説明

錠剤計数充填装置

【課題】錠剤の欠けを防止しつつ正確に計数充填することができる錠剤計数充填装置を提供する。
【解決手段】有底筒状の容器からなりその底板外周部の一部に錠剤排出口が設けられるとともに傾斜状態でケース31が配置され、上記ケース内に回転自在に回転盤32が収容され、この回転盤32は外周縁部に錠剤等を収容するための収容部32cが切欠きによって多数形成されている。上記回転盤の上方にホッパ11が配置されており、上記ホッパから供給される錠剤を、上記回転盤の傾斜低位置側に供給シュート22を介して供給する際に、上記供給シュートはバイブレータ23によって振動される。上記収容部に収容されて回転し上記錠剤排出口から落下する錠剤は計数部30によって計数され、計数された錠剤を容器に充填する充填部50が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤、錠剤状健康食品、錠剤状菓子あるいはカプセルを計数し容器等に充填する錠剤計数充填装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、錠剤を計数しながら容器に充填する計数充填機として、回転式フィーダによって錠剤を供給するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の計数充填機80は図8に示すように、フィーダ回転装置81に、水平軸まわりに回転するドラム状のフィーダ82が設けられており、このフィーダ82の外周面には規則的に整列した状態で錠剤排出口82aがスリット状に設けられ、フィーダ82の回転中心部分には錠剤供給口82bが形成されている。
【0004】
上記フィーダ82の斜め上方には錠剤を投入するホッパ83が配置され、このホッパ83の下部から上記錠剤供給口82bに向けてシュート84が延設され、そのシュート84にはバイブレータ85が設けられている。
【0005】
錠剤排出口82aから排出された錠剤は、計数器86、シュート87を介しコンベア88上の容器89に充填されるようになっている。
【0006】
また、図9の拡大図に示すように、上記フィーダ82内部にはフィーダ82の外周に沿って浅溝82cが紙面奥行き方向に複数列形成されており、錠剤90を整列させるようになっている。
【0007】
浅溝82cに嵌まり込んで整列した錠剤90は、錠剤進入口91に到達するまではフィーダカバー82dによって抑えられながら矢印H方向に移動し、錠剤排出口82aと錠剤進入口91が対向する位置に到達したときに錠剤90が計数機92に排出されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−151451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記計数充填機では、フィーダ82内で錠剤同士が接触しながら移動するとともに、錠剤排出口82aにある錠剤はフィーダカバー82dと接触しながら移動するため、錠剤の縁部が欠けやすいという問題がある。特に、ラムネ菓子のようにもろくて欠けやすい錠剤状菓子については形状を維持することが困難になる。
【0010】
また、今日、市場には多種、多様の錠剤、錠剤状健康食品、錠剤状菓子およびカプセルが流通しているが、上記した従来の計数充填機では、特定形状の錠剤しか計数することができず、汎用性に欠けるという問題がある。例えば長楕円状のカプセルについては、上記計数充填機ではそれらを整列させる手段を備えていないため、フィーダ82を交換しても計数は行えない。
【0011】
本発明は以上のような従来の計数充填機における課題を考慮してなされたものであり、第一の目的は、錠剤の欠けを防止しつつ正確に計数充填することができる錠剤計数充填装置を提供することにあり、第二の目的は、多種多様の錠剤やカプセルを計数充填することができる汎用性を備えた錠剤計数充填装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、有底筒状の容器からなりその底板外周部の一部に錠剤排出口が設けられ、傾斜した状態で固定配置されるケースと、
上記ケース内にその筒軸まわりに回転自在に収容される円盤状部材からなり、その外周縁部に錠剤等を収容するための収容部が切欠きによって多数形成されている回転盤と、
上記回転盤の上方に配置されるホッパと、
