説明

鍛造体からの弦状試験片の抽出

試験片を製作する方法は、環状の鍛造体から弦状コアを機械加工するステップと、試験片をコアの弦軸に関して対称に機械加工するステップとを含む。機械加工するステップのためにワイヤEDM機などの直線的なカッティングツールが使用されるが、そのステップは、直線的なカッティングツールを用いた、弦軸周りにおける少なくとも部分的に円筒形のカッティングを含む。銅または真鍮の管状のEDM電極を使用することもできる。弦状コアは、鍛造体の余剰部から機械加工することができる。試験片は、0.1〜0.5インチの範囲のゲージセクション直径を有することができる。EDM工程は、EDM機のEDMワイヤのカッティング部分に沿って上下に、機械加工液または誘電体の噴流を送るステップ、あるいは環状の鍛造体を液または誘電体中に浸漬させた状態で、機械加工液または誘電体のタンク中でEDM工程を実施するステップを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リング鍛造体に関し、より詳細には、リング鍛造体から試験片を取り外すことに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジン、ならびに他の多くの製品は、鍛造体またはリング鍛造体から作られた多くの環状部品または円筒形部品を組み込む。鍛造体は、通常、ニアネットシェイプ形態を有しており、機械加工されて、最終的な部品寸法および仕上げを有する部品が製作される。鍛造体および部品は回転軸を囲んでおり、通常、回転軸に関して対称である。これらの部品は、ディスクを含むロータの回転部分、または燃焼器ライナを含む静的なケーシングなどを含む。
【0003】
機械的な試験片は、鍛造工程の品質管理の一部として、応力および歪み性能を求める機械的な試験を行うために鍛造体から製作される。試験片を製作し、試験する工程は破壊試験であり、したがって、犠牲となる鍛造物または試験リングが、鍛造体と一体に形成される。試験リングは、鍛造部品に組み込まれない不要な鍛造材料から製作される。試験リングは、鍛造体から切り取られるか、あるいはその他の形で分離される。試験リングの弓形のセクションは、試験リングから切り取られ、その後の機械的な試験で使用するために、所定寸法の丸棒試験片へと機械加工される。試験片は、通常、円筒形で、試験片軸を囲んでおり、また2つの把持セクションの間に設けられた縮小セクションを有する。試験片はまた、横断面を長方形にすることもできる。
【0004】
これらのタイプの試験片を製作し使用するための、金属材料の引張試験に対する米国規格試験法が確立されてきており、米国全州道路交通運輸行政官協会AASHTOのT68に記述されている。これらの試験法は、室温における任意の形の金属材料の引張試験を、具体的には、降伏強さ、降伏点伸び、引張強さ、伸び率、および断面収縮率の測定法を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国特許第2006150424号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
鍛造体の試験リング部分は、鍛造材料の無駄な部分であり、鍛造体、ならびに鍛造工程および鍛造体の機械加工のコストを増すことになる。鍛造体および鍛造工程において、試験リングをなくすことが非常に望ましい。いくつかの場合には、鍛造体リング全体が犠牲になる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
鍛造の回転軸を有する環状の鍛造体から試験片を製作するための方法は、鍛造体から弦状コアを機械加工するステップと、環状の鍛造体を貫通して延びる弦と同一線上にある弦軸に関して対称である試験片を、弦状コアから形成するステップとを含む。機械加工するステップのために直線的なカッティングツールを使用することができるが、そのステップは、直線的なカッティングツールを用いた、弦軸周りにおける少なくとも部分的に円筒形のカッティングを含むことができる。弦状コアは、鍛造体の余剰部から完全に機械加工することができる。
【0008】
機械加工するステップの一実施形態は、順に、鍛造体中への第1の直線的なプランジ加工と、部分的に円筒形のカッティングと、弦軸周りで実質的に完全な円筒形のカッティングと、鍛造体の外への第2の直線的なプランジ加工とを含み、第1および第2の直線的なプランジ加工は、弦軸に対して角度をなして離間される。代替として、機械加工するステップは、順に、鍛造体中への第1の直線的なプランジ加工と、実質的に完全な円筒形のカッティングと、第1の直線的なプランジ加工により形成された切込みを介する鍛造体の外への第2の直線的なプランジ加工とをさらに含むことができる。
【0009】
機械加工するステップの他の実施形態は、放電加工を含み、また直線的なカッティングツールは、ワイヤ放電加工機である。代替として、放電加工は、銅または真鍮から作ることのできる、機械加工のための管状の電極を使用することができる。試験片は、0.1〜0.5インチ(0.254〜1.27cm)の範囲のゲージセクション直径で形成することができる。
