9bは、一般的には、環状部9aに対して角度(図3(b)に示す角度θ)を有して、負極端子5もしくは正極端子6先端方向に傾斜している。爪部9bの先端によって形成される貫通孔内径(図3(a)に示すr寸法)は、装着する電池端子、例えば負極端子5の外径より小である。
【0034】
プッシュナット9は、角度θを有した爪部9bが負極端子5もしくは正極端子6の先端方向側となるよう、負極端子5もしくは正極端子6に圧入固定される。この圧入の進行にしたがい、爪部9bは負極端子5もしくは正極端子6の先端方向に押し広げられる。
【0035】
プッシュナット9が負極端子5もしくは正極端子6の基部方向に装着され、少なくともプッシュナット9の環状部9aと負極端子5もしくは正極端子6の基部で、導電層7から導出された、導電層を有する導電層導入部8の先端部8aを挟持した状態となる。本発明では、環状部9aが爪部9bによって、先端部8aを負極端子5もしくは正極端子6の基部に圧接すること、また、爪部9bが負極端子5もしくは正極端子6の側部に食い込むことによって固定されるため、プッシュナット9が負極端子5もしくは正極端子6から脱落することがない。したがって、導電層7と負極端子5(もしくは正極端子6)との電気的接続を長期間にわたって安定して維持することができる。
【0036】
なお、特に負極端子5もしくは正極端子6が鉛もしくは、鉛−アンチモン合金もしくは鉛−錫合金等の鉛合金で構成されている場合、爪部9bは容易に負極端子5もしくは正極端子6に、容易に食い込み、両者が固定されるため、負極端子5もしくは正極端子6と、導電層導入部8の先端部8aとの電気的接続がより安定した状態で極めて長期間維持される。
【0037】
また、プッシュナット9は、各種寸法のものが市場に安価に出回っており、本発明の構成を簡便かつ安価に得ることができる。
【0038】
プッシュナット9の材質としては、鉄材あるいは銅材、もしくはこれらに錫もしくは半田めっきを施したもの、あるいはステンレス材を用いることができる。
【0039】
本発明の第1の実施形態において、導電層導入部8とこれに連なる先端部8aを図1(a)に示したような、長方形状としたが、図4に示したように、導電層導入部8の先端に環形状をした環状接続部8bを形成し、この環状接続部8bを負極端子5もしくは正極端子6に装着し、環状接続部8bを、前記したプッシュナットによって負極端子5もしくは正極端子6の基部に固定する構造としてもよい。
【0040】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図5および図6は、本発明の第2の実施形態による鉛蓄電池30を示す図である。本発明の鉛蓄電池30は、前記した第1の実施形態による鉛蓄電池1と同様、電槽11の上部に蓋2が接合され一体化されるとともに、蓋2には各セルに対応する液口3を有し、液口3には液口栓4が装着された構成、さらには、液口栓4には、充電時等に鉛蓄電池1内に滞留した酸素ガスおよび水素ガスを大気に放出するための排気孔4aが設けられており、蓋2には、負極端子5と正極端子6が設けられている構成に変わるところはない。
【0041】
本発明の鉛蓄電池30では、本発明の鉛蓄電池1と同様、蓋2に設けた液口3の周囲に導電層7を形成する。図5は、導電層7を蓋2上に帯状に配置した例を示したが、導電層7の使用量を削減するために、図1(b)に示したように、導電層7を、液口3の周囲に環状に設け、環状に設けた導電層7間を同じく導電層7で接続した構成としてもよいことは言うまでもない。
【0042】
本発明の第2の実施形態による鉛蓄電池30は、図3(a)および図3(b)に示したプッシュナット9に替えて、図7(a)および図7(b)に示した第2のプッシュナット31を用いたものである。
【0043】
第2のプッシュナット31は、プッシュナット9と同様、負極端子5もしくは正極端子6を挿通する環状部31aと、負極端子5もしくは正極端子6の先端方向に、好ましくは角度θを有して傾斜した爪部31bを有している。
【0044】
第2のプッシュナット31は、プッシュナット9にはない、環状部31a外周から突出した舌状端子部31cの存在によって特徴付けられる。
