説明

鍋用フリ−サイズ減圧蓋

【課題】本発明は鍋で作った料理や残り物を加熱殺菌後、火を止めた後に蓋を載せて初期吸着させてからそのまま温度降下による自然減圧を利用し、強い減圧と吸着力で鍋のまま常温にて保存できるようにした鍋用フリ−サイズ減圧蓋を提供する。
【解決手段】本発明は蓋本体を浅い皿形状の二重構造とし、上面に丈夫な基材、下面には鍋口に吸着させるに適した耐熱性のシリコンゴムを設けると共に、下面が異なる口径の鍋にも対応できるよう広い吸着面を形成し、かつ本体中央には鍋内の熱い空気を押し出して初期吸着が簡単にできるよう押圧部を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は鍋で作った料理や残り物を加熱殺菌後、火を止めた後に蓋を載せて初期吸着させてからそのまま温度降下による自然減圧を利用し、強い減圧と吸着力で鍋のまま常温にて保存できるようにした鍋用フリ−サイズ減圧蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鍋で作った料理や残り物を半日後や翌日以降に食べたい時、その保存方法は鍋のまま保存するか、または他の容器に移し替えてから冷蔵庫等に収納保存するのが一般的な方法である。そして前者の方法は、気温の低い冬場では可能であっても気温が高くなる夏場や常に室温が高くなる調理場では、中の料理が短時間で傷んでしまう為、これを解決すべく、下記(特許文献1)容器のための蓋が提案されている。
また後者の方法に於いては、その保存性を高める手段として押圧のみによる減圧を利用した下記(特許文献2)減圧式密閉容器、及び吸引具を使って減圧する下記(特許文献3)食品等保存容器のシ−ル用蓋部材が提案されている。
【特許文献1】特表2002−536249
【特許文献2】実願2000−1671
【特許文献3】特開2001−46234
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
(特許文献1)は専用使用鍋を直接減圧密閉できるとしてあるが、その構成は材質不明の使用鍋または容器に周縁がガスケットとして機能するようシ−ルクリップを一体に形成した蓋を載せて、鍋内の気密を保持するとされている。しかしながら、この構造は万一鍋口に僅かな傷や変形があると、そこから外気が流入して減圧されず、また料理の加熱中にプラスチック製とされる蓋を載せて使用すると鍋口が高温になる為、シ−ル部分が高熱で変形したり溶けてしまい実際には殆ど実現不可能に近い提案である。
【0004】
(特許文献2)は蓋を手で押圧して密閉させた場合、これによる空気の押し出しは僅かであるため減圧力は非常に弱く、また料理をこの容器に移し替えた場合、常温の空気中にさらした後に弱い減圧状態で保存しても、料理と共に容器内に混入したカビや細菌は中で繁殖しやすく、仮に冷蔵したとしても長期保存にはあまり適さない。
(特許文献3)は吸引具による強い減圧が可能な為、長期保存には有効であるが、例えば鍋で作った料理を保存するには、やはり前記同様に容器へ移す際にカビや細菌が混入し、また容器自体の完全な殺菌も非常に困難である。
また前記文献2と3は鍋から専用容器に移し替える手間と時間、更に冷めるまで冷蔵庫には入れられず、また庫内にはかなりのスペ−スが必要になると共に、冷やすエネルギ−とこの冷やされた料理を再び食べるために鍋へ移し替えて再加熱するといった無駄なエネルギ−が現在も大量に消費されている。そして前記3例の提案された器具類は、鍋や容器と蓋との関係が必ず同一寸法でなけれは使用することができず、他の口径との共用性がなく使用制限があって非常に不便であった。
【0005】
現在、鍋に入れたまま保存するには、弱火で常に加熱を続けながら長時間持たせるか、或は数時間おきに加熱殺菌を何度も繰り返すような方法、または鍋のまま直接冷蔵庫に入れて保存するかの何れかの方法しかなく、一般家庭だけでなく料理を一度にまとめて作るレストランや飲食店に於いては更に大量のエネルギ−を浪費している。