上記ホッパから供給される錠剤を、上記回転盤の傾斜低位置側であって上記錠剤排出口の上流側に供給する供給シュートと、
上記供給シュートを振動させるバイブレータと、
上記収容部に収容されて回転し上記錠剤排出口から落下する錠剤を計数する計数部と、
計数された錠剤を容器に充填する充填部とを備えてなる錠剤計数充填装置である。
【0013】
本発明において、上記回転盤の中心軸の傾斜角度は30〜40°の範囲であることが好ましい。
【0014】
本発明において、上記収容部の切欠き形状が異なる回転盤を交換部品として複数有することができる。
【0015】
本発明において、上記錠剤排出口の下部に、落下した錠剤を受けて上記充填部に案内するための通路部が設けることが好ましい。
【0016】
本発明において、上記通路部の出口に上記計数部としての計数センサを備えることができる。
【0017】
本発明において、上記通路部に、錠剤の落下衝撃を吸収する手段を設けることが好ましい。
【0018】
本発明において、上記回転盤の回転方向において上記供給シュート下流側であって上記錠剤排出口上流側の上記回転盤上に、その回転盤の上面に沿って錠剤払い部を設けることが好ましい。
【0019】
本発明において、上記ケースの底板に吸引口を穿設し、その吸引口を減圧装置と接続することができる。
【0020】
本発明における錠剤等とは、錠剤以外に錠剤状健康食品、錠剤状菓子およびカプセルが含まれる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、錠剤の欠けを防止しつつ正確に計数充填することができる。
【0022】
また、多種多様の錠剤やカプセルを計数充填することができる汎用性を備えた錠剤計数充填装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a)は本発明に係る錠剤計数充填装置の全体構成を示す正面図、(b)はその右側面図である。
【図2】(a)は計数盤とその周辺部の構成を示した縦断面図であり、(b)は図2(a)の駆動部の構成を示す一部断面を有する説明図である。
【図3】(a)は回転盤の構成を示す正面図、(b)はその左側面図である。
【図4】図3(b)のB−B矢視拡大断面図である。
【図5】(a)は錠剤落下シュート部の要部平面図、(b)は図5(a)の右側面図、(c)は図5(a)の正面図である。
【図6】(a)〜(d)は回転盤の錠剤収容部の変形例を示した説明図である。
【図7】(a)は透明カプセル検知用の計数センサの構成を示す平面図、(b)はその正面図である。
【図8】従来の計数充填機の構成を示す全体図である。
【図9】図8のフィーダ部分の構成を示す要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に示した実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0025】
図1において、錠剤計数充填装置は、(a) 錠剤供給部と、(b) 錠剤計数部と、(c) 錠剤充填部と、(d) 吸引部と、(e) 計数充填制御部とから主として構成されている。
【0026】
(a) 錠剤供給部の構成
錠剤供給部10は、多数の錠剤を投入することができる四角錐状のホッパ11を有し、そのホッパ11の下部にスリット状の出口11aが開口されている。
【0027】
詳しくは、ホッパ11の前面11bは垂直に立ち下がり、後面11cは垂直軸に対し略35°に傾斜し、左側および右側面11d,11eは垂直軸を中心として左右にそれぞれ略35°傾斜している。
【0028】
上記ホッパ11は、上部横フレーム20aと上部縦フレーム20bに窓枠状に形成されているホッパ受け部20cに支持されており、取り外し自在に構成されている。
【0029】
上記ホッパ11内に錠剤が投入されると、数量が規制されて出口11aから投下されるようになっている。
【0030】
上記出口11aの下方には浅箱状の供給シュート22が配置されており、その供給シュート22の底面にはバイブレータ23が接続されている。それにより、バイブレータ23が作動すると、供給シュート22内の錠剤が前方(矢印A方向)に向けて送り出されるようになっている。
【0031】
上記供給シュート22の前側には水平軸まわりに揺動するダンパ22aが設けられている。
【0032】