【0045】
図6に示したように、本発明の第2の実施形態による鉛蓄電池30では、導電層導入部8に替えて、第2のプッシュナット31に設けられた舌状端子部31cの先端部が、直接、蓋2の表面に形成した導電層7に接触する構成を有する。図7(a)および図7(b)に示した第2のプッシュナット31は、舌状端子部31cは2段に折り曲げられ、先端の平面部31dを導電層7に接触するように負極端子5もしくは正極端子6に圧入固定される。
【0046】
本発明の鉛蓄電池30においては、舌状端子部31cの2段に折り曲げ部分はばね性を有し、舌状端子部31cにストロークの長いばね性を持たせることができる。その先端の平面部31dが導電層7に押し付けられ、これら両者が圧接状態となることによって、負極端子5もしくは正極端子6と導電層7との電気的接続状態の経時変化が少なくなり、長期間安定して維持される。これにより、蓋2への静電気の帯電と、これによって引き起こされる電池破損を長期間にわたって顕著に抑制することができる。なお、舌状端子部31cの形状は、これに限定されるものではなく、その先端部が導電層7に圧接可能な形状であればよい。例えば、上方を弦とする円弧上としてもよい。
【0047】
第2の実施形態によれば、導電層7から導電層導入部8を必ずしも設ける必要がなくなる。特に第1の実施形態の如く、導電層導入部8の先端部8aや環状接続部8bを負極端子5もしくは正極端子6の近傍に配置する、あるいは、装着するという工程が不要となるため、生産性向上の面で好ましい。
【0048】
また、一部の鉛蓄電池では、図2および図6に示したように、負極端子5および正極端子6の端子基部を、蓋2より突出して高くすることが行なわれている。その結果、蓋2から端子基部にかけて段差2aが形成されることになる。これは蓋表面に漏出した電解液が端子に付着することによる端子の変色(黒色化や白色化)を抑制する目的等によるものである。
【0049】
第1の実施形態による鉛蓄電池1では、導電層導入部8をこの段差2aに沿って貼り合わせる工程が必要となるが、第2の実施形態による鉛蓄電池30では、段差2aがあったとしても、段差2a下に形成された導電層7に、直接、舌状端子部31c先端に形成した平面部31dを接触できるため、前記したような、段差2aに沿った導電層導入部8の張り合わせ工程は不要となり、生産性の面でより好ましい。
【0050】
なお、第2の実施形態では、図7(b)に示すように、2段の折り曲げ部分を設けた舌状端子部31cの例を示したが、舌状端子部31cの先端が導電層7を押圧するよう構成すればよいので、必ずしも2段の折り曲げ部分を設ける必要はない。
【0051】
例えば、図7(b)に示した舌状端子部31cを前記したような円弧状のものとしてもよい。このような形状によっても、舌状端子部31cの先端が、導電層7に押圧されるため、負極端子5もしくは正極端子6と、導電層7との電気的接続が、長期間にわたって安定して行なわれるため、蓋2上での静電気の帯電を抑制することができる。また、舌状端子部31cの形状は、上記に限定されず、これらの先端が導電層7を押圧する形状を有していればよく、さらにばね性を有した材料からなることが好ましい。
【0052】
次に、本発明の第3の実施形態による鉛蓄電池40を図8および図9に示す。第3の形態の鉛蓄電池40は、第2の実施形態による鉛蓄電池30の第2のプッシュナット31に替えて、第1の実施形態で用いたプッシュナット9を用い、プッシュナット9と負極端子5もしくは正極端子6の基部との間に第2の舌状端子部41aを有した環状接続体41を介挿した構成である。
【0053】
環状接続体41は、第2の舌状端子部41aと負極端子5もしくは正極端子6のいずれか一方に装着される装着部41bとからなり、これらは一体に設けられて導電性を有する。第2の舌状端子部41aは、舌状端子部31c同様、その先端で導電層7を押圧する構成を有しておればよく、図10(a)および図10(b)に示した形状に限定されないことは、前記した第2の実施形態と同様である。
【0054】