【0010】
試験片を製作するための、より詳細な放電加工法は、EDM機の搬送台の主軸台に環状の鍛造体を取り付けるステップを含む。EDM機は、直交するXおよびY方向に移動し、かつ機械加工するように動作可能な機械ヘッドを有し、かつ搬送台は、鍛造体の鍛造の回転軸に直角なY方向に平行移動するように動作可能である。次いで、搬送台をY方向に平行移動することにより、機械ヘッドに対して鍛造体を提示し、XおよびY方向に移動する機械ヘッドを用いて、鍛造体の放電加工により弦状コアを機械加工する。弦状コアは、環状の鍛造体を貫通して延びる弦と同一線上にある直線的な弦軸を有する。試験片が弦軸に関して対称となるように、弦状コアから試験片を形成する。
【0011】
放電加工法は、XおよびY方向の両方に直角である上下のZ方向に、かつZ方向に平行なEDMワイヤのカッティング部分に沿って機械加工液または誘電体の噴流を送るステップをさらに含むことができる。噴流は、機械加工ヘッドにより支持された上側および下側ワイヤガイドの上側および下側ノズルからそれぞれ送ることができ、EDMワイヤのカッティング部分は、上側ワイヤガイドと下側ワイヤガイドの間で延びている。
【0012】
代替として、搬送台は、機械加工液または誘電体のタンク中の可動テーブルとすることができ、環状の鍛造体は、機械加工液または誘電体中に浸漬される。
【0013】
本発明の前述の態様および他の特徴は、添付の図面と併せて以下の記述で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】鍛造体の余剰部から取り外される弦状コアと共に鋳造された環状のガスタービンエンジンケーシングを示す斜視図である。
【図2】図1で示す鍛造体の余剰部から取り外された弦状コアを示す拡大された斜視図である。
【図3】図2で示す鍛造体の余剰部中の弦状コアを示す外周の横断面図である。
【図4】図3で示す鍛造体の余剰部中の弦状コアを示す軸方向の横断面図である。
【図5】図4で示す弦状コアから形成された試験片を示す斜視図である。
【図6】図4で示す円筒形の弦状コアを放電加工する第1の方法を図式的に示す図である。
【図7】円筒形の弦状コアを放電加工する第2の方法を図式的に示す図である。
【図8】非円筒形の弦状コアを放電加工し、それを円筒形に機械加工する第3の方法を図式的に示す図である。
【図9】弦状コアを機械加工するための例示的なEDM機を示す斜視図である。
【図10】図9で示されたEDM機を示す側面図である。
【図11】図10で示されたEDM機のEDMワイヤを示す拡大した側面図である。
【図12】図9で示されたEDM機を示す上面図である。
【図13】図9で示されたEDM機を示す正面図である。
【図14】管状の電極を用いて円筒形の弦状コアを放電加工する方法を図式的に示す図である。
【図15】誘電体のタンク中に浸漬させた鍛造体の弦状コアを機械加工するための他の例示的なEDM機を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1では、鍛造の回転軸14を有する環状の鍛造体12から、図5で示す試験片10を製作するための例示的な方法が示されている。本方法は、環状の鍛造体12から弦状コア18を機械加工30することを含む。図2および4でより詳細に示される弦状コア18は、環状の鍛造体12を貫通して延びる弦13と同一線上にある直線的な弦軸20を有する。弦13は、定義によれば、環状の鍛造体12の半径Rに対して直角であり、かつ半径Rにより等分されている。本方法は、弦状コア18から試験片10を形成する、または機械加工することをさらに含む。試験片は弦軸20に関して対称である。
【0016】
図5を参照すると、本明細書で示す試験片10は、ねじが切られた把持部44の間に設けられたゲージセクション38を含む。ゲージセクション38は、ゲージ長さLおよびゲージ直径Dを有する。丸み部46は、ゲージセクション38をねじが切られた把持部44へと遷移させる。弦状コア18は、鍛造体の余剰部23から機械加工されるが、最近の鍛造体は、通常、図3で示すようなわずかな余剰部23を有するニアネットシェイプ48である。貫通して設けられるボルト孔51を有するフランジ49を備えた環状のケーシング47として示された最終の部品形状は、余剰部23を機械加工して除くことを含めて、鍛造体12を機械加工することにより形成される。ゲージ直径Dは、0.1〜0.5インチ(0.254〜1.27cm)の範囲である。余剰部が非常に小さな横断面積を有することがよくあるので、このことは特に有用である。これはまた、比較的わずかな移動で、例えば、XおよびY方向に4インチ(10.16cm)の移動で、機械ヘッドを使用することを可能にする。
【0017】
弦状コア18から機械加工30することは、放電加工(EDM)、または直線的なカッティングツール22を使用する他の方法を用いて行うことができる。直線的なEDMは、図9〜13で示すEDM機100のEDMワイヤ90などのツールを使用する。本明細書で開示される方法により企図されるEDMツールの他のタイプは、銅管および円形ワイヤを含む。