このダンパ22aの回転軸22bからは後方に向けてアーム22cが延設されており、そのアーム22cの後端部には円弧状のスリットが上下方向に形成されている。そのスリットに蝶ねじ22dを通し、供給シュート22の側壁に螺合させて締め付けることにより、上記ダンパ22aの角度を調整することができるようになっている。
【0033】
すなわち、上記円弧状のスリットを備えたアーム22cの後端部および蝶ねじ22dはダンパ角度調整部として機能するようになっており、バイブレータ23による振動を受けて前方に送られる錠剤の送り量を調整することができるようになっている。
【0034】
なお、上記ダンパ22aの角度は、錠剤やカプセルのサイズに応じて調整することが好ましい。
【0035】
なお、上記供給シュート22は、垂直フレーム20dから延設された金具20eに対しねじを介して固定されているが、そのねじを外せば簡単に取り外しできるようになっている。
【0036】
(b) 錠剤計数部の構成
錠剤計数部(計数部)30は、フレーム20に対して取り外し可能に、中心軸が傾斜した状態で固定配置される有底筒状の容器からなるケース31と、傾斜した筒軸まわりに回転自在に、上記ケース31内に配置される回転盤32と、この回転盤32の中心に固定される中央固定カバー37とを備えている。
【0037】
ケース31は、円形の底板部31aと、その底板部31aの外周縁部から立ち上げられた筒状の側壁部31bとを有し、その側壁部31bにおける下側部分31cについては、供給シュート22から供給される錠剤を一時的に貯溜することができるように他の側壁部に比べて高さが高くなっている。
【0038】
図2(a)において、ケース31の中央には円形開口部31dが形成されており、その円形開口部31dの縁部が、傾斜架台20fから脚部20gを介して支持されているケース固定台20hと係合することにより、ケース31が位置決めされるようになっている。
【0039】
なお、図中20iは位置決めされたケース31をケース固定台20hに固定するための固定ボルトである。
【0040】
ケース31の円形開口部31dからは駆動プーリ34の上部34aが突出するようになっている。
【0041】
この駆動プーリ34の高さ方向の略中間位置には鍔部34bが形成されており、この鍔部34b上に上記回転盤32が載置されるようになっている。
【0042】
鍔部34b上に載置される、回転盤32の中心軸の傾斜角度は、20°〜50°の範囲とすることが好ましく、より好ましくは30°〜40°の範囲である。20°を下回ると回転盤32上で錠剤が過剰に重なってしまい、また、50°を超えると、後述する錠剤収容部32cから錠剤が脱落しやすくなるからである。また、30°〜40°の範囲にすれば、重なった錠剤が傾斜下部に向けて自然に落下するためより好ましい。
【0043】
また、鍔部34bには回転盤32のキー溝(後述する)と係合するキー34cが植設されている。
【0044】
なお、回転盤32を駆動プーリ34に固定する場合、円環状の押え板35で回転盤32を鍔部34bに押え付け、その押え板35の上から回転盤締付ナット35aを用いて締め付ける。
【0045】
上記駆動プーリ34は、傾斜架台20fから突設された回転軸36に対しベアリング36aを介して装着されている。
【0046】
また、回転軸36の頂部には中央固定カバー37が被せられるようになっており、この中央固定カバー37は、締付ねじ37aによって回転軸36に固定される。
【0047】
中央固定カバー37は円形天板部37bとその外周縁部から筒状に垂下されるスカート部37cとから構成されている。
【0048】
上記円形天板部37bには二つの錠剤払いアーム(錠剤払い部)38a,38bが配設されている(図1(a)参照)。
【0049】
この錠剤払いアーム38a,38bは弾力性を備えた樹脂製からなり、円形天板部37bの上面外周寄りに設けられた基端部38c,38dからケース31のガイド側壁部31b近傍まで延設されている。
【0050】
上記基端部38c,38dは、回転円板31の回転方向(矢印C方向)において、供給シュート22の下流側に配置されている。錠剤払いアーム38a,38bの下縁形状は回転盤32の上面形状に沿うようになっており、回転盤32の上面に対し、若干の隙間が確保されている。
【0051】
上記錠剤払いアーム38a,38bは、回転盤32上で錠剤が重なった状態で移送されるのを防止するため、不要な錠剤を二段階に分けて払い落とすようになっている。