環状接続体41は、図10(a)に示したが如く、リング形状のものを採用できるが、負極端子5もしくは正極端子6から脱落しない構成であればよいので、リング形状に限定されず、例えば、リングの一部が欠損した形状であってもよい。
【0055】
本発明の第3の実施形態によれば、第2の実施形態と同様、導電層7と、負極端子5もしくは正極端子6との電気的接続が、安定して長期間維持されるため、蓋2における静電気の帯電と、これによる電気スパークの発生が抑制され、結果として、電気スパークによって発生していた、電槽11や蓋2の破損が抑制され、安全性に優れた鉛蓄電池を提供できる。さらに、本発明において、負極端子5および正極端子6が鉛合金で構成されているので、プッシュナット9もしくは第2のプッシュナット31の爪部9bもしくは爪部31bが柔軟な鉛合金に食い込むため、振動や温度変化といった環境変化によっても、負極端子5もしくは正極端子6と導電層7との電気的接続を長期間安定して維持することが可能となる。
【0056】
本発明のさらに好ましい形態として、プッシュナット9、第2のプッシュナット31(舌状端子部31cを含む)もしくは環状接続体41の、負極端子5もしくは正極端子6との接触部および導電層7との接触部を除く部位を絶縁層(図示せず)で被覆することが好ましい。
【0057】
特に、舌状端子部31cもしくは第2の舌状端子部41aを有した構成では、これら、舌状端子部31cおよび第2の舌状端子部41aは、負極端子5もしくは正極端子6から離れ、かつ蓋2から突出しているため、電池を車両に搭載する際、他の配線部材と接触して短絡を起こす可能性が、わずかであるがないとは言えない。したがって、このような短絡の可能性を排除し、より安全な鉛蓄電池を得るために、前記した部位を絶縁層で被覆することが好ましい。
【0058】
また、車両に搭載した電池では、負極端子5や正極端子6の冠水や、鉛蓄電池内部から滲み出た電解液によって、プッシュナット9、第2のプッシュナット31(舌状端子部31cを含む)もしくは環状接続体41が腐食する場合があるため、前記した絶縁層は、耐水性および耐酸性を有することが好ましい。絶縁層の形成方法としては、一例として、ワニス等の絶縁塗料を塗布すればよい。
【0059】
また、本発明において、プッシュナット9と導電層導入部8との接触部、舌状端子部31cおよび第2の舌状端子部41aと導電層7との接触部や、プッシュナット9および第2のプッシュナット31と、負極端子5もしくは正極端子6との接触部といった導電体が外部に露出した部位での耐環境性を向上するために、この部位にグリースを塗布することもできる。
【0060】
なお、前記した本発明の、第1〜第3の実施形態において、鉛蓄電池1,30,40は、液口栓4に排気孔4aを配置した例を示している。本発明によれば、蓋2への静電気の帯電を防止することによって、従来発生していた、蓋に帯電した静電気が、液口栓4と蓋2との装着部の間隙や、排気孔4aを経由して電池内部に移行し、電池内部でスパークを発生させたり、排気孔4aから排出された水素ガスに蓋2の表面で発生したスパークに引火するという課題を解決できる。
【0061】
次に、本発明の第4の実施形態による鉛蓄電池50の構造を説明する。図11に示したように、本発明の鉛蓄電池50は、本発明の鉛蓄電池1,30,40において有していた、液口栓4に排気孔4aを形成する構造にかえて、液口栓51の側部に液口栓51を貫通する貫通孔52を形成するとともに、蓋53内部に、この貫通孔52間を連通し、かつその少なくとも一端が、蓋53の電池外に開口する排気経路54を設けた構成を有する。
【0062】
本発明の鉛蓄電池50では、導電層7を液口55の周縁部に配置すればよい。導電層7と負極端子(図示せず)もしくは正極端子(図示せず)との電気的接続は、前記した本発明の第1〜第3の実施の形態で示した各構成のいずれかを適用すればよい。
【0063】