【0018】
本明細書で示す環状の鍛造体12の例示的な実施形態は、図3の横断面図で部分的に示されるように、単一部品で一体に形成されたニアネットシェイプの環状の鍛造体12である。ニアネットシェイプの鍛造体12は、上記で述べたケーシングとし示された破線の環状部分27の外形を製作するために、最終形状加工中に加工されて除かれる余剰部23を含む。弦状コア18は、本明細書で示される機械加工30の例示的な実施形態において、余剰部23から機械加工される。図3の機械加工30は、概して、内側方向の直線的なプランジ加工aと、弦軸20周りにおける円形のプランジ加工bと、外方向の直線的なプランジ加工cとを含む。
【0019】
本明細書で示す機械加工30は、直線的なカッティングツール22を用いて、またはより具体的には、EDMワイヤ90を用いるワイヤEDM工程により、弦軸20周りにおける少なくとも部分的に円筒形のカッティング32を含む。部分的に円筒形のカッティング32は図8で示されている。弦軸20周りにおける実質的に完全な円筒形のカッティング40は、図3、6、および7で示されている。機械加工30の完全な円筒形のカッティング40の実施形態は、概して図3で示されており、それは、順に、鍛造体12中への第1の直線的なプランジ加工34と、弦軸20周りにおける実質的に完全な円筒計のカッティング40と、第1の直線的なプランジ加工34により形成された切込み42を介する鍛造体12の外への第2の直線的なプランジ加工36とを含む。
【0020】
図6では、弦状コア18と鍛造体12の残りの部分との間で、1つまたは複数の支持体またはブリッジ37を使用することを示しており、それらは、機械加工されている間、一定の位置に残り弦状コア18を支持する。より具体的な実施形態では、完全な円筒形のカッティング40を含む機械加工30は、順に、弦軸20に向けた半径方向内側への直線的なカッティング1と、ブリッジ37で止まる弦軸20周りにおける反時計方向の環状のカッティング2と、反時計方向の環状のカッティング2により形成された環状の切込み43を介する弦軸20周りにおける時計方向の環状のカッティング3と、弦軸20から離れる半径方向外側への直線的なカッティング4とを含む。時計方向および反時計方向のカッティングは、時計方向の環状のカッティングが、反時計方向のカッティングの前に行われるように、順序を反対にすることもできる。弦状コア18は、鍛造の回転軸14に対して、接線方向に取り外され、環状の切込み43により画定される円筒形の孔53を通して滑らせて外に出される。
【0021】
図7で示される機械加工30の他の完全な円筒形のカッティング40の実施形態は、順に、鍛造体12中への第1の直線的なプランジ加工34と、弦軸20周りにおける実質的に完全な円筒形のカッティング40と、鍛造体12の外への第2の直線的なプランジ加工36とを含み、第1および第2の直線的なプランジ加工は、弦軸20に対して角度をなして離間されている。第1および第2の直線的なプランジ加工34、36、および実質的に完全な円筒形のカッティング40は十分に深く、したがって、キャップ50が、実質的に完全な円筒形のカッティング40により形成された環状の切込み43の外側に形成され、かつ第1および第2の直線的なプランジ加工34、36により形成された第1の直線的な切込み52と第2の直線的な切込み54の間に形成される。キャップ50は取り外され、次いで、弦状コア18が、鍛造の回転軸14に対して、半径方向に、または接線方向に取り外される。
【0022】
より具体的な実施形態では、機械加工30は、順に、鍛造体12の余剰部23中への内側方向の直線的なカッティング1と、ブリッジ57で止まる弦軸20周りにおける反時計方向の環状のカッティング2と、反時計方向の環状のカッティング2により形成された第1の環状の切込み60を介する弦軸20周りにおける時計方向の環状のカッティング3と、第2のブリッジ59で止まる鍛造体12の余剰部23から外へ出る外方向の直線的なカッティング4とを含む。次いで、順に、外方向の直線的なカッティング4により形成された第2の直線的な切込み54と、第1の環状の切込み60と、内方向の直線的なカッティング1により形成された第1の直線的な切込み52とを介して、直線的なツールによりカッティングまたは横断5される。時計方向および反時計方向のカッティングは、反時計方向のカッティングの前に時計方向の環状カッティングが行われるように、順序を反対にしてもよい。第1および第2のブリッジ57、59は機械加工で除かれ、またはその他の形で取り除かれ、次いで、キャップ50および弦状コア18が取り外される。
【0023】