そして、地震や台風等の自然災害で停電が長引いた場合や野外での調理またはキャンプ時に於いても、鍋で作った料理の適切な保存方法がなく、地球温暖化が叫ばれている現在、この傾向はますます高まっているのが現状である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は蓋本体を浅い皿形状の二重構造とし、上面に丈夫な基材、下面には鍋口に吸着させるに適した耐熱性のシリコンゴムを設けると共に、下面が異なる口径の鍋にも対応できるよう広い吸着面を形成し、かつ本体中央には鍋内の熱い空気を押し出して初期吸着が簡単にできるよう押圧部を設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、本体下面にある吸着面の最大及び最小直径の範囲内にある鍋口であればどのような口径の鍋にも対応でき、また全体が皿状であるから両手鍋や片手鍋の握り部先端が離れた位置で鍋口面より高くなっていても、蓋は邪魔されずに吸着が可能である。そして、その使用は鍋内を十分に加熱殺菌して火を止めた後、本発明の蓋を載せて上から押し下げればその分だけ中の空気が外に押し出される為、初期吸着を簡単かつ敏速に行うことができ、鍋口への確実な密着が可能となる。
例えば、押圧操作をせずに蓋を載せたままに放置した場合、鍋内が熱膨張から収縮に転じても最初の収縮力と収縮量は極微力かつ微量である為、蓋の重みだけでは鍋口から外気流入を防ぐことができず、いくら時間が経過しても初期吸着が発生しないまま蓋は密着されずに失敗に終わることになる。
【0008】
本発明の蓋は、鍋内が約90度から95度の高温時に初期吸着を完了させることができる為、鍋内の熱気と接する吸着面と押圧部内面を内部の料理と同様にほぼ完全な殺菌状態にでき、また吸着後はそのまま放置するだけで何もする必要がなく、その吸着状態は押圧部全体のへこみ具合を見るだけで簡単に確認ができると共に、鍋内の温度が下がるにつれて熱収縮による減圧力が徐々に高まることで吸着力が増大し、常温まで下がった時が最大の減圧による吸着力となる。そして加熱殺菌して常温になるまで、及びそれ以降に鍋内には一切の外気が流入せず、しかも非常に強い減圧によって細菌の抑制と酸化抑制が働いてビン詰保存に似た効果的な常温保存が可能になる。また蓋の開封方法は、その外周の一部を手で変形させることで鍋口の一部に僅かな隙間を作る方法か、或は中央に設けた弁体の一部を指先で開放する方法で、ここから外気を流入させて減圧を解除すれば簡単に蓋を外すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施例に基づいて順に説明する。
図1は、本発明の第1実施例(請求項2)を示し、蓋1本体の基材2はポリエチレン製で断面形状を波形に形成してある。その高さと本数は任意でよく、また形状も図2のAの如く連続して連なる台形状の形でもよい。本体外周の上面には、上向きに突出させた1〜3本の補強板3、また下面には斜め下方に開いた周縁ストッパ−部4を設けてある。そして基材2の中央には、上部へ一体に形成されたつまみ部5を有する逆碗状の押圧部6を設けてある。このように形成された前記基材2には、外周にある少なくとも1本以上の補強板3と下方の周縁ストッパ−部4、及び基材2の下面全体には適宜厚みを有し、かつ伸び率を比較的少なくしたシリコンゴム7で覆ってある。
【0010】
その形成方法は、互いに相対する形状にして嵌め合わせる方法、またシリコンゴム7全体は僅かに小さく作り、これを基材2へ強制的に嵌め合わせることでゴムの引張力と摩擦や吸着性を利用して密着させる方法、専用の接着剤で固定する方法、どちらか一方の素材を後から型に流し込んで接着または溶着させる方法、或は図2のAで示す通り、波形の基材2凹部には同心円上に複数の小孔8を設け、これに対するシリコンゴム7の上面には先端を係止できる係止片9を突設し、これを前記小孔8に通して止める方法、またはBで示す通り、同心円上につながる係止壁10を波形の頂部下面へ下向きに突設し、これに対するシリコンゴム7の上面側に凹溝11を形成して互いに嵌め合う方法、或は前記接着や溶着とを併用して密着させる方法等、いかなる固定方法であってもよい。