鉛蓄電池50では、複数セルからの排出ガス(水素ガスおよび酸素ガス)が、一括して排気経路54を経由するとともに、好ましくは、埃といった異物の電池内部への侵入を防止したり、電池外部で発生した電気スパーク等の発火源を電池内部に引き込まないためのフィルター56を経由して、鉛蓄電池50より大気中に放出される。したがって、液口栓51からは水素ガスの排出はないものの、液口栓51と液口55との間隙を通した静電気の電池内部への移行と、電池内部でのスパークの発生の可能性を排除でき、より安全な鉛蓄電池を得ることができる。
【0064】
さらに好ましくは、本発明の鉛蓄電池50において、導電層7に、蓋53における排気経路54の開口部54aの周縁を囲う、導電層延出部8cを配置する。なお、導電層延出部8cは、必ずしも開口部54aを完全に囲う必要はなく、静電気を電池内部に引き込まない程度に、開口部54aの周囲の一部に配置してもよい。
【0065】
このような構成によれば、一括排気の鉛蓄電池において、蓋53に帯電した静電気が、排気のための開口部54aを経由して電池内部に移行することによる、電池内部でのスパーク発生や、開口部54a周辺での静電気スパーク発生を防止できるという、本発明の第1〜第3の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0066】
本発明は、12V系の始動用鉛蓄電池にのみ適用可能ではなく、単セル電池を含む、様々は公称電圧を有する鉛蓄電池に適用可能である。
【0067】
なお、第1〜第4の実施形態において、導電層7を正極端子6に接続してもよいが、車両搭載時の安全性を考慮して、負極端子5に接続することが好ましい。電池を車両に固定する際、電池の蓋上面をステーで固定する構造が一般的であるが、このような場合、ステーが、マイナスに設置されている場合の安全性を考慮して、導電層7を負極端子5に接続することが好ましい。
【実施例】
【0068】
以下の実施例により本発明の効果を説明する。本実施例では、本発明例および比較例の鉛蓄電池(以下、供試電池)を作成し、充電を行いながら、供試電池に静電気を印加したときの、供試電池の破損の有無を確認した。
【0069】
供試電池の型式は、本発明例、比較例の各供試電池ともに、JIS D 5301(始動用鉛蓄電池)に規定されている55B24Lを用いた。
【0070】
(供試電池A1)
供試電池A1は、本発明の第1の実施の形態の構成を有する鉛蓄電池1であり、導電層導入部8の先端部8aが、プッシュナット9によって負極端子5に固定された構成を有する。プッシュナット9はステンレス製のものを用いた。導電層7は図1(a)に示すパターンで蓋2の上に形成されている。導電層7は、厚み0.25mmの錫箔を水性エマルジョン系の粘着剤で蓋2に貼りあわされている。
【0071】
(供試電池A2)
供試電池A2は、本発明の第2の実施の形態の構成を有する鉛蓄電池30である。導電層7は供試電池A1と同様、図1(a)に示すパターンで蓋2に貼りあわされている。導電層7の材質、蓋2に貼りあわせる粘着剤は供試電池A1と同様である。また、第2のプッシュナット31の材質は、供試電池A1におけるプッシュナット9と同様、ステンレス製のものを用いた。
【0072】
(供試電池A3)
供試電池A3は、本発明の第3の実施の形態の構成を有する鉛蓄電池40である。導電層7は供試電池A1と同様、図1(a)に示すパターンで蓋2に貼りあわされている。導電層7の材質、蓋2に貼りあわせる粘着剤は供試電池A1と同様である。また、プッシュナット9および環状接続体41の材質は、供試電池A1におけるプッシュナット9と同様、ステンレス製のものを用いた。
【0073】
(供試電池A4)
供試電池A4は、本発明の第4の実施の形態の構成を有する鉛蓄電池50である。導電層7と、蓋53との貼りあわせパターンは、供試電池A1〜A3と同様であるが、導電層7に開口部54aの周縁を囲う、導電層延出部8cが設けられている。なお、供試電池A4では、負極端子5と、導電層7との電気的接続は、第2の実施形態の鉛蓄電池30(供試電池A2)と同様の構成とした。
【0074】
(供試電池A5)
供試電池A5は、供試電池A4に設けられた導電層延出部8cを設けない構成としたものである。
【0075】
(供試電池B1)