図8で示された機械加工30の部分的に円筒形のカッティング32の実施形態は、順に、鍛造体12中への第1の直線的なプランジ加工34と、弦軸20周りにおける部分的に円筒形のカッティング32と、鍛造体12の外方向の第2の直線的なプランジ加工36とを含み、第1および第2の直線的なプランジ加工34、36は、弦軸20に対して角度をなして離間される。第2の直線的なプランジ加工36は、ブリッジ57で止まり、ツールまたはEDMワイヤは、第1の直線的なプランジ加工34により形成された切込み55と、部分的に円筒形のカッティング32と、第2の直線的なプランジ加工36とを介して、その経路を後退する。ブリッジ57は、機械加工されている間、弦状コア18を支持するように定位置に残される。弦状コア18は、部分的に円筒形の形状58を有し、円筒形の形状39の実質的に回転軸である弦軸20を有する円筒形の形状39へと機械加工される。
【0024】
図9〜13では、試験片10を製作するために、環状の鍛造体12から弦状コア18を機械加工30するのに適したEDM機100の例示的な実施形態が示されている。本明細書で示されるEDM機100は、上側ワイヤガイド104と下側ワイヤガイド106との間で延びるEDMワイヤ90のカッティング部分180をガイドする上側および下側ワイヤガイド104、106を支持する機械加工ヘッド102を含む。上側および下側ワイヤガイド104、106は、図11でより詳細に示すように、EDMワイヤ90のカッティング部分180に沿って、反対を向いている同軸の下方向DDおよび上方向UDに、それぞれ、機械加工液または誘電体の噴流118を送るように動作可能な上側および下側ノズル114、116を含む。機械加工ヘッド102は、少なくとも直交するXおよびY方向に移動するように動作可能である。主軸台102は、可能な限り環状の鍛造体20に接近させてZ方向に移動する。したがって、機械加工液または誘電体の噴流118は、Z方向に平行なEDMワイヤ90のカッティング部分180に沿って、Z方向で上下に送られる。
【0025】
環状の鍛造体12を保持するための搬送台120は、平行なレール15に係合し、それに沿って移動する車輪122と、環状の鍛造体12を搬送台120に搭載して、固定するように動作可能な主軸台124とを含む。主軸台124は、鍛造軸14がX方向に平行となるように環状の鍛造体12を保持するために搬送台120上に配置される。EDMワイヤ90のカッティング部分180が、環状の鍛造体12の接線方向となるように、鍛造体12が搬送台120に取り付けられ、かつ搬送台が機械加工ヘッド102に対して鍛造体12を提示できるように方向付けられる。機械加工ヘッド102は、XおよびY方向に直線的および円形のカッティングまたは機械加工を提供するためにXおよびY方向に移動を行うように、かつXおよびY方向に鍛造体12に対して制約された移動を有するように動作可能である。搬送台120は、鍛造体12を機械加工ヘッド102に提示するために、Y方向に平行移動するように動作可能である。搬送台120および機械加工ヘッド102のいずれか、または両方は、Z方向に、機械加工ヘッド102に対して鍛造体12の位置決めを行うことができる。X、Y、およびZ方向はすべて直交している。機械加工またはカッティング動作中における搬送台120および機械加工ヘッド102のすべての動作は、図示されていないCNC制御装置により制御される。
【0026】
図14で示される機械加工30の他の完全な円筒形のカッティング40の実施形態は、銅または真鍮管の形の環状の電極とすることのできる、銅または真鍮の管状の電極130を用いる第1の接線方向プランジ加工41を含み、鍛造体12を貫通させて機械加工し、弦状コア18を作る。本明細書で開示される方法により企図される他のタイプのEDMツールまたは環状の電極は、円形のワイヤを含む。
【0027】
図15では、試験片10を製作するために、環状の鍛造体12から弦状コア18を機械加工30するのに適した他のEDM機112が示されている。搬送台120は、機械加工液または誘電体144で満たされたタンク142中の可動テーブル140である。環状の鍛造体12は、EDM工程中、機械加工液または誘電体中に浸漬される。本明細書で示されるEDM機112は、第1のワイヤガイド134と第2のワイヤガイド136との間で延びるEDMワイヤ90のカッティング部分180をガイドする第1および第2のワイヤガイド134、136を支持する機械加工ヘッド102を含む。放電加工されている鍛造体12の部分が浸漬されるので、EDMワイヤ90のカッティング部分180に沿って上下に、同軸で反対方向に機械加工液または誘電体の噴流を送るように動作可能なノズルを必要としなくなる。機械加工ヘッド102は、上下方向に直角な、少なくとも直交するXおよびY方向に移動するように動作可能であるものとして示されている。機械加工ヘッド102は、ヘッドが、直交するXおよびY方向に移動し、またXおよびY方向の一方が上下方向に平行であるように、何らかの他の角度、すなわち、90度に方向付けることもできる。
【0028】