【0011】
以上のように構成された本体下面のシリコンゴム7表面は、鍋口に対応する吸着面12を鏡面仕上げとし、その外周面には指先が掛けられるように残した幅1〜2センチ程度の周縁スペ−ス部13を設けてある。この周縁スペ−ス部13は表面を荒面仕上げ、または、その表面へ本体中心から放射状に伸びる突状または溝状の段部14を全周に複数設けて、鍋口が吸着しないようにしてある。
第1実施例の使用方法を説明すると、まず料理の入った鍋に鍋蓋をして95度〜100度にて十分に加熱殺菌した後に火を止める。そして約5分経過後、鍋蓋を取り、代わりに本発明の蓋1を載せる。この時、蓋1は鍋口中心から多少ずれていても何ら問題はないが、できる限り中心位置を合わせるようにする。次に片手で中央のつまみ部5を持ち、押圧部6を上から強く押し下げる。すると波形のポリエチレン製基材2は下面のシリコンゴム7と共に中央にへこみ、次にその周辺が僅かに伸びて皿形状が少し深まる。これによって鍋内の熱気が吸着面12の一部から外に押し出される。そして、この後に手を放すことで、本体自身と押圧部6部分が変形前に戻ろうとする復元力によって、鍋内に弱い減圧状態が作られ、吸着面12が鍋口に弱く引き付けられて初期吸着される。
【0012】
以上で作業は終了し、後はそのまま放置するだけでよいが、前記初期吸着の終了後、すぐに鍋を移動させると、中が95度以上の高温時は再沸騰現象が生じ、内圧が高まって減圧が解除されることがある為、少なくとも10分以上は動かさないことが必要である。
放置された鍋は時間の経過と共に温度がゆっくりと下がり、鍋内の膨張していた空気は収縮が進行して減圧力が徐々に強まり、吸着力が増大して蓋1全体が深い皿状になる。
その吸着力は常温まで下がった時が最大で、非常に強い減圧力と吸着力が得られる。そして半日から数日後、中央がへこんで深い皿状であれば外気が流入していないことを意味する為、吸着保持の成否確認が容易である。
【0013】
次に、蓋1を開封する方法は、右手を使って親指は指先を上面の補強板3よりも内側に載せ、残り2〜4本の指先は、下面の周縁スペ−ス部13に引っ掛けて親指を支点に外周を強くめくるように左回転させればよく、吸着面12のほんの一部のみを変形させるだけであるから、容易に隙間を作って外気を流入させることができ、減圧が解除された時点で蓋1を外すことができる。この操作は本体が皿状である為、平面状や逆皿状(ド−ム状)の場合よりも軽い力で中心側にめくり易く、また押圧操作時や減圧自然増加時に横ずれが発生しにくく、また万一横ずれが生じても鍋口が周縁スペ−ス部13によって抑止される。そして、吸着箇所は鍋口の上端ではなく僅かに内周面側に接する為、摩擦力が発生し、前記二例の形状よりも弱い減圧力で初期吸着ができる。また本実施例で外周下面に設けた周縁スペ−ス部13は開封時に必要なスペ−スである為、この蓋1に対する指定寸法以上の口径鍋には吸着しないようにしてスペ−スを確実に確保できるようにしてある。
【0014】
図3は、第2実施例(請求項3)を示し、基材2はポリプロピレン製であって、中央には内径が約5〜15センチ、好ましくは12センチ前後の円形をした開口部15を設けてある。これは蓋1の外径が約26センチの場合を例示したが、これよりも外径が大きい場合は内径もこれに合わせて大きくすればよい。
前記開口部15の周囲には、上向きで先端の断面形状が膨出状またはカギ状をした補強壁16を設けてある。またシリコンゴム7は基材2の補強板3から下面へ、更に前記開口部15内の上方へと続いていて、つまみ部5を中央上部に設けた逆碗状の押圧部6を直接外部上方へ突出させてある。
この押圧部6の内部空間は、前記第1実施例よりも大きくしてあり、また押圧部6下端の外周部分は、前記補強壁16を包むように止めてある。なお、この外周面には、必要に応じて金属またはプラスチック製のリング状部材17を嵌め込んで下端を締め付けるか、専用の接着剤を用いて固定してもよい。また前記つまみ部5には、握りを補助するプラスチック製のつば付キャップ(図示せず)等を上からねじ込むか押し込む方法によって取り付けるようにしてもよい。