供試電池B1は、供試電池A1において、蓋2に導電層7を貼りあわせない構成を有する電池である。また、負極端子5、正極端子6ともにプッシュナット9も装着されていない。
【0076】
(供試電池B2)
供試電池B2は、供試電池A4において、蓋53の上に導電層7を貼りあわせず、かつ、負極端子5に第2のプッシュナットを装着しない電池である。
【0077】
(供試電池B3)
供試電池B3は、図12に示した鉛蓄電池60である。鉛蓄電池60は、供試電池A1の導電層7に替えて、蓋2の上の、液口3の周囲を囲うように、厚み0.25mm、幅5.0mmのテープ状の錫箔の格子状に配置することによって、格子状導電層61を蓋2上に形成したものである。なお、格子状導電層61も、供試電池A1〜A5に用いたのと同様の、水性エマルジョン系の粘着剤で蓋2に貼りあわせた。
【0078】
なお、格子状導電層61と負極端子5との電気接続は、導電性ラッカー62を、格子状導電層61と負極端子5間に塗布することにより行なった。なお、導電性ラッカー62はアクリル系基剤に銅微粉末を混練した物である。
【0079】
(供試電池B4)
供試電池B4は、図13に示した鉛蓄電池70である。鉛蓄電池70は、供試電池A1(本発明による鉛蓄電池1)において、導電層導入部8とプッシュナット9を取り除いた構成を有しており、導電層7と負極端子5間を、供試電池B3で用いたものと同様の、導電性ラッカー62を塗布することによって、これら両者間を電気的に接続したものである。
【0080】
(供試電池B5)
供試電池B5は、図14(b)に示した鉛蓄電池71であり、供試電池B1の蓋2の上に、図14(a)導電に示した層72を形成した導電層支持体73を装着したものである。なお、導電層支持体73は厚み0.5mmのPP樹脂シートからなり、導電層支持体73と導電層72とは、供試電池A1〜A5に用いたのと同様の、水性エマルジョン系の粘着剤で貼りあわされており、さらに導電層支持体73と蓋2とが、前記と同様の粘着剤で、貼りあわされている。
【0081】
また、導電層支持体73および導電層72には、負極端子5と嵌合する貫通孔73a、および液口3が電池天面に露出するよう、液口3に対応して形成した貫通孔72aを有する。なお、導電層72は、負極端子5と嵌合し、貫通孔73aの全周と、液口3に対応した貫通孔72aの全周に設けられ、それぞれが電気的に導通している。なお、導電層72は、導電層7と同様、厚み0.25mmの錫箔で構成されている。
【0082】
以上の各供試電池A1〜A5およびB1〜B5について、それらの各5個を、以下に示す電圧印加試験を行った。すなわち、各供試電池を乗用車に搭載し、実際に実車走行を行った。実車走行期間は10ヶ月、走行距離を10000kmとした。
【0083】
実車走行後の各供試電池を、車両より取り外し、各供試電池に静電気を印加して供試電池の破損の発生状況を調査した。なお、各供試電池を7.2A(5時間率電流に相当)で10時間充電した後、更に充電を継続しながら静電気を印加した。充電電流および充電時間から、各供試電池は過充電状態となり、排気孔4aもしくは開口部54aから水素ガスおよび酸素ガスが排出された状態となっている。
【0084】
このような状態において、図15に示すように、供試電池80の蓋81と電槽82との溶着部82aから5.0mm離間させた位置に放電電極83を配置し、負極端子5と、放電電極83との間に高電圧電源84を配置した。このような状態とした上で、負極端子5に対して放電電極83に+30kVの電圧を印加する。なお、放電電極83の位置は溶着部82aより5.0mm離れた線上を、溶着部82a全周にわたって、5mm間隔で移動させ、各点で1回、電圧を印加した。なお、途中で蓋81や電槽82に破損が生じた時点で、試験を終了した。
【0085】
本供試電池(55B24型)の場合、溶着部82aの周囲長は740mmであったため、全く、電槽82と蓋81に破損が生じなかった場合、供試電池1個で最大147回、電圧を印加することとなった。なお、供試電池80、蓋81、電槽82および溶着部82aとの名称および符号は、本試験の実施状態を説明する上で便宜的に付したものであって、本来、各供試電池A1〜A5およびB1〜B5の電槽および蓋に付された符号に読み替えるべきであることは言うまでもない。