【0052】
また、図2(b)において、駆動プーリ34の下部に従動歯車34dを有し、この従動歯車部34dは駆動モータ39の出力軸39aに固定されている駆動歯車39bと歯合している。
【0053】
それにより、駆動モータ39が駆動すると、回転力が駆動プーリ34に伝達され、回転軸36まわりに駆動プーリ34が回転するようになっている。
【0054】
図3において、回転盤32は例えば、ベークライト(登録商標)やジュラコン(登録商標)等の樹脂を円盤状に成形することによって構成されている。
【0055】
回転盤32の中心部には上記駆動プーリ34の上部34aを挿通させるための円形開口32aが形成されており、この円形開口32aと連通する状態で、上記キー34cと係合するキー溝32bが形成されている。
【0056】
したがって、上記キー34cに上記キー溝32bに対向させ、駆動プーリ34の鍔部34b上に回転盤32を載置すれば、駆動プーリ34の回転力を回転盤32に伝達することができるようになっている。
【0057】
回転盤32の外周部には、多数の錠剤収容部(収容部)32cが等間隔に切り欠かれており、それぞれの錠剤収容部32cに錠剤がはまり込むようになっている。
【0058】
図4は、図3(b)のB−B矢視部分を拡大した断面図である。
【0059】
図4に示すように、回転盤32の外周部には、外周側に向けて厚みが次第に減少するテーパ32dが付けられており、錠剤を円滑に錠剤収容部32cに案内することができるようになっている。なお、テーパ32dの角度は15°程度が好ましい。
【0060】
また、回転盤32の厚みtは、錠剤の外径にほぼ等しくなるような値に設定されている。
【0061】
図5は錠剤充填部を構成している錠剤落下部の構成を示したものである。
【0062】
同図において、T〜Tは回転盤32によって搬送される錠剤を示している。
【0063】
同図(a)において、ケース31における供給シュート22と反対側の部位には、鍵状に切り欠かれた錠剤排出口31eが設けられている。
【0064】
この錠剤排出口31eは、ケース31の直径方向に長さL切り欠かれ、さらに接線方向に長さL切り欠かれ、平面から見た場合に楔状の開口を形成している。
【0065】
したがって、ケース31の錠剤収容部32cに収容された状態で錠剤が搬送され、図中、錠剤Tの位置に錠剤が到達すると、錠剤を支えていたケース31の底板が失われることによって錠剤が落下する。
【0066】
上記錠剤排出口31eの下方には、錠剤落下シュート部40が設けられており、錠剤排出口31eを通して落下した錠剤を後述する錠剤充填部に案内するようになっている。
【0067】
上記錠剤落下シュート部40は、図5(b)に示すように、先端部が、先下がりのテーパ40bが付けられて楔状をなしているブロック40aから構成されている。
【0068】
上記テーパ40bはLの範囲については凹部(通路部)40cとなっており、上記テーパ40bに沿って板ばね40dが設けられている。
【0069】
詳しくは、板ばね40dの基端側はねじ40eを介してブロック40aの上面に固定されており、自由端側はテーパ40bに沿って先下がりに延設され、先端はブロック40aの先端で折り返されている。
【0070】
それにより、板ばね40dとテーパ40bとの間には隙間が形成されて板ばね40dが撓むことができ、錠剤Tが落下した際の落下衝撃を、板ばね40dを撓ませることによって減衰させることができるようになっている。
【0071】
上記板ばね40dは錠剤の落下衝撃を吸収する手段として機能する。
【0072】
なお、ブロック40aは蝶ナット40fを緩めることにより、錠剤の種類に応じて矢印D方向にスライドさせることができるようになっており、蝶ナット40fを取り外すと錠剤落下シュート部40を取り外すことができるようになっている。なお、40gはつかみ部である。
【0073】
なお、板ばね40dの左右両側はブロック側壁40h,40iによって挟まれており(図5(a)参照)、これらのブロック側壁40h,40iは転動する錠剤をガイドするようになっている。
【0074】
ブロック40aの先端には上記板ばね40dの長手方向と直交する方向(水平面において)に一対の計数センサ41aおよび41bが配設されている。
【0075】