【0015】
なお前記押圧部6は、下面にあるシリコンゴム7と一体に形成された状態を例示したが、図4で示すように、押圧部6全体は単独で形成し、その下端を下面のシリコンゴム7一端が係止された補強壁16に嵌め込み、最後にリング状部材17で外周を締め付けるようにしてもよい。この場合、押圧部6は吸着面12に使用したシリコン材とは異なる性質(伸び率や硬度)や材質(天然ゴム・耐熱性ウレタンゴム・クロロプレンゴム・その他耐熱性弾力材)を使用したり、押圧部分のみの交換も可能となり、一体式に比べると使用設定や変更が容易で非常に有利である。
その他の本体外周に設けた基材2の補強板3と周縁ストッパ−部4、及び吸着面12の外周にある周縁スペ−ス部13等は、前記第1実施例とほぼ同様にして設けてあり、その操作方法も同じであるが、第2実施例の基材2は強い減圧でも変形の少ない素材を使用している為、その分、押圧部6の上下動を敏感に反応させることでき、減圧状態をより詳しく知ることができる。
【0016】
図5のCは第3実施例(請求項4)を示し、つまみ部分に弁付きキャップを設けたものであり、つまみ部5の中央には押圧部6の下面まで貫通した透孔18を設けてある。また前記つまみ部5の上面には、円形で断面が山状の突出環19を設けると共に、通気口20側の突出環19から透孔18にかけて、外気の初期流入を助ける凹状の誘導溝21を設け、この上には円形または楕円形で、板状のシリコンゴムまたはエラストマ−系樹脂から成る弁体22を載せて、前記透孔18の上方を寒いである。この状態を維持し、かつ弁体22の上部には、僅かな隙間を残して上から保護キャップ23を取り付けてある。保護キャップ23はポリプロピレン等の屈曲可能素材とし、前記通気口20の正面には、下部が斜めに開放された周面板24、また上面には、上方に引き起こし可能な折曲板25を折目を介して天板26へ一体に形成し、かつ前記天板26の中央には、弁体22を上から見るための確認窓27を設けてある。
【0017】
前記保護キャップ23の取り付け方法は、つまみ部5の弾力を利用して、その周面にキャップ内面を密着させて固定するか、周面の途中に突起28を設け、これにキャップ内面を引っ掛けて固定する方法でもよい。なお、ネジ山によるねじ込み固定でもよいが、この場合、前記誘導溝21は透孔18から全周にわたり放射状に複数設けるのが好ましい。
また、弁体22の形状は図5のDに示す通り、金属またはプラスチック製の球体とし、これを透孔18の上面口に直接載せて穴を塞いであり、また折曲板25の下面には、折目部分から下方に伸びる垂直板29を球体近くに突設し、かつ天板26は球体の動きを一定範囲内で抑制する段差30を設け、また保護キャップ23は、ネジ山31によるねじ込み式で固定してある。
【0018】
以上、第3実施例で図5のCに示す弁付きキャップの操作方法は、一般的な蓋の握り方と同様に保護キャップ23を握り持ち、そのまま押圧部6を押し下げる。すると鍋内の熱気は透孔18を通って弁体22を押し上げ、突出環19との隙間からキャップの通気口20を通り、一部は周面板24に遮られつつ下方の開放部分から矢印の方向へ排出される。この時、握った手は通気口20前方の周面板24によって指先が、また上方にある折曲板25によって手の内側が夫々熱気からガ−ドされる為、安全性が確保されている。
次に、押さえた手を放すと、押圧部6の復元力で弁体22が瞬時に下方へ吸い寄せられて外気流入を防止し、同時にその弁体22下面は周囲が突出環19に、また中央は透孔18の上面に吸い寄せられて、全体がすり鉢状にへこんだ状態に吸着される。この時、押圧部6は僅かに戻るが、ほぼ押圧された時に近い状態で停止する。なお大きく深い鍋や中の料理が少量で空間が多い場合、または高温すぎて収縮に転じていない時は、量的に押し出し比率が少なくなる為、吸着させた鍋内の減圧力よりも押圧部6の復元力の方が強い場合があって、殆ど元の形状に戻ってしまい、一見、外気が流入して吸着が失敗したかのように見える時がある。しかしながら、本実施例の板状の弁体22は、非常に微弱な減圧力にも敏感に反応して吸着状態を示す為、キャップ上面の確認窓27から弁体22のへこみを見れば初期吸着がなされていることを容易に確認することができ、非常に便利であり、後はこのまま放置すれば5〜10分後には押圧部6自身がゆっくりとへこみ始めるのを目視でき、また失敗している時はもう一度押圧操作を行って再吸着させればよい。