主軸台124はテーブル140に取り付けられる。主軸台124は、鍛造軸が、機械加工ヘッド102の方向付けに依存してXまたはY方向に平行となるように、環状の鍛造体12を保持するためにテーブル140上に配置される。EDMワイヤ90のカッティング部分180が、環状の鍛造体12の接線方向となるように、鍛造体12が搬送台120に取り付けられ、かつ搬送台が機械加工ヘッド102に対して鍛造体12を提示できるように方向付けられる。機械加工ヘッド102は、XおよびY方向に直線的および円形のカッティングまたは機械加工を提供するためにXおよびY方向に移動を行うように、かつXおよびY方向に鍛造体12に対して制約された移動を有するように動作可能である。テーブル140は、鍛造体12を機械加工ヘッド102に提示するために、Y方向に平行移動するように動作可能である。テーブル140および機械加工ヘッド102のいずれか、または両方は、Z方向に、機械加工ヘッド102に対して鍛造体12の位置決めを行うことができる。X、Y、およびZ方向はすべて直交している。機械加工またはカッティング動作中におけるテーブル140および機械加工ヘッド102のすべての動作は、図示されていないCNC制御装置により制御される。
【0029】
本発明の好ましい実施形態であると考えられるものを本明細書で述べてきたが、当業者であれば、本明細書の教示から本発明の他の変更形態も明らかなはずであり、したがって、このような変更形態はすべて、本発明の真の趣旨および範囲に含まれるものとして、添付の特許請求の範囲で保証されることが望ましい。
【0030】
本発明の好ましい実施形態は、その原理を説明するように十分に述べられてきたが、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、好ましい実施形態に対して様々な変更または改変を加えうることを理解されたい。
【符号の説明】
【0031】
1 半径方向内側への直線的なカッティング
2 反時計方向の環状のカッティング
3 時計方向の環状のカッティング
4 半径方向外側への直線的なカッティング
5 カッティングまたは横断
10 試験片
12 環状の鍛造体
13 弦
14 鍛造の回転軸
15 レール
18 弦状コア
20 弦軸
22 直線的なカッティングツール
23 余剰部
27 環状部分
30 機械加工
32 部分的に円筒形のカッティング
34 第1の直線的なプランジ加工
36 第2の直線的なプランジ加工
37 ブリッジ
38 ゲージセクション
39 円筒形の形状
40 完全な円筒形のカッティング
41 第1の接線方向プランジ加工
42 切込み
43 環状の切込み
44 ねじが切られた把持部
46 丸み部
47 環状のケーシング
48 ニアネットシェイプ
49 フランジ
50 キャップ
51 ボルト孔
52 第1の直線的な切込み
53 円筒形の孔
54 第2の直線的な切込み
55 切込み
57 第1のブリッジ
58 部分的に円筒形の形状
59 第2のブリッジ
60 第1の環状の切込み
90 EDMワイヤ
100 EDM機
102 機械加工ヘッド
104 上側ワイヤガイド
106 下側ワイヤガイド
112 EDM機
114 上側ノズル
116 下側ノズル
118 噴流
120 搬送台
122 車輪
124 主軸台
130 電極
134 第1のワイヤガイド
136 第2のワイヤガイド
140 可動テーブル
142 タンク
144 機械加工液または誘電体
180 カッティング部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍛造の回転軸を有する環状の鍛造体から試験片を製作するための方法であって、
前記鍛造体から弦状コアを機械加工するステップであり、前記弦状コアが、前記環状の鍛造体を貫通して延びる弦と同一線上にある直線的な弦軸を有する、ステップと、
前記弦軸に関して対称である前記試験片を、前記弦状コアから形成するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記機械加工するステップのために、直線的なカッティングツールを使用するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記機械加工するステップが、前記直線的なカッティングツールを用いた、前記弦軸周りにおける少なくとも部分的に円筒形のカッティングを含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記機械加工するステップが、順に、
前記鍛造体への第1の直線的なプランジ加工と、
前記部分的に円筒形のカッティングと、
前記鍛造体の外への第2の直線的なプランジ加工とを含み、前記第1および第2の直線的なプランジ加工が、前記弦軸に対して角度をなして離間される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記機械加工するステップが、前記弦軸周りにおける実質的に完全な円筒形のカッティングを含む、請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記機械加工するステップが、順に、
前記鍛造体への第1の直線的なプランジ加工と、
前記実質的に完全な円筒形のカッティングと、
前記第1の直線的なプランジ加工により形成された切込みを介する前記鍛造体の外への第2の直線的なプランジ加工と