これらの計数センサ41aおよび41bはフォトインタラプタから構成されており、矢印E方向に光を出射する発光部41cとその発光部41cに対し対向する位置に配置される受光部41dとを有し(図5(c)参照)、光路上を通過する物体を検知するようになっている。
【0076】
(c) 錠剤充填部の構成
図1に戻って説明する。
【0077】
錠剤充填部(充填部)50は、台形状のケース50aと、このケース50aの底部左右両端から垂下されたロート50bおよび50cと、上記ケース50a内に設けられ、ロート50bまたはロート50cに錠剤を案内する三角形状のガイド50dと、ガイド50dの左側通路50eまたは右側通路50fのいずれかに錠剤を振り分ける振分け装置50gとを備えている。
【0078】
上記振分け装置50gには左右方向(矢印F方向)に揺動する振分羽根50hが設けられており、上述した錠剤落下シュート部40から落下してくる錠剤を、左側通路50eかまたは右側通路50fに振り分けるようになっている。
【0079】
また、ロート50b、50cの下方にはテーブル50iが備えられており、このテーブル50iにおけるロート50bの下方には第一の容器Gを位置決めするためのガイド板50jが設けられ、ロート50cの下方には第二の容器Gを位置決めするためのガイド板50kが設けられている。なお、図1(b)において、第二の容器Gのみ図示している。
【0080】
上記テーブル50iは固定ねじ50lによって垂直レール50mに固定されているが、固定ねじ50lを緩めると、容器のサイズに応じてテーブル50iの高さを調整することができるようになっている。
【0081】
上記構成により、左側通路50eを通ってロート50bから落下する錠剤は第一の容器Gに収容され、右側通路50fを通ってロート50cから落下する錠剤は第二の容器Gに収容されることになる。
【0082】
上記錠剤充填部50は錠剤計数充填装置から取り外すことができるようになっている。
【0083】
(d) 吸引部の構成
吸引部70は、ケース31の底板部31aに穿設された二つの吸引口70aおよび70bと、これらの吸引口に接続された有底筒状の吸引部70cおよび70d(図1(b)において吸引部70dのみ図示)とを備えている。
【0084】
各吸引部70cおよび70dには吸引ホース70eが接続され、この吸引ホース70eは合流されて図示しない真空ポンプ(減圧装置)に接続されている。
【0085】
それにより、回転盤32とケース31の隙間に負圧が発生し、錠剤の搬送中、錠剤から粉成分が発生しても吸引除去することができるようになっている。また、上記負圧によって錠剤収容部32cに収容された錠剤を安定的に保持することができるようにもなっている。
【0086】
(e) 計数充填制御部の構成
フレーム20の下部には計数充填制御部60が配置されている。
【0087】
この計数充填制御部60の操作パネルには、計数表示部60a、設定部60b、電源スイッチ60c、運転ボタン60d、非常停止ボタン60e、停止ボタン60f、回転速度表示部60g、トラブルを報知するブザー60h等が備えられている。
【0088】
上記計数表示部60aは、計数した錠剤の生産数を表示するとともに、容器に収容する錠剤の設定値と現在値を表示するようになっている。
【0089】
設定部60bには、F1〜F6のファンクションスイッチが設けられている。
【0090】
F1スイッチを押下する毎に運転モードが自動と手動の間で切り替えられる。
【0091】
F2スイッチを押下すると、左右の振り分け遅延調整が行える。
【0092】
F3スイッチを押下すると、回転盤32のみを単独で運転することができる。
【0093】
F4スイッチを押下すると、バイブレータ23の起動、停止が行える。
【0094】
F5スイッチを押下すると、振分羽根50hの左右切替え操作が行える。
【0095】
F6スイッチを押下するとリセットが行えるようになっている。
【0096】
なお、上記左右の振り分け遅延調整は、計数センサ41aおよび41bによる錠剤検出から振分羽根50hの振分け動作開始までの時間を調整することにより、最後の錠剤を正確に所定の容器に充填させるためにある。
【0097】
また、各種設定を行う場合、F1スイッチを押下して手動運転モードを選択する。
【0098】
本発明の錠剤計数充填装置は、上述したように、ホッパ11、中央固定カバー37、ケース31、回転盤32、錠剤落下シュート部40をすべて簡単に取り外して洗浄することができるように構成されている。