【0086】
上記の条件で行なった電圧印加試験後の、各供試電池A1〜A5およびB1〜B5の電槽および蓋の破損の発生状況を表1に示す。
【0087】
【表1】

【0088】
本発明による供試電池A1〜A5は5個とも破損するものはなかった。すなわち、147回の電圧印加を行なった場合にも、電槽および蓋のいずれの破損も発生しなかったことになる。また、これらの供試電池A1〜A5では、導電層7と負極端子5との間の電気的接続が保たれていた。すなわち、印加電圧によって生じた静電気は、導電層7を介して負極端子5に接地されたため、電池内部に静電気を引き込むことなく、電槽や蓋の破損が抑制されたと考えられる。
【0089】
ただし、プッシュナット9、第2のプッシュナット31、および環状接続体41表面の一部に、変色する程度の軽微な腐食が生じていた。このような軽微な腐食は本発明の効果を得る上で、障害となるものではないが、バッテリーを通常の補償期間である1〜3年を越えて、さらに長期間使用することを想定すれば、プッシュナット9、第2のプッシュナット31および環状接続体41の、負極端子5および導電層7と接触する部分を除く部分を絶縁、耐候性(耐熱、耐水、耐酸)の層を形成することが好ましい。
【0090】
供試電池B1およびB2では、5個のすべてで、電槽11および蓋2の破損が発生した。なお、電池の破損は、1回目の電圧印加時に発生した。
【0091】
供試電池B3およびB4では、5個中2個に、電槽11および蓋2の破損が発生した。なお、破損した2個はそれぞれ3回目の電圧印加時に破損した。破損した供試電池B3およびB4の電池において、導電性ラッカー62が蓋2から剥離した状態となっており、負極端子5と、格子状導電層61もしくは導電層7との間の電気的接続が、損なわれていた。その結果、電圧印加時に蓋2に静電気が帯電し、これにより水素ガスに引火し、電槽11および蓋2の破損が発生していた。
【0092】
このような導電性ラッカー62は、供試電池B3およびB4が車両に搭載され、使用される間に、受ける振動や、温度履歴(本実施例に用いた車両においては、季節変動による気温変化およびエンジン動作時の最高温度から、−1℃〜78℃の温度変化を受けていた。)、特に天候に左右される湿度等の環境変化によって、導電性ラッカー62と蓋2との密着性が損なわれ、剥離に至ったと考えられる。
【0093】
供試電池B5では5個中3個引火による破損が発生した。破損した3個の供試電池B5は、それぞれ5回目、7回目および11回目の電圧印加時に破損が発生した。これら破損した3個の供試電池B5は、導電層支持体73に設けた、負極端子5を挿通するための、貫通孔73aが振動のため変形することによって、変形し、負極端子5と貫通孔73a周囲に配置された導電層72との接触が不安定になっていることが確認できた。
【0094】
以上に示したように、本発明によれば、蓋上に設けた導電層と負極端子あるいは正極端子との電気的接続の信頼性を飛躍的に向上させることができる。したがって、鉛蓄電池の静電気の帯電と、これによって引き起こされる電池破損を抑制できるという、顕著な効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の鉛蓄電池は、静電気の帯電によって引き起こされる電池破損を抑制できるという顕著な効果を奏し、かかる効果は、様々な用途の鉛蓄電池に要求されるものであることから、本発明の実施の形態に示した、車両に用いる始動用鉛蓄電池をはじめとして、様々な用途の鉛蓄電池に適用することができ、工業上、極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】(a)本発明の第1の実施形態による鉛蓄電池の天面を示す図(b)本発明の第1の実施形態による鉛蓄電池の他の天面を示す図
【図2】本発明の鉛蓄電池の要部断面を示す図
【図3】(a)プッシュナットを示す図(b)プッシュナットを示す断面図
【図4】他の先端部の形状を示す図
【図5】本発明の第2の実施形態による鉛蓄電池の天面を示す図