を含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記機械加工するステップが、順に、
前記鍛造体への第1の直線的なプランジ加工と、
前記実質的に完全な円筒形のカッティングと、
前記鍛造体の外への第2の直線的なプランジ加工とを含み、前記第1および第2の直線的なプランジ加工が、前記弦軸に対して角度をなして離間される、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記機械加工するステップが放電加工を含み、また前記直線的なカッティングツールがワイヤ放電加工機であることをさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項9】
前記機械加工するステップが、前記直線的なカッティングツールを用いた、前記弦軸周りにおける少なくとも部分的に円筒形のカッティングを含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記機械加工するステップが、順に、
前記鍛造体への第1の直線的なプランジ加工と、
前記部分的に円筒形のカッティングと、
前記鍛造体の外への第2の直線的なプランジ加工とを含み、前記第1および第2の直線的なプランジ加工が、前記弦軸に対して角度をなして離間される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記機械加工するステップが、前記弦軸周りにおける実質的に完全な円筒形のカッティングを含む、請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記機械加工するステップが、順に、
前記鍛造体への第1の直線的なプランジ加工と、
前記実質的に完全な円筒形のカッティングと、
前記第1の直線的なプランジ加工により形成された切込みを介する前記鍛造体の外への第2の直線的なプランジ加工と
を含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記機械加工するステップが、順に、
前記鍛造体への第1の直線的なプランジ加工と、
前記実質的に完全な円筒形のカッティングと、
前記鍛造体の外への第2の直線的なプランジ加工とを含み、前記第1および第2の直線的なプランジ加工が、前記弦軸に対して角度をなして離間される、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記機械加工するステップが、前記機械加工のために管状の電極を用いた放電加工を含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記管状の電極が、銅または真鍮の管状の電極であることをさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記弦状コアが、前記鍛造体の余剰部から完全に機械加工されることをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記機械加工するステップのために直線的なカッティングツールを使用するステップをさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記機械加工するステップが、前記直線的なカッティングツールを用いた前記弦軸周りにおける少なくとも部分的に円筒形のカッティングを含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記機械加工するステップが、順に、
前記鍛造体への第1の直線的なプランジ加工と、
前記部分的に円筒形のカッティングと、
前記鍛造体の外への第2の直線的なプランジ加工とを含み、前記第1および第2の直線的なプランジ加工が、前記弦軸に対して角度をなして離間される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記機械加工するステップが、前記弦軸周りにおける実質的に完全な円筒形のカッティングを含む、請求項17記載の方法。
【請求項21】
前記機械加工するステップが、順に、
前記鍛造体への第1の直線的なプランジ加工と、
前記実質的に完全な円筒形のカッティングと、
前記第1の直線的なプランジ加工により形成された切込みを介する前記鍛造体の外への第2の直線的なプランジ加工と
を含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記機械加工するステップが、順に、
前記鍛造体への第1の直線的なプランジ加工と、
前記実質的に完全な円筒形のカッティングと、
前記鍛造体の外への第2の直線的なプランジ加工とを含み、前記第1および第2の直線的なプランジ加工が、前記弦軸に対して角度をなして離間される、請求項20記載の方法。
【請求項23】
前記機械加工するステップが放電加工を含み、また前記直線的なカッティングツールがワイヤ放電加工機であることをさらに含む、請求項17記載の方法。
【請求項24】