【0019】
次に、その解除方法は、キャップの天板26先端にある折曲板25を人差し指で引き起こした後、そのまま指先を入れて弁体22の一端を下から上方へ強めに引き起こし、突出環19から透孔18まで隙間を作ることで、外気が通気口20から透孔18を通り鍋内に流入して減圧状態が解除される。この時、誘導溝21がある場合は、突出環19にのみ隙間を作るだけで外気は一瞬で透孔18まで誘導される為、引き起こし操作は前記よりも軽い力で素早く解除することができる。
また、図5のDに示す球状の弁体22に於いては、折曲板25の先端を指先で下方に押し込むと、下の垂直板29下端に弁体22が押されて僅かに後方に移動し、外気が前方側から透孔18内へ流入して減圧が解除される。なお弁が球状の場合、前記板状の時のような弁自体の変形確認はできないが、他の操作方法や効果はほぼ同じである。
【0020】
図6は第4実施例(請求項5)を示し、押圧部6の外面全体には金属またはプラスチック製で渦巻き状の弾発体32を設けてあり、その上端はつまみ部5下端の全周に設けた凹部33に強く挟持させて固定してある。また図4にも示す通り、弾発体32は押圧部6の内面に接するように装着してもよい。なお前記弾発体32は押圧部6自身の形状、材質、厚み等によって反発力や復元力が十分に得られない時に、必要に応じて設けるようにすればよく、また、その位置は、例えば押圧部6の断面内に封じ込めるような方法でもよい。
【0021】
第5実施例(請求項6)は図1に示してあり、基材2の外周に設けた一番内側にある補強板3の上端には、指穴34を有する板状の突片35を折部36を介して上方に突設してある。また図3に示す突片35は、補強板3近くの基材2上面に夫々軸穴37を有する二枚の平行板38を突設し、この穴に対する軸を下端両側に設けた突片35を前記平行板38に取り付けてある。
前記二例の使用は、蓋1を初期吸着させる時、右手で押圧部6を押し下げたまま左手の指先を突片35の指穴34に引っ掛けて少し中心側上方に軽く引き起こし、内圧を抜いた後に左手、つぎに右手を順に放すようにすればよい。これによって、押圧だけでは僅かに残っていた鍋内の加圧力を完全に抜き去ることができ、この操作をしない時に比べて初期吸着が容易で吸着力も強めることができる。また、この突片35は、蓋1を保管する時に釘やフック等への吊り下げ用として使用することもできる。
【0022】
図7は、第6実施例(請求項7)を示し、基材2の表面には、中心側から外周方向にかけて同心円上に目印線39を等間隔に設けてある。その方法は溝状よりも強度が強まる突状の線とし、その太さや高さは任意でよく、また線の一部に鍋口の使用寸法や注意書きを表記するようにしてもよい。この目印線39を設ける時は、本体素材を夫々透明にすれば、載せる際に上面の目印線39と下方に透けて見える鍋口とが、同心円上に重なるように載せることで、蓋1をほぼ中央にセットさせることができる。
【0023】
図8は、第3実施例の使用に於いて、常温時の減圧状態を示し、鍋40は蓋1に対して最大口径(破線は最小口径)の使用を示す。鍋内は温度が常温になった時が最大の減圧力と吸着力となり、本体下面は鍋口へ強力に引き付けられていて、そのままでは大人の力でも簡単には外せないほど強力に吸着している。また、この状態の時、最大鍋口は吸着面12の一番外周に位置するが、最大吸着力の状態になっても、周縁ストッパ−部4によってずれ落ちが防止され、しっかりと停止状態が維持されている。
また、減圧保存時はキャップ頂部が本体外周よりも低くなる為、棚や庫内に収納する時は好都合となる。そして弁による開封方式の場合、第1と第2実施例のように本体を変形させる必要がない為、弁方式に限り、基材1を耐熱性ガラスや金属性にすることも可能である。