【0099】
次に、上記構成を有する錠剤計数充填装置の動作について説明する。
【0100】
なお、計数充填を行う準備として、ロート50bおよび50cの下方にはそれぞれ容器GおよびGが位置決めされた状態で載置されているものとする。
【0101】
まず、電源スイッチ60cを押下する。
【0102】
次いで、計数充填制御部60の操作パネル上で各種設定を行うにあたり、F1スイッチを押下して手動運転モードを選択する。
【0103】
設定部60bの置数キーを操作して低速回転開始の設定を行う。例えば容器の錠剤充填数を“100”すると、設定値として“100”を入力し、低速開始値として“95”を入力する。このように設定することにより、計数センサ41a,41bが通過した錠剤の個数“95”をカウントした時点で回転盤32の回転速度が低速回転に切替えられるようになり、残り“5”個分の錠剤については低速で回転する回転盤32によって搬送され、計数センサ41a,41bによってカウントされた後、容器に充填される。それにより、精度の高い計数が行える。
【0104】
次いで、設定部60bによって回転盤32の回転速度を設定する。
【0105】
次いで、ホッパ11内に錠剤を投入する。
【0106】
この段階で錠剤計数充填の準備が終了する。
【0107】
次いで、F1スイッチを押下して手動運転モードから自動運転モードに切り替える。
【0108】
運転ボタン60dを押下すると、回転盤32が回転するとともに、バイブレータ23が駆動し、ホッパ11から供給シュート22に供給された錠剤は振動によって矢印A方向に送られ、供給シュート22の前側に設けられているダンパによって数量が規制されつつケース31内の回転盤32上に送られ一時的に貯溜される。
【0109】
回転盤32上に供給された錠剤は、回転盤32の外周部に設けられている錠剤収納部32cに順次、嵌まり込んでいく。
【0110】
傾斜姿勢の回転盤32が回転すると、錠剤収納部32cに嵌まり込んだ錠剤はケース31内に貯溜している錠剤群から引き揚げられる。
【0111】
このとき、錠剤の一部は、錠剤収納部32cに収容された錠剤とともに移動しようとするが、これらの錠剤は、中央固定カバー37に設けられている二つの錠剤払いアーム38aおよび38bによって払いのけられる。
【0112】
二つの錠剤払いアーム38aおよび38bを通過することにより、回転盤32の各錠剤収納部には一つの錠剤が収納され、このようにして回転盤32上に整列された錠剤列は傾斜している回転盤32によって傾斜下部の低い位置から傾斜上部の高い位置に持ち上げられ、さらに傾斜下部に向けて移動する。
【0113】
この間、錠剤収納部に収納された錠剤はケース31の側壁部31bに接触しないため、錠剤を損傷させることなく搬送することができる。
【0114】
次いで、錠剤落下シュート部40に移動した錠剤は、図5(a)に示した錠剤排出口31eから落下して板ばね部40d上に受けられ、さらに転動して錠剤落下シュート部40から放出される際に、計数センサ41aおよび41bの光路を通過することによってカウントされ、計数充填制御部60の計数表示部60aの現在値を“1”インクリメントする。
【0115】
錠剤落下シュート部40から放出された錠剤は、錠剤充填部50の振分羽根50h(右に設定されている)によって左側通路50eに案内され、ロート50bを通して容器G内に充填される。
【0116】
計数値が低速開始値に達するまで上記計数充填動作を繰り返し、低速開始値に到達すると、回転盤32を低速回転させ、引き続き、残りの錠剤個数について計数、充填動作を実行する。
【0117】
計数値が設定値に到達すると、計数充填制御部60は振分羽根50hを今度は左に振り、上述した計数充填動作を実行する。それにより、容器Gに対して錠剤が充填される。
【0118】
錠剤が充填された容器をテーブル50iから取り除き、空の容器に交換すれば、ホッパ11に錠剤が投入されている限り、錠剤の計数充填動作を連続的に行うことができる。なお、容器の交換は手動に限らず、コンベヤなどを用いて自動的に交換するように構成することもできる。
【0119】
上述した実施形態では錠剤を例に取り説明したが、本発明は錠剤に限らず、カプセルや丸薬についても計数し充填することができる。
【0120】
図6は上記回転盤の錠剤収容部の変形例を示した説明図である。
【0121】