前記機械加工するステップが、前記直線的なカッティングツールを用いた、前記弦軸周りにおける少なくとも部分的に円筒形のカッティングを含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記機械加工するステップが、順に、
前記鍛造体への第1の直線的なプランジ加工と、
前記部分的に円筒形のカッティングと、
前記鍛造体の外への第2の直線的なプランジ加工とを含み、前記第1および第2の直線的なプランジ加工が、前記弦軸に対して角度をなして離間される、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記機械加工するステップが、前記弦軸周りにおける実質的に完全な円筒形のカッティングを含む、請求項23記載の方法。
【請求項27】
前記機械加工するステップが、順に、
前記鍛造体への第1の直線的なプランジ加工と、
前記実質的に完全な円筒形のカッティングと、
前記第1の直線的なプランジ加工により形成された切込みを介する前記鍛造体の外への第2の直線的なプランジ加工と
を含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記機械加工するステップが、順に、
前記鍛造体への第1の直線的なプランジ加工と、
前記実質的に完全な円筒形のカッティングと、
前記鍛造体の外への第2の直線的なプランジ加工とを含み、前記第1および第2の直線的なプランジ加工が、前記弦軸に対して角度をなして離間される、請求項26記載の方法。
【請求項29】
前記機械加工するステップが、前記機械加工のために管状の電極を用いた放電加工を含む、請求項16記載の方法。
【請求項30】
前記管状の電極が、銅または真鍮の管状の電極であることをさらに含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
0.1〜0.5インチ(0.254〜1.27cm)の範囲のゲージセクション直径を有する前記試験片を形成するステップをさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項32】
前記機械加工するステップが放電加工を含み、また前記直線的なカッティングツールがワイヤ放電加工機であることをさらに含む、請求項31記載の方法。
【請求項33】
鍛造の回転軸を有する環状の鍛造体から試験片を製作するための放電加工方法であって、
EDM機の搬送台の主軸台に前記環状の鍛造体を取り付けるステップであり、前記EDM機が、直交するXおよびY方向に移動しかつ機械加工するように動作可能な機械ヘッドを有し、かつ前記搬送台が、前記鍛造体の鍛造の回転軸に直角な前記Y方向に平行移動するように動作可能である、ステップと、
前記Y方向に前記搬送台を平行移動することにより、前記機械ヘッドに前記鍛造体を提示するステップと、
前記XおよびY方向に移動する前記機械ヘッドを用いて、前記鍛造体の放電加工により弦状コアを機械加工するステップであり、前記弦状コアが、前記環状の鍛造体を貫通して延びる弦と同一線上にある直線的な弦軸を有する、ステップと、
前記弦軸に関して対称である前記試験片を、前記弦状コアから形成するステップと
を含む方法。
【請求項34】
前記X方向とY方向の両方に直角である上下のZ方向に、かつ前記Z方向に平行なEDMワイヤのカッティング部分に沿って機械加工液または誘電体の噴流を送るステップをさらに含む、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記噴流を、前記機械加工ヘッドにより支持された上側および下側ワイヤガイドの上側および下側ノズルからそれぞれ送るステップをさらに含み、前記EDMワイヤの前記カッティング部分が、前記上側ワイヤガイドと下側ワイヤガイドの間で延びている、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記搬送台が、前記機械加工液または誘電体のタンク中の可動テーブルであり、また前記環状の鍛造体が、前記機械加工液または誘電体中に浸漬されることをさらに含む、請求項33記載の方法。
【請求項37】
0.1〜0.5インチ(0.254〜1.27cm)の範囲のゲージセクション直径を有する前記試験片を形成するステップをさらに含む、請求項33記載の方法。
【請求項38】
前記機械加工するステップが放電加工を含み、また前記直線的なカッティングツールがワイヤ放電加工機であることをさらに含む、請求項37記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2012−500400(P2012−500400A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523849(P2011−523849)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/051911
【国際公開番号】WO2010/021812
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】