本発明によれば、鍋口に深いキズや強い変形がなく柄の固定リベットに隙間がない限り、使用範囲内の口径であればどのような鍋にも対応でき、これを使用することで無駄なエネルギ−消費と手間や時間を大幅に節約できると共に、地震や台風の自然災害時や野外及び電気のない地域や国に於いて、非常に有効かつ便利な鍋用フリ−サイズ減圧蓋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施例を示す断面図。
【図2】第1実施例の基板形状と取り付け方法を例示した要部断面図。
【図3】本発明の第2実施例を示す断面図。
【図4】第2実施例に於ける他の押圧部を示す要部断面図。
【図5】第3実施例に於ける弁付キャップの二例を示す要部断面図。
【図6】第4実施例における弾発体を示す要部断面図。
【図7】本発明の第6実施例を示す平面図。
【図8】本発明の使用状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0025】
1.蓋 2.基材
3.補強板 4.周縁ストッパ−部
5.つまみ部 6.押圧部
7.シリコンゴム 8.小孔
9.係止片 10.係止壁
11.凹溝 12.吸着面
13.周縁スペ−ス部 14.段部
15.開口部 16.補強壁
17.リング状部材 18.透孔
19.突出環 20.通気口
21.誘導溝 22.弁体
23.保護キャップ 24.周面板
25.折曲板 26.天板
27.確認窓 28.突起
29.垂直板 30.段差
31.ネジ山 32.弾発体
33.凹部 34.指穴
35.突片 36.折部
37.軸穴 38.平行板
39.目印線 40.鍋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋1本体は減圧の変形に耐えうる基材2と鍋口に吸着させて気密を保持するシリコンゴム7との二重構造とし、前記基材2は浅い皿状で外周部分には上面に突出した補強板3と下向きの周縁ストッパ−部4を形成し、前記基材2の外周と下面を前記シリコンゴム7で覆うと共に、前記蓋1の中央には上部につまみ部5を有する逆碗状の押圧部6を備え、かつ前記シリコンゴム7下面の吸着面12を鏡面仕上げにしたことを特徴とする鍋用フリ−サイズ減圧蓋。
【請求項2】
前記基材2はポリエチレン製とし、前記押圧部6から外周にかけて断面形状を波形に形成した請求項1に記載の鍋用フリ−サイズ減圧蓋。
【請求項3】
前記基材2はポリプロピレン製とし、その中央には円形の開口部15、及びこの開口部15の周囲を上方に突出させた補強壁16を形成し、前記シリコンゴム7は前記つまみ部5を一体に設けた前記押圧部6を形成して前記開口部15から上方外面に突出させると共に、前記押圧部6下端の外周を前記補強壁16に止めた請求項1に記載の鍋用フリ−サイズ減圧蓋。
【請求項4】
前記つまみ部5の中央には前記押圧部6を貫通する透孔18と、その上部を塞ぐ弁体22を設けると共に前記弁体22を上方から保護し、かつ通気口20の前方には周面板24、上方には折曲板25を一体に形成した保護キャップ23を前記つまみ部5に取り付けた請求項3に記載の鍋用フリ−サイズ減圧蓋。
【請求項5】
前記押圧部6の上面または下面には、復元力を強める弾発体32を設けた請求項3または4に記載の鍋用フリ−サイズ減圧蓋。
【請求項6】
前記補強板3の上端またはこれに近接した前記基材2の上面には、指穴34を有する突片35を設けた請求項2〜5のいずれか1項に記載の鍋用フリ−サイズ減圧蓋。
【請求項7】
前記押圧部6以外の前記基材2上面には、中心から同心円上に表示した複数の目印線39を設けた請求項2〜6のいずれか1項に記載の鍋用フリ−サイズ減圧蓋

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−78115(P2009−78115A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−278156(P2007−278156)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000238452)
【Fターム(参考)】