同図(a)は主に円盤状錠剤用のものであり、同図(b)は主に側面が膨出している円盤状錠剤用のものであり、同図(c)はカプセル用のものであり、同図(d)は丸薬用のものである。
【0122】
このように回転盤の錠剤収容部の切欠き形状を変えるだけで多種多様の錠剤、錠剤状健康食品、錠剤状菓子あるいはカプセルを計数充填することが可能になる。
【0123】
図7(a)は、透明カプセル用の計数センサの構成を示したものである。
【0124】
計数対象が透明カプセルの場合、通常のフォトインタラプタで構成される計数センサでは光が通過してしまい検知することができない。そこで、本実施形態では、計数センサの光軸を小さく絞り、且つ出力を弱くすることによって透明カプセルであっても検知できるようにしている。
【0125】
そのための構成として、錠剤落下シュート部40の先端部に、板ばね40dの長手方向と直交する方向(平面において)に貫通孔を対向して設け、各貫通孔に棒状の投光側計数センサ40jと受光側計数センサ40kを挿入している。
【0126】
投光側計数センサ40jおよび受光側計数センサ40kの対向面にはそれぞれ微小な透孔が設けられており、それら微小な透孔を通して光路が形成されるようになっている。加えて投光側計数センサ40jから出射される光の出力は透明カプセルを通過しない程度に予め弱く設定されているため、透明カプセルを通過することなく検知することができる。
【符号の説明】
【0127】
10 錠剤供給部
11 ホッパ
20 フレーム
22 供給シュート
23 バイブレータ
30 錠剤計数部
31 ケース
31a 底板部
31b 側壁部
31c 下側部分
31e 錠剤排出口
32 回転盤
37 中央固定カバー
40 錠剤落下シュート部
41a 計数センサ
41b 計数センサ
50 錠剤充填部
50a ケース
50b,50c ロート
50d ガイド
50g 振分け装置
50h 振分羽根
50i テーブル
60 計数充填制御部
70 吸引部
,G 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状の容器からなりその底板外周部の一部に錠剤排出口が設けられ、傾斜した状態で固定配置されるケースと、
上記ケース内にその筒軸まわりに回転自在に収容される円盤状部材からなり、その外周縁部に錠剤等を収容するための収容部が切欠きによって多数形成されている回転盤と、
上記回転盤の上方に配置されるホッパと、
上記ホッパから供給される錠剤を、上記回転盤の傾斜低位置側であって上記錠剤排出口の上流側に供給する供給シュートと、
上記供給シュートを振動させるバイブレータと、
上記収容部に収容されて回転し上記錠剤排出口から落下する錠剤を計数する計数部と、
計数された錠剤を容器に充填する充填部とを備えてなることを特徴とする錠剤計数充填装置。
【請求項2】
上記回転盤の中心軸の傾斜角度が30〜40°の範囲である請求項1記載の錠剤計数充填装置。
【請求項3】
上記収容部の切欠き形状が異なる回転盤を交換部品として複数有する請求項1記載の錠剤計数充填装置。
【請求項4】
上記錠剤排出口の下部に、落下した錠剤を受けて上記充填部に案内するための通路部が設けられている請求項1記載の錠剤計数充填装置。
【請求項5】
上記通路部の出口に上記計数部としての計数センサが備えられている請求項4記載の錠剤計数充填装置。
【請求項6】
上記通路部に、錠剤の落下衝撃を吸収する手段が設けられている請求項4記載の錠剤計数充填装置。
【請求項7】
上記回転盤の回転方向において上記供給シュート下流側であって上記錠剤排出口上流側の上記回転盤上に、その回転盤の上面に沿って錠剤払い部が設けられている請求項1記載の錠剤計数充填装置。
【請求項8】
上記ケースの底板に吸引口が穿設され、その吸引口が減圧装置と接続されている請求項1記載の錠剤計数充填装置。

【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−73729(P2011−73729A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226903(P2009−226903)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(509272849)株式会社オーエム設計製作所 (2)
【Fターム(参考)】