【図6】本発明の第2の実施形態による鉛蓄電池の要部断面を示す図
【図7】(a)第2のプッシュナットを示す図(b)第2のプッシュナットを示す断面図
【図8】本発明の第3の実施形態による鉛蓄電池の天面を示す図
【図9】本発明の第3の実施形態による鉛蓄電池の要部断面を示す図
【図10】(a)環状接続体を示す図(b)環状接続体を示す断面図
【図11】本発明の第4の実施形態による鉛蓄電池の要部断面を示す図
【図12】比較例の鉛蓄電池の天面を示す図
【図13】他の比較例の鉛蓄電池の天面を示す図
【図14】(a)導電層支持体を示す図(b)他の比較例の鉛蓄電池の天面を示す図
【図15】静電気印加試験の状態を示す図
【符号の説明】
【0097】
1 (第1の実施形態による)鉛蓄電池
2 蓋
2a 段差
3 液口
4 液口栓
4a 排気孔
5 負極端子
6 正極端子
7 導電層
8 導電層導入部
8a 先端部
8b 環状接続部
8c 導電層延出部
9 プッシュナット
9a 環状部
9b 爪部
11 電槽
30 (第2の実施形態による)鉛蓄電池
31 第2のプッシュナット
31a 環状部
31b 爪部
31c 舌状端子部
31d 平面部
40 (第3の実施形態による)鉛蓄電池
41 環状接続体
41a 第2の舌状端子部
41b 装着部
50 (第4の実施形態による)鉛蓄電池
51 液口栓
52 貫通孔
53 蓋
54 排気経路
54a 開口部
55 液口
56 フィルター
60 (比較例の)鉛蓄電池
61 格子状導電層
62 導電性ラッカー
70 (比較例の)鉛蓄電池
71 (比較例の)鉛蓄電池
72 導電層
72a 貫通孔
73 導電層支持体
73a 貫通孔
80 供試電池
81 蓋
82 電槽
82a 溶着部
83 放電電極
84 高電圧電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋に設けた液口に液口栓を装着した鉛蓄電池であって、少なくとも前記液口近傍に導電層を配置し、前記導電層と、前記鉛蓄電池の端子とを、前記端子に装着された導電性を有したプッシュナットにより接続したことを特徴とする鉛蓄電池。
【請求項2】
前記導電層は、前記端子と接触する位置、もしくは前記端子と近接した位置に配置された導電層導入部を有し、前記導電層導入部の先端を前記プッシュナットで前記端子に固定接続した請求項1に記載の鉛蓄電池。
【請求項3】
前記導電層導入部は、前記端子に嵌合する環状接続部を有し、前記環状接続部を前記プッシュナットで前記端子に固定接続した請求項2に記載の鉛蓄電池。
【請求項4】
前記プッシュナットの外周から突出する舌状端子部を有し、前記舌状端子部が、前記導電層に接触したことを特徴とする請求項1に記載の鉛蓄電池。
【請求項5】
蓋に設けた液口に液口栓を装着した鉛蓄電池であって、少なくとも前記液口近傍に導電層を配置し、前記導電層と、前記鉛蓄電池の端子とを、前記端子に装着された導電性を有した環状接続体を有し、前記環状接続体はプッシュナットにより前記端子に固定され、前記環状接続体の外周から突出する第2の舌状端子部を有し、前記第2の舌状端子部が前記導電層と接触したことを特徴とする鉛蓄電池。
【請求項6】
前記鉛蓄電池は、前記鉛蓄電池を構成するセル毎に液口と、前記液口に、前記排気口を有した液口栓が装着され、前記導電層を前記液口の周囲に形成した請求項1〜5に記載の鉛蓄電池。
【請求項7】
前記鉛蓄電池は、前記鉛蓄電池を構成するセルの複数から排出されるガスを集合して一括して排気する排気経路と、その開口部を備えた請求項1〜5に記載の鉛蓄電池。
【請求項8】
前記開口部の周囲もしくは近傍に前記導電層を配置した請求項7に記載の鉛蓄電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−21089(P2010−21089A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182235(P2008−182235